説明

半導体装置

【課題】短チャネル効果を抑制させつつ微細化を行い、低消費電力化した半導体装置を提供する。
【解決手段】溝部および該溝部を挟んで形成された一対の低抵抗領域を有する半導体基板と、半導体基板上の第1のゲート絶縁膜と、第1のゲート絶縁膜を介し、溝部と重畳するゲート電極と、ゲート電極を覆って設けられた第2のゲート絶縁膜と、第2のゲート絶縁膜上の、溝部を挟んで設けられた一対の電極と、一対の電極と接する半導体膜と、を有し、一対の低抵抗領域の一方と、一対の電極の一方が電気的に接続されている積層されたトランジスタを形成し、一方はn型半導体からなるトランジスタであり、他方はp型半導体からなるトランジスタにより形成させることによって、相補型MOS回路を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
トランジスタなどの半導体素子を含む回路を有する半導体装置に関する。例えば、トランジスタを用いて形成されたレジスタを有する中央演算処理装置(CPU:Central Processing Unitともいう。)、電源回路に搭載されるパワーデバイス、メモリ、サイリスタ、コンバータ、イメージセンサなどを含む半導体集積回路、液晶表示装置に代表される電気光学装置、発光素子を有する発光表示装置等を部品として搭載した電子機器に関する。
【0002】
なお、本明細書中において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指し、電気光学装置、発光表示装置、半導体回路および電子機器は全て半導体装置である。
【背景技術】
【0003】
近年、情報化社会がますます発展し、例えばパーソナルコンピュータまたは携帯電話などに対し、高速化、大容量化、小型化、または軽量化などの要求が高まっている。このため、大規模集積回路(LSI:Large Scale Integrationともいう。)や中央演算処理装置などの半導体装置において、高集積化、動作速度の高速化、低消費電力化が求められている。
【0004】
半導体装置の消費電力は、動作状態の場合に生じる消費電力と、停止状態の場合に生じる消費電力(以下、待機電力と呼ぶ。)の和におおよそ等しい。
【0005】
待機電力は、静的な待機電力と、動的な待機電力に分類できる。静的な待機電力は、例えば半導体装置におけるトランジスタの電極間に電圧が印加されていない状態、すなわち、ゲートとソースの間の電位差がほぼ0Vの状態において、ソースとドレインの間、ゲートとソースの間、ゲートとドレインの間にリーク電流が生じることで消費される電力である。また、動的な待機電力は、待機状態の回路にクロック信号などの各種信号の電圧や、電源電圧が供給され続けることにより消費される電力である。
【0006】
また、半導体装置の動作速度を高速化させるために、微細加工技術が開発されている。しかし、トランジスタなど半導体装置の微細加工が進むと、トランジスタのチャネル長は短く、ゲート絶縁層などに代表される各種の絶縁層は薄くなる。そのため、トランジスタのリーク電流は増えつつあり、動的な待機電力は増加の傾向にある。
【0007】
また、スケーリング則に従って回路パターンの微細化が進められてきたが、デザインルールを100nm以下にすることは難しいと考えられていた時期もあった。その理由の一つとして、トランジスタのチャネル長が100nm以下となると、短チャネル効果によりパンチスルー現象によるリーク電流が流れやすくなり、トランジスタがスイッチング素子として機能しなくなることがある。パンチスルー電流を防ぐには、シリコンウェハに高濃度の不純物をドーピングすればよいが、そうするとソースと基板間またはドレインと基板間に接合リーク電流が流れやすくなってしまう問題がある。
【0008】
このような問題に対して、半導体装置を構成するトランジスタを三次元の形状に形成し、平面における一つのトランジスタが占める面積を縮小しつつ、トランジスタの実効上のチャネル長を短チャネル効果が生じない程度に維持する方法が考えられてきた。例えば、トランジスタのチャネル部が形成される領域にU字状の縦長溝部を形成し、その溝部の壁面に沿ってゲート絶縁膜を形成し、さらにその溝部にゲート電極を埋め込んだ構造である(非特許文献1参照。)。
【0009】
このような構造をチャネル部に有するトランジスタは、ソース領域とドレイン領域の間を流れる電流が溝部分を回り込む形で流れるため実効上のチャネル長が長くなっている。このため、トランジスタの占有面積を縮小しつつ、短チャネル効果を抑制できるといった効果を奏する。
【0010】
また、大規模のデジタル回路を含むMOS集積回路において、消費電力を抑えるためにp型MOSFETとn型MOSFETを用い、相補型MOS(CMOSともいう。)回路を構成するのが一般的である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Kinam Kim、「Technology for sub−50nm DRAM and NAND Flash Manufacturing」、International Electron Devices Meeting, 2005. IEDM Technical Digest、2005年12月、p. 333 − 336
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記のように、CMOS回路を構成するには、p型およびn型のトランジスタを作製する必要があり、二つのトランジスタを並べて形成するために、占有面積が大きくなってしまう。
【0013】
本発明の一態様では、短チャネル効果を抑制させつつ微細化を行い、低消費電力化した半導体装置を提供することを課題の一つとし、特に、CMOS回路を提供することを課題の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、立体的な形状のチャネル領域を有するトランジスタを形成することにより、上面から見た一対の低抵抗領域間または一対の電極間の距離からなる見かけ上のチャネル長に対して、実効上のチャネル長を長くすることができる。さらに、該トランジスタは重畳して積層されて形成されているため、上面から見て一つのトランジスタに必要な領域において、二つのトランジスタが設けられている。
【0015】
また、本発明は、上記積層されたトランジスタにおいて、一方はn型半導体からなるトランジスタであり、他方はp型半導体からなるトランジスタにより形成させることによって、相補型MOS回路を形成することを技術的思想とする。
【0016】
本発明の一態様は、重畳する第1のトランジスタおよび第2のトランジスタを有し、第1のトランジスタは、一対の低抵抗領域の間に溝部を有する半導体基板と、溝部に沿って形成される第1のゲート絶縁膜と、第1のゲート絶縁膜を介して溝部に形成されるゲート電極と、を有し、第2のトランジスタは、上記溝部に形成されたゲート電極と、該ゲート電極を覆う第2のゲート絶縁膜と、第2のゲート絶縁膜を介してゲート電極と重畳する半導体膜と、半導体膜に接して形成される一対の電極と、を有し、一対の低抵抗領域の一方と、一対の電極の一方が接続されている半導体装置である。
【0017】
本発明の一態様は、溝部および該溝部を挟んで形成された一対の低抵抗領域を有する半導体基板と、半導体基板上の第1のゲート絶縁膜と、第1のゲート絶縁膜を介し、溝部と重畳するゲート電極と、ゲート電極を覆って設けられた第2のゲート絶縁膜と、第2のゲート絶縁膜上の、溝部を挟んで設けられた一対の電極と、一対の電極と接する半導体膜と、を有し、一対の低抵抗領域の一方と、一対の電極の一方が接続されている半導体装置である。
【0018】
本発明の一態様は、上記半導体基板はn型半導体であり、一対の低抵抗領域はp型半導体である。
【0019】
