説明

MEMSセンサおよびその製造方法、ならびにMEMSパッケージ

【課題】上部電極の直下に下部電極を簡単に形成でき、上部電極と下部電極との短絡を防止し、センサの検出精度を向上できるMEMSセンサおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】ベース基板7上に駆動用電極22を選択的に形成し、駆動用電極22を被覆するように、SiOからなる電極被覆膜23を形成する。次に、電極被覆膜23上に、犠牲ポリシリコン層52および犠牲酸化膜53を順に形成する。次に、犠牲酸化膜53上に、ポリシリコン層26を形成し、エッチングにより、固定電極27、可動電極28およびコンタクト電極29の形状に成形する。同時に、それらの間にトレンチ56を形成する。次に、トレンチ56の底部をさらに掘り下げて、犠牲酸化膜53から犠牲ポリシリコン層52を露出させる。そして、犠牲ポリシリコン層52を完全に除去することにより、固定電極27の櫛歯部32および可動電極28の櫛歯部39の直下に空洞37を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MEMSセンサの製造方法および当該製造方法により製造されたMEMSセンサ、ならびに当該MEMSセンサを備えるMEMSパッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
静電容量型加速度センサは、互いに対向する電極間(固定電極−可動電極間)の静電容量の変化量を検出することにより、加速度を検出する。
特許文献1の図1a〜図1gに開示された加速度センサ(100)は、たとえば、絶縁層(132)を介して順に積層されたSi電極(112)およびメタル電極(122)の2層からなる固定部(400)と、固定部(400)のSi電極(112)と同一形状をなし、基準姿勢(特許文献1の図1d)において当該Si電極(112)に完全に向かい合うSi電極(116)の単層からなる可動部(300)とを備えている。加速度センサ(100)は、加速度の作用により上下に振動する可動部(300)のSi電極(116)と、固定部(400)のSi電極(112)との間の静電容量の変化量を検出することにより、Z軸方向の加速度を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6792804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の加速度センサ(100)において、可動部(300)の下方の空洞(640)(特許文献1の図6g)に電極を設けることができれば、可動部(300)と協働してキャパシタを形成する固定電極(下部電極)を、Si基板の表面に沿って形成することができる。下部電極がSi基板の表面に沿って形成される構成であれば、可動部(300)に対する下部電極の対向面積を大きくしやすい。そのため、可動部(300)と下部電極との間のキャパシタ容量を増やすことができ、それにより、センサの検出精度を向上できるかもしれない。
【0005】
しかしながら、特許文献1の発明では、可動部(300)が、Si基板に複数のトレンチを形成し、等方性エッチングにより当該トレンチの下方部を互いに連続させることにより形成される(特許文献1の図6a〜図6g)。そのため、可動部(300)形成前および形成後のいずれのタイミングにおいても、可動部(300)の下方に下部電極を形成することは困難である。
【0006】
たとえ形成できても、下部電極が空洞(640)に単に配置される構成では、当該下部電極に可動部(300)が接近した際、下部電極と可動部(300)とが接触し、短絡するおそれがある。
そこで、本発明の目的は、上部電極の直下に、空洞を介して下部電極を簡単に形成することができ、さらに、当該上部電極と下部電極との短絡を防止し、センサの検出精度を向上させることができるMEMSセンサおよびその製造方法を提供することである。
【0007】
また、本発明の他の目的は、検出精度に優れるMEMSセンサを備えるMEMSパッケージを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための請求項1記載の発明は、半導体基板上に選択的に下部電極を形成する工程と、前記半導体基板上に、前記下部電極を被覆するように、ポリシリコンに対してエッチング選択比を有する材料からなる電極被覆膜を積層する工程と、前記電極被覆膜上に、選択的に犠牲ポリシリコン層を形成する工程と、前記電極被覆膜上に、前記犠牲ポリシリコン層を被覆するように犠牲酸化膜を積層する工程と、前記犠牲酸化膜上に、電極用ポリシリコン層を形成する工程と、前記電極用ポリシリコン層を選択的にエッチングすることにより、上部電極に形成する工程と、前記上部電極の側壁を覆うように、ポリシリコンに対してエッチング選択比を有する保護膜を形成する工程と、前記犠牲酸化膜の一部を除去して、前記犠牲ポリシリコン層を露出させる工程と、露出した前記犠牲ポリシリコン層を除去することにより、前記上部電極の直下に空洞を形成する工程とを含む、MEMSセンサの製造方法である。
【0009】
この方法によれば、上部電極は、半導体基板上に下部電極形成後、当該半導体基板上に、電極用ポリシリコン層を用いて形成される。そのため、上部電極の形成前に、上部電極の直下に下部電極を簡単に形成することができる。さらに、下部電極と電極用ポリシリコン層との間に犠牲ポリシリコン層が形成され、上部電極形成後、当該犠牲ポリシリコン層が除去される。そのため、上部電極と下部電極との間に空洞を簡単に形成することができる。これにより、上部電極と下部電極とが、空洞を隔てて上下に対向したキャパシタを有するMEMSセンサを製造することができる。
