説明

車載用ナビゲーション装置

【課題】走行経路上に存在する障害物を特定した際に、ユーザに最善な回避策を指示することが可能な車載用ナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】走行経路上に存在する障害物を回避するための走行誘導案として、現在設定中の走行経路を変更せず、走行レーンは変更することにより障害物を回避するレーン変更型誘導案と、現在設定中の走行経路から障害物を迂回可能な代替走行経路へ変更することにより障害物を回避する経路変更型誘導案と、現在設定中の走行経路上にて障害物を回避せずレーンキープして走行継続する非回避型走行誘導案とを含む複数の走行誘導案を、電子道路地図の情報に基づいて作成し、各走行誘導案についての車両のユーザの運転負担度を反映した運転負担度情報を作成し、その内容比較に基づいて、これら走行誘導案の中から推奨走行誘導案を決定してユーザに報知する報知手段と、を備えることを特徴とする車載用ナビゲーション装置として提供可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用ナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の走行に伴ってGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)等により現在位置を検出し、その現在位置を表示装置上に道路地図と共に表示して、出発地から目的地までの適切な経路を設定し、表示装置や音声出力装置などによって案内する車載用ナビゲーション装置は、ユーザの効率的で安全な運転に貢献している。
【0003】
この目的地への走行案内の他に、渋滞を検知した際に目的地までの案内経路が更新された場合、新旧の案内経路の差異を識別することができ、運転の安全性を向上させることができる車両用走行案内装置が考案されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、車載用ナビゲーション装置で設定された経路誘導情報を信号機が入手して個々の車載用ナビゲーション装置に対して適切な示唆を与えたり、さらにはこの経路誘導情報に基づいて信号表示そのものを制御することにより、信号機が個々の車両の状況に考慮して積極的に交通制御に介入可能なナビゲーションシステムが考案されている(特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平11−037784号公報
【特許文献2】特開2003−151074号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
案内経路上に渋滞を検知した場合でも、走行レーンを変更して目的地までの案内経路を変更せずに渋滞を回避可能な場合があり、このときは、目的地までの案内経路を変更した場合よりも短時間で目的地まで到達できることもあり、特許文献1の構成では、大回りをした上に余計に時間がかかり、ユーザに不便を強いることになる。
【0007】
また、特許文献2の構成では、信号機には、各信号の表示サイクルを変える等の制御を行う制御手段が必要になり、システムが複雑になるという問題がある。また、信号の表示サイクルを変えることで、車両の進行方向によっては待ち時間が長くなり不便を蒙ってしまうという問題もある。
【0008】
上記問題を背景として、本発明の課題は、走行経路上に存在する障害物を特定した際に、ユーザに最善な回避策を指示することが可能な車載用ナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0009】
上記課題を解決するための車載用ナビゲーション装置は、電子道路地図と車両の現在位置データとに基づき目的地への走行経路を案内する車載用ナビゲーション装置であって、走行経路上に存在する障害物を特定する障害物特定手段と、特定された障害物を回避するための走行誘導案として、現在設定中の走行経路を変更せず、走行レーンは変更することにより障害物を回避するレーン変更型誘導案と、現在設定中の走行経路から障害物を迂回可能な代替走行経路へ変更することにより障害物を回避する経路変更型誘導案とを含む複数の走行誘導案を、電子道路地図の情報に基づいて作成する走行誘導案作成手段と、レーン変更型誘導案に従って走行した場合と、経路変更型誘導案に従って走行した場合とのそれぞれについて、車両のユーザの運転負担度を反映した運転負担度情報を作成する運転負担度情報作成手段と、各走行誘導案についての運転負担度情報の内容比較に基づいて、複数の走行誘導案の中から推奨走行誘導案を決定する推奨走行誘導案決定手段と、推奨走行誘導案をユーザに報知する報知手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
上記構成によって、障害物を特定した場合に一律に走行経路を変更する構成ではなく、ユーザの運転負担度に応じて最も適した推奨走行誘導案(障害物のための走行経路)を報知することが可能となる。また、「走行レーン変更は」、走行車線を変更する「車線変更」の他に、対向車線へのはみ出しを含むものとして定義される。
【0011】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置における走行誘導案作成手段は、レーン変更型誘導案及び経路変更型誘導案とともに、現在設定中の走行経路上にて障害物を回避せずレーンキープして走行継続する非回避型走行誘導案も作成するものであり、推奨走行誘導案決定手段は、レーン変更型誘導案、経路変更型誘導案及び非回避型走行誘導案のいずれかから推奨走行誘導案を決定するように構成することもできる。
【0012】
上記構成によって、障害物を回避せずレーンキープして走行継続する案も選択肢に含まれるので、山道等で迂回路が存在しない場合や、迂回あるいは走行レーンを変更してもメリットが小さい場合も、ユーザに最適な推奨走行誘導案を報知することが可能となる。
【0013】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置における運転負担度情報作成手段は、非回避型走行誘導案に従って走行した場合についての運転負担度情報も作成するように構成することもできる。
【0014】
上記構成によって、レーン変更型誘導案、経路変更型誘導案及び非回避型走行誘導案のそれぞれについて、運転負担度情報を作成することができ、その運転負担度情報の内容比較に基づいて、これら走行誘導案の中から推奨走行誘導案を決定することが可能となる。
【0015】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置における運転負担度情報作成手段は、各走行誘導案における推定走行時間情報を含むものとして運転負担度情報を作成するものであり、推奨走行誘導案決定手段は、推定走行時間の小さい走行誘導案ほど優位となるように、推奨走行誘導案を決定するように構成することもできる。
【0016】
上記構成によって、最も短い時間で障害物を回避することができ、ユーザの利便性が向上する。
【0017】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置における推定走行時間情報は、車両の現在位置から、目的地に至る経路上にて各走行誘導案の全てに共有される特定地点に至る形で各走行誘導案別に定められた走行時間算出経路の距離に基づいて各々算出されるように構成することもできる。
【0018】
レーン変更型誘導案、経路変更型誘導案及び非回避型走行誘導案のそれぞれの走行経路は、いずれは当初の走行経路に戻ることが多い。上記構成によって、当初の走行経路に戻るまでの走行時間算出経路での推定走行時間を算出すればよいので、算出方法が簡略となり算出に要する時間も短くすることができる。そして、各走行誘導案の比較も精度よく行うことも可能となる。また、特定地点は目的地そのものであってもよいが、当初設定経路に対し代替迂回経路が合流する地点から目的地に至るまでの区間内の任意地点として定めることも可能である。
【0019】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置における運転負担度情報作成手段は、車両の現在位置から特定地点までを、障害物が非存在と仮定して現在設定中の走行経路に従い走行した場合の所要時間を通常所要時間tとして算出し、他方、各走行誘導案に従って走行した場合の所要時間の通常所要時間tからの増分を反映した所要時間増分情報を、個々の走行誘導案について算出するとともに、推奨走行誘導案決定手段は、所要時間増分情報に反映される所要時間の増分が小さい走行誘導案ほど優位となるように、推奨走行誘導案を決定するように構成することもできる。
