説明

薬剤ピッキングシステム

【目的】 未だカットされていない完全シートとカットした残りの残部シートを確実且つ容易にピッキングできる薬剤ピッキングシステムを提供する。
【構成】 完全シート収納部及び残部シート収納部を多数配置して成る薬品棚と、前記完全シート収納部内に積層された完全シートの中の一番上側の完全シートの平坦状底面を吸着する吸着ヘッドと、前記残部シート収納部に収容された1枚の残部シート又は完全シートの端部を把持するチャックユニットと、前記残部シート又は完全シートから1個以上の錠剤を含む端数シートを切り離すカッティング部と、前記吸着ヘッド及び前記チャックユニットの下方に配置されたシート受け取り部と前記吸着ヘッド及びチャックユニットを一緒にX及び/又はY方向に移動させる移動機構と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調剤薬局において患者の処方箋データに基づいて必要な薬剤を必要な個数だけピッキングできる薬剤自動ピッキングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、調剤薬局における薬剤のピッキング装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1が提案する調剤装置は、錠剤(カプセルを含む)を例えば10個単位で1枚のシート状に封入(ヒートシール)したPTP錠剤シート(錠剤側を押圧することで底面のアルミシート部分を破ることで錠剤を取り出すようにした包装形式のシート)のピッキングを主な目的としている。すなわち、特許文献1が提案する調剤装置は、各錠剤ケース200の中にPTP錠剤シートを多数積層しておき、この各錠剤ケース200内の錠剤シートをチャッキング用爪体から成るヘッド400を利用してピッキングし、端数分については、刃装置500を利用して前記シートから端数分をカットするようにしたものである。
【特許文献1】特許第3083165号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1の調剤装置には、次の1−3のような問題点が存在している。
1.まず、特許文献1においては、前述のように、各錠剤ケース内に多数積層した錠剤シートをチャッキング用爪体で把持するようにしているが、多数積層された錠剤シートの一つを爪体で把持することは、位置精度の問題などから実際には極めて困難なはずである。
【0004】
2.また、特許文献1の調剤装置においては、必要な端数分については、刃装置500により錠剤シートから端数分をカットして使用しているが、カットした残りの残部シートについてはシュータ535に落下させると記載されている(特許文献1の段落0065の2−5行目参照)。他方、特許文献1の段落0038,0039,0040を見ると、「前記残部シートは残数収納部203に収納されており、ヘッド400のプッシャー435が取り出し部材205を押圧することにより取出部206が凹部233内に退避することにより、前記残数収納部203の最下段に位置する残部シートが自重で落下する」と記載されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1では、上記の「前記残部シートは残数収納部203に収納されており・・・」という記載に拘わらず、本出願人が見る限り「前記刃装置でカットした残りの残部シートを前記残数収納部203に自動で収納させる機構」は示されていない。すなわち、特許文献1の段落0019の1−3行目では「端数分が切り取られたPTP錠剤シートの残り部分は錠剤ケース200の底部に設けられた残数収納部に戻される」と記載されているが、他方、特許文献1の段落0081の4−7行目では「錠剤ケース200の残数収納部203には錠剤シートの端数分が収容されている。また、錠剤シートを外部に取り出す取り出し部材205は最下位置の錠剤シートを取り出し可能にして下準備が完了する。」と記載している。
【0006】
すなわち、特許文献1では、前述のように、(a)「カットした残りの残部シートはシュータ535に落下させるようにしている(特許文献1の段落0065の2−5行目参照)」としながら、(b)「端数分が切り取られたPTP錠剤シートの残り部分は錠剤ケース200の底部に設けられた残数収納部に戻される」(特許文献1の段落0019の1−3行目)としているのであり、「上記(a)と(b)とを結びつけるための機構」は、本出願人が見る限り開示されていない。前述の「錠剤シートを外部に取り出す取り出し部材205は最下位置の錠剤シートを取り出し可能にして下準備が完了する。」(特許文献1の段落0081の4−7行目)との記載から考えると、特許文献1の装置は、調剤薬局の職員が手作業で残部シートを残数収納部に戻すことを予定している可能性が高い。少なくとも、特許文献1の発明では、錠剤シートから必要分だけをカットした残りの残部シートを自動的に前記残数収納部203に戻すことはできない。以上より、特許文献1の調剤装置には、「錠剤シートから必要分だけをカットした残りの残部シートを自動的に所定の収納部に戻すための機構」は開示されていない(おそらく、特許文献1の装置においては、残部シートは、調剤薬局の職員が手作業により残数収納部に戻すことを予定しているものと予想される)。
【0007】
3.さらに、上記2の点を置くとしても、特許文献1では、残部シートを残数収納部203の中に、多数枚、積層して収納している(特許文献1の段落0081の4−7行目の「錠剤ケース200の残数収納部203には錠剤シートの端数分が収容されている。また、錠剤シートを外部に取り出す取り出し部材205は最下位置の錠剤シートを取り出し可能にして下準備が完了する。」という記載など参照)が、このように多数枚の残部シートを一つの収納部に収納する方式では、その中の一枚の残部シートの端部だけをチャッキング装置(爪体など)で把持することは、位置精度の問題などから極めて困難なはずである。
【0008】
本発明はこのような従来技術の問題点に着目してなされたものであって、まだ一部がカットされていない完全シートを確実に且つ容易にピッキングすることができ、必要分だけカットした残りの残部シートを自動的に所定の収納部に戻すことができ、さらに、前記所定の収納部に収納した残部シートを確実に且つ容易にピッキングすることができる、薬剤ピッキングシステムを提供することを目的とする。また、本発明は、装置全体の構成を簡素化し低コスト化することができる薬剤ピッキングシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述のように課題を解決するための本発明による薬剤ピッキングシステムは、同種の錠剤(カプセルを含む)を所定個数だけ互いに区分け可能に封入した錠剤シートの中、未だ一部が切り離されていない完全シートを、複数枚、平坦状に形成されている底面を上側にして互いに積層された状態で収納するための完全シート収納部と、前記完全シート収納部に近接して配置され、同種の錠剤(カプセルを含む)を所定個数だけ互いに区分け可能に封入した錠剤シートの中、1個以上の錠剤を含む端数シートが切り離された後の残りの残部シート又は前記完全シートを、いずれか1枚だけ、収納するための残部シート収納部と、前記の互いに近接して配置された各完全シート収納部及び各残部シート収納部を、X及びY方向(上下左右方向)に多数配置して成る薬品棚と、前記各完全シート収納部に対向可能に配置され、前記互いに積層された完全シートの中の一番上側の完全シートの平坦状底面を減圧状態を利用して吸着するための吸着ヘッドと、前記残部シート収納部に対向可能に配置され、前記残部シート収納部に収容された1枚の残部シート又は完全シートの端部を把持するためのチャックユニットと、前記チャックユニットにより端部が把持された残部シート又は完全シートから、1個以上の錠剤を含む端数シートを、切り離すためのカッティング部と、前記吸着ヘッド及び前記チャックユニットの下方に配置され、(a)前記吸着ヘッドにより吸着された完全シート、(b)前記チャックユニットにより把持された残部シート、及び/又は、(c)前記チャックユニットにより把持された残部シート又は完全シートから前記カッティング部により切り離された端数シートを受け取るためのシート受け取り部と、前記吸着ヘッド及びチャックユニットを一緒にX及び/又はY方向(上下左右方向)に移動させて、前記完全シート収納部及び残部シート収納部にそれぞれ対向させるための移動機構と、を備えたことを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明による薬剤ピッキングシステムにおいては、前記移動機構は、前記シート受け取り部をも前記吸着ヘッド及び前記チャックユニットと一緒にX及び/又はY方向(上下左右方向)に移動させるものである、ことが望ましい。
【0011】
また、本発明による薬剤ピッキングシステムにおいては、前記残部シート収納部は、1個以上の錠剤を含む端数シートが切り離された後の残りの残部シートが存在するときはその残部シート1枚だけが収納され、前記残部シートが存在しないときは前記完全シート収納部からの完全シート1枚だけが収納されるものである、ことが望ましい。
【0012】
また、本発明による薬剤ピッキングシステムにおいては、前記カッティング部は、刃と、前記チャックユニットによりチャックされた残部シート又は完全シートが載置される受け部と、前記受け部に載置された前記残部シート又は完全シートの上方から前記刃を下降させる駆動部とを備え、前記受け部には、前記刃の先端が挿入可能な溝部が形成されている、ことが望ましい。
【0013】
また、本発明による薬剤ピッキングシステムにおいては、患者の処方箋データを入力するための処方箋データ入力手段と、前記処方箋データ入力手段により入力された処方箋データに基づいて、前記の移動機構、吸着ヘッド、チャックユニット、及びカッティング部を制御するための制御手段と、を備えており、前記制御手段は、前記処方箋データに基づいてある種類の錠剤をピッキングするとき、そのピッキングすべき錠剤の個数が前記完全シートに含まれる錠剤数の整数倍を超える端数を含むときは、(1)前記ピッキングすべき錠剤の個数の中、前記端数を除く前記完全シートの錠剤数の整数倍を充足する枚数の完全シートを、前記吸着ヘッドにより前記完全シート収納部から吸着すると共に、(2)前記ピッキングすべき錠剤の個数の中、前記端数に相当する端数シートを、前記残部シート収納部から取り出され前記チャックユニットにより把持された残部シートから、前記カッティング部により切り離し、(3)前記端数シートが切り離された後の残りの残部シートを前記残部シート収納部に戻すように、前記の移動機構、吸着ヘッド、チャックユニット、及びカッティング部を制御するものである、ことが望ましい。
