説明

不揮発性半導体記憶装置およびその製造方法

【課題】ゲート間絶縁膜に対する電界集中を緩和できるようにする。
【解決手段】メモリセル領域M内において、浮遊ゲート電極を構成する多結晶シリコン層の直脇の半導体基板2の表層に不純物が導入されておりソース/ドレイン領域としての拡散層2aが形成されているものの、ダミー領域RD1およびRD2の境界領域において、ダミー積層ゲート電極を構成する多結晶シリコン層の直脇に位置する半導体基板2の表層にはN型の不純物イオンが導入されていない(領域2b)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリセル領域と周辺回路領域とを備えた不揮発性半導体記憶装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の不揮発性半導体記憶装置においては、メモリセル領域と周辺回路領域とが設けられている。メモリセル領域内においては、半導体基板上にゲート絶縁膜を介してゲート電極、ゲート間絶縁膜、ゲート電極を積層した積層ゲート電極が形成されており、周辺回路領域内においても、これらの積層ゲート電極とほぼ同様の構造が構成されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示されている技術思想では、浮遊ゲート、制御ゲート間の電界集中を緩和するため、浮遊ゲートが、側壁面の延長面が上面端部の延長面に対して鈍角をなすように順テーパ状の側壁面を有しており、浮遊ゲートの上角部が丸められた形状に構成されており、これにより電界集中を緩和するように構成されている。
【0003】
他方、浮遊ゲート、制御ゲートが構成されるメモリセル領域の脇にはリソグラフィ処理の制約からダミー領域が設けられている。このダミー領域内では周期性を有して配設された浮遊ゲート構造と同様のダミー電極が設けられており、これにより周期性が保持されている。これらのダミー電極の上にはゲート間絶縁膜が形成されていると共に、当該ゲート間絶縁膜上にはワード線が形成されており、当該ワード線が制御ゲートを結合している。
【0004】
しかしながら、メモリセルを構成する浮遊ゲートの上角部を丸めると電界集中を緩和できるものの、リソグラフィ処理の制約上、ダミー領域のダミー電極の上角部を丸められない領域が生じる懸念がある。当該領域内においてはゲート間絶縁膜に電界集中を生じてしまい、ゲート間絶縁膜破壊が生じやすくなったり、耐圧の劣化を招き、メモリセル領域内の特性にまで悪影響を引き起こしてしまうという不具合を生じる虞がある。
【特許文献1】特開平10−125812号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ゲート間絶縁膜に対する電界集中を緩和できるようにした不揮発性半導体記憶装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、所定方向に沿ってそれぞれ形成され当該所定方向に交差した交差方向に第1幅で複数の第1アクティブエリアが周期的に形成された第1領域と当該第1領域の交差方向脇に前記第1アクティブエリアの第1幅よりも幅広な第2幅の第2アクティブエリアが形成された第2領域とを具備した半導体基板と、前記第1領域では、前記第1アクティブエリア上に第1膜厚で形成された第1のゲート絶縁膜と、前記第1のゲート絶縁膜上に浮遊ゲート電極、ゲート間絶縁膜、制御ゲート電極が積層形成された積層ゲート電極とを備え、前記第2領域では、前記第2アクティブエリア上に前記第1膜厚と同一の第2膜厚で形成された第2のゲート絶縁膜と、前記第1のゲート絶縁膜上にダミー電極、前記ゲート間絶縁膜、前記制御ゲート電極を結合したワード線が積層形成されたダミー積層ゲート電極とを備え、前記半導体基板は、前記積層ゲート電極の所定方向脇に位置して前記第1領域の第1アクティブエリア内にソース/ドレイン領域形成用の不純物が導入されていると共に前記ダミー積層ゲート電極の所定方向脇に位置して前記第2領域の第2アクティブエリア内に前記ソース/ドレイン領域形成用の不純物が導入されていないことを特徴としている。
【0007】
