説明

相互接続用自己整合バリアおよびキャッピング層

集積回路に使用する銅線のための集積回路用相互接続構造およびこれを作る方法が提供される。Mn、Cr、またはV含有層が、線からの銅の拡散に対しバリアを形成し、それにより、絶縁体の早期絶縁破壊を防ぎ、銅によるトランジスタの劣化を保護する。また、Mn、Cr、またはV含有層は、銅と絶縁体の間の強い接着を促進し、その結果、製造と使用中のデバイスの機械的健全性を保ち、さらに、デバイスの使用中の銅のエレクトロマイグレーションによる故障を防ぎ、また、環境からの酸素または水による銅の腐食を防ぐ。このような集積回路の形成に関しては、本発明の特定の実施形態により、Mn、Cr、V、またはCoを銅表面上に選択的に堆積させ、一方で、絶縁体表面上のMn、Cr、V、またはCoの堆積を減らす、または防ぎさえもする方法が提供される。また、Mn、Cr、またはV含有前駆物質およびヨウ素または臭素含有前駆物質を使った銅の触媒堆積も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本特許開示は、2009年10月23日出願の米国特許出願第61/254、601号、および2010年9月23日出願の米国特許出願第61/385、868号の先行出願日の利益を主張する。これら特許の内容は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本特許開示は、2009年3月20日出願の米国特許出願第12/408、473号に関連し、この特許は、2008年3月21日出願の米国特許出願第61/038、657号、2008年4月8日出願の米国特許出願第61/043、236号、および2008年6月20日出願の米国特許出願第61/074、467号の出願日の利益を主張する。これらの特許の内容は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
著作権の取扱
本特許開示は、著作権保護の対象になる内容を含む可能性がある。特許文書または特許開示は米国特許商標局の特許ファイルまたは記録で見ることができるので、著作権所有者は、いかなる者によるこれらのファクシミリによる複写に対し異議はないが、それ以外は、あらゆる著作権を留保するものとする。
【0004】
参照による組み込み
本明細書で引用する全ての特許、特許出願および出版物は、本明細書記載の発明時点の当業者に既知の技術の状態をより完全に説明するために、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0005】
背景
銅(Cu)は、マイクロエレクトロニクスデバイス、例えば、マイクロプロセッサおよびメモリー、の配線用に選択される材料として、アルミニウムに置き換わりつつある。しかし、シリコン、等の半導体中の銅の存在は、半導体中に形成されたトランジスタの本来の機能を妨げる欠陥の原因になる。また、銅は、銅ワイヤーの間に置かれた絶縁体、例えば、シリコンジオキシド、を通過するリーク電流を増やす。従って、銅配線の使用には、銅を本来の位置に閉じ込めるために、銅ワイヤーの周りに有効な拡散バリアが必要である。
【0006】
銅の周りに拡散バリア層を設けるために多くの努力が試みられてきたが、これらは全て、ある種の欠点がある。欠点には、キャパシタンスを増加させ、銅配線を通る信号の伝達速度を低下させる許容しがたい高い誘電率(SiCまたはSi、等)、銅ワイヤーの間の絶縁体の電気短絡の原因となる処理(CoWPまたはCoWBの無電解析出、等)の困難さ、バリア層の形成に使われる他の物質(CoWP、CoWB、またはMn、等)の取り込みによる銅の抵抗の増加、不純物(Mn、等)の存在が原因のアニール中の銅の粒成長の制約による銅の抵抗の増加、バリア層(MnOx、等)の銅に対する弱い接着、等、がある。
【0007】
他の努力は、銅層の成長、例えば、バリア層の上層部の狭いトレンチおよびホール(ビアとも呼ばれる)への銅の成長に焦点が絞られている。この効果に対しては、CVD技術を使った銅の成長の適切な触媒として、ヨウ素が提案されている。しかし、ヨウ素が、容易にはバリア層(TaNおよびTiN、等)に付着しないことから、トレンチおよびホール内で、薄い銅のシーディング層またはプラズマ前処理によるバリア層の活性化が必要であるが、これは極めて実行困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この技術は、マイクロエレクトロニクスに使用される銅による相互接続に関し、さらに具体的には、銅および周辺の材料との間の強い接着を確実にする材料および技術に関し、これにより、配線からの銅の拡散を防止するバリアを提供し、銅の中へ酸素および水が拡散するのを防ぎ、その内部を流れる電流により銅ワイヤーが損傷を受けるのを防止する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
マイクロエレクトロニクスデバイスにおける、アニールの間または後でCu中の金属不純物の存在による不利益のない、自己整合拡散バリアの成形プロセスが記載される。一実施形態では、Cu含有シード層の堆積の前に、Mn、Co、CrまたはV等の金属を絶縁体の表面と反応させる。特定の実施形態では、Mn、Co、CrまたはVは、Mn、Co、Cr、またはV用の前駆物質と一緒にどのような酸素含有共反応剤の使用も付随しないコンフォーマル化学気相成長(CVD)プロセスにより表面に届けられる。
【0010】
特定の実施形態では、CVDプロセスは、窒素含有共反応剤、例えば、アンモニア、の使用をさらに含みことができ、それにより、気相に曝される表面上または近傍に導電性金属窒化物を組み込む事ができる。窒化マンガン等の金属窒化物の存在は、後で堆積させる銅層への接着性を増すことが明らかになっている。
【0011】
本発明の特定の実施形態によれば、このプロセスは、ビアの底部のバリアの形成によるビア抵抗増加を生じない。金属および/または金属窒化物生成反応に続けて、好ましくは、CVDで、Cuシード層を堆積させる。シード層は、また、後でCuに還元される銅化合物、例えば、銅酸化物(CuO)、窒化銅(CuN)または酸窒化銅(CuO)としても堆積可能である。
【0012】
本発明の別の態様では、Mn、Co、CrまたはVは、CMPステップの直後に部分的に完成した相互接続の平坦表面(すなわち、平坦化構造)上に堆積される。Mn、Co、CrまたはVは、表面の絶縁部分の最上部で、絶縁体中に含まれるシリコンおよび酸素と反応し、絶縁金属シリケート層、例えば、金属がMnの場合はMnSi層、を形成する。金属MnがCuラインの最層上に堆積する領域(Cuが充填されているトレンチの最上部)では、MnがCuの最上部に溶解し、Cu−Mn合金を形成する。次に、次に高いレベルの絶縁体のための絶縁体のブランケット堆積が、Cu−MnおよびMnSiの両領域上に形成される。堆積および/または後工程のアニールの間に、Cu−Mn表面層中のMnは、上方へ拡散し絶縁体と反応して、Cuと絶縁体の間にMnSi拡散バリアを形成するが、実施形態では、この絶縁体の最初に堆積した部分はSiである。また、このMnSi層の存在は、Cuとその上の絶縁体と間の接着を強くする。
【0013】
Cuの周りの全表面で強力に接着する拡散バリアと接着層を得ることができる。MnSiおよびMnSi層は、例えば、電子部品、回路、デバイス、およびシステムの生産用の高伝導で、高接着性で、耐久性のある銅層を提供する。
【0014】
本発明の別の態様では、Mn、Co、CrまたはVは、CMPステップ直後に部分的に完成した相互接続の平坦表面(すなわち、平坦化構造)の金属領域上のみに選択的に堆積される。同時に、Mn、Co、CrまたはVの絶縁体近傍表面上への堆積は、ほとんど無いか、または全く無い。このプロセスは、近くの銅導体との間の絶縁体を通る電気リークを非常に少なく保ちながら、銅と、その後に堆積される絶縁体の接着を強化する。このプロセスは、エレクトロマイグレーションによって機能しなくなるまでの銅相互接続の寿命を延長させる。
【0015】
特定の実施形態では、本出願は、集積回路相互接続構造を形成するためのプロセスを記載する。このプロセスは、電気的絶縁領域および導電性銅含有領域を含む部分的に完成した相互接続構造を提供し、部分的に完成した相互接続構造が実質的に平坦表面を有し;マンガン、クロムおよびバナジウムからなる群より選択される金属(M)を導電性銅含有領域の少なくとも一部の上または内部に堆積し;堆積した金属の少なくとも一部の上に絶縁フィルムを堆積し、前記堆積した金属の少なくとも一部と接触している堆積した絶縁フィルムの領域が、実質的に酸素を含まず;さらに、堆積した金属の少なくとも一部を絶縁フィルムと反応させてバリア層を形成し、導電性銅含有領域が実質的に金属元素(M)を含まないことを含む。
【0016】
他の実施形態では、プロセスは、ビアまたはトレンチを有する部分的に完成した相互接続構造を提供し、ビアまたはトレンチが1つまたは複数の電気的絶縁材料および導電性銅含有底面領域により定まる側壁を含み;マンガン、クロムおよびバナジウムからなる群より選択される金属(M)を部分的に完成した相互接続構造上に堆積し;堆積した金属および前記1つまたは複数の電気的絶縁材料の反応により第2の絶縁側壁領域を形成し;底面領域から金属を除去または拡散させて、導電性銅含有底面領域を露出させ;ビアまたはトレンチに銅を充填することを含む。
【0017】
他の実施形態では、マンガンを、クロムまたはバナジウムで置換することができる。
【0018】
特定の実施形態では、窒化マンガンを下層として、またヨウ素を界面活性剤触媒として使って、CVD法によりトレンチまたはホールを銅または銅−マンガン合金でボトムアップ充填するプロセスが提供される。銅または銅−マンガン合金は、適切な蒸着源を使ってCVD法により堆積される。-100nm下トレンチ中のコンフォーマル堆積を行うことができる。コンフォーマルに堆積された窒化マンガンフィルムは、Cu拡散に対するバリア特性を示し、Cuと誘電絶縁体の間の接着を強化する。窒化マンガンフィルムの表面からの吸着ヨウ素原子の放出により、ヨウ素が成長する銅層の表面上に浮いている界面活性剤触媒として作用する。銅層が成長するにつれ、ヨウ素が堆積界面から連続的に放出され、成長中の銅層の最上部へ「浮遊」し、次に堆積される銅層用の表面触媒として作用する。結果として、アスペクト比9:1を超える20nmより狭いトレンチにおける、純粋な銅または銅−マンガン合金のCVDによるボイドフリーボトムアップ充填が達成される。アニール後に、合金中のマンガンが銅から粒界に拡散し、自己整合層を形成して銅/絶縁体界面の接着およびバリア特性をさらに改善する。このプロセスは、さらなる高速と長寿命を有するマイクロエレクトロニクスデバイス用ナノスケール相互接続を提供する。
【0019】
銅と周辺材料の間の強固な接着を確実にし、配線から銅の拡散を防ぐバリアを形成して、銅の酸素と水による腐食を防ぎ、銅ワイヤーの中を流れる電流による損傷を防ぐ材料と技術が提供される。
【0020】
一実施形態では、オープントレンチ(配線を含む)およびホール(1つのレベルの配線とすでに形成されている配線を連結するビア)を有する部分的に完成した相互接続構造に1つまたは複数のCVDプロセス処理を行うことができる。CVDは、トレンチおよびビア壁、ならびにビアの底にすでに形成されたいずれかの導体の露出部分にマンガンを堆積するために使用できる。次に、CVDは、マンガンコート表面上にヨウ素を化学吸着させるために使用することができる。最後に、ヨウ素が何らのシームもボイドも無く、ビアおよびトレンチのボトムアップ充填における触媒作用をするように、銅のCVDを行うことができる。
【0021】
別の実施形態では、窒化マンガン(MnN、0<x<1)層を形成し、続いて、窒化マンガン上へのヨウ素の化学吸着、さらに続けて、触媒的に強化されたCVDによりビアおよびトレンチにボイドフリー銅を充填する。
【0022】
他の実施形態では、窒化マンガン(MnN、0<x<1)層を形成し、続いて、ヨウ素の化学吸着、さらに続けて、触媒的に強化された銅薄層のCVDを行うことができる。次に、追加のヨウ素をこの薄い銅層の表面上にさらに化学吸着し、続けて、2回の化学吸着ステップにより得られた多い量のヨウ素によりさらに効果的に触媒作用を受けた追加の銅のCVDを行うことができる。
【0023】
また別の実施形態では、CVDマンガンおよびCVD銅の交互施行ステップをさらに行い、トレンチおよびビアの銅−マンガンナノ積層充填を得ることができる。この構造の加熱により、マンガンを近くの絶縁体表面へ拡散させることができ、これにより、銅の絶縁体への接着強度を高め、銅、水および酸素の拡散に対する自己整合バリアを形成できる。マンガンの外方拡散後、相互接続は、マンガンにより絶縁体表面に強固に結合した純粋な、高導電性銅になりうる。
【0024】
他の実施形態では、初期のマンガンおよびヨウ素堆積後、銅およびマンガン前駆物質蒸気を、CVD装置の堆積ゾーンに、任意の必要な、水素等の還元試薬と一緒に、同時に導入しボイドフリー銅−マンガン合金を堆積可能である。
【0025】
別の実施形態では、CVDを、Mn、IおよびCuを含む薄層を形成するために使用でき、この薄膜は、電気めっきCu用のシード層として利用可能である。
【0026】
マンガンのCVDに適切な前駆物質には、マンガンアミジナート、例えば、マンガン(II)ビス(N、N’−ジアルキルアミジナート)が含まれ、この物質は、水素で還元してマンガン金属が得られ、またはアンモニアと反応して低温で窒化マンガンを堆積させ、絶縁体表面上に密な核形成が行える。
【0027】
銅金属のCVD用の多くの前駆物質が既知である。銅アミジナート、例えば、銅(I)N、N’−ジアルキルアミジナートダイマー、は特に適切である。理由は、その高い熱安定性および高反応性により、低温で水素還元による純粋な銅の堆積が可能となり、ヨウ素被覆マンガンまたは窒化マンガン表面上に密な核形成が行えるからである。
【0028】
本発明の他の特徴と利点は、次の説明と付随する図、および請求項から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】は、本発明に基づく、化学機械研磨(CMP)ステップ後の部分的に完成した相互接続配線構造の最上部の断面図である。
【図2】は、金属堆積後の図1の構造である。
【図3】は、金属シリケート除去後の図2の構造である。
【図4】は、ブランケット絶縁体を堆積後の図3の構造である。
【図5】は、絶縁体中のビアおよびトレンチのリソグラフィーとエッチング後の図4の構造である。
【図6】は、アニール後の図5の構造である。
【図7】は、別の金属堆積後の図6の構造である。
【図8】は、アニール後の図7の構造である。
【図9】は、シード層堆積および銅充填後の図8の構造である。
【図10】は、化学機械研磨後の図9の構造である。
【図11】は、Cu/SiO/Si下地上へのMnのCVDの結果の高解像度透過顕微鏡像の断面である。
【図12】は、(a)Cu/SiO/Siおよび(b)Cu/MnSi/Siの500℃でのアニールおよびCuのエッチング除去後の走査型電子顕微鏡像、ならびに表面の元素分析である。
【図13】は、(a)Cu/SiO/Siおよび(b)Cu/MnSi/SiO/Siの試料の400℃アニール前後のキャパシタンス−電圧曲線である。
【図14】は、(a)Cu/SiO/Siおよび(b)Cu/MnSi/SiO/Siの試料の1MV/cm電界下、250℃アニール前後のキャパシタンス−電圧曲線である。
【図15】は、低k絶縁体上にCVDにより形成したMnSi層の断面を示す。
【図16】は、銅表面およびSiO表面のラザフォード後方散乱スペクトル(RBS)である。それぞれは、同じCVD条件で行い、銅上には8nmのマンガンのみが堆積され、一方、SiO上にはマンガンの堆積を行っていない。
【図17】は、マンガンのCVDを行った銅層表面近傍のマンガンの分布を示す。
【図18】は、表面のシリコンに対するマンガンの比率を関数にした、銅−マンガン合金のシリコン含有絶縁体に対する接着エネルギーのプロットである。
【図19】は、発明プロセスならびに選択性の低いプロセスによるマンガンCVDを行った絶縁体表面のX線光電子分光スペクトルを示す。
【図20】は、特定の実施形態に基づき、MnNで被覆した狭いホールの走査型電子顕微鏡像(SEM)である。
【図21】は、特定の実施形態に基づき、MnNで被覆し、Cuを充填した狭いトレンチの透過電子顕微鏡像(TEM)である。
【図22】は、銅の堆積の間を通して、銅表面上にヨウ素が残っていることを示すX線光電子分光スペクトル(XPS)である。
【図23】は、特定の実施形態に基づき、MnNで被覆し、Cuを充填した狭いトレンチの走査型電子顕微鏡像である。
【図24】は、MnN被覆トレンチ上への銅のヨウ素触媒CVDによる部分充填トレンチを示す。
【図25】は、MnNが銅の拡散に対するバリアであることを示すSEMおよびエネルギー分散X線分析(EDX)データである。
