説明

内燃機関の制御装置

【課題】本発明は、内燃機関の制御装置に関し、用いる燃料の性状に関らず失火を防止できる内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
【解決手段】リッチ燃焼制御を実行時に、等量比φと筒内圧力Cp(還流させる排気ガスの量)に対する着火遅れ時間IgDの関係から算出される燃焼判定指数Kcrを用い、燃焼判定指数Kcrが小さくなるようにEGR弁の開度を制御する。これにより、図中の(A)及び(B)の間の領域、即ち、着火遅れ時間IgDの延長が少ない領域で燃焼するように還流させる排気ガスの量を制御し、安定したリッチ燃焼を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、内燃機関の制御装置に関し、より詳細には、内燃機関に排気ガスを還流させる内燃機関の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1には、気筒内の筒内ガス温度が、所定の圧縮端温度以上となるように吸入空気量等を制御する内燃機関の制御装置が開示されている。圧縮比を低くした状態や吸入空気量を低減させた状態では、圧縮端温度が低くなり、失火する可能性がある。このため、上記従来の制御装置では、圧縮端温度に関与するパラメータとして、吸気温度、噴射開始時期での圧縮比や還流させる排気ガスの量に着目し、これらに基づいて演算した圧縮端温度が、着火温度以上になるように吸入空気量や還流させる排気ガスの量を制御している。したがって、圧縮比を低くした状態や吸入空気量を低減させた状態であっても、圧縮端温度が低く、失火するのを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−098993号公報
【特許文献2】特開2006−336661号公報
【特許文献3】特開2001−020765号公報
【特許文献4】特開2008−075633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、気筒内に噴射する燃料の性状が異なる場合、噴射後着火するまでの時間(以下、「着火時間」ないし「着火遅れ時間」という。)が変化することがある。具体的に、低セタン価の燃料を用いた場合、着火遅れ時間が長くなり失火しやすくなる。上述したように、従来の制御装置は、圧縮端温度に着目するものである。しかしながら、燃料性状の違いまでをも考慮したものではない。このため、用いる燃料によっては着火遅れ時間が延長し、失火する可能性が依然として残っていた。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、用いる燃料の性状に関らず失火を防止できる内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、上記の目的を達成するため、内燃機関の制御装置であって、
内燃機関の吸気通路に設けられたスロットル弁と、
前記内燃機関の気筒内に流入する新気の量を取得する新気量取得手段と、
前記気筒内に噴射される燃料の噴射量を取得する燃料噴射量取得手段と、
前記気筒内の燃料が噴射の後着火するまでの着火時間を取得する着火時間取得手段と、
前記気筒内の圧力を検出する筒内圧センサと、
前記内燃機関の排気通路と前記吸気通路とを接続する通路に設けられたEGR弁と、
等量比の増加要求があった場合に、増加側の目標値として設定する目標等量比に応じて前記スロットル弁の開度を制御するスロットル弁開度制御手段と、
前記新気量及び前記噴射量を用いて求まる等量比、前記筒内圧並びに前記着火時間を演算することで求まる燃焼判定指数を一定のサイクルで取得する燃焼判定指数取得手段と、
前記燃焼判定指数が低下するように前記EGR弁を制御するEGR弁制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、第2の発明は、第1の発明において、
前記スロットル弁開度制御手段は、
前記増加要求タイミングでの前記等量比と、前記目標等量比とを比較する等量比比較手段を備え、
前記増加要求タイミングでの前記等量比が前記目標等量比よりも小さい場合には、前記新気量を減少させるように前記スロットル弁の開度を制御し、前記基本等量比が前記目標等量比よりも大きい場合には、前記新気量を増加させるように前記スロットル弁の開度を制御することを特徴とする。
【0008】
また、第3の発明は、第1又は第2の発明において、
前記排気通路に設けられ、排気ガスを浄化する機能を有する触媒と、
前記触媒よりも上流側の前記排気通路に設けられ、前記触媒の浄化能力を回復させるための添加剤を前記排気通路に供給する添加剤供給手段と、
噴射される燃料の性状に応じて前記目標等量比を補正する目標等量比補正手段と、
補正後の前記目標等量比が1よりも小さいか否かに関する所定の等量比条件の成否を判定する等量比条件判定手段と、
前記所定の等量比条件が成立する場合に、前記増加要求タイミングでの前記等量比が1よりも大きくなるように前記添加剤供給手段を制御する等量比制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、第4の発明は、第1又は第2の発明において、
