説明

バッチリアクター内の基板ホルダのアライメントを決定するためのセンシングシステム及び方法

【課題】均一なガスフローパターンにより均一な堆積フィルムを生じる半導体処理システムを提供する。
【解決手段】 半導体基板を処理するために、リモートコントロールされ、基板ホルダのスロット内に挿入されたセンサシステム100が、リアクター等のバッチリアクター内において、ウェハボート等の基板ホルダのアライメントを測定するために用いられる。センサシステム100は、コントローラと通信するためのトランシーバと、プロセスチャンバ外部のデータ収集ユニットとを備える。さらに、センサシステム100は、センサからプロセスチャンバの壁まで距離を測定するための距離センサ120を備える。センサは、プロセスチャンバの周囲360°に渡る範囲の測定を得るために回転される。プロセスチャンバ内の基板ホルダのアライメントは、回転角と、測定された距離又は距離センサ120によって受信された信号との関係に基づいて決定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概ね半導体基板処理のためのリアクターに関し、より詳細には、バッチリアクターに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板は、垂直炉等のリアクター内で一括して処理され得る。そのような処理の一例は、基板上へのフィルムの堆積である。電気的及び物理的特性の均一度を含む様々な理由のために、一般的に、堆積フィルムには高い純度及び均一度が望まれる。しかしながら、堆積の結果は、ガスフローパターン中の不均一度によって悪影響を受け得る。例えば、不均一なガスフローパターンは、リアクター内部の不均一な反応物の集中を生じる場合があり、これがフィルムへの不均一な割合での堆積を引き起こす場合があり、それによって、不均一な堆積フィルムを生じる。同様の不均一さは、酸化又はドーピング等の他の処理についても生じる場合がある。
【0003】
リアクター内で処理される間、基板を保持するためにウェハボートが用いられ得る。例えば、複数のウェハが、ボート上に間隔をおいて垂直に積み重ねられて保持され得る。ウェハボートは、リアクターの中のプロセスチューブ内に設置され得る。プロセスチューブは、リアクター内にプロセスチャンバを定める。
【0004】
ガスフローパターンは、リアクター内のウェハボートのアライメントによって影響され得る。円筒状のプロセスチューブに対して正確に中心配置されていないウェハボートは、不均一なガスフローパターン及び不均一な処理結果を引き起こし得る。
【0005】
不均一なガスフローパターンは、様々な状況において起こり得る。例えば、Oがチューブの上端からプロセスチューブ内に供給され、Nでパージされたチューブの底部と共にチューブの下端部から排出される場合に、不均一なフローパターンが生じ得る。NはOより軽いため、Nはプロセスチューブ内を上昇する傾向がある。特にウェハボートがプロセスチューブ内で中心にアラインされない場合、このNの上昇はコントロールされずまた不均一である。ウェハが設置される領域までNが上昇すると、Oの不均一な希釈によって処理結果に悪影響が及ぶであろう。しかしながら、Nパージガスによる稀釈の無い場合であっても、不適切にアラインされたウェハボートが不均一なガスフローパターンを引き起こす場合があり、不均一な処理結果が引き起こされ得る。
【0006】
しかしながら、ウェハボートのミスアライメントを補正する困難な点は、ウェハボートがプロセスチューブの内部にあるとき、好ましくは、完全に閉位置のチューブであり、ちょうどウェハボートが処理中であるときに、アライメントが最も正確に測定されなければならないことである。望ましくないことに、通常、そのような状態のウェハボートには測定のためにアクセスすることができない。従って、プロセスチューブが閉じている間に、プロセスチューブ内のウェハボートのアライメントを測定するためのシステム及び方法が必要となる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、半導体処理システムが提供される。半導体処理システムは、プロセスチャンバを有する垂直型のバッチリアクターと、ウェハボートと、距離測定システムとを備える。ウェハボートは、プロセスチャンバ内に収納されるように構成され、半導体ウェハを収納するための複数のウェハスロットを有する。距離測定システムは、ウェハ収納部内に収納されるように寸法決定及び形成されたベースプレートを備える。距離測定システムはまた、ベースプレートに取り付けられた距離センサを備える。
【0008】
本発明の別の態様によれば、半導体処理バッチリアクターのプロセスチャンバ内の基板ホルダのアライメントを測定するためのセンサシステムが提供される。該センサシステムは、基板ホルダ上にマウントするように構成されたセンサベースと、センサベースに回転可能にマウントされた距離センサとを備える。距離センサは、センサとプロセスチャンバの壁との間の距離を示す信号を検出するように構成される。センサシステムはまた、センサを回転させるように構成されたモータを備える。
【0009】
本発明のさらに別の態様によれば、半導体バッチプロセスチャンバ内の基板ホルダのアライメントを決定するためのセンサシステムが提供される。該センサシステムは、基板ホルダの基板収納部内に収納されるように寸法決定及び形成されたベースプレートを備える。センサシステムはまた、ベースプレートにマウントされた距離センサを備える。
【0010】
本発明の別の態様によれば、垂直型の半導体処理リアクター内のウェハボートのアライメントを測定するための方法が提供される。該方法は、垂直型のリアクターのプロセスチャンバ内にウェハボートを挿入するステップを含む。距離検出装置はウェハボート上に収納される。距離検出装置はプロセスチャンバ内で回転する。距離検出装置とプロセスチャンバの壁との間の距離を示す信号が、検出装置によって検出される。
【0011】
本発明の別の態様によれば、バッチリアクターのプロセスチャンバ内の半導体基板ホルダのアライメントを決定するための方法が提供される。該方法は、複数の基板収納部を有する基板ホルダを提供するステップを含む。基板ホルダはプロセスチャンバ内に挿入される。プロセスチャンバの壁に対する基板ホルダ軸のアライメントが決定される。基板ホルダ軸は、実質的に基板ホルダの中心を通って垂直に伸びる。基板ホルダが回転する基板ホルダ回転軸の、壁に対するアライメントが別々に決定される。
【0012】