【図26】は、特定の実施形態に基づき、MnNで被覆し、Cu−Mnナノ積層を充填した狭いトレンチのSEM像である。
【図27】は、銅−マンガンナノ積層の堆積の間に表面上にヨウ素が残っていることを示す。
【図28】は、特定の実施形態に基づき、MnNで被覆し、Cu−Mn合金を充填した狭いトレンチのSEM像である。
【図29】は、銅−マンガン合金の堆積の間に、表面上にヨウ素が残っていることを示す。
【図30】は、特定の実施形態に基づき、MnNおよびCuでコートしたポリイミドプラスチックのSEM像である。
【図31】は、特定の実施形態に基づき、MnNおよびCuでコートしたプラスチック回路基板材料のSEM像である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
発明の詳細な説明
マイクロエレクトロニクス装置用の部分的に完成した多層配線構造を図1に示す。この構造は、絶縁領域10、例えば、シリカ、および導電領域20、例えば、銅を含み、完成した配線低層の最上部を形成し、拡散バリア25で分離された、実質的に平坦表面を含む。一部の実施形態では、この拡散バリアは、マンガンシリケートを含むことができる。通常、この段階でのデバイスは、CMPで処理され、続けて、洗浄される。この考察では、Mnを使って本発明を提示するが、例えば、Co、Cr、またはVを含む他の金属前駆物質も、同じくらい簡単に使用可能であることに留意されたい。
【0031】
次に、図2に示すように、Mn(またはCo、もしくはCr、もしくはV)金属を表面に堆積する。Mnは、絶縁体10の露出領域と反応し、図2の絶縁MnSi層30を形成する。表面20の露出Cu領域で、Mnは上部のCu中に拡散し、CuMn合金40を形成する。堆積前の上表面の位置は、矢印45、45’で示される。通常、Mnは加熱下地上に堆積される。下地の温度が充分高く(典型的には150℃超)、Mnの堆積が充分遅い場合は、Mnの反応および拡散は堆積の終わりまでに完了する可能性がある。絶縁体との反応とCu中への拡散が堆積中に完了しない場合は、堆積後アニールを行い、反応と拡散を完結することができる。
【0032】
Mnは、化学的および物理的方法を含む、いずれかの従来の方法を使って堆積可能である。化学的方法には、化学気相成長法(CVD)および原子層堆積法(ALD)が含まれる。物理的方法には、スパッタリングおよび蒸発が含まれる。下地は平坦面であるから、堆積方法による段差被覆は、この段階では重要ではない。従って、段差被覆が不得手な物理的方法は、この堆積段階に対しては適切である。また、CVDは、そのCVDプロセスが段差被覆に優れているかどうかに拘わらず、この段階では使用可能である。
【0033】
MnSi層30は、任意選択で、図3に示すように、Mn堆積後、除去可能である。最終ステップで形成されたMnSi層30は、電気的絶縁体であるが、そのリーク電流は、用途によっては所望より高い可能性もある。このような場合、この金属シリケート層30を除去し、デバイスのリーク電流を下げることも可能である。シリケート層30は、従来からあるいずれかの手段、例えば、研磨、ウエットエッチングまたはドライエッチングにより除去できる。非選択的除去で、銅をシリケートと同じ割合で除去し、その結果、平坦表面を維持してもよい。あるいは、図3に図示されるように、シリケート層30を選択的に除去し、銅を残してもよい。得られた非平坦表面に対しては、次のステップでブランケット絶縁体を堆積するためには、コンフォーマルな方法が必要である。
【0034】
あるいは、図1の絶縁および導電両表面上にMn(またはCo、もしくはCr、もしくはV)を堆積するのではなく、銅表面上にマンガンが選択的に堆積されるように表面を前処理することもできる。本明細書で使われる用語の「選択的堆積」は、ある材料の1つの表面への堆積を優先的に行わせ、別の表面への堆積をほとんど、または全く生じさせないことを指す。従って、表面を、銅表面上に優先的にマンガンを堆積させ、絶縁体領域へのマンガンの堆積を減らす、または無くするように前処理することができる。絶縁体表面上の活性部位は、マンガンのCVDの前に保護試薬を使って不活性化することができる。この不活性化は、絶縁体表面の気相または溶液中でアルキルシラン化合物との反応により達成可能である。例えば、有効な不活性化化合物には、シリコンに結合したジアルキルアミド基、例えば、ビス(N、N−ジアルキルアミノ)ジアルキルシランおよびN、N−ジアルキルアミノトリアルキルシラン、が含まれる。これら2つのタイプの代表的試薬には、ビス(N、N−ジメチルアミノ)ジメチルシラン、(CHSi(N(CH、および(N、N−ジメチルアミノ)トリメチルシラン、(CHSiN(CHが含まれる。
【0035】
特定の実施形態では、気相または溶液中で、絶縁体表面と2つ以上のアルキルシラン化合物を反応させ、相乗的に絶縁表面の反応性を低下させることにより不活性化を達成可能である。本明細書で使われる用語の「相乗的」は、2つ以上の保護試薬の使用の場合に、個別の保護試薬の使用により得られる不活性化効果に比べて、より大きな不活性化効果がもたらされることを意味する。
【0036】
特定の実施形態では、絶縁体上へのマンガンまたはコバルト堆積の完全な防止は、絶縁体表面の最初のビス(N、N−ジアルキルアミノ)ジアルキルシランへ、次に、N、N−ジアルキルアミノトリアルキルシランへの連続的暴露により達成される。同反応条件下で、これらのいずれのタイプの不活性化化合物も清浄な、酸化物のない銅表面とは反応しないことが明らかになった。従って、マンガンまたはコバルトの銅表面上へのCVDは、これらの試薬では防止されない。
【0037】
その後、マンガンアミジナート蒸気および水素ガスを加熱下地と接触させる。銅20からなる下地表面部分上で、薄い連続銅−マンガン合金層40が、銅表面近傍に形成される。SiOまたはSiCOH、等の絶縁体10からなる下地表面部分上には、マンガンは、ほとんど、または全く堆積されない。特定の実施形態では、加熱表面の温度は、適切な範囲、典型的には、200〜350℃、または、さらに好ましくは、250〜300℃でありうる。
【0038】
上述のように、他の金属、例えば、Co、Cr、またはVは、銅表面上に選択的に堆積可能である。例えば、コバルト金属を銅表面に堆積させ、一方で、絶縁体表面上には、コバルトをほとんど、または全く堆積させないようにできる。このような実施形態では、コバルトアミジナート蒸気および水素ガスを加熱下地と接触させる。銅20からなる下地表面部分上で、薄い連続コバルト40が、銅表面に形成される。SiOまたはSiCOH、等の絶縁体10からなる下地表面部分上には、コバルトは、ほとんど、または全く堆積されない。特定の実施形態では、加熱表面の温度は、適切な範囲、典型的には、180〜250℃、または、さらに好ましくは、200〜220℃でありうる。
【0039】
次に、ブランケット絶縁体層50が、図3に示される構造上(平坦化をして、または、しないで)に図4で示すように堆積される。図4の構造は、絶縁層10上にシリケート層30を含まないことに留意されたい。プラズマCVDまたはスピンコーティングを含む当技術分野で既知のいずれかの方法をこの絶縁体層の作成に使用可能である。SiおよびOを含む絶縁体組成物を使用可能である。特定の実施形態では、Siを含むが、実質的に酸素フリーの、例えば、SiN、SiC、SiCN、等の絶縁体組成物を使用可能である。特定の実施形態では、絶縁体層は、いくつかの絶縁材料の副層の堆積を積層して、それぞれが特異的機能性を全体の絶縁層に付与することができる。例えば、その下のマンガンドープ銅層に対する接着を強化するSi等の第1の絶縁副層51を使用可能である。特定の実施形態では、副層51は、実質的に、酸素フリーでありうる。特定の実施形態では、実質的に酸素フリーの副層51は、酸素を含む副層51の接着で得られた場合よりも、マンガンドープ銅層に対する接着を強化する。次に、シリコンカーバイド等のエッチング停止副層52を副層51の上に堆積してもよい。エッチング停止副層52は、ホール(ビア)のエッチングの適性深さを定めるのに役立てることができる。特定の実施形態では、次の絶縁副層53を、非常に低い誘電率の多孔性誘電体(典型的なkは約2.5未満)としてもよい。最後の絶縁副-層54を、より大きな誘電率(kは約2.5超)のより緻密な非多孔性誘電体であってもよく、これは、さらに脆弱な多孔質誘電体層を機械的な損傷から保護し、また、多孔質誘電体の気孔中に水か入るのを防ぐのに役立てることができる。特定の実施形態では、副層53および54は、SiおよびOを含んでもよい。副層53の別の機能が、副層54を貫通するトレンチの底を定めるためのエッチング停止層であってもよい。当業者には、容易にわかるように、具体的な絶縁体層50(厚さ、層組み合わせ、材料組成、等)に対する多くの変形は、本発明の範囲内に入る。簡単にするために、本出願の絶縁層50に対するいずれの参照も1つまたは複数の本明細書記載の副層を包含することを理解されたい。
【0040】
リソグラフィーおよびエッチングは、絶縁体層50中に、ホール(ビア)100およびトレンチ110のパターン描画をするのに使用される。得られた構造の断面図を図5に示す。
【0041】
この構造をアニールして、図6に示すように、MnSi層60(副層51としてSiの使用を仮定して)を絶縁シリカ層50およびCuMn合金層40の間の界面に形成する。MnSi層60は、層20からのCuの拡散に対するバリアとして作用し、また、Cu20および絶縁体50の間の強力な接着を提供する。また、MnSiは、絶縁体層50からCu層20への酸素または水の拡散を防ぐ役目も果たすことができる。アニール後、Mn−Cu合金層40由来のほとんどのMnはMnSi層60中にあるが、一部のMnは、アニール中に層20の上部表面に移行しマンガン酸化物層を形成しうる(示していない)。Cu表面に残っているどのマンガン酸化物も、直接スパッタリング、またはギ酸等の蒸気もしくは液体酸溶液を使った選択エッチングによって除去可能である。これは、Cu層20の上表面と隣接MnSi層60との間のわずかな後退65により示されている。
【0042】
次に、別のMn層が、好ましくは、コンフォーマルな方法、例えば、CVDまたはALDによって、堆積される。このステップは、ビアおよびトレンチの壁上に層80を形成し、これは、シリカを副層54として、および窒化ケイ素を副層51として利用した場合、最上部近くのMnSiから底部近くのMnSiまで変わりうる。このステップは、図7に示すように、絶縁体層50の上表面上のMnSi90の最上層をさらに形成可能である。CuMn合金層70は、最初は、層20の露出銅表面上に形成されるが、その後すぐ、Mnが拡散して、さらに多くの絶縁体表面、例えば、層60を形成する。これらの層の形成が堆積の終わりまでに完了しない場合は、追加のアニールおよび、おそらく酸エッチングを使って図8に示す構造を形成する。ここでは、銅20層には、実質的にMn不純物は含まれない。
【0043】
特定の実施形態では、窒化マンガン、MnNは、また、ビア100およびトレンチ110の露出表面上に堆積されうる。一部の他の実施形態では、窒化マンガン、MnNは、また、層70、80および90上に堆積されうる。驚くべきことに、窒化マンガンの使用は、少なくとも5つの有益な機能があることがわかった。第1に、窒化マンガンは、絶縁材料とその後で堆積された銅との間の接着強度を増加させることができる。第2に、窒化マンガンは、銅、酸素、および水の拡散に対する有効なバリア層として役立たせることができる。第3に、以下でさらに詳細に考察するように、窒化マンガンは、ヨウ素または臭素、等の表面触媒の取り込みと放出を高めることができる。これら3つのMnNの利益は、マンガン金属により得られるものと類似である。追加の4つめの利益として、窒化マンガンは、MnNはMnよりも凝集に対する抵抗が大きいことがわかったため、純粋なマンガン金属よりも、より連続的で、均一に表面上に堆積する。窒化マンガンは、コンフォーマルな方法、例えば、CVD、ALDまたはイオン物理蒸着(IPVD)によって堆積されるのが好ましい。第5に、MnNのCVDおよびALDは、マンガン金属の堆積より、低い温度で、かつ高速で行うことができることがわかった。連続的で、非凝集マンガン金属を使うことが望ましい場合は、例えば、水素プラズマを使用して、窒化マンガンから窒素を除去することにより、都合よく形成することができる。
【0044】
次に、Cuのシード層を、好ましくは、コンフォーマルな方法、例えば、CVD、ALDまたはIPVDで、形成する。次に、ビアおよびトレンチを電気めっきにより充填して、図9に示す構造を形成する。この純粋なCu層120を、アニールして、粒径を大きくし、抵抗を低減する。
【0045】
特定の別の実施形態では、ビアおよびトレンチ、例えば、図8で示すものに類似の構造を有するビアおよびトレンチ、マンガン含有層、例えば、窒化マンガン層を堆積させた側壁および底表面を有するビアおよびトレンチ、または絶縁体表面、例えば、シリカを有するビアおよびトレンチ、中で触媒を使って銅を成長させることができる。
【0046】
特定の実施形態では、ビアおよびトレンチを、マンガン含有前駆物質に曝して、マンガン含有層を形成可能である。マンガン含有層(例えば、CVD等の蒸着技術によって)の形成後、ヨウ素または臭素含有前駆物質、例えば、ヨウ化エチル、ヨウ化メチル、ジヨードメタン、分子ヨウ素(I)、ブロモエタン、または分子臭素(Br)、を導入し、マンガン含有表面上に吸着または化学吸着させることができる。その後、蒸着技術、例えば、CVDを使って、銅を触媒的に成長させることができる。
【0047】
理論に拘泥することを望むものではないが、ヨウ素または臭素含有前駆物質は、当業者が予期しなかった下記の理由により、銅の成長用の触媒として機能することができる。ヨウ素を例にとると、ヨウ素原子およびマンガン原子の間の結合強度は、少なくとも気相では、ヨウ素および銅の間の結合強度よりずっと大きいことが知られている(データは、化学と物理のCRCハンドブックに見付けられる:D°298=197±21kJ/mol(Cu−I)、およびD°298=282.8±9.6kJ/mol(Mn−I))。従って、当業者は、小量のヨウ素触媒(単層より少ない量)がマンガン原子により強く保持されるであろうと予測した。強いヨウ素−マンガン結合が、ヨウ素をMn表面に結合させ、その後の銅の成長を開始させるのが望ましいが、マンガンに結合したヨウ素は銅表面に浮遊することはできないであろうし、従って、その表面上の銅堆積反応を触媒できないであろう。従って、特定の実施形態では、他の成分の存在、例えば、マンガンフィルム中の窒素が、ヨウ素が銅フィルムへ放出されるのに充分な量だけマンガン−ヨウ素結合を弱めることができる可能性がある。上述のように、MnN−I結合は、それでも、最初のヨウ素の化学吸着の間に、気相からヨウ素を捕獲するのに充分なほど強いはずである。最初の化学吸着に続いてMn含有表面からの放出を可能とする適切な特性の組み合わせを見付けるには、広範囲の努力が必要で、発明者には容易に明らかにはならなかった。例えば、他の物質、例えば、シリコンジオキシドおよび窒化チタンは、ヨウ素を化学吸着できず、また、他の物質、例えば、コバルトおよびニッケルは、容易にヨウ素を化学吸着するが、それを放出できない。
【0048】
ヨウ素または臭素含有前駆物質がマンガン含有層上に堆積された後で、銅層をCVD、ALDまたはIPVD、等の技術を使って形成可能である。
【0049】
特定の実施形態では、最初のヨウ素または臭素含有前駆物質がマンガン含有層上に堆積された後、マンガンおよび銅含有前駆物質を混合前駆物質または別々の前駆物質として使って同時堆積して、銅−マンガン合金を形成可能である。
【0050】
一部の他の実施形態では、最初のヨウ素または臭素含有前駆物質がマンガン含有層上に堆積された後、マンガン、銅、およびヨウ素/臭素含有前駆物質を混合前駆物質または別々の前駆物質として使って、同時堆積して、銅−マンガン合金を形成可能である。ここでは、追加のヨウ素/臭素が銅−マンガン合金の触媒的成長を確実にする、またはさらに促進さえ行う役割をすることができる。
【0051】
特定の実施形態では、上述の銅または銅−マンガン合金の堆積後、銅の電気めっきを行うことができる。
【0052】
CuまたはCu−Mn合金を堆積、および/または電気めっき後、CuまたはCu−-Mn合金層120をアニールし、粒径を大きくして抵抗を減らすことができる。
【0053】
最終的には、過剰の銅をCMPで除去し、図10に示す構造を作る。このステップは、さらに1つの配線ステップが完了したときの図1の構造に対応する。
【0054】
1つまたは複数の実施形態では、蒸着を使ってMn、Co、CrおよびVの群から選択される金属Mを堆積させる。式[M(AMD)の金属アミジナート化合物を前駆物質として使用可能で、この場合、AMDは、アミジナートリガンドで、通常は、m=2または3およびn=1または2である。m=2およびn=lの場合には、これらの化合物は、次の構造を有する:
【化1】

