説明

走行制御装置

【課題】複数種類の車両走行制御それぞれに対応した検出結果に基づいて走行制御を行うことができる走行制御装置を提供する。
【解決手段】ナビゲーションシステム12、前方ミリ波レーダ30、近距離ミリ波レーダ32、前方画像センサ40及び後方/側方/周辺画像センサ42の複数のセンサ類を備え、LKA部221、ACC部222、PCS部241の複数の走行制御システムを備えた走行支援システム1において、センサの優先順位は走行制御の全てについて固定されているのではなく、走行制御の種別それぞれに対応して優先順位が設定され、LKA部221等のそれぞれは優先順位に従ってセンサ類それぞれの検出結果を適用して車両を制御するため、複数種類の車両走行制御それぞれに対応した検出結果に基づいて走行制御を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は走行制御装置に関し、特に、複数種類の車両走行制御を行う走行制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の走行支援装置として、車両が走行する車線を制御する車線維持支援制御(LKA:Lane Keeping Assist)や、車両の周囲の障害物に対して警報、回避、制動等の車両の制御を行う衝突軽減制御(PCS:Pre-Crash Safety)や、先行車両との車間を制御する車間維持制御(ACC:Adaptive Cruise Control)が開発されている。特許文献1には、車線維持支援制御における前方道路状況推定において、ナビゲーションシステムと画像情報とにより走路情報を取得し、画像情報から得られた走路情報をナビゲーションシステムから得られた走路情報よりも優先して車線維持支援制御に適用し、画像情報によって走路が認識できない状況に陥ったときには、ナビゲーションシステムからの走路情報を車線維持支援制御に適用する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2002−8199号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の技術のように画像情報から得られた走路情報をナビゲーションシステムから得られた走路情報よりも常に優先して車両走行制御に適用した場合、車両走行制御の種別によっては、当該車両走行制御に応じた最適な走路情報を得ることができず、最適な車両走行制御を行うことができない場合がある。
【0004】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数種類の車両走行制御それぞれに対応した検出結果に基づいて走行制御を行うことができる走行制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、車両の周囲の環境を検出する複数の周囲環境検出手段と、複数の周囲環境検出手段のうち少なくとも一つの検出結果に基づいて車両を制御する複数の車両走行制御手段と、を備え、車両走行制御手段それぞれに対応して周囲環境検出手段それぞれの検出結果を適用する優先順位が設定され、車両走行制御手段それぞれは優先順位に従って周囲環境検出手段の検出結果を適用して車両を制御する走行制御装置である。
【0006】
この構成によれば、複数の周囲環境検出手段と複数の車両走行制御手段とを備えた走行制御装置において、周囲環境検出手段の優先順位は車両走行制御手段の全てについて固定されているのではなく、車両走行制御手段それぞれに対応して周囲環境検出手段それぞれの検出結果を適用する優先順位が設定され、車両走行制御手段それぞれは優先順位に従って周囲環境検出手段の検出結果を適用して車両を制御するため、複数種類の車両走行制御それぞれに対応した検出結果に基づいて走行制御を行うことができる。
【0007】
この場合、車両走行制御手段は、周囲環境検出手段の検出結果に基づいて車両が走行する道路の曲率半径を推定し、曲率半径に応じて車両を制御するものとできる。
【0008】
この構成によれば、車両走行制御手段は、周囲環境検出手段の検出結果に基づいて車両が走行する道路の曲率半径を推定し、曲率半径に応じて車両を制御するため、複数種類の車両走行制御それぞれに対応した検出結果に基づいて車両が走行する道路の曲率半径を推定し、複数種類の車両走行制御それぞれに対応した道路の曲率半径に基づいて走行制御を行うことができる。
【0009】
この場合、周囲環境検出手段には、画像センサ、レーダ及びナビゲーションシステムを含み、車両走行制御手段には、車両が走行する車線を制御する車線維持支援制御手段を含み、車線維持支援制御手段は、画像センサ、ナビゲーションシステム及びレーダの順に設定された優先順位に従ってそれぞれの検出結果を適用して車両が走行する車線を制御するものとできる。
