説明

半導体装置の製造方法

【課題】基板に形成される第1の膜と第2の膜との重なり量を精度良く算出する。
【解決手段】半導体装置の製造方法は、基板の第1の領域及び第2の領域に第1の膜を形成する工程と、第2の領域の第1の膜の幅を測定する工程と、基板の第2の領域及び第3の領域に第2の膜を形成する工程と、第2の領域の第2の膜の幅及び第2の領域の第1の膜と第2の膜との距離を測定する工程と、第2の領域における第1の膜の幅の測定値、第2の膜の幅の測定値、第1の膜と第2の膜との距離の測定値及び第1の膜と第2の膜とに関する設計値に基づいて、第1の領域における第1の膜と第3の領域における第2の膜との重なり量を算出する工程と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
nチャネル型Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor(以下、nMOS
という)に対して、引張応力を有する第1の膜で覆い、チャネル領域に引張応力を加えることにより電子移動度を増加させ、nMOSの動作速度を向上する方法がある。また、pチャネル型Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor(以下、pMOSとい
う)に対して、圧縮応力を有する第2の膜で覆い、チャネル領域に圧縮応力を加えることによりホール移動度を増加させ、pMOSの動作速度の向上を図る方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−21325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本件は、基板に形成される第1の膜と第2の膜との重なり量を精度良く算出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本件の一観点による半導体装置の製造方法は、基板の第1の領域及び第2の領域に第1の膜を形成する工程と、前記第2の領域の前記第1の膜の幅を測定する工程と、前記基板の前記第2の領域及び第3の領域に第2の膜を形成する工程と、前記第2の領域の前記第2の膜の幅及び前記第2の領域の前記第1の膜と前記第2の膜との距離を測定する工程と、前記第2の領域における前記第1の膜の幅の測定値、前記第2の膜の幅の測定値、前記第1の膜と前記第2の膜との距離の測定値及び前記第1の膜と前記第2の膜とに関する設計値に基づいて、前記第1の領域における前記第1の膜と前記第3の領域における前記第2の膜との重なり量を算出する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
基板に形成される第1の膜と第2の膜との重なり量を精度良く算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1A】半導体装置の上面図である。
【図1B】図1Aの一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。
【図1C】図1Aの一点鎖線B−Bにおける半導体装置の断面図である。
【図1D】図1Aの一点鎖線C−Cにおける半導体装置の断面図である。
【図2】半導体装置の断面図である。
【図3A】半導体装置の断面図である。
【図3B】半導体装置の断面図である。
【図4A】半導体装置の上面図である。
【図4B】図4Aの一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。
【図4C】半導体装置の上面図である。
【図4D】図4Cの一点鎖線B−Bにおける半導体装置の断面図である。
【図5A】半導体装置の断面図である。
【図5B】半導体装置の断面図である。
【図6A】半導体装置の断面図である。
【図6B】半導体装置の断面図である。
【図7A】半導体装置の上面図である。
【図7B】図7Aの一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。
【図7C】半導体装置の上面図である。
【図7D】図7Cの一点鎖線B−Bにおける半導体装置の断面図である。
【図8】半導体装置の断面図である。
【図9】半導体装置の断面図である。
【図10A】半導体装置の上面図である。
【図10B】図10Aの一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。
【図10C】図10Aの一点鎖線B−Bにおける半導体装置の断面図である。
【図10D】図10Aの一点鎖線C−Cにおける半導体装置の断面図である。
【図11】半導体装置の断面図である。
【図12】半導体装置の断面図である。
【図13A】半導体装置の上面図である。
【図13B】図13Aの一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。
【図14】半導体装置の断面図である。
【図15】半導体装置の断面図である。
【図16】半導体装置の断面図である。
【図17】半導体装置の断面図である。
【図18】半導体装置の断面図である。
【図19】半導体装置の断面図である。
【図20】制御装置100のハードウェア構成図である。
【図21】半導体装置の製造工程の説明図である。
【図22】半導体装置の断面図である。
【図23】半導体装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本実施形態に係る半導体装置及びその製造方法について説明する。以下の実施例の構成は例示であり、本実施形態に係る半導体装置及びその製造方法は実施例の構成に限定されない。
【0009】
以下、図面を参照して本実施形態に係る半導体装置及びその製造方法について説明する。図1Aは、半導体装置の上面図である。図1Bは、図1Aの一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。図1Cは、図1Aの一点鎖線B−Bにおける半導体装置の断面図である。図1Dは、図1Aの一点鎖線C−Cにおける半導体装置の断面図である。
【0010】
半導体基板1の表層部分には、素子分離絶縁膜2が形成されている。半導体基板1は、例えば、シリコン(Si)基板である。素子分離絶縁膜2は、例えば、酸化シリコン(SiO2)である。例えば、STI(Shallow Trench Isolation)又はLOCOS(Local Oxidation of Silicon)等により、素子分離絶縁膜2を形成してもよい。半導体基板1に素子
分離絶縁膜2を形成することにより、半導体基板1が複数の領域に分離される。更に、素子分離絶縁膜2で分離された領域にイオン注入を行うことにより、半導体基板1にpMOS用活性領域3及びnMOS用活性領域4が画定される。pMOS用活性領域3は、n型ウェル領域5内に配置され、nMOS用活性領域4は、p型ウェル領域6内に配置される。n型ウェル領域5は、第3の領域の一例である。p型ウェル領域6は、第1の領域の一例である。
【0011】
pMOS用活性領域3及びnMOS用活性領域4の各々は、例えば、長方形の平面形状に形成されている。pMOS用活性領域3及びnMOS用活性領域4は、素子分離絶縁膜
2を隔てて配置されている。
【0012】
pMOS用活性領域3内にpMOS7が形成され、nMOS用活性領域4内にnMOS8が形成される。pMOS7は、ゲート絶縁膜10、ゲート電極11、サイドウォール12、ソース13A及びドレイン14Aを有している。nMOS8は、ゲート絶縁膜10、ゲート電極11、サイドウォール12、ソース13B及びドレイン14Bを有している。ゲート絶縁膜10は、例えば、酸化シリコン(SiO2)である。ゲート電極11は、例
えば、ポリシリコンである。サイドウォール12は、例えば、酸化シリコン(SiO2
である。ゲート絶縁膜10、ゲート電極11及びサイドウォール12は、例えば、Chemical Vapor Deposition(CVD、化学気相蒸着)法等の成膜、フォトリソグラフィ及び異
方性エッチング等により形成される。
【0013】
図1Aにおいて、ゲート電極11は、金属シリサイド膜15の下に形成されているので、符号11は()内に示した。また、他の図面においても、金属シリサイド膜15の下に形成されているゲート電極11については、図1Aと同様に、符号11を()内に示している。ゲート電極11は、pMOS7及びnMOS8で共用されている。図1Aの平面視で、ゲート電極11は、pMOS用活性領域3及びnMOS用活性領域4と交差している。このため、ゲート電極11は、n型ウェル領域5とp型ウェル領域6との界面とも交差している。n型ウェル領域5とp型ウェル領域6との境界となる素子分離絶縁膜2上では、ゲート電極11が、n型ウェル領域5とp型ウェル領域6との界面に沿って一方の方向に突出している。