前記排気通路に設けられ、排気ガスを浄化する機能を有する触媒と、
前記気筒内に燃料をポスト噴射する燃料噴射手段と、
噴射される燃料の性状に応じて前記目標等量比を補正する目標等量比補正手段と、
補正後の前記目標等量比が1よりも小さいか否かに関する所定の等量比条件の成否を判定する等量比条件判定手段と、
前記所定の等量比条件が成立する場合に、前記増加要求タイミングでの前記等量比が1よりも大きくなるように前記燃料噴射手段を制御する等量比制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、第5の発明は、第3又は第4の発明において、
前記目標等量比補正手段は、
燃料の性状に応じて設定した補正係数と、燃焼判定指数との関係を定めたマップと、
内燃機関の燃焼が安定する所定の運転条件の成否を判定する運転条件判定手段と、
前記運転条件が成立する場合に、前記運転条件の成立タイミングでの前記燃焼判定指数を前記マップに適用して得られた補正係数を、前記目標等量比に乗算する等量比補正係数演算手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、第6の発明は、第1乃至第5何れか1つの発明において、
吸気弁の閉弁時期を調整可能な可変動弁機構と、
噴射される燃料の性状に応じて前記閉弁時期を補正する閉弁時期補正手段と、
を備えることを特徴とする。
【0012】
また、第7の発明は、第6の発明において、
前記閉弁時期補正手段は、
燃料の性状に応じて設定した補正係数と、燃焼判定指数との関係を定めたマップと、
内燃機関の燃焼が安定する所定の運転条件の成否を判定する運転条件判定手段と、
前記運転条件が成立する場合に、前記運転条件の成立タイミングでの前記燃焼判定指数を前記マップに適用して得られた補正係数を前記閉弁時期に演算する閉弁時期補正係数演算手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
第1の発明によれば、等量比を増加させる要求があった場合に、等量比と筒内圧力に対する着火時間の関係から求められる燃焼判定指数が低下するようにEGR弁を制御できる。この燃焼判定指数は、燃焼変動の大きさを表す指数である。このため、燃焼判定指数が低下するようにEGR弁を制御すれば、燃焼の変動を抑えることができる。したがって、いかなる性状の燃料が用いられたとしても、燃焼の変動を抑えて失火を防止することができる。
【0014】
第2の発明によれば、スロットル弁の開度を制御することで目標等量比付近に制御することができる。スロットル弁の開度を制御すれば新気量が制御でき、新たに燃料を噴射する必要なく目標等量比に制御できることになる。したがって、燃料噴射によるエミッション悪化や燃費の低下を防止して等量比を増加させることができる。
【0015】
性状の異なる燃料が用いられた場合、着火時間が長くなり燃焼が不安定になる場合がある。このため、燃料の性状に応じて目標等量比を補正することで燃焼の安定化を図ることができる。しかし、補正後の目標等量比が1よりも小さくなると、触媒のNOx吸蔵能力の回復が十分に行えなくなる。第3又は第4の発明によれば、補正後の目標等量比が1よりも小さい場合には、添加剤供給手段やポスト噴射によって触媒のNOx吸蔵能力の回復を図ることができる。したがって、燃料性状の違いに由来する燃焼安定性の変化分を補正しつつ、触媒のNOx吸蔵能力の回復を図ることができる。
【0016】
第5の発明によれば、燃焼安定時の燃焼判定指数を用いて目標等量比の補正を行うことができる。したがって、燃焼性状の違いによる影響を事前に推定し、安定した燃焼状態を維持することができる。
【0017】
第6の発明によれば、燃料の性状に応じて吸気弁の閉弁時期を補正することができる。したがって、燃料の性状に応じて実圧縮比を変化させて、燃焼の安定化を図ることができる。
【0018】
第7の発明によれば、燃焼安定時の燃焼判定指数を用いて吸気弁の閉弁時期の補正を行うことができる。したがって、燃焼性状の違いによる影響を事前に推定し、安定した燃焼状態を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態1の構成を説明するための図である。
【図2】筒内圧力Cpと着火遅れ時間IgDとの関係を示す特性図である。
【図3】燃焼判定指数Kcrと燃焼変動率との関係を示す図である。
【図4】実施の形態1においてECU60が実行する処理の内容を説明するためのフローチャートである。
【図5】補正係数Cptと燃焼判定指数Kcr1との関係を定めたマップの一例である。
【図6】実施の形態2においてECU60が実行する処理の内容を説明するためのフローチャートである。
【図7】補正係数Cvvtと燃焼判定指数Kcr1との関係を定めたマップの一である。
【図8】実施の形態3においてECU60が実行する処理の内容を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
実施の形態1.