本発明の別の態様は、請求項1記載の不揮発性半導体記憶装置を製造する方法であって、前記半導体基板の第1領域に第1のゲート絶縁膜を形成すると共に前記第2領域に第2のゲート絶縁膜を同一膜厚で形成する工程と、前記第1領域の第1のゲート絶縁膜上に浮遊ゲート電極の材料を積層すると共に、前記第2領域の第2のゲート絶縁膜上にダミー電極の材料を積層する工程と、前記第1領域の浮遊ゲート電極の材料、第1のゲート絶縁膜、半導体基板の上部を所定方向に沿って分断して当該所定方向の交差方向に周期的に分断することでそれぞれ所定方向に沿って複数の第1アクティブエリアを形成する工程であって当該所定方向に交差した交差方向に第1幅で複数の第1アクティブエリアを周期的に形成すると共に、前記第2領域のダミー電極の材料、第2のゲート絶縁膜、半導体基板の上部を所定方向に沿って分断して前記第1アクティブエリアの第1幅よりも幅広な第2幅の第2アクティブエリアを形成する工程と、前記第1領域および第2領域に前記ゲート間絶縁膜、前記制御ゲート電極および当該制御ゲート電極を結合するワード線の材料を積層する工程と、前記第1領域の制御ゲート電極、ゲート間絶縁膜、浮遊ゲート電極の材料を交差方向に沿って分断することで前記浮遊ゲート電極、ゲート間絶縁膜、制御ゲート電極を形成すると共に、前記第2領域の制御ゲート電極、ゲート間絶縁膜、ダミー電極の材料を交差方向に沿って分断することで前記ダミー電極、ゲート間絶縁膜、ワード線を複数形成する工程と、前記第2領域のダミー電極の所定方向脇の前記第2アクティブエリア内に対する不純物導入を避けながら、前記第1領域の浮遊ゲート電極の所定方向脇の前記第1アクティブエリア内にソース/ドレイン領域形成用の不純物を導入する工程とを備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、ゲート間絶縁膜に対する電界集中を緩和できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態についてNAND型のフラッシュメモリ装置に適用した第1の実施形態について図面を参照しながら説明する。NAND型のフラッシュメモリ装置1は、多数のメモリセルがマトリクス状に配設されたメモリセルアレイArの構成領域となるメモリセル領域Mと、メモリセルアレイAr内のメモリセルを駆動するための周辺回路が構成された周辺回路領域Pとを含んで区画されている。
【0010】
図1は、NAND型のフラッシュメモリ装置におけるメモリセルアレイの一部の等価回路、図2は、メモリセル領域と周辺回路領域との境界領域付近の平面図を模式的に示している。
【0011】
図1に示すように、NAND型のフラッシュメモリ装置1は、そのメモリセル領域M内のメモリセルアレイArには、2個の選択ゲートトランジスタTrsと、当該2個の選択ゲートトランジスタTrs間に隣接するもの同士でソース/ドレイン領域を共用して直列接続された複数個(例えば32個)のメモリセルトランジスタTrmとからなるNANDセルユニットUCが行列状に形成されている。
【0012】
図1中、X方向に配列されたメモリセルトランジスタTrmは、ワード線(コントロールゲート線)WLで共通接続されている。また、図1中X方向に配列された選択ゲートトランジスタTrs1は、共通の選択ゲート線SGL1で共通接続されている。さらに、選択ゲートトランジスタTrs2は、共通の選択ゲート線SGL2で共通接続されている。
図1に示すように、選択ゲートトランジスタTrs1は、ビット線コンタクトCBa、CBb(図2参照)を介してX方向に直交するY方向(ビット線方向)に延設されるビット線BLに接続されている。図2のメモリセル領域M内の構造に示すように、ビット線コンタクトCBa,CBbは、X方向に渡りそれぞれのアクティブエリアSa上にジグザグ、千鳥足状に配設されている。
【0013】
図2に示すように、複数のNANDセルユニットUCは、Y方向に延びるSTI(Shallow Trench Isolation)構造の素子分離領域Sbにより互いに分断されたアクティブエリアSa上に形成されている。尚、図2には、ソース線SL側の構造は省略している。
【0014】
メモリセルトランジスタTrmのゲート電極MGは、Y方向に延びるアクティブエリアSaと、所定間隔をもって形成されるX方向に延びるワード線WLとの交差領域に位置して形成されている。選択ゲートトランジスタTrs1のゲート電極SGは、Y方向に延びるアクティブエリアSaと、X方向に延びる選択ゲート線SGL1との交差領域に位置して形成されている。
