車両の制御装置
【課題】摺動式の後進段用ギヤを有する手動変速機において、後進段用ギヤの噛合い量不足に起因して発生し得る後進段用ギヤの損傷等を防止する。
【解決手段】フォークシャフトポジションセンサの出力信号に基づいて検出されるリバースドライブギヤ又はリバースドリブンギヤに対するリバースアイドラギヤの噛合い量Wが閾値Gより小さい場合(ST1:YES)、その噛合い量Wが閾値G以上の場合と比較してエンジンの発生トルクを抑制し(ST3)、警告表示を行う(ST4)。また、噛合い量Wが閾値Gより小さい場合(ST1:YES)に、クラッチが継合された場合(ST5:YES)、アラーム警告を行う(ST7)。
【解決手段】フォークシャフトポジションセンサの出力信号に基づいて検出されるリバースドライブギヤ又はリバースドリブンギヤに対するリバースアイドラギヤの噛合い量Wが閾値Gより小さい場合(ST1:YES)、その噛合い量Wが閾値G以上の場合と比較してエンジンの発生トルクを抑制し(ST3)、警告表示を行う(ST4)。また、噛合い量Wが閾値Gより小さい場合(ST1:YES)に、クラッチが継合された場合(ST5:YES)、アラーム警告を行う(ST7)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、摺動式の後進段用ギヤを有する手動変速機を備える車両の制御装置に関し、特に、後進段用ギヤの噛合い量不足に起因する当該後進段用ギヤの損傷等を防止するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の車両の手動変速機の多くは、摺動式の後進段用ギヤを備えている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0003】
特許文献1に開示されている車両用手動変速機の後進段用ギヤは、インプットシャフトに回転一体に設けられたリバースドライブギヤと、アウトプットシャフトに回転一体に設けられたリバースドリブンギヤと、これら2つのギヤに対して摺動して噛合い可能に設けられたリバースアイドラギヤとで構成されている。運転者がシフトレバーを他のポジションからリバースポジションに移動させるのに伴って、リバースアイドラギヤは、非噛合い位置からリバースドライブギヤおよびリバースドリブンギヤに噛合う噛合い位置に移動し、運転者がシフトレバーをリバースポジションから他のポジションに移動させるのに伴って、リバースアイドラギヤは、噛合い位置から元の非噛合い位置に復帰する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−191861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の手動変速機では、運転者がシフトレバーをリバースポジションに操作する際に、その操作量が不足して、リバースドライブギヤおよびリバースドリブンギヤに対するリバースアイドラギヤの噛合い量が不足することがある。このような状態で、クラッチが継合され、車両が発進すると、小さな噛合い部分に想定以上の大きなが力が掛かってしまい、このような操作が繰り返されると、後進段用ギヤが損傷、変形等してしまうことが懸念される。
【0006】
本発明はかかる問題に鑑みて創案されたものであり、摺動式の後進段用ギヤを有する手動変速機において、後進段用ギヤの噛合い量不足に起因して発生し得る後進段用ギヤの損傷等を防止する車両の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するための手段として、本発明の車両の制御装置は、以下のように構成されている。
【0008】
すなわち、本発明の車両の制御装置は、リバースシフト操作に連動して、リバースアイドラギヤが、リバースドライブギヤおよびリバースドリブンギヤに噛合うように構成された手動変速機を備えるものを前提としており、前記リバースドライブギヤ又は前記リバースドリブンギヤに対する前記リバースアイドラギヤの噛合い量を検出する噛合い量検出手段と、前記噛合い量検出手段により検出される噛合い量が閾値より小さい場合、その噛合い量が閾値より大きい場合と比較してエンジンの発生トルクを抑制するエンジン制御手段と、を備えることを特徴としている。
【0009】
前記噛合い量検出手段は、例えば、リバースシフト操作時における前記リバースアイドラギヤの移動量に基づいて前記噛合い量を検出するものである。
【0010】
上記構成を備える車両の制御装置によれば、リバースドライブギヤ又はリバースドリブンギヤに対するリバースアイドラギヤの噛合い量が閾値より小さい場合、その噛合い量が閾値より大きい場合と比較してエンジンの発生トルクが抑制されるので、上記閾値および抑制時のエンジントルクを適値にすることで、後進段用ギヤの噛合い量不足に起因して発生し得るギヤの損傷等を防止することができる。
【0011】
また、前記噛合い量検出手段により検出される噛合い量が閾値より小さい場合に警告表示を行う警告表示手段をさらに備えることが望ましい。
【0012】
かかる構成を備える車両の制御装置によれば、運転者にリバースシフト操作の操作量不足を気付かせることができる。
【0013】
クラッチの継合状態を検出するクラッチ継合状態検出手段と、前記噛合い量検出手段により検出される噛合い量が閾値より小さく、かつ、前記クラッチ継合状態検出手段によりクラッチが継合されていることが検出された場合、警告音を発生する警告音発生手段と、をさらに備えることが望ましい。
【0014】
かかる構成を備える車両の制御装置によれば、運転者にリバースシフト操作の操作量不足を気付かせて、直ちにクラッチの切断操作等を行わせ、後進段用ギヤを保護することが可能となる。
【0015】
また、本発明の車両の制御装置は、以下のようなものであってもよい。
【0016】
すなわち、本発明の車両の制御装置は、リバースシフト操作に連動して、リバースアイドラギヤが、リバースドライブギヤおよびリバースドリブンギヤに噛合うように構成された手動変速機を備えるものを前提としており、前記リバースドライブギヤ又は前記リバースドリブンギヤに対する前記リバースアイドラギヤの噛合い量を検出する噛合い量検出手段と、クラッチの継合状態を検出するクラッチ継合状態検出手段と、前記噛合い量検出手段により検出される噛合い量が閾値より小さく、かつ、前記クラッチ継合状態検出手段によりクラッチが継合されていることが検出された場合、警告音を発生する警告音発生手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0017】
前記噛合い量検出手段は、例えば、リバースシフト操作時における前記リバースアイドラギヤの移動量に基づいて前記噛合い量を検出するものである。
【0018】
上記構成を備える車両の制御装置によれば、運転者にリバースシフト操作の操作量不足を気付かせて、直ちにクラッチの切断操作等を行わせ、後進段用ギヤを保護することが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の車両の制御装置によれば、後進段用ギヤの噛合い量不足に起因して発生し得る後進段用ギヤの損傷等を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態に係る車両のパワートレーンを示した図である。
【図2】図1の内燃機関の概略構成を示すスケルトン図である。
【図3】図1の制御装置の入出力系を示す図である。
【図4】手動変速機の構成の一部を示す断面図である。
【図5】手動変速機のギヤレイアウトを示す断面図である。
【図6】リバースギヤ列をエンジン側から視た概略図である。
【図7】シフトレバーおよびシフトゲート形状を示す図である。
【図8】シフトレバーおよびシフトゲート形状を示す図である。
【図9】リバースアイドラギヤがリバースドライブギヤおよびリバースドリブンギヤに噛合った状態を示す図である。
【図10】制御装置が実行する処理動作を示したフローチャートである。
【図11】運転者がシフトレバーをリバース位置に移動させる際のリバースアイドラギヤの移動量、アクセルペダルの操作量、エンジンの発生トルク、警告表示灯のON/OFF状態をそれぞれ示したタイムチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。本発明の実施の形態では、前進5速段、後進1速段の手動変速機を搭載したFF(フロントエンジン・フロントドライブ)車両を例に挙げて説明する。
【0022】
図1は、本実施形態における車両に搭載されたエンジン1、手動変速機100、制御装置300等を示す図である。図1に示すパワートレーンでは、エンジン1で発生する動力がクラッチ103を介して手動変速機100に入力され、この手動変速機100で適宜の変速比に変速されて、ディファレンシャル装置216を介して左右の駆動輪2,2に伝達されるようになっている。
【0023】
クラッチ103は、エンジン1のクランク軸と手動変速機100のインプットシャフト201との間で動力を継合・切断するものであり、クラッチペダル9の踏み込み量(操作量)に応じてエンジン1のクランクシャフトとインプットシャフト201を継合状態、半継合状態(いわゆる半クラッチ)または切断状態とする。
【0024】
図2を参照して、上記エンジン1の吸気系および燃料供給系の概略構成を説明する。エンジン1の燃焼室10には、吸気ポートおよび排気ポート(共に符号省略)が連通され、吸気ポートには吸気バルブ11が、排気ポートには排気バルブ12が設けられる。吸気バルブ11および排気バルブ12は、クランクシャフト1aの回転動力によって回転駆動される吸気カムシャフトおよび排気カムシャフト(共に図示省略)の各回転によって直線的に往復変位される。
【0025】
吸気ポートに連結される吸気通路14には、電子制御式のスロットルバルブ15が設けられている。このスロットルバルブ15は、スロットルモータ16により開閉され、スロットルバルブ15の開度に応じて吸気通路14へ導入される吸入空気量が調整される。
【0026】
また、吸気ポートの近傍には、燃焼室10へ燃料を供給するための燃料噴射弁17が取り付けられている。この燃料噴射弁17には、図示しないデリバリパイプから燃料が所定の圧力をもって供給される。
【0027】
エンジン1の燃焼室10には、点火プラグ18が配置されている。この点火プラグ18は、燃焼室10に導入される混合気(燃料+空気)を燃焼、爆発させるもので、その点火タイミングは、イグナイタ19によって調整される。スロットルモータ16、燃料噴射弁17ならびにイグナイタ19は、制御装置300によって制御される。
【0028】
