説明

ナビゲーションシステムおよびそれを備えたハイブリッド車両

【課題】排ガス出力車両を課金対象とするロードプライシングエリアの走行に関して、ハイブリッド車両に適切な経路案内を実行する。
【解決手段】ECUは、排ガス出力車両を課金対象とするロードプライシングエリアの通過が予測されると(S100のYES判定時)、蓄電装置の現在のSOCを取得する(S110)とともに、EV走行によってロードプライシングエリアを通過するために必要なエネルギ量を推定する(S120)。さらに、現在のSOCと、推定した必要エネルギ量とに基づいて、EV走行によってロードプライシングエリアの通過が可能か否かが判定される(S130)。ECUは、EV走行によるロードプライシングエリアの通過が不能と判定したとき(S130のNO判定時)には、付近の充電スタンドへの経路案内処理(S145〜S180)および/または迂回経路案内処理(S190〜S220)を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ナビゲーションシステムおよびそれを備えたハイブリッド車両に関し、より特定的には、エンジンを停止した走行モードを選択可能なハイブリッド車両がロードプライシングによる規制区域に接近した際の経路案内に関する。
【背景技術】
【0002】
渋滞の緩和や大気汚染の改善を図るために、特定の対象地域を走行する車両に対して課金するロードプライシングが提案されている。たとえば、特開2005−274213号公報(特許文献1)には、ロードプライシングによる規制区域(以下、ロードプライシングエリアと称する)を考慮した経路設定を実行するナビゲーションシステムが記載されている。
【0003】
特に、特許文献1のナビゲーションシステムでは、経路設定の場合に、経路計算に用いるエリア内にロードプライシングエリアがあれば、許可情報(進入許可対象のロードプライシングエリアとその許可期間)に基づいてロードプライシングエリアへの進入可否を判断した上で、進入不可と判断されたロードプライシングエリアを回避した経路が設定される。このようにすると、エリアライセンスが無効な状態でロードプライシングエリアを通過することによって課金されるような事態を回避した経路計算を自動的に実行できる。
【0004】
また、特開平7−107617号公報(特許文献2)には、定められた走行経路を走行する場合に、走行環境に応じた走行モード、具体的にはエンジンの駆動力を用いることなくバッテリを電源としてモータのみで走行するモータモードによって走行することが可能なハイブリッド型車両が記載されている。
【0005】
特に、特許文献2のハイブリッド型車両では、運転者によるモード選択に従って、運転者によって部分地域ゼロエミッションモードが選択されたときには、人口密集地域やガス規制地域においてモータモードを適用して走行することが記載されている。また、運転者が全ゼロエミッションモードが選択したときには、経路探索の結果得られた走行経路から全走行距離を計算するとともに、現在のバッテリ容量の残量によって全走行距離をモータモードで走行することが可能かどうかを判断することによって、充電の必要性が判断される。さらに、充電の必要性がある場合には、走行経路上に充電スタンドがあるか否かを判断し、充電スタンドが存在する場合には音声出力または表示によって充電する意思があるか否かを運転者に問合せることが記載されている。
【0006】
さらに、特開平10−170293号公報(特許文献3)には、電気自動車の航続力を考慮して目的地までの最適な誘導経路を探索するための電気自動車の経路探索装置が記載されている。特に特許文献3の構成によれば、充電ステーションに関する情報を含んだ道路地図データに基づいて、車載バッテリの補充電を考慮した目的地までの誘導経路を探索することが記載されている。
【特許文献1】特開2005−274213号公報
【特許文献2】特開平7−107617号公報
【特許文献3】特開平10−170293号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ロードプライシングの一態様として、大気汚染への影響を特に考慮した場合には、排ガス出力車両を課金対象とする、すなわち、いわゆるゼロエミッション車両については課金対象外とする規制が想定される。このような規制の場合には、電力のみを動力とする電気自動車の他、内燃機関を停止して電動機出力のみによる走行(以下、EV走行とも称する)が可能なハイブリッド車両についても、EV走行を行なえば課金されることなくロードプライシングエリアを通過することができる。
【0008】
一方で、ハイブリッド車両では、内燃機関単独による走行あるいは、内燃機関および電動機の出力の両方による走行についても可能であるので、EV走行が不能である状態でロードプライシングエリアに進入すると、ユーザの意に反して課金されるケースが発生し得る。
【0009】
したがって、特許文献1に記載されたナビゲーションシステムのように、現在の車両状態を考慮することなく、予め固定的に設定された許可情報(進入許可されたロードプライシングエリアおよびその許可期間)のみに基づいてロードプライシングエリアの通過可否を判断するた方式では、上記のようなロードプライシングエリアに対しては、適切な経路案内(ナビゲ−ション)を実行できない可能性がある。また、特許文献2および3についても、上記のようなロードプライシングエリアを考慮したものではない。
【0010】
また、ハイブリッド車両には、充電スタンド等の車外充電設備による充電(外部充電とも称する)を可能に構成した充電装置を搭載する構成も知られているため、この点についても考慮して経路案内を行なうことが期待される。
【0011】
この発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、この発明の目的は、内燃機関と、蓄電装置からの電力によって車両駆動力を出力する電動機とを備えたハイブリッド車両に対して、排ガス出力車両を課金対象とするロードプライシングエリアの走行に関して、適切な経路案内を実行するためのナビゲーションシステムおよびそれを備えたハイブリッド車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明によるナビゲーションシステムは、内燃機関と、蓄電装置からの電力によって車両駆動力を出力する電動機とを備えたハイブリッド車両のナビゲーションシステムであって、予測部と、取得部と、推定部と、判断部と、探索部とを備える。予測部は、自車位置情報および道路地図情報に基づいて、エンジンを用いた車両走行が課金を受ける特定の規制区域の通過を事前に予測するように構成される。取得部は、規制区域の通過予測時に、蓄電装置の現在の残存容量を取得するように構成される。推定部は、規制区域の通過予測時に、エンジンを停止して電動機からの車両駆動力により走行する電気走行モードによって規制区域を通過するために蓄電装置から出力を要する必要エネルギ量を推定するように構成される。判断部は、推定部による必要エネルギ量の推定値と蓄電装置の現在の残存容量とに基づいて、ハイブリッド車両が電気走行モードによって規制区域を通過可能であるか否かを判断するように構成される。探索部は、判断部によって電気走行モードによる規制区域の通過が不能と判断されたことに応答して、課金を回避するための経路探索を実行するように構成される。
