説明

マイクロ可動素子および光スイッチング装置

【課題】フレームと可動部とを連結する連結部のバネ定数の変動を抑制するのに適したマイクロ可動素子、および、そのようなマイクロ可動素子を備える光スイッチング装置を提供する。
【解決手段】本発明のマイクロ可動素子X1は、フレーム30、可動部20、及びこれらを連結する連結部42が形成されているマイクロ可動基板S1と、支持基材S2と、マイクロ可動基板S1のフレーム30および支持基材S2の間に介在してフレーム30および支持基材S2に接合する複数のスペーサ90A,90Bと、フレーム30および支持基材S2の間に介在してフレーム30および支持基材S2に接合するスペーサ部91C,92ならびに当該スペーサ部を覆ってフレーム30および支持基材S2に接合する接着剤部93を有する少なくとも一つの強固定部90Cとを備える。強固定部90Cは、二つのスペーサ90A,90Bの間に位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小な可動部を有する例えばマイクロミラー素子、角速度センサ、加速度センサなどのマイクロ可動素子、および、マイクロミラー素子を含んで構成される光スイッチング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な技術分野において、マイクロマシニング技術により形成される微小構造を有する素子の応用化が図られている。そのような素子には、例えば、マイクロミラー素子や、角速度センサ、加速度センサなど、微小な可動部を有するマイクロ可動素子が含まれる。マイクロミラー素子は、例えば光通信技術や光ディスク技術の分野において、光反射機能を担う素子として利用される。角速度センサおよび加速度センサは、例えば、ビデオカメラやカメラ付き携帯電話の手振れ防止機能、カーナビゲーションシステム、エアバッグ開放タイミングシステム、車やロボット等の姿勢制御システムの用途で、利用される。このようなマイクロ可動素子については、例えば下記の特許文献1〜3に記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−19700号公報
【特許文献2】特開2004−341364号公報
【特許文献3】特開2006−72252号公報
【0004】
図33から図36は、従来のマイクロ可動素子の一例たるマイクロ可動素子X3を表す。図33は、マイクロ可動素子X3の平面図である。図34は、マイクロ可動素子X3の一部省略平面図である。図35および図36は、図33の線XXXV−XXXVおよび線XXXVI−XXXVIに沿った拡大断面図である。
【0005】
マイクロ可動素子X3は、マイクロ可動基板S5と、配線基板S6と、スペーサ220と、強固定部230とを備える。
【0006】
マイクロ可動基板S5には、可動部201と、これを囲むフレーム202と、これらを連結する一対の連結部203とを有するマイクロ可動ユニット200が作り込まれている。一対の連結部203は、可動部201の回転変位の軸心A3を規定する。また、マイクロ可動基板S5には、可動部201やフレーム202の各部へと続く、所定の導電経路(図示せず)が設けられている。
【0007】
配線基板S6には、その表面に配線パターン210が形成されている。配線パターン210はパッド部211,212を有する。パッド部211は、マイクロ可動素子X3にとっての外部接続用の端子部を構成する。また、配線基板S6には、その表面にパッド部213も形成されている。
【0008】
スペーサ220は、図35および図36に示すように、バンプ部221および導電性接着剤部222よりなり、マイクロ可動基板S5のフレーム202および配線基板S6の間に介在する。バンプ部221は、配線基板S6における配線パターン210のパッド部212に圧接されており、且つ、マイクロ可動基板S5におけるフレーム202の所定箇所に設けられたパッド部202aに対して導電性接着剤部222を介して接合されている。このようなスペーサ220は、マイクロ可動基板S5および配線基板S6を電気的に接続し、配線基板S6の配線パターン210のパッド部211からマイクロ可動基板S5のマイクロ可動ユニット200における所定の部位に至る導電経路の一部をなす。
【0009】
強固定部230は、図35および図36に示すように、バンプ部231、導電性接着剤部232、および補強用接着剤部233よりなり、マイクロ可動基板S5のフレーム202および配線基板S6の間に介在する。バンプ部231は、配線基板S6におけるパッド部213に圧接されており、且つ、マイクロ可動基板S5におけるフレーム202の所定箇所に設けられたパッド部202bに対して導電性接着剤部232を介して接合されている。補強用接着剤部233は、所定の接着剤が硬化してなり、バンプ部231の周囲を覆い、且つ、マイクロ可動基板S5および配線基板S6に接合している。このような強固定部230は、マイクロ可動基板S5と配線基板S6との間の固定強度について、スペーサ220のみによっては得られない強度を得るためのものである。
【0010】
このようなマイクロ可動素子X3が例えばマイクロミラー素子として構成される場合、可動部201上にミラー面201aが設けられ、可動部201が軸心A3まわりに回転変位するための駆動力(静電引力)を発生させる所定のアクチュエータ(図示略)が設けられる。そして、アクチュエータが適宜稼動することによって、アクチュエータにて発生する静電引力と各連結部203の捩り抵抗力の総和とが釣り合う角度まで、軸心A3まわりに可動部201は回転変位される。また、可動部201は、アクチュエータにおける駆動力が消滅すると、連結部203の復元力によって自然状態の位置へと復帰する。このような可動部201の揺動駆動により、可動部201上に設けられたミラー面201aにて反射される光信号の反射方向が適宜切り換えられる。
【0011】
一方、マイクロ可動素子X3が加速度センサとして構成される場合、例えば、可動部201の軸心A3まわりの回転変位量に応じて静電容量が変化する、相対する一対の検出用キャパシタ電極(図示略)の各々が可動部201およびフレーム202に設けられる。そして、可動部201に所定の加速度が作用すると、可動部201が軸心A3まわりに所定程度に回転変位し、検出用キャパシタ電極対間の静電容量が変化する。この静電容量変化に基づいて、可動部201の回転変位量が検出され、その検出結果に基づき、マイクロ可動素子X3ないし可動部201に作用する加速度が導出される。
【0012】
可動部が連結部を介してフレームに連結された構造を有するマイクロ可動素子においては、連結部のバネ定数が素子の機械的特性に影響を与え得るところ、従来のマイクロ可動素子X3においては、連結部203のバネ定数が変動しやすく、従って、可動部201の共振周波数などの機械的特性が変動しやすい。
【0013】
マイクロ可動素子X3の製造過程においては、配線基板S6におけるパッド部212,213上にバンプ部221,231が圧接された後、導電性接着剤部222,232をなすこととなる導電性接着剤がバンプ部221,231の頂部に供給され、更に、補強用接着剤部233をなすこととなる補強用接着剤がバンプ部231の少なくとも周囲を覆うように塗布される。この後、配線基板S6上のバンプ部221,231等に対してマイクロ可動基板S5が接合される(基板間接合工程)。この基板間接合工程では、補強用接着剤が硬化されて補強用接着剤部233が形成される。補強用接着剤は、その硬化時に相当程度に収縮するので、基板間接合工程を経たマイクロ可動基板S5におけるフレーム202は、所定の応力ストレスを受ける。この応力ストレスに起因して、フレーム202は変形し、連結部203に引張り応力が作用することとなる。例えば、図35および図36に示すように、矢印D1方向に相当程度に収縮してなる強固定部230の補強用接着剤部233とマイクロ可動基板S5との接合界面が力点となり、スペーサ220とマイクロ可動基板S5との接合界面が支点となり、フレーム202と連結部203の境界部が作用点となって、補強用接着剤部233の収縮力がフレーム202を変形させて(図示せず)連結部203に伝わることにより、連結部203に対して矢印D2方向に引張り応力が作用することとなる。そのため、基板間接合工程の前と後とでは、連結部203のバネ定数は異なる(即ち、連結部203のバネ定数は変動する)。
【0014】
また、基板間接合工程の後においても、マイクロ可動素子X3では、環境温度の変化に起因して連結部203のバネ定数は変動し得る。環境温度の変化に起因して、強固定部230の補強用接着剤部233は、スペーサ220のバンプ部221や強固定部230のバンプ部231よりも大きく体積変化(膨張または収縮)し、当該体積変化に起因して、フレーム202が変形して連結部203に所定の応力が作用するからである。
【0015】
このように、従来のマイクロ可動素子X3においては、連結部203のバネ定数が変動しやすい。連結部203のバネ定数の変動は、可動部201の共振周波数などの機械的特性の変動を招来する。素子の機械的特性の変動は、素子性能の劣化として現れる場合が多く、好ましくない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、以上のような事情の下で考え出されたものであって、フレーム部と可動部とを連結する連結部のバネ定数の変動を抑制するのに適したマイクロ可動素子、および、そのようなマイクロ可動素子を備える光スイッチング装置を提供することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の第1の側面によるとマイクロ可動素子が提供される。このマイクロ可動素子は、フレーム部、可動部、並びに、当該フレーム部および可動部を連結する連結部、を備えるマイクロ可動ユニットが形成されているマイクロ可動基板と、支持基材と、マイクロ可動基板のフレーム部および支持基材の間に介在して当該フレーム部および支持基材に接合する複数のスペーサと、マイクロ可動基板のフレーム部および支持基材の間に介在して当該フレーム部および支持基材に接合するスペーサ部、並びに、当該スペーサ部を覆ってフレーム部および支持基材に接合する接着剤部、を有する少なくとも一つの強固定部とを備える。強固定部は、二つのスペーサの間に位置する。本マイクロ可動素子は、例えば、マイクロミラー素子、角速度センサ、または加速度センサとして構成することができる。
【0018】