【0010】
車線維持支援制御は、システムが直接検出した自車前方の道路の白線やレーンマークを検出することができる画像センサにより検出したレーン情報に基づいたカーブr(道路のカーブの曲率半径)の情報を第1優先とし、画像処理結果に信頼がおけない場合や、レーンそのものが検出できなくなったときは、ナビゲーションシステムによる情報やレーダによる情報で補完することが好ましい。補完をする場合、ナビゲーションシステムによる情報とレーダによる情報の両方がある場合は、レーン情報も併せ持つナビゲーションシステムによる情報を優先的に利用することが望ましい。従って、車線維持支援制御は、画像センサ、ナビゲーションシステム及びレーダの順に優先してそれぞれの検出結果を適用することが好ましい。この構成によれば、車線維持支援制御手段は、画像センサ、ナビゲーションシステム及びレーダの順に設定された優先順位に従ってそれぞれの検出結果を適用して車両が走行する車線を制御するため、車線維持支援制御に対応した検出結果に基づいて車線維持支援制御を行うことができる。
【0011】
また、周囲環境検出手段には、画像センサ、レーダ及びナビゲーションシステムを含み、車両走行制御手段には、車両の周囲の障害物に対して車両を制御する障害物制御手段を含み、障害物制御手段は、レーダ、画像センサ及びナビゲーションシステムの順に設定された優先順位に従ってそれぞれの検出結果を適用して車両の周囲に存在する障害物に対して車両を制御するものとできる。
【0012】
衝突軽減制御等の障害物制御は、遠方の障害物が自車両の正面に存在する場合には、カーブ入口などの路側物の一部か否か、あるいは直線路における真正面の障害物か否かを識別したいので、物体の距離や位置を検出することができるセンサとしてレーダか、遠方の物体まで検出可能な構成を持つステレオ画像センサ等の画像センサの障害物情報を用いたカーブrの情報を第1優先とすることが好ましい。さらに、レーダと遠方画像の両方の情報がある場合は、汚れや悪天候に強いレーダの情報を優先することが好ましい。従って、車線維持支援制御は、レーダ、画像センサ及びナビゲーションシステムの順に優先してそれぞれの検出結果を適用することが好ましいが、この構成によれば、障害物制御手段は、レーダ、画像センサ及びナビゲーションシステムの順に設定された優先順位に従ってそれぞれの検出結果を適用して車両の周囲に存在する障害物に対して車両を制御するため、障害物制御に対応した検出結果に基づいて障害物制御を行うことができる。
【0013】
あるいは、周囲環境検出手段には、画像センサ、レーダ及びナビゲーションシステムを含み、車両走行制御手段には、ナビゲーションシステムによる経路案内時に先行車両との車間を制御する車間維持制御手段を含み、車間維持制御手段は、ナビゲーションシステム、レーダ及び画像センサの順に設定された優先順位に従ってそれぞれの検出結果を適用してナビゲーションシステムによる経路案内時に先行車両との車間を制御するものとできる。
【0014】
ナビゲーションシステムによる経路案内時における車間維持制御は、ナビゲーションシステムからの経路案内に基づいて走行しているので、分岐点などで自車両が走行する方向がほぼ確定できるナビゲーションシステムによる情報からのカーブrの情報を第1優先に判断して、遠方の先行車両が左右方向に移動する場合か否か、カーブに差し掛かったという理由で左右に移動する場合か否かを識別することが好ましい。ナビゲーションシステムからの前方カーブrの情報がない場合には、レーダか画像センサの情報で補完することが好ましい。レートと画像センサの両方の情報がある場合には、汚れや悪天候に強いレーダの情報を優先することが好ましい。従って、経路案内時における車間維持制御は、ナビゲーションシステム、レーダ及び画像センサの順に優先してそれぞれの検出結果を適用することが好ましいが、この構成によれば、車間維持制御手段は、ナビゲーションシステム、レーダ及び画像センサの順に設定された優先順位に従ってそれぞれの検出結果を適用して先行車両との車間を制御するため、経路案内時における車間維持制御に対応した検出結果に基づいて車間維持制御を行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の走行制御装置によれば、複数種類の車両走行制御それぞれに対応した検出結果に基づいて走行制御を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態に係る走行制御装置について添付図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、実施形態に係る走行支援システムを示すブロック図であり、本発明の走行制御装置を走行支援システムに適用した場合における構成例を示す。