【0055】
ここで、R、R、R、R1’、R2’およびR3’は、1つまたは複数の非金属原子、例えば、水素、炭化水素基、置換炭化水素基、および非金属原子の他の基、由来の基である。Mnを堆積させる一CVD方法では、マンガンアミジナート蒸気を加熱下地と接触させる。下地がCuの場合は、CuMn合金が形成される。下地がシリコンと酸素を含む場合には、MnSiの絶縁表面層が形成される。これらの形成される層のために、加熱面の温度は充分高くすべきで、通常は、150℃超、または、好ましくは、300℃超にすべきである。
【0056】
1つまたは複数の実施形態では、Mn含有前駆物質は、式[Mn(AMD)を有するマンガンアミジナートであり、AMDはアミジナート、m=2または3およびnは1〜3の範囲でありうる。一部のm=2、n=1の場合のこれらの化合物は、構造1、
【化2】



を有し、R、R、R、R1’、R2’およびR3’は、1つまたは複数の非金属原子、例えば、水素、炭化水素基、置換炭化水素基、および非金属原子の他の基、由来の基である。一部の実施形態では、R、R、R、Rl’、R2’およびR3’は、水素、アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、トリアルキルシリル、アルキルアミドもしくはフルオロアルキル基または他の非金属原子もしくは基、から独立に選択可能である。
【0057】
代表的炭化水素基には、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルおよびC〜Cアルキニル基が含まれる。これらは分岐していても、分岐していなくてもよい。
【0058】
「アルキル基」は、直鎖もしくは分岐鎖もしくは環式炭化水素基でもよい示された数の炭素原子を含む飽和炭化水素鎖を指す。例えば、C〜Cは、その基が1〜6(両端を含む)炭素原子を持つことができることを示す。アルキル基の例には、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、およびtert−ブチル基、が含まれるがこれに限定されない。環式アルキル基の例には、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルエチル、およびシクロヘプチル基、が含まれるがこれに限定されない。
【0059】
「C〜Cアルケニル基」は、直鎖または分岐鎖不飽和炭化水素を指し、2〜6炭素原子および少なくとも1つの二重結合を含む。C〜Cアルケニル基の例には、エチレン、プロピレン、1−ブチレン、2−ブチレン、イソブチレン、sec−ブチレン、1−ペンテン、2−ペンテン、イソペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、3−ヘキセン、およびイソヘキセン、から水素を除去して得られる基が含まれるがこれに限定されない。
【0060】
「C〜Cアルキニル基」は、直鎖または分岐鎖不飽和炭化水素基を指し、2〜6炭素原子および少なくとも1つの三重結合を含む。C〜Cアルキニル基の例には、アセチレン、プロピン、1−ブチン、2−ブチン、イソブチン、sec−ブチン、1−ペンチン、2−ペンチン、イソペンチン、1−ヘキシン、2−ヘキシン、および3−ヘキシン、から水素を除去して得られる基が含まれるがこれに限定されない。
【0061】
「置換炭化水素基」は、他の官能基、例えば、ハロゲンもしくはホウ素、またはホウ素含有基でさらに置換可能な飽和または不飽和で直鎖または分岐鎖の1〜6炭素原子含有炭化水素を指す。
【0062】
「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素原子を指す。ハロゲン化炭化水素には、フッ化、塩化または臭化アルキルが含まれる。代表的フッ化炭化水素には、フルオロアルキル、フルオロアルケニルおよびフルオロアルキニル基およびこれらの組み合わせが含まれる。
【0063】
「非金属原子の基」には、窒素含有およびシリコン含有基が含まれる。代表的窒素含有R基には、アミン(NR’R’’)が含まれ、R’およびR’’には、1つまたは複数のH、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニル基およびこれらの組み合わせが含まれる。
【0064】
代表的シリコン含有R基には、シリル基(SiR’R’’R’’’)が含まれ、R’、R’’およびR’’’には、1つまたは複数のH、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニル基およびこれらの組み合わせが含まれる。
【0065】
一部の実施形態では、R、R、R、Rl’、R2’およびR3’は、それぞれ独立にアルキルまたはフルオロアルキルもしくはシリルアルキル基またはアルキルアミド基である。一部の実施形態では、R基は、1〜4炭素原子を含む。他の実施形態では、Mn前駆物質は、構造1のオリゴマーで、n=2以上である。マンガンアミジナートは、マンガン(II)ビス(N、N’−ジイソプロピルペンチルアミジナート)を含んでもよく、これは、一般式1でR、R、Rl’およびR2’としてイソプロピル基を、また、RおよびR3’としてn−ブチル基を採用したものに対応する。
【0066】
CVD法では、ビス(N、N’−ジイソプロピルペンチルアミジナト)マンガン(II)蒸気が、100〜500℃、または、さらに好ましくは150〜400℃の温度に加熱されている表面上に流される。CuMn合金が、露出銅表面上に形成される。MnSi層が絶縁領域上に拡散バリアとて形成される。一部の実施形態では、MnSi層およびCuMn層のマンガン含量は、1〜10nm厚さ、または、さらに好ましくは2〜5nm厚さのマンガン金属フィルムと等しい。あるいは、蒸気は、90℃を超える温度で二水素ガス(H)と混合され、CVDプロセスに使用される。
【0067】
マンガンアミジナートは、いずれかの従来の方法で作ることができる。例えば、国際特許WO2004/046417を参照。この特許は、参照によってその全体が組み込まれる。
【0068】
1つまたは複数の実施形態では、金属前駆物質には、シクロペンタジエニルおよびカルボニルリガンドを含んでもよく、これは、Cpが5つの基まで置換されるシクロペンタジエニルラジカルで、q、r、およびsが任意の正の整数である場合の一般式(Cp)(CO)に対応する。これらの化合物は、次の構造を有する:
【化3】


【0069】
1つまたは複数の実施形態では、Mn含有前駆物質は、式(Cp)Mn(CO)を有するマンガンシクロペンタジエニルトリカルボニルであってもよい。一部のこれらの化合物は構造2、
【化4】



を有する。式中、R、R、R、R、およびR5’基は、本明細書で前に記載のように、1つまたは複数の非金属原子、例えば、水素、炭化水素基、置換炭化水素基、および他の非金属原子の基から形成される。一部の実施形態では、R、R、R、R、およびRは、水素、アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、トリアルキルシリルもしくはフルオロアルキル基または他の非金属原子もしくは基、から独立に選択してもよい。一部の実施形態では、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立にアルキルまたはフルオロアルキルもしくはシリルアルキル基またはアルキルアミド基である。一部の実施形態では、R基は1〜4炭素原子を含む。このタイプの好ましい化合物は、市販品から入手可能なメチルシクロペンタジエニルマンガントリカルボニル、(MeCp)Mn(CO)、で、Rはメチル基、他のRは水素である。
【0070】
1つまたは複数の実施形態では、金属前駆物質が、2つのCpリガンドを含んでもよく、この場合、式はM(Cp)となり、Cpは5つの基まで置換されるシクロペンタジエニルラジカルである。これらの化合物は次の構造を有する:
【化5】


【0071】
1つまたは複数の実施形態では、Mn含有前駆物質は、式Mn(Cp)を有するマンガンシクロペンタジエニルであってもよい。一部のこれらの化合物は式3、
【化6】



を有し、式中、R、R、R、R、R、R1’、R2’、R3’、R4’およびR5’は、本明細書で前に記載のように、1つまたは複数の非金属原子、例えば、水素、炭化水素基、置換炭化水素基、および他の非金属原子の基から形成される基である。一部の実施形態では、R、R、R、R、R、Rl’、R2’、R3’、R4’およびR5’は、水素、アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、トリアルキルシリルもしくはフルオロアルキル基または他の非金属原子もしくは基、から独立に選択してもよい。一部の実施形態では、R、R、R、R、R、R1’、R2’、R3’、R4’およびR5’は、それぞれ独立にアルキルもしくはフルオロアルキルもしくはシリルアルキル基またはアルキルアミド基である。一部の実施形態では、R基は1〜4炭素原子を含む。
【0072】
特定の実施形態では、マンガン前駆物質ビス(N、N’−ジイソプロピルペンチルアミジナト)マンガン(II)を米国特許出願公開2009/0263965号に記載のように調製するか(この内容は、参照によってその全体が組み込まれる)、またはDow Chemical Companyから入手可能である。その化学式を以下に示す:
【化7】


【0073】
ヨウ素前駆物質、例えば、ヨウ化エチルまたはI元素は、多くの商業ソースから市販品として入手可能である。
【0074】
Cu層(シード層または完全層)は、CVDまたはALD等の方法を使ってコンフォーマルに堆積可能である。ALD法は、例えば、Zhengwen Li、Antti Rahtu and Roy G.GordonによるJournal of the Electrochemical Society、volume 153、pages C787−-C794(2006)およびZhengwen Li and Roy G.Gordonによるjournal Chemical Vapor Deposition、volume 12、pages 435−441(2006)に記載されている。CVD法は、Hoon Kim、Harish B.Bhandari、Sheng Xuand Roy G.GordonによるJournal of the Electrochemical Society、volume 155、issue7、pages H496−H503(2008)の論文に記載されている。この文献では、銅酸窒化物または銅酸化物の平坦な薄層が、従来の蒸着技術を使って最初に堆積され、次いで、堆積層が室温の水素プラズマを使って、平坦な銅フィルムに還元される。銅酸化物フィルムを銅金属に還元する別の方法は、ジメチルアミンボランまたは金属ボロヒドリド、等の還元試薬の液体との反応によるのもである。
【0075】
特定の実施形態では、銅前駆物質の銅N、N’−ジ−sec−ブチルアセトアミジナートが利用可能で、これは、Inorganic Chemistry、volume 44、pages 1728−1735(2005)に記載のように調製するか(この内容は、参照によってその全体が組み込まれる)、または、Dow Chemical Companyから入手可能である。その化学式を次に示す:
【化8】



【0076】
また、次の化合物を含む他の銅化合物も、銅のヨウ素触媒CVDに使用可能である:銅ベータ−ジケトナート、銅ベータ−ケトイミナート、銅ジケチミナート、銅シクロペンタジエニル、銅アルコキシドおよび銅アミノアルコキシド。これらの一般分類の具体的な例には、1、1、1、5、5、5−ヘキサフルオロ−2、4−ペンタジオナト銅(I)ビニルトリメチルシラン(場合によっては、(hfac)CuVTMSとして知られる)、1、1、1、5、5、5−ヘキサフルオロ−2、4−ペンタジオナト銅(I)(3、3−ジメチル−1−ブテン)(場合によっては、(hfac)CuDMBとして知られる)、ビス(1、1、1、5、5、5−ヘキサフルオロ−2、4−ペンタジオナト)銅(II)(場合によっては、Cu(hfac)として知られる)、(N(1(ジメチルビニルシロキシ)−1−メチルエタノ)−2−イミノ−4−ペンタノアト)銅(I)(銅ケトミナート)、(N(2(ビニルジメチルシロキシ)プロピル)−2−イミノ−4−ペンテノアト)銅(I)、ビス[[2−(4、5−ジヒドロ−3H−ピロール−イル)−1−メチル−ビニル]エチル−アミナート]銅(II)(銅ジケチミナート)およびメチルシクロペンタジエニル銅(I)エチエンが含まれる。別の適切な銅前駆物質は、銅(I)ベータ−ジケチミナートで、式を下に示す:
【化9】

【0077】
上述したように、電気化学的堆積を使って、当技術分野で既知の技術によりトレンチおよびビアに銅を充填可能である。電気化学的堆積は、ボイドやシームのない、対費用効果の高いプロセスにより純粋な銅を提供可能である。
【0078】
これまでの記述では、本発明は、主にMn金属に関して説明してきた。しかし、本発明は、他の金属、例えば、コバルト、バナジウムおよびクロム金属も同様に包含する。従って、これらの金属は、本明細書に記載された記述のマンガンを入れ替えることができる。例えば、上述の前駆物質は、[Co(AMD)、[Cr(AMD)または[V(AMD)(AMDはアミジナート、m=2または3、n=1〜3)の構造を有するコバルト、クロムまたはバナジウムアミジナートであってもよい。
【0079】
実施例
実施例1
マンガンの前駆物質として作用する化合物は、ビス(N、N’−ジイソプロピルプロピオンアミジナト)マンガン(II)と呼ばれ、化学式を下記に示す。
【化10】