このような構成のマイクロ可動素子を製造するには、例えば、支持基材上にスペーサおよびスペーサ部を設け、強固定部の接着剤部をなすこととなる接着剤をスペーサ部の少なくとも周囲を覆うように設け、この後、支持基材上のスペーサならびにスペーサ部およびこれに伴う接着剤に対してマイクロ可動基板を接合する(基板間接合工程)。この基板間接合工程では、接着剤を硬化させて、強固定部の接着剤部を形成する。当該接着剤がその硬化時に相当程度に収縮する場合、基板間接合工程を経たマイクロ可動基板のフレーム部における強固定部接合箇所には所定の応力ストレス(例えば、基板間距離を小さくする方向に作用する引張り応力)が作用するが、本マイクロ可動素子は、この応力ストレスに起因するフレーム部の変形を抑制するのに適する。接着剤部を伴う強固定部が、マイクロ可動基板と支持基材の間に介在して当該マイクロ可動基板と支持基材とに接合する二つのスペーサの間に、位置するからである。マイクロ可動基板と支持基材の間に介在してこれらに接合する二つのスペーサは、強固定部を間に配して並列して、フレーム部における強固定部接合箇所に生ずる応力ストレスに対して抗するので、例えば、強固定部の接着剤部とマイクロ可動基板との接合界面が力点となり且つ一のスペーサとマイクロ可動基板との接合界面が支点となってフレーム部が変形することは、抑制されやすいのである。このように、本マイクロ可動素子は、その製造過程の基板間接合工程の前後における連結部のバネ定数の変動を抑制するのに適する。
【0019】
また、製造された本マイクロ可動素子では、環境温度の変化に起因して強固定部の接着剤部の体積が変化する場合、マイクロ可動基板のフレーム部における強固定部接合箇所には所定の応力ストレスが作用するが、本マイクロ可動素子は、この応力ストレスに起因するフレーム部の変形を抑制するのに適する。接着剤部を伴う強固定部が、マイクロ可動基板と支持基材の間に介在して当該マイクロ可動基板と支持基材とに接合する二つのスペーサの間に、位置するからである。マイクロ可動基板と支持基材の間に介在してこれらに接合する二つのスペーサは、強固定部を間に配して並列して、フレーム部における強固定部接合箇所に生ずる応力ストレスに対して抗するので、例えば、強固定部の接着剤部とマイクロ可動基板との接合界面が力点となり且つ一のスペーサとマイクロ可動基板との接合界面が支点となってフレーム部が変形することは、抑制されやすいのである。このように、本マイクロ可動素子は、基板間接合工程の後においても、連結部のバネ定数の変動を抑制するのに適する。
【0020】
このように、本マイクロ可動素子は、その製造過程においても、製造後においても、フレーム部と可動部とを連結する連結部のバネ定数の変動を抑制するのに適する。このようなマイクロ可動素子は、可動部の共振周波数などの機械的特性の変動を抑制するうえで好適であり、従って、素子性能の劣化を抑制するうえで好適である。
【0021】
本発明の第1の側面において、好ましくは、連結部は、可動部の回転変位の軸心を規定し、少なくとも一組の、二つのスペーサおよび当該二つのスペーサの間に位置する強固定部は、軸心に沿って配列している。この場合、好ましくは、一組の強固定部および二つのスペーサは、フレーム部において軸心が通る箇所に接合している。これらの構成は、連結部のバネ定数の変動を抑制するのに資する。
【0022】
本発明の第2の側面によるとマイクロ可動素子が提供される。このマイクロ可動素子は、フレーム部、可動部、並びに、当該フレーム部および可動部を連結する連結部、を各々が備える複数のマイクロ可動ユニットが一体的に形成されて、当該複数のマイクロ可動ユニットのフレーム部が共通化されて共通化フレームをなしている、マイクロ可動基板と、支持基材と、マイクロ可動基板の共通化フレームおよび支持基材の間に介在して当該共通化フレームおよび支持基材に接合する複数のスペーサと、マイクロ可動基板の共通化フレームおよび支持基材の間に介在して当該共通化フレームおよび支持基材に接合するスペーサ部、並びに、当該スペーサ部を覆って共通化フレームおよび支持基材に接合する接着剤部、を有する少なくとも一つの強固定部とを備える。強固定部は、二つのスペーサの間に位置する。
【0023】
本発明の第2の側面に係るマイクロ可動素子は、上述の第1の側面に係るマイクロ可動素子の構成を含む構成を有する。したがって、第2の側面に係るマイクロ可動素子は、上述の第1の側面に係るマイクロ可動素子に関して上述したのと同様に、製造過程においても、製造後においても、フレーム部と可動部とを連結する連結部のバネ定数の変動を抑制するのに適する。このようなマイクロ可動素子は、可動部の共振周波数などの機械的特性の変動を抑制するうえで好適であり、従って、素子性能の劣化を抑制するうえで好適である。
【0024】
本発明の第2の側面において、好ましくは、少なくとも一つのマイクロ可動ユニットにおいて、連結部は、可動部の回転変位の軸心を規定し、少なくとも一組の、二つのスペーサおよび当該二つのスペーサの間に位置する強固定部は、一の軸心に沿って配列している。この場合、好ましくは、一組の強固定部および二つのスペーサは、共通化フレームにおいて一の軸心が通る箇所に接合している。これらの構成は、連結部のバネ定数の変動を抑制するのに資する。
【0025】
好ましくは、各マイクロ可動ユニットにおいて、連結部は、可動部の回転変位の軸心を規定し、複数のマイクロ可動ユニットにおける軸心が相互に平行となるように、複数のマイクロ可動ユニットは並列している。本マイクロ可動素子における複数のマイクロ可動ユニットについては、このように一次元的に配してもよい。
【0026】
本発明の第1および第2の側面において、好ましくは、支持基材は配線基板であり、スペーサおよび/またはスペーサ部は、配線基板とマイクロ可動基板とを電気的に接続する。支持基材が配線基板である場合、スペーサやスペーサ部が基板間の電気的接続手段を兼ねることは、構成上、効率がよい。
【0027】
好ましくは、配線基板とマイクロ可動基板とを電気的に接続するスペーサおよび/またはスペーサ部は、少なくとも一つのAuバンプよりなるバンプ部を有する。Auバンプよりなるバンプ部を有するスペーサおよびスペーサ部は、基板間の電気的接続の低抵抗化を図るうえで好適である。
【0028】
好ましくは、バンプ部は導電性接着剤を介してマイクロ可動基板に接合している。基板間の電気的接続を図り且つ基板間接合の強度を確保するうえでは、このような構成が好ましい。
【0029】
好ましくは、マイクロ可動基板の母材および支持基材の母材は、シリコン材料である。このような構成は、環境温度の変化に起因するマイクロ可動基板の体積変化と支持基材の体積変化との差を小さくするのに好適であり、従って、マイクロ可動基板のフレーム部における強固定部接合箇所に生じ得る応力ストレスを抑制するうえで好適である。
【0030】
好ましくは、マイクロ可動ユニットは、更に、可動部を回転変位させるための駆動機構を備える。この駆動機構は、例えば、可動部に設けられた第1電極部、および、当該第1電極部と協働して静電引力(駆動力)を発生させるための、フレーム部に固定された第2電極部よりなる。
【0031】
好ましくは、可動部は、可動フレーム部と、可動主部と、当該可動フレーム部および可動主部を連結する連結部とを有する。本マイクロ可動素子は、いわゆる二軸型の可動素子として構成することが可能である。
【0032】
本発明の第3の側面によると光スイッチング装置が提供される。この光スイッチング装置は、マイクロミラー素子として構成された第1や第2の側面に係るマイクロ可動素子を備える。本光スイッチング装置は、例えば、空間光結合型の光スイッチング装置や波長選択型の光スイッチング装置である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
図1から図11は、本発明の第1の実施形態に係るマイクロ可動素子X1を表す。図1は、マイクロ可動素子X1の平面図である。図2は、マイクロ可動素子X1の一部省略平面図である。図3は、マイクロ可動素子X1の他の一部省略平面図である。図4から図8は、各々、図1の線IV−IV、線V−V、線VI−VI、線VII−VII、および線VIII−VIIIに沿った拡大部分断面図である。図9から図11は、各々、図1の線IX−IX、線X−X、および線XI−XIに沿った拡大断面図である。
【0034】
マイクロ可動素子X1は、マイクロ可動基板S1(図2では一部省略,図3では省略)と、配線基板S2(図4から図8には図示しない)と、スペーサ90A,90Bと、強固定部90Cとを備え、本実施形態ではマイクロミラー素子として構成されている。
【0035】
マイクロ可動基板S1には、図1によく表れているように、揺動部10と、フレーム20,30と、一対の連結部41と、一対の連結部42,43と、電極部50,60,70とを備えるマイクロ可動ユニットXaが作り込まれている。マイクロ可動ユニットXaは、MEMS(micro-electromechanical systems)技術などのバルクマイクロマシニング技術を利用してSOI(silicon on insulator)ウエハである材料基板に対して加工を施すことによって、作り込まれたものである。当該材料基板は、第1および第2シリコン層ならびに当該シリコン層間の絶縁層よりなる積層構造を有し、各シリコン層は、不純物のドープにより所定の導電性が付与されている。マイクロ可動ユニットXaにおける上述の各部位は主に第1シリコン層および/または第2シリコン層に由来して形成されるところ、図の明確化の観点より、図1にて表すマイクロ可動ユニットXaないしマイクロ可動基板S1については、第1シリコン層に由来する部位に斜線ハッチングを付す。また、図2では、マイクロ可動ユニットXaないしマイクロ可動基板S1については第2シリコン層に由来す部位を表す(即ち、図2では、マイクロ可動基板S1における第1シリコン層に由来する部位、第1シリコン層上に形成される部位、および絶縁層に由来する部位を省略する)。
【0036】
マイクロ可動ユニットXaの揺動部10は、ランド部11と、電極部12と、梁部13とを有する。
【0037】
ランド部11は、第1シリコン層に由来する部位であり、その表面には、光反射機能を有するミラー面11aが設けられている。このようなランド部11およびミラー面11aは、マイクロ可動ユニットXaにおける可動主部を構成する。この可動主部ないしランド部11について図1に示す長さWは、例えば20〜300μmである。
【0038】
電極部12は、第1シリコン層に由来する部位であり、二本のアーム部と、当該アーム部から延出する複数の電極歯とを有する。このように、電極部12は櫛歯電極構造を有する。また、電極部12は、マイクロ可動素子X1ないしマイクロ可動ユニットXaの駆動時に所定の基準電位(例えばグラウンド電位)が付与される部位である。