エンジン1の運転動作を簡単に説明すると、エンジン1の吸入行程において、吸気通路14に導入される空気が吸気ポートを通じて燃焼室10に取り込まれるとともに、燃料噴射弁17から噴射される燃料が燃焼室10に供給されるので、燃焼室10内で混合された混合気が、圧縮行程において圧縮された後、点火プラグ18によって着火されて燃焼、爆発される。これにより、ピストン21が往復運動されるとともに、コネクティングロッド22を経てクランクシャフト1aが回転駆動される。燃焼室10内の排気ガスは、排気行程において排気バルブ12を開弁させることによって排気ポートから排気通路を経て大気放出される。
【0029】
−制御系の説明−
このようなエンジン1の運転動作は、制御装置300により制御される。この制御装置300の概略構成について、図3を参照して説明する。
【0030】
制御装置300は、エンジン1における種々の制御(例えば空燃比制御、燃料噴射制御、点火制御、スロットル制御、フューエルカット制御等)を統括して実行するもので、公知の電子制御装置(ECU:Electronic Control Unit)とされる。
【0031】
制御装置300は、図3に符号を省略して示すように、CPU(中央処理装置)、ROM(プログラムメモリ)、RAM(データメモリ)、バックアップRAM(不揮発性メモリ)等を含んだ構成とされる。ROMは、各種制御プログラムや、それら各種制御プログラムを実行する際に参照されるマップ等が記憶されている。CPUは、ROMに記憶された各種制御プログラムやマップに基づいて演算処理を実行する。また、RAMは、CPUでの演算結果や各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶するメモリであり、バックアップRAMは、エンジン1の停止時にその保存すべきデータ等を記憶する不揮発性のメモリである。
【0032】
図3を参照して、制御装置300の入出力系を説明する。制御装置300の入力インタフェース(符号省略)には、アクセル開度センサ31、アイドルスイッチ32、エアフローメータ33、スロットルポジションセンサ34、クランクポジションセンサ35、シフトポジションセンサ36、クラッチストロークセンサ37、車速センサ38、フォークシャフトポジションセンサ39A,39Bなどが接続されている。
【0033】
また、制御装置300の出力インタフェース(符号省略)には、燃料噴射弁17、スロットルバルブ15のスロットルモータ16、点火プラグ18のイグナイタ19、警告表示灯20、車室内のスピーカ23等が接続されている。
【0034】
アクセル開度センサ31は、運転者により操作されるアクセルペダル8(図1参照)の開度に対応する信号を出力する。アイドルスイッチ32は、アクセルペダル8の踏み込み量がゼロになったときにオン信号を出力し、アクセルペダル8が踏み込まれたときオフ信号を出力する。エアフローメータ33は、吸入空気量を検出し、その吸入空気量信号を出力する。スロットルポジションセンサ34は、スロットルバルブ15の開度に対応する信号を出力する。クランクポジションセンサ35は、例えば電磁ピックアップとされ、クランクシャフト1aに一体回転可能に付設されるシグナルロータ23の外周の多数の突起24の対向通過に対応する信号(出力パルス)を出力する。この出力に基づいてクランクシャフト1aの回転角(クランク角)や機関回転速度が検出される。シフトポジションセンサ36は、手動変速機200において選択されたシフト位置を検出するものである。
【0035】
クラッチストロークセンサ37は、クラッチペダル9の踏み込み量つまり踏み込みストロークを検出するものであり、対応する信号を出力する。制御装置300は、クラッチストロークセンサ37からの出力信号に基づいてクラッチ103の継合状態、半継合状態、切断状態を判定する処理を行う。
【0036】
車速センサ38は、車両速度を検出するものであり、この検出出力に基づいて制御装置300が車両走行速度を算出する。
【0037】
フォークシャフトポジションセンサ39A,39Bは、後述する後進段用のシフトフォークシャフト124Fの移動量PGを検出するために設けられている。制御装置300は、各フォークシャフトポジションセンサ39A,39Bからの出力信号に基づいて後述するリバースアイドラギヤ209cのリバースドライブギヤ9aおよびリバースドリブンギヤ9bに対する所定の噛合い量を検出する。なお、フォークシャフトポジションセンサ39A,39Bについては後に詳述する。
【0038】
−手動変速機の説明−
つぎに、手動変速機100の構成について図4および図5に基づいて説明する。
【0039】
図4に示すように、トランスミッションケース101の内部には、トランスミッションケース101を貫通したシフトセレクトシャフト102が設けられている。このシフトセレクトシャフト102は、運転者が操作する操作部材としてのシフトレバーのシフト操作に連動して軸線回り(図4中矢印Mで示す方向)に回動し、シフトレバーのセレクト操作に連動して軸線方向(図4中矢印Nで示す方向)に移動するようにトランスミッションケース101内に支持されている。
【0040】
符号110は、シフトアウターレバーである。このシフトアウターレバー110は、基部がシフトセレクトシャフト102に連結されており、シフトセレクトシャフト102とともに一体に回動する。シフトアウターレバー110は、シフトレバー(図4において図示省略)のシフト操作力が図示しないケーブル等を介して伝達されるシフト操作力伝達部111に連結されており、シフトレバーが運転者によりシフト操作されると、その操作力がシフト操作力伝達部111により伝達され、シフトアウターレバー110およびシフトセレクトシャフト102がシフトセレクトシャフト102の軸線回りに一体に回動される。
【0041】
また、シフトセレクトシャフト102には、セレクト操作力伝達部(図示省略)が連結されており、シフトレバーが運転者によりセレクト操作されると、その操作力が上記セレクト操作力伝達部により伝達され、シフトセレクトシャフト102が軸線方向に移動される。
【0042】
シフトセレクトシャフト102には、シフトインナーレバー121が固設されている。このシフトインナーレバー121は、シフトセレクトシャフト102と一体にシフトセレクトシャフト102の軸線方向へ移動し、且つ、同軸線回りに一体に回動する。シフトインナーレバー121は、シフトセレクトシャフト102とともに軸線方向に移動することで、1速段および2速段用シフトヘッド122、3速段および4速段用シフトヘッド123、並びに5速段および後進段用シフトヘッド124のいずれかに選択的に係合可能な位置に配される。また、シフトインナーレバー121は、シフトセレクトシャフト102とともに回動することで、係合可能な位置に配置されたシフトヘッドに係合し、当該シフトヘッドをスライド移動させる。なお、図4では、シフトインナーレバー121が中央の3速段および4速段用シフトヘッド123に係合している。
【0043】
符号130は、インターロックプレートである。インターロックプレート130は、シフトセレクトシャフト102に対して軸線方向に相対移動不能に且つ軸線回りに相対回動可能に外嵌されている。但し、トランスミッションケース101に固定されたロックボールアッシ126の一端部がインターロックプレート130に形成された長孔130aに係合していることから、インターロックプレート130はトランスミッションケース101との関係では回動しないようになっている。インターロックプレート130は、回動するシフトインナーレバー121の両側に摺接し、シフトインナーレバー121に係合されたシフトヘッドを1つだけ通過させることができるスリット状のシフトヘッド通路130bを備える。このシフトヘッド通路130bによって同時に2つ以上のシフトヘッド122〜124の通過が規制され、同時に複数の変速段のギヤ列による動力の伝達が防止される。なお、図4では、両側に配置されているシフトヘッド122,124は、インターロックプレート130に係止されており、これらのシフトヘッド122,124は移動することができないようになっている。
【0044】
シフトセレクトシャフト102は、ハイ側およびロー側セレクトスプリング145,146により、軸線方向中立位置へ付勢されている。両セレクトスプリング145,146は、インターロックプレート130の両側とトランスミッションケース101の内壁との間にそれぞれ圧縮状態で介装されている。
【0045】
1速段および2速段用のシフトヘッド122は、1速段および2速段用のシフトフォークシャフト122Fに形成されている。3速段および4速段用のシフトヘッド123は、3速段および4速段用のシフトフォークシャフト123Fに形成されている。5速段および後進段用のシフトヘッド124は、5速段および後進段用のシフトフォークシャフト124Fに形成されている。各シフトフォークシャフト122F〜125Fは、互いに平行に配設されている。
【0046】
また、1速段および2速段用のシフトフォークシャフト122Fには、後述する第1のシンクロメッシュ機構211のスリーブ211aに係合した1速段および2速段用のシフトフォーク160が設けられており、シフトフォークシャフト122Fが軸線方向の何れか一方に移動することで、1速段又は2速段への変速動作が実行される。3速段および4速段用のシフトフォークシャフト123Fには、後述する第2のシンクロメッシュ機構212のスリーブ212aに係合した3速段および4速段用のシフトフォーク161が設けられており、シフトフォークシャフト123Fが軸線方向の何れか一方に移動することで、3速段又は4速段への変速動作が実行される。5速段および後進段用のシフトフォークシャフト124Fには、後述する第3のシンクロメッシュ機構213のスリーブ213aに係合した5速段用のシフトフォーク162(図5の略図を参照、図4において図示省略。)およびリバースアイドラギヤ209cに係合した後進段用のシフトフォーク163(図5の略図を参照、図4において図示省略。)が設けられており、シフトフォークシャフト124Fが軸線方向の何れか一方に移動することで、5速段又は後進段への変速動作が実行される。
【0047】
図5に示すように、5速段および後進段用のシフトフォークシャフト124Fには5速段−中立位置−後進段にそれぞれ対応したロックボール溝124Fa,124Fb,124Fcが形成されており、ばね力によりシフトフォークシャフト124F側に押圧されたロックボール128が上記ロックボール溝124Fa,124Fb,124Fcの何れかに嵌入されるようになっている。上記ロックボール128は、トランスミッションケース101に形成された貫通孔内に収容されており、その貫通孔に圧縮状態で設けられたコイルスプリング136によりシフトフォークシャフト124F側に押圧されている。これらの構成からなるロックボール機構139は、ギヤ抜け防止機能とシフト操作に節度感を与える機能を果たす。他の2つのシフトフォークシャフト122F,123Fにも同様のロックボール機構139が設けられている。