本発明のさらに別の態様によれば、バッチプロセスチャンバ内のウェハボートのアライメントを測定するための方法が提供される。該方法は、複数のウェハ収納部を有するウェハボートを提供するステップを含む。アライメント測定センサが、ウェハ収納部の少なくとも1つに挿入される。アライメント測定センサを有するウェハボートが、プロセスチャンバ内に挿入される。
【0013】
本発明の別の態様によれば、半導体処理バッチリアクターのプロセスチャンバ内の基板ホルダのアライメントを測定するためのセンサシステムが提供される。該センサシステムは、基板ホルダ上にマウントするように構成されたセンサベースを備える。該センサシステムは、センサベースにマウントされた少なくとも1つの距離センサを更に備える。距離センサは、プロセスチャンバの壁とセンサとの間の距離を示す信号を検出するように構成される。該センサシステムは、平面内に分配された方向の、少なくとも3つの異なる方向の距離を示す信号を検出するように構成される。
【0014】
本発明は、発明を実施するための最良の形態及び添付の図面からより一層理解されるであろう。ここで、添付の図面は発明を例示するものであり、特許請求の範囲に記載された発明の範囲を制限しない。また、図面を通じて同じ参照符号は同じ又は類似の構成要素を意味する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の好ましい実施形態は、ウェハボート等の基板ホルダがプロセスチャンバ内に挿入及び密閉された後の、基板ホルダのアライメントを決定するためのシステム及び方法を提供する。距離センサは、好ましくは基板ホルダに取り付けられる。距離センサは、好ましくは基板ホルダと共にプロセスチャンバ内に挿入され密閉され得る。センサは、好ましくは信号、例えば光、若しくはセンサによって生成されて、プロセスチャンバの壁によって反射される音を検出する。音はセンサから壁までの距離に応じて変化し得る。いくつかの好ましい実施形態において、信号は測定距離に変換されることができ、それによって、センサは、センサとプロセスチャンバの壁との間のラインに沿った距離を測定することができる。ラインの方向は測定方向と呼ばれ得る。測定距離は、例えばプロセスチャンバの外部のコンピュータと例えば無線通信されることができ、基板ホルダのアライメントを決定する。本明細書において議論されるように、センサによって受信した測定信号と角度位置との関係は、ミスアライメントの存在の決定に用いられ得る。信号は距離に変換され、ミスアライメントの度合が決定され得る。例えば、角度位置と距離との関係は理論モデルに適合され、基板ホルダのミスアライメントを表す数値パラメータが定量化され得る。ミスアライメントが存在する場合、例えば、数値パラメータを指針として用いて、基板ホルダ、或いは基板ホルダを支持する任意の構造が再配置され、ミスアライメントが補正され得る。
【0016】
測定を行う際、測定方向は基板ホルダが回転する軸に垂直であることが好ましい。基板ホルダの中心配置が、距離センサとプロセスチャンバの壁との間の距離を測定することにより決定され得ることが認識されるであろう。その測定は、好ましくはプロセスチャンバの断面と同一な平面において行われ得る。
【0017】
距離センサは、基板ホルダと共に或いは独立して回転され得る。距離センサとプロセスチャンバの壁との間の距離は、角度位置の関数として、基板ホルダの中心配置の測定のために用いられ得る。従って、好ましくは、複数の距離の測定が行われ、各々の測定が、先の測定に対して異なる角度に回転したセンサを用いて行われ得る。適切に中心配置された基板ホルダは、プロセスチャンバの形状に応じて、回転角度と距離との間に予期される特定の関係を有するであろう。例えば、円筒状のプロセスチャンバについて、距離センサとプロセスチャンバの壁との間の距離は、通常、回転角度の関数として一定であり、このとき、基板ホルダはプロセスチャンバ内に中心配置される。距離の変化は、通常、基板ホルダのミスアライメントを示す。
【0018】
基板ホルダが様々な方法でミスアラインされ得ることが認識されるであろう。基板のアライメントは3つの軸。即ち、1)基板ホルダ回転軸(ほぼ基板ホルダが回転する軸である)、2)基板ホルダ軸(基板ホルダの中心を通り、好ましくは基板ホルダ回転軸と平行である)、及び3)プロセスチャンバ軸(プロセスチャンバの中心を通り、また好ましくは基板ホルダ回転軸と平行である)を用いて記述され得る。基板ホルダが中心配置される場合、好ましくは基板ホルダ回転軸、基板ホルダ軸、及びプロセスチャンバ軸が一致する。しかしながら、水平方向の変位又は基板ホルダの傾きは、基板ホルダ回転軸及び/又は基板ホルダ軸の互いのミスアライメント、及び/又はプロセスチャンバ軸のミスアライメントを引き起こし得る。そのようなミスアライメントは、基板ホルダの偏心配置(off−center)を示す。
【0019】
基板ホルダと共に或いは独立した距離センサの回転を用いて、基板ホルダ回転軸、基板ホルダ軸、及びプロセスチャンバ軸のアライメントが決定され得る。例えば、基板ホルダが静止状態に維持され、センサが回転されてプロセスチャンバ軸に対する基板ホルダ軸のアライメントが決定され得る。測定の別のセットでは、基板ホルダに対してセンサが静止状態に維持され、基板ホルダが回転されてプロセスチャンバ軸に対する基板ホルダ回転軸のアライメントが決定され得る。
【0020】
ウェハボートの横方向のシフトによる基板ホルダのミスアライメントに加えて、基板ホルダが傾けられることによりミスアラインされ得る。この種のミスアライメントを測定するために、各々異なる高さで2つ以上の測定のセットが行われ得る。好ましくは、異なる高さの2つ以上のセンサが用いられ、一方が用いられて測定のセットを各々作成する。いくつかの実施形態においては、一つのセンサを用いて或る高さで測定を行い、次にセンサを移動させて別の高さで測定を行う。ボート又はセンサ何れかの与えられた回転角について、基板ホルダ軸に対して同様の位置にセンサを配置することで、実質的に垂直な基板ホルダが実質的に等しい測定を与えるであろう一方、傾けられた基板ホルダは、異なる測定距離を与えるであろう。
【0021】
基板ホルダ回転軸、基板ホルダ軸、及びプロセスチャンバ軸の相対的なアライメントを決定することにより、プロセスチャンバの壁に対する基板ホルダの方向を決定することで、望ましくない如何なる方向付けも、基板の処理を開始する前に補正され得る。
【0022】
有利なことに、基板ホルダ上に測定センサを提供して、測定センサにプロセスチャンバ外部の装置との通信を可能にすることにより、基板ホルダがプロセスチャンバ内に挿入され密閉された後であっても、プロセスチャンバ内の基板ホルダのアライメントが測定され得る。従って、プロセスチャンバ内の基板ホルダのアライメントをより正確に決定することが可能となる。基板ホルダをプロセスチャンバに対してより均一に方向付けることによって、高品質の処理結果、例えば高い均一性の堆積膜を得ることができる。
