説明

フレーム構造

【課題】車体フレームのサスペンション支持部の精度及び剛性を容易に確保できると共に構造の簡素化を図ることができるフレーム構造を提供する。
【解決手段】サブフレーム60のフレーム部材であるサブアッパパイプ62及びサブロアパイプ61の間に渡ってリアメンバ64を設け、該リアメンバ64に、リアサスペンション75のアッパアーム76及びロアアーム77の一端側を支持する後アッパアーム支持部64a及び後ロアアーム支持部64bを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ATV(All Terrain Vehicle)等の車体左右に車輪を備える車両のフレーム構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記フレーム構造において、車体フレームの後部をサブフレームとし、該サブフレームに独立懸架式のリアサスペンションを支持させたものがある(例えば、特許文献1参照。)。サブフレームは上下別体のフレーム部材を有し、下側のフレーム部材はその後部を上方に屈曲し延出することで側面視略L字状をなし、その上下中間部に上側のフレーム部材の後端部が結合される。上下フレーム部材には、それぞれリアサスペンションの上下サスペンションアームの一端側が支持される。また、上下フレーム部材間には、サブフレーム内側に配置されるファイナルギヤケースを支持する専用の支持パイプが渡設される。
【特許文献1】特開2001−328410号公報(第5図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記従来の技術においては、車体フレームのサスペンション支持部(サブフレーム)には精度及び剛性を必要とする部材が集中しており、さらに各々特別な形状や部品等を必要とすることから複雑な構造となり易いため、このような点の改善が要望されている。
そこでこの発明は、車体フレームのサスペンション支持部の精度及び剛性を容易に確保できると共に構造の簡素化を図ることができるフレーム構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題の解決手段として、請求項1に記載した発明は、車体フレーム(例えば実施例の車体フレーム4)と、左右車輪(例えば実施例の左右後輪3)を懸架する懸架装置(例えば実施例のリアサスペンション75)とを備え、前記懸架装置が上下のサスペンションアーム(例えば実施例のアッパアーム76、ロアアーム77)を有し、該各サスペンションアームの一端側が前記車体フレームに支持されるフレーム構造において、前記車体フレームにおける上下のフレーム部材(例えば実施例のサブアッパパイプ62、サブロアパイプ61)間に渡ってメンバ(例えば実施例のリアメンバ64)を設け、該メンバに前記各サスペンションアームの一端側を支持する上下の支持部(例えば実施例の後アッパアーム支持部64a、後ロアアーム支持部64b)を設けたことを特徴とする。
【0005】
請求項2に記載した発明は、前記メンバは断面略コ字状に形成されることを特徴とする。
【0006】
請求項3に記載した発明は、前記車体フレームはファイナルギヤケース(例えば実施例の後ファイナルギヤケース12)を備え、前記メンバは前記ファイナルギヤケースを支持することを特徴とする。
【0007】
請求項4に記載した発明は、前記メンバは前記各フレーム部材の少なくとも一方に嵌合されることを特徴とする。
【0008】
請求項5に記載した発明は、前記メンバは車体付属部品(例えば実施例のトレーラヒッチ38)を支持することを特徴とする。
【0009】
請求項6に記載した発明は、前記各フレーム部材及びメンバを左右に備え、該左右メンバ間に渡って前記車体付属部品の取り付け部材(例えば実施例のリアロアクロスメンバ68)を設け、該取り付け部材を介して前記左右メンバを連結した状態で、該各メンバを前記各フレーム部材に取り付けたことを特徴とする。
【0010】
請求項7に記載した発明は、前記車体フレームはフレーム本体(例えば実施例のフレーム本体4a)と別体のサブフレーム(例えば実施例のサブフレーム60)を備え、該サブフレームは前記各フレーム部材、各メンバ、及び取り付け部材を有すると共に、前記左右のフレーム部材間に渡るクッション支持メンバ(例えば実施例のセンタアッパクロスメンバ70)を有し、該クッション支持メンバの近傍に、前記サブフレームにおける前記フレーム本体への取り付け部(例えば実施例の上フレーム連結部66a)を設けたことを特徴とする。
【0011】
請求項8に記載した発明は、車体フレーム(例えば実施例の車体フレーム4)と、左右車輪(例えば実施例の左右後輪3)を懸架する懸架装置(例えば実施例のリアサスペンション75)とを備え、前記懸架装置が左右のサスペンションアーム(例えば実施例の左右アッパアーム76)を有し、該各サスペンションアームの一端側が前記車体フレームのアーム支持部(例えば実施例の後アッパアーム支持部64a)に支持されるフレーム構造において、前記左右サスペンションアーム間に渡るスタビライザー(例えば実施例のスタビライザー87)と、該スタビライザーの中間部を保持するスタビ保持部(例えば実施例のスタビ保持ブラケット188)とを備え、該スタビ保持部が、前記車体フレームのフレーム部材(例えば実施例のサブアッパリアパイプ163)とアーム支持部とに跨って設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載した発明によれば、上下のフレーム部材をメンバにより連結することで、車体フレームのサスペンション支持部の剛性を容易に確保することができる。また、上下サスペンションアームの支持部を単一のメンバに設けることで、各サスペンションアーム支持部の精度を容易に確保することができる。
【0013】
請求項2に記載した発明によれば、簡単な構成でメンバの剛性を得ることができ、かつ各サスペンションアームを保持し易い形状とすることができる。
【0014】
請求項3に記載した発明によれば、ファイナルギヤケース及び各サスペンションアームの支持機能を車体フレームの補強部材でもあるメンバに集約することで、ファイナルギヤケースを支持する専用部材を不要として車体設計の合理化を図ることができる。
【0015】
請求項4に記載した発明によれば、メンバと各フレーム部材との結合部分における剛性を確保し易い構造とすることができる。
【0016】
請求項5に記載した発明によれば、牽引装置やキャリア支持部材等、剛性を必要とする車体付属部品の支持機能をメンバに集約することで、車体設計の合理化を図ることができる。