【0048】
5速段および後進段用のシフトフォークシャフト124Fは、トランスミッションケース101に固設されたフォークシャフトポジションセンサ39A,39Bによってその移動量が検出されるようになっている。上記フォークシャフトポジションセンサ39A,39Bは、例えば、感知部を有しており、その感知部が押圧されているときはON信号を制御装置300へ出力し、その感知部が押圧されていないときはOFF信号を制御装置300へ出力するものである。各フォークシャフトポジションセンサ39A,39Bは、シフトフォークシャフト124Fの移動に伴って接近離反するシフトフォークシャフト124Fに固設されたアダプタ部材40A,40Bの検出面40Aa,40Baによって、押圧されるようになっている。
【0049】
一方のフォークシャフトポジションセンサ39Aは、リバースシフト操作時に、リバースアイドラギヤ209cの移動量PGが下限移動量PG1に達すると、上記検出面40Aaに押圧されてON信号を出力するように設置されている。もう一方のフォークシャフトポジションセンサ39Bは、リバースシフト操作時に、リバースアイドラギヤ209cの移動量PGが上限移動量PG2に達すると上記検出面40Baに押圧されてON信号を出力するように設置されている。
【0050】
つぎに、図5および図6に基づいて、手動変速機100のギヤレイアウト200について説明する。このギヤレイアウト200は、互いに平行に配設されたインプットシャフト201、アウトプットシャフト202およびリバースシャフト203(図5において2点鎖線で示す。)に設けられた各段のギヤ列等によって構成されている。上記シャフト201〜203は、トランスミッションケース101、トランスアクスルケース101Aおよびケースカバー101B内に回転自在に支持されている。
【0051】
インプットシャフト201およびアウトプットシャフト202には、前進段用のギヤ列として、1速ギヤ列204、2速ギヤ列205、3速ギヤ列206、4速ギヤ列207および5速ギヤ列208が配設されている。また、インプットシャフト201、アウトプットシャフト202およびリバースシャフト203には、後進段用のギヤ列として、リバースギヤ列209が配設されている。
【0052】
1速ギヤ列204および2速ギヤ列205は、それぞれ、インプットシャフト201に相対回転不能に取り付けられたドライブギヤ204a,205aと、アウトプットシャフト202に対して相対回転自在に組み付けられたドリブンギヤ204b,205bとを備えている。各ドライブギヤ204a,205aと各ドリブンギヤ204b,205bとは互いに噛み合っている。
【0053】
3速ギヤ列206〜5速ギヤ列208は、それぞれ、インプットシャフト201に相対回転自在に組み付けられたドライブギヤ206a〜208aと、アウトプットシャフト202に相対回転不能に取り付けられたドリブンギヤ206b〜208bとを備えている。各ドライブギヤ206a〜208aと各ドリブンギヤ206b〜208bとは互いに噛み合っている。
【0054】
上記各変速ギヤ列の切り換え動作(変速動作)は、3つのシンクロメッシュ機構(同期装置)211,212,213によって行われる。
【0055】
第1のシンクロメッシュ機構211は、1速ドリブンギヤ204bと2速ドリブンギヤ205bとの間におけるアウトプットシャフト202上に設けられている。また、第2のシンクロメッシュ機構212は、3速ドライブギヤ206aと4速ドライブギヤ207aとの間におけるインプットシャフト201上に設けられ、第3のシンクロメッシュ機構213は、5速ドライブギヤ208aの片側におけるインプットシャフト201上に設けられている。これらのシンクロメッシュ機構211〜213の何れか1つが軸線方向一方へ作動することにより、インプットシャフト201の回転動力が、何れか一つの変速ギヤ列204〜208を介してアウトプットシャフト202へ伝達されるようになっている。
【0056】
リバースギヤ列209は、インプットシャフト201に相対回転不能に取り付けられたリバースドライブギヤ209aと、アウトプットシャフト202に相対回転不能に取り付けられたリバースドリブンギヤ209bと、リバースシャフト203に対してスライド移動自在に組み付けられたリバースアイドラギヤ209c(図5において2点鎖線で示す。)とを備えている。これらのギヤ209a〜209cは車両前進時には、噛合わず、車両後進時に、リバースアイドラギヤ209cがリバースシャフト203の軸線方向に移動してリバースドライブギヤ209aおよびリバースドリブンギヤ209bの両方に噛み合うことで、リバースドライブギヤ209aの回転動力を反転してリバースドリブンギヤ209bに伝達する。これにより、アウトプットシャフト202は、逆方向に回転し、駆動輪は後退方向に回転する。なお、本実施形態においては、リバースドリブンギヤ209bは第1のシンクロメッシュ機構211の外周側に回転一体に配設されている。
【0057】
このようにしてインプットシャフト201から所定の変速比に変速され又は回転方向を反転してアウトプットシャフト202に伝達された回転動力は、ファイナルドライブギヤ215aとファイナルドリブンギヤ215bとからなるファイナルリダクションギヤ列215の終減速比によって減速された後、ディファレンシャル装置216、駆動輪2,2(図1参照)に伝達される。
【0058】
図7および図8は、運転者が変速操作を行う際に操作するシフト操作部材としてのシフトレバーLとその可動領域となるゲート形状とを示している。シフトレバーLは、図7に矢印Xで示す方向(セレクト方向)のセレクト操作と、セレクト方向に直交する矢印Y(シフト方向)で示す方向のシフト操作とを行うことができる。
【0059】
セレクト方向には、1速―2速セレクト位置P1,3速―4速セレクト位置P2,および5速−リバースセレクト位置P3が略一列に並んでいる。なお、3速―4速セレクト位置P2はニュートラル位置でもある。
【0060】
1速―2速セレクト位置P1でのシフト方向の操作により、シフトレバーLを1速位置1stまたは2速位置2ndに移動させることができる。1速位置1st又は2速位置2ndに移動操作させる場合、シフトインナーレバー122が1速段および2速段用シフトヘッド122に係合し、このシフトヘッド122とともに、シフトフォークシャフト122F、シフトフォーク160を介して、第1のシンクロメッシュ機構211のスリーブ211aを1速ドリブンギヤ204b側又は2速ドリブンギヤ205b側に作動させる。
【0061】
同様に、3速−4速セレクト位置P2でのシフト方向の操作により、シフトレバーLを3速位置3rdまたは4速位置4thに移動させることができる。3速位置3rd又は4速位置4thに移動操作させる場合、シフトインナーレバー122が3速段および4速段用シフトヘッド123に係合し、このシフトヘッド123とともに、シフトフォークシャフト123F、シフトフォーク161を介して、第2のシンクロメッシュ機構212のスリーブ212aを3速ドリブンギヤ206b側又は4速ドリブンギヤ207b側に作動させる。
【0062】
また、5速−リバースセレクト位置P3でのシフト方向の操作により、シフトレバーLを5速位置5thまたはリバース位置REVに移動させることができる。5速位置5thに移動操作させる場合、シフトインナーレバー122が5速段および後進段用シフトヘッド124に係合し、このシフトヘッド124とともに、シフトフォークシャフト124F、シフトフォーク162を介して、第3のシンクロメッシュ機構213のスリーブ213aを5速ドライブギヤ208a側に作動させる。また、図8の2点鎖線に示すように、シフトレバーLをリバース位置REVに移動操作させる場合、シフトインナーレバー122が5速段および後進段用シフトヘッド124に係合し、このシフトヘッド124とともに、シフトフォークシャフト124F、シフトフォーク163を介して、リバースアイドラギヤ209cを軸線方向に移動させる。これにより、リバースアイドラギヤ209cは、リバースドライブギヤ209aおよびリバースドリブンギヤ209bに噛み合うことになる。
【0063】
−エンジンの出力制御−
つぎに、図8〜図11を参照して、制御装置300によるエンジン1の出力制御について説明する。
【0064】
例えば、運転者がシフトレバーLをニュートラル位置P2から位置P3を経由してリバース位置REVに移動させる途中に、図8の実線に示すように、シフトレバーLをリバース位置REVの手前で止めてしまった場合、リバースアイドラギヤ209cのリバースドライブギヤ209aおよびリバースドリブンギヤ209bに対する噛合い量が不十分となる。この状態で運転者がクラッチ103を継合し、アクセルペダル8を踏み込んでしまうと、リバースギヤ列209の各ギヤ209a〜209cを変形、損傷させてしまうおそれがある。
【0065】
このような事態の発生を回避するために、制御装置300は、フォークシャフトポジションセンサ39A,39Bの出力信号に基づいてリバースアイドラギヤ209cのリバースドリブンギヤ209bに対する噛合い量Wが閾値WGより小さい場合に、アクセルペダル8の踏み込み量にかかわらず、エンジン1の発生トルクを予め設定されたトルク以下に抑制する制御を実行し、これにより、リバースギヤ列209の各ギヤ209a〜209cの変形、損傷等を防止する。
【0066】
なお、本実施形態では、リバースアイドラギヤ209のリバースドライブギヤ209cに対する噛合い量よりもリバースドリブンギヤ209bに対する噛合い量の方が常に小さくなるので、上記噛合い量Wは、リバースアイドラギヤ209のリバースドリブンギヤ209bに対する噛合い量(噛合う部分の歯幅)とされている。仮にリバースアイドラギヤ209のリバースドライブギヤ209cに対する噛合い量よりもリバースドリブンギヤ209bに対する噛合い量の方が常に大きくなる変速機に本実施形態に係る発明を適用する場合は、上記噛合い量Wは、リバースアイドラギヤ209のリバースドライブギヤ209aに対する噛合い量(噛合う部分の歯幅)とすることが望ましい。
【0067】
以下、図10のフローチャートに基づいて制御装置300が実行する具体的な制御手順を説明する。
【0068】
