説明

基板搬送装置、基板検査装置、及び、基板搬送方法

【課題】基板搬送装置、基板検査装置及び基板搬送方法において、基板との不要な接触を防ぐ。
【解決手段】ウエハ搬送装置1は、ウエハWが載置されるウエハ載置面2a,3aを有し互いに平行に設置された2本のアーム部2,3と、ウエハ載置面2a,3a(アーム部2,3)をアーム部2,3の長手方向を回動軸A2,A3として水平面に対し傾斜させる傾斜手段としてのバランサ(錘)4,5と、アーム支持部6と、吸引用チューブとしてのアーム側吸引用チューブ7,8と、支持部側吸引用チューブ9と、傾き検出手段としての透過型センサ10,11と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板が載置されるアーム部を用いる基板搬送装置、基板検査装置及び基板搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体製造工程で用いられるウエハ等の基板の薄型化や、液晶ディスプレイその他のフラットパネルディスプレイ等の基板の大型化が進んでおり、それに伴い基板に反りや撓みが生じやすくなっている。そのため、反りや撓みが生じた基板を水平状態のアーム部に載置すると、基板とアーム部との間に間隙が生じてしまう。
【0003】
そこで、ウエハを支承する支持バー(アーム部)をウエハに接触させて支持バーを傾斜させることで、ウエハと支持バーとを平行にするウエハ搬送装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−93893号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の支持バーは、ウエハと接触することで水平状態からウエハに沿って傾斜する。そのため、例えばウエハカセット内に積層されたウエハに反りや撓みが発生していると、支持バーとウエハとの間隔が狭くなり、支持バーをウエハカセットに挿入する際に、支持バーが積層されたウエハに接触した場合、ウエハにクラック等の破損が生じてしまう可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、上記従来の実情に鑑み、基板との不要な接触を防ぐことができる基板搬送装置、基板検査装置及び基板搬送方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の基板搬送装置は、基板が載置される基板載置面を有するアーム部と、上記基板載置面を水平面に対し傾斜させる傾斜手段と、を備えることを要件とする。
本発明の基板検査装置は、上記基板搬送装置と、この基板搬送装置により搬送される基板を検査する検査部と、を含むことを要件とする。
【0007】
本発明の基板搬送方法は、基板をアーム部に載置して搬送する基板搬送方法において、基板載置面を水平面に対し傾斜させた状態の上記アーム部を、上記基板が載置される位置に移動させ、上記傾斜させた状態のアーム部に上記基板を載置することを要件とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、基板載置面を水平面に対し傾斜させた状態のアーム部を基板が載置される位置に移動させることができる。そのため、例えば、カセットへのアーム部の挿入時等に、カセットに積層された基板に反りや撓みが発生していても、アーム部と基板との間隔を大きくとることができる。
【0009】
よって、本発明によれば、基板との不要な接触を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態に係る基板搬送装置、基板検査装置及び基板搬送方法につい
て、基板としてウエハを例にして、図面を参照しながら説明する。
<ウエハ搬送装置及びウエハ搬送方法について>
図1〜図5は、本発明の一実施の形態に係るウエハ搬送装置1を示す平面図、正面図、背面図、部分断面右側面図及び斜視図である。
【0011】
図6は、図1のA−A断面図である。
ウエハ搬送装置1は、ウエハWが載置されるウエハ載置面2a,3aを有し互いに平行に設置された2本のアーム部2,3と、ウエハ載置面2a,3a(アーム部2,3)をアーム部2,3の長手方向を回動軸A2,A3として水平面に対し傾斜させる傾斜手段としてのバランサ(錘)4,5と、アーム支持部6と、吸引用チューブとしてのアーム側吸引用チューブ7,8と、支持部側吸引用チューブ9と、傾き検出手段としての透過型センサ10,11(図1及び図2に図示)と、を備える。
【0012】