【0014】
ゲート電極11、ソース13A、13B、ドレイン14A、14Bの上に金属シリサイド膜15が形成されている。金属シリサイド膜15には、例えば、NiSi、CoSi、TiSi等が用いられる。金属シリサイド膜15は、自己整合シリサイドプロセス(いわゆるサリサイドプロセス)により形成される。以下において、金属シリサイド膜15としてNiSiを用いた場合の金属シリサイド膜15の形成方法の一例について説明する。
【0015】
希フッ酸を用いて、ゲート電極11、ソース13A、13B、ドレイン14A、14Bの表面の自然酸化膜をエッチング除去する。次に、半導体基板1の上に、厚さ約10nmのニッケル(Ni)膜をDC(直流)スパッタリングにより堆積する。次いで、400℃で60秒間の第1回目のアニールを行うことにより、シリコンとニッケルとの界面に、ニッケルシリサイドが形成される。そして、硫酸過酸化水素混合溶液を用いて、未反応の余分なニッケル膜をエッチング除去する。その後、500℃で60秒間の第2回目のアニールを行うことにより、金属シリサイド膜15としてNiSiが形成される。
【0016】
次に、成膜装置を用いて、pMOS7及びnMOS8を覆うように、半導体基板1の上に引張応力膜20を成膜する。すなわち、ゲート電極11及び金属シリサイド膜15を覆うように、半導体基板1の上に引張応力膜20を成膜する。引張応力膜20は、例えば、窒化シリコン(SiN)膜である。引張応力膜20は、第1の膜の一例である。例えば、熱CVD法により、引張応力膜20を成膜してもよい。熱CVD法で成膜された窒化シリコン膜には、引張応力が生じる。ただし、引張応力を有する膜であれば、引張応力膜20は、窒化シリコン膜に限らず、他の膜であってもよい。引張応力膜20の膜厚は、例えば、80nm程度である。引張応力膜20の成膜条件として、例えば、下記の条件を採用してもよい。
・基板温度 400℃以上700℃以下
・圧力 13Pa以上53kPa以下(0.1Torr以上400Torr以下)
・Si原料 SiH2Cl2+SiH4+Si26(5sccm以上60sccm以下)
・N原料 NH3(500sccm以上10000sccm以下)
・キャリアガス N2+Ar(500sccm以上1000sccm以下)
次に、成膜装置を用いて、図2に示すように、引張応力膜20の上にストッパ膜21を成膜する。図2は、引張応力膜20の上にストッパ膜21を成膜した場合の半導体装置の断面図である。ストッパ膜21は、例えば、酸化シリコン(SiO2)である。ストッパ
膜21は、例えば、CVD法により成膜される。本実施形態では、引張応力膜20の上にストッパ膜21を成膜する例を示すが、引張応力膜20の上にストッパ膜21を成膜しないようにしてもよい。
【0017】
次いで、ストッパ膜21の上にフォトレジスト膜を塗布した後、露光装置を用いてフォトレジスト膜を露光することにより、p型ウェル領域6を覆い、かつ、図3Bに示す測定用領域22の一部を覆うレジストパターン23をストッパ膜21の上に形成する。測定用領域22は、第2の領域の一例である。レジストパターン23は、第1のレジストパターンの一例である。
【0018】
図3Aは、p型ウェル領域6を覆うように形成されたレジストパターン23を示す半導体装置の断面図である。図3Aに示すように、レジストパターン23は、p型ウェル領域6を覆っているが、n型ウェル領域5を覆っていない。
【0019】
図3Bは、測定用領域22の一部を覆うように形成されたレジストパターン23を示す半導体装置の断面図である。測定用領域22は、半導体基板1に設けられた領域であり、n型ウェル領域5及びp型ウェル領域6とは異なる領域である。例えば、測定用領域22を、半導体基板1上のチップとチップの間(スクライブライン)や集積回路内の回路ブロックと回路ブロックの間に設けるようにしてもよい。
【0020】
そして、エッチング装置を用いて、レジストパターン23をマスクとして、引張応力膜20及びストッパ膜21に対して異方性エッチングを行うことにより、p型ウェル領域6及び測定用領域22に引張応力膜20及びストッパ膜21を残存させる。すなわち、レジストパターン23により覆われていない引張応力膜20及びストッパ膜21を除去し、レジストパターン23により覆われている引張応力膜20及びストッパ膜21を残す。
【0021】
引張応力膜20及びストッパ膜21の異方性エッチングには、例えば、平行平板型プラズマエッチング装置を用いてもよい。エッチング条件として、例えば、下記の条件を採用してもよい。
・エッチングガス CHF3(20sccm以上100sccm以下)+O2(100sccm以上300sccm以下)
・圧力 6.7Pa以上27Pa以下(50mTorr以上200mTorr以下)
・RFパワー 100W以上1000W以下
引張応力膜20及びストッパ膜21を異方性エッチングした後、アッシング(灰化処理)によりレジストパターン23を除去する。図4Aは、レジストパターン23を除去した後であって、n型ウェル領域5及びp型ウェル領域6を含む部分の半導体装置の上面図である。図4Aにおいて、引張応力膜20は、ストッパ膜21の下に形成されているので、符号20は()内に示した。また、他の図面においても、ストッパ膜21の下に形成されている引張応力膜20については、図4Aと同様に、符号20を()内に示している。図4Bは、図4Aの一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。図4Bに示すように、p型ウェル領域6には、引張応力膜20及びストッパ膜21が形成されている。図4Cは、レジストパターン23を除去した後であって、測定領域22を含む半導体装置の上面図である。図4Dは、図4Cの一点鎖線B−Bにおける半導体装置の断面図である。図4Dに示すように、測定用領域22には、引張応力膜20及びストッパ膜21が形成されている。
【0022】
次に、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、測定用領域22の引張応力膜20の幅t
を測定する。測定用領域22の引張応力膜20の幅tの方向は、ゲート電極11の長手方向と一致している。
【0023】
次いで、成膜装置を用いて、図5A及び図5Bに示すように、p型ウェル領域6の引張応力膜20及びストッパ膜21と、測定用領域22の引張応力膜20及びストッパ膜21とを覆うように、半導体基板1の上に圧縮応力膜30を成膜する。図5Aは、半導体基板1の上に圧縮応力膜30を成膜した後であって、n型ウェル領域5及びp型ウェル領域6を含む半導体装置の断面図である。図5Bは、半導体基板1の上に圧縮応力膜30を成膜した後であって、測定用領域22を含む半導体装置の断面図である。圧縮応力膜30は、例えば、窒化シリコン(SiN)膜である。圧縮応力膜30は、第2の膜の一例である。例えば、プラズマ励起化学気相成長(PE−CVD)法により、圧縮応力膜30を成膜してもよい。PE−CVD法により成膜された窒化シリコン膜には圧縮応力が生じる。ただし、圧縮応力を有する膜であれば、圧縮応力膜30は、窒化シリコン膜に限らず、他の膜であってもよい。圧縮応力膜30の膜厚は、例えば、80nm程度である。圧縮応力膜30の成膜条件として、例えば、下記の条件を採用してもよい。
・基板温度 400℃以上700℃以下
・圧力 13Pa以上53kPa以下(0.1Torr以上400Torr以下)
・Si原料 SiH2Cl2+SiH4+Si26(5sccm以上60sccm以下)
・N原料 NH3(500sccm以上10000sccm以下)
・キャリアガス N2+Ar(500sccm以上1000sccm以下)
次いで、圧縮応力膜30の上にフォトレジスト膜を塗布した後、露光装置を用いてフォトレジスト膜を露光することにより、n型ウェル領域5を覆い、かつ、測定用領域22の一部を覆うレジストパターン31を圧縮応力膜30の上に形成する。レジストパターン31は、第2のレジストパターンの一例である。
【0024】
図6Aは、n型ウェル領域5を覆うように形成されたレジストパターン31を示す半導体装置の断面図である。図6Aに示すように、レジストパターン31は、n型ウェル領域5を覆っているが、p型ウェル領域6を覆っていない。図6Bは、測定用領域22の一部を覆うように形成されたレジストパターン31を示す半導体装置の断面図である。
【0025】
次に、エッチング装置を用いて、レジストパターン31をマスクとして、圧縮応力膜30に対して異方性エッチングを行うことにより、n型ウェル領域5及び測定用領域22に圧縮応力膜30を残存させる。すなわち、レジストパターン31により覆われていない圧縮応力膜30を除去し、レジストパターン31により覆われている圧縮応力膜30を残す。ストッパ膜21は、圧縮応力膜30に対する異方性エッチングを終了するためのストッパとして機能する。