【0017】
請求項6に記載した発明によれば、各フレーム部材、左右メンバ、及び取り付け部材を一体に組み立てる際、左右メンバ及び取り付け部材を予め小組みした状態で各フレーム部材に組み付けることで、車体フレームの組み立てを容易に行うことができる。
【0018】
請求項7に記載した発明によれば、サブフレームの補強部材でもあるクッション支持メンバの近傍にフレーム本体への取り付け部を配置し、該クッション支持メンバにフレーム本体への取り付け部の補強機能も集約することで、車体設計の合理化を図ることができる。
【0019】
請求項8に記載した発明によれば、アーム支持部とスタビ保持部とが互いに補強し合うこととなり、車体フレームのサスペンション支持部の剛性を容易に確保できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、この発明の実施例について図面を参照して説明する。なお、以下の説明における前後左右等の向きは、特に記載が無ければ車両における向きと同一とする。また、図中矢印FRは車両前方を、矢印LHは車両左方を、矢印UPは車両上方をそれぞれ示す。
【実施例1】
【0021】
図1に示す鞍乗り型四輪車(不整地走行車両)1は、小型軽量に構成された車体の前後に、比較的大径の低圧バルーンタイヤである左右の前輪2及び後輪3を備え、最低地上高を大きく確保して主に不整地での走破性を高めた所謂ATV(All Terrain Vehicle)である。この鞍乗り型四輪車1の車体フレーム4は、そのフレーム本体4aの後部に別体のサブフレーム60を一体的に連結してなる。
【0022】
車体フレーム4(フレーム本体4a)の前部には、独立懸架式(ダブルウィッシュボーン式)のフロントサスペンション57を介して両前輪2が懸架されると共に、車体フレーム4の後部(サブフレーム60)には、同じく独立懸架式(ダブルウィッシュボーン式)のリアサスペンション75を介して両後輪3が懸架される。
【0023】
車体フレーム4の略中央部には、鞍乗り型四輪車1の原動機としてのエンジン5が搭載される。エンジン5は例えば水冷式の単気筒エンジンであり、クランクシャフトの回転軸線を車両前後方向に沿わせた所謂縦置きレイアウトとされる。エンジン5の下部を構成するクランクケース6は変速機ケースも兼ねており、該クランクケース6の前後からは、前方又は後方に向けてそれぞれ前後プロペラシャフト8,9が導出される。
【0024】
各プロペラシャフト8,9は、車体フレーム4の前部下側又は後部下側において、前後ファイナルギヤケース11,12等を介して両前輪2又は後輪3に動力伝達可能に接続される。エンジン5からの回転動力は、クランクケース6内に収容された不図示の変速機を介して各プロペラシャフト8,9に出力された後、各ファイナルギヤケース11,12及び左右ドライブシャフト等を介して両前輪2及び後輪3に伝達される。
【0025】
図2を併せて参照して説明すると、エンジン5において、クランクケース6上に立設されるシリンダ部7の後部にはスロットルボディ21が接続されると共に、該スロットルボディ21の後部にはエアクリーナケース22が接続される。一方、シリンダ部7の前部には排気管23の基端部が接続される。該排気管23は、シリンダ部7の前方に延びた後に後方に向けて折り返し、シリンダ部7の左方を後方に延びた後にその先端部が車体後部左側のサイレンサ24に接続される。なお、図1中符号26はスロットルボディ21のインジェクタに燃料を圧送する燃料ポンプを示す。
【0026】
鞍乗り型四輪車1の車体上部における車幅方向中央部には、前側から順にステアリングシャフト27、燃料タンク28、及び鞍乗り型のシート29がそれぞれ配設される。ステアリングシャフト27の上端部には、燃料タンク28の斜め上前方に位置するバー型のハンドル31が取り付けられる。ステアリングシャフト27の下端部には、不図示の前輪操舵機構が連結される。ステアリングシャフト27の下部前方には、エンジン5冷却用のラジエータ25が配設される。
【0027】
車体フレーム4の前部には、車体前部を適宜覆う樹脂製の車体カバー32、及び両前輪2をその上方から後方に渡って覆う同じく樹脂製のフロントフェンダ33、並びに主に鋼材からなるフロントプロテクタ34及びフロントキャリア35が取り付けられる。また、車体フレーム4の後部には、両後輪3をその上方から前方に渡って覆う樹脂製のリアフェンダ36、並びに主に鋼材からなるリアキャリア37が取り付けられる。車体フレーム4の下部後端部には、後方に延びるマウントブラケット38a及びこれに支持されるヒッチボール38bを主とする所謂トレーラヒッチ38が取り付けられる。
【0028】
図3を併せて参照して説明すると、車体フレーム4のフレーム本体4aは、複数種の鋼材を溶接等により一体的に結合してなる。より具体的には、車体フレーム4は、左右のアッパパイプ41及びロアパイプ42を主として左右一対の閉ループ構造体を形成し、これらを複数のクロスメンバを介して結合することで、車幅方向中央部において前後に長いボックス構造を形成してなる。以下、特に記載が無ければ図3に示す車体フレーム4左側について説明し、車体フレーム4右側は前記左側の左右対称であるものとしてその説明を省略する。
【0029】
アッパパイプ41は、車体フレーム4の上部外側においてやや後下がりに傾斜して配される上部傾斜部41aと、該上部傾斜部41aの前端部からこれに対して鋭角となるように斜め後下側に向けて延びる前部傾斜部41bと、上部傾斜部41aの後端部からこれに対して鈍角となるように斜め後下側に向けて延びる後部傾斜部41cとを、一本の鋼管に曲げ加工を施すことで一体に形成してなる。アッパパイプ41における上部傾斜部41aと前部傾斜部41bとの間には前側屈曲部41dが形成され、上部傾斜部41aと後部傾斜部41cとの間には後側屈曲部41eが形成され、前部傾斜部41bの略中央部には前方に向けて凸状となる中段屈曲部41fが形成される。
【0030】
一方、ロアパイプ42は、車体フレーム4の下部外側において略水平に配される下部水平部42aと、該下部水平部42aの後端部からこれに対して鈍角となるように斜め後上側に向けて延びる後部傾斜部42bとを、一本の鋼管に曲げ加工を施すことで一体に形成してなる。左右ロアパイプ42は、その前端部(下部水平部42aの前端部)が上面視で前方に凸の円弧状部42c(図2参照)を介して連続するように、すなわち左右で一体の構造体となるように設けられる。ロアパイプ42における下部水平部42aと後部傾斜部42bとの間には下段屈曲部42dが形成される。