【0020】
車載用ナビゲーション装置では、所定の地点間の距離を電子道路地図から求めることができる。また、所定の地点間の所要時間を求めることもできる。上記構成によって、車載用ナビゲーション装置の既存の機能を有効利用し、所要時間の増分を算出する構成を追加するだけで所要時間増分情報を求めることができ、所要時間の増分が小さい、即ち目的地までの時間が最も短い走行誘導案をユーザに報知することが可能となる。
【0021】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置における運転負担度情報作成手段は、レーン変更型誘導案に従って走行した場合の所要時間の通常所要時間tからの増分がゼロとなるように所要時間増分情報を作成するように構成することもできる。
【0022】
例えば、走行レーンを変更する際に、車線に対して30°の角度で斜行して隣の走行レーンとの間で移動を行った場合、レーン変更開始地点からレーン変更を完了するまでに走行する距離は、レーン変更開始地点からそのまま直進した場合の約1.15倍となる。レーン変更に要する時間は長くても数秒程度であるので、所要時間からの増分をゼロと見なすこともできる。上記構成によって、所要時間の増分を算出する構成を簡略化することができ、算出するための処理時間も短縮できる。
【0023】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置における運転負担度情報作成手段は、経路変更型誘導案に従って走行した場合の所要時間の通常所要時間tからの増分を、代替走行経路の現在設定中の走行経路からの距離増分に基づいて所要時間増分情報を作成するように構成することもできる。
【0024】
車載用ナビゲーション装置では、所定の地点間の距離を電子道路地図から求めることができる。また、所定の地点間の所要時間を求めることもできる。上記構成によって、車載用ナビゲーション装置の既存の機能を有効利用し、代替走行経路の現在設定中の走行経路からの距離増分に基づいて所要時間増分情報を作成することが可能となる。
【0025】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置における運転負担度情報作成手段は、非回避型走行誘導案に従って走行する場合の所要時間の通常所要時間tからの増分を、障害物に起因した損失時間tとして算出するように構成することもできる。
【0026】
上記構成によって、非回避型走行誘導案に従って走行する場合も所要時間増分情報を作成することが可能となる。
【0027】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置における障害物特定手段は、車外から取得する交通情報に基づき渋滞を障害物として特定するものであり、運転負担度情報作成手段は、渋滞の通過に要する時間増分を損失時間tとして算出するように構成することもできる。
【0028】
渋滞の通過に要する時間増分は、例えば、(渋滞距離)÷(非渋滞時の車両の速度−渋滞時の車両の速度)として求めることができる。上記構成によって、渋滞を障害物として特定されたにも時間増分を作成することが可能となる。
【0029】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置における障害物特定手段は、交通信号の点灯状態により右折又は左折を阻まれる形で現在走行中のレーンを塞ぐ滞留車両を障害物として特定するものであり、運転負担度情報作成手段は、滞留車両が右折又は左折可能となる点灯状態に交通信号が切り替わるまでに要する時間を損失時間tとして車外から取得するように構成することもできる。
【0030】
上記構成によって、交差点での右折又は左折車に起因する渋滞の場合においても、損失時間tを取得することが可能となる。また、信号機に信号の表示サイクルを可変とするための制御手段が必要とせず、システムが複雑になるという問題は発生しない。さらに、信号の表示サイクルを変えることで、車両の進行方向によっては待ち時間が長くなり不便を蒙ってしまうという問題も発生しない。
【0031】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置における障害物特定手段は、カメラによる車両前方の撮影画像に基づいて滞留車両を特定するように構成することもできる。
【0032】
周知の画像処理技術を用いれば、カメラにより撮影された画像から車両等の所定の物体を特定することが可能である。また、車線を逸脱しないように走行を維持するレーンキープ制御や車両への侵入監視のために、カメラが搭載される車両も増えている。上記構成によって、低コストで滞留車両を特定することが可能となる。また、カメラで信号機の映像を撮影すれば、その映像から交通信号が切り替わるまでに要する時間すなわち損失時間tを取得することが可能となる。
【0033】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置は、車両のレーン変更に係る技術的難易度を反映したレーン変更難易度情報を取得するレーン変更難易度情報取得手段を備え、運転負担度情報作成手段は、レーン変更型誘導案に従って走行する場合の運転負担度情報を、取得したレーン変更難易度情報を含むものとして作成するように構成することもできる。
【0034】
走行中の車両を取り巻く状況によって車両のレーン変更に係る技術的難易度は異なる。上記構成によって、より正確な運転負担度情報を作成することが可能となる。
【0035】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置は、変更先レーンの交通状態とレーン変更難易度との関係を記憶した交通状態別レーン変更難易度記憶手段を備え、レーン変更難易度情報取得手段は、変更先レーンの交通状態を取得する変更先レーン交通状態取得手段を有し、当該取得した交通状態に対応するレーン変更難易度をレーン変更難易度情報記憶手段にて読み取ることにより取得するように構成することもできる。
【0036】
レーン変更難易度は、変更先レーンの交通状態によって様々な値となるが、計算により求めるとなると、交通状態に対応するためのパラメータ数が多くなって計算式が複雑となり、計算処理が回避に間に合わないこともありうる。上記構成によって、変更先レーンの交通状態に応じたレーン変更難易度を短時間で取得することが可能となる。
【0037】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置における交通状態別レーン変更難易度記憶手段は、変更先レーンの車間距離及び車速のレベルに応じてレーン変更難易度を規定するものであり、変更先レーン交通状態取得手段は、変更先レーンの車間距離及び車速の情報を交通状態の情報として取得するように構成することもできる。
【0038】
レーン変更は、変更先レーンの交通状態すなわち車間距離及び車速により難易度が変わる。つまり、変更先レーンの通行車両が少なく(車間距離が長く)車速が遅い(レーン間の車速の差が小さい)場合は難易度が低く(レーン変更しやすい)、変更先レーンの通行車両が多く(車間距離が短く)車速が速い(レーン間の車速の差が大きい)場合は難易度が高い(レーン変更しにくい)。上記構成によって、変更先レーンの車間距離及び車速の情報を交通状態の情報として取得し、レーン変更難易度を取得することが可能となる。
【0039】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置における交通状態別レーン変更難易度記憶手段は、ユーザの運転習熟度のレベルに応じてレーン変更難易度を規定するものであり、技術的難易度情報取得手段は、ユーザの運転習熟度を取得する運転習熟度取得手段を有し、当該取得した運転習熟度に対応するレーン変更難易度をレーン変更難易度情報記憶手段にて読み取ることにより取得するように構成することもできる。
【0040】
ユーザによってレーン変更に得手不得手がある。レーン変更そのものが不得手であったり、レーン変更の方向(右・左)によっても得手不得手がある。これを運転習熟度のレベルで表すことで、上記構成によって、ユーザに応じて、より正確にレーン変更難易度を取得することが可能となる。