【0014】
また、本発明による薬剤ピッキングシステムにおいては、前記制御手段は、前記残部シートに収納されている残部シートに含まれる錠剤の個数が前記処方箋データに基づいてピッキングする必要のある前記端数よりも少ないときは、前記残部シートに収納されている残部シートをカッティングすること無くそのまま前記シート受け取り部に移動させ、前記完全シート収納部からの1枚の完全シートを前記吸着ヘッド及び移動機構により前記残部シート収納部に収納させ、その後、前記残部シート収納部に収納された完全シートを前記チャックユニットによりチャックさせて、前記カッティング部により前記端数分だけカッティングさせる、ものであることが望ましい。
【0015】
また、本発明による薬剤ピッキングシステムにおいては、前記完全シート収納部には、前記完全シート収納部及び残部シート収納部に収納されている薬剤の個数を書換え可能に記録し且つ非接触でデータを外部と送受信可能な非接触タグが備えられていると共に、前記吸着ヘッドには、前記制御手段からの処方箋データに基づいて、前記非接触タグの記録内容を前記処方箋のためにこれからピッキングすべき薬剤の個数だけ減算した個数に書き換えるためのタグライタが備えられている、ことが望ましい。
【0016】
また、本発明のシステムにおいては、ICタグを用いた知識分散型ロボット制御システム、すなわち、「ロボット及び物体処理手法」(平成15年9月18日出願、特願2003−325768、独立行政法人産業技術総合研究所)、及び、「物体処理システム、物体処理手法及びロボット」(平成15年9月18日出願、特願2003−326470、独立行政法人産業技術総合研究所)の発明を使用することが望ましい。すなわち、本発明においては、前記特願2003−325768及び特願2003−326470の発明を、薬剤自動ピッキングのためのシステム設計とアルゴリズムに適用することが望ましい。
【0017】
すなわち、本発明による薬剤ピッキングシステムにおいては、前記の吸着ヘッド、チャックユニット、及び/又は移動機構は、情報サーバに記憶されている物体を画像認識するために必要な物体認識用情報に基づいて前記物体を特定するロボットであって、周囲を撮影する撮像手段と、前記情報サーバから前記物体認識用情報を読み込むための読み込み用情報を、前記物体に付されている非接触型タグから非接触で読み取るタグリーダと、前記タグリーダが読み取った前記読み込み用情報に基づいて、前記情報サーバから前記物体認識用情報を読み込む通信手段と、前記通信手段が読み込んだ前記物体認識用情報と前記撮像手段が得た撮像画像情報とを用いて、前記物体を特定する物体特定手段とを備えたロボットにより構成されている、ことが望ましい。
【0018】
さらに、本発明による薬剤ピッキングシステムにおいては、前記ロボットは、前記タグに情報を書き込むタグライタと、前記物体特定手段が特定した物体の情報を前記タグライタにより前記タグに書き込む物体情報書き込み手段とを備え、前記タグリーダは、前記物体情報書き込み手段が前記タグに書き込んだ前記物体の情報を読み取るものである、ことが望ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、調剤薬局における計数調剤ミスが防止できると共に、薬剤師以外の者であっても計数調剤が可能となり、薬剤師以外の者でも、ミスなく計数調剤をできるようになる。したがって、本発明のシステムを使用することにより、薬剤師は、計数調剤に関し視覚による最終的な検薬をするだけでよくなり、保険薬局等において、患者に対する服薬指導や薬歴管理などに、より専念できるようになる。
【0020】
また、本発明においては、まだ一部がカットされていない完全シートについてはこれらをその平坦状底面が上側にくるように複数枚積層した状態で完全シート収納部内に収納しておき、完全シートをピッキングするときは、その最上段の平坦状底面を吸着ヘッドで吸着して取り出すようにしている。よって、本発明によれば、完全シート収納部内で多数枚の完全シートが積層されている状態でも、その積層された完全シートの一番上の平坦状の底面を前記吸着ヘッドで吸着するようにしているので、従来(特許文献1参照)のように一つのケース(収納部)内に存在する複数のシートの中の一枚をチャックする場合に比較して、完全シート1枚のピッキングをより確実に且つ容易にできるようになる。
【0021】
また、本発明においては、完全シートをカッティングするときは、必ず、完全シートを完全シート収納部から残部シート収納部にいったん移動させ、その後に、その完全シートをチャックユニットでチャックしてカッティング部でカットするようにしている。よって、本発明によれば、前記完全シートから必要な端数分だけカットした残りの残部シートは、それを前記チャックユニットでチャックしたまま前記移動機構により残部シート収納部に対向する位置まで移動して前記残部シート収納部内に収納することができるので、前記の必要分だけカットしたとき、その残りの残部シートを自動的に所定の収納部に戻すことができる。
【0022】
また、本発明においては、前記完全シートから必要な端数分だけカットした残りの残部シートについては、その残部シート1枚だけを残部シート収納部内に収納しておき、その後に端数をピッキングするときは、前記残部シート収納部内に一枚だけ収納されている残部シートをチャックして取り出してからカットするようにしている。よって、本発明によれば、チャックユニットは、残部シート収納部の中に一枚だけ存在する残部シートをチャックするだけなので、従来(特許文献1参照)のように一つのケース(収納部)内に存在する多数枚のシートの中の1枚だけをチャックする場合に比較して、残部シート1枚のピッキングをより確実に且つ容易にできるようになる。
【0023】
また、本発明においては、完全シート収納部と残部シート収納部にそれぞれ対向可能な吸着ヘッドとチャックユニットを(更にはシート受け取り部を)、移動機構により一体的にX及びY方向に移動させるようにしているので、ピッキングシステム全体の構成を簡素化し低コスト化することができるようになる。
【0024】
また、特に、本発明においては、前記完全シートのピッキングは前記完全シート収納部から吸着ヘッドにより吸着することにより行い、前記残部シートのピッキングは前記残部シート収納部からチャックユニットによりチャックすることにより行うようにしている。また、本発明では、前記残部シートの全てを端数シートの一部としてピッキングしたとき(その残部シートだけでは端数分として足りないとき)は、いったん前記完全シート収納部から1枚の完全シートを前記吸着ヘッドにより前記残部シート収納部に移動させて、その後にその残部シート収納部の移動させた完全シートをチャックユニットによりチャックして、さらに必要な端数シートを切り出すようにしている。すなわち、本発明では、(a)完全シートをピッキングするときは、必ず完全シート収納部から吸着ヘッドを使用して行い、(b)残部シートをピッキングするときは、必ず前記残部シート収納部からチャックユニットによりチャックして行い(必要な場合はカッティングも行い)、(c)前記ピッキングされた残部シートだけでは必要な端数に足りなかった場合に前記残部シート収納部内に新たに移動・収納された完全シート(カッティングする必要がある完全シート)をピッキングするときは、必ず前記残部シート収納部からチャックユニットによりチャックしてカッティングを行うようにしている。よって、本発明によれば、(a)完全シート収納部に収納されている完全シート(カッティングする必要が無い完全シート)のピッキング、(b)残部シートのピッキング、及び(c)残部シート収納部に収納された完全シート(カッティングする必要がある完全シート)のピッキングを、それぞれ、吸着ヘッドとチャックユニットとのいずれか一方に分けて分担させているので、システム全体の構成を簡素化し低コスト化することができるようになる。
【0025】
さらに、本発明において、前記吸着ヘッド、チャックユニット、及び移動機構を、特定した物体の情報を書き込んだタグからその特定の物体の情報を(例えば物体の位置情報)を読み出すことで(物体認識情報を用いることなく)物体を特定できるロボットにより構成するようにしたときは(さらには作業環境における物体を撮像画像により簡単に認識(特定)できるロボットにより構成するようにしたときは)、より簡単且つ確実に前記の完全シートや残部シートのピッキングができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明を実施するための最良の形態においては、同種の錠剤(カプセルを含む)を所定個数だけ互いに隔離可能に封入した錠剤シートであって未だ一部が切り離されていない完全シートをピッキングするときは、完全シート収納部内で複数枚が平坦状に形成されている底面を上側にして互いに積層された状態の最上段のものを吸着ヘッドでピッキングする。また、前記完全シートの整数倍を超える端数をピッキングするときは、1枚のシート(残部シート又は完全シート)だけが収納された残部シート収納部の中から、その1枚のシートをチャックユニットで把持してピッキングし、さらにそれをカットする必要がある場合は前記チャックユニットでチャックした状態のままカッティング部でカッティングする。より具体的には、以下の実施例1について述べるとおりである。
【実施例1】
【0027】
図1は本発明の実施例1による薬剤ピッキングシステムを使用した調剤処理の流れを示す概略フローチャート、図2は図1の処理の流れをより詳細に示すフローチャートである。図1,2に示すように、本実施例1では、医療機関から発行される処方箋に処方箋データを示す2次元バーコードを予め印刷しておく。そして、この処方箋に印刷された2次元バーコードを調剤薬局において読み取ることにより処方箋データを自動的に入力するようにしている。本実施例1では、このようにして入力された処方箋データに基づいて、後述のコントローラが後述のピッキング機構を制御する。
【0028】
また、図1,2に示すように、本実施例1では、薬剤のピッキングが終了した後、このピッキング動作の基礎となった処方箋データとレセプトコンピュータに入力された処方箋データとの照合を行うことにより、前記ピッキングによる処方内容のチェックを行っている。この調合チェックは、ピッキングされた錠剤と処方箋を比較し、さらに薬剤間の相互作用・患者情報の過去のデータなどに基づいて患者へ指導を行うものである。この際、錠剤の変更・削除・追加がある場合は、このシステムにより判断する。また、前記調合チェックは、特に、処方箋の二次元バーコードに含まれていない手書きデータが存在する場合に(この場合の手書きデータは、前記二次元バーコードに含まれていないため自動ピッキング動作の基礎データには含まれないが、レセプトコンピュータの処方箋データには含まれる)、手書きデータが反映されない調合が行われることを防止するという効果をも有している。