ステップST1において、リバースアイドラギヤ209cのリバースドリブンギヤ209bに対する噛合い量Wが閾値WGより小さいか否かを判定する。具体的には、フォークシャフトポジションセンサ39A,39Bの出力信号に基づいてリバースアイドラギヤ209cの初期位置(シフトレバーLがニュートラル位置P2にある場合のリバースアイドラギヤ209cの位置)からの軸線方向への移動量PGが下限移動量PG1〜上限移動量PG2の範囲内にある場合に、上記噛合い量Wが閾値WGより小さいと判定する。本ステップにおいて、肯定判定をした場合は、ステップST2に移り、否定判定をした場合はステップST8に移る。
【0069】
なお、下限移動量PG1は、リバースアイドラギヤ209cが移動してリバースドライブギヤ209a又はリバースドリブンギヤ209bの何れかに噛合い始める位置に到達するまでの移動量とされ、上限移動量PG2は、リバースアイドラギヤ209cが当該移動量PG2を超えて移動した場合に、リバースドライブギヤ209aおよびリバースドリブンギヤ209bの双方に対してギヤ強度上十分な噛合い量を確保できるように設定されることが望ましい。なお、上記ギヤ強度上十分な噛合い量は、机上計算、実験等により求められる。
【0070】
ステップST2において、エンジン1のトルクを抑制する制御が行われているか否かを判定する。この判定は、後述するトルク抑制フラグがON状態になっている場合に肯定判定とし、同フラグがOFF状態になっている場合に否定判定とする。ここで、肯定判定をした場合はステップST5に移り、否定判定をした場合はステップST3に移る。
【0071】
ステップST3において、エンジン1のトルクを抑制する制御(以下「トルク抑制制御」ともいう。)を開始し、トルク抑制フラグをON状態にする。エンジン1のトルク抑制制御としては、例えば、スロットルバルブ15の開度を制御することにより、アクセルペダル8の操作量にかかわらず、その制御中においてエンジン1が発生し得る最大トルク(エンジン1の最大回転数)を、トルク抑制制御が実行されていない場合(つまり、前記ST1において否定判定された場合)と比較して低く抑えるようになっている。本実施形態においては、トルク抑制制御中は、エンジン1が発生し得る最大トルクが予め設定されたトルク(エンジン回転数)を超えないように制御される。
【0072】
ステップST4において、警告表示灯20を点灯し、運転者に対する警告表示を開始する。
【0073】
ステップST5において、クラッチストロークセンサ37の出力信号に基づいてクラッチ103が継合状態(半継合状態を含む)にあるか否かを判定する。ここで、肯定判定をした場合はステップST6に移り、否定判定をした場合はステップST11に移る。
【0074】
ステップST6において、アラーム警告中であるか否かを判定する。この判定は、後述するアラーム警告フラグがON状態になっている場合に肯定判定とし、同フラグがOFF状態になっている場合に否定判定とする。ここで、肯定判定をした場合は、本ルーチンを抜け、否定判定をした場合はステップST7に移る。
【0075】
ステップST7において、車室内のスピーカ23より警告音の発生を開始し、一旦本ルーチンを抜ける。
【0076】
ステップST8において、トルク抑制フラグの状態に基づいてエンジン1のトルクを抑制する制御が行われているか否かを判定する。ここで、肯定判定をした場合はステップST9に移り、否定判定をした場合はステップST11に移る。
【0077】
ステップST9において、エンジン1のトルク抑制制御を終了し、トルク抑制フラグをOFF状態にする。
【0078】
ステップST10において、警告表示灯20を消灯し、運転者に対する警告表示を終了する。
【0079】
ステップST11において、アラーム警告フラグの状態に基づいてアラーム警告中であるか否かを判定する。ここで、肯定判定をした場合は、ステップST12に移り、否定判定をした場合は本ルーチンを抜ける。
【0080】
ステップST12において、車室内のスピーカ23からの警告音の発生を終了し、本ルーチンを抜ける。
【0081】
図11(a)〜(d)は、運転者がシフトレバーLをリバース位置REVに移動させる際、つまり、リバースシフト操作する際のリバースアイドラギヤの移動量PG、アクセルペダル8の操作量(踏み込み量)、エンジン1の発生トルク、警告表示灯20のON/OFF状態をそれぞれ示したタイムチャートの一例である。
【0082】
このタイムチャートに示すように、時刻t1において、リバースアイドラギヤ209cが初期位置より噛合い位置に向かって移動し始め、時刻t2において、リバースアイドラギヤ209cの移動量PGが下限移動量PG1に到達している(ST1:YES)。この時点で、エンジン1のトルク抑制制御が開始され(ST3)、運転者に対する警告表示が開始される(ST4)。
【0083】
時刻t3前後において、運転者がアクセルペダル8の踏み込み量を急増させているが、トルク抑制制御中であるため、エンジン1の発生トルクは予め設定されたトルク(エンジン回転数)を超えないように制御されている。つまり、リバースアイドラギヤ209cのリバースドライブギヤ209aおよびリバースドリブンギヤ209bに対する噛合い量が小さい状態では、エンジン1の発生トルクが低く抑えられるため、仮にこの状態でクラッチ103が継合されても、リバースギヤ列209の各ギヤの変形、損傷は回避される。
【0084】
また、上記噛合い量Wが不足している間は、運転者に対して警告表示が行われるため、運転者にその旨を気付かせて、シフトレバーLの操作量不足を解消させることができる。
【0085】
また、図11のタイムチャートには図示していないが、エンジン1のトルク抑制制御中にクラッチ103を継合状態(半係合状態を含む)にすれば(ST5:YES)、直ちにアラーム警告が開始されるため(ST6:NO、ST7)、運転者にシフトレバーLの操作量不足を気付かせて直ちにクラッチ103の切断操作を行わせることができる。これにより、リバースギヤ列209の各ギヤが保護される。また、アラーム警告がなされることによって、運転者は、エンジン1のトルクが抑制されている理由を知ることができる。
【0086】
時刻t4において、リバースアイドラギヤ209cの移動量PGが上限移動量PG2を超えている(ST1:NO)。この時点で、エンジン1のトルク抑制制御が終了し(ST8:YES、ST9)、警告表示も終了する(ST10)。トルク抑制制御の終了により、エンジン1のトルクはアクセルペダル8の操作量に応じて増加可能となる。
【0087】
−他の実施形態1−
既述した2つのフォークシャフトポジションセンサ39A,39Bは、シフトフォークシャフト124Fの移動量PGとして、特定の移動量PG1,PG2を検出するものであるが、このフォークシャフトポジションセンサ39A,39Bに代えて、任意の移動量PGを検出可能なフォークシャフトポジションセンサを採用してもよい。
【0088】
また、既述の実施形態では、エンジン1のトルク抑制制御中は、エンジン1が発生し得る最大トルクが予め設定されたトルク(エンジン回転数)を超えないように制御されていたが、その予め設定されるトルクをリバースアイドラギヤ209cの噛合い量Wが増加するに従って(シフトフォークシャフト124Fの移動量PGが増加するに従って)大きくなるようにしてもよい。この場合、図11(c)の2点鎖線に示すように、エンジン1の発生トルク1は、リバースアイドラギヤ209cの噛合い量Wが増加するに従って大きくなる。
【0089】
−他の実施形態2−
既述の実施形態において、上記移動量PG1を検出するフォークシャフトポジションセンサ39Aは、バックアップランプ点灯用検出スイッチと兼用させたものであってもよい。これにより、センサ類の数を減らすことができる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、例えば、摺動式の後進段用ギヤを有する手動変速機を備える車両の制御装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0091】
L シフトレバー
9 クラッチペダル
23 スピーカ(警告音発生手段)
37 クラッチストロークセンサ
39A,39B フォークシャフトポジションセンサ(噛合い量検出手段)
100 手動変速機
103 クラッチ
209 リバースギヤ列
209a リバースドライブギヤ
209b リバースドリブンギヤ
209c リバースアイドラギヤ
300 制御装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、摺動式の後進段用ギヤを有する手動変速機を備える車両の制御装置に関し、特に、後進段用ギヤの噛合い量不足に起因する当該後進段用ギヤの損傷等を防止するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の車両の手動変速機の多くは、摺動式の後進段用ギヤを備えている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0003】
特許文献1に開示されている車両用手動変速機の後進段用ギヤは、インプットシャフトに回転一体に設けられたリバースドライブギヤと、アウトプットシャフトに回転一体に設けられたリバースドリブンギヤと、これら2つのギヤに対して摺動して噛合い可能に設けられたリバースアイドラギヤとで構成されている。運転者がシフトレバーを他のポジションからリバースポジションに移動させるのに伴って、リバースアイドラギヤは、非噛合い位置からリバースドライブギヤおよびリバースドリブンギヤに噛合う噛合い位置に移動し、運転者がシフトレバーをリバースポジションから他のポジションに移動させるのに伴って、リバースアイドラギヤは、噛合い位置から元の非噛合い位置に復帰する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−191861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の手動変速機では、運転者がシフトレバーをリバースポジションに操作する際に、その操作量が不足して、リバースドライブギヤおよびリバースドリブンギヤに対するリバースアイドラギヤの噛合い量が不足することがある。このような状態で、クラッチが継合され、車両が発進すると、小さな噛合い部分に想定以上の大きなが力が掛かってしまい、このような操作が繰り返されると、後進段用ギヤが損傷、変形等してしまうことが懸念される。
【0006】
本発明はかかる問題に鑑みて創案されたものであり、摺動式の後進段用ギヤを有する手動変速機において、後進段用ギヤの噛合い量不足に起因して発生し得る後進段用ギヤの損傷等を防止する車両の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するための手段として、本発明の車両の制御装置は、以下のように構成されている。