【0015】
図2に示すように、周辺回路領域Pは、メモリセル領域Mの端部からX方向に離間して設けられており、当該周辺回路領域Pとメモリセル領域Mとの間にはダミー領域RD(RD1、RD2)が設けられている。このダミー領域RDは、メモリセル領域Mと周辺回路領域Pとの間の境界に位置してパターンの周期性を確保するために設けられている。
【0016】
ダミー領域RD内においては、メモリセル領域Mのパターンとほぼ同様のパターンが構成されており、メモリセル領域Mのゲート電極MGとほぼ同様の構造となるダミー積層ゲート電極DG1〜DG4を備えると共に、メモリセル領域Mの選択ゲート電極SGとほぼ同様の構造となるダミー選択ゲート電極DSGを備えている。
【0017】
ワード線WLは、ダミー積層ゲート電極DG1とゲート電極MGとを構造的にX方向に連結して領域MおよびRDの全体に渡って形成されている。選択ゲート線SGL1は、選択ゲート電極SGとダミー選択ゲート電極DSGとを構造的にX方向に連結して領域Mおよび領域RDの全体に渡って形成されている。
【0018】
ダミー領域RDは、2つの領域RD1、RD2を含んでおり、領域RD1には、ビット線コンタクトCBa、CBbの構造と同様にダミーコンタクトDCa、DCbが構成されている。これらのダミーコンタクトDCa、DCbは、X方向にジグザグ、千鳥足状に複数のアクティブエリアSa上にそれぞれ構成されている。ダミー領域RD1の端部には、アクティブエリアSaのX方向の第1幅よりも幅広な第2幅のアクティブエリアSdが設けられている。
【0019】
なお、このアクティブエリアSd上には、ダミーコンタクトDCa、DCbまたはビット線コンタクトCBa、CBbなどのコンタクトは設けられていない。ダミー領域RDの一部領域RD2の端部には、メモリセル領域Mの素子分離領域Sbの幅よりも幅広な素子分離領域Scが構成されており、当該素子分離領域Scの両脇に幅広のアクティブエリアSd、Seがそれぞれ構成されている。また、ダミー領域RD2の端部以外のダミー領域RD2の中央付近には、メモリセル領域MのアクティブエリアSaおよび素子分離領域Sbとほぼ同様の構造が、それぞれアクティブエリアSf、素子分離領域Sbとして構成されている。
【0020】
図3は、図2のA−A線に沿う断面を模式的に示しており、図4は、図2のB−B線に沿う断面を模式的に示している。すなわち、図4は、図3に示すゲート電極のY方向直脇のゲート電極間の断面を示している。
【0021】
図3に示すように、半導体基板(例えばp型のシリコン基板)2の表層には、素子分離溝3がX方向に離間して複数形成されている。メモリセル領域M内においては、半導体基板2の表層には素子分離溝3がそれぞれX方向に所定間隔だけ離間して形成されており、これにより複数のアクティブエリアSaが互いに分断されている。複数のアクティブエリアSa上にはそれぞれゲート絶縁膜5、浮遊ゲート電極FGが積層されている。ゲート絶縁膜5は例えばシリコン酸化膜により形成されている。浮遊ゲート電極FGは多結晶シリコン層6により構成されている。図3に示す断面内において、多結晶シリコン層6の上角部6aは両角共に丸く湾曲して形成されている。
【0022】
また、それぞれの素子分離溝3内には素子分離絶縁膜4が埋込み形成されている。この素子分離絶縁膜4は例えばシリコン酸化膜により形成されるものでその上面がゲート絶縁膜5の上面よりも上方に突出すると共に浮遊ゲート電極FGの上面よりも下方に位置して構成されている。素子分離絶縁膜4は、多結晶シリコン層6の下側面、ゲート絶縁膜5の側面に沿って形成されている。多結晶シリコン層6の側面、ゲート絶縁膜5の側面、および素子分離絶縁膜4の側面は面一に形成されている。
【0023】
ゲート間絶縁膜7が、素子分離絶縁膜4の上面、浮遊ゲート電極FGの上側面および上面に沿って形成されており、X方向に離間した複数の浮遊ゲート電極FG上を渡り形成されている。このゲート間絶縁膜7は、例えばONO(Oxide-Nitride-Oxide)膜により形成されている。尚、ゲート間絶縁膜7の材料としては、ONO膜に代えてNONON膜、またはアルミナを含有した膜により形成されていても良い。
【0024】
