説明

不揮発性半導体記憶装置およびその製造方法

【課題】設計、製造および検査の各工程において作業効率を向上し得る不揮発性半導体記憶装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】不揮発性メモリでは、第1配線層LY2に形成されるビット線BL1によりコンタクトホールCH1,CH3,CH5を介してセルトランジスタ21〜25の各ドレインD21〜D25を共通に接続し、このビット線BL1にバイアホールVH1,VH3,VH5を介して接続可能に配置したビット線BL2を第2配線層LY4に形成する。また、第1配線層LY2に形成されるソース線SL1によりコンタクトホールCH2,CH4,CH6を介してセルトランジスタ21〜25の各ソースS21〜S25を共通に接続し、このソース線SL1にバイアホールVH2,VH4,VH6を介して接続可能に配置したソース線SL2を第2配線層LY4に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不揮発性半導体記憶装置およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
不揮発性半導体記憶装置にデータを記憶させる方法として、EEPROMやフラッシュメモリのように浮遊ゲートを有するMOSトランジスタに電気的にデータを書き込む方法と、マスクROMのようにウェハ工程中においてMOSトランジスタを接続する配線の有無によりデータを書き込む方法あるいは製造工程中においてMOSトランジスタの閾値電圧を読出し時のゲート電圧よりも高く設定するなどしてデータを書き込む方法がある。
【0003】
例えば、EEPROMやフラッシュメモリの一例として、下記特許文献1に開示される不揮発性半導体記憶装置およびその製造方法があり、またマスクROMの一例として、下記特許文献2に開示されるマスクROMがある。
【特許文献1】特開平9−129755号公報
【特許文献2】特開平11−232892号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このようなEEPROMやフラッシュメモリとマスクROMとは、メモリセルを構成するMOSトランジスタ(以下「メモリセルトランジスタ」という)の構成が異なることから、たとえワード線やビット線の構成等が同じ仕様であっても、これらを同じ半導体製造プロセスで製造することはできない。また、EEPROMやフラッシュメモリは、電気的にデータを書き込んだり消去したりすることが可能である一方で、マスクROMは製造工程中でデータが書き込まれてそれを後で書き換えたり消去することができないことから、両者を同じ検査工程で検査することもできない。
【0005】
このため、予めデータが書き込まれているか否かの違いで他の仕様が同じであっても、製造工程においてはそれぞれ専用のフォトマスク等を複数枚用意する必要があり、また検査工程においても異なる工程で検査しなければならず、回路設計やフォトマスクあるいは検査工程の段取り等をそれぞれ個別に準備する必要があり、設計、製造および検査の各工程において作業効率が悪いという問題がある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、設計、製造および検査の各工程において作業効率を向上し得る不揮発性半導体記憶装置およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項1の不揮発性半導体記憶装置では、第1導電型の半導体基板の主表面でチャネル形成領域を挟んで面方向対称に形成される第2導電型の第1ウェル領域および第2ウェル領域と、前記チャネル形成領域の前記主表面上にゲート酸化膜を介して形成される浮遊ゲートと、この浮遊ゲート上に酸化膜を介して形成される制御ゲートと、を備えたMOS構造を有する複数のメモリセルトランジスタを備えた不揮発性半導体記憶装置であって、前記半導体基板に積層される第1の配線層に形成され前記複数のメモリセルトランジスタの前記第1ウェル領域に共通に接続される第1主配線と、前記半導体基板に積層される第2の配線層に前記第1主配線に接続可能に配置され形成される第1副配線と、前記半導体基板に積層される第3の配線層に形成され前記複数のメモリセルトランジスタの前記第2ウェル領域に共通に接続される第2主配線と、前記半導体基板に積層される第4の配線層に前記第2主配線に接続可能に配置され形成される第2副配線と、を備え、前記メモリセルトランジスタにより記憶されるデータを電気的に書き換え可能に構成する場合には、前記第1主配線および前記第1副配線を接続する第1バイヤホールと、前記第2主配線および前記第2副配線を接続する第2バイヤホールと、を前記複数のメモリセルトランジスタごと対応して形成し、前記メモリセルトランジスタにより記憶されるデータを電気的に書き換え不能に構成する場合には、書き込み対象となる前記メモリセルトランジスタに対応する前記第1バイヤホールまたは前記第2バイヤホールを形成することなく、書き込み対象とならない前記メモリセルトランジスタに対応する前記第1バイヤホールまたは前記第2バイヤホールを形成することを技術的特徴とする。
【0008】
特許請求の範囲に記載の請求項2の不揮発性半導体記憶装置では、請求項1記載の不揮発性半導体記憶装置において、前記第1の配線層と前記第3の配線層とは同じ配線層であり、前記第2の配線層と前記第4の配線層とは同じ配線層であることを技術的特徴とする。
【0009】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項3不揮発性半導体記憶装置の製造方法では、第1導電型の半導体基板の主表面でチャネル形成領域を挟んで面方向対称に形成される第2導電型の第1ウェル領域および第2ウェル領域と、前記チャネル形成領域の前記主表面上にゲート酸化膜を介して形成される浮遊ゲートと、この浮遊ゲート上に酸化膜を介して形成される制御ゲートと、を備えたMOS構造を有する複数のメモリセルトランジスタと、前記半導体基板に積層される第1の配線層に形成され前記複数のメモリセルトランジスタの前記第1ウェル領域に共通に接続される第1主配線と、前記半導体基板に積層される第2の配線層に前記第1主配線に接続可能に配置され形成される第1副配線と、前記半導体基板に積層される第3の配線層に形成され前記複数のメモリセルトランジスタの前記第2ウェル領域に共通に接続される第2主配線と、前記半導体基板に積層される第4の配線層に前記第2主配線に接続可能に配置され形成される第2副配線と、を備えた不揮発性半導体記憶装置の製造方法であって、前記メモリセルトランジスタにより記憶されるデータを電気的に書き換え可能に構成する場合には、前記第1主配線および前記第1副配線を接続する第1バイヤホールと、前記第2主配線および前記第2副配線を接続する第2バイヤホールと、を前記複数のメモリセルトランジスタごと対応して形成するバイヤホール形成工程を含み、前記メモリセルトランジスタにより記憶されるデータを電気的に書き換え不能に構成する場合には、書き込み対象となる前記メモリセルトランジスタに対応する前記第1バイヤホールまたは前記第2バイヤホールを形成することなく、書き込み対象とならない前記メモリセルトランジスタに対応する前記第1バイヤホールまたは前記第2バイヤホールを形成することにより前記データの書込むデータ書込工程を含み、前記バイヤホール形成工程と前記データ書込工程とは、前記第1バイヤホールおよび前記第2バイヤホールを形成可能なマスクパターンの違いによって区別されることを技術的特徴とする。
【0010】
特許請求の範囲に記載の請求項4不揮発性半導体記憶装置の製造方法では、請求項3記載の不揮発性半導体記憶装置の製造方法において、前記第1の配線層と前記第3の配線層とは同じ配線層であり、前記第2の配線層と前記第4の配線層とは同じ配線層であることを技術的特徴とする。
【0011】
特許請求の範囲に記載の請求項5不揮発性半導体記憶装置の製造方法では、請求項3または4記載の不揮発性半導体記憶装置の製造方法において、前記半導体基板上にキャパシタを形成する工程が含まれる場合、前記複数のメモリセルトランジスタは、この工程で同時に形成されることを技術的特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明では、メモリセルトランジスタにより記憶されるデータを電気的に書き換え可能に構成する場合(例えば、EEPROMやフラッシュメモリを構成する場合)には、第1主配線および第1副配線を接続する第1バイヤホールと、第2主配線および第2副配線を接続する第2バイヤホールと、を複数のメモリセルトランジスタごと対応して形成する。このため、データの書込み時には、第1主配線または第2主配線を使用して浮遊ゲートに電荷を注入することにより書き込み対象となるメモリセルトランジスタの閾値電圧を所定電圧以上に設定できるので、当該メモリセルトランジスタに対するデータの書込みが可能となる。これに対し、データの読出し時には、読み出し対象となるメモリセルトランジスタの制御ゲートに所定電圧以下のゲート電圧を印加することにより、閾値電圧の設定状態による当該メモリセルトランジスタのオンオフ動作を第1副配線または第2副配線に電流が流れるか否かにより把握することができるので、この電流により当該メモリセルトランジスタに記憶されたデータの読み出すことが可能となる。また、データの消去時には、消去対象となるメモリセルトランジスタの制御ゲートに、第1主配線または第2主配線の電位よりも低いゲート電圧を印加して浮遊ゲートから電荷を第1主配線または第2主配線側に引き抜くことにより、当該メモリセルトランジスタの閾値電圧を所定電圧未満にするので、当該メモリセルトランジスタに対するデータの消去が可能となる。
【0013】
一方、メモリセルトランジスタにより記憶されるデータを電気的に書き換え不能に構成する場合(例えばマスクROMを構成する場合)には、複数のメモリセルトランジスタの浮遊ゲートに電荷を注入して制御ゲートに印加される電圧よりも閾値電圧を低く設定するとともに書き込み対象となるメモリセルトランジスタに対応する第1バイヤホールまたは第2バイヤホールを形成することなく、書き込み対象とならないメモリセルトランジスタに対応する第1バイヤホールまたは第2バイヤホールを形成する。このため、データの読出し時には、読み出し対象となるメモリセルトランジスタの制御ゲートに閾値電圧以上のゲート電圧を印加しても、当該メモリセルトランジスタに対応した第1バイヤホールまたは第2バイヤホールが形成されていないときには、第1副配線または第2副配線に電流が流れず、第1バイヤホールまたは第2バイヤホールが形成されているときには第1副配線または第2副配線に電流が流れるので、このような電流の有無により当該メモリセルトランジスタにデータを記憶させることが可能となり、また記憶されたデータの読み出すことが可能となる。
【0014】
これにより、当該不揮発性半導体記憶装置の設計工程においては、メモリセルトランジスタにより記憶されるデータを電気的に書き換え可能に構成する場合(例えば、EEPROMやフラッシュメモリを構成する場合)には、第1バイヤホールおよび第2バイヤホールを全て形成すれば良いし、またメモリセルトランジスタにより記憶されるデータを電気的に書き換え不能に構成する場合(例えばマスクROMを構成する場合)には、データを書き込むメモリセルトランジスタに対応する第1バイヤホールまたは第2バイヤホールを除いて他のメモリセルトランジスタに対応する第1バイヤホールおよび第2バイヤホールを全て形成すれば良いので、例えば、EEPROMやフラッシュメモリの回路とマスクROMの回路との違いを、第1,第2バイヤホールの有無の違いにより吸収することができる。したがって、これらの回路設計を容易にすることから、設計工程における作業効率を向上することができる。
【0015】
また、当該不揮発性半導体記憶装置の製造工程においては、メモリセルトランジスタにより記憶されるデータを電気的に書き換え可能に構成する場合(例えば、EEPROMやフラッシュメモリを構成する場合)には、第1バイヤホールおよび第2バイヤホールを全て形成可能なフォトマスクを用意すれば良いし、またメモリセルトランジスタにより記憶されるデータを電気的に書き換え不能に構成する場合(例えばマスクROMを構成する場合)には、データを書き込むメモリセルトランジスタに対応する第1バイヤホールまたは第2バイヤホールを除いて他のメモリセルトランジスタに対応する第1バイヤホールおよび第2バイヤホールを全て形成可能なフォトマスクを用意すれば良いので、例えば、EEPROMやフラッシュメモリの製造とマスクROMの製造との違いを、第1,第2バイヤホールの形成を制御可能なフォトマスクの種類により吸収することができる。したがって、これらの半導体製造プロセスの内バイヤホールのフォトマスクのみの変更であり、加工工程は全てを共用化できることから、製造工程における作業効率を向上することができる。
【0016】
さらに、当該不揮発性半導体記憶装置の検査工程においては、複数のメモリセルトランジスタが浮遊ゲートを備えたMOS構造を有するので、メモリセルトランジスタにより記憶されるデータを電気的に書き換え可能に構成する場合(例えば、EEPROMやフラッシュメモリを構成する場合)およびメモリセルトランジスタにより記憶されるデータを電気的に書き換え不能に構成する場合(例えばマスクROMを構成する場合)のいずれにおいても、例えば、浮遊ゲートを中和する工程やメモリセルトランジスタ以外の回路機能を検査する工程等が必要となる一方で、メモリセルトランジスタにより記憶されるデータを電気的に書き換え不能に構成する場合には、データの書換機能を検査する工程等のデータの書込みや消去に関する検査工程の必要がなくなる。これにより、メモリセルトランジスタにより記憶されるデータを電気的に書き換え可能に構成する場合の検査工程をベースにして、メモリセルトランジスタにより記憶されるデータを電気的に書き換え不能に構成する場合には不要となるデータの書込みや消去に関する検査工程を省略して飛ばせば良いので、例えば、EEPROMやフラッシュメモリの検査とマスクROMの検査との違いを、検査項目の有無により吸収することができる。したがって、検査ラインを共通にできるので、検査工程の段取り等における省力化から、検査工程における作業効率を向上することができる。