【0008】
すなわち、本発明の車両の制御装置は、リバースシフト操作に連動して、リバースアイドラギヤが、リバースドライブギヤおよびリバースドリブンギヤに噛合うように構成された手動変速機を備えるものを前提としており、前記リバースドライブギヤ又は前記リバースドリブンギヤに対する前記リバースアイドラギヤの噛合い量を検出する噛合い量検出手段と、前記噛合い量検出手段により検出される噛合い量が閾値より小さい場合、その噛合い量が閾値より大きい場合と比較してエンジンの発生トルクを抑制するエンジン制御手段と、を備えることを特徴としている。
【0009】
前記噛合い量検出手段は、例えば、リバースシフト操作時における前記リバースアイドラギヤの移動量に基づいて前記噛合い量を検出するものである。
【0010】
上記構成を備える車両の制御装置によれば、リバースドライブギヤ又はリバースドリブンギヤに対するリバースアイドラギヤの噛合い量が閾値より小さい場合、その噛合い量が閾値より大きい場合と比較してエンジンの発生トルクが抑制されるので、上記閾値および抑制時のエンジントルクを適値にすることで、後進段用ギヤの噛合い量不足に起因して発生し得るギヤの損傷等を防止することができる。
【0011】
また、前記噛合い量検出手段により検出される噛合い量が閾値より小さい場合に警告表示を行う警告表示手段をさらに備えることが望ましい。
【0012】
かかる構成を備える車両の制御装置によれば、運転者にリバースシフト操作の操作量不足を気付かせることができる。
【0013】
クラッチの継合状態を検出するクラッチ継合状態検出手段と、前記噛合い量検出手段により検出される噛合い量が閾値より小さく、かつ、前記クラッチ継合状態検出手段によりクラッチが継合されていることが検出された場合、警告音を発生する警告音発生手段と、をさらに備えることが望ましい。
【0014】
かかる構成を備える車両の制御装置によれば、運転者にリバースシフト操作の操作量不足を気付かせて、直ちにクラッチの切断操作等を行わせ、後進段用ギヤを保護することが可能となる。
【0015】
また、本発明の車両の制御装置は、以下のようなものであってもよい。
【0016】
すなわち、本発明の車両の制御装置は、リバースシフト操作に連動して、リバースアイドラギヤが、リバースドライブギヤおよびリバースドリブンギヤに噛合うように構成された手動変速機を備えるものを前提としており、前記リバースドライブギヤ又は前記リバースドリブンギヤに対する前記リバースアイドラギヤの噛合い量を検出する噛合い量検出手段と、クラッチの継合状態を検出するクラッチ継合状態検出手段と、前記噛合い量検出手段により検出される噛合い量が閾値より小さく、かつ、前記クラッチ継合状態検出手段によりクラッチが継合されていることが検出された場合、警告音を発生する警告音発生手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0017】
前記噛合い量検出手段は、例えば、リバースシフト操作時における前記リバースアイドラギヤの移動量に基づいて前記噛合い量を検出するものである。
【0018】
上記構成を備える車両の制御装置によれば、運転者にリバースシフト操作の操作量不足を気付かせて、直ちにクラッチの切断操作等を行わせ、後進段用ギヤを保護することが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の車両の制御装置によれば、後進段用ギヤの噛合い量不足に起因して発生し得る後進段用ギヤの損傷等を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態に係る車両のパワートレーンを示した図である。
【図2】図1の内燃機関の概略構成を示すスケルトン図である。
【図3】図1の制御装置の入出力系を示す図である。
【図4】手動変速機の構成の一部を示す断面図である。
【図5】手動変速機のギヤレイアウトを示す断面図である。
【図6】リバースギヤ列をエンジン側から視た概略図である。
【図7】シフトレバーおよびシフトゲート形状を示す図である。
【図8】シフトレバーおよびシフトゲート形状を示す図である。
【図9】リバースアイドラギヤがリバースドライブギヤおよびリバースドリブンギヤに噛合った状態を示す図である。
【図10】制御装置が実行する処理動作を示したフローチャートである。
【図11】運転者がシフトレバーをリバース位置に移動させる際のリバースアイドラギヤの移動量、アクセルペダルの操作量、エンジンの発生トルク、警告表示灯のON/OFF状態をそれぞれ示したタイムチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。本発明の実施の形態では、前進5速段、後進1速段の手動変速機を搭載したFF(フロントエンジン・フロントドライブ)車両を例に挙げて説明する。
【0022】
図1は、本実施形態における車両に搭載されたエンジン1、手動変速機100、制御装置300等を示す図である。図1に示すパワートレーンでは、エンジン1で発生する動力がクラッチ103を介して手動変速機100に入力され、この手動変速機100で適宜の変速比に変速されて、ディファレンシャル装置216を介して左右の駆動輪2,2に伝達されるようになっている。
【0023】
クラッチ103は、エンジン1のクランク軸と手動変速機100のインプットシャフト201との間で動力を継合・切断するものであり、クラッチペダル9の踏み込み量(操作量)に応じてエンジン1のクランクシャフトとインプットシャフト201を継合状態、半継合状態(いわゆる半クラッチ)または切断状態とする。
【0024】
図2を参照して、上記エンジン1の吸気系および燃料供給系の概略構成を説明する。エンジン1の燃焼室10には、吸気ポートおよび排気ポート(共に符号省略)が連通され、吸気ポートには吸気バルブ11が、排気ポートには排気バルブ12が設けられる。吸気バルブ11および排気バルブ12は、クランクシャフト1aの回転動力によって回転駆動される吸気カムシャフトおよび排気カムシャフト(共に図示省略)の各回転によって直線的に往復変位される。
【0025】
吸気ポートに連結される吸気通路14には、電子制御式のスロットルバルブ15が設けられている。このスロットルバルブ15は、スロットルモータ16により開閉され、スロットルバルブ15の開度に応じて吸気通路14へ導入される吸入空気量が調整される。
【0026】
また、吸気ポートの近傍には、燃焼室10へ燃料を供給するための燃料噴射弁17が取り付けられている。この燃料噴射弁17には、図示しないデリバリパイプから燃料が所定の圧力をもって供給される。
【0027】
エンジン1の燃焼室10には、点火プラグ18が配置されている。この点火プラグ18は、燃焼室10に導入される混合気(燃料+空気)を燃焼、爆発させるもので、その点火タイミングは、イグナイタ19によって調整される。スロットルモータ16、燃料噴射弁17ならびにイグナイタ19は、制御装置300によって制御される。
【0028】
エンジン1の運転動作を簡単に説明すると、エンジン1の吸入行程において、吸気通路14に導入される空気が吸気ポートを通じて燃焼室10に取り込まれるとともに、燃料噴射弁17から噴射される燃料が燃焼室10に供給されるので、燃焼室10内で混合された混合気が、圧縮行程において圧縮された後、点火プラグ18によって着火されて燃焼、爆発される。これにより、ピストン21が往復運動されるとともに、コネクティングロッド22を経てクランクシャフト1aが回転駆動される。燃焼室10内の排気ガスは、排気行程において排気バルブ12を開弁させることによって排気ポートから排気通路を経て大気放出される。
【0029】
−制御系の説明−
このようなエンジン1の運転動作は、制御装置300により制御される。この制御装置300の概略構成について、図3を参照して説明する。
【0030】
制御装置300は、エンジン1における種々の制御(例えば空燃比制御、燃料噴射制御、点火制御、スロットル制御、フューエルカット制御等)を統括して実行するもので、公知の電子制御装置(ECU:Electronic Control Unit)とされる。
【0031】
制御装置300は、図3に符号を省略して示すように、CPU(中央処理装置)、ROM(プログラムメモリ)、RAM(データメモリ)、バックアップRAM(不揮発性メモリ)等を含んだ構成とされる。ROMは、各種制御プログラムや、それら各種制御プログラムを実行する際に参照されるマップ等が記憶されている。CPUは、ROMに記憶された各種制御プログラムやマップに基づいて演算処理を実行する。また、RAMは、CPUでの演算結果や各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶するメモリであり、バックアップRAMは、エンジン1の停止時にその保存すべきデータ等を記憶する不揮発性のメモリである。
【0032】
図3を参照して、制御装置300の入出力系を説明する。制御装置300の入力インタフェース(符号省略)には、アクセル開度センサ31、アイドルスイッチ32、エアフローメータ33、スロットルポジションセンサ34、クランクポジションセンサ35、シフトポジションセンサ36、クラッチストロークセンサ37、車速センサ38、フォークシャフトポジションセンサ39A,39Bなどが接続されている。
【0033】
また、制御装置300の出力インタフェース(符号省略)には、燃料噴射弁17、スロットルバルブ15のスロットルモータ16、点火プラグ18のイグナイタ19、警告表示灯20、車室内のスピーカ23等が接続されている。
【0034】
アクセル開度センサ31は、運転者により操作されるアクセルペダル8(図1参照)の開度に対応する信号を出力する。アイドルスイッチ32は、アクセルペダル8の踏み込み量がゼロになったときにオン信号を出力し、アクセルペダル8が踏み込まれたときオフ信号を出力する。エアフローメータ33は、吸入空気量を検出し、その吸入空気量信号を出力する。スロットルポジションセンサ34は、スロットルバルブ15の開度に対応する信号を出力する。クランクポジションセンサ35は、例えば電磁ピックアップとされ、クランクシャフト1aに一体回転可能に付設されるシグナルロータ23の外周の多数の突起24の対向通過に対応する信号(出力パルス)を出力する。この出力に基づいてクランクシャフト1aの回転角(クランク角)や機関回転速度が検出される。シフトポジションセンサ36は、手動変速機200において選択されたシフト位置を検出するものである。
【0035】