【0031】
アッパパイプ41の前部傾斜部41bの下端部は、ロアパイプ42の下部水平部42aの前端部近傍に接合される。アッパパイプ41の後部傾斜部41cの下端部は、ロアパイプ42の後部傾斜部42bの上下中間部に接合される。ロアパイプ42の後部傾斜部42bにおける下段屈曲部42dの直ぐ上方には下フレームブラケット49が設けられ、該下フレームブラケット49にサブフレーム60の下フレーム連結部65が連結される。
【0032】
アッパパイプ41の後側屈曲部41eには、略水平に配されたシートレールとしてのリアアッパパイプ43の前端部が接合される。リアアッパパイプ43の前後中間部には、ロアパイプ42の後部傾斜部42bの上端部が接合される。ロアパイプ42の後部傾斜部42bの上下中間部とリアアッパパイプ43の後端部近傍との間には、後上がりに傾斜するリアサブパイプ44が渡設される。ロアパイプ42の後部傾斜部42bの上端部近傍には上フレームブラケット48が設けられ、該上フレームブラケット48にサブフレーム60の上フレーム連結部66aが連結される。
【0033】
ロアパイプ42の下部水平部42aの前端部近傍には、略水平に配されたフロントロアパイプ45の後端部が接合される。フロントロアパイプ45の前部は斜め上前方に向けて湾曲し、その前端部にはフロントプロテクタ34の下端部が連結される。フロントプロテクタ34は、フロントキャリア35を支持するキャリーパイプとしても機能する。下部水平部42aにはステップバー56が設けられ、該ステップバー56及びステップボード56aにより乗員用ステップが構成される。
【0034】
アッパパイプ41の前側屈曲部41dには、該屈曲部41dからフロントロアパイプ45の前端部近傍に渡るフロントクッションパイプ46の上端部が接合される。フロントクッションパイプ46は側面視で緩やかなクランク状に屈曲し、その下端部がフロントロアパイプ45の前端部近傍に接合される。フロントクッションパイプ46の上下中間部とアッパパイプ41の中段屈曲部41fとの間には、やや前上がりに傾斜するフロントサブパイプ47が渡設される。
【0035】
ここで、左右フロントクッションパイプ46間には、左右に延びる中段前側クロスメンバ51及び上段クロスメンバ55がそれぞれ渡設される。以下同様に、左右フロントロアパイプ45間には下段前側クロスメンバ53及び下段後側クロスメンバ54が渡設され、左右フロントサブパイプ47間には中段後側クロスメンバ52が渡設される。
【0036】
中段前側及び後側クロスメンバ51,52の両側部には、フロントサスペンション57の左右アッパアーム(不図示)の基端側の前後が上下揺動可能に軸支される。また、下段前側及び後側クロスメンバ53,54の両側部には、左右ロアアーム(不図示)の基端側の前後が上下揺動可能に軸支される。前記両アッパアーム及びロアアームの先端側には、左右ナックル(不図示)の上下が揺動可能に軸支され、該両ナックルには左右前輪2のハブ部が回転自在に支持される。前記両ロアアームと上段クロスメンバ55の両端部との間には、左右フロントクッションユニット58が介設される。
【0037】
図4に示すように、サブフレーム60は、フレーム本体4aと同様に複数種の鋼材を溶接等により一体的に結合してなる。より具体的には、サブフレーム60は、前記下フレーム連結部65からやや後下がりに傾斜して後方へ延びる左右サブロアパイプ61と、該両サブロアパイプ61の前端部近傍から斜め上方へ延びた後に屈曲してサブロアパイプ61と略平行に後方へ延びる左右サブアッパパイプと、該両サブアッパパイプ62の後部上側から斜め上前方に延びる左右エクステンションパイプ63と、サブアッパパイプ62及びサブロアパイプ61の後端部近傍間に渡って上下に延びる左右リアメンバ64とを主として左右一対の閉ループ構造体を形成し、これらを複数のクロスメンバを介して結合することで、車幅方向中央部においてフレーム本体4a後部に連なるボックス構造を形成してなる。以下、特に記載が無ければ図4に示すサブフレーム60左側について説明し、サブフレーム60右側は前記左側の左右対称であるものとしてその説明を省略する。
【0038】
図5〜7を併せて参照し、サブロアパイプ61は丸形鋼管からなり、その前端部には左右方向に沿う短いパイプ状の下フレーム連結部65が溶接により結合され、該下フレーム連結部65が下フレームブラケット49に左右方向に沿うボルト等の連結軸を介して連結固定される。なお、図中鎖線CLは車体左右中心を示す。
【0039】
サブロアパイプ61は、下フレーム連結部65から斜め下後方かつ左右内側に向けて傾斜して延びた後、その前後中間部で屈曲して概ね前後方向に沿って後方へ延びる。サブロアパイプ61の後部は、後ファイナルギヤケース12の後出力部15よりも下方かつそのケーシング13下端部と略同一高さに位置する。サブロアパイプ61の前端部近傍(下フレーム連結部65の直ぐ後方)の上面側には、サブアッパパイプ62の前端部が溶接により結合される。
【0040】
サブアッパパイプ62はサブロアパイプ61と略同径の丸形鋼管からなり、その前端部(サブロアパイプ61との接合部)から斜め上後方かつ左右内側に向けて傾斜して延びた後、その前後中間部で屈曲して概ね前後方向に沿って後方へ延びる。サブアッパパイプ62の後部は、後ファイナルギヤケース12の後出力部15よりも上方かつそのケーシング13上端部よりもやや上方に位置する。サブアッパパイプ62の後部上面側には、エクステンションパイプ63の下端部が溶接により結合される。なお、図示都合上、図7ではエクステンションパイプ63を省略する。
【0041】
エクステンションパイプ63は各パイプと略同径の丸形鋼管からなり、その下端部(サブアッパパイプとの接合部)から斜め上前方かつ左右内側に向けて傾斜して延びる。エクステンションパイプ63の上端部は、左右に延びるトップクロスメンバ66の側端部近傍に溶接により結合される。トップクロスメンバ66は、エクステンションパイプ63と略同径の丸形鋼管からなり、該トップクロスメンバ66を介して、左右エクステンションパイプ63がその上端部間において一体に結合される。
【0042】
図9を併せて参照し、リアメンバ64は、左右外側に開放する断面略コ字状をなして上下に延在するもので、その上端部近傍にサブアッパパイプ62の後端部近傍を貫通させるように嵌合させた状態でこれらが互いに溶接結合されると共に、その下端部がサブロアパイプ61の後端部近傍上面に整合した状態でこれらが互いに溶接結合される。このリアメンバ64によりサブアッパパイプ62及びサブロアパイプ61の後端部近傍間が連結されて、サブフレーム60における側面視閉ループ構造が形成される。なお、リアメンバ64の下端部がサブロアパイプ61を貫通させるように嵌合させた状態でこれらが互いに溶接結合される構成としてもよい。