【0029】
また、図1,2に示す在庫量チェックシステム・検品システムについてここで簡単に説明しておく。薬品棚に残っている錠剤数はPC(パソコン)に表示される。規定値以下になった場合は、その旨をPCに表示すると同時に、規定値以下の錠剤の発注書を作成する。また、薬剤の納品の際、錠剤ケースの天井に貼り付けられたICタグ(後述)と納品錠剤とを照合し、齟齬がある場合はPCに表示する。
【0030】
次に、本実施例1による薬剤ピッキングシステムの構成を説明する。図3は本実施例1の全体構成を概念的に示すブロック図である。
【0031】
図3において、11は例えば10個の錠剤を互いに隔離して封入(ヒートシール)したPTP錠剤シート(未だ一部を切り離していない完全シート)を収納するための完全シート収納部、12は例えば10個の錠剤を互いに隔離して封入したPTP錠剤シートから一部(端数)を切り離した残りの残部シートを収納するための残部シート収納部、である。
【0032】
本実施例1では、前記各完全シート収納部11は、上下左右(X−Y方向)に多数のボックスを配列して成る薬品棚の各ボックスによりそれぞれ構成されている。前記各完全シート収納部11は、薬剤の種類毎にそれぞれ割り当てられている。また、前記各完全シート収納部11内には、一つの種類の薬剤を封入した完全シートが、複数枚、それぞれの平坦状の底面(裏面)が上側に来るように、互いに積層されて収納されている。また、本実施例1では、前記薬品棚は、各ボックスが5段60列計300個のボックスより構成されている。
【0033】
また、前記残部シート収納部12は、前記完全シート収納部11を構成するための前記ボックスの中の下方の領域(前記完全シート収納部11の領域と区別できる仕切りにより区切られた領域)により構成されている。この残部シート収納部12には、前記完全シート収納部11に収納される完全シートと同種の薬剤を封入した一枚の残部シートが(残部シートが存在しない場合は、一枚の完全シートが)、収納されている。
【0034】
また、図3において、13は、コントローラ10からの指令に基づいて、前記完全シート収納部11内の前記の互いに積層された複数の完全シートの一番上の完全シートの底面(裏面)を、真空ポンプなどによる減圧状態を利用して吸着するための吸着ヘッドである。前記完全シートの底面は、平坦状に形成されているので、前記吸着ヘッド13は前記完全シートの底面を容易にかつ確実に吸着することができる。
【0035】
また、図3において、14は、コントローラ10からの指令に基づいて、上方の2つの爪体と下方の2つの爪体との計4つの爪体を備えたチャックユニットである。このチャックユニット14は、前記4つの爪体により、前記残部シート収納部12内に一枚だけ収納されている残部シート(又は一枚の完全シート)の端部をチャックする。
【0036】
また、図3において、15は、コントローラ10からの指令に基づいて、前記チャックユニット14によりチャックされた一枚の残部シート(又は一枚の完全シート)から、各患者のために必要な端数だけを切り離すためカッティング部である。このカッティング部15は、一枚の刃と、前記前記チャックユニット14によりチャックされた一枚の残部シート(又は一枚の完全シート)を載せると共に前記刃を受けるための受け台と、により構成されている。
【0037】
また、図3において、16は、前記各患者ごとにピッキングされた薬剤を載せるためのトレイである。このトレイ16は、(a)前記吸着ヘッド13が完全シートの吸着を解除したときに落下する完全シートを受け取ること、(b)前記チャックユニット14が前記残部シートのチャックを解除したときに落下する残部シートを受け取ること、及び/又は、(c)前記チャックユニット14がチッャクしている残部シート(又は完全シート)から前記カッティング部15により必要な端数だけを切り離したときに前記カッティング部15の受け部から後述のシューターを介して滑り落ちてくる端数シートを受け取ることにより、前記患者に必要な薬剤を受け取り保持する(図3の矢印a,b,c参照)。
【0038】
また、図3において、17は、コントローラ10からの指令に基づいて、前記吸着ヘッド13、チャックユニット14、及びトレイ16を一体的にX及びY方向(前記薬品棚と対向する面と並行な方向)に駆動するためのXYキャリッジである。
【0039】
本実施例1の前記薬品棚においては、前述のように、同種の薬剤シートを収納する各完全シート収納部11と各残部シート収納部12とは、互いに上下に隣接するように配置されている。また、前記吸着ヘッド13及び前記チャックユニット14は、前記の互いに上下に隣接する各完全シート収納部11及び各残部シート収納部12にそれぞれ対向できるように相互の位置関係が固定されている。
【0040】
前記XYキャリッジ7は、コントローラ10からの指令に基づいて、前記吸着ヘッド13及びチャックユニット14を、各患者のために必要な種類の薬剤を収納した前記完全シート収納部11及び前記残部シート収納部12と対向する位置に、それぞれ移動させる。その後、前記吸着ヘッド13及び前記チャックユニット14は、それぞれに備えられた駆動部(Zキャリッジ。図示せず)によりZ方向(前記完全シート収納部11及び前記残部シート収納部12に近づく方向)に移動して、それぞれ吸着及びチャック動作を行う(図3の矢印d,e参照)。
【0041】
また、詳しくは後述するが、前記完全シート収納部11の上方の位置には、前記完全シート収納部11に収納されている完全シートの枚数(前記複数の完全シートが有する錠剤の合計個数)及び前記残部シート収納部12に収納されている残部シートが有する錠剤の個数の情報(在庫情報の一つ)などをそれぞれ書換え可能に記憶するための半導体メモリを内蔵するICタグが、備えられている。また、前記吸着ヘッド13には、前記ICタグの記録内容を非接触で読み取り及び書き込み可能なリーダライタが備えられている。前記吸着ヘッド13に備えられたリーダライタは、前記完全シート収納部11に近接する毎に、前記ICタグに記録された情報の読み取り・書き込みを行う。
【0042】
次に、図4は本実施例1における前記の薬品棚、吸着ヘッド13、XYキャリッジ17(昇降軸などから構成される移動機構)、トレイ16、カッティング部15などの互いの配置関係を示すための概略図で、(a)は正面斜め方向から見た図、(b)は背面斜め方向から見た図、(c)は上面から見た図を示している。なお、図4において、薬袋発行機が薬袋を発行するとき、これと同時にトレイが移動して薬袋を受け取る。薬袋は患者ごとに発行され、患者情報が印刷されている。
【0043】
図4において、薬品棚の所定のボックス(完全シート収納部11)には所定の完全シートが複数枚収容される。この各ボックス(完全シート収納部11)に関する完全シートの種類、収容個数などの情報は、処方箋データと共に、制御端末装置に保存される。この情報をマスタとし、ハードディスク及びICタグ(各ボックスの天井部に設置)に蓄積する。各ボックスの内部の底部側(残部シート収納部12)には錠剤シートから必要な端数を切り離した残り分(残部シート)が収容されている。以上の準備の後に、処方箋に基づいて調剤が開始されると装置の初期化が行なわれ、薬品棚に設けられるXキャリッジと、このXキャリッジに設けられるYキャリッジとから成るXYキャリッジ17(コンベア)の駆動が可能になる。
【0044】
次に、処方箋データに基づいて所定の錠剤シートを錠剤ケースから所定枚数分取り出すために、制御端末装置からの入力により、吸着ヘッド13がXYキャリッジ7の移動により所定の完全シート収納部11の前に移動される。この後、吸着ヘッド13に搭載されているコンプレッサー(真空ポンプ)が作用して、所定個数の錠剤を吸着する。
【0045】
続いて、処方する薬剤において端数が必要な場合には、Zキャリッジによりチャックユニット14が残部シート収納部12に近接し、その計4つの爪体により残部シートの端部(耳部)を持つ。その後、Zキャリッジが後方に(残部シート収納部12から離反する方向に)移動し、チャックユニット14がカッティング部15の場所まで移動する。その後、チャックユニット14先端のヘッド部が残部シートの平坦状の底面(裏面)が下側にくるように180度回転され、カッティング部15により前記残部シートから必要端数だけがカットされてトレイ16に落下される。その後、前記必要枚数だけ切り離された残りの残部シートは、コントローラの指令により、前記チャックユニット14に把持されたまま、XYキャリッジ17及びZキャリッジの移動により、残部シート収納部12の前に移動され、残部シート収納部12の中に自動的に戻される。
【0046】
次に、本実施例1における薬品棚の構成を説明する。図5,6,7は、本実施例1における薬品棚の構成を示す図である。図5,6,7に示すように、本実施例1の錠剤ピッキングシステム全体は薬品棚とほぼ同じ大きさとし、薬品棚の場所に置けるような大きさで構成されている。薬品棚に含まれる各ボックス(各ボックスの中に、それぞれ完全シート収納部11と残部シート収納部12が形成されている)は計300個とし、追加出来る様に構成され、その上部には各完全シートが多数上下方向に積載されて収容されている。各ボックスは、完全シート収納部11と残部シート収納部12とにより構成され、各ボックスの天井部にはICタグが貼り付けられている。また、各ボックスの底面は、吸着ヘッド3が確実に吸着できるように傾斜を付けてある。
【0047】
次に、本実施例1における吸着ヘッド13の構成を説明する。図8Aは本実施例1における完全シート収納部11、残部シート収納部12、吸着ヘッド13などを示す図である。図8Aに示すように、前記完全シート収納部11内には複数の完全シート11aが積層されているが、それらの中の最上部の完全シート11aの底面が吸着ヘッド13により吸着される。この吸着ヘッド13の前記完全シート11aと接する部分には、前記完全シート11aの底面を破損しないようにスポンジが貼り付けてある。なお、図8Aは、残部シート収納部12内に残部シートが無くなったとき、完全シート収納部11内の完全シート11aを吸着ヘッド13により残部シート収納部12内に移動させるときの動作を示すものである(図8Aでは、このときのイメージを伝えるために吸着ヘッド13が2つ描かれているが、吸着ヘッド13は実際には1つだけである)。また、図示していないが、前記完全シート収納部11の天井部分には前記ICタグが設置され、前記吸着ヘッド13にはICタグ用リーダライタが備えられている。また、図8Bは、本実施例1におけるチャックユニット14の先端の爪体が前記残部シート収納部12内の残部シート12aをチャックするときの動作を示す図である。