【0026】
圧縮応力膜30の異方性エッチングには、例えば、ダウンフロープラズマエッチング装置を用いてもよい。エッチング条件として、例えば、下記の条件を採用してもよい。
・エッチングガス CF4(100sccm以上500sccm以下)+O2(100sccm以上500sccm以下)
・圧力 20Pa以上100Pa以下
・マイクロ波パワー 200W以上800W以下
圧縮応力膜30を異方性エッチングした後、アッシングによりレジストパターン31を除去する。図7Aは、レジストパターン31を除去した後であって、n型ウェル領域5及びp型ウェル領域6を含む部分の半導体装置の上面図である。図7Bは、図7Aの一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。図7Bに示すように、p型ウェル領域6には、引張応力膜20が形成され、n型ウェル領域5には、圧縮応力膜30が形成されている。
【0027】
p型ウェル領域6に形成された引張応力膜20によって、nMOS用活性領域4に引張応力が印加される。nMOS用活性領域4に引張応力が印加されることにより、nMOS用活性領域4において電子移動度が増加し、nMOS8の動作速度の向上が図られる。また、n型ウェル領域5に形成された圧縮応力膜30によって、pMOS用活性領域3に圧縮応力が印加される。pMOS用活性領域3に圧縮応力が印加されることにより、pMOS用活性領域3においてホール移動度が増加し、pMOS7の動作速度の向上が図られる。
【0028】
図7Cは、レジストパターン31を除去した後であって、測定用領域22を含む部分の半導体装置の上面図である。図7Dは、図7Cの一点鎖線B−Bにおける半導体装置の断面図である。図7C及び図7Dに示すように、測定用領域22には、圧縮応力膜30が形成されている。SEMを用いて、測定用領域22の圧縮応力膜30の幅cを測定するとともに、測定用領域22の引張応力膜20と圧縮応力膜30との距離xを測定する。測定用領域22の圧縮応力膜30の幅cの方向は、ゲート電極11の長手方向と一致している。したがって、測定用領域22の圧縮応力膜30の幅cの方向は、測定用領域22の引張応力膜20の幅tの方向と一致している。
【0029】
フッ化アンモニウム水溶液を用いて、ストッパ膜21及び圧縮応力膜30の表面のウェット処理を行ってもよい。ウェット処理の時間は、例えば、30秒以上120秒以下とする。金属シリサイド膜15は、引張応力膜20及び圧縮応力膜30によって覆われており、金属シリサイド膜15は露出していない。そのため、フッ化アンモニウム水溶液を用いたウェット処理時において、金属シリサイド膜15がダメージを受けることは無い。
【0030】
次いで、成膜装置を用いて、図8に示すように、引張応力膜20及び圧縮応力膜30の上に層間絶縁膜40を成膜する。層間絶縁膜40は、例えば、酸化シリコン(SiO2
である。層間絶縁膜40は、例えば、PE−CVD法により、層間絶縁膜40を成膜してもよい。層間絶縁膜40の成膜条件として、例えば、下記の条件を採用してもよい。
・基板温度 400℃以上700℃以下
・ガス テトラエチルオルソシリケート(TEOS)
・圧力 13Pa以上53kPa以下(0.1Torr以上400Torr以下)
そして、層間絶縁膜40の上にフォトレジスト膜を塗布した後、露光装置を用いてフォトレジスト膜を露光することにより、図9に示すように、ビアホール形成用の開口を有するレジストパターン41を層間絶縁膜40の上に形成する。
【0031】
次に、エッチング装置を用いて、レジストパターン41をマスクとして、引張応力膜20、ストッパ膜21、圧縮応力膜30及び層間絶縁膜40に対して異方性エッチングを行う。異方性エッチングを行うことにより、図10A〜Dに示すように、引張応力膜20、ストッパ膜21、圧縮応力膜30及び層間絶縁膜40に、ビアホール50A〜50Eを形成する。
【0032】
図10Aは、ビアホール50A〜50Eを形成した後の半導体装置の上面図である。図10Bは、図10Aの一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。図10Cは、図10Aの一点鎖線B−Bにおける半導体装置の断面図である。図10Dは、図10Aの一点鎖線C−Cにおける半導体装置の断面図である。
【0033】
ビアホール50Aは、n型ウェル領域5とp型ウェル領域6との境界であって、ゲート電極11の上方に配置される。ビアホール50B及び50Cは、n型ウェル領域5の上方に配置される。ビアホール50D及び50Eは、p型ウェル領域6の上方に配置される。
【0034】
ビアホール50Aは、層間絶縁膜40、引張応力膜20、ストッパ膜21及び圧縮応力
膜30を貫通して、n型ウェル領域5とp型ウェル領域6との境界におけるゲート電極11の金属シリサイド膜15まで達している。
【0035】
ビアホール50Bは、層間絶縁膜40及び圧縮応力膜30を貫通して、pMOS7のソース13A上の金属シリサイド膜15まで達している。ビアホール50Cは、層間絶縁膜40及び圧縮応力膜30を貫通して、pMOS7のドレイン14A上の金属シリサイド膜15まで達している。
【0036】
ビアホール50Dは、層間絶縁膜40、引張応力膜20及びストッパ膜21を貫通して、nMOS8のソース13B上の金属シリサイド膜15まで達している。ビアホール50Eは、層間絶縁膜40、引張応力膜20及びストッパ膜21を貫通して、pMOS8のドレイン14B上の金属シリサイド膜15まで達している。
【0037】
ビアホール50A〜50Eを形成するための異方性エッチングには、例えば、平行平板型プラズマエッチング装置を用いてもよい。層間絶縁膜40のエッチング条件として、例えば、下記の条件を採用してもよい。
・エッチングガス C46(10sccm以上30sccm以下)+O2(5sccm以
上20sccm以下)+Ar(500sccm以上1000sccm以下)
・圧力 4.0Pa以上11Pa以下(30Torr以上80Torr以下)
・RFパワー 2000W以上4000W以下
引張応力膜20及び圧縮応力膜30のエッチング条件として、例えば、下記の条件を採用してもよい。
・エッチングガス CHF3(30sccm以上100sccm以下)+O2(10sccm以上100sccm以下)+Ar(100sccm以上300sccm以下)
・圧力 6.7Pa以上27Pa以下(50mTorr以上200mTorr以下)
・RFパワー 300W以上1000W以下
次いで、アッシングによりレジストパターン41を除去した後、ビアホール50A〜50E内にタングステン等の導電プラグを充填する。そして、導電プラグと接続する配線を層間絶縁膜40の上に形成することにより、本実施形態に係る半導体装置の基本構造が完成する。
【0038】
レジストパターン23及びレジストパターン31の位置ずれが発生しておらず、引張応力膜20及び圧縮応力膜30の幅が設計値と一致している場合、図10Bに示すように、所望の形状のビアホール50Aを形成することができる。しかし、レジストパターン23及びレジストパターン31の位置ずれが発生している場合には、引張応力膜20と圧縮応力膜30とが重なって形成されたり、引張応力膜20と圧縮応力膜30とが離れて形成されたりすることがある。また、引張応力膜20及び圧縮応力膜30の幅が設計値と一致しない場合には、引張応力膜20と圧縮応力膜30とが重なって形成されたり、引張応力膜20と圧縮応力膜30とが離れて形成されたりすることがある。引張応力膜20と圧縮応力膜30とが重なって形成されたり、引張応力膜20と圧縮応力膜30とが離れて形成されたりすると、所望の形状のビアホール50Aを形成することができなくなる。
【0039】
引張応力膜20と圧縮応力膜30とが重なって形成される場合を、図11から図14を参照して説明する。図11は、レジストパターン31の位置ずれが発生した状態を示しており、レジストパターン31が、位置ずれが発生していない場合(図6A参照)よりも、p型ウェル領域6に近づく方向にずれて形成されている。なお、図11では、レジストパターン23の位置ずれは発生しておらず、引張応力膜20及び圧縮応力膜30の幅は設計値と一致している。
【0040】
そして、図12に示すように、p型ウェル領域6に近づく方向に位置ずれが発生した状
態のレジストパターン31をマスクとして、圧縮応力膜30に異方性エッチングを行う。次に、図13A及び図13Bに示すように、レジストパターン31をアッシングにより除去する。図13Aは、半導体装置の上面図である。図13Bは、図13Aの一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。図13Bに示すように、圧縮応力膜30が引張応力膜20の上方に残存してしまう。