【0013】
上記ナビゲーションシステムおよびそれを備えたハイブリッド車両によれば、エンジンを用いた車両走行が課金を受ける特定の規制区域(ロードプライシングエリア)の通過が予測される際には、車載蓄電装置の現在の残存容量に基づいて、電気走行モード(EV走行)によって課金されることなくロードプライシングエリアを通過可能であるか否かを適切に判断できる。さらに、EV走行による当該規制区域を通過することが不能と判断したときには、課金を回避するための経路探索を新たに実行することによって、排ガス出力車両を課金対象とするロードプライシングエリアの走行に関して、適切な経路案内を実行することができる。
【0014】
好ましくは、蓄電装置は、ハイブリッド車両の外部の充電設備によって充電可能に構成され、かつ、道路地図情報は、充電設備に関する情報を含む。そして、探索部は、課金を回避するための経路探索として、ハイブリッド車両の現在位置の付近の充電設備への経路を探索する。
【0015】
このようにすると、EV走行によるロードプライシングエリア通過に対する不足エネルギ量を外部充電するための充電設備(充電スタンド)への走行経路を案内することによって、ロードプライシングエリアでの課金を回避可能な経路案内を実行することができる。
【0016】
さらに好ましくは、ナビゲーションシステムは、不足エネルギ算出部と、充電時間算出部と、案内部とをさらに備える。不足エネルギ算出部は、判断部によって電気走行モードによる規制区域の通過が不能と判断されたときに、推定部による必要エネルギ量の推定値と蓄電装置の残存容量とに基づいて、蓄電装置の不足エネルギ量を算出するように構成される。充電時間算出部は、算出された不足エネルギ量と道路地図情報とに基づいて、付近の充電設備における不足エネルギ量の充電所要時間を算出するように構成される。案内部は、算出された充電所要時間が使用者により設定可能な所定時間より短いときに、探索部によって探索された付近の充電設備への走行経路を運転者に案内するように構成される。
【0017】
このようにすると、車載蓄電装置の現在の残存容量に対する不足エネルギ量の充電所要時間に応じて、充電設備への経路案内の実行要否を選択できる。特に、使用者が設定可能な所定時間よりも充電所要時間が短い充電設備への経路案内のみが実行されるので、利便性を高めることができる。
【0018】
また好ましくは、探索部は、課金を回避するための経路探索として、道路地図情報に基づいて規制区域を迂回するための迂回経路を探索する。そして、ナビゲーションシステムは、迂回経路の走行所要時間が使用者により設定可能な所定時間より短いときに、探索部によって探索された迂回経路を運転者に案内するための案内部をさらに備える。
【0019】
このようにすると、走行所要時間が所定時間以下であるロードプライシングエリアの迂回経路を自動的に案内することができる。特に、使用者が設定可能な所定時間よりも所要走行時間が短い迂回経路のみが案内されるので、利便性を高めることができる。
【0020】
さらに好ましくは、蓄電装置は、ハイブリッド車両の外部の充電設備によって充電可能に構成され、かつ、道路地図情報は、充電設備に関する情報を含むように構成される。そして、探索部は、案内部による迂回経路の案内が非実行とされたときに、課金を回避するための経路探索として、ハイブリッド車両の現在位置の付近の充電設備への経路を探索する。さらに、ナビゲーションシステムは、推定部による必要エネルギ量の推定値と蓄電装置の残存容量とに基づいて、蓄電装置の不足エネルギ量を算出する不足エネルギ算出部と、算出された不足エネルギ量と道路地図情報とに基づいて、付近の充電設備における不足エネルギ量の充電所要時間を算出する充電時間算出部とをさらに備える。そして、案内部は、充電時間算出部によって算出された充電所要時間が使用者により設定可能な所定時間より短いときに、探索部によって探索された付近の充電設備への経路を運転者に案内する。
【0021】
このようにすると、案内可能な適当な迂回経路が存在しないときには、EV走行によるロードプライシングエリア通過に対する不足エネルギ量を外部充電するための充電設備(充電スタンド)への走行経路を自動的に案内することができる。特に、使用者が設定可能な所定時間よりも充電所要時間が短い充電設備への経路案内のみが実行されるので、利便性を高めることができる。
【0022】
また、さらに好ましくは、探索部は、案内部による付近の充電設備への走行経路の案内が非実行とされたときに、課金を回避するための経路探索として、道路地図情報に基づいて規制区域を迂回するための迂回経路を探索する。そして、案内部は、迂回経路の走行所要時間が使用者により設定可能な所定時間より短いときに、探索部によって探索された迂回経路を運転者に案内する。
【0023】
このようにすると、案内可能な適当な付近の充電設備が存在しないときには、走行所要時間が所定時間以下であるロードプライシングエリアの迂回経路を自動的に案内するができる。特に、使用者が設定可能な所定時間よりも所用走行時間が短い迂回経路のみが案内されるので、利便性を高めることができる。
【0024】
好ましくは、ナビゲーションシステムにおいて、規制区域の通過による課金額が使用者により設定可能な所定金額より低いときに、課金を回避するための経路探索に従った経路案内を非実行とする。
【0025】
このようにすると、当該ロードプライシングエリアでの課金額に応じて自動的に、ロードプライシングエリアでの課金を回避するための経路案内を非実行とすることができる。
【0026】
また好ましくは、予測部は、予め設定された目的地までの経路探索結果に基づいて、規制区域の通過を予測する。あるいは、予測部は、目的地が設定されていない車両走行時には、自車位置情報と、過去の走行履歴とに基づいて、規制区域の通過を予測する。
【0027】
このようにすると、目的地への経路案内が既実行および未実行のいずれにおいても、特定の規制区域(ロードプライシングエリア)の通過を事前予測することができる。
【0028】
この発明によるハイブリッド車両は、蓄電装置、電動機およびエンジンと、上記のいずれかのナビゲーションシステムと、規制区域の走行時には、電気走行モードを優先的に選択する走行制御部とを備える。
【発明の効果】
【0029】