【0017】
請求項2の発明では、第1の配線層と第3の配線層とを同じ配線層にし、また第2の配線層と第4の配線層とを同じ配線層にすることで、配線層の総数が減少するため、製造工程の削減やそれに伴う製造コストの削減が可能となる。また、配線層の総数が減少することにより当該不揮発性半導体記憶装置の厚さ(高さ)を薄く(低く)することができる。
【0018】
請求項3の発明では、メモリセルトランジスタにより記憶されるデータを電気的に書き換え可能に構成する場合(例えば、EEPROMやフラッシュメモリを構成する場合)に第1バイヤホールおよび第2バイヤホールを形成するバイヤホール形成工程と、メモリセルトランジスタにより記憶されるデータを電気的に書き換え不能に構成する場合(例えばマスクROMを構成する場合)に書き込み対象となるメモリセルトランジスタに対応する第1バイヤホールまたは第2バイヤホールを形成することなく、書き込み対象とならない前記メモリセルトランジスタに対応する第1バイヤホールまたは第2バイヤホールを形成するデータ書込工程とは、第1バイヤホールおよび第2バイヤホールを形成可能なマスクパターンの違いによって区別される。これにより、メモリセルトランジスタにより記憶されるデータを電気的に書き換え可能に構成する場合には、第1バイヤホールおよび第2バイヤホールを全て形成可能なフォトマスクを用意すれば良いし、またメモリセルトランジスタにより記憶されるデータを電気的に書き換え不能に構成する場合には、データを書き込むメモリセルトランジスタに対応する第1バイヤホールまたは第2バイヤホールを除いて他のメモリセルトランジスタに対応する第1バイヤホールおよび第2バイヤホールを全て形成可能なフォトマスクを用意すれば良いので、例えば、EEPROMやフラッシュメモリの製造とマスクROMの製造との違いを、第1,第2バイヤホールの形成を制御可能なフォトマスクの種類により吸収することができる。したがって、これらの半導体製造プロセスの前述請求項1と同様に共用化できることから、製造工程における作業効率を向上することができる。
【0019】
また、メモリセルトランジスタにより記憶されるデータを電気的に書き換え可能に構成する場合(例えば、EEPROMやフラッシュメモリを構成する場合)には、バイヤホール形成工程により、第1主配線および第1副配線を接続する第1バイヤホールと、第2主配線および第2副配線を接続する第2バイヤホールと、を複数のメモリセルトランジスタごと対応して形成する。このため、データの書込み時には、第1主配線または第2主配線を使用して浮遊ゲートに電荷を注入することにより書き込み対象となるメモリセルトランジスタの閾値電圧を所定電圧以上に設定できるので、当該メモリセルトランジスタに対するデータの書込みが可能となる。これに対し、データの読出し時には、読み出し対象となるメモリセルトランジスタの制御ゲートに所定電圧以下のゲート電圧を印加することにより、閾値電圧の設定状態による当該メモリセルトランジスタのオンオフ動作を第1副配線または第2副配線に電流が流れるか否かにより把握することができるので、この電流により当該メモリセルトランジスタに記憶されたデータの読み出すことが可能となる。また、データの消去時には、消去対象となるメモリセルトランジスタの制御ゲートに、第1主配線または第2主配線の電位よりも低いゲート電圧を印加して浮遊ゲートから電荷を第1主配線または第2主配線側に引き抜くことにより、当該メモリセルトランジスタの閾値電圧を所定電圧未満にするので、当該メモリセルトランジスタに対するデータの消去が可能となる。
【0020】
一方、メモリセルトランジスタにより記憶されるデータを電気的に書き換え不能に構成する場合(例えばマスクROMを構成する場合)には、データ書込工程により、書き込み対象となるメモリセルトランジスタに対応する第1バイヤホールまたは第2バイヤホールを形成しない。このため、複数のメモリセルトランジスタの浮遊ゲートに電荷が注入されて制御ゲートに印加される電圧よりも閾値電圧が低く設定されているとき、データの読出し時には、読み出し対象となるメモリセルトランジスタの制御ゲートに閾値電圧以上のゲート電圧を印加しても、当該メモリセルトランジスタに対応した第1バイヤホールまたは第2バイヤホールが形成されていないときには、第1副配線または第2副配線に電流が流れず、第1バイヤホールまたは第2バイヤホールが形成されているときには第1副配線または第2副配線に電流が流れるので、この電流により当該メモリセルトランジスタに記憶されたデータの読み出すことが可能となる。
【0021】
これにより、当該不揮発性半導体記憶装置の設計工程においては、メモリセルトランジスタにより記憶されるデータを電気的に書き換え可能に構成する場合(例えば、EEPROMやフラッシュメモリを構成する場合)には、バイヤホール形成工程により、第1バイヤホールおよび第2バイヤホールを全て形成するように設定すれば良いし、またメモリセルトランジスタにより記憶されるデータを電気的に書き換え不能に構成する場合(例えばマスクROMを構成する場合)には、データ書込工程により、データを書き込むメモリセルトランジスタに対応する第1バイヤホールまたは第2バイヤホールを除いて他のメモリセルトランジスタに対応する第1バイヤホールおよび第2バイヤホールを全て形成するように設定すれば良いので、例えば、EEPROMやフラッシュメモリの回路とマスクROMの回路との違いを、第1,第2バイヤホールの有無の違いにより吸収することができる。したがって、これらの回路設計を容易にすることから、設計工程における作業効率を向上することができる。
【0022】
また、当該不揮発性半導体記憶装置の検査工程においては、複数のメモリセルトランジスタが浮遊ゲートを備えたMOS構造を有するので、メモリセルトランジスタにより記憶されるデータを電気的に書き換え可能に構成する場合(例えば、EEPROMやフラッシュメモリを構成する場合)およびメモリセルトランジスタにより記憶されるデータを電気的に書き換え不能に構成する場合(例えばマスクROMを構成する場合)のいずれにおいても、例えば、浮遊ゲートを中和する工程やメモリセルトランジスタ以外の回路機能を検査する工程等が必要となる一方で、メモリセルトランジスタにより記憶されるデータを電気的に書き換え不能に構成する場合には、データの書換機能を検査する工程等のデータの書込みや消去に関する検査工程の必要がなくなる。これにより、メモリセルトランジスタにより記憶されるデータを電気的に書き換え可能に構成する場合の検査工程をベースにして、メモリセルトランジスタにより記憶されるデータを電気的に書き換え不能に構成する場合には不要となるデータの書込みや消去に関する検査工程を省略して飛ばせば良いので、例えば、EEPROMやフラッシュメモリの検査とマスクROMの検査との違いを、検査項目の有無により吸収することができる。したがって、検査ラインを共通にできるので、検査工程の段取り等における省力化から、検査工程における作業効率を向上することができる。
【0023】
請求項4の発明では、第1の配線層と第3の配線層とを同じ配線層にし、また第2の配線層と第4の配線層とを同じ配線層にすることで、配線層の総数が減少するため、製造工程の削減やそれに伴う製造コストの削減が可能となる。また、配線層の総数が減少することにより当該不揮発性半導体記憶装置の厚さ(高さ)を薄く(低く)することができる。
【0024】
請求項5の発明では、半導体基板上にキャパシタを形成する工程が含まれる場合、複数のメモリセルトランジスタはこの工程で同時に形成される。これにより、例えば、このようなキャパシタを必要とするアナログ回路等がメモリトランジスタの形成される半導体基板上に形成される場合には、当該キャパシタを形成する工程を経るときにメモリトランジスタを同工程により同時に形成することができるので、メモリトランジスタを形成するために新たな半導体製造プロセスを追加する必要がなくなる。したがって、製造コストの上昇を抑制しつつ、これまでに述べたように、設計、製造および検査の各工程において作業効率を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の不揮発性半導体記憶装置を不揮発性メモリに適用した実施形態について各図を参照して説明する。まず、不揮発性メモリの構成例を第1実施形態〜第3実施形態として説明する。
[第1実施形態]
図1(A) に示すように、第1実施形態に係る不揮発性メモリは、メモリセルトランジスタ(以下「セルトランジスタ」という)として、浮遊ゲートとこの浮遊ゲートにゲート酸化膜を介して形成される制御ゲートとを備えたMOS構造を有するMOSトランジスタを直列に接続して構成するもので、図1(A) にはそのうちの5つのセルトランジスタ21,22,23,24,25が代表的に図示されている。なお、図1(A) に示す一点鎖線内の回路を具体的に構成し配線した半導体基板平面上のレイアウト例が図2(A) に示されている。また、図2(B) には、図2(A) に示す2B−2B線(一点鎖線)断面図が示されている。
【0026】
図2(A) に示すように、これらのセルトランジスタ21〜25は、P導電型(第1導電型)のシリコン基板(半導体基板)20の主表面に形成されており、例えば、セルトランジスタ21の場合には、図2(B) に示すように、その表層(主表面)にN導電型のドレイン拡散領域(第2導電型の第1ウェル)D21とN導電型のソース拡散領域(第2導電型の第2ウェル)S21とが所定間隔のチャネル形成領域を隔てて面方向に対称に形成されている。そして、このチャネル形成領域上にあたるシリコン基板20の表面には、ゲート酸化膜(70Å〜200Åのトンネル膜)GX21を介して浮遊ゲートFG21が形成され、さらにこの浮遊ゲートFG21上には層間絶縁層IL21を介して制御ゲートCG23が形成されている。なお、ゲート酸化膜GX21は電気的な消去を行わないEPROMの場合はトンネル膜である必要はない。その際の膜厚は200Å以上例えば350Å等でも構わない。
【0027】
セルトランジスタ22〜25もセルトランジスタ21と同様に構成されている(例えば、図2(A) に示される符号FG22,CG22はセルトランジスタ22の浮遊ゲート、制御ゲートを示し、また同図に示される符号FG23,CG23はセルトランジスタ23の浮遊ゲート、制御ゲートを示す)。図2(A) に示す符号S・Dは、シリコン基板20におけるソースおよびドレインの拡散層の範囲例を示す。
【0028】
このように構成されるセルトランジスタ21〜25は、ドレインにビット線BL1、またソースにソース線SL1、がそれぞれコンタクトホールを介して接続されている。また、制御ゲートCG21にワード線WL1が接続されている。例えば、セルトランジスタ21のドレインD21は、コンタクトホールCH1を介してビット線BL1に接続されている。同様に、セルトランジスタ22,23のドレインD22,D23は、コンタクトホールCH3を介してビット線BL1に接続され、またセルトランジスタ24,25のドレインは、コンタクトホールCH5を介してビット線BL1に接続されている。
【0029】
また、セルトランジスタ21,22のソースS21,S22は、コンタクトホールCH2を介してソース線SL1に接続されている。同様に、セルトランジスタ23,24のソースS23,S24は、コンタクトホールCH4を介してソース線SL1に接続され、またセルトランジスタ25のソースS25は、コンタクトホールCH6を介してソース線SL1に接続されている。セルトランジスタ22〜25の制御ゲートCG22〜CG25には、それぞれワード線WL2〜WL5が対応して接続されている。
【0030】
このようにセルトランジスタ21〜25の各ドレインに共通に接続されるビット線BL1や各ソースに共通に接続されるソース線SL1は、例えばアルミニウムからなるアルミ配線であり、いずれも第1配線層LY2に形成されている。例えば、図2(A) に示す平面レイアウト例では、図2(B) に示すように、シリコン基板20である基板層LY0の上に積層して形成されるコンタクト形成層LY1を介して位置する第1配線層LY2に、ビット線BL1およびソース線SL1が積層されて形成されている。なお、コンタクトホールCH1〜CH6は、コンタクト形成層LY1にそれぞれ形成されている。
【0031】
本第1実施形態に係る不揮発性メモリでは、このようなビット線BL1やソース線SL1のほかに、これらに並行して別の配線層に形成されるビット線BL2およびソース線SL2を備えている。即ち、図1(A) に示すように、ビット線BL1と同様に、セルトランジスタ21のドレインD21にバイアホールVH1を介し、またセルトランジスタ22、23のドレインD22,D23にバイアホールVH3を介し、さらにセルトランジスタ24,25のドレインD24,D25にバイアホールVH5を介して、ビット線BL2がそれぞれ接続され、このビット線BL2は、前述したビット線BL1が形成される第1配線層LY2とは異なる第2配線層LY4に形成されている。
【0032】
また、ソース線SL1と同様に、セルトランジスタ21,22のソースS21,S22にバイアホールVH2を介し、またセルトランジスタ23、24のソースS23,S24にバイアホールVH4を介し、さらにセルトランジスタ25のソースS25にバイアホールVH6を介して、ソース線SL2がそれぞれ接続され、ソース線SL1が形成される第1配線層LY2とは異なる第2配線層LY4に形成されている。
【0033】
これらのバイアホールVH1〜VH6は、図1(A) に示すように、回路上ではビット線BL1とビット線BL2との間に介在しているが、シリコン基板20のレイアウトでは、図2(A) に示すように、例えばバイアホールVH1はコンタクトホールCH1の近傍に、というように、それぞれ特定のコンタクトホールの近傍に配置されている。
【0034】