【0041】
レジストパターン31をアッシングにより除去した後、成膜装置を用いて、引張応力膜20及び圧縮応力膜30の上に層間絶縁膜40を形成する。次に、層間絶縁膜40の上にフォトレジスト膜を塗布した後、露光装置を用いてフォトレジスト膜を露光することにより、ビアホール形成用の開口を有するレジストパターン41を層間絶縁膜40の上に形成する。そして、エッチング装置を用いて、レジストパターン41をマスクとして、引張応力膜20、ストッパ膜21、圧縮応力膜30及び層間絶縁膜40に対して異方性エッチングを行う。引張応力膜20の上方に圧縮応力膜30が残存した状態で異方性エッチングを行った場合、図14に示すように、ビアホール50Aが所望の形状にならない。すなわち、異方性エッチングが引張応力膜20及び圧縮応力膜30を貫通しきらないことにより、ビアホール50Aの内部に引張応力膜20及び圧縮応力膜30が残存してしまう。
【0042】
図7Aは、引張応力膜20と圧縮応力膜30とが重ならずに形成されている状態を示しており、図13Aは、引張応力膜20と圧縮応力膜30とが重なって形成されている状態を示している。図7A及び図13Aに示すように、半導体基板1の上面方向からは、引張応力膜20と圧縮応力膜30とが重ならずに形成されているのか、引張応力膜20と圧縮応力膜30とが重なって形成されているのかを判断することは難しい。
【0043】
次に、引張応力膜20と圧縮応力膜30とが離れて形成される場合を、図15から図17を参照して説明する。図15は、レジストパターン31の位置ずれが発生した状態を示しており、レジストパターン31が、位置ずれが発生していない場合(図6A参照)よりも、p型ウェル領域6から離れる方向にずれて形成されている。なお、図15では、レジストパターン23の位置ずれは発生しておらず、引張応力膜20及び圧縮応力膜30の幅は設計値と一致している。
【0044】
そして、p型ウェル領域6から離れる方向に位置ずれが発生した状態のレジストパターン31をマスクとして、圧縮応力膜30に異方性エッチングを行う。この場合、図16に示すように、ゲート電極11の上方の圧縮応力膜30に金属シリサイド膜15まで達する溝が形成されてしまう。
【0045】
レジストパターン31をアッシングにより除去した後、成膜装置を用いて、引張応力膜20及び圧縮応力膜30の上に層間絶縁膜40を形成する。次に、層間絶縁膜40の上にフォトレジスト膜を塗布した後、露光装置を用いてフォトレジスト膜を露光することにより、ビアホール形成用の開口を有するレジストパターン41を層間絶縁膜40の上に形成する。そして、エッチング装置を用いて、レジストパターン41をマスクとして、引張応力膜20、ストッパ膜21、圧縮応力膜30及び層間絶縁膜40に対して異方性エッチングを行う。ゲート電極11の上方の圧縮応力膜30に金属シリサイド膜15まで達する溝が形成された状態で異方性エッチングを行った場合、図17に示すように、ビアホール50Aが所望の形状にならない。すなわち、ゲート電極11の上方の圧縮応力膜30に金属シリサイド膜15まで達する溝が形成されているため、異方性エッチングによって、ゲート電極11及び金属シリサイド膜15に溝が形成されてしまう。
【0046】
図11から図17に示す例では、レジストパターン31の位置ずれが発生した場合を説明しているが、レジストパターン23の位置ずれが発生した場合も、所望の形状のビアホール50Aを形成することができなくなる。また、引張応力膜20の幅が設計値から許容
値以上となる場合や圧縮応力膜30の幅が設計値から許容値以上となる場合も、所望の形状のビアホール50Aを形成することができなくなる。引張応力膜20の幅が設計値から許容値以上となるのは、レジストパターン23の幅が設計値から許容値以上になった状態でレジストパターン23が形成され、そのレジストパターン23をマスクとして、引張応力膜20が異方性エッチングされるからである。また、圧縮応力膜30の幅が設計値から許容値以上となるのは、レジストパターン31の幅が設計値から許容値以上になった状態でレジストパターン31が形成され、そのレジストパターン31をマスクとして、圧縮応力膜30が異方性エッチングされるからである。
【0047】
本実施形態では、所望の形状のビアホール50Aを形成するために、引張応力膜20と圧縮応力膜30との重なり量Sを算出する。引張応力膜20と圧縮応力膜30との重なり量Sは、以下の式(1)−(3)から求めることができる。
(T+Δt)/2+xtc+(C+Δc)/2=P+Δd ・・・(1)
Δd=(T+Δt)/2+xtc+(C+Δc)/2−P ・・・(2)
S=Δt/2+Δc/2−Δd ・・・(3)
図18を参照して、上記式(1)−(3)の説明を行う。上記式(1)及び(2)のTは、測定用領域22の引張応力膜20の幅tの設計値であり、以下では、設計値Tとも表記する。レジストパターン23の形成時に使用するレチクル上の距離から、設計値Tを求めてもよい。
【0048】
上記式(1)−(3)のΔtは、測定用領域22の引張応力膜20の幅tの測定値と、設計値Tとの差分値である。したがって、設計値TとΔtとの合計値が、測定用領域22の引張応力膜20の幅tの測定値となる。Δtは、例えば、測定用領域22の引張応力膜20の幅tの測定値が設計値Tよりも大きい場合、プラスの値となり、測定用領域22の引張応力膜20の幅tの測定値が設計値Tよりも小さい場合、マイナスの値となる。図18では、測定用領域22の引張応力膜20の幅tの測定値を、“T+Δt”と表記している。なお、測定用領域22の引張応力膜20の幅tの測定値を、以下では、測定値tとも表記する。
【0049】
上記式の(1)及び(2)のxtcは、測定用領域22の引張応力膜20の端部と圧縮応力膜30の端部との距離xの測定値である。測定用領域22の引張応力膜20の複数の端部のうち圧縮応力膜30に対して最も近い端部と、測定用領域22の圧縮応力膜30の複数の端部のうち引張応力膜20に対して最も近い端部とが、測定対象となる。図18では、測定用領域22の引張応力膜20の右端部と圧縮応力膜30の左端部との距離xの測定値を、“xtc”と表記する。なお、測定用領域22の引張応力膜20の端部と圧縮応力膜30の端部との距離xの測定値を、以下では、測定値xtcと表記し、測定用領域22の引張応力膜20の端部と圧縮応力膜30の端部との距離xの設計値を、以下では、設計値XTCとも表記する。
【0050】
上記式(1)及び(2)のCは、測定用領域22の圧縮応力膜30の幅cの設計値であり、以下では、設計値Cとも表記する。レジストパターン31の形成時に使用するレチクル上の距離から、設計値Cを求めてもよい。
【0051】
上記式(1)−(3)のΔcは、測定用領域22の圧縮応力膜30の幅cの測定値と、設計値Cとの差分値である。したがって、設計値CとΔcとの合計値が、測定用領域22の圧縮応力膜30の幅cの測定値となる。Δcは、例えば、測定用領域22の圧縮応力膜30の幅cの測定値が設計値Cよりも大きい場合、プラスの値となり、測定用領域22の圧縮応力膜30の幅cの測定値が設計値Cよりも小さい場合、マイナスの値となる。図18では、測定用領域22の圧縮応力膜30の幅cの測定値を、“C+Δc”と表記する。なお、測定用領域22の圧縮応力膜30の幅cの測定値を、以下では、測定値cとも表記
する。
【0052】
上記式(1)及び(2)のPは、測定用領域22の引張応力膜20の中心位置と圧縮応力膜30の中心位置との距離pの設計値であり、以下では、設計値Pとも表記する。レジストパターン23の形成時に使用するレチクル上の距離と、レジストパターン31の形成時に使用するレチクル上の距離とから、設計値Pを求めてもよい。
【0053】
上記式(1)−(3)のΔdは、測定用領域22の引張応力膜20の中心位置のずれ量(変位値)と、測定用領域22の圧縮応力膜30の中心位置のずれ量(変位値)との和(合計値)である。例えば、測定用領域22の引張応力膜20の中心位置が、測定用領域22の圧縮応力膜30が形成されている方向と反対方向にずれる(変位する)場合、測定用領域22の引張応力膜20の中心位置のずれ量(変位値)をプラスの値とする。また、例えば、測定用領域22の圧縮応力膜30の中心位置が、測定用領域22の引張応力膜20が形成されている方向と反対方向にずれる(変位する)場合、測定用領域22の引張応力膜30の中心位置のずれ量(変位値)をプラスの値とする。図18では、設計値PとΔdとの合計値を、“P+Δd”と表記する。
【0054】