【0048】
次に、本実施例1における吸着ヘッド13及びチャックユニット14の動作を説明する。薬品棚と対向する空間には、XYキャリッジ17によりXY方向に移動されるチャックユニット14が設けられている。吸着ヘッド13では完全シート11aを傷つけないよう吸着機(真空ポンプ)で完全シート11aを吸引しピッキングする。吸着ヘッド13及びチャックユニット14は、完全シート収納部11及び残部シート収納部12の前に来た後はZ軸方向に移動してそれぞれ完全シート11a及び残部シート12aを取り出す。前記吸着ヘッド13の下方にはトレイ16が存在しているので、吸着ヘッド13の吸着が解除されると完全シート11aが落下してトレイ16に受け取られる。また、前記チャックユニット14によりチャックされた残部シート2aも、その全体が必要な場合(カッティングする必要がない場合)は、前記チャックユニット14の下方に前記トレイ16が存在するので、前記チャックユニット14のチャックが解除されると残部シート12aが落下してトレイ16に受け取られる。なお、錠剤シート(完全シート)には、10個分の錠剤部を設けられ、横ミシン目部と耳部とが形成されている。前記チャックユニット14が前記残部シート12aをチャックするときは、この耳部を計4つの爪体で掴むようにしている。
【0049】
次に、本実施例1における前記吸着ヘッド13、チャックユニット14、及びトレイ16をX及びY方向に運ぶためのXYキャリッジの構成を説明する。図9、図10、及び図11は前記XYキャリッジの構成を示す図である。これらの図に示すようなXYキャリッジ17により、前記吸着ヘッド13、チャックユニット14、及びトレイ16が一体的にX及びY方向に移動させられる。
【0050】
次に、本実施例1における前記カッティング部15の構成を図12−17図に基づいて説明する。図12−17に示すように、前記カッティング部15は、刃21と受け部22とにより構成されている。前記受け部22の平面は、図12などに示すように、前記チャックユニット14によりチャックされた残部シート12aの長手方向と直交する方向を長手方向とする長方形状に形成されている。前記受け部22には、チャックユニット14(図示のように上下に2つずつの計4個の爪体を備えている)によりチャックされた残部シート12aが載せられる。また、前記受け部22には、前記刃21を挿入可能な溝部22aが形成されている。前記溝部22aは、図12などに示すように、前記チャックユニット14によりチャックされた残部シート12aの長手方向と並行に形成されている。
【0051】
次に、前記カッティング部15の動作を図12−17に基づいて説明する。カッティング部15は、複数の錠剤を含む1枚の残部シート12aの中から処方するのに必要な端数錠だけを切り出すための機構である。残った端数錠(残部シート)は残部シート収納部12にいったん返却され、その後さらに別の患者の処方によるピッキングにおいてその薬剤の端数錠が必要となった際に再度取り出される。
【0052】
前記残部シート収納部12内の残部シートはチャックユニット14先端の爪体により残部シート先端の余白部(耳部)をチャックされ、カットステーション上部へ運ばれる。制御装置は、ピッキングに必要な端数錠および前記ICタグから読み込んだその残部シートに含まれる残り端数錠の数から、残部シートのどの部分を切り出すかを、予め入力しておいたカッティング・アルゴリズムに基づいて決定する。前記カットステーションにあるカッティング部15は、この決定されたカッティングラインに沿って前記残部シートから必要な端数錠を切り出す。
【0053】
例えば、1枚の完全シートが10錠で構成される薬剤を17錠ピッキングする場合であって、1枚の完全シート(10錠分)を吸着ヘッド13によりピッキング後、読み取ったICタグ情報にある残部シートの残り端数が8錠であるときは、カッティング部15によりこの残部シートの8錠から7錠だけを切り出して、残った1錠分の残部シートを残部シート収納部12へ返却する。
【0054】
また、例えば、1枚の完全シートが10錠で構成される薬剤を17錠ピッキングする場合であって、1枚の完全シート(10錠分)を吸着ヘッド13によりピッキング後、読み取ったICタグ情報の中の残部シートに含まれる残り端数が4錠であるときは、まず、前記チャックユニット14でチャックした前記残部シート(4錠分)をカッティングすること無くそのままトレイ16へ移す(この場合は、その後に残部シート収納部12に返却すべき残部シートは存在しない)。その後、前記吸着ヘッド13を使用して、前記完全シート収納部11から1枚の完全シートを吸着して残部シート収納部12に移動させる。その後、この残部シート収納部12内の完全シート(10錠分)を、前記チャックユニット14によりチャックして、このチッャクした完全シートをカットステーションに移動させて、前記カッティング部15によりこれから3錠分の端数を切り出す。この切り出した端数シート(3錠分)は、カットステーションの下方に斜めに形成されたシューターの上を滑り落ちるようにして、トレイ16に移す。前記端数の切り出し後に残った残部シート(7錠分)は、前記チャックユニット14でチャックしたまま、XYキャリッジにより残部シート収納部12の前に移動させて残部シート収納部12の中に返却する。
【0055】
なお、前記カッティング部15の構成としては、刃21の部分の形状はスムーズに切れるように斜めに傾斜している。この刃21は上下に動くことにより、残部シート(又は完全シート)をカットする。また、前記刃21は、90°回転する機構が付いており、これにより、前記チャックユニット14によりチャックされた残部シート(又は完全シート)の縦方向(長手方向)と横方向の両方が、刃21が上下するだけで切断可能になる。前記刃21による切断手順は、次のとおりである。
【0056】
(1)前記チャックユニット14によりチャックされている残部シートの残り端数錠が偶数錠の場合であって、偶数錠ピッキングする必要がある場合は、前記残部シートの長手方向と直交する方向に配置された刃11を下降させて、偶数錠分を切断する(Step A1)。また、前記チャックユニット14によりチャックされている残部シートの残り端数錠が偶数錠の場合であって、奇数錠ピッキングする必要がある場合は、前記Step A1の後、まず、刃21が回転して前記残部シートの長手方向と並行な方向に一錠分の切れ目を入れ、さらにその後刃21を回転させると同時に前記チャックユニット14を一錠分だけ奥に(残部シートの長手方向に)移動させて、2列ある内の1列分すなわち一錠分だけを切断する(Step A2)。
【0057】
(2)前記チャックユニット14によりチャックされている残部シートの残り端数錠が奇数錠の場合であって、奇数錠ピッキングする必要がある場合は、前記残部シートの長手方向と直交する方向に配置された刃21を下降させて、奇数錠分を切断する(Step B1)。また、前記チャックユニット14によりチャックされている残部シートの残り端数錠が奇数錠の場合であって、偶数錠ピッキングする必要がある場合は、前記Step B1の後、前記Step A2と同様の動作を行う(Step B2)。
【0058】
以上のように必ず2回目のステップにおいては、1錠分だけを切断するという形になる。シートサイズは予め分かっているので、一錠分の切れ目を入れることは可能である。切られた端数シートは、チャックユニット14とトレイ16の間にあるシューターを滑り落ちてトレイ16に受け取られる。
【実施例2】
【0059】
次に本発明による実施例2を説明する。本実施例2は、前記の実施例1における吸着ヘッド13、チャックユニット14、カッティング部15、及びXYキャリッジを、後述のロボットにより構成したものである。以下に、このロボットの構成を詳細に説明する。
【0060】
図18は、作業環境(作業空間)Wに6個の物体(3次元物体)501,502,503,504,505,506が存在しており、その作業環境Wを移動するロボットの1の様子を示す。
【0061】
ロボット1は、移動台車2の上部にアーム3を備えることで、作業環境Wに存在する物体501〜506に対する操作或いは作業を行なうことができるように構成されている。また、ロボット1はインターネット等の情報通信ネットワークNETを介して情報サーバ101と接続されている。
【0062】
情報サーバ101は、ロボット1が物体501〜506を認識するための情報(以下、物体認識用情報という。)OBSを管理している。その物体認識用情報OBSとしては、物体501〜506の幾何学的形状や色の情報が挙げられる。そして、この情報サーバ101への物体認識用情報OBSの初期書き込み或いはアップロード(初期値の書き込み或いはアップロード)は、物体501〜506の製造者、その製造者から委託をうけた事業者等によって行われる。
【0063】
この情報サーバ101の設置場所は、例えばインターネットのプロトコル等を使用して情報通信ネットワークNET上でアクセス可能な場所であり、情報通信ネットワークNETの任意の場所である。例えば、情報サーバ101は、プロバイダのような情報管理企業であるユビキタス知識管理企業により管理されている。この場合、物体認識用情報OBSは、ユビキタス知識管理企業によって管理され、ユビキタス知識管理企業によって情報サーバ101への書き込み或いはアップロードがなされる。
【0064】
例えば多くの物体(製品)が存在するような場合に、物体認識用情報OBSの作成を、物体(製品)を製造する企業に任せてしまうと、それぞれ物体操作用情報OBの規格が統一できなくなり、物体操作用情報OBSの有用性は低いものになる。物体操作用情報OBの規格が統一されていないと、例えば、物体操作用情報OBSを扱うソフトウェアの作成は、その物体操作用情報OBSごとに全く異なる方式のもとで行なう必要がある。このようなことから、ユビキタス知識管理企業が、各物体(製品)ごとに存在する物体認識用情報OBSを加工する等して一定規格のものとして、情報サーバ101で管理している。
【0065】
各物体501〜506は、作業環境Wにおいてロボット1が扱う物体であり、図2に示すように、各物体501〜506はタグ501a〜506aが装着されている。各物体501〜506はそれぞれが、固有の形状や重量等を有している。すなわち、各物体501〜506は、前記物体認識用情報OBSが示す特性を有している。
【0066】
タグ501a〜506aとしては、RFID(Radio Frequency Identification)のような無線ICタグが挙げられる。RFIDは、対環境性に優れた数cm程度の大きさからなり、電子的にデータを記憶し、電波や電磁波で読み取り器と交信することが可能な構造を有している。
【0067】