【0018】
走行支援システム1は、主としてECU(車両走行制御手段)10からなる。ECU10は、ナビゲーションシステム12、前方ミリ波レーダ30、近距離ミリ波レーダ32、前方画像センサ40及び後方/側方/周辺画像センサ42が接続された物体検出部100と、車載システム14が接続されたシステム制御部20とを備える。
【0019】
ナビゲーションシステム12は、GPS(Global Positioning System)等によって、自車の位置を測定するためのものであり、少なくとも現在における自車の走行する走行レーン(車線)を認識することが可能な精度で自車の位置を測定することができる。ナビゲーションシステム12の測定結果はECU10の物体検出部100に出力される。
【0020】
前方ミリ波レーダ30は、ミリ波帯の電波を水平方向にスキャンしながら車両の前方へ照射し、車両などの物体表面で反射された電波を受信し、反射率(受信波の電波強度と照射波の電波強度との比率)、受信信号の周波数変化から先行車両の有無、先行車と自車両との距離、相対速度、自車両からの横変位(横位置)などのパラメータを求め、検出結果としてECU10に出力する。
【0021】
近距離ミリ波レーダ32は、ミリ波帯の電波を水平方向にスキャンしながら車両の前方、側方及び後方に照射し、車両などの物体表面で反射された電波を受信し、反射率、受信信号の周波数変化から、並走車両、追越し車両及び割込み車両の有無、当該車両と自車両との距離、相対速度、自車両からの横変位(横位置)などのパラメータを求め、検出結果としてECU10に出力する。
【0022】
物体検出部100は、物体情報検出部102と、カーブr演算部104と、認識部106とを含む。
【0023】
物体情報検出部102は、ナビゲーションシステム12、前方ミリ波レーダ30、近距離ミリ波レーダ32、前方画像センサ40及び後方/側方/周辺画像センサ42からの情報によって、自車両周囲の物体を検出するためのものである。
【0024】
カーブr演算部104は、ナビゲーションシステム12、前方ミリ波レーダ30、近距離ミリ波レーダ32、前方画像センサ40及び後方/側方/周辺画像センサ42からの情報に基づき、それぞれの情報を所定の優先順位で適用して算出した前方カーブfr1〜fr3を算出するためのものである。
【0025】
認識部106は、物体情報検出部102が検出した自車両周囲の物体に関する情報と、カーブr演算部104が算出した前方カーブfr1〜fr3とをそれぞれの車両走行制御の種別に応じて適用し、所定の情報をシステム制御部30に出力するためのものである。
【0026】
システム制御部30は、物体検出部100からの自車両周囲の物体に関する情報や前方カーブfr1〜fr3に関する情報に応じて車載システム14に制御量やフラグを出力するためのものである。システム制御部30は、運転負荷軽減システム部22と安全システム部24とを含む。運転負荷軽減システム部22は、車両が走行する車線を制御するLKA部221、先行車両との車間を制御するACC部222を含み、その他のシステムとしてIPA等のドライバーの運転負荷を軽減するためのシステムを制御する。安全システム部24は、自車両の周囲の障害物に対して自車両を制御するPCS部241を含み、その他のシステムとしてFCAAS、PB、PSB、PBA、サスペンション制御、警報、操舵回避支援、ヘッドレスト制御、シート制御、アクティブフード、アクティブバンパー等のシステムや、ナビゲーションシステム用の強調画像等、ドライバーの安全を確保するためのシステムを制御する。
【0027】
車載システム14は、システム制御部30からの制御量やフラグに基づいて、所定の操舵、加減速、警報の報知等の動作を行う。
【0028】
その他、ECU10の物体検出部100には、ソナー50、車両運動状態センサ60、顔向きセンサ70が接続されており、これらからの情報は障害物の認識に利用される。車両運動状態センサ60の出力情報は自車運動状態推定部62で処理された後に物体検出部100に送られ、顔向きセンサ70の出力情報はドライバー状態推定部72で処理された後に物体検出部100に送られる。自車運動状態推定部62及びドライバー状態推定部72による処理情報は、直接にシステム制御部20に出力され、システムの制御に利用される。また、物体検出部100に接続された前方ミリ波レーダ30、近距離ミリ波レーダ32等のセンサ類は相互に接続されており、各々のセンサの動作を制御する。
【0029】