【0080】
この化合物を次の方法により合成した。全反応および操作は、不活性雰囲気グローブボックスまたは標準的Schlenk技術を用いて純粋な二窒素雰囲気下で行った。全ガラス用品は、反応実行前に、150℃のオーブン中で12時間以上保持した。ジエチルエーテルをInnovative Technology溶媒精製システムを使って精製し、精製したものを貯蔵せずに、新しい状態で使用した。ブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液)、N、N’−ジイソプロピルカルボジイミド、およびマンガン(II)塩化物(無水ビーズ)をAldrichから購入して、受入のままで使用した。減容および蒸発ステップを減圧下行った。
【0081】
ビス(N、N’−ジイソプロピルプロピオンアミジナト)マンガン(II)。−30℃で、ブチルリチウムの溶液(1.6Mヘキサン溶液、100mL、160mmol)を、よく攪拌したN、N’−ジイソプロピルカルボジイミド(20.2g、160mmol)の250mLのジエチルエーテル中溶液中に滴下した。淡黄色混合物を−30℃で4時間保持し、その後室温まで暖まらせておいた。マンガン塩化物(10.0g、79.5mmol)を固体状態でこの溶液に添加し、反応混合物を全体のピンク色のマンガン塩化物ビーズが反応するまで攪拌した(約48時間)。得られた濁ったオレンジ色の混合物を、ガラスフリット上のセライトパッドで濾過し、透明なオレンジブラウン色の溶液を得た。全揮発成分を除去して、黄褐色の固形物を残し、これを20mTorr、120℃で真空蒸留しコンデンサーに導き、生成物の融点の60℃以上に加熱した回収フラスコ(receiving flask)で受けた。室温に冷却すると、淡黄色液状凝集物が回収フラスコ中で固化し、27.4g、65mmol、または82%収率の純粋な生成物を得た。ビス(N、N’−ジイソプロピルプロピオンアミジナト)マンガン(II)は、淡黄色結晶性固体で、空気にさらすと直ちに黒色に変わる。
【0082】
CVD実験用に、液体マンガン前駆物質を90℃の温度で蒸発させ、高度精製窒素(水と酸素の濃度:Nの10−9未満)流中へ混入した。前駆物質の蒸気圧は、この温度で、およそ0.1mbarと推定されている。
【0083】
シリカ下地を熱酸化シリコンまたはALDもしくはプラズマCVDにより堆積させたシリカとした。CVDを高温壁管型炉(hot−wall tube reactor)(直径36mm)を使って、管型炉内の200〜400℃の温度および合計圧力約5Torrの条件で行った。Nキャリアガスの流量は、60sccmであった。堆積したマンガンの量をラザフォード後方散乱分光法(RBS)により測定した。
【0084】
MnSi形成は、高解像度透過電子顕微鏡(HRTEM)による断面により評価した。Cuの拡散に対するバリアとしてのMnSiの有効性は、4種の方法:光学的外観、シート抵抗、Cuシリサイド形成およびコンデンサーのキャパシタンス−電圧(CV)分析、により試験した。Cu拡散試験に対しては、SiOの8nm厚さの層を215℃のALDによりHF−エッチングしたシリコンウエハー上に成長させ、続けて、350℃でMnを10分間CVDした。これにより、2.3nm厚さのMn金属フィルムと等しい量のMn金属量を堆積させ、これをシリカ表面と反応させて、より厚いMnSi層を形成した。SiO比較試料では、CVD Mn処理を省略した。次に、約200nm厚さのCu層をCVD MnSiまたはSiO層の最上部に堆積させた。純粋な窒素雰囲気中で、400、450および500℃の温度で1時間、アニールを行った。CV分析に関しては、CVD Mnを300nm熱酸化SiO上に堆積させた。Cuパッド(500μm径の円形)をシャドーマスクを使って熱蒸発させて形成した。
【0085】
SiO上に堆積させた薄いMn層(Mn金属層2.3nm厚さと同等)は、大きな電気伝導を示さなかったが、おそらく、Mnが絶縁体と反応して高抵抗のMnSiを形成したからであろう。従って、金属Mnの堆積は、この結果からは立証されなかった。Mn金属が最初は堆積したことを確認するために、SiO/Si下地上に蒸着した50nm厚さのCu上に、Mnを堆積させた。得られた構造を、HRTEMの断面により調べた。図11は、CVD Mn金属がCu層を通って拡散しSiO2と反応して、CuとSiOの間に約2〜5nm厚さの無定形MnSi層を形成することを示している。粒界に沿ったMnの拡散がより速いので、MnSi層は、Cu中の粒界近傍でより厚くなっている。この結果は、Mn金属堆積の明確な証拠である。
【0086】
これらの層は、Mn堆積後、強い接着を示す。粘着テープ法(tape adhesion test)試験後、剥がされる材料はなかった。これらの層の接着は、さらに定量的に4点曲げ試験により測定し、5Jm-超であった。この値は、充分高く、CMPおよびその後のマイクロエレクトロニクスデバイス中での機械的なストレス下で生き残ることができる。対照実験では、SiO上に堆積され、その後のMn堆積のないCuは、接着が弱いため、テープにより容易に剥離された。
【0087】
サンプル構造のPVD Cu(200nm)/CVD Mn(2.3nm)/ALD SiO(8nm)/Siを使って、銅バリアとしてのMnSiの有効性を評価した。MnSi層をCuおよびALD SiO層の間に形成した。これらの試料の光沢のあるCu色とシート抵抗は、窒素中、400または450℃でのアニールでは変化しなかった。500℃アニール後、Cuの薄いALD SiOを通してシリコン中への大量拡散によって、Mnを含まない比較試料は黒く変色し、シート抵抗は200倍増加した。対照的に、CVD Mn試料は、500℃でも、光沢のあるCu色を維持し、また、ほんの少しの抵抗増加を示したに過ぎなかった。
【0088】
Cu拡散を解析するために、残っているCu層を硝酸に溶解し、次に、マンガンシリケートおよびシリカを希HFで除去した。次に、エッチングした表面を、エネルギー分散型X線検出器(EDX)および走査型電子顕微鏡(SEM)で解析した。図12は、500℃で1時間アニール後のSEM結果を示す。わずかのCu含有スポットが、シリコンの結晶方向に配向したCuシリサイド微結晶であるように見える。比較試料では、表面の大部分がCuシリサイドで覆われていることがわかる。比較試料は、EDX分析で、シリコンのシグナルよりも強いCuの大きなシグナルを示し、薄いALD SiOがCuの拡散を許容したことを確信させる。CVD Mn処理試料は、大面積EDAXによってもCuが見つからなかった。2、3の小領域SEM像が、少しのCuをEDAXにより示したが、これは、一部の局部的なMnSiバリアの500℃での破壊を示している。これらのスポットは、クリーンルーム環境で処理しなかったフィルム中のダストまたは他の欠陥から発生した可能性がある。
【0089】
Cuをコンデンサー電極にパターニングすることによりバリア特性の電気的試験をおこなった。450℃で1時間アニールした試料に対するCV曲線を図13に示す。比較試料の負電圧側への大きなシフト(−4.9V)は、正のCuイオンのシリカ絶縁体中への拡散に起因する。対照的に、MnSiで保護されたシリカは、非常に小さいシフト(−0.1V)を示すのみである。この電気的試験は、他のテストに比べ、少量のCuの拡散に敏感である。これらのCV曲線は、また、SiOのキャパシタンスは、CVD Mn処理により大きくは変化することはないことを示している。
【0090】
また、250℃で1MV/cmの印加電圧下、類似のコンデンサーのアニールを行った。バイアス温度ストレス(BTS)試験は、CuのSiOへの拡散に対するより高感度の方法である。比較試料は、BTS条件下、ただの2分後にキャパシタンス挙動を失い(図14(a))、大量のCuがSi中に拡散し、Siが半導体として機能しなくなっていることを暗示している。しかし、CVD Mn処理試料では、CV曲線に大きな変化が無かった(図14(b))。このBTS試験の結果は、MnSi層の優れたCuバリア特性を確証している。
【0091】
また、MnSi層は、銅層を腐食する酸素と水に対する優れたバリアであることも明らかになった。金属シリケート層がいかにうまく銅を保護したかを試験するために、Applied Materialsから入手した市販の低k多孔性絶縁体層を上述のマンガンでコートし、続いて、銅をCVDした。Science、volume298、pages 402−406(2002)に記載されているプロセスを使って、銅の最上部表面を20nmのALDシリカで保護した。試料を小片に切り出し、酸素または水蒸気が低k層に拡散できるように低k絶縁体の縁を露出した。300℃で24時間、乾燥空気に暴露後、試料は、光沢のある銅色を維持していた。CVDマンガン処理のない比較試料は、同じ暴露で腐食され、暗色の銅酸化物になった。この試験は、マンガンシリケート層が酸素に対し良好なバリアであることを示している。湿度雰囲気中での類似の試験(85℃、85%湿度で24時間)は、マンガンシリケート層が水蒸気に対し良好なバリアであることを示した。
【0092】
MnSi層の形成により、Cu/SiO界面の接着が強化され、MnのCVD前の粘着テープ法試験では剥離したが、MnのCVD後はこの試験をクリアーした。接着強度を4点曲げ試験で測定した。シリコンウエハー上の熱酸化SiOへのMnのCVDにより試料を調製した。次に、200℃でのCVDを使って、銅N、N’−ジ−sec−ブチルアセトアミジナートと水素(H)の蒸気の反応によりCuを形成した。接着エネルギーは、10.1±1Jm−2であることがわかった。通常、耐久性のある相互接続を形成するには、5JM−2が最小閾値要件であると考えられる。
【0093】
断面透過電子顕微鏡(TEM)を使って低k絶縁体の表面のMnSi層の像(図15)を得た。この像は、MnSi層を暗く、特徴の無いバンドを示し、この層が無定形のガラスであることを示している。40:1までのアスペクト比を有するホールにおけるCVD MnおよびCuON堆積のコンフォーマルな特性が、断面SEMおよびTEM調査により確かめられた。
【0094】
実施例2
ビス(ビス(N、N’−ジイソプロピル−ペンチルアミジナト)マンガン(II)の代わりに、マンガンシクロペンタジエニルトリカルボニル、MnCp(CO)、を使って、実施例1を繰り返した。類似の結果が得られている。
【0095】
実施例3
マンガンの代わりにクロムを使って実施例1を繰り返した。類似の結果が得られている。
【0096】
実施例4
マンガンの代わりにバナジウムを使って実施例1を繰り返した。類似の結果が得られている。
【0097】
実施例5
Mn拡散CuおよびSiCN絶縁フィルムの間の接着の改善が得られた。Mn拡散CuおよびSiCN層の間の接着エネルギーに関する定量的4点曲げ試験を行った。50nmの銅をSiCN層(BLoK(商標)Applied Materials)上に蒸着した。Cuは、非常に弱い接着を示し、接着エネルギーは、3Jm−2未満であった。次に、類似のCu/SiCN層を350℃、10分のMnのCVDにより処理した。このプロセスは、銅中のマンガン不純物により、シート抵抗を0.5Ω/sq.から1Ω/sq.に増加させた。次に、この構造を400℃、窒素雰囲気中で1時間アニールした。この結果、シート抵抗は、マンガンが表面または界面に拡散したことにより、0.5Ω/sq.より若干小さい値に戻った。Cuフィルムからのマンガンの外方拡散がSIMS分析により確認された。熱処理後、接着エネルギーは、12Jm−2を超える値まで顕著に増加したが、マンガンが界面に拡散し、界面層または反応層を作ったのがその理由である。接着エネルギーは、実施例1で得られた10.1±1Jm−2より大きかった。
【0098】
実施例6
Mn拡散CuおよびSi層の間でさらに大きな接着が観察された。プラズマ活性化CVDにより予めSiでコートしてあるシリコンウエハー上に20nmのCuを、実施例1のようにCVDにより堆積した。次に、2.3nmのMnを、実施例1で記載のCVDプロセスにより堆積した。さらに別の20nmのCuを、CVDにより堆積し、続いて、30nmのSiをプラズマ−活性化CVD(PECVD)により堆積した。これらの層の接着は、非常に強く、4点曲げ試験中に分断できないほどであった。実際、80Jm−2を超える剥離エネルギー密度で高強度エポキシが破壊した。従って、実施例1のシリカ層よりもSi層を使って少なくとも8倍の接着の強化が観察された。