【0043】
ここで、左右サブロアパイプ61の前後中間部間には、左右に延びるフロントロアクロスメンバ67が渡設される。以下同様に、左右リアメンバ64の下端部近傍間にはリアロアクロスメンバ68が渡設され、左右サブアッパパイプ62の前後中間部間にはフロントアッパクロスメンバ69が渡設され、左右エクステンションパイプ63の下部間にはセンタアッパクロスメンバ70が渡設され、左右エクステンションパイプ63の上端部間には前記トップクロスメンバ66が渡設される。
【0044】
フロントロアクロスメンバ67はサブロアパイプ61と略同径の丸形鋼管からなり、その両端部がサブロアパイプ61の内側面に整合した状態でこれらに溶接により結合される。なお、フロントロアクロスメンバ67は、後プロペラシャフト9及びその周辺部品との間隔を確保するべく下方に凸の湾曲形状とされる。
【0045】
リアロアクロスメンバ68は鋼板に曲げ加工を施してなり、下方に開放する断面略コ字状をなして左右に延在するもので、その両端部がリアメンバ64の内側面に整合した状態でこれらに溶接により結合される。リアロアクロスメンバ68は、前記トレーラヒッチ38の取り付け部材としても機能する。すなわち、リアロアクロスメンバ68の左右中間部には、これを上下に貫通する左右一対のマウントパイプ72が溶接固定され、該両マウントパイプ72にトレーラヒッチ38のマウントブラケット38aがボルト等により結合される。なお、リアロアクロスメンバ68にトレーラヒッチ38が直接溶接される構成としてもよい。
【0046】
フロントアッパクロスメンバ69は鋼板に曲げ加工を施してなり、下方に開放する断面略コ字状をなして左右に延在するもので、その両端部上側の切り欠き部がサブアッパパイプ62の下面に整合した状態でこれらに溶接により結合される。
センタアッパクロスメンバ70は鋼板に曲げ加工を施してなり、下方に開放する断面略コ字状をなして左右に延在するもので、その両端部がエクステンションパイプ63及びサブアッパパイプ62の内側面に跨って整合した状態でこれらに溶接により結合される。
【0047】
トップクロスメンバ66は、エクステンションパイプ63と略同一径の丸形鋼管からなり、その両端部下面に両エクステンションパイプ63の先端部を整合させた状態でこれらに溶接により結合される。ここで、トップクロスメンバ66は、その両端部にナットをインサートする等により前記上フレーム連結部66aを構成し、該上フレーム連結部66aが前記上フレームブラケット48に左右方向に沿うボルト等の連結軸を介して連結固定される。
【0048】
フロントアッパクロスメンバ69の両端部は、サブアッパパイプ62よりも左右外側に突出して前アッパアーム支持部69aを形成し、該前アッパアーム支持部69aにリアサスペンション75のアッパアーム76の前アーム連結部76aが概ね前後方向に沿う上揺動軸を介して揺動可能に支持される。また、リアメンバ64の上部外側は、同じくサブアッパパイプ62よりも左右外側に突出して後アッパアーム支持部64aを形成し、該後アッパアーム支持部64aにアッパアーム76の後アーム連結部76bが前記上揺動軸と同軸をなす揺動軸を介して揺動可能に支持される。
【0049】
サブロアパイプ61の前後中間部には、鋼板に曲げ加工を施してなるロアアームブラケット71が溶接により結合される。ロアアームブラケット71は、サブロアパイプ61よりも左右外側に突出して前ロアアーム支持部71aを形成し、該前ロアアーム支持部71aにリアサスペンション75のロアアーム77の前アーム連結部77aが前記上揺動軸と平行をなす下揺動軸を介して揺動可能に支持される。また、リアメンバ64の下部外側は、同じくサブロアパイプ61よりも左右外側に突出して後ロアアーム支持部64bを形成し、該後ロアアーム支持部64bにロアアーム77の後アーム連結部77bが前記下揺動軸と同軸をなす揺動軸を介して揺動可能に支持される。
【0050】
センタアッパクロスメンバ70の両端部は、サブアッパパイプ62よりも左右外側に比較的大きく突出することで上クッション支持部70aを形成し、該上クッション支持部70aにリアクッションユニット79の上端連結部79aが前記各揺動軸と平行をなす連結軸を介して揺動可能に支持される。ここで、両上クッション支持部70aは、サブフレーム60上部のフレーム本体4aへの取り付け部である上フレーム連結部66aの比較的近傍にあるといえる。
【0051】
フロントアッパクロスメンバ69の両端部及び両リアメンバ64の上部外側部(前後アッパアーム支持部69a,64a)には、リアサスペンション75の左右アッパアーム76の基端側の前後が上下揺動可能に軸支される。また、両ロアアームブラケット71の外側部及び両リアメンバ64の下部外側部(前後ロアアーム支持部71a,64b)には、左右ロアアーム77の基端側の前後が上下揺動可能に軸支される。両アッパアーム76及びロアアーム77の先端側には、左右ナックル78の上下が揺動可能に軸支され、該両ナックル78には左右後輪3のハブ部3aが回転自在に軸支される。両ロアアーム77とセンタアッパクロスメンバ70の両端部(上クッション支持部70a)との間には、左右リアクッションユニット79が介設される。
【0052】
アッパアーム76は、例えば丸形鋼管を左右内側に向けて開放する上面視略U字状に湾曲させてアーム本体81とし、その開放側両端部には概ね前後方向に沿う短いパイプ状の前記アーム連結部76a,76bが溶接により結合され、外側部かつやや後方へオフセットした部位には鋼板に曲げ加工を施してなる上支持ブラケット82が溶接により結合される。
【0053】
各アーム連結部76a,76bは互いに同軸上に配置され、該各アーム連結部76a,76bがサブフレーム60の前後アッパアーム支持部69a,64aの前後壁間に入り込んだ状態でこれらが前記揺動軸を介して揺動可能に連結される。また、上支持ブラケット82は、下方へ開放する断面略コ字状をなして左右外側へ突出するもので、該上支持ブラケット82の前後壁間にナックル78の上連結部78aが入り込んだ状態でこれらが前記揺動軸と平行をなす連結軸を介して揺動可能に連結される。
【0054】
図8を併せて参照し、ロアアーム77は、例えば丸形鋼管からなる前後アーム体83a,83bを左右内側に向けて開放する上面視略V字状に配置し、これらの外側部を一体に結合することでアーム本体83とし、その開放側両端部には前記アーム連結部76a,76bと平行をなす短いパイプ状の前後アーム連結部77a,77bが溶接により結合され、外側部には、鋼板に曲げ加工を施してなる下支持ブラケット84が溶接により結合される。
