表面検査装置
【課題】大型の対象物の光沢面の検査に好適なLED照明装置を備えた表面検査装置を提供すること。
【解決手段】表面検査装置は、LEDを使用した照明装置11、対象物の表面に写り込んだ照明装置11の発光面を撮影するためのカメラ12、カメラ12を任意の位置および方向に移動可能なロボットアーム10、ロボットアームを予め定められた経路に従って移動させ、カメラによる撮影の指示を繰り返すシーケンサ、カメラにより撮影された画像を取り込み、傷を検出して位置を表示するするコントローラを備える。照明にLEDを使用することにより、発光面の面積が広く、広い面積に渡ってむらが少なく均一で、余分な拡散光が少ない照明が可能となるので、検出精度が向上すると共に検査時間が短縮できる。
【解決手段】表面検査装置は、LEDを使用した照明装置11、対象物の表面に写り込んだ照明装置11の発光面を撮影するためのカメラ12、カメラ12を任意の位置および方向に移動可能なロボットアーム10、ロボットアームを予め定められた経路に従って移動させ、カメラによる撮影の指示を繰り返すシーケンサ、カメラにより撮影された画像を取り込み、傷を検出して位置を表示するするコントローラを備える。照明にLEDを使用することにより、発光面の面積が広く、広い面積に渡ってむらが少なく均一で、余分な拡散光が少ない照明が可能となるので、検出精度が向上すると共に検査時間が短縮できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面検査装置に関するものであり、特に、光沢面の検査に好適なLED(発光ダイオード)照明装置を備えた表面検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルカメラによって製品の画像を取り込んで、製品の表面の傷等を検査する装置が提案されている。下記の特許文献1には、鏡面の欠陥である傷や異物の付着などの異常を検査する鏡面検査装置が開示されている。この鏡面検査装置においては、検査対象のワークの鏡面に向けてカメラを配置するとともに、正常な鏡面での正反射によってカメラの被写界となる領域に第1の拡散面照明を配置し、正常な鏡面での正反射によってカメラの被写界とならない領域に第2の拡散面照明を配置する。そして、第1の拡散面照明からの光で正常な鏡面での正反射によってカメラに入射する光の画像と、第2の拡散面照明からの光で欠陥部分での正反射によってカメラに入射する光の画像とから、画像処理により鏡面の欠陥を検出する。
【特許文献1】特開2000−028545号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記したような従来の表面検査装置において、光沢面の検査を行う場合には、照明装置から照射された光が正反射してカメラに入力され、光沢面に写り込んだ照明装置の像を撮影することになる。この方式を、例えば自動車の車体の塗装面の検査のような大型の対象物に適用した場合には、照明装置としては以下のような機能が必要となる。
【0004】
(1)一度になるべく広い面積を撮影するために発光面の面積が広いこと。(2)発光面の写り込みを撮影するので発光面全体に渡って輝度が均一でむらが少ないこと。(3)正常面と傷とのコントラストが大きくなるために正反射してカメラに届く照射方向以外の方向に放射される不要な拡散光の光量がなるべく少ないこと。(4)照明装置を移動させる必要があるので小型軽量であること。(5)車体の色の違いにかかわらず反射光の光量をなるべく一定とするために対象物の色によって照明色や輝度を変更できること。
【0005】
しかし、前記したような従来の表面検査装置においては、発光面を大型化するとむらが多くなり、余分な散乱光も多く、かつ小型化、軽量化が困難であるという問題点があり、傷等の検出精度が低く、車体全体の撮影や傷のチェックに時間がかかってしまうという問題点があった。本発明は、上記した課題を解決し、大型の対象物の光沢面の検査に好適なLED(発光ダイオード)照明装置を備えた表面検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の表面検査装置は、対象物の表面に写り込んだ照明装置の像を撮影するための画像撮影手段と、前記画像撮影手段と所定の位置関係に固着されたLEDを使用した照明手段と、前記画像撮影手段を任意の位置および方向に移動可能なロボットアーム手段と、前記ロボットアーム手段を予め定められた経路に従って移動させる動作と前記画像撮影手段による撮影とを繰り返すことにより対象物の画像データを取得する制御手段と、撮影された画像から傷の位置を検出する傷検出手段と、前記ロボットアーム手段から画像撮影手段の位置情報を取得し、前記傷検出手段から画像内における傷位置情報を取得して、対象物上の傷位置を算出して表示する傷位置表示手段とを備えたことを主要な特徴とする。
【0007】
また、前記した表面検査装置において、前記画像撮影手段はラインセンサカメラであり、前記照明手段は、手段前記ラインセンサカメラの光検出素子配列軸と平行に配置された直線状の照明装置であり、前記制御手段は前記ラインセンサカメラの光検出素子配列軸と垂直方向に前記ロボットアーム手段を一定の方向に所定の距離だけ移動させる動作と前記ラインセンサカメラによる撮影とを繰り返すことにより対象物の2次元画像データを取得する点にも特徴がある。
【0008】
また、前記した表面検査装置において、前記照明手段は配線基板上に複数の色のLEDをそれぞれ均等に配置し、LEDの前面に光拡散板を配置した構成であり、かつ、複数の色のLED毎に駆動電流を制御可能な可変定電流電源回路に接続されており、前記制御手段は各色毎の可変定電流電源回路を制御することにより、対象物の色に合わせて照明色を切り替える点にも特徴がある。
【0009】
また、前記した表面検査装置において、前記対象物は自動車の車体であり、前記制御手段は、前記ロボットアーム手段を制御することによって、前記画像撮影手段と前記照明手段とを上下に配置して前記車体表面を上下方向に走査する点にも特徴がある。また、前記した表面検査装置において、対象物の表面に写り込んだ照明装置の像を異なる角度から撮影するために前記画像撮影手段を複数個備えた点にも特徴がある。
【0010】
また、前記した表面検査装置において、前記照明手段の発光面は、異なる方向を向いた複数の平面あるいは曲面の少なくとも一方を含んでいる点にも特徴がある。また、前記した表面検査装置において、前記照明手段の発光面は、前記画像撮影手段からの距離が遠い部分が外側に延長されている点にも特徴がある。
また、前記した表面検査装置において、前記傷検出手段は撮影された画像の輝度値を2値化する2値化手段、画像中の対象物の無い領域を傷の無い対象物表面と同じ輝度値で塗りつぶす検査外領域塗りつぶし手段、所定の範囲の大きさを有する周囲の輝度値と異なる輝度値の領域を異常領域と判定する異常領域検出手段を備えている点にも特徴がある。
【0011】
また、前記した表面検査装置において、更に、前記画像撮影手段と所定の位置関係に固着され、前記画像撮影手段の焦点位置を通るレーザ光を照射するレーザ光源手段を備えた点にも特徴がある。
また、前記した表面検査装置において、前記レーザ光源手段は4個備えられ、更に、前記レーザ光源手段を点灯して前記画像撮影手段によって撮影された画像を解析し、対象物と前記画像撮影手段との距離情報および角度情報の少なくとも一方を得る位置情報検出手段を備えた点にも特徴がある。
【発明の効果】
【0012】
本発明の表面検査装置は上記したような特徴によって、以下のような効果がある。
(1)LEDを使用することにより、発光面の面積が広く、広い面積に渡ってむらが少なく均一で、余分な拡散光が少ない照明が可能となるので、検出精度が向上すると共に検査時間が短縮できる。
(2)照明装置を薄い板状に構成可能であり、軽量化が可能であるのでロボットアームの先端に容易に搭載可能であり、かつロボットアームを高速に移動可能である。
(3)照明装置にLEDを使用することにより、対象の色に合わせて色や輝度を自由に調整可能である。
【0013】
(4)ラインセンサを使用することによって、同じ面積を撮影するための照明装置をより小型化、軽量化できる。また、ラインセンサの方が通常の2次元画像撮像素子よりも高精度に撮影可能であり、傷検出精度の向上あるいは同じ精度でより広い範囲の撮影が可能である。
(5)照明装置を複数の平面あるいは曲面で構成し、また、対象物の凸表面で写り込んだ照明手段の像がカメラの視野と同じ長方形となるように照明手段の形状を変形させることにより、自動車の車体等の多種の曲面からなる対象物を効率良く撮影可能である。
(6)レーザ光源を使用した対象物との位置や角度の検出手段を設けることにより、対象物の表面全体の撮影位置や撮影角度を設定するティーチング処理を自動化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
実施例においては、被検査対象物(以下ワークとも記す)として例えば自動車の車体の塗装面の検査を行う例について説明するが、本発明は任意の光沢塗装面、金属製品の切削表面、樹脂成形品等の表面検査等に適用可能である。以下実施例について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は、本発明の表面検査装置の実施例の構成を示す正面図である。本発明の表面検査装置は大きく分けて、撮影ユニット13を備えたロボットアーム10、ロボットアーム10の制御を含む表面検査処理全体を制御するシーケンサ25、画像の撮影および傷の有無の検査処理を行うコントローラ20からなる。
【0016】
撮影ユニット13は、ロボットアーム10の先端に固着されており、LEDを使用した照明装置11および対象物15を撮影するカメラ12が角度を調整可能に装着されている。ロボットアーム10は、撮影ユニット13を任意の位置および方向に移動可能な装置であり、必要な条件を満たせば、多関節ロボットやリニア駆動装置を組み合わせたロボットなど、市販されている周知の任意のロボットアーム装置を採用可能である。
【0017】
制御手段の一部であるシーケンサ25は、ロボットアーム10の制御を含む検査処理全体の制御を行うコンピュータ装置であり、市販されている周知のシーケンサ装置に後述する処理を実行するプログラムを入力することにより実現可能である。やはり制御手段の一部であるコントローラ20は、画像の撮影および傷の有無の検査処理を行うコンピュータ装置であり、例えば市販されている周知のパソコンに後述する処理を実行するプログラムをインストールすることにより実現可能である。なお、シーケンサ25とコントローラ20を1つのコンピュータ装置により実現することも可能である。