【0023】
ここで、図面に対して参照がなされる。図面全体を通じて同じ参照符号は同じ又は類似の構成要素を意味する。
【0024】
図1に、商品名A412TMでオランダ国BilthovenのASM International,N.V.から販売されている例示的なバッチリアクターを図示する。図示したリアクターは、垂直炉型のリアクターであり、効率的な加熱及び挿入シーケンスのための利点を有するが、当業者は、本明細書において開示された原理及び利点が、他のタイプのリアクターへも応用されることを認識するであろう。
【0025】
図1を引き続き参照して、反応チャンバ12の範囲は、垂直に伸びる実質的に円筒状のプロセスチューブ14によって定められる。プロセスチューブ14は、チューブ14の中心を通って垂直に伸びる中心軸36を有する。チューブが完全に円筒状で且つストレートの場合、中心軸36は、好ましくは、プロセスチューブ14の水平断面の中心を通って伸びる。プロセスチューブ14の下端は開いており、金属ドア20及び石英ドア24を備えるドア構造23を用いて閉じられ得る。ドア構造23はペデスタル15を支持し、続いてペデスタル15はウェハボート16を支持する。ウェハボート16は、下端プレート17と、ウェハ(図示せず)用の収納設備を形成するリセスを有する3つのボートロッド19を接続する上端プレート18とを備える。ウェハは、ウェハボート16へ挿入された後に、各々垂直に積み重ねられて一定間隔に配置される方式で水平に保持される。プロセスガスは、反応チャンバ12上端に隣接するプロセスガス導入口13を経由して反応チャンバ12に導入され、通常、下方向へ流れて、反応チャンバ12下端に隣接するガス排出口34を経由して反応チャンバから排出される。
【0026】
図示した実施形態において、ドア構造23は、ボート回転駆動モータ(図示せず)と連結するように構成されたボート回転ベアリング26を備えている。処理の間、ボート回転ベアリング26は、ドア構造23上に支持されたボートペデスタル15を回転させることにより、ウェハボート16を回転させることができる。図示したリアクター10において、ボート回転ベアリング26は、ペデスタル15に直接的に接触して支持する回転プレート28を支持する。
【0027】
処理の間、ガス導入口32から不活性ガス或いは「パージング」ガスを導入することにより、不活性ガスボリューム22は反応チャンバ12の下端に維持され得る。不活性ガスボリューム22は、反応チャンバ12内部の圧力よりわずかに高い圧力を有し、その結果、反応チャンバ12内への不活性ガスの正圧のフローが常に維持される。このようなパージスキームは、2005年1月18日出願の米国特許出願第11/038,357号において議論され、その開示の全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0028】
コントローラ40は、リアクター10の様々な処理パラメータをコントロールする。コントローラ40は、プロセスチャンバ12内のセンサシステム100(図2A及び図2B)と無線通信するためのトランシーバ50と共に供給され得る。
【0029】
図2A及び図2Bに、本発明の好ましい実施形態に従って形成されたセンサシステム100を図示する。センサホルダ110(図示した実施形態においてはベースプレートである)は、ウェハボート16のボートロッド19中のリセス37によって形成された収納部内に固定又は収納部上にマウントされる。センサプレート112は、回転可能にベースプレート110にマウントされる。センサプレート112は回転軸130を有する。好ましくは、ウェハが収納されウェハボート16のリセス37の中心に配置される際に、センサ回転軸130が所望のウェハ中心と一致するようにベースプレート110が配置される。適切に配置されると、好ましいことに、軸130がウェハボート16の軸(図1)と一致する。ウェハボート16はまた、ウェハボート16自体が回転する軸140を有する。好ましくは、ボート回転軸140は、ボート軸(これは、センサシステム100がウェハボート16内に適切に挿入される際にセンサ回転軸130と一致する)及びプロセスチャンバ軸36と一致する。さらに、好ましくは、センサ回転軸130は、ウェハの主面が伸びる平面に対して垂直である。基板が半導体ウェハである場合、ベースプレート110は、好ましくは円形であり、センサ回転軸130は、好ましくはベースプレート110の中心を通って伸びる。より好ましくは、ベースプレート110は、ウェハボート16内に収納された基板と概ね同じ形状及びサイズを有する。従って、センサシステム100は、ウェハのように、既に提示したリセス37内のウェハボート16内に確保され、それによって、測定システム100を収納するためのウェハボート16を修正する必要なしに、測定が有利になされることを可能にする。
【0030】
図2A及び図2Bを引き続き参照して、回転モータ128は、ベースプレート110に対してセンサプレート112を回転させるように構成される。距離センサ120は、センサプレート112上にマウントされ、好ましくは距離と関係する信号を検出するために、そして好ましくは、この信号を用いて、センサ120と、センサ120の視野窓内の最も近い障害物との間の距離を測定するように構成される。好ましくは、視野窓はウェハ収納平面と平行な方向を向き、且つ半径方向を向く。センサプレート112にはさらに、コントローラユニット122、トランシーバ124、アンテナ125、及びバッテリー126が提供される。センサ120、コントローラユニット122、及びトランシーバ124は、バッテリー126に接続される。センサ120及びトランシーバ124は、コントローラユニット122に接続されコントロールされる。トランシーバ124はアンテナ125に接続される。信号は、プロセスチューブ14(図1)の外部に位置するトランシーバ50(図1)との間で、トランシーバ124及びアンテナ125を通じて無線で送受信され得る。第2のトランシーバ50は、オペレータステーションに接続され、オペレータステーションは、コントロールユニットと、データの閲覧及びコマンドの入力のためのユーザインタフェースとを有するコントローラ40を備える。例示した実施の形態において、センサ120は、センサ120とセンサ120に最も近い任意の障害物との間の距離に相当する信号を提供する超音波センサである。
【0031】