図19を参照して、引張応力膜20と圧縮応力膜30との重なり量Sを説明する。図19は、半導体装置の断面図である。図19では、引張応力膜20の幅が設計値よりも大きい値となっており、圧縮応力膜30の幅は設計値と同じ値となっている。レジストパターン23の幅が設計値よりも大きい値であり、レジストパターン23をマスクとして引張応力膜20が異方性エッチングされたため、引張応力膜20の幅が設計値よりも大きい値となっている。したがって、測定用領域22の引張応力膜20の幅tは、設計値T+Δtとなり、Δtはプラスの値である。一方、レジストパターン31の幅が設計値と一致しており、レジストパターン31をマスクとして圧縮応力膜30が異方性エッチングされたため、圧縮応力膜30の幅は設計値と同じ値となっている。したがって、測定用領域22の圧縮応力膜30の幅cが設計値Cと同じ値であるため、Δcは0nmとなる。
【0055】
また、図19では、レジストパターン23及び31の位置ずれは発生していない。したがって、引張応力膜20及び圧縮応力膜30の中心位置のずれ量(変位量)は0nmであるため、Δdは0nmとなる。
【0056】
図19に示すように、引張応力膜20の幅が設計値よりも大きい場合、引張応力膜20と圧縮応力膜30との間で重なりが発生する。図19における引張応力膜20及び圧縮応力膜30の条件を上記式(3)に代入した場合、Δc及びΔdは0nmであることから、重なり量SはΔt/2となる。
【0057】
例えば、測定用領域22の引張応力膜20の幅tの設計値Tを100nm、測定用領域22の圧縮応力膜30の幅cの設計値Cを200nm、測定用領域22の引張応力膜20の中心位置と圧縮応力膜30の中心位置との距離pの設計値Pを175nmとする。したがって、測定用領域22の引張応力膜20の端部と圧縮応力膜30の端部との距離xの設計値XTCは、175nm−100/2nm−200/2nm=25nmとなる。
【0058】
第1のケースとして、引張応力膜20及び圧縮応力膜30の中心位置のずれ量(変位量)が0nmであり、測定用領域22の引張応力膜20の幅tの測定値tが100nmであり、測定用領域22の圧縮応力膜30の幅cの測定値cが200nmであるとする。この場合、測定用領域22の引張応力膜20の端部と圧縮応力膜30の端部との距離xの測定値xtcは、175nm−100/2nm−200/2nm=25nmであり、設計値XTCと同じ値となる。Δtは、Δt=100nm(測定値t)−100nm(設計値T)=0nmとなる。Δcは、Δc=200nm(測定値c)−200nm(設計値C)=0
nmとなる。Δdは、上記式(2)から、Δd=(100nm+0nm)/2+25nm+(200n+0nm)/2−175nm=0nmとなる。このように、上記式(2)による計算からも、引張応力膜20及び圧縮応力膜30の中心位置のずれ量(変位量)が0nmであることわかる。重なり量Sは、上記式(3)から、重なり量S=0nm/2+0nm/2−0nm=0nmとなる。
【0059】
第2のケースとして、引張応力膜20及び圧縮応力膜30の中心位置のずれ量(変位量)が0nmであり、測定用領域22の引張応力膜20の幅tの測定値tが120nmであり、測定用領域22の圧縮応力膜30の幅cの測定値cが200nmであるとする。この場合、測定用領域22の引張応力膜20の端部と圧縮応力膜30の端部との距離xの測定値xtcは、15nm(175nm−120/2nm−200/2nm=15nm)であり、設計値XTCよりも10nm短くなる。Δtは、Δt=120nm(測定値t)−100nm(設計値T)=+20nmとなる。Δcは、Δc=200nm(測定値c)−200nm(設計値C)=0nmとなる。Δdは、上記式(2)から、Δd=(100nm+20nm)/2+15nm+(200n+0nm)/2−175nm=0nmとなる。このように、上記式(2)による計算からも、引張応力膜20及び圧縮応力膜30の中心位置のずれ量(変位量)が0nmであることがわかる。重なり量Sは、上記式(3)から、重なり量S=20nm/2+0nm/2−0nm=10nmとなる。
【0060】
図20は、本実施形態に係る半導体装置の製造方法で用いられる成膜装置、露光装置、エッチング装置及び光学式の検査装置等を制御する制御装置100のハードウェア構成図である。図20に示すように、制御装置100は、Central Processing Unit(CPU、
中央処理装置)101、CPU101で実行されるコンピュータプログラムやCPU101が処理するデータを記憶する記憶装置102を有する。また、図20に示すように、制御装置100は、入力装置103及び表示装置104を有している。
【0061】
記憶装置102は、例えば、揮発性のRandom Access Memory(RAM)や、不揮発性のRead Only Memory(ROM)や、ハードディスク装置等である。記憶装置102は、CPU101で実行されるコンピュータプログラム、CPU101が処理するデータ、半導体装置の設計値のデータ及び半導体装置の測定値のデータ等を記憶する。入力装置103は、外部からの入力を受け付ける。入力装置103は、例えば、キーボード、マウス、ポインティングデバイス、ワイヤレスリモコン等である。表示装置104は、CPU101で処理されるデータや記憶装置102に記憶されるデータを表示する。表示装置104は、例えば、液晶表示装置、プラズマディスプレイパネル、Cathode Ray Tube(CRT)、エレクトロルミネッセンスパネル等である。
【0062】
制御装置100は、ネットワークを介して、成膜装置、露光装置、エッチング装置、SEM及び光学式の検査装置等と接続されている。制御装置100は、成膜装置、露光装置、エッチング装置、SEM及び光学式の検査装置等を制御する。制御装置100は、SEMによって測定された各種の測定値をSEMから取得し、光学式の検査装置によって測定された各種の測定値を光学式の検査装置から取得する。制御装置100は、SEMから取得した各種の測定値及び記憶装置102に記憶されている設計値に基づいて、Δt、Δc、Δd及び重なり量Sを算出する。
【0063】
図21は、Δdや重なり量S等を利用した半導体装置の製造工程の説明図である。なお、半導体装置の製造工程の詳細な説明は上記で行っているので、以下では半導体装置の製造工程の説明を簡略化している。
【0064】
図21のS01の工程において、成膜装置を用いて、半導体基板1の上に引張応力膜20を形成し、引張応力膜20の上にストッパ膜21を形成する。次に、図21のS02の
工程において、ストッパ膜21の上にフォトレジスト膜を塗布した後、露光装置を用いてフォトレジスト膜を露光し、レジストパターン23をストッパ膜21の上に形成する。
【0065】
次いで、図21のS03の工程において、エッチング装置を用いて、レジストパターン23をマスクとして、引張応力膜20及びストッパ膜21に対して異方性エッチングを行う。そして、図21のS04の工程において、SEMを用いて、測定用領域22の引張応力膜20の幅tを測定する。また、図21のS04の工程において、制御装置100は、SEMから引張応力膜20の幅tの測定値のデータを取得する。更に、図21のS04の工程において、制御装置100は、測定用領域22の引張応力膜20の幅tの測定値及び測定用領域22の引張応力膜20の幅tの設計値に基づいてΔtを算出し、Δtのデータを記憶装置102に記憶する。
【0066】
そして、図21のS05の工程において、成膜装置を用いて、半導体基板1の上に圧縮応力膜30を形成する。次に、図21のS06の工程において、圧縮応力膜30の上にフォトレジスト膜を塗布した後、露光装置を用いてフォトレジスト膜を露光し、レジストパターン31を圧縮応力膜30の上に形成する。
【0067】
そして、図21のS07の工程において、エッチング装置を用いて、レジストパターン31をマスクとして、圧縮応力膜30に対して異方性エッチングを行う。次に、図21のS08の工程において、SEMを用いて、測定用領域22の圧縮応力膜30の幅cを測定する。そして、制御装置100は、測定用領域22の圧縮応力膜30の幅cの測定値(測定値c)のデータを記憶装置102に記憶する。また、図21のS08の工程において、SEMを用いて、測定用領域22の引張応力膜20と圧縮応力膜30との距離xを測定する。そして、制御装置100は、測定用領域22の引張応力膜20と圧縮応力膜30との距離xの測定値(測定値xtc)のデータを記憶装置102に記憶する。また、図21のS08の工程において、制御装置100は、測定用領域22の圧縮応力膜30の幅cの測定値(測定値c)及び測定用領域22の圧縮応力膜30の幅cの設計値(設計値C)に基づいてΔcを算出し、Δcのデータを記憶装置102に記憶する。
【0068】