また、本発明の一態様は、上記半導体膜は、In、Ga、SnおよびZnから選ばれた一種以上の元素を含む酸化物半導体からなる半導体装置である。酸化物半導体をトランジスタのチャネル領域に用いることにより、低いオフ電流を有するトランジスタを形成することができる。それにより、酸化物半導体を用いたトランジスタを論理回路などに適用することによって、消費電力を低減させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一態様により、短チャネル効果を抑制させつつ微細化を行い、低消費電力化した半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一態様である半導体装置の一例を示す上面図および断面図。
【図2】本発明の一態様である半導体装置の一例を示す断面図。
【図3】本発明の一態様である半導体装置の一例を示す回路図。
【図4】本発明の一態様である半導体装置の作製工程の一例を示す断面図。
【図5】本発明の一態様である半導体装置を用いたCPUの具体例を示すブロック図およびその一部の回路図。
【図6】本発明の一態様である電子機器の一例を示す斜視図。
【図7】本発明の一態様に係る酸化物材料の構造を説明する図。
【図8】本発明の一態様に係る酸化物材料の構造を説明する図。
【図9】本発明の一態様に係る酸化物材料の構造を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態および詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する本発明の構成において、同一部分または同様な機能を有する部分には、同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0023】
なお、本明細書で説明する各図において、各構成の大きさ、膜の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。
【0024】
また、本明細書にて用いる第1、第2、第3などの用語は、構成要素の混同を避けるために付したものであり、数的に限定するものではない。そのため、例えば、「第1の」を「第2の」または「第3の」などと適宜置き換えて説明することができる。
【0025】
また、本明細書においては、トランジスタのソースとドレインは、一方をドレインと呼ぶとき他方をソースと呼ぶ。すなわち、電位の高低によって、それらを区別しない。従って、本明細書において、ソースとされている部分をドレインと読み替えることもできる。
【0026】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様であるトランジスタの一例について図1および図2を用いて説明する。
【0027】
図1(A)はトランジスタの上面図を示している。図1(A)に示した一点鎖線A−Bにおける断面図を図1(B)に示す。なお、図1(A)では、煩雑になることを避けるため、トランジスタの構成要素の一部を省略している。
【0028】
以下に、図1(B)に示すA−B断面について詳細に説明する。
【0029】
図1(B)に示すトランジスタは、溝部を有する半導体基板100と、半導体基板100に設けられた一対の低抵抗領域102と、半導体基板100および低抵抗領域102上の第1のゲート絶縁膜104と、第1のゲート絶縁膜104上の一対の低抵抗領域の間に形成されたゲート電極106と、第1のゲート絶縁膜104およびゲート電極106上の第2のゲート絶縁膜108と、第1のゲート絶縁膜104および第2のゲート絶縁膜108に形成されたコンタクトホールにおいて、一対の低抵抗領域102と接続する一対の電極110と、一対の電極110と接し、第2のゲート絶縁膜108を介してゲート電極106と重畳する半導体膜112と、半導体膜112、一対の電極110、第2のゲート絶縁膜108上の層間絶縁膜114と、を有し、一対の低抵抗領域102の一方と、一対の電極110の一方が電気的に接続されているトランジスタである。さらに、層間絶縁膜114を加工してコンタクトホールを形成し、該コンタクトホールにおいて一対の電極110と接続する配線を設けてもよい。
【0030】
上記構造において、半導体基板100、一対の低抵抗領域102、第1のゲート絶縁膜104およびゲート電極106によってトランジスタ150aが構成される。また、ゲート電極106、第2のゲート絶縁膜108、一対の電極110および半導体膜112によってトランジスタ150bが構成される。
【0031】
半導体基板100としては、シリコンや炭化シリコンなどの単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウムなどの化合物半導体基板、SOI(Silicon On Insulator)基板などを適用することができる。また、半導体特性を示す層が設けられていればよく、上記基板に限られるものではない。
【0032】
一対の低抵抗領域102は、トランジスタ150aのソース領域およびドレイン領域となる領域であり、十分に抵抗を下げることによって配線としても用いることができる。一対の低抵抗領域102は、半導体基板100にn型またはp型の導電型を付与する不純物を含む。n型またはp型の導電型を付与する不純物元素としては、例えばリンまたはボロンなどを用いることができる。
【0033】
第1のゲート絶縁膜104は、CVD法およびスパッタリング法などの堆積法によって形成することができる。例えば、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、窒化シリコン膜および酸化ガリウム膜、酸化アルミニウム膜、酸化窒化アルミニウム膜、の単層または積層とすればよい。また、半導体基板100を熱酸化または熱窒化することにより形成してもよい。さらに、高密度プラズマ装置を用いて、酸素を含むプラズマ処理を行うことによって、ゲート絶縁膜の耐圧を向上させて用いてもよい。
【0034】
また、第1のゲート絶縁膜104として、ハフニウムシリケート(HfSiO)、窒素が添加されたハフニウムシリケート(HfSi)、窒素が添加されたハフニウムアルミネート(HfAl)、酸化ハフニウム、酸化イットリウムなどのhigh−k材料を用いることでゲートリークを低減できる。さらには、high−k材料と、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、および酸化ガリウムのいずれか一以上との積層構造とすることができる。
【0035】
ここで、酸化窒化シリコンとは、その組成において、窒素よりも酸素の含有量が多いものを示し、例えば、酸素が50atomic%以上70atomic%以下、窒素が0.5atomic%以上15atomic%以下、シリコンが25atomic%以上35atomic%以下、水素が0atomic%以上10atomic%以下の範囲で含まれるものをいう。また、窒化酸化シリコンとは、その組成において、酸素よりも窒素の含有量が多いものを示し、例えば、酸素が5atomic%以上30atomic%以下、窒素が20atomic%以上55atomic%以下、シリコンが25atomic%以上35atomic%以下、水素が10atomic%以上25atomic%以下の範囲で含まれるものをいう。但し、上記範囲は、ラザフォード後方散乱法(RBS:Rutherford Backscattering Spectrometry)や、水素前方散乱法(HFS:Hydrogen Forward Scattering)を用いて測定した場合のものである。また、構成元素の含有比率は、その合計が100atomic%を超えない値をとる。
【0036】
ゲート電極106は、n型またはp型の導電型を付与する不純物を含む多結晶シリコンを用いることができる。さらに、アルミニウム、クロム、銅、タンタル、チタン、モリブデン、タングステンから選ばれた金属元素、または上述した金属元素を成分とする合金か、上述した金属元素を組み合わせた合金などを用いて形成することができる。また、マンガン、ジルコニウムのいずれか一または複数から選択された金属元素を用いてもよい。また、ゲート電極106は、単層構造でも、二層以上の積層構造としてもよい。
【0037】
また、ゲート電極106は、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの透光性を有する導電性材料を適用することもできる。また、上記透光性を有する導電性材料と、上記金属元素の積層構造とすることもできる。