【0018】
照明用電源装置21は、コントローラ20からの制御により、照明装置11の所望の色のLEDを所望の電流値で駆動する電源装置である。表示装置22は例えば対象の傷位置を表示するための液晶ディスプレイ装置等の表示装置である。
【0019】
図2は、本発明の表面検査装置の撮影ユニット13の構成を示す正面図である。図2(a)はカメラ12として2次元画像を撮影可能なCCDモノクロ撮像素子を使用したカメラを用いた場合を示している。この場合には、対象物の表面に写り込んだ照明装置11の発光面をカメラ12によって撮影するので、照明装置11の発光面の形状はカメラ12の視野の形状(長方形)とほぼ等しくすることが好ましい。
【0020】
図2(b)はカメラ31として1次元画像を撮影可能なCCDラインセンサ撮像素子を使用したカメラを用いた場合を示している。この場合には、照明装置30の発光面の形状は所定の幅を有する細長い長方形の形状とする。幅は、照明装置30の発光面がラインセンサカメラ31に写り込むように、対象物の表面形状に従って決定するが、対象物が平面に近いほど幅は狭くてよい。
【0021】
ラインセンサカメラ31の光検出素子の配列軸と照明装置の長軸は平行に配置する。CCDラインセンサとしては、例えば市販されている4096画素のCCDモノクロラインセンサを使用可能であり、ラインセンサの方が現在入手可能な2次元画像撮像素子よりも高精度な画像を撮影可能である。
なお、カメラのピントは例えば手動調整により、所定の距離だけ離れた対象物の表面にピントが合うように調整しておく。
【0022】
対象物の表面が湾曲していると写り込む照明装置の像が歪み、特にラインセンサカメラを使用する場合には、照明装置の幅が狭いと正常に撮影できなくなる。対象が自動車の車体である場合には、表面が水平方向にはあまり湾曲しておらず、垂直方向において湾曲している。従って、照明装置11、30とカメラ12、31を上下に配置し、撮影ユニット13を垂直方向に走査(移動)しながら撮影した方が写り込む照明装置11の像の歪みが少なく、より広い範囲の撮影が可能となる。
【0023】
図3は、本発明の表面検査装置の照明装置11の構成を示す断面図である。LEDを使用した照明手段である照明装置11は、薄い直方体のケース(11)内に収納された配線基板に多数のLED17が均等な面密度(間隔)で配置されている照明装置である。LED17としては、先端に凸レンズの付いた光照射角度の狭い砲弾型の素子を採用することによって不要な方向の拡散光を減少させ、また、密度をなるべく密にすることにより、むらを減少させて均一性を増す。
【0024】
LED17としては、例えば赤(R)、緑(G)、青(B)の3種類の色のLEDが均等な密度で配置されており、各色のLEDをそれぞれ独立して所望の電流値で駆動できるように回路が構成されている。なお、LED17としては照射角度は広いが、小型軽量のチップ型LED素子を採用してもよい、チップ型LED素子の方が砲弾型のLED素子よりも面密度を高くすることができる。
【0025】
LED17の前面には所定の距離だけ離して光拡散板18が装着されている。この光拡散板18により発光面のむらが減少し、均一性が増す。なお、LED17と光拡散板18の距離を離すほど均一性が増すので、可能な範囲でなるべく離すようにする。光拡散板18は光を拡散する半透明のプラスティック板であり、任意の拡散性を備えたものを入手可能である。拡散性の高いものを使用するほど、均一性は増すが、光量が減衰し、不要な拡散光が増加するので、傷のコントラストが最大となるようなものを採用する。
【0026】
図4は、本発明の表面検査装置の撮影ユニット13の撮影時の配置を示す説明図である。本発明の表面検査装置においては、正反射した照明装置11の発光面の写り込みをカメラ12(31)で撮影するので、少なくとも撮影範囲(撮影領域)よりも数倍程度大きな面積の照明装置が必要となる。カメラの光軸と対象物表面の垂線との角度θは0度でも写り込みを撮影可能であり、θが大きいと撮影領域が狭くなってしまうと共に曲面の場合には写り込んだ像が歪むので、実験等により最適な角度を決定する。
【0027】
図5は、本発明の表面検査装置の撮影ユニット13の別の配置例を示す説明図である。この例は照明装置11の両側に2次元画像を撮影するカメラ12を配置した例である。この場合には照明装置11は対象表面と平行に配置する。照明装置11の中心とそれぞれのカメラ12を結ぶ線の垂直2等分線が対象物表面と交叉する点を中心とする2カ所の撮影領域を同時に撮影可能である。
【0028】
図6は、本発明の撮影ユニットの変形例の構成を示す平面図である。図6(a)は2次元画像撮影カメラを使用した場合の図2(a)と同じ基本的配置である。図6(b)は、図5と同じく照明装置11の両側に2次元画像を撮影するカメラ12を配置した例である。図6(c)は照明装置11の周囲4カ所にカメラ12を配置した例であり、4カ所の撮影領域を同時に撮影可能である。
【0029】
図6(d)はラインセンサカメラ31を使用した場合の図2(b)と同じ基本的配置である。図6(e)は、照明装置30の両側にラインセンサカメラ31を配置した例である。この場合には照明装置30は対象表面と平行に配置する。照明装置30の中心とそれぞれのカメラ31を結ぶ線の垂直2等分線が対象物表面と交叉する点を中心とする2カ所の線状領域を同時に撮影可能であり、(d)の構成の半分の時間で同じ面積を撮影可能である。
【0030】
図6(f)は2倍の長さの照明装置30の周囲4カ所にカメラ31を配置した例であり、4カ所の線状の撮影領域を同時に撮影可能であるので、(d)の構成の1/4の時間で同じ面積を撮影可能である。る。図6(g)は照明装置の長手方向の両側にカメラ31を配置した例である。この場合にもラインセンサカメラ31の光検出素子の配列軸と照明装置の長軸は平行に配置する。やはり、(d)の構成の半分の時間で同じ面積を撮影可能である。
【0031】
図7は、本発明の表面検査装置の照明用電源装置21の構成を示すブロック図である。照明装置11のLED31はRGBの各色毎に所定個数(図では3個)直列に接続されたものが並列に複数個接続されて回路を形成している。そして各色毎に照明用電源装置21内の可変定電流電源回路42が接続されている。各可変定電流電源回路42は制御回路40を介してコントローラ20によって電流値が制御され、オン/オフや輝度が制御される。従って、照明装置11によって任意の色および照度の照明が可能である。
【0032】
図9は、シーケンサ25における処理内容を示すフローチャートである。この処理は図2(a)に示すような2次元画像を撮影するカメラ12を使用した場合の例である。S10においては、ロボットアーム10を制御して撮影ユニット13を予め定められた初期位置に移動させる。S11においては、予め設定されている経路および撮影方向に従って撮影ユニット13を所定の速度で移動させる。
【0033】
S12においては、現在の位置が予め設定された撮影位置に達したか否かが判定され、判定結果が否定の場合にはS14に移行するが、肯定の場合にはS13に移行する。S13においては、コントローラ20に撮影ユニット13の位置情報および撮影指示を出力する。S14においては、検査終了(検査終了位置まで移動した)か否かが判定され、判定結果が否定の場合にはS11に移行するが、肯定の場合にはS15に移行する。S15においては、コントローラに終了指示を送信する。
【0034】
なお、ラインセンサカメラ31を使用する場合には、撮影ユニット13を予め定められた一定速度で一定の方向に移動させると共に、コントローラ20に対して撮影開始指示および撮影終了指示を送信するようにする。そして一定の周期でラインセンサカメラ31からライン画像を取り込む。
【0035】
図10は、コントローラ20における処理内容を示すフローチャートである。この処理はやはり図2(a)に示すような2次元画像を撮影するカメラ12を使用した場合の例である。S20においては、シーケンサ25から撮影指示を受信したか否かが判定され、判定結果が否定の場合にはS21に移行するが、肯定の場合にはS22に移行する。
【0036】
S21においては、シーケンサ25から終了指示を受信したか否かが判定され、判定結果が否定の場合にはS20に移行するが、肯定の場合には処理を終了する。S22においては、シーケンサ25から受信した撮影ユニット位置情報を保存する。S23においては、対象の色と対応した色および輝度(電流値)で照明をオンする。対象の色情報は予め手動で、あるいは図示しない生産ライン制御システムから取得して記憶しておく。
【0037】
自動車の車体の場合には多数の塗装色があり、同じ白色光で照明すると、正反射光であっても塗装色によって撮影画像の輝度値が大きく異なり、傷の検出精度が低下してしまう。そこで、塗装色が例えば赤である場合には赤い光で照明することによって反射光の光量が増し、輝度値の差が減少する。
【0038】
ロボットアーム10により走査しながら撮影を行う場合、撮影の度に撮影ユニット13を静止させていると走査に時間がかかってしまうので、移動しながら撮影することになる。このためにはカメラ12、31のシャッタースピードを早くする必要があるが、このためには、照明装置11の照度がなるべく明るい方が好ましい。
【0039】
一方LEDの輝度は流す電流に依存するが、LEDに流した電流の多くは熱となるので素子の温度を一定値以下に保つために照明装置11全体の投入電力は一定値以下に保つ必要がある。また、LEDは短時間であれば大きな電流を流して高輝度で発光させることが可能である。
【0040】
そこで、塗装色が白である場合には、RGBそれぞれに同じ電流を流して白色光で照明し、塗装色が赤である場合には、赤(R)色のLEDのみを白の時の3倍の電流で駆動し、より反射率の高い赤い光のみを高輝度で発光させる。この場合でも照明装置11全体としての消費電力(発熱)は白の場合と同じである。
【0041】
S24においては、カメラ12を制御し、撮影された画像を取り込んで保存する。図8は、本発明の表面検査装置における撮影画像および傷の表示例を示す説明図である。図8(a)はカメラ12による撮影画像の例である。車体部分50は照明装置11の発光面が写り込むので白く(高輝度)なり、傷や異物等が存在し、なめらかな光沢面ではない領域52は黒く写る。非検査領域である車体の無い背景部分51も暗くなる。