即ち、セルトランジスタ21のドレインD21に接続されるコンタクトホールCH1に対しては、他のバイアホールVH2〜VH6のいずれよりも短い配線長で接続可能な位置にバイアホールVH1が配置されている。同様に、セルトランジスタ22,23のドレインD22,D23に接続されるコンタクトホールCH3に対してはバイアホールVH3、セルトランジスタ24,25のドレインD24,D25に接続されるコンタクトホールCH5に対してはバイアホールVH5、がそれぞれ他のバイアホールよりも最短の配線長でコンタクトホールに接続できるように配置されている。
【0035】
また、同様に、セルトランジスタ21,22のソースS21,S22に接続されるコンタクトホールCH2に対してはバイアホールVH2、セルトランジスタ23,24のソースS23,S24に接続されるコンタクトホールCH4に対してはバイアホールVH4、セルトランジスタ25のソースS25に接続されるコンタクトホールCH6に対してはバイアホールVH6、がそれぞれ他のバイアホールよりも最短の配線長でコンタクトホールに接続できるように配置されている。以下、コンタクトホールCHxと最短の配線長で接続可能な位置に配置されるバイアホールVHxのことを(xは1〜6の整数)、「コンタクトホールCHxに対応する(対応した)バイアホールVHx」という。
【0036】
このようなバイアホールVH1〜VH6は、例えば図2(A) に示す平面レイアウト例では、図2(C) に示すように、前述した第1配線層LY2の上に積層されて形成されるバイヤ形成層LY3に形成されており、このバイヤ形成層LY3の上に前述したビット線BL2やソース線SL2がそれぞれ積層されて形成されている。なお、図2(C) には、図2(A) に示す2C−2C線(二点鎖線)断面が示されている。
【0037】
なお、ビット線BL1は特許請求の範囲に記載の「第1主配線」、ビット線BL2は特許請求の範囲に記載の「第1副配線」、ソース線SL1は特許請求の範囲に記載の「第2主配線」、ソース線SL2は特許請求の範囲に記載の「第2副配線」、にそれぞれ相当し得るものである。また、第1配線層LY2は特許請求の範囲に記載の「第1の配線層」および「第3の配線層」、第2配線層LY4は特許請求の範囲に記載の「第2の配線層」および「第4の配線層」に相当し得るものである。さらに、バイアホールVH1,VH3,VH5は、特許請求の範囲に記載の「第1バイアホール」、バイアホールVH2,VH4,VH6は、特許請求の範囲に記載の「第2バイアホール」、にそれぞれ相当し得るものである。
【0038】
このように本第1実施形態に係る不揮発性メモリを構成することによって、セルトランジスタ21〜25により記憶されるデータを電気的に書き換え可能に構成する場合、つまり当該不揮発性メモリをEEPROMやフラッシュメモリ(以下「EEPROM等」という)として構成する場合には、これまで図1(A) および図2を参照して説明したように、ビット線BL1とビット線BL2とを接続するバイアホールVH1,VH3,VH5や、ソース線SL1とソース線SL2とを接続するバイアホールVH2,VH4,VH6を、セルトランジスタ21〜25に接続されるそれぞれのコンタクトホールCH1〜CH6に対応して形成する。
【0039】
これに対して、セルトランジスタ21〜25により記憶されるデータを電気的に書き換え不能に構成する場合、つまり当該不揮発性メモリをマスクROMとして構成する場合には、例えば、図1(B) および図3に示すように、例えば、書き込み対象となるセルトランジスタ21のドレインD21に接続されているコンタクトホールCH1に対応するバイアホールVH1を形成することなく(図1(B) に示す破線α内)、それ以外のバイアホールVH2〜VH6を形成する。なお、この場合における図2(A) に対応する平面レイアウト図は図3(A) に、また図2(B) および図2(C) に対応する断面図は図3(B) および図3(C) にそれぞれ示されている。
【0040】
<データの書込み(不揮発性メモリが書き換え可能に構成される場合)>
これにより、当該不揮発性メモリがEEPROM等として構成される場合には、データの書込み時においては、図4(A) に示すように、例えば、書き込み対象をセルトランジスタ21にしたときには、当該セルトランジスタ21のソースS21をソース線SL1を介して0Vに設定するとともにビット線BL1を介してドレインD21に6V、またワード線WL1を介して制御ゲートCG21に10V、をそれぞれ印加する。なお、ビット線BL2およびソース線SL2は開放状態(OPEN)にし、また他のセルトランジスタ22〜25のワード線WL2〜WL5をそれぞれ0Vに設定する。これにより、ソースS21からドレインD21に向かって電子が移動しそのうちの一部の電子が高エネルギー状態にあるホットエレクトロンとして浮遊ゲートFG21に注入されて、読み出し時に印加される制御ゲート電圧(例えば5V)よりも高い電圧に当該セルトランジスタ21の閾値電圧Vtが設定される(以下「Vt=H」という)。つまり、当該セルトランジスタ21が読み出し時においてもオフ状態を維持するため、ソース線SL1には電流が流れることなく、この状態を「1」と定義したデータの書込みが完了する。
【0041】
<データの書込み(不揮発性メモリが書き換え不能に構成される場合)>
一方、当該不揮発性メモリがマスクROMとして構成される場合には、データの書込みは、前述したように、書き込み対象となるセルトランジスタ21等に接続されるコンタクトホールCH1等に対応するバイアホールVH1等を形成しないことにより行われる。図4(B) に示すように、例えば書き込み対象をセルトランジスタ21にしたときには、当該セルトランジスタ21のドレインD21に接続されるコンタクトホールCH1に対応するバイアホールVH1を形成することなく、他のバイアホールVH2〜VH6を形成する。これにより、当該セルトランジスタ21のドレインD21とビット線BL2との電気的な接続が断たれるため、閾値電圧Vt=Hに設定されたのと同様のオフ状態となり当該セルトランジスタ21に対するデータ「1」の書込みが完了する。
【0042】
なお、不揮発性メモリが書き込み可能・不能のいずれの場合も、各セルトランジスタの浮遊ゲートは、後述するように、製造工程中の浮遊ゲート中和工程において、閾値電圧Vtが読み出し時に印加される制御ゲート電圧(例えば5V)よりも低い電圧に設定される(以下「Vt=L」という)。このため、上述した例では、書き込みの対象とならないセルトランジスタ22〜25は、いずれも読み出し時に制御ゲートCG22〜CG25に印加される制御ゲート電圧(例えば5V)により、オフ状態からオン状態に移行するため、ソース線SL1等に電流が流れる状態を「0」と定義したデータが書き込まれている。
【0043】
<データの読出し(不揮発性メモリが書き換え可能に構成される場合)>
また、当該不揮発性メモリがEEPROM等として構成される場合、データの読出し時においては、図5(A) に示すように、例えば、読み出し対象をセルトランジスタ21にしたときには、当該セルトランジスタ21の制御ゲートCG21が接続されるワード線WL1に制御ゲート電圧Vcgとして5Vを印加し、これ以外のワード線WL2〜WL5は0Vに設定する。また、ビット線BL2に電圧V1、例えば1Vを印加しソース線SL1にビット線BL2の電圧V1よりも低い電圧V2、例えば0Vを印加する。すると、当該セルトランジスタ21の制御ゲートCG21は5V、ドレインD21は1V、ソースS21は0V、にそれぞれ設定される。なお、ビット線BL1およびソース線SL2は開放状態(OPEN)に設定する。
【0044】
同様に、図5(C) に示すように、例えば、読み出し対象をセルトランジスタ23にしたときには、当該セルトランジスタ23の制御ゲートCG23が接続されるワード線WL3に制御ゲート電圧Vcgとして5Vを印加し、これ以外のワード線WL1,WL2,WL4,WL5は0Vに設定する。また、ビット線BL2に電圧V1、例えば1Vを印加しソース線SL1にビット線BL2の電圧V1よりも低い電圧V2、例えば0Vを印加する。すると、当該セルトランジスタ23の制御ゲートCG23は5V、ドレインD23は1V、ソースS23は0V、にそれぞれ設定される。なお、ビット線BL1およびソース線SL2は開放状態(OPEN)に設定する。
【0045】
これにより、例えば図4(A) を参照して説明した例では、セルトランジスタ21の閾値電圧Vtは、読み出し時の制御ゲート電圧Vcgの5Vよりも高い電圧Vt=Hに設定されているので、制御ゲート電圧Vcgが制御ゲートCG21に印加されても当該セルトランジスタ21はオン状態にはならずにソース線SL1には電流が流れない。このため、先の定義では、当該セルトランジスタ21からデータ「1」が読み出される。これに対し、セルトランジスタ23の閾値電圧Vtは、読み出し時の制御ゲート電圧Vcgの5Vよりも低い電圧Vt=Lに設定されているので、制御ゲート電圧Vcgが制御ゲートCG23に印加されると当該セルトランジスタ23がオフ状態からオン状態に移行してソース線SL1に電流が流れる。このため、先の定義では、当該セルトランジスタ23からデータ「0」が読み出される。
【0046】
また、データの読出し時においては、図5(B) に示すように、例えば読み出し対象をセルトランジスタ21に隣接するセルトランジスタ22にしたときには、電圧V2と電圧V1の電位を逆転させて印加する。即ち、ビット線BL1に電圧V1、例えば0Vを印加しソース線SL2にビット線BL1の電圧V1よりも高い電圧V2、例えば1Vを印加する。また当該セルトランジスタ22の制御ゲートCG22が接続されるワード線WL2に制御ゲート電圧Vcgとして5Vを印加し、これ以外のワード線WL1,WL3〜WL5は0Vに設定する。すると、当該セルトランジスタ22の制御ゲートCG22は5V、ドレインD22は0V、ソースS22は1V、にそれぞれ設定される。なお、ビット線BL1およびソース線SL2は開放状態(OPEN)に設定する。
【0047】
同様に、図5(D) に示すように、例えば、読み出し対象をセルトランジスタ24にしたときには、当該セルトランジスタ24の制御ゲートCG24が接続されるワード線WL4に制御ゲート電圧Vcgとして5Vを印加し、これ以外のワード線WL1〜WL3,WL5は0Vに設定する。また、ビット線BL1に電圧V1、例えば0Vを印加しソース線SL2にビット線BL1の電圧V1よりも高い電圧V2、例えば1Vを印加する。すると、当該セルトランジスタ24の制御ゲートCG24は5V、ドレインD24は0V、ソースS24は1V、にそれぞれ設定される。なお、ビット線BL1およびソース線SL2は開放状態(OPEN)に設定する。
【0048】
これにより、例えば図4(A) を参照して説明した例では、セルトランジスタ22,24の閾値電圧Vtは、いずれも読み出し時の制御ゲート電圧Vcgの5Vよりも低い電圧Vt=Lに設定されているので、制御ゲート電圧Vcgが制御ゲートCG22に印加されると当該セルトランジスタ22がオフ状態からオン状態に移行してビット線BL1に電流が流れる。同様に、制御ゲート電圧Vcgが制御ゲートCG24に印加されると当該セルトランジスタ24がオフ状態からオン状態に移行してビット線BL1に電流が流れる。このため、先の定義では、これらのセルトランジスタ22,24からデータ「0」が読み出される。
【0049】
なお、このように隣接するセルトランジスタ22を読み出し対象とする場合、電圧V2の電位と電圧V1の電位を逆転させて印加することによりビット線BL1から電流が出力されるのは、前述したように、これらのセルトランジスタのドレインとソースとがチャネル形成領域を挟んで左右対称(面方向対象)に形成されており、印加する電位が高い方がドレイン、低い方がソースとして機能するからである。以下、不揮発性メモリが書き換え不能に構成される場合のデータの読出しにおいても同様である。
【0050】
<データの読出し(不揮発性メモリが書き換え不能に構成される場合)>
一方、当該不揮発性メモリがマスクROMとして構成される場合も、データの読出し時においては、前述したEEPROM等として構成される場合と同様に、図6(A) に示すように、各電圧が印加される。すると、例えば、読み出し対象をセルトランジスタ21にしたときには、当該セルトランジスタ21の制御ゲートCG21は5V、ドレインD21は1V、ソースS21は0V、にそれぞれ設定される。同様に、図6(C) に示すように、例えば、読み出し対象をセルトランジスタ23にしたときには、当該セルトランジスタ23の制御ゲートCG23は5V、ドレインD23は1V、ソースS23は0V、にそれぞれ設定される。
【0051】
これにより、例えば図4(B) を参照して説明した例では、セルトランジスタ21については、読み出し時の制御ゲート電圧Vcgを印加しても、当該セルトランジスタ21のドレインD21とビット線BL2とは電気的に接続されていないので(図6(A) に示す破線α内)、ソース線SL1には電流が流れない。このため、先の定義では、当該セルトランジスタ21からデータ「1」が読み出される。これに対し、セルトランジスタ23については、当該セルトランジスタ23のドレインD23とビット線BL2とは電気的に接続されているので(図6(C) に示す破線γ内)、制御ゲート電圧Vcgが制御ゲートCG23に印加されると当該セルトランジスタ23がオフ状態からオン状態に移行してソース線SL1に電流が流れる。このため、先の定義では、当該セルトランジスタ23からデータ「0」が読み出される。
【0052】
また、データの読出し時においては、図6(B) に示すように、例えば、読み出し対象をセルトランジスタ21に隣接するセルトランジスタ22にしたときも、前述したEEPROM等として構成される場合と同様に、電圧V2と電圧V1の電位を逆転させて印加する。すると、当該セルトランジスタ22の制御ゲートCG22は5V、ドレインD22は0V、ソースS22は1V、にそれぞれ設定される。同様に、図6(D) に示すように、例えば読み出し対象をセルトランジスタ24にしたときには、当該セルトランジスタ24の制御ゲートCG24は5V、ドレインD24は0V、ソースS24は1V、にそれぞれ設定される。
【0053】