【0038】
第2のゲート絶縁膜108は、CVD法およびスパッタリング法などの堆積法によって形成することができる。例えば、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、窒化シリコン膜および酸化ガリウム膜、酸化アルミニウム膜、酸化窒化アルミニウム膜、の単層または積層とすればよい。さらに、第1のゲート絶縁膜104と同様に、high−k材料を用いてもよい。
【0039】
さらに、トランジスタ150bの半導体膜112として、酸化物半導体を用いる場合は、第2のゲート絶縁膜108は加熱により酸素放出される膜を用いることが好ましい。
【0040】
「加熱により酸素放出される」とは、TDS(Thermal Desorption Spectroscopy:昇温脱離ガス分光法)分析にて、酸素原子に換算しての酸素の放出量が1.0×1018atoms/cm以上、好ましくは3.0×1020atoms/cm以上であることをいう。
【0041】
ここで、TDS分析にて、酸素原子に換算しての酸素の放出量の測定方法について、以下に説明する。
【0042】
TDS分析したときの気体の放出量は、スペクトルの積分値に比例する。このため、測定試料のスペクトルの積分値と、標準試料の基準値に対する比とにより、気体の放出量を計算することができる。標準試料の基準値とは、所定の原子を含む試料の、スペクトルの積分値に対する原子の密度の割合である。
【0043】
例えば、標準試料である所定の密度の水素を含むシリコンウェハのTDS分析結果、及び測定試料のTDS分析結果から、測定試料の酸素分子の放出量(NO2)は、数式1で求めることができる。ここで、TDS分析で得られる質量数32で検出されるスペクトルの全てが酸素分子由来と仮定する。質量数32のものとしてCHOHがあるが、存在する可能性が低いものとしてここでは考慮しない。また、酸素原子の同位体である質量数17の酸素原子及び質量数18の酸素原子を含む酸素分子についても、自然界における存在比率が極微量であるため考慮しない。
【0044】
O2=NH2/SH2×SO2×α (数式1)
【0045】
H2は、標準試料から脱離した水素分子を密度で換算した値である。SH2は、標準試料をTDS分析したときのスペクトルの積分値である。ここで、標準試料の基準値を、NH2/SH2とする。SO2は、測定試料をTDS分析したときのスペクトルの積分値である。αは、TDS分析におけるスペクトル強度に影響する係数である。数式1の詳細に関しては、特開平6−275697公報を参照する。なお、上記測定試料の酸素の放出量は、電子科学株式会社製の昇温脱離分析装置EMD−WA1000S/Wを用い、標準試料として1×1016atoms/cmの水素原子を含むシリコンウェハを用いて測定した。
【0046】
また、TDS分析において、酸素の一部は酸素原子として検出される。酸素分子と酸素原子の比率は、酸素分子のイオン化率から算出することができる。なお、上述のαは酸素分子のイオン化率を含むため、酸素分子の放出量を評価することで、酸素原子の放出量についても見積もることができる。
【0047】
なお、NO2は酸素分子の放出量である。酸素原子に換算したときの酸素の放出量は、酸素分子の放出量の2倍となる。
【0048】
上記構成において、加熱により酸素放出される膜は、酸素が過剰な酸化シリコン(SiO(X>2))であってもよい。酸素が過剰な酸化シリコン(SiO(X>2))とは、シリコン原子数の2倍より多い酸素原子を単位体積当たりに含むものである。単位体積当たりのシリコン原子数および酸素原子数は、ラザフォード後方散乱法により測定した値である。
【0049】
このように、第2のゲート絶縁膜108に加熱により酸素放出される膜を用いることによって、第2のゲート絶縁膜108から半導体膜112として用いられている酸化物半導体に酸素が供給され、第2のゲート絶縁膜108および半導体膜112の界面準位を低減することができる。この結果、トランジスタ150bの動作などに起因して生じる電荷などが、上述の第2のゲート絶縁膜108および半導体膜112の界面に捕獲されることを抑制することができ、電気特性の劣化の少ないトランジスタ150bを得ることができる。
【0050】
さらに、酸化物半導体の酸素欠損に起因して電荷が生じる場合がある。一般に酸化物半導体の酸素欠損は、一部がドナーとなりキャリアである電子を生じる。この結果、トランジスタのしきい値電圧がマイナス方向にシフトしてしまう。前述したように、第2のゲート絶縁膜108から半導体膜112に酸素が十分に放出されることにより、半導体膜112に酸化物半導体を用いたトランジスタにおいて、しきい値電圧がマイナス方向へシフトする要因である、酸化物半導体の酸素欠損を補うことができる。
【0051】
一対の電極110は、トランジスタ150bのソース電極およびドレイン電極となる電極である。一対の電極110は、導電材料としてアルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、またはタングステンからなる単体金属、またはこれを主成分とする合金を単層構造または積層構造として用いる。例えば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する二層構造、タングステン膜上にチタン膜を積層する二層構造、銅−マグネシウム−アルミニウム合金膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜と、そのチタン膜上に重ねてアルミニウム膜を積層し、さらにその上にチタン膜を形成する三層構造などがある。なお、酸化インジウム、酸化錫または酸化亜鉛を含む透明導電材料を用いてもよい。なお、一対の電極110は配線としても機能する。
【0052】
半導体膜112は、スパッタリング法、プラズマCVD法、PLD(Pulse Laser Deposition)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法、塗布法、印刷法または蒸着法などを用いて形成すればよい。
【0053】
半導体膜112としては、非晶質シリコン、微結晶シリコン、多結晶シリコン、シリコンゲルマニウム、非晶質ゲルマニウム、多結晶ゲルマニウム、酸化物半導体などを用いることができる。酸化物半導体を用いることにより、低いオフ電流を有するトランジスタを形成することができる。それにより、酸化物半導体を用いたトランジスタを論理回路などに適用することによって、消費電力を低減させることができる。そのため、半導体膜112として酸化物半導体を用いることが好ましい。
【0054】
ここで、半導体膜112としてスパッタリング法により酸化物半導体膜を成膜する場合の、スパッタリング装置について、以下に詳細を説明する。
【0055】
酸化物半導体膜を成膜する処理室は、リークレートを1×10−10Pa・m/秒以下とすることが好ましく、それによりスパッタリング法により成膜する際、膜中への不純物の混入を低減することができる。
【0056】
リークレートを低くするには、外部リークのみならず内部リークを低減する必要がある。外部リークとは、微小な穴やシール不良などによって真空系の外から気体が流入することである。内部リークとは、真空系内のバルブなどの仕切りからの漏れや内部の部材からの放出ガスに起因する。リークレートを1×10−10Pa・m/秒以下とするためには、外部リークおよび内部リークの両面から対策をとる必要がある。
【0057】
外部リークを減らすには、処理室の開閉部分はメタルガスケットでシールするとよい。メタルガスケットは、フッ化鉄、酸化アルミニウム、または酸化クロムによって被覆された金属材料を用いると好ましい。メタルガスケットはOリングと比べ密着性が高く、外部リークを低減できる。また、フッ化鉄、酸化アルミニウム、酸化クロムなどの不動態によって被覆された金属材料を用いることで、メタルガスケットから生じる水素を含む放出ガスが抑制され、内部リークも低減することができる。
【0058】