クラッチストロークセンサ37は、クラッチペダル9の踏み込み量つまり踏み込みストロークを検出するものであり、対応する信号を出力する。制御装置300は、クラッチストロークセンサ37からの出力信号に基づいてクラッチ103の継合状態、半継合状態、切断状態を判定する処理を行う。
【0036】
車速センサ38は、車両速度を検出するものであり、この検出出力に基づいて制御装置300が車両走行速度を算出する。
【0037】
フォークシャフトポジションセンサ39A,39Bは、後述する後進段用のシフトフォークシャフト124Fの移動量PGを検出するために設けられている。制御装置300は、各フォークシャフトポジションセンサ39A,39Bからの出力信号に基づいて後述するリバースアイドラギヤ209cのリバースドライブギヤ9aおよびリバースドリブンギヤ9bに対する所定の噛合い量を検出する。なお、フォークシャフトポジションセンサ39A,39Bについては後に詳述する。
【0038】
−手動変速機の説明−
つぎに、手動変速機100の構成について図4および図5に基づいて説明する。
【0039】
図4に示すように、トランスミッションケース101の内部には、トランスミッションケース101を貫通したシフトセレクトシャフト102が設けられている。このシフトセレクトシャフト102は、運転者が操作する操作部材としてのシフトレバーのシフト操作に連動して軸線回り(図4中矢印Mで示す方向)に回動し、シフトレバーのセレクト操作に連動して軸線方向(図4中矢印Nで示す方向)に移動するようにトランスミッションケース101内に支持されている。
【0040】
符号110は、シフトアウターレバーである。このシフトアウターレバー110は、基部がシフトセレクトシャフト102に連結されており、シフトセレクトシャフト102とともに一体に回動する。シフトアウターレバー110は、シフトレバー(図4において図示省略)のシフト操作力が図示しないケーブル等を介して伝達されるシフト操作力伝達部111に連結されており、シフトレバーが運転者によりシフト操作されると、その操作力がシフト操作力伝達部111により伝達され、シフトアウターレバー110およびシフトセレクトシャフト102がシフトセレクトシャフト102の軸線回りに一体に回動される。
【0041】
また、シフトセレクトシャフト102には、セレクト操作力伝達部(図示省略)が連結されており、シフトレバーが運転者によりセレクト操作されると、その操作力が上記セレクト操作力伝達部により伝達され、シフトセレクトシャフト102が軸線方向に移動される。
【0042】
シフトセレクトシャフト102には、シフトインナーレバー121が固設されている。このシフトインナーレバー121は、シフトセレクトシャフト102と一体にシフトセレクトシャフト102の軸線方向へ移動し、且つ、同軸線回りに一体に回動する。シフトインナーレバー121は、シフトセレクトシャフト102とともに軸線方向に移動することで、1速段および2速段用シフトヘッド122、3速段および4速段用シフトヘッド123、並びに5速段および後進段用シフトヘッド124のいずれかに選択的に係合可能な位置に配される。また、シフトインナーレバー121は、シフトセレクトシャフト102とともに回動することで、係合可能な位置に配置されたシフトヘッドに係合し、当該シフトヘッドをスライド移動させる。なお、図4では、シフトインナーレバー121が中央の3速段および4速段用シフトヘッド123に係合している。
【0043】
符号130は、インターロックプレートである。インターロックプレート130は、シフトセレクトシャフト102に対して軸線方向に相対移動不能に且つ軸線回りに相対回動可能に外嵌されている。但し、トランスミッションケース101に固定されたロックボールアッシ126の一端部がインターロックプレート130に形成された長孔130aに係合していることから、インターロックプレート130はトランスミッションケース101との関係では回動しないようになっている。インターロックプレート130は、回動するシフトインナーレバー121の両側に摺接し、シフトインナーレバー121に係合されたシフトヘッドを1つだけ通過させることができるスリット状のシフトヘッド通路130bを備える。このシフトヘッド通路130bによって同時に2つ以上のシフトヘッド122〜124の通過が規制され、同時に複数の変速段のギヤ列による動力の伝達が防止される。なお、図4では、両側に配置されているシフトヘッド122,124は、インターロックプレート130に係止されており、これらのシフトヘッド122,124は移動することができないようになっている。
【0044】
シフトセレクトシャフト102は、ハイ側およびロー側セレクトスプリング145,146により、軸線方向中立位置へ付勢されている。両セレクトスプリング145,146は、インターロックプレート130の両側とトランスミッションケース101の内壁との間にそれぞれ圧縮状態で介装されている。
【0045】
1速段および2速段用のシフトヘッド122は、1速段および2速段用のシフトフォークシャフト122Fに形成されている。3速段および4速段用のシフトヘッド123は、3速段および4速段用のシフトフォークシャフト123Fに形成されている。5速段および後進段用のシフトヘッド124は、5速段および後進段用のシフトフォークシャフト124Fに形成されている。各シフトフォークシャフト122F〜125Fは、互いに平行に配設されている。
【0046】
また、1速段および2速段用のシフトフォークシャフト122Fには、後述する第1のシンクロメッシュ機構211のスリーブ211aに係合した1速段および2速段用のシフトフォーク160が設けられており、シフトフォークシャフト122Fが軸線方向の何れか一方に移動することで、1速段又は2速段への変速動作が実行される。3速段および4速段用のシフトフォークシャフト123Fには、後述する第2のシンクロメッシュ機構212のスリーブ212aに係合した3速段および4速段用のシフトフォーク161が設けられており、シフトフォークシャフト123Fが軸線方向の何れか一方に移動することで、3速段又は4速段への変速動作が実行される。5速段および後進段用のシフトフォークシャフト124Fには、後述する第3のシンクロメッシュ機構213のスリーブ213aに係合した5速段用のシフトフォーク162(図5の略図を参照、図4において図示省略。)およびリバースアイドラギヤ209cに係合した後進段用のシフトフォーク163(図5の略図を参照、図4において図示省略。)が設けられており、シフトフォークシャフト124Fが軸線方向の何れか一方に移動することで、5速段又は後進段への変速動作が実行される。
【0047】
図5に示すように、5速段および後進段用のシフトフォークシャフト124Fには5速段−中立位置−後進段にそれぞれ対応したロックボール溝124Fa,124Fb,124Fcが形成されており、ばね力によりシフトフォークシャフト124F側に押圧されたロックボール128が上記ロックボール溝124Fa,124Fb,124Fcの何れかに嵌入されるようになっている。上記ロックボール128は、トランスミッションケース101に形成された貫通孔内に収容されており、その貫通孔に圧縮状態で設けられたコイルスプリング136によりシフトフォークシャフト124F側に押圧されている。これらの構成からなるロックボール機構139は、ギヤ抜け防止機能とシフト操作に節度感を与える機能を果たす。他の2つのシフトフォークシャフト122F,123Fにも同様のロックボール機構139が設けられている。
【0048】
5速段および後進段用のシフトフォークシャフト124Fは、トランスミッションケース101に固設されたフォークシャフトポジションセンサ39A,39Bによってその移動量が検出されるようになっている。上記フォークシャフトポジションセンサ39A,39Bは、例えば、感知部を有しており、その感知部が押圧されているときはON信号を制御装置300へ出力し、その感知部が押圧されていないときはOFF信号を制御装置300へ出力するものである。各フォークシャフトポジションセンサ39A,39Bは、シフトフォークシャフト124Fの移動に伴って接近離反するシフトフォークシャフト124Fに固設されたアダプタ部材40A,40Bの検出面40Aa,40Baによって、押圧されるようになっている。
【0049】
一方のフォークシャフトポジションセンサ39Aは、リバースシフト操作時に、リバースアイドラギヤ209cの移動量PGが下限移動量PG1に達すると、上記検出面40Aaに押圧されてON信号を出力するように設置されている。もう一方のフォークシャフトポジションセンサ39Bは、リバースシフト操作時に、リバースアイドラギヤ209cの移動量PGが上限移動量PG2に達すると上記検出面40Baに押圧されてON信号を出力するように設置されている。
【0050】
つぎに、図5および図6に基づいて、手動変速機100のギヤレイアウト200について説明する。このギヤレイアウト200は、互いに平行に配設されたインプットシャフト201、アウトプットシャフト202およびリバースシャフト203(図5において2点鎖線で示す。)に設けられた各段のギヤ列等によって構成されている。上記シャフト201〜203は、トランスミッションケース101、トランスアクスルケース101Aおよびケースカバー101B内に回転自在に支持されている。
【0051】
インプットシャフト201およびアウトプットシャフト202には、前進段用のギヤ列として、1速ギヤ列204、2速ギヤ列205、3速ギヤ列206、4速ギヤ列207および5速ギヤ列208が配設されている。また、インプットシャフト201、アウトプットシャフト202およびリバースシャフト203には、後進段用のギヤ列として、リバースギヤ列209が配設されている。
【0052】
1速ギヤ列204および2速ギヤ列205は、それぞれ、インプットシャフト201に相対回転不能に取り付けられたドライブギヤ204a,205aと、アウトプットシャフト202に対して相対回転自在に組み付けられたドリブンギヤ204b,205bとを備えている。各ドライブギヤ204a,205aと各ドリブンギヤ204b,205bとは互いに噛み合っている。
【0053】
3速ギヤ列206〜5速ギヤ列208は、それぞれ、インプットシャフト201に相対回転自在に組み付けられたドライブギヤ206a〜208aと、アウトプットシャフト202に相対回転不能に取り付けられたドリブンギヤ206b〜208bとを備えている。各ドライブギヤ206a〜208aと各ドリブンギヤ206b〜208bとは互いに噛み合っている。
【0054】
上記各変速ギヤ列の切り換え動作(変速動作)は、3つのシンクロメッシュ機構(同期装置)211,212,213によって行われる。
