説明

複合レゾルバの径方向平面配置構造を有する転がり軸受装置

【課題】 モーメント荷重が加わった場合に、回転センサの誤検出を防止するのに好適な転がり軸受装置を提供する。
【解決手段】 薄型モータ100は、内輪14a、外輪14bを有するクロスローラ軸受14と、内輪14aに支持されるステータ22と、外輪14bに支持されるロータ12と、ロータ12に回転トルクを付与するモータ部16と、ロータ12の回転角度位置を検出する単極レゾルバ30、多極レゾルバ30と、励磁信号を出力する発振器61と、2つのレゾルバ30のなかから択一的に選択されたレゾルバに励磁信号が供給されるように発振器61からレゾルバ30に供給される励磁信号の供給経路を切り換える切換スイッチ63とを備え、レゾルバ30、クロスローラ軸受14、モータ部16を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転がり軸受および回転センサを備える転がり軸受装置に係り、特に、モーメント荷重が加わった場合に、回転センサの誤検出を防止するのに好適な複合レゾルバの径方向平面配置構造を有する転がり軸受装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、薄型モータとしては、転がり軸受および回転センサを備える薄型モータが知られている。
図16は、従来の薄型モータ200の軸方向の断面図である。
薄型モータ200は、図16に示すように、固定子であるハウジングインナ220と、回転子であるロータ12と、ロータ12とハウジングインナ220の間に介在してロータ12を回転可能に支持するクロスローラ軸受14とを有して構成されている。
【0003】
クロスローラ軸受14は、内輪14aおよび外輪14bを有して構成されている。内輪14aは、ハウジングインナ220の外周面に嵌合し、内輪押え26により軸方向に押圧された状態でハウジングインナ220に固定されている。外輪14bは、ロータ12の内周面に嵌合し、外輪押え28により軸方向に押圧された状態でロータ12に固定されている。
【0004】
ロータ12とハウジングインナ220の間には、ロータ12に回転トルクを付与するモータ部16と、ロータ12の回転角度位置を検出する回転センサとしてのレゾルバ30とが設けられている。
レゾルバ30は、クロスローラ軸受14の軸心に対して偏心させた内周を有する円環状のレゾルバロータ18と、レゾルバロータ18と所定間隔をもって対向して配置され、レゾルバロータ18との間のリラクタンス変化を検出するレゾルバステータ20とを有して構成されている。レゾルバロータ18はロータ12の内周面に、レゾルバステータ20はハウジングインナ220の外周面に一体に取り付けられている。レゾルバロータ18を偏心させてレゾルバロータ18とレゾルバステータ20の間の距離を円周方向に変化させることにより、リラクタンスがレゾルバロータ18の位置により変化するようになっている。したがって、ロータ12の1回転につきリラクタンス変化の基本波成分が1周期となるため、レゾルバ30は、ロータ12の回転角度位置に応じて変化するレゾルバ信号を出力する。
【0005】
なお、従来の転がり軸受装置としては、例えば、特許文献1〜3記載の軸受装置が知られている。特許文献1記載の軸受装置は、軸方向の予圧を付与して内輪14aおよび外輪14bを固定したものであり、特許文献2記載の軸受装置は、軸受の作用点を出力軸外に設定したものであり、特許文献3記載の軸受装置は、軸受の外周にモータを配置したものである。
【特許文献1】特開2005−69252号公報
【特許文献2】特開2006−25525号公報
【特許文献3】特開2002−281720号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の薄型モータ200にあっては、薄型モータ200にモーメント荷重が加わると、薄型モータ200がクロスローラ軸受14を中心として傾き、レゾルバ30のギャップが変化する。そのため、ロータ12の回転角度位置を正確に検出することができないという問題があった。特に、クロスローラ軸受14を中心として傾くので、クロスローラ軸受14から離れるほどギャップ変化は大きい。また、薄型モータであるため、1つのクロスローラ軸受14でモーメント荷重を受けなければならず、クロスローラ軸受14の数を増やすことで剛性を高めギャップ変化を防止することは難しい。
【0007】
そこで、本発明は、このような従来の技術の有する未解決の課題に着目してなされたものであって、モーメント荷重が加わった場合に、回転センサの誤検出を防止するのに好適な複合レゾルバの径方向平面配置構造を有する転がり軸受装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
〔発明1〕 上記目的を達成するために、発明1の複合レゾルバの径方向平面配置構造を有する転がり軸受装置は、内輪および外輪を有する転がり軸受と、前記内輪に支持される内輪被支持体と、前記外輪に支持される外輪被支持体と、前記内輪被支持体と前記外輪被支持体の間に配置され、それらの相対位置により変化するセンサ信号を出力する回転センサとを備える転がり軸受装置において、前記回転センサおよび前記転がり軸受を径方向の同一平面上に配置し、前記回転センサは、前記内輪被支持体または前記外輪被支持体の回転に同期して変化するリラクタンス変化の基本波成分が第1周期となる前記センサ信号を出力する第1レゾルバと、前記リラクタンス変化の基本波成分が前記第1周期とは異なる第2周期となる前記センサ信号を出力する第2レゾルバとからなり、さらに、励磁信号を出力する発振器と、前記第1レゾルバおよび前記第2レゾルバのなかから択一的に選択されたレゾルバに前記励磁信号が供給されるように前記発振器から前記第1レゾルバおよび前記第2レゾルバに供給される励磁信号の供給経路を切り換える切換手段とを備える。
