説明

移動レンズマルチビームスキャナを備えたウェハ欠陥検出システム

【課題】大量のスループットを可能にする高速プロセスを有する光学検査システムを提供する。
【解決手段】レーザ光源101からの光ビーム151は、活性領域を有し、複数の移動レンズを活性領域に選択的に生成するようにRF入力信号に対して応答する移動レンズ音響光学デバイス104に適用される。該音響光学デバイスは、生成された移動レンズの各々の焦点のそれぞれで、光ビームを受け、複数のフライングスポットビームを生成するように動作する。該ポットビームは半導体ウェハ108を走査する。使用可能な走査データを生成するために、複数の検出器セクションを有する光検出器ユニット110が使用され、各検出器セクションは、複数の光検出器と、複数の光検出器からの入力を並列に受けるように動作する少なくとも1つのマルチステージ格納デバイスとを有する。格納デバイスの各々に格納された情報は、複数のステージから同時に連続して読み出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[01]本発明は、分析下にあるウェハを照明し、反射光または透過光の分析によって欠陥を特定するために走査レーザビームを使用するウェハ欠陥検出システムに関する。特に、本発明は、検査下にあるウェハ、レチクル、マスクなどのサンプルを同時に照明し、同時に検出された対応する反射または透過ビームを生成する複数のビームを用いたスキャナシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
[02]半導体製造プロセスにおける品質保証プロセスの一環として、ウェハ表面上の欠陥、粒子、および/またはパターンを検出するために、半導体ウェハを自動的に検査するためのさまざまなシステムが使用されている。サブミクロンの半導体製造プロセスにおいて要求される信頼性と精度を与えるために、高解像度および高コントラスト撮像を有することが、現行の検査システムの目標である。しかしながら、ウェハ生産の過程で、品質保証プロセスにより進行が妨げられることがないように、大量のスループットを可能にする高速プロセスを有することも重要である。したがって、光学検査システムで使用しなければならないものは、より短い波長、より多い開口数の光学系、および高密度イメージキャプチャ技術であり、所望の製品スループット要求を満たすであろう十分な高速で、このようなシステムからのデータを処理することができるようになる。
【0003】
[03]現時点でウェハ検査システムにおいて使用されている従来の撮像アーキテクチャは、高速撮像用に単一のスポット走査レーザを利用する。しかしながら、このようなアーキテクチャによって達成可能なデータレートは、単一のレーザビームの速度および品質の制限により生じる物理的制約、適用可能な光学系、および関連する検出デバイスによって制限される。例えば、点光源として作用する単一のレーザは、検査下にある物体上のスポットに集束され、物体の表面中を走査し、走査と連携してステージ機構上で静止されたり動かされたりしてよい。その後、物体からの反射光は、検出器に撮像され、走査プロセスからピクセルデータを生成する。検出器は、CCDアレイであってよく、その個々の要素は、従来のように、ビームが走査され、順次読み出されるとき、反射光を受けるように配置される。このような点光源の照明から高解像度が得られることもあるが、視認可能な像を構築するために、領域の各点を走査する必要があると、システムにスループットの制限が課せられてしまう。
【0004】
[04]単一レーザビームの走査は、米国特許第5,065,008号に開示されているような回転ミラーシステムまたは音響光学セルによって達成されてよい。しかしながら、これらの単一スポット走査アーキテクチャは、必然的に速度が制限され、走査収差、低照明輝度、および高輝度レーザ源が使用された場合の標本への潜在的な熱ダメージを被る可能性がある。固定位置である領域にわたって単一の光点を移動させることによって、同期された走査パターンを発生しながら、固定された照明および像位置に対して標本を移動するステージタイプの走査システムが使用される場合でも、現行の半導体製品のサブミクロン構造を検査するのに必要な高データレートの達成は不可能である。
【0005】
[05]したがって、静止タイプのシステムであれステージタイプのシステムであれ、標本走査中に収集されたデータの信頼性および精度を維持し、または更に高めながら、標本スループットを高める標本走査システムが必要とされている。この需要は、標本を走査するために複数の並列走査ビームを利用し、標本が表面から光を反射させることによって検査されるか、または表面に光を透過させることによって検査されるかに応じて、複数の反射ビームまたは並列透過ビームを検出し、同時に複数の反射または透過ビームを処理することによって、単一のスポット走査システムよりスループットが著しく高められる本発明により満たされる。