【0039】
梁部13は、第1シリコン層に由来する部位であり、ランド部11および電極部12を連結する。
【0040】
フレーム20は、例えば図4および図6に示すように、第1シリコン層に由来する第1層部21と、第2シリコン層に由来する第2層部22と、当該第1および第2層部21,22の間の絶縁層23とからなる積層構造を有する。第1層部21は、図1に示すように、相互に離隔した部分21a,21b,21cを有する。第2層部22は、図2に示すように、相互に離隔した部分22a,22bを有する。第1層部21の部分21aは、図1に示すように揺動部10を部分的に囲む形状を有する。第2層部22の部分22aは、揺動部10を部分的に囲む形状を有するフレーム本体である。部分21a,22aは、図6に示すように、絶縁層23を貫通する導電ビア24aを介して電気的に接続されている。部分21b,22bは、絶縁層23を貫通する導電ビア24bを介して電気的に接続されている。部分21c,22aは、図7に示すように、絶縁層23を貫通する導電ビア24cを介して電気的に接続されている。
【0041】
フレーム30は、図9から図11に示すように、第1シリコン層に由来する第1層部31と、第2シリコン層に由来する第2層部32と、当該第1および第2層部31,32の間の絶縁層33とからなる積層構造を有する。図1に示すように、第1層部31は、相互に離隔する部分31a,31bを含む。図2に示すように、第2層部32は、相互に離隔する部分32a,32b,32c,32dを含む。部分31b,32bは、図9に示すように、絶縁層33を貫通する導電ビア34aを介して電気的に接続されている。部分31a,32dは、図11に示すように、絶縁層33を貫通する導電ビア34bを介して電気的に接続されている。また、図9から図11に示すように、部分32a〜32dの表面にはパッド部35が設けられている。
【0042】
一対の連結部41は、各々、いわゆるトーションバーである。各連結部41は、第1シリコン層に由来する部位であり、揺動部10の梁部13とフレーム20の第1層部21の部分21aとに接続して、揺動部10およびフレーム20を連結する(梁部13と部分21aは連結部41を介して電気的に接続されている)。また、連結部41は、図4に示すように、厚さ方向Hにおいて、揺動部10よりも薄肉であり、且つ、フレーム20の第1層部21よりも薄肉である。このような一対の連結部41は、揺動部10ないし可動主部(ランド部11,ミラー面11a)の回転変位の軸心A1を規定する。上述の電極部12の電極歯の延び方向は、軸心A1の延び方向と平行である。
【0043】
一対の連結部42,43は、各々、いわゆるトーションバーである。各連結部42,43は、第1シリコン層に由来する部位であり、フレーム20およびフレーム30を連結する。具体的には、連結部42は、図1に示すように、フレーム20の第1層部21の部分21bと、フレーム30の第1層部31の部分31bとに接続して、これらを連結する(部分21b,31bは連結部42を介して電気的に接続されている)。連結部43は、フレーム20の第1層部21の部分21cと、フレーム30の第1層部31の部分31aとに接続して、これらを連結する(部分21c,31aは連結部43を介して電気的に接続されている)。また、連結部42,43は、厚さ方向Hにおいて、連結部41と同様にフレーム20の第1層部21よりも薄肉であり、且つ、フレーム30の第1層部31よりも薄肉である。このような一対の連結部42,43は、フレーム20およびこれに伴う揺動部10の回転変位の軸心A2を規定する。本実施形態では、軸心A2は軸心A1と直交する。
【0044】
電極部50は、第2シリコン層に由来する部位であり、図2によく表れているように、アーム部と、当該アーム部から延出する複数の電極歯を有する。このように、電極部50は櫛歯電極構造を有する。また、電極部50は、フレーム20の第2層部22の部分22bから延出する。
【0045】
電極部60は、第1シリコン層に由来する部位であり、図1および図8に示すようにフレーム20の第1層部21の部分21cから電極部70側へ延出する複数の電極歯を有する。このように、電極部60は櫛歯電極構造を有する。
【0046】
電極部70は、第2シリコン層に由来する部位であり、例えば図2に示すようにアーム部と、当該アーム部から電極部60側へ延出する複数の電極歯を有する。このように、電極部70は櫛歯電極構造を有する。また、電極部70は、フレーム30の第2層部32の部分32cから延出する。
【0047】
マイクロ可動基板S1ないしマイクロ可動ユニットXaにおいて、一対の電極部12,50は、軸心A1まわりの揺動部10の回転変位に係る駆動力を発生させるための駆動機構ないしアクチュエータを構成し得る。一対の電極部60,70は、フレーム20およびこれに伴う揺動部10の軸心A2まわりの回転変位に係る駆動力を発生させるための駆動機構ないしアクチュエータを構成し得る。また、マイクロ可動基板S1ないしマイクロ可動ユニットXaにおいて、揺動部10、フレーム20、連結部41、および電極部50,60は、可動部を構成する。
【0048】
マイクロ可動素子X1の配線基板S2は、図3によく表れているように、基材81、配線パターン82A,82B,82C、およびパッド部83からなる。基材81はシリコン材料よりなる。配線パターン82A,82B,82Cは、各々、パッド部82a,82bを有する。パッド部82aは、マイクロ可動素子X1にとっての外部接続用の端子部を構成する。
【0049】
スペーサ90Aは、図9から図11に示すように、バンプ部91Aおよび接着剤部92よりなり、マイクロ可動基板S1ないしマイクロ可動ユニットXaのフレーム30および配線基板S2の間に介在する。バンプ部91Aは、本実施形態では二段のバンプよりなる。当該バンプは例えばAuよりなる。バンプ部91Aは、配線基板S2における配線パターン82A〜82Cのパッド部82bに圧接されており、且つ、マイクロ可動基板S1のフレーム30上の所定のパッド部35と接着剤部92を介して接合されている。接着剤部92は、導電フィラーを含む導電性接着剤よりなる。導電性接着剤としては、主剤としてのエポキシ系接着剤に銀フィラーを混入したものを採用することができる。当該エポキシ系樹脂材料としては、環境温度に対する耐久性が高いものが好ましい。このようなスペーサ90Aは、本実施形態では、マイクロ可動基板S1および配線基板S2を電気的に接続する。
【0050】
スペーサ90Bは、図9から図11に示すように、バンプ部91Bおよび接着剤部92よりなり、マイクロ可動基板S1のフレーム30および配線基板S2の間に介在する。バンプ部91Bは、本実施形態では二段のバンプよりなる。当該バンプは例えばAuよりなる。バンプ部91Bは、配線基板S2におけるパッド部83に圧接されており、且つ、マイクロ可動基板S1のフレーム30上の所定のパッド部35と接着剤部92(導電性接着剤よりなる)を介して接合されている。
【0051】
強固定部90Cは、図9から図11に示すように、バンプ部91Cおよび接着剤部92,93よりなり、マイクロ可動基板S1のフレーム30および配線基板S2の間に介在する。バンプ部91Cは、本実施形態では二段のバンプよりなる。当該バンプは例えばAuよりなる。バンプ部91Cは、配線基板S2におけるパッド部83に圧接されており、且つ、マイクロ可動基板S1のフレーム30上の所定のパッド部35と接着剤部92(導電性接着剤よりなる)を介して接合されている。少なくともバンプ部91Cは、強固定部90Cにおけるスペーサ部をなす。接着剤部93は、補強用接着剤よりなり、バンプ部91Cの周囲を覆い、且つ、マイクロ可動基板S1および配線基板S2に接合している。補強用接着剤としては、エポキシ系接着剤を採用することができる。当該エポキシ系接着剤としては、環境温度への耐久性が高いものや、架橋シリコーン粒子を混入したものが好ましい。このような強固定部90Cは、マイクロ可動基板S1と配線基板S2との間の固定強度について、スペーサ90A,90Bのみによっては得られない強度を得るためのものである。
【0052】
各強固定部90Cは、図9から図11に示すように、二つのスペーサ90A,90Bの間に位置する。図9から図11の各々に示す一組のスペーサ90A,90Bおよび強固定部90Cは、図2に示すように、マイクロ可動ユニットXaにおける軸心A2に沿って配列している。また、図9に示す一組のスペーサ90A,90Bおよび強固定部90C、並びに、図10に示す一組のスペーサ90A,90Bおよび強固定部90Cは、フレーム30において軸心A2が通る箇所に接合している。軸心A2は、一対の連結部42,43によって規定された、マイクロ可動ユニットXaにおける可動部(揺動部10,フレーム20,一対の連結部41,電極部50,電極部60)の固定部ないしフレーム30に対する回転変位の軸心である。
【0053】
マイクロ可動素子X1の駆動時には、揺動部10の電極部12および電極部60に所定の基準電位が付与される。電極部12に対する基準電位の付与は、配線基板S2における配線パターン82C(外部接続用の端子部たるパッド部82aを含む)、配線パターン82Cのパッド部82b上のスペーサ90A、マイクロ可動基板S1側において当該スペーサ90Aと接合するパッド部35、マイクロ可動基板S1におけるフレーム30の第2層部32の部分32d、導電ビア34b、第1層部31の部分31a、連結部43、フレーム20の第1層部21の部分21c、導電ビア24c、第2層部22の部分22a、導電ビア24a、第1層部21の部分21a、連結部41、および揺動部10の梁部13を介して、実現することができる。電極部60に対する基準電位の付与は、配線基板S2における配線パターン82C(外部接続用の端子部たるパッド部82aを含む)、配線パターン82Cのパッド部82b上のスペーサ90A、マイクロ可動基板S1側において当該スペーサ90Aと接合するパッド部35、マイクロ可動基板S1におけるフレーム30の第2層部32の部分32d、導電ビア34b、第1層部31の部分31a、連結部43、およびフレーム20の第1層部21の部分21cを介して、実現することができる。基準電位は、例えばグラウンド電位であり、好ましくは一定に維持される。
【0054】