【0009】
このような構成であれば、転がり軸受により、内輪被支持体および外輪被支持体が相対的に回転可能に支持される。
転がり軸受装置にモーメント荷重が加わると、転がり軸受装置が転がり軸受を中心として傾くが、回転センサが転がり軸受と径方向同一平面上に配置されているので、回転センサのギャップ変化を小さくすることができる。
【0010】
また、回転センサおよび転がり軸受が径方向同一平面上に配置されているので、転がり軸受装置の高さ(軸方向の長さ)を小さくすることができる。
さらに、転がり軸受の予圧を高くする等の方法を採用した場合は、ギャップ変化を抑制できる半面、転がり軸受の寿命が短くなるという不具合を伴うところ、本発明では、ギャップ変化が小さい位置に回転センサを配置することによりギャップ変化を低減するので、転がり軸受の長寿命化を図ることができる。
【0011】
一方、切換手段により、第1レゾルバに励磁信号が供給されるように供給経路が切り換えられると、内輪被支持体または外輪被支持体の回転に同期してリラクタンスが変化し、リラクタンス変化の基本波成分が第1周期となるセンサ信号が第1レゾルバから出力される。また、切換手段により、第2レゾルバに励磁信号が供給されるように供給経路が切り換えられると、内輪被支持体または外輪被支持体の回転に同期してリラクタンスが変化し、リラクタンス変化の基本波成分が第2周期となるセンサ信号が第2レゾルバから出力される。したがって、第1レゾルバと第2レゾルバが少なくとも同時に励磁されることがないため、第1レゾルバおよび第2レゾルバの一方の漏れ磁束が他方に磁気的に干渉することがない。
【0012】
ここで、内輪被支持体および外輪被支持体は、転がり軸受により相対的に回転可能に支持されていればよく、内輪被支持体が固定されて外輪被支持体が回転可能に支持されていてもよいし、外輪被支持体が固定されて内輪被支持体が回転可能に支持されていてもよいし、両者が回転可能に支持されていてもよい。以下、発明2の複合レゾルバの径方向平面配置構造を有する転がり軸受装置において同じである。
【0013】
〔発明2〕 さらに、発明2の複合レゾルバの径方向平面配置構造を有する転がり軸受装置は、内輪および外輪を有する転がり軸受と、前記内輪に支持される内輪被支持体と、前記外輪に支持される外輪被支持体と、前記内輪被支持体および前記外輪被支持体を相対的に回転させる駆動体と、前記内輪被支持体と前記外輪被支持体の間に配置され、それらの相対位置により変化するセンサ信号を出力する回転センサとを備える転がり軸受装置において、前記回転センサ、前記転がり軸受および前記駆動体を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置し、前記回転センサは、前記内輪被支持体または前記外輪被支持体の回転に同期して変化するリラクタンス変化の基本波成分が第1周期となる前記センサ信号を出力する第1レゾルバと、前記リラクタンス変化の基本波成分が前記第1周期とは異なる第2周期となる前記センサ信号を出力する第2レゾルバとからなり、さらに、励磁信号を出力する発振器と、前記第1レゾルバおよび前記第2レゾルバのなかから択一的に選択されたレゾルバに前記励磁信号が供給されるように前記発振器から前記第1レゾルバおよび前記第2レゾルバに供給される励磁信号の供給経路を切り換える切換手段とを備える。
【0014】
このような構成であれば、転がり軸受により、内輪被支持体および外輪被支持体が相対的に回転可能に支持される。
転がり軸受装置にモーメント荷重が加わると、転がり軸受装置が転がり軸受を中心として傾くが、回転センサが転がり軸受と径方向同一平面上に配置されているので、回転センサのギャップ変化を小さくすることができる。
【0015】
また、回転センサ、転がり軸受および駆動体が径方向同一平面上に配置されているので、転がり軸受装置の高さ(軸方向の長さ)を小さくすることができる。
さらに、回転センサが転がり軸受を挟んで駆動体の反対側に配置されているので、回転センサが駆動体からのノイズや熱の影響を受けにくい。
さらに、転がり軸受の予圧を高くする等の方法を採用した場合は、ギャップ変化を抑制できる半面、転がり軸受の寿命が短くなるという不具合を伴うところ、本発明では、ギャップ変化が小さい位置に回転センサを配置することによりギャップ変化を低減するので、転がり軸受の長寿命化を図ることができる。
【0016】
一方、切換手段により、第1レゾルバに励磁信号が供給されるように供給経路が切り換えられると、内輪被支持体または外輪被支持体の回転に同期してリラクタンスが変化し、リラクタンス変化の基本波成分が第1周期となるセンサ信号が第1レゾルバから出力される。また、切換手段により、第2レゾルバに励磁信号が供給されるように供給経路が切り換えられると、内輪被支持体または外輪被支持体の回転に同期してリラクタンスが変化し、リラクタンス変化の基本波成分が第2周期となるセンサ信号が第2レゾルバから出力される。したがって、第1レゾルバと第2レゾルバが少なくとも同時に励磁されることがないため、第1レゾルバおよび第2レゾルバの一方の漏れ磁束が他方に磁気的に干渉することがない。