図3を参照して、ウェハボート16のアライメントは、センサプレート120が回転する間の期間の時間の関数として、センサ120とプロセスチューブ壁14(図2A及び図2B)との間の距離を測定することにより決定され得る。センサプレート112を回転させ、センサ120によって測定された距離を連続的に記録することにより、図3に模式的に示されるグラフを得ることができる。図3の上側のグラフは、プロセスチューブ14に実質的に中心配置されるウェハボート16(図1及び図2A−図2B)から予想されるグラフを示す。ボートロッド19(図2A−図2B)や、熱電対60(図2A、また図3のグラフ中にTCで表される)を収納するシャフトなどの、プロセスチューブ14内の任意の突出物などの局所的な障害物の存在により、局所的な距離の変動が観測されることが認識されるであろう。これらの局所的な変動をフィルタリングして取り除き、図3のグラフの斜線部によって示されるように、1回の回転の間に測定された距離は実質的に一定であり、このことは、センサ回転軸130がプロセスチャンバ軸36と実質的に一致することを示唆している。
【0032】
図3の下側のグラフは、センサ回転軸130がプロセスチャンバ軸36と一致しない状況を示す。下側のグラフを参照して、例えば、熱電対60や、ウェハボート16(図2A)の3本のボートロッド19などの局所的な障害物による変化がフィルタリングにより除去される場合であっても、測定された距離は1回の回転の間に最大値と最小値との間で変化する。距離の変化は、センサ回転軸130がプロセスチャンバ軸36と一致しないことを示唆する。局所的な障害物による影響をフィルタリングにより除去した後には、曲線は概ね正弦波の形状を有する。半回転の間、測定された距離は平均値より大きく、残りの半回転の間、測定された距離は平均値より小さい。
【0033】
リアクター10の機能の最適化に関して、好ましくは、ウェハボート16が静止状態にある場合だけでなく、ウェハボート16が回転する場合においても、ウェハボート16がプロセスチューブ14に対して中心配置されることが認識されるであろう。言いかえると、好ましくは、ボート回転軸140はプロセスチューブ14に対して中心配置される。即ち、ボート回転軸140がプロセスチャンバ軸36と一致する。アライメントのテストの第1のステップとして、ボート回転スイッチがオンにされた状態で、ベースプレート110に対して静止したセンサプレート112を用いて、センサプレート112がウェハボート16と共に回転しながらテストが行われ得る。これは、プロセスチューブ14に対してボート回転軸140が中心配置されているか否かを明らかにするであろう。次に、静止したウェハボート16と、ベースプレート110に対して回転するセンサプレート112とを用いてテストが行われ得る。これは、プロセスチューブに対してセンサ回転軸130が中心配置されているか否かを明らかにするであろう。センサシステム100がウェハボート16内に適切に挿入される、即ち、センサ回転軸130がウェハボート16の中心軸に一致すると仮定すると、このテストはまた、プロセスチューブ14に対してウェハボート16が中心配置されているか否かを明らかにするであろう。
【0034】
センサ120が回転するにつれて継続的に、もしくはセンサ120の回転の間の特定のポイントにおいて、距離の測定が行われ得ることが認識されるであろう。好ましくは、センサ120の異なる回転方位において、少なくとも3つの測定が行われる。より好ましくは、その方位は、360度の完全な回転を等しく分割する。例えば、3つの測定が行われる場合、好ましくは、互いに約120°回転された方位において測定が行われる。しかしながら、特定のポイントにおいて測定が行われる場合、センサ120とプロセスチューブ14との間のウェハボートロッド19などの障害物までの距離ではなく、プロセスチャンバ12の壁までの距離が測定されるように、任意の測定の前にセンサ120を方向付けること及び/又は測定ポイントを選択することによって注意が払われることが好ましい。
【0035】
有利なことに、センサ120を用いた3つ以上の方位角における測定によって、測定が行われる高さにおける、プロセスチューブ14に対するウェハボート16の中心配置を検証することができる。しかしながら、例えばプロセスチューブ14に対してウェハボート16が傾けられるかもしれず、ウェハボート16の垂直軸とプロセスチューブ14の垂直軸との間のミスアライメントもまた起こり得る。図7A−図7Fを参照して以下で議論されるように、傾きの発生は、ウェハボート16の異なる高さにおいて、ウェハ収納部に収容されるベースプレート110を用いて、少なくとも2セットの測定を行うことにより調査され得る。例えば、一方の測定セットが下端において行われ、他方の測定セットがウェハボート16の上端において行われる。
【0036】
センサ120が、距離の測定に用いられる分野における公知の様々な装置であり得ることが認識されるであろう。好ましくは、センサ120は信号を放出し、反射を引き起こす物体の距離と共に、既知の方法で変化する信号の反射を検出する。ミスアライメントの存在を決定するために、角度位置を用いる反射信号の任意のバリエーションが用いられ得る。いくつかの実施形態では、図7を参照して以下で議論されるように、反射信号が距離の数値に変換され、ミスアライメントの度合が定量化され得る。
【0037】
センサ120は、非接触の距離測定を可能にする超音波センサであり得る。そのようなセンサは超音波のパルスを放出し、プロセスチューブ14などの、センサの正面にある物体によって反射される超音波パルスを検出する。センサから物体までの距離は、放出したパルスと受信した反射パルスとの間の遅延時間から導かれる。他のセンサ及び測定技術もまた適用され得る。例えば、ロボット工学或いは自動車工学において用いられる距離センサ(或いは変位センサ或いは領域センサ)もまた適切である。
【0038】
さらに、超音波の代わりに、光学的な放射などの電磁放射もまた、センサによって放出及び/又は検出されることができ、距離が測定される。そのような光学センサは、赤外光、可視光或いは紫外放射などの光学的な放射を放出することができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、レーザビームを用いる光学センサが適用され得る。超音波センサによって通常適用されるエコー技術の代わりに、レーザセンサを用いて干渉法又は三角測量法が適用されて距離が測定され得る。そのような三角測量法が、図4を参照して説明される。三角測量センサは、符号400により本明細書中の全体で参照される。出力窓420を通って、小さな明るい光のビームがレーザ410によって放出される。ビームが物体425に当たると、光が散乱して反射される。受信機はレーザから離れて位置し、受信機は、レンズを備える開口440と、例えば線形のフォトダイオードアレイを備える光センサ430とを備える。より速いレスポンスのために、フォトダイオードアレイの代わりに位置感応型検出器(PSD)が用いられ得る。実際の測定値が、観測された散乱又は反射光の角度であることが認識されるであろう。測定された角度は、三角法の計算によって距離に変換される。視野角は制限されており、このことが、測定可能な距離を所定の範囲に制限するかもしれない。