【0042】
S25においては、照明をオフする。S26においては、後述する傷検出処理を行い、画像中の傷領域のみを抽出する。S27においては、傷が検出されたか否かが判定され、判定結果が否定の場合にはS20に移行するが、肯定の場合にはS28に移行する。
【0043】
S28においては、撮影ユニット位置情報および画像内の傷位置情報から対象物上の傷位置を算出する。対象物である車体はロボットアーム10に対して予め定められた位置に設置される。従って、撮影ユニット13の位置および方向の情報に基づき、車体表面上における撮影領域の位置を算出する。次に、画像内の傷の位置情報から、車体表面上の撮影領域内における傷の位置を算出して保存する。
【0044】
S29においては、対象物上の傷位置(および傷画像)を表示装置22に表示される車体の図形上の位置に変換して表示装置22に表示する。図8(b)は傷の表示例を示す説明図である。車体の側面を示す図中に傷の位置を示す×印56が表示されている。また、同時にあるいは使用者の操作に基づき傷の拡大画像を表示してもよい。
【0045】
ラインセンサ31を使用する場合には、撮影開始指示から撮影終了指示までの間に所定の時間間隔でラインセンサ31から1ライン分の画像情報を順次取り込むと共に、取り込んだ画像情報について順次傷検出処理を実行する。傷の位置は、ロボットアーム10の走査開始位置、走査方向、走査速度および傷が検出されたライン画像の撮影タイミング、ライン内の傷位置情報から算出する。
【0046】
図11は、図10のS26の傷検出処理の内容を示すフローチャートである。S30においては、例えば輝度値が所定の閾値より大きいか否かによって、輝度値を白(高輝度:1)、黒(低輝度:0)に2値化する。この後に、白領域内の所定値以下の大きさの黒点や黒領域内の所定値以下の大きさの白点をノイズと見なし、周囲の色で塗りつぶすフィルタ処理を行ってもよい。
【0047】
S31においては、黒(0)画素が出現するまで走査する。走査は例えば画像上を左上から水平方向に走査し、右端に達したら次行の左端に移動し、画像の右下まで走査する。S32においては、検出された黒画素と隣接する黒画素数を計数する。
【0048】
S33においては、隣接する黒画素数が所定値、max以上か否かが判定され、判定結果が否定の場合にはS35に移行するが、肯定の場合にはS34に移行する。なお、この判定の際に、黒画素列に所定個数、例えば数個以下の白画素が存在している場合にはノイズであると判定し、当該白画素も黒画素と見なして処理する。
【0049】
S34においては、max個以上の黒画素列は対象物の無い検査領域外であると判定し、全て白に塗りつぶす。S35においては、走査完了か否かが判定され、判定結果が否定の場合にはS31に移行するが、肯定の場合にはS36に移行する。以上の処理によって、検査領域外が全て白に塗りつぶされ、傷等の異常領域のみが残る。
【0050】
S36においては、再度、例えば左上から黒画素が出現するまで画像を走査する。S37においては、検出された黒画素と隣接する黒画素数を計数する。S38においては、隣接する黒画素数が所定値、min以下か否かが判定され、判定結果が否定の場合にはS40に移行するが、肯定の場合にはS39に移行する。
【0051】
S39においては、min個以下の画素列はノイズであると判定する。S40においては、min個より大きい画素列は傷であると判定し、画像内の画素位置を記録する。S41においては、走査完了か否かが判定され、判定結果が否定の場合にはS36に移行するが、肯定の場合には処理を終了する。以上のような処理によって、車体の傷位置が自動的に検出され、表示装置に表示される。
【実施例2】
【0052】
図12は、本発明の表面検査装置の照明装置の実施例2の構成を示す断面図である。第1実施例においては、LEDとして小型のLEDを多数配置する構成を開示したが、近年、大型で高輝度のLED素子が入手可能となってきている。大型のLEDを使用するとLED素子数が少なくで済むが、むらが生じやすい。そこで、大型LED61の前面に凸レンズ62を配置し、さらに所定の距離だけ離して光拡散板63を配置することにより、不要な拡散光やむらを減少させる。
【0053】
図12(a)は、例えばR、G、Bの3個のLEDが内蔵された大型LED61を使用した例であり、大型LED61の前面に凸レンズ62を配置して光の放射角度を狭く絞る。更に所定の距離だけ離して光拡散板63を配置することにより、むらを減少させて均一性を増す。
【0054】
図12(b)は、例えば白色の大型LED61、第1のレンズ62、第1の光拡散板67、第2のレンズ66、第2の光拡散板68、第3の光拡散板69を順に並べた例である。大型LED61の前面に凸レンズ62を配置し、凸レンズ62のLED61と反対側の近傍に第1の光拡散板67および凸レンズ66を配置し、放射光が所定の距離だけ離れた第2の光拡散板68全体を照らすように配置する。レンズは通常の凸レンズでもよいし平板状のフレネルレンズでもよい。更に、第2の光拡散板68の前面に第3の光拡散板69を配置することにより、むらを減少させて均一性を増す。
【実施例3】
【0055】
図13は、本発明の表面検査装置の照明装置の実施例3の構成を示す正面図および側面図である。図2に示す実施例1の照明装置11、30は発光面の形状が長方形の平面であったが、自動車の車体のように表面が多種の凸曲面で構成されている場合には写り込んだ照明装置の発光面の形状が歪んで長方形とはならない。従って、歪みを考慮してその分だけ照明装置を大きくする必要がある。
そこで、実施例3の照明装置は発行面を複数の平面あるいは曲面で構成し、また、対象物の凸表面で写り込んだ照明手段の像がカメラの視野と同じ長方形となるように照明手段の形状を変形させることにより、自動車の車体等の多種の曲面からなる対象物を効率良く撮影可能にしたものである。
【0056】
図13(a)は照明装置手段の発光面は、3つの平面から構成されており、中央の発光面70に対して左右の発光面70、71は内側を向いている。また、左右の発光面のカメラ12から遠い部分73が外側(カメラと反対側)に延長されている。図13(a)において中央の発光面70の上部に、左右の発光面70、71と同様の内側を向いた発光面を設けてもよい。
【0057】
図13(b)は(a)の3つの発光面をそれぞれ別の照明装置80、81、82によって構成した例である。このような構造にすれば製造が容易となる。図13(c)は(b)の構成において両側の照明装置85、86の向きを対象物の種別や撮影位置に従って自動的にあるいは手動で変えられるようにした例である。自動的に向きを変える場合には撮影対象に従って左右別々に制御可能とする。このような構成にすれば、車体の端部などの曲率の大きな曲面も効率良く撮影可能である。
【0058】
図13(d)は(a)の構成と同様の機能を1つの曲面によって構成した例である。曲面としては例えば円筒形の側面形状を利用可能である。発光面のカメラ12から遠い部分75が外側に延長され、縁が湾曲している。照明装置の中央部分のみは平面としてもよい。このような構造にすれば発光面のつなぎ目が無いのでむらが減少する。
【0059】
図13(e)は(d)の構成と同様の機能を1つの球あるいは楕円球の一部である表面形状の曲面によって構成した例である。このように構成すれば、図13(e)における水平方向と共に垂直方向にも湾曲しているので、対象物の曲面状の角部などの照明に好適である。
図13(f)は2台のカメラを(d)の曲面構成と類似する照明装置の両側に配置した例である。この場合には、双方のカメラから遠い側の縁が湾曲している。更に照明装置の図13(f)における垂直方向の縁も湾曲させている。
【0060】
なお、カメラとしてラインセンサカメラを使用する場合にも図13の照明装置の図における垂直方向の幅が短くなるだけで同様の構成を適用可能である。
本発明の表面検査装置は以上のような構成および動作により、製品の表面検査の精度が向上すると共に検査時間も短縮される。
【実施例4】
【0061】
前記した実施例において撮影処理を実行するためには、予め車体全体についてカメラの撮影位置や角度を設定するティーチング処理が必要である。ティーチング処理は従来は車体に格子状の線を書き、各格子を完全に含む範囲をカメラで順に撮影するように、カメラの位置や角度を手動で設定し、この情報に基づいてカメラの移動軌跡を決定していた。しかし、この作業は非常に手間がかかるという問題点があった。実施例4は、このティーチング処理を自動化したものである。
【0062】
図14は、本発明の表面検査装置の実施例4の構成を示す正面図である。また、図15は、本発明の表面検査装置の実施例4の撮影ユニットの構成を示す正面図である。この実施例4は、図1に示した実施例1の撮影ユニット13に5個のレーザ光源90、91を追加したものである。レーザ光源90、91は例えば赤色の細いレーザ光を照射する半導体レーザ素子を内蔵しており、コントローラ20からの制御によってオン/オフする。
【0063】
カメラ12と隣接して設けられたレーザ光源90は、カメラ12の光軸とほぼ平行にレーザ光を照射し、カメラ12の焦点位置においてカメラ12の光軸とレーザ光源90の光軸が交わるように配置されている。このレーザ光源90は、使用者がカメラの光軸の位置を肉眼で確認し、処理の正常性を確認できるようにするために設けたものであり、後述する自動ティーチング処理には使用しない。
【0064】
4個のレーザ光源91は、図示されているように撮影ユニット13に固着された支持部材92によって撮影ユニット13の4隅に装着されている。4個のレーザ光源91の位置は、カメラ12の光軸がほぼ水平になるように撮影ユニット13を対象物に向けた場合に、4個のレーザ光源91が上部の左右に1個づつ、下部の左右に1個づつ、カメラ12の光軸上の焦点位置にビーム方向を向けて配置される。カメラ12の光軸とレーザ光源91の光軸が交わる角度は例えば30度から60度の範囲内でよい。
【0065】
従って、平面を垂直方向からカメラ12によって撮影した画像上において、4個のレーザ光源からの4個の光点はほぼ長方形の画像の対角線上に来る。そして、焦点距離がずれるほど4個の点の間の距離が離れるが、焦点が合うと1つの点に重なる。また、カメラ12の光軸に対して対象面が傾斜していると、4つの点の間の距離が上下あるいは左右で異なるので、この距離の差を利用して光軸を修正することが可能である。