これにより、例えば図4(B) を参照して説明した例では、セルトランジスタ22,24については、いずれもソースS22,S24とソース線SL2とは電気的に接続されているので(図6(B) に示す破線β内、図6(D) に示す破線δ内)、制御ゲート電圧Vcgが制御ゲートCG22,CG24に印加されると当該セルトランジスタ22,24がオフ状態からオン状態に移行してビット線BL1に電流が流れる。このため、先の定義では、当該セルトランジスタ22,24からデータ「0」が読み出される。
【0054】
不揮発性メモリが書き込み可能・不能のいずれの場合においても、このようにビット線BL1やソース線SL1に流れる電流の有無を順次検出することによって、セルトランジスタ21〜25において記憶されているデータの読み出しが順次行われる。
【0055】
なお、このようなビット線BL2やソース線SL2に対する電圧の印加や、ビット線BL1やソース線SL1に流れる電流の検出は、例えば、図7に示すようなブロック図による周辺回路により行われる。
【0056】
即ち、図7に示すように、本第1実施形態に係る不揮発性メモリは、上述したセルトランジスタ21等をマトリックス状に並べて配置して構成されるメモリセルトランジスタマトリックス100を中心に、Xアドレスデコーダ110、Yゲート120、Yアドレスデコーダ130、アドレスバッファ140、書込み回路150、センスアンプ160、入出力バッファ170等から構成される。
【0057】
メモリセルマトリックス100には、Xアドレスデコーダ110とYゲート120とが接続されている。Xアドレスデコーダ110は、メモリセルマトリックス100の行、つまりワード線WL1〜WL5等に接続されており、選択したワード線WL1等に対して前述したような制御ゲート電圧Vcg(例えば5V)を印加する機能を有する。
【0058】
これに対し、Yゲート120は、メモリセルトランジスタマトリックス100の列、つまりビット線BL1,BL2等およびソース線SL1,SL2等に接続されており、選択したビット線BL2やソース線SL2等に対して電圧V1,V2を印加したり、選択したビット線BL1やソース線SL1等に流れる電流を検出したりする機能を有する。
【0059】
Yアドレスデコーダ130は、Yゲート120に接続されており、Yゲート120に対して列の選択信号を出力する機能を有する。アドレスバッファ140は、Xアドレスデコーダ110およびYアドレスデコーダ130に接続されており、外部から入力されるアドレス情報を一時記憶する機能してこれらにアドレス情報を出力する機能を有する。
【0060】
書込み回路150は、Yゲート120と入出力バッファ170との間に介在するように両者に接続されており、入出力バッファ170から入力される入力データ、つまり書き込みデータをYゲート120により書き込み可能にYゲート120に対して書込信号を生成し得る機能を有する。
【0061】
センスアンプ160も、Yゲート120と入出力バッファ170との間に介在するように両者に接続されており、Yゲート120から出力される出力データ、つまりデータ出力時に流れる電流値から「0」と「1」とを判定する機能を有する。
【0062】
入出力バッファ170は、外部から入力される入力データや外部に出力される出力データをそれぞれ一時格納する機能を有する。なお、アドレスバッファ140と入出力バッファ170は、図略の制御装置から出力される制御信号によって制御されている。
【0063】
以上説明したように本第1実施形態に係る不揮発性メモリでは、第1配線層LY2に形成されるビット線BL1によりコンタクトホールCH1,CH3,CH5を介してセルトランジスタ21〜25の各ドレインD21〜D25を共通に接続し、このビット線BL1にバイアホールVH1,VH3,VH5を介して接続可能に配置したビット線BL2を第2配線層LY4に形成する。また、第1配線層LY2に形成されるソース線SL1によりコンタクトホールCH2,CH4,CH6を介してセルトランジスタ21〜25の各ソースS21〜S25を共通に接続し、このソース線SL1にバイアホールVH2,VH4,VH6を介して接続可能に配置したソース線SL2を第2配線層LY4に形成する。
【0064】
これにより、当該不揮発性メモリの設計工程においては、セルトランジスタ21〜25により記憶されるデータを電気的に書き換え可能に構成する場合には、バイアホールVH1〜VH6を全て形成すれば良いし、またセルトランジスタ21〜25により記憶されるデータを電気的に書き換え不能に構成する場合には、例えばデータを書き込むセルトランジスタ21に対応するバイアホールVH1を除いて他のセルトランジスタ22〜25に対応するバイアホールVH2〜VH6を全て形成すれば良いので、例えば、EEPROM等の回路とマスクROMの回路との違いを、バイアホールVH1〜VH6の有無の違いにより吸収することができる。したがって、これらの回路設計を容易にすることから、設計工程における作業効率を向上することができる。
【0065】
また、当該不揮発性メモリの製造工程においては、セルトランジスタ21〜25により記憶されるデータを電気的に書き換え可能に構成する場合には、バイアホールVH1〜VH6を全て形成可能なフォトマスクを用意すれば良いし、またセルトランジスタ21〜25により記憶されるデータを電気的に書き換え不能に構成する場合には、例えばデータを書き込むセルトランジスタ21に対応するバイアホールVH1を除いて他のセルトランジスタ22〜25に対応するバイアホールVH2〜VH6を全て形成可能なフォトマスクを用意すれば良いので、例えば、EEPROM等の製造とマスクROMの製造との違いを、バイアホールVH1〜VH6の形成を制御可能なフォトマスクの種類により吸収することができる。したがって、これらの半導体製造プロセスの多くを共用化できることから、製造工程における作業効率を向上することができる。
【0066】
また、当該不揮発性メモリでは、ビット線BL2およびソース線SL2を同じ第2配線層LY4に形成することで配線層の総数が減少するため、製造工程の削減やそれに伴う製造コストの削減が可能となる。また、配線層の総数が減少することにより当該不揮発性メモリの厚さ(高さ)を薄く(低く)することができる。なお、本第1実施形態では、ビット線BL2およびソース線SL2を同じ第2配線層LY4に形成が、ビット線BL2とソース線SL2とを別の配線層に形成しても良い。
【0067】
さらに、セルトランジスタ21〜25が浮遊ゲートFG21〜FG25を備えたMOS構造を有するので、セルトランジスタ21〜25により記憶されるデータを電気的に書き換え可能や電気的に書き換え不能のいずれに構成する場合でも、例えば、浮遊ゲートFG21〜FG25を中和する工程やセルトランジスタ21〜25以外の回路機能を検査する工程等が必要となる一方で、セルトランジスタ21〜25により記憶されるデータを電気的に書き換え不能に構成する場合には、データの書換機能を検査する工程等のデータの書込みや消去に関する検査工程の必要がなくなる。
【0068】
即ち、図8(A) に示すように、セルトランジスタ21〜25により記憶されるデータを電気的に書き換え可能、つまり当該不揮発性メモリをEEPROM等として構成する場合には、セルトランジスタ21〜25を形成したウェハの製造工程が完了すると、まずステップS101の浮遊ゲート中和工程により、浮遊ゲートFG21〜FG25に紫外線を照射して浮遊ゲートFG21〜FG25中の電子とドナーの数を同一、つまり中和する。
【0069】
次にステップS103のメモリ以外の回路機能検証工程により、セルトランジスタ21〜25等から構成されるメモリセルトランジスタマトリックス100以外の、Xアドレスデコーダ110、Yゲート120、Yアドレスデコーダ130、アドレスバッファ140、書込み回路150、センスアンプ160、入出力バッファ170等による各機能が正常であることを検証する。
【0070】
次にステップS105のメモリ書換性能評価工程により、例えばセルトランジスタ21〜25等に所定のテストデータを書き込んだ後それを読み出して両データの一致を検証して評価した後、ステップS107のデータ書込み工程により、工場出荷時に予め記憶させておくデータを当該不揮発性メモリ(EPROM等)に書き込み、これにより書き込み対象となったセルトランジスタ21〜25等の浮遊ゲートFG21〜25等に電荷が保持されていることをステップS109の電荷保持試験工程により検査する。
【0071】
ステップS101〜109までの各工程はウェア状態で行われるので、次のステップS111のチップカット工程によりチップに分割した後、次にステップS113のパッケージ工程により各チップを樹脂モールド等によりそれぞれパッケージする。なお、このチップカット工程前の検査工程によりフェイルとなったチップはパッケージされない。
【0072】
先のステップS107のデータ書込み工程により浮遊ゲートFG21〜25等に保持されていた電荷は、ステップS109の電荷保持試験により減少しているため、次のステップS115のデータ再書込み工程により、工場出荷時に予め記憶させておくデータを当該不揮発性メモリ(EPROM等)に再度、書き込み、続くステップS117のデータ内容検証工程により、書き込んだデータと読み出したデータとの一致を検証する。これにより、当該不揮発性メモリの検査を完了する。
【0073】
これに対し、図8(B) に示すように、セルトランジスタ21〜25により記憶されるデータを電気的に書き換え不能、つまり当該不揮発性メモリをマスクROMとして構成する場合には、前述したステップS101〜S117のうち、ステップS105〜S109,S115を除いた工程で当該不揮発性メモリを検査する。
【0074】
即ち、ステップS103のメモリ以外の回路機能検証工程により、セルトランジスタ21〜25等から構成されるメモリセルトランジスタマトリックス100以外の、Xアドレスデコーダ110等による各機能が正常であることを検証した後、ステップS105のメモリ書換性能評価工程、ステップS107のデータ書込み工程、ステップS109の電荷保持試験工程を経ることなく(飛ばして)、ステップS111のチップカット工程に移る。また、ステップS113のパッケージ工程の後、ステップS115のデータ再書込み工程を経ることなく、ステップS117のデータ内容検証工程により読み出したデータが書き込まれているべきデータに一致することを検証する。
【0075】
これは、当該不揮発性メモリをマスクROMとして構成する場合には、前述したように、データの書き込みをバイアホールVH1〜VH6の有無、つまりバイアホールVH1〜VH6の形成を決定するフォトマスクにより行うため、データの書き込みに関する工程であるステップS105〜S109,S115による工程を飛ばして当該不揮発性メモリの検査を完了する。
【0076】
これにより、セルトランジスタ21〜25等により記憶されるデータを電気的に書き換え可能に構成する場合の検査工程をベースにして、セルトランジスタ21〜25等により記憶されるデータを電気的に書き換え不能に構成する場合には不要となるデータの書込みに関する検査工程(S105〜S109,S115)を省略して飛ばせば良いので、例えば、EEPROM等の検査とマスクROMの検査との違いを、検査項目の有無により吸収することができる。したがって、検査ラインを共通にできるので、検査工程の段取り等における省力化から、検査工程における作業効率を向上することができる。
【0077】
なお、図8(B) に示すステップS117のデータ内容検証工程は、例えばステップS111のチップカット工程の前に置いても良い。これにより、データ内容検証工程をパスしたチップだけをステップS113のパッケージ工程によりパッケージするので、フェイルチップのパッケージを防止することができる。
【0078】
[第2実施形態]
第2実施形態に係る不揮発性メモリは、ソース線が3層以上で構成されている場合に本発明の不揮発性半導体記憶装置を適用したものである。ここでは、例えば、ソース線SL1,SL2に加えて、これらに直交して配置されるソース線SL3をバイヤ形成層LY3に形成されている場合を例示して説明する。このため、第1実施形態に係る不揮発性メモリと実質的に同一の構成部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0079】
図9(A) および図10(A) に示すように、第2実施形態に係る不揮発性メモリは、前述した第1実施形態の不揮発性メモリと同様に並行して形成されるソース線SL1,SL2に対して、これらに直交して配置されるソース線SL3を備えている。そして、このソース線SL3とソース線SL1との間にバイアホールVH2,VH4,VH6が介在し、ソース線SL3とソース線SL2との間にバイアホールVH2’,VH4’,VH6’が介在し得るように、これらが形成されている。なお、図10(A) には、図9(A) に対応する平面レイアウトが図示されている。
【0080】
即ち、コンタクトホールCH2を介してセルトランジスタ21,22のソースS21,S22に接続されるソース線SL1と、ソース線SL2と、の間に、ソース線SL3を介在させて直列に接続された2つのバイアホールVH2,VH2’を接続し得るように、ソース線SL1〜SL3、バイアホールVH2,VH2’がそれぞれ配置されている。
【0081】
同様に、コンタクトホールCH4を介してセルトランジスタ23,24のソースS23,24に接続されるソース線SL1と、ソース線SL2と、の間に、ソース線SL3を介在させて直列に接続された2つのバイアホールVH4,VH4’を接続し得るように、またコンタクトホールCH6を介してセルトランジスタ25のソースS25に接続されるソース線SL1と、ソース線SL2と、の間に、ソース線SL3を介在させて直列に接続された2つのバイアホールVH6,VH6’を接続し得るように、ソース線SL1〜SL3、バイアホールVH4,VH4’,VH6,VH6’がそれぞれ配置されている。
【0082】