【発明の概要】
【0006】
[06]本発明は、光ビームを与える単一の光源を用いて標本を検査するシステムに関する。光ビームは、移動レンズ音響光学デバイスに撮像され、このデバイスは、活性領域を有し、RF入力信号に応答して、活性領域に複数の移動レンズを選択的に生成する。移動レンズ音響光学デバイスは、生成された移動レンズの各々の焦点のそれぞれで、光ビームを受け、複数のスポットビームを生成するように動作する。また、システムは、複数の検出器セクションを含む光検出器ユニットを含み、各検出器セクションは、複数の光検出器と、複数の光検出器からの入力を並列に受けるように動作する少なくとも1つのマルチステージ格納デバイスとを有する。マルチステージ格納デバイスの各々に格納された情報は、複数のステージから同時に連続して読み出される。
【0007】
[07]本発明の別の特徴によれば、本発明は、複数の走査スポットビーム源を含む標本検査システムを含む。ビームは、標本の表面に撮像され、複数のビームが、標本から反射または標本を透過することによって発生する。複数の検出器セクションを有し、各検出器セクションが、複数の光検出器と、複数の光検出器からの入力を並列に受けるように動作する少なくとも1つのマルチステージ格納デバイスとを有する光検出器ユニットが使用される。マルチステージ格納デバイスの各々に格納された情報は、複数のステージから同時に連続して読み出される。
【0008】
[08]本発明の更なる別の特徴によれば、本発明は、標本を検査するための方法に関する。この方法は、単一の光源から複数のフライングスポットを供給することと、標本の表面上で複数のスポットビームを走査することとを含むことで、対応する複数のビームが、標本から反射するか、または標本を透過することによって生成される。その後、反射ビームの各々の内容が取り込まれ、それぞれの信号格納セクションに同時に格納される。格納された情報は、連続して読み出されることによって、速度および走査データのスループットが高まる。
【0009】
[09]本発明の更なる特徴は、複数の同時走査スポットを供給する複数の移動レンズを生成するために、光源およびRF入力を受けるように適合された音響光学デバイスを達成することである。このデバイスは、音波の伝播方向を規定する活性領域を有する結晶媒体と、RFチャープ入力を受け、音波の伝播方向に媒体の一端に位置するRF入力部分と、音波の伝播方向に交差する位置にあり、光源からの光を受けるための光入力部分と、光出力部分とを含む。RF入力部分へ入力される一連のRFパルスは、活性領域に同時に存在する移動レンズのシーケンスを生成するように動作し、移動レンズは、光入力部分へ入力される光を受け、光出力部分から出力された複数のスポットビームを生成するように動作する。
【0010】
[10]本発明の更なる特徴は、活性領域を有し、光入力部分で光源を受け、光出力部分から複数の同時発生スポットを供給する複数の移動レンズを生成するためのRF入力部分を受けるようにされた音響光学デバイスを動作する方法である。この方法は、RF入力部分に一連のチャープ入力パルスを入力することによって、音波が各入力パルスに対して形成され、伝播方向に活性領域において伝播するステップと、この伝播方向に交差する方向に、供給源からの光を光入力部分に入力するステップと、光を伝播する音波に適用するステップとを含み、音波は、移動レンズを形成し、活性領域に同時に存在し、移動レンズの各々は、この光を集束させ方向付けるように動作することによって、各レンズに対するそれぞれのスポットビームが、光出力部分から出力される。
【0011】
[11]本発明の更なる特徴は、複数の同時走査スポットビームを検出するためのリニア光検出器ユニットである。光検出器ユニットは、共通軸に沿って線形に配置された複数の隣接する光検出器セクションを備える。検出器セクションの各々は、複数の隣接する光検出器と、複数の光検出器からの入力を並列に受け、複数のステージに格納された情報を連続して読み出すように動作する少なくとも1つのマルチステージ格納デバイスとを有する。
【0012】
[12]本発明の更なる特徴は、第1の複数のセクションを有するリニアCCDに格納された複数のピクセルを検出するための方法であり、各セクションは、第2の複数のピクセル格納要素を含み、第3の複数の同時走査ビームのそれぞれから入力を受ける。この方法は、それぞれの信号格納セクションに同時に第3の複数のビームの各々の内容を取り込み格納することと、格納された信号を同時に連続して読み出すこととを含む。
【0013】