【0055】
各アーム連結部77a,77bは互いに同軸上に配置され、該各アーム連結部77a,77bがサブフレーム60の前後ロアアーム支持部71a,64bの前後壁間に入り込んだ状態でこれらが前記揺動軸を介して揺動可能に連結される。また、下支持ブラケット84は、上方へ開放する断面略コ字状をなして左右外側へ突出するもので、該下支持ブラケット84の前後壁にナックル78の下連結部78bが入り込んだ状態でこれらが前記揺動軸と平行をなす連結軸を介して揺動可能に連結される。
【0056】
アーム本体83の外側部はやや後方へ変位し、これに伴い左右方向に対する傾斜を急にした前アーム体83aは、その先端側が左右方向と略平行となるように屈曲して形成される。前後アーム体83a,83bは、その先端部が前記揺動軸と平行をなす丸形鋼管からなる下支持パイプ85の前後に溶接されることで一体に結合される。下支持ブラケット84は、前後アーム体83a,83bの先端側にこれらを下方から覆うように取り付けられて溶接結合される。
【0057】
下支持ブラケット84には、その前後壁を貫通するように下支持パイプ85が嵌合した状態で溶接により結合される。下支持パイプ85の前端側(ロアアーム77の前面側)には、リアクッションユニット79の下端連結部79bが位置し、該下端部が前記揺動軸と平行をなす連結軸を介して下支持パイプ85に揺動可能に連結される。すなわち、下支持パイプ85は、リアクッションユニット79の下端連結部79bを支持する下クッション支持部85aを構成している。
【0058】
ここで、ナックル支持部である下支持ブラケット84が緩衝器連結部である下支持パイプ85を備えることから、リアクッションユニット79の下端連結部79bはナックル78の近傍に位置することとなる。また、下クッション支持部85aを構成する下支持パイプ85は、ロアアーム77と略同一高さ(換言すれば、ロアアーム77(前後アーム体83a,83b)の上下面から突出しない高さ(位置)、又は前面視でロアアーム77と概ね重なる高さ)に設けられる。なお、ロアアーム77の下面側には、これを前後アーム体83a,83b間に渡って覆う例えば樹脂製のアームカバー86が取り付けられる。
【0059】
アッパアーム76及びロアアーム77は、その先端側がやや下方に位置するように前面視でやや傾斜しかつ互いに略平行をなすように配置される(図6参照)。そして、左右後輪3に路面からの衝撃荷重等が入力された際には、各後輪3及びナックル78が上下に変位すると共に各アーム76,77が上下に揺動し、該揺動に伴いリアクッションユニット79が伸縮する。このリアクッションユニット79の伸縮による緩衝作用により、前記荷重が穏やかに吸収される。
【0060】
サブフレーム60左側のリアメンバ64の上下中間部には支持ブラケット73が溶接結合され(図4,9参照)、該支持ブラケット73に前記後ファイナルギヤケース12のケーシング13後端部がボルト等により結合支持される。後ファイナルギヤケース12は、サブフレーム60内に各パイプで囲まれるように配置されるもので、そのケーシング13前端部には後プロペラシャフト9が接続される後入力部14を有する一方、ケーシング13後部両側には左右後ドライブシャフト16が接続される左右後出力部15を有する。
【0061】
後入力部14に入力された後プロペラシャフト9の回転動力は、ケーシング13内の傘歯車対により減速されると共に回転方向を変換されて左右出力部に出力される。なお、後入力部14は車体左右略中央に位置する一方、エンジン5の後出力部は車体左側にオフセットしており、該後出力部と後ファイナルギヤケース12の後入力部14との間に渡る後プロペラシャフト9に対応して、後入力部14が上面視で傾斜して設けられている。
【0062】
後ファイナルギヤケース12は、後輪3のハブ部3aよりも前方かつ上方に位置しており、両後出力部15とハブ部3aとの間に渡る左右後ドライブシャフト16は、各平面視において傾斜するように配置され、その両端部に有する自在継ぎ手16aを介して後出力部15又はハブ部3aに接続される。なお、両後ドライブシャフト16は、前面視では各アーム76,77と略平行をなすように傾斜して配置されている。
【0063】
両後出力部15に出力された回転動力は、左右後ドライブシャフト16を介して左右後輪3に伝達されてこれらを回転駆動させる。後ファイナルギヤケース12の後入力部14の直ぐ前方において、後プロペラシャフト9上には左右後輪用ブレーキ17のブレーキディスク17aが同軸固定され、該ブレーキディスク17aに対応するブレーキキャリパ17bがサブフレーム60の前部内側に取り付けられる。
【0064】
リアクッションユニット79は、前面視では下側が左右外側に位置するように傾斜して配置され、側面視では概ね上下方向に沿うように配置される。リアクッションユニット79の上端連結部79aは、上クッション支持部70aの前後壁間に入り込んだ状態で、前記連結軸を介して揺動可能に連結される。上クッション支持部70aは、ロアアーム77の下支持パイプ85前端よりも前方に位置しており、該上クッション支持部70aの下方に位置するリアクッションユニット79の下端連結部79bは、その後端面がロアアーム77の下支持パイプ85の下クッション支持部85aの前端面と対向するように配置される。
【0065】
リアクッションユニット79は、アッパアーム76の内側を上下に貫通すると共に、後ドライブシャフト16よりも前側に位置する。リアクッションユニット79の下端連結部79bは、ナックル78の近傍においてロアアーム77の外側(前面側)に連結される。
リアクッションユニット79の下端連結部79bは、これを前後に貫通して下クッション支持部85aに固定されるボルト等の前記連結軸を介して、ロアアーム77の前面側に片持ち支持される。これにより、リアクッションユニット79のロアアーム77に対する着脱が容易になると共に、リアクッションユニット79が後輪3のハブ部3aよりも前方(車体前後中央寄り)に位置することで車体重量(マス)の集中が図られる。また、リアクッションユニット79の下端連結部79bがロアアーム77をその前後アーム体83a,83bに渡って貫通する下支持パイプ85に連結されることで、リアクッションユニット79の支持剛性が高まる。なお、リアクッションユニット79の下端連結部79bがその前後で両持ち支持される構成としてもよい。