処理室の内壁を構成する部材として、水素を含む放出ガスの少ないアルミニウム、クロム、チタン、ジルコニウム、ニッケルまたはバナジウムを用いる。また、前述の材料を鉄、クロムおよびニッケルなどを含む合金材料に被覆して用いてもよい。鉄、クロムおよびニッケルなどを含む合金材料は、剛性があり、熱に強く、また加工に適している。ここで、表面積を小さくするために部材の表面凹凸を研磨などによって低減しておくと、放出ガスを低減できる。あるいは、前述の成膜装置の部材をフッ化鉄、酸化アルミニウム、酸化クロムなどの不動態で被覆してもよい。
【0059】
さらに、スパッタガスを処理室に導入する直前に、スパッタガスの精製機を設けることが好ましい。このとき、精製機から処理室までの配管の長さを5m以下、好ましくは1m以下とする。配管の長さを5m以下または1m以下とすることで、配管からの放出ガスの影響を長さに応じて低減できる。
【0060】
処理室の排気は、ドライポンプなどの粗引きポンプと、スパッタイオンポンプ、ターボ分子ポンプおよびクライオポンプなどの高真空ポンプとを適宜組み合わせて行うとよい。ターボ分子ポンプは大きいサイズの分子の排気が優れる一方、水素や水の排気能力が低い。さらに、水の排気能力の高いクライオポンプまたは水素の排気能力の高いスパッタイオンポンプを組み合わせることが有効となる。
【0061】
処理室の内側に存在する吸着物は、内壁に吸着しているために処理室の圧力に影響しないが、処理室を排気した際のガス放出の原因となる。そのため、リークレートと排気速度に相関はないが、排気能力の高いポンプを用いて、処理室に存在する吸着物をできる限り脱離し、予め排気しておくことが好ましい。なお、吸着物の脱離を促すために、処理室をベーキングしてもよい。ベーキングすることで吸着物の脱離速度を10倍程度大きくすることができる。ベーキングは100℃以上450℃以下で行えばよい。このとき、不活性ガスを導入しながら吸着物の除去を行うと、排気するだけでは脱離しにくい水などの脱離速度をさらに大きくすることができる。
【0062】
スパッタリング法において、プラズマを発生させるための電源装置は、RF電源装置、AC電源装置、DC電源装置等を適宜用いることができる。
【0063】
酸化物半導体膜として、Ga、SnおよびZnから選ばれた一種以上の元素を含有することが好ましい。このような酸化物半導体は、例えば、四元系金属酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn系金属酸化物や、三元系金属酸化物であるIn−Ga−Zn系金属酸化物、In−Sn−Zn系金属酸化物、In−Al−Zn系金属酸化物や、二元系金属酸化物であるIn−Zn系金属酸化物などのターゲットを用いて成膜することができる。また、上記酸化物半導体に、In、Ga、SnおよびZn以外の元素、例えばSiの酸化物であるSiOを含ませてもよい。
【0064】
例えば、In−Ga−Zn系酸化物半導体とは、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)を有する酸化物半導体、という意味である。
【0065】
また、In−Sn−Zn系金属酸化物に用いるターゲットの組成比は、In:Sn:Znが原子数比で、1:2:2、2:1:3、1:1:1、または20:45:35などとなる酸化物ターゲットを用いる。
【0066】
また、酸化物半導体は、化学式InMO(ZnO)(m>0)で表記される薄膜を用いることができる。ここで、Mは、Sn、Zn、Ga、Al、MnおよびCoから選ばれた一または複数の金属元素を示す。例えばMとして、Ga、GaおよびAl、GaおよびMn、またはGaおよびCoなどがある。
【0067】
酸化物半導体としてIn−Ga−Zn−O系の材料を用いる場合、ターゲットの一例として、In、Ga、およびZnを含む金属酸化物ターゲットを、In:Ga:ZnO=1:1:1[mol数比]の組成比とする。また、In:Ga:ZnO=1:1:2[mol数比]の組成比を有するターゲット、またはIn:Ga:ZnO=1:1:4[mol数比]の組成比を有するターゲット、In:Ga:ZnO=2:1:8[mol数比]の組成比を有するターゲットを用いることもできる。また、In:ZnO=25:1[mol数比]〜1:4の組成比を有するターゲットを用いることもできる。
【0068】
また、酸化物半導体としてIn−Zn−O系の材料を用いる場合、用いるターゲットの組成比は、原子数比で、In:Zn=50:1〜1:2(mol数比に換算するとIn:ZnO=25:1〜1:4)、好ましくはIn:Zn=20:1〜1:1(mol数比に換算するとIn:ZnO=10:1〜1:2)、さらに好ましくはIn:Zn=15:1〜1.5:1(mol数比に換算するとIn:ZnO=15:2〜3:4)とする。例えば、In−Zn−O系酸化物半導体の形成に用いるターゲットは、原子数比がIn:Zn:O=X:Y:Zのとき、Z>1.5X+Yとする。
【0069】
なお、スパッタリングガスは、希ガス(代表的にはアルゴン。)、酸素ガス、または希ガスおよび酸素ガスの混合ガスを適宜用いる。また、スパッタリングガスには、水素、水、水酸基または水素化物などの不純物が除去された高純度ガスを用いることが好ましい。
【0070】
酸化物半導体は、トランジスタのオフ電流を低減するため、バンドギャップが2.5eV以上、好ましくは3.0eV以上の材料を選択する。
【0071】
酸化物半導体中の水素濃度は、5×1018cm−3未満、好ましくは1×1018cm−3以下、より好ましくは5×1017cm−3以下、さらに好ましくは1×1016cm−3以下とすることが好ましい。
【0072】
アルカリ金属は酸化物半導体を構成する元素ではないため不純物である。また、アルカリ土類金属も、酸化物半導体を構成する元素ではない場合において不純物となる。特に、アルカリ金属のうちナトリウム(Na)は、酸化物半導体膜に接する絶縁膜が酸化物である場合、当該絶縁膜中にナトリウムイオン(Na)として拡散する。また、Naは、酸化物半導体膜内において、酸化物半導体を構成する金属と酸素の結合を分断する、または、その結合中に割り込む。その結果、例えば、しきい値電圧がマイナス方向にシフトすることによるノーマリーオン化、電界効果移動度の低下などの、トランジスタ特性の劣化が起こり、加えて、特性のばらつきも生じる。よって、酸化物半導体中の不純物となるアルカリ金属の濃度を低減することが望ましい。具体的に、Na濃度の測定値は、5×1016cm−3以下、好ましくは1×1016cm−3以下、更に好ましくは1×1015cm−3以下とするとよい。同様に、リチウム(Li)濃度の測定値は、5×1015cm−3以下、好ましくは1×1015cm−3以下とするとよい。同様に、カリウム(K)濃度の測定値は、5×1015cm−3以下、好ましくは1×1015cm−3以下とするとよい。
【0073】
以上に示した酸化物半導体を用いることでトランジスタのオフ電流を小さくできる。具体的には、トランジスタのオフ電流を1×10−18A以下、または1×10−21A以下、または1×10−24A以下とすることができる。
【0074】
また、酸化物半導体の成膜時における基板温度は150℃以上450℃以下、好ましくは200℃以上350℃以下である。150℃以上450℃以下、好ましくは200℃以上350℃以下に基板を加熱しながら成膜をすることによって、膜中への水分(水素を含む)などの混入を防ぐことができる。
【0075】
さらに、酸化物半導体膜として、CAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)膜を用いてもよい。
【0076】
CAAC−OSとは、c軸配向し、かつab面、表面または界面の方向から見て三角形状または六角形状の原子配列を有し、c軸においては、金属原子が層状または金属原子と酸素原子とが層状に配列しており、ab面(または表面あるいは界面)においては、a軸またはb軸の向きが異なる(c軸を中心に回転した)結晶を含む酸化物半導体のことである。
【0077】
広義に、CAAC−OSとは、非単結晶であって、そのab面に垂直な方向から見て、三角形もしくは六角形、または正三角形もしくは正六角形の原子配列を有し、かつc軸に垂直な方向から見て金属原子が層状または金属原子と酸素原子が層状に配列した相を含む酸化物半導体をいう。