【0010】
このようなMEMSセンサは、たとえば、請求項7記載のように、半導体基板と、前記半導体基板上に選択的に形成された下部電極と、絶縁材料からなり、前記下部電極を被覆するように前記半導体基板上に形成された電極被覆膜と、前記電極被覆膜の上方に間隔を隔てて形成され、当該電極被覆膜を介して前記下部電極と対向する上部電極とを有するポリシリコン層とを含む。
【0011】
この構成によれば、下部電極が半導体基板の表面に沿って形成されている。そのため、下部電極の面積を調整することにより、上部電極と下部電極とのキャパシタ容量を、センサ動作に最適な大きさに制御することができる。
しかも、犠牲ポリシリコン層の除去により空洞が形成された後でも、下部電極が、電極被覆膜に覆われている。そのため、上部電極が下部電極に接近しても、上部電極と下部電極との接触を防止することができる。その結果、上部電極と下部電極との短絡を防止することができる。よって、センサの動作不良を減らすことができる。
【0012】
これらの結果、本発明のMEMSセンサによれば、センサの検出精度を向上させることができる。
また、請求項2記載の発明は、前記上部電極を形成する工程が、前記電極用ポリシリコン層を、互いに間隔を空けて噛み合う櫛歯状の固定電極および可動電極に成形する工程を含む、請求項1に記載のMEMSセンサの製造方法である。
【0013】
この方法により、請求項8記載のMEMSセンサ、すなわち、前記上部電極が、互いに間隔を空けて噛み合う櫛歯状の固定電極および可動電極を含む、請求項7に記載のMEMSセンサを製造することができる。
当該MEMSセンサでは、固定電極と可動電極とにより構成されるキャパシタを、センサ動作に利用することができる。これにより、センサの検出動作に関与するキャパシタを増やすことができるので、センサの検出精度を一層向上させることができる。
【0014】
また、請求項3記載の発明は、前記犠牲ポリシリコン層の除去後、前記保護膜を前記固定電極および前記可動電極の側壁から除去する工程をさらに含む、請求項2に記載のMEMSセンサの製造方法である。
製造後のMEMSセンサにおいて、固定電極および可動電極の側壁に保護膜が残存していると、保護膜がない場合に比べて、固定電極および可動電極が帯電しやすい。そのため、たとえば、固定電極と可動電極との間に電圧X(V)が印加されるとき、帯電により生じた固定電極−可動電極間の電位差を、固定電極と可動電極との間に印加された電圧であるとセンサが誤認識する、いわゆるメモリ効果を生じるおそれがある。その結果、固定電極−可動電極間に電圧X(V)に満たない電圧が印加され、設計通りの検出性能を発揮できない場合がある。
【0015】
そこで、請求項3に記載の製造方法により製造されたMEMSセンサでは、固定電極および可動電極の側壁が露出している。そのため、上述したメモリ効果の発生を減らすことができる。その結果、固定電極−可動電極間に必要十分な電圧を印加することができ、設計通りの検出性能を確実に発揮することができる。
また、請求項4記載の発明は、前記電極用ポリシリコン層の形成に先立って、前記電極被覆膜を貫通して前記下部電極を選択的に露出させる開口を形成する工程をさらに含み、前記電極用ポリシリコン層を形成する工程は、前記犠牲酸化膜上に前記電極用ポリシリコン層を形成すると同時に、前記電極用ポリシリコン層の一部を前記電極被覆膜の前記開口に入り込ませて前記下部電極に接触させる工程を含み、前記上部電極を形成する工程は、前記上部電極から分離され、前記下部電極に接触したコンタクト電極を形成する工程を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のMEMSセンサの製造方法である。
【0016】
この方法により、請求項9記載のMEMSセンサ、すなわち、前記ポリシリコン層は、前記電極被覆膜を貫通して前記下部電極に接触するコンタクト電極をさらに有する、請求項7または8に記載のMEMSセンサを製造することができる。
当該MEMSセンサでは、上部電極を形成する電極用ポリシリコン層の一部を利用して、コンタクト電極が上部電極と同一層に形成されている。そのため、上部電極および下部電極に対するコンタクトを、同一層(ポリシリコン層)に集約することができる。
【0017】
その結果、たとえば、請求項5記載のように、コンタクト電極上に配線を形成する際に、上部電極に対するコンタクト配線を同じ工程で形成することができる。その結果、製造工程の数を減らすことができ、コストを低減することができる。
そして、請求項5記載の製造方法により、請求項10記載のMEMSセンサ、すなわち、前記コンタクト電極上に形成された配線をさらに含む、請求項9に記載のMEMSセンサを製造することができる。
【0018】
また、前記コンタクト電極上に配線を形成する工程は、請求項6記載のように、前記上部電極上にも同時に配線を形成する工程を含んでいてもよい。
また、上述したMEMSセンサは、請求項11記載のように、前記下部電極と前記可動電極との間の静電容量の変化を検出することにより、前記MEMSセンサに作用した加速度を検出する加速度センサを含んでいてもよい。
【0019】
この構成では、下部電極と可動電極とで構成されるキャパシタと、固定電極と可動電極とで構成されるキャパシタとを含む複数のキャパシタにより加速度を検出することができる。そのため、センサに作用する加速度を精度よく検出することができる。