【0099】
CVD Mnステップを入れないで作成した比較試料は、ずっと低い約7Jm−2の剥離エネルギー密度で破壊した。
【0100】
これらの結果は、Siのキャッピング層に対するCuの結合は、Cu層へのCVDによるMnの追加により大きく強化することができることを示している。MnドープCuのキャッピング層へのずっと強い結合は、キャップラインの最上部に沿ったエレクトロマイグレーションを抑制することができる。従って、このキャッピングプロセスは、エレクトロマイグレーションで故障するまでの相互接続線のさらに大きな寿命の延長をもたらす。Mn、SiおよびNを含む界面結合層は、酸素を含む界面層よりも、銅金属をSiにより強く結合させる。
【0101】
実施例7
さらに、Mnキャッピングプロセスにより、銅線間の絶縁を維持することができる。この効果を証明するため、SiOベースの70nm幅の絶縁境界で分離された長い(約4cm)平行Cu相互接続を有する櫛状試験構造物を調製した。上表面を化学機械研磨により実質的に平坦になるように調製した。線間のリーク電流は、2ボルトで測定した場合、10−12アンペア未満であった。実施例1のように、Mnを5分間CVDおよび20nmSiのPECVD後、リーク電流はこの低ベースラインレベルに保持された。線の長さに沿った抵抗は、初期値から少し減少したが、おそらくCVDプロセス中の銅粒径の増加によるものであろう。
【0102】
実施例8
酸化シリコン上の薄い(20nm)銅と一緒に、いくつかの市販のシリコン上の絶縁層構成基板をCVD装置に入れた。これらの絶縁試料には、熱成長シリコンジオキシド、プラズマ堆積シリコンジオキシドおよび誘電率2.7または2.5の非多孔性低kシリコンカーバイド酸化物(SiCOH)絶縁体、ならびに誘電率2.4または2.2の多孔性低kSiCOH絶縁体を含めた。別の基板は、非多孔性SiCOH(k=2.5)の領域により分離された銅領域のパターニングを行った。これらの全試料は、蒸着処理の前に化学機械研磨を行った。基板を装置に投入後、250℃に加熱しながら、精製窒素を流した。次に、銅表面上の銅酸化物を250℃、1Torrで1時間、精製水素ガスを使って還元した。この処理により絶縁体から吸着水も除去された。次に、装置を室温まで冷却し、2つの自己組織化単分子膜(SAM)蒸気前処理を以下のように行った。装置をベース圧力(約20mTorr)まで減圧し、ビス(N、N−ジメチルアミノ)ジメチルシラン、(CHSi(N(CH3)の室温の原料からの蒸気(約14Torr)で満たし、1/2時間かけて90℃に加熱した。次に、装置を再度ベース圧力まで減圧し、室温まで冷却し、(N、N-−ジメチルアミノ)トリメチルシラン、(CHSiN(CHの蒸気(約75Torr)で再度充満した後、1/2時間かけて90℃に加熱した。次に、試料を300℃のマンガン堆積温度に加熱した。マンガン前駆物質、ビス(N、N’−ジイソプロピルペンチルアミジナト)マンガン(II)、を90℃のバブラー中の液体から高度精製窒素(水と酸素の濃度:N中の10−9未満)の60sccmの気流中に蒸発させた。この蒸気混合物を管型炉の一端に入る直前のT字管のところで60sccmの精製水素と混合した。装置の管は内径36mmである。アルミニウム製半円筒により装置内の基板を支えた。圧力センサーを使って装置と真空ポンプの間にあるバタフライ弁を調節して、装置内圧力を5Torrに維持した。温度が安定後、装置中にCVD蒸気混合物を20分間通過させた。次に、装置を室温まで冷却し、試料を取り出し分析した。
【0103】
ラザフォード後方散分光法(RBS)を使って、試料の上に堆積したマンガンの量を測定した。銅基板および低k基板(k=2.5)に対して得られたデータを図16に示す。RBSデータの分析により、6.6x1016マンガン原子/cmが銅基板の上と内部に堆積したことが明らかになった。この量は、塊のマンガン金属の密度であると仮定して、層8nm厚さになる。シリコンジオキシドまたはk=2.4、2.5もしくは2.7の低kのSiCOH絶縁体のいずれの試料にもRBSによってマンガンは検出されなかった(検出限界<5xl013原子/cm)。従って、このプロセスは、これらの絶縁体上の堆積に対しCu上の堆積を優先する、1000:1を超える選択性がある。また、パターンニングした試料のマンガン含量も走査電子顕微鏡(SEM)中のX線エネルギー分散分析(EDAX)により測定した。5.08原子%のマンガンが銅領域で認められたが、絶縁領域ではマンガンは検出されなかった(<0.01%)。EDAX結果によれば、選択性は、500:1超である。図19の最下部の曲線で示すように、X線光電子分光法(XPS)でも銅上にはマンガンが認められ、非多孔性絶縁体上にはマンガンが認められず、100:1超の選択性を示した。これらの分析方法中で、RBSが最高の感度を有するので、選択性は1000:1を超えると結論づける。
【0104】
k=2.2の多孔性SiCOH絶縁体では、絶縁体上に低レベルのMn(1.2x1014原子/cm)が検出され、約500:1の選択性に相等する。
【0105】
銅下地中のCVDマンガンのXPS分析で測定した分布を図17に示す。点は実験値で、線は拡散式による理論的フィットである。この理論拡散式は、マンガンの表面濃度がCVDプロセスの間一定であり、基板が堆積後、急速冷却されることを仮定している。このフィットから求めた拡散定数は、3x10−21−1で、この値は、300℃での単結晶Cu中へのMnの拡散の以前の報告値より約30倍大きい。
【0106】
実施例9
多孔性SiCOH絶縁体(k=2.2または2.4)試料に対し、米国特許出願公開2008/0032064号に記載のように、最初にALD SiOによりポアシーリングを行った(この特許は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる)。次に、実施例8に記載のように、CVDマンガンにより処理した。RBS、EDAXおよびXPSによる分析により、マンガンの堆積が絶縁体のシールされた表面上には認められないことが明らかになった。
【0107】
実施例10
銅と絶縁体の間の接着を強化するのにどのくらい多くのマンガンの堆積が必要かを知るために、追加の試験を行った。シリコンジオキシド、窒化ケイ素およびシリコン炭窒化物の絶縁下地を使用した。最初に、CVDを使って、実施例1のように、絶縁体上に銅層を形成し、次に、マンガンのCVDを、実施例1のように行った。さらに、第2のCVD銅層を堆積させた。これらの試料は、空気遮断装置を通って部屋の中に入れられ、そこで約0.1μmのアルミニウムをスパッターされ、その後、高強度エポキシで第2のシリコンウエハー片に接着される。4端子プローブ法を使った接着試験により、図18の結果が得られた。この図では、剥離エネルギーを、絶縁体の破壊表面状に残っているシリコンに対するマンガンのXPSによる比率の関数として描画している。これらの結果は、銅と絶縁体の間の界面のマンガン量の増加により、これらの材料間の接着強度が大きく増加することを示している。
【0108】
実施例11
以前に堆積させた銅層とその後に銅の最上部に堆積させた窒化ケイ素の間の界面をマンガンがどの程度強化するかを調べるために追加の試験を行った。最初に、チタニウムを熱酸化シリコン下地上にスパッターし、次いで、銅層をスパッターした。空気を遮断後、酸化した銅表面を250℃、1Torrで1時間、精製水素ガス中で加熱して還元した。次に、CVDマンガンを実施例8のように適用した。さらに空気遮断後、試料をアンモニアプラズマで処理し、0.1μmのアルミニウムスパッタリングに先立ち、約20nm厚さのプラズマCVD窒化ケイ素層を堆積させた。破壊は、窒化ケイ素と窒化ケイ素が堆積した銅の間の界面で起こった。このキャッピング位置での破壊エネルギーも図18にプロットしている。この結果は、実施例10で記載の窒化ケイ素下地の最上部に堆積させた銅−マンガンよりも、むしろさらに強く結合していることを示している。
【0109】
比較例1
実施例8と比較するために対照実験を行った。ビス(N、N−ジメチルアミノ)ジメチルシラン、(CHSi(N(CHおよび(N、N−ジメチルアミノ)トリメチルシラン、(CHSiN(CHとの反応を除外したこと以外は、実施例8と同じステップを繰り返した。RBS分析で、約3x1015マンガン原子/cmが絶縁体表面上に認められた。XPSでは、RBSのように原子の定量的な計算はしていないが、図19の最上部の曲線で示すように、このマンガン量はXPSにより容易に観察された。
【0110】
比較例2
実施例8と比較するために対照実験を行った。ビス(N、N−ジメチルアミノ)ジメチルシラン、(CHSi(N(CHとの反応を除外し、(N、N−ジメチルアミノ)トリメチルシラン、(CHSiN(CHとの反応のみを行った以外は、実施例8のステップを繰り返した。XPSにより絶縁体表面上にマンガンが検出され、従って、図19の上から2番目の曲線に示されるように、完全な選択性は得られなかった。
【0111】
比較例3
実施例8と比較するために対照実験を行った。(N、N−ジメチルアミノ)トリメチルシラン、(CHSiN(CHとの反応を除外し、ビス(N、N−ジメチルアミノ)ジメチルシラン、(CHSi(N(CHとの反応のみを行った以外は、実施例8のステップを繰り返した。XPSにより絶縁体表面上にマンガンが検出され、従って、図19の上から3番目の曲線に示されるように、完全な選択性は得られなかった。
【0112】
比較例1、2および3の結論は、ビス(N、N−ジメチルアミノ)ジメチルシラン、(CHSi(N(CHおよび(N、N−ジメチルアミノ)トリメチルシラン、(CHSiN(CHの両方を使った前処理が、CVDマンガンによる銅表面の安定化の間の、絶縁体上へのマンガンの堆積を最小限にするのを支援する、ということである。
【0113】
比較例4
実施例8と比較するために対照実験を行った。水素、Hの供給を窒素、Nの供給で置換した以外は、実施例8と同じステップを繰り返した。XPS分析では、絶縁体表面上にマンガンの存在が示された。比較例4の結論は、CVD中の水素の存在が、CVDマンガンによる銅表面の安定化の間の、絶縁体上へのマンガンの堆積を最小限にするのを支援する、ということである。
【0114】
実施例12
コバルト金属をCVDにより選択的に銅表面上に堆積させたが、適切に前処理された絶縁体表面上には、ほとんど、または全くコバルトの堆積はなかった。最初に、銅およびシリカの下地を250℃、1Torrの精製水素ガス中で1時間加熱して調製し、次に、実施例8に記載のように、シラン蒸気中に暴露した。論文「揮発性液体コバルトアミジナートの合成とキャラクタリゼーション」、Dalton Transactions of the Royal Society of Chemistry、pages2592−2597(2008)、に記載のようにして、ビス(N−tert−ブチル−N’−エチルプロピオンアミジナト)コバルト(II)を調製した。この論文は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。この液体コバルト前駆物質を、85℃のバブラー中に入れた。この温度で、この液体コバルト前駆物質は蒸気圧が約0.26Torrである。その蒸気を60sccmの高純度Nガスをバブラー経由で流してCVD装置に送り込んだ。60sccmの流速の共反応剤ガスHをCVD装置に入る直前に前駆物質の蒸気と混合した。下地を200℃の温度で保持した。銅表面を完全にコバルトで被覆するには20分の堆積で充分であった。XPSでは、銅の信号が無く、コバルトの信号のみを示したということが、被覆されたという証拠である。シリカ表面上では、コバルトのXPS信号は検出されなかったが、RBS分析では、1014コバルト原子/cm未満の値が示された。
【0115】
実施例13