【0066】
図16は、実施例4のティーチング処理の内容を示すフローチャートである。この処理はコントローラ20によって実行される。S50においては、撮影ユニット13を予め定められた初期位置、例えば対象物の予定位置から焦点距離だけ離れた位置に移動するようにロボットアーム10を制御する。なお、例えば対象物である車体は10mm程度の位置誤差で所定の位置に搬送されてくる。S51においては、4個のレーザ光源91を点灯する。
【0067】
S52においては、撮影ユニット13が焦点距離より所定距離だけ離れるようにロボットアーム10を制御する。この処理は、取り込み画像内に4つの光点が写るようにするために故意に焦点をずらすものである。S53においては、カメラ12で画像を取り込む。S54においては、取り込んだ画像から周知の画像処理によって光点の数および位置を検出する。
【0068】
図17は、実施例4のティーチング処理における取り込み画像例等を示す説明図である。S52においては、例えば図17(a)に示すような画像が取り込まれる。4つの光点P1〜P4はそれぞれ4つのレーザ光源91から照射されたレーザ光が対象物に当たって乱反射した光をカメラ12によって捉えた光点である。
【0069】
例えば、対象物の表面が平面であり、カメラ12の光軸が対象物の表面とほぼ垂直であれば、図17(a)に示す4つの光点間の距離Lu、Ld、Ll、Lrは全て等しくなる。そして、図17(e)に示すように例えばカメラ12の光軸とレーザ光源91の光軸との角度φが45度であれば、距離誤差Lg=Lu/2となり、画像上の光点の距離から距離誤差Lgが判明する。
【0070】
従って、例えば距離誤差に比例する距離だけ撮影ユニット(カメラ)を移動させる処理を繰り返すことにより、カメラの焦点を対象物の表面に合わせることができる。図17(c)の画像例は(a)よりもより焦点に近づいた場合の画像例、(d)は距離がほぼ焦点距離と一致した場合の画像例である。
【0071】
また、対象物の表面が曲面であったり、カメラ12の光軸が対象物の表面と垂直でない場合には、図17(b)に示すように、4つの光点間の距離Lu、Ld、Ll、Lrは等しくなくなる。そして、点間の距離の差によって大まかな角度誤差が判明する。従って、図17(f)に示すように、例えば焦点位置を中心として距離の狭い方の方向へ、カメラ12を点線で示したカメラ95の位置まで回転させることにより、カメラ12の光軸を対象面の垂線に近づけることができる。
【0072】
図16のS55においては、光点が1つか否かが判定され、判定結果が否定の場合にはS56に移行するが、肯定の場合にはS60に移行する。S56においては、各点間の水平、垂直距離Lu、Ld、Ll、Lrを算出する。S57においては、対象面とカメラの距離誤差、対象面と光軸の角度を算出する。
【0073】
S58においては、上記したように、カメラ12の光軸が対象面の垂線に近づくように焦点位置を中心としてカメラを回転させる。S59においては、カメラを所定の距離だけ近づけ、S53に戻る。距離は上記した距離誤差の4/3などでもよいし、固定値であってもよい。以上の処理によって対象物と撮影ユニットとの距離と大まかな角度が決定され、次に角度のチェック、修正が行われる。
【0074】
S60においては、レーザ光源を消灯し、面光源11を点灯する。S61においては、画像全体において画素対応の輝度が所定値以上か否かをチェックする。S62においては、全ての画素の輝度が所定の閾値以上か否かが判定され、判定結果が否定の場合にはS63に移行するが、肯定の場合にはS66に移行する。S63においては、輝度チェック回数が所定の回数をオーバーしたか否かが判定され、判定結果が否定の場合にはS64に移行するが、肯定の場合にはS65に移行する。
【0075】
S64においては、輝度の最も低い部分が明るくなるようにカメラを回転する。例えば図17(g)に示すように、画像の下部が暗く、輝度が所定値未満である場合にはカメラ12の焦点位置を中心として撮影ユニット13を下方に回転させる。
【0076】
S65においては、画像の中央部分が最も明るくなるようにカメラを回転する。この場合には、例えば図17(h)に示すように、上下に暗い部分が残る可能性がある。なお、このような場合には撮影範囲を上下に2分割すれば撮影範囲内を全て所定値以上の輝度で撮影することが可能である。
【0077】
S66においては、現在の撮影ユニット(カメラ)の位置情報を記録すると共に、面光源11を消灯する。S67においては、カメラを次の位置へ移動する。なお、撮影位置は隣接する撮影範囲と必ず重なるように格子状に予め定められている。S68においては、終了位置まで処理が完了したか否かが判定され、判定結果が否定の場合にはS51に移行するが、肯定の場合には処理を終了する。
【0078】
上記実施例4においては、レーザ光源91を4個同時に点灯して画像を取り込み、各光点を認識する例を開示したが、レーザ光源を1個づつ点灯して画像を取り込み、光点の位置を1個づつ検出するようにしてもよい。
実施例4において、焦点距離のみを調整するのであれば1個あるいは2個でも距離誤差を求めることは可能である。1個の場合には光点位置が画像中心からどの程度離れているかによって距離誤差を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の表面検査装置の実施例の構成を示す正面図である。
【図2】本発明の表面検査装置の撮影ユニットの構成を示す正面図である。
【図3】本発明の表面検査装置の照明装置の構成を示す断面図である。
【図4】本発明の表面検査装置の撮影ユニットの撮影時の配置を示す説明図である。
【図5】本発明の表面検査装置の撮影ユニットの別の配置例を示す説明図である。
【図6】本発明の撮影ユニットの変形例の構成を示す平面図である。
【図7】本発明の表面検査装置の照明用電源装置の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の表面検査装置における撮影画像および傷の表示例を示す説明図である。
【図9】シーケンサ25における処理内容を示すフローチャートである。
【図10】コントローラ20における処理内容を示すフローチャートである。
【図11】図10のS26の傷検出処理の内容を示すフローチャートである。
【図12】本発明の表面検査装置の照明装置の実施例2の構成を示す断面図である。
【図13】本発明の表面検査装置の照明装置の実施例3の構成を示す正面図および側面図である。
【図14】本発明の表面検査装置の実施例4の構成を示す正面図である。
【図15】本発明の表面検査装置の実施例4の撮影ユニットの構成を示す正面図である。
【図16】実施例4のティーチング処理の内容を示すフローチャートである。
【図17】実施例4のティーチング処理における取り込み画像例等を示す説明図である。
【符号の説明】
【0080】
10…ロボットアーム
11…照明装置
12…カメラ
13…撮影ユニット
15…検査対象物
20…コントローラ
21…照明用電源装置
22…表示装置
25…シーケンサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面検査装置に関するものであり、特に、光沢面の検査に好適なLED(発光ダイオード)照明装置を備えた表面検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルカメラによって製品の画像を取り込んで、製品の表面の傷等を検査する装置が提案されている。下記の特許文献1には、鏡面の欠陥である傷や異物の付着などの異常を検査する鏡面検査装置が開示されている。この鏡面検査装置においては、検査対象のワークの鏡面に向けてカメラを配置するとともに、正常な鏡面での正反射によってカメラの被写界となる領域に第1の拡散面照明を配置し、正常な鏡面での正反射によってカメラの被写界とならない領域に第2の拡散面照明を配置する。そして、第1の拡散面照明からの光で正常な鏡面での正反射によってカメラに入射する光の画像と、第2の拡散面照明からの光で欠陥部分での正反射によってカメラに入射する光の画像とから、画像処理により鏡面の欠陥を検出する。
【特許文献1】特開2000−028545号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記したような従来の表面検査装置において、光沢面の検査を行う場合には、照明装置から照射された光が正反射してカメラに入力され、光沢面に写り込んだ照明装置の像を撮影することになる。この方式を、例えば自動車の車体の塗装面の検査のような大型の対象物に適用した場合には、照明装置としては以下のような機能が必要となる。
【0004】
(1)一度になるべく広い面積を撮影するために発光面の面積が広いこと。(2)発光面の写り込みを撮影するので発光面全体に渡って輝度が均一でむらが少ないこと。(3)正常面と傷とのコントラストが大きくなるために正反射してカメラに届く照射方向以外の方向に放射される不要な拡散光の光量がなるべく少ないこと。(4)照明装置を移動させる必要があるので小型軽量であること。(5)車体の色の違いにかかわらず反射光の光量をなるべく一定とするために対象物の色によって照明色や輝度を変更できること。
【0005】
しかし、前記したような従来の表面検査装置においては、発光面を大型化するとむらが多くなり、余分な散乱光も多く、かつ小型化、軽量化が困難であるという問題点があり、傷等の検出精度が低く、車体全体の撮影や傷のチェックに時間がかかってしまうという問題点があった。本発明は、上記した課題を解決し、大型の対象物の光沢面の検査に好適なLED(発光ダイオード)照明装置を備えた表面検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の表面検査装置は、対象物の表面に写り込んだ照明装置の像を撮影するための画像撮影手段と、前記画像撮影手段と所定の位置関係に固着されたLEDを使用した照明手段と、前記画像撮影手段を任意の位置および方向に移動可能なロボットアーム手段と、前記ロボットアーム手段を予め定められた経路に従って移動させる動作と前記画像撮影手段による撮影とを繰り返すことにより対象物の画像データを取得する制御手段と、撮影された画像から傷の位置を検出する傷検出手段と、前記ロボットアーム手段から画像撮影手段の位置情報を取得し、前記傷検出手段から画像内における傷位置情報を取得して、対象物上の傷位置を算出して表示する傷位置表示手段とを備えたことを主要な特徴とする。