この発明によれば、内燃機関と、蓄電装置からの電力によって車両駆動力を出力する電動機とを備えたハイブリッド車両に対して、排ガス出力車両を課金対象とするロードプライシングエリアの走行に関して、適切な経路案内を実行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお以下図中の同一または相当部分には同一符号を付してその説明は原則として繰返さないものとする。
【0031】
図1は、本発明の実施の形態によるナビゲーションシステムを搭載したハイブリッド車両の構成例を説明する機能ブロック図である。
【0032】
図1を参照して、ハイブリッド車両100は、エンジン202と、動力分割機構204と、モータジェネレータ206,210と、伝達ギヤ208と、駆動軸212と、車輪214とを備える。また、ハイブリッド車両100は、蓄電装置216と、電力変換器218,220と、燃料タンク222と、充電器224と、ECU(Electronic Control Unit)250と、燃料補給口260と、充電コネクタ270と、ナビゲーションシステム300とを備える。
【0033】
動力分割機構204は、エンジン202、モータジェネレータ206および伝達ギヤ208に結合されてこれらの間で動力を分配する。たとえば、サンギヤ、プラネタリキャリヤおよびリングギヤの3つの回転軸を有する遊星歯車を動力分割機構204として用いることができ、この3つの回転軸がエンジン202、モータジェネレータ206および伝達ギヤ208の回転軸にそれぞれ接続される。
【0034】
エンジン202が発生する運動エネルギは、動力分割機構204によってモータジェネレータ206と伝達ギヤ208とに分配される。すなわち、エンジン202は、駆動軸212に動力を伝達する伝達ギヤ208を駆動するとともに、モータジェネレータ206を駆動する動力源としてハイブリッド車両100に組込まれる。モータジェネレータ206は、エンジン202によって駆動される発電機として動作し、かつ、エンジン202の始動を行ない得る電動機として動作するものとしてハイブリッド車両100に組込まれる。また、モータジェネレータ210は、駆動軸212に動力を伝達する伝達ギヤ208を駆動する動力源としてハイブリッド車両100に組込まれる。
【0035】
蓄電装置216は、充電可能な直流電源であり、たとえば、ニッケル水素やリチウムイオン等の二次電池により構成される。蓄電装置216は、電力変換器218,220へ電力を供給する。また、蓄電装置216は、モータジェネレータ206および/または210の発電時、電力変換器218および/または220から電力を受けて充電される。
【0036】
さらに、蓄電装置216は、充電コネクタ270が、充電ケーブル280を介して、充電スタンドに代表される車両外部の充電設備(図示せず)と接続される外部充電時には、充電設備からの外部電力を蓄電装置216の充電電力に変換する充電器224から電力を受けて充電される。なお、以下では、ハイブリッド車両100を外部充電可能な充電設備の代表例として「充電スタンド」が示されるものとする。
【0037】
なお、蓄電装置216としては、大容量のキャパシタも採用可能であり、モータジェネレータ206,210による発電電力や外部電源からの電力を一時的に蓄え、その蓄えた電力をモータジェネレータ206,210へ供給可能な電力バッファであれば如何なるものでもよい。なお、蓄電装置216の出力電圧VBおよび入出力電流IBは、図示されないセンサによって検出され、その検出値はECU250へ送出される。
【0038】
電力変換器218は、ECU250からの信号PWM1に基づいて、モータジェネレータ206により発電された電力を直流電力に変換して蓄電装置216へ出力する。電力変換器220は、ECU250からの信号PWM2に基づいて、蓄電装置216から供給される直流電力を交流電力に変換してモータジェネレータ210へ出力する。なお、電力変換器218は、エンジン202の始動時、信号PWM1に基づいて、蓄電装置216から供給される直流電力を交流電力に変換してモータジェネレータ206へ出力する。また、電力変換器220は、車両の制動時や下り斜面での加速度低減時、信号PWM2に基づいて、モータジェネレータ210により発電された電力を直流電力に変換して蓄電装置216へ出力する。
【0039】
モータジェネレータ206,210は、交流電動機であり、たとえばロータに永久磁石が埋設された三相交流同期電動機から成る。モータジェネレータ206は、エンジン202により生成された運動エネルギを電気エネルギに変換して電力変換器218へ出力する。また、モータジェネレータ206は、電力変換器218から受ける三相交流電力によって駆動力を発生し、エンジン202の始動を行なう。
【0040】
モータジェネレータ210は、電力変換器220から受ける三相交流電力によって車両の駆動トルクを発生する。また、モータジェネレータ210は、車両の制動時や下り斜面での加速度低減時、運動エネルギや位置エネルギとして車両に蓄えられた力学的エネルギを電気エネルギに変換して電力変換器220へ出力する。
【0041】
エンジン202は、燃料の燃焼による熱エネルギをピストンやロータなどの運動子の運動エネルギに変換し、その変換された運動エネルギを動力分割機構204へ出力する。たとえば、運動子がピストンであり、その運動が往復運動であれば、いわゆるクランク機構を介して往復運動が回転運動に変換され、ピストンの運動エネルギが動力分割機構204に伝達される。なお、エンジン202の燃料としては、ガソリンや軽油、エタノール、液体水素、天然ガスなどの炭化水素系燃料、または、液体もしくは気体の水素燃料が好適である。
【0042】
燃料タンク222は、燃料補給口260から供給される燃料を貯蔵し、その貯蔵された燃料をエンジン202へ供給する。なお、燃料タンク222内の燃料残量FLは、図示されないセンサによって検出され、その検出値がECU250へ出力される。
【0043】
充電器224は、ECU250からの信号PWM3に基づいて、充電コネクタ270へ与えられる外部電源からの電力を蓄電装置216の充電電力に変換して蓄電装置216へ出力する。
【0044】
ECU250は、各センサから送信された信号、ROM(Read Only Memory)252に記憶されたマップおよびプログラムに基づいて演算処理を行ない、ハイブリッド車両100が所望の運転状態となるように、機器類を制御する。あるいは、ECU250の少なくとも一部は、電子回路等のハードウェアにより所定の数値・論理演算処理を実行するように構成されてもよい。
【0045】
具体的には、ECU250は、電力変換器218,220をそれぞれ駆動するための信号PWM1,PWM2を生成し、その生成した信号PWM1,PWM2をそれぞれ電力変換器218,220へ出力する。また、ECU250は、充電器224による蓄電装置216の充電を要求する信号REQを受けると、充電器224を駆動するための信号PWM3を生成し、その生成した信号PWM3を充電器224へ出力する。
【0046】