【0041】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置におけるレーン変更型誘導案は、レーン変更により障害物を回避した後、変更前のレーンへの復帰を要求するものとして作成され、交通状態別レーン変更難易度記憶手段は、レーン変更により障害物を回避した後、変更前のレーンへ復帰するまでに要する走行距離である変更レーン走行距離に応じてレーン変更難易度を規定するものであり、技術的難易度情報取得手段は、レーン変更型誘導案に反映された変更レーン走行距離に対応するレーン変更難易度をレーン変更難易度情報記憶手段にて読み取ることにより取得するように構成することもできる。
【0042】
障害物を回避する距離が短い場合は、レーン変更後直ちに変更前のレーンへ復帰する必要があり難易度は比較的高い。一方、障害物を回避する距離が長い場合は、変更前のレーンへ復帰するためのタイミングを計り易く難易度は比較的低い。上記構成によって、変更レーン走行距離を用いることで、より正確にレーン変更難易度を取得することが可能となる。
【0043】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置における現在設定中の走行経路の情報が、目的地への案内経路が要求する右折又は左折のためのレーンキープ情報を含むように構成することもできる。
【0044】
上記構成によって、現在設定中の走行経路が障害物のある地点の先あるいは障害物のある地点の途中で変更後のレーンを走行するように設定されている場合、現在走行中のレーンをキープしたまま走行でき、無駄な車線変更をする必要がなく、精神的負担の低いより円滑な運転をすることができる。
【0045】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置における交通状態別レーン変更難易度記憶手段は、現在の天候に応じてレーン変更難易度を規定するものであり、変更先レーン交通状態取得手段は、天候の情報を取得する天候情報取得手段を備え、取得した天候に対応するレーン変更難易度をレーン変更難易度情報記憶手段にて読み取ることにより取得するように構成することもできる。
【0046】
天候によってもレーン変更難易度が変わる。つまり、晴天時は難易度が低く、悪天候時は難易度が高い。上記構成によって、より正確なレーン変更難易度を取得することが可能となる。
【0047】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置における運転負担度情報作成手段は、取得されたレーン変更難易度に基づいて、レーン変更型誘導案に従って走行した場合の所要時間増分情報を補正する走行時間補正手段を含み、推奨走行誘導案決定手段は、レーン変更型誘導案に対応した補正後の所要時間増分情報を、他の走行誘導案の所要時間増分情報と比較し、その比較結果に基づいて、複数の走行誘導案の中から推奨走行誘導案を決定するように構成することもできる。
【0048】
上記構成によって、レーン変更難易度と所要時間増分情報とにより、ユーザにとってより適切な推奨走行誘導案を決定することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
以下、本発明の車載用ナビゲーション装置を、図面を参照しながら説明する。図1は車載用ナビゲーション装置(以下、ナビゲーション装置と略称)100の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置100は、位置検出器1,地図データ入力器6,操作スイッチ群7,リモートコントロール(以下リモコンと称する)センサ11,音声案内などを行う音声合成回路24,スピーカ15,メモリ9,表示器10,送受信機13,ハードディスク装置(HDD)21,LAN(Local Area Network) I/F(インターフェース)26,これらの接続された制御回路8,リモコン端末12等を備えている。
【0050】
位置検出器1は、周知の地磁気センサ2,車両101(図2,図3参照)の回転角速度を検出するジャイロスコープ3,車両101の走行距離を検出する距離センサ4,および衛星からの電波に基づいて車両101の位置を検出するGPS受信機5を有している。これらのセンサ等2,3,4,5は各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては前述したうちの一部のセンサで構成してもよく、さらに、ステアリングの回転センサや各転動輪の車輪センサ例えば車速センサ23等を用いてもよい。
【0051】
操作スイッチ群7は、例えば表示器10と一体になったタッチパネル22もしくはメカニカルなスイッチが用いられる。タッチパネル22は、表示器10の画面上にガラス基盤と透明なフィルムにスペーサと呼ばれる隙間を介してX軸方向、Y軸方向に電気回路が配線され、フィルム上をユーザがタッチすると、押された部分の配線がショートして電圧値が変わるため、これを2次元座標値(X,Y)として検出する、いわゆる抵抗膜方式が広く用いられる。その他に、周知のいわゆる静電容量方式を用いてもよい。メカニカルスイッチの他に、マウスやカーソル等のポインティングデバイスを用いてもよい。また、表示器10とその周辺を覆い意匠枠となるエスカッションに、操作スイッチ群7のうちのメカニカルスイッチを配置してもよい。
【0052】
また、マイク31および音声認識ユニット30を用いて種々の指示を入力することも可能である。これは、マイク31から入力された音声信号を、音声認識ユニット30において周知の隠れマルコフモデル等の音声認識技術により処理を行い、その結果に応じた操作コマンドに変換するものである。これら操作スイッチ群7,リモコン端末12,タッチパネル22,およびマイク31により、種々の指示を入力することが可能である。
【0053】
送受信機13は、例えば道路に沿って設けられた送信機(図示せず)から出力される光ビーコン、または電波ビーコンによってVICS(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報通信システム)センタ14から道路交通情報を受信、あるいはFM多重放送を受信するための装置である。また、送受信機13を用いてインターネット等の外部ネットワークに接続可能な構成としてもよい。
【0054】
また、ETC車載器17と通信することにより、ETC車載器17が路側器(図示せず)から受信した料金情報などをナビゲーション装置100に取り込むことができる。また、ETC車載器17によって外部ネットワークと接続し、VICSセンタ14等との通信を行う構成をとってもよい。
【0055】
制御回路8は通常のコンピュータとして構成されており、周知のCPU81,ROM82,RAM83,入出力回路であるI/O84,A/D変換部86,描画部87,時計IC88,およびこれらの構成を接続するバスライン85が備えられている。CPU81は、HDD21に記憶されたナビプログラム21pおよびデータにより制御を行う。また、HDD21へのデータの読み書きの制御はCPU81によって行なわれる。また、CPU81からHDD21に対してデータの読み書きの制御ができなくなった場合のために、ROM82にナビゲーション装置100として必要最低限の動作を行うためのプログラムを記憶しておいてもよい。なお、制御回路8が本発明の走行誘導案作成手段,運転負担度情報作成手段,推奨走行誘導案決定手段,レーン変更難易度情報取得手段,運転習熟度取得手段に相当する。
【0056】
A/D変換部86は周知のA/D(アナログ/デジタル)変換回路を含み、例えば位置検出器1などから制御回路8に入力されるアナログデータをCPU81で演算可能なデジタルデータに変換するものである。
【0057】
描画部87は、HDD21等に記憶された地図データ21m(後述),表示用のデータや表示色のデータから表示器10に表示させるための表示画面データを生成する。
【0058】
時計IC88はリアルタイムクロックICとも呼ばれ、CPU81からの要求に応じて時計・カレンダーのデータを送出あるいは設定するものである。CPU81は時計IC88から日時情報を取得する。また、GPS受信機5で受信したGPS信号に含まれる日時情報を用いてもよい。また、CPU81に含まれるリアルタイムカウンタを基にして日時情報を生成してもよい。取得された日時情報は、例えば走行履歴管理に用いられる。
【0059】