シリコン上のプラズマCVDシリカ層を下地として使用し、実施例1の条件下でマンガン堆積を行い、MnSi層を形成した。次に、同じマンガン前駆物質を、2Torrの分圧のアンモニアおよび1Torrの分圧の水素と、130℃の下地温度で5分間反応させることによりCVD窒化マンガンを堆積させ、約2.5nm厚さのMnN組成を有するコーティングを得た。二乗平均平方根表面粗さを原子間力顕微鏡で測定し、0.3nmであった。この値は、かろうじて下地の値、0.2nm、より大きい。この結果は、窒化マンガンが平坦なままで残り、この低い堆積温度で凝集を起こさないことを示している。
【0116】
実施例14
窒化マンガンを実施例13と同様に堆積させた。次に、窒化マンガン層を、室温より少し高い下地温度で(表面の水素原子の再結合により、約50℃に加熱された)水素プラズマを使って還元し、マンガン金属の平坦な非凝縮層を生成した。
【0117】
実施例15
窒化マンガンのCVDの別の例として、マンガン前駆物質を、90°Cのバブラー中の液体から60sccmの高度精製窒素(水と酸素の濃度はN中の10−9未満)の中に蒸発させた。この蒸気混合物を60sccmの高度精製窒素および60sccmの精製アンモニア(NH)と管型炉の一端に入る直前のT字管のところで混合した。装置の管は内径36mmである。アルミニウム製半円筒により等温装置内の基板を支えた。装置の温度は、130°Cに制御され、装置中の全体圧力は、圧力センサーを使って装置と真空ポンプの間にあるバタフライ弁を調節して、5Torrに維持した。これらの条件下、約2.5nmの窒化マンガンフィルムを5分間で堆積させた。
【0118】
52:1のアスペクト比(直径に対する長さの比率)のホールを有する基板をこの方法を使ってMnN(x=約0.25)でコートした。図20に一部のこれらのホールのSEM断面を示す。ホールの輪郭を描く明るい線は、MnNフィルムであり、この材料がホール内面上に均一で、コンフォーマルに堆積していることを示している。X線回折により、この材料がMnNとして既知の立方晶構造を有していることが分かった。原子間力顕微鏡(AFM)により、MnNフィルムはかなり平坦で、その厚さの7%に等しい二乗平均平方根表面粗さであることが明らかになった。
【0119】
実施例16
MnNを実施例15のように堆積させた。その表面を酸化から保護するために、約50℃まで冷却している間、MnNフィルムを反応装置中の純粋な窒素流中で保持した。次に、エチルヨウ化物蒸気(CHCHI、沸点72℃)をヨウ素ソースとして使用し、ヨウ素原子を窒化マンガンフィルムの新しい表面に吸着させた。エチルヨウ化物を室温でバブラーに入れ、0.05Torrの分圧と100sccmの流量および0.5Torrの全体圧力で30秒間、窒素キャリアガスと共にその蒸気を直接反応装置に投入した。次に、同じ装置で、130℃のバブラー中に入れた液体から40sccmの高度精製窒素流中に蒸発させた銅前駆物質を使ってCVD銅を堆積させた。水素(40sccm)を180℃の基板温度および全体圧力5Torrに保持された装置に入る直前で銅前駆物質蒸気と混合した。これらの条件下、約65nmの銅を40分かけて堆積させた。
【0120】
図21は、このプロセスが30nm幅未満で、150nmを超える深さのアスペクト比5:1を超えるトレンチを銅で完全に充満させたことを示す。シームもボイドも銅の中心線に沿って認められず、MnN上の予備吸着ヨウ素がMnNから放出され、成長している銅表面上を浮遊する界面活性剤として、これらのトレンチのボトムアップ充填を触媒したことを示唆している。図22は、堆積後、ヨウ素がX線光電子分光像(XPS)の銅の最上部表面上にのみ認められることを示す。フィルムが最上部からスパッターされるに従い、ヨウ素の信号は、表面汚染由来の酸素と炭素の信号と共に消滅する。また、銅フィルムの大部分から不純物は検出されない。これらのXPSデータは、ヨウ素がMnN表面から首尾よく放出され、触媒的界面活性剤として成長する銅表面上を浮遊することを証明している。17nmのせまい幅で、150nmを超える深さの、アスペクト比9:1のさらに狭いトレンチでさえも、図23のSEMで示すように、このプロセスによりCuを充満するのに成功した。従来、アスペクト比が5:1を超える場合、銅の触媒的CVDは、トレンチのボイドフリー充填ができないと思われてきた。しかし、従来の知恵に反して、MnNの表面から放出されたヨウ素により触媒された銅のCVDによって、実質的にトレンチのボイドフリー充填が達成された。より幅が広いトレンチは、図24に示すように、同じ堆積条件により部分的に銅で充填された。銅がトレンチの側面からよりも底部から速く成長するという事実は、ヨウ素触媒がMnN層の表面から放出されたことを示す。
【0121】
図21の顕微鏡像から得られる別の驚くべき観察は、堆積後のアニーリングなしでも、大きな銅の結晶粒がトレンチの幅を完全に横断するということである。この「竹構造」は、非常に望ましいもので、理由は、エレクトロマイグレーションにより故障に至るまでの銅線の寿命を延長するからである。エレクトロマイグレーション寿命を延長する別の因子は、周辺材料に対する銅の接着が強いか否かである。従って、実施例16の記載のプロセスに従ってMnN上に成長させた平板状銅フィルムの接着について試験した。堆積後、構造物を350℃の純粋窒素ガス雰囲気中で1時間アニールした。これらの試料の4点曲げ試験により、6.5J/mを超える剥離エネルギーが得られた。この値は、次の化学機械研磨による製造に充分耐えられる高い値である。
【0122】
銅の拡散バリアとしての窒化マンガンの有効性を、シリコンとの反応による銅シリサイドを探すことにより試験した。この銅拡散試験のために、250℃の原子層堆積法(ALD)で9nm厚さのSiO層をHFでエッチングしたシリコンウエハー上に成長させ、続けて、130℃で5分間の窒化マンガンをCVDし、2.5nmのフィルムを形成し、堆積後アニールを窒素環境下、350℃で1時間行った。SiOの比較試料では、CVD窒化マンガン処理を除いた。次に、約200nm厚さの銅層をSiOまたは窒化マンガン層の最上部に堆積させた。次いで、試料を、純粋な窒素雰囲中、500℃で1時間、アニールした。銅がシリコン下地中に拡散したかどうかを調べるために、Cu層を硝酸で溶解し、窒化マンガンおよびシリカを希HFを使って除去した。次に、エッチング表面を、エネルギー分散型X線検出器(EDX)およびSEMによって分析し、図25に示す結果を得た。対象試料は、ほとんどの表面は、銅シリサイド微結晶により被覆されており、銅が薄いシリカ層を通って拡散したことを示している。窒化マンガン処理試料は、大面積EDXでは、何らのCuも示されず、MnNまたはSiOとの反応生成物が、銅の拡散に対する有効なバリアを形成することを示している。
【0123】
比較例5
MnNのCVDが除外されたこと以外は、実施例16を繰り返した。従って、エチルヨウ化物蒸気を、MnNに対してではなく、露出SiO表面に接触させた。実施例16の場合よりずっと少ない銅が堆積し、また、銅が存在するものは、コンフォーマルフィルムまたは狭いトレンチの充填ではなく、凝集粒の形であった。この比較例に基づく結果は、実施例16に示すMnNに比べて、SiOは、ヨウ素を化学吸着できず、従って、その後の放出による触媒的界面活性剤としての役目もすることができないことを示す。
【0124】
実施例17
最初の銅層が5分のみ成長させたことを除いて、実施例16を繰り返した。次に、追加のヨウ素吸着ステップを新しい銅表面に適用した。次に、追加のCuのCVDを40分間行った。類似の結果が認められたが、堆積銅全体量は、実施例16の場合よりも50%大きかったという差異もあった。おそらく、供給されたヨウ素触媒の追加の量が理由であろう。
【0125】
実施例18
窒化マンガンを最初に130℃で5分間堆積させ、2.5nmのフィルムを形成した。次に、エチルヨウ化物を0.05Torrの圧力下、50℃で30秒間、チャンバーの中に導入した。次いで、銅を180℃で5分間、堆積させ、連続層を形成して、再度、エチルヨウ化物蒸気をCu表面に50℃で30秒間、接触させた。マンガンおよび銅前駆物質を50sccmの窒素によって交互にチャンバーに運び込み、180℃の基板温度および5Torrの全体圧力下、50sccmの水素と混合した。1サイクルでマンガン前駆物質を3分間供給し、銅前駆物質を5分間供給した。このサイクルをトレンチが銅−マンガンナノ積層で完全に充填されるまで繰り返した。Mn/Cu比率は、X線蛍光分析(XRF)で定量して、約0.5原子パーセントマンガンであることがわかった。Cu−Mnナノ積層は、図26のSEM像に示すように、狭いトレンチを完全に充填した。XPS分析を使って、ヨウ素触媒は、図27に示すように、ナノ積層表面の最上部上で認められた。
【0126】
アニーリング後、実施例18に従って調製した試料は、絶縁体表面、例えば、SiO、Siおよび低k絶縁体に対し、より強い接着を示した。Cu−Mnおよび絶縁体の間の界面で、マンガンのシリコンに対する比率が、約0.5を超えると、剥離エネルギーは、約15J/m超になる。このような強い界面は、4点曲げ試験の間に破壊できない。この非常に強い接着は、エレクトロマイグレーションにより故障するまでの、銅相互接続の寿命を大きく増加させると期待される。この界面濃度を得るための銅中のマンガン量は、銅相互接続のサイズと形に依存すると思われる。0.1%〜4%または、より好ましくは0.2%〜2%の範囲の銅中のマンガンの濃度であれば、絶縁体表面に対する強い接着を得るために充分で有りうる。
【0127】
実施例19
第2のヨウ素暴露を使って実施例18を繰り返した。Mn前駆物質蒸気を60sccmの窒素を使って輸送し、同時にCu前駆物質蒸気も40sccmの窒素で輸送した。これらの前駆物質蒸気流を120℃の温度、5Torrの圧力で100sccmの水素と一緒に混合した。このガス混合物を45分かけて180℃に加熱される堆積ゾーンへ流し込んだ。図28に示すように、トレンチを銅−マンガン合金で完全に充填し、トレンチの最上部を約180nmのCu−Mn合金で被覆した。合金のMn/Cu比率を、XRFで定量し、約0.4原子パーセントマンガンおよび99.6原子パーセント銅であることがわかった。図29に示すように、XPS分析により、ヨウ素触媒は、銅−マンガン合金の最上部表面で認められた。
【0128】
ヨウ素の化学吸着およびその後の放出の充分なバランスを与える窒化マンガンの存在に関する提案した説明は、ほとんどのマンガンの近くに窒素が存在しない実施例18および19の成功した結果を説明できていないことに留意されたい。銅層と混合されたマンガンは、いずれの窒素とも接近しておらず、従って、強力にヨウ素に結合し、銅表面上の触媒的に活性なヨウ素としての利用を不可能にしていると予測されるであろう。にもかかわらず、出願者は、最初MnNまたはCuに吸着されたヨウ素は、合金中のMnの存在にも関わらず、その後のCu−Mn合金のCVDの間に、表面上へ「浮遊する」ことを立証した。Mnは、Cuより強力なヨウ素との結合を形成することが知られているという事実にもかかわらず、また、ヨウ素とMnとの間の相互作用を弱める近接した窒素が無いという事実にもかかわらず、出願者は、驚くべきことに、これらの実施例中でさえも、ヨウ素含有前駆物質を使って銅の触媒的成長の成功を立証している。
【0129】
実施例20
Mn前駆物質を0.5M濃度の不活性溶媒の1−メチルナフタレンに溶解し、溶液を直接液体注入システムを使って蒸気化して、アンモニアガスと混合し、さらに反応装置中に流し込んでMnN層を形成した。次に、実施例16のように、MnNの表面をエチルヨウ化物に暴露した。Cu前駆物質を1Mの濃度の不活性溶媒の1−メチルナフタレンに溶解し、溶液を直接液体注入システムを使って蒸気化して、水素ガスと混合して、反応装置に流し込んで薄いCu層を形成した。次に、実施例18のように、Cu表面をエチルヨウ化物に暴露した。次いで、CuおよびMn前駆物質溶液流を別々に測定・制御し、同時にDLIシステム中で蒸気化し、得られた混合蒸気を溶媒蒸気および水素ガスと一緒にCVD装置に導入した。実施例19に類似の結果が得られている。
【0130】
実施例21