[実施の形態1の構成]
以下、図1乃至図4を参照して、本発明の実施の形態1について説明する。図1は、本発明の実施の形態1の構成を説明するための図である。図1に示すシステムは、内燃機関10を備えている。内燃機関10は、ターボチャージャ12を備える4気筒式のディーゼル機関である。
【0021】
ターボチャージャ12は、吸気通路14に配置されるコンプレッサ16と、排気通路18に配置されるタービン20を備えている。吸気通路14には、コンプレッサ16の上流側に、吸入空気量Gaを計測するエアフロメータ22が配置されている。また、コンプレッサ16の下流には、スロットル弁24が配置されている。
【0022】
吸気通路14は、吸気マニホールド26を介して内燃機関10の4つの気筒に連通している。また、4つの気筒は、排気マニホールド28を介して排気通路18に連通している。吸気通路14と排気通路18との間には、排気ガスを吸気通路14に還流させるためのEGR(Exhaust Gas Recirculation)通路30及びEGR弁32が配置されている。
【0023】
内燃機関10が備える4つの気筒には、それぞれ、筒内圧力Cpを検出するための筒内圧力センサ34が組み込まれている(但し、図の簡略化のため、#1気筒のみに記載する)。また、内燃機関10が備える4つの気筒には、それぞれ、それらの内部に直接燃料を噴射するための燃料噴射弁36が組み込まれている。それらの燃料噴射弁36には、コモンレール38を介して燃料ポンプ40が接続されている。燃料ポンプ40には、更に、遮断弁42を介して燃料通路44が連通している。燃料通路44は、燃料添加弁46に連通している。燃料添加弁46は、排気通路18に配置されており(本実施形態ではタービン20の上流)、排気通路18の内部に燃料を直接噴射することができる。
【0024】
タービン20の下流において、排気通路18には、排気浄化触媒48が組み込まれている。本実施形態では、排気浄化触媒48として、DPNR(Diesel Particulate NOx Reduction)触媒を用いている。排気浄化触媒48は、排気ガス中の微粒子を捕集するとともに、排気ガス中のNOxを吸蔵することができる。
【0025】
内燃機関10は、回転数センサ50を備えている。回転数センサ50は、機関回転数Neに応じた信号を出力するセンサである。内燃機関10には、また、可変動弁機構(VVT)52が組み込まれている(図1には、便宜上、「VVT」と記載したブロックを示す)。本実施形態において、VVT52は、各気筒に配置されている吸気弁の閉弁時期を変化させる機能を有している。
【0026】
図1に示すシステムは、ECU(Electronic Control Unit)60を備えている。ECU60には、上述した各種のセンサやアクチュエータが接続されている。ECU60は、それらのセンサの出力に基づいて、燃料噴射弁36や燃料添加弁46、更には、VVT52やEGR弁32などの状態を制御することができる。
【0027】
[実施の形態1の特徴]
ディーゼル機関は、通常、リーン空燃比の条件で運転される。リーン空燃比の条件下において、排気浄化触媒48は、排気ガス中に含まれるNOxを吸蔵することができる。排気浄化触媒48のNOx吸蔵能力は、NOxの吸蔵量が増えるに従って低下する。排気浄化触媒48は、排気空燃比を燃料リッチにすることでNOxを放出し(放出されたNOxは還元されてNとなる)、NOx吸蔵能力を回復する。
【0028】
本実施形態のシステムでは、排気浄化触媒48へのNOx吸蔵量がある程度の量に達すると、気筒内に流入する新気の量を減らして等量比を一時的に増加させる制御(リッチ燃焼制御)を実行する。具体的には、スロットル弁24の開度を減少させて気筒内に流入する新気の量を減らすことによりリッチ燃焼制御を実行する。これにより、排気浄化触媒48のNOx吸蔵能力を回復させることができる。ところで、リッチ燃焼制御時には燃焼状態の変動を伴い、燃焼変動率が高い場合、失火が発生する可能性がある。したがって、リッチ燃焼制御は、失火を回避しつつ実行する必要がある。
【0029】
図2は、筒内圧力Cp[MPa]と着火遅れ時間IgD[msec]との関係を示す特性図である。図2に示した6つの特性曲線は、それぞれ、3つの等量比φ(φ=0.6、0.8、1.0)と、2つの燃料(標準燃料及び低セタン価燃料)とを変化させた場合を示している。
【0030】
ここで、等量比φは、気筒内に流入する新気の量と、この新気に対して噴射される燃料の量とに基づいて算出される空燃比で理論空燃比を除した値を表す。このため、燃料噴射量の一定条件下、新気の量を減らせば等量比φが増加するため、空燃比をリッチ側へシフトでき、新気の量を増やせば等量比φが低下するため、空燃比をリーン側へシフトできることになる。また、筒内圧力Cpは、燃料に着火する直前の筒内圧力を表す。
【0031】
図2に示すように、等量比φが高くなるほど着火遅れ時間IgDが長くなる傾向を示す。リッチ燃焼制御では、スロットル弁24の開度を減少させて新気の量を減らしていくので等量比φは徐々に高くなる。したがって、リッチ燃焼制御を実行すると、着火遅れ時間IgDが長くなる方向へシフトすることになる。
【0032】
また、図2において、等量比φを一定とした場合、筒内圧力Cpが高くなるほど着火遅れ時間IgDが長くなる傾向を示す。上述したように、等量比φは、気筒内に流入する新気の量と、この新気に対して噴射される燃料の量に基づいて算出される。このため、等量比φの一定条件下、筒内圧力Cpが高いということは、還流された排気ガスが気筒内に多く流入していると考えることができる。したがって、還流させる排気ガスの量を多くすれば、着火遅れ時間IgDが長くなる方向へとシフトすることになる。