このように本第2実施形態に係る不揮発性メモリを構成することによって、セルトランジスタ21〜25により記憶されるデータを電気的に書き換え可能に構成する場合、つまり当該不揮発性メモリをEEPROM等として構成する場合には、ビット線BL1とビット線BL2とを接続するバイアホールVH1,VH3,VH5や、ソース線SL1とソース線SL2とを接続するバイアホールVH2,VH2’,VH4,VH4’,VH6,VH6’を、セルトランジスタ21〜25に接続されるそれぞれのコンタクトホールCH1〜CH6に対応して形成する。
【0083】
これに対して、セルトランジスタ21〜25により記憶されるデータを電気的に書き換え不能に構成する場合、つまり当該不揮発性メモリをマスクROMとして構成する場合には、例えば、図9(B) および図10(B) に示すように、例えば、書き込み対象となるセルトランジスタ21のドレインD21に接続されているコンタクトホールCH1に対応するバイアホールVH1を形成することなく(図9(B) に示す破線α内)、また書き込み対象となるセルトランジスタ24のソースS24に接続されているコンタクトホールCH4に対応するバイアホールVH4を形成することなく(図9(B) に示す破線δ内)、それ以外のバイアホールVH2,VH2’,VH3,VH4’,VH5,VH6,VH6’を形成する。なお、この場合における図9(B) に対応する平面レイアウト図は図10(B) に図示されている。
【0084】
これにより、当該不揮発性メモリがEEPROM等として構成されている場合やマスクROMとして構成されている場合には、データの読み出しが以下のように行われる。なお、データの書き込みは、前述した第1実施形態に係る不揮発性メモリと同様、当該不揮発性メモリがEEPROM等として構成される場合には、セルトランジスタ21等の浮遊ゲートFG21等にホットエレクトロンが注入されることによって行われ、また当該不揮発性メモリがマスクROMとして構成される場合には、書き込み対象となるセルトランジスタ21等に接続されるコンタクトホールCH1等に対応するバイアホールVH1等を形成しないことにより行われる。
【0085】
なお、不揮発性メモリが書き込み可能・不能のいずれの場合も、各セルトランジスタの浮遊ゲートは、製造工程中の浮遊ゲート中和工程において、閾値電圧Vtが読み出し時に印加される制御ゲート電圧(例えば5V)よりも低い電圧に設定される(以下「Vt=L」という)。
【0086】
<データの読出し(不揮発性メモリが書き換え可能に構成される場合)>
当該不揮発性メモリがEEPROM等として構成される場合、データの読出し時においては、図11(A) に示すように、例えば、読み出し対象をセルトランジスタ21にしたときには、当該セルトランジスタ21の制御ゲートCG21が接続されるワード線WL1に制御ゲート電圧Vcgとして5Vを印加し、これ以外のワード線WL2〜WL5は0Vに設定する。また、ビット線BL2に電圧V1、例えば1Vを印加しソース線SL1にビット線BL2の電圧V1よりも低い電圧V2、例えば0Vを印加する。すると、当該セルトランジスタ21の制御ゲートCG21は5V、ドレインD21は1V、ソースS21は0V、にそれぞれ設定される。なお、ビット線BL1およびソース線SL2,SL3は開放状態(OPEN)に設定する。
【0087】
これにより、セルトランジスタ21の閾値電圧Vtが読み出し時の制御ゲート電圧Vcgの5Vよりも高い電圧Vt=Hに設定されているときには、制御ゲート電圧Vcgが制御ゲートCG21に印加されても当該セルトランジスタ21はオン状態にはならずにソース線SL1には電流が流れない。このため、第1実施形態と同様の定義であれば当該セルトランジスタ21からデータ「1」が読み出される。
【0088】
また、データの読出し時においては、図11(B) に示すように、例えば読み出し対象をセルトランジスタ21に隣接するセルトランジスタ22にしたときには、電圧V2と電圧V1の電位を逆転させて印加する。即ち、ビット線BL1に電圧V1、例えば0Vを印加しソース線SL2にビット線BL1の電圧V1よりも高い電圧V2、例えば1Vを印加する。また当該セルトランジスタ22の制御ゲートCG22が接続されるワード線WL2に制御ゲート電圧Vcgとして5Vを印加し、これ以外のワード線WL1,WL3〜WL5は0Vに設定する。すると、当該セルトランジスタ22の制御ゲートCG22は5V、ドレインD22は0V、ソースS22は1V、にそれぞれ設定される。なお、ビット線BL1およびソース線SL2,SL3は開放状態(OPEN)に設定する。
【0089】
これにより、セルトランジスタ22の閾値電圧Vtが読み出し時の制御ゲート電圧Vcgの5Vよりも低い電圧Vt=Lに設定されているときには、制御ゲート電圧Vcgが制御ゲートCG22に印加されると当該セルトランジスタ22がオフ状態からオン状態に移行してビット線BL1に電流が流れる。このため、先の定義では、これらのセルトランジスタ22,24からデータ「0」が読み出される。
【0090】
<データの読出し(不揮発性メモリが書き換え不能に構成される場合)>
一方、当該不揮発性メモリがマスクROMとして構成される場合も、データの読出し時においては、前述したEEPROM等として構成される場合と同様に、図12(A) に示すように、各電圧が印加される。すると、例えば、読み出し対象をセルトランジスタ21にしたときには、当該セルトランジスタ21の制御ゲートCG21は5V、ドレインD21は1V、ソースS21は0V、にそれぞれ設定される。
【0091】
これにより、図9(B) や図10(B) に示す例では、セルトランジスタ21については、読み出し時の制御ゲート電圧Vcgを印加しても、当該セルトランジスタ21のドレインD21とビット線BL2とは電気的に接続されていないので(図9(A) に示す破線α内)、ソース線SL1には電流が流れない。このため、先の定義では、当該セルトランジスタ21からデータ「1」が読み出される。
【0092】
また、データの読出し時においては、図12(B) に示すように、例えば、読み出し対象をセルトランジスタ21に隣接するセルトランジスタ22にしたときも、前述したEEPROM等として構成される場合と同様に、電圧V2と電圧V1の電位を逆転させて印加する。すると、当該セルトランジスタ22の制御ゲートCG22は5V、ドレインD22は0V、ソースS22は1V、にそれぞれ設定される。同様に、例えば読み出し対象をセルトランジスタ24にしたときには、当該セルトランジスタ24の制御ゲートCG24は5V、ドレインD24は0V、ソースS24は1V、にそれぞれ設定される。
【0093】
これにより、図9(B) や図10(B) に示す例では、セルトランジスタ22については、ソースS22とソース線SL2とは電気的に接続されているので(図12(B) に示す破線β内)、制御ゲート電圧Vcgが制御ゲートCG22に印加されると当該セルトランジスタ22がオフ状態からオン状態に移行してビット線BL1に電流が流れる。このため、先の定義では、当該セルトランジスタ22からデータ「0」が読み出される。これに対し、セルトランジスタ24については、ソースS24とソース線SL2とは電気的に接続されていないので(図12(B) に示す破線δ内)、ビット線BL1には電流が流れない。このため、先の定義では、当該セルトランジスタ24からデータ「1」が読み出される。
【0094】
このようにソース線が3層構造で構成されている場合においても、前述した第1実施形態の不揮発性メモリと同様に、当該不揮発性メモリの設計工程においては、セルトランジスタ21〜25により記憶されるデータを電気的に書き換え可能に構成する場合には、バイアホールVH1〜VH6,VH2’,VH4’,VH6’を全て形成すれば良いし、またセルトランジスタ21〜25により記憶されるデータを電気的に書き換え不能に構成する場合には、例えば書き込み対象となるセルトランジスタ24に対応するバイアホールVH4を形成することなく、それ以外のバイアホールVH1,VH2,VH2’,VH3,VH4’,VH5,VH6,VH6’を全て形成すれば良いので、例えば、EEPROM等の回路とマスクROMの回路との違いを、バイアホールVH1〜VH6,VH2’,VH4’,VH6’の有無の違いにより吸収することができる。したがって、これらの回路設計を容易にすることから、設計工程における作業効率を向上することができる。
【0095】
また、当該不揮発性メモリの製造工程においても、同様に、セルトランジスタ21〜25により記憶されるデータを電気的に書き換え可能に構成する場合には、バイアホールVH1〜VH6を全て形成可能なフォトマスクを用意すれば良いし、またセルトランジスタ21〜25により記憶されるデータを電気的に書き換え不能に構成する場合には、例えば書き込み対象となるセルトランジスタ24に対応するバイアホールVH4を形成することなく、それ以外のバイアホールVH1,VH2,VH2’,VH3,VH4’,VH5,VH6,VH6’を全て形成可能なフォトマスクを用意すれば良いので、例えば、EEPROM等の製造とマスクROMの製造との違いを、バイアホールVH1〜VH6,VH2’,VH4’,VH6’の形成を制御可能なフォトマスクの種類により吸収することができる。したがって、これらの半導体製造プロセスの多くを共用化できることから、製造工程における作業効率を向上することができる。
【0096】
さらに、当該不揮発性メモリの製造工程においても、第1実施形態と同様に、セルトランジスタ21〜25が浮遊ゲートFG21〜FG25を備えたMOS構造を有するので、セルトランジスタ21〜25により記憶されるデータを電気的に書き換え可能や電気的に書き換え不能のいずれに構成する場合でも、例えば、浮遊ゲートFG21〜FG25を中和する工程やセルトランジスタ21〜25以外の回路機能を検査する工程等が必要となる一方で、セルトランジスタ21〜25により記憶されるデータを電気的に書き換え不能に構成する場合には、データの書換機能を検査する工程等のデータの書込みや消去に関する検査工程の必要がなくなる。したがって、検査ラインを共通にできるので、検査工程の段取り等における省力化から、検査工程における作業効率を向上することができる。
【0097】
なお、上述した例では、当該不揮発性メモリをマスクROMとして構成する場合、バイアホールVH2,VH4,VH6を形成するか否かによってデータの書き込みを実現したが、これらに接続されるバイアホールVH2’,VH4’,VH6’を形成するか否かによってデータの書き込みを実現しても良く、この場合にも前述したのと同様の作用および効果を得ることができる。
【0098】
また、上述した例では、ソース線が3層以上で構成されている場合に本発明の不揮発性半導体記憶装置を適用した例を挙げて説明したが、ビット線が3層以上で構成されている場合においても、第1実施形態の不揮発性メモリと同様に並行して形成されるビット線BL1,BL2に対して、これらに直交して配置されるビット線BL3を備え、このビット線BL3とビット線BL1との間にバイアホールVH1,VH3,VH5が介在し、ビット線BL3とビット線BL2との間にバイアホールVH1’,VH3’,VH5’が介在し得るように、これらを形成することで、前述したのと同様の作用および効果を得ることができる。
【0099】
[第3実施形態]
第3実施形態に係る不揮発性メモリは、隣り合う2個一組のセルトランジスタの組ごとに共通のソース線が設けられている場合に本発明の不揮発性半導体記憶装置を適用したものである。ここでは、例えば、隣り合う2個一組のセルトランジスタ21,22の組やセルトランジスタ23,24の組ごと等に共通に設けられるソース線SL1a,SL1b,ソース線SL1cを、ビット線BL1,BL2やソース線SL2に直交して他の配線層に配置される場合を例示して説明する。このため、第1実施形態に係る不揮発性メモリと実質的に同一の構成部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0100】
図13に示すように、第3実施形態に係る不揮発性メモリは、前述した第1実施形態の不揮発性メモリと同様に並行して形成されるビット線BL1,BL2やソース線SL2に対して、これらに直交(ワード線WL1〜WL6に並行)して配置されるソース線SL1a〜SL1cを備えている。ソース線SL1aは、セルトランジスタ21のソースS21とセルトランジスタ22のソースS22とに共通に接続され、ソース線SL1bは、セルトランジスタ23のソースS23とセルトランジスタ24のソースS24とに共通に接続される。またソース線SL1cは、セルトランジスタ25のソースS25とこれに隣接する図略のセルトランジスタのソースとに共通に接続される。
【0101】
また、ビット線BL1とビット線BL2との間には、前述した第1実施形態の不揮発性メモリと同様にバイアホールVH1,VH3,VH5が介在しており、さらにビット線BL2とソース線SL2との間には、バイアホールVH1’,VH3’,VH5’が介在している。
【0102】
即ち、コンタクトホールCH1を介してセルトランジスタ21のドレインD21に接続されるビット線BL1と、ソース線SL2と、の間に、ビット線BL2を介在させて直列に接続された2つのバイアホールVH1,VH1’を接続し得るように、ビット線BL1,BL2,ソース線SL2、バイアホールVH1,VH1’がそれぞれ配置されている。
【0103】
同様に、コンタクトホールCH3を介してセルトランジスタ22,23のドレインD22,D23に接続されるビット線BL1と、ソース線SL2と、の間に、ビット線BL2を介在させて直列に接続された2つのバイアホールVH3,VH3’を接続し得るように、またコンタクトホールCH5を介してセルトランジスタ24,25のドレインD24,D25に接続されるビット線BL1と、ソース線SL2と、の間に、ビット線BL2を介在させて直列に接続された2つのバイアホールVH5,VH5’を接続し得るように、ビット線BL1,BL2,ソース線SL2、バイアホールVH3,VH3’,VH5,VH5’がそれぞれ配置されている。
【0104】
このように本第3実施形態に係る不揮発性メモリを構成することによって、セルトランジスタ21〜25により記憶されるデータを電気的に書き換え可能に構成する場合、つまり当該不揮発性メモリをEEPROM等として構成する場合には、ビット線BL1とビット線BL2とを接続するバイアホールVH1,VH3,VH5や、ビット線BL2とソース線SL2とを接続するバイアホールVH1’,VH3’,VH5’を、セルトランジスタ21〜25に接続されるそれぞれのコンタクトホールCH1,CH3,CH5に対応して形成する。