【0040】
図5を参照すると、オランダ国BilthovenのASM International,N.V.から販売されているA412TMリアクターのプロセスチャンバ内で行なわれた実際の測定セットから得られた曲線のプロットのグラフが示されている。ボートロッドは、曲線中のはっきりとした落ち込みとして認識されることができ、また、熱電対の軸は、小さなピークとして検出され得る。この例では、ボートは中心配置されない。最小距離と最大距離との間の差は、起こり得るボートロッド及び熱電対の軸による変量を無視すると、約3mmである。これは、ボートが約1.5mm偏心配置していることを示す。この図では、水平の軸は時間の単位に分割される。回転速度が一定であったため、時間の単位は、各々特定の角度位置に対応する。他の好ましい実施形態では、方位角が直接に測定され記録され得る。
【0041】
理論によって発明を制限することなく、ウェハボート16のアライメントの測定に関係する原理がこれから、理論的な観点からより詳細に議論されるであろう。図6Aには、偏心配置の状況が模式的に表されている。測定装置回転軸130は、水平面中に角度βによって定義された方向に、プロセスチャンバ軸36に対して、距離aにわたってシフトされる。図6Bには、測定装置回転軸130及びプロセスチャンバ軸36の平行ではないアライメントが、模式的に表されている。測定装置回転軸130は、水平面中に角度βによって定義された方向に、角度γにわたって傾けられる。測定装置が挿入されるウェハボートは高さhを持ち、また、ウェハボートの一番上に、プロセスチャンバ軸36から距離pだけずらして測定装置回転軸130が配置される。図7A−図7Fに関して以下に議論されるように、これらの変数は、ウェハボート16のミスアライメントの度合を定量化するために使用され得る。
【0042】
基板ホルダのミスアライメントは、様々な要因によって引き起こされ得る。例えば、閉位置にあるドアプレート23(図1)の理想的な方位に対して、ウェハボート16を支持するドアプレート23が、横方向にシフト及び/又は斜めに閉じられ得る。ドアプレート23のこのミスアライメントは、ウェハボート16のミスアライメントを引き起こし、その結果、ウェハボート回転軸140のミスアライメントを引き起こし得る。さらに、ウェハボート16は、ドアプレート23上に配置された後に、シフト又は傾いた状態で静止する可能性があり、その結果、ウェハボート16内に位置する測定システム100の回転軸130のミスアライメントを引き起こす。最後に、測定システム100自体がウェハボート16中に不正確に配置される可能性があり、その結果、不正確に配置されたウェハボート16を示す測定結果になる。実際には、これら及び他の状況の任意の組み合わせが起こり得る。
【0043】
多くの異なる状況が、図7A−図7Fにおいて模式的に表され、以下に記述される。図1に示されるように、プロセスチューブ14内部のウェハボート16は、ドアプレート23上に支持される。測定システム100は、ウェハボート16内に挿入される。プロセスチューブ14は、プロセスチャンバ軸36を有するプロセスチャンバ12を定める。測定システム100は測定システム回転軸130を有し、また、ウェハボート16はウェハボート回転軸140を中心に回転する。様々な軸36、130、及び140のミスアライメントが、次の任意の構造、即ち、ウェハボート16、ドアプレート23、プロセスチューブ14、測定システム100、及びウェハボート16とドアプレート23との間に介在する任意の構造の、互いのミスアライメントの結果であることが認識されるであろう。
【0044】
図7A−図7Fにおいて、様々なアライメントのケースが以下のように示される。
【0045】
図7A:プロセスチューブ14内及びプロセスチューブ14に正確にアラインされたドアプレート23上に、ウェハボート16が実質的に中心配置される。測定システム回転軸130、ボート回転軸140、及びプロセスチャンバ軸36が一致する。
【0046】
図7B:測定システム回転軸130及びボート回転軸140は一致するが、プロセスチャンバ軸36に対して(水平面中の角度βにおいて距離aだけ)シフトされる。これは、例えば、ウェハボート16はドアプレート23に正確にアラインされるが、ドアプレート23は、横方向にシフトされることで不正確にアラインされることを示すかもしれない。
【0047】
図7C:ボート回転軸140がプロセスチャンバ軸36と一致する。測定システム回転軸130は、プロセスチャンバ軸36に対して平行であるが(水平面中の角度βにおいて距離aだけ)シフトされる。これは、例えば、正確にアラインされたドアプレート23に、ウェハボート16が不正確にアラインされることを示すかもしれない。
【0048】
図7D:ボート回転軸140及びプロセスチャンバ軸36は一致するが、測定システム100自体は、ボート16内に中心配置されない(測定システム100が、水平面中の角度βにおいて距離aだけずらして配置される)。これは、測定システム100がボート16内に不正確に挿入され、再配置される必要があることを示すかもしれない。
【0049】
図7E:ボート回転軸140及びプロセスチャンバ軸36は一致するが、プロセスチャンバ軸36に対して、(水平面中の角度βの方向に、プロセスチャンバ軸36に対して角度γ傾けられて)測定システム回転軸130が傾けられる。これは、例えば、ドアプレート23は正確にアラインされるが、ウェハボート16がドアプレート23に不正確にアラインされることを示すかもしれない。
【0050】
図7F:ボート回転軸140及び測定システム回転軸130は一致するが、プロセスチャンバ軸36に対して、(水平面中の角度βの方向に、プロセスチャンバ軸36に対して角度γ傾けられて)ボート回転軸140が傾けられる。これは、ウェハボート16はドアプレート23上に正確にアラインされるが、ドアプレート23がプロセスチューブ14に不正確にアラインされることを示すかもしれない。
【0051】
