説明

三ハロゲン化アルミニウムガスの製造方法

【課題】 アルミニウム系III族窒化物単結晶の製造用原料に有効に使用できる三ハロゲン化アルミニウムガスを製造する方法を提供する。
【解決手段】固体アルミニウムとハロゲン系ガスとを接触させて三ハロゲン化アルミニウムガスを製造する方法において、固体アルミニウムとハロゲン系ガスとの接触温度を183℃以上300℃未満とし、固体アルミニウムの全表面積(S;cm)と、ハロゲン系ガスと固体アルミニウムとの平均接触時間(t;秒)との積(S×t;cm・秒)が750cm・秒以上250000cm・秒以下となるようにハロゲン系ガスガスとアルミニウムとを接触させることを特徴とする三ハロゲン化アルミニウムガスの製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三ハロゲン化アルミニウムガスの新規な製造方法に関するものである。詳しくは、一ハロゲン化アルミニウムガスの含有量を低減し、アルミニウム系III族窒化物単結晶の製造用原料として好適な三ハロゲン化アルミニウムガスの製造方法に関するものである。なお、アルミニウム系III族窒化物単結晶とは、Alを含み、その他Ga、InなどのIII族元素と窒素原子とからなる単結晶であり、具体的には、AlN、AlGaN、AlInGaNの単結晶を指し、各元素の成分比は任意である。
【背景技術】
【0002】
三ハロゲン化アルミニウムガス(例えば、三塩化アルミニウム(AlCl)ガス、三臭化アルミニウム(AlBr)ガス)は、アルミナがドープされた光ファイバの原料、アルミニウムを含むIII族窒化物単結晶(アルミニウム系III族窒化物単結晶)の原料として広く使用されている。
【0003】
このような使用用途の中でも、アルミニウム系III族窒化物単結晶は、バンドギャップ(禁制帯幅)エネルギーが大きいため、紫外線領域の短波長発光が可能となり、白色光源用の紫外発光ダイオード、殺菌用の紫外発光ダイオード、高密度光ディスクメモリの読み書きに利用できるレーザー、通信用レーザーなどの発光光源として利用することが期待されている。そのため、これらの用途に使用できる高純度の三ハロゲン化アルミニウムガスが必要とされている。
【0004】
三ハロゲン化アルミニウムガスを使用してアルミニウム系III族窒化物単結晶を製造する方法としては、ハイドライド気相エピタキシー(HVPE:Hydride Vaper Phase Epitaxy)法が知られている。この方法は、例えば、AlClガスと窒素源ガス(例えば、アンモニアガス)とを反応させて、単結晶を製造する方法であり、厚膜の単結晶を成長させる方法に適している。
【0005】
このHVPE法に使用される三ハロゲン化アルミニウムガスは、以下のように製造されている。具体的には、アルミニウムとハロゲン化水素ガスとを700℃以下の温度で反応させる方法である(特許文献1参照)。この方法によれば、石英との反応性が高い一ハロゲン化アルミニウム(例えば、一塩化アルミニウム(AlCl)、一臭化アルミニウム(AlBr))ガスの発生を抑制できる。そのため、HVPE法装置の材質として多用される石英に悪影響を及ぼすことがない優れた方法である。この特許文献1には、上記方法で得られた三ハロゲン化アルミニウムガスを、冷却することなくそのまま700℃以上1300℃以下の温度に加熱された単結晶成長ゾーンへ流通させ、そこでアンモニアのような窒素源ガスと反応させて、アルミニウム系III族窒化物単結晶を製造することが記載されている。
【0006】
実際に、特許文献1には、300℃から700℃の温度でアルミニウムとハロゲン化水素ガスとを反応させて、三ハロゲン化アルミニウムガスを製造する方法が示されている。この温度範囲でアルミニウムとハロゲン化水素ガスとを反応させることにより、一ハロゲン化アルミニウムガス含有量の少ない三ハロゲン化アルミニウムガスを効率よく製造できる。この方法によれば、効率よく三ハロゲン化アルミニウムガスを製造することができるため、アルミニウム系III族窒化物単結晶の成長速度を高くすることができる。
【0007】
アルミニウム系III族窒化物単結晶は、その使用用途において、高い結晶品質を有することが望まれている。アルミニウム系III族窒化物結晶の結晶品質を高めるために、三ハロゲン化アルミニウムガスと窒素源ガスとを反応させる際の条件が数多く検討されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2には、三ハロゲン化アルミニウムガスと窒素源ガスとを1150℃以上、好ましくは1350℃以上の温度で反応させることにより、結晶品質のよいアルミニウム系III族窒化物単結晶が成長できることが示されている。
【0008】
しかしながら、上記方法において、より結晶品質を高くするためには、三ハロゲン化アルミニウムガスと窒素源ガスとをより高温で反応させなければならない。単に高温で反応させるだけでは、アルミニウム系III族窒化物単結晶の分解等を考慮しなければならず、さらに、耐熱性に優れた装置構造としなければならず、結晶品質を高めるのには限界があった。
【0009】
そこで、比較的低温で三ハロゲン化アルミニウムガスと窒素源ガスとを反応させて、高い結晶品質を有するアルミニウム系III族窒化物単結晶が製造できれば、生産効率を高めることができ、その製造範囲を広げることが可能となる。そのため、より高品質のアルミニウム系III族窒化物単結晶を製造するために、単結晶成長時の反応温度を高くする以外の方法を開発することが望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2003−303774号公報
【特許文献2】特開2008−19130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明者等は、より高い結晶品質を有するアルミニウム系III族窒化物単結晶を得るために、その原料となる三ハロゲン化アルミニウムガスの製造方法を検討した。窒素源ガスは、精製が容易であり高純度のものを反応に使用できる。その一方、三ハロゲン化アルミニウムガスは、純度の高いものを製造することが難しい。そのため、本発明者等は、三ハロゲン化アルミニウムの純度をより高くすることができれば、結晶品質のより高いアルミニウム系III族窒化物単結晶を製造できるのではないかと考えた。
【0012】
しかしながら、本発明者等の検討によれば、特許文献1に示された方法で得られる三ハロゲン化アルミニウムガスを原料に使用すると、どうしても単結晶成長時の温度を高くしなければ、結晶品質のより高いアルミニウム系III族窒化物単結晶を成長させることができず、改善の余地があることが分かった。
【0013】
したがって、本発明の目的は、高純度であって、より有用な三ハロゲン化アルミニウムガスを製造する方法を提供することにある。より具体的には、膜厚の調整が容易であって、結晶品質のよいアルミニウム系III族窒化物単結晶を成長させるために、好適に使用できる三ハロゲン化アルミニウムガスの製造方法を提供することにある。特に、アルミニウム系III族窒化物単結晶を比較的低温で成長させる際に、好適に使用できる三ハロゲン化アルミニウムガスの製造方法を提供することにある。
【0014】
また、本発明の目的は、該方法で得られた三ハロゲン化アルミニウムガスを原料として、より結晶品質の高いアルミニウム系III族窒化物単結晶を製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者等は、上記課題を解決するために、鋭意検討を行った。そして、特許文献1に記載された方法よりも低い温度でアルミニウムとハロゲン系ガスとを接触させ、さらに、特定の条件を満足するようにアルミニウムとハロゲン系ガスとを接触させることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0016】
すなわち、本発明は、
固体アルミニウムとハロゲン系ガスとを接触させて三ハロゲン化アルミニウムガスを製造する方法において、
固体アルミニウムとハロゲン系ガスとの接触温度を183℃以上300℃未満とし、
固体アルミニウムの全表面積(S;cm)と、ハロゲン系ガスと固体アルミニウムとの平均接触時間(t;秒)との積(S×t;cm・秒)が下記式(1)の条件を満足するようにハロゲン系ガスガスとアルミニウムとを接触させることを特徴とする三ハロゲン化アルミニウムガスの製造方法である。
750≦ S×t ≦250000 (1)。
【0017】
上記方法において、固体アルミニウムとハロゲン系ガスとの接触は、水素ガス、不活性ガス、またはこれらの混合ガスの流通下で実施することが好ましい。また、前記ハロゲン系ガスは、塩化水素ガスを使用することが好ましい。
【0018】
さらに、本発明は、前記方法で三ハロゲン化アルミニウムガスを製造した後、得られた三ハロゲン化アルミニウムガスの温度を固体アルミニウムとハロゲン系ガスとの接触温度以上に維持し、その三ハロゲン化アルミニウムガスと窒素源ガスとを単結晶ベース基板上で反応させて、該単結晶ベース基板上にアルミニウム系III族窒化物単結晶を成長させることを特徴とするアルミニウム系III族窒化物単結晶の製造方法である。本発明によれば、膜厚の調整が容易で、結晶品質のよいアルミニウム系III族窒化物単結晶を製造することができる。特に、比較的低温、具体的には600℃以上1150℃未満の温度で、得られた三ハロゲン化アルミニウムガスと窒素源ガスとを反応させても、結晶品質の高いアルミニウム系III族窒化物単結晶を成長することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の方法によれば、アルミニウム系III族窒化物単結晶の製造(成長)用原料として、好適に使用できる三ハロゲン化アルミニウムガスを製造することができる。該方法で得られた三ハロゲン化アルミニウムガスと窒素源ガスとを反応させることにより、結晶品質の高いアルミニウム系III族窒化物単結晶を成長させることができる。特に、該三ハロゲン化アルミニウムガスと窒素源ガスとを比較的低温で反応させたとしても、高い結晶品質のアルミニウム系III族窒化物単結晶が成長できるため、本発明は、工業的利用価値が高い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明を用いて三ハロゲン化アルミニウムガスを製造する装置の概略図である。