タグ501a〜506aには、当該タグ501a〜506aが付されている物体501〜506を特定するための情報(以下、物体ID情報という。)OBが書き込まれている。その物体ID情報OBには、物体認識用情報OBSを管理している情報サーバ101のアドレス情報が含まれている。そのアドレス情報は、情報通信ネットワークNET上の情報サーバ101を特定するための情報(以下、サーバアドレス情報という。)と、当該特定した情報サーバにおいて、物体認識用情報OBSが格納されている特定の記憶領域に関する情報(例えばIP(Internet Protocol))情報(以下、データアドレス情報という。)とを含んで構成されている。また、物体ID情報OBには、物体の外見的特性であり、かつ少ないデータ量で示すことが可能な情報、例えば物体の色を示す色情報や2次元形状(平面視形状)の情報等が含まれている。この物体ID情報は、情報サーバ101から物体認識用情報OBSをロボット1に読み込むための読み込み用情報を構成している。
【0068】
ロボット1は、図18及び図20に示すように、タグリーダライタ4、制御部5、駆動部6、アドレス処理部7、ネットワーク処理部8及び撮像部9を備えている。タグリーダライタは、物体501〜506のタグ501a〜506aに対して情報の読み書きを行う。タグリーダライタ4は、図1に示すように、撮像部9とともに、アーム3に取り付けられている。このタグリーダライタ4は、無線でタグ501a〜506aに対して情報の読み書きをするように構成されている。タグ501a〜506aに対して情報の読み書きをするタイミングは、種々の方法が考えられるが、例えば、一般のICタグ技術が備えている標準的な機能を利用して、タグリーダライタ4から、ある一定の領域内に存在するタグ501a〜506aに対しての情報の読み書きをするようにする。よって、タグリーダライタ4からある一定の領域内に複数のタグ(物体)が存在する場合、タグリーダライタ4は、自動的にそれら全てのタグから情報を読み取ることとなる。アドレス処理部7は、タグリーダライタ4によりタグ501a〜506aから読み込んだ物体ID情報からアドレス情報を読み出す。
【0069】
ネットワーク処理部8は、アドレス処理部7が読み出したアドレス情報のサーバアドレス情報に基づいて、情報通信ネットワークNETを介して情報サーバ101にアクセスする。そして、ネットワーク処理部8は、アドレス情報のデータアドレス情報に基づいて、アクセスした情報サーバの所定の記憶領域に記憶されている物体認識用情報OBSを情報通信ネットワークNETを介して読み込む。そして、ネットワーク処理部8は、その物体認識用情報OBSを制御部5に出力する。なお、アドレス処理部7及びネットワーク処理部8は、タグリーダライタ4が読み取った物体ID情報OBに基づいて、情報サーバ101から物体処理用情報OBを読み込む通信手段を構成している。
【0070】
一方、撮像部9は、作業環境を撮像するためのものであり、立体視可能に構成されている。例えば、撮像部9は、ステレオタイプとして2つのCCD(Charge Coupled Device)センサを搭載している。撮像部9は、撮像画像を制御部5に出力する。
【0071】
制御部5は、種々の処理やロボット1を制御するように構成されている。具体的には、制御部5による処理部やロボット1の制御は次のようになる。制御部5は、撮像部9からの撮像画像と物体認識用情報OBSの幾何学的形状情報とを用いて物体の認識処理、例えばテンプレートマッチング(この場合、物体認識用情報OBSの幾何学的形状情報はテンプレートをなす。)により、撮像画像中の物体がどの物体であるか特定する。ここで、作業環境には種々の物体が存在しているので、物体の特定では、撮像画像の物体がそのような種々の物体のうちのどの物体かを特定する。通常、撮像画像中の物体が操作又は作業の対象になるのであり、よって特定された物体が操作又は作業の対象になる。なお、この特定は、制御部5による物体特定手段としての機能により、実現されている。
【0072】
前述したように、物体認識用情報OBSは、タグ内の物体ID情報OBに基づいて取得されており、さらに、そのタグから取得される物体ID情報OBは、ロボット1
【0073】
(具体的にはタグリーダライタ4)から一定範囲内にあるタグ(物体)が位置されている場合に、当該一定範囲内にある物体(具体的にはタグ)のタグから得た物体ID情報OBである。
【0074】
このようなことから、撮像部9により撮像されている物体があり、ロボット1(具体的にはタグリーダ4)から一定範囲内にその物体(具体的にはタグ)だけが存在している場合には、当該物体のタグ内の物体ID情報OBに基づいて唯一物体認識用情報OBSを情報サーバ101から取得するようになる。この場合、制御部5は、撮像部9からの撮像画像とその唯一の物体認識用情報OBSの幾何学的形状情報とを用いた認識処理により、撮像画像中の物体を特定することができる。
【0075】
一方、撮像部9により一つの物体が撮像されているが、ロボット1(具体的にはタグリーダライタ4)から一定範囲内にその撮像されている物体(具体的にはタグ)以外にも複数の物体(具体的にはタグ)が存在している場合には、当該撮像されている物体を含めて複数の物体のタグ内の物体ID情報OBに基づいて、複数の物体認識用情報OBSを情報サーバ101から取得するようになる。この場合、制御部5は撮像部9からの撮像画像とその複数の物体認識用情報OBSとを用いた認識処理により、撮像画像中の物体を特定することになる。すなわち、制御部5は、撮像画像に対して複数の物体認識用情報OBSを順番でマッチングさせていき、最終的に撮像画像中の物体を特定することとなる。
【0076】
このように、制御部5は、撮像部9からの撮像画像と物体認識用情報OBSとを用いた認識処理により撮像画像中の物体を特定する。また、前述したように、物体ID情報には、物体の外見的特性があり、かつ少ないデータ量で示すことが可能な情報、例えば物体の色を示す色情報、2次元形状(平面視形状)の情報が含まれている。このようなことから、制御部5は、前述の認識処理に先立って、物体ID情報OBから得た色情報等と撮像部9からの撮像画像とを用いた認識処理を行う。この物体ID情報OBから得た色情報等を用いた認識処理により物体を特定できた場合には、制御部5は、前述の撮像画像と物体認識用情報OBSとを用いた認識処理を行わないようにする、なお、後述するように、物体認識用情報OBSは、作業環境モデルWMの作成に必要な情報であるので、物体ID情報OBに基づいた情報サーバからの物体認識用情報OBSの読み込みは行うようにする。そして、物体認識用情報OBS又は色情報で特定した物体501〜506に対する操作や作業をするために、制御部5には、図20に示すように、ロボット1を制御する制御プログラムPGと作業環境モデルWMとが格納されている。
【0077】
作業環境モデルWMは、物体の操作に必要な情報として構築されている。物体認識用情報OBSは前述したように物体の幾何学的形状を含んでおり、この物体認識用情報OBS内の幾何学的形状に基づいて、物体を操作するための作業環境モデルWMが構築されている。すなわち、物体認識用情報OBSは、物体を認識するための情報を構成するとともに、認識した物体を操作するための情報(物体操作用情報)をも構成しているのである。このようなことから、このように物体認識用情報OBSが物体を操作するための情報として使用されることを前提として、物体認識用情報OBSに、幾何学的形状等の情報の他に、重量等の他の物体固有の情報や、物体に対する操作内容を示す情報を含めておいてもよい。ここで、操作内容とは、物体を把持する操作等であり、また、作業内容とは、物体を所定の場所に搬送する等である。例えば、物体を把持する操作情報としては、物体の持ち方、持つ場所の情報が挙げられる。なお、ここで制御部5が保持している作業環境モデルWMは、予めある程度構築されたデータからなり、物体認識用情報OBSに基づいて完成或いは更新するようなものであってもよい。
【0078】
制御プログラムPGは、作業計画アルゴリズムにより構築されている。作業計画アルゴリズムは、作業環境モデルWMに基づいてロボット1による作業手順を示す作業計画を作成するためのアルゴリズムからなる。この制御するプログラムPGは、ロボット1が動作するための情報或いはプログラムであり、ロボット1の設計者によって決定或いは設計されて、予め制御部5に格納されている。
【0079】
制御部5は、制御プログラムPGにより、作業環境モデルWMに基づいてロボット1の作業計画を作成する。ここで、制御プログラムPGによる作業環境をモデルWMに基づいたロボット1の作業計画の作成は、例えば従来の作業計画作成技術を活用して行う。すなわち、制御部5は、ロボット1の大きさ、作業環境モデルWMを参照して、ロボット1と物体501〜506との干渉チェックを行う等数理的演算処理行い、作業計画を作成する。作成した作業計画は、作業を実現するために、どのように駆動部6を制御すればよいかを示す情報(行動制御)からなる。制御部5は、例えば、幾何学的形状や重量に基づいて物体501〜506における操作位置(持つ位置等)を決定する。ここで、駆動部6は、移動台車2やアーム3等によって構成されている。
【0080】
制御部5は、作業計画に基づいて制御信号を駆動部6に出力して、駆動部6を制御する。
【0081】
これにより、ロボット1は、自律的行動により、移動し、或いは物体501〜506に対する操作や作業を行う。具体的には、ロボット1は、物体501〜506を把持して、所定の場所に搬送する。
【0082】
また、ロボット1は、場合によっては、物体認識用情報OBSを更新する処理を行う。ロボット1は作業計画に基づいて自律行動をするが、ロボット1が現実の物体501〜506とで誤差が生じた動作をしてしまう場合がある。例えば、物体の固有情報が変化する場合がある。例えば、経時的に、物体の形状や重量が変化したりする。このように物体の固有情報が変化した場合でも、情報サーバ101から得た当該物体認識用情報OBSに基づいて作業計画を作成してしまったのでは、ロボット1は、適切な移動や物体501〜506に対して適切な作業ができなくなり、すなわち現実の物体501〜506とで誤差が生じた動作をしてしまう。
【0083】
このようなことから、ロボット1は、現実の物体501〜506とで誤差を生じた動作を検出した場合、すなわち物体501〜506の形状等の物体501〜506の固有情報の変化を検出した場合、物体認識用情報OBSを更新する。この場合、ネットワーク処理部8により、情報サーバ101にアクセスして、当該情報サーバ101に格納されている物体認識用情報OBSを更新する。この場合、情報の更新は更新可能な者を限ったり、物体操作用情報OB内の所定の情報部分だけにしたり、一定の制限の下で行われるのが好ましい。また、同時に制御部5は、自己が保持している物体認識用情報OBSや作業環境モデルWMも更新する。