【0105】
これに対して、セルトランジスタ21〜25により記憶されるデータを電気的に書き換え不能に構成する場合、つまり当該不揮発性メモリをマスクROMとして構成する場合には、例えば、図14に示すように、例えば、書き込み対象となるセルトランジスタ21のドレインD21に接続されているコンタクトホールCH1に対応するバイアホールVH1,VH1’を形成することなく(図14(A) に示す破線α内)、それ以外のバイアホールVH3,VH3’,VH5,VH5’を形成する。
【0106】
これにより、当該不揮発性メモリがEEPROM等として構成されている場合やマスクROMとして構成されている場合には、データの読み出しが以下のように行われる。なお、データの書き込みは、前述した第1実施形態に係る不揮発性メモリと同様、当該不揮発性メモリがEEPROM等として構成される場合には、セルトランジスタ21等の浮遊ゲートFG21等にホットエレクトロンが注入されることによって行われ、また当該不揮発性メモリがマスクROMとして構成される場合には、書き込み対象となるセルトランジスタ21等に接続されるコンタクトホールCH1等に対応するバイアホールVH1等を形成しないことにより行われる。
【0107】
なお、不揮発性メモリが書き込み可能・不能のいずれの場合も、各セルトランジスタの浮遊ゲートは、製造工程中の浮遊ゲート中和工程において、閾値電圧Vtが読み出し時に印加される制御ゲート電圧(例えば5V)よりも低い電圧に設定される(以下「Vt=L」という)。
【0108】
<データの読出し(不揮発性メモリが書き換え可能に構成される場合)>
当該不揮発性メモリがEEPROM等として構成される場合、データの読出し時においては、図13(A) に示すように、例えば、読み出し対象をセルトランジスタ21にしたときには、当該セルトランジスタ21の制御ゲートCG21が接続されるワード線WL1に制御ゲート電圧Vcgとして5Vを印加し、これ以外のワード線WL2〜WL5は0Vに設定する。また、ビット線BL2に電圧V1、例えば1Vを印加しソース線SL1aにビット線BL2の電圧V1よりも低い電圧V2、例えば0Vを印加する。すると、当該セルトランジスタ21の制御ゲートCG21は5V、ドレインD21は1V、ソースS21は0V、にそれぞれ設定される。なお、ビット線BL1およびソース線SL2は開放状態(OPEN)、また他のソース線SL1b,SL1cは0Vに設定する。
【0109】
これにより、セルトランジスタ21の閾値電圧Vtが読み出し時の制御ゲート電圧Vcgの5Vよりも高い電圧Vt=Hに設定されているときには、制御ゲート電圧Vcgが制御ゲートCG21に印加されても当該セルトランジスタ21はオン状態にはならずにソース線SL1には電流が流れない。このため、第1実施形態と同様の定義であれば当該セルトランジスタ21からデータ「1」が読み出される。
【0110】
また、データの読出し時においては、図13(B) に示すように、例えば読み出し対象をセルトランジスタ21に隣接するセルトランジスタ22にしたときには、ソース線SL2に電圧V1、例えば1Vを印加し、ソース線SL1aにソース線SL2の電圧V1よりも低い電圧V2、例えば0Vを印加する。また当該セルトランジスタ22の制御ゲートCG22が接続されるワード線WL2に制御ゲート電圧Vcgとして5Vを印加し、これ以外のワード線WL1,WL3〜WL5は0Vに設定する。すると、当該セルトランジスタ22の制御ゲートCG22は5V、ドレインD22は1V、ソースS22は0V、にそれぞれ設定される。なお、ビット線BL1およびソース線SL2,SL3は開放状態(OPEN)、また他のソース線SL1b,SL1cは0Vに設定する。
【0111】
これにより、セルトランジスタ22の閾値電圧Vtが読み出し時の制御ゲート電圧Vcgの5Vよりも低い電圧Vt=Lに設定されているときには、制御ゲート電圧Vcgが制御ゲートCG22に印加されると当該セルトランジスタ22がオフ状態からオン状態に移行してソース線SL1aに電流が流れる。このため、先の定義では、これらのセルトランジスタ22,24からデータ「0」が読み出される。
【0112】
<データの読出し(不揮発性メモリが書き換え不能に構成される場合)>
一方、当該不揮発性メモリがマスクROMとして構成される場合も、データの読出し時においては、前述したEEPROM等として構成される場合と同様に、図14(A) に示すように、各電圧が印加される。すると、例えば、読み出し対象をセルトランジスタ21にしたときには、当該セルトランジスタ21の制御ゲートCG21は5V、ドレインD21は1V、ソースS21は0V、にそれぞれ設定される。
【0113】
これにより、図14(A) に示す例では、読み出し時の制御ゲート電圧Vcgを印加しても、当該セルトランジスタ21のドレインD21とビット線BL2とは電気的に接続されていないので(図14(A) に示す破線α内)、ソース線SL1aには電流が流れない。このため、先の定義では、当該セルトランジスタ21からデータ「1」が読み出される。
【0114】
また、データの読出し時においては、図14(B) に示すように、例えば、読み出し対象をセルトランジスタ21に隣接するセルトランジスタ22にしたときも、前述したEEPROM等として構成される場合と同様に、ソース線SL2に電圧V1、例えば1Vを印加し、ソース線SL1aにソース線SL2の電圧V1よりも低い電圧V2、例えば0Vを印加する。また当該セルトランジスタ22の制御ゲートCG22が接続されるワード線WL2に制御ゲート電圧Vcgとして5Vを印加し、これ以外のワード線WL1,WL3〜WL5は0Vに設定する。すると、当該セルトランジスタ22の制御ゲートCG22は5V、ドレインD22は1V、ソースS22は0V、にそれぞれ設定される。
【0115】
これにより、図14(B) に示す例では、ドレインD22とソース線SL2とは電気的に接続されているので(図14(B) に示す破線β内)、制御ゲート電圧Vcgが制御ゲートCG22に印加されると当該セルトランジスタ22がオフ状態からオン状態に移行してビット線BL1に電流が流れる。このため、先の定義では、当該セルトランジスタ22からデータ「0」が読み出される。
【0116】
このように隣り合う2個一組のセルトランジスタの組ごとに共通のソース線が設けられている場合においても、前述した第1実施形態の不揮発性メモリと同様に、当該不揮発性メモリの設計工程においては、セルトランジスタ21〜25により記憶されるデータを電気的に書き換え可能に構成する場合には、バイアホールVH1,VH1’,VH3,VH3’,VH5,VH5’を全て形成すれば良いし、またセルトランジスタ21〜25により記憶されるデータを電気的に書き換え不能に構成する場合には、例えば書き込み対象となるセルトランジスタ21に対応するバイアホールVH1,VH1’を形成することなく、それ以外のバイアホールVH3,VH3’,VH5,VH5’を全て形成すれば良いので、例えば、EEPROM等の回路とマスクROMの回路との違いを、バイアホールVH1,VH1’,VH3,VH3’,VH5,VH5’の有無の違いにより吸収することができる。したがって、これらの回路設計を容易にすることから、設計工程における作業効率を向上することができる。
【0117】
また、当該不揮発性メモリの製造工程においても、同様に、セルトランジスタ21〜25により記憶されるデータを電気的に書き換え可能に構成する場合には、バイアホールVH1,VH1’,VH3,VH3’,VH5,VH5’を全て形成可能なフォトマスクを用意すれば良いし、またセルトランジスタ21〜25により記憶されるデータを電気的に書き換え不能に構成する場合には、例えば書き込み対象となるセルトランジスタ21に対応するバイアホールVH1,VH1’を形成することなく、それ以外のバイアホールVH3,VH3’,VH5,VH5’を全て形成可能なフォトマスクを用意すれば良いので、例えば、EEPROM等の製造とマスクROMの製造との違いを、バイアホールVH1,VH1’,VH3,VH3’,VH5,VH5’の形成を制御可能なフォトマスクの種類により吸収することができる。したがって、これらの半導体製造プロセスの多くを共用化できることから、製造工程における作業効率を向上することができる。
【0118】
さらに、当該不揮発性メモリの製造工程においても、第1実施形態と同様に、セルトランジスタ21〜25が浮遊ゲートFG21〜FG25を備えたMOS構造を有するので、セルトランジスタ21〜25により記憶されるデータを電気的に書き換え可能や電気的に書き換え不能のいずれに構成する場合でも、例えば、浮遊ゲートFG21〜FG25を中和する工程やセルトランジスタ21〜25以外の回路機能を検査する工程等が必要となる一方で、セルトランジスタ21〜25により記憶されるデータを電気的に書き換え不能に構成する場合には、データの書換機能を検査する工程等のデータの書込みや消去に関する検査工程の必要がなくなる。したがって、検査ラインを共通にできるので、検査工程の段取り等における省力化から、検査工程における作業効率を向上することができる。
【0119】
[参考例]
これまで説明した第1〜第3実施形態に係る不揮発性メモリでは、ビット線BL1(第1主配線)とビット線BL2(第1副配線)とを接続し得るバイアホールVH1,VH3,VH5や、ソース線SL1(第2主配線)とソース線SL2(第2副配線)とを接続し得るバイアホールVH2,VH4,VH6を全て設けてEEPROM等を構成したり、その一部を設けることなくマスクROMを構成したりしたが、ここでは、参考例として、ビット線BL2(第1副配線)、ソース線SL2(第2副配線)、バイアホールVH1〜VH6を設けることなく、EEPROM等およびマスクROMのいずれも構成可能な不揮発性メモリの構成を説明する。
【0120】
図15に示すように、参考例に係る不揮発性メモリは、前述した各実施形態と同様に、浮遊ゲートを備えたセルトランジスタとして、セルトランジスタ21〜23を備えており、これらのセルトランジスタ21〜23は、ドレインにビット線BL1、またソースにソース線SL1が、それぞれコンタクトホールを介して接続されている。またこれらの制御ゲートには、個々にワード線WL1〜WL3が接続されている。
【0121】
例えば、セルトランジスタ21の場合、ドレインD21はコンタクトホールCH1を介してビット線BL1、またソースS21はコンタクトホールCH2を介してソース線SL1、制御ゲートCG21はワード線WL1、にそれぞれ接続されている。同様に、セルトランジスタ22は、ドレインD22がコンタクトホールCH3を介してビット線BL1、ソースS22がコンタクトホールCH4を介してソース線SL1、制御ゲートCG22がワード線WL2、にそれぞれ接続されている。
【0122】
また、ビット線BL1とソース線SL1とは、例えばアルミニウムからなるアルミ配線であり、いずれも第1配線層LY2に形成されている。なお、両配線は、このように同じ第1配線層LY2に形成しても良いし、別の配線層にそれぞれ形成しても良い。
【0123】
このように当該不揮発性メモリを構成することにより、データの書き込みは、前述した第1〜第3実施形態に係る不揮発性メモリと同様、当該不揮発性メモリがEEPROM等として構成される場合には、セルトランジスタ21等の浮遊ゲートFG21等にホットエレクトロンが注入されることによって行われる。
【0124】
また、当該不揮発性メモリがマスクROMとして構成される場合には、書き込み対象となるセルトランジスタ21等に接続されるコンタクトホールCH1等を形成しないことによりデータの書き込みが行われる。この点が、例えば、書き込み対象となるセルトランジスタ21のドレインD21に接続されているコンタクトホールCH1に対応するバイアホールVH1を形成しない、前述した第1〜第3実施形態の不揮発性メモリと異なる。
【0125】
なお、不揮発性メモリが書き込み可能・不能のいずれの場合も、各セルトランジスタの浮遊ゲートは、製造工程中の浮遊ゲート中和工程において、閾値電圧Vtが読み出し時に印加される制御ゲート電圧(例えば5V)よりも低い電圧に設定される(以下「Vt=L」という)。また、データの読み出しは以下のように行われる。
【0126】
<データの読出し(不揮発性メモリが書き換え可能に構成される場合)>
当該不揮発性メモリがEEPROM等として構成される場合、データの読出し時においては、図15(A) に示すように、例えば、読み出し対象をセルトランジスタ21にしたときには、当該セルトランジスタ21の制御ゲートCG21が接続されるワード線WL1に制御ゲート電圧Vcgとして5Vを印加し、これ以外のワード線WL2,WL3は0Vに設定する。また、ビット線BL1に電圧V1、例えば1Vを印加しソース線SL1にビット線BL1の電圧V1よりも低い電圧V2、例えば0Vを印加する。すると、当該セルトランジスタ21の制御ゲートCG21は5V、ドレインD21は1V、ソースS21は0V、にそれぞれ設定される。
【0127】
これにより、セルトランジスタ21の閾値電圧Vtが読み出し時の制御ゲート電圧Vcgの5Vよりも高い電圧Vt=Hに設定されているときには、制御ゲート電圧Vcgが制御ゲートCG21に印加されても当該セルトランジスタ21はオン状態にはならずにソース線SL1には電流が流れない。このため、第1実施形態と同様の定義であれば当該セルトランジスタ21からデータ「1」が読み出される。
【0128】
また、データの読出し時においては、図15(B) に示すように、例えば読み出し対象をセルトランジスタ21に隣接するセルトランジスタ22にしたときには、ビット線BL1に電圧V1、例えば1Vを印加し、ソース線SL1にビット線BL1の電圧V1よりも低い電圧V2、例えば0Vを印加する。すると、当該セルトランジスタ22の制御ゲートCG22は5V、ドレインD22は1V、ソースS22は0V、にそれぞれ設定される。
【0129】