なお、ハイブリッド車両100の外部充電のための構成は、図1の例示に限定されるものではなく、駐車中に、充電設備(図示せず)からの電力を蓄電装置216の充電電力に変換可能であれば、任意の構成を適用できる。たとえば、外部充電専用の充電器224の配置を省略して、電力変換器218,220によって、充電コネクタ270へ与えられる外部電源からの電力を蓄電装置216の充電電力に変換する構成としてもよい。
【0047】
さらに、ECU250は、ハイブリッド車両100の走行モードを制御する。すなわち、ECU250は、エンジン202を停止してモータジェネレータ210のみを用いたEV走行(電気走行モード)、およびエンジン202を動作させたハイブリッド走行(ハイブリッド走行モード)の切替を制御する。以下では、電気走行モードを「EVモード」とも称し、ハイブリッド走行モードを「HVモード」とも称する。
【0048】
また、さらに、ECU250は、燃料タンク222の燃料残量FLならびに蓄電装置216の電圧VBおよび電流IBの各検出値に基づいて、あるいは、図示しない他の情報にさらに基づいて、電力を用いた走行に関する情報や燃費に関する情報を生成、管理して、図示しない表示部等へ表示することもできる。また、ECU250およびナビゲーションシステム300の間では、後程説明するように、蓄電装置216のSOCや、EV走行の優先的な選択を指示する信号INS(EV)等が送受信される。
【0049】
図2は、本発明の実施の形態によるナビゲーションシステムに関連する車両制御構成を説明するブロック図である。
【0050】
図2を参照して、ECU250は、ハイブリッド制御部252と、バッテリ制御部254と、エンジン制御部256とを含む。ハイブリッド制御部252、バッテリ制御部254およびエンジン制御部256の各々は、当該ブロックに相当する機能を有する回路(ハードウェア)をECU250内に構成してもよいし、予め設定されたプログラムに従ってECU250がソフトウェア処理を実行することにより実現してもよい。
【0051】
バッテリ制御部254は、蓄電装置216の残存容量を示すSOCを蓄電装置216の充放電電流の積算などにより求めて、これをハイブリッド制御部252へ送信する。あるいは、蓄電装置216の出力電圧や温度をさらに反映してSOCを求めてもよい。
【0052】
エンジン制御部256は、エンジン202のスロットル制御を行なうとともに、エンジン202のエンジン回転数Neを検出してハイブリッド制御部252に送信する。
【0053】
ハイブリッド制御部252は、アクセルポジションセンサ142の出力信号Accと車速センサ144で検出された車速Vとに基づいて、運転者の要求する出力(要求パワー)を算出する。ハイブリッド制御部252は、この運転者の要求パワーに加え、蓄電装置216の充電状態SOCを考慮して必要な駆動力(トータルパワー)を算出し、エンジンに要求する回転数とエンジンに要求するパワーとをさらに算出する。すなわち、トータルパワーについての、エンジン202およびモータジェネレータ210間での出力パワー分担を決定する。すなわち、ハイブリッド制御部252は、EVモード(エンジン出力を零に設定)およびHV走行モードの選択を行なう「走行制御部」の機能を有する。
【0054】
ハイブリッド制御部252は、エンジン制御部256に要求回転数と要求パワーとを送信し、エンジン制御部256にエンジン202のスロットル制御を行なわせる。EVモードでは、ハイブリッド制御部252は、エンジン制御部256に対して、エンジン202の停止を指示する。
【0055】
さらに、ハイブリッド制御部252は、モータジェネレータ210の出力パワーが上記分担に従うように、モータジェネレータ206,210を制御する電力変換器218,220の制御指令(図1の信号PWM1,PWM2)を生成する。
【0056】
ナビゲーションシステム300は、ナビゲーション制御部310と、GPSアンテナ320と、ビーコン受信部330と、ジャイロセンサ340と、表示部350と、インタフェース部360と、記憶部370とを含む。
【0057】
ナビゲーション制御部310は、代表的には電子制御ユニット(ECU)で構成されて、目的地までの走行経路を設定する経路案内を行なう。代表的には、ナビゲーション制御部310は、タッチディスプレイを含む表示部350から、ユーザによって設定された目的地の情報を得る。なお、本実施の形態を通じて、一旦設定された目的地までの走行経路の探索手法については、周知の任意の手法を適用することが可能であるので、詳細な説明は行なわない。
【0058】
また、ナビゲーション制御部310は、インタフェース部360を介して、CD,DVD等の記録媒体355に記録された道路地図データを読み込む。なお、道路地図データは、ハイブリッド車両100を外部充電するための充電設備(充電スタンド)に関する情報、たとえば、その位置や充電能力(特に充電速度)を示す情報を含むことが好ましい。記憶部370は、たとえばHDD(Hard Disk Drive)であり、道路地図データを不揮発的に記憶することができる。なお、記憶部370は設けられていなくてもよい。
【0059】
さらに、ナビゲーション制御部310は、ビーコン受信部330によって受信された、路上に設置されたビーコンからの情報を受ける。たとえば、ビーコンからの情報によって、渋滞情報、所要時間、工事情報、速度・車線規制情報、駐車場の位置・空車情報等を取得できる他、ロードプライシングエリアへの接近についても認識することができる。あるいは、上記道路地図データ上に予めロードプライシングエリアを示す情報が格納されていてもよい。
【0060】
ナビゲーション制御部310は、GPSアンテナ320およびジャイロセンサ340を用いて、あるいは、車速センサ144の出力Vをさらに用いて、自車位置情報、すなわち、車両の現在位置および進行方向を把握する。そして、ナビゲーション制御部310は、把握した自車位置を、道路地図データに重ねて表示部350に表示する。さらに、ナビゲーション制御部310は、ユーザによって目的地が設定された場合には、現在位置から目的地までの走行経路を探索するとともに、表示部350により経路案内を行なう。周知の様に、経路案内の一環として、自車位置と探索した走行経路との関係に基づいて、音声ガイダンスが行なわれてもよい。
【0061】
ナビゲーション制御部310は、ハイブリッド車両100がロードプライシングエリアを通過中であるときには、優先的にEVモードを選択することを指示する信号INS(EV)をハイブリッド制御部252に対して出力する。ハイブリッド制御部252は、信号INS(EV)を受けると、蓄電装置216のSOCが管理下限値に達しない限り、EVモードを選択する。
【0062】