【0033】
これらのことから、リッチ燃焼制御時に排気ガスを多く還流させると、着火遅れ時間IgDが急増することが予想される。ところで、失火に近づくと、着火遅れ時間IgDが急増する場合がある。このため、失火を回避しつつリッチ燃焼制御を実行するためには、着火遅れ時間IgDに着目すればよいことになる。しかしながら、図2に示すように、標準的な燃料よりも低セタン価の燃料を用いた場合にも、着火遅れ時間IgDが長くなる傾向を示す。したがって、図中(A)で示すように、単に着火遅れ時間IgDのみに着目すると、用いられる燃料の性状によっては、失火が発生してしまう可能性があった。
【0034】
また、還流させる排気ガスの量を多くすると着火遅れ時間IgDが急増して失火に近づくことから、還流させる排気ガスの量を減らしてリッチ燃焼制御を実行すれば失火を回避できるとも考えられる。しかしながら、図中(B)で示すように、等量比φが1に近い領域では、還流させる排気ガスの量を減らし過ぎると圧縮端温度が足りずに失火する場合がある。したがって、単に還流させる排気ガスの量を減らせば失火が回避できるとは限らなかった。
【0035】
そこで、本実施の形態では、等量比φと筒内圧力Cp(還流させる排気ガスの量)に対する着火遅れ時間IgDの関係から算出される燃焼判定指数Kcrを用いて、リッチ燃焼制御を実行する。これにより、図中の(A)及び(B)の間の領域、即ち、着火遅れ時間IgDの延長が少ない領域で燃焼するように還流させる排気ガスの量を制御し、安定したリッチ燃焼を得ることが可能となる。
上記の関係は、次式(1)を用いて表される。
燃焼判定指数Kcr=着火遅れ時間IgD×等量比φ/筒内圧力Cp ・・・(1)
【0036】
図3は、燃焼判定指数Kcrと燃焼変動率[%]との関係を示す図である。リッチ燃焼制御時には燃焼状態の変動を伴う。図3に示すように、燃焼変動率が高い場合、失火が発生する可能性がある。また、低セタン価の燃料を用いると標準燃料よりも燃焼変動率が高くなるので失火発生率も高くなる。しかしながら、本実施の形態によれば、燃焼判定指数Kcrが減少するように還流させる排気ガスの量を制御できる。燃焼判定指数Kcrが減少するように還流させる排気ガスの量を制御できれば、最終的に図3に示す特性曲線の頂点付近に燃焼判定指数Kcrを収縮させることができる。したがって、失火の発生を防止して燃焼リッチ化が可能となる。
【0037】
[実施の形態1の具体的処理]
図4は、本実施の形態においてECU60が実行する処理の内容を説明するためのフローチャートである。図4に示すルーチンでは、先ず、各種センサからエンジン回転数、吸入空気量、燃焼噴射量、スロットル弁開度、油温などの現在の運転条件に関する種々のパラメータが読み込まれる(ステップ100)。
【0038】
次に、燃焼リッチ化要求が生じているかが判断される(ステップ102)。ECU60は、例えば前回のNOx吸蔵能力の回復処理実行時からの走行距離や時間が所定値に達した場合に、燃焼リッチ化要求が発生していると判断する。本ステップ102において、その要求が生じていないと判断された場合は、そのまま今回の処理サイクルが終了される。
【0039】
一方、燃焼リッチ化要求が生じていると判断された場合は、リッチ側の目標値としての目標等量比φtrgが設定される(ステップ104)。そして、ステップ100で読み込んだ吸入空気量Ga、燃焼噴射量、スロットル弁開度に基づいて算出した現在の等量比φと、ステップ104で設定した目標等量比φtrgとの関係が、φ<φtrgの条件を満たすか否かが判断される(ステップ106)。現在の等量比φは、吸入空気量Gaにスロットル弁開度の絞り割合を乗じた値を燃料噴射量で除すことで現在の空燃比を算出し、算出した現在の空燃比で理論空燃比を除すことにより算出される。
【0040】
そして、φ<φtrgの条件が成立すると判断された場合には、スロットル弁24の開度を減少させる(ステップ108)。これにより、気筒内に流入する新気の量を低減させる。一方、φ<φtrgの条件が成立しないと判断された場合には、現在の等量比φがリッチ側にシフトしていると判断できる。この場合は、等量比がリッチ側にシフトし過ぎた結果、失火が発生してしまうことを防止するべく、スロットル弁24の開度を増加させる(ステップ110)。
【0041】
次に、燃焼判定指数Kcr0が算出される(ステップ112)。具体的に、燃焼判定指数Kcr0は、ステップ108又はステップ110の処理後の燃焼サイクル時に読み込まれる着火遅れ時間IgD、等量比φ、及び筒内圧力Cpを上式(1)に適用することで算出される。
【0042】
燃焼判定指数Kcr0の算出後、EGR弁32の開度が増加される(ステップ114)。これにより、気筒内に流入する排気ガスの割合が増加される。本ステップ114は、現在の燃焼変動率が図3の特性曲線のどの位置にあるかを推定するために実行される処理である。このため、本ステップで、EGR弁32の開度を減少させる処理を実行しても良い。しかしながら、EGR弁32の開度が増加されると、燃焼時の最高温度を下げてNOxの発生量を低減させることができるので、リッチ燃焼制御中に新たに生じたNOxが排気浄化触媒48の浄化能力の回復を妨げることを防止しつつ上記推定ができる。
【0043】