ここで、駆動体としては、例えば、モータやエンジン等のアクチュエータが該当する。
【0017】
〔発明3〕 さらに、発明3の複合レゾルバの径方向平面配置構造を有する転がり軸受装置は、発明2の複合レゾルバの径方向平面配置構造を有する転がり軸受装置において、前記内輪被支持体および前記外輪被支持体は、径方向内外に形成される内壁体および外壁体をそれぞれ有し、前記内輪被支持体の内壁体が前記外輪被支持体の内壁体と外壁体の間に、前記外輪被支持体の外壁体が前記内輪被支持体の内壁体と外壁体の間に位置するように互いに跨って配置され、前記外輪被支持体の内壁体および前記内輪被支持体の内壁体の一方に前記回転センサの被検出体を、他方に前記回転センサの検出手段を固定し、前記内輪被支持体の内壁体に前記内輪を、前記外輪被支持体の外壁体に前記外輪を固定し、前記外輪被支持体の外壁体および前記内輪被支持体の外壁体の一方に前記駆動体の回転子を、他方に前記駆動体の固定子を固定した。
【0018】
このような構成であれば、外輪被支持体の外壁体に駆動体の回転子が固定されている場合は、外輪被支持体および外輪が回転し、内輪被支持体の外壁体に駆動体の回転子が固定されている場合は、内輪被支持体および内輪が回転する。そして、それらが回転すると、外輪被支持体の内壁体および内輪被支持体の内壁体の一方に固定された回転センサの被検出体が、他方に固定された回転センサの検出手段により検出されることにより、内輪被支持体と外輪被支持体の相対位置により変化するセンサ信号が回転センサから出力される。
【0019】
ここで、内輪被支持体の内壁体または外壁体は、内輪被支持体と一体に構成してもよいし、内輪被支持体とは別体に構成してもよい。別体で構成する場合、内輪押え等の部材が内輪被支持体の内壁体を構成してもよい。
また、外輪被支持体の内壁体または外壁体は、外輪被支持体と一体に構成してもよいし、外輪被支持体とは別体に構成してもよい。別体で構成する場合、外輪押え等の部材が外輪被支持体の外壁体を構成してもよい。
【0020】
また、内壁体または外壁体(この段落において、以下、「壁体」と略記する。)に固定することには、壁体に直接固定はされないが、壁体に近接または接触して配置され、かつ、壁体が固定される部材または壁体と一体をなす部材に固定されることにより壁体と実質的に一体をなす固定状態を含む。
【0021】
〔発明4〕 さらに、発明4の複合レゾルバの径方向平面配置構造を有する転がり軸受装置は、発明1ないし3のいずれか1の複合レゾルバの径方向平面配置構造を有する転がり軸受装置において、前記転がり軸受は、クロスローラ軸受または4点接触玉軸受である。
このような構成であれば、モーメント荷重、アキシャル荷重およびラジアル荷重を同時に受けることができる。
【0022】
〔発明5〕 さらに、発明5の複合レゾルバの径方向平面配置構造を有する転がり軸受装置は、発明1ないし4のいずれか1の複合レゾルバの径方向平面配置構造を有する転がり軸受装置において、前記第1レゾルバは、第1レゾルバステータおよび第1レゾルバロータを有し、前記第1レゾルバロータと前記第2レゾルバステータの間のリラクタンスが前記第1レゾルバロータの位置により変化し、前記第1レゾルバロータの1回転につき前記リラクタンス変化の基本波成分が1周期となる前記センサ信号を出力する単極レゾルバであり、前記第2レゾルバは、第2レゾルバステータおよび第2レゾルバロータを有し、前記第2レゾルバロータと前記第2レゾルバステータの間のリラクタンスが前記第2レゾルバロータの位置により変化し、前記第2レゾルバロータの1回転につき前記リラクタンス変化の基本波成分が多周期となる前記センサ信号を出力する多極レゾルバである。
【0023】
このような構成であれば、切換手段により、第1レゾルバに励磁信号が供給されるように供給経路が切り換えられると、内輪被支持体または外輪被支持体の回転に同期して第1レゾルバロータが回転し、この回転により第1レゾルバロータと第1レゾルバステータの間のリラクタンスが変化する。そして、第1レゾルバロータの1回転につきリラクタンス変化の基本波成分が1周期となるセンサ信号が第1レゾルバから出力される。
【0024】
単極レゾルバでは、モーメント荷重によるギャップ変化の影響が特に大きいので、ギャップ変化の低減は、誤検出防止に効果的である。
また、切換手段により、第2レゾルバに励磁信号が供給されるように供給経路が切り換えられると、内輪被支持体または外輪被支持体の回転に同期して第2レゾルバロータが回転し、この回転により第2レゾルバロータと第2レゾルバステータの間のリラクタンスが変化する。そして、第2レゾルバロータの1回転につきリラクタンス変化の基本波成分が多周期となるセンサ信号が第2レゾルバから出力される。
【0025】
〔発明6〕 さらに、発明6の複合レゾルバの径方向平面配置構造を有する転がり軸受装置は、発明1ないし4のいずれか1の複合レゾルバの径方向平面配置構造を有する転がり軸受装置において、前記第1レゾルバは第1レゾルバロータを、前記第2レゾルバは第2レゾルバロータを有し、前記第1レゾルバロータおよび前記第2レゾルバロータは、ロータ間座を介して微小な間隔をもって配置されているとともに2つの固定手段によりそれぞれ取り付けられている。
このような構成であれば、2つの固定手段により第1レゾルバロータおよび第2レゾルバロータが独立に固定される。
【0026】