図3は、本発明の実施の形態のナビゲーションシステムによる経路案内制御の第1の例を説明する機能ブロック図である。なお、以降で説明する機能ブロック図中の各ブロックは、代表的には、ナビゲーション制御部310を構成するECUが所定プログラムを実行することによるソフトウェア処理によって実現されるが、当該ブロックに相当する機能を有する回路(ハードウェア)を当該ECU内に構成することによって実現してもよい。
【0063】
図3を参照して、通過有無予測部400は、道路地図データやビーコンからの情報を含む各種ナビゲーション情報および、自車位置情報に基づいて、排ガス出力車両を課金対象とする、すなわち、ゼロエミッション車両については課金対象外とするロードプライシングエリアを、ハイブリッド車両100が通過することを事前予測する。そして、ロードプライシングエリアの通過が予測される場合には、予測フラグFLPを「オン」して、以下に説明するような経路探索の実行を指示する。
【0064】
通過有無予測部400は、たとえば、運転者を含むユーザによって設定された目的地までの経路探索が既に実行されている場合には、探索された走行経路にロードプライシングエリアが含まれているかどうかに基づいて、ロードプライシングエリアの通過有無を予測することができる。この場合には、GPSアンテナ320等によって把握される自車位置およびその進行方向に基づいて、ロードプライシングエリアの境界までの距離が所定距離以下となったときに、予測フラグFLPをオンすればよい。
【0065】
あるいは、目的地が設定されていない場合においても、GPSアンテナ320等によって把握される自車位置およびその進行方向とに基づいて、好ましくは、過去の走行履歴をさらに反映して、ロードプライシングエリアの通過を予測することができる。そして、ロードプライシングエリアの境界までの距離が所定距離(目的地設定時とは異なる値であってもよい)以下となった場合に、予測フラグFLPをオンすることができる。
【0066】
あるいは、ロードプライシングによる課金を考慮した経路案内の要否を、ユーザによる設定項目の1つとして予め入力可能に構成してもよい。または、経路案内を不要とする課金額の上限額をユーザによって設定可能として、通過が予測されるロードプライシングエリアの課金額と上記上限額との比較によって、経路案内の要否を自動的に判断してもよい。そして、ユーザから課金回避が不要である旨の指示を受けている場合、あるいは、課金額に基づいて経路案内が不要であると自動的に判断した場合には、通過有無予測部400は、上述の予測判断とは無関係に、予測フラグFLPを初期値であるオフに維持する。
【0067】
予測フラグFLPがオンされると、SOC取得部420は、ハイブリッド制御部252から、蓄電装置216の残存容量を示すSOCを取得するとともに、取得したSOCに基づいて、EV走行に使用可能な蓄積エネルギ量Wstを算出する。
【0068】
一方、必要エネルギ推定部410は、予測フラグFLPのオンに応答して、ナビゲーション情報に基づいて、ロードプライシングエリアをEV走行によって通過するのに必要なエネルギ量を推定する。より具体的には、必要エネルギ推定部410は、ロードプライシングエリアの通過経路を予測するとともに、その予測経路の距離、所要時間および経路情報(勾配等)に基づいて、EV走行によるロードプライシングエリア通過のための必要エネルギ量Wevを算出する。
【0069】
判断部430は、蓄電装置216の残存容量に基づく蓄積エネルギ量Wstと、必要エネルギ推定部410による必要エネルギ量Wevとを比較して、蓄電装置216の現在の蓄積エネルギによって、ロードプライシングエリアをEV走行によって通過可能であるか否かを判断する。具体的には、判断部430は、Wev>Wstのときに、EV走行によるロードプライシングエリア通過不能を示すフラグFNEVをオンする一方で、それ以外のときには、フラグFNEVをオフする。
【0070】
経路探索部460は、フラグFNEVがオンされると、ロードプライシングエリア進入前に外部充電するための経路探索を実行する。たとえば、自車位置情報および道路地図情報に基づいて、ハイブリッド車両100の現在位置の付近の充電スタンドへの経路情報Rstを出力する。このとき、経路探索の目的地となる「付近の充電スタンド」は、代表的には、現在位置から最も近い充電スタンドであるので、以下では、「最寄の充電スタンド」とも表記する。なお、充電速度(すなわち、充電所用時間)が異なる複数の充電スタンドを「付近の充電スタンド(最寄の充電スタンド)」としてもよい。
【0071】
さらに、フラグFNEVのオンに応答して、不足エネルギ算出部440は、必要エネルギ量Wevに対する蓄積エネルギ量Wstの不足分に相当する不足エネルギ量ΔW(ΔW=Wev−Wst)を算出する。
【0072】
そして、充電所要時間算出部450は、不足エネルギ算出部440が算出した不足エネルギ量ΔWと、道路地図データから得られる最寄の充電スタンドの充電速度に基づいて、当該最寄の充電スタンドにおいて、不足エネルギ量ΔWの外部充電に必要な所要時間Tchを算出する。
【0073】
案内部470は、充電所要時間算出部450によって算出された充電所要時間Tchに基づいて、あるいは、車両ユーザの指示入力に応答して、経路探索部460からの経路情報Rstに従った表示を表示部350に出力する。すなわち、ハイブリッド車両のユーザに対して最寄の充電スタンドへの走行経路が案内される。
【0074】
たとえば、案内部470は、充電所要時間Tchがユーザにより予め設定されたしきい値よりも短いときに自動的に、経路情報Rstに従った案内表示を表示部350に出力することができる。あるいは、案内部470は、ハイブリッド車両のユーザからの充電スタンドの案内指示に応答して、経路情報Rstに従った案内表示を表示部350に出力することができる。なお、ユーザからの案内指示を受ける際には、経路情報Rstでの目的地に相当する最寄の充電設備までの所要時間および不足エネルギ量の充電所要時間を事前に提示するようにしてもよい。
【0075】
あるいは、充電所要時間Tchについての条件成立あるいは、ユーザからの充電スタンドの案内指示に応答して、経路探索部460が最寄の充電スタンドへの走行経路を探索する構成として、案内部470は、経路探索部460からの経路情報Rstに従った表示を、無条件に表示部350に出力してもよい。
【0076】
以上説明したように、図3に示した経路案内制御によれば、エンジンを用いた車両走行が課金を受けるロードプライシングエリアの通過が予測される際には、蓄電装置216の現在の残存容量に基づいて、EV走行によって課金されることなく当該ロードプライシングエリアを通過可能であるか否かを適切に判断できる。さらに、EV走行による通過が不能である場合には、ロードプライシングエリアの通過前に、不足エネルギ量を充電するための充電設備(充電スタンド)への経路案内を行なうことが可能となる。
【0077】
図4には、本発明の実施の形態のナビゲーションシステムによる経路案内制御の第2の例が示される。図4には、EV走行による通過不能時に、ロードプライシングエリアの迂回経路を新たに探索するための制御構成が示される。