[13]本発明の更なる特徴は、標本の表面から明視野と暗視野の両方の像を検出するための装置であり、明視野像は、少なくとも1つのCCDによって検出され、暗視野像は、光電子倍増管(PMT)などの少なくとも1つの高感度検出器によって検出される。
【発明の詳細な説明】
【0014】
[21]以下の詳細な記載は、本発明の例示的な実施形態であって、本発明は、それらに限定されるものではなく、当業者に公知のように、修正および補助的な構造が追加されてよい。特に、制限を加えるものではないが、標本の共通側面上に配置された光源および検出ユニットを用いて反射光を検出することによって標本表面を検査すること(「反射システム」)に関して、例示的な実施形態が開示されているが、当業者であれば、光源のものとは反対にある標本の側面上にある検出ユニットを用いて、透過光を検出することによって透過標本を検出すること(「透過システム」)に容易に適合可能であることは、容易に明らかなことであろう。例えば、透過システムにはビームスプリッタがないことにより、反射システムと透過システムとは異なるものであるが、本発明の原理は、両方のタイプのシステムに適用可能である。当業者により理解されるように、両方のタイプのシステムは、本発明により、標本を検査するさいに別々にまたは一緒に利用されてよい。
【0015】
[22]図1は、本発明による移動レンズマルチビームスキャナを利用した、ウェハ、レチクル、または同様の標本の検出システム100の略図である。制限を加えるものではなく、例示的にのみ、標本は、いくつかの製造ステージの任意のステージにおいて、複数の半導体素子を有する8インチまたは12インチウェハなどの任意の半導体製品であってよく、または、製造プロセスにおいて使用されるマスク、レチクルなどであってよく、このような標本は、欠陥、異物、またはパターン精度に関する検査が必要不可欠である。このようなシステムでは、標本表面上に現れる構造、欠陥、または物体のサイズ、位置、およびタイプを高精度および高信頼性に特定することが望まれる。また、検査および品質保証のステップにかけられる製造プロセスの遅延を最小限に抑えるために、このような特定を高速処理することも望まれる。
【0016】
[23]システム100は、光ビーム出力151を発生するCW(またはパルス状)レーザ101などの明光源に依存する。ビーム151は、ビーム151を拡張および平行化して、当業者に公知の方法で均一の強度プロファイルを有するビーム152を形成する従来のデザインのビーム形成器に適用される。ウェハ検査では、レーザは、例えば、248nmまたは193nmなどの短波長で動作して、安定した出力パワー(または安定したパルスエネルギーまたはパルスレート)、安定した横モード、および安定したビームポインティングで高解像度を生じさせることが好ましい。平行化されたビーム152は、従来のミラー103に適用されて、ビーム153を形成して動作レンズ系に向け、その構成部品については、更に詳細に後述する。
【0017】
[24]特に、形成されたビーム153は、形成ビーム153を複数のビーム154a、154b、154cに変換するように動作する移動レンズ音響光学デバイス104に投影される。便宜上、3つのビームを例示的に示しているが、ビームの数は、それよりも多くてもよく、例示的な実施形態では、10本以上の同時発生する走査ビームであってよい。移動レンズ音響光学デバイス104は、一連のチャープRFパルスの各々に応答し、単一のパルスにより、単一のレンズが生成され、一連のパルスにより、移動レンズデバイス104に複数の段階的なレンズが形成される。各レンズは、入力レーザ光を受け取り出力で集束させることによって、所望の数のビームを形成する。RFパルスがデバイス104を通って移行するにつれ、関連付けられたレンズは移動して、走査の性質に合わせてそれらのビームの各々を移動させる。
【0018】
[25]音響光学セルの基本理論、構造、および材料は、「Optical Scanning」、Gerald F.Marshall編集、Chapter11(Marcel Dekker,Inc.出版、1991年)に教示されている。675〜677頁に説明されているように、単一ビームの周波数チャープ走査は、線形周波数掃引(「チャープ」)が適用される音響光学ブラッグセルを伴う。セルの光学開口で発生した周波数勾配が、焦点距離がチャープレートに基づく円柱レンズとして作用することになる。線形掃引された音響周波数によって回折された光は、集束または発散することがあり、相補的な光学レンズによって補償されてよい。この開示によれば、音響光学スキャナにより、コストと性能の面での著しい利点が得られ、特に、ランダムアクセス時間が短い。音響光学スキャナは、典型的に、1つの走査ビームを生成し、複数のビームが望ましい場合、Marshallの書籍の682〜83頁に開示されているように、各々がチャープRFパルスを受け取る複数のチャープセルが要求される。更に詳しく言えば、線形増大する周波数が、アレイ状に複数のチャープセルの各々のドライバに適用されると、アレイの各平行化ビームの連続した角度走査がブラッグ条件に応じて発生されるため、時間領域でピッチが増大する位相格子ができることによって、スポットのアレイの線形走査を生じる。高周波数カットオフで、ドライバ信号はゼロに設定されることによって、チャープセルの音響エネルギーを消失させることができ、次の走査を始動する前にスポットをリセットする。