そして、基準電位よりも高い駆動電位を電極部50,70の各々に対して必要に応じて付与することにより、電極部12,50間に静電引力を発生させて図12に示すように揺動部10を軸心A1まわりに回転変位させることができ、また、電極部60,70間に静電引力を発生させてフレーム20およびこれに伴う揺動部10を軸心A2まわりに回転変位させることができる。マイクロ可動素子X1は、いわゆる二軸型の可動素子である。電極部50に対する駆動電位の付与は、配線基板S2における配線パターン82A(外部接続用の端子部たるパッド部82aを含む)、配線パターン82Aのパッド部82b上のスペーサ90A、マイクロ可動基板S1側において当該スペーサ90Aと接合するパッド部35、マイクロ可動基板S1におけるフレーム30の第2層部32の部分32b、導電ビア34a、第1層部31の部分31b、連結部42、フレーム20の第1層部21の部分21b、導電ビア24b、および第2層部22の部分22bを介して、実現することができる。電極部70に対する駆動電位の付与は、配線基板S2における配線パターン82B(外部接続用の端子部たるパッド部82aを含む)、配線パターン82Bのパッド部82b上のスペーサ90A、マイクロ可動基板S1側において当該スペーサ90Aと接合するパッド部35、および、マイクロ可動基板S1におけるフレーム30の第2層部32の部分32cを介して、実現することができる。このような二軸型の揺動駆動により、マイクロ可動素子X1におけるマイクロ可動ユニットXaのランド部11上に設けられたミラー面11aにて反射される光の反射方向を適宜切り換えることができる。
【0055】
マイクロ可動素子X1は、角速度センサや加速度センサなどのセンシングデバイスとしても構成することができる。センシングデバイスとしてのマイクロ可動素子X1では、マイクロ可動ユニットXaにおける揺動部10のランド部11上のミラー面11aは必ずしも設ける必要はない。
【0056】
角速度センサとして構成されたマイクロ可動素子X1の駆動時には、例えば、可動部(揺動部10,フレーム20,連結部41,電極部50,電極部60)は、所定の振動数ないし周期で軸心A2まわりに回転変位される。この回転変位は、電極部60,70間に対して所定の周期で電圧印加を行うことによって実現される。本実施形態では、例えば、電極部60をグラウンド接続したうえで、電極部70への所定電位の付与を所定周期で行う。
【0057】
例えばこのようにして可動部を振動させている状態において、マイクロ可動素子X1ないし揺動部10に所定の角速度が作用すると、揺動部10が軸心A1まわりに所定程度に回転変位して、電極部12,50の相対的配置が変化して当該電極部12,50間の静電容量が変化する。これら静電容量変化に基づいて、揺動部10の回転変位量を検出することができる。その検出結果に基づき、マイクロ可動素子X1ないし揺動部10に作用する角速度を導出することが可能である。
【0058】
加速度センサとして構成されたマイクロ可動素子X1の駆動時には、例えば、電極部12,50間に所定の直流電圧印加を行うことによって、フレーム20や電極部50に対して揺動部10を静止状態にさせる。この状態で、マイクロ可動素子X1ないし揺動部10に法線方向(図1の平面図において紙面に垂直な方向)の加速度が作用すると、加速度と平行なベクトル成分の慣性力が働いて、揺動部10に対し、一対の連結部41によって規定される軸心A1まわりに回転トルクが作用し、加速度に比例した回転変位(軸心A1まわりの回転変位)が揺動部10に生じる(当該慣性力は、図1に現れる平面視において揺動部10の重心位置が軸心A1と重ならないように設計しておくことで、発生させ得る)。回転変位量は、電極部12,50間の静電容量の変化として電気的に検出することができる。その検出結果に基づき、マイクロ可動素子X1ないし揺動部10に作用する加速度を導出することが可能である。
【0059】
図13から図16は、マイクロ可動素子X1の製造方法の一例を表す。図13および図14は、マイクロ可動素子X1のマイクロ可動基板S1の作製方法を表す。この方法は、バルクマイクロマシニング技術を利用してマイクロ可動ユニットXaを形成するための一手法である。図13および図14においては、図14(d)に示すランド部L、梁部B、フレームF1,F2,F3、連結部C1,C2、および一組の電極E1,E2の形成過程を、一の断面の変化として表す。当該一の断面は、加工が施される材料基板(多層構造を有するウエハ)における単一のマイクロ可動ユニット形成区画に含まれる複数の所定箇所の断面を、モデル化して連続断面として表したものである。ランド部Lは、ランド部11の一部に相当する。梁部Bは、梁部13に相当する。フレームF1は、フレーム20の一部に相当する。フレームF2,F3は、各々、フレーム30の一部に相当する。連結部C1は、連結部41に相当し、連結部41の延び方向の断面を表す。連結部C2は、連結部41,42,43の各々に相当し、連結部41,42,43の各々の横断面を表す。電極E1は、電極部12,60の各々の一部に相当し、電極部12の一組の電極歯および電極部60の一組の電極歯の各々の横断面を表す。電極E2は、電極部50,70の各々の一部に相当し、電極部50の一組の電極歯および電極部70の一組の電極歯の各々の横断面を表す。一方、図15は、配線基板S2側の加工過程を表し、図16は、マイクロ可動基板S1と配線基板S2を接合する工程(基板間接合工程)を表す。図15および図16に示す配線基板S2側の断面は、図13および図14においてモデル化して連続断面として表すマイクロ可動基板S1に対応させて、配線基板S2側に含まれる複数の所定箇所の断面をモデル化して連続断面として表したものである。
【0060】
マイクロ可動ユニットXaの形成においては、まず、図13(a)に示すような材料基板100を用意する。材料基板100は、シリコン層101,102と、当該シリコン層101,102間の絶縁層103とからなる積層構造を有するSOIウエハであり、図外において上述の導電ビア24a〜24c,34a,34bを構成することとなる導電ビアが絶縁層103の所定の箇所に予め埋め込み形成されたものである。シリコン層101,102は、不純物をドープすることにより導電性を付与されたシリコン材料よりなる。不純物としては、Bなどのp型不純物や、PおよびSbなどのn型不純物を採用することができる。絶縁層103は例えば酸化シリコンよりなる。シリコン層101の厚さは例えば10〜100μmであり、シリコン層102の厚さは例えば50〜500μmであり、絶縁層103の厚さは例えば0.3〜3μmである。
【0061】
次に、図13(b)に示すように、シリコン層101上にミラー面11aを形成し、また、シリコン層102上にパッド部35を形成する。ミラー面11aの形成においては、まず、スパッタリング法により、シリコン層101に対して例えばCr(50nm)およびこれに続いてAu(200nm)を成膜する。次に、所定のマスクを介してこれら金属膜に対してエッチング処理を順次行うことにより、ミラー面11aをパターン形成する。Auに対するエッチング液としては、例えば、ヨウ化カリウム−ヨウ素水溶液を使用することができる。Crに対するエッチング液としては、例えば硝酸第二セリウムアンモニウム水溶液を使用することができる。シリコン層102上のパッド部35についても、例えばミラー面11aと同様にして形成することができる。
【0062】
次に、図13(c)に示すように、シリコン層101上に酸化膜パターン110およびレジストパターン111を形成し、シリコン層102上に酸化膜パターン112を形成する。酸化膜パターン110は、シリコン層101において成形されるべき揺動部10(ランド部11,電極部12,梁部13)、フレーム20の第1層部21、フレーム30の第1層部31、および電極部60に対応する図17に示すパターン形状を有する。レジストパターン111は、連結部41〜43に対応するパターン形状を有する。また、酸化膜パターン112は、シリコン層102において成形されるべきフレーム20の第2層部22、フレーム30の第2層部32、および電極部50,70に対応する図18に示すパターン形状を有する。
【0063】
次に、図13(d)に示すように、酸化膜パターン110およびレジストパターン111をマスクとして利用して、DRIE(deep reactive ion etching)により、シリコン層101に対して所定の深さまでエッチング処理を行う。所定の深さとは、連結部C1,C2の厚さに相当する深さであり、例えば5μmである。DRIEでは、SF6ガスを用いて行うエッチングとC48ガスを用いて行う側壁保護とを交互に繰り返すBoschプロセスにおいて、良好な異方性エッチング加工を行うことができる。後出のDRIEについても、このようなBoschプロセスを採用することができる。
【0064】
次に、図14(a)に示すようにレジストパターン111を除去する。例えば、剥離液を作用させることにより、レジストパターン111を剥離することができる。
【0065】
次に、図14(b)に示すように、酸化膜パターン110をマスクとして、DRIEにより、連結部C1,C2を残存形成しつつシリコン層101に対して絶縁層103に至るまでエッチング処理を行う。本工程にて、ランド部L、梁部B、電極E1、フレームF1の一部(フレーム20の第1層部21)、フレームF2の一部(フレーム30の第1層部31)、フレームF3の一部(フレーム30の第1層部31)、および各連結部C1,C2が、成形される。
【0066】
次に、図14(c)に示すように、酸化膜パターン112をマスクとして、DRIEによりシリコン層102に対して絶縁層103に至るまでエッチング処理を行う。本工程にて、フレームF1の一部(フレーム20の第2層部22)、フレームF2の一部(フレーム30の第2層部32)、フレームF3の一部(フレーム30の第2層部32)、および電極E2が、成形される。
【0067】
次に、図14(d)に示すように、絶縁層103において露出している箇所、および酸化膜パターン110,112を、エッチング除去する。エッチング手法としては、ドライエッチングまたはウエットエッチングを採用することができる。ドライエッチングを採用する場合、エッチングガスとしては、例えば、CF4やCHF3などを採用することができる。ウエットエッチングを採用する場合、エッチング液としては、例えば、フッ酸とフッ化アンモニウムからなるバッファードフッ酸(BHF)を使用することができる。本工程の後、材料基板100を切断してマイクロ可動ユニットXaごとに個片化する。
【0068】
以上の一連の工程を経ることにより、マイクロ可動ユニットXaが作り込まれたマイクロ可動基板S1を作製することができる。
【0069】