〔発明7〕 さらに、発明7の複合レゾルバの径方向平面配置構造を有する転がり軸受装置は、発明1ないし6のいずれか1の複合レゾルバの径方向平面配置構造を有する転がり軸受装置において、前記内輪被支持体には、当該内輪被支持体の径方向内側から径方向外側に貫通し前記回転センサの配線を収容する配線管が形成されており、前記配線管の高さDは、前記回転センサの1本の配線の直径をd、所定の余裕をα(0<α<d)とすると、D=2d+αにより得られる値に設定した。
このような構成であれば、配線管の高さが小さくなる。また、回転センサの複数の配線について1回のクロス分が許容される。
【0027】
〔発明8〕 さらに、発明8の複合レゾルバの径方向平面配置構造を有する転がり軸受装置は、発明1ないし7のいずれか1の複合レゾルバの径方向平面配置構造を有する転がり軸受装置において、さらに、前記内輪を前記内輪被支持体に軸方向に固定する内輪押えを備え、前記内輪押えには、当該内輪押えを固定するためのボルトを挿通するボルト穴が軸方向に形成され、前記内輪押えの外周面と前記ボルト穴の内壁面の肉厚tiは、前記ボルト穴の1ピッチ分の長さをpiとすると、pi<ti<2piの範囲の値に設定した。
このような構成であれば、内輪押えのボルト穴にボルトをねじ込むと、内輪押えの外周面が内輪側に押し出され、内輪を係止するので、内輪を隙間なく固定することができる。
【0028】
〔発明9〕 さらに、発明9の複合レゾルバの径方向平面配置構造を有する転がり軸受装置は、発明1ないし8のいずれか1の複合レゾルバの径方向平面配置構造を有する転がり軸受装置において、さらに、前記外輪を前記外輪被支持体に軸方向に固定する外輪押えを備え、前記外輪押えには、当該外輪押えを固定するためのボルトを挿通するボルト穴が軸方向に形成され、前記外輪押えの内周面と前記ボルト穴の内壁面の肉厚toは、前記ボルト穴の1ピッチ分の長さをpoとすると、po<to<2poの範囲の値に設定した。
このような構成であれば、外輪押えのボルト穴にボルトをねじ込むと、外輪押えの内周面が外輪側に押し出され、外輪を係止するので、外輪を隙間なく固定することができる。
【0029】
〔発明10〕 さらに、発明10の複合レゾルバの径方向平面配置構造を有する転がり軸受装置は、発明1ないし7および9のいずれか1の複合レゾルバの径方向平面配置構造を有する転がり軸受装置において、さらに、前記内輪を前記内輪被支持体に軸方向に固定する内輪押えを備え、前記回転センサ、前記内輪押えおよび前記転がり軸受を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置し、前記内輪押えの押圧部の高さHは、前記転がり軸受の高さをBとすると、H=1/2Bにより得られる値に設定した。
【0030】
このような構成であれば、内輪押えが回転センサ側に傾くのを防止することができるので、回転センサのギャップが変化しにくい。
【発明の効果】
【0031】
以上説明したように、発明1の複合レゾルバの径方向平面配置構造を有する転がり軸受装置によれば、転がり軸受装置にモーメント荷重が加わっても、ギャップ変化が小さい位置に回転センサが配置されているので、従来に比して、回転センサのギャップ変化を小さくすることができ、回転センサが誤検出する可能性を低減することができるという効果が得られる。また、回転センサおよび転がり軸受が径方向同一平面上に配置されているので、転がり軸受装置の高さを小さくすることができるという効果も得られる。さらに、転がり軸受の予圧を高くする等の方法に比して、転がり軸受の長寿命化を図ることができるという効果も得られる。さらに、第1レゾルバおよび第2レゾルバの一方の漏れ磁束が他方に磁気的に干渉することがないので、第1レゾルバと第2レゾルバを近接して配置することが可能となり、転がり軸受装置の高さをさらに小さくすることができるという効果も得られる。
【0032】
さらに、発明2の複合レゾルバの径方向平面配置構造を有する転がり軸受装置によれば、転がり軸受装置にモーメント荷重が加わっても、ギャップ変化が小さい位置に回転センサが配置されているので、従来に比して、回転センサのギャップ変化を小さくすることができ、回転センサが誤検出する可能性を低減することができるという効果が得られる。また、回転センサ、転がり軸受および駆動体が径方向同一平面上に配置されているので、転がり軸受装置の高さを小さくすることができるという効果も得られる。さらに、回転センサが転がり軸受を挟んで駆動体の反対側に配置されているので、回転センサが駆動体からのノイズや熱の影響を受けにくく、高い検出精度を実現することができるという効果も得られる。さらに、転がり軸受の予圧を高くする等の方法に比して、転がり軸受の長寿命化を図ることができるという効果も得られる。さらに、第1レゾルバおよび第2レゾルバの一方の漏れ磁束が他方に磁気的に干渉することがないので、第1レゾルバと第2レゾルバを近接して配置することが可能となり、転がり軸受装置の高さをさらに小さくすることができるという効果も得られる。
【0033】
さらに、発明4の複合レゾルバの径方向平面配置構造を有する転がり軸受装置によれば、モーメント荷重、アキシャル荷重およびラジアル荷重を同時に受けることができるので、アキシャル荷重およびラジアル荷重に対する剛性を維持しつつ、モーメント荷重によるギャップ変化を低減することができるという効果が得られる。
さらに、発明6の複合レゾルバの径方向平面配置構造を有する転がり軸受装置によれば、第1レゾルバロータおよび第2レゾルバロータを独立に固定することができるので、第1レゾルバロータおよび第2レゾルバロータの軸方向の位置をそれぞれ調整することができるという効果が得られる。
【0034】