【0078】
CAAC−OSは単結晶ではないが、非晶質のみから形成されているものでもない。また、CAAC−OSは結晶化した部分(結晶部分)を含むが、1つの結晶部分と他の結晶部分の境界を明確に判別できないこともある。
【0079】
CAAC−OSを構成する酸素の一部は窒素で置換されてもよい。また、CAAC−OSを構成する個々の結晶部分のc軸は一定の方向(例えば、CAAC−OSが形成される基板面やCAAC−OSの表面や膜面、界面などに垂直な方向)に揃っていてもよい。あるいは、CAAC−OSを構成する個々の結晶部分のab面の法線は一定の方向(例えば、基板面、表面、膜面、界面などに垂直な方向)を向いていてもよい。
【0080】
CAAC−OSは、その組成などに応じて、導体であったり、半導体であったり、絶縁体であったりする。また、その組成などに応じて、可視光に対して透明であったり不透明であったりする。
【0081】
このようなCAAC−OSの例として、膜状に形成され、膜表面または支持する基板面に垂直な方向から観察すると三角形または六角形の原子配列が認められ、かつその膜断面を観察すると金属原子または金属原子および酸素原子(または窒素原子)の層状配列が認められる結晶を挙げることもできる。
【0082】
CAAC−OSについて図7乃至図9を用いて詳細に説明する。なお、特に断りがない限り、図7乃至図9は上方向をc軸方向とし、c軸方向と直交する面をab面とする。なお、単に上半分、下半分という場合、ab面を境にした場合の上半分、下半分をいう。また、図7において、丸で囲まれたOは4配位のOを示し、二重丸で囲まれたOは3配位のOを示す。
【0083】
図7(A)に、1個の6配位のInと、Inに近接の6個の4配位の酸素原子(以下4配位のO)と、を有する構造を示す。Inが1個に対して、近接の酸素原子のみ示した構造を、ここではサブユニットと呼ぶ。図7(A)の構造は、八面体構造をとるが、簡単のため平面構造で示している。なお、図7(A)の上半分および下半分にはそれぞれ3個ずつ4配位のOがある。図7(A)に示すサブユニットは電荷が0である。
【0084】
図7(B)に、1個の5配位のGaと、Gaに近接の3個の3配位の酸素原子(以下3配位のO)と、Gaに近接の2個の4配位のOと、を有する構造を示す。3配位のOは、いずれもab面に存在する。図7(B)の上半分および下半分にはそれぞれ1個ずつ4配位のOがある。また、Inも5配位をとるため、図7(B)に示す構造をとりうる。図7(B)に示すサブユニットは電荷が0である。
【0085】
図7(C)に、1個の4配位のZnと、Znに近接の4個の4配位のOと、による構造を示す。図7(C)の上半分には1個の4配位のOがあり、下半分には3個の4配位のOがある。図7(C)に示すサブユニットは電荷が0である。
【0086】
図7(D)に、1個の6配位のSnと、Snに近接の6個の4配位のOと、を有する構造を示す。図7(D)の上半分には3個の4配位のOがあり、下半分には3個の4配位のOがある。または、図7(C)の上半分に3個の4配位のOがあり、下半分に1個の4配位のOがあってもよい。図7(D)に示すサブユニットは電荷が+1となる。
【0087】
図7(E)に、2個のZnを含むサブユニットを示す。図7(E)の上半分には1個の4配位のOがあり、下半分には1個の4配位のOがある。図7(E)に示すサブユニットは電荷が−1となる。
【0088】
ここでは、サブユニットのいくつかの集合体を1グループと呼び、複数のグループからなる1周期分を1ユニットと呼ぶ。
【0089】
ここで、これらのサブユニット同士結合する規則について説明する。
【0090】
図7(A)に示す6配位のInの上半分の3個のOは、下方向にそれぞれ3個の近接Inを有し、下半分の3個のOは上方向にそれぞれ3個の近接Inを有する。図7(B)に示す5配位のGaの上半分の1個のOは下方向に1個の近接Gaを有し、下半分の1個のOは上方向に1個の近接Gaを有する。図7(C)に示す4配位のZnの上半分の1個のOは下方向に1個の近接Znを有し、下半分の3個のOは上方向にそれぞれ3個の近接Znを有する。この様に、金属原子の上方向の4配位のOの数と、そのOの下方向にある近接金属原子の数は等しく、同様に金属原子の下方向の4配位のOの数と、そのOの上方向にある近接金属原子の数は等しい。Oは4配位なので、下方向にある近接金属原子の数と、上方向にある近接金属原子の数の和は4になる。従って、金属原子の上方向にある4配位のOの数と、別の金属原子の下方向にある4配位のOの数との和が4個のとき、金属原子を有する二種のサブユニット同士は結合することができる。例えば、6配位の金属原子(InまたはSn)が下半分の4配位のOを介して結合する場合、4配位のOが3個であるため、5配位の金属原子(GaまたはIn)または4配位の金属原子(Zn)のいずれかと結合することになる。
【0091】
これらの配位数を有する金属原子は、c軸方向において、4配位のOを介して結合する。また、このほかにも、層構造の合計の電荷が0となるようにサブユニット同士が結合して1グループを構成する。
【0092】
図8(A)に、In−Sn−Zn−O系の層構造を構成する1グループのモデル図を示す。図8(B)に、3つのグループで構成されるユニットを示す。なお、図8(C)は、図8(B)の層構造をc軸方向から観察した場合の原子配列を示す。
【0093】
図8(A)においては、簡単のため、3配位のOは省略し、4配位のOは個数のみ示し、例えば、Sn原子の上半分および下半分にはそれぞれ3個ずつ4配位のOがあることを丸枠の3として示している。同様に、図8(A)において、In原子の上半分および下半分にはそれぞれ1個ずつ4配位のOがあり、丸枠の1として示している。また、同様に、図8(A)において、下半分には1個の4配位のOがあり、上半分には3個の4配位のOがあるZn原子と、上半分には1個の4配位のOがあり、下半分には3個の4配位のOがあるZn原子とを示している。
【0094】
図8(A)において、In−Sn−Zn−O系の層構造を構成するグループは、上から順に4配位のOが3個ずつ上半分および下半分にあるSn原子が、4配位のOが1個ずつ上半分および下半分にあるIn原子と結合し、そのIn原子が、上半分に3個の4配位のOがあるZn原子と結合し、そのZn原子の下半分の1個の4配位のOを介して4配位のOが3個ずつ上半分および下半分にあるIn原子と結合し、そのIn原子が、上半分に1個の4配位のOがあるZn2個からなるサブユニットと結合し、このサブユニットの下半分の1個の4配位のOを介して4配位のOが3個ずつ上半分および下半分にあるSn原子と結合している構成である。このグループを複数結合して1周期分であるユニットを構成する。
【0095】
ここで、3配位のOおよび4配位のOの場合、結合1本当たりの電荷はそれぞれ−0.667、−0.5と考えることができる。例えば、In(6配位または5配位)、Zn(4配位)、Sn(5配位または6配位)の電荷は、それぞれ+3、+2、+4である。従って、Snを含むサブユニットは電荷が+1となる。そのため、Snを含む層構造を形成するためには、電荷+1を打ち消す電荷−1が必要となる。電荷−1をとる構造として、図7(E)に示すように、2個のZnを含むサブユニットが挙げられる。例えば、Snを含むサブユニットが1個に対し、2個のZnを含むサブユニットが1個あれば、電荷が打ち消されるため、層構造の合計の電荷を0とすることができる。
【0096】
また、Inは5配位および6配位のいずれもとることができるものとする。具体的には、図8(B)に示したユニットとすることで、In−Sn−Zn−O系の結晶(InSnZn)を得ることができる。なお、得られるIn−Sn−Zn−O系の層構造は、InSnZn(ZnO)(mは0または自然数。)とする組成式で表すことができる。
【0097】