なお、ウエハ搬送装置1は、アーム支持部6が例えば図示しない駆動手段である、多関節アームを有するロボット等に接続され、ウエハWを水平方向及び垂直方向に搬送可能に構成されている。
【0013】
アーム部2,3は、上面がウエハ載置面2a,3aとなる薄板の載置プレート2b,3bと、この載置プレート2b,3bを挟み込んで固定するプレート固定部2c,3cとを有する。
【0014】
アーム部2,3は、図4(右側面図)に示すように、アーム支持部6の後述する軸支部6b,6cに形成された貫通孔6d(軸支部6c側のみ図示)を貫通し、貫通孔6dの両端に位置する2つのベアリング6e,6fによって、水平方向に互いに平行に延びる図1及び図5に示す回動軸A2,A3を中心に回動可能に軸支されている。
【0015】
載置プレート2b,3b上のウエハ載置面2a,3aには、図1及び図5に示すように、ウエハWを吸着により保持するための複数の吸引孔2d,3dが形成されている。この吸引孔2d,3dは、アーム部2,3の内部に形成された図1に示す吸引路2e,3eに連通している。また、この吸引路2e,3eは、アーム側吸引用チューブ7,8に連通している。
【0016】
アーム側吸引用チューブ7,8は、例えばシリコーン等の軟性材料からなり、ウエハ載置面2a,3aの回動軸A2,A3と異なる方向として、本実施の形態では回動軸A2,A3と直交する方向に、回動軸A2,A3上でアーム部2,3のプレート固定部2c,3c上に接続されている。また、アーム側吸引用チューブ7,8は、アーム部2,3と反対側の端部がアーム支持部6に接続されている。
【0017】
なお、アーム部2,3の、載置プレート2b,3bと反対側の端部には、アーム支持部6の後述する回動規制用ピン(回動規制手段)6h,6iに接触することで、アーム部2,3の回動角度を規制するアーム側ピン(回動規制手段)2f,3fが設けられている。
【0018】
バランサ4,5は、アーム部2,3のプレート固定部2c,3cの内側(アーム部2,3間のスペース側)に配置されることで、アーム部2,3をウエハ載置面2a,3aが水平面に対し傾斜した状態に付勢する。これにより、図2に示すように、アーム部2,3のウエハ載置面2a,3aは、中央から周縁に向かって上方に反り上がったウエハWと平行になるように傾斜することが可能となっている。なお、アーム部2,3の重心位置から回動軸を2本のアーム部2,3の外側にズラすことにより傾斜した状態に付勢してもよい。
【0019】
アーム支持部6は、アーム部2,3の回動軸A2,A3に直交する方向に延びる支持プ
レート6aと、この支持プレート6aの両端下部に固定され上記貫通孔6dが形成された軸支部6b,6cとを有する。但し、軸支部6b,6cは、支持プレート6aの両端下部に限らず、例えば、支持プレート6aの上部や側面部等に固定してもよい。
【0020】
支持プレート6aの内部には、支持プレート6aの長手方向に延びる吸引路6gが形成され、アーム側吸引用チューブ7,8及び支持部側吸引用チューブ9は、この吸引路6fに連通するように支持プレート6aに接続されている。
【0021】
支持部側吸引用チューブ9は、アーム側吸引用チューブ7,8と同様に軟性材料からなり、図示しない吸引手段に接続されている。なお、支持部側吸引用チューブ9は、必要に応じて金属などの硬性のチューブであってもよい。また、構成する部材の中を中空にして吸引路を硬性してもよい。吸引手段は、エアの吸引によって、支持部側吸引用チューブ9、支持プレート6の吸引路6g、アーム側吸引用チューブ7,8、アーム部2,3の吸引路2e,3e、吸引孔2d,3dを介して、ウエハWをウエハ載置面2a,3aに吸着保持させる。
【0022】
アーム支持部6には、軸支部6b,6cからアーム部2,3の回動軸A2、A3と平行に延び、アーム側ピン2f,3fに接触することでウエハ載置面2a,3aの回動角度を規制する回動規制用ピン6h,6iが設けられている。この回動規制用ピン6h,6iは、軸支部6b,6cの複数位置に対し着脱可能となっており、取り付け位置を変更することで、アーム部2,3の回動可能範囲を調整可能となっている。
【0023】
透過型センサ10,11は、アーム部2,3の回動軸A2,A3と平行に検出光を発し、この検出光がバランサ4,5に遮られるか否かによりウエハ載置面2a,3aの傾きが一定角度に達したか否かを検出する。
【0024】
図7Aはアーム部2,3の回動軸A2,A3を説明するための説明図であり、図7Bは比較例である。