ワード線WLがゲート間絶縁膜7の上面上を沿って構成されている。このワード線WLは、例えば多結晶シリコンおよびその上部が金属によりシリサイド化された導電層8により構成されメモリセルゲート電極MGを構成する制御ゲート電極CGを連結している。
【0025】
これにより、メモリセル領域M内には、アクティブエリアSa上にゲート絶縁膜5を介して浮遊ゲート電極FG、ゲート間絶縁膜7、制御ゲート電極CGが積層されており、メモリセルゲート電極MGは当該積層構造FG、7、CGによって構成されている。
【0026】
メモリセル領域MのX方向直脇に位置したダミー領域RD1内においては、ダミー積層ゲート電極DG1が構成されている。このダミー積層ゲート電極DG1は、アクティブエリアSa上にゲート絶縁膜5を介して多結晶シリコン層6、ゲート間絶縁膜7、導電層8(ワード線WL)を積層して構成されている。したがって、ダミー領域RD1内においては、ダミー浮遊ゲート電極DFGが、メモリセル領域M内のゲート電極MGを構成する多結晶シリコン層6と同一材料により半導体基板2上にゲート絶縁膜5を介して形成されている。
【0027】
このダミー積層ゲート電極DG1は、メモリセルゲート電極MGの並設方向であるX方向に並設されており、ダミー積層ゲート電極DG1のアクティブエリアSaのX方向幅は、メモリセルゲート電極MGのアクティブエリアSaの幅と同一の第1幅W1により形成されている。また、隣り合うダミー浮遊ゲート電極DFG−DFG間には、素子分離絶縁膜4が埋め込まれており、この素子分離絶縁膜4の幅もメモリセル領域M内の素子分離絶縁膜4の幅とほぼ同様の幅に構成されている。これにより、メモリセル領域M内の構造とダミー領域RD1内の構造との間のパターンの周期性が確保されている。
【0028】
ダミー領域RD1、RD2との境界領域にはアクティブエリアSdが設けられている。このアクティブエリアSdは、アクティブエリアSaの第1幅W1よりも広い第2幅W2で形成されており、当該アクティブエリアSd上には、ダミー領域RD1のゲート絶縁膜5と同一膜厚のゲート絶縁膜5が形成されており、このゲート絶縁膜5の上にはダミー積層ゲート電極DG2が構成されている。ダミー積層ゲート電極DG2は、半導体基板2上にゲート絶縁膜5を介して多結晶シリコン層6をダミーゲート電極DFGとして形成すると共に、さらにダミーゲート電極DFGの上にゲート間絶縁膜7、導電層8を積層して構成されている。
【0029】
ダミー積層ゲート電極DG2を構成する多結晶シリコン層6のX方向片側脇(図3では右側)の素子分離絶縁膜4は、その上面がゲート絶縁膜5の上面より上方で且つ多結晶シリコン層6の上面より下方に位置して形成されている。また、ダミー積層ゲート電極DG2のメモリセル領域M側の一方の上肩部6aは、その上面から側面にかけて湾曲形成されており、ゲート間絶縁膜7は当該湾曲面に沿って形成されており、このゲート間絶縁膜7を覆うように導電層8が構成されている。
【0030】
他方、ダミー積層ゲート電極DG2を構成する多結晶シリコン層6のX方向逆側片側脇(図3では左側)の素子分離絶縁膜4は、その上面がゲート絶縁膜5の上面より上方で且つ多結晶シリコン層6の上面とほぼ一致して形成されている。また、このダミー積層ゲート電極DG2の周辺回路領域P側の他方の上肩部6bは、その上面と側面とがほぼ垂直に形成されており、その上面から側面にかけて湾曲形成されていない。
【0031】
ゲート間絶縁膜7は、多結晶シリコン層6の上肩部6aおよび6bを含む上面および素子分離絶縁膜4の上面に沿って平面的に構成されており、導電層8はゲート間絶縁膜7を覆うように形成されている。
【0032】
ダミー領域RD2内においては、半導体基板2の表層に素子分離溝3がX方向に離間して複数形成されており、これらの素子分離溝3内に素子分離絶縁膜4がそれぞれ形成されている。これによりアクティブエリアSe、Sfが形成されている。ダミー領域RD2内において、アクティブエリアSe、Sfは、素子分離溝3によって互いに分断して構成されている。尚、アクティブエリアSeは、アクティブエリアSaの第1幅W1よりも広い第3幅W3で形成されている。アクティブエリアSfは、アクティブエリアSeの第3幅W3よりも狭い第4幅W4で形成されている。
【0033】