【0078】
図4に示した第2の例では、図3に示した第1の例と比較して、不足エネルギ算出部440および充電所要時間算出部450に代えて、迂回経路所要時間算出部455が設けられる。さらに、経路探索部460に代えて経路探索部460♯が配置される。
【0079】
通過有無予測部400、必要エネルギ推定部410、SOC取得部420、判断部430の機能については、図3と同一である。すなわち、図3の場合と同様に、蓄電装置216の現在の残存容量に基づいて、EV走行によって課金されることなくロードプライシングエリアを通過可能であるか否かが判断されて、EV走行による通過が不能である場合には、フラグFNEVがオンされる。
【0080】
経路探索部460♯は、フラグFNEVがオンされると、ロードプライシングエリアを迂回するための経路探索を実行する。たとえば、自車位置情報および道路地図情報に基づいて、迂回経路情報Rbpを出力する。このとき、迂回経路については、複数候補を挙げてもよい。
【0081】
なお、目的地までの経路探索が既に実行されている場合には、ロードプライシングエリアを通過することなくこの経路に復帰するための迂回経路が探索される。これに対して、目的地が設定されていない走行時には、迂回経路の探索に際して、ロードプライシングエリアの通過先に相当する模擬的な目的地(迂回先)の設定を、車両ユーザに求める構成としてもよい。
【0082】
そして、迂回経路所要時間算出部455は、迂回経路情報Rbpおよびナビゲーション情報(道路地図情報、ビーコン情報等)に基づいて、経路探索部460♯によって設定された迂回経路の走行所要時間に相当する迂回時間Tbpを算出する。
【0083】
案内部470は、迂回経路所要時間算出部455によって算出された迂回時間Tbpに基づいて、あるいは、車両ユーザの指示入力に応答して、経路探索部460#からの迂回経路情報Rbpに従った表示を表示部350に出力する。すなわち、ハイブリッド車両のユーザに対してロードプライシングエリアの迂回経路が案内される。
【0084】
たとえば、案内部470は、迂回時間Tbpがユーザにより予め設定されたしきい値よりも短いときに自動的に、迂回経路情報Rbpに従った案内表示を表示部350に出力することができる。あるいは、案内部470は、ハイブリッド車両のユーザからの迂回経路案内指示に応答して、迂回経路情報Rbpに従った案内表示を表示部350に出力することができる。なお、ユーザからの案内指示を受ける際には、迂回時間Tbpを事前に提示するようにしてもよい。
【0085】
このように、図4に示した経路案内制御によれば、図3に示した制御構成と同様に、蓄電装置216の現在の残存容量に基づいて、EV走行によって課金されることなくロードプライシングエリアを通過可能であるか否かを適切に判断できる。さらに、EV走行による通過が不能である場合には、ロードプライシングエリアの迂回経路を案内することができる。
【0086】
さらに、図3および図4に示した経路案内制御を組合せて、ロードプライシングエリア通過予測時に総合的な経路案内制御を行なうことも可能である。
【0087】
図5は、このような総合的な経路案内制御の一例の処理手順を示すフローチャートである。たとえば、図5に示したフローチャートに従うプログラムを、ナビゲーション制御部310を構成するECUにより実行することによって、このような経路案内制御が実現できる。
【0088】
図5を参照して、ナビゲーション制御部310は、ステップS100により、ハイブリッド車両100による、排ガス出力車両を課金対象とするロードプライシングエリアの通過を事前予測する。ステップS100による判定は、図3および図4に示した通過有無予測部400による判定と同様に実行できる。すなわち、通過有無予測部400によって、予測フラグFLPがオンされる条件時にはステップS100はYES判定とされ、そうでないときにはステップS100はNO判定とされる。
【0089】
ロードプライシングエリアの通過が予測されたとき(S100のYES判定時)には、ナビゲーション制御部310は、ステップS110により、蓄電装置の現在のSOCを取得する。すなわちステップS110の処理は、図3および図4のSOC取得部420の機能に対応する。
【0090】
さらに、ナビゲーション制御部310は、ステップS120に処理を進めて、EV走行によりロードプライシングエリアを通過するための必要エネルギ量を推定する。すなわちステップS120による処理は、図3および図4による必要エネルギ推定部410の機能に対応する。
【0091】
さらに、ナビゲーション制御部310は、ステップS130により、ステップS110で取得した現在のSOCと、ステップS120で推定した必要エネルギ量とに基づいて、EV走行によってロードプライシングエリアの通過が可能か否かを判定する。ステップS130による処理は、図3および図4の判断部430による判定と同様に実行できる。すなわち、判断部430によって、FNEVがオンされる条件時にはステップS130はNO判定とされ、そうでないときにはステップS130はYES判定とされる。
【0092】
そして、EV走行によってロードプライシングエリアを通過可能であるとき(S130のYES判定時)には、ナビゲーション制御部310は、ステップS140に処理を進める。ステップS140では、ロードプライシングエリアの通過予測に応答した新たな経路案内は非実行とされる。
【0093】
この結果、目的地までの経路探索が既に実行されている場合には、現在の案内が変更されずに維持される。また、目的地が設定されていない走行時には、後述のような充電スタンドまでの経路や迂回経路を新たに案内することなく、そのまま経路案内が非実行とされる。
【0094】
一方、ナビゲーション制御部310は、EV走行によってロードプライシングエリアを通過不能であるとき(S130のNO判定時)には、ステップS145に処理を進めて、図3の経路探索部460と同様に、ロードプライシングエリア進入前に外部充電するための経路探索を実行する。たとえば、自車位置情報および道路地図情報に基づいて、最寄の充電スタンドへの経路が探索される。この際に、充電速度(すなわち、充電所用時間)が異なる複数の充電スタンドを目的地としてもよい。
【0095】
さらに、ナビゲーション制御部310は、ステップS150により、ステップS120で推定した必要エネルギ量に対する、蓄電装置216のSOCに基づく蓄積エネルギ量Wstの不足分に相当する不足エネルギ量ΔWを算出する。そして、ナビゲーション制御部310は、ステップS160により、最寄の充電スタンドにおける不足エネルギ量ΔWの外部充電に必要な所要時間Tchを算出する。すなわち、ステップS150の処理は、図3の不足エネルギ算出部440の機能に対応し、ステップS160の処理は、図3の充電所要時間算出部450の機能に対応する。
【0096】