ここで、図7Aに示すように、本実施の形態の載置プレート2b,3b(アーム部2,3)の回動軸A2,A3は、載置プレート2b,3bのウエハ載置面2a,3a上に位置する。そのため、載置プレート2b,3bがウエハWと接触した状態で回動しても、ウエハ載置面2a,3aは、水平方向への移動量が少なく、載置プレート2b,3bがウエハWと接触した状態で水平方向に滑ることが少ない。したがって、載置プレート2b,3bにより目的の位置でウエハWを保持することができ、ウエハWの位置ズレを防ぐことや、ウエハWの裏面とのスレによるキズの発生を防ぐことができる。
【0025】
それに対し、載置プレート2b´,3b´の回動軸A2´,A3´がウエハ載置面2a,3aから離れて位置する場合、例えば、図7Bに示す比較例のように回動軸A2´,A3´がウエハW上に位置する場合には、載置プレート2b´,3b´がウエハWと接触した状態で回動すると、ウエハ載置面2a´,3a´が水平方向により大きく移動してしまい、載置プレート2b´,3b´はウエハWと接触した状態で水平方向により大きく滑ってしまう。したがって、載置プレート2b´,3b´により目的の位置でウエハWを保持することが難しくなり、図7Aに示す載置プレート2b,3bに比べ、ウエハWに位置ズレが生じやすく、また、滑りによるキズの発生のリスクも高くなる。
【0026】
以下、ウエハ搬送装置1を用いたウエハWの搬送について説明する。
図8A及び図8Bは、ウエハカセット22からのウエハWの搬出を説明するための説明図である。
【0027】
図8Aに示すウエハWは、ウエハカセット22内に設けられた周縁支持部22aにより
周縁を支持された状態で高さ方向に積層されている。積層された複数のウエハWは、中央から周縁に向かって上方に反り上がっている。
【0028】
ウエハWをウエハカセット22から搬出する際には、図示しない駆動手段により、図1〜図5に示すアーム部2,3及びアーム支持部6等を移動させてアーム部2,3の載置プレート2b,3bを、積層されたウエハW,Wの間に挿入する。
【0029】
このとき、載置プレート2b,3bのウエハ載置面2a,3aは、上述のバランサ4,5によって水平面に対し傾斜した状態、好ましくはウエハWの周縁近傍と略平行な状態で、ウエハW,Wの間(ウエハWが載置される位置)に挿入される。
【0030】
このようにウエハ載置面2a,3a(載置プレート2b,3b)がその長手方向の回動軸A2,A3により回動し傾斜しているため、載置プレート2b,3bとウエハW,Wとの間隔を大きくとることができ、したがって、挿入時に載置プレート2b,3bがウエハW,Wに接触するのを防ぐことができる。それに対し、ウエハ載置面2a,3aが水平状態の載置プレート2b、3bをウエハW,Wの間に挿入した場合には、載置プレート2b,3bとウエハW,Wとの間隔を大きくとることができず、ウエハWと接触しやすくなってしまう。
【0031】
載置プレート2b,3bをウエハW,Wの間に挿入した後、載置プレート2b,3bを上昇させるか或いはウエハカセット22を下降させることにより、ウエハ載置面2a,3aにウエハWを載置する。このとき、アーム部2,3はアーム支持部6により回動自在に支持されているため、ウエハの自重、又は、載置プレート2bとウエハカセット22との相対移動により、アーム部2,3は、ウエハ載置面2a,3aがウエハWと面接触するように回転する。
【0032】
そして、ウエハ載置面2a,3aに載置したウエハWを例えば後述する検査部等に搬送する。検査等の処理を行った後には、ウエハWを再びウエハカセット22に収納する。
ここで、例えば肉厚のウエハWなど、図8Bに示すように水平状態の例外的なウエハWをウエハカセット22から搬出する場合にも、傾斜した状態で挿入される載置プレート2b−1,3b−1が載置時にウエハWに当接しながら水平状態に回動するため(載置プレート2b−2,3b−2)、ウエハWを確実に保持することができる。
【0033】
以上説明したウエハ搬送装置1では、ウエハ載置面2a,3aを水平面に対し傾斜させた状態で、アーム部2,3がウエハカセット22内に挿入(ウエハが載置される位置に移動)されるため、ウエハカセット22に積層されたウエハWに反りや撓みが発生していても、アーム部2,3とウエハWとの不要な接触を防ぐことができる。よって、本実施の形態によれば、ウエハWの破損のリスクを低減することができる。
【0034】
また、本実施の形態では、バランサ4,5によって、アーム部2,3をウエハ載置面2a,3aが傾斜した状態に付勢するため、簡素な構成でウエハ載置面2a,3aを傾斜させることができる。
【0035】