HDD21には、ナビプログラム21pの他に位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、道路の接続を表した道路データを含む地図データベースである地図データ21mが記憶される。地図データ21mは、表示用となる所定の地図画像情報を記憶するとともに、リンク情報やノード情報等を含む道路網情報を記憶する。リンク情報は、各道路を構成する所定の区間情報であって、位置座標、距離、所要時間、道幅、車線数、制限速度等から構成される。また、ノード情報は、交差点(分岐路)等を規定する情報であって、位置座標、右左折車線数、接続先道路リンク等から構成される。また、リンク間接続情報には、通行の可不可を示すデータなどが設定されている。
【0060】
また、HDD21には経路案内の補助情報や娯楽情報、その他にユーザが独自にデータを書き込むことができ、ユーザデータ21uとして記憶される。また、ナビゲーション装置100の動作に必要なデータや各種情報はデータベース21dとしても記憶される。なお、データベース21dが本発明の交通状態別レーン変更難易度記憶手段に相当する。
【0061】
ナビプログラム21p,地図データ21m,ユーザデータ21u,およびデータベース21dは、地図データ入力器6を介して記憶媒体20からそのデータの追加・更新を行うことが可能である。記憶媒体20は、そのデータ量からCD−ROMやDVDを用いるのが一般的であるが、例えばメモリカード等の他の媒体を用いてもよい。また、外部ネットワークを介してデータをダウンロードする構成を用いてもよい。
【0062】
メモリ9はEEPROM(Electrically Erasable & Programmable Read Only Memory:電気的消去・プログラム可能・読出し専用メモリ)やフラッシュメモリ等の書き換え可能なデバイスによって構成され、ナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータが記憶されている。なお、メモリ9は、ナビゲーション装置100がオフ状態になっても記憶内容が保持されるようになっている。また、メモリ9の代わりにナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータをHDD21に記憶してもよい。さらに、ナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータをメモリ9とHDD21に分けて記憶してもよい。
【0063】
表示器10は周知のカラー液晶表示器で構成され、ドット・マトリックスLCD(Liquid Crystal Display)およびLCD表示制御を行うための図示しないドライバ回路を含んで構成されている。ドライバ回路は、例えば、画素毎にトランジスタを付けて目的の画素を確実に点灯させたり消したりすることができるアクティブマトリックス駆動方式が用いられ、制御回路8から送られる表示指令および表示画面データに基づいて表示を行う。また、表示器10として有機EL(ElectroLuminescence:電界発光)表示器,プラズマ表示器を用いてもよい。なお、表示器10が本発明の報知手段に相当する。
【0064】
スピーカ15は周知の音声合成回路24に接続され、ナビプログラム21pの指令によってメモリ9あるいはHDD21に記憶されるデジタル音声データが音声合成回路24においてアナログ音声に変換されたものが送出される。なお、音声合成の方法には、音声波形をそのままあるいは符号化して蓄積しておき必要に応じて繋ぎ合わせる録音編集方式、文字入力情報からそれに対応する音声を合成するテキスト合成方式などがある。
【0065】
車速センサ23は周知のロータリエンコーダ等の回転検出部を含み、例えば車輪取り付け部付近に設置されて車輪の回転を検出してパルス信号として制御回路8に送るものである。制御回路8では、その車輪の回転数を車両101の速度に換算して、車両101の現在位置から所定の場所までの予想到達時間を算出したり、車両101の走行区間毎の平均車速を算出する
【0066】
LAN I/F26は車内LAN27を介して他の車載機器やセンサとのデータの遣り取りを行うためのインターフェース回路である。また、LAN I/F26を介して車速センサ23からのデータ取り込み、あるいはETC車載器17との接続を行ってもよい。
【0067】
このような構成を持つことにより、ナビゲーション装置100は、制御回路8のCPU81によりナビプログラム21pが起動されると、ユーザが操作スイッチ群7,タッチパネル22、リモコン端末12の操作あるいはマイク31からの音声入力によって、表示器10上に表示されるメニュー(図示せず)から目的地経路を表示器10に表示させるための経路案内処理を選択した場合、次のような処理を実施する。
【0068】
すなわち、まず、ユーザは目的地を探索する。目的地の探索方法は、例えば、地図上の任意の地点を指定する方法、目的地の所在する地域から探索する方法,目的地の電話番号から探索する方法,五十音表から目的地の名称を入力して探索する方法,あるいはユーザがよく利用する施設としてメモリ9に記憶されているものから探索する方法などがある。目的地が設定されると、位置検出器1により車両101の現在位置が求められ、該現在位置を出発地として目的地までの最適な案内経路を求める処理が行われる。そして、表示器10上の道路地図に案内経路を重ねて表示し、ユーザに適切な経路を案内する。このような自動的に最適な案内経路を設定する手法は、ダイクストラ法等の手法が知られている。また、表示器10およびスピーカ15の少なくとも一方によって、操作時のガイダンスや動作状態に応じたメッセージの報知を行う。
【0069】
通信ユニット25は周知の無線送受信機として構成され、インターネット等の公衆通信網と接続するために用いる。
【0070】
カメラ(32a〜32f)は周知のCCDビデオカメラ等で構成され、撮影された画像データを画像処理部33に送る。図2に搭載例を示す。図2の例では、車両101の左前方を撮影する左前方カメラ32a,前方を撮影する前方カメラ32b,右前方を撮影する右前方カメラ32c,右後方を撮影する右後方カメラ32d,後方を撮影する後方カメラ32e,左後方を撮影する左後方カメラ32fが搭載されている。撮影範囲は、それぞれのカメラ(32a〜32f)に対応してa〜fのようになっている。なお、前方カメラ32bは、車線維持走行システム(レーンキープシステムともいう)あるいは追突防止システム等の他の車載システムが搭載しているものを共用してもよい。同様に、後方カメラ32eは、車両後退時に車両後方の状況を確認するバックモニタ用のものを共用してもよい。なお、カメラ(32a〜32f)が本発明の変更先レーン交通状態取得手段に相当する。
【0071】
画像処理部33は、公知のパターン認識などの技術によってカメラ(32a〜32f)によって撮影された画像の解析を行う画像処理回路を含んで構成される。解析結果は制御回路8に送られる。
【0072】
レーダ34a,34bは周知の車載用ミリ波レーダを含んで構成される。図3に搭載例を示す。図3の例では、レーダ34aは車両101の右側方を探知し(探知範囲g)、レーダ34bは車両101の左側方を探知する(探知範囲h)ように、例えばセンターピラーに取り付けられる。車両101の前方および後方を探知するためのレーダを搭載してもよい。なお、レーダ34a,34bが本発明の変更先レーン交通状態取得手段に相当する。
【0073】
図4を用いて推奨走行誘導案決定処理について説明する。なお、本処理はナビプログラム21pに含まれ、ナビプログラム21pの他の処理とともに繰り返し実行される。まず、車両101の走行経路の前方の情報を取得する(S11)。情報はカメラ(32a〜32c)により取得する方法と、VICSセンタ14から交通情報を取得する方法のいずれを用いてもよい。
【0074】
次に、取得した情報から障害物を特定する(S12)。障害物の特定は、以下のいずれを用いてもよい。
(1)車両101の前方を撮影するカメラ(32a〜32c)で撮影された画像データを画像処理部33あるいはデータベース22dに予め記憶される障害物基準データと比較し、その障害物基準データとの類似度が所定の値を上回る場合に障害物であることを特定する。
(2)VICSセンタ14から取得した交通情報に車両101の走行経路の前方において渋滞が発生している情報が含まれている場合、その渋滞情報を障害物として特定する。
【0075】
障害物が特定された場合(S13:Yes)、位置検出器1から自車(車両101)の現在位置を取得する(S14)。そして、設定されている目的地の位置も取得する(S15)。
【0076】