理想的なウェハボート方位からの偏差の別のバリエーションとして、図7には図示されないが、プロセスチャンバ12を定めるチューブ14が、形が完全に円筒状ではないかもしれない。そのようなバリエーションを説明するために、測定を解釈及び/又はプロットする第一歩として、好ましくは、プロセスチューブ14の寸法データが、測定されたデータに適切に追加及び/又は除去される。例えば、選択された中心点からのプロセスチューブ14の距離は、好ましくは、センサ120(図2A−図2B)の各々の方位角について知られており、また、この距離は平均され得る。この平均値以上の値は、センサ120によってなされた対応する測定結果から除去されることができ、この平均値以下の値は、測定結果に加えられることができる。他の実施形態においては、不均一な形のプロセスチューブに対する補正はなされない。より正確に述べると、不均一な形のチューブの場合、測定がなされ、プロセスチャンバ12の理想的な中心に可能な限り近くにウェハボート16が配置される。
【0052】
上記したように、完全に中心配置されたアライメントからの偏差を決定するために、好ましくは、4つの異なるセットの距離測定が行われる。ウェハボート16中の与えられた高さにおけるプロセスチャンバ軸36に対する横方向のシフトを決定するために、好ましくは、ウェハボート16がボート回転メカニズム(BR)によって回転する(その結果、センサ120がウェハボート16と共に回転する)間に、第1の測定が行われ、また、好ましくは、ウェハボート16が静止する間、センサターンテーブル(TT)112の回転によってセンサ120が回転する間に、第2の測定が行われる。測定システム回転軸130の傾き、及びプロセスチャンバ軸36に対するボート回転軸140の傾きを決定するために、上記した測定の各々が、好ましくは、ウェハボート16内の2つの異なる高さh及びhに位置する測定システム100を用いて行なわれる。
【0053】
ウェハボート16が傾けられると、センサ測定によって決定される量が変化することにより、様々な軸36、130、及び140が、互いに対して横方向にシフトされることが認識されるであろう。従って、ウェハボート16中の測定システム100の高さと共に変化するセンサ測定は、図7E又は図7Fに図示されるように、ウェハボート16が傾けられることを示す。図7Eと図7Fとのケースを区別するために、BR及びTTの回転を用いる測定のバリエーションが調査される。BR及びTT両方の測定角αと共に測定距離が変化する場合、プロセスチャンバ軸36に対してボート回転軸140自体が傾けられる(図7F)。横軸方向のシフトが、TTを用いる測定による高さと共に変化し、BRを用いる測定による高さと共に変化しない場合、ボート回転軸140はプロセスチャンバ軸36にアラインされるが、測定システム回転軸130、故にウェハボート軸はミスアラインされる(図7E)。
【0054】
測定距離が、ボート内の測定装置の高さの関数として変化しない場合、図7A、図7B、図7C、又は図7Dのうちの1つの状況が存在する可能性がある。図7Aの状況は、測定距離がBR及びTTの測定角度の関数として変化しない場合に存在する。図7Bの状況は、測定距離がBR及びTTの両方の測定角度と共に変化する場合に存在する。図7C又は図7Dのうちの何れかの状況は、測定距離が、TTの回転角と共に変化するが、BRの回転角と共に変化しない場合に存在する。図7C及び図7Dの状況は、ウェハボート16のボートロッド19がセンサ120の測定範囲内にある場合に区別され得る。図7Cでは、センサ120の回転軸130はウェハボート16内に中心配置され、ボートロッド19及びセンサ120間の測定距離は実質的に等しい。図7Dでは、センサ120の回転軸130はウェハボート16内に偏心配置され、ボートロッド19及びセンサ120間の測定距離は変化する。ウェハボート16のボートロッド19がセンサ120の測定範囲内にない場合、好ましくは、測定システム100がウェハボート16内に中心配置されることを保証するように注意が払われる。
【0055】
出現するミスアライメントのタイプを定性的に決定すると、この情報は、望まれる修正動作タイプの指針を提供するために使用され得る。例えば、ケースBの状況が見つかる場合、ドアプレート23の再配置に注意を向けることができる。別の例において、ケースCの状況が見つかる場合、ドアプレート23に対するウェハボート16の再配置に注意を向けることができる。
【0056】
より好ましくは、ウェハボート16が適切にアラインされているか否かを二者択一的に決定することに加えて、測定されたデータはまた、任意のミスアライメントの様々なパラメータを定量化するために用いられることができ、より有利に任意の修正動作の指針を提供することができる。そうするために、与えられた偏心配置距離a、水平角β、及び傾き角γについて予期される測定角又は回転角αの関数として、測定距離が三角関数を用いてモデル化され得る。実際の測定セットから得られた実験データはその後、三角関数にフィットされることができ、a、β、及びγについての推定値を得る。例えばケースA−Fのモデルのうちの1つが当てはまるか否かを決定するために、定性的なミスアライメント情報は、注目するモデルのセットを決定するために用いられることができ、或いは、マッチングを見つけるために、実験データが単純に全てのモデルと比較され得る。一旦マッチングが見つかると、モデルを生成するために用いられる値が、ミスアライメントを記述するために用いられるa、β、及びγについての推定値として提供され得る。
【0057】
以下に、ターンテーブル(TT)の回転角αの関数S(α)として、距離又はセンサによって検出された信号が、異なる状況BからFについて、三角関数を用いて表される。センサによって受信した信号は、センサと信号を反射する物体との間の距離に関係することが認識されるであろう。必要に応じて、この信号は測定距離に変換され得る。
【0058】
下記B−Fの文字は、それぞれ図7B−図7F中に表された状況を参照する。上記したように、数式中において、aは中心からの横方向のシフトであり、角度βはシフトの方向を定義し、角度γは、プロセスチャンバ又はプロセスチューブ軸に対するウェハボート回転軸の傾きであり、Rはプロセスチューブの半径である。
【0059】
【数1】

ケースBにおいて、信号は、測定角αと共に変化し、ボートの回転(BR)及びターンテーブル(TT)の回転について等しい。軸36、130、及び140がすべて平行であるため、ボート中の異なる高さh及びhにおいて、どんな所定の角度位置αにおいても同一の信号が検出装置を用いて測定されるであろう。
【0060】
【数2】

ミスアラインされたボートによりセンサがオフセットされるケースCにおいて、STT(α)は測定角度αと共に変化するが、プロセスチャンバに適切にアラインされたボート回転メカニズムについて、SBR(α)はαと共に変化しない。プロセスチャンバ回転軸36及びウェハボート回転軸140がアラインされるので、ウェハボート16中の異なる高さh及びhにおいて、同一の距離がセンサシステム100に適用される。
【0061】