さらに、発明7の複合レゾルバの径方向平面配置構造を有する転がり軸受装置によれば、配線管の高さが小さくなるので、転がり軸受装置の高さを小さくすることができるという効果が得られる。また、回転センサの複数の配線について1回のクロス分が許容されるので、回転センサの配線を配線管に収容する作業性が低下する可能性を低減することができるという効果も得られる。
【0035】
さらに、発明8の複合レゾルバの径方向平面配置構造を有する転がり軸受装置によれば、内輪を隙間なく固定することができるので、検出精度を向上することができるという効果が得られる。
さらに、発明9の複合レゾルバの径方向平面配置構造を有する転がり軸受装置によれば、外輪を隙間なく固定することができるので、検出精度を向上することができるという効果が得られる。
【0036】
さらに、発明10の複合レゾルバの径方向平面配置構造を有する転がり軸受装置によれば、回転センサのギャップが変化する可能性を低減することができるので、回転センサが誤検出する可能性を低減することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
〔第1の実施の形態〕
以下、本発明の第1の実施の形態を図面を参照しながら説明する。図1および図2は、本発明に係る複合レゾルバの径方向平面配置構造を有する転がり軸受装置の第1の実施の形態を示す図である。
まず、本発明を適用する薄型モータ100の構成を説明する。
【0038】
図1は、本実施の形態に係る薄型モータ100の軸方向の断面図である。
薄型モータ100は、図1に示すように、固定子であるステータ22と、回転子であるロータ12と、ロータ12とステータ22の間に介在してロータ12を回転可能に支持するクロスローラ軸受14と、ロータ12に回転トルクを付与するモータ部16と、ロータ12の回転角度位置を検出するレゾルバ30とを有して構成されている。ここで、レゾルバ30、クロスローラ軸受14およびモータ部16は、径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置されている。
【0039】
ステータ22には、軸方向上方(図1の上方向)に突出した円環状の内壁体22aが形成され、内壁体22aよりも径方向外側には、軸方向上方に突出した円環状の外壁体22bが形成されている。一方、ロータ12には、軸方向下方(図1の下方向)に突出した円環状の内壁体12aが形成され、内壁体12aよりも径方向外側には、軸方向下方に突出した円環状の外壁体12bが形成されている。そして、ステータ22およびロータ12は、ステータ22の内壁体22aがロータ12の内壁体12aと外壁体12bの間に、ロータ12の外壁体12bがステータ22の内壁体22aと外壁体22bの間に位置するように互いに跨って配置されている。
【0040】
クロスローラ軸受14は、内輪14aと、外輪14bと、内輪14aおよび外輪14bの間で転動可能に設けられた複数のクロスローラ(ころ)14cとを有して構成されている。クロスローラ14cは、直径が長さよりわずかに大きな略円筒状で、軌道上偶数番目の回転軸と、軌道上奇数番目の回転軸が互いに90°傾斜している。
内輪14aは、ステータ22の内壁体22aに軸方向に押圧された状態で固定されている。具体的には、ステータ22の内壁体22aの上端を内輪14aの下面に当接させ、内輪押え26の押圧部26bを内輪14aの上面に接触させ、内輪押え26をボルト26aでステータ22の内壁体22aに締結することにより固定される。
【0041】
外輪14bは、ロータ12の外壁体12bに軸方向に押圧された状態で固定されている。具体的には、ロータ12の外壁体12bの下端を外輪14bの上面に当接させ、外輪押え28の押圧部28bを外輪14bの下面に接触させ、外輪押え28をボルト28aでロータ12の外壁体12bに締結することにより固定される。
なお、ステータ22は、ボルト24aにより固定板24に固定され、ロータ12は、出力軸の外周面に嵌合している。
【0042】
モータ部16は、永久磁石16aと、永久磁石16aと所定間隔をもって対向して配置されるコイル16bとを有して構成されている。永久磁石16aは、外輪押え28の外周面に取り付けられ、外輪押え28と一体にロータ12の外壁体12bの外周面側に固定されている。一方、コイル16bは、ボルト16cによりステータ22の外壁体22bに取り付けられている。
【0043】
レゾルバ30は、中空環状の成層鉄心からなるレゾルバロータ18と、レゾルバロータ18と所定間隔をもって対向して配置され、複数のステータポールが円周方向に等間隔に形成された環状の成層鉄心からなるレゾルバステータ20とを有して構成されるアウターロータ式のレゾルバである。図1において、一方のレゾルバ30(軸方向上方)は、クロスローラ軸受14の軸心に対して偏心させた内周を有する円環状のレゾルバロータ18を有し、レゾルバロータ18の1回転につきリラクタンス変化の基本波成分が1周期となる単極レゾルバ信号を出力するABS(Absolute)型の単極レゾルバ(以下、レゾルバ30のうち単極レゾルバを指すときは「単極レゾルバ30」と表記する。)である。他方のレゾルバ30(軸方向下方)は、突極状の複数の歯が円周方向に等間隔に形成されたレゾルバロータ18を有し、レゾルバロータ18の1回転につきリラクタンス変化の基本波成分が多周期となる多極レゾルバ信号を出力するINC(Increment)型の多極レゾルバ(以下、レゾルバ30のうち多極レゾルバを指すときは「多極レゾルバ30」と表記する。)である。
【0044】