次に、レーン変更型走行誘導案についての運転負担度(運転負担度:本発明の運転負担度情報)を算出する(S16:詳細は後述)。次いで、経路変更型走行誘導案についての運転負担度を算出する(S17:詳細は後述)。次いで、非回避型走行誘導案についての運転負担度を算出する(S18:詳細は後述)。これらレーン変更型走行誘導案,経路変更型走行誘導案,非回避型走行誘導案が本発明の走行誘導案である。
【0077】
次に、交差点における右左折車により発生している渋滞における運転負担度を算出する(S19:詳細は後述)。
【0078】
上記で算出された各運転負担度の比較を行い(S20)、最も運転負担度の低い走行誘導案を推奨走行誘導案として決定する(S21)。
【0079】
最後に、その推奨走行誘導案に基づいて経路案内を実施する(S22)。
【0080】
上記の、運転負担度(レーン変更型走行誘導案,経路変更型走行誘導案,非回避型走行誘導案,交差点における右左折車により発生している渋滞時)は、全てを算出しなくてもよく、少なくとも二つ以上の組み合わせで用いる構成としてもよい。
【0081】
図5を用いて、図4のステップS16に相当する、レーン変更型走行誘導案についての運転負担度算出処理について説明する。これは、例えば図6のように、車両101の前方に右折しようとしている車両102が停止している場合に、車両101が矢印のように走行レーンを変更して車両102(障害物)を回避する場合のものである。
【0082】
まず、ユーザの運転習熟度を取得する(S31)。運転習熟度は予めデータベース44dあるいはメモリ9に記憶しておいてもよいし、運転のたびに、操作スイッチ群7,リモコン端末12,タッチパネル22,あるいはマイク31からの入力指示により設定してもよい。取得・設定された内容はRAM83に記憶される。
【0083】
次に、車両101の変更先のレーン(図6では左側レーン)の交通状態(車間距離および車速)を取得する(S32)。取得の方法は以下のいずれを用いてもよい。
(1)カメラの撮影範囲は決められているので、カメラ(左側レーンの場合は32a,32f)により撮影された画像データから画像処理部33において走行車両を検出し、検出された位置と時計IC88から取得される時刻データとから、車間距離および車速を取得する。
(a)車両101の車速より、左側レーンを走行する車両の車速の方が遅い場合、左前方カメラ32aの撮影画像では、その車両の画像は徐々に大きくなって最大になった後に検出されなくなる。また、左後方カメラ32fの撮影画像では、その車両の画像は最大の状態で検出されて徐々に小さくなって最後には検出されなくなる。
(b)車両101の車速より、左側レーンを走行する車両の車速の方が速い場合、左前方カメラ32aの撮影画像では、その車両の画像は最大の状態で検出されて徐々に小さくなって最後には検出されなくなる。また、左後方カメラ32fの撮影画像では、その車両の画像は徐々に大きくなって最大になった後に検出されなくなる。
上記のような車両の検出状況,検出時刻,車両101の車速とから、車両101が変更するレーンの車速を取得することができる。取得された車速が検出した車両により異なる場合は、平均値を求めてもよい。また、車両の検出時刻の間隔から車間距離を取得することができる。
【0084】
(2)レーダ(左側レーンの場合は34b)を用いる場合には、レーダ波の放射範囲(車両の探知範囲)が決められているので、探知状態から車速および車間距離を取得することができる。
【0085】
障害物を回避するために対向車線(右側)にはみ出す場合は、カメラ(右前方カメラ32c,右後方カメラ32d)あるいはレーダ34aを用い、対向車線の交通状態(車間距離および車速)を取得する。
【0086】
次に、VICSセンタ14から天候情報を取得する(S33)。通信ユニット25を介してインターネットサーバから天候情報を取得してもよい。
【0087】
そして、運転習熟度,変更先レーンの交通状態,および天候情報から、レーン変更難易度を取得する(S34)。図7のように、レーン変更難易度はデータベース44dあるいはメモリ9にテンプレートとして記憶されている。図7ではその一部が示されている。レーン変更難易度は、車間距離と車速との比,走行レーン変更後から元の走行レーンに戻る間の走行距離L,運転習熟度,および天候情報(図8参照)から求められる。車間距離と車速との比が大きいほど走行レーン変更を行い易い。また、走行距離Lは特定された障害物(右左折車両、渋滞距離等)から求めることができ、走行距離Lが長いほど走行レーン変更を行い易い。運転習熟度は習熟度が高いほど数値が大きくなり、上限値は100%である。これらから求められるレーン変更難易度は、難易度が高いほど数値が大きくなり、上限値は100%である。
【0088】
図7の1行目の例は、車間距離と車速との比が1(例えば車間距離が40m,車速が40km/hで、車速に応じた適正な車間距離)で標準的な運転習熟度のユーザであれば走行レーン変更は困難ではないが、走行距離Lが5mと短いため、運転習熟度が100%(難易度大)の熟練運転者でもレーン変更難易度は100%と設定されている。
【0089】
レーン変更難易度は、運転習熟度が設定(新規あるいは更新)されると、その運転習熟度に応じて更新される構成でもよい。
【0090】
天候や昼間/夜間の走行時間帯による難易度を加味してもよい。図7の例は、「天候:晴,昼間」の場合のレーン変更難易度が示されている。図8にその一例を示す。「天候:晴,昼間」を1として、天候および走行時間帯における難易度の「天候:晴,昼間」に対する比を係数として表している。この係数を図7で求められたレーン変更難易度に乗じて最終的なレーン変更難易度とする。無論、係数を乗じた後の上限値は100%である。なお、走行時間帯の昼間,夜間は、例えば、昼間:06時00分00秒〜18時59分59秒,夜間:19時00分00秒〜05時59分59秒である。
【0091】
次に、走行距離Lで表される走行レーン変更を行う区間において、走行レーン変更を行わずに通常走行する場合の所要時間である通常所要時間tを算出する(S35)。これは走行距離Lを車速で除算して求める。距離は地図データ21mから求められる。車速は予め定められた値を用いてもよいし、車両101の現在の車速を用いてもよい。そして、走行レーン変更を行った場合の所要時間の時間増分を損失時間tとして算出する(S36)。ここで、走行レーン変更に要する時間は上述のように長くても数秒程度であるので、損失時間tをゼロとする。
【0092】
最後に、レーン変更難易度,通常所要時間t,および損失時間tから運転負担度を算出する(S37)。運転負担度は、例えば走行時間の増加割合とされ、(損失時間t/通常所要時間t)×100+(レーン変更難易度)(%)のように算出される。
【0093】
図9を用いて、図4のステップS17に相当する、経路変更型走行誘導案についての運転負担度算出処理について説明する。これは、例えば図10のように、車両101の前方渋滞が発生して渋滞車両が殆ど停止している場合に、車両101が矢印A〜Cのいずれかを選んで走行経路を変更して渋滞(障害物)を回避する場合のものである。
【0094】
図4のステップS14で取得した自車(車両101)の現在位置と、ステップS15で取得した目的地の位置とから、自車と障害物との間に右左折可能な道路(図10の矢印A〜Cで示される道路)がない場合(S51:No)は、運転負担度を算出せずに(S58)本処理を終了する。この場合、運転負担度を最大値(100%)としてもよい。
【0095】
一方、自車と障害物との間に右左折可能な道路がある場合(S51:Yes)は、ナビゲーション装置100の周知の機能により、その道路を通り目的地に到達する経路を検索する(S52)。図10では、矢印A〜Cを含む経路に相当する。
【0096】
次に、検索された経路について、自車の現在位置から、目的地に至る経路上にて、現在の走行経路と各検索された経路の全てに共有される特定地点までの経路(走行時間算出経路)の走行時間を算出する(S53)。走行時間は自車の現在位置から特定地点までの距離を車速で除算して求める。距離は地図データ21mから求められる。車速は予め定められた値を用いてもよいし、車両101の現在の車速を用いてもよい。こうすることで、運転負担度に関係ない、各検索された経路の全てに共通する経路における走行時間を算出せずに済むため、算出処理時間を短縮できるとともに正確な運転負担度を算出できる。無論、特定地点が目的地であってもよい。
【0097】
そして、算出された走行時間の最も短い検索経路を選択する(S54)。
【0098】
次に、現在の走行経路において、障害物が存在しない場合の自車の現在位置から特定地点までの走行時間である通常所要時間tを算出する(S55)。そして、上記で選択された検索経路における自車の現在位置から特定地点までの走行時間の通常所要時間tに対する時間増分を損失時間tとして算出する(S56)。