また、本実施の形態では、ウエハ載置面2a,3a(アーム部2,3)は、ウエハ載置面2a,3a上に位置する回動軸A2,A3を中心に回動する。そのため、載置プレート2b,3bがウエハWと接触した状態で回動しても、上述のように、ウエハ載置面2a,3aは、水平方向にほとんど移動しない。これにより、載置プレート2b,3bがウエハWと接触した状態で水平方向に滑ることが少なく、載置プレート2b,3bにより目的の位置でウエハWを保持することができ、したがって、ウエハWの位置ズレやウエハWの裏面のキズの発生等を防ぐことができる。
【0036】
また、上述した特許文献1(特開2005−93893号公報)の技術では、回動軸とチューブとが互いに同軸に接続されているため、捩じりの応力が働くことでアーム部2,3の回動が妨げられやすい。それに対して、本実施の形態では、アーム側吸引用チューブ7,8は、ウエハ載置面2a,3aの回動軸A2,A3と異なる方向、具体的には直交する方向にアーム部2,3に接続される。そのため、アーム部2,3が回動しても、アーム側吸引用チューブ7,8に捩じりの応力が働くことによる反力が生じにくく、したがって、円滑にアーム部2,3を回動させることができる。
【0037】
また、本実施の形態では、アーム側吸引用チューブ7,8がアーム支持部6と2本のアーム部2,3とを接続するため、図示しない吸引手段に単一の支持部側吸引用チューブ9を接続することによって、2本のアーム部2,3によるウエハWの吸着保持を実現することができ、したがって、ウエハ搬送装置1を簡素な構成とすることができる。
【0038】
また、本実施の形態では、ウエハ搬送装置1は、ウエハ載置面2a,3aの傾きを検出する透過型センサ10,11を備える。そのため、ウエハ載置面2a,3aが例えば水平状態などの意図しない角度でウエハカセット22に挿入されるのを防ぐことができ、したがって、確実にウエハWの破損を防ぐことができる。
【0039】
また、本実施の形態では、ウエハ載置面2a,3aの回動角度を規制するアーム側ピン2f,3f及び回動規制用ピン6h,6iを設けている。そのため、ウエハ載置面2a,3aが例えば水平状態などの意図しない角度でウエハカセット22に挿入されるのを防ぐことができ、したがって、確実にウエハWの破損を防ぐことができる。
【0040】
また、本実施の形態では、回動規制用ピン6h,6iは、軸支部6b,6cの複数位置に着脱可能となっており、取り付け位置を変更することで、アーム部2,3の回動可能範囲を調整可能となっている。したがって、ウエハWの反りや撓みに応じて、ウエハ載置面2a,3aの回動角度を規制することができる。
【0041】
なお、以上説明したウエハ搬送装置1では、傾斜手段としてバランサ4,5を配置する例について説明したが、バランサ4,5に代えて、図9(要部右側面断面図)に示すように軸支部6c(アーム支持部6)とアーム部2,3との間に介在するコイルスプリング13等の他の傾斜手段を用いて、アーム部2,3をウエハ載置面2a,3aが傾斜した状態に付勢してもよい。
【0042】
更には、傾斜手段として、アーム部2,3を回動させるモータ等の駆動部を配置し、図示しない制御部により駆動部を駆動させてアーム部2,3ひいてはウエハ載置面2a,3aを傾斜させてもよい。その場合、ウエハ載置面2a,3aの傾き角度をウエハWの反りや撓みに合わせて調整することができる。
【0043】
また、本実施の形態では、傾斜手段としてのバランサ4,5をプレート固定部2c,3cに配置する例について説明したが、図10(要部平面図)及び図11(要部背面図)に示すバランサ5´のように、アーム部2,3の、載置プレート2b,3bと反対側の端部に配置してもよい。
【0044】
また、本実施の形態では、アーム側吸引用チューブ7,8がプレート固定部2c,3cの上面でアーム部2,3に接続されるが、図12(平面図)に示すように、載置プレート2b,3bの側面でアーム部2,3に接続される アーム側吸引用チューブ7´,8´を用いるようにしてもよい。
【0045】
また、本実施の形態では、アーム側吸引用チューブ7,8がウエハ載置面2a,3aの回動軸A2,A3と直交する方向で且つ回動軸A2,A3上でアーム部2,3に接続されるため、アーム部2,3が回動しても、アーム側吸引用チューブ7,8に捩じりの応力により反力が生じて、バランサ4,5による付勢が妨げられることがなく、アーム部2,3を弱い力で容易に回動させることができる。なお、アーム側吸引用チューブ7,8がウエハ載置面2a,3aの回動軸A2,A3と異なる方向にアーム部2,3に接続されていれば、その方向が直交に近いことが望ましくはあるが、同様にアーム側吸引用チューブ7,8による捩じりの応力が生ずるのを有効に防ぐことができる。
【0046】