素子分離溝3に分断されたアクティブエリアSe、Sf上には、それぞれゲート絶縁膜15が形成されている。このゲート絶縁膜15は、例えばシリコン酸化膜により形成されており、ゲート絶縁膜5よりも厚い膜厚で形成されている。隣り合う素子分離絶縁膜4間のゲート絶縁膜15上には多結晶シリコン層6が構成され、素子分離絶縁膜4の上面は多結晶シリコン層6の上面とほぼ一致するように構成されている。
【0034】
ダミー領域RD2内においては、ゲート間絶縁膜7が多結晶シリコン層6の上面上、素子分離絶縁膜4の上面上に沿って平面状に形成されている。このゲート間絶縁膜7上にワード線WLが形成されている。このようにして、アクティブエリアSe上にはゲート絶縁膜15を介して多結晶シリコン層6、ゲート間絶縁膜7、ワード線WLが積層されることによってダミー積層ゲート電極DG3が構成されている。また、ダミー領域RD2内のアクティブエリアSf上にはゲート絶縁膜15を介して多結晶シリコン層6、ゲート間絶縁膜7、ワード線WLが積層されることによってダミー積層ゲート電極DG4が構成されている。
【0035】
次に、図4を参照してY方向に隣り合うゲート電極間の構造について説明する。図4は、図2のB−B線に沿う縦断面を模式的に示している。この図4に示す構造断面において、図3の構造と異なるところは導電層8(ワード線WL)、ゲート間絶縁膜7、多結晶シリコン層6が除去処理されている点、および、メモリセル領域M内のアクティブエリアSaの表層およびダミー領域RD1の一部のアクティブエリアSaの表層にN型の拡散層2aが形成されている点にある。
【0036】
ダミー領域RD1のメモリセル領域M側のアクティブエリアSaの表層には拡散層2aが構成されている。この拡散層2aは、メモリセル領域M内においては、メモリセルトランジスタTrmのソース/ドレイン領域として機能するものであり、この拡散層2aはダミー領域RD1内のアクティブエリアSaの一部にも形成されている。尚、図4中、点線にて図示しているが、周辺回路領域P側のダミー領域RD1のアクティブエリアSaの一部並びにダミー領域RD2のアクティブエリアSd〜Sfにおいては、半導体基板2の表層にソース/ドレイン領域としての拡散層2aが形成されていない(符号2bにて図示)。素子分離絶縁膜4およびゲート絶縁膜5上には、不純物などの不要物通過抑制用のバリア膜や上層配線との間の層間絶縁膜が形成されているが、図4には図示していない。
【0037】
上記構造の製造方法について説明する。
まず、図5に示すように、シリコン基板2に、ウェル、チャネル領域形成のためのイオン注入を行った後、シリコン基板2上にゲート絶縁膜5、15について膜厚を変えて作り分ける。次に、ゲート絶縁膜5、15の上に浮遊ゲート電極FGとして多結晶シリコン層6を所定膜厚CVD(Chemical Vapor Deposition)法により堆積した後、シリコン窒化膜9、シリコン酸化膜10をCVD法により順にさらに堆積する。
【0038】
次に、図6に示すように、周知のリソグラフィ法および異方性エッチング(例えばRIE(Reactive Ion Etching)法)により素子分離溝3を形成する。次に、素子分離溝3内にシリコン酸化膜により素子分離絶縁膜4を埋込む。
次に、図7に示すように、シリコン窒化膜9をストッパとして素子分離溝3内に埋め込まれた素子分離絶縁膜4をCMP(Chemical Mechanical Polishing)法により平坦化処理する。
【0039】
次に、図8に示すように、素子分離絶縁膜4の上部をRIE法により一旦全面エッチバックして落とし込み、シリコン窒化膜9をウェットエッチング処理により除去処理する。次に、ダミー領域RD1およびメモリセル領域M内において、素子分離絶縁膜4の上部をRIE法によりエッチバック処理する。このとき、素子分離絶縁膜4の上面が多結晶シリコン層6の上面とゲート絶縁膜5の上面との間に位置するようにエッチバックする。
【0040】
これは、ワード線WLと浮遊ゲート電極FGとの間の対向領域を増し、カップリング比を増加させるためである。このとき、このエッチバック処理が行われる領域RD1およびM内においては、多結晶シリコン層6の上肩部6aがわずかにエッチング処理されることで上肩部6aが丸められるようになる。すると、多結晶シリコン層6による浮遊ゲート電極FGと制御ゲート電極CGとの間に大きな電界が印加されたとしても上肩部6aにおける電界集中を避けることができ、ゲート間絶縁膜7の絶縁破壊または劣化を防ぐことができる。