また、このほかにも、四元系金属酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn系酸化物や、三元系金属の酸化物であるIn−Ga−Zn系酸化物(IGZOとも表記する。)、In−Al−Zn系酸化物、Sn−Ga−Zn系酸化物、Al−Ga−Zn系酸化物、Sn−Al−Zn系酸化物や、二元系金属の酸化物であるIn−Zn系酸化物、Sn−Zn系酸化物、Al−Zn系酸化物、Zn−Mg系酸化物、Sn−Mg系酸化物、In−Mg系酸化物や、In−Ga−O系の材料を用いた場合も同様である。
【0098】
例えば、図9(A)に、In−Ga−Zn−O系の層構造を構成する1グループのモデル図を示す。
【0099】
図9(A)において、In−Ga−Zn−O系の層構造を構成するグループは、上から順に4配位のOが3個ずつ上半分および下半分にあるIn原子が、4配位のOが1個上半分にあるZn原子と結合し、そのZn原子の下半分の3個の4配位のOを介して、4配位のOが1個ずつ上半分および下半分にあるGa原子と結合し、そのGa原子の下半分の1個の4配位のOを介して、4配位のOが3個ずつ上半分および下半分にあるIn原子と結合している構成である。このグループを複数結合して1周期分であるユニットを構成する。
【0100】
図9(B)に3つのグループで構成されるユニットを示す。なお、図9(C)は、図9(B)の層構造をc軸方向から観察した場合の原子配列を示している。
【0101】
ここで、In(6配位または5配位)、Zn(4配位)、Ga(5配位)の電荷は、それぞれ+3、+2、+3であるため、In、ZnおよびGaのいずれかを含むサブユニットは、電荷が0となる。そのため、これらのサブユニットの組み合わせであればグループの合計の電荷は常に0となる。
【0102】
また、In−Ga−Zn−O系の層構造を構成するグループは、図9(A)に示したグループに限定されず、In、Ga、Znの配列が異なるグループを組み合わせたユニットも取りうる。
【0103】
層間絶縁膜114の材料は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化アルミニウムを単層または積層させて用いることができ、スパッタリング法、CVD法などで成膜すればよい。例えば、プラズマCVD法により、シランガスを主材料とし、酸化窒素ガス、窒素ガス、水素ガスおよび希ガスから適切な原料ガスを混合して成膜すればよい。また、基板温度を200℃以上550℃以下とすればよい。
【0104】
また、本実施の形態では、ゲート電極106と、一対の低抵抗領域102または一対の電極110が重畳せず、オフセット領域が形成されている構造としているが、これに限定されるものではない。例えば、ゲート電極106と、一対の低抵抗領域102または一対の電極110が重畳する構造としてもよい。
【0105】
以上のような構造を有することによって、トランジスタ150aおよびトランジスタ150bにおいて、トランジスタ150aのチャネル領域となる半導体基板100およびトランジスタ150bのチャネル領域となる半導体膜112は、ゲート電極106を覆って形成されている。つまり、上面図から見た一対の低抵抗領域102または一対の電極110間の距離である見かけ上のチャネル長に対して、実効上のチャネル長を長くすることができる。また、トランジスタを積層させて形成させることができるため、半導体装置の占有面積を縮小することができる。そのため、トランジスタを縮小しても短チャネル効果の影響を低減して半導体装置の集積度を高めることが可能となる。さらに、コストを低く抑えることができ、歩留まりの高い半導体装置を提供することができる。
【0106】
さらに、図1(B)に示すトランジスタ構造において、L1およびL2の長さを調節することによって、トランジスタ150aおよびトランジスタ150bの実効上のチャネル長を調節することができる。例えばトランジスタ150bのオン電流を増加させたい場合、L2の長さを短く形成させることによって、トランジスタ150bのオン電流を増加させることができる。
【0107】
このように、L1およびL2の長さを調節することによって、トランジスタ150aおよびトランジスタ150bのオン電流を調節することができる。インバータ回路動作において、インバータで入出力される矩形波は、立ち上がり時間と立ち下がり時間が等しいものが理想的である。例えばCMOSインバータにおいて、pチャネルトランジスタとnチャネルトランジスタのオン電流のバランスがとれていないインバータでは、入力された矩形波が理想的なものであっても、出力の際に波形が乱れてしまう。例えば、pチャネルトランジスタのオン電流がnチャネルトランジスタのオン電流の1/2しかない場合は、出力ノードにおいて立ち上がり時間は立ち下がり時間の2倍になってしまう。このような波形の乱れを防ぐため、pチャネルトランジスタとnチャネルトランジスタのオン電流をそろえることが望ましい。
【0108】
また、図2(A)および図2(B)に示すようなトランジスタの構造においても、図1に示したトランジスタと同様の効果を奏することができる。図2(A)に示すトランジスタの構造と図1に示した構造との違いは、トランジスタ150bにおけるゲート電極の形状である。図1(B)に示したゲート電極106は、半導体基板100に設けられた溝部を完全に埋めた形状となっているが、図2(A)に示したゲート電極106bは、半導体基板100に設けられた溝部を完全には埋めていない形状である。このように、溝部を完全に埋め込む必要がなく、溝部に沿ってゲート電極を形成することによっても、本発明の効果を奏することができる。図2(B)に示すトランジスタの構造と図1に示した構造との違いは、一対の電極と、半導体膜との積層順が異なる点である。つまり、図2(B)に示すトランジスタ構造では、半導体膜122上に一対の電極120が形成されている。
【0109】
さらに、図1または図2に示したトランジスタを用いることによって、図3(A)に示すようなインバータ回路を形成することができる。インバータ回路を形成するためには、nチャネルトランジスタおよびpチャネルトランジスタが必要であり、例えば図1におけるトランジスタ150aをpチャネルトランジスタ、トランジスタ150bをnチャネルトランジスタとすることができる。
【0110】
図3(A)に示すインバータ回路は、nチャネルトランジスタ200bおよびpチャネルトランジスタ200aのゲート電極が接続され、またnチャネルトランジスタ200bおよびpチャネルトランジスタ200aのソースまたはドレインの一方が接続されている構成となっており、図1および図2に示すトランジスタを適用して形成することができる。例えば、図1におけるトランジスタ150aをpチャネルトランジスタ200aに、トランジスタ150bをnチャネルトランジスタ200bに用いることができる。
【0111】
さらに、図3(A)に示したインバータ回路を組み合わせることによって、図3(B)に示すNAND回路、図3(C)に示すNOR回路を形成することができる。例えば、ゲート電極が接続したpチャネルトランジスタ300aおよびnチャネルトランジスタ300bと、ゲート電極が接続したpチャネルトランジスタ400aおよびnチャネルトランジスタ400bを組み合わせることによって、図3(B)および図3(C)に示すような回路を構成することができる。さらに、これら論理回路を用いることによって、CPUなどの半導体集積回路を形成することができる。
【0112】
<トランジスタの作製方法の一例>
次に、図1に示したトランジスタの作製方法の一例について、図4を用いて説明する。
【0113】
図4(A)に示すように、半導体基板100表面に不純物を添加して一対の低抵抗領域102を形成し、半導体基板100を加工して溝部を設ける。図4(A)に示す溝部は、凹型の形状を示したが、この形状に限定されず、曲面形状などでも構わない。
【0114】
次に、熱酸化法を用いて半導体基板100表面に第1のゲート絶縁膜104を形成させる。また、熱酸化法ではなく、スパッタリング法、CVD法などの堆積法を用いて絶縁膜を形成させてもよく、熱酸化法および堆積法を組み合わせて絶縁膜を形成させてもよい。
【0115】
次に、第1のゲート絶縁膜104上にゲート電極106を形成させる。ゲート電極106は、導電膜を成膜し、該導電膜上にマスクを形成した後、当該マスクを用いて導電膜を選択的にエッチングして形成される。