また、本実施の形態では、アーム部2,3とアーム支持部6とを接続するアーム側吸引用チューブ7,8、及び、アーム支持部6と図示しない吸引手段とを接続する支持部側吸引用チューブ9を配置しているが、アーム部2,3と吸引手段とを直接的に接続する吸引用チューブを配置するようにしてもよい。その場合にも、当該吸引用チューブは、回動軸A2,A3と異なる方向、好ましくは直交する方向に、アーム部2,3に接続するとよい。
【0047】
また、本実施の形態では、アーム側吸引用チューブ7,8は、ウエハ載置面2a,3aの回動軸A2,A3上でアーム部2,3に接続されているが、吸引用チューブ7,8を回動軸A2,A3からオフセットされた位置(回動軸A2,A3と同軸でなく且つ交差しない方向)に配置してもよい。その場合にも、アーム側吸引用チューブ7,8がウエハ載置面2a,3aの回動軸A2,A3と異なる方向にアーム部2,3に接続されるのが望ましいが、回動軸A2,A3と平行にアーム部2,3に接続した場合にも、アーム側吸引用チューブ7,8に捩じりの応力が生ずるのを抑えることができる。そのため、弱い力でアーム部2,3を回動させることができる。
【0048】
また、本実施の形態では、透過型センサ10,11は、検出光がバランサ4,5に遮られるか否かによりウエハ載置面2a,3aの傾きを検出し、アーム部2,3が所定の角度に傾いているか否かを判定可能にしているが、図13(要部右側面断面図)及び図14(要部背面図)に示すように、アーム支持部3の後端に角度検出用フラグ3hを配置すると共に、アーム支持部6に、角度検出用フラグ3hに検出光が遮られるか否かによりウエハ載置面3a(2a)の傾き角度を検出する透過型センサ14を配置するようにしてもよい。
【0049】
また、透過型センサ10,11に代えて、図15(正面図)に示すように、例えば下方から載置プレート2b,3b(アーム部2,3)に検出光を発し、その反射光を検出することでウエハ載置面2a,3aの傾き角度を検出する反射型センサ15,16など、他の傾き検出手段を用いてもよい。
【0050】
なお、アーム部2,3が所定の角度に傾いていない場合は、ウエハ搬送装置1のウエハカセット22への挿入動作を中止し、警報を鳴らすようにしてもよい。
<ウエハ検査装置及びウエハ検査方法について>
図16及び図17は、本発明の一実施の形態に係るウエハ検査装置21を示す平面図及び正面図である。
【0051】
ウエハ検査装置21は、ウエハ搬送装置1´と、上述のウエハカセット22と、ウエハ搬送装置1´により搬送されるウエハW(図17には図示せず)を検査する検査部としてのミクロ検査部23及びマクロ検査部24(図17には図示せず)と、操作部25と、を含む。
【0052】
但し、ウエハ搬送装置1´は、例えば図1のアーム支持部6の長手方向(Y軸方向)を
線対称軸としてアーム部2,3の反対側にアーム部2´,3´が設置され、アーム部2,3,2´,3´及びアーム支持部6´からなる部分がH字の形状となっている。
【0053】
また、各アーム部2,3,2´,3´は相互に独立して上述のように回動して傾斜するようになっている。更に、アーム支持部6´は、アーム部2,3とアーム部2´,3´とが回転対称となる回転軸(Z軸)を中心に回転可能かつ上下移動可能に、ウエハ搬送装置1´の駆動部26により上方から保持されている。
【0054】
ウエハカセット22には、上述の図8Aに示すように、周縁支持部22aに支持されたウエハWが高さ方向に積層されている。
駆動部26は、図示しないレールに沿ってX軸方向へ移動する。また、アーム部2,3とアーム部2´,3´とを回転対称に回転させるアーム支持部6´の回転軸(Z軸)の位置は、ウエハカセット22に収容されるウエハWの中心位置とY軸座標が同一となっている。すなわち、各アーム部2,3,2´,3´の長手方向がX軸方向に延びる状態にあるとき、駆動部26のX軸方向の移動とアーム支持部6´の上下方向の移動だけでウエハWの搬出入ができるようになっている。
【0055】
ミクロ検査部23は、ウエハWを拡大観察するための顕微鏡23aと、2軸方向に移動可能なXYステージ23cと、XYステージ23c上に設置され、ウエハWをXYZの各軸方向に移動させると共に回動させ、更にウエハWの受け渡しに用いられるウエハ載置台23bと、を有する。
【0056】
マクロ検査部24は、ウエハWを揺動させる揺動機構24aと、ウエハの受け渡しに用いられるウエハ載置台24bとを有する。
以下、ウエハ検査装置21を用いたウエハWの検査について説明する。
【0057】
図18は、本発明の一実施の形態に係るウエハ検査方法を示すフローチャートである。