【0041】
次に、図9に示すように、素子分離絶縁膜4の上面上および多結晶シリコン層6の露出面上に例えばONO膜によってゲート間絶縁膜7をCVD法により堆積する。尚、ONO膜成膜の前後にラジカル窒化技術を用いてNONON膜とする場合もある。また、アルミナを含有する膜を用いて形成してもよい。
【0042】
次に、図10に示すように、ゲート間絶縁膜7上に導電層8(ワード線WL)を構成する例えば多結晶シリコン層をCVD法により所定膜厚で堆積する。次に、フォトリソグラフィ法およびRIE法を用いてメモリセル領域M内のゲート電極MG、ダミー領域RD1内のゲート電極DG1、ダミー領域RD1およびRD2内のダミー積層ゲート電極DG2、ダミー領域RD2内のダミー積層ゲート電極DG3およびDG4をパターンニングしY方向に互いに分断する。
【0043】
次に、図11に平面図を示すように、ダミー領域RD2の全体とダミー領域RD1の一部についてレジストによるマスクパターン12を覆ってパターンニングする。この図11に示すように、このマスクパターン12を覆う領域は、少なくともダミー領域RD2の全体とダミー領域RD1の周辺回路領域P側の一部を覆う領域を示している。
【0044】
図12Aは、マスクパターンの成膜後における図2のA−A線に沿う断面を示しており、図12Bは、マスクパターンの成膜後における図2のB−B線に沿う断面を示している。
【0045】
この図12Aおよび図12Bに示すように、マスクパターン12をマスクとしてソース/ドレイン領域形成用の例えばN型の不純物をイオン注入する。すると、マスクパターン12がマスクとなっているため、当該マスクパターン12によって覆われた領域には不純物イオンが注入されることはない。すなわち図12Bに示すように、ダミー電極DG1の一部とメモリセルゲート電極MGのY方向直脇にN型不純物がイオン注入されるものの、少なくともダミー積層ゲート電極DG2〜DG4のY方向直脇の半導体基板2の表層にN型不純物は注入されない。
【0046】
次に、アッシング処理等を用いてマスクパターン12を除去処理する。その後、ダミー積層ゲート電極DG1〜DG4のY方向脇に酸化膜により層間絶縁膜を形成する工程、ワード線WLを構成する多結晶シリコン層6の上部の金属シリサイド化工程、ビット線コンタクトCB等の形成工程、さらに、それらの上層の配線層の形成工程などが行われるが、それらの工程については本実施形態の特徴とは関係しないためその説明を省略する。
【0047】
まとめると、本実施形態は、次に示す特徴的な構造を備えている。メモリセル領域M内においてはアクティブエリアSaがX方向に幅W1で形成されており、ダミー領域RD1内においてはアクティブエリアSaが幅W1で形成されており、ダミー領域RD1およびRD2間の境界領域付近においてはアクティブエリアSdが幅W1よりも広い幅W2で形成されている。メモリセル領域M内では、アクティブエリアSa上にゲート絶縁膜5を介して、浮遊ゲート電極FG、ゲート間絶縁膜7、ワード線WL(制御ゲート電極CG)が順に積層されており、これによりメモリセルゲート電極MGが構成されている。
【0048】
他方、ダミー領域RD1およびRD2間の境界領域付近においては、アクティブエリアSd上にゲート絶縁膜5を介して、多結晶シリコン層6、ゲート間絶縁膜7、ワード線WLが順に積層されており、これによりダミー積層ゲート電極DG2が構成されている。さらに、ダミー領域RD2内においては、アクティブエリアSe上にゲート絶縁膜15を介して、多結晶シリコン層6、ゲート間絶縁膜7、ワード線WLが順に積層されており、これによりダミー積層ゲート電極DG3が構成されている。さらに、ダミー領域RD2内においては、アクティブエリアSf上にゲート絶縁膜15を介して、多結晶シリコン層6、ゲート間絶縁膜7、ワード線WLが順に積層されており、これによりダミー積層ゲート電極DG4が構成されている。そして、メモリセル領域M内においては、ゲート電極MGのY方向脇におけるシリコン基板2の表層にソース/ドレイン領域形成用のN型の不純物イオンが注入されることによってNANDセルユニットUCを構成できるものの、このときダミー積層ゲート電極DG2〜DG4のY方向脇にはソース/ドレイン領域形成用のN型の不純物イオンは注入されない(図4の領域2b参照)。