【0084】
また、ロボット1が、前記認識処理により特定した物体の情報、例えば物体の位置情報を当該物体のタグに書き込むようにしてもよい。これにより、ロボット1が物体に対する操作や作業をするような場合、タグに書き込まれている位置情報を用いて行うことができる。ここで、例えば、タグに最初から物体の位置情報を格納しておくことも考えられる。しかし、物体が移動する場合には、現実の物体の位置(最新の位置)とタグ内の位置情報とが異なったものになってしまう。このようなことから、認識処理により特定した物体の位置情報をタグに書き込むようにすることで、ロボット1は、最近の位置情報に基づいて、物体を特定して、当該物体に対する操作や作業を行うことができる。この場合、ロボット1が絶対位置を認識できる手段を備えていることが前提であり、ロボットは、その手段により位置情報から物体の位置を特定することができる。
【0085】
また、タグへの位置情報の書き込みについては、物体特定手段としての制御部5が特定した物体の情報である物体の位置情報を、制御部5が物体情報書き込み手段として機能により、タグリーダライタ4を用いてタグに書き込んでいることといえる。例えば、タグへの位置情報の書き込み方としては、当該タグ内に格納されている物体ID情報OBに付加するようにする。これにより、ロボット1は、通常動作として、タグリーダライタ4によりタグ内の物体ID情報OBを読み取りに行くが、この際に、当該物体ID情報OBに位置情報が付加されていることを検出した場合は、この位置情報を優先的に扱うようにする。すなわち、ロボット1は、物体認識用情報OBSを用いた認識処理を行うことなく、位置情報に基づいて物体を特定する。
【0086】
また、前述したようにタグリーダライタ4がタグ501a〜506aから情報を読み取ることができる距離の範囲は一定であり、また、撮像部9による撮像範囲は一定であるので、ロボット1が物体501〜506に対する操作や作業をする場合には、ロボット1が物体501〜506にある程度近づく必要がある。このようなことから、ロボット1には、作業環境W内でのおおまかな走行経路の情報が基本動作情報として予め格納されており、ロボット1は、この走行経路の情報に基づいて作業環境W内を移動する。例えば走行経路の情報は、作業環境モデルWMに予め格納されている。なお、ロボット1が予め保持している基本動作情報は、走行経路の情報であることに限定されるものではなく、他の基本動作を示す情報であってもよい。
【0087】
次に図21を用いて一連の処理手順を示す。先ず、必要データを作成する(ステップS1)。具体的には、物体の製造者等が、物体認識用情報OBSを作成し、作成した物体認識用情報OBSを情報サーバ101に格納するとともに、その情報サーバ101に格納した物体認識用情報OBSに情報通信ネットワークNETを介してアクセスするための物体ID情報OB(アドレス情報)を物体501〜506のタグ501a〜506aに書き込む(格納する)。また、ロボット1の設計者が作業計画アルゴリズム(制御プログラムPG)を作成し、その作成した作業計画アルゴリズム(制御プログラムPG)を制御部5に書き込む(格納する)。
【0088】
続いて、ロボット1は、タグリーダライタ4により、物体501〜506のタグ501a〜506aに書き込まれている物体ID情報OBのアドレス情報を読み込む(ステップS2)。このとき、物体ID情報OBの読み込み対象になるタグは、ロボット1から一定領域内に存在する物体のタグである。
【0089】
続いて、ロボット1は、アドレス処理部7及びネットワーク処理部8により、アドレス情報に基づいて、情報通信ネットワークNETを介して情報サーバ101から物体認識用情報OBSを読み込む(ステップS3)。
【0090】
続いて、ロボット1は対象物体を特定する(ステップS4)。図22は、その処理内容を示す。先ず、制御部5は、撮像部9が得た撮像画像に基づいて、ロボット1本体のおおまかな位置決めを行う(ステップS11)。例えば、制御部5は、撮像部9の焦点が対象物体に合うように、移動台車2を制御してロボット1を移動させる。続いて、制御部5は、タグリーダライタ4が対象物体の近くに位置されるように、駆動部6のアーム3を駆動させる。(ステップS12)。続いて、制御部5は、情報サーバ101から読み込んだ物体認識用情報OBSに基づいて対象物体を特定する(ステップS13)。具体的には、制御部5は、撮像部9からの撮像画像と物体認識用情報OBSの幾何学的形状情報とを用いた認識処理により物体を特定する。このように、ロボット1は、対象物体に近づいていくとともに、撮像部9から得た撮像画像と物体認識用情報OBSとを用いた認識処理により最終的にその物体がなんであるかを特定する。
【0091】
図23は、このような処理をした際のロボット1の様子を示す。この図23に示すように、ロボット1は、物体501〜506のタグ501a〜506a内のアドレス情報に基づいて情報サーバ101から物体認識用情報OBSを読み込み、その読み込んだ物体認識用情報OBSに基づいて物体を特定する。
【0092】
このように物体を特定した後、ロボット1は、制御部5により、物体認識用情報OBSに基づいて作業環境モデルWMを作成或いは更新する(スッテップS5)。続いて、ロボット1は、制御部5により、制御プログラム(作業計画アルゴリズム)PGに基づいて作業環境モデルWMを参照して、作業計画を作成する(ステップS6)。そして、ロボット1は、その作業計画に基づいて自律的に行動する(ステップS7)。ここで、ロボット1は、自律的行動により、移動し、或いは物体に対する操作や作業を行う。
【0093】
また、ロボット1は、制御部5により、物体認識用情報OBSの更新が必要か否かを判定する(スッテップS8)。すなわち、制御部5は、ロボット1が現実の物体とで誤差が生じた動作をしたかを判定する。ここで、制御部5は、ロボット1が現実の物体とで誤差が生じた動作をした場合、物体認識用情報OBSの更新が必要であるとして、情報サーバ101内の物体認識用情報OBSの更新及び作業環境のモデルの更新を行う(スッテップS8)。情報サーバ101内の物体認識用情報OBSの更新については、ネットワーク処理部8により、情報サーバ101にアクセスして、所定の記憶領域に記憶されている物体認識用情報OBSを更新する。
【0094】
一方、制御部5は、ロボット1が現実の物体501〜506とで誤差が生じた動作をしなかった場合、物体認識用情報OBSの更新が必要でないとして、自律的行動に関する処理を終了する。
【0095】
ここで例として、ロボット1から一定範囲内に複数の物体がある場合を考えてみる。この場合、タグリーダライタ4は、当該複数の物体のタグそれぞれから物体ID情報OBを読み込むことになる(ステップS2)。この場合、その複数の物体の中には、撮像部9により撮像されている物体もあり、また、撮像部9により撮像されてはいないが、タグの物体ID情報だけが読み込まれている物体もある。
【0096】
そして、ロボット1は、情報通信ネットワークNETを介して情報サーバ101から各物体ID情報OBに対する複数の物体認識用情報OBSを読み込む(ステップS3)。そして、ロボット1は、各物体認識用情報OBSによる認識処理により物体を特定する(ステップS4)。ロボット1は、物体を特定した後、物体認識用情報OBSに基づいて作業環境モデルWMを作成或いは更新し(ステップS5)、続いて作業環境モデルWMを参照して、作業計画を作成し(ステップS6)、その作業計画に基づいて自律的に行動する(ステップS7)。
【実施例3】
【0097】
次に本発明による実施例3を説明する。本実施例3は、前記の実施例1における吸着ヘッド13、チャックユニット14、カッティング部15、及びXYキャリッジを、後述の「ロボットが複数の物体特定用装置の物体特定結果をも参照して作業環境に存在する物体を特定するシステム」を使用して構成したものである。以下に、このシステムの構成を詳細に説明する。
【0098】
図24は、ロボットが複数の物体特定用装置の物体特定結果をも参照して作業環境に存在する物体を特定するシステムの構成を示す。このシステムでは、情報通信ネットワークNET上に複数(この例では6台)の物体特定用装置201,202,203,204,205,206を接続して、ロボット1は、これらの物体特定用装置201,202,203,204,205,206の物体特定結果をも得て、作業環境に存在する物体501〜506を最終的に特定している。
【0099】
物体特定用装置201〜206は、ロボット1の環境を監視して監視情報を得る監視装置をなし、図24及び図25に示すように、タグリーダライタ211、撮像部212、アドレス処理部213、ネットワーク処理部214及び処理部215を備えている。この物体特定用装置201〜206は、作業環境の所定位置に固定されて設定されている。
【0100】
タグリーダライタ211、撮像部212、アドレス処理部213及びネットワーク処理部214は、ロボット1が備えるものとは同様な機能を有している。すなわち、タグリーダライタ211は、無線により物体のタグに対する情報の読み書きを行う。このとき、タグリーダライタ211は一定の領域内に存在するタグ501a〜506a(物体501〜506)に対して情報の読み書きをする。
【0101】
アドレス処理部213は、タグリーダライタ211によりタグ501a〜506aから読み込んだ物体ID情報OBから、情報サーバ101〜106にアクセスするためのアドレス情報を読み出す。
【0102】
ネットワーク処理部213は、アドレス処理部211が読み出したアドレス情報のサーバアドレス情報に基づいて、情報通信ネットワークNETを介して情報サーバ101にアクセスする。そして、ネットワーク処理部213は、アドレス情報に基づいて、アクセスした情報サーバ101の所定の記憶領域に記憶されている物体操作用情報OBSを情報通信ネットワークNETを介して読み込む。ネットワーク処理部213は、情報サーバ101から読み込んだ物体認識用情報OBSを処理部215に出力する。
【0103】
撮像部212は、ロボット2の作業環境を撮像するためのものであり、立体視可能に構成されている。撮像部212は、撮像画像を処理部215に出力する。
【0104】
処理部215は撮像部212からの撮像画像と物体認識用情報OBSの幾何学的形状情報とを用いた物体の認識処理、例えばテンプレートマッチング(この場合、物体認識用情報OBSの幾何学的形状情報はテンプレートをなす。)により、物体501〜506を特定している。ここで、処理部215は、物体ID情報OBに色情報や2次元形状情報が含まれていることから、これを利用して、ロボット1の制御部5と同様な処理を行う。すなわち、処理部215は、前述の認識処理に先立って、物体ID情報OBから得た色情報等と撮像部212からの撮像画像とを用いた認識処理を行う。この物体ID情報OBから得た色情報等を用いた認識処理により物体を特定できた場合には、処理部215は、撮像画像と物体認識用情報OBSとを用いた認識処理を行わないようにする。