まず、マクロ検査部24側のウエハ搬送装置1´により上述のようにウエハカセット22内のウエハWを搬出する(S1)。
【0058】
そして、図示しないセンサによりウエハWの中心の所定位置からのズレを検出するアライメントを行った後(S2)、ウエハ搬送装置1´により、ウエハ載置台24bの回転中心にウエハWの中心を合わせて、ウエハWをマクロ検査部24のウエハ載置台24bに載置する(S3)。
【0059】
この際、ウエハ搬送装置1´は、駆動部26のX軸方向への一軸方向の移動とアーム支持部6´の水平面内での回転のみでウエハWの中心とウエハ載置台24bの回転中心とを一致させることができる。
【0060】
すなわち、ウエハWをアーム部2,3又はアーム部2´,3´により基準となる位置で保持したときの中心位置と、実際にウエハWを保持したときの中心位置とのズレ量及び方向が上述のアライメント(S2)により検出されているので、Y軸方向のズレをアーム支持部6´の回転により補正し、その回転角度により発生するX軸方向のズレ量とアライメント時のX軸方向のズレ量とから駆動部26の移動量が決定される。
【0061】
次に、マクロ検査部24の揺動機構24aが、ウエハ載置台24bに載置されたウエハを持ち上げて揺動させる。そして、揺動するウエハWを検査者が目視観察(マクロ検査)する(S4)。
【0062】
このとき、ウエハ搬送装置1´は、ウエハ載置台24b及び受け渡し位置にあるウエハ
載置台23bのそれぞれの回転中心の中点と駆動部26がアーム支持部6´を回転させる回転軸(Z軸)が一致する位置でアーム支持部6´を下方に移動させ待機している。マクロ検査(S4)が終わると、アーム支持部6´を上昇させ、ウエハ搬送装置1´がアーム支持部6´を180度回転させることにより(図16では半時計回り)、ウエハ搬送装置1´のアーム部2,3とアーム部2´,3´の位置とが互いに入れ替わる。
【0063】
180度回転したウエハ搬送装置1´は、アーム支持部6´を下降させ、ウエハWをミクロ検査部23のウエハ載置台23bに載置する(S5)。そして、XYステージ23cを移動させることにより適宜ウエハを移動・回動させながら、顕微鏡23aを用いてウエハの拡大観察(ミクロ検査)を行う(S6)。ミクロ検査が終了するとXYステージ23cを受け渡し位置に移動させる。
【0064】
ここで再びウエハ搬送装置1´がアーム支持部6´を上昇させ180度回転させることにより、アーム部2,3とアーム部2´,3´との位置が互いに入れ替わる。ウエハ搬送装置1´は、アーム支持部6´を下降させ、ウエハWをマクロ検査部24のウエハ載置台24bに載置する(S7)。
【0065】
なお、このとき、マクロ検査部24側からミクロ検査部23側へ回転する他方のアーム部2´,3´には、上述のマクロ検査(S4)までの処理が行われた他のウエハWをミクロ検査部23へ搬送(S5)するようにする。これにより、同時に2つのウエハの検査を行うことができる。
【0066】
次に、ウエハ載置台24b上のウエハWのズレを、ウエハ載置台24bを回転させた状態で図示しないセンサにより検出する。その後、ウエハ載置台24bの回転によりウエハWを回転させることで、ウエハWのウエハ載置台24bに対するズレ方向、すなわち、ウエハ載置台24bの回転中心からウエハWの中心へ向かう方向、を駆動部26の移動方向(収納方向と同一方向(X軸方向である図16の矢印方向))に一致させる(S9)。
【0067】
次に、ウエハWにノッチがないか、或いは、ノッチがあってもノッチの向きを調整しない場合(S9)には、そのままウエハ搬送装置1´のアーム支持部6´を上昇させて受け取り、ウエハ載置台24bとウエハWの中心とのズレ量を考慮して挿入することによりウエハをウエハカセット22に収容する(S13)。
【0068】
この場合、ウエハWのズレ方向が駆動部26の移動方向に一致し、また各アーム部2,3,2´,3´の長手方向も駆動部26の移動方向であるX軸方向に一致しているため、ウエハ搬送装置1´でY軸方向へウエハWを移動させる必要がない。また、駆動部26のX軸方向への一軸方向への移動及びアーム支持部6´の上下移動のみで、ウエハカセット22の幅方向にズレることなくウエハWの搬入を行うことができる。
【0069】
一方、ノッチの向きを調整する場合(S9)には、再度ウエハ搬送装置1´のアーム支持部6´を上昇させてウエハWを受取けり、駆動部26を移動させてウエハWの中心とウエハ載置台24bの中心とを合わせて、再度ウエハ載置台24bにウエハWを受け渡す(S10)。この場合にも、ウエハのズレ方向が駆動部26の移動方向(収納方向)に一致しているため、駆動部26を収納方向(一軸方向の移動方向)に移動させアーム支持部6´を上下動させるだけでウエハWの中心とウエハ載置台24bの回転中心との中心合わせが可能になる。