次に、図2を参照して走行支援システム1の動作について説明する。図2は、実施形態に係る走行支援システムにおける大まかな処理手順を示すフローチャートである。
【0030】
まず、物体検出部100のカーブr演算部104は、画像センサ>ナビゲーションシステム>レーダの優先順位でそれぞれの検出結果を適用して自車両前方の道路の曲率半径であるfr1を算出する(S1)。また、物体検出部100のカーブr演算部104は、レーダ>画像センサ>ナビゲーションシステムの優先順位でそれぞれの検出結果を適用して自車両前方の道路の曲率半径であるfr2を算出する(S2)。また、物体検出部100のカーブr演算部104は、ナビゲーションシステム>レーダ>画像センサの優先順位でそれぞれの検出結果を適用して自車両前方の道路の曲率半径であるfr3を算出する(S3)。これらのfr1〜fr3の算出はどのような順序で行っても良く、同時に算出しても良い。なお、fr1〜fr3の算出の詳細については後述する。
【0031】
物体検出部100の認識部106は、カーブr演算部104が算出したfr1〜fr3を適用するシステムを判別し、それぞれに対応した前方カーブr=fr1〜fr3をシステム制御部20のそれぞれのブロックに供給する(S4)。
【0032】
レーン逸脱警報や車間維持支援制御を行うLKA部221においては、制御・警報判別用の前方カーブrとしてr=fr1を採用する(S5,S6)。これは、車間維持支援制御は、システムが直接検出した自車前方の道路の白線やレーンマークを検出することができる画像センサにより検出したレーン情報に基づいたカーブrの情報を第1優先とし、画像処理結果に信頼がおけない場合やレーンそのものが検出できなくなったときは、ナビゲーションシステムによる情報やレーダによる情報で補完することが好ましいからである。また、補完をする場合、ナビゲーションシステムによる情報とレーダによる情報の両方がある場合は、レーン情報も併せ持つナビゲーションシステムによる情報を優先的に利用することが望ましいからである。そのため、LKA部221においては、画像センサ>ナビゲーションシステム>レーダの優先順位でそれぞれの検出結果を適用して算出されたr=fr1を適用する。
【0033】
前方障害物衝突防止制御、すなわち被害軽減及び警報システム等を含む衝突軽減制御を行うPCS部241においては、制御・警報判別用の前方カーブrとしてr=fr2を採用する(S7,S9)。これは、衝突軽減制御等の障害物制御は、遠方の障害物が自車両の正面に存在する場合には、カーブ入口などの路側物の一部か否か、あるいは直線路における真正面の障害物か否かを識別したいので、物体の距離や位置を検出することができるセンサとしてレーダか、遠方の物体まで検出可能な構成を持つステレオ画像センサ等の画像センサの障害物情報を用いたカーブrの情報を第1優先とすることが好ましいからである。さらに、レーダと遠方画像の両方の情報がある場合は、汚れや悪天候に強いレーダの情報を優先することが好ましいからである。そのため、PCS部241においては、レーダ>画像センサ>ナビゲーションシステムの優先順位でそれぞれの検出結果を適用して算出されたr=fr2を適用する。
【0034】
車間維持制御を行うACC部222においては、通常時は、制御・警報判別用の前方カーブrとしてr=fr2を採用する(S8,S9)。これは、通常時における車間維持制御は、遠方の先行車両が左右方向に移動する場合、カーブに差し掛かったという理由で左右に移動するのか、直線路での車線変更のために左右に移動するのかを識別する必要があり、また前方カーブに差し掛かったときはACCによる再加速を抑制したいので、先行車両を検出することができるレーダか、遠方まで検出可能な画像を用いた画像センサからのカーブrの情報を第1優先とすることが好ましいからである。さらに、レーダと画像センサの両方の情報がある場合は、汚れや悪天候に強いレーダの情報を優先することが好ましいからである。そのため、ACC部222においては、通常時は、レーダ>画像センサ>ナビゲーションシステムの優先順位でそれぞれの検出結果を適用して算出されたr=fr2を適用する。
【0035】
一方、ナビゲーションシステムによる経路案内時のACC部222においては、制御・警報判別用の前方カーブrとしてr=fr3を採用する(S10,S11)。これは、経路案内時における車間維持制御は、ナビゲーションシステムからの経路案内に基づいて走行しているので、分岐点などで自車両が走行する方向がほぼ確定できるナビゲーションシステムによる情報からのカーブrの情報を第1優先に判断して、遠方の先行車両が左右方向に移動する場合か否か、カーブに差し掛かったという理由で左右に移動する場合か否かを識別することが好ましいからである。さらに、ナビゲーションシステムからの前方カーブrの情報がない場合には、レーダか画像センサの情報で補完することが好ましく、レートと画像センサの両方の情報がある場合には、汚れや悪天候に強いレーダの情報を優先することが好ましいからである。そのため、ACC部222においては、経路案内時は、ナビゲーションシステム>レーダ>画像センサの優先順位でそれぞれの検出結果を適用して算出されたr=fr3を適用する。