【0007】
また、前記した表面検査装置において、前記画像撮影手段はラインセンサカメラであり、前記照明手段は、手段前記ラインセンサカメラの光検出素子配列軸と平行に配置された直線状の照明装置であり、前記制御手段は前記ラインセンサカメラの光検出素子配列軸と垂直方向に前記ロボットアーム手段を一定の方向に所定の距離だけ移動させる動作と前記ラインセンサカメラによる撮影とを繰り返すことにより対象物の2次元画像データを取得する点にも特徴がある。
【0008】
また、前記した表面検査装置において、前記照明手段は配線基板上に複数の色のLEDをそれぞれ均等に配置し、LEDの前面に光拡散板を配置した構成であり、かつ、複数の色のLED毎に駆動電流を制御可能な可変定電流電源回路に接続されており、前記制御手段は各色毎の可変定電流電源回路を制御することにより、対象物の色に合わせて照明色を切り替える点にも特徴がある。
【0009】
また、前記した表面検査装置において、前記対象物は自動車の車体であり、前記制御手段は、前記ロボットアーム手段を制御することによって、前記画像撮影手段と前記照明手段とを上下に配置して前記車体表面を上下方向に走査する点にも特徴がある。また、前記した表面検査装置において、対象物の表面に写り込んだ照明装置の像を異なる角度から撮影するために前記画像撮影手段を複数個備えた点にも特徴がある。
【0010】
また、前記した表面検査装置において、前記照明手段の発光面は、異なる方向を向いた複数の平面あるいは曲面の少なくとも一方を含んでいる点にも特徴がある。また、前記した表面検査装置において、前記照明手段の発光面は、前記画像撮影手段からの距離が遠い部分が外側に延長されている点にも特徴がある。
また、前記した表面検査装置において、前記傷検出手段は撮影された画像の輝度値を2値化する2値化手段、画像中の対象物の無い領域を傷の無い対象物表面と同じ輝度値で塗りつぶす検査外領域塗りつぶし手段、所定の範囲の大きさを有する周囲の輝度値と異なる輝度値の領域を異常領域と判定する異常領域検出手段を備えている点にも特徴がある。
【0011】
また、前記した表面検査装置において、更に、前記画像撮影手段と所定の位置関係に固着され、前記画像撮影手段の焦点位置を通るレーザ光を照射するレーザ光源手段を備えた点にも特徴がある。
また、前記した表面検査装置において、前記レーザ光源手段は4個備えられ、更に、前記レーザ光源手段を点灯して前記画像撮影手段によって撮影された画像を解析し、対象物と前記画像撮影手段との距離情報および角度情報の少なくとも一方を得る位置情報検出手段を備えた点にも特徴がある。
【発明の効果】
【0012】
本発明の表面検査装置は上記したような特徴によって、以下のような効果がある。
(1)LEDを使用することにより、発光面の面積が広く、広い面積に渡ってむらが少なく均一で、余分な拡散光が少ない照明が可能となるので、検出精度が向上すると共に検査時間が短縮できる。
(2)照明装置を薄い板状に構成可能であり、軽量化が可能であるのでロボットアームの先端に容易に搭載可能であり、かつロボットアームを高速に移動可能である。
(3)照明装置にLEDを使用することにより、対象の色に合わせて色や輝度を自由に調整可能である。
【0013】
(4)ラインセンサを使用することによって、同じ面積を撮影するための照明装置をより小型化、軽量化できる。また、ラインセンサの方が通常の2次元画像撮像素子よりも高精度に撮影可能であり、傷検出精度の向上あるいは同じ精度でより広い範囲の撮影が可能である。
(5)照明装置を複数の平面あるいは曲面で構成し、また、対象物の凸表面で写り込んだ照明手段の像がカメラの視野と同じ長方形となるように照明手段の形状を変形させることにより、自動車の車体等の多種の曲面からなる対象物を効率良く撮影可能である。
(6)レーザ光源を使用した対象物との位置や角度の検出手段を設けることにより、対象物の表面全体の撮影位置や撮影角度を設定するティーチング処理を自動化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
実施例においては、被検査対象物(以下ワークとも記す)として例えば自動車の車体の塗装面の検査を行う例について説明するが、本発明は任意の光沢塗装面、金属製品の切削表面、樹脂成形品等の表面検査等に適用可能である。以下実施例について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は、本発明の表面検査装置の実施例の構成を示す正面図である。本発明の表面検査装置は大きく分けて、撮影ユニット13を備えたロボットアーム10、ロボットアーム10の制御を含む表面検査処理全体を制御するシーケンサ25、画像の撮影および傷の有無の検査処理を行うコントローラ20からなる。
【0016】
撮影ユニット13は、ロボットアーム10の先端に固着されており、LEDを使用した照明装置11および対象物15を撮影するカメラ12が角度を調整可能に装着されている。ロボットアーム10は、撮影ユニット13を任意の位置および方向に移動可能な装置であり、必要な条件を満たせば、多関節ロボットやリニア駆動装置を組み合わせたロボットなど、市販されている周知の任意のロボットアーム装置を採用可能である。
【0017】
制御手段の一部であるシーケンサ25は、ロボットアーム10の制御を含む検査処理全体の制御を行うコンピュータ装置であり、市販されている周知のシーケンサ装置に後述する処理を実行するプログラムを入力することにより実現可能である。やはり制御手段の一部であるコントローラ20は、画像の撮影および傷の有無の検査処理を行うコンピュータ装置であり、例えば市販されている周知のパソコンに後述する処理を実行するプログラムをインストールすることにより実現可能である。なお、シーケンサ25とコントローラ20を1つのコンピュータ装置により実現することも可能である。
【0018】
照明用電源装置21は、コントローラ20からの制御により、照明装置11の所望の色のLEDを所望の電流値で駆動する電源装置である。表示装置22は例えば対象の傷位置を表示するための液晶ディスプレイ装置等の表示装置である。
【0019】
図2は、本発明の表面検査装置の撮影ユニット13の構成を示す正面図である。図2(a)はカメラ12として2次元画像を撮影可能なCCDモノクロ撮像素子を使用したカメラを用いた場合を示している。この場合には、対象物の表面に写り込んだ照明装置11の発光面をカメラ12によって撮影するので、照明装置11の発光面の形状はカメラ12の視野の形状(長方形)とほぼ等しくすることが好ましい。
【0020】
図2(b)はカメラ31として1次元画像を撮影可能なCCDラインセンサ撮像素子を使用したカメラを用いた場合を示している。この場合には、照明装置30の発光面の形状は所定の幅を有する細長い長方形の形状とする。幅は、照明装置30の発光面がラインセンサカメラ31に写り込むように、対象物の表面形状に従って決定するが、対象物が平面に近いほど幅は狭くてよい。
【0021】
ラインセンサカメラ31の光検出素子の配列軸と照明装置の長軸は平行に配置する。CCDラインセンサとしては、例えば市販されている4096画素のCCDモノクロラインセンサを使用可能であり、ラインセンサの方が現在入手可能な2次元画像撮像素子よりも高精度な画像を撮影可能である。
なお、カメラのピントは例えば手動調整により、所定の距離だけ離れた対象物の表面にピントが合うように調整しておく。
【0022】
対象物の表面が湾曲していると写り込む照明装置の像が歪み、特にラインセンサカメラを使用する場合には、照明装置の幅が狭いと正常に撮影できなくなる。対象が自動車の車体である場合には、表面が水平方向にはあまり湾曲しておらず、垂直方向において湾曲している。従って、照明装置11、30とカメラ12、31を上下に配置し、撮影ユニット13を垂直方向に走査(移動)しながら撮影した方が写り込む照明装置11の像の歪みが少なく、より広い範囲の撮影が可能となる。
【0023】
図3は、本発明の表面検査装置の照明装置11の構成を示す断面図である。LEDを使用した照明手段である照明装置11は、薄い直方体のケース(11)内に収納された配線基板に多数のLED17が均等な面密度(間隔)で配置されている照明装置である。LED17としては、先端に凸レンズの付いた光照射角度の狭い砲弾型の素子を採用することによって不要な方向の拡散光を減少させ、また、密度をなるべく密にすることにより、むらを減少させて均一性を増す。
【0024】
LED17としては、例えば赤(R)、緑(G)、青(B)の3種類の色のLEDが均等な密度で配置されており、各色のLEDをそれぞれ独立して所望の電流値で駆動できるように回路が構成されている。なお、LED17としては照射角度は広いが、小型軽量のチップ型LED素子を採用してもよい、チップ型LED素子の方が砲弾型のLED素子よりも面密度を高くすることができる。
【0025】
LED17の前面には所定の距離だけ離して光拡散板18が装着されている。この光拡散板18により発光面のむらが減少し、均一性が増す。なお、LED17と光拡散板18の距離を離すほど均一性が増すので、可能な範囲でなるべく離すようにする。光拡散板18は光を拡散する半透明のプラスティック板であり、任意の拡散性を備えたものを入手可能である。拡散性の高いものを使用するほど、均一性は増すが、光量が減衰し、不要な拡散光が増加するので、傷のコントラストが最大となるようなものを採用する。
【0026】
図4は、本発明の表面検査装置の撮影ユニット13の撮影時の配置を示す説明図である。本発明の表面検査装置においては、正反射した照明装置11の発光面の写り込みをカメラ12(31)で撮影するので、少なくとも撮影範囲(撮影領域)よりも数倍程度大きな面積の照明装置が必要となる。カメラの光軸と対象物表面の垂線との角度θは0度でも写り込みを撮影可能であり、θが大きいと撮影領域が狭くなってしまうと共に曲面の場合には写り込んだ像が歪むので、実験等により最適な角度を決定する。
【0027】
図5は、本発明の表面検査装置の撮影ユニット13の別の配置例を示す説明図である。この例は照明装置11の両側に2次元画像を撮影するカメラ12を配置した例である。この場合には照明装置11は対象表面と平行に配置する。照明装置11の中心とそれぞれのカメラ12を結ぶ線の垂直2等分線が対象物表面と交叉する点を中心とする2カ所の撮影領域を同時に撮影可能である。
【0028】