【0019】
[26]Marshallの682〜683頁には、帯域幅が倍増されるものと、解像度が倍増されるものを含む2つのタイプの音響アレイスキャナが教示されている。最初のケースでは、多数の個々に駆動される小型の密接に配設された変換器が、TeOガラスおよびPbMoOおよびTeO結晶から作られた音響光学媒体上に並列に取り付けられる。音響光学アレイの第2のケースでは、構成要素が直列に配設される。各々が特定の解像度(ライン当たりのポイント数)を有するスキャナのアレイは、複合光学系を用いることによって、更に高い解像度(ライン当たりのポイント数)を生じることができる。
【0020】
[27]対照的に、本発明において使用される音響光学デバイス104は、一連の入力RFパルスに基づいた複数の移動レンズを生成するのに効果的な単結晶を用いる。デバイスの単結晶は、UV光源と適合性のある材料から構成され、溶融シリカ、GaAs、またはTeOガラスから作られた音響光学媒体を有することが好ましいが、UV光との適合性を備えた他の公知の材料が使用されてもよい。結晶は、両面で0.5%未満とされた反射防止コーティングを各主要面上に有する。デバイスは、266nmの波長および130MHzの帯域幅を有する200MHzの中心周波数で、縦音響モードで動作することになる。RFパワーは、3.0ワット未満である。1つの例示的な実施形態において、デバイスの活性開口は、「H」1.0mm×「L」60mmであってよい。
【0021】
[28]動作時、図4に更に詳細に示すように、当業者によって理解されるように、単一のビームまたは複数の平行化されたビームであってよいレーザ光401が、変換器410の1つの主要な表面411に適用される。RF生成器430は、一連の「チャープ」またはパルス状のRF波形431、432、433などをRF入力ポート(SNAコネクタ)413に出力し、例示的な実施形態において、これらの持続時間および振幅は同一であることが最適であるが、移動レンズの所望の光学的な効果に応じて異なったものであってよい。ポートは、光路に対して横断するように配置され、RF波形を結晶の縁で投入することができ、例示的な実施形態において、5.96mm/μsまたは音速とほぼ同じである速度で、結晶の長さを横断する圧力波を確立する。結晶媒体を伝播する圧力波は、入力主要表面411に入り、出力主要表面412から出るレーザ光401に段階的な焦点レンズ421、422を与えるように整列される。当業者によって理解されるように、各レンズ421、422は、焦点443、444で通過ビーム441、442を集束することになる。
【0022】
[29]再度、図1を参照すると、音響光学デバイス104の活性領域において複数の段階的なレンズ104a、104b、104cを作り出す効果により、作り出されたレンズの各々に対して移動レンズ音響光学デバイスの焦点154a、154b、154cでフライングスポットが発生される。その後、フライングスポット154a、154b、154cは、従来のコリメータレンズ105を通過して、平行化されたビーム155a、155b、155cの群は、ダイクロイックミラー106の表面106aに入射するが、ダイクロイックミラー106を通過する。ミラー106は、走査されるウェハ、レチクル、または他の標本108の表面に複数のビーム156a、156b、156cとして撮像するための対物レンズ107へ、平行化されたビーム155a、155b、155cのすべてを送る。対物レンズ107によって出力された複数の平行なビーム156a、156b、156cは、ウェハ、レチクル、または他の標本の表面上の個々のスポット108a、108b、108cに集束され、平行なビーム157a、157b、157cとして反射される。これらの反射ビーム157a、157b、157cは、再度、対物レンズ107を通過し、ダイクロイックミラー106の背面106bに向けられる。これらの平行な反射ビーム158a、158b、158cは、ミラー106によって反射され、コリメータレンズ109に適用される。
【0023】