【0066】
ロアアーム77上には後ドライブシャフト16が位置しているが、リアクッションユニット79がロアアーム77よりも前方に位置することで、リアクッションユニット79と後ドライブシャフト16との間隔が十分に確保される。このため、リアクッションユニット79と後ドライブシャフト16及び自在継ぎ手16aとの間のレイアウト上の制約が抑えられ、リアクッションユニット79の下端位置が左右外側すなわちナックル78近傍に移動可能となり、リアサスペンション75のクッションストロークが大きく確保されると共にクッション特性の設定自由度が高められる。
【0067】
ここで、リアサスペンション75は、左右後輪3の上下動差を抑えるべくこれらの挙動を抑制するスタビライザー87を備える。スタビライザー87は、上面視略コ字状をなすトーションバー87aと、該トーションバー87aの両開放端部とアッパアーム76との間に渡る連結ロッド87bとを有してなる。トーションバー87aは、両サブアッパパイプ62の後部上方を左右に延び、その両側部がリアクッションユニット79の左右外側で前方に屈曲してなるもので、該トーションバー87aの後辺部両側が両サブアッパパイプ62上にホルダ88を介して回動可能に支持される。
【0068】
トーションバー87aの両端部には、連結ロッド87bの上端部がボールジョイントを介して揺動自在に連結されると共に、連結ロッド87bの下端部は、アッパアーム76の前部外側から下方へ突出する連結ブラケット89にボールジョイントを介して揺動自在に連結される。これにより、一方の後輪3が上下動した際には、トーションバー87aの捻り応力が他方の後輪3にも同様の上下動を生じさせるべく作用する。
【0069】
ところで、サブフレーム60を製造する際には、まず左右サブアッパパイプ62及びフロントアッパクロスメンバ69を溶接により結合して一体化すると共に、左右サブロアパイプ61及びフロントロアクロスメンバ67を溶接により結合して一体化する。両サブロアパイプ61前端には、下フレーム連結部65を予め溶接により小組みしておく。
【0070】
また、左右エクステンションパイプ63及びトップクロスメンバ66を溶接により結合して一体化すると共に、左右リアメンバ64及びリアロアクロスメンバ68を溶接により結合して一体化する。リアメンバ64には、後ファイナルギヤケース12用の支持ブラケット73を予め溶接により小組みし、リアロアクロスメンバ68には、トレーラヒッチ38用のマウントパイプ72を予め溶接により小組みしておく。
【0071】
そして、上記各結合体を組み合わせて溶接により結合した後、センタアッパクロスメンバ70を溶接により結合すると共に、左右ロアアームブラケット71を溶接により結合することで、一体のサブフレーム60が構成される。なお、リアロアクロスメンバ68に予めトレーラヒッチ38を組み付けた状態でサブフレーム60を組み立てるようにしてもよい。
【0072】
このように、サブフレーム60のフレーム部材であるリアメンバ64の上下にリアサスペンション75のアーム支持部64a,64bが設けられることで、剛性を必要とする部材が断面略コ字状のリアメンバ64に一体構成されると共に、上下のアーム支持部64a,64bが別体の場合と比べて相対位置精度が高まる。
【0073】
以上説明したように、上記実施例におけるフレーム構造は、車体フレーム4と、左右後輪3を懸架するリアサスペンション75とを備え、前記リアサスペンション75がアッパアーム76及びロアアーム77を有し、該各アーム76,77の一端側が前記車体フレーム4(サブフレーム60)に支持されるフレーム構造において、前記サブフレーム60のフレーム部材であるサブアッパパイプ62及びサブロアパイプ61の間に渡ってリアメンバ64を設け、該リアメンバ64に前記各アーム76,77の一端側を支持する後アッパアーム支持部64a及び後ロアアーム支持部64bを設けたものである。
【0074】
この構成によれば、サブアッパパイプ62及びサブロアパイプ61をリアメンバ64により連結することで、車体フレーム4のリアサスペンション支持部であるサブフレーム60の剛性を容易に確保することができる。また、アッパアーム76及びロアアーム77を支持する後アッパアーム支持部64a及び後ロアアーム支持部64bを単一のリアメンバ64に設けることで、各アーム支持部64a,64bの精度を容易に確保することができる。
【0075】
また、上記フレーム構造においては、前記リアメンバ64が断面略コ字状に形成されることで、簡単な構成でリアメンバ64の剛性を得ることができ、かつ各アーム76,77を保持し易い形状とすることができる。
【0076】
さらに、上記フレーム構造においては、前記車体フレーム4(サブフレーム60)が後ファイナルギヤケース12を備え、前記リアメンバ64が前記後ファイナルギヤケース12を支持することで、後ファイナルギヤケース12及び各アーム76,77の支持機能をサブフレーム60の補強部材でもあるリアメンバ64に集約することができ、後ファイナルギヤケース12を支持する専用部材を不要として車体設計の合理化を図ることができる。
【0077】
さらにまた、上記フレーム構造においては、前記リアメンバ64が前記サブアッパパイプ62に嵌合されることで、リアメンバ64とサブアッパパイプ62との結合部分における剛性を確保し易い構造とすることができる。
【0078】
また、上記フレーム構造においては、前記リアメンバ64が車体付属部品であるトレーラヒッチ38を支持することで、剛性を必要とするトレーラヒッチ38の支持機能をリアメンバ64に集約することができ、車体設計の合理化を図ることができる。
【0079】
しかも、上記フレーム構造においては、前記サブアッパパイプ62及びサブロアパイプ61並びにリアメンバ64を左右に備え、該左右リアメンバ64間に渡って前記トレーラヒッチ38の取り付け部材であるリアロアクロスメンバ68を設け、該リアロアクロスメンバ68を介して前記左右リアメンバ64を連結した状態で、該各リアメンバ64を前記各パイプ61,62に取り付けることで、サブアッパパイプ62及びサブロアパイプ61、リアメンバ64、並びにリアロアクロスメンバ68を一体に組み立てる際には、左右リアメンバ64及びリアロアクロスメンバ68を予め小組みすることが可能となり、サブフレーム60の組み立てを容易に行うことができる。
【0080】