D: ケースDにおいて、プロセスチャンバ軸36、ウェハボート回転軸140、及び測定システム回転軸130の相対的なアライメントが同じであるため、ケースDは、変数間にケースCと同じ関係を有する。
【0062】
【数3】

ケースEにおいて、ウェハボート16が傾けられるため、高さhの関数として、STT(α,h)及びSBR(α,h)の両方が変化する。ボート回転軸140がチューブ軸36と一致するため、SBR(α,h)はαと共に変化しない。しかしながら、測定システム回転軸130がチューブ軸36と一致しないため、STT(α,h)はαと共に変化する。理論上、STT(α、h)及びSBR(α、h)に
【0063】
【数4】

が掛けられる。しかしながら、この乗数の値はほとんど1であり、ほとんどの場合、乗算は無視され得る。
【0064】
【数5】

ケースFにおいて、ウェハボート16が傾けられるため、高さhの関数として、STT(α,h)及びSBR(α,h)の両方が変化する。ボート回転軸130及び測定システム回転軸140が一致するため、センサターンテーブル(TT)の回転及びボート回転メカニズム(BR)について、同一の距離が適用される。再び、理論上、STT(α,h)及びSBR(α,h)に
【0065】
【数6】

が掛けられる。しかしながら、この乗数はほとんど1であり、無視され得る。
【0066】
このように、本明細書において検討された測定システムを使用すると、基板ホルダのミスアライメントを検出することができ、また、修正動作を得ることができる。基板ホルダのミスアライメント(例えば、図7A−図7Bにおいて表される)のタイプは、もしあれば、基板ホルダ内の2つ以上の高さにおいて距離測定を行うことにより、定性的に決定され得る。ミスアライメントのパラメータは、測定データを様々な理論モデルへフィッティングすることにより定量化され得る。出現するミスアライメントのタイプを決定した後、基板ホルダ、或いはドア構造又は他の介在する構造(例えばペデスタル)が、もしあれば、ミスアライメントを修正するために再配置され得る。
【0067】
図示した実施形態に様々な変更がなされ得ることが認識されるであろう。例えば、1つの距離センサを回転させるよりも、複数のセンサ、例えば3つ以上の方向を指す3つ以上のセンサが、プロセスチャンバ壁への距離を測定するために用いられ得る。その場合、回転軸及び駆動モータは省略されることができ、有利なことに測定システムはより単純になる。そのような測定システムが、図2に示す同じ又は類似の構成要素には同じ参照符号を付して、図8に示される。3つのセンサ120が、互いに約120°離れた方向に方向付けられて、センサホルダ110にマウントされる。ボートロッド19又は熱電対60用の軸を含み得る任意の障害物なしに、センサがプロセスチューブ14の部品に向けられるように、センサシステム100はウェハボート16内に位置するべきである。図8において、センサ120、コントローラユニット122、バッテリー126、及びトランシーバ124が電気的に接続されることが認識されるであろう。上記したように、センサ120は様々なタイプのセンサであり得る。いくつかの実施形態において、センサ120は、有利なことに安価でありコンパクトである超音波センサである。例えば、ドイツ国Hainstrasse 50 D−63526 ErlenseeのPIL Sensoren GmbHから販売されているモデルP43−K4U−2G−1C0−400Eのセンサが適している。有利なことに、そのようなセンサは、約25−250mmの適切な範囲の測定距離を提供し、12×26×40mmのコンパクトな寸法を有する。
【0068】
いくつかの実施形態において、本明細書において提案した距離センサは、電子水準器又はセンサ150(図8)と組み合わされ得る。ウェハボートの、或いはボート回転軸の任意の傾きは、水準器150により検出されることができ、その結果、本明細書において記述した距離測定は、ボート内の1つの高さにおいてのみ行われ得る。
【0069】
図示した実施形態に他の様々な変更がなされ得ることが認識されるであろう。例えば、いくつかの実施形態において、好ましくは、センサシステム及び外部コントローラが各々、無線で互いにリアルタイム通信するためのトランシーバ及びアンテナと共に供給される一方、センサシステム及び外部コントローラが、そのような無線通信システムなしで提供される。むしろ、センサシステムがプロセスチャンバから取り除かれた後に、センサシステムは、分析用の処理ユニットに接続されたワイヤーを介してダウンロードされる測定データを格納することができる。他の実施形態において、格納されたデータは、ユニバーサルジョイントを通じてワイヤーを介してリアルタイムにダウンロードされ得る。さらに、センサシステムは、測定の間に無線でコントロールされるよりもむしろ、プロセスチャンバ内に挿入された後、あらかじめプログラムされたルーチンに従って機能することができる。
【0070】
さらに、実装の容易さのために、好ましくは、センサシステムが、基板ホルダ内に既に存在するスロット内へセンサシステムを収納することができるベースプレート上に提供される一方、センサシステムは、基板ホルダの任意の部分に取り付けられ得る。例えば、センサシステムは、例えば基板ホルダのロッド等の基板ホルダの他の部分上に、例えばクランプで締めることにより確保され得る。そのようなケースにおいて、好ましくは、センサシステムは、センサの回転軸が基板ホルダ軸と一致するように構成される。
【0071】
基板スロット内に収納されるか否かにかかわらず、好ましくは、センサの回転軸が基板ホルダの回転軸と一致する一方、いくつかのケース(例えば、図7D)において、センサの回転軸が基板ホルダの回転軸と一致しない場合があることが認識されるであろう。そのようなケースにおいて、好ましくは、例えばセンサの回転とともに起こる、測定された距離の予期される増大及び/又は減少を説明するために、値の追加又は減算を行うことにより、センサからの測定データが調節される。
【0072】
また、議論及び図示の容易さのために、上記において測定距離に関して議論したが、距離センサによって検出された信号は距離と共に変化し、また、いくつかの実施形態においては、信号が距離に変換されず、むしろ、角度位置を用いる信号のバリエーション自体が、基板ホルダのアライメントを測定するために用いられ得ることが認識されるであろう。他の実施形態において、信号は距離に変換され、もしあれば、ミスアライメントの度合が有利に定量化され得る。
【0073】