【0070】
この後、ノッチを図示しないセンサにより検出すると共に(S11)、ウエハWを回転させてノッチを例えば収納方向に位置合わせし(S12)、上述のようにウエハ搬送装置1´によりウエハをウエハカセット22に収容する(S13)。
【0071】
全てのウエハの検査が終了した場合(S14)には検査終了となり、未検査のウエハがある場合には、ウエハの搬出(S1)から上述の処理を再度行う。
以上説明したウエハ検査装置21は、ウエハ搬送装置1の説明で述べたように、ウエハ搬送装置1が、ウエハ載置面2a,3aを水平面に対し傾斜させた状態のアーム部2,3をウエハカセット22内に挿入するため、ウエハカセット22に積層されたウエハWに反りや撓みが発生していても、アーム部2,3とウエハWとの不要な接触を防ぐことができる。よって、ウエハWの破損のリスクを低減することができる。
【0072】
また、ウエハWを撓んだままウエハカセット22から搬出入させることができるので、ウエハカセット22の例えば1つ上の段のウエハWとの接触を防ぐことができる。
また、ウエハ検査装置21は、マクロ検査部24のウエハ載置台24b上のウエハWの中心とウエハ載置台24bの回転中心とのズレを図示しないセンサにより検出し、ウエハWを回転させることで、ウエハWのズレ方向を駆動部26の移動方向(収納方向と同一方向のX軸方向)に一致させる(S8)。そのため、アーム部2,3及びアーム部2´,3´の長手方向を駆動部26の移動方向(X軸方向)に一致させた状態で駆動部26を移動させるだけで、ウエハとウエハ載置台24bとの中心合わせ(S10)或いはウエハカセット22へのウエハの搬送(S13)時の位置合わせを行うことができる。
【0073】
また、本実施の形態ではウエハについて説明したが、本実施の形態は、フラットパネルディスプレイ等の大型の基板にも適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の一実施の形態に係るウエハ搬送装置を示す平面図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係るウエハ搬送装置を示す正面図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係るウエハ搬送装置を示す背面図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係るウエハ搬送装置を示す部分断面右側面図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係るウエハ搬送装置を示す斜視図である。
【図6】図1のA−A断面図である。
【図7A】本発明の一実施の形態に係るウエハ搬送装置のアーム部の回動軸を説明するための説明図である。
【図7B】アーム部の回動軸を説明するための説明図(比較例)である。
【図8A】本発明の一実施の形態に係るウエハ搬送装置の載置プレートによるウエハカセットからのウエハの搬出を説明するための説明図(その1)である。
【図8B】本発明の一実施の形態に係るウエハ搬送装置の載置プレートによるウエハカセットからのウエハの搬出を説明するための説明図(その2)である。
【図9】本発明の一実施の形態の第1変形例に係るウエハ搬送装置を示す要部右側面断面図である。
【図10】本発明の一実施の形態の第2変形例に係るウエハ搬送装置を示す要部平面図である。
【図11】本発明の一実施の形態の第2変形例に係るウエハ搬送装置を示す要部背面図である。
【図12】本発明の一実施の形態の第3変形例に係るウエハ搬送装置を示す平面図である。
【図13】本発明の一実施の形態の第4変形例に係るウエハ搬送装置を示す要部右側面断面図である。
【図14】本発明の一実施の形態の第4変形例に係るウエハ搬送装置を示す要部背面図である。
【図15】本発明の一実施の形態の第5変形例に係るウエハ搬送装置を示す正面図である。
【図16】本発明の一実施の形態に係るウエハ検査装置を示す平面図である。
【図17】本発明の一実施の形態に係るウエハ検査装置を示す正面図である。
【図18】本発明の一実施の形態に係るウエハ検査方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0075】
1 ウエハ搬送装置
2,3 アーム部
2a,3a ウエハ載置面
2b,3b 載置プレート
2c,3c プレート固定部
2d,3d 吸引孔
2e,3e 吸引路