次いで、図21のS09の工程において、制御装置100は、測定値t(設計値T+Δt)、測定値xtc、測定値c(設計値C+Δc)及び設計値Pに基づいて、Δdを算出し、Δdのデータを記憶装置102に記憶する。例えば、制御装置100は、上記式(2)に、測定値t(設計値T+Δt)、測定値xtc、測定値c(設計値C+Δc)及び設計値Pを代入することにより、Δdを算出する。また、図21のS09の工程において、制御装置100は、Δt、Δc及びΔdに基づいて重なり量Sを算出し、重なり量Sのデータを記憶装置102に記憶する。例えば、制御装置100は、上記式(3)に、Δt、Δc及びΔdを代入することにより、重なり量Sを算出する。
【0069】
更に、図21のS09の工程において、制御装置100は、重なり量Sが0nm、プラスの値又はマイナスの値のいずれかであるかを判定する。また、図21のS09の工程において、制御装置100は、Δdが0nmであるか否かの判定を行う。ここで、0nmとは、許容値α以下の数値である場合も含む。許容値αは、歩留りなどに基づいて経験的又は実験的に決定してもよい。
【0070】
〈重なり量Sが0nmである場合の処理〉
重なり量Sが0nmである場合、図21のS10の工程において、成膜装置を用いて、引張応力膜20及び圧縮応力膜30の上に層間絶縁膜40を形成する。次に、層間絶縁膜40の上にフォトレジスト膜を塗布した後、露光装置を用いてフォトレジスト膜を露光し、レジストパターン41を層間絶縁膜40の上に形成する。次いで、図21のS11の工程において、制御装置100は、レジストパターン41が有するビアホール形成用の開口
の位置を決定する。ここでは、制御装置100は、ビアホール50Aの形成位置を変更せずに、設計データ(デザインデータ)上のビアホール50Aの形成位置を、レジストパターン41が有するビアホール形成用の開口の位置として決定する。
【0071】
そして、図21のS12の工程において、制御装置100は、エッチング条件を決定する。ここでは、制御装置100は、エッチング条件を変更せずに、通常の条件で異方性エッチングを行うことを決定する。次に、図21のS12の工程において、エッチング装置を用いて、レジストパターン41をマスクとして、引張応力膜20、ストッパ膜21、圧縮応力膜30及び層間絶縁膜40に対して異方性エッチングを行う。
【0072】
重なり量Sが0nmである場合、半導体基板1の上に引張応力膜20と圧縮応力膜30とが重なることなく形成されている。そのため、図21のS11及びS12の工程では、製造工程の変更を行わずに半導体装置の製造を行う。
【0073】
〈重なり量Sがプラスの値である場合の処理〉
重なり量Sがプラスの値である場合、図21のS10の工程において、成膜装置を用いて、引張応力膜20及び圧縮応力膜30の上に層間絶縁膜40を形成する。次に、層間絶縁膜40の上にフォトレジスト膜を塗布した後、露光装置を用いてフォトレジスト膜を露光し、レジストパターン41を層間絶縁膜40の上に形成する。そして、図21のS11の工程又はS12の工程のいずれかの工程の変更を行い、変更後の工程により半導体装置の製造を行う。図21のS11の工程の変更を行うか又は図21のS12の工程の変更を行うかを、予め決定しておいてもよい。また、図21のS11の工程の変更を行うか又は図21のS12の工程の変更を行うかを、重なり量Sに応じて決定してもよい。
【0074】
〈重なり量Sがマイナスの値である場合の処理〉
重なり量Sがマイナスの値である場合、処理中の半導体装置について、その後の処理を中止することにより、処理中の半導体装置の製造を終了する。
【0075】
〈半導体装置の製造工程の変更処理〉
図21のS11の工程の変更について説明する。重なり量Sがプラスの値である場合、図21のS11の工程において、制御装置100は、設計データ(デザインデータ)上のビアホール50Aの形成位置を変更し、レジストパターン41が有するビアホール形成用の開口の位置を新たに決定する。
【0076】
例えば、制御装置100は、設計データ(デザインデータ)と、Δd、Δt及びΔcとから、引張応力膜20と圧縮応力膜30とが重なっていない領域を算出する。制御装置100は、引張応力膜20と圧縮応力膜30とが重なっていない領域から所定の位置を抽出する。そして、制御装置100は、抽出された所定の位置を、レジストパターン41が有するビアホール形成用の開口の位置として決定する。
【0077】
また、例えば、重なり量Sがプラスの値である場合、制御装置100は、設計データ(デザインデータ)と、Δd、Δt及びΔcとから、引張応力膜20と圧縮応力膜30とが重なっている領域を算出する。そして、制御装置100は、引張応力膜20と圧縮応力膜30とが重なっている領域から所定方向に所定値だけ離れた位置を、レジストパターン41が有するビアホール形成用の開口の位置として決定する。
【0078】
次に、図21のS11の工程において、制御装置100は、レジストパターン41が有するビアホール形成用の開口の新たな位置に基づいて、レチクルパターンを変更する。そして、図21のS11の工程において、層間絶縁膜40の上にフォトレジスト膜を塗布した後、フォトレジスト膜を露光し、ビアホール形成用の開口の位置が変更されたレジスト
パターン41を層間絶縁膜40の上に形成する。
【0079】
図22は、ビアホール形成用の開口の位置が変更されたレジストパターン41をマスクとして、層間絶縁膜40及び圧縮応力膜30に対して異方性エッチングを行った場合の半導体装置の断面図である。図22に示すように、レジストパターン41が有するビアホール形成用の開口の位置を変更することにより、ビアホール50Aの内部に引張応力膜20及び圧縮応力膜30が残存しないため、所望の形状のビアホール50Aを形成することができる。
【0080】
図21のS12の工程の変更について説明する。重なり量Sがプラスの値である場合、図21のS12の工程において、制御装置100は、エッチング条件を新たに決定する。
【0081】
例えば、重なり量Sがプラスの値である場合、制御装置100は、異方性エッチングのエッチングパワーを通常のエッチング条件よりも上げることを決定する。また、例えば、重なり量Sがプラスの値である場合、制御装置100は、異方性エッチングのエッチング時間を延長することを決定する。
【0082】
そして、図21のS12の工程において、エッチング装置を用いて、決定後のエッチング条件に従って、レジストパターン41をマスクとして、引張応力膜20、ストッパ膜21、圧縮応力膜30及び層間絶縁膜40に対して異方性エッチングを行う。エッチング条件を変更することにより、ビアホール50Aの内部に残存する引張応力膜20及び圧縮応力膜30を除去することができ、所望の形状のビアホール50Aを形成することができる。
【0083】
〈補正量の算出処理〉
重なり量Sがプラスの値である場合やマイナスの値である場合、図21のS13の工程において、制御装置100は、他の半導体装置の製造工程で利用される補正量を算出する。また、重なり量Sが0nmであるが、Δdが0nmではない場合、図21のS13の工程において、制御装置100は、他の半導体装置の製造工程で利用される補正量を算出する。他の半導体装置の製造工程で利用される補正量は、他の半導体装置の製造工程に対してフィードバックする補正量である。他の半導体装置は、処理中の半導体装置とは異なる半導体装置である。図21のS13の工程は、図21のS10からS12の工程と平行並列して行ってもよい。また、図21のS13の工程は、図21のS10からS12の工程を終了又は中止した後に行ってもよい。
【0084】
他の半導体装置の製造工程で利用される補正量について説明する。重なり量Sが0nmではない場合やΔdが0nmではない場合、他の半導体装置の製造工程で利用される補正量が算出される。他の半導体装置の製造工程で利用される補正量は、露光条件の補正量と、レジストパターン31の位置の補正量とがある。露光条件の補正量は、設計値として設定されている露光量を変更するための補正量である。レジストパターン31の位置の補正量は、設計値として設定されているレジストパターン31の位置を変更するための補正量である。
【0085】
重なり量Sが0nmではない場合、Δt、Δc及びΔdのいずれか又は全てが0nmではない。Δtが0nmではない場合、制御装置100は、Δtに応じて、露光条件の補正量を算出する。他の半導体装置の製造工程では、図21のS02の工程において、露光条件の補正量に基づいて露光量を決定し、決定後の露光量に従ってフォトレジスト膜を露光する。他の半導体装置の製造工程では、決定後の露光量に従ってフォトレジスト膜を露光することにより、所望の幅のレジストパターン23をストッパ膜21の上に形成することができる。レジストパターン23の幅と露光量との関係は、実験又はシミュレーションに