2つのレゾルバ30のレゾルバロータ18は、ロータ間座42を介して微小な間隔をもって配置され、ボルト18aによりロータ12の内壁体12aの外周面に取り付けられている。一方、2つのレゾルバ30のレゾルバステータ20は、ステータ間座44を介して微小な間隔をもって配置され、ボルト20aにより内輪押え26の内周面に取り付けられ、内輪押え26と一体にステータ22の内壁体22aの内周面側に固定されている。
【0045】
次に、薄型モータ100の制御システムの構成を説明する。
図2は、薄型モータ100の制御システムの構成を示すブロック図である。
制御システムは、図2に示すように、薄型モータ100を制御するドライブユニット70の一部から構成される。
ドライブユニット70は、単極レゾルバ30および多極レゾルバ30の一方に励磁信号を供給してレゾルバ信号を取り込み、デジタル角度信号φを出力するサーボドライバ60と、デジタル角度信号φから回転角度位置信号を生成し、パワーアンプ72を介して薄型モータ100に電力を供給するCPU71とを有して構成されている。
【0046】
サーボドライバ60は、発振器61から出力される励磁信号を増幅器62により適度な信号レベルに増幅し、切換スイッチ63を介して単極レゾルバ30の共通端子COM1と、多極レゾルバ30の共通端子COM2の一方に励磁信号の供給経路を切り換えて励磁信号を供給する。
切換スイッチ63は、発振器61から単極レゾルバ30および多極レゾルバ30への励磁信号供給経路上に配置され、単極レゾルバ30および多極レゾルバ30への励磁信号の供給経路を切り換える切換手段である。共通端子COM1およびCOM2への切換スイッチ63の接続切換はCPU71から出力されるスイッチ切換信号によって制御される。
【0047】
電源が投入されてシステムが起動した直後においては、CPU71は、切換スイッチ63を共通端子COM1に切換接続することにより、励磁信号を単極レゾルバ30に供給する。単極レゾルバ30から出力される電流信号は、電流/電圧変換器51aによってABS信号に変換された後、3/2相変換器52aによって2相信号(sin信号,cos信号)に変換されてアナログスイッチ53に供給される。
【0048】
一方、CPU71がABS信号からデジタル角度信号φの値(後述するabs)を取得した後には、CPU71は、切換スイッチ63を共通端子COM2に切換接続することにより、励磁信号を多極レゾルバ30に供給する。多極レゾルバ30から出力される電流信号は、電流/電圧変換器51bによってINC信号に変換された後、3/2相変換器52bによって2相信号(sin信号,cos信号)に変換されてアナログスイッチ53に供給される。
【0049】
アナログスイッチ53は、CPU71からのABS/INC切換信号によって切り換え制御されるスイッチ素子であり、2相のABS信号および2相のINC信号の一方を選択的に通過させてRDC(Resolver Digital Converter)54に供給する。アナログスイッチ53を通過する信号が2相のABS信号から2相のINC信号に切り換わるタイミングと、切換スイッチ63の接続先がCOM1からCOM2に切り換わるタイミングとがほぼ同期するように、CPU71からアナログスイッチ53にABS/INC切換信号が出力される。
【0050】
移相器55は、発振器61から出力される励磁信号の位相を遅らせ、2相に変換されたABS信号またはINC信号のsin信号およびcos信号のうちのキャリア信号の位相と同期させたRef信号をRDC54に供給する。
RDC54は、アナログスイッチ53から供給される2相信号をデジタル化し、CPU71にデジタル角度信号φを出力する。RDC54からは発振器61の発振角周波数による同期整流後のアナログ速度信号が出力される。
【0051】
次に、本実施の形態の動作を説明する。
コイル16bに通電すると、ロータ12に回転トルクが付与され、ロータ12が回転する。
まず、切換スイッチ63により、単極レゾルバ30に励磁信号が供給されるように供給経路が切り換えられると、ロータ12の回転に同期してレゾルバロータ18が回転し、この回転によりレゾルバロータ18とレゾルバステータ20の間のリラクタンスが変化する。そして、レゾルバロータ18の1回転につきリラクタンス変化の基本波成分が1周期となる単極レゾルバ信号が単極レゾルバ30から出力される。
【0052】
また、切換スイッチ63により、多極レゾルバ30に励磁信号が供給されるように供給経路が切り換えられると、ロータ12の回転に同期してレゾルバロータ18が回転し、この回転によりレゾルバロータ18とレゾルバステータ20の間のリラクタンスが変化する。そして、レゾルバロータ18の1回転につきリラクタンス変化の基本波成分が多周期となる多極レゾルバ信号が多極レゾルバ30から出力される。
【0053】
したがって、単極レゾルバ30と多極レゾルバ30が少なくとも同時に励磁されることがないため、単極レゾルバ30および多極レゾルバ30の一方の漏れ磁束が他方に磁気的に干渉することがない。また、単極レゾルバ30では、モーメント荷重によるギャップ変化の影響が特に大きいので、ギャップ変化の低減は、誤検出防止に効果的である。
制御システムでは、単極レゾルバ信号または多極レゾルバ信号に基づいてモータ部16の回転速度や位置決めの制御が行われる。
【0054】
薄型モータ100にモーメント荷重が加わると、薄型モータ100がクロスローラ軸受14を中心として傾くが、レゾルバ30がクロスローラ軸受14と径方向同一平面上に配置されているので、レゾルバ30のギャップ変化を小さくすることができる。