【0116】
上記マスクは、フォトリソグラフィ工程、インクジェット法、印刷法等を適宜用いて形成することができる。また、エッチングはウエットエッチングまたはドライエッチングを適宜用いることができる。
【0117】
また、図4(A)に示した一対の低抵抗領域102は、ゲート電極106を形成させた後に、ゲート電極106をマスクにして不純物を半導体基板100に添加することによって形成することもできる。
【0118】
次に、ゲート電極106および第1のゲート絶縁膜104上に第2のゲート絶縁膜108を形成させる(図4(B)参照。)。
【0119】
次に図4(C)に示すように、第1のゲート絶縁膜104および第2のゲート絶縁膜108を加工してコンタクトホールを形成し、該コンタクトホールにおいて一対の低抵抗領域102と接続する一対の電極110を形成させる。一対の電極110は、導電膜を成膜し、該導電膜上にマスクを形成した後、当該マスクを用いて導電膜を選択的にエッチングして形成される。
【0120】
次に、図4(D)に示すように、一対の電極110と接し、第2のゲート絶縁膜108を介してゲート電極106と重畳する半導体膜112を形成させる。半導体膜112は、例えばスパッタリング法により、厚さ1nm以上50nm以下の酸化物半導体膜を成膜し、該酸化物半導体膜上にマスクを形成した後、当該マスクを用いて酸化物半導体膜を選択的にエッチングして形成される。
【0121】
また、酸化物半導体膜成膜後に、半導体基板100に加熱処理を施して、酸化物半導体膜から水分および水素を放出させることが好ましい。また、該加熱処理を行うことによって、より結晶性の高いCAAC―OS膜を形成することができる。
【0122】
加熱処理の温度は、酸化物半導体膜から水分および水素を放出させる温度が好ましく、代表的には、200℃以上半導体基板100の歪み点未満、好ましくは250℃以上450℃以下とする。
【0123】
また加熱処理は、RTA(Rapid Thermal Annealing)装置を用いることができる。RTAを用いることで、短時間に限り、基板の歪み点以上の温度で加熱処理を行うことができる。そのため、CAAC―OS膜を形成するための時間を短縮することができる。
【0124】
加熱処理は、不活性ガス雰囲気で行うことができ、代表的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノン、クリプトン等の希ガス、または窒素雰囲気で行うことが好ましい。また、酸素雰囲気、減圧雰囲気または真空雰囲気で行ってもよい。処理時間は3分〜24時間とする。24時間を超える熱処理は生産性の低下を招くため好ましくない。
【0125】
また、上記加熱処理により酸化物半導体膜から水分および水素を放出させた後、酸素雰囲気下で酸化物半導体膜を加熱処理することによって、酸化物半導体膜に酸素を供給し、酸化物半導体膜中においてドナーとなる酸素欠損を低減させてもよい。加熱処理の温度は、200℃以上半導体基板100の歪み点未満、好ましくは250℃以上450℃以下とする。上記酸素雰囲気下の加熱処理に用いられる酸素ガスには、水、水素などが含まれないことが好ましい。または、加熱処理装置に導入する酸素ガスの純度を、6N(99.9999%)以上、好ましくは7N(99.99999%)以上、(即ち酸素中の不純物濃度を1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とすることが好ましい。
【0126】
あるいは、イオン注入法またはイオンドーピング法などを用いて、酸化物半導体膜に酸素を添加することで、ドナーとなる酸素欠損を低減させてもよい。また、周波数2.45GHz程度のマイクロ波でプラズマ化した酸素を酸化物半導体膜に添加してもよい。
【0127】
次に、半導体膜112上に、層間絶縁膜114を形成する(図4(D)参照。)。なお、ここでは図示しないが、層間絶縁膜114を加工してコンタクトホールを形成し、該コンタクトホールにおいて、一対の低抵抗領域102または一対の電極110と接続する配線を形成してもよい。
【0128】
以上のような工程により、短チャネル効果を抑制させつつ微細化を行い、低消費電力化したトランジスタを作製することができる。
【0129】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0130】
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1で示したトランジスタを用いて、CPU(Central Processing Unit)を構成する例について説明する。
【0131】
図5(A)は、CPUの具体的な構成を示すブロック図である。図5(A)に示すCPUは、基板1190上に、演算回路(ALU:Arithmetic logic unit)1191、ALUコントローラ1192、インストラクションデコーダ1193、インタラプトコントローラ1194、タイミングコントローラ1195、レジスタ1196、レジスタコントローラ1197、バスインターフェース(Bus I/F)1198、書き換え可能なROM1199、およびROMインターフェース(ROM I/F)1189を有している。基板1190は、半導体基板、SOI基板、ガラス基板などを用いる。ROM1199およびROMインターフェース1189は、別チップに設けてもよい。もちろん、図5(A)に示すCPUは、その構成を簡略化して示した一例にすぎず、実際のCPUはその用途によって多種多様な構成を有している。
【0132】
バスインターフェース1198を介してCPUに入力された命令は、インストラクションデコーダ1193に入力され、デコードされた後、ALUコントローラ1192、インタラプトコントローラ1194、レジスタコントローラ1197、タイミングコントローラ1195に入力される。
【0133】
ALUコントローラ1192、インタラプトコントローラ1194、レジスタコントローラ1197、タイミングコントローラ1195は、デコードされた命令に基づき、各種制御を行なう。具体的にALUコントローラ1192は、ALU1191の動作を制御するための信号を生成する。また、インタラプトコントローラ1194は、CPUのプログラム実行中に、外部の入出力装置や、周辺回路からの割り込み要求を、その優先度やマスク状態から判断し、処理する。レジスタコントローラ1197は、レジスタ1196のアドレスを生成し、CPUの状態に応じてレジスタ1196の読み出しや書き込みを行なう。
【0134】
また、タイミングコントローラ1195は、ALU1191、ALUコントローラ1192、インストラクションデコーダ1193、インタラプトコントローラ1194、およびレジスタコントローラ1197の動作のタイミングを制御する信号を生成する。例えばタイミングコントローラ1195は、基準クロック信号CLK1を元に、内部クロック信号CLK2を生成する内部クロック生成部を備えており、クロック信号CLK2を上記各種回路に供給する。
【0135】
図5(A)に示すCPUでは、レジスタ1196に、記憶素子が設けられている。レジスタ1196の記憶素子には、実施の形態1に記載されているトランジスタを含む記憶素子を用いることができる。
【0136】
図5(A)に示すCPUにおいて、レジスタコントローラ1197は、ALU1191からの指示に従い、レジスタ1196における保持動作の選択を行う。すなわち、レジスタ1196が有する記憶素子において、位相反転素子によるデータの保持を行うか、容量素子によるデータの保持を行うかを、選択する。位相反転素子によるデータの保持が選択されている場合、レジスタ1196内の記憶素子への、電源電圧の供給が行われる。容量素子におけるデータの保持が選択されている場合、容量素子へのデータの書き換えが行われ、レジスタ1196内の記憶素子への電源電圧の供給を停止することができる。
【0137】
電源停止に関しては、図5(B)または図5(C)に示すように、記憶素子群と、電源電位VDDまたは電源電位VSSの与えられているノード間に、スイッチング素子を設けることにより行うことができる。以下に図5(B)および図5(C)の回路の説明を行う。