より求めておけばよい。例えば、レジストパターン23の幅tiと露光量Eiとの関係(i=1,・・・,N)をテーブル化しておき、補間計算により、所望の幅tに対する露光量Eを決定するようにしてもよい。他の半導体装置の製造工程では、所望の幅のレジストパターン23をストッパ膜21の上に形成し、所望の幅のレジストパターン23を用いて引張応力膜20の異方性エッチングを行う。他の半導体装置の製造工程では、所望の幅のレジストパターン23を用いて引張応力膜20の異方性エッチングを行うことにより、エッチング後の引張応力膜20と圧縮応力膜30との重なりを抑止することができる。
【0086】
Δcが0nmではない場合、制御装置100は、Δcに応じて、露光条件の補正量を算出する。他の半導体装置の製造工程では、露光条件の補正量に基づいて露光量を決定し、図21のS06の工程において、圧縮応力膜30の上にフォトレジスト膜を塗布した後、露光装置を用いて、決定後の露光量に従ってフォトレジスト膜を露光する。他の半導体装置の製造工程では、決定後の露光量に従ってフォトレジスト膜を露光することにより、所望の幅のレジストパターン31を圧縮応力膜30の上に形成することができる。例えば、レジストパターン31の幅ciと露光量Eiとの関係(i=1,・・・,N)をテーブル化しておき、補間計算により、所望の幅cに対する露光量Eを決定するようにしてもよい。他の半導体装置の製造工程では、所望の幅のレジストパターン31を圧縮応力膜30の上に形成し、所望の幅のレジストパターン31を用いて圧縮応力膜30の異方性エッチングを行う。他の半導体装置の製造工程では、所望の幅のレジストパターン31を用いて圧縮応力膜30の異方性エッチングを行うことにより、エッチング後の引張応力膜20と圧縮応力膜30との重なりを抑止することができる。
【0087】
他の半導体装置の製造工程では、エッチング後の引張応力膜20と圧縮応力膜30との重なりを抑止することにより、ビアホール50Aの内部に引張応力膜20及び圧縮応力膜30が残存することを抑止することができる。また、他の半導体装置の製造工程では、エッチング後の引張応力膜20と圧縮応力膜30との重なりを抑止することにより、ゲート電極11及び金属シリサイド膜15に溝が形成されることを抑止することができる。
【0088】
Δdが0nmではない場合、制御装置100は、Δdに応じて、レジストパターン31の位置の補正量を算出する。例えば、Δdが+20nmである場合、制御装置100は、レジストパターン31の位置の補正量として−20nmを算出する。
【0089】
制御装置100は、レジストパターン31の位置の補正量に基づいてレジストパターン31の位置を決定する。例えば、レジストパターン31の位置の補正量として−20nmが算出された場合、制御装置100は、レジストパターン31の位置を、p型ウェル領域6が形成されている方向に設計位置(設計の際に予め設定された位置)から20nm移動させることを決定する。他の半導体装置の製造工程では、図21のS06の工程において、圧縮応力膜30の上にフォトレジスト膜を塗布した後、露光装置を用いて、決定後のレジストパターン31の位置に基づいてフォトレジスト膜を露光する。例えば、露光装置が有するウェハステージを動かすことによりウェハステージ上の半導体基板1を動かして、レジストパターン31の位置を、p型ウェル領域6が形成されている方向に設計位置から20nm移動させる。そして、レジストパターン31の位置を、p型ウェル領域6が形成されている方向に設計位置から20nm移動させた状態で、フォトレジスト膜を露光する。決定後のレジストパターン31の位置に基づいてフォトレジスト膜を露光することにより、レジストパターン31の位置を、p型ウェル領域6が形成されている方向に設計位置から20nm移動させて形成することができる。
【0090】
Δdが0nmではない場合、引張応力膜20の位置及び圧縮応力膜30の位置のいずれか又は両方が、設計位置からずれた状態となっている。すなわち、Δdが0nmではない場合、レジストパターン23及びレジストパターン31のいずれか又は両方に位置ずれが
発生している。他の半導体装置の製造工程では、レジストパターン31の位置を、所定方向に設計位置から移動させ、移動後のレジストパターン31を用いて圧縮応力膜30の異方性エッチングを行う。他の半導体装置の製造工程では、レジストパターン31の位置を、所定方向に設計位置から移動させることにより、エッチング後の引張応力膜20と圧縮応力膜30との重なりを抑止することができる。
【0091】
他の半導体装置の製造工程では、エッチング後の引張応力膜20と圧縮応力膜30との重なりを抑止することにより、ビアホール50Aの内部に引張応力膜20及び圧縮応力膜30が残存することを抑止することができる。また、他の半導体装置の製造工程では、エッチング後の引張応力膜20と圧縮応力膜30との重なりを抑止することにより、ゲート電極11及び金属シリサイド膜15に溝が形成されることを抑止することができる。
【0092】
本実施形態では、光学式の検査装置を用いて、レジストパターン31の位置ずれのずれ量(変位値)を測定するようにしてもよい。n型ウェル領域5のレジストパターン31を検査対象として、レジストパターン31の位置ずれのずれ量(変位値)を測定してもよい。また、測定用領域22のレジストパターン31を検査対象として、レジストパターン31の位置ずれのずれ量(変位値)を測定してもよい。レジストパターン31の位置ずれのずれ量(変位値)については、他の半導体装置の製造工程で利用するようにしてもよい。
【0093】
半導体基板1の上に引張応力膜20及び圧縮応力膜30を形成する場合を例として説明しているが、本実施形態はこれに限定されず、半導体基板1の上に他の膜を形成する場合にも本実施形態で説明した製造方法を適用することは可能である。
【0094】
《変形例》
本実施形態の変形例について説明する。本実施形態では、測定用領域22において、引張応力膜20と圧縮応力膜30とを離して形成している。本実施形態の変形例では、測定用領域22において、引張応力膜20の上方に圧縮応力膜30を形成する。図23は、測定用領域22において、引張応力膜20の上方に圧縮応力膜30を形成した場合における半導体装置の断面図である。
【0095】
本実施形態の変形例では、下記式(4)及び(5)から、引張応力膜20と圧縮応力膜30との重なり量Sを求めることができる。
Δd=xtc1−XTC1−Δt/2+Δc/2・・・(4)
S=Δt/2+Δc/2−Δd ・・・(5)
図23を参照して、上記式(4)及び(5)の説明を行う。上記式(4)のxtc1は、測定用領域22の引張応力膜20の端部と圧縮応力膜30の端部との距離の測定値である。図23では、測定用領域22の引張応力膜20の左端部と圧縮応力膜30の左端部との距離x1の測定値を、“xtc1”と表記する。以下では、測定用領域22の引張応力膜20の左端部と圧縮応力膜30の左端部との距離x1の測定値を、測定値xtc1とも表記する。また、図23では、測定用領域22の引張応力膜20の右端部と圧縮応力膜30の右端部との距離x2を、“xtc2”と表記する。
【0096】
上記式(4)のXTC1は、測定用領域22の引張応力膜20の端部と圧縮応力膜30の端部との距離xの設計値である。以下では、測定用領域22の引張応力膜20の端部と圧縮応力膜30の端部との距離xの設計値を、設計値XTC1とも表記する。
【0097】
上記式(4)及び(5)のΔdは、測定用領域22の引張応力膜20の中心位置のずれ量(変位値)と、測定用領域22の圧縮応力膜30の中心位置のずれ量(変位値)との和(合計値)である。測定用領域22の引張応力膜20の中心位置が、所定の方向(図23ではL方向)にずれる(変位する)場合、測定用領域22の引張応力膜20の中心位置の
ずれ量(変位値)をプラスの値とする。また、測定用領域22の圧縮応力膜30の中心位置が、所定の方向(図23ではR方向)にずれる(変位する)場合、測定用領域22の引張応力膜30の中心位置のずれ量(変位値)をプラスの値とする。測定値xtc1と設計値XTC1との差分値が、Δdとなる。上記式(5)は、本実施形態で説明した式(3)と同様である。
【0098】
本実施形態の変形例では、図21のS09の工程において、SEMを用いて、測定用領域22の引張応力膜20と圧縮応力膜30との距離x1を測定する。そして、制御装置100は、測定値xtc1のデータを記憶装置102に記憶する。
【0099】
また、本実施形態の変形例では、図21のS09の工程において、制御装置100は、測定値xtc1、設計値XTC1、Δt及びΔcに基づいて、Δdを算出し、Δdのデータを記憶装置102に記憶する。例えば、制御装置100は、上記式(4)に、測定値xtc1、設計値XTC1、Δt及びΔcを代入することにより、Δdを算出する。
【0100】
更に、本実施形態の変形例では、図21のS09の工程において、制御装置100は、Δt、Δc及びΔdに基づいて重なり量Sを算出し、重なり量Sのデータを記憶装置102に記憶する。例えば、制御装置100は、上記式(5)に、Δt、Δc及びΔdを代入することにより、重なり量Sを算出する。