【図2】アルミニウムと塩化水素との反応で生じる平衡分圧と温度の関係のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、ハロゲン系ガスと固体アルミニウムとを接触させて三ハロゲン化アルミニウムガスを製造する方法において、ハロゲン系ガスと固体アルミニウムとが接触する際の温度(接触温度)を特別な範囲とし、両者を接触させる際の条件を限定することにより、優れた効果を発揮する三ハロゲン化アルミニウムガスを製造する方法である。
【0022】
本発明の方法において、三ハロゲン化アルミニウムガスを製造するための装置は、上記条件を満足する反応を実施できるような装置であれば、特に制限されるものではない。以下に、その装置の一例を、図1を用いて説明する。
【0023】
(装置)
図1に示す装置1は、例えば、石英製の結晶成長反応管3を有し、該結晶成長反応管3内部の上流側に石英製の三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2と、該発生反応管2内部の上流側にハロゲン系ガスを供給するためのハロゲン系ガス供給ノズル6と、該発生反応管2内で原料となる固体アルミニウムを配置する原料設置部4を有する。また該装置1は、該原料設置部4、すなわち原料の個体アルミニウムを183℃以上の温度(接触温度)に加熱するために第一外部加熱手段5を有する。そして、ハロゲン系ガス供給ノズル6からハロゲン系ガスを三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2内の原料設置部4へ供給し、固体アルミニウムとハロゲン系ガスとを接触させて、両者を反応させることにより、三ハロゲン化アルミニウムガスを製造させる。
【0024】
製造された三ハロゲン化アルミニウムガスは、三ハロゲン化アルミニウム供給ノズル8により結晶成長反応管3へ供給される。この間、三ハロゲン化アルミニウムガスは、接触温度以上の温度となるように、結晶成長反応管3の外部から第二外部加熱手段9で加熱されるようになっている。
【0025】
この結晶成長反応管3は、上流側に窒素源ガスを供給するための窒素源ガス供給ノズル7を備える。そして、結晶成長反応管3の下流側には、三ハロゲン化アルミニウム供給ノズル8より供給された三ハロゲン化アルミニウムガスと、窒素源ガス供給ノズル7より供給された窒素源ガスとを、その表面で反応させて、アルミニウム系III族窒化物単結晶を該表面で成長させる単結晶ベース基板10を配置する。
【0026】
この単結晶ベース基板10は、単結晶ベース基板10を加熱することができる加熱基板保持台11に保持されて配置されることが好ましい。反応後のガスは第一排出ノズル12より排出される。
【0027】
以上のような装置に限定されるわけではないが、該装置を使用することにより、三ハロゲン化アルミニウムガスの製造と、該三ハロゲン化アルミニウムガスを原料としたアルミニウム系III族窒化物単結晶の製造を連続して実施することができる。
【0028】
なお、図1で示した装置1は、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2と結晶成長反応管3が一体化された装置であるが、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2と結晶成長反応管3とを分離した装置であってもよい。この場合、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管と結晶成長反応管を輸送配管で接続し、該発生反応管から排出された三ハロゲン化アルミニウムガスを結晶成長反応管へ導入してやればよい。なお、輸送配管は、三ハロゲン化アルミニウムガスの温度を調整できるように、外部から加熱されるようにすることが好ましい。
【0029】
次に、図1を参照して、本発明を実施する際の条件を詳細に説明する。
【0030】
(三ハロゲン化アルミニウムガスの製造)
本発明は、固体アルミニウムとハロゲン系ガスとを特定の条件で接触させて、三ハロゲン化アルミニウムガスを製造する方法である。
【0031】
本発明で使用するハロゲン系ガスは、例えば、図1に記載された装置を使用した場合、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の上流側のハロゲン系ガス供給ノズル6から供給する。このハロゲン系ガスは、アルミニウムと反応して三ハロゲン化アルミニウムガスを製造するものが使用される。具体的には、塩素ガス、臭素ガス、塩化水素ガス、臭化水素ガスが挙げられる。中でも、得られる三ハロゲン化アルミニウムガスの使用範囲の拡大、装置の耐久性、汎用性と経済性を考慮すると、塩化水素ガスを使用することが好ましい。なお、当然のことであるが、塩化水素ガスを使用した場合には、得られる三ハロゲン化アルミニウムガスは、三塩化アルミニウム(AlCl)ガスとなる。
【0032】
このハロゲン系ガスは、それ単独でも供給することができるが、アルミニウムとハロゲン系ガスとの反応で生成した三ハロゲン化アルミニウムガスを速やかに三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の外部に輸送するためには、水素ガス、または不活性ガスをキャリアガスに使用することが好ましい。キャリアガスを流通させる方法は、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2に別途供給ノズルを設けて、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2内に流通させることもできる。ただし、装置を簡略化し、後工程の結晶成長を容易とするには、キャリアガスに希釈したハロゲン系ガスをハロゲン系ガス供給ノズル6から供給することが好ましい。不活性ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガスが挙げられる。これらキャリアガスは、1種類のガスを使用することもできるし、2種類以上のガスを使用することもできる。中でも、製造した三ハロゲン化アルミニウムガスをアルミニウム系III族窒化物単結晶の原料として使用する場合には、該単結晶の製造に悪影響を与えないという点で、水素ガスを使用することが好ましい。
【0033】
ハロゲン系ガスをキャリアガスで希釈して固体アルミニウムと接触させる場合には、ハロゲン系ガスはキャリアガスに対し、標準状態(0℃、1気圧)における体積比にして、0.005%〜5%となる範囲で混合したものを使用することが好ましい。この体積比とすることにより、特に、製造した三ハロゲン化アルミニウムガスをそのままアルミニウム系III族窒化物単結晶の成長用原料として効率よく使用できる。
【0034】
また、固体アルミニウムに対するハロゲン系ガスの供給量は、平均接触時間と固体アルミニウムの全表面積との積の値が下記に詳述する条件を満足する量であれば、特に制限されるものではないが、固体アルミニウム1gに対して、通常、0.025〜25sccm/gである。キャリアガスで希釈されたハロゲン系ガスを使用する場合には、ハロゲン系ガスが上記範囲を満足すればよい。
【0035】
前記ハロゲン系ガスと接触させる固体アルミニウムは、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の原料設置部4に配置される。この原料設置部4に配置された固体アルミニウムが、上流から供給されるハロゲン系ガスと接触することにより、三ハロゲン化アルミニウムガスを含む混合ガスを製造することができる。
【0036】
本発明において、原料となる固体アルミニウムは、純度が99.9%以上の固体を使用することが好ましい。得られる三ハロゲン化アルミニウムガスをアルミニウム系III族窒化物単結晶の原料に使用する場合には、より純度の高い99.99%以上の固体を使用することが好ましい。当然のことながら、最も好ましいアルミニウムの純度は100%である。
【0037】
固体のアルミニウムの大きさは、特に制限されるものではないが、実際に使用する装置において、ハロゲン系ガスとの接触効率、該ハロゲン系ガスの流通、および装置の圧力損失等を考慮すると、直径0.1mm以上50mm以下であって長さ0.1mm以上50mm以下の円柱状のもの、あるいは、これに類似の柱状のものが好適に使用できる。
【0038】
なお、下記に詳述するが、使用した固体アルミニウムの大きさ(容積)と量(重量)、及び固体アルミニウムを配置した部分(充填した部分)の容積が分かれば、原料設置部4における固体アルミニウムの充填率が分かり、それからハロゲン系ガスと固体アルミニウムとの平均接触時間を算出することができる。また、当然のことながら、固体アルミニウムの大きさがわかれば、固体アルミニウムの全表面積を求めることができる。
【0039】
本発明においては、183℃以上300℃未満の温度でハロゲン系ガスとアルミニウムとを接触させる。固体アルミニウムを上記温度範囲に設定し、ハロゲン系ガスと接触させればよい。例えば、図1の装置を使用した場合には、原料設置部4に固体アルミニウムを配置し、第一外部加熱手段5により固体アルミニウムの温度を上記範囲とし、その固体アルミニウムとハロゲン系ガスを接触させればよい。
【0040】
固体アルミニウムとハロゲン系ガスとの反応で生じる平衡分圧と温度の関係の代表例として、アルミニウムと塩化水素ガスとの反応で生じる関係図を図2に示した。
【0041】
これによると、183℃以上300℃未満の温度範囲では、一塩化アルミニウムガスの生成を極めて抑制できる。そのため、本発明の方法で得られた三ハロゲン化アルミニウムガスは、アルミニウム系III族窒化物単結晶の製造用原料として好適に使用できるものと考える。
【0042】
図2には、三塩化アルミニウムの二量体((AlCl)ガスが生成することが示されている。この二量体ガスは、アルミニウム系III族窒化物単結晶の成長においては、単量体(AlCl)ガスと同様に反応することが本発明者等の検討で分かった。そのため、本発明における三ハロゲン化アルミニウムガスは、単量体ガスと二量体ガスを含めたガスを指すものとする。
【0043】