【0105】
そして、処理部215は、物体認識用情報OBS又は物体ID情報の色情報等に基づいて得た監視結果である物体特定結果を情報通信ネットワークNETを介してロボット1に送信する。具体的には、処理部215は、ネットワーク処理部214に物体特定結果を出力して、ネットワーク処理部214は、その物体特定結果を情報通信ネットワークNETを介してロボット1に送信する。ここで、物体特定用装置201〜206ロボット1との間を通信可能に接続する情報通信ネットワークNETは例えばLAN(Local Area Network)によって構成されている。また、物体特定結果は例えば物体の位置情報であり、処理部215は、その物体の位置情報に物体ID情報を添付し、物体特定結果として、ロボット1に送信している。
【0106】
ロボット1は、ネットワーク処理部214により物体特定用装置201〜206からの物体特定結果を受信する。ロボット1では、制御部5が、情報サーバ101から得た物体認識用情報OBSの幾何学的形状情報と撮像部9からの撮像画像とを用いた物体の認識処理により、作業対象となる物体501〜506を特定している。その一方で、制御部5は、物体特定用装置201〜206の物体特定結果に基づいて物体501〜506を特定する。すなわち、制御部5は、独自に物体501〜506を特定するとともに、物体特定用装置201〜206の物体特定結果に基づく物体501〜506の特定も行う。
【0107】
次に一連の処理手順を示す。ロボット1の処理や当該当ロボット1と情報サーバ101との間の処理については、前記図21に示した処理内容と同じである。一方、物体特定用装置201〜206は、図26に示すような処理を行う。先ず、物体特定用装置201〜206は、タグリーダライタ211により物体501〜506のタグ501a〜506aに書き込まれている物体ID情報OBのアドレス情報を読み込む(ステップS21)。このとき、物体ID情報OBの読み込み対象になるタグは、ロボット1から一定領域内に存在する物体のタグである。
【0108】
続いて、物体特定用装置201〜206は、アドレス処理部213及びネットワーク処理部214により、アドレス情報に基づいて、情報通信ネットワークNETを介して情報サーバ101から物体認識用情報OBを読み込む(ステップS22)続いて、物体特定用装置201〜206は、処理部215により、読み込んだ物体認識用情報OBSに基づいて物体を特定して(スッテップS23)、その物体特定結果をロボット1に送信する(ステップS24)。
【0109】
このような物体特定用装置201〜206の処理に対応して、ロボット1は、図10に示すような処理手順により自律的行動をする。ロボットが自律的行動をする際の処理手順では、図22と図27とを比較するとわかるように、前記ステップS13の処理に替えて、ステップS31の処理を行うようになっている。すなわち、ステップS31として、ロボット1の制御部5は、直接情報サーバ101から読み込んだ物体認識用情報OBS及び物体特定用装置201〜206の物体特定結果に基づいて物体を特定する。すなわち、ロボット1は、独自に物体501〜506を特定するとともに、物体特定用装置201〜206の物体特定結果に基づく物体501〜506の特定も行っている。
【0110】
図28は、このような処理をする際のロボット1の様子を示す。この図28に示すように、ロボット1は、物体501〜506のタグ501a〜506aのアドレス情報に基づいて情報サーバ101から物体認識用情報OBSを読み込み、その読み込んだ物体認識用情報OBSと物体特定用装置201〜206の物体特定結果とに基づいて物体を特定する。
【0111】
以上、本発明の各実施例について説明したが、本発明及び本発明を構成する各構成要件は、それぞれ、前記の各実施例及び前記の各実施例を構成する各要素として述べたものに限定されるものではなく、様々な変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明の実施例1を使用した調剤薬局における調剤処理の流れを示すフローチャート。
【図2】本実施例1を使用した調剤薬局における薬剤ピッキング処理の流れを示すフローチャート。
【図3】本実施例1による薬剤ピッキングシステムの全体構成を概念的に示すブロック図。
【図4】本実施例1の全体の外観構成を示す図。
【図5】本実施例1の構成を説明するための図。
【図6】本実施例1の構成を説明するための図。
【図7】本実施例1の構成を説明するための図。
【図8A】本実施例1の構成を説明するための図。
【図8B】本実施例1の構成を説明するための図。
【図9】本実施例1の構成を説明するための図。
【図10】本実施例1の構成を説明するための図。
【図11】本実施例1の構成を説明するための図。
【図12】本実施例1のカッティング部の構成及び動作を説明するための図。
【図13】本実施例1のカッティング部の構成及び動作を説明するための図。
【図14】本実施例1のカッティング部の構成及び動作を説明するための図。
【図15】本実施例1のカッティング部の構成及び動作を説明するための図。
【図16】本実施例1のカッティング部の構成及び動作を説明するための図。
【図17】本実施例1のカッティング部の構成及び動作を説明するための図。
【図18】本発明の実施例2に使用されるロボットの構成を説明するための図。
【図19】本実施例2に使用されるロボットの構成を説明するための図。
【図20】本実施例2に使用されるロボットの構成を説明するための図。
【図21】本実施例2に使用されるロボットの動作を説明するための図。
【図22】本実施例2に使用されるロボットの動作を説明するための図。
【図23】本実施例2に使用されるロボットの構成を説明するための図。
【図24】本発明の実施例3に使用されるシステムの構成を説明するための図。
【図25】本実施例3に使用されるシステムの構成を説明するための図。
【図26】本実施例3に使用されるシステムの動作を説明するための図。
【図27】本実施例3に使用されるシステムの動作を説明するための図。
【図28】本実施例3に使用されるシステムの構成を説明するための図。
【符号の説明】
【0113】
1 ロボット
2 移動台車
3 アーム
4 タグリーダライタ
5 制御部
6 駆動部
7 アドレス処理部
8 ネットワーク処理部
9 撮像部
10 コントローラ
11 完全シート収納部
11a 完全シート
12 残部シート収納部
12a 残部シート
13 吸着ヘッド
14 チャックユニット
15 カッティング部
16 トレイ
17 キャリッジ
21 刃
22 受け部
22a 溝部
101 情報サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同種の錠剤を所定個数だけ互いに区分け可能に封入した錠剤シートの中、未だ一部が切り離されていない完全シートを、複数枚、それぞれ平坦状に形成されている底面を上側にして互いに積層された状態で収納するための完全シート収納部と、
前記完全シート収納部に近接して配置された残部シート収納部であって、同種の錠剤を所定個数だけ互いに区分け可能に封入した錠剤シートの中、1個以上の錠剤を含む端数シートが切り離された後の残りの残部シート又は前記完全シートを、いずれか1枚だけ、収納するための残部シート収納部と、
前記の互いに近接して配置された各完全シート収納部及び各残部シート収納部を、上下左右方向に多数配置して成る薬品棚と、
前記各完全シート収納部に対向可能に配置された吸着ヘッドであって、前記各完全シート収納部内において前記積層された完全シートの中の一番上側の完全シートの平坦状底面を、減圧状態を利用して吸着するための吸着ヘッドと、
前記各残部シート収納部に対向可能に配置されたチャックユニットであって、前記各残部シート収納部に収容された1枚の残部シート又は完全シートの端部を把持するためのチャックユニットと、
前記チャックユニットにより端部が把持された残部シート又は完全シートから、1個以上の錠剤を含む端数シートを切り離すためのカッティング部と、
前記吸着ヘッド及び前記チャックユニットの下方に配置され、(a)前記吸着ヘッドにより吸着された完全シート、(b)前記チャックユニットにより把持された残部シート、及び/又は、(c)前記チャックユニットにより把持された残部シート又は完全シートから前記カッティング部により切り離された端数シート、を受け取るためのシート受け取り部と、
前記吸着ヘッド及びチャックユニットを一緒に上下左右方向に移動させて、前記完全シート収納部及び残部シート収納部にそれぞれ対向させるための移動機構と、
を備えたことを特徴とする薬剤ピッキングシステム。
【請求項2】
請求項1において、前記移動機構は、前記シート受け取り部をも前記吸着ヘッド及び前記チャックユニットと一緒に上下左右方向に移動させるものである、ことを特徴とする薬剤ピッキングシステム。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記残部シート収納部は、1個以上の錠剤を含む端数シートが切り離された後の残りの残部シートが存在するときはその残部シート1枚だけが収納され、前記残部シートが存在しないときは前記完全シート収納部からの完全シート1枚だけが収納されるものである、ことを特徴とする薬剤ピッキングシステム。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれかにおいて、
前記カッティング部は、刃と、前記チャックユニットによりチャックされた残部シート又は完全シートが載置される受け部と、前記受け部に載置された前記残部シート又は完全シートの上方から前記受け部に向けて前記刃を下降させる駆動部とを備え、前記受け部には、前記刃の先端部分が挿入可能な溝部が形成されている、ことを特徴とする薬剤ピッキングシステム。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれかにおいて、
患者の処方箋データを入力するための処方箋データ入力手段と、
前記処方箋データ入力手段により入力された処方箋データに基づいて、前記の移動機構、吸着ヘッド、チャックユニット、及びカッティング部を制御するための制御手段と、
を備えており、