[30]レンズ109からのビームは、マルチステージ、マルチタップの垂直転送CCD110を有するカメラに出力される。CCDは、ビーム159a、159b、および159cの1つによって照明されるそれぞれの検出領域111、112、113を有する。ビームがウェハ108の表面を走査し、並列イメージストリームを発生すると、電荷結合素子110の各セクタ111、112、113のセルは、各ビームのそれぞれにおける出力ピクセルを取り込む。マルチタップCCD110の各セクタ111、112、113は、ビーム159a、159b、159cに対応するシフトレジスタセクション114、115、116をそれぞれ有する。これらの平行入力セクタは、並列に読み出されてよいことから、画像検出デバイスのスループットが上がる。したがって、所与の時間期間において、一連の読出しパルスをシフトレジスタの各々に入力することで並列読出しが実行されることによって、それらの内容を並列データストリームで出力させる。
【0024】
[31]一般的な例において、シフトレジスタ114を有する第1のセクタ111は、増幅器121を介して入力されるセクタ転送信号160aによって読み出される。この信号は、ステージが並列に積載されたシフトレジスタが、バッファ131を介して出力ライン161aにデータを連続して読み出すようにする一連のパルスである。同様に、セクタ2およびセクタ3のクロッキング信号は、増幅器122、123を介して、マルチタップのCCDセクタ112、113のシフトレジスタ115、116のそれぞれに適用される。増幅器132、133を介して連続して読み出された結果的に得られたデータは、データ出力161b、161cに与えられる。
【0025】
[32]マルチセクションタップのリニアCCD構造110によりウェハまたは標本108の表面から後方反射された光ビーム157a、157b、157cを取り込むと、高度に効果的かつ効率的なデザインが得られる。構造110は、走査および反射光用に同じ対物レンズ構造が使用されるように構築される。更に、各走査ビームからの反射光が、セグメント化されたCCD構造110に適用されると、標本のそれぞれのセクションを走査することから引き出された情報の内容は、一時的なシフトレジスタに並列転送された後、連続して読み出される。CCD110の複数のセクタからの転送により、大量のデータスループットが得られ、これは、ウェハ検査システムにおいて極めて望ましいものである。
【0026】
[01]図5に、実際的なカメラデザインのセンサ500の例示的な実施形態を示す。デバイスは、2048個の素子501を有するリニアCCDであり、各素子は、横寸法が16μmであり、縦寸法が64μmであるピクセルサイズと、16μのピクセルピッチを有する。2048個の素子は、32個の素子501を各々が有する64個の独立したセクション502に分割され、各素子501は、第1の一時的な格納ステージ504への出力503を有し、この出力503は、セクション502の他の31個の素子の出力と並列に設けられる。セクション502は、別のセクションに対してすぐに隣接した位置に設けられる。別の実施形態において、高速化を図って、1つのタップ当たり16ピクセルしかない128個の出力を設けてもよい。各第1の一時的な格納ステージ504の32個の値は、それぞれのクロックC〜C64によって、それぞれの第2段の格納ステージ505へ並列に読み出され、すべての第2段の格納ステージ505の32個の値は、単一のクロックCに応答して、それぞれの読出しシフトレジスタステージ506へ読み出される。各読出しシフトレジスタステージ506の32バイトは、クロック入力Cによって連続してクロックされ、レジスタからアナログ出力された電圧モードは、64個のセクション502の各々に対するそれぞれの出力ポートOUT〜OUT64に与えられる。当業者により理解されるように、適切な動作のために、デバイスに適切な電圧が適用される。このアーキテクチャを備えたセンサは、20〜40MHzのデータレート(1.0〜1.6MHzラインレート)と、1秒当たり2.0〜3.2Gpixの範囲の出力を有するようにデザインされてよい。
【0027】
[34]再度、図1の略図に戻ると、スポットタイミングは、単一CCDセクション114〜116に対してスポットが1つのみであるようにデザインされる。実際、図5のリニアセンサと10ビームスキャナを用いた例示的な実施形態において、各々が32ピクセルに対する格納を有する64個のセンサセグメントの6分の1のみが、一度に1つの入力を受け取ることになる。単一ビームを複数のセグメントに入力すると、ビームが次のセクションに移動すると、必要な格納および読出し処理が可能な遅延が得られる。例示的かつ非制限的に、図2には、2つのみのスポットのタイミング図が示されているが、以下の教示により追加のスポットに容易に推定されてよい。図において、タイミング(t)ライン200は、複数のスポットによってウェハの表面、レチクル、または他の表面の走査に参照を与える。表面が所定の速度でy(ページ縦)方向に移動する間、スポットは、x(ページ横)方向に沿って走査する。最初、スポット1は、ウェハのセクション1上に配置され、時間期間201中の位置211に示すように、ウェハまたは他の表面のセクション1中を走査する。走査は、ステージ上でのウェハなどの動きによる表面の上向きの動きにより、右側へ上向きに傾斜する。第2のスポットは、処理位置220に示すように、まだ走査が始まっていない。時間期間201では第1のスポットのみしか走査していないため、処理部分230でセクション1または処理部分240でセクション2から転送されるデータはなく、処理部分250で出力されるデータもない。