本発明おいて、接触温度は183℃以上300℃未満でなければならない。183℃未満であると、ハロゲン化アルミニウムが析出するため好ましくない。例えば、塩化アルミニウムは、昇華温度が約182℃であるため、接触温度を183℃未満とすると、三ハロゲン化アルミニウムガスを効率よく得ることができない。一方、接触温度が300℃以上となると、得られる三ハロゲン化アルミニウムガスは、アルミニウム系III族窒化物単結晶の結晶品質を高める効果が低減する。この理由は明らかではないが、一ハロゲン化アルミニウムガスが、三ハロゲン化アルミニウムガス中に混入されるのが原因であると考えられる。そのため、接触温度は、183℃以上280℃以下とすることが好ましく、さらには、190℃以上280℃以下とすることが好ましい。
【0044】
本発明においては、接触温度が上記範囲を満足し、かつ、固体アルミニウムの全表面積と、固体アルミニウムとハロゲン系ガスとの平均接触時間との積が下記に詳述する範囲を満足しなければならない。
【0045】
なお、固体アルミニウムの全表面積とは、使用した固体アルミニウムの合計表面積である。複数個の固体アルミニウムを原料に使用した場合には、各固体アルミニウムの表面積を求め、これら表面積の和が固体アルミニウムの全表面積に該当する。この全表面積(S)の単位は、cmである。
【0046】
また、本発明において、固体アルミニウムとハロゲン系ガスとの平均接触時間は、以下の式(2)により求めた値を指す。
【0047】
【数1】

【0048】
上記式(2)において、変数は、以下の数値を指す。
t(秒):平均接触時間。
v(L):原料設置部4の容積。
X(%):原料設置部4に充填された固体アルミニウムの充填率(体積)。
v×(100−X)/100(L):原料設置部4に配置された固体アルミニウムの実容積。
(sccm):標準状態(0℃、1atm)に換算した、1分間にハロゲン系ガス供給ノズル6より供給される総ガス量(キャリアガスを使用する場合には、キャリアガスとハロゲン系ガスとの混合ガスの供給量(合計供給量))。
P(Torr):原料設置部4の圧力。
T(℃):原料設置部4の温度(接触温度)。
【0049】
以上の数式により、固体アルミニウムとハロゲン系ガスとの平均接触時間t(秒:sec)を求めることができる。
【0050】
本発明の方法においては、固体アルミニウムの全表面積(S;cm)と上記式(2)で求められる平均接触時間(t;秒)との積が750cm・秒以上250000cm・秒以下としなければならない。つまり、下記式(1)の条件を満足しなければならない。
750≦ S×t ≦250000 (1)
本発明の方法においては、接触温度が183℃以上300℃未満であって、固体アルミニウムの全表面積と平均接触時間との積(S×t)が上記式(1)を満足することにより、優れた効果を発揮する。
【0051】
183℃以上300℃未満の接触温度であって、上記式(1)を満足するように固体アルミニウムとハロゲン系ガスとを接触させることにより、供給したハロゲン系ガスを効率よく三ハロゲン化アルミニウムガスに変換できるものと考えられる。つまり、上記接触温度範囲で、上記式(1)を満足するように接触させることにより、供給したハロゲン系ガスをハロゲン化アルミニウムに変換する割合(変換率)を高くすることができ、さらに、変換されたハロゲン化アルミニウムにおける三ハロゲン化アルミニウムガスの生成割合(生成率)を高くできると考えられる。純度の高い三ハロゲン化アルミニウムガスを効率よく得るためには、変換率、生成率を高くすることが重要となる。変換率は、供給したハロゲン系ガスの量に対する割合であり、生成率は、変換されたハロゲン化アルミニウム量に対する三ハロゲン化アルミニウムの割合である。そのため、ハロゲン系ガスの濃度(ハロゲン系ガスとキャリアガスの混合比)には影響を受けない。本発明においても、変換率、生成率が重要であり、上記接触温度範囲、上記式(1)を満足することにより、高い変換率、生成率を達成できると考えられ、供給したハロゲン系ガスの濃度には影響を受けない。例えば、得られた三ハロゲン化アルミニウムガスをそのまま(連続して)アルミニウム系III族窒化物単結晶の成長用原料として使用する場合には、キャリアガスで希釈したハロゲン系ガスを供給することが好ましいが、この場合も、接触温度範囲が上記範囲を満足し、かつ、上記式(1)を満足すれば、ハロゲン系ガスの濃度は特に限定されるものではない。特に、ハロゲン系ガスの好適な濃度である0.005〜5%(標準状態、0℃、1気圧、キャリアガス中に含まれるハロゲン系ガスの体積割合)の範囲を満足する混合ガスであっても、高い変換率、生成率になるものと考えられる。このことは、製造した三ハロゲン化アルミニウムガスを単結晶用の成長原料に使用した場合の結果からも裏付けられている。なお、本発明によれば、前記混合ガスであれば、未反応のハロゲン系ガスを測定して求めた変換率を80%以上とすることができる。また、この場合、平衡分圧(例えば、図2参照)の関係から変換率と生成率は、ほぼ等しいものと判断できる。
【0052】
上記S×tの値が750cm・秒未満である場合には、固体アルミニウムとハロゲン系ガスが十分に反応しないものと考えられ、未反応のハロゲン系ガスが多く排出されるため好ましくない。一方、上記積の値が250000cm・秒を超える場合には、生成した三ハロゲン化アルミニウムガスを反応部(原料設置部4)から取り出すまでの時間が長くなり過ぎるため、反応性の高い三ハロゲン化アルミニウムガスが不均化反応等によって他の成分に変換したり、分解する確率が高くなるため好ましくない。反応効率、製造コスト、工程の簡略化を考慮すると、上記積(S×t)の値は、750cm・秒以上245000cm・秒以下となることが好ましい。中でも、三ハロゲン化アルミニウムガスの製造と、該三ハロゲン化アルミニウムガスを原料したアルミニウム系III族窒化物単結晶の成長を連続して行う場合、安定して結晶品質の高いアルミニウム系III族窒化物単結晶を得るためには、上記積(S×t)の値は、800cm・秒以上245000cm・秒以下とすることがより好ましく、さらに、830cm・秒以上240000cm・秒以下とすることが特に好ましい。
【0053】
本発明において、積(S×t)の値が上記式(1)を満足するためには、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の大きさ、原料設置部4における固体アルミニウムの充填率、供給するハロゲン系ガス、キャリアガスの供給量、該三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2内の圧力等を調整すればよい。より簡単に調整する方法としては、三ハロゲン化アルミニウム発生管2の長さや直径を調整すればよい。一般的な装置を考慮すると、該発生管2は、例えば、内径の直径が8〜100mm、長さが3〜1000mmの範囲になるように調整することが好ましい。該三ハロゲン化アルミニウム発生管2の形状は、特に制限されるものではないが、製造の容易性、耐久性の観点から円筒状であることが好ましい。
【0054】
固体アルミニウムの充填率は、その他の条件に応じて適宜決定すればよいが、通常、20%以上70%以下とすることが好ましい。この範囲の充填率であれば、効率よくアルミニウムとハロゲン系ガスが接触し、装置に過度の負荷を与えることなく、三ハロゲン化アルミニウムガスを製造することができる。
【0055】
供給するハロゲン系ガス、キャリアガスの供給量は、上記装置の概要、固体アルミニウムの充填率であれば、総ガス量が100sccm以上5000sccm以下の範囲で調整することが好ましい。ハロゲン系ガスはキャリアガスに対し、体積比にして、0.005%〜5%となる範囲とすることが好ましい。特に、三ハロゲン化アルミニウムガスの製造とアルミニウム系III族窒化物単結晶との成長を連続して行う場合には、この条件に調整し、平均接触時間と全表面積との積が上記範囲を満足させることが好ましい。
【0056】
本発明の方法で得られる三ハロゲン化アルミニウムガスは、上記接触温度範囲、および上記式(1)を満足する条件で製造されているため、一ハロゲン化アルミニウムガスの含有量が極めて少ないと考えられる。その結果、優れた結晶品質のアルミニウム系III族窒化物単結晶を成長できるものと考えられる。特に、この三ハロゲン化アルミニウムガスは、アルミニウム系III族窒化物単結晶の中でも、窒化アルミニウム(AlN)単結晶の原料として好適に使用できる。
【0057】
次に、本発明の方法により得られた三ハロゲン化アルミニウムガスを、アルミニウム系III族窒化物単結晶の原料に使用する方法について説明する。
【0058】
(アルミニウム系III族窒化物結晶の製造方法)
図1において、三ハロゲン化アルミニウムガスは、三ハロゲン化アルミニウムガス供給ノズル8より取り出すことができる。キャリアガスを使用する場合には、上流からキャリアガスを流通させることにより、三ハロゲン化アルミニウムガス供給ノズル8より三ハロゲン化アルミニウムガスを取り出すことができる。この三ハロゲン化アルミニウムガスは、接触温度以上の温度で輸送(流通)させることが好ましい。本発明においては、反応温度を183℃以上300℃未満と比較的低温で実施しているため、三ハロゲン化アルミニウムガスの流通時の温度を容易に調整できる。この流通時の温度は、接触温度以上の温度とすることにより、仮に、三ハロゲン化アルミニウムガス中に一ハロゲン化アルミニウムガスが含まれていたとしても、不均化反応により一ハロゲン化アルミニウムガスが固体のアルミニウムへ変化することがない。そのため、アルミニウム系III族窒化物単結晶の製造に有利になるものと考えられる。そのため、上記方法で得られた三ハロゲン化アルミニウムガスを連続して、アルミニウム系III族窒化物単結晶の成長に使用する場合には、接触させた以降の温度を、接触温度以上とすることが好ましく、より好ましくは10℃以上高い温度、さらに好ましくは50℃以上高い温度とする。三ハロゲン化アルミニウムガスを流通させる際の絶対的な温度としては、183℃以上500℃以下とすることが好ましく、さらに、200℃以上500℃以下とすることが好ましい。
【0059】
このように三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2で製造された三ハロゲン化アルミニウムガスは、三ハロゲン化アルミニウムガス供給ノズル8を経て、そのまま、結晶成長反応管3の下流側へ供給される。この三ハロゲン化アルミニウムガスは、単結晶ベース基板10上で下記に詳述する窒素源ガスと反応し、アルミニウム系III族窒化物単結晶を単結晶ベース基板10上に成長させる。なお、三ハロゲン化アルミニウムガスが、単結晶ベース基板10上に到達するまでの温度(内部雰囲気温度)は、前記の流通時の温度と同じであり、接触温度以上とすることが好ましい。より好ましくは接触温度よりも10℃以上高い温度、さらに好ましくは50℃以上高い温度とする。