また、上述したMEMSセンサは、請求項12記載のように、前記可動電極を前記下部電極に近づく方向および離れる方向に駆動させ、その駆動時に前記MEMSセンサに作用する角速度を、前記可動電極と前記固定電極との間の静電容量の変化を検出することにより検出する角速度センサを含んでいてもよい。
【0020】
この構成では、下部電極の面積を調整することにより、可動電極に対する下部電極の面積を、可動電極に対する固定電極の面積よりも大きくすることができる。そのため、櫛歯状に噛み合う固定電極と可動電極との間に駆動電圧を印加する場合に比べて、可動電極を大きな振幅で振動させることができる。その結果、角速度の検出感度を向上させることができる。
【0021】
また、請求項13記載の発明は、前記下部電極は、櫛歯状の前記可動電極の全体に対向するように、当該可動電極の各櫛歯を横切る方向に沿って形成されている、請求項8または請求項8に係る請求項9〜12のいずれか一項に記載のMEMSセンサである。
この構成では、可動電極に対して大きな面積で下部電極を対向させることができるので、下部電極−可動電極間のキャパシタ容量を増やすことができる。その結果、センサの検出精度を向上させることができる。
【0022】
また、前記電極被覆膜は、請求項14記載のように、SiOからなっていてもよい。また、前記上部電極の側壁は、請求項15記載のように、絶縁材料からなる保護薄膜で覆われていてもよい。
また、請求項16記載の発明は、請求項7〜15のいずれか一項に記載のMEMSセンサと、前記MEMSセンサを覆うように形成された樹脂パッケージとを含む、MEMSパッケージである。
【0023】
この構成によれば、本発明のMEMSセンサが用いられている。そのため、当該MEMSセンサにおいて、上部電極と下部電極とのキャパシタ容量をセンサ動作に最適な大きさに制御することができ、しかも、上部電極と下部電極との短絡を防止することができる。その結果、検出精度に優れるMEMSセンサを備えるMEMSパッケージを提供することができる。
【0024】
また、上述したMEMSパッケージは、請求項17記載のように、前記MEMSセンサに電気的に接続され、前記MEMSセンサとともに同一の前記樹脂パッケージに覆われた集積回路をさらに含んでいてもよい。また、請求項18記載のように、表面および裏面を有し、当該表面において前記MEMSセンサを支持する基板をさらに含む場合、前記樹脂パッケージは、前記基板の前記表面を覆うように、かつ前記基板の前記裏面を露出させるように前記MEMSセンサを封止していてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態に係るMEMSパッケージの模式的な斜視図である。
【図2】図1に示すZ軸センサの模式的な断面図である。
【図3A】図2に示すZ軸センサの製造工程の一部を示す断面図であって、図2と同じ位置での切断面を示す。
【図3B】図3Aの次の工程を示す図である。
【図3C】図3Bの次の工程を示す図である。
【図3D】図3Cの次の工程を示す図である。
【図3E】図3Dの次の工程を示す図である。
【図3F】図3Eの次の工程を示す図である。
【図3G】図3Fの次の工程を示す図である。
【図3H】図3Gの次の工程を示す図である。
【図3I】図3Hの次の工程を示す図である。
【図3J】図3Iの次の工程を示す図である。
【図3K】図3Jの次の工程を示す図である。
【図3L】図3Kの次の工程を示す図である。
【図4】図2に示すZ軸センサを、加速度センサに利用する場合の形態を示す平面図である。
【図5】図2に示すZ軸センサの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
<MEMSパッケージの全体構成>
図1は、本発明の一実施形態に係るMEMSパッケージの模式的な斜視図である。
MEMSパッケージ1は、たとえば、ビデオカメラやスチルカメラの手ぶれ補正、カーナビの位置検出、ロボットやゲーム機のモーション検出などの用途に用いられる。
【0027】
MEMSパッケージ1は、基板2と、MEMSセンサとしての角速度センサ3と、外部端子4と、集積回路5(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)と、樹脂パッケージ6とを含んでいる。
基板2は、表面および裏面を有する長方形板状に形成されている。
角速度センサ3は、基板2の表面側における長手方向一端部に配置されている。角速度センサ3は、正方形板状のSi基板からなるベース基板7と、ベース基板7の中央部に設けられたセンサ部8と、ベース基板7におけるセンサ部8の側方に配置され、センサ部8に電圧を供給するための電極パッド9とを含んでいる。
【0028】
センサ部8は、三次元空間において直交する3つの軸まわりの角速度をそれぞれ検出するセンサとして、X軸センサ10、Y軸センサ11およびZ軸センサ12を有している。これら3つのセンサ10〜12は、たとえばSi基板からなる蓋基板13がベース基板7に接合されることにより、蓋基板13により覆われて密閉されている。
X軸センサ10は、X軸方向の振動Uxを利用して、MEMSパッケージ1が傾いた際にZ軸方向にコリオリ力Fzを発生させ、当該コリオリ力による静電容量の変化を検出することにより、Y軸まわりに作用する角速度ωyを検出する。また、Y軸センサ11は、Y軸方向の振動Uyを利用して、MEMSパッケージ1が傾いた際にX軸方向にコリオリ力Fxを発生させ、当該コリオリ力による静電容量の変化を検出することにより、Z軸まわりに作用する角速度ωzを検出する。また、Z軸センサ12は、Z軸方向の振動Uzを利用して、MEMSパッケージ1が傾いた際にY軸方向にコリオリ力Fyを発生させ、当該コリオリ力による静電容量の変化を検出することにより、X軸まわりに作用する角速度ωxを検出する。