【0028】
[35]第2の時間期間202中、セクション1の走査は、スポット1によって完了し、走査線212の部分によって示すように、セクション2の走査を始める。同時に、第2のスポットは、走査線221で示すように、セクション1の走査を始める。時間期間202の開始時、期間201でのセクション1の走査中に獲得されたデータのすべてが、231で並列に出力される。しかしながら、この時点でセクション2に対して蓄積されたデータはないため、処理部分240での入力はない。しかしながら、231でセクション1から並列転送されたデータは、データセクション1の出力251で示すように、時間期間202中に連続して出力される。
【0029】
[36]期間203の開始時、スポットビーム1は、213でセクション3の走査を開始するのに対して、スポットビーム2は、222でセクション2の走査を開始する。処理部分230において、セクション1においてスポット2によって蓄積されたデータは、232で転送されるのに対して、セクション2のスポット1でのデータは、241で転送される。時間期間203中、セクション1および2の各々に対するデータ(走査221、212によって収集)は、252および253でそれぞれ連続して読み出される。10本のビームを使用し、リニアスキャナの64個のセクションを有する例示的な実施形態の場合、CCDの少なくとも6個のセクションが各ビームから入力を受けた後に別の走査の開始に戻るように、ビームがウェハなどの表面の一部分を走査しなければならないことは明らかである。したがって、6個のセクションの走査に相当するデータ出力時の遅延が存在する。ビーム走査とCCD出力との間の同期は、最適な出力を達成するために容易に達成される。
【0030】
[37]図3は、検査下にあるウェハ、レチクル、または同様の物体の実際の表面300を示す。横方向の目盛り0〜12は、個々のピクセル(明るい正方形301〜312)の位置を特定し、これらのピクセルのいくつか(301、304、307、および310)は、ウェハ、レチクル、または他の物体の動きに対して直交する方向に進む走査の走査開始点である。この動きは、数字0〜10で目盛りがつけられた方向にある。ウェハ自体は、単一のシリーズにおいて複数のビーム350、360、および370によって走査され、ビーム走査は、図の右側のピクセル10での走査シリーズ350’の開始で示すように、後続するシリーズで繰り返される。ウェハが、縦方向に数字0〜10の推移によって示されている従来の移送ステージ装置170(図1)によって移動されると、ビームは、ウェハの表面にわたって対角線に走査するように見える。そのため、第一のシリーズ走査において、スポット350は、セクタ1の点301で始まる。その後、走査するにつれ、スポット350は、セクタ2のピクセル302、セクタ3のピクセル303、以下同様、に移動する。第2のスポット360は、セクタ1の点304で始まり、セクタ2の点305、セクタ3の点306、セクタ4の点307、以下同様、に移動する。セクタ1の点7で始まるスポット370も同様の動きをする。走査の第2のシリーズは、スポット350’で再度始まるが、この場合、セクタ1の点310で始まる。第2の走査においてスポット360および370の走査が同様に繰り返され、ウェハがステージ170によって移動されると、後続するシリーズにおいて、スポット350〜370の走査が同様に繰り返される。この走査を行えば、ウェハの全領域の並列読出値を見ることができる。
【0031】