【0060】
本発明において、窒素源ガスは、アンモニアが挙げられる。この窒素源ガスは、窒素源ガス供給ノズル7から結晶成長反応管3内へ供給される。窒素源ガスの供給量は、三ハロゲン化アルミニウムガスとの供給量に応じて適宜決定すればよいが、窒素源ガスと三ハロゲン化アルミニウムガスのモル分率の比(窒素源ガス:三ハロゲン化アルミニウムガス)が、0.5:1〜32:1となるように供給することが好ましい。
【0061】
また、窒素源ガスを供給するには、ハロゲン系ガスを供給する際に使用したものと同じキャリアガスを使用することができる。このキャリアガスの使用量は、100〜5000sccmであることが好ましい。これら窒素源ガスは、所望とする結晶状態に応じて、その供給量を変えることもできるし、結晶成長時には、一定量を供給することもできる。
【0062】
本発明において、上記三ハロゲン化アルミニウムガスと窒素源ガスとを反応させる単結晶ベース基板10は、アルミニウム系III族窒窒化物物単結晶を成長できる公知の基板であればよい。具体的には、単結晶サファイア基板、単結晶炭化ケイ素基板、単結晶ケイ素基板、単結晶窒化アルミニウム基板が挙げられる。
【0063】
また、アルミニウム系窒化物単結晶を成長させる際、内部雰囲気温度は前述の通りであるが、この単結晶ベース基板10の温度は、加熱基板保持台11を加熱して、600℃以上1150℃未満とすることが好ましい。単結晶ベース基板10の温度が上記範囲を満足することにより、高品質のアルミニウム系III族窒化物単結晶を成長できる。上記温度範囲を満足する単結晶ベース基板10上で三ハロゲン化アルミニウムガスと窒素源ガスとを反応させることにより、該ベース基板上に、アルミニウム系III族窒化物単結晶を成長させることができる。
【0064】
本発明においては、純度の高い三ハロゲン化アルミニウムガスを製造できることに起因していると考えられるが、成長温度(単結晶ベース基板10の温度)が比較的低くても、結晶品質のよいアルミニウム系III族窒化物単結晶を製造できる。特に、比較的低い成長温度、具体的には、600℃以上1150℃未満の温度において、その効果が顕著に発揮される。600℃以上1150℃未満の温度で結晶品質のよいアルミニウム系III族窒化物単結晶を得られる利点として、以下のことが挙げられる。通常、単結晶ベース基板10上に緩衝層を成長させた後、その緩衝層上に、本格的な単結晶の成長を行う。この緩衝層は、その後の単結晶成長時に蓄積される応力を緩和するものであり、600℃以上1150℃未満の温度で単結晶ベース基板上にアルミニウム系III族窒化物単結晶を成長させたものである。この緩衝層は、通常、5nm以上1μm以下の厚みであるが、その後の単結晶成長に大きな影響を与える。単結晶成長時の応力を緩和し、その後に得られる単結晶層の結晶品質を良好なものとするためには、この緩衝層には、膜厚が均一で、高い品質の結晶が求められる。そのため、600℃以上1150℃未満の比較的低温で結晶品質のよい単結晶(緩衝層)を成長させることができれば、単結晶成長に非常に有利となる。この緩衝層上に成長させる単結晶層の成長温度は、特に制限されるものではないが、1150℃以上1800℃以下の範囲で実施できる。
【0065】
このような条件で三ハロゲン化アルミニウムガスと窒素源ガスとを単結晶ベース基板10上で反応させることにより、結晶品質のよいアルミニウム系III族窒化物単結晶を単結晶ベース基板10上に成長できる。
【0066】
本発明の方法においては、ハロゲン系ガスが塩化水素ガスであり、三ハロゲン化アルミニウムガスが三塩化アルミニウムガスであり、成長するアルミニウム系III族窒化物単結晶が窒化アルミニウム単結晶である場合に、特に優れた効果を発揮する。
【0067】
緩衝層の結晶品質は、緩衝層のロッキングカーブ測定により評価できる。緩衝層上に成長させる単結晶層は、緩衝層の結晶品質に影響される。そのため、該単結晶層のロッキングカーブを測定することでも、緩衝層の結晶品質を確認できる。なお、該単結晶層のロッキングカーブを測定して他のサンプルとの比較をする場合には、緩衝層上の単結晶層の成長条件は、比較するサンプル同士で同じ条件とすればよい。
【0068】
上記の通り、緩衝層、または単結晶層の結晶品質は、成長したアルミニウム系III族窒化物単結晶のX線ロッキングカーブ測定における半値幅で評価できる。測定すべき面は特に限定されるものではないが、c軸配向した結晶の場合、(002)面のX線ロッキングカーブ測定を行うことにより、結晶軸の単一性を評価でき、半値幅が小さいほど良好な結晶といえる。
【実施例】
【0069】
以下に、本発明の具体的な実施例、比較例について図を参照しながら説明するが、本発明はそれらの実施例に限定されるものではない。三ハロゲン化アルミニウムガスを製造し、連続してアルミニウム系III族窒化物単結晶を成長させた実施例、比較例について説明する。
【0070】
実施例1
図1に示すような結晶成長反応管3の内部上流側に三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2を有し、結晶成長反応管3の外部上流側に第一外部加熱手段5を有する装置を使用して三ハロゲン化アルミニウムガスを発生させ、さらに、発生した該三ハロゲン化アルミニウムガスを三ハロゲン化アルミニウム供給ノズル8から結晶成長反応管3内部の下流側へ導入し、加熱基板保持台11を加熱した。結晶成長反応管3内部の下流側に供給された三ハロゲン化アルミニウムガスが、ハロゲン化水素と個体アルミニウムの反応温度以上の温度となるように、結晶成長反応管3下流の外部から第二外部加熱手段9により加熱した。1050℃に加熱した単結晶ベース基板10(サファイア基板)上で窒素源ガス供給ノズル7より供給される窒素源ガス(アンモニアガス)と混合することにより、第一段目の窒化アルミニウム単結晶(緩衝層)の成長として窒化アルミニウム単結晶を200nm成長した。次いで、加熱基板保持台11を加熱して単結晶ベース基板10(サファイア基板)を1500℃とし、同様のガスを用いて、第二段目の窒化アルミニウム単結晶の成長(高温での単結晶成長)として窒化アルミニウム単結晶を2.5μm成長した例について説明する。
【0071】
(三ハロゲン化アルミニウムガスの製造準備、及び緩衝層成長の準備)
結晶成長反応管3内部の上流側に、内径が40mm、長さ500mmの石英ガラス製の三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2を有する装置1を使用した。この中の原料設置部4に純度が99.9999%であり、直径5mmで長さ6mmの円柱状の固体アルミニウムを充填した(固体アルミニウムの充填率を56%とした。)。原料設置部4の固体アルミニウムの温度(接触温度)が280℃となるように、第一外部加熱手段5により該反応管2の内部を加熱した。また、発生した三ハロゲン化アルミニウムの温度を発生温度以上に保つため、三ハロゲン化アルミニウム供給ノズル8の下流側1mmの位置の温度が550℃に保たれるように第二外部加熱手段9によって、結晶成長反応管3外部の下流側を加熱した。本実施例では、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の下流側に三ハロゲン化アルミニウム供給ノズル8を設け、結晶成長反応管3内部の下流側に三塩化アルミニウムガスを排出した。
【0072】
結晶成長反応管3の加熱基板保持台11上に単結晶ベース基板10として秤量した2インチのサファイア基板を設置しておき、圧力を500Torrとした。これにより三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の圧力も500Torrとした。結晶成長反応管3および三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の圧力を500Torr保持したまま、キャリアガスとして窒素ガス1000sccmを流通(ハロゲン系ガス供給ノズル6と窒素源ガス供給ノズル7からそれぞれ500sccmずつ流通)させ、第三外部加熱手段12によって結晶成長反応管3内部を500℃に加熱した。また、誘導加熱によって加熱基板保持台14を加熱することで、サファイア基板(単結晶ベース基板10)を30分間で室温から1050℃に加熱した。
【0073】
(第一段目用の三ハロゲン化アルミニウムガスの製造、および緩衝層の成長)
サファイア基板の温度が1050℃に達したところで、原料設置部4の固体アルミニウムの温度(接触温度)を280℃としたまま、結晶成長反応管3および三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の圧力を500Torrに保持したまま、キャリアガスの流量を変えずにガス種を水素に変更した。10分後、結晶成長反応管3および三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の圧力を500Torrに保持したまま、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の上流部に接続したハロゲン系ガス供給ノズル6から、水素ガスを494sccm、塩化水素ガスを6sccm混合して供給した(塩化水素ガスの濃度は1.2体積%であった)。同時に、水素ガス498sccm、アンモニアガス2sccmを窒素源ガス供給ノズル7より供給し、第一段目の窒化アルミニウム単結晶(緩衝層)の成長を開始した。1分間の成長を実施した。
【0074】
上記の三塩化アルミニウムガスの製造条件においては、固体アルミニウムの全表面積(S)は、4691cmであり、固体アルミニウムと塩化水素ガスとの平均接触時間(t)は、10.8秒であった。そして、これらの積(S×t)は、50549cm・秒であった。
【0075】
(単結晶ベース基板の加熱)
1分後、塩化水素ガスの供給を停止し、水素ガス、およびアンモニアのみを供給したまま3分待ってから、アンモニアを流通させたまま、かつ、原料設置部4の固体アルミニウムの温度(接触温度)を280℃としたまま、サファイア基板を加熱した。サファイア基板を15分間で1050℃から1500℃に加熱した。
【0076】