【0029】
電極パッド9は、基板2の長手方向に直交する幅方向に沿って、互いに等しい間隔を空けて複数(図1では、7個)設けられている。
外部端子4は、基板2の長手方向他端部(角速度センサ3とは反対側の端部)において、基板2の幅方向に沿って互いに等しい間隔を空けて複数(図1では、12個)設けられている。各外部端子4は、基板2を厚さ方向に貫通して形成されており、基板2の表面に内部パッド14として、基板2の裏面に外部パッド15として露出している。
【0030】
集積回路5は、基板2の表面側において、角速度センサ3と外部端子4(内部パッド14)との間に配置されている。集積回路5は、たとえば、基板2の幅方向に長手な長方形板状のSi基板からなる。当該Si基板の内部には、各センサ10〜12から出力された電気信号を増幅するチャージアンプ、当該電気信号の特定の周波数成分を取り出すフィルタ回路(ローパスフィルタ:LPFなど)、フィルタリング後の電気信号を論理演算する論理回路等が形成されている。これらの回路は、たとえば、CMOSデバイスにより構成されている。また、集積回路5は、第1電極パッド16と、第2電極パッド17とを有している。
【0031】
第1電極パッド16は、基板2の長手方向における角速度センサ3に近い側の端部において、基板2の幅方向に沿って互いに等しい間隔を空けて複数(図1では、7個)設けられている。第1電極パッド16は、ボンディングワイヤ18により、角速度センサ3の電極パッド9と1対1で接続されている。
第2電極パッド17は、基板2の長手方向における外部端子4に近い側の端部において、基板2の幅方向に沿って互いに等しい間隔を空けて複数(図1では、12個)設けられている。第2電極パッド17は、ボンディングワイヤ19により、外部端子4の内部パッド14と1対1で接続されている。
【0032】
樹脂パッケージ6は、基板2と協働してMEMSパッケージ1の外形をなし、略直方体状に形成されている。樹脂パッケージ6は、たとえば、エポキシ樹脂など公知のモールド樹脂からなり、角速度センサ3および集積回路5とともにボンディングワイヤ18,19および内部パッド14を覆い、外部パッド15を露出させるように、角速度センサ3および集積回路5を封止している。
<Z軸センサの構成>
次に、図2を参照して、Z軸センサ12の構成を説明する。
【0033】
角速度センサ3は、前述のように、ベース基板7(たとえば、625μm厚)を備えている。
ベース基板7の表面20には、ベース絶縁膜21(たとえば、10000Å厚)が形成されている。ベース絶縁膜21は、SiO(酸化シリコン)からなる。
ベース絶縁膜21上には、下部電極としての駆動用電極22(たとえば、5000Å厚)が形成されている。駆動用電極22は、ポリシリコンからなる。
【0034】
また、ベース絶縁膜21上には、駆動用電極22を被覆する電極被覆膜23(たとえば、5000Å厚)が形成されている。電極被覆膜23は、SiOからなる。電極被覆膜23には、駆動用電極22の一部をパッド24として露出させるための開口25が形成されている。
電極被覆膜23上には、ポリシリコン層26(たとえば、10μm厚)が形成されている。ポリシリコン層26は、上部電極としての固定電極27および可動電極28と、コンタクト電極29とを含んでいる。
【0035】
固定電極27は、電極被覆膜23の表面30に立設されたコンタクト部31と、電極被覆膜23の上方において、ベース基板7の表面20に沿って櫛歯状に配列された複数の電極からなる櫛歯部32とを含んでいる。
固定電極27のコンタクト部31は、電極被覆膜23の表面30に固定されたベース部33(たとえば、5μm高)と、当該ベース部33の頂部に一体的に連結され、櫛歯部32と同じ厚さ(後述)を有する連結部34とを含んでいる。
【0036】
連結部34は、ベース部33の側面35よりも外側に張り出すように形成されている。これにより、連結部34の側面36とベース部33の側面35との間には、段差Sが形成されている。
固定電極27の櫛歯部32は、コンタクト部31の連結部34と一体的に形成されており、当該連結部34によって、電極被覆膜23の表面30との間に空洞37を形成するように片持ち支持されている。つまり、櫛歯部32は、コンタクト部31のベース部33の高さ分、電極被覆膜23の表面30から浮いた状態で支持されている。また、櫛歯部32の厚さ(ベース部33の頂部からポリシリコン層26の表面までの高さ)は、たとえば、15μm程度である。
【0037】
可動電極28は、電極被覆膜23の表面30に立設されたコンタクト部38と、電極被覆膜23の上方において、固定電極27の櫛歯部32の各間に1つずつ配置された複数の電極からなり、全体として固定電極27の櫛歯部32に噛み合う櫛歯部39とを含んでいる。当該櫛歯部39と、固定電極27の櫛歯部32との各間には、たとえば、2μm程度の距離(電極間距離d)が設けられている。
【0038】
可動電極28のコンタクト部38は、固定電極27のコンタクト部31に対して、固定電極27の櫛歯部32の反対側に設けられている。コンタクト部38は、電極被覆膜23の表面30に固定されたベース部40(たとえば、5μm高)と、当該ベース部40の頂部に一体的に連結され、櫛歯部39と同じ厚さ(後述)を有する連結部41とを含んでいる。
【0039】