【0049】
この場合、書込時において書込選択ワード線WLと半導体基板2との間に高電圧(例えば+20V)を印加すると、ビット線コンタクトCBa、CBbから電位が与えられないため、ダミー積層ゲート電極DG2〜DG4下方のアクティブエリアSdの電位が容量結合によって浮き上がる。ダミー領域RD1の一部およびダミー領域RD2内においてダミー積層ゲート電極DG2〜DG4のY方向脇にはN型不純物をイオン注入していないため、書込用高電圧をワード線WL−半導体基板2間に印加したときには、ダミー積層ゲート電極DG2を構成する多結晶シリコン層6内には電子が注入されにくくなり、たとえ上肩部6bが丸まっていない構成であったとしても当該上肩部6bに対する電界集中を防ぐことができる。これにより、ゲート間絶縁膜7の破壊や耐圧の劣化を防ぐことができる。ソース/ドレイン形成のためのイオン注入領域が限定されるため、メモリセルへの誤書込の抑制、メモリセル領域Mの端部におけるゲート間絶縁膜7の耐圧を向上することができる。
【0050】
また、製造工程上では次に示す特徴点を備えている。半導体基板2のメモリセル領域Mにゲート絶縁膜5を形成すると共にダミー領域RD1およびRD2にゲート絶縁膜5を同一膜厚で形成する。次に、メモリセル領域Mのゲート絶縁膜5上に浮遊ゲート電極FGを構成する多結晶シリコン層6を積層すると共にダミー領域RD1およびRD2のゲート絶縁膜5上に多結晶シリコン層6を積層する。次に、メモリセル領域Mの多結晶シリコン層6、ゲート絶縁膜5、半導体基板2の上部をY方向に沿って分断してX方向に周期的に分断することでそれぞれY方向に沿ってX方向に幅W1で複数のアクティブエリアSaを周期的に形成すると共に、ダミー領域RD1およびRD2の多結晶シリコン層6、ゲート絶縁膜5、半導体基板2の上部をY方向に沿って分断してアクティブエリアSaの幅W1よりも幅広な幅W2のアクティブエリアSdを形成する。メモリセル領域Mおよびダミー領域RD1およびRD2にゲート間絶縁膜7、導電層8の構成材料を積層する。メモリセル領域Mおよびダミー領域RD1およびRD2の導電層8、ゲート間絶縁膜7、多結晶シリコン層6をX方向に沿ってY方向に対して複数に分断する。分断されたダミー領域RD1およびRD2のダミー積層ゲート電極DG2〜DG4のY方向直脇のアクティブエリアSd、Se、Sfに対する不純物イオンの導入を避けながら、メモリセル領域M内の浮遊ゲート電極FGのY方向直脇のアクティブエリアSa内にソース/ドレイン領域形成用の不純物イオンを導入している。すると、上述説明した作用と同様の作用によって上肩部6bに対する電界集中を防ぐことができる。これにより、ゲート間絶縁膜の破壊や耐圧の劣化を防ぐことができる。
【0051】
(他の実施形態)
本発明は、上記実施形態にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張できる。半導体基板2、ゲート絶縁膜5、ダミー電極DFG、ダミー電極DG1〜DG4、浮遊ゲート電極FG、制御ゲート電極CG、ゲート間絶縁膜7の材料は、必要に応じて変更しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施形態についてメモリセル領域の一部を示す電気的構成図
【図2】メモリセル領域と周辺回路領域との間の境界付近の構造を模式的に示す平面図
【図3】ゲート電極の縦断面図(図2のA−A線に沿って示す縦断面図)
【図4】ゲート電極の所定方向直脇に位置するゲート電極間の縦断面図(図2のB−B線に沿って示す縦断面図)
【図5】一製造段階における断面を図3に対応して模式的に示す縦断面図(その1)
【図6】一製造段階における断面を図3に対応して模式的に示す縦断面図(その2)
【図7】一製造段階における断面を図3に対応して模式的に示す縦断面図(その3)
【図8】一製造段階における断面を図3に対応して模式的に示す縦断面図(その4)
【図9】一製造段階における断面を図3に対応して模式的に示す縦断面図(その5)
【図10】一製造段階における断面を図3に対応して模式的に示す縦断面図(その6)
【図11】一製造段階における平面図