次に、燃焼判定指数Kcrが再度算出される(ステップ116)。本ステップ116で算出される燃焼判定指数Kcrは、ステップ114の処理後の燃焼サイクル時に読み込まれる着火遅れ時間IgD、等量比φ、及び筒内圧力Cpを上式(1)に適用することで算出される。
【0044】
そして、ステップ112で算出した燃焼判定指数Kcr0と、ステップ116で算出した燃焼判定指数Kcrとの関係が、Kcr<Kcr0の条件を満たすか否かが判断される(ステップ118)。そして、Kcr<Kcr0の条件が成立すると判断された場合には、燃焼変動率が図3の特性曲線の頂点方向へシフトしていると判断できるので、そのままステップ102に戻る。一方、Kcr<Kcr0の条件が成立しないと判断された場合には、燃焼変動率が図3の特性曲線の頂点から離れる方向へシフトしていると判断できる。このため、燃焼の変動を抑制して失火の発生を防止するべくEGR弁32の開度が減少され(ステップ120)、その後、ステップ102に戻る。
【0045】
以上説明したとおり、図4に示すルーチンによれば、等量比φと筒内圧力Cp(還流させる排気ガスの量)に対する着火遅れ時間IgDの関係から算出される燃焼判定指数Kcrを用いて制御できるため、燃料の性状が変わったとしても、失火の発生を防止しつつリッチ燃焼を実現できる。また、図4に示すルーチンによれば、この燃焼判定指数Kcrを減少させるように制御するため、燃焼が安定な方向を選んでリッチ燃焼を実現できる。燃焼が安定な方向を選んでリッチ燃焼を実現できるので、失火の発生を効果的に防止するだけでなく、リッチ燃焼へのシフトを早期に実現できる。更に、図4に示すルーチンによれば、排気ガスの還流によりリッチ燃焼を実現できるので、筒内ポスト噴射や排気添加によるリッチ燃焼に比べて燃費を大幅に改善できると共に、排気エミッションも改善できる。加えて、排気ガスの還流をカットしてアフター噴射するリッチ燃焼に比べても、燃焼変化の少ないリッチ燃焼を実現できる。
【0046】
ところで、上述した実施の形態1では、排気浄化触媒48として、DPNRを用いることとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、排気浄化触媒48は、NOx吸蔵能力の低下する触媒再生が必要な触媒であれば足り、その要件が満たされる限り他のNOx吸蔵触媒であってもよい。
【0047】
なお、上述した実施の形態1においては、筒内圧力センサ34が前記第1の発明における「着火時間取得手段」に相当している。また、ECU60が、図4のステップ100の処理を実行することにより前記第1の発明における「新気量取得手段」及び「燃料噴射量取得手段」が、同ステップ106、108、110の処理を実行することにより前記第1の発明における「スロットル弁開度制御手段」が、同ステップ112、116の処理を実行することにより前記第1の発明における「燃焼判定指数取得手段」が、同ステップ118からステップ120を経由して又はステップ120を経由せずにステップ102に戻る一連の処理を実行することにより前記第1の発明における「EGR弁制御手段」が、それぞれ実現されている。
【0048】
また、上述した実施の形態1においては、ECU60が、図4のステップ106の処理を実行することにより前記第2の発明における「等量比比較手段」が実現されている。
【0049】
実施の形態2.
[実施の形態2の構成]
次に、図1と共に図5、図6を参照して、本発明の実施の形態2について説明する。本実施形態のシステムは、図1に示す構成において、ECU60に、後述する図6に示すルーチンを実行させることにより実現できる。
【0050】
[実施の形態2の特徴]
実施の形態1のリッチ燃焼制御によれば、燃焼が安定な方向を選んでリッチ燃焼を実現できる。しかしながら、実際のリッチ燃焼制御の際には、他の要因による影響を受けて燃焼が不安定になることが推定される。特に、気筒内に噴射される燃料性状が異なると、着火遅れ時間IgDが長くなり、燃焼が不安定になり易い。
【0051】
そこで、本実施の形態では、リッチ燃焼制御の前に、例えばアイドル状態といった燃焼安定時に予め算出した燃焼判定指数Kcr1を用いて、リッチ燃焼制御時の目標等量比φtrgを補正する。これにより、燃料性状の違いに由来する燃焼安定性の変化分を補正することができる。
【0052】
ところで、補正後の目標等量比φtrgがφst(φ=1.0)よりも小さい場合には、排気浄化触媒48の吸蔵能力の回復が図れない。そこで、本実施の形態では、上記の補正を行った結果、補正後の目標等量比φtrgがφstよりも小さい場合に排気系添加あるいは筒内ポスト噴射を実施する。これにより、燃料性状の違いに由来する燃焼安定性の変化分を補正しつつ、排気浄化触媒48の吸蔵能力の回復を図ることができる。
【0053】
なお、目標等量比φtrgの補正は、目標等量比φtrgに補正係数Cptを乗算することにより行う。図5は、この補正係数Cptと燃焼判定指数Kcr1との関係を定めたマップの一例であり、ECU60の内部に予め記憶されているものとする。
【0054】
[実施の形態2の具体的処理]
図6は、本実施の形態においてECU60が実行する処理の内容を説明するためのフローチャートである。図6に示すルーチンでは、先ず、各種センサからエンジン回転数、吸入空気量、燃焼噴射量、スロットル弁開度、油温などの現在の運転条件に関する種々のパラメータが読み込まれる(ステップ122)。
【0055】