図6は、本発明の撮影ユニットの変形例の構成を示す平面図である。図6(a)は2次元画像撮影カメラを使用した場合の図2(a)と同じ基本的配置である。図6(b)は、図5と同じく照明装置11の両側に2次元画像を撮影するカメラ12を配置した例である。図6(c)は照明装置11の周囲4カ所にカメラ12を配置した例であり、4カ所の撮影領域を同時に撮影可能である。
【0029】
図6(d)はラインセンサカメラ31を使用した場合の図2(b)と同じ基本的配置である。図6(e)は、照明装置30の両側にラインセンサカメラ31を配置した例である。この場合には照明装置30は対象表面と平行に配置する。照明装置30の中心とそれぞれのカメラ31を結ぶ線の垂直2等分線が対象物表面と交叉する点を中心とする2カ所の線状領域を同時に撮影可能であり、(d)の構成の半分の時間で同じ面積を撮影可能である。
【0030】
図6(f)は2倍の長さの照明装置30の周囲4カ所にカメラ31を配置した例であり、4カ所の線状の撮影領域を同時に撮影可能であるので、(d)の構成の1/4の時間で同じ面積を撮影可能である。る。図6(g)は照明装置の長手方向の両側にカメラ31を配置した例である。この場合にもラインセンサカメラ31の光検出素子の配列軸と照明装置の長軸は平行に配置する。やはり、(d)の構成の半分の時間で同じ面積を撮影可能である。
【0031】
図7は、本発明の表面検査装置の照明用電源装置21の構成を示すブロック図である。照明装置11のLED31はRGBの各色毎に所定個数(図では3個)直列に接続されたものが並列に複数個接続されて回路を形成している。そして各色毎に照明用電源装置21内の可変定電流電源回路42が接続されている。各可変定電流電源回路42は制御回路40を介してコントローラ20によって電流値が制御され、オン/オフや輝度が制御される。従って、照明装置11によって任意の色および照度の照明が可能である。
【0032】
図9は、シーケンサ25における処理内容を示すフローチャートである。この処理は図2(a)に示すような2次元画像を撮影するカメラ12を使用した場合の例である。S10においては、ロボットアーム10を制御して撮影ユニット13を予め定められた初期位置に移動させる。S11においては、予め設定されている経路および撮影方向に従って撮影ユニット13を所定の速度で移動させる。
【0033】
S12においては、現在の位置が予め設定された撮影位置に達したか否かが判定され、判定結果が否定の場合にはS14に移行するが、肯定の場合にはS13に移行する。S13においては、コントローラ20に撮影ユニット13の位置情報および撮影指示を出力する。S14においては、検査終了(検査終了位置まで移動した)か否かが判定され、判定結果が否定の場合にはS11に移行するが、肯定の場合にはS15に移行する。S15においては、コントローラに終了指示を送信する。
【0034】
なお、ラインセンサカメラ31を使用する場合には、撮影ユニット13を予め定められた一定速度で一定の方向に移動させると共に、コントローラ20に対して撮影開始指示および撮影終了指示を送信するようにする。そして一定の周期でラインセンサカメラ31からライン画像を取り込む。
【0035】
図10は、コントローラ20における処理内容を示すフローチャートである。この処理はやはり図2(a)に示すような2次元画像を撮影するカメラ12を使用した場合の例である。S20においては、シーケンサ25から撮影指示を受信したか否かが判定され、判定結果が否定の場合にはS21に移行するが、肯定の場合にはS22に移行する。
【0036】
S21においては、シーケンサ25から終了指示を受信したか否かが判定され、判定結果が否定の場合にはS20に移行するが、肯定の場合には処理を終了する。S22においては、シーケンサ25から受信した撮影ユニット位置情報を保存する。S23においては、対象の色と対応した色および輝度(電流値)で照明をオンする。対象の色情報は予め手動で、あるいは図示しない生産ライン制御システムから取得して記憶しておく。
【0037】
自動車の車体の場合には多数の塗装色があり、同じ白色光で照明すると、正反射光であっても塗装色によって撮影画像の輝度値が大きく異なり、傷の検出精度が低下してしまう。そこで、塗装色が例えば赤である場合には赤い光で照明することによって反射光の光量が増し、輝度値の差が減少する。
【0038】
ロボットアーム10により走査しながら撮影を行う場合、撮影の度に撮影ユニット13を静止させていると走査に時間がかかってしまうので、移動しながら撮影することになる。このためにはカメラ12、31のシャッタースピードを早くする必要があるが、このためには、照明装置11の照度がなるべく明るい方が好ましい。
【0039】
一方LEDの輝度は流す電流に依存するが、LEDに流した電流の多くは熱となるので素子の温度を一定値以下に保つために照明装置11全体の投入電力は一定値以下に保つ必要がある。また、LEDは短時間であれば大きな電流を流して高輝度で発光させることが可能である。
【0040】
そこで、塗装色が白である場合には、RGBそれぞれに同じ電流を流して白色光で照明し、塗装色が赤である場合には、赤(R)色のLEDのみを白の時の3倍の電流で駆動し、より反射率の高い赤い光のみを高輝度で発光させる。この場合でも照明装置11全体としての消費電力(発熱)は白の場合と同じである。
【0041】
S24においては、カメラ12を制御し、撮影された画像を取り込んで保存する。図8は、本発明の表面検査装置における撮影画像および傷の表示例を示す説明図である。図8(a)はカメラ12による撮影画像の例である。車体部分50は照明装置11の発光面が写り込むので白く(高輝度)なり、傷や異物等が存在し、なめらかな光沢面ではない領域52は黒く写る。非検査領域である車体の無い背景部分51も暗くなる。
【0042】
S25においては、照明をオフする。S26においては、後述する傷検出処理を行い、画像中の傷領域のみを抽出する。S27においては、傷が検出されたか否かが判定され、判定結果が否定の場合にはS20に移行するが、肯定の場合にはS28に移行する。
【0043】
S28においては、撮影ユニット位置情報および画像内の傷位置情報から対象物上の傷位置を算出する。対象物である車体はロボットアーム10に対して予め定められた位置に設置される。従って、撮影ユニット13の位置および方向の情報に基づき、車体表面上における撮影領域の位置を算出する。次に、画像内の傷の位置情報から、車体表面上の撮影領域内における傷の位置を算出して保存する。
【0044】
S29においては、対象物上の傷位置(および傷画像)を表示装置22に表示される車体の図形上の位置に変換して表示装置22に表示する。図8(b)は傷の表示例を示す説明図である。車体の側面を示す図中に傷の位置を示す×印56が表示されている。また、同時にあるいは使用者の操作に基づき傷の拡大画像を表示してもよい。
【0045】
ラインセンサ31を使用する場合には、撮影開始指示から撮影終了指示までの間に所定の時間間隔でラインセンサ31から1ライン分の画像情報を順次取り込むと共に、取り込んだ画像情報について順次傷検出処理を実行する。傷の位置は、ロボットアーム10の走査開始位置、走査方向、走査速度および傷が検出されたライン画像の撮影タイミング、ライン内の傷位置情報から算出する。
【0046】
図11は、図10のS26の傷検出処理の内容を示すフローチャートである。S30においては、例えば輝度値が所定の閾値より大きいか否かによって、輝度値を白(高輝度:1)、黒(低輝度:0)に2値化する。この後に、白領域内の所定値以下の大きさの黒点や黒領域内の所定値以下の大きさの白点をノイズと見なし、周囲の色で塗りつぶすフィルタ処理を行ってもよい。
【0047】
S31においては、黒(0)画素が出現するまで走査する。走査は例えば画像上を左上から水平方向に走査し、右端に達したら次行の左端に移動し、画像の右下まで走査する。S32においては、検出された黒画素と隣接する黒画素数を計数する。
【0048】
S33においては、隣接する黒画素数が所定値、max以上か否かが判定され、判定結果が否定の場合にはS35に移行するが、肯定の場合にはS34に移行する。なお、この判定の際に、黒画素列に所定個数、例えば数個以下の白画素が存在している場合にはノイズであると判定し、当該白画素も黒画素と見なして処理する。
【0049】
S34においては、max個以上の黒画素列は対象物の無い検査領域外であると判定し、全て白に塗りつぶす。S35においては、走査完了か否かが判定され、判定結果が否定の場合にはS31に移行するが、肯定の場合にはS36に移行する。以上の処理によって、検査領域外が全て白に塗りつぶされ、傷等の異常領域のみが残る。
【0050】
S36においては、再度、例えば左上から黒画素が出現するまで画像を走査する。S37においては、検出された黒画素と隣接する黒画素数を計数する。S38においては、隣接する黒画素数が所定値、min以下か否かが判定され、判定結果が否定の場合にはS40に移行するが、肯定の場合にはS39に移行する。
【0051】
S39においては、min個以下の画素列はノイズであると判定する。S40においては、min個より大きい画素列は傷であると判定し、画像内の画素位置を記録する。S41においては、走査完了か否かが判定され、判定結果が否定の場合にはS36に移行するが、肯定の場合には処理を終了する。以上のような処理によって、車体の傷位置が自動的に検出され、表示装置に表示される。
【実施例2】
【0052】
図12は、本発明の表面検査装置の照明装置の実施例2の構成を示す断面図である。第1実施例においては、LEDとして小型のLEDを多数配置する構成を開示したが、近年、大型で高輝度のLED素子が入手可能となってきている。大型のLEDを使用するとLED素子数が少なくで済むが、むらが生じやすい。そこで、大型LED61の前面に凸レンズ62を配置し、さらに所定の距離だけ離して光拡散板63を配置することにより、不要な拡散光やむらを減少させる。
【0053】
図12(a)は、例えばR、G、Bの3個のLEDが内蔵された大型LED61を使用した例であり、大型LED61の前面に凸レンズ62を配置して光の放射角度を狭く絞る。更に所定の距離だけ離して光拡散板63を配置することにより、むらを減少させて均一性を増す。
【0054】