【0101】
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0102】
(付記1)
基板の第1の領域及び第2の領域に第1の膜を形成する工程と、
前記第2の領域の前記第1の膜の幅を測定する工程と、
前記基板の前記第2の領域及び第3の領域に第2の膜を形成する工程と、
前記第2の領域の前記第2の膜の幅及び前記第2の領域の前記第1の膜と前記第2の膜との距離を測定する工程と、
前記第2の領域における前記第1の膜の幅の測定値、前記第2の膜の幅の測定値、前記第1の膜と前記第2の膜との距離の測定値及び前記第1の膜と前記第2の膜とに関する設計値に基づいて、前記第1の領域における前記第1の膜と前記第3の領域における前記第2の膜との重なり量を算出する工程と、
を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0103】
(付記2)
前記基板の前記第1の領域及び前記第2の領域に前記第1の膜を形成する工程は、前記第1の領域、前記第2の領域及び前記第3の領域に前記第1の膜を成膜する工程と、前記第1の膜の上に第1のレジストパターンを形成する工程と、前記第1のレジストパターンをマスクとしてエッチングを行うことにより、前記第1の領域及び前記第2の領域に前記第1の膜を残存させる工程とを、有し、
前記基板の前記第2の領域及び前記第3の領域に前記第2の膜を形成する工程は、前記第1の領域、前記第2の領域及び前記第3の領域に前記第2の膜を成膜する工程と、前記第2の膜の上に第2のレジストパターンを形成する工程と、前記第2のレジストパターンをマスクとしてエッチングを行うことにより、前記第2の領域及び前記第3の領域に前記第2の膜を残存させる工程とを、有し、
前記第2の領域における前記第1の膜の幅の測定値に応じて他の基板における前記第1のレジストパターンを形成する際の露光量を決定する工程と、
前記第2の領域における前記第2の膜の幅の測定値に応じて前記他の基板における前記第2のレジストパターンを形成する際の露光量を決定する工程と、
を更に備えることを特徴とする付記1に記載の半導体装置の製造方法。
【0104】
(付記3)
前記第2の領域における前記第1の膜の幅の測定値、前記第2の膜の幅の測定値、前記第1の膜と前記第2の膜との距離の測定値及び前記第1の膜と前記第2の膜とに関する設計値に応じて、前記他の基板に形成される前記第2のレジストパターンの位置の補正量を算出する工程と、
前記他の基板に形成される前記第2のレジストパターンの位置の補正量に基づいて、前記他の基板に形成される前記第2のレジストパターンの位置を決定する工程と、
を更に備えることを特徴とする付記2に記載の半導体装置の製造方法。
【0105】
(付記4)
前記第1の領域及び前記第3の領域に絶縁膜を成膜する工程と、
前記重なり量に応じて、前記絶縁膜に形成されるビアホールの位置を決定し、前記絶縁膜に前記ビアホールを形成する工程と、
を更に備えることを特徴とする付記1から3の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【0106】
(付記5)
前記第1の領域及び前記第3の領域に絶縁膜を成膜する工程と、
前記重なり量に応じて、前記絶縁膜にビアホールを形成する際のエッチング条件を決定し、前記絶縁膜に前記ビアホールを形成する工程と、
を更に備えることを特徴とする付記1から3の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【0107】
(付記6)
前記第2の領域における前記第1の膜と前記第2の膜とに関する設計値は、前記第2の領域における前記第1の膜の幅の設計値、前記第2の膜の幅の設計値及び前記第1の膜の中心位置と前記第2の膜の中心位置との距離の設計値であることを特徴とする付記1から5の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【0108】
(付記7)
前記第2の領域における前記第1の膜と前記第2の膜とに関する設計値は、前記第2の領域における前記第1の膜の幅の設計値、前記第2の膜の幅の設計値及び前記第1の膜と前記第2の膜との距離の設計値であることを特徴とする付記1から5の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0109】
1 半導体基板
2 素子分離絶縁膜
3 pMOS用活性領域
4 nMOS用活性領域
5 n型ウェル領域
6 p型ウェル領域
7 pMOS
8 nMOS
10 ゲート絶縁膜
11 ゲート電極
12 サイドウォール
13A、13B ソース
14A、14B ドレイン
15 金属シリサイド膜
20 引張応力膜
21 ストッパ膜
22 測定用領域
23、31、41 レジストパターン
30 圧縮応力膜
40 層間絶縁膜
50A〜50E ビアホール
100 制御装置
101 CPU
102 記憶装置
103 入力装置
104 表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の第1の領域及び第2の領域に第1の膜を形成する工程と、
前記第2の領域の前記第1の膜の幅を測定する工程と、
前記基板の前記第2の領域及び第3の領域に第2の膜を形成する工程と、
前記第2の領域の前記第2の膜の幅及び前記第2の領域の前記第1の膜と前記第2の膜との距離を測定する工程と、
前記第2の領域における前記第1の膜の幅の測定値、前記第2の膜の幅の測定値、前記第1の膜と前記第2の膜との距離の測定値及び前記第1の膜と前記第2の膜とに関する設計値に基づいて、前記第1の領域における前記第1の膜と前記第3の領域における前記第2の膜との重なり量を算出する工程と、
を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記基板の前記第1の領域及び前記第2の領域に前記第1の膜を形成する工程は、前記第1の領域、前記第2の領域及び前記第3の領域に前記第1の膜を成膜する工程と、前記第1の膜の上に第1のレジストパターンを形成する工程と、前記第1のレジストパターンをマスクとしてエッチングを行うことにより、前記第1の領域及び前記第2の領域に前記第1の膜を残存させる工程とを、有し、
前記基板の前記第2の領域及び前記第3の領域に前記第2の膜を形成する工程は、前記第1の領域、前記第2の領域及び前記第3の領域に前記第2の膜を成膜する工程と、前記第2の膜の上に第2のレジストパターンを形成する工程と、前記第2のレジストパターンをマスクとしてエッチングを行うことにより、前記第2の領域及び前記第3の領域に前記第2の膜を残存させる工程とを、有し、
前記第2の領域における前記第1の膜の幅の測定値に応じて他の基板における前記第1のレジストパターンを形成する際の露光量を決定する工程と、
前記第2の領域における前記第2の膜の幅の測定値に応じて前記他の基板における前記第2のレジストパターンを形成する際の露光量を決定する工程と、
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第2の領域における前記第1の膜の幅の測定値、前記第2の膜の幅の測定値、前記第1の膜と前記第2の膜との距離の測定値及び前記第1の膜と前記第2の膜とに関する設計値に応じて、前記他の基板に形成される前記第2のレジストパターンの位置の補正量を算出する工程と、
前記他の基板に形成される前記第2のレジストパターンの位置の補正量に基づいて、前記他の基板に形成される前記第2のレジストパターンの位置を決定する工程と、
を更に備えることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第1の領域及び前記第3の領域に絶縁膜を成膜する工程と、
前記重なり量に応じて、前記絶縁膜に形成されるビアホールの位置を決定し、前記絶縁膜に前記ビアホールを形成する工程と、
を更に備えることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1の領域及び前記第3の領域に絶縁膜を成膜する工程と、
前記重なり量に応じて、前記絶縁膜にビアホールを形成する際のエッチング条件を決定し、前記絶縁膜に前記ビアホールを形成する工程と、
を更に備えることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−49222(P2012−49222A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−188061(P2010−188061)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】