マイクロ可動素子X1の製造においては、一方、図15(a)に示すように、配線基板S2上に、バンプ部91A,91B,91Cを形成する。配線基板S2表面には、予め、パッド部82a,82bを含む配線パターン82A,82B,82Cおよびパッド部83がパターン形成されている。本工程では、バンプボンダを使用してパッド部82b,83上に二段のバンプを積み上げ(パッド部とバンプとの間およびバンプ間を圧着させる)、その後、レベリングを行って各二段積層バンプの高さを揃えることによって、バンプ部91A〜91Cを形成する。レベリングにおいては、具体的には、各二段積層バンプの頂部をガラス板等の平坦な面に対して押し付ける。
【0070】
次に、図15(b)に示すように、バンプ部91A〜91Cの頂部に対して熱硬化性の導電性接着剤92’を供給する。例えば、導電性接着剤92’を均一の厚さ(例えば25μm)に塗布した平坦な基板に対して、バンプ部91A〜91Cを介して配線基板S2を合せることによって、バンプ部91A〜91Cの頂部に導電性接着剤92’を転写することができる。
【0071】
次に、図15(c)に示すように、バンプ部91Cに対して熱硬化性の補強用接着剤93’を塗布する。例えば、ディスペンサを使用して、バンプ部91Cを覆うように補強用接着剤93’を塗布することができる。バンプ部91Cを覆うように供給される補強用接着剤93’は、バンプ部91A〜91Cの頂部にだけ供給される導電性接着剤92’よりも、相当程度に多量である。
【0072】
補強用接着剤93’の塗布の後、図16(a)および図16(b)に示すように基板間接合工程を行う。具体的には、上述のようにして作製したマイクロ可動基板S1と、上述のような加工過程を経た配線基板S2とを、バンプ部91A〜91C、導電性接着剤92’、および補強用接着剤93’を介して接合する。本工程では、所定の温度に加熱して導電性接着剤92’および補強用接着剤93’を熱硬化させ、接着剤部92,93を形成する。
【0073】
以上のようにして、マイクロ可動基板S1と、配線基板S2と、これらの間に介在し且つこれらに接合するスペーサ90A,90Bおよび強固定部90Cとを備えるマイクロ可動素子X1を製造することができる。
【0074】
図16を参照して上述した基板間接合工程では、バンプ部91Cに対して比較的多量に塗布された補強用接着剤93’を硬化させて、強固定部90Cの接着剤部93を形成する。補強用接着剤93’はその硬化時に相当程度に収縮し、基板間接合工程を経たマイクロ可動基板S1のフレーム30における強固定部90C接合箇所には所定の応力ストレス(例えば、マイクロ可動基板S1と配線基板S2との間の距離を小さくする方向に作用する引張り応力)が作用するが、マイクロ可動素子X1は、このような応力ストレスに起因するフレーム30の変形を抑制するのに適する。図9から図11に示すように、接着剤部93を伴う強固定部90Cが、マイクロ可動基板S1と配線基板S2の間に介在して当該マイクロ可動基板S1と配線基板S2とに接合する二つのスペーサ90A,90Bの間に、位置するからである。マイクロ可動基板S1と配線基板S2の間に介在してこれらに接合するスペーサ90A,90Bは、強固定部90Cを間に配して並列して、フレーム30における強固定部90C接合箇所に生ずる応力ストレスに対して抗するので、例えば、強固定部90Cの接着剤部93とマイクロ可動基板S1との接合界面が力点となり且つ一のスペーサ(スペーサ90Aまたはスペーサ90B)とマイクロ可動基板S1との接合界面が支点となってフレーム30が変形することは、抑制されやすいのである。したがって、マイクロ可動素子X1は、その製造過程の基板間接合工程の前後における連結部42,43のバネ定数の変動を抑制するのに適する(フレーム30の変形は、フレーム30に連続する連結部42,43のバネ定数の変動の要因である)。
【0075】
また、製造されたマイクロ可動素子X1では、環境温度の変化に起因して強固定部90Cの接着剤部93の体積が変化して、マイクロ可動基板S1のフレーム30における強固定部90C接合箇所には所定の応力ストレスが作用し得るが、マイクロ可動素子X1は、このような応力ストレスに起因するフレーム30の変形を抑制するのに適する。図9から図11に示すように、接着剤部93を伴う強固定部90Cが、マイクロ可動基板S1と配線基板S2の間に介在して当該マイクロ可動基板S1と配線基板S2とに接合する二つのスペーサ90A,90Bの間に、位置するからである。マイクロ可動基板S1と配線基板S2の間に介在してこれらに接合するスペーサ90A,90Bは、強固定部90Cを間に配して並列して、フレーム30における強固定部90C接合箇所に生ずる応力ストレスに対して抗するので、例えば、強固定部90Cの接着剤部93とマイクロ可動基板S1との接合界面が力点となり且つ一のスペーサ(スペーサ90Aまたはスペーサ90B)とマイクロ可動基板S1との接合界面が支点となってフレーム30が変形することは、抑制されやすいのである。したがって、マイクロ可動素子X1は、基板間接合工程の後においても、連結部42,43のバネ定数の変動を抑制するのに適する。
【0076】
このように、マイクロ可動素子X1は、その製造過程においても、製造後においても、可動部(揺動部10,フレーム20,一対の連結部41,電極部50,電極部60)とフレーム30とを連結する一対の連結部42,43のバネ定数の変動を抑制するのに適する。このようなマイクロ可動素子X1は、可動部の共振周波数などの機械的特性の変動を抑制するうえで好適であり、従って、素子性能の劣化を抑制するうえで好適である。
【0077】
マイクロ可動素子X1において、マイクロ可動基板S1の母材は上述のようにシリコン材料であり、且つ、配線基板S2の母材たる基材81も上述のようにシリコン材料よりなる。このような構成は、環境温度の変化に起因するマイクロ可動基板S1の体積変化と配線基板S2(支持基材)の体積変化との差を小さくするのに好適であり、従って、マイクロ可動基板S1のフレーム30における強固定部90C接合箇所に生じ得る応力ストレスを抑制するうえで好適である。
【0078】
図19は、強固定部90Cの変形例を表す。図19(a)は、配線基板S2の厚さ方向における、当該変形例を含む断面図であり、図19(b)は、配線基板S2の面広がり方向における、当該変形例の断面図である。図19に示す強固定部90Cは、複数のバンプ部91Cを含んでなる。複数のバンプ部91Cは、各々が二段の例えばAuバンプよりなり、配線基板S2における単一のパッド部83に圧接されており、且つ、マイクロ可動基板S1のフレーム30上のパッド部35とは各々が接着剤部92を介して接合されている。接着剤部92は、導電フィラーを含む導電性接着剤よりなる。接着剤部93は、補強用の接着剤よりなり、複数のバンプ部91Cの周囲を覆い、且つ、マイクロ可動基板S1および配線基板S2に接合している。このような構成の強固定部90Cにおいては、単一のバンプ部91を含んでなる強固定部90Cよりも、接着剤部93の体積比率が小さく、マイクロ可動素子X1の上述の製造過程における基板間接合工程(補強用接着剤93’が硬化する工程)にて、収縮する補強用接着剤93’とバンプ部91Cとの界面に生ずる摩擦力(収縮に抗するように作用する摩擦力)が効果的に作用して、補強用接着剤93’の収縮が抑制される。したがって、図19に示すような複数のバンプ部91Cを含んでなる強固定部90Cは、連結部42,43のバネ定数の変動を抑制するのに資する。
【0079】
マイクロ可動素子X1においては、図9から図11の各々に示す一組のスペーサ90A,90Bおよび強固定部90Cは、マイクロ可動ユニットXaにおける軸心A2に沿って配列している。また、図9に示す一組のスペーサ90A,90Bおよび強固定部90C、並びに、図10に示す一組のスペーサ90A,90Bおよび強固定部90Cは、フレーム30において軸心A2が通る箇所に接合している。
【0080】
マイクロ可動素子X1においては、マイクロ可動基板S1におけるフレーム30の第2層部32の部分32a〜32dのパターン形状の変更、配線基板S2の配線パターン82A〜82Cおよびパッド部83のパターン形状の変更、および、一列に配列するスペーサ90A,90Bおよび強固定部90Cの各組の配置の変更、の適宜の組み合わせにより、所定の強固定部90Cに、マイクロ可動基板S1と配線基板S2の間の電気的接続を担わせることができる。マイクロ可動基板S1と配線基板S2の間の電気的接続については、複数の強固定部90Cのみに担わせてもよい。
【0081】
図20から図23は、マイクロ可動素子X1のそのようなバリエーションの一例を表す。図20は、バリエーションに係るマイクロ可動素子X1の平面図である。図21は、図20に示すマイクロ可動素子X1の一部省略平面図である。図22は、図20に示すマイクロ可動素子X1の他の一部省略平面図である。図23は、図20の線XXIII−XXIIIに沿った拡大断面図である。
【0082】
図20から図23に示すマイクロ可動素子X1は、電極部12,60に基準電位を付与するための導電経路にスペーサ90Aが介在せずに強固定部90Cが介在する点で、図1から図11に示す上述のマイクロ可動素子X1と異なる。図20から図23に示すマイクロ可動素子X1においては、配線基板S2の配線パターン82Cのバッド部82bに強固定部90Cが接合し(バッド部82bとバンプ91Cの間は圧着されている)、この強固定部90Cは、マイクロ可動基板S1のフレーム30の第2層部32の部分32d表面のパッド部35に接合する(バンプ部91Cとパッド部35は接着剤部92を介して接合している)。このようなマイクロ可動素子X1の駆動時には、電極部12に対する基準電位の付与は、配線基板S2における配線パターン82C(外部接続用の端子部たるパッド部82aを含む)、配線パターン82Cのパッド部82b上の強固定部90C、マイクロ可動基板S1側において当該強固定部90Cと接合するパッド部35、マイクロ可動基板S1におけるフレーム30の第2層部32の部分32d、導電ビア34b、第1層部31の部分31a、連結部43、フレーム20の第1層部21の部分21c、導電ビア24c、第2層部22の部分22a、導電ビア24a、第1層部21の部分21a、連結部41、および揺動部10の梁部13を介して、実現することができる。電極部60に対する基準電位の付与は、配線基板S2における配線パターン82C(外部接続用の端子部たるパッド部82aを含む)、配線パターン82Cのパッド部82b上の強固定部90C、マイクロ可動基板S1側において当該強固定部90Cと接合するパッド部35、マイクロ可動基板S1におけるフレーム30の第2層部32の部分32d、導電ビア34b、第1層部31の部分31a、連結部43、およびフレーム20の第1層部21の部分21cを介して、実現することができる。