【0055】
第1のシンクロメッシュ機構211は、1速ドリブンギヤ204bと2速ドリブンギヤ205bとの間におけるアウトプットシャフト202上に設けられている。また、第2のシンクロメッシュ機構212は、3速ドライブギヤ206aと4速ドライブギヤ207aとの間におけるインプットシャフト201上に設けられ、第3のシンクロメッシュ機構213は、5速ドライブギヤ208aの片側におけるインプットシャフト201上に設けられている。これらのシンクロメッシュ機構211〜213の何れか1つが軸線方向一方へ作動することにより、インプットシャフト201の回転動力が、何れか一つの変速ギヤ列204〜208を介してアウトプットシャフト202へ伝達されるようになっている。
【0056】
リバースギヤ列209は、インプットシャフト201に相対回転不能に取り付けられたリバースドライブギヤ209aと、アウトプットシャフト202に相対回転不能に取り付けられたリバースドリブンギヤ209bと、リバースシャフト203に対してスライド移動自在に組み付けられたリバースアイドラギヤ209c(図5において2点鎖線で示す。)とを備えている。これらのギヤ209a〜209cは車両前進時には、噛合わず、車両後進時に、リバースアイドラギヤ209cがリバースシャフト203の軸線方向に移動してリバースドライブギヤ209aおよびリバースドリブンギヤ209bの両方に噛み合うことで、リバースドライブギヤ209aの回転動力を反転してリバースドリブンギヤ209bに伝達する。これにより、アウトプットシャフト202は、逆方向に回転し、駆動輪は後退方向に回転する。なお、本実施形態においては、リバースドリブンギヤ209bは第1のシンクロメッシュ機構211の外周側に回転一体に配設されている。
【0057】
このようにしてインプットシャフト201から所定の変速比に変速され又は回転方向を反転してアウトプットシャフト202に伝達された回転動力は、ファイナルドライブギヤ215aとファイナルドリブンギヤ215bとからなるファイナルリダクションギヤ列215の終減速比によって減速された後、ディファレンシャル装置216、駆動輪2,2(図1参照)に伝達される。
【0058】
図7および図8は、運転者が変速操作を行う際に操作するシフト操作部材としてのシフトレバーLとその可動領域となるゲート形状とを示している。シフトレバーLは、図7に矢印Xで示す方向(セレクト方向)のセレクト操作と、セレクト方向に直交する矢印Y(シフト方向)で示す方向のシフト操作とを行うことができる。
【0059】
セレクト方向には、1速―2速セレクト位置P1,3速―4速セレクト位置P2,および5速−リバースセレクト位置P3が略一列に並んでいる。なお、3速―4速セレクト位置P2はニュートラル位置でもある。
【0060】
1速―2速セレクト位置P1でのシフト方向の操作により、シフトレバーLを1速位置1stまたは2速位置2ndに移動させることができる。1速位置1st又は2速位置2ndに移動操作させる場合、シフトインナーレバー122が1速段および2速段用シフトヘッド122に係合し、このシフトヘッド122とともに、シフトフォークシャフト122F、シフトフォーク160を介して、第1のシンクロメッシュ機構211のスリーブ211aを1速ドリブンギヤ204b側又は2速ドリブンギヤ205b側に作動させる。
【0061】
同様に、3速−4速セレクト位置P2でのシフト方向の操作により、シフトレバーLを3速位置3rdまたは4速位置4thに移動させることができる。3速位置3rd又は4速位置4thに移動操作させる場合、シフトインナーレバー122が3速段および4速段用シフトヘッド123に係合し、このシフトヘッド123とともに、シフトフォークシャフト123F、シフトフォーク161を介して、第2のシンクロメッシュ機構212のスリーブ212aを3速ドリブンギヤ206b側又は4速ドリブンギヤ207b側に作動させる。
【0062】
また、5速−リバースセレクト位置P3でのシフト方向の操作により、シフトレバーLを5速位置5thまたはリバース位置REVに移動させることができる。5速位置5thに移動操作させる場合、シフトインナーレバー122が5速段および後進段用シフトヘッド124に係合し、このシフトヘッド124とともに、シフトフォークシャフト124F、シフトフォーク162を介して、第3のシンクロメッシュ機構213のスリーブ213aを5速ドライブギヤ208a側に作動させる。また、図8の2点鎖線に示すように、シフトレバーLをリバース位置REVに移動操作させる場合、シフトインナーレバー122が5速段および後進段用シフトヘッド124に係合し、このシフトヘッド124とともに、シフトフォークシャフト124F、シフトフォーク163を介して、リバースアイドラギヤ209cを軸線方向に移動させる。これにより、リバースアイドラギヤ209cは、リバースドライブギヤ209aおよびリバースドリブンギヤ209bに噛み合うことになる。
【0063】
−エンジンの出力制御−
つぎに、図8〜図11を参照して、制御装置300によるエンジン1の出力制御について説明する。
【0064】
例えば、運転者がシフトレバーLをニュートラル位置P2から位置P3を経由してリバース位置REVに移動させる途中に、図8の実線に示すように、シフトレバーLをリバース位置REVの手前で止めてしまった場合、リバースアイドラギヤ209cのリバースドライブギヤ209aおよびリバースドリブンギヤ209bに対する噛合い量が不十分となる。この状態で運転者がクラッチ103を継合し、アクセルペダル8を踏み込んでしまうと、リバースギヤ列209の各ギヤ209a〜209cを変形、損傷させてしまうおそれがある。
【0065】
このような事態の発生を回避するために、制御装置300は、フォークシャフトポジションセンサ39A,39Bの出力信号に基づいてリバースアイドラギヤ209cのリバースドリブンギヤ209bに対する噛合い量Wが閾値WGより小さい場合に、アクセルペダル8の踏み込み量にかかわらず、エンジン1の発生トルクを予め設定されたトルク以下に抑制する制御を実行し、これにより、リバースギヤ列209の各ギヤ209a〜209cの変形、損傷等を防止する。
【0066】
なお、本実施形態では、リバースアイドラギヤ209のリバースドライブギヤ209cに対する噛合い量よりもリバースドリブンギヤ209bに対する噛合い量の方が常に小さくなるので、上記噛合い量Wは、リバースアイドラギヤ209のリバースドリブンギヤ209bに対する噛合い量(噛合う部分の歯幅)とされている。仮にリバースアイドラギヤ209のリバースドライブギヤ209cに対する噛合い量よりもリバースドリブンギヤ209bに対する噛合い量の方が常に大きくなる変速機に本実施形態に係る発明を適用する場合は、上記噛合い量Wは、リバースアイドラギヤ209のリバースドライブギヤ209aに対する噛合い量(噛合う部分の歯幅)とすることが望ましい。
【0067】
以下、図10のフローチャートに基づいて制御装置300が実行する具体的な制御手順を説明する。
【0068】
ステップST1において、リバースアイドラギヤ209cのリバースドリブンギヤ209bに対する噛合い量Wが閾値WGより小さいか否かを判定する。具体的には、フォークシャフトポジションセンサ39A,39Bの出力信号に基づいてリバースアイドラギヤ209cの初期位置(シフトレバーLがニュートラル位置P2にある場合のリバースアイドラギヤ209cの位置)からの軸線方向への移動量PGが下限移動量PG1〜上限移動量PG2の範囲内にある場合に、上記噛合い量Wが閾値WGより小さいと判定する。本ステップにおいて、肯定判定をした場合は、ステップST2に移り、否定判定をした場合はステップST8に移る。
【0069】
なお、下限移動量PG1は、リバースアイドラギヤ209cが移動してリバースドライブギヤ209a又はリバースドリブンギヤ209bの何れかに噛合い始める位置に到達するまでの移動量とされ、上限移動量PG2は、リバースアイドラギヤ209cが当該移動量PG2を超えて移動した場合に、リバースドライブギヤ209aおよびリバースドリブンギヤ209bの双方に対してギヤ強度上十分な噛合い量を確保できるように設定されることが望ましい。なお、上記ギヤ強度上十分な噛合い量は、机上計算、実験等により求められる。
【0070】
ステップST2において、エンジン1のトルクを抑制する制御が行われているか否かを判定する。この判定は、後述するトルク抑制フラグがON状態になっている場合に肯定判定とし、同フラグがOFF状態になっている場合に否定判定とする。ここで、肯定判定をした場合はステップST5に移り、否定判定をした場合はステップST3に移る。
【0071】
ステップST3において、エンジン1のトルクを抑制する制御(以下「トルク抑制制御」ともいう。)を開始し、トルク抑制フラグをON状態にする。エンジン1のトルク抑制制御としては、例えば、スロットルバルブ15の開度を制御することにより、アクセルペダル8の操作量にかかわらず、その制御中においてエンジン1が発生し得る最大トルク(エンジン1の最大回転数)を、トルク抑制制御が実行されていない場合(つまり、前記ST1において否定判定された場合)と比較して低く抑えるようになっている。本実施形態においては、トルク抑制制御中は、エンジン1が発生し得る最大トルクが予め設定されたトルク(エンジン回転数)を超えないように制御される。
【0072】
ステップST4において、警告表示灯20を点灯し、運転者に対する警告表示を開始する。
【0073】
ステップST5において、クラッチストロークセンサ37の出力信号に基づいてクラッチ103が継合状態(半継合状態を含む)にあるか否かを判定する。ここで、肯定判定をした場合はステップST6に移り、否定判定をした場合はステップST11に移る。
【0074】
ステップST6において、アラーム警告中であるか否かを判定する。この判定は、後述するアラーム警告フラグがON状態になっている場合に肯定判定とし、同フラグがOFF状態になっている場合に否定判定とする。ここで、肯定判定をした場合は、本ルーチンを抜け、否定判定をした場合はステップST7に移る。
【0075】
ステップST7において、車室内のスピーカ23より警告音の発生を開始し、一旦本ルーチンを抜ける。
【0076】
ステップST8において、トルク抑制フラグの状態に基づいてエンジン1のトルクを抑制する制御が行われているか否かを判定する。ここで、肯定判定をした場合はステップST9に移り、否定判定をした場合はステップST11に移る。
【0077】
ステップST9において、エンジン1のトルク抑制制御を終了し、トルク抑制フラグをOFF状態にする。
【0078】
ステップST10において、警告表示灯20を消灯し、運転者に対する警告表示を終了する。