また、レゾルバ30、クロスローラ軸受14およびモータ部16が径方向同一平面上に配置されているので、薄型モータ100の高さ(軸方向の長さ)を小さくすることができる。
【0055】
さらに、レゾルバ30がクロスローラ軸受14を挟んでモータ部16の反対側に配置されているので、レゾルバ30がモータ部16からのノイズや熱の影響を受けにくい。
さらに、クロスローラ軸受14の予圧を高くする等の方法を採用した場合は、ギャップ変化を抑制できる半面、クロスローラ軸受14の寿命が短くなるという不具合を伴うところ、本発明では、ギャップ変化が小さい位置にレゾルバ30を配置することによりギャップ変化を低減するので、クロスローラ軸受14の長寿命化を図ることができる。
【0056】
このようにして、本実施の形態では、内輪14aおよび外輪14bを有するクロスローラ軸受14と、内輪14aに支持されるステータ22と、外輪14bに支持されるロータ12と、ロータ12に回転トルクを付与するモータ部16と、ロータ12の回転角度位置を検出するレゾルバ30とを備え、レゾルバ30、クロスローラ軸受14およびモータ部16を径方向の同一平面上に配置した。
【0057】
これにより、薄型モータ100にモーメント荷重が加わっても、ギャップ変化が小さい位置にレゾルバ30が配置されているので、従来に比して、レゾルバ30のギャップ変化を小さくすることができ、レゾルバ30が誤検出する可能性を低減することができる。また、レゾルバ30、クロスローラ軸受14およびモータ部16が径方向同一平面上に配置されているので、薄型モータ100の高さを小さくすることができる。さらに、クロスローラ軸受14の予圧を高くする等の方法に比して、クロスローラ軸受14の長寿命化を図ることができる。
【0058】
さらに、本実施の形態では、リラクタンス変化の基本波成分が1周期となる単極レゾルバ信号を出力する単極レゾルバ30と、リラクタンス変化の基本波成分が多周期となる多極レゾルバ信号を出力する多極レゾルバ30と、励磁信号を出力する発振器61と、単極レゾルバ30および多極レゾルバ30のなかから択一的に選択されたレゾルバに励磁信号が供給されるように発振器61から単極レゾルバ30および多極レゾルバ30に供給される励磁信号の供給経路を切り換える切換スイッチ63とを備える。
【0059】
これにより、単極レゾルバ30および多極レゾルバ30の一方の漏れ磁束が他方に磁気的に干渉することがないので、単極レゾルバ30と多極レゾルバ30を近接して配置することが可能となり、薄型モータ100の高さをさらに小さくすることができる。
さらに、本実施の形態では、レゾルバ30、クロスローラ軸受14およびモータ部16を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した。
【0060】
これにより、レゾルバ30がクロスローラ軸受14を挟んでモータ部16の反対側に配置されているので、レゾルバ30がモータ部16からのノイズや熱の影響を受けにくく、高い検出精度を実現することができる。
さらに、本実施の形態では、クロスローラ軸受14を採用した。
これにより、モーメント荷重、アキシャル荷重およびラジアル荷重を同時に受けることができるので、アキシャル荷重およびラジアル荷重に対する剛性を維持しつつ、モーメント荷重によるギャップ変化を低減することができる。
【0061】
上記第1の実施の形態において、クロスローラ軸受14は、発明1ないし5の転がり軸受に対応し、ステータ22は、発明1ないし3の内輪被支持体に対応し、ロータ12は、発明1ないし3の外輪被支持体に対応し、単極レゾルバ30は、発明1、2または5の第1レゾルバに対応している。また、多極レゾルバ30は、発明1、2または5の第2レゾルバに対応し、切換スイッチ63は、発明1または2の切換手段に対応し、レゾルバロータ18は、発明3の被検出体に対応し、レゾルバステータ20は、発明3の検出手段に対応している。
【0062】
また、上記第1の実施の形態において、モータ部16は、発明2または3の駆動体に対応し、永久磁石16aは、発明3の回転子に対応し、コイル16bは、発明3の固定子に対応している。
【0063】
〔第2の実施の形態〕
次に、本発明の第2の実施の形態を図面を参照しながら説明する。図3ないし図5は、本発明に係る複合レゾルバの径方向平面配置構造を有する転がり軸受装置の第2の実施の形態を示す図である。
【0064】
まず、レゾルバ30の構成を説明する。
図3は、本実施の形態に係る薄型モータ100の軸方向の断面図である。
レゾルバ30は、図3に示すように、中空環状の成層鉄心からなるレゾルバロータと、レゾルバロータと所定間隔をもって対向して配置され、複数のステータポールが円周方向に等間隔に形成された環状の成層鉄心からなるレゾルバステータとを有して構成されるアウターロータ式のレゾルバである。図3において、一方のレゾルバ30(軸方向上方)は、クロスローラ軸受14の軸心に対して偏心させた内周を有する円環状のレゾルバロータ18raと、レゾルバロータ18raに対向して配置されたレゾルバステータ20saとを有し、レゾルバロータ18raの1回転につきリラクタンス変化の基本波成分が1周期となる単極レゾルバ信号を出力するABS型の単極レゾルバである。他方のレゾルバ30(軸方向下方)は、突極状の複数の歯が円周方向に等間隔に形成されたレゾルバロータ18riと、レゾルバロータ18riに対向して配置されたレゾルバステータ20siとを有し、レゾルバロータ18riの1回転につきリラクタンス変化の基本波成分が多周期となる多極レゾルバ信号を出力するINC型の多極レゾルバである。