2f,3f アーム側ピン
3h 角度検出用フラグ
4,5 バランサ
6 アーム支持部
6a 支持プレート
6b,6c 軸支部
6d 貫通孔
6e,6f ベアリング
6g 吸引路
6h,6i 回動規制用ピン
7,8 アーム側吸引用チューブ
9 支持部側吸引用チューブ
10,11 透過型センサ
13 コイルスプリング
14 透過型センサ
15,16 反射型センサ
21 ウエハ検査装置
22 ウエハカセット
22a 周縁支持部
23 ミクロ検査部
23a 顕微鏡
23b ウエハ載置台
23c XYステージ
24 マクロ検査部
24a 揺動機構
24b ウエハ載置台
25 操作部
26 駆動部
W ウエハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板が載置される基板載置面を有するアーム部と、
前記基板載置面を水平面に対し傾斜させる傾斜手段と、
を備えることを特徴とする基板搬送装置。
【請求項2】
前記傾斜手段は、前記アーム部を前記基板載置面が傾斜した状態に付勢することを特徴とする請求項1に記載の基板搬送装置。
【請求項3】
前記アーム部は、前記基板載置面が傾斜した状態で、前記基板が載置される位置に移動することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の基板搬送装置。
【請求項4】
前記基板載置面は、該基板載置面上に位置する回動軸を中心に回動することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の基板搬送装置。
【請求項5】
前記アーム部に接続された吸引用チューブを更に備え、
前記アーム部は、前記吸引用チューブからエアを吸引されることで前記基板を吸着保持し、
前記吸引用チューブは、前記基板載置面の回動軸と異なる方向に前記アーム部に接続される、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の基板搬送装置。
【請求項6】
前記吸引用チューブは、前記基板載置面の前記回動軸と直交する方向に前記アーム部に接続されることを特徴とする請求項5に記載の基板搬送装置。
【請求項7】
前記アーム部に接続された吸引用チューブを更に備え、
前記アーム部は、前記吸引用チューブからエアを吸引されることで前記基板を吸着保持し、
前記吸引用チューブは、前記基板載置面の回動軸からオフセットされた位置において前記アーム部に接続される、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の基板搬送装置。
【請求項8】
前記アーム部を支持するアーム支持部を更に備え、
前記吸引用チューブは、前記アーム支持部と前記アーム部とを接続する、
ことを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の基板搬送装置。
【請求項9】
前記基板載置面の傾きを検出する傾き検出手段を更に備えることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の基板搬送装置。
【請求項10】
前記基板載置面の回動角度を規制する回動規制手段を更に備えることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の基板搬送装置。
【請求項11】
前記回動規制手段は、前記基板載置面の回動可能範囲を調整可能であることを特徴とする請求項10に記載の基板搬送装置。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の基板搬送装置と、
該基板搬送装置により搬送される基板を検査する検査部と、
を含むことを特徴とする基板検査装置。
【請求項13】
基板をアーム部に載置して搬送する基板搬送方法において、
基板載置面を水平面に対し傾斜させた状態の前記アーム部を、前記基板が載置される位置に移動させ、
前記傾斜させた状態のアーム部に前記基板を載置する、
ことを特徴とする基板搬送方法。

【図18】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−135381(P2010−135381A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−307375(P2008−307375)
【出願日】平成20年12月2日(2008.12.2)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】