図12(b)は、例えば白色の大型LED61、第1のレンズ62、第1の光拡散板67、第2のレンズ66、第2の光拡散板68、第3の光拡散板69を順に並べた例である。大型LED61の前面に凸レンズ62を配置し、凸レンズ62のLED61と反対側の近傍に第1の光拡散板67および凸レンズ66を配置し、放射光が所定の距離だけ離れた第2の光拡散板68全体を照らすように配置する。レンズは通常の凸レンズでもよいし平板状のフレネルレンズでもよい。更に、第2の光拡散板68の前面に第3の光拡散板69を配置することにより、むらを減少させて均一性を増す。
【実施例3】
【0055】
図13は、本発明の表面検査装置の照明装置の実施例3の構成を示す正面図および側面図である。図2に示す実施例1の照明装置11、30は発光面の形状が長方形の平面であったが、自動車の車体のように表面が多種の凸曲面で構成されている場合には写り込んだ照明装置の発光面の形状が歪んで長方形とはならない。従って、歪みを考慮してその分だけ照明装置を大きくする必要がある。
そこで、実施例3の照明装置は発行面を複数の平面あるいは曲面で構成し、また、対象物の凸表面で写り込んだ照明手段の像がカメラの視野と同じ長方形となるように照明手段の形状を変形させることにより、自動車の車体等の多種の曲面からなる対象物を効率良く撮影可能にしたものである。
【0056】
図13(a)は照明装置手段の発光面は、3つの平面から構成されており、中央の発光面70に対して左右の発光面70、71は内側を向いている。また、左右の発光面のカメラ12から遠い部分73が外側(カメラと反対側)に延長されている。図13(a)において中央の発光面70の上部に、左右の発光面70、71と同様の内側を向いた発光面を設けてもよい。
【0057】
図13(b)は(a)の3つの発光面をそれぞれ別の照明装置80、81、82によって構成した例である。このような構造にすれば製造が容易となる。図13(c)は(b)の構成において両側の照明装置85、86の向きを対象物の種別や撮影位置に従って自動的にあるいは手動で変えられるようにした例である。自動的に向きを変える場合には撮影対象に従って左右別々に制御可能とする。このような構成にすれば、車体の端部などの曲率の大きな曲面も効率良く撮影可能である。
【0058】
図13(d)は(a)の構成と同様の機能を1つの曲面によって構成した例である。曲面としては例えば円筒形の側面形状を利用可能である。発光面のカメラ12から遠い部分75が外側に延長され、縁が湾曲している。照明装置の中央部分のみは平面としてもよい。このような構造にすれば発光面のつなぎ目が無いのでむらが減少する。
【0059】
図13(e)は(d)の構成と同様の機能を1つの球あるいは楕円球の一部である表面形状の曲面によって構成した例である。このように構成すれば、図13(e)における水平方向と共に垂直方向にも湾曲しているので、対象物の曲面状の角部などの照明に好適である。
図13(f)は2台のカメラを(d)の曲面構成と類似する照明装置の両側に配置した例である。この場合には、双方のカメラから遠い側の縁が湾曲している。更に照明装置の図13(f)における垂直方向の縁も湾曲させている。
【0060】
なお、カメラとしてラインセンサカメラを使用する場合にも図13の照明装置の図における垂直方向の幅が短くなるだけで同様の構成を適用可能である。
本発明の表面検査装置は以上のような構成および動作により、製品の表面検査の精度が向上すると共に検査時間も短縮される。
【実施例4】
【0061】
前記した実施例において撮影処理を実行するためには、予め車体全体についてカメラの撮影位置や角度を設定するティーチング処理が必要である。ティーチング処理は従来は車体に格子状の線を書き、各格子を完全に含む範囲をカメラで順に撮影するように、カメラの位置や角度を手動で設定し、この情報に基づいてカメラの移動軌跡を決定していた。しかし、この作業は非常に手間がかかるという問題点があった。実施例4は、このティーチング処理を自動化したものである。
【0062】
図14は、本発明の表面検査装置の実施例4の構成を示す正面図である。また、図15は、本発明の表面検査装置の実施例4の撮影ユニットの構成を示す正面図である。この実施例4は、図1に示した実施例1の撮影ユニット13に5個のレーザ光源90、91を追加したものである。レーザ光源90、91は例えば赤色の細いレーザ光を照射する半導体レーザ素子を内蔵しており、コントローラ20からの制御によってオン/オフする。
【0063】
カメラ12と隣接して設けられたレーザ光源90は、カメラ12の光軸とほぼ平行にレーザ光を照射し、カメラ12の焦点位置においてカメラ12の光軸とレーザ光源90の光軸が交わるように配置されている。このレーザ光源90は、使用者がカメラの光軸の位置を肉眼で確認し、処理の正常性を確認できるようにするために設けたものであり、後述する自動ティーチング処理には使用しない。
【0064】
4個のレーザ光源91は、図示されているように撮影ユニット13に固着された支持部材92によって撮影ユニット13の4隅に装着されている。4個のレーザ光源91の位置は、カメラ12の光軸がほぼ水平になるように撮影ユニット13を対象物に向けた場合に、4個のレーザ光源91が上部の左右に1個づつ、下部の左右に1個づつ、カメラ12の光軸上の焦点位置にビーム方向を向けて配置される。カメラ12の光軸とレーザ光源91の光軸が交わる角度は例えば30度から60度の範囲内でよい。
【0065】
従って、平面を垂直方向からカメラ12によって撮影した画像上において、4個のレーザ光源からの4個の光点はほぼ長方形の画像の対角線上に来る。そして、焦点距離がずれるほど4個の点の間の距離が離れるが、焦点が合うと1つの点に重なる。また、カメラ12の光軸に対して対象面が傾斜していると、4つの点の間の距離が上下あるいは左右で異なるので、この距離の差を利用して光軸を修正することが可能である。
【0066】
図16は、実施例4のティーチング処理の内容を示すフローチャートである。この処理はコントローラ20によって実行される。S50においては、撮影ユニット13を予め定められた初期位置、例えば対象物の予定位置から焦点距離だけ離れた位置に移動するようにロボットアーム10を制御する。なお、例えば対象物である車体は10mm程度の位置誤差で所定の位置に搬送されてくる。S51においては、4個のレーザ光源91を点灯する。
【0067】
S52においては、撮影ユニット13が焦点距離より所定距離だけ離れるようにロボットアーム10を制御する。この処理は、取り込み画像内に4つの光点が写るようにするために故意に焦点をずらすものである。S53においては、カメラ12で画像を取り込む。S54においては、取り込んだ画像から周知の画像処理によって光点の数および位置を検出する。
【0068】
図17は、実施例4のティーチング処理における取り込み画像例等を示す説明図である。S52においては、例えば図17(a)に示すような画像が取り込まれる。4つの光点P1〜P4はそれぞれ4つのレーザ光源91から照射されたレーザ光が対象物に当たって乱反射した光をカメラ12によって捉えた光点である。
【0069】
例えば、対象物の表面が平面であり、カメラ12の光軸が対象物の表面とほぼ垂直であれば、図17(a)に示す4つの光点間の距離Lu、Ld、Ll、Lrは全て等しくなる。そして、図17(e)に示すように例えばカメラ12の光軸とレーザ光源91の光軸との角度φが45度であれば、距離誤差Lg=Lu/2となり、画像上の光点の距離から距離誤差Lgが判明する。
【0070】
従って、例えば距離誤差に比例する距離だけ撮影ユニット(カメラ)を移動させる処理を繰り返すことにより、カメラの焦点を対象物の表面に合わせることができる。図17(c)の画像例は(a)よりもより焦点に近づいた場合の画像例、(d)は距離がほぼ焦点距離と一致した場合の画像例である。
【0071】
また、対象物の表面が曲面であったり、カメラ12の光軸が対象物の表面と垂直でない場合には、図17(b)に示すように、4つの光点間の距離Lu、Ld、Ll、Lrは等しくなくなる。そして、点間の距離の差によって大まかな角度誤差が判明する。従って、図17(f)に示すように、例えば焦点位置を中心として距離の狭い方の方向へ、カメラ12を点線で示したカメラ95の位置まで回転させることにより、カメラ12の光軸を対象面の垂線に近づけることができる。
【0072】
図16のS55においては、光点が1つか否かが判定され、判定結果が否定の場合にはS56に移行するが、肯定の場合にはS60に移行する。S56においては、各点間の水平、垂直距離Lu、Ld、Ll、Lrを算出する。S57においては、対象面とカメラの距離誤差、対象面と光軸の角度を算出する。
【0073】
S58においては、上記したように、カメラ12の光軸が対象面の垂線に近づくように焦点位置を中心としてカメラを回転させる。S59においては、カメラを所定の距離だけ近づけ、S53に戻る。距離は上記した距離誤差の4/3などでもよいし、固定値であってもよい。以上の処理によって対象物と撮影ユニットとの距離と大まかな角度が決定され、次に角度のチェック、修正が行われる。
【0074】
S60においては、レーザ光源を消灯し、面光源11を点灯する。S61においては、画像全体において画素対応の輝度が所定値以上か否かをチェックする。S62においては、全ての画素の輝度が所定の閾値以上か否かが判定され、判定結果が否定の場合にはS63に移行するが、肯定の場合にはS66に移行する。S63においては、輝度チェック回数が所定の回数をオーバーしたか否かが判定され、判定結果が否定の場合にはS64に移行するが、肯定の場合にはS65に移行する。
【0075】
S64においては、輝度の最も低い部分が明るくなるようにカメラを回転する。例えば図17(g)に示すように、画像の下部が暗く、輝度が所定値未満である場合にはカメラ12の焦点位置を中心として撮影ユニット13を下方に回転させる。
【0076】
S65においては、画像の中央部分が最も明るくなるようにカメラを回転する。この場合には、例えば図17(h)に示すように、上下に暗い部分が残る可能性がある。なお、このような場合には撮影範囲を上下に2分割すれば撮影範囲内を全て所定値以上の輝度で撮影することが可能である。
【0077】
S66においては、現在の撮影ユニット(カメラ)の位置情報を記録すると共に、面光源11を消灯する。S67においては、カメラを次の位置へ移動する。なお、撮影位置は隣接する撮影範囲と必ず重なるように格子状に予め定められている。S68においては、終了位置まで処理が完了したか否かが判定され、判定結果が否定の場合にはS51に移行するが、肯定の場合には処理を終了する。
【0078】