【0083】
図24から図29は、本発明の第2の実施形態に係るマイクロ可動素子X2を表す。図24は、マイクロ可動素子X2の平面図である。図25は、マイクロ可動素子X2の一部省略平面図である。図26は、マイクロ可動素子X2の他の一部省略平面図である。図27から図29は、各々、図24の線XXVII−XXVII、線XXVIII−XXVIII、および線XXIX−XXIXに沿った拡大断面図である。
【0084】
マイクロ可動素子X2は、マイクロ可動基板S3(図25にて一部省略,図26にて省略)と、配線基板S4と、スペーサ90A,90Bと、強固定部90Cとを備え、本実施形態ではマイクロミラー素子として構成されている。
【0085】
マイクロ可動基板S3には、実質的に、複数の上述のマイクロ可動ユニットXaが作り込まれている(図24および図25では、一部のマイクロ可動ユニットXaを省略する)。各マイクロ可動ユニットXaは、揺動部10と、フレーム20,30と、一対の連結部41と、一対の連結部42,43と、電極部50,60,70とを備える。複数のマイクロ可動ユニットXaは、全ての軸心A2が相互に平行となるように、軸心A1の延び方向に一列に配されている。このような本実施形態におけるマイクロ可動ユニットXaも、第1の実施形態におけるマイクロ可動ユニットXaと同様に、MEMS技術などのバルクマイクロマシニング技術を利用してSOIウエハである材料基板に対して加工を施すことによって作り込まれたものである。当該材料基板は、第1および第2シリコン層ならびに当該シリコン層間の絶縁層よりなる積層構造を有し、各シリコン層は、不純物のドープにより所定の導電性が付与されている。マイクロ可動ユニットXaにおける上述の各部位は主に第1シリコン層および/または第2シリコン層に由来して形成されるところ、図の明確化の観点より、図24にて表すマイクロ可動ユニットXaないしマイクロ可動基板S3については、第1シリコン層に由来する部位に斜線ハッチングを付す。また、図25では、マイクロ可動ユニットXaないしマイクロ可動基板S3については第2シリコン層に由来す部位を表す(即ち、図25では、マイクロ可動基板S3における第1シリコン層に由来する部位、第1シリコン層上に形成される部位、および絶縁層に由来する部位を省略する)。
【0086】
マイクロ可動素子X2において、各マイクロ可動ユニットXaのフレーム30は共通化されている。具体的には、フレーム30の第1層部31の部分31aは全マイクロ可動ユニットXaにわたって連続しており、また、フレーム30の第2層部32の各部分32dは全マイクロ可動ユニットXaにとって共通して設けられている。このように共通化されたフレーム30によって、揺動部10およびフレーム20を含む全マイクロ可動ユニットXaの可動部は囲まれている。また、このように共通化されたフレーム30が形成されているマイクロ可動基板S3では、全マイクロ可動ユニットXaにおける揺動部10の電極部12、フレーム20の第1層部21の部分21a,21cおよび第2層部22の部分22a、フレーム30の第2層部32の部分32d、並びに電極部60は、電気的に接続されている。
【0087】
マイクロ可動素子X2の配線基板S4は、図26によく表れているように、基材81、配線パターン82A,82B,82C、およびパッド部83からなる。基材81はシリコン材料よりなる。配線パターン82A,82B,82Cは、各々、パッド部82a,82bを有する。パッド部82aは、マイクロ可動素子X2にとっての外部接続用の端子部を構成する。
【0088】
マイクロ可動素子X2のスペーサ90Aは、図27から図29に示すように、バンプ部91Aおよび接着剤部92よりなり、マイクロ可動基板S3のフレーム30および配線基板S4の間に介在する。バンプ部91Aは二段のバンプよりなる。当該バンプは例えばAuよりなる。バンプ部91Aは、配線基板S4における配線パターン82A〜82Cのパッド部82bに圧接されており、且つ、マイクロ可動基板S3のフレーム30上の所定のパッド部35と接着剤部92を介して接合されている。接着剤部92は、導電フィラーを含む導電性接着剤よりなる。このようなスペーサ90Aは、本実施形態では、マイクロ可動基板S3および配線基板S4を電気的に接続する。
【0089】
マイクロ可動素子X2のスペーサ90Bは、図27から図29に示すように、バンプ部91Bおよび接着剤部92よりなり、マイクロ可動基板S3のフレーム30および配線基板S4の間に介在する。バンプ部91Bは二段のバンプよりなる。当該バンプは例えばAuよりなる。バンプ部91Bは、配線基板S4におけるパッド部83に圧接されており、且つ、マイクロ可動基板S3のフレーム30上の所定のパッド部35と接着剤部92(導電性接着剤よりなる)を介して接合されている。
【0090】
マイクロ可動素子X2の強固定部90Cは、図27から図29に示すように、バンプ部91Cおよび接着剤部92,93よりなり、マイクロ可動基板S3のフレーム30および配線基板S4の間に介在する。バンプ部91Cは二段のバンプよりなる。当該バンプは例えばAuよりなる。バンプ部91は、配線基板S4におけるパッド部83に圧接されており、且つ、マイクロ可動基板S3のフレーム30上の所定のパッド部35と接着剤部92(導電性接着剤よりなる)を介して接合されている。接着剤部93は、補強用接着剤よりなり、バンプ部91Cの周囲を覆い、且つ、マイクロ可動基板S3および配線基板S4に接合している。このような強固定部90Cは、マイクロ可動基板S3と配線基板S4との間の固定強度について、スペーサ90A,90Bのみによっては得られない強度を得るためのものである。
【0091】
マイクロ可動素子X2の各強固定部90Cは、図27から図29に示すように、二つのスペーサ90A,90Bの間に位置する。図27から図29の各々に示す一組のスペーサ90A,90Bおよび強固定部90Cは、マイクロ可動ユニットXaにおける軸心A2に沿って配列している。また、図27に示す一組のスペーサ90A,90Bおよび強固定部90C、並びに、図28に示す一組のスペーサ90A,90Bおよび強固定部90Cは、図25に示すように、フレーム30において一のマイクロ可動ユニットXaの軸心A2が通る箇所に接合している。
【0092】
マイクロ可動素子X2の駆動時には、全てのマイクロ可動ユニットXaにおける揺動部10の電極部12および電極部60に対して共通的に所定の基準電位が付与された状態で、選択されたマイクロ可動ユニットXaの電極部50,70の各々に対して所定の駆動電位が付与される。これにより、各マイクロ可動ユニットXaの揺動部10およびフレーム20が個別に揺動駆動され、各マイクロ可動ユニットXaの揺動部10のランド部11上のミラー面11aにて反射される光の反射方向を適宜切り換えることができる。全マイクロ可動ユニットXaにおける揺動部10の電極部12および電極部60に対する共通的な所定基準電位の付与は、配線基板S4における配線パターン82C(外部接続用の端子部たるパッド部82aを含む)、配線パターン82Cのパッド部82b上のスペーサ90A、マイクロ可動基板S3側において当該スペーサ90Aと接合するパッド部35、マイクロ可動基板S3におけるフレーム30の第2層部32の部分32d、導電ビア34b、第1層部31の部分31a、連結部43、フレーム20の第1層部21の部分21c、導電ビア24c、第2層部22の部分22a、導電ビア24a、第1層部21の部分21a、連結部41、および揺動部10の梁部13を介して、実現することができる。基準電位は、例えばグラウンド電位であり、好ましくは一定に維持される。選択されたマイクロ可動ユニットXaの電極部50,70に対する所定駆動電位の付与については、第1の実施形態におけるマイクロ可動ユニットXaの電極部50,70の各々に対する所定駆動電位の付与と同様にして、実現することができる。
【0093】
マイクロ可動素子X2の製造においては、マイクロ可動素子X1のマイクロ可動基板S1を作製したのと同様の手法によって、図30(a)に模式的に示すマイクロ可動基板S3を作製する(図30(a)に示すマイクロ可動素子S3の断面は、図14(d)に示すマイクロ可動基板S1と同様に、複数の所定箇所の断面をモデル化して連続断面として表したものである)。具体的には、材料基板100(SOIウエハ)に対して加工を施すことによってマイクロ可動ユニットXaを作り込んでマイクロ可動基板S1を作製したのと同様に、所定のSOIウエハに対して加工を施すことによって、部分的に共通化した複数のマイクロ可動ユニットXaを作り込んでマイクロ可動基板S3を作製する。
【0094】
また、マイクロ可動素子X2の製造においては、マイクロ可動素子X1の配線基板S2におけるパッド部82b,83上にバンプ部91A〜91C、導電性接着剤92’、および補強用接着剤93’を設けたのと同様の手法によって、図30(a)に模式的に示すように、配線基板S4のパッド部82b,83上にバンプ部91A〜91C、導電性接着剤92’、および補強用接着剤93’を設ける(図30(a)に示す配線基板S4側の断面は、図30(a)においてモデル化して連続断面として表すマイクロ可動基板S3に対応させて、配線基板S4側に含まれる複数の所定箇所の断面をモデル化して連続断面として表したものである)。
【0095】
そして、図30(b)に示すように基板間接合工程を行う。具体的には、上述のようにして作製したマイクロ可動基板S3と、上述のような加工過程を経た配線基板S4とを、バンプ部91A〜91C、導電性接着剤92’、および補強用接着剤93’を介して接合する。本工程では、所定の温度に加熱して導電性接着剤92’および補強用接着剤93’を熱硬化させ、接着剤部92,93を形成する。
【0096】
以上のようにして、マイクロ可動基板S3と、配線基板S4と、これらの間に介在し且つこれらに接合するスペーサ90A,90Bおよび強固定部90Cとを備えるマイクロ可動素子X2を製造することができる。
【0097】