(第二段目用の三ハロゲン化アルミニウムガスの製造、及び高温での単結晶層成長)
次に、結晶成長反応管3および三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の圧力を500Torrに保持し、原料設置部4の固体アルミニウムの温度(接触温度)を280℃としたまま、かつ、ハロゲン系ガス供給ノズル6から、水素ガスを494sccmで流通させたまま、塩化水素ガスを6sccm混合して供給した。
【0077】
この間、窒素源ガス供給ノズル7から水素ガス498sccm、アンモニアガス2sccmを供給した(第二段目の窒化アルミニウム単結晶を成長させた)。結晶成長反応管3の内部温度(500℃)、圧力(500Torr)は、緩衝層の準備と同じ条件とした。
【0078】
塩化水素ガスを上記条件で10分間供給し、さらに、塩化水素ガスの供給のみを停止して3分間待ってから、キャリアガス種を水素から窒素へ変更した。得られた基板の冷却を25℃/分で開始し、温度が800℃に達したところでアンモニアの供給を停止した後、室温まで冷却した。
【0079】
表面に窒化アルミニウムが成長したサファイア基板を取り出して質量を測定し、成長前後の重量変化と以下の予備実験の結果から、緩衝層の成長速度を求めた結果、24.2μm/hであった。
【0080】
なお、緩衝層のみの成長前後の重量変化を算出するため、予め以下の予備実験を行った。具体的には、上記の(三ハロゲン化アルミニウムガスの製造準備、及び緩衝層成長の準備)工程から(第二段目用の三ハロゲン化アルミニウムガスの製造、及び高温での単結晶層成長)工程までの方法において、緩衝層の成長時間を0秒とした予備実験を行った。基板を冷却し、取り出した基板の実験前後の重量変化から高温での単結晶層成長による重量変化を求めた。
【0081】
この値を、上記緩衝層および高温での単結晶層を成長した基板の重量変化から差し引くことで、緩衝層のみの重量変化を求め、緩衝層の膜厚を算出した。
【0082】
透過型電子顕微鏡で該基板の断面を観察し、膜厚分布を評価したところ、窒化アルミニウムの膜厚の差は5%以下であった。また、窒化アルミニウム単結晶の(002)面に関するロッキングカーブ測定を行ったところ、584arcsecであった。測定は、Cuをターゲットに電子ビームを照射して発生させたX線をゲルマニウム二結晶にて単色化した光源を用いた。
【0083】
第一段目(緩衝層)用の三塩化アルミニウムガスの製造条件と、最終的に得られた窒化アルミニウム積層体の物性を表1にまとめた。
【0084】
実施例2
(三ハロゲン化アルミニウムガスの製造準備、及び緩衝層成長の準備)工程、および(第一段目用の三ハロゲン化アルミニウムガスの製造、および緩衝層の成長)工程の間、第一外部加熱手段5によって、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の内部、すなわち固体アルミニウムの温度を250℃とした以外は、実施例1と同様にて行った。
【0085】
(第一段目用の三ハロゲン化アルミニウムガスの製造、および緩衝層の成長)工程での三塩化アルミニウムガスの製造条件においては、固体アルミニウムの全表面積(S)は、4691cmであり、固体アルミニウムと塩化水素ガスとの平均接触時間(t)は、11.4秒であった。そして、これらの積(S×t)は、53449cm・秒であった。
【0086】
表面に窒化アルミニウムが成長したサファイア基板を取り出して質量を測定し、成長前後の重量変化と実施例1に記載の予備実験の結果から、成長速度を求めると、24.1μm/hであった。透過型電子顕微鏡で該基板の断面を観察し、膜厚分布を評価したところ、窒化アルミニウムの膜厚の差は5%以下であった。また、窒化アルミニウム単結晶の(002)面に関するロッキングカーブ測定を行ったところ、588arcsecであった。これらの結果を表1に示す。
【0087】
実施例3
(三ハロゲン化アルミニウムガスの製造準備、及び緩衝層成長の準備)工程、および(第一段目用の三ハロゲン化アルミニウムガスの製造、および緩衝層の成長)工程の間、第一外部加熱手段5によって、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の内部、すなわち固体アルミニウムの温度を200℃とした以外は、実施例1と同様に行った。
【0088】
(第一段目用の三ハロゲン化アルミニウムガスの製造、および緩衝層の成長)工程での三塩化アルミニウムガスの製造条件においては、固体アルミニウムの全表面積(S)は、4691cmであり、固体アルミニウムと塩化水素ガスとの平均接触時間(t)は、12.6秒であった。そして、これらの積(S×t)は、59099cm・秒であった。
【0089】
表面に窒化アルミニウムが成長したサファイア基板を取り出して質量を測定し、成長前後の重量変化と実施例1に記載の予備実験の結果から、成長速度を求めると、24.1μm/hであった。透過型電子顕微鏡で該基板の断面を観察し、膜厚分布を評価したところ、窒化アルミニウムの膜厚の差は5%以下であった。また、窒化アルミニウム単結晶の(002)面に関するロッキングカーブ測定を行ったところ、583arcsecであった。これらの結果を表1に示す。
【0090】
実施例4
(三ハロゲン化アルミニウムガスの製造準備、及び緩衝層成長の準備)
第一外部加熱手段5によって、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の内部、すなわち固体アルミニウムの温度を200℃とし、系内の圧力を760Torrとした以外は、実施例1と同様に行った。
【0091】
(第一段目用の三ハロゲン化アルミニウムガスの製造、および緩衝層の成長)
第一外部加熱手段5によって、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の内部、すなわち固体アルミニウムの温度を200℃とし、系内の圧力を760Torrとした以外は、実施例1と同様に行った。
【0092】
上記の三塩化アルミニウムガスの製造条件においては、固体アルミニウムの全表面積(S)は、4691cmであり、固体アルミニウムと塩化水素ガスとの平均接触時間(t)は、19.1秒であった。そして、これらの積(S×t)は、89830cm・秒であった。
【0093】
(単結晶ベース基板の加熱)
1分後、塩化水素ガスの供給を停止し、水素ガス、およびアンモニアのみを供給したまま3分待ってから、アンモニアを流通させたまま、第一外部加熱手段5によって、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の内部、すなわち固体アルミニウムの温度を280℃とし、他の条件は変えずに系内の圧力を500Torrに調整してから、サファイア基板を15分間で1050℃から1500℃に加熱した。
【0094】
(第二段目用の三ハロゲン化アルミニウムガスの製造、及び高温での単結晶層成長)
実施例1と同様に行った。
【0095】
表面に窒化アルミニウムが成長したサファイア基板を取り出して質量を測定し、成長前後の重量変化と実施例1に記載の予備実験の結果から、成長速度を求めると、24.1μm/hであった。透過型電子顕微鏡で該基板の断面を観察し、膜厚分布を評価したところ、窒化アルミニウムの膜厚の差は5%以下であった。また、窒化アルミニウム単結晶の(002)面に関するロッキングカーブ測定を行ったところ、580arcsecであった。これらの結果を表1に示す。
【0096】
実施例5
(三ハロゲン化アルミニウムガスの製造準備、及び緩衝層成長の準備)
第一外部加熱手段5によって、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の内部、すなわち固体アルミニウムの温度を200℃とし、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の長さを750mmとし、系内の圧力を760Torrとした以外は、実施例1と同様に行った。
【0097】
(第一段目用の三ハロゲン化アルミニウムガスの製造、および緩衝層の成長)
第一外部加熱手段5によって、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の内部、すなわち固体アルミニウムの温度を200℃とし、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の長さを750mmとし、系内の圧力を760Torrとした以外は、実施例1と同様に行った。
【0098】
上記の三塩化アルミニウムガスの製造条件においては、固体アルミニウムの全表面積(S)は、7037cmであり、固体アルミニウムと塩化水素ガスとの平均接触時間(t)は、28.7秒であった。そして、これらの積(S×t)は、202188cm・秒であった。
【0099】
(単結晶ベース基板の加熱)
三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の長さを750mmのものを使用した。1分後、塩化水素ガスの供給を停止し、水素ガス、およびアンモニアのみを供給したまま3分待ってから、アンモニアを流通させたまま、第一外部加熱手段5によって、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の内部、すなわち固体アルミニウムの温度を280℃とし、他の条件は変えずに系内の圧力を500Torrに調整してから、サファイア基板を15分間で1050℃から1500℃に加熱した。
【0100】
(第二段目用の三ハロゲン化アルミニウムガスの製造、及び高温での単結晶層成長)
三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の長さを750mmとした以外は、実施例1と同様に行った。
【0101】
表面に窒化アルミニウムが成長したサファイア基板を取り出して質量を測定し、成長前後の重量変化と実施例1に記載の予備実験の結果から、成長速度を求めると、24.2μm/hであった。透過型電子顕微鏡で該基板の断面を観察し、膜厚分布を評価したところ、窒化アルミニウムの膜厚の差は5%以下であった。また、窒化アルミニウム単結晶の(002)面に関するロッキングカーブ測定を行ったところ、584arcsecであった。これらの結果を表1に示す。
【0102】
実施例6
(三ハロゲン化アルミニウムガスの製造準備、及び緩衝層成長の準備)