これにより、セルトランジスタ22の閾値電圧Vtが読み出し時の制御ゲート電圧Vcgの5Vよりも低い電圧Vt=Lに設定されているときには、制御ゲート電圧Vcgが制御ゲートCG22に印加されると当該セルトランジスタ22がオフ状態からオン状態に移行してソース線SL1に電流が流れる。このため、先の定義では、これらのセルトランジスタ22,24からデータ「0」が読み出される。
【0130】
<データの読出し(不揮発性メモリが書き換え不能に構成される場合)>
一方、当該不揮発性メモリがマスクROMとして構成される場合も、データの読出し時においては、前述したEEPROM等として構成される場合と同様に、図16(A) に示すように、各電圧が印加される。すると、例えば、読み出し対象をセルトランジスタ21にしたときには、当該セルトランジスタ21の制御ゲートCG21は5V、ドレインD21は1V、ソースS21は0V、にそれぞれ設定される。
【0131】
これにより、図16(A) に示す例では、読み出し時の制御ゲート電圧Vcgを印加しても、当該セルトランジスタ21のドレインD21とビット線BL1との間にはコンタクトホールCH1が形成されてなくこれらは電気的に接続されていないので(図16(A) に示す破線α内)、ソース線SL1には電流が流れない。このため、先の定義では、当該セルトランジスタ21からデータ「1」が読み出される。
【0132】
また、データの読出し時においては、図16(B) に示すように、例えば、読み出し対象をセルトランジスタ21に隣接するセルトランジスタ22にしたときも、前述したEEPROM等として構成される場合と同様に、ビット線BL1に電圧V1、例えば1Vを印加し、ソース線SL1にビット線BL1の電圧V1よりも低い電圧V2、例えば0Vを印加する。すると、当該セルトランジスタ22の制御ゲートCG22は5V、ドレインD22は1V、ソースS22は0V、にそれぞれ設定される。
【0133】
これにより、図16(B) に示す例では、ドレインD22とソース線SL2との間にはコンタクトホールCH3が形成されており電気的に接続されているので(図16(B) に示す破線β内)、制御ゲート電圧Vcgが制御ゲートCG22に印加されると当該セルトランジスタ22がオフ状態からオン状態に移行してソース線SL1に電流が流れる。このため、先の定義では、当該セルトランジスタ22からデータ「0」が読み出される。
【0134】
このようにビット線BL2、ソース線SL2、バイアホールVH1〜VH6を設けない場合においても、前述した第1実施形態の不揮発性メモリと同様に、当該不揮発性メモリの設計工程においては、セルトランジスタ21〜25により記憶されるデータを電気的に書き換え可能に構成する場合には、コンタクトホールCH1〜CH6を全て形成すれば良いし、またセルトランジスタ21〜25により記憶されるデータを電気的に書き換え不能に構成する場合には、例えば書き込み対象となるセルトランジスタ21に対応するコンタクトホールCH1を形成することなく、それ以外のコンタクトホールCH2〜CH6を全て形成すれば良いので、例えば、EEPROM等の回路とマスクROMの回路との違いを、コンタクトホールCH1〜CH6の有無の違いにより吸収することができる。したがって、これらの回路設計を容易にすることから、設計工程における作業効率を向上することができる。
【0135】
また、当該不揮発性メモリの製造工程においても、同様に、セルトランジスタ21〜25により記憶されるデータを電気的に書き換え可能に構成する場合には、コンタクトホールCH1〜CH6を全て形成可能なフォトマスクを用意すれば良いし、またセルトランジスタ21〜25により記憶されるデータを電気的に書き換え不能に構成する場合には、例えば書き込み対象となるセルトランジスタ21に対応するコンタクトホールCH1を形成することなく、それ以外のコンタクトホールCH2〜CH6を全て形成可能なフォトマスクを用意すれば良いので、例えば、EEPROM等の製造とマスクROMの製造との違いを、コンタクトホールCH1〜CH6の形成を制御可能なフォトマスクの種類により吸収することができる。したがって、これらの半導体製造プロセスの多くを共用化できることから、製造工程における作業効率を向上することができる。
【0136】
さらに、当該不揮発性メモリの製造工程においても、第1実施形態と同様に、セルトランジスタ21〜25が浮遊ゲートFG21〜FG25を備えたMOS構造を有するので、セルトランジスタ21〜25により記憶されるデータを電気的に書き換え可能や電気的に書き換え不能のいずれに構成する場合でも、例えば、浮遊ゲートFG21〜FG25を中和する工程やセルトランジスタ21〜25以外の回路機能を検査する工程等が必要となる一方で、セルトランジスタ21〜25により記憶されるデータを電気的に書き換え不能に構成する場合には、データの書換機能を検査する工程等のデータの書込みや消去に関する検査工程の必要がなくなる。したがって、検査ラインを共通にできるので、検査工程の段取り等における省力化から、検査工程における作業効率を向上することができる。
【0137】
次に、本発明の不揮発性半導体記憶装置の製造方法の実施形態について各図を参照して説明する。ここでは、前述した第1実施形態の不揮発性メモリを製造するプロセス例を製造方法1,2として説明する。なお、図17および図18には、本実施形態に係る製造方法1により製造されるセルトランジスタの模式的断面図が図示されている。また、図19および図20には、本実施形態に係る製造方法2により製造されるセルトランジスタの模式的断面図が図示されている。
【0138】
<製造方法1>
本実施形態に係る製造方法1は、多結晶シリコンを2層構造(2層ポリ構造)により当該不揮発性メモリのセルトランジスタおよびその周辺トランジスタ等を形成するものである。なお、ここでは、セルトランジスタ21を形成する工程を例示し、また周辺トランジスタとして、例えば、ロジック信号を処理する低電圧用トランジスタやアナログ信号を処理する高電圧用トランジスタを形成する工程を例示して説明する。
【0139】
まず、図17(A) に示すように、第1酸化膜形成工程による熱酸化法によりシリコン基板20の表面にゲート酸化膜32を形成し、さらに素子間分離領域形成工程によるLOCOS法等により素子間分離領域31を形成する。
【0140】
次に図17(B) に示すように、第1多結晶シリコン層形成工程により素子間分離領域31およびゲート酸化膜32の上に第1多結晶シリコン層33を形成し、層間絶縁膜形成工程によりその上に層間絶縁膜34を形成する。そして、フォトマスク露光・現像工程により、セルトランジスタ21を形成する範囲をフォトレジスト41で覆う。
【0141】
図17(C) に示すように、エッチング工程により、露出した層間絶縁膜34やその下の第1多結晶シリコン層33を物理的または化学的に食刻処理して除去した後、フォトマスク除去工程により、フォトレジスト41を酸素プラズマ等を用いて灰化処理して除去する。また、低電圧用トランジスタを形成する範囲のゲート酸化膜32を除去する。
【0142】
図17(D) に示すように、第2酸化膜形成工程により低電圧用トランジスタを形成する範囲に新たにゲート酸化膜32’を形成する。このゲート酸化膜32’は、高電圧用トランジスタを形成する範囲のゲート酸化膜32よりも薄く形成される。
【0143】
図18(A) に示すように、第2多結晶シリコン層形成工程により、素子間分離領域31、ゲート酸化膜32,32’および層間絶縁膜34の上に、第2多結晶シリコン層35を形成する。そして、フォトマスク露光・現像工程により、低電圧用トランジスタや高電圧用トランジスタを形成する範囲、およびセルトランジスタ21の浮遊ゲートFG21を形成する範囲をフォトレジスト42で覆う。
【0144】
図18(B) に示すように、エッチング工程により、露出した第2多結晶シリコン層35やその下の層間絶縁膜34および第1多結晶シリコン層33を物理的または化学的に食刻処理して除去した後、フォトマスク除去工程により、フォトレジスト42を酸素プラズマ等を用いて灰化処理して除去する。そして、フォトマスク露光・現像工程により、セルトランジスタ21を形成する範囲および低電圧用トランジスタや高電圧用トランジスタのゲート電極を形成する範囲をフォトレジスト43で覆う。
【0145】
図18(C) に示すように、エッチング工程により、露出した第2多結晶シリコン層35を物理的または化学的に食刻処理して除去した後、フォトマスク除去工程により、フォトレジスト42を酸素プラズマ等を用いて灰化処理して除去する。そして、不純物注入工程および拡散工程により、セルトランジスタ21のドレインD21やソースS21、また低電圧用トランジスタや高電圧用トランジスタのドレインDやソースSを形成する。
【0146】
なお、図18(C) に示すセルトランジスタ21のゲート酸化膜32は、図2(B) に示すゲート酸化膜GX21に相当し、また図18(C) に示すセルトランジスタ21の第1多結晶シリコン層33は、図2(B) に示す浮遊ゲートFG21に相当する。また、図18(C) に示すセルトランジスタ21の層間絶縁膜34は、図2(B) に示す層間絶縁層IL21に相当し、図18(C) に示すセルトランジスタ21の第2多結晶シリコン層35は、図2(B) に示す制御ゲートCG21に相当する。
【0147】
図18(D) に示すように、セルトランジスタ21、低電圧用トランジスタや高電圧用トランジスタが形成されているウェハ(シリコン基板20)上を、配線形成工程により、厚い層間絶縁膜20’で覆いその表面を平坦にした後、この層間絶縁膜20’にエッチング工程等によりコンタクトホール36を形成し、さらに層間絶縁膜20’の上にスパッタリング法等によりアルミ電極38を形成する。同様に、この上に、配線形成工程により、厚い層間絶縁膜20”を形成しこの層間絶縁膜20”にエッチング工程等によりバイヤホール37を形成した後、アルミ電極39を形成する。
【0148】
なお、図18(D) に示すセルトランジスタ21のコンタクトホール36は、図2(B) に示すコンタクトホールCH1,CH2に相当し、また図18(D) に示すバイヤホール37は、図2(C) に示すバイアホールVH1に相当する。さらに、図18(D) に示すセルトランジスタ21のアルミ電極38は、図2(B) に示すビット線BL1やソース線SL1に相当し、また図18(D) に示すアルミ電極39は、図2(B),(C)に示すビット線BL2に相当する。
【0149】
<製造方法2>
次に製造方法2について説明する。本実施形態に係る製造方法2は、多結晶シリコンを2層構造(2層ポリ構造)により当該不揮発性メモリのセルトランジスタおよびその周辺トランジスタやコンデンサ等を形成するものである。
【0150】
なお、ここでは、セルトランジスタ21として、スプリットゲート構造のトランジスタを形成する工程を例示し、また周辺トランジスタとして、例えば、ロジック信号を処理する低電圧用トランジスタやアナログ信号を処理する高電圧用トランジスタを形成する工程を例示し、A/D変換回路等を構成するコンデンサを形成する工程を例示して説明する。
【0151】
まず、図19(A) に示すように、第1酸化膜形成工程による熱酸化法によりシリコン基板20の表面にゲート酸化膜32を形成し、さらに素子間分離領域形成工程によるLOCOS法等により素子間分離領域31を形成する。
【0152】
次に図19(B) に示すように、第1多結晶シリコン層形成工程により素子間分離領域31およびゲート酸化膜32の上に第1多結晶シリコン層33を形成し、層間絶縁膜形成工程によりその上に層間絶縁膜34を形成する。そして、フォトマスク露光・現像工程により、コンデンサを形成する範囲およびセルトランジスタ21の浮遊ゲートFG21を形成するフォトレジスト41で覆う。
【0153】
図19(C) に示すように、エッチング工程により、露出した層間絶縁膜34やその下の第1多結晶シリコン層33およびゲート酸化膜32を物理的または化学的に食刻処理して除去する。さらに低電圧用トランジスタを形成する範囲のゲート酸化膜32を除去する。
【0154】
図20(A) に示すように、フォトマスク除去工程により、フォトレジスト41を酸素プラズマ等を用いて灰化処理して除去した後、第2酸化膜形成工程により低電圧用トランジスタを形成する範囲に新たにゲート酸化膜32’を形成し、さらに第1多結晶シリコン層33および層間絶縁膜34の側面に側壁酸化膜を形成する。なお、このゲート酸化膜32’は、高電圧用トランジスタを形成する範囲のゲート酸化膜32よりも薄く形成される。
【0155】
図20(B) に示すように、第2多結晶シリコン層形成工程により、素子間分離領域31、ゲート酸化膜32,32’および層間絶縁膜34の上に、第2多結晶シリコン層35を形成する。そして、フォトマスク露光・現像工程により、低電圧用トランジスタや高電圧用トランジスタのゲート電極を形成する範囲、セルトランジスタ21の浮遊ゲートFG21を形成する範囲およびコンデンサの電極を形成する範囲をフォトレジスト43で覆う。
【0156】
図20(C) に示すように、エッチング工程により、露出した第2多結晶シリコン層35を物理的または化学的に食刻処理して除去した後、フォトマスク除去工程により、フォトレジスト43を酸素プラズマ等を用いて灰化処理して除去する。そして、不純物注入工程および拡散工程により、セルトランジスタ21のドレインD21やソースS21、また低電圧用トランジスタや高電圧用トランジスタのドレインDやソースSを形成する。
【0157】
なお、図20(C) に示すセルトランジスタ21のゲート酸化膜32は、図2(B) に示すゲート酸化膜GX21に相当し、また図20(C) に示すセルトランジスタ21の第1多結晶シリコン層33は、図2(B) に示す浮遊ゲートFG21に相当する。また、図20(C) に示すセルトランジスタ21の層間絶縁膜34は、図2(B) に示す層間絶縁層IL21に相当し、図20(C) に示すセルトランジスタ21の第2多結晶シリコン層35は、図2(B) に示す制御ゲートCG21に相当する。
【0158】