図30を参照して説明した基板間接合工程では、バンプ部91Cに対して比較的多量に塗布された補強用接着剤93’を硬化させて、強固定部90Cの接着剤部93を形成する。補強用接着剤93’はその硬化時に相当程度に収縮し、基板間接合工程を経たマイクロ可動基板S3のフレーム30における強固定部90C接合箇所には所定の応力ストレス(例えば、マイクロ可動基板S3と配線基板S4との間の距離を小さくする方向に作用する引張り応力)が作用するが、マイクロ可動素子X2は、このような応力ストレスに起因するフレーム30の変形を抑制するのに適する。接着剤部93を伴う強固定部90Cが、図27から図29に示すように、マイクロ可動基板S3と配線基板S4の間に介在して当該マイクロ可動基板S3と配線基板S4とに接合する二つのスペーサ90A,90Bの間に、位置するからである。マイクロ可動基板S3と配線基板S4の間に介在してこれらに接合するスペーサ90A,90Bは、強固定部90Cを間に配して並列して、フレーム30における強固定部90C接合箇所に生ずる応力ストレスに対して抗するので、例えば、強固定部90Cの接着剤部93とマイクロ可動基板S3との接合界面が力点となり且つ一のスペーサ(スペーサ90Aまたはスペーサ90B)とマイクロ可動基板S3との接合界面が支点となってフレーム30が変形することは、抑制されやすいのである。したがって、マイクロ可動素子X2は、その製造過程の基板間接合工程の前後における連結部42,43のバネ定数の変動を抑制するのに適する(フレーム30の変形は、フレーム30に連続する各マイクロ可動ユニットXaにおける連結部42,43のバネ定数の変動の要因である)。
【0098】
また、製造されたマイクロ可動素子X2では、環境温度の変化に起因して強固定部90Cの接着剤部93の体積が変化して、マイクロ可動基板S3のフレーム30における強固定部90C接合箇所には所定の応力ストレスが作用し得るが、マイクロ可動素子X2は、このような応力ストレスに起因するフレーム30の変形を抑制するのに適する。接着剤部93を伴う強固定部90Cが、図27から図29に示すように、マイクロ可動基板S3と配線基板S4の間に介在して当該マイクロ可動基板S3と配線基板S4とに接合する二つのスペーサ90A,90Bの間に、位置するからである。マイクロ可動基板S3と配線基板S4の間に介在してこれらに接合するスペーサ90A,90Bは、強固定部90Cを間に配して並列して、フレーム30における強固定部90C接合箇所に生ずる応力ストレスに対して抗するので、例えば、強固定部90Cの接着剤部93とマイクロ可動基板S3との接合界面が力点となり且つ一のスペーサ(スペーサ90Aまたはスペーサ90B)とマイクロ可動基板S3との接合界面が支点となってフレーム30が変形することは、抑制されやすいのである。したがって、マイクロ可動素子X2は、基板間接合工程の後においても、各マイクロ可動ユニットXaにおける連結部42,43のバネ定数の変動を抑制するのに適する。
【0099】
このように、マイクロ可動素子X2は、その製造過程においても、製造後においても、各マイクロ可動ユニットXaにおける可動部(揺動部10,フレーム20,一対の連結部41,電極部50,電極部60)とフレーム30とを連結する一対の連結部42,43のバネ定数の変動を抑制するのに適する。このようなマイクロ可動素子X2は、可動部の共振周波数などの機械的特性の変動を抑制するうえで好適であり、従って、素子性能の劣化を抑制するうえで好適である。
【0100】
マイクロ可動素子X2において、マイクロ可動基板S3の母材は上述のようにシリコン材料であり、且つ、配線基板S4の母材たる基材81も上述のようにシリコン材料よりなる。このような構成は、環境温度の変化に起因するマイクロ可動基板S3の体積変化と配線基板S4(支持基材)の体積変化との差を小さくするのに好適であり、従って、マイクロ可動基板S3のフレーム30における強固定部90C接合箇所に生じ得る応力ストレスを抑制するうえで好適である。
【0101】
マイクロ可動素子X2においては、図27から図29の各々に示す一組のスペーサ90A,90Bおよび強固定部90Cは、各マイクロ可動ユニットXaにおける軸心A2に沿って配列している。また、図27に示す一組のスペーサ90A,90Bおよび強固定部90C、並びに、図28に示す一組のスペーサ90A,90Bおよび強固定部90Cは、フレーム30において一のマイクロ可動ユニットXaにおける軸心A2が通る箇所に接合している。これらの構成は、一対の連結部42,43のバネ定数の変動を抑制するのに資する。
【0102】
マイクロ可動素子X2においては、マイクロ可動素子X1に関して図19を参照して上述したのと同様に、複数のバンプ部91Cと、各バンプ部91Cの頂部に設けられた接着剤部92と、複数のバンプ部91Cの周囲を覆う接着剤部93とからなる強固定部90Cを設けてもよい。
【0103】
また、マイクロ可動素子X2においては、マイクロ可動基板S3におけるフレーム30の第2層部32の部分32a〜32dのパターン形状の設計変形、配線基板S4の配線パターン82A〜82Cおよびパッド部83のパターン形状の設計変更、および、一列に配列するスペーサ90A,90Bおよび強固定部90Cの各組の配置の変更、の適宜の組み合わせにより、所定の強固定部90Cに、マイクロ可動基板S3と配線基板S4の間の電気的接続を担わせることができる。マイクロ可動基板S3と配線基板S4の間の電気的接続については、複数の強固定部90Cのみに担わせてもよい。
【0104】
上述のマイクロ可動素子X1,X2は、光スイッチング装置の一構成要素として用いることができる。
【0105】
図31は、第3の実施形態に係る空間光結合型の光スイッチング装置300の概略構成を表す。光スイッチング装置300は、一対のマイクロミラーアレイ301,302と、入力ファイバアレイ303と、出力ファイバアレイ304と、複数のマイクロレンズ305,306とを備える。入力ファイバアレイ303は所定数の入力ファイバ303aからなり、マイクロミラーアレイ301には、各入力ファイバ303aに対応するマイクロミラー301aが複数配設されている。出力ファイバアレイ304は所定数の出力ファイバ304aからなり、マイクロミラーアレイ302には、各出力ファイバ304aに対応するマイクロミラー302aが複数配設されている。マイクロミラー301a,302aは、各々、光を反射するための一のミラー面を有して当該ミラー面の向きを制御できるように設けられており、上述のマイクロ可動素子X1によって構成される。マイクロミラーアレイ301,302を、複数の上述のマイクロ可動素子X2によって構成してもよい。複数のマイクロレンズ305は、各々、入力ファイバ303aの端部に対向するように配置されている。また、複数のマイクロレンズ306は、各々、出力ファイバ304aの端部に対向するように配置されている。
【0106】
光スイッチング装置300において、入力ファイバ303aから出射される光L1は、対応するマイクロレンズ305を通過することによって、相互に平行光とされ、マイクロミラーアレイ301へ向かう。光L1は、対応するマイクロミラー301aで反射し、マイクロミラーアレイ302へと偏向される。このとき、マイクロミラー301aのミラー面は、光L1を所望のマイクロミラー302aに入射させるように、予め所定の方向を向いている。次に、光L1は、マイクロミラー302aで反射し、出力ファイバアレイ304へと偏向される。このとき、マイクロミラー302aのミラー面は、所望の出力ファイバ304aに光L1を入射させるように、予め所定の方向を向いている。
【0107】
このように、光スイッチング装置300によると、各入力ファイバ303aから出射した光L1は、マイクロミラーアレイ301,302における偏向によって、所望の出力ファイバ304aに到達する。すなわち、入力ファイバ303aと出力ファイバ304aは一対一で接続される。そして、マイクロミラー301a,302aにおける偏向角度を適宜変更することによって、光L1が到達する出力ファイバ304aが切換えられる。
【0108】
光ファイバを媒体として伝送された光信号の伝送経路を或るファイバから他のファイバへと切換えるための光スイッチング装置に求められる特性としては、切換え動作における、大容量性、高速性、高信頼性などが挙げられる。これらの観点より、光スイッチング装置に組み込まれるスイッチング素子としては、マイクロマシニング技術によって作製されるマイクロミラー素子が好ましい。マイクロミラー素子によると、光スイッチング装置における入力側の光伝送路と出力側の光伝送路との間で、光信号を電気信号に変換せずに光信号のままでスイッチング処理を行うことができ、上述の特性を得るうえで好適だからである。
【0109】
図32は、第4の実施形態に係る波長選択型の光スイッチング装置400の概略構成を表す。光スイッチング装置400は、マイクロミラーアレイ401と、一本の入力ファイバ402と、三本の出力ファイバ403と、複数のマイクロレンズ404a,404bと、分光器405と、集光レンズ406とを備える。マイクロミラーアレイ401は、複数のマイクロミラー401aを有し、当該複数のマイクロミラー401aは、マイクロミラーアレイ401において例えば一列に配設されている。各マイクロミラー401aは、光を反射するためのミラー面を有して当該ミラー面の向きを制御できるように設けられており、上述のマイクロ可動素子X1によって構成される。マイクロミラーアレイ401を上述のマイクロ可動素子X2によって構成してもよい。マイクロレンズ404aは、入力ファイバ402の端部に対向するように配置されている。マイクロレンズ404bは、出力ファイバ403の端部に対向するように配置されている。分光器405は、波長によって反射光の回折の程度が異なる反射型回折格子である。
【0110】
光スイッチング装置400において、入力ファイバ402から出射される光L2(複数の波長が混在している)は、マイクロレンズ404aを通過することによって、平行光とされる。この光L2は、分光器405にて反射する(このとき、波長ごとに異なる角度で反射する)。当該反射光は、集光レンズ406を通過する。その際、波長ごとに、マイクロミラーアレイ401において対応するマイクロミラー401aへ集光される。各波長の光は、対応するマイクロミラー401aで所定方向に反射される。このとき、マイクロミラー401aのミラー面は、対応する波長の光を所望の出力ファイバ403に到達させるように、予め所定の方向を向いている。マイクロミラー401aにて反射した光は、その後、集光レンズ406、分光器405、およびマイクロレンズ404bを経由して、選択された所定の出力ファイバ403に入射する。このようにして、光スイッチング装置400によると、光L2から所望の波長の光を選択することができる。
【0111】
以上のまとめとして、本発明の構成およびそのバリエーションを以下に付記として列挙する。
【0112】
(付記1)フレーム部、可動部、並びに、当該フレーム部および可動部を連結する連結部、を備えるマイクロ可動ユニットが形成されているマイクロ可動基板と、
支持基材と、
前記マイクロ可動基板の前記フレーム部および前記支持基材の間に介在して当該フレーム部および支持基材に接合する複数のスペーサと、