第一外部加熱手段5によって、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の内部、すなわち固体アルミニウムの温度を200℃とし、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の長さを230mmとし、系内の圧力を200Torrとした以外は、実施例1と同様に行った。
【0103】
(第一段目用の三ハロゲン化アルミニウムガスの製造、および緩衝層の成長)
第一外部加熱手段5によって、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の内部、すなわち固体アルミニウムの温度を200℃とし、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の長さを230mmとし、系内の圧力を200Torrとした以外は、実施例1と同様に行った。
【0104】
上記の三塩化アルミニウムガスの製造条件においては、固体アルミニウムの全表面積(S)は、2158cmであり、固体アルミニウムと塩化水素ガスとの平均接触時間(t)は、2.3秒であった。そして、これらの積(S×t)は、5002cm・秒であった。
【0105】
(単結晶ベース基板の加熱)
三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の長さを230mmのものを使用した。1分後、塩化水素ガスの供給を停止し、水素ガス、およびアンモニアのみを供給したまま3分待ってから、アンモニアを流通させたまま、第一外部加熱手段5によって、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の内部、すなわち固体アルミニウムの温度を280℃とし、他の条件は変えずに系内の圧力を500Torrに調整してから、サファイア基板を15分間で1050℃から1500℃に加熱した。
【0106】
(第二段目用の三ハロゲン化アルミニウムガスの製造、及び高温での単結晶層成長)
三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の長さを230mmとした以外は、実施例1と同様に行った。
【0107】
表面に窒化アルミニウムが成長したサファイア基板を取り出して質量を測定し、成長前後の重量変化と実施例1に記載の予備実験の結果から、成長速度を求めると、24.0μm/hであった。透過型電子顕微鏡で該基板の断面を観察し、膜厚分布を評価したところ、窒化アルミニウムの膜厚の差は5%以下であった。また、窒化アルミニウム単結晶の(002)面に関するロッキングカーブ測定を行ったところ、584arcsecであった。これらの結果を表1に示す。
【0108】
実施例7
(三ハロゲン化アルミニウムガスの製造準備、及び緩衝層成長の準備)
第一外部加熱手段5によって、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の内部、すなわち固体アルミニウムの温度を200℃とし、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の長さを1000mmとした以外は、実施例1と同様に行った。
【0109】
(第一段目用の三ハロゲン化アルミニウムガスの製造、および緩衝層の成長)
第一外部加熱手段5によって、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の内部、すなわち固体アルミニウムの温度を200℃とし、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の長さを1000mmとした以外は、実施例1と同様に行った。
【0110】
上記の三塩化アルミニウムガスの製造条件においては、固体アルミニウムの全表面積(S)は、9383cmであり、固体アルミニウムと塩化水素ガスとの平均接触時間(t)は、25.2秒であった。そして、これらの積(S×t)は、236395cm・秒であった。
【0111】
(単結晶ベース基板の加熱)
三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の長さを1000mmとした。1分後、塩化水素ガスの供給を停止し、水素ガス、およびアンモニアのみを供給したまま3分待ってから、アンモニアを流通させたまま、第一外部加熱手段5によって、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の内部、すなわち固体アルミニウムの温度を280℃とし、他の条件は変えずに系内の圧力を500Torrに調整してから、サファイア基板を15分間で1050℃から1500℃に加熱した。
【0112】
(第二段目用の三ハロゲン化アルミニウムガスの製造、及び高温での単結晶層成長)
三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の長さを1000mmとした以外は、実施例1と同様に行った。
【0113】
表面に窒化アルミニウムが成長したサファイア基板を取り出して質量を測定し、成長前後の重量変化と実施例1に記載の予備実験の結果から、成長速度を求めると、24.1μm/hであった。透過型電子顕微鏡で該基板の断面を観察し、膜厚分布を評価したところ、窒化アルミニウムの膜厚の差は5%以下であった。また、窒化アルミニウム単結晶の(002)面に関するロッキングカーブ測定を行ったところ、587arcsecであった。これらの結果を表1に示す。
【0114】
実施例8
(三ハロゲン化アルミニウムガスの製造準備、及び緩衝層成長の準備)
第一外部加熱手段5によって、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の内部、すなわち固体アルミニウムの温度を200℃とし、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の長さを150mmとした以外は、実施例1と同様に行った。
【0115】
(第一段目用の三ハロゲン化アルミニウムガスの製造、および緩衝層の成長)
第一外部加熱手段5によって、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の内部、すなわち固体アルミニウムの温度を200℃とし、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の長さを150mmとした以外は、実施例1と同様に行った。
【0116】
上記の三塩化アルミニウムガスの製造条件においては、固体アルミニウムの全表面積(S)は、1407cmであり、固体アルミニウムと塩化水素ガスとの平均接触時間(t)は、3.8秒であった。そして、これらの積(S×t)は、5319cm・秒であった。
【0117】
(単結晶ベース基板の加熱)
三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の長さを150mmとした。1分後、塩化水素ガスの供給を停止し、水素ガス、およびアンモニアのみを供給したまま3分待ってから、アンモニアを流通させたまま、第一外部加熱手段5によって、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の内部、すなわち固体アルミニウムの温度を280℃とし、他の条件は変えずに系内の圧力を500Torrに調整してから、サファイア基板を15分間で1050℃から1500℃に加熱した。
【0118】
(第二段目用の三ハロゲン化アルミニウムガスの製造、及び高温での単結晶層成長)
三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の長さを150mmとした以外は、実施例1と同様に行った。
【0119】
表面に窒化アルミニウムが成長したサファイア基板を取り出して質量を測定し、成長前後の重量変化と実施例1に記載の予備実験の結果から、成長速度を求めると、24.1μm/hであった。透過型電子顕微鏡で該基板の断面を観察し、膜厚分布を評価したところ、窒化アルミニウムの膜厚の差は5%以下であった。また、窒化アルミニウム単結晶の(002)面に関するロッキングカーブ測定を行ったところ、580arcsecであった。これらの結果を表1に示す。
【0120】
実施例9
(三ハロゲン化アルミニウムガスの製造準備、及び緩衝層成長の準備)
第一外部加熱手段5によって、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の内部、すなわち固体アルミニウムの温度を200℃とし、系内の圧力を200Torrとし、アルミニウムの充填率を20%とした以外は、実施例1と同様に行った。
【0121】
(第一段目用の三ハロゲン化アルミニウムガスの製造、および緩衝層の成長)
第一外部加熱手段5によって、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の内部、すなわち固体アルミニウムの温度を200℃とし、系内の圧力を200Torrとし、アルミニウムの充填率を20%とした以外は、実施例1と同様に行った。
【0122】
上記の三塩化アルミニウムガスの製造条件においては、固体アルミニウムの全表面積(S)は、1676cmであり、固体アルミニウムと塩化水素ガスとの平均接触時間(t)は、9.2秒であった。そして、これらの積(S×t)は、15350cm・秒であった。
【0123】
(単結晶ベース基板の加熱)
アルミニウムの充填率を20%とした。1分後、塩化水素ガスの供給を停止し、水素ガス、およびアンモニアのみを供給したまま3分待ってから、アンモニアを流通させたまま、第一外部加熱手段5によって、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の内部、すなわち固体アルミニウムの温度を280℃とし、他の条件は変えずに系内の圧力を500Torrに調整してから、サファイア基板を15分間で1050℃から1500℃に加熱した。
【0124】
(第二段目用の三ハロゲン化アルミニウムガスの製造、及び高温での単結晶層成長)
アルミニウムの充填率を20%とした以外は、実施例1と同様に行った。
【0125】