前記制御手段は、前記処方箋データに基づいてある種類の錠剤をピッキングするとき、そのピッキングすべき錠剤の個数が前記完全シートに含まれる錠剤数の整数倍を超える端数を含むときは、(1)前記ピッキングすべき錠剤の個数の中、前記端数を除く前記完全シートの錠剤数の整数倍を充足する枚数の完全シートを、前記吸着ヘッドにより前記完全シート収納部から吸着すると共に、(2)前記ピッキングすべき錠剤の個数の中、前記端数に相当する端数シートを、前記残部シート収納部から取り出され前記チャックユニットにより把持された残部シートから、前記カッティング部により切り離し、(3)前記端数シートが切り離された後の残りの残部シートを前記残部シート収納部に戻すように、前記の移動機構、吸着ヘッド、チャックユニット、及びカッティング部を制御するものである、ことを特徴とする薬剤ピッキングシステム。
【請求項6】
請求項5において、
前記制御手段は、前記残部シートに収納されている残部シートに含まれる錠剤の個数が前記処方箋データに基づいてピッキングする必要のある前記端数よりも少ないときは、前記残部シートに収納されている残部シートを前記チャックユニットによりチャックした後カッティングすること無くそのまま前記シート受け取り部に移動させ、前記完全シート収納部からの1枚の完全シートを前記吸着ヘッドにより吸着させて前記残部シート収納部に収納させ、その後、前記残部シート収納部に収納された完全シートを前記チャックユニットによりチャックさせて、前記カッティング部により前記端数分だけカッティングさせる、ものであることを特徴とする薬剤ピッキングシステム。
【請求項7】
請求項5又は6において、
前記完全シート収納部には、前記完全シート収納部及び残部シート収納部に収納されている薬剤の個数を書換え可能に記録し且つ非接触でデータを外部と送受信可能な非接触タグが備えられていると共に、
前記吸着ヘッドには、前記制御手段からの処方箋データに基づいて、前記非接触タグの記録内容を、前記処方箋データに基づいてこれからピッキングすべき薬剤の個数だけ減算した個数に書き換えるためのタグライタが備えられている、ことを特徴とする薬剤ピッキングシステム。
【請求項8】
請求項5から7までのいずれかにおいて、
前記の吸着ヘッド、チャックユニット、及び移動機構は、情報サーバに記憶されている物体を画像認識するために必要な物体認識用情報に基づいて前記物体を特定するロボットであって、周囲を撮影する撮像手段と、前記情報サーバから前記物体認識用情報を読み込むための読み込み用情報を、前記物体に付されている非接触型タグから非接触で読み取るタグリーダと、前記タグリーダが読み取った前記読み込み用情報に基づいて、前記情報サーバから前記物体認識用情報を読み込む通信手段と、前記通信手段が読み込んだ前記物体認識用情報と前記撮像手段が得た撮像画像情報とを用いて、前記物体を特定する物体特定手段とを備えたロボットにより構成されている、ことを特徴とする薬剤ピッキングシステム。
【請求項9】
請求項8において、前記ロボットは、前記タグに情報を書き込むタグライタと、前記物体特定手段が特定した物体の情報を前記タグライタにより前記タグに書き込む物体情報書き込み手段とを備え、前記タグリーダは、前記物体情報書き込み手段が前記タグに書き込んだ前記物体の情報を読み取るものである、ことを特徴とする薬剤ピッキングシステム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同種の錠剤を所定個数だけ互いに区分け可能に封入した錠剤シートの中、未だ一部が切り離されていない完全シートを、複数枚、それぞれ平坦状に形成されている底面を上側にして互いに積層された状態で収納するための完全シート収納部と、
前記完全シート収納部に近接して配置された残部シート収納部であって、同種の錠剤を所定個数だけ互いに区分け可能に封入した錠剤シートの中、1個以上の錠剤を含む端数シートが切り離された後の残りの残部シート又は前記完全シートを、いずれか1枚だけ、収納するための残部シート収納部と、
前記の互いに近接して配置された各完全シート収納部及び各残部シート収納部を、上下左右方向に多数配置して成る薬品棚と、
前記各完全シート収納部に対向可能に配置された吸着ヘッドであって、前記各完全シート収納部内において前記積層された完全シートの中の一番上側の完全シートの平坦状底面を、減圧状態を利用して吸着するための吸着ヘッドと、
前記各残部シート収納部に対向可能に配置されたチャックユニットであって、前記各残部シート収納部に収容された1枚の残部シート又は完全シートの端部を把持するためのチャックユニットと、
前記チャックユニットにより端部が把持された残部シート又は完全シートから、1個以上の錠剤を含む端数シートを切り離すためのカッティング部と、
前記吸着ヘッド及び前記チャックユニットの下方に配置され、(a)前記吸着ヘッドにより吸着された完全シート、(b)前記チャックユニットにより把持された残部シート、及び/又は、(c)前記チャックユニットにより把持された残部シート又は完全シートから前記カッティング部により切り離された端数シート、を受け取るためのシート受け取り部と、
前記吸着ヘッド及びチャックユニットを一緒に上下左右方向に移動させて、前記完全シート収納部及び残部シート収納部にそれぞれ対向させるための移動機構と、を備え、
前記残部シート収納部は、1個以上の錠剤を含む端数シートが切り離された後の残りの残部シートが存在するときはその残部シート1枚だけが収納され、前記残部シートが存在しないときは前記完全シート収納部からの完全シート1枚だけが収納されるものである、ことを特徴とする薬剤ピッキングシステム。
【請求項2】
請求項1において、前記移動機構は、前記シート受け取り部をも前記吸着ヘッド及び前記チャックユニットと一緒に上下左右方向に移動させるものである、ことを特徴とする薬剤ピッキングシステム。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記カッティング部は、刃と、前記チャックユニットによりチャックされた残部シート又は完全シートが載置される受け部と、前記受け部に載置された前記残部シート又は完全シートの上方から前記受け部に向けて前記刃を下降させる駆動部とを備え、前記受け部には、前記刃の先端部分が挿入可能な溝部が形成されている、ことを特徴とする薬剤ピッキングシステム。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれかにおいて、
患者の処方箋データを入力するための処方箋データ入力手段と、
前記処方箋データ入力手段により入力された処方箋データに基づいて、前記の移動機構、吸着ヘッド、チャックユニット、及びカッティング部を制御するための制御手段と、
を備えており、
前記制御手段は、前記処方箋データに基づいてある種類の錠剤をピッキングするとき、そのピッキングすべき錠剤の個数が前記完全シートに含まれる錠剤数の整数倍を超える端数を含むときは、(1)前記ピッキングすべき錠剤の個数の中、前記端数を除く前記完全シートの錠剤数の整数倍を充足する枚数の完全シートを、前記吸着ヘッドにより前記完全シート収納部から吸着すると共に、(2)前記ピッキングすべき錠剤の個数の中、前記端数に相当する端数シートを、前記残部シート収納部から取り出され前記チャックユニットにより把持された残部シートから、前記カッティング部により切り離し、(3)前記端数シートが切り離された後の残りの残部シートを前記残部シート収納部に戻すように、前記の移動機構、吸着ヘッド、チャックユニット、及びカッティング部を制御するものである、ことを特徴とする薬剤ピッキングシステム。
【請求項5】
請求項4において、
前記制御手段は、前記残部シートに収納されている残部シートに含まれる錠剤の個数が前記処方箋データに基づいてピッキングする必要のある前記端数よりも少ないときは、前記残部シートに収納されている残部シートを前記チャックユニットによりチャックした後カッティングすること無くそのまま前記シート受け取り部に移動させ、前記完全シート収納部からの1枚の完全シートを前記吸着ヘッドにより吸着させて前記残部シート収納部に収納させ、その後、前記残部シート収納部に収納された完全シートを前記チャックユニットによりチャックさせて、前記カッティング部により前記端数分だけカッティングさせる、ものであることを特徴とする薬剤ピッキングシステム。
【請求項6】
請求項4又は5において、
前記完全シート収納部には、前記完全シート収納部及び残部シート収納部に収納されている薬剤の個数を書換え可能に記録し且つ非接触でデータを外部と送受信可能な非接触タグが備えられていると共に、
前記吸着ヘッドには、前記制御手段からの処方箋データに基づいて、前記非接触タグの記録内容を、前記処方箋データに基づいてこれからピッキングすべき薬剤の個数だけ減算した個数に書き換えるためのタグライタが備えられている、ことを特徴とする薬剤ピッキングシステム。
【請求項7】
請求項4から6までのいずれかにおいて、
前記の吸着ヘッド、チャックユニット、及び移動機構は、情報サーバに記憶されている物体を画像認識するために必要な物体認識用情報に基づいて前記物体を特定するロボットであって、周囲を撮影する撮像手段と、前記情報サーバから前記物体認識用情報を読み込むための読み込み用情報を、前記物体に付されている非接触型タグから非接触で読み取るタグリーダと、前記タグリーダが読み取った前記読み込み用情報に基づいて、前記情報サーバから前記物体認識用情報を読み込む通信手段と、前記通信手段が読み込んだ前記物体認識用情報と前記撮像手段が得た撮像画像情報とを用いて、前記物体を特定する物体特定手段とを備えたロボットにより構成されている、ことを特徴とする薬剤ピッキングシステム。
【請求項8】
請求項7において、前記ロボットは、前記タグに情報を書き込むタグライタと、前記物体特定手段が特定した物体の情報を前記タグライタにより前記タグに書き込む物体情報書き込み手段とを備え、前記タグリーダは、前記物体情報書き込み手段が前記タグに書き込んだ前記物体の情報を読み取るものである、ことを特徴とする薬剤ピッキングシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate


【公開番号】特開2006−158552(P2006−158552A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−352220(P2004−352220)
【出願日】平成16年12月6日(2004.12.6)
【特許番号】特許第3673273号(P3673273)
【特許公報発行日】平成17年7月20日(2005.7.20)
【出願人】(503219721)株式会社ウィンディー (3)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【出願人】(591065549)福岡県 (121)
【Fターム(参考)】