連結部41は、ベース部40の側面42よりも外側に張り出すように形成されている。これにより、連結部41の側面43とベース部40の側面42との間には、段差Sが形成されている。
可動電極28の櫛歯部39は、コンタクト部38の連結部41と一体的に形成されており、当該連結部41によって、固定電極27の櫛歯部32と同様に、電極被覆膜23の表面30との間に空洞37を形成するように片持ち支持されている。つまり、櫛歯部39は、コンタクト部38のベース部40の高さ分、電極被覆膜23の表面30から浮いた状態で支持されている。また、櫛歯部39の厚さ(ベース部40の頂部からポリシリコン層26の表面までの高さ)は、たとえば、15μm程度である。
【0040】
そして、この実施形態では、駆動用電極22は、空洞37の直下において、櫛歯状に噛み合う固定電極27および可動電極28の櫛歯部32,39を横切るように、両端の櫛歯(図2では、コンタクト電極29に最も近い櫛歯部32、および固定電極27のコンタクト部31に最も近い櫛歯部39)に跨って形成されている。これにより、1つの駆動用電極22が、固定電極27および可動電極28の櫛歯部32,39全体に対向している。
【0041】
コンタクト電極29は、電極被覆膜23の開口25を介して駆動用電極22に接続されたベース部44(たとえば、5μm高)と、当該ベース部44の頂部に一体的に連結された連結部45とを含んでいる。
連結部45は、ベース部44の側面46よりも外側に張り出すように形成されている。これにより、連結部45の側面47とベース部44の側面46との間には、段差Sが形成されている。
【0042】
ポリシリコン層26上には、SiOからなる表面保護膜48(たとえば、3000Å厚)が形成されている。これにより、固定電極27および可動電極28の櫛歯部32,39およびコンタクト部31,38(連結部34,41)、およびコンタクト電極29の各表面は、表面保護膜48により覆われている。
表面保護膜48上には、固定電極27のコンタクト部31、可動電極28のコンタクト部38およびコンタクト電極29に対向する部分にそれぞれ、第1検出用配線49、第2検出用配線50および駆動用配線51が形成されている。各配線は、Al(アルミニウム)からなり、表面保護膜48を貫通して、固定電極27のコンタクト部31、可動電極28のコンタクト部38およびコンタクト電極29それぞれに接続されている。
【0043】
上記の構造のZ軸センサ12では、可動電極28の櫛歯部39と駆動用電極22との間に、同極性/異極性の駆動電圧が交互に与えられる。これにより、可動電極28の櫛歯部39と駆動用電極22との間にクーロン斥力/クーロン引力が交互に発生する。
その結果、櫛歯状の可動電極28が振り子であるかのように、同じく櫛歯状の固定電極27を振動の中心として、固定電極27に対してZ軸方向に沿って上下に振動(振動Uz)する。
【0044】
この状態において、可動電極28がX軸を中心軸として回転すると、Y軸方向にコリオリ力Fyが生じることになる。このコリオリ力Fyにより、互いに隣接する可動電極28の櫛歯部39と、固定電極27の櫛歯部32との対向面積および/または電極間距離dが変化する。
そして、当該対向面積および/または電極間距離dの変化に起因する可動電極28−固定電極27間の静電容量Cの変化を検出することによって、X軸まわりの角速度ωxが検出される。
<角速度センサの製造方法>
次に、図3A〜図3Lを参照して、上述した角速度センサの製造工程を工程順に説明する。なお、この項では、Z軸センサの製造工程のみを図示し、X軸センサおよびY軸センサの製造工程は省略するが、X軸センサおよびY軸センサの製造工程は、Z軸センサの製造工程と同様にして、Z軸センサの製造工程と並行して実行される。
【0045】
図3A〜図3Lは、図2に示すZ軸センサの製造工程の一部を工程順に示す模式的な断面図であって、図2と同じ位置での切断面を示す。
Z軸センサ12を製造するには、図3Aに示すように、導電性シリコンからなるベース基板7の表面20が熱酸化(たとえば、温度1000℃〜1200℃)される。これにより、ベース基板7の表面20に、SiOからなるベース絶縁膜21が形成される。次に、CVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)法により、ベース絶縁膜21の表面全域にポリシリコンが堆積される。続いて、公知のパターニング技術により、当該ポリシリコンが選択的にパターニングされ、駆動用電極22が形成される。
【0046】
次に、図3Bに示すように、CVD法により、ポリシリコンに対してエッチング選択比を有するSiOからなる電極被覆膜23が、ベース絶縁膜21の表面全域に形成される。これにより、駆動用電極22は、電極被覆膜23に完全に被覆される。
ここで、ポリシリコンに対してエッチング選択比を有する材料(この段落においては、材料Aと定義する。)とは、たとえば、或るエッチング媒体に対するポリシリコンのエッチングレートと、当該エッチング媒体に対する材料Aのエッチングレートとの比(エッチング選択比)=(材料Aのエッチングレート/ポリシリコンのエッチングレート)≠1を満たす材料のことである。材料Aは、とりわけ、エッチング選択比を0(ゼロ)近づけることができる材料(エッチング選択比≒0)であることが好ましく、具体的には、この実施形態のように、SiOであることが好ましい。なお、電極被覆膜23は、ポリシリコンに対してエッチング選択比を有する他の材料(たとえば、SiNなど)であってもよい。
【0047】