表面に窒化アルミニウムが成長したサファイア基板を取り出して質量を測定し、成長前後の重量変化と実施例1に記載の予備実験の結果から、成長速度を求めると、24.1μm/hであった。透過型電子顕微鏡で該基板の断面を観察し、膜厚分布を評価したところ、窒化アルミニウムの膜厚の差は5%以下であった。また、窒化アルミニウム単結晶の(002)面に関するロッキングカーブ測定を行ったところ、581arcsecであった。これらの結果を表1に示す。
【0126】
実施例10
(三ハロゲン化アルミニウムガスの製造準備、及び緩衝層成長の準備)
第一外部加熱手段5によって、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の内部、すなわち固体アルミニウムの温度を200℃とし、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の長さを300mm、内径を25mmとし、系内の圧力を150Torrとした以外は、実施例1と同様に行った。
【0127】
(第一段目用の三ハロゲン化アルミニウムガスの製造、および緩衝層の成長)
第一外部加熱手段5によって、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の内部、すなわち固体アルミニウムの温度を200℃とし、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の長さを300mm、内径を25mmとし、系内の圧力を200Torrとした以外は、実施例1と同様に行った。
【0128】
上記の三塩化アルミニウムガスの製造条件においては、固体アルミニウムの全表面積(S)は、1100cmであり、固体アルミニウムと塩化水素ガスとの平均接触時間(t)は、0.9秒であった。そして、これらの積(S×t)は、974cm・秒であった。
【0129】
(単結晶ベース基板の加熱)
三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の長さを300mm、内径を25mmのものを使用した。1分後、塩化水素ガスの供給を停止し、水素ガス、およびアンモニアのみを供給したまま3分待ってから、アンモニアを流通させたまま、第一外部加熱手段5によって、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の内部、すなわち固体アルミニウムの温度を280℃とし、他の条件は変えずに系内の圧力を500Torrに調整してから、サファイア基板を15分間で1050℃から1500℃に加熱した。
【0130】
(第二段目用の三ハロゲン化アルミニウムガスの製造、及び高温での単結晶層成長)
三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の長さを300mm、内径を25mmとし、系内の圧力を200Torrとした以外は、実施例1と同様に行った。
【0131】
表面に窒化アルミニウムが成長したサファイア基板を取り出して質量を測定し、成長前後の重量変化と実施例1に記載の予備実験の結果から、成長速度を求めると、24.1μm/hであった。透過型電子顕微鏡で該基板の断面を観察し、膜厚分布を評価したところ、窒化アルミニウムの膜厚の差は5%以下であった。また、窒化アルミニウム単結晶の(002)面に関するロッキングカーブ測定を行ったところ、583arcsecであった。これらの結果を表1に示す。
【0132】
実施例11
(三ハロゲン化アルミニウムガスの製造準備、及び緩衝層成長の準備)
三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の長さを300mm、内径を25mmとし、系内の圧力を150Torrとした以外は、実施例1と同様に行った。
【0133】
(第一段目用の三ハロゲン化アルミニウムガスの製造、および緩衝層の成長)
三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の長さを300mm、内径を25mmとし、系内の圧力を150Torrとた以外は、実施例1と同様に行った。
【0134】
上記の三塩化アルミニウムガスの製造条件においては、固体アルミニウムの全表面積(S)は、1100cmであり、固体アルミニウムと塩化水素ガスとの平均接触時間(t)は、0.8秒であった。そして、これらの積(S×t)は、833cm・秒であった。
【0135】
(単結晶ベース基板の加熱)
三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の長さを300mm、内径を25mmのものを使用した。1分後、塩化水素ガスの供給を停止し、水素ガス、およびアンモニアのみを供給したまま3分待ってから、アンモニアを流通させたまま、第一外部加熱手段5によって、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の内部、すなわち固体アルミニウムの温度を280℃とし、他の条件は変えずに系内の圧力を500Torrに調整してから、サファイア基板を15分間で1050℃から1500℃に加熱した。
【0136】
(第二段目用の三ハロゲン化アルミニウムガスの製造、及び高温での単結晶層成長)
三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の長さを300mm、内径を25mmとした以外は、実施例1と同様に行った。
【0137】
表面に窒化アルミニウムが成長したサファイア基板を取り出して質量を測定し、成長前後の重量変化と実施例1に記載の予備実験の結果から、成長速度を求めると、24.0μm/hであった。透過型電子顕微鏡で該基板の断面を観察し、膜厚分布を評価したところ、窒化アルミニウムの膜厚の差は5%以下であった。また、窒化アルミニウム単結晶の(002)面に関するロッキングカーブ測定を行ったところ、584arcsecであった。これらの結果を表1に示す。
【0138】
比較例1
(三ハロゲン化アルミニウムガスの製造準備、及び緩衝層成長の準備)
三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の長さを50mmとし、第一外部加熱手段5によって、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の内部、すなわち固体アルミニウムの温度を200℃とした以外は、実施例1と同様に行った。
【0139】
(第一段目用の三ハロゲン化アルミニウムガスの製造、および緩衝層の成長)
三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の長さを50mmとし、第一外部加熱手段5によって、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の内部、すなわち固体アルミニウムの温度を200℃とした以外は、実施例1と同様に行った。
【0140】
上記の三塩化アルミニウムガスの製造条件においては、固体アルミニウムの全表面積(S)は、469cmであり、固体アルミニウムと塩化水素ガスとの平均接触時間(t)は、1.3秒であった。そして、これらの積(S×t)は、591cm・秒であった。
【0141】
(単結晶ベース基板の加熱)
三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の長さを50mmのものを使用した。のものを使用した。1分後、塩化水素ガスの供給を停止し、水素ガス、およびアンモニアのみを供給したまま3分待ってから、アンモニアを流通させたまま、第一外部加熱手段5によって、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の内部、すなわち固体アルミニウムの温度を280℃とし、他の条件は変えずに系内の圧力を500Torrに調整してから、サファイア基板を15分間で1050℃から1500℃に加熱した。
【0142】
(第二段目用の三ハロゲン化アルミニウムガスの製造、及び高温での単結晶層成長)
三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の長さを50mmとした以外は、実施例1と同様に行った。
【0143】
表面に窒化アルミニウムが成長したサファイア基板を取り出して質量を測定し、成長前後の重量変化と実施例1に記載の予備実験の結果から、成長速度を求めると、4.4μm/hであった。透過型電子顕微鏡で該基板の断面を観察し、膜厚分布を評価したところ、窒化アルミニウムの膜厚の差は5%以下であった。これらの結果を表1に示す。
【0144】
比較例2
(三ハロゲン化アルミニウムガスの製造準備、及び緩衝層成長の準備)
三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の長さを75mmとし、系内の圧力を150Torrとし、第一外部加熱手段5によって、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の内部、すなわち固体アルミニウムの温度を200℃とした以外は、実施例1と同様に行った。
【0145】
(第一段目用の三ハロゲン化アルミニウムガスの製造、および緩衝層の成長)
三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の長さを75mmとし、系内の圧力を150Torrとし第一外部加熱手段5によって、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の内部、すなわち固体アルミニウムの温度を200℃とした以外は、実施例1と同様に行った。
【0146】
上記の三塩化アルミニウムガスの製造条件においては、固体アルミニウムの全表面積(S)は、704cmであり、固体アルミニウムと塩化水素ガスとの平均接触時間(t)は、0.6秒であった。そして、これらの積(S×t)は、399cm・秒であった。
【0147】
(単結晶ベース基板の加熱)
三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の長さを75mmのものを使用した。1分後、塩化水素ガスの供給を停止し、水素ガス、およびアンモニアのみを供給したまま3分待ってから、アンモニアを流通させたまま、第一外部加熱手段5によって、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の内部、すなわち固体アルミニウムの温度を280℃とし、他の条件は変えずに系内の圧力を500Torrに調整してから、サファイア基板を15分間で1050℃から1500℃に加熱した。