そして、上記フレーム構造においては、前記車体フレーム4がフレーム本体4aと別体のサブフレーム60を備え、該サブフレーム60が前記サブアッパパイプ62及びサブロアパイプ61、リアメンバ64、及びリアロアクロスメンバ68を有すると共に、左右のアッパパイプ61間に渡るセンタアッパクロスメンバ70を有し、該センタアッパクロスメンバ70の近傍に、前記サブフレーム60における前記フレーム本体4aへの取り付け部である上フレーム連結部66aを設けたことで、サブフレーム60の補強部材でもあるセンタアッパクロスメンバ70に、フレーム本体4aへの取り付け部である上フレーム連結部66aの補強機能も集約することができ、車体設計の合理化を図ることができる。
【実施例2】
【0081】
次に、この発明の第二実施例について図10〜12を参照して説明する。
この実施例は、前記第一実施例に対して、サブフレーム60に代わりサブフレーム160を用いる点を主に異なるもので、前記実施例と同一部分に同一符号を付してその説明を省略する。
【0082】
サブフレーム160は、前記サブフレーム60と同様にフレーム本体4aの後部に一体的に連結されるもので、独立懸架式(ダブルウィッシュボーン式)のリアサスペンション75を介して左右後輪3を懸架する。
【0083】
サブフレーム160は、複数種の鋼材を溶接等により一体的に結合してなる。より具体的には、サブフレーム160は、前記下フレーム連結部65からやや後下がりに傾斜して後方へ延びる左右サブロアパイプ161と、該両サブロアパイプ161の前端部近傍から斜め上後方へ延びる左右サブアッパパイプ162と、前記上フレーム連結部66a近傍(トップクロスメンバ66)から斜め下後方へ延びる左右サブアッパリアパイプ163とを主に左右一対の閉ループ構造体を形成し、これらを複数のクロスメンバを介して一体に結合することで、フレーム本体4a後部に連なるボックス構造を形成する。
【0084】
サブロアパイプ161は丸形鋼管からなり、その前端部には前記下フレーム連結部65が溶接により結合される。サブロアパイプ161は、下フレーム連結部65から斜め下後方かつ左右内側に向けて傾斜して延びた後に屈曲し、側面視での傾斜を緩めると共に上面視では概ね前後方向に沿って後方へ延びる。サブロアパイプ161の前端部近傍(下フレーム連結部65の直ぐ後方)の上面側には、サブアッパパイプ162の前端部が溶接により結合される。
【0085】
サブアッパパイプ162はサブロアパイプ161と略同径の丸形鋼管からなり、その前端部(サブロアパイプ161との接合部)から斜め上後方に向けて傾斜して延びた後に屈曲し、側面視での傾斜を緩めると共に上面視では左右内側に向けて傾斜して延びる。サブアッパパイプ162の後端部は、サブアッパリアパイプ163の中間部に溶接により結合される。
【0086】
サブアッパリアパイプ163は各パイプ161,162と略同径の丸形鋼管からなり、前記トップクロスメンバ66の左右内側から斜め下後方に向けて傾斜して延びた後に屈曲し、側面視での傾斜を緩めると共に上面視では左右外側に向けて傾斜して延び、その後に再度屈曲して概ね鉛直下方に向けて延びる。サブアッパリアパイプ163の下端部は、サブロアパイプ161の後端部近傍の上面側に溶接により結合される。
【0087】
左右サブアッパリアパイプ163におけるサブロアパイプ161との接合部近傍の間には、左右に延びるセンタアッパクロスメンバ170が渡設される。センタアッパクロスメンバ170は下方に開放する断面略コ字状をなし、左右サブアッパリアパイプ163に上方から嵌合した状態で溶接により結合される。センタアッパクロスメンバ170の両端部は左右サブアッパリアパイプ163よりも左右外側に延出し、当該部位が前記上クッション支持部70aを形成する。
【0088】
左右サブアッパリアパイプ163の後部屈曲部近傍の間には、左右に延びるリアアッパクロスメンバ164が渡設される。リアアッパクロスメンバ164は下方に開放する断面略コ字状をなし、左右サブアッパリアパイプ163に上方から嵌合した状態で溶接により結合される。リアアッパクロスメンバ164の両側部は左右サブアッパリアパイプ163よりも左右外側に延出し、当該部位が前記後アッパアーム支持部64aを形成する。
【0089】
左右サブロアパイプ161の後端部近傍の間には、左右に延びるリアロアクロスメンバ168が渡設される。リアロアクロスメンバ168は下方に開放する断面略コ字状をなし、左右サブロアパイプ161に上方から嵌合すると共に左右サブアッパリアパイプ163の下端部に前方から嵌合した状態でこれらに跨って溶接により結合される。リアロアクロスメンバ168の両端部は左右サブアッパリアパイプ163の左右外側に張り出し、当該部位が前記後ロアアーム支持部64bを形成する。なお、リアロアクロスメンバ168は前記トレーラヒッチ38の取り付け部材としても機能する。
【0090】
左右サブアッパパイプ162の上部には、前記前アッパアーム支持部69aを形成するアッパアームブラケット169が溶接により結合される。また、左右サブロアパイプ161の中間部には、前記前ロアアーム支持部71aを形成するロアアームブラケット171が溶接により結合される。なお、左右サブロアパイプ161間には、サブフレーム160内の後ファイナルギヤケース12への地面からの跳ね上げ等を抑制するアンダープレート167が渡設される。
【0091】
ここで、サブフレーム160の後部上側には、前記左右ホルダ88と共にスタビライザー87を保持する左右一対のスタビ保持ブラケット188が設けられる。スタビ保持ブラケット188は、概ね前後方向に沿う側辺部188aと、該側辺部188a前側から左右内側に延出する前辺部188bとを有して上面視略L字状をなすもので、前記L字形状を形成する略水平な平板部の外縁から下方に向けて短フランジを立設した鋼板製の部材とされる。
【0092】
スタビ保持ブラケット188の側辺部188a後側の下方にはリアアッパクロスメンバ164の後アッパアーム支持部64aが位置し、これらが互いに溶接により一体に結合される。また、前辺部188bの左右内側端はサブアッパリアパイプ163に隣接し、これらが互いに溶接により一体に結合される。すなわち、スタビ保持ブラケット188は、後アッパアーム支持部64aとサブアッパリアパイプ163とに跨って設けられる。このスタビ保持ブラケット188の側辺部188aの上面側にホルダ88がボルト等により固定され、もってスタビライザー87の左右両側が左右サブアッパリアパイプ163に回動可能に支持される。なお、サブアッパリアパイプ163(フレーム部材)及び後アッパアーム支持部64a(アーム支持部)の少なくとも一方とスタビ支持ブラケット188(スタビ支持部)とが一体に設けられる構成であってもよい。
【0093】