次に、図3Cに示すように、CVD法により、電極被覆膜23の表面30全域にポリシリコン(たとえば、5000Å厚)が堆積される。続いて、公知のパターニング技術により、当該ポリシリコンが選択的にパターニングされ、犠牲ポリシリコン層52が形成される。
次に、図3Dに示すように、CVD法により、犠牲ポリシリコン層52の表面全域に、SiOからなる犠牲酸化膜53(たとえば、5000Å厚)が形成される。
【0048】
次に、図3Eに示すように、公知のパターニング技術により、犠牲酸化膜53がパターニングされ、犠牲酸化膜53におけるベース部33,40,44を形成すべき部分が選択的に除去されることにより、開口25,54,55が形成される。これにより、駆動用電極22の一部が、パッド24として開口25から露出する。
次に、犠牲酸化膜53上に、ポリシリコンからなるシード膜が形成される。続いて、当該シード膜からポリシリコンがエピタキシャル成長される。これにより、図3Fに示すように、電極用ポリシリコン層としてのポリシリコン層26(たとえば、15μm厚)が形成される。
【0049】
次に、図3Gに示すように、ポリシリコン層26の表面が面一になるまで、CMP(Chemical Mechanical Polishing:化学機械研磨)処理される。これにより、ポリシリコン層26の厚さが、たとえば、15μm厚から10μm厚となる。続いて、CVD法により、SiOからなる表面保護膜48が、ポリシリコン層26の表面全域に形成される。続いて、公知のパターニング技術により、表面保護膜48が選択的に除去される。これにより、表面保護膜48にコンタクトホールが形成される。続いて、当該コンタクトホールを埋め尽くすコンタクトプラグが形成された後、スパッタ法により、表面保護膜48上にAlが堆積され、そのAl堆積層がパターニングされる。これにより、表面保護膜48上に、配線49〜51が同時に形成される。
【0050】
次に、図3Hに示すように、公知のパターニング技術により、表面保護膜48における、固定電極27、可動電極28およびコンタクト電極29を形成すべき領域以外の領域に開口が形成される。続いて、残存した表面保護膜48をハードマスクとする異方性のディープRIEにより、具体的にはボッシュプロセスにより、ポリシリコン層26が掘り下げられる。ボッシュプロセスでは、SF(六フッ化硫黄)を使用してポリシリコン層26をエッチングする工程と、C(パーフルオロシクロブタン)を使用してエッチング面に保護膜を形成する工程とが交互に繰り返される。これにより、高いアスペクト比でポリシリコン層26をエッチングすることができるが、エッチング面(トレンチの内周面)にスキャロップと呼ばれる波状の凹凸が形成される。
【0051】
これにより、ポリシリコン層26が、固定電極27、可動電極28およびコンタクト電極29の形状に成形されるとともに、それらの各部(櫛歯部32,39やコンタクト部31,38等)の間にトレンチ56が形成される。トレンチ56の底面には犠牲酸化膜53の表面が露出することとなる。
次に、図3Iに示すように、CVD法により、固定電極27、可動電極28およびコンタクト電極29の表面全域およびトレンチ56の内面全域(つまり、トレンチ56を区画する側面および底面)に、SiOからなる保護薄膜57が形成される。
【0052】
次に、図3Jに示すように、異方性のディープRIEにより、トレンチ56の底面がさらに掘り下げられる。これにより、トレンチ56の底面として犠牲ポリシリコン層52が露出する。
この異方性のディープRIEに引き続いて、等方性のRIEにより、トレンチ56に、反応性イオンおよびエッチングガス(たとえば、SFガス)が供給される。そして、その反応性イオンなどの作用により、図3Kに示すように、犠牲ポリシリコン層52が、各トレンチ56の底部を起点にベース基板7の厚さ方向にエッチングされつつ、ベース基板7の表面に平行な方向にエッチングされる。これにより、互いに隣接する全てのトレンチ56の底部が一体化して、空洞37が形成されるとともに、空洞37の直上において、固定電極27(櫛歯部32)および可動電極28(櫛歯部39)が浮いた状態となる。
【0053】
次に、図3Lに示すように、トレンチ56に、エッチングガス(たとえば、HF(フッ酸)ガス)が供給される。このHFガスの作用により、SiOからなる保護薄膜57および犠牲酸化膜53が除去される。
以上の工程を経て、図2に示すZ軸センサ12が得られる。
以上の方法によれば、Z軸センサ12における角速度検出を行うための固定電極27および可動電極28は、ベース基板7上に駆動用電極22を形成した(図3Aの工程)後、当該ベース基板7上にポリシリコン層26を用いて形成される。そのため、固定電極27および可動電極28の形成前に、固定電極27および可動電極28の直下に駆動用電極22を簡単に形成することができる。
【0054】
さらに、Z軸センサ12の製造過程においては、駆動用電極22とポリシリコン層26との間に、犠牲ポリシリコン層52および犠牲酸化膜53が形成され(図3Cおよび図3Dの工程)る。これらの犠牲層52,53は、ポリシリコン層26を固定電極27および可動電極28に成形した後に除去される(図3Kおよび図3Lの工程)。そのため、固定電極27(櫛歯部32)および可動電極28(櫛歯部39)と駆動用電極22との間に、空洞37を簡単に形成することができる。これにより、固定電極27(櫛歯部32)および可動電極28(櫛歯部39)と駆動用電極22とが、空洞37を隔てて上下に対向したキャパシタを有するZ軸センサ12を製造することができる。
【0055】