【0099】
上記で選択された検索経路と現在の走行経路との距離の差と求め、その差を車速で除算したもの(所要時間増分)を損失時間tとしてもよい。
【0100】
最後に、走行時間から運転負担度を算出する(S57)。運転負担度は、例えば走行時間の増加割合とされ、(損失時間t/通常所要時間t)×100(%)のように算出される。また、経路変更型走行誘導案が推奨走行誘導案として決定された場合は、自車の現在位置が経路検索の対象となった道路との交差点のうちの、最も近い交差点の少なくとも30m手前に到達するまでに報知を行う。
【0101】
図11を用いて、図4のステップS18に相当する、非回避型走行誘導案についての運転負担度算出処理について説明する。これは、例えば図12Aのように、車両101の前方に右折しようとしている車両102が停止している場合に、車両101は走行レーンを変更することなく、車両102が右折するのを待つ場合のものである。また、図12Bのように、車両101の前方渋滞が発生して渋滞車両が殆ど停止している場合に、渋滞区間(障害物)を回避しない場合のものである。
【0102】
まず、障害物が非存在と仮定した場合の当該区間を走行するための所要時間である通常所要時間tを算出する(S71)。図12Aの場合は、カメラ(前方カメラ32b)で障害物(車両102)を撮影して、画像処理部33で車種や車両の台数が判別できれば、障害物の距離を算出することができるので、その距離を予め定められた値あるいは車両101の現在の車速を用いて除算して通常所要時間tを算出する。図12Bの場合は、VICSセンタ14から取得した渋滞情報に含まれる渋滞区間の距離を予め定められた値あるいは車両101の現在の車速を用いて除算して通常所要時間tを算出する。
【0103】
次に、障害物を回避する場合の所要時間を算出する(S72)。図12Aの場合は、車両102が右折を完了するまでの時間を推定演算する。例えば、予めデータベース44dあるいはメモリ9に記憶された値を用いる方法や、カメラ(右前方カメラ32c,右後方カメラ32d)あるいはレーダ34aを用い、対向車線の交通状態(車間距離および車速)を検出し、予めデータベース44dあるいはメモリ9に、障害物の距離,車間距離と車速との比,所要時間の関係を図18のようなテンプレートとして記憶しておき、そのテンプレートから所要時間を算出する。図12Bの場合は、VICSセンタ14から取得した渋滞情報に含まれる渋滞区間の通過予想時間を用いる。
【0104】
そして、障害物を回避する場合の所要時間と通常所要時間tとの差を損失時間tとして算出する(S73)。
【0105】
最後に、通常所要時間tおよび損失時間tから運転負担度を算出する(S74)。運転負担度は、例えば走行時間の増加割合とされ、(損失時間t/通常所要時間t)×100(%)のように算出される。
【0106】
(推奨走行誘導案決定処理の例1)
図13A〜図13Cを用いて、本発明の障害物回避の具体例について説明する。図13Aでは、車両101が片側2車線の道路を走行中に、目的地手前の、その走行レーンの前方に障害物(右折による渋滞車両)を検出した例を示している。図4の推奨走行誘導案決定処理において、レーン変更型走行誘導案,経路変更型走行誘導案,および非回避型走行誘導案についての運転負担度を算出する(S16〜S18)。
【0107】
図13Bに、算出された走行誘導案についての各運転負担度を示す。
(1)レーン変更型走行誘導案は、走行経路をEのように変更するものである。走行時間は増加せず(増加率:0(%))、隣の走行レーン(車両101の左側)の交通状態(車間距離と車速との比)も1で車間距離も余裕がある。しかし、目的地が障害物検出地点から近く、再度レーン変更を行うまでの距離が5mであるため、走行レーン変更後、直ちに元の走行レーンに戻らなくてはならない。また、運転習熟度が30(%)と比較的低いため、走行レーン変更および再変更に自信がないと判定し、レーン変更難易度は運転習熟度を基にテンプレート(図7,図8参照)から30(%)と算出される。よって、運転負担度は走行時間の増加率とレーン変更難易度との和の30(%)となる。
【0108】
(2)経路変更型走行誘導案は、走行経路をDに変更するもので、走行時間は5分増加して増加率は17(%)となる。運転習熟度は0(%)であるが、隣の走行レーンの交通状態はレーン変更を行うには困難な状態ではないため、レーン変更難易度は運転習熟度を基にテンプレートから0(%)と算出される。よって、運転負担度は走行時間の増加率とレーン変更難易度との和の17(%)となる。
【0109】
(3)非回避型走行誘導案は、走行時間は対向車線の交通状態から0.5分増えて増加率は2(%)となる。走行レーンの変更を行わないためレーン変更難易度は運転習熟度によらず0(%)と算出される。よって、運転負担度は走行時間の増加率とレーン変更難易度との和の2(%)となる。
【0110】
上記(1)〜(3)の各走行誘導案の運転負担度を比較して、運転負担度の最も低い走行誘導案を推奨走行誘導案として決定するため(図4のS20,S21)、上記の場合の推奨走行誘導案は非回避型走行誘導案となる。
【0111】
図13Cに、非回避型走行誘導案が推奨走行誘導案として決定された場合の表示器10における表示画面の一例を示す。車両101の現在位置はP(○に▲)、障害物は「×」で表される。現在の走行経路を維持するように案内される。
【0112】
(推奨走行誘導案決定処理の例2)
図14A〜図14Cを用いて、本発明の障害物回避の具体例の別例について説明する。図14Aでは、車両101が片側2車線の道路を走行中に、その走行レーンの前方に障害物(渋滞車両)を検出した例を示している。図4の推奨走行誘導案決定処理において、レーン変更型走行誘導案,経路変更型走行誘導案,および非回避型走行誘導案についての運転負担度を算出する(S16〜S18)。
【0113】
図14Bに、算出された走行誘導案についての各運転負担度を示す。
(1)レーン変更型走行誘導案は、走行経路(案内経路)をGに変更するもので、走行時間は増加せず(増加率:0(%))、隣の走行レーン(車両101の左側)の交通状態も交通量は多いが車間距離と車速との比が1で車間距離も余裕がある。さらに、目的地が障害物検出地点から近く、再度レーン変更を行うまでの距離が1000mであるため、運転習熟度が10(%)と比較的低くても、走行レーン変更および再変更は十分可能と判定し、レーン変更難易度は運転習熟度を基にテンプレートから10(%)と算出される。よって、運転負担度は走行時間の増加率とレーン変更難易度との和の10(%)となる。
【0114】
(2)経路変更型走行誘導案は、走行経路(案内経路)をFに変更するもので、走行時間は1.5分減小して増加率は−5(%)となる。また、走行レーン変更を行わないため、レーン変更難易度は運転習熟度によらず0(%)と算出される。よって、運転負担度は走行時間の増加率とレーン変更難易度との和の−5(%)となる。
【0115】
(3)非回避型走行誘導案は、走行時間は対向車線の交通状態から2分増加して増加率は7(%)となる。走行レーンの変更を行わないためレーン変更難易度は運転習熟度によらず0(%)と算出される。よって、運転負担度は走行時間の増加率とレーン変更難易度との和の7(%)となる。
【0116】
上記(1)〜(3)の各走行誘導案の運転負担度を比較して、運転負担度の最も低い走行誘導案を推奨走行誘導案として決定するため(図4のS20,S21)、上記の場合の推奨走行誘導案は経路変更型走行誘導案となる。
【0117】
図14Cに、経路変更型走行誘導案が推奨走行誘導案として決定された表示器10における表示画面の一例を示す。車両101の現在位置はP(○に▲)、障害物は「×」で表される。新しい走行経路(案内経路)が表示されて、その走行経路を走行するように案内される。この場合、少なくとも自車の現在位置が走行経路Fを含む道路との交差点の手前30mに到達するまでに報知が行われる。
【0118】
図15に、レーン変更型走行誘導案が推奨走行誘導案として決定された場合の表示器10における表示画面の一例を示す。車両101の現在位置はP(○に▲)、障害物は「×」で表される。走行するレーンが指示されて、その走行レーンを走行するように案内される。
【0119】
また、レーン変更型走行誘導案が推奨走行誘導案として決定された場合、案内経路が障害物の手前あるいは障害物の前方でレーン変更するように案内されるときは、元の走行レーンに戻らずに案内経路にしたがって誘導するようにしてもよい。この場合も、例えば「この先、左方向のため、このレーンを走行して下さい」というようなメッセージを表示あるいは送出してユーザに報知してもよい。