次に、エンジンがアイドル状態であるか否かが判断される(ステップ124)。アイドル状態は、例えば、吸入空気量や、アクセル開度と車速との組み合わせによって判断できる。アイドル状態でないと判断された場合には、ステップ122に戻る。一方、アイドル状態であると判断された場合には、燃焼判定指数Kcr1が算出される(ステップ126)。具体的に、燃焼判定指数Kcr1が、ステップ122で読み込まれた着火遅れ時間IgD、等量比φ、及び筒内圧力Cpを上式(1)に適用することで算出される。
【0056】
次に、燃焼リッチ化要求が生じているかが判断され(ステップ128)、燃焼リッチ化要求が生じていると判断された場合は、リッチ側の目標値としての目標等量比φtrgが設定される(ステップ130)。これらステップ128、ステップ130の処理は、図4のステップ102、104の処理と同様であるためその説明を省略する。
【0057】
次に、目標等量比φtrgに補正係数Cptを乗算して補正後の目標等量比Φtrgを算出する(ステップ132)。上述したように、ECU60の内部には、燃焼判定指数Kcr1と補正係数Cptとの関係を定めたマップが記憶されている。このため、ステップ126で算出した燃焼判定指数Kcr1に対応する補正係数Cptを読み出し、読み出した補正係数Cptをステップ130で設定した目標等量比φtrgに乗算する。
【0058】
そして、ステップ132で演算したΦtrgと、φst(=1.0)との関係が、Φtrg<φstの条件を満たすか否かが判断される(ステップ134)。Φtrg<φstの条件が成立すると判断された場合には、排気噴射量Qadが設定される(ステップ136)。ECU60には、例えば排気ガス温度と排気噴射量Qadとの関係を示す噴射量マップが予め記憶されている。このため、Φtrg<φstの条件が成立すると判断された場合には、この噴射量マップを用いて排気噴射量Qadが設定される。一方、Φtrg<φstの条件が成立しないと判断された場合には、ステップ138に進む。
【0059】
ステップ138では、現在の等量比φと、ステップ132で演算したΦtrgとの関係が、φ<Φtrgの条件を満たすか否かが判断される。ここで、現在の等量比φは、ステップ128を処理した際の燃料サイクル時に別途読み込まれる吸入空気量Ga、燃焼噴射量、スロットル弁開度に基づいて算出される値である。
【0060】
そして、φ<Φtrgの条件が成立すると判断された場合には、スロットル弁24の開度を減少させる(ステップ140)。一方、φ<Φtrgの条件が成立しないと判断された場合には、スロットル弁24の開度を増加させる(ステップ142)。これらステップ140、142の処理は、図4のステップ108及び110の処理と同様であるため詳細は省略する。
【0061】
次に、燃焼判定指数Kcr0が算出され(ステップ144)、EGR弁32の開度が増加され(ステップ146)、燃焼判定指数Kcrが再度算出される(ステップ148)。これら一連の処理は、図4のステップ112、114、116の処理と同様であるため詳細は省略する。
【0062】
そして、ステップ144で算出した燃焼判定指数Kcr0と、ステップ148で算出した燃焼判定指数Kcrとの関係が、Kcr<Kcr0の条件を満たすか否かが判断される(ステップ150)。そして、Kcr<Kcr0の条件が成立すると判断された場合には、燃焼変動率が図3の特性曲線の頂点方向へシフトしていると判断できるので、ステップ154に進む。一方、Kcr<Kcr0の条件が成立しないと判断された場合には、燃焼変動率が図3の特性曲線の頂点から離れる方向へシフトしていると判断できる。このため、燃焼の変動を抑制して失火の発生を防止するべくEGR弁32の開度が減少され(ステップ152)、その後、ステップ154に進む。
【0063】
ステップ154では、ステップ136で設定した排気噴射量Qadが、排気噴射量Qad>0の条件を満たすか否かが判断される。この結果、排気噴射量Qad>0の条件が成立すると判断された場合には、燃料添加弁46から排気系へ燃料が添加され、又は燃料噴射弁36からポスト噴射が実施される(ステップ156)。なお、排気系添加又はポスト噴射は、燃料噴射弁36によるメイン噴射とは異なるタイミングで実行される。例えば、メイン噴射から遅角した時期で上死点よりも遅い非着火のタイミングで実行される。
【0064】
一方、排気噴射量Qad>0の条件が成立しないと判断された場合には、ステップ134の処理でΦtrg<φstの条件が成立しないと判断された場合であると判断できる。このため、排気系添加やポスト噴射を実行することなくステップ128に戻る。
【0065】
以上説明したとおり、図6に示すルーチンによれば、アイドル状態での燃焼判定指数Kcr1を用いてリッチ燃焼制御時の目標等量比φtrgを補正することで、燃料性状に関係なくリッチ燃焼制御時の燃焼を安定化できる。更に、図6に示すルーチンによれば、排気浄化触媒48の吸蔵能力の回復を図ることもできる。
【0066】
ところで、上述した実施の形態2においては、添加剤として内燃機関10で使用する燃料を用いたが、炭化水素(HC)成分を多く含む添加剤であれば特に限定されない。炭化水素成分を多く含む添加剤は、排気浄化触媒48の上流側において、高温の排気ガスで熱分解されて多量の炭化水素を生成すると共に排気ガス中の酸素濃度を低下させるので、排気浄化触媒48の吸蔵能力を効率的に回復できる。
【0067】