そのため、図3Aに示す工程において、駆動用電極22の面積を適当な大きさに調整することにより、可動電極28(櫛歯部39)と駆動用電極22とのキャパシタ容量を、センサ動作に最適な大きさに制御することができる。
具体的には、駆動用電極22を、固定電極27および可動電極28の櫛歯部32,39を横切るように、両端の櫛歯に跨って形成する。これにより、可動電極28(櫛歯部39)に対する駆動用電極22の面積を、可動電極28(櫛歯部39)に対する固定電極27(櫛歯部32)の対向面積よりも大きくすることができる。そのため、櫛歯状に噛み合う固定電極27と可動電極28との間に駆動電圧を印加する場合に比べて、可動電極28を大きな振幅で振動させることができる。その結果、角速度の検出感度を向上させることができる。
【0056】
しかも、犠牲ポリシリコン層52および犠牲酸化膜53の除去により空洞37が形成された後でも、駆動用電極22が、電極被覆膜23に覆われている。そのため、大きな振動により可動電極28が駆動用電極22に接近しても、可動電極28(櫛歯部39)と駆動用電極22との接触を防止することができる。その結果、可動電極28(櫛歯部39)と駆動用電極22との短絡を防止することができる。よって、センサの動作不良を減らすことができる。
【0057】
これらの結果、MEMSパッケージ1によれば、Z軸センサ12の検出精度を向上させることができる。
ところで、製造後のZ軸センサ12において、固定電極27および可動電極28の側壁に保護薄膜57が残存していると、保護薄膜57がない本実施形態の場合に比べて、固定電極27および可動電極28が帯電しやすい。そのため、たとえば、固定電極27および可動電極28との間に電圧X(V)が印加されるとき、帯電により生じた固定電極27−可動電極28間の電位差を、固定電極27および可動電極28との間に印加された電圧であるとZ軸センサ12が誤認識する、いわゆるメモリ効果を生じるおそれがある。その結果、固定電極27−可動電極28間に電圧X(V)に満たない電圧が印加され、設計通りの検出性能を発揮できない場合がある。
【0058】
そこで、この実施形態のZ軸センサ12では、空洞37の形成後、保護薄膜57を除去することにより(図3Lの工程)、固定電極27および可動電極28の側壁を露出させている。そのため、上述したメモリ効果の発生を減らすことができる。その結果、固定電極27−可動電極28間に必要十分な電圧を印加することができ、設計通りの検出性能を確実に発揮することができる。
【0059】
また、Z軸センサ12では、固定電極27および可動電極28を形成するポリシリコン層26の一部を利用して、コンタクト電極29が固定電極27および可動電極28と同一層に形成されている。そのため、固定電極27、可動電極28および駆動用電極22に対するコンタクトを全て、同一層(ポリシリコン層26)上に形成された配線49〜51に集約することができる。その結果、これらの配線49〜51を同じ工程で形成することができるので、製造工程の数を減らすことができる。よって、コストを低減することができる。
【0060】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はさらに他の形態で実施することもできる。
たとえば、MEMSパッケージ1は、角速度センサ3に代えて、または角速度センサ3とともに加速度センサを備えていてもよい。当該加速度センサは、たとえば、駆動用電極22と可動電極28との間に形成されるキャパシタを、加速度検出用のキャパシタとすることにより作製することができる。
【0061】
たとえば、図4に示すように、Z軸方向に作用する加速度を検出するZ軸加速度センサ60では、固定電極27(櫛歯部32)と可動電極28(櫛歯部39)とにより構成されるキャパシタに加えて、Z軸方向に沿って空洞37および電極被覆膜23(電極間間隔d)を隔てて対向する可動電極28(櫛歯部39)と第2固定電極61とにより構成されるキャパシタをセンサ動作に利用することができる。これにより、センサの加速度検出動作に関与するキャパシタを増やすことができるので、MEMSパッケージ1に作用する加速度を精度よく検出することができる。
【0062】
また、前述の実施形態では、図3Lの工程において、保護薄膜57および犠牲酸化膜53を除去したが、図3Lの工程を省略することにより、図5に示すように、保護薄膜57および犠牲酸化膜53を残存させてもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0063】
1 MEMSパッケージ
2 基板
3 角速度センサ
5 集積回路
6 樹脂パッケージ
7 ベース基板
12 Z軸センサ
22 駆動用電極
23 電極被覆膜
25 開口
26 ポリシリコン層
27 固定電極
28 可動電極
29 コンタクト電極
32 (固定電極の)櫛歯部
37 空洞
39 (可動電極の)櫛歯部
51 駆動用配線
52 犠牲ポリシリコン層
53 犠牲酸化膜
57 保護薄膜
60 Z軸加速度センサ
61 第2固定電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に選択的に下部電極を形成する工程と、
前記半導体基板上に、前記下部電極を被覆するように、ポリシリコンに対してエッチング選択比を有する材料からなる電極被覆膜を積層する工程と、
前記電極被覆膜上に、選択的に犠牲ポリシリコン層を形成する工程と、
前記電極被覆膜上に、前記犠牲ポリシリコン層を被覆するように犠牲酸化膜を積層する工程と、
前記犠牲酸化膜上に、電極用ポリシリコン層を形成する工程と、