以上説明したように、上記第二実施例によれば、リアサスペンション75の左右各アーム76,77の一端側が車体フレーム4(サブフレーム160)の各アーム支持部64a,64b,69a,71aに支持されるフレーム構造において、前記左右アッパサスペンションアーム76間に渡るスタビライザー87と、該スタビライザー87の中間部を保持するスタビ保持ブラケット188とを備え、該スタビ保持ブラケット188が、前記車体フレーム4(サブフレーム160)のサブアッパリアパイプ163と後アッパアーム支持部64aとに跨って設けられることで、後アッパアーム支持部64aとスタビスタビ保持ブラケット188とが互いに補強し合うこととなり、車体フレーム4のリアサスペンション支持部であるサブフレーム160の剛性を容易に確保できる。
【0094】
なお、この発明は上記実施例に限られるものではなく、例えば、リアクッションユニット79の下端連結部79bがロアアーム77の後面側に連結される構成としてもよい。また、リアクッションユニット79が車体フレーム4とアッパアーム76との間に介設される構成としてもよい。
さらに、本発明の構成をフロントサスペンション57に適用することも可能である。このとき、車体フレーム4前部における上下のフレーム部材間に渡ってメンバを設け、該メンバにより前ファイナルギヤケース11や車体付属部品として例えばフロントプロテクタ34(キャリーパイプ)を支持する構成としてもよい。
また、車体フレーム4が一体構造であってもよく、かつエンジン5が車体フレーム4の一部として用いられたり、エンジン5にサブフレームが連結される構成であってもよい。
そして、上記実施例における構成はこの発明の一例であり、鞍乗り型四輪車への適用に限定されないことはもちろん、該発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】この発明の実施例における鞍乗り型四輪車の側面図である。
【図2】上記鞍乗り型四輪車の上面図である。
【図3】上記鞍乗り型四輪車の車体フレームのフレーム本体の側面図である。
【図4】上記鞍乗り型四輪車のリアサスペンション周りの側面図である。
【図5】上記リアサスペンション周りの上面図である。
【図6】上記リアサスペンション周りの前面図である。
【図7】上記リアサスペンション周りの斜視図である。
【図8】上記リアサスペンションのロアアームの上面図である。
【図9】上記車体フレームのサブフレーム後部の後面図である。
【図10】この発明の第二実施例における図4に相当する側面図である。
【図11】上記第二実施例における図5に相当する上面図である。
【図12】上記第二実施例におけるサブフレーム等を斜め後上方から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0096】
1 鞍乗り型四輪車(車両)
3 後輪(車輪)
4 車体フレーム
4a フレーム本体
12 後ファイナルギヤケース(ファイナルギヤケース)
38 トレーラヒッチ(車体付属部品)
60,160 サブフレーム
61 サブロアパイプ(フレーム部材)
62 サブアッパパイプ(フレーム部材)
64 リアメンバ(メンバ)
64a 後アッパアーム支持部(支持部、アーム支持部)
64b 後ロアアーム支持部(支持部)
66a 上フレーム連結部(取り付け部)
68 リアロアクロスメンバ(取り付け部材)
70 センタアッパクロスメンバ(クッション支持メンバ)
75 リアサスペンション(懸架装置)
76 アッパアーム(サスペンションアーム)
77 ロアアーム(サスペンションアーム)
87 スタビライザー
163 サブアッパリアパイプ(フレーム部材)
188 スタビ保持ブラケット(スタビ保持部)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレームと、左右車輪を懸架する懸架装置とを備え、前記懸架装置が上下のサスペンションアームを有し、該各サスペンションアームの一端側が前記車体フレームに支持されるフレーム構造において、
前記車体フレームにおける上下のフレーム部材間に渡ってメンバを設け、該メンバに前記各サスペンションアームの一端側を支持する上下の支持部を設けたことを特徴とするフレーム構造。
【請求項2】
前記メンバは断面略コ字状に形成されることを特徴とする請求項1に記載のフレーム構造。
【請求項3】
前記車体フレームはファイナルギヤケースを備え、前記メンバは前記ファイナルギヤケースを支持することを特徴とする請求項1又は2に記載のフレーム構造。
【請求項4】
前記メンバは前記各フレーム部材の少なくとも一方に嵌合されることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のフレーム構造。
【請求項5】
前記メンバは車体付属部品を支持することを特徴とする請求項1から4の何れかに記載のフレーム構造。
【請求項6】
前記各フレーム部材及びメンバを左右に備え、該左右メンバ間に渡って前記車体付属部品の取り付け部材を設け、該取り付け部材を介して前記左右メンバを連結した状態で、該各メンバを前記各フレーム部材に取り付けたことを特徴とする請求項5に記載のフレーム構造。
【請求項7】
前記車体フレームはフレーム本体と別体のサブフレームを備え、該サブフレームは前記各フレーム部材、各メンバ、及び取り付け部材を有すると共に、前記左右のフレーム部材間に渡るクッション支持メンバを有し、該クッション支持メンバの近傍に、前記サブフレームにおける前記フレーム本体への取り付け部を設けたことを特徴とする請求項6に記載のフレーム構造。
【請求項8】
車体フレームと、左右車輪を懸架する懸架装置とを備え、前記懸架装置が左右のサスペンションアームを有し、該各サスペンションアームの一端側が前記車体フレームのアーム支持部に支持されるフレーム構造において、
前記左右サスペンションアーム間に渡るスタビライザーと、該スタビライザーの中間部を保持するスタビ保持部とを備え、該スタビ保持部が、前記車体フレームのフレーム部材とアーム支持部とに跨って設けられることを特徴とするフレーム構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−230537(P2007−230537A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−308831(P2006−308831)
【出願日】平成18年11月15日(2006.11.15)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】