なお、上述した実施の形態2においては、燃料ポンプ40、遮断弁42、燃料通路44及び燃料添加弁46が前記第3の発明における「添加剤供給手段」に該当する。また、ECU60が図6のステップ124、126、132の処理を実行することにより前記第3の発明における「目標等量比補正手段」が、同ステップ134の処理を実行することにより前記第3の発明における「等量比条件判定手段」が、同ステップ136、154、156の処理を実行することにより前記第3の発明における「等量比制御手段」が、それぞれ実現されている。
【0068】
また、上述した実施の形態2においては、燃料噴射弁36、コモンレール38及び燃料ポンプ40が前記第4の発明における「燃料噴射手段」に該当する。また、ECU60が図6のステップ124、126、132の処理を実行することにより前記第4の発明における「目標等量比補正手段」が、同ステップ134の処理を実行することにより前記第4の発明における「等量比条件判定手段」が、同ステップ136、154、156の処理を実行することにより前記第4の発明における「等量比制御手段」が、それぞれ実現されている。
【0069】
また、上述した実施の形態2においては、ECU60が図6のステップ124の処理を実行することにより前記第5の発明における「運転条件判定手段」が、同ステップ132の処理を実行することにより前記第5の発明における「等量比補正係数演算手段」が、それぞれ実現されている。
【0070】
実施の形態3.
[実施の形態3の構成]
次に、図1と共に図7、図8を参照して、本発明の実施の形態3について説明する。本実施形態のシステムは、図1に示す構成において、ECU60に、後述する図8に示すルーチンを実行させることにより実現できる。
【0071】
[実施の形態3の特徴]
実施の形態1のリッチ燃焼制御によれば、燃焼が安定な方向を選んでリッチ燃焼を実現できる。しかしながら、図2の説明の際に既に述べたように、気筒内に噴射される燃料性状が異なると、着火遅れ時間IgDが長くなり、燃焼が不安定になり易い。
【0072】
そこで、本実施の形態では、リッチ燃焼制御の前に、例えばアイドル状態といった燃焼安定時に予め算出した燃焼判定指数Kcr1を用いて、VVT52のベースVVT進角値VTangを補正する。内燃機関10においては、吸気行程において吸気弁(図示せず)が開弁し、筒内に空気が吸入される。通常は、ピストンが下死点BDC近傍に位置する時点で吸気弁が閉じられて圧縮行程が開始される。これに対して、吸気弁の閉弁時期が下死点BDC後の領域で遅角されると、筒内に一端吸入された空気が吸気系に逆流することから、筒内空気量が減少し、実圧縮比が低下する事態が生ずる。逆に、吸気弁の閉弁時期が下死点BDC後の領域で進角されると、実圧縮比が上昇する。したがって、例えば着火遅れ時間IgDが長くなり易い低セタン価燃料を用いる場合には、吸気弁の閉弁時期を下死点BDC後の領域で進角させる。これにより、実圧縮比を上げて燃焼の安定化を図ることができる。一方、例えば、標準燃料よりも高セタン価の燃料を用いる場合には、比較的着火しやすいことから吸気弁の閉弁時期を遅角させる。これにより、実圧縮比を下げて燃焼の安定化を図ることができる。
【0073】
なお、VVT52のベースVVT進角値VTangの補正は、ベースVVT進角値VTangに補正係数Cvvtを乗算することにより行う。図7は、この補正係数Cvvtと燃焼判定指数Kcr1との関係を定めたマップの一例であり、ECU60の内部に予め記憶されているものとする。
【0074】
[実施の形態3の具体的処理]
図8は、本実施の形態においてECU60が実行する処理の内容を説明するためのフローチャートである。図8に示すルーチンでは、先ず、各種センサからエンジン回転数、吸入空気量、燃焼噴射量、スロットル弁開度、油温などの現在の運転条件に関する種々のパラメータが読み込まれる(ステップ158)。
【0075】
次に、エンジンがアイドル状態であるか否かが判断される(ステップ160)。本ステップ160の処理は、図6のステップ124と同様である。アイドル状態でないと判断された場合には、ステップ158に戻る。一方、アイドル状態であると判断された場合には、燃焼判定指数Kcr1が算出される(ステップ162)。具体的に、燃焼判定指数Kcr1が、ステップ158で読み込まれた着火遅れ時間IgD、等量比φ、及び筒内圧力Cpを上式(1)に適用することで算出される。
【0076】
次に、ベースVVT進角値VTangが設定される(ステップ164)。ベースVVT進角値VTangは、例えば基本燃料噴射量と回転数に応じて予め設定される。そして、ベースVVT進角値VTangに補正係数Cvvtを乗算して補正後のVtangを算出する(ステップ166)。上述したように、ECU60の内部には、燃焼判定指数Kcr1と補正係数Cvvtとの関係を定めたマップが記憶されている。このため、ステップ162で算出した燃焼判定指数Kcr1に対応する補正係数Cvvtを読み出し、読み出した補正係数Cvvtをステップ164で設定したベースVVT進角値VTangに乗算する。
【0077】
以上説明したとおり、図8に示すルーチンによれば、アイドル状態での燃焼判定指数Kcr1を用いてベースVVT進角値を補正することで、燃料性状に関係なくリッチ燃焼制御時の燃焼を安定化できる。
【0078】
なお、上述した実施の形態3においては、VVT52が前記第6の発明における「可変動弁機構」に該当する。また、ECU60が図8のステップ160、162、166の処理を実行することにより前記第6の発明における「閉弁時期補正手段」が実現されている。