【0036】
以下、r=fr1〜fr3それぞれの算出手順について説明する。図3〜5は、それぞれカーブr=fr1〜fr3を算出する手順を示すフローチャートである。以下、代表的な例として図3を参照して、r=fr1を算出する手順について説明する。
【0037】
まず、物体検出部100のカーブr演算部104は、画像センサによって検出されたカーブr:rcとその値の信頼度rrcとを算出し(S101)、レーダによるカーブr:rrとその値の信頼度rrrとを算出し(S102)、ナビゲーションシステムによるカーブr:rnとその値の信頼度rrnとを算出する(S103)。これらのステップS101〜S103はいかなる順序で実行しても良く、同時に実行しても良い。
【0038】
次に、fr1は、画像センサ>ナビゲーションシステム>レーダの優先順位でそれぞれの検出結果を適用して算出されるため、まず、画像センサによるカーブrcの信頼度rrcが所定の閾値RRCよりも大きいか否か比較し、大きければfr1=rcとし、信頼度rrcが閾値RRC未満であればステップS106に進む(S104,S105)。次に、ナビゲーションシステムによるカーブrnの信頼度rrnが所定の閾値RRNよりも大きいか否か比較し、大きければfr1=rnとし、信頼度rrnが閾値RRN未満であればステップS108に進む(S106,S107)。最後に、レーダセンサによるカーブrrの信頼度rrrが所定の閾値RRRよりも大きいか否か比較し、大きければfr1=rrとし、信頼度rrrが閾値RRR未満であればステップS110に進む(S108,S109)。ステップS110では、fr1として所定時間内は前回の値を保存し、その他の時間や前回の値がない場合は、fr1は未検出であるとする。以上のようにして、画像センサ>ナビゲーションシステム>レーダの優先順位でそれぞれの検出結果を適用してfr1を算出することができる。
【0039】
図4に示すように、fr2を算出する場合には、レーダ>画像センサ>ナビゲーションシステムの優先順位でそれぞれの検出結果の信頼度とその閾値とを順次比較する以外は、fr1と同様にして算出する。また、図5に示すように、fr3を算出する場合には、ナビゲーションシステム>レーダ>画像センサの優先順位でそれぞれの検出結果の信頼度とその閾値とを順次比較する以外は、fr1と同様にして算出する。
【0040】
本実施形態においては、ナビゲーションシステム12、前方ミリ波レーダ30、近距離ミリ波レーダ32、前方画像センサ40及び後方/側方/周辺画像センサ42の複数のセンサ類を備え、LKA部221、ACC部222、PCS部241の複数の走行制御システムを備えた走行支援システム1において、センサの優先順位は走行制御の全てについて固定されているのではなく、走行制御の種別それぞれに対応して優先順位が設定され、LKA部221等のそれぞれは優先順位に従ってセンサ類それぞれの検出結果を適用して車両を制御するため、複数種類の車両走行制御それぞれに対応した検出結果に基づいて走行制御を行うことができる。
【0041】
特に、本実施形態においては、ECU10は、前方ミリ波レーダ30等の検出結果に基づいて車両が走行する道路の曲率半径rを推定し、曲率半径rに応じて車両を制御するため、複数種類の車両走行制御それぞれに対応した検出結果に基づいて車両が走行する道路の曲率半径rを推定し、複数種類の車両走行制御それぞれに対応した道路の曲率半径rに基づいて走行制御を行うことができる。
【0042】
また、LKA部221は、画像センサ、ナビゲーションシステム及びレーダの順に設定された優先順位に従ってそれぞれの検出結果を適用して車両が走行する車線を制御するため、車線維持支援制御に対応した検出結果に基づいて車線維持支援制御を行うことができる。
【0043】
同様に、PCS部241は、レーダ、画像センサ及びナビゲーションシステムの順に設定された優先順位に従ってそれぞれの検出結果を適用して車両の周囲に存在する障害物に対して車両を制御するため、衝突軽減制御に対応した検出結果に基づいて衝突軽減制御を行うことができる。
【0044】