【0120】
上述の推奨走行誘導案の報知は、走行レーン変更地点あるいは経路変更地点から、例えば30mのような所定の距離だけ手前の地点で行う。走行レーンの変更を行うタイミングあるいは経路変更を行うタイミングの所定時間前でもよい。タイミングは、車両101の現在位置と走行レーン変更地点あるいは経路変更地点までの距離と車速とにより算出できる。ユーザの運転習熟度に合わせて報知する地点やタイミングを変えてもよい。
【0121】
図16,図17を用いて、図4のステップS19に相当する、交差点渋滞時についての運転負担度算出処理について説明する。これは、図17のように信号機(104,105)から、信号機の各灯(青,黄,赤,矢印)の点灯時間を取得して、取得した点灯時間を基に運転負担度を算出するものである。
【0122】
まず、図4のステップS12で特定された障害物が右左折車両でない場合(S91:No)、運転負担度を算出せずに(S96)本処理を終了する。障害物が右左折車両であるかどうかの判定は、まず、障害物を特定した地点が交差点あるいは交差点の所定の距離手前であることを、地図データ21mを用いて判定する。次いで、車両101の前方を撮影するカメラ(32a〜32c)で撮影された障害物画像を画像処理部33で解析し、予めデータベース44dに記憶される車両を表す基準画像と比較し、障害物画像が車両と判定された場合に、道路上の白線を基準として用い、その車両が走行レーンのどの位置に停止しているかを調べる。例えば、図17の車両102のように右折可能な走行レーンで走行レーンの右側に寄っている場合は右折車両と判定する。また、車両103のように左折可能な走行レーンで走行レーンの左側に寄っている場合は左折車両と判定する。
【0123】
一方、特定された障害物が右左折車両である場合(S91:Yes)、まず、障害物が非存在と仮定した場合の当該区間を走行するための所要時間である通常所要時間tを算出する(S92)。交差点の位置は地図データ21mに記憶されているので、交差点と車両101に最も近い障害物(車両)との距離(渋滞距離)を求める。その渋滞距離を予め定められた値あるいは車両101の現在の車速を用いて除算して通常所要時間tを算出する。
【0124】
次に、交通信号情報を取得する(S93)。信号機(104,105)には通信ユニット25とデータ通信可能な通信機が含まれ、通信ユニット25からのデータ要求信号に応答する形で車両101に対して交通信号情報を送信する。交通信号情報には、信号機の位置および信号機の各灯(青,黄,赤,矢印)の点灯時間が含まれる。また、カメラ(32a〜32c)で車両前方を撮影し、撮影された画像に信号機が含まれている場合は、時計IC88から取得される撮影時刻と画像処理部33で得られる信号機の状態とから、信号機の各灯(青,黄,赤,矢印)の点灯時間を求めてもよい。こうすれば、車両〜信号機間の通信手段は不要となる。
【0125】
次に、この障害物が例えば、右折車両による渋滞である場合、信号機104の右折可能時間(黄色点灯時間あるいは右折矢印信号の点灯時間t)から、この交差点を通過するまでの待ち時間を算出することができる。すなわち、右折可能時間に右折可能な車両の台数は1秒あたりN台のように予め決めておくことができる。車両1台あたりの占有距離を例えば5mとすれば、交通信号1周期あたりの渋滞の減少距離をN×5×t(m)と算出することができる。
【0126】
そして、赤から青に変わるまでの時間tから、障害物を回避する場合の所要時間と通常所要時間tとの差を損失時間tとして算出する(S94)。車両101の直前の右折車両が右折する時間は(渋滞距離÷交通信号1周期あたりの渋滞の減少距離+1)×tと算出することができる。よって、損失時間tは、(渋滞距離÷交通信号1周期あたりの渋滞の減少距離+1)×t−tとなる。
【0127】
最後に、通常所要時間tおよび損失時間tから運転負担度を算出する(S95)。運転負担度は、例えば走行時間の増加割合とされ、(損失時間t/通常所要時間t)×100(%)のように算出することができる。
【0128】
特定された障害物が左折車両の場合、tは信号機104の左折可能時間(青色点灯時間あるいは左折矢印信号の点灯時間)となる。
【0129】
特定された障害物が交差点手前の右左折車両である場合は、上記説明により算出される運転負担度と、レーン変更型走行誘導案,経路変更型走行誘導案,非回避型走行誘導案により算出される運転負担度とを比較して、運転負担度のより小さいものを推奨走行誘導案とする。
【0130】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】車載用ナビゲーション装置の構成を示すブロック図。
【図2】カメラの搭載例を示す図。
【図3】レーダの搭載例を示す図。
【図4】推奨走行誘導案決定処理を説明するフロー図。
【図5】レーン変更型走行誘導案についての運転負担度算出処理を説明するフロー図。
【図6】レーン変更型走行の概念を示す図。
【図7】レーン変更難易度テンプレートの一例を示す図。
【図8】天候や走行時間帯を難易度に加味する例を示す図。
【図9】経路変更型走行誘導案についての運転負担度算出処理を説明するフロー図。
【図10】経路変更型走行の概念を示す図。
【図11】非回避型走行誘導案についての運転負担度算出処理を説明するフロー図。
【図12A】非回避型走行誘導の概念を示す図。
【図12B】非回避型走行誘導の概念の別例を示す図。
【図13A】障害物回避の具体例を説明する図。
【図13B】図13Aにおける各運転負担度を示す図。
【図13C】図13Aにおける表示画面例を示す図。
【図14A】障害物回避の具体例の別例を説明する図。
【図14B】図14Aにおける各運転負担度を示す図。
【図14C】図14Aにおける表示画面例を示す図。
【図15】レーン変更型走行誘導案における表示画面例を示す図。
【図16】特定された障害物が交差点手前の右左折車両である場合の運転負担度算出処理を説明するフロー図。
【図17】運転負担度算出処理の概念を示す図。
【図18】障害物の距離,車間距離と車速との比,所要時間の関係を示す図。
【符号の説明】
【0132】
1 位置検出器
7 操作スイッチ群
8 制御回路(走行誘導案作成手段,運転負担度情報作成手段,推奨走行誘導案決定手段,レーン変更難易度情報取得手段,運転習熟度取得手段)
10 表示器(報知手段)
12 リモコン端末
13 送受信機
14 VICSセンタ
15 スピーカ
21 ハードディスク装置(HDD)
21d データベース(交通状態別レーン変更難易度記憶手段)
21m 地図データ
22 タッチパネル
25 通信ユニット
31 マイク
32a〜32f カメラ(変更先レーン交通状態取得手段)
33 画像処理部
34a,34b レーダ(変更先レーン交通状態取得手段)
100 車載用ナビゲーション装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子道路地図と車両の現在位置データとに基づき目的地への走行経路を案内する車載用ナビゲーション装置であって、
前記走行経路上に存在する障害物を特定する障害物特定手段と、
特定された前記障害物を回避するための走行誘導案として、現在設定中の走行経路を変更せず、走行レーンは変更することにより前記障害物を回避するレーン変更型誘導案と、現在設定中の走行経路から前記障害物を迂回可能な代替走行経路へ変更することにより前記障害物を回避する経路変更型誘導案とを含む複数の走行誘導案を、前記電子道路地図の情報に基づいて作成する走行誘導案作成手段と、
前記レーン変更型誘導案に従って走行した場合と、前記経路変更型誘導案に従って走行した場合とのそれぞれについて、前記車両のユーザの運転負担度を反映した運転負担度情報を作成する運転負担度情報作成手段と、
各前記走行誘導案についての前記運転負担度情報の内容比較に基づいて、前記複数の走行誘導案の中から推奨走行誘導案を決定する推奨走行誘導案決定手段と、
前記推奨走行誘導案を前記ユーザに報知する報知手段と、
を備えることを特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記走行誘導案作成手段は、前記レーン変更型誘導案及び前記経路変更型誘導案とともに、現在設定中の走行経路上にて前記障害物を回避せずレーンキープして走行継続する非回避型走行誘導案も作成するものであり、