そして、ナビゲーション制御部310は、ステップS170により、最寄の充電スタンドへの経路案内を実行するかどうかの判定を行なう。ステップS170による判定は、図3でも説明したように、充電所要時間Tchとユーザにより予め設定されたしきい値Tth1との比較、または、ハイブリッド車両のユーザからの充電スタンドの案内要求有無に従って実行できる。なお、ユーザからの案内要求を受ける際には、最寄の充電設備までの所要時間および不足エネルギ量の充電所要時間を事前に提示するようにしてもよい。
【0097】
ナビゲーション制御部310は、充電所要時間Tchがしきい値Tth1より短いとき、あるいは、ユーザから充電スタンドの案内要求があったとき(S170のYES判定時)には、ステップS180に処理を進めて、最寄の充電スタンドへの経路案内を行なう。すなわち、ステップS180による処理は、図3の案内部470の機能に対応する。なお、最寄の充電スタンドへの経路を探索するステップS145については、ステップS170のYES判定時に実行する処理手順とすることも可能である。
【0098】
一方、ナビゲーション制御部310は、ステップS170がNO判定となり、最寄の充電スタンドへの経路案内を非実行とするときには、ステップS190に処理を進めて、図4の経路探索部460#と同様に、ロードプライシングエリアの迂回経路を探索する。この際に、迂回経路については、複数候補を挙げてもよい。
【0099】
さらに、ナビゲーション制御部310は、ステップS200に処理進めて、ステップS190で探索した迂回経路の所要時間である迂回時間Tbpが、所定のしきい値Tth2よりも短いかどうかを判定する。
【0100】
迂回時間Tbpがしきい値Tth2よりも短い場合(S200のYES判定時)には、ナビゲーション制御部310は、ステップS210に処理を進めて、迂回経路を案内する。なお、Tbp<Tth2である迂回経路が複数個存在する場合には、ステップS190で探索した迂回経路のうちの所要時間が最短のものを案内することが好ましいが、当該複数個の迂回経路をユーザに選択させる態様で案内してもよい。
【0101】
一方、ナビゲーション制御部310は、ステップS200のNO判定時には、ステップS220に処理を進めて、迂回経路の案内が必要であるかどうかを判定する。ステップS220による判定は、たとえば、ハイブリッド車両のユーザからの迂回経路案内指示の有無に応答して実行できる。好ましくは、この際に、迂回しようとするロードプライシングエリアの課金額を提示した上で、迂回経路案内指示の有無をユーザに問合わせる。
【0102】
あるいは、当該ロードプライシングエリアの課金額に応じて、ステップS220を自動的に判定してもよい。たとえば、課金額を予め設定した所定金額と比較して、課金額が所定金額以上のときにステップS220をYES判定とする一方で、課金額が所定金額より低いときにステップS220をNO判定としてもよい。
【0103】
ナビゲーション制御部310は、ステップS220のYES判定時、すなわち迂回経路の案内が必要である場合には、ステップS230に処理を進めて、ステップS190でステップS190で探索した迂回経路を表示する。この際にも、迂回時間が最短の迂回経路のみを案内してもよく、複数個の迂回経路をユーザに選択させる態様で案内してもよい。
【0104】
一方、迂回経路の案内が不要とされたとき(S220のNO判定時)には、ナビゲーション制御部310は、ステップS140に処理を進める。すなわち、ロードプライシングエリアの通過予測に応答した新たな経路案内は非実行とされる。
【0105】
なお、図5の例示では、最寄の充電スタンドへの経路案内処理(S150〜S180)を、迂回経路案内処理(S190〜S220)よりも優先的に実行しているが、処理順序を入れ換えて、迂回経路案内処理(S190〜S220)を先に実行してもよい。この場合には、迂回経路の案内が不要とされたとき(ステップS220のNO判定時)に、最寄の充電スタンドへの経路案内処理(S150〜S180)が実行される。あるいは、最寄の充電スタンドへの経路案内処理(S150〜S180)および迂回経路案内処理(S190〜S220)の一方のみを実行する処理としてもよい。
【0106】
以上説明したように、本実施の形態によるナビゲーションシステムおよびそれを備えたハイブリッド車両によれば、エンジンを用いた車両走行が課金を受けるロードプライシングエリアの通過が予測される際には、蓄電装置216の現在の残存容量に基づいて、EV走行によって課金されることなく当該ロードプライシングエリアを通過可能であるか否かを適切に判断できる。さらに、EV走行による通過が不能である場合には、ロードプライシングエリアの通過前に不足エネルギ量を充電するための最寄の充電設備(充電スタンド)への経路案内や、ロードプライシングエリアの通過を回避する迂回経路の案内を行なうことができる。
【0107】
特に、図5に示すような総合的な経路案内制御によれば、蓄電装置216の残存容量、迂回経路の所要時間、ロードプライシングの課金額等を総合的に判断して、排ガス出力車両を課金対象とするロードプライシングエリアの走行に関して、適切な経路案内を実行することができる。さらに、予めユーザにより設定されたしきい値(充電所要時間、迂回所要時間、課金額)に従って、自動的に最適な経路案内を実行することも可能である。
【0108】
なお、ロードプライシングエリアをEV走行によって通過不能であるときに、迂回経路の案内のみを行なう経路案内制御については、外部充電可能なハイブリッド車両のみに限定されることなく、EV走行が可能なハイブリッド車両全体に適用できる。
【0109】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明の実施の形態によるナビゲーションシステムを搭載したハイブリッド車両の構成例を説明する機能ブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態によるナビゲーションシステムに関連する車両制御構成を説明するブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態のナビゲーションシステムによる経路案内制御の第1の例を説明する機能ブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態のナビゲーションシステムによる経路案内制御の第2の例を説明する機能ブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態のナビゲーションシステムによる総合的な経路案内制御の処理手順をフローチャートである。
【符号の説明】
【0111】