さらに、ACC部222は、通常時は、レーダ、画像センサ及びナビゲーションシステムの順に設定された優先順位に従い、ナビゲーションシステムによる経路案内時は、ナビゲーションシステム、レーダ及び画像センサの順に設定された優先順位に従ってそれぞれの検出結果を適用して先行車両との車間を制御するため、車間維持制御に対応した検出結果に基づいて車間維持制御を行うことができる。
【0045】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。本実施形態では走行制御装置の一例として走行支援システムに適用する場合を中心に説明したが、本発明の走行制御装置の適用分野としてはこれに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】実施形態に係る走行支援システムを示すブロック図である。
【図2】実施形態に係る走行支援システムにおける大まかな処理手順を示すフローチャートである。
【図3】画像>ナビゲーションシステム>レーダの優先順位で前方カーブfr1を算出する手順を示すフローチャートである。
【図4】レーダ>画像>ナビゲーションの優先順位で前方カーブfr2を算出する手順を示すフローチャートである。
【図5】ナビゲーションシステム>レーダ>画像の優先順位で前方カーブfr3を算出する手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0047】
1…走行支援システム、10…ECU、12…ナビゲーションシステム、14…車載システム、20…システム制御部、22…運転負荷軽減システム部、221…LKA部、222…ACC部、24…安全システム部、241…PCS部、30…前方ミリ波レーダ、32…近距離ミリ波レーダ、40…前方画像センサ、42…後方/側方/周辺画像センサ、50…ソナー、60…車両運動状態センサ、62…自車運動状態推定部、70…顔向き検出センサ、72…ドライバー状態推定部、100…物体検出部、102…物体情報検出部、104…カーブr演算部、106…認識部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周囲の環境を検出する複数の周囲環境検出手段と、
複数の前記周囲環境検出手段のうち少なくとも一つの検出結果に基づいて前記車両を制御する複数の車両走行制御手段と、
を備え、
前記車両走行制御手段それぞれに対応して前記周囲環境検出手段それぞれの検出結果を適用する優先順位が設定され、前記車両走行制御手段それぞれは前記優先順位に従って前記周囲環境検出手段の検出結果を適用して前記車両を制御する、
走行制御装置。
【請求項2】
前記車両走行制御手段は、前記周囲環境検出手段の検出結果に基づいて前記車両が走行する道路の曲率半径を推定し、前記曲率半径に応じて前記車両を制御する、
請求項1に記載の走行制御装置。
【請求項3】
前記周囲環境検出手段には、画像センサ、レーダ及びナビゲーションシステムを含み、
前記車両走行制御手段には、前記車両が走行する車線を制御する車線維持支援制御手段を含み、
前記車線維持支援制御手段は、前記画像センサ、前記ナビゲーションシステム及び前記レーダの順に設定された前記優先順位に従ってそれぞれの検出結果を適用して前記車両が走行する車線を制御する、
請求項1又は2に記載の走行制御装置。
【請求項4】
前記周囲環境検出手段には、画像センサ、レーダ及びナビゲーションシステムを含み、
前記車両走行制御手段には、前記車両の周囲の障害物に対して前記車両を制御する障害物制御手段を含み、
前記障害物制御手段は、前記レーダ、前記画像センサ及び前記ナビゲーションシステムの順に設定された前記優先順位に従ってそれぞれの検出結果を適用して前記車両の周囲に存在する障害物に対して車両を制御する、
請求項1又は2に記載の走行制御装置。
【請求項5】
前記周囲環境検出手段には、画像センサ、レーダ及びナビゲーションシステムを含み、
前記車両走行制御手段には、前記ナビゲーションシステムによる経路案内時に先行車両との車間を制御する車間維持制御手段を含み、
前記車間維持制御手段は、前記ナビゲーションシステム、前記レーダ及び前記画像センサの順に設定された前記優先順位に従ってそれぞれの検出結果を適用して前記ナビゲーションシステムによる経路案内時に先行車両との車間を制御する、
請求項1又は2に記載の走行制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−149860(P2008−149860A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−339016(P2006−339016)
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】