図20(D) に示すように、セルトランジスタ21、低電圧用トランジスタや高電圧用トランジスタが形成されているウェハ(シリコン基板20)上を、配線形成工程により、厚い層間絶縁膜20’で覆いその表面を平坦にした後、この層間絶縁膜20’にエッチング工程等によりコンタクトホール36を形成し、さらに層間絶縁膜20’の上にスパッタリング法等によりアルミ電極38を形成する。
【0159】
なお、層間絶縁膜20’の上には、前述した製造方法1で説明した図18(D) と同様に、配線形成工程により厚い層間絶縁膜20”が形成された後、さらにエッチング工程等によりバイヤホール37やアルミ電極39が形成されるが、この図20(D) では省略されていることに留意されたい。
【0160】
なお、図20(D) に示すセルトランジスタ21のコンタクトホール36は、図2(B) に示すコンタクトホールCH1,CH2に相当し、また図20(D) に示すセルトランジスタ21のアルミ電極38は、図2(B) に示すビット線BL1やソース線SL1に相当する。
【0161】
この製造方法2のように、コンデンサを形成する工程を含む場合には、コンデンサの極板間絶縁層を形成する層間絶縁膜34の製造工程(図19(B) の層間絶縁膜形成工程)によってセルトランジスタ21の浮遊ゲートFG21上の層間絶縁層IL21も同時に形成することができ、またコンデンサの電極を形成する第2多結晶シリコン層35の製造工程(図20(B) の第2多結晶シリコン層形成工程、図20(C) のエッチング工程)によってセルトランジスタ21の制御ゲートCG21も同時に形成することができる。このため、セルトランジスタ21等を形成する工程を別途設けることなく、当該不揮発性メモリを構成できるので、製造コストの増加も抑制できる。
【0162】
なお、図21に示すように、セルトランジスタ21のドレインD21をp+層のポケットでくるむ構成を採ることによって、書込み速度を向上したり、ホットホールを注入する際における消去電圧の低下を防止する等、の性能向上が可能となる。
【0163】
なお、以上説明した各実施形態および参考例では、シリコン基板20をP導電型、ドレインD21〜D25およびソースS21〜S25をN導電型、にそれぞれ設定して説明したが、本発明では、シリコン基板20をN導電型、ドレインD21〜D25およびソースS21〜S25をP導電型、にそれぞれ設定しても上述と同様の作用および効果を得ることができる。この場合、以上説明した各実施形態および参考例と、各電位や符号等が正負逆転することに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0164】
【図1】本発明の第1実施形態に係る不揮発性メモリを構成するセルトランジスタの接続例を示す回路図で、図1(A) はEEPROM等として構成した場合、図1(B) はマスクROMとして構成した場合である。
【図2】図2(A) は、第1実施形態に係る不揮発性メモリのセルトランジスタをEEPROM等として構成した場合における平面レイアウトを示す説明図で、図2(B) は図2(A) に示す2B−2B線断面図、図2(C) は図2(A) に示す2C−2C線断面図、である。
【図3】図3(A) は、第1実施形態に係る不揮発性メモリのセルトランジスタをマスクROMとして構成した場合における平面レイアウトを示す説明図で、図3(B) は図3(A) に示す3B−3B線断面図、図3(C) は図3(A) に示す3C−3C線断面図、である。
【図4】第1実施形態に係る不揮発性メモリのセルトランジスタにデータを書き込むときの電圧関係等を示す説明図で、図4(A) はEEPROM等として構成した場合、図4(B) はマスクROMとして構成した場合、である。
【図5】図5(A) 〜図5(D) は、第1実施形態に係る不揮発性メモリのセルトランジスタをEEPROM等として構成した場合にデータを読み出すときの電圧関係を示す説明図である。
【図6】図6(A) 〜図6(D) は、第1実施形態に係る不揮発性メモリのセルトランジスタをマスクROMとして構成した場合にデータを読み出すときの電圧関係を示す説明図である。
【図7】第1実施形態に係る不揮発性メモリの構成例を示すブロック図である。
【図8】第1実施形態に係る不揮発性メモリのセルトランジスタを試験・検査等の流れを示す説明図で、図8(A) はEEPROM等の場合、図8(B) はマスクROMの場合である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る不揮発性メモリを構成するセルトランジスタの接続例を示す回路図で、図9(A) はEEPROM等として構成した場合、図9(B) はマスクROMとして構成した場合である。
【図10】図10(A) は、第2実施形態に係る不揮発性メモリのセルトランジスタをEEPROM等として構成した場合における平面レイアウトを示す説明図で、図10(B) は、第2実施形態に係る不揮発性メモリをマスクROMとして構成した場合における平面レイアウトを示す説明図である。
【図11】第2実施形態に係る不揮発性メモリのセルトランジスタをEEPROM等として構成した場合にデータを読み出すときの電圧関係を示す説明図で、図11(A) は、読出し対象のセルトランジスタの閾値電圧が高い場合、図11(B) は、読出し対象のセルトランジスタの閾値電圧が低い場合である。
【図12】第2実施形態に係る不揮発性メモリのセルトランジスタをマスクROMとして構成した場合にデータを読み出すときの電圧関係を示す説明図で、図12(A) は、読出し対象のセルトランジスタに対応するバイアホールが形成されてない場合、図12(B) は、読出し対象のセルトランジスタに対応するバイアホールが形成されている場合である。
【図13】本発明の第3実施形態に係る不揮発性メモリを構成するセルトランジスタをEEPROM等として構成した場合にデータを読み出すときの電圧関係を示す説明図で、図13(A) は、読出し対象セルがオフ状態の場合、図13(B) は、読出し対象セルがオン状態の場合である。
【図14】第3実施形態に係る不揮発性メモリのセルトランジスタをマスクROMとして構成した場合にデータを読み出すときの電圧関係を示す説明図で、図14(A) は、読出し対象のセルトランジスタに対応するバイアホールが形成されてない場合、図14(B) は、読出し対象のセルトランジスタに対応するバイアホールが形成されている場合である。
【図15】参考例に係る不揮発性メモリを構成するセルトランジスタをEEPROM等として構成した場合にデータを読み出すときの電圧関係を示す説明図で、図15(A) は、読出し対象セルがオフ状態の場合、図15(B) は、読出し対象セルがオン状態の場合である。
【図16】参考例に係る不揮発性メモリを構成するセルトランジスタをマスクROMとして構成した場合にデータを読み出すときの電圧関係を示す説明図で、図16(A) は、読出し対象セルがオフ状態の場合、図16(B) は、読出し対象セルがオン状態の場合である。
【図17】本発明の第1実施形態に係る不揮発性メモリを構成するセルトランジスタの製造方法を示す模式的断面図で、図18に示すものよりも前の工程を示すものである。
【図18】本発明の第1実施形態に係る不揮発性メモリを構成するセルトランジスタの製造方法を示す模式的断面図で、図17に示すものよりも後の工程を示すものである。
【図19】本発明の第1実施形態に係る不揮発性メモリを構成するセルトランジスタの製造方法の他の例を示す模式的断面図で、図20に示すものよりも前の工程を示すものである。
【図20】本発明の第1実施形態に係る不揮発性メモリを構成するセルトランジスタの製造方法の他の例を示す模式的断面図で、図19に示すものよりも後の工程を示すものである。
【図21】本発明の第1実施形態に係る不揮発性メモリを構成するセルトランジスタの他の構成例を示す模式的断面図である。
【符号の説明】
【0165】
20…シリコン基板(第2導電型の半導体基板)
21〜25…セルトランジスタ(メモリセルトランジスタ)
31…素子間分離領域
32…ゲート酸化膜
33…第1多結晶シリコン層
34…層間絶縁膜
35…第2多結晶シリコン層
36…コンタクトホール
37…バイヤホール
38、39…アルミ電極
41、42、43…フォトレジスト
100…メモリセルトランジスタマトリックス
110…Xアドレスデコーダ
120…Yゲート
130…Yアドレスデコーダ
140…アドレスバッファ
150…書込み回路
160…センスアンプ
170…入出力バッファ
BL1…ビット線(第1主配線)
BL2…ビット線(第1副配線)
CG21〜CG23…制御ゲート
CH1〜CH6…コンタクトホール
D21〜D23…ドレイン(第2導電型の第1ウェル)
S21〜S23…ソース(第2導電型の第2ウェル)
FG21〜FG23…浮遊ゲート
GX21…ゲート酸化膜
IL21…層間絶縁層
LY0…基板層
LY1…コンタクト形成層
LY2…第1配線層(第1の配線層)
LY3…バイヤ形成層
LY4…第2配線層(第2の配線層)
VH1、VH3、VH5…バイアホール(第1バイアホール)
VH2、VH4、VH6…バイアホール(第2バイアホール)
WL1〜WL5…ワード線
SL1…ソース線(第2主配線)
SL2…ソース線(第2副配線)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型の半導体基板の主表面でチャネル形成領域を挟んで面方向対称に形成される第2導電型の第1ウェル領域および第2ウェル領域と、前記チャネル形成領域の前記主表面上にゲート酸化膜を介して形成される浮遊ゲートと、この浮遊ゲート上に酸化膜を介して形成される制御ゲートと、を備えたMOS構造を有する複数のメモリセルトランジスタを備えた不揮発性半導体記憶装置であって、
前記半導体基板に積層される第1の配線層に形成され前記複数のメモリセルトランジスタの前記第1ウェル領域に共通に接続される第1主配線と、
前記半導体基板に積層される第2の配線層に前記第1主配線に接続可能に配置され形成される第1副配線と、
前記半導体基板に積層される第3の配線層に形成され前記複数のメモリセルトランジスタの前記第2ウェル領域に共通に接続される第2主配線と、
前記半導体基板に積層される第4の配線層に前記第2主配線に接続可能に配置され形成される第2副配線と、を備え、
前記メモリセルトランジスタにより記憶されるデータを電気的に書き換え可能に構成する場合には、前記第1主配線および前記第1副配線を接続する第1バイヤホールと、前記第2主配線および前記第2副配線を接続する第2バイヤホールと、を前記複数のメモリセルトランジスタごと対応して形成し、
前記メモリセルトランジスタにより記憶されるデータを電気的に書き換え不能に構成する場合には、書き込み対象となる前記メモリセルトランジスタに対応する前記第1バイヤホールまたは前記第2バイヤホールを形成することなく、書き込み対象とならない前記メモリセルトランジスタに対応する前記第1バイヤホールまたは前記第2バイヤホールを形成することを特徴とする不揮発性半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第1の配線層と前記第3の配線層とは同じ配線層であり、前記第2の配線層と前記第4の配線層とは同じ配線層であることを特徴とする請求項1記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項3】
第1導電型の半導体基板の主表面でチャネル形成領域を挟んで面方向対称に形成される第2導電型の第1ウェル領域および第2ウェル領域と、前記チャネル形成領域の前記主表面上にゲート酸化膜を介して形成される浮遊ゲートと、この浮遊ゲート上に酸化膜を介して形成される制御ゲートと、を備えたMOS構造を有する複数のメモリセルトランジスタと、
前記半導体基板に積層される第1の配線層に形成され前記複数のメモリセルトランジスタの前記第1ウェル領域に共通に接続される第1主配線と、
前記半導体基板に積層される第2の配線層に前記第1主配線に接続可能に配置され形成される第1副配線と、
前記半導体基板に積層される第3の配線層に形成され前記複数のメモリセルトランジスタの前記第2ウェル領域に共通に接続される第2主配線と、
前記半導体基板に積層される第4の配線層に前記第2主配線に接続可能に配置され形成される第2副配線と、
を備えた不揮発性半導体記憶装置の製造方法であって、
前記メモリセルトランジスタにより記憶されるデータを電気的に書き換え可能に構成する場合には、前記第1主配線および前記第1副配線を接続する第1バイヤホールと、前記第2主配線および前記第2副配線を接続する第2バイヤホールと、を前記複数のメモリセルトランジスタごと対応して形成するバイヤホール形成工程を含み、
前記メモリセルトランジスタにより記憶されるデータを電気的に書き換え不能に構成する場合には、書き込み対象となる前記メモリセルトランジスタに対応する前記第1バイヤホールまたは前記第2バイヤホールを形成することなく、書き込み対象とならない前記メモリセルトランジスタに対応する前記第1バイヤホールまたは前記第2バイヤホールを形成することにより前記データの書込むデータ書込工程を含み、
前記バイヤホール形成工程と前記データ書込工程とは、前記第1バイヤホールおよび前記第2バイヤホールを形成可能なマスクパターンの違いによって区別されることを特徴とする不揮発性半導体記憶装置の製造方法。
【請求項4】
前記第1の配線層と前記第3の配線層とは同じ配線層であり、前記第2の配線層と前記第4の配線層とは同じ配線層であることを特徴とする請求項3記載の不揮発性半導体記憶装置の製造方法。
【請求項5】
前記半導体基板上にキャパシタを形成する工程が含まれる場合、前記複数のメモリセルトランジスタは、この工程で同時に形成されることを特徴とする請求項3または4記載の不揮発性半導体記憶装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2009−94193(P2009−94193A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−261837(P2007−261837)
【出願日】平成19年10月5日(2007.10.5)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】