[38]図6Aに、第2の例示的な実施形態が示されており、同図において、システム600は、図1の実施形態と実質的に同一であるが、移動レンズの各々から複数のビームを作り出すために、ビームスプリッタを使用している点が異なる。更に詳しく言えば、レーザ601は、従来のビーム形成器602に適用される光ビーム出力651を発生して、当業者に公知の方法で均一の強度ビームプロファイルを有するビーム652を形成する。平行化されたビーム652は、音響光学移動レンズ604を有する動作レンズシステムにビーム653を方向付けるための従来のミラー603に適用される。移動レンズ音響光学デバイス604は、形成されたビーム653を複数のビーム654a、654b、654cに変換するように動作する。この場合も、便宜上、例示的に3本のビームが示されているが、ビームの数は、それよりも多くてもよく、例示的な実施形態では、10本以上の同時発生する走査ビームであってよい。移動レンズ音響光学デバイス604は、一連のチャープRFパルスの各々に応答し、移動レンズデバイス604の活性領域に複数の段階的なレンズの1つを形成する。音響パルスがデバイス604を通って移行するにつれ、関連付けられたレンズは移行して、走査の性質に合わせてそれらのビームの各々を移動させる。音響光学デバイス604の活性領域にある複数の段階的なレンズ604a、604b、604cにより、移動レンズ音響光学デバイスの焦点654a、654b、654cで複数のフライングスポットが発生し、その後、フライングスポット654a、654b、654cは、従来のコリメータレンズ605を通過する。
【0032】
[39]第1の実施形態とは異なり、コリメータレンズ605の複数ビーム出力は、ダンマン格子またはビームスプリッタ(図示した実施形態では1×3タイプであるが、他の分割率も本発明の範囲内である)を通過することによって、いくつかの散開したビーム655a、655b、655cが生成される。分割された各ビームのエネルギーが実質的に等しいものである限り、当業者に公知の任意の手段によって分割が実行されてよい。これらのビームの各々は、ダイクロイックミラー606の表面に入射し、複数のビーム656a1〜3、656b1〜3、656c1〜3として走査対象の標本608の表面に撮像するための対物レンズ607に通される複数のスポットビーム(655a1〜3、655b1〜3、655c1〜3、図示せず)を含む。対物レンズ607によって出力された複数の平行ビーム656a1〜3、656b1〜3、656c1〜3は、標本の表面上の領域608a、608b、608cに集束される。これらの領域の各々は、ビーム655a、655b、および655cの別々のものから生じる別々のフライングスポットによって走査され、例示的な実施形態において、図6Bに示すような走査線構造を発生し、同図において、別々のビーム656a、656b、656cからの走査は一まとまりであるが、時間と位置がずれている。これらの走査は、平行ビーム(各々3つの走査での3本のビーム、図示せず)として戻され、これらのビームは、対物レンズ607を再度通過して、ダイクロイックミラー606の背面に向けられる。これらの平行な反射ビームは、ミラー606によって反射され、コリメータレンズ609に適用される。
【0033】
[40]レンズ609からのビーム659a1〜3、659b1〜3、659c1〜3は、3つのカメラに出力され、これらのカメラの各々は、図1の実施形態のリニアCCDのものと同様の構造および機能を備えたマルチステージ、マルチタップの垂直転送CCD610A、610B、610Cをそれぞれ有する。このアーキテクチャにより、画像検出デバイスのスループットおよび解像度が更に高まる。
【0034】
[41]図7aに示すような更なる別の例示的な実施形態において、すでに開示したような複数のフライングスポットまたは単一スポットを含むものであってよい光源からのレーザ光が、第1のダイクロイックミラー710を通過してよい。ミラー706は、第1の表面710aを介してレーザ光701を通過させるが、標本から戻る光を反対側の表面710bから反射させる。通過したレーザ光702は、レーザ光を通過させる第1の表面720aと、暗視野光704を反射する第2の表面720bとを有する第2のダイクロイックミラーを通過する。標本708の表面に衝突するレーザ光703は、暗視野光704および明視野光705として反射されて戻される。暗視野光704は、暗視野光を反射し明視野光を通過させる環状ミラー720の表面720bによって、明視野光705から分離される。暗視野光704は、高感度の光電子増倍管(PMT)740によって検出される。従来のデザインのものであり、製造業者のHammatsuおよびBurleから市販されているようなPMTは、暗視野低光散乱がある場合、特に有益である。明視野光は、ミラー720を通って、表面710bによってCCD730へと反射され、このCCDは、マルチステージまたは単一ステージCCDであってよく、感度はより低いが、ダイナミックレンジがより大きく、PMTより高速である。
【0035】
[42]別の実施形態において、ダイクロイックミラー760およびダイクロイックミラー770を通過し、標本758の表面に集束するための対物レンズ757へと進み、本願明細書においてすでに開示されている原理により移動レンズによって走査されてよい環状照明形態のレーザ751が与えられる。暗視野と明視野の成分である反射光は、ミラー770の表面に向けられ、明視野光は、CCD790に向けて反射される。暗視野光は、ミラー770を介してミラー760へと通過し、ミラーの表面は、検出用に光をPMT780に反射する。