前記推奨走行誘導案決定手段は、前記レーン変更型誘導案、前記経路変更型誘導案及び前記非回避型走行誘導案のいずれかから前記推奨走行誘導案を決定するものである請求項1に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項3】
前記運転負担度情報作成手段は、前記非回避型走行誘導案に従って走行した場合についての運転負担度情報も作成するものである請求項2に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項4】
前記運転負担度情報作成手段は、各前記走行誘導案における推定走行時間情報を含むものとして前記運転負担度情報を作成するものであり、
前記推奨走行誘導案決定手段は、前記推定走行時間の小さい走行誘導案ほど優位となるように、前記推奨走行誘導案を決定するものである請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項5】
前記推定走行時間情報は、前記車両の現在位置から、前記目的地に至る経路上にて各前記走行誘導案の全てに共有される特定地点に至る形で各走行誘導案別に定められた走行時間算出経路の距離に基づいて各々算出される請求項4に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項6】
前記運転負担度情報作成手段は、前記車両の現在位置から前記特定地点までを、前記障害物が非存在と仮定して現在設定中の走行経路に従い走行した場合の所要時間を通常所要時間tとして算出し、他方、各前記走行誘導案に従って走行した場合の所要時間の前記通常所要時間tからの増分を反映した所要時間増分情報を、個々の走行誘導案について算出するとともに、
前記推奨走行誘導案決定手段は、前記所要時間増分情報に反映される前記所要時間の増分が小さい走行誘導案ほど優位となるように、前記推奨走行誘導案を決定するものである請求項5に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項7】
前記運転負担度情報作成手段は、前記レーン変更型誘導案に従って走行した場合の所要時間の前記通常所要時間tからの増分がゼロとなるように前記所要時間増分情報を作成する請求項6に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項8】
前記運転負担度情報作成手段は、前記経路変更型誘導案に従って走行した場合の所要時間の前記通常所要時間tからの増分を、前記代替走行経路の前記現在設定中の走行経路からの距離増分に基づいて前記所要時間増分情報を作成する請求項6または請求項7に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項9】
請求項3に記載の要件を備え、
前記運転負担度情報作成手段は、前記非回避型走行誘導案に従って走行する場合の所要時間の前記通常所要時間tからの増分を、前記障害物に起因した損失時間tとして算出する請求項5に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項10】
前記障害物特定手段は、車外から取得する交通情報に基づき渋滞を前記障害物として特定するものであり、前記運転負担度情報作成手段は、前記渋滞の通過に要する時間増分を前記損失時間tとして算出する請求項6に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項11】
前記障害物特定手段は、交通信号の点灯状態により右折又は左折を阻まれる形で現在走行中のレーンを塞ぐ滞留車両を前記障害物として特定するものであり、前記運転負担度情報作成手段は、前記滞留車両が右折又は左折可能となる点灯状態に前記交通信号が切り替わるまでに要する時間を前記損失時間tとして車外から取得する請求項6または請求項7に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項12】
前記障害物特定手段は、カメラによる車両前方の撮影画像に基づいて前記滞留車両を特定するものである請求項11に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項13】
前記車両のレーン変更に係る技術的難易度を反映したレーン変更難易度情報を取得するレーン変更難易度情報取得手段を備え、
前記運転負担度情報作成手段は、前記レーン変更型誘導案に従って走行する場合の前記運転負担度情報を、取得した前記レーン変更難易度情報を含むものとして作成する請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項14】
変更先レーンの交通状態とレーン変更難易度との関係を記憶した交通状態別レーン変更難易度記憶手段を備え、
前記レーン変更難易度情報取得手段は、前記変更先レーンの交通状態を取得する変更先レーン交通状態取得手段を有し、当該取得した交通状態に対応するレーン変更難易度を前記レーン変更難易度情報記憶手段にて読み取ることにより取得する請求項13に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項15】
前記交通状態別レーン変更難易度記憶手段は、前記変更先レーンの車間距離及び車速のレベルに応じて前記レーン変更難易度を規定するものであり、
前記変更先レーン交通状態取得手段は、前記変更先レーンの車間距離及び車速の情報を前記交通状態の情報として取得する請求項14に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項16】
前記交通状態別レーン変更難易度記憶手段は、前記ユーザの運転習熟度のレベルに応じて前記レーン変更難易度を規定するものであり、
前記技術的難易度情報取得手段は、前記ユーザの運転習熟度を取得する運転習熟度取得手段を有し、当該取得した運転習熟度に対応するレーン変更難易度を前記レーン変更難易度情報記憶手段にて読み取ることにより取得する請求項14又は請求項15に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項17】
前記レーン変更型誘導案は、前記レーン変更により前記障害物を回避した後、変更前のレーンへの復帰を要求するものとして作成され、
前記交通状態別レーン変更難易度記憶手段は、前記レーン変更により前記障害物を回避した後、変更前のレーンへ復帰するまでに要する走行距離である変更レーン走行距離に応じて前記レーン変更難易度を規定するものであり、
前記技術的難易度情報取得手段は、前記レーン変更型誘導案に反映された前記変更レーン走行距離に対応するレーン変更難易度を前記レーン変更難易度情報記憶手段にて読み取ることにより取得する請求項14ないし請求項16のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項18】
前記現在設定中の走行経路の情報が、前記目的地への案内経路が要求する右折又は左折のためのレーンキープ情報を含む請求項17に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項19】
前記交通状態別レーン変更難易度記憶手段は、現在の天候に応じて前記レーン変更難易度を規定するものであり、
前記変更先レーン交通状態取得手段は、前記天候の情報を取得する天候情報取得手段を備え、取得した天候に対応するレーン変更難易度を前記レーン変更難易度情報記憶手段にて読み取ることにより取得する請求項14ないし請求項18のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項20】
前記運転負担度情報作成手段は、取得された前記レーン変更難易度に基づいて、前記レーン変更型誘導案に従って走行した場合の所要時間増分情報を補正する走行時間補正手段を含み、
前記推奨走行誘導案決定手段は、前記レーン変更型誘導案に対応した前記補正後の所要時間増分情報を、他の走行誘導案の所要時間増分情報と比較し、その比較結果に基づいて、前記複数の走行誘導案の中から推奨走行誘導案を決定するものである請求項13ないし請求項19のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−39501(P2008−39501A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−211780(P2006−211780)
【出願日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】