【0148】
(第二段目用の三ハロゲン化アルミニウムガスの製造、及び高温での単結晶層成長)
三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の長さを75mmとした以外は、実施例1と同様に行った。
【0149】
表面に窒化アルミニウムが成長したサファイア基板を取り出して質量を測定し、成長前後の重量変化と実施例1に記載の予備実験の結果から、成長速度を求めると、1.1μm/hであった。透過型電子顕微鏡で該基板の断面を観察し、膜厚分布を評価したところ、窒化アルミニウムの膜厚の差は5%以下であった。これらの結果を表1に示す。
【0150】
比較例3
(三ハロゲン化アルミニウムガスの製造準備、及び緩衝層成長の準備)
第一外部加熱手段5によって、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の内部、すなわち固体アルミニウムの温度を350℃とした以外は、実施例1と同様に行った。
【0151】
(第一段目用の三ハロゲン化アルミニウムガスの製造、および緩衝層の成長)
第一外部加熱手段5によって、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の内部、すなわち固体アルミニウムの温度を350℃とした以外は、実施例1と同様に行った。
【0152】
上記の三塩化アルミニウムガスの製造条件においては、固体アルミニウムの全表面積(S)は、4691cmであり、固体アルミニウムと塩化水素ガスとの平均接触時間(t)は、9.6秒であった。そして、これらの積(S×t)は、44870cm・秒であった。
(単結晶ベース基板の加熱)
1分後、塩化水素ガスの供給を停止し、水素ガス、およびアンモニアのみを供給したまま3分待ってから、アンモニアを流通させたまま、第一外部加熱手段5によって、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の内部、すなわち固体アルミニウムの温度を280℃とし、他の条件は変えずに系内の圧力を500Torrに調整してから、サファイア基板を15分間で1050℃から1500℃に加熱した。
【0153】
(第二段目用の三ハロゲン化アルミニウムガスの製造、及び高温での単結晶層成長)
実施例1と同様に行った。
【0154】
表面に窒化アルミニウムが成長したサファイア基板を取り出して質量を測定し、成長前後の重量変化と実施例1に記載の予備実験の結果から、成長速度を求めると、24.3μm/hであった。透過型電子顕微鏡で該基板の断面を観察し、膜厚分布を評価したところ、窒化アルミニウムの膜厚の差は5%以下であった。また、窒化アルミニウム単結晶の(002)面に関するロッキングカーブ測定を行ったところ、637arcsecであった。これらの結果を表1に示す。
【0155】
比較例4
第一外部加熱手段5によって、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の内部、すなわち固体アルミニウムの温度を400℃とした以外は、実施例1と同様に行った。
【0156】
(第一段目用の三ハロゲン化アルミニウムガスの製造、および緩衝層の成長)
第一外部加熱手段5によって、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の内部、すなわち固体アルミニウムの温度を400℃とした以外は、実施例1と同様に行った。
【0157】
上記の三塩化アルミニウムガスの製造条件においては、固体アルミニウムの全表面積(S)は、4691cmであり、固体アルミニウムと塩化水素ガスとの平均接触時間(t)は、8.9秒であった。そして、これらの積(S×t)は、41536cm・秒であった。
(単結晶ベース基板の加熱)
1分後、塩化水素ガスの供給を停止し、水素ガス、およびアンモニアのみを供給したまま3分待ってから、アンモニアを流通させたまま、第一外部加熱手段5によって、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の内部、すなわち固体アルミニウムの温度を280℃とし、他の条件は変えずに系内の圧力を500Torrに調整してから、サファイア基板を15分間で1050℃から1500℃に加熱した。
【0158】
(第二段目用の三ハロゲン化アルミニウムガスの製造、及び高温での単結晶層成長)
実施例1と同様に行った。
【0159】
表面に窒化アルミニウムが成長したサファイア基板を取り出して質量を測定し、成長前後の重量変化と実施例1に記載の予備実験の結果から、成長速度を求めると、24.3μm/hであった。透過型電子顕微鏡で該基板の断面を観察し、膜厚分布を評価したところ、窒化アルミニウムの膜厚の差は5%以下であった。また、窒化アルミニウム単結晶の(002)面に関するロッキングカーブ測定を行ったところ、634arcsecであった。これらの結果を表1に示す。
【0160】
比較例5
三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の長さを50mmとし、第一外部加熱手段5によって、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の内部、すなわち固体アルミニウムの温度を500℃とした以外は、実施例1と同様に行った。
【0161】
(第一段目用の三ハロゲン化アルミニウムガスの製造、および緩衝層の成長)
三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の長さを50mmとし、第一外部加熱手段5によって、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の内部、すなわち固体アルミニウムの温度を500℃とした以外は、実施例1と同様に行った。
【0162】
上記の三塩化アルミニウムガスの製造条件においては、固体アルミニウムの全表面積(S)は、469cmであり、固体アルミニウムと塩化水素ガスとの平均接触時間(t)は、0.8秒であった。そして、これらの積(S×t)は、362cm・秒であった。
(単結晶ベース基板の加熱)
三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2は長さが50mmのものを使用した。1分後、塩化水素ガスの供給を停止し、水素ガス、およびアンモニアのみを供給したまま3分待ってから、アンモニアを流通させたまま、第一外部加熱手段5によって、三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2の内部、すなわち固体アルミニウムの温度を280℃とし、他の条件は変えずに系内の圧力を500Torrに調整してから、サファイア基板を15分間で1050℃から1500℃に加熱した。
【0163】
(第二段目用の三ハロゲン化アルミニウムガスの製造、及び高温での単結晶層成長)
三ハロゲン化アルミニウム発生反応管2は長さが50mmのものを使用した。それ以外は、実施例1と同様に行った。
【0164】
表面に窒化アルミニウムが成長したサファイア基板を取り出して質量を測定し、成長前後の重量変化と実施例1に記載の予備実験の結果から、成長速度を求めると、24.3μm/hであった。透過型電子顕微鏡で該基板の断面を観察し、膜厚分布を評価したところ、窒化アルミニウムの膜厚の差は5%以下であった。また、窒化アルミニウム単結晶の(002)面に関するロッキングカーブ測定を行ったところ、630arcsecであった。これらの結果を表1に示す。
【0165】
【表1】

【符号の説明】
【0166】
1 装置
2 三ハロゲン化アルミニウム発生反応管
3 結晶成長反応管
4 原料設置部
5 第一外部加熱手段
6 ハロゲン系ガス供給ノズル
7 窒素源ガス供給ノズル
8 三ハロゲン化アルミニウム供給ノズル
9 第二外部加熱手段
10 単結晶ベース基板
11 加熱基板保持台
12 第一排出ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体アルミニウムとハロゲン系ガスとを接触させて三ハロゲン化アルミニウムガスを製造する方法において、
固体アルミニウムとハロゲン系ガスとの接触温度を183℃以上300℃未満とし、
固体アルミニウムの全表面積(S;cm)と、ハロゲン系ガスと固体アルミニウムとの平均接触時間(t;秒)との積(S×t;cm・秒)が下記式(1)の条件を満足するようにハロゲン系ガスと固体アルミニウムとを接触させることを特徴とする三ハロゲン化アルミニウムガスの製造方法。
750≦ S×t ≦250000 (1)
【請求項2】
固体アルミニウムとハロゲン系ガスとの接触を、水素ガス、不活性ガス、またはこれらの混合ガスを流通させながら行うことを特徴とする請求項1に記載の三ハロゲン化アルミニウムガスの製造方法。
【請求項3】
前記ハロゲン系ガスとして塩化水素ガスを使用することを特徴とする請求項1に記載の三ハロゲン化アルミニウムガスの製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法で三ハロゲン化アルミニウムガスを製造した後、得られた三ハロゲン化アルミニウムガスの温度を固体アルミニウムとハロゲン系ガスとの接触温度以上に維持し、その三ハロゲン化アルミニウムガスと窒素源ガスとを単結晶ベース基板上で反応させて、該単結晶ベース基板上にアルミニウム系III族窒化物単結晶を成長させることを特徴とするアルミニウム系III族窒化物単結晶の製造方法。
【請求項5】
前記アルミニウム系III族窒化物が、窒化アルミニウムである請求項4に記載のアルミニウム系III族窒化物単結晶の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2012−166963(P2012−166963A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26783(P2011−26783)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(000003182)株式会社トクヤマ (839)
【Fターム(参考)】