上記実施例4においては、レーザ光源91を4個同時に点灯して画像を取り込み、各光点を認識する例を開示したが、レーザ光源を1個づつ点灯して画像を取り込み、光点の位置を1個づつ検出するようにしてもよい。
実施例4において、焦点距離のみを調整するのであれば1個あるいは2個でも距離誤差を求めることは可能である。1個の場合には光点位置が画像中心からどの程度離れているかによって距離誤差を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の表面検査装置の実施例の構成を示す正面図である。
【図2】本発明の表面検査装置の撮影ユニットの構成を示す正面図である。
【図3】本発明の表面検査装置の照明装置の構成を示す断面図である。
【図4】本発明の表面検査装置の撮影ユニットの撮影時の配置を示す説明図である。
【図5】本発明の表面検査装置の撮影ユニットの別の配置例を示す説明図である。
【図6】本発明の撮影ユニットの変形例の構成を示す平面図である。
【図7】本発明の表面検査装置の照明用電源装置の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の表面検査装置における撮影画像および傷の表示例を示す説明図である。
【図9】シーケンサ25における処理内容を示すフローチャートである。
【図10】コントローラ20における処理内容を示すフローチャートである。
【図11】図10のS26の傷検出処理の内容を示すフローチャートである。
【図12】本発明の表面検査装置の照明装置の実施例2の構成を示す断面図である。
【図13】本発明の表面検査装置の照明装置の実施例3の構成を示す正面図および側面図である。
【図14】本発明の表面検査装置の実施例4の構成を示す正面図である。
【図15】本発明の表面検査装置の実施例4の撮影ユニットの構成を示す正面図である。
【図16】実施例4のティーチング処理の内容を示すフローチャートである。
【図17】実施例4のティーチング処理における取り込み画像例等を示す説明図である。
【符号の説明】
【0080】
10…ロボットアーム
11…照明装置
12…カメラ
13…撮影ユニット
15…検査対象物
20…コントローラ
21…照明用電源装置
22…表示装置
25…シーケンサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の表面に写り込んだ照明装置の像を撮影するための画像撮影手段と、
前記画像撮影手段と所定の位置関係に固着されたLEDを使用した照明手段と、
前記画像撮影手段を任意の位置および方向に移動可能なロボットアーム手段と、
前記ロボットアーム手段を予め定められた経路に従って移動させる動作と前記画像撮影手段による撮影とを繰り返すことにより対象物の画像データを取得する制御手段と、
撮影された画像から傷の位置を検出する傷検出手段と、
前記ロボットアーム手段から画像撮影手段の位置情報を取得し、前記傷検出手段から画像内における傷位置情報を取得して、対象物上の傷位置を算出して表示する傷位置表示手段と
を備えたことを特徴とする表面検査装置。
【請求項2】
前記画像撮影手段はラインセンサカメラであり、
前記照明手段は、手段前記ラインセンサカメラの光検出素子配列軸と平行に配置された直線状の照明装置であり、
前記制御手段は前記ラインセンサカメラの光検出素子配列軸と垂直方向に前記ロボットアーム手段を一定の方向に所定の距離だけ移動させる動作と前記ラインセンサカメラによる撮影とを繰り返すことにより対象物の2次元画像データを取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の表面検査装置。
【請求項3】
前記照明手段は配線基板上に複数の色のLEDをそれぞれ均等に配置し、LEDの前面に光拡散板を配置した構成であり、かつ、複数の色のLED毎に駆動電流を制御可能な可変定電流電源回路に接続されており、
前記制御手段は各色毎の可変定電流電源回路を制御することにより、対象物の色に合わせて照明色を切り替える
ことを特徴とする請求項1に記載の表面検査装置。
【請求項4】
前記対象物は自動車の車体であり、
前記制御手段は、前記ロボットアーム手段を制御することによって、前記画像撮影手段と前記照明手段とを上下に配置して前記車体表面を上下方向に走査する
ことを特徴とする請求項1に記載の表面検査装置。
【請求項5】
対象物の表面に写り込んだ照明装置の像を異なる角度から撮影するために前記画像撮影手段を複数個備えたことを特徴とする請求項1に記載の表面検査装置。
【請求項6】
前記照明手段の発光面は、異なる方向を向いた複数の平面あるいは曲面の少なくとも一方を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の表面検査装置。
【請求項7】
前記照明手段の発光面は、前記画像撮影手段からの距離が遠い部分が外側に延長されていることを特徴とする請求項1に記載の表面検査装置。
【請求項8】
前記傷検出手段は撮影された画像の輝度値を2値化する2値化手段、画像中の対象物の無い領域を傷の無い対象物表面と同じ輝度値で塗りつぶす検査外領域塗りつぶし手段、所定の範囲の大きさを有する周囲の輝度値と異なる輝度値の領域を異常領域と判定する異常領域検出手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の表面検査装置。
【請求項9】
更に、前記画像撮影手段と所定の位置関係に固着され、前記画像撮影手段の焦点位置を通るレーザ光を照射するレーザ光源手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の表面検査装置。
【請求項10】
前記レーザ光源手段は4個備えられ、更に、前記レーザ光源手段を点灯して前記画像撮影手段によって撮影された画像を解析し、対象物と前記画像撮影手段との距離情報および角度情報の少なくとも一方を得る位置情報検出手段を備えたことを特徴とする請求項9に記載の表面検査装置。
【請求項1】
対象物の表面に写り込んだ照明装置の像を撮影するための画像撮影手段と、
前記画像撮影手段と所定の位置関係に固着されたLEDを使用した照明手段と、
前記画像撮影手段を任意の位置および方向に移動可能なロボットアーム手段と、
前記ロボットアーム手段を予め定められた経路に従って移動させる動作と前記画像撮影手段による撮影とを繰り返すことにより対象物の画像データを取得する制御手段と、
撮影された画像から傷の位置を検出する傷検出手段と、
前記ロボットアーム手段から画像撮影手段の位置情報を取得し、前記傷検出手段から画像内における傷位置情報を取得して、対象物上の傷位置を算出して表示する傷位置表示手段と
を備えたことを特徴とする表面検査装置。
【請求項2】
前記画像撮影手段はラインセンサカメラであり、
前記照明手段は、手段前記ラインセンサカメラの光検出素子配列軸と平行に配置された直線状の照明装置であり、
前記制御手段は前記ラインセンサカメラの光検出素子配列軸と垂直方向に前記ロボットアーム手段を一定の方向に所定の距離だけ移動させる動作と前記ラインセンサカメラによる撮影とを繰り返すことにより対象物の2次元画像データを取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の表面検査装置。
【請求項3】
前記照明手段は配線基板上に複数の色のLEDをそれぞれ均等に配置し、LEDの前面に光拡散板を配置した構成であり、かつ、複数の色のLED毎に駆動電流を制御可能な可変定電流電源回路に接続されており、
前記制御手段は各色毎の可変定電流電源回路を制御することにより、対象物の色に合わせて照明色を切り替える
ことを特徴とする請求項1に記載の表面検査装置。
【請求項4】
前記対象物は自動車の車体であり、
前記制御手段は、前記ロボットアーム手段を制御することによって、前記画像撮影手段と前記照明手段とを上下に配置して前記車体表面を上下方向に走査する
ことを特徴とする請求項1に記載の表面検査装置。
【請求項5】
対象物の表面に写り込んだ照明装置の像を異なる角度から撮影するために前記画像撮影手段を複数個備えたことを特徴とする請求項1に記載の表面検査装置。
【請求項6】
前記照明手段の発光面は、異なる方向を向いた複数の平面あるいは曲面の少なくとも一方を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の表面検査装置。
【請求項7】
前記照明手段の発光面は、前記画像撮影手段からの距離が遠い部分が外側に延長されていることを特徴とする請求項1に記載の表面検査装置。
【請求項8】
前記傷検出手段は撮影された画像の輝度値を2値化する2値化手段、画像中の対象物の無い領域を傷の無い対象物表面と同じ輝度値で塗りつぶす検査外領域塗りつぶし手段、所定の範囲の大きさを有する周囲の輝度値と異なる輝度値の領域を異常領域と判定する異常領域検出手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の表面検査装置。
【請求項9】
更に、前記画像撮影手段と所定の位置関係に固着され、前記画像撮影手段の焦点位置を通るレーザ光を照射するレーザ光源手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の表面検査装置。
【請求項10】
前記レーザ光源手段は4個備えられ、更に、前記レーザ光源手段を点灯して前記画像撮影手段によって撮影された画像を解析し、対象物と前記画像撮影手段との距離情報および角度情報の少なくとも一方を得る位置情報検出手段を備えたことを特徴とする請求項9に記載の表面検査装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2008−46103(P2008−46103A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−27169(P2007−27169)
【出願日】平成19年2月6日(2007.2.6)
【出願人】(593070631)有限会社シマテック (13)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月6日(2007.2.6)
【出願人】(593070631)有限会社シマテック (13)
【Fターム(参考)】
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