【0036】
[43]いくつかの例示的な実施形態に関して本発明を記載してきたが、本発明は、それらに限定されるものではなく、本発明の全範囲は、適用法に従って解釈されるように、添付の特許請求の範囲において規定される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明によるウェハまたは他の標本を走査するための第1の例示的なシステムおよび装置の略図を示す。
【図2】ウェハまたは他の標本を走査するために、本発明の装置によって生成された複数のビームを使用するための例示的なタイミング図を示す。
【図3】本発明の一実施形態により生成された4つのビームによって同時に走査された場合のウェハ表面のトポグラフィを示す。
【図4】本発明の一実施形態において使用された場合の移動レンズ、マルチビーム音響光学デバイスの略図である。
【図5】本発明の一実施形態によるCCDスキャナにおいて用いられてよい、2ステージ垂直転送を有するマルチステージリニアフォトダイオードの略図である。
【図6A】本発明による、ウェハまたは他の標本上で複数の分割ビームを走査するための第2の例示的なシステムおよび装置の略図である。
【図6B】本発明による、分割ビームに対して走査されたライン構造の略図である。
【図7A】標本表面上の明視野および暗視野像を別々に検出するための単一の照明レーザアーキテクチャの略図である。
【図7B】標本表面上の明視野および暗視野像を別々に検出するための環状照明レーザアーキテクチャの略図である。
【符号の説明】
【0038】
100…ウェハ検出システム、101…レーザ、102…ビーム形成器、103…ミラー、104…移動レンズ音響光学デバイス、106…ダイクロイックミラー、107…対物レンズ、108…ウェハ、109…コリメータレンズ、110…垂直転送CCD、114…シフトレジスタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の同時走査スポットビームを検出するためのリニア光検出器装置であって、
共通軸に沿って直線的に位置する複数の隣接する光検出器セクションを備え、各検出器セクションが、
複数の隣接する光検出器と、
前記複数の光検出器からの入力を並列に受け、前記複数のステージに格納された情報を連続して読み出すように動作する少なくとも1つのマルチステージ格納デバイスと、
を備える、リニア光検出器。
【請求項2】
前記各光検出器セクションが、セクション転送信号用の入力と、前記セクションの連続読出し用の出力とを備える、請求項1に記載のリニア光検出器。
【請求項3】
前記各検出器セクションが、複数のステージを有する一時的なシフトレジスタを備え、前記シフトレジスタが、対応する検出器の内容を並列に各ステージにおいて受け、連続して読み出されるように動作する、請求項2に記載のリニア光検出器。
【請求項4】
セクション転送信号源を更に備え、前記信号源が、複数の前記ステージを連続して読み出すためにセクション転送信号を供給し、前記連続して読み出された信号を搬送するためにバッファを含むデータ出力ラインを供給する、請求項1に記載のリニア検出器装置。
【請求項5】
各々が第2の複数のピクセル格納要素を備え、第3の複数の同時走査ビームのそれぞれから入力を受ける第1の複数のセクションを有するリニアCCDに格納された複数のピクセルの検出方法であって、
それぞれの信号格納セクションにおいて前記第3の複数のビームの各々の内容を同時に取り込み格納するステップと、
格納された信号を同時に連続して読み出すステップと、
を含む、方法。
【請求項6】
前記第3の複数のビームの前記走査のタイミングと前記格納信号の前記読出しのタイミングを同期させるステップを更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記取込みおよび格納ステップが、前記第1の複数のセクションの一部分のみにおいて同時に実行される、請求項5に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【公開番号】特開2010−60563(P2010−60563A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−240412(P2009−240412)
【出願日】平成21年10月19日(2009.10.19)
【分割の表示】特願2003−580838(P2003−580838)の分割
【原出願日】平成15年3月14日(2003.3.14)
【出願人】(504144253)アプライド マテリアルズ イスラエル リミテッド (27)
【Fターム(参考)】