【0138】
図5(B)および図5(C)では、記憶素子への電源電位の供給を制御するスイッチング素子に、酸化物半導体を用いたトランジスタを含む記憶回路の構成の一例を示す。
【0139】
図5(B)に示す記憶装置は、スイッチング素子1141と、記憶素子1142を複数有する記憶素子群1143とを有している。記憶素子群1143が有する各記憶素子1142には、スイッチング素子1141を介して、ハイレベルの電源電位VDDが供給されている。さらに、記憶素子群1143が有する各記憶素子1142には、信号INの電位と、ローレベルの電源電位VSSの電位が与えられている。
【0140】
図5(B)では、スイッチング素子1141として、酸化物半導体などのバンドギャップの大きい半導体を有するトランジスタを用いており、該トランジスタは、そのゲートに与えられる信号SigAによりスイッチングが制御される。
【0141】
なお、図5(B)では、スイッチング素子1141がトランジスタを一つだけ有する構成を示しているが、特に限定されず、トランジスタを複数有していてもよい。スイッチング素子1141が、スイッチング素子として機能するトランジスタを複数有している場合、上記複数のトランジスタは並列に接続されていてもよいし、直列に接続されていてもよいし、直列と並列が組み合わされて接続されていてもよい。
【0142】
また、図5(B)では、スイッチング素子1141により、記憶素子群1143が有する各記憶素子1142への、ハイレベルの電源電位VDDの供給が制御されているが、スイッチング素子1141により、ローレベルの電源電位VSSの供給が制御されていてもよい。
【0143】
また、図5(C)には、記憶素子群1143が有する各記憶素子1142に、スイッチング素子1141を介して、ローレベルの電源電位VSSが供給されている、記憶装置の一例を示す。スイッチング素子1141により、記憶素子群1143が有する各記憶素子1142への、ローレベルの電源電位VSSの供給を制御することができる。
【0144】
記憶素子群と、電源電位VDDまたは電源電位VSSの与えられているノード間に、スイッチング素子を設け、一時的にCPUの動作を停止し、電源電圧の供給を停止した場合においてもデータを保持することが可能であり、消費電力の低減を行うことができる。例えば、パーソナルコンピュータのユーザーが、キーボードなどの入力装置への情報の入力を停止している間でも、CPUの動作を停止することができ、それにより消費電力を低減することができる。
【0145】
ここでは、CPUを例に挙げて説明したが、DSP(Digital Signal Processor)、カスタムLSI、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのLSIにも応用可能である。
【0146】
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0147】
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1乃至実施の形態2を適用した電子機器の例について説明する。
【0148】
図6(A)は携帯型情報端末である。筐体9300と、ボタン9301と、マイクロフォン9302と、表示部9303と、スピーカ9304と、カメラ9305と、を具備し、携帯型電話機としての機能を有する。本発明の一態様は、特に図示しないが、本体内部にある演算装置、無線回路または記憶装置に用いる論理回路に適用することができる。
【0149】
図6(B)は、デジタルスチルカメラである。筐体9320と、ボタン9321と、マイクロフォン9322と、表示部9323と、を具備する。本発明の一態様は、特に図示しないが、記憶装置またはイメージセンサなどに用いる論理回路に本発明の一態様を適用することもできる。
【0150】
本発明の一態様を用いることで、電子機器の性能を高め、かつ信頼性を高めることができる。
【0151】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて用いることができる。
【符号の説明】
【0152】
100 半導体基板
102 低抵抗領域
104 第1のゲート絶縁膜
106 ゲート電極
108 第2のゲート絶縁膜
110 一対の電極
112 半導体膜
114 層間絶縁膜
120 一対の電極
122 半導体膜
106b ゲート電極
1141 スイッチング素子
1142 記憶素子
1143 記憶素子群
1189 ROMインターフェース
1190 基板
1191 ALU
1192 ALUコントローラ
1193 インストラクションデコーダ
1194 インタラプトコントローラ
1195 タイミングコントローラ
1196 レジスタ
1197 レジスタコントローラ
1198 バスインターフェース
1199 ROM
150a トランジスタ
150b トランジスタ
200a pチャネルトランジスタ
200b nチャネルトランジスタ
300a pチャネルトランジスタ
300b nチャネルトランジスタ
400a pチャネルトランジスタ
400b nチャネルトランジスタ
9300 筐体
9301 ボタン
9302 マイクロフォン
9303 表示部
9304 スピーカ
9305 カメラ
9320 筐体
9321 ボタン
9322 マイクロフォン
9323 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重畳する第1のトランジスタおよび第2のトランジスタを有し、
前記第1のトランジスタは、一対の低抵抗領域の間に溝部を有する半導体基板と、前記溝部に沿って形成される第1のゲート絶縁膜と、前記第1のゲート絶縁膜を介して前記溝部に形成されるゲート電極と、を有し、
前記第2のトランジスタは、前記ゲート電極と、前記ゲート電極を覆う第2のゲート絶縁膜と、前記第2のゲート絶縁膜を介して前記ゲート電極と重畳する半導体膜と、前記半導体膜に接して形成される一対の電極と、を有し、
前記一対の低抵抗領域の一方と、前記一対の電極の一方が接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
溝部および前記溝部を挟んで形成された一対の低抵抗領域を有する半導体基板と、
前記半導体基板上の第1のゲート絶縁膜と、
前記第1のゲート絶縁膜を介し、前記溝部と重畳するゲート電極と、
前記ゲート電極を覆って設けられた第2のゲート絶縁膜と、
前記第2のゲート絶縁膜上の、前記溝部を挟んで設けられた一対の電極と、
前記一対の電極と接し、前記第2のゲート絶縁膜を介して前記ゲート電極と重畳する半導体膜と、を有し、
前記一対の低抵抗領域の一方と、前記一対の電極の一方が接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記一対の電極は、前記第2のゲート絶縁膜と前記半導体膜との間に形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2において、
前記半導体膜は、前記第2のゲート絶縁膜と前記一対の電極との間に形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項において、
前記半導体基板はn型半導体であり、前記一対の低抵抗領域はp型半導体であることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項において、
前記半導体膜は、In、Ga、SnおよびZnから選ばれた一種以上の元素を含む酸化物半導体からなることを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−238850(P2012−238850A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−97559(P2012−97559)
【出願日】平成24年4月23日(2012.4.23)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】