前記電極用ポリシリコン層を選択的にエッチングすることにより、上部電極に形成する工程と、
前記上部電極の側壁を覆うように、ポリシリコンに対してエッチング選択比を有する保護膜を形成する工程と、
前記犠牲酸化膜の一部を除去して、前記犠牲ポリシリコン層を露出させる工程と、
露出した前記犠牲ポリシリコン層を除去することにより、前記上部電極の直下に空洞を形成する工程とを含む、MEMSセンサの製造方法。
【請求項2】
前記上部電極を形成する工程が、前記電極用ポリシリコン層を、互いに間隔を空けて噛み合う櫛歯状の固定電極および可動電極に成形する工程を含む、請求項1に記載のMEMSセンサの製造方法。
【請求項3】
前記犠牲ポリシリコン層の除去後、前記保護膜を前記固定電極および前記可動電極の側壁から除去する工程をさらに含む、請求項2に記載のMEMSセンサの製造方法。
【請求項4】
前記電極用ポリシリコン層の形成に先立って、前記電極被覆膜を貫通して前記下部電極を選択的に露出させる開口を形成する工程をさらに含み、
前記電極用ポリシリコン層を形成する工程は、前記犠牲酸化膜上に前記電極用ポリシリコン層を形成すると同時に、前記電極用ポリシリコン層の一部を前記電極被覆膜の前記開口に入り込ませて前記下部電極に接触させる工程を含み、
前記上部電極を形成する工程は、前記上部電極から分離され、前記下部電極に接触したコンタクト電極を形成する工程を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のMEMSセンサの製造方法。
【請求項5】
前記コンタクト電極上に配線を形成する工程をさらに含む、請求項4に記載のMEMSセンサの製造方法。
【請求項6】
前記コンタクト電極上に配線を形成する工程は、前記上部電極上にも同時に配線を形成する工程を含む、請求項5に記載のMEMSセンサの製造方法。
【請求項7】
半導体基板と、
前記半導体基板上に選択的に形成された下部電極と、
絶縁材料からなり、前記下部電極を被覆するように前記半導体基板上に形成された電極被覆膜と、
前記電極被覆膜の上方に間隔を隔てて形成され、当該電極被覆膜を介して前記下部電極と対向する上部電極とを有するポリシリコン層とを含む、MEMSセンサ。
【請求項8】
前記上部電極が、互いに間隔を空けて噛み合う櫛歯状の固定電極および可動電極を含む、請求項7に記載のMEMSセンサ。
【請求項9】
前記ポリシリコン層は、前記電極被覆膜を貫通して前記下部電極に接触するコンタクト電極をさらに有する、請求項7または8に記載のMEMSセンサ。
【請求項10】
前記コンタクト電極上に形成された配線をさらに含む、請求項9に記載のMEMSセンサ。
【請求項11】
前記下部電極と前記可動電極との間の静電容量の変化を検出することにより、前記MEMSセンサに作用した加速度を検出する加速度センサを含む、請求項8または請求項8に係る請求項9もしくは10に記載のMEMSセンサ。
【請求項12】
前記可動電極を前記下部電極に近づく方向および離れる方向に駆動させ、その駆動時に前記MEMSセンサに作用する角速度を、前記可動電極と前記固定電極との間の静電容量の変化を検出することにより検出する角速度センサを含む、請求項8または請求項8に係る請求項9〜11のいずれか一項に記載のMEMSセンサ。
【請求項13】
前記下部電極は、櫛歯状の前記可動電極の全体に対向するように、当該可動電極の各櫛歯を横切る方向に沿って形成されている、請求項8または請求項8に係る請求項9〜12のいずれか一項に記載のMEMSセンサ。
【請求項14】
前記電極被覆膜が、SiOからなる、請求項7〜13のいずれか一項に記載のMEMSセンサ。
【請求項15】
絶縁材料からなり、前記上部電極の側壁を覆う保護薄膜をさらに含む、請求項7〜14のいずれか一項に記載のMEMSセンサ。
【請求項16】
請求項7〜15のいずれか一項に記載のMEMSセンサと、
前記MEMSセンサを覆うように形成された樹脂パッケージとを含む、MEMSパッケージ。
【請求項17】
前記MEMSセンサに電気的に接続され、前記MEMSセンサとともに同一の前記樹脂パッケージに覆われた集積回路をさらに含む、請求項16に記載のMEMSパッケージ。
【請求項18】
表面および裏面を有し、当該表面において前記MEMSセンサを支持する基板をさらに含み、
前記樹脂パッケージは、前記基板の前記表面を覆うように、かつ前記基板の前記裏面を露出させるように前記MEMSセンサを封止している、請求項16または17に記載のMEMSパッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【図3H】
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【図3I】
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【図3J】
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【図3K】
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【図3L】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−127691(P2012−127691A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−277213(P2010−277213)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】