前記マイクロ可動基板の前記フレーム部および前記支持基材の間に介在して当該フレーム部および支持基材に接合するスペーサ部、並びに、当該スペーサ部を覆って前記フレーム部および前記支持基材に接合する接着剤部、を有する少なくとも一つの強固定部と、を備え、
前記強固定部は、二つの前記スペーサの間に位置する、マイクロ可動素子。
(付記2)前記連結部は、前記可動部の回転変位の軸心を規定し、
少なくとも一組の、前記二つのスペーサおよび当該二つのスペーサの間に位置する前記強固定部は、前記軸心に沿って配列している、付記1に記載のマイクロ可動素子。
(付記3)前記一組の強固定部および二つのスペーサは、前記フレーム部において前記軸心が通る箇所に接合している、付記2に記載のマイクロ可動素子。
(付記4)フレーム部、可動部、並びに、当該フレーム部および可動部を連結する連結部、を各々が備える複数のマイクロ可動ユニットが一体的に形成されて、当該複数のマイクロ可動ユニットの前記フレーム部が共通化されて共通化フレームをなしている、マイクロ可動基板と、
支持基材と、
前記マイクロ可動基板の前記共通化フレームおよび前記支持基材の間に介在して当該共通化フレームおよび支持基材に接合する複数のスペーサと、
前記マイクロ可動基板の前記共通化フレームおよび前記支持基材の間に介在して当該共通化フレームおよび支持基材に接合するスペーサ部、並びに、当該スペーサ部を覆って前記共通化フレームおよび前記支持基材に接合する接着剤部、を有する少なくとも一つの強固定部と、を備え、
前記強固定部は、二つの前記スペーサの間に位置する、マイクロ可動素子。
(付記5)少なくとも一つのマイクロ可動ユニットにおいて、前記連結部は、前記可動部の回転変位の軸心を規定し、
少なくとも一組の、前記二つのスペーサおよび当該二つのスペーサの間に位置する前記強固定部は、一の前記軸心に沿って配列している、付記4に記載のマイクロ可動素子。
(付記6)前記一組の強固定部および二つのスペーサは、前記共通化フレームにおいて前記一の軸心が通る箇所に接合している、付記5に記載のマイクロ可動素子。
(付記7)各マイクロ可動ユニットにおいて、前記連結部は、前記可動部の回転変位の軸心を規定し、
前記複数のマイクロ可動ユニットにおける前記軸心が相互に平行となるように、前記複数のマイクロ可動ユニットは並列している、付記4から6のいずれか一つに記載のマイクロ可動素子。
(付記8)前記支持基材は配線基板であり、
前記スペーサおよび/または前記スペーサ部は、前記配線基板と前記マイクロ可動基板とを電気的に接続する、付記1から7のいずれか一つに記載のマイクロ可動素子。
(付記9)前記配線基板と前記マイクロ可動基板とを電気的に接続する前記スペーサおよび/または前記スペーサ部は、少なくとも一つのAuバンプよりなるバンプ部を有する、付記8に記載のマイクロ可動素子。
(付記10)前記バンプ部は、導電性接着剤を介して前記マイクロ可動基板に接合している、付記9に記載のマイクロ可動素子。
(付記11)前記マイクロ可動基板の母材および前記支持基材の母材は、シリコン材料である、付記1から10のいずれか一つに記載のマイクロ可動素子。
(付記12)前記マイクロ可動ユニットは、更に、前記可動部を回転変位させるための駆動機構を備える、付記1から11のいずれか一つに記載のマイクロ可動素子。
(付記13)前記可動部は、可動フレーム部と、可動主部と、当該可動フレーム部および可動主部を連結する連結部とを有する、付記1から12のいずれか一つに記載のマイクロ可動素子。
(付記14)マイクロミラー素子、角速度センサ、または加速度センサとして構成されている、付記1から13のいずれか一つに記載のマイクロ可動素子。
(付記15)マイクロミラー素子として構成された付記1から13のいずれか一つに記載のマイクロ可動素子を備える、光スイッチング装置。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るマイクロ可動素子の平面図である。
【図2】図1に示すマイクロ可動素子の一部省略平面図である。
【図3】図1に示すマイクロ可動素子の他の一部省略平面図である。
【図4】図1の線IV−IVに沿った拡大部分断面図である。
【図5】図1の線V−Vに沿った拡大部分断面図である。
【図6】図1の線VI−VIに沿った拡大部分断面図である。
【図7】図1の線VII−VIIに沿った拡大部分断面図である。
【図8】図1の線VIII−VIIIに沿った拡大部分断面図である。
【図9】図1の線IX−IXに沿った拡大断面図である。
【図10】図1の線X−Xに沿った拡大断面図である。
【図11】図1の線XI−XIに沿った拡大断面図である。
【図12】駆動時における図1の線IV−IVに沿った拡大部分断面図である。
【図13】図1に示すマイクロ可動素子の製造方法における一部の工程を表す。
【図14】図13の後に続く工程を表す。
【図15】図1に示すマイクロ可動素子の製造方法における一部の工程を表す。
【図16】図1に示すマイクロ可動素子の製造方法における一部の工程(基板間接合工程)を表す。
【図17】マスクパターンの平面図である。
【図18】他のマスクパターンの平面図である。
【図19】強固定部の変形例を表す。(a)は、配線基板の厚さ方向における当該変形例を含む断面図であり、(b)は、配線基板の面広がり方向における当該変形例の断面図である。
【図20】図1に示すマイクロ可動素子のバリエーションたるマイクロ可動素子の平面図である。
【図21】図20に示すマイクロ可動素子の一部省略平面図である。
【図22】図20に示すマイクロ可動素子の他の一部省略平面図である。
【図23】図20の線XXIII−XXIIIに沿った拡大断面図である。
【図24】本発明の第2の実施形態に係るマイクロ可動素子の平面図である。
【図25】図24に示すマイクロ可動素子の一部省略平面図である。
【図26】図24に示すマイクロ可動素子の他の一部省略平面図である。
【図27】図24の線XXVII−XXVIIに沿った拡大断面図である。
【図28】図24の線XXVIII−XXVIIIに沿った拡大断面図である。
【図29】図24の線XXIX−XXIXに沿った拡大断面図である。
【図30】図24に示すマイクロ可動素子の製造方法における一部の工程を表す。
【図31】本発明の第3の実施形態に係る光スイッチング装置の概略構成を表す。
【図32】本発明の第4の実施形態に係る光スイッチング装置の概略構成を表す。
【図33】従来のマイクロ可動素子の平面図である。
【図34】図33に示すマイクロ可動素子の一部省略平面図である。
【図35】図33の線XXXV−XXXVに沿った拡大断面図である。
【図36】図33の線XXXVI−XXXVIに沿った拡大断面図である。
【符号の説明】
【0114】
X1,X2,X3 マイクロ可動素子
S1,S3,S5 マイクロ可動基板
S2,S4,S6 配線基板
Xa,200 マイクロ可動ユニット
10 揺動部
11 ランド部
11a,201a ミラー面
12,50,60,70 電極部
13 梁部
20,30,202 フレーム
21,31 第1層部
22,32 第2層部
23,33 絶縁層
41,42,43,203 連結部
81 基材
82A,82B,82C,82D,210 配線パターン
82a,82b,83,211,212,213 パッド部
90A,90B,220 スペーサ
90C,230 強固定部
91A,91B,91C,221,231 バンプ部
92,93,222,232,233 接着剤部
92’ 導電性接着剤
93’ 補強用接着剤
A1,A2,A3 軸心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム部、可動部、並びに、当該フレーム部および可動部を連結する連結部、を備えるマイクロ可動ユニットが形成されているマイクロ可動基板と、
支持基材と、
前記マイクロ可動基板の前記フレーム部および前記支持基材の間に介在して当該フレーム部および支持基材に接合する複数のスペーサと、
前記マイクロ可動基板の前記フレーム部および前記支持基材の間に介在して当該フレーム部および支持基材に接合するスペーサ部、並びに、当該スペーサ部を覆って前記フレーム部および前記支持基材に接合する接着剤部、を有する少なくとも一つの強固定部と、を備え、
前記強固定部は、二つの前記スペーサの間に位置する、マイクロ可動素子。
【請求項2】
前記連結部は、前記可動部の回転変位の軸心を規定し、
少なくとも一組の、前記二つのスペーサおよび当該二つのスペーサの間に位置する前記強固定部は、前記軸心に沿って配列している、請求項1に記載のマイクロ可動素子。
【請求項3】
フレーム部、可動部、並びに、当該フレーム部および可動部を連結する連結部、を各々が備える複数のマイクロ可動ユニットが一体的に形成されて、当該複数のマイクロ可動ユニットの前記フレーム部が共通化されて共通化フレームをなしている、マイクロ可動基板と、
支持基材と、
前記マイクロ可動基板の前記共通化フレームおよび前記支持基材の間に介在して当該共通化フレームおよび支持基材に接合する複数のスペーサと、
前記マイクロ可動基板の前記共通化フレームおよび前記支持基材の間に介在して当該共通化フレームおよび支持基材に接合するスペーサ部、並びに、当該スペーサ部を覆って前記共通化フレームおよび前記支持基材に接合する接着剤部、を有する少なくとも一つの強固定部と、を備え、
前記強固定部は、二つの前記スペーサの間に位置する、マイクロ可動素子。
【請求項4】
各マイクロ可動ユニットにおいて、前記連結部は、前記可動部の回転変位の軸心を規定し、
前記複数のマイクロ可動ユニットにおける前記軸心が相互に平行となるように、前記複数のマイクロ可動ユニットは並列している、請求項3に記載のマイクロ可動素子。
【請求項5】
前記支持基材は配線基板であり、
前記スペーサおよび/または前記スペーサ部は、前記配線基板と前記マイクロ可動基板とを電気的に接続する、請求項1から4のいずれか一つに記載のマイクロ可動素子。
【請求項6】
マイクロミラー素子として構成された請求項1から5のいずれか一つに記載のマイクロ可動素子を備える、光スイッチング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【公開番号】特開2010−89209(P2010−89209A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−261653(P2008−261653)
【出願日】平成20年10月8日(2008.10.8)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】