【図12A】一製造工程における断面を図3に対応して模式的に示す縦断面図(その7)
【図12B】一製造工程における断面を図4に対応して模式的に示す縦断面図
【符号の説明】
【0053】
図面中、1は不揮発性半導体記憶装置、2は半導体基板、Sa、Sd、Se、Sfはアクティブエリア、5、15はゲート絶縁膜、6は多結晶シリコン層(浮遊ゲート電極の材料)、FGは浮遊ゲート電極、DFGはダミー浮遊ゲート電極(ダミー電極)、7はゲート間絶縁膜、8は導電層、CGは制御ゲート電極、DG1〜DG4はダミー積層ゲート電極、WLはワード線、RD1、RD2はダミー領域(第2領域)、Mはメモリセル領域(第1領域)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に沿ってそれぞれ形成され当該所定方向に交差した交差方向に第1幅で複数の第1アクティブエリアが周期的に形成された第1領域と当該第1領域の交差方向脇に前記第1アクティブエリアの第1幅よりも幅広な第2幅の第2アクティブエリアが形成された第2領域とを具備した半導体基板と、
前記第1領域では、
前記第1アクティブエリア上に第1膜厚で形成された第1のゲート絶縁膜と、
前記第1のゲート絶縁膜上に浮遊ゲート電極、ゲート間絶縁膜、制御ゲート電極が積層形成された積層ゲート電極とを備え、
前記第2領域では、
前記第2アクティブエリア上に前記第1膜厚と同一の第2膜厚で形成された第2のゲート絶縁膜と、
前記第1のゲート絶縁膜上にダミー電極、前記ゲート間絶縁膜、前記制御ゲート電極を結合したワード線が積層形成されたダミー積層ゲート電極とを備え、
前記半導体基板は、前記積層ゲート電極の所定方向脇に位置して前記第1領域の第1アクティブエリア内にソース/ドレイン領域形成用の不純物が導入されていると共に前記ダミー積層ゲート電極の所定方向脇に位置して前記第2領域の第2アクティブエリア内に前記ソース/ドレイン領域形成用の不純物が導入されていないことを特徴とする不揮発性半導体記憶装置。
【請求項2】
請求項1記載の不揮発性半導体記憶装置を製造する方法であって、
前記半導体基板の第1領域に第1のゲート絶縁膜を形成すると共に前記第2領域に第2のゲート絶縁膜を同一膜厚で形成する工程と、
前記第1領域の第1のゲート絶縁膜上に浮遊ゲート電極の材料を積層すると共に、前記第2領域の第2のゲート絶縁膜上にダミー電極の材料を積層する工程と、
前記第1領域の浮遊ゲート電極の材料、第1のゲート絶縁膜、半導体基板の上部を所定方向に沿って分断して当該所定方向の交差方向に周期的に分断することでそれぞれ所定方向に沿って複数の第1アクティブエリアを形成する工程であって当該所定方向に交差した交差方向に第1幅で複数の第1アクティブエリアを周期的に形成すると共に、前記第2領域のダミー電極の材料、第2のゲート絶縁膜、半導体基板の上部を所定方向に沿って分断して前記第1アクティブエリアの第1幅よりも幅広な第2幅の第2アクティブエリアを形成する工程と、
前記第1領域および第2領域に前記ゲート間絶縁膜、前記制御ゲート電極および当該制御ゲート電極を結合するワード線の材料を積層する工程と、
前記第1領域の制御ゲート電極、ゲート間絶縁膜、浮遊ゲート電極の材料を交差方向に沿って分断することで前記浮遊ゲート電極、ゲート間絶縁膜、制御ゲート電極を形成すると共に、前記第2領域の制御ゲート電極、ゲート間絶縁膜、ダミー電極の材料を交差方向に沿って分断することで前記ダミー電極、ゲート間絶縁膜、ワード線を複数形成する工程と、
前記第2領域のダミー電極の所定方向脇の前記第2アクティブエリア内に対する不純物導入を避けながら、前記第1領域の浮遊ゲート電極の所定方向脇の前記第1アクティブエリア内にソース/ドレイン領域形成用の不純物を導入する工程とを備えたことを特徴とする不揮発性半導体記憶装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【公開番号】特開2010−34289(P2010−34289A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−194896(P2008−194896)
【出願日】平成20年7月29日(2008.7.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】