【0079】
ステップST11において、アラーム警告フラグの状態に基づいてアラーム警告中であるか否かを判定する。ここで、肯定判定をした場合は、ステップST12に移り、否定判定をした場合は本ルーチンを抜ける。
【0080】
ステップST12において、車室内のスピーカ23からの警告音の発生を終了し、本ルーチンを抜ける。
【0081】
図11(a)〜(d)は、運転者がシフトレバーLをリバース位置REVに移動させる際、つまり、リバースシフト操作する際のリバースアイドラギヤの移動量PG、アクセルペダル8の操作量(踏み込み量)、エンジン1の発生トルク、警告表示灯20のON/OFF状態をそれぞれ示したタイムチャートの一例である。
【0082】
このタイムチャートに示すように、時刻t1において、リバースアイドラギヤ209cが初期位置より噛合い位置に向かって移動し始め、時刻t2において、リバースアイドラギヤ209cの移動量PGが下限移動量PG1に到達している(ST1:YES)。この時点で、エンジン1のトルク抑制制御が開始され(ST3)、運転者に対する警告表示が開始される(ST4)。
【0083】
時刻t3前後において、運転者がアクセルペダル8の踏み込み量を急増させているが、トルク抑制制御中であるため、エンジン1の発生トルクは予め設定されたトルク(エンジン回転数)を超えないように制御されている。つまり、リバースアイドラギヤ209cのリバースドライブギヤ209aおよびリバースドリブンギヤ209bに対する噛合い量が小さい状態では、エンジン1の発生トルクが低く抑えられるため、仮にこの状態でクラッチ103が継合されても、リバースギヤ列209の各ギヤの変形、損傷は回避される。
【0084】
また、上記噛合い量Wが不足している間は、運転者に対して警告表示が行われるため、運転者にその旨を気付かせて、シフトレバーLの操作量不足を解消させることができる。
【0085】
また、図11のタイムチャートには図示していないが、エンジン1のトルク抑制制御中にクラッチ103を継合状態(半係合状態を含む)にすれば(ST5:YES)、直ちにアラーム警告が開始されるため(ST6:NO、ST7)、運転者にシフトレバーLの操作量不足を気付かせて直ちにクラッチ103の切断操作を行わせることができる。これにより、リバースギヤ列209の各ギヤが保護される。また、アラーム警告がなされることによって、運転者は、エンジン1のトルクが抑制されている理由を知ることができる。
【0086】
時刻t4において、リバースアイドラギヤ209cの移動量PGが上限移動量PG2を超えている(ST1:NO)。この時点で、エンジン1のトルク抑制制御が終了し(ST8:YES、ST9)、警告表示も終了する(ST10)。トルク抑制制御の終了により、エンジン1のトルクはアクセルペダル8の操作量に応じて増加可能となる。
【0087】
−他の実施形態1−
既述した2つのフォークシャフトポジションセンサ39A,39Bは、シフトフォークシャフト124Fの移動量PGとして、特定の移動量PG1,PG2を検出するものであるが、このフォークシャフトポジションセンサ39A,39Bに代えて、任意の移動量PGを検出可能なフォークシャフトポジションセンサを採用してもよい。
【0088】
また、既述の実施形態では、エンジン1のトルク抑制制御中は、エンジン1が発生し得る最大トルクが予め設定されたトルク(エンジン回転数)を超えないように制御されていたが、その予め設定されるトルクをリバースアイドラギヤ209cの噛合い量Wが増加するに従って(シフトフォークシャフト124Fの移動量PGが増加するに従って)大きくなるようにしてもよい。この場合、図11(c)の2点鎖線に示すように、エンジン1の発生トルク1は、リバースアイドラギヤ209cの噛合い量Wが増加するに従って大きくなる。
【0089】
−他の実施形態2−
既述の実施形態において、上記移動量PG1を検出するフォークシャフトポジションセンサ39Aは、バックアップランプ点灯用検出スイッチと兼用させたものであってもよい。これにより、センサ類の数を減らすことができる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、例えば、摺動式の後進段用ギヤを有する手動変速機を備える車両の制御装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0091】
L シフトレバー
9 クラッチペダル
23 スピーカ(警告音発生手段)
37 クラッチストロークセンサ
39A,39B フォークシャフトポジションセンサ(噛合い量検出手段)
100 手動変速機
103 クラッチ
209 リバースギヤ列
209a リバースドライブギヤ
209b リバースドリブンギヤ
209c リバースアイドラギヤ
300 制御装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リバースシフト操作に連動して、リバースアイドラギヤが、リバースドライブギヤおよびリバースドリブンギヤに噛合うように構成された手動変速機を備える車両の制御装置において、
前記リバースドライブギヤ又は前記リバースドリブンギヤに対する前記リバースアイドラギヤの噛合い量を検出する噛合い量検出手段と、
前記噛合い量検出手段により検出される噛合い量が閾値より小さい場合、その噛合い量が閾値より大きい場合と比較してエンジンの発生トルクを抑制するエンジン制御手段と、
を備えることを特徴とする車両の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両の制御装置において、
前記噛合い量検出手段は、リバースシフト操作時における前記リバースアイドラギヤの移動量に基づいて前記噛合い量を検出するものである、ことを特徴とする車両の制御装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両の制御装置において、
前記噛合い量検出手段により検出される噛合い量が閾値より小さい場合に警告表示を行う警告表示手段をさらに備えることを特徴とする車両の制御装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の車両の制御装置において、
クラッチの継合状態を検出するクラッチ継合状態検出手段と、
前記噛合い量検出手段により検出される噛合い量が閾値より小さく、かつ、前記クラッチ継合状態検出手段によりクラッチが継合されていることが検出された場合、警告音を発生する警告音発生手段と、
をさらに備えることを特徴とする車両の制御装置。
【請求項5】
リバースシフト操作に連動して、リバースアイドラギヤが、リバースドライブギヤおよびリバースドリブンギヤに噛合うように構成された手動変速機を備える車両の制御装置において、
前記リバースドライブギヤ又は前記リバースドリブンギヤに対する前記リバースアイドラギヤの噛合い量を検出する噛合い量検出手段と、
クラッチの継合状態を検出するクラッチ継合状態検出手段と、
前記噛合い量検出手段により検出される噛合い量が閾値より小さく、かつ、前記クラッチ継合状態検出手段によりクラッチが継合されていることが検出された場合、警告音を発生する警告音発生手段と、
を備えることを特徴とする車両の制御装置。
【請求項6】
請求項5に記載の車両の制御装置において、
前記噛合い量検出手段は、リバースシフト操作時における前記リバースアイドラギヤの移動量に基づいて前記噛合い量を検出するものである、ことを特徴とする車両の制御装置。
【請求項1】
リバースシフト操作に連動して、リバースアイドラギヤが、リバースドライブギヤおよびリバースドリブンギヤに噛合うように構成された手動変速機を備える車両の制御装置において、
前記リバースドライブギヤ又は前記リバースドリブンギヤに対する前記リバースアイドラギヤの噛合い量を検出する噛合い量検出手段と、
前記噛合い量検出手段により検出される噛合い量が閾値より小さい場合、その噛合い量が閾値より大きい場合と比較してエンジンの発生トルクを抑制するエンジン制御手段と、
を備えることを特徴とする車両の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両の制御装置において、
前記噛合い量検出手段は、リバースシフト操作時における前記リバースアイドラギヤの移動量に基づいて前記噛合い量を検出するものである、ことを特徴とする車両の制御装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両の制御装置において、
前記噛合い量検出手段により検出される噛合い量が閾値より小さい場合に警告表示を行う警告表示手段をさらに備えることを特徴とする車両の制御装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の車両の制御装置において、
クラッチの継合状態を検出するクラッチ継合状態検出手段と、
前記噛合い量検出手段により検出される噛合い量が閾値より小さく、かつ、前記クラッチ継合状態検出手段によりクラッチが継合されていることが検出された場合、警告音を発生する警告音発生手段と、
をさらに備えることを特徴とする車両の制御装置。
【請求項5】
リバースシフト操作に連動して、リバースアイドラギヤが、リバースドライブギヤおよびリバースドリブンギヤに噛合うように構成された手動変速機を備える車両の制御装置において、
前記リバースドライブギヤ又は前記リバースドリブンギヤに対する前記リバースアイドラギヤの噛合い量を検出する噛合い量検出手段と、
クラッチの継合状態を検出するクラッチ継合状態検出手段と、
前記噛合い量検出手段により検出される噛合い量が閾値より小さく、かつ、前記クラッチ継合状態検出手段によりクラッチが継合されていることが検出された場合、警告音を発生する警告音発生手段と、
を備えることを特徴とする車両の制御装置。
【請求項6】
請求項5に記載の車両の制御装置において、
前記噛合い量検出手段は、リバースシフト操作時における前記リバースアイドラギヤの移動量に基づいて前記噛合い量を検出するものである、ことを特徴とする車両の制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−241729(P2011−241729A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−113518(P2010−113518)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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