MnおよびCu前駆物質を不活性溶媒の1−メチルナフタレンに溶解し、その溶液を直接液体注入システムで蒸気化したこと以外は、実施例20を繰り返した。最後の堆積ステップを行っている間、溶媒蒸気と水素ガスと一緒に混合前駆物質蒸気をCVD反応装置中に導入し、Cu−Mn合金の同時堆積を行った。実施例19と20に類似の結果が得られている。実施例20と21で使用された1−メチルナフタレンは、高い沸点を有する他の不活性の溶剤、例えば、ジエチルベンゼン、テトラヒドロナフタレンおよびプリスタン等で置換してもよい。
【0131】
実施例22
180℃の堆積温度まで安定な種々のプラスチック基板を使って実施例16を繰り返した。堆積に先立ち、プラスチックの表面を清浄化し、石英封体部を有する水銀ランプの光に暴露して空気環境中で5分間酸化した。堆積後、プラスチック表面を約0.5Ω/sq.の導電性銅フィルムで被覆した。平坦な表面のポリイミドプラスチックシートは、図30に示すように、平坦なまま残った。粗い表面のガラス繊維強化回路基板を、図31に示すようにコンフォーマルに被覆した。銅は強力にプラスチックに接着し、粘着テープ試験で剥離できなかった。
【0132】
実施例23
前記の内の1つまたは複数の実施例に従って、CVDを使って、表面に少量のIを有するMnおよびCuを含む薄層を形成することができる。Mn、Cu、およびIを含む薄層は、Cuの、より厚い層を電気めっきするためのシード層として使用できる。狭くて、かつ幅広いトレンチを有する基板に対して、このCVDステップでは、幅広いトレンチをコンフォーマルにコーティングしながら、狭いトレンチを充填可能である。その後の電気めっきにより、幅広いトレンチを経済的に充填可能である。
【0133】
実施例23の電気めっきステップの始めに、少量のヨウ素(単層よりも遙かに少ない量)を銅表面に付着させる。このヨウ素が銅メッキ浴中に溶解して、汚染する可能性がある。あるいは、ヨウ素がメッキ銅の下に残り、後で腐食または信頼性の問題の原因になる可能性がある。そのため、メッキの前に銅表面からヨウ素を除去するのが好都合でありうる。次の2つの実施例は、銅または銅−マンガン合金表面から、残っているヨウ素を除去する新規の方法を提示する。
【0134】
実施例24
CVD MnN−CVD Cu−Mn試料を実施例19のように調製した。次に、この試料を30%過酸化水素−70%水の溶液中に室温で1分間置いた。次いで、イソプロパノール中で洗浄し、乾燥した。XPSによる表面の調査で、表面上に残っているヨウ素は認められなかった。銅表面からヨウ素を除去するために、他の酸化試薬、例えば、次亜塩素酸ナトリウムまたは次亜臭素酸ナトリウム、で過酸化水素を置換してもよい。
【0135】
実施例25
CVD MnN−CVD Cu−Mn試料を実施例19のように調製した。次に、この試料を反応性イオンエッチングシステム中に置いた。最初、150ワットマイクロ波出力および50ワットRF出力を用いて、10mTorr圧力下、室温で30秒間、酸素プラズマ処理を行った。次に、150ワットマイクロ波出力および50ワットRF出力を用いて、10mTorr圧力、室温で3分間、水素プラズマ処理した。XPSによる表面調査で、表面上にヨウ素が残っていなかった。
【0136】
狭いトレンチのみを銅で充填する場合は、その後のCMPによって除去が必要な銅の量を最小限にするために、基板の平坦上面上の銅の成長を防ぐことが好ましいと思われる。この選択的プロセスの概要を実施例26で述べる。
【0137】
実施例26
2番目のヨウ素暴露後、実施例25のプラズマ処理を適用し、基板の上平坦表面からヨウ素触媒を除去すること以外は、実施例19を繰り返した。プラズマプロセスは、ヨウ素が狭いトレンチの側面および底部から除去されないように充分短い時間に制限される。次に、残っているトレンチのスーパーフィルを銅−マンガン合金のヨウ素触媒CVDによって完結する。ほんの少しの量の銅−マンガン合金が、トレンチ上の少々のバンプと共に最上部表面に形成される。この小さな銅−マンガン合金の盛り上がりは、短時間のCMPプロセスにより容易に除去可能である。
【0138】
ヨウ素触媒がトレンチ側壁の上部から除去される場合は、トレンチ側壁の上部からの銅の成長が閉塞点より下の銅のさらなる成長に出会い、これを妨害する前に、ボトムアップ成長をさらに進行させることができる。従って、より大きいアスペクト比を持つトレンチおよびビアをボイドもシームもなく充填可能である。さらに狭くて深いトレンチ充填のための、この選択的プロセスを実施例27で説明する。
【0139】
実施例27
酸素プラズマおよび水素プラズマをさらに長い時間適用し、ヨウ素を非常に狭いトレンチの上部側壁、ならびに、トレンチ間の平坦最上部表面から除去すること以外は、実施例26を繰り返した。アスペクト比10:1を超えるトレンチがボイドもシームもなく充填される。
【0140】
ヨウ素触媒が非常に狭いトレンチのほとんどの側壁から除去され、さらに銅の核形成速度がトレンチの側壁の上部および最上部で抑制されている場合、極端に狭いトレンチでも、ボイドもシームもなく充填可能である。銅の核形成を抑制する1つの手法は、上部側壁上の銅(もし存在するなら、マンガンも)を反応剤蒸気、例えば、アルカンチオール等と反応させることである。銅表面上にアルカンチオールが化学吸着すとすぐに、CVDによるさらなる銅の成長が大きく妨害される、または排除さえされてしまうことを出願者は見付けた。側壁上のヨウ素除去に続いて銅表面の不活性化の使用については、実施例28で説明されている。
【0141】
実施例28
20:1を超えるアスペクト比の非常に狭いトレンチを有する基板を使って実施例27を繰り返す。ほとんどのトレンチ壁からのヨウ素のプラズマ活性化除去の後、表面を少量のオクタンチオール蒸気に短時間暴露する。その後、トレンチの底部および底部側壁からヨウ素触媒の支援を得ながら、銅−マンガンのCVDを続行する。トレンチは、ボイドもシームもなく銅−マンガン合金で充填される。
【0142】
当業者なら、本技術貢献の趣旨と範囲から解離することなく様々な修正および付加を行うことが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積回路相互接続構造を形成するプロセスであって、
a)電気的絶縁表面および導電性の銅含有表面を含む部分的に完成し、平坦化された相互接続構造を提供するステップと;
b)前記電気的絶縁表面上に2つ以上の化合物を含む保護試薬を堆積させて相乗的に前記電気的絶縁表面のマンガン、コバルト、クロムまたはバナジウムを含む前駆物質に対する親和性を減らすステップと;
c)マンガン、コバルト、クロムおよびバナジウムからなる群より選択される金属を少なくとも前記導電性銅含有表面の一部の上に選択的に堆積させるステップ、
とを含むプロセス。
【請求項2】
前記金属の選択的堆積をCVDまたはALDにより行う請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記保護試薬が、前記絶縁表面のマンガンを含む前記前駆物質との反応性を低下させる請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記保護試薬が、前記絶縁表面のコバルトを含む前記前駆物質との反応性を低下させる請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記保護試薬が、前記絶縁表面のクロムを含む前記前駆物質との反応性を低下させる請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記保護試薬が、前記絶縁表面のバナジウムを含む前記前駆物質との反応性を低下させる請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
前記保護試薬が、選択的に前記電気的絶縁表面上に堆積される請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
前記保護試薬が、2つ以上のアルキルシランを含む請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
アルキルシランが、1つまたは複数のシリコンに結合したジアルキルアミド基を有する化合物を含む請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
1つまたは複数のシリコンに結合したジアルキルアミド基を有する化合物が、ビス(N、N−ジアルキルアミノ)ジアルキルシランおよび(N、N−ジアルキルアミノ)トリアルキルシランを含む請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
集積回路相互接続構造を形成するプロセスであって、
a)1つまたは複数のビアおよびトレンチを有する部分的に完成した相互接続構造を提供し、前記ビアおよびトレンチが、1つまたは複数の電気的絶縁材料により定まる側壁および導電性銅含有底面領域を含むステップと;
b)マンガン、クロムおよびバナジウムからなる群より選択される金属の窒化物を含む層を、前記部分的に完成した相互接続構造上に堆積させるステップと;
c)前記1つまたは複数のビアおよびトレンチ内に銅を堆積させるステップ、
とを含むプロセス。
【請求項12】
前記1つまたは複数のビアおよびトレンチ内に前記銅を堆積させる前に、金属窒化物を含む前記層から窒素を除去することをさらに含む請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
前記窒素除去が、前記構造を水素含有プラズマに接触させることにより達成される請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
前記銅堆積が、液体溶液による電気めっきまたは無電解メッキを含む請求項11に記載のプロセス。
【請求項15】
前記銅堆積が、CVDまたはALDによる蒸気相からの堆積を含む請求項11に記載のプロセス。
【請求項16】
金属窒化物を含む前記層が、窒化マンガンを含む請求項11に記載のプロセス。
【請求項17】
金属含有前駆物質の蒸気由来の金属含有層を堆積させるステップであって、金属がマンガン、クロムおよびバナジウムからなる群より選択されるステップと;
ヨウ素または臭素含有前駆物質の蒸気由来のヨウ素または臭素含有物質を堆積させるステップであって、前記ヨウ素または臭素含有物質が前記金属含有層の上または内部に化学吸着され;さらに
銅含有前駆物質の蒸気由来の銅含有物質を堆積させるプロセスであって、前記ヨウ素または臭素含有物質が銅含有物質の触媒堆積を可能にするステップ、
とを含むプロセス。
【請求項18】
前記ヨウ素または臭素含有物質の堆積を、前記金属含有層の堆積の後で行う請求項17に記載のプロセス。
【請求項19】
前記ヨウ素または臭素含有物質が、前記金属含有層の表面上に化学吸着する請求項17に記載のプロセス。
【請求項20】
前記金属含有層がマンガン含有層であり、また、前記金属含有前駆物質がマンガン含有前駆物質である請求項17に記載のプロセス。
【請求項21】
前記マンガン含有層が、さらに窒素を含む請求項20に記載のプロセス。
【請求項22】
前記金属含有層がクロム含有層であり、また、前記金属含有前駆物質がクロム含有前駆物質である請求項17に記載のプロセス。
【請求項23】
前記金属含有層がバナジウム含有層であり、また、前記金属含有前駆物質がバナジウム含有前駆物質である請求項17に記載のプロセス。
【請求項24】
ヨウ素または臭素含有前駆物質の蒸気由来の追加のヨウ素または臭素含有物質を前記銅含有物質上に堆積させるステップと;さらに
銅含有前駆物質の蒸気由来の追加の銅含有物質を堆積させるステップであって、追加のヨウ素または臭素含有物質が追加の銅含有物質の触媒堆積を可能にするステップ、
とをさらに含む請求項17に記載のプロセス。
【請求項25】
前記追加の銅含有物質が、銅およびマンガンを含む請求項24に記載のプロセス。
【請求項26】
前記追加の銅含有物質が、マンガン含有前駆物質の蒸気から同時堆積される請求項24に記載のプロセス。
【請求項27】
前記マンガン含有前駆物質が、マンガンアミジナートを含む請求項20に記載のプロセス。
【請求項28】
マンガンアミジナートが一般構造
【化1】