100 ハイブリッド車両、142 アクセルポジションセンサ、144 車速センサ、202 エンジン、204 動力分割機構、206,210 モータジェネレータ、208 伝達ギヤ、212 駆動軸、214 車輪、216 蓄電装置、218,220 電力変換器、222 燃料タンク、224 充電器、250 ECU、260 燃料補給口、270 充電コネクタ、280 充電ケーブル、300 ナビゲーションシステム、310 ナビゲーション制御部、320 GPSアンテナ、330 ビーコン受信部、340 ジャイロセンサ、350 表示部、355 記録媒体、360 インタフェース部、370 記憶部、400 通過有無予測部、410 必要エネルギ推定部、420 SOC取得部、430 判断部、440 不足エネルギ算出部、450 充電所要時間算出部、455 迂回経路所要時間算出部、460,460♯ 経路探索部、470 案内部
、FLP 予測フラグ(ロードプライシングエリア通過)、FNEV フラグ、IB 入出力電流(蓄電装置)、PWM1,PWM2,PWM3 信号(電力変換)、Rbp 迂回経路情報、Rst 経路情報(充電スタンド)、Tbp 迂回時間、Tch 充電所要時間、Tth1 しきい値(充電所要時間)、Tth2 しきい値(迂回時間)、Wev 必要エネルギ量(EV走行)、Wst 蓄積エネルギ量、ΔW 不足エネルギ量。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関と、蓄電装置からの電力によって車両駆動力を出力する電動機とを備えたハイブリッド車両のナビゲーションシステムであって、
自車位置情報および道路地図情報に基づいて、前記エンジンを用いた車両走行が課金を受ける特定の規制区域の通過を事前に予測するための予測部と、
前記規制区域の通過予測時に、前記蓄電装置の現在の残存容量を取得する取得部と、
前記規制区域の通過予測時に、前記エンジンを停止して前記電動機からの車両駆動力により走行する電気走行モードによって前記規制区域を通過するために前記蓄電装置から出力を要する必要エネルギ量を推定する推定部と、
前記推定部による前記必要エネルギ量の推定値と前記蓄電装置の現在の残存容量とに基づいて、前記ハイブリッド車両が前記電気走行モードによって前記規制区域を通過可能であるか否かを判断する判断部と、
前記判断部によって前記電気走行モードによる前記規制区域の通過が不能と判断されたことに応答して、課金を回避するための経路探索を実行するための探索部とを備える、ナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記蓄電装置は、前記ハイブリッド車両の外部の充電設備によって充電可能に構成され、かつ、前記道路地図情報は、前記充電設備に関する情報を含み、
前記探索部は、前記課金を回避するための経路探索として、前記ハイブリッド車両の現在位置の付近の前記充電設備への経路を探索する、請求項1記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記ナビゲーションシステムは、
前記判断部によって前記電気走行モードによる前記規制区域の通過が不能と判断されたときに、前記推定部による前記必要エネルギ量の推定値と前記蓄電装置の残存容量とに基づいて、前記蓄電装置の不足エネルギ量を算出する不足エネルギ算出部と、
算出された前記不足エネルギ量と前記道路地図情報とに基づいて、前記付近の充電設備における前記不足エネルギ量の充電所要時間を算出する充電時間算出部と、
算出された前記充電所要時間が使用者により設定可能な所定時間より短いときに、前記探索部によって探索された前記付近の充電設備への走行経路を運転者に案内するための案内部とをさらに備える、請求項1記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記探索部は、前記課金を回避するための経路探索として、前記道路地図情報に基づいて前記規制区域を迂回するための迂回経路を探索し、
前記ナビゲーションシステムは、
前記迂回経路の走行所要時間が使用者により設定可能な所定時間より短いときに、前記探索部によって探索された前記迂回経路を運転者に案内するための案内部をさらに備える、請求項1記載のナビゲーションシステム。
【請求項5】
前記蓄電装置は、前記ハイブリッド車両の外部の充電設備によって充電可能に構成され、かつ、前記道路地図情報は、前記充電設備に関する情報を含むように構成され、
前記探索部は、前記案内部による前記迂回経路の案内が非実行とされたときに、前記課金を回避するための経路探索として、前記ハイブリッド車両の現在位置の付近の充電設備への経路を探索し、
前記ナビゲーションシステムは、
前記推定部による前記必要エネルギ量の推定値と前記蓄電装置の残存容量とに基づいて、前記蓄電装置の不足エネルギ量を算出する不足エネルギ算出部と、
算出された前記不足エネルギ量と前記道路地図情報とに基づいて、前記付近の充電設備における前記不足エネルギ量の充電所要時間を算出する充電時間算出部とをさらに備え、
前記案内部は、前記充電時間算出部によって算出された前記充電所要時間が使用者により設定可能な所定時間より短いときに、前記探索部によって探索された前記付近の充電設備への経路を運転者に案内する、請求項4記載のナビゲーションシステム。
【請求項6】
前記探索部は、前記案内部による前記付近の充電設備への走行経路の案内が非実行とされたときに、前記課金を回避するための経路探索として、前記道路地図情報に基づいて前記規制区域を迂回するための迂回経路を探索し
前記案内部は、前記迂回経路の走行所要時間が使用者により設定可能な所定時間より短いときに、前記探索部によって探索された前記迂回経路を運転者に案内する、請求項3記載のナビゲーションシステム。
【請求項7】
前記規制区域の通過による課金額が使用者により設定可能な所定金額より低いときには、前記課金を回避するための経路探索に従った経路案内を非実行とする、請求項1記載のナビゲーションシステム。
【請求項8】
前記予測部は、予め設定された目的地までの経路探索結果に基づいて、前記規制区域の通過を予測する、請求項1記載のナビゲーションシステム。
【請求項9】
前記予測部は、目的地が設定されていない車両走行時には、前記自車位置情報と、過去の走行履歴とに基づいて、前記規制区域の通過を予測する、請求項1記載のナビゲーションシステム。
【請求項10】
前記蓄電装置、前記電動機および前記エンジンと、
請求項1〜9のいずれか1項に記載のナビゲーションシステムと、
前記規制区域の走行時には、前記電気走行モードを優先的に選択する走行制御部とを備える、ハイブリッド車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−244142(P2009−244142A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−91952(P2008−91952)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】