【0079】
また、上述した実施の形態3においては、ECU60が図8のステップ160の処理を実行することにより前記第7の発明における「運転条件判定手段」が、同ステップ166の処理を実行することにより前記第7の発明における「閉弁時期補正係数演算手段」が、それぞれ実現されている。
【符号の説明】
【0080】
10 内燃機関
22 エアフロメータ
24 スロットル弁
32 EGR弁
34 筒内圧力センサ
36 燃料噴射弁
38 コモンレール
40 燃料ポンプ
42 遮断弁
44 燃料通路
46 燃料添加弁
48 排気浄化触媒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の吸気通路に設けられたスロットル弁と、
前記内燃機関の気筒内に流入する新気の量を取得する新気量取得手段と、
前記気筒内に噴射される燃料の噴射量を取得する燃料噴射量取得手段と、
前記気筒内の燃料が噴射の後着火するまでの着火時間を取得する着火時間取得手段と、
前記気筒内の圧力を検出する筒内圧センサと、
前記内燃機関の排気通路と前記吸気通路とを接続する通路に設けられたEGR弁と、
等量比の増加要求があった場合に、増加側の目標値として設定する目標等量比に応じて前記スロットル弁の開度を制御するスロットル弁開度制御手段と、
前記新気量及び前記噴射量を用いて求まる等量比、前記筒内圧並びに前記着火時間を演算することで求まる燃焼判定指数を一定のサイクルで取得する燃焼判定指数取得手段と、
前記燃焼判定指数が低下するように前記EGR弁を制御するEGR弁制御手段と、
を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項2】
前記スロットル弁開度制御手段は、
前記増加要求タイミングでの前記等量比と、前記目標等量比とを比較する等量比比較手段を備え、
前記増加要求タイミングでの前記等量比が前記目標等量比よりも小さい場合には、前記新気量を減少させるように前記スロットル弁の開度を制御し、前記基本等量比が前記目標等量比よりも大きい場合には、前記新気量を増加させるように前記スロットル弁の開度を制御することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項3】
前記排気通路に設けられ、排気ガスを浄化する機能を有する触媒と、
前記触媒よりも上流側の前記排気通路に設けられ、前記触媒の浄化能力を回復させるための添加剤を前記排気通路に供給する添加剤供給手段と、
噴射される燃料の性状に応じて前記目標等量比を補正する目標等量比補正手段と、
補正後の前記目標等量比が1よりも小さいか否かに関する所定の等量比条件の成否を判定する等量比条件判定手段と、
前記所定の等量比条件が成立する場合に、前記増加要求タイミングでの前記等量比が1よりも大きくなるように前記添加剤供給手段を制御する等量比制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項4】
前記排気通路に設けられ、排気ガスを浄化する機能を有する触媒と、
前記気筒内に燃料をポスト噴射する燃料噴射手段と、
噴射される燃料の性状に応じて前記目標等量比を補正する目標等量比補正手段と、
補正後の前記目標等量比が1よりも小さいか否かに関する所定の等量比条件の成否を判定する等量比条件判定手段と、
前記所定の等量比条件が成立する場合に、前記増加要求タイミングでの前記等量比が1よりも大きくなるように前記燃料噴射手段を制御する等量比制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項5】
前記目標等量比補正手段は、
燃料の性状に応じて設定した補正係数と、燃焼判定指数との関係を定めたマップと、
内燃機関の燃焼が安定する所定の運転条件の成否を判定する運転条件判定手段と、
前記運転条件が成立する場合に、前記運転条件の成立タイミングでの前記燃焼判定指数を前記マップに適用して得られた補正係数を、前記目標等量比に乗算する等量比補正係数演算手段と、
を備えることを特徴とする請求項3又は4に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項6】
吸気弁の閉弁時期を調整可能な可変動弁機構と、
噴射される燃料の性状に応じて前記閉弁時期を補正する閉弁時期補正手段と、
を備えることを特徴とする請求項1乃至5何れか1項に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項7】
前記閉弁時期補正手段は、
燃料の性状に応じて設定した補正係数と、燃焼判定指数との関係を定めたマップと、
内燃機関の燃焼が安定する所定の運転条件の成否を判定する運転条件判定手段と、
前記運転条件が成立する場合に、前記運転条件の成立タイミングでの前記燃焼判定指数を前記マップに適用して得られた補正係数を前記閉弁時期に演算する閉弁時期補正係数演算手段と、
を備えることを特徴とする請求項6に記載の内燃機関の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−52629(P2011−52629A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−203700(P2009−203700)
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】