を有し、式中、R、R、R、R1’、R2’およびR3’は、水素、炭化水素基、置換炭化水素基、および他の非金属の原子の基からなる群より選択される請求項27に記載のプロセス。
【請求項29】
、R、R、R1’、R2’およびR3’が、水素、アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、トリアルキルシリル、アルキルアミドおよびフルオロアルキル基からなる群より独立に選択される請求項28に記載のプロセス。
【請求項30】
マンガンアミジナートが構造
【化2】



である請求項29に記載のプロセス。
【請求項31】
前記銅含有前駆物質が銅アミジナートを含む請求項17に記載のプロセス。
【請求項32】
銅アミジナートが一般構造
【化3】



を有し、式中、R、R、R、Rl’、R2’およびR3’が水素、炭化水素基、置換炭化水素基、および他の非金属原子の基、からなる群より選択される請求項31に記載のプロセス。
【請求項33】
、R、R、Rl’、R2’およびR3’が水素、アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、トリアルキルシリル、アルキルアミドおよびフルオロアルキル基、からなる群より独立に選択される請求項32に記載のプロセス。
【請求項34】
銅アミジナートが構造
【化4】



を有する請求項33に記載のプロセス。
【請求項35】
銅が1つまたは複数のビアおよびトレンチを有する部分的に完成した相互接続構造上に堆積され、前記ビアおよびトレンチが1つまたは複数の電気的絶縁物質により定まる側壁および導電性銅含有底面領域を含む請求項17に記載のプロセス。
【請求項36】
前記堆積銅が前記ビアおよびトレンチを実質的に充填する請求項35に記載のプロセス。
【請求項37】
前記堆積銅が、約0.1%〜約4%の範囲のマンガン濃度である請求項17に記載のプロセス。
【請求項38】
前記堆積銅が、約0.2%〜約2%の範囲のマンガン濃度である請求項17に記載のプロセス。
【請求項39】
前記銅含有物質の少なくとも表面の一部からヨウ素または臭素を除去することをさらに含む請求項17に記載のプロセス。
【請求項40】
前記ヨウ素または臭素の除去が酸化プロセスを含む請求項39に記載のプロセス。
【請求項41】
前記酸化プロセスが、前記銅含有物質の少なくとも表面の一部を水素過酸化物、次亜塩素酸ナトリウム、次亜臭素酸ナトリウム、オゾン、酸素プラズマ、およびこれらの混合物、からなる群より選択される酸化剤に暴露することを含む請求項40に記載のプロセス。
【請求項42】
前記ヨウ素または臭素除去が還元プロセスをさらに含む請求項40に記載のプロセス。
【請求項43】
前記還元ステップが水素プラズマを含む請求項42に記載のプロセス。
【請求項44】
銅の堆積を減らすために、前記ヨウ素または臭素除去後、前記銅含有物質の少なくとも表面の一部を改質することをさらに含む請求項39に記載のプロセス。
【請求項45】
前記改質が、銅表面のアルカンチオールとの反応を含む請求項44に記載のプロセス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図20】
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【図21】
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【図23】
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【図24】
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【図26】
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【図28】
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【図30】
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【図31】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図22】
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【図25】
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【図27】
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【図29】
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【公表番号】特表2013−508979(P2013−508979A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535339(P2012−535339)
【出願日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【国際出願番号】PCT/US2010/053391
【国際公開番号】WO2011/050073
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(502072134)プレジデント アンド フェロウズ オブ ハーバード カレッジ (92)
【氏名又は名称原語表記】President and Fellows of Harvard College
【Fターム(参考)】