センサシステムは、使用を望む際に用いられるが、有利なことに、センサシステムは、整備手順の一部として、基板ホルダのアライメントを測定するために用いられることができ、基板のバッチ処理を行う前に、基板ホルダのアライメントを較正する。そうでなければ、測定の間に基板ホルダが空になり得、或いは、他の利用可能な基板収納部が、基板又はダミー基板で満たされることができ、処理中に基板ホルダ及び任意の回転システムによって与えられる重量ロードをより良くシミュレートすることが認識されるであろう。
【0074】
従って、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で、上記した方法及び構造に対し他の様々な省略、追加、及び変更がなされ得ることが、当業者には理解されるであろう。そのような変更及び修正はすべて、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の技術的思想の範囲内に含まれることを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の好ましい実施形態に係るプロセスチューブ内部に配置されたウェハボートを有する垂直炉型リアクターの断面図である。
【図2A】本発明の好ましい実施形態に係るリアクター内のウェハボートに配置された測定ステーションの模式的な平面図である。
【図2B】本発明の好ましい実施形態に係る図2の測定ステーション、ウェハボート、及びリアクターの模式的な側面図である。
【図3】本発明の好ましい実施形態に係る実質的に中心配置されたウェハボート及び偏心配置されたウェハボートについての出力信号を模式的に示すグラフである。
【図4】本発明の好ましい実施形態に係るセンサから放出される放射を用いて距離を決定するための三角測量の原理を説明するための模式図である。
【図5】本発明の好ましい実施形態に係る超音波距離センサを用いて測定された距離データを示すグラフである。
【図6A】本発明の好ましい実施形態に係るプロセスチューブ内のウェハボートのアライメントの決定に用いる様々な変数の関係を説明する図面である。
【図6B】本発明の好ましい実施形態に係るプロセスチューブ内のウェハボートのアライメントの決定に用いる様々な変数の関係を説明する図面である。
【図7A】本発明の好ましい実施形態に係るプロセスチューブ内のウェハボートのアライメントの様々な起こり得る形態を説明する模式図である。
【図7B】本発明の好ましい実施形態に係るプロセスチューブ内のウェハボートのアライメントの様々な起こり得る形態を説明する模式図である。
【図7C】本発明の好ましい実施形態に係るプロセスチューブ内のウェハボートのアライメントの様々な起こり得る形態を説明する模式図である。
【図7D】本発明の好ましい実施形態に係るプロセスチューブ内のウェハボートのアライメントの様々な起こり得る形態を説明する模式図である。
【図7E】本発明の好ましい実施形態に係るプロセスチューブ内のウェハボートのアライメントの様々な起こり得る形態を説明する模式図である。
【図7F】本発明の好ましい実施形態に係るプロセスチューブ内のウェハボートのアライメントの様々な起こり得る形態を説明する模式図である。
【図8】異なる方向を向いた複数のセンサを有するリアクター内のウェハボートに設置されたセンサシステムの模式的な平面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセスチャンバを有する垂直型のバッチリアクターと、
前記プロセスチャンバ内に収納されるように構成され、半導体ウェハを収納するための複数のウェハスロットを有するウェハボートと、
距離測定システムとを備え、該距離測定システムが、
ウェハ収納部内に収納されるように寸法決定及び形成されたベースプレートと、
前記ベースプレートに取り付けられた距離センサ
とを備える半導体処理システム。
【請求項2】
前記距離測定システムが、3つ以上の異なる方向の距離を測定するように構成された3つ以上の前記距離センサを備える請求項1の半導体処理システム。
【請求項3】
前記距離測定システムが、前記ウェハボートの任意の傾きを検出するように構成された水準器を更に備える請求項1の半導体処理システム。
【請求項4】
前記距離センサが、コントロールされて回転可能である請求項1の半導体処理システム。
【請求項5】
前記距離センサが、前記ベースプレートと実質的に平行な方向の距離を測定するように構成された請求項1の半導体処理システム。
【請求項6】
前記ウェハボートが複数のロッドを備え、該ロッドの各々が、複数の前記ウェハ収納部を定める複数の支持面を有する請求項1の半導体処理システム。
【請求項7】
前記支持面が、前記ロッド内のリセスにより定められる請求項6の半導体処理システム。
【請求項8】
前記プロセスチャンバの範囲が、円筒状のプロセスチューブによって定められる請求項1の半導体処理システム。
【請求項9】
前記バッチリアクターが、前記バッチリアクターの下端部に、前記ウェハボートを支持するように構成されたドア構造を更に備える請求項1の半導体処理システム。
【請求項10】
前記ドア構造が、前記ウェハボートを回転させるように構成された回転ベアリングを備える請求項9の半導体処理システム。
【請求項11】
前記ドア構造上で静止するように、且つ前記ウェハボートを直接支持するように構成されたペデスタルを更に備える請求項9の半導体処理システム。
【請求項12】
前記距離センサが、前記ベースプレートに対して回転可能にマウントされたセンサプレート上にマウントされる請求項1の半導体処理システム。
【請求項13】
前記距離センサの信号を距離の数値に変換するように構成されたコントローラを更に備える請求項1の半導体処理システム。
【請求項14】
前記距離測定システムがトランシーバを更に備え、前記半導体処理システムが前記プロセスチャンバ外部に別のトランシーバを更に備え、該トランシーバ及び該別のトランシーバが互いに無線通信するように構成された請求項1の半導体処理システム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図7F】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−263947(P2007−263947A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−12682(P2007−12682)
【出願日】平成19年1月23日(2007.1.23)
【出願人】(501380070)エーエスエム インターナショナル エヌ.ヴェー. (26)
【氏名又は名称原語表記】ASM INTERNATIONAL N.V.
【住所又は居所原語表記】The Netherlands 3723 BG Bilthoven Rembrandtlaan 7−9
【Fターム(参考)】