【0065】
レゾルバロータ18ra、18riは、ロータ間座42を介して微小な間隔をもって配置されている。レゾルバロータ18raは、ボルト18aにより、ロータ12の内壁体12aの外周面とロータ間座42の上面の間に固定されて取り付けられている。レゾルバロータ18riは、ボルト18bによりロータ間座42の下面に取り付けられている。
図4は、ロータ間座42の下面図である。
【0066】
図5は、図4のA−O−A’線に沿った軸方向の断面図である。
ロータ間座42の下面には、図4に示すように、ボルト18aが挿通するボルト穴46aと、ボルト18bが挿通するボルト穴46bとが形成されている。ボルト穴46aは、ロータ間座42の周方向に60°間隔に6つ形成されているとともに、図4真下のボルト穴46aから反時計回りに15°間隔で2つ形成されている。ボルト穴46bは、60°間隔で形成された各ボルト穴46aから時計回りに15°の位置にそれぞれ形成されている。
【0067】
ボルト穴46aは、図5に示すように、ロータ間座42を軸方向に貫通し、座ぐり深さは、ロータ間座42の軸方向半分程度まで達している。ボルト穴46bの深さは、ロータ間座42の軸方向半分程度まで達している。
一方、レゾルバステータ20sa、20siは、図3に示すように、ステータ間座44を介して微小な間隔をもって配置されている。レゾルバステータ20saは、ボルト20aにより、内輪押え26の内周面とステータ間座44の上面の間に固定されて取り付けられている。レゾルバステータ20siは、ボルト20bにより、ステータ間座44の下面に取り付けられている。したがって、レゾルバステータ20sa、20siは、内輪押え26と一体にステータ22の内壁体22aの内周面側に固定されている。
【0068】
次に、ステータ22の構成を説明する。
ステータ22には、図3に示すように、ステータ22の径方向内側から径方向外側に貫通する配線管48が形成されている。配線管48には、レゾルバ30の配線が収容されている。
配線管48の高さDは、レゾルバ30の1本の配線の直径をd、所定の余裕をα(0<α<d)とすると、下式(1)により得られる値に設定されている。

D=2d+α …(1)

レゾルバ30の配線は、電力線、グランド線等の複数本の配線から構成されている。これら配線をねじれなく水平に並べて配線することができれば、配線管の高さDはdですむ。しかし、実際は、配線同士が軸方向でクロスする。そこで、1回のクロス分(d)を考慮し、2d+αとして設定するのが好ましい。
【0069】
次に、内輪押え26および外輪押え28の構成を説明する。
内輪押え26には、図3に示すように、ボルト26aを挿通するボルト穴26cが形成されている。上記第1の実施の形態では、内輪押え26の外周面とボルト穴26cの内壁面の肉厚は、ボルト穴26cの略3ピッチ分の長さに相当する厚さとなっている。これに対し、本実施の形態では、内輪押え26の外周面とボルト穴26cの内壁面の肉厚tiは、ボルト穴26cの1ピッチ分の長さをpiとすると、下式(2)の範囲の値に設定されている。そのため、ボルト穴26cにボルト26aをねじ込むと、内輪押え26の外周面が内輪14a側に押し出され、内輪14aを係止するので、内輪14aを隙間なく固定することができる。したがって、検出精度を向上することができる。

pi<ti<2pi …(2)

上式(2)において、肉厚tiを2pi以上とすると、内輪押え26の外周面を押し出す作用が小さくなり、内輪14aを隙間なく固定することが難しくなる一方、肉厚tiをpi以下とすると、ボルト穴26cの内壁を破壊する可能性がある。したがって、上式(2)により得られる値に設定するのが好ましい。
【0070】
外輪押え28には、図3に示すように、ボルト28aを挿通するボルト穴28cが形成されている。上記第1の実施の形態では、外輪押え28の内周面とボルト穴28cの内壁面の肉厚は、ボルト穴28cの略3ピッチ分の長さに相当する厚さとなっている。これに対し、本実施の形態では、外輪押え28の内周面とボルト穴28cの内壁面の肉厚toは、ボルト穴28cの1ピッチ分の長さをpoとすると、下式(3)の範囲の値に設定されている。そのため、ボルト穴28cにボルト28aをねじ込むと、外輪押え28の内周面が外輪14b側に押し出され、外輪14bを係止するので、外輪14bを隙間なく固定することができる。したがって、検出精度を向上することができる。

po<to<2po …(3)

上式(3)において、肉厚toを2po以上とすると、外輪押え28の内周面を押し出す作用が小さくなり、外輪14aを隙間なく固定することが難しくなる一方、肉厚toをpo以下とすると、ボルト穴28cの内壁を破壊する可能性がある。したがって、上式(3)により得られる値に設定するのが好ましい。
【0071】
上記第1の実施の形態では、内輪押え26の押圧部26bの高さは、クロスローラ軸受14の高さをBとすると、1/4B程度であった。しかしながら、内輪押え26の押圧部26bの高さが1/4B程度であると、内輪押え26がレゾルバ30側に傾き、レゾルバ30のギャップが変化する可能性がある。そのため、ロータ12の回転角度位置を正確に検出することができないという問題があった。
【0072】
そこで、本実施の形態では、内輪押え26の押圧部26bの高さHは、図3に示すように、下式(4)により得られる値に設定されている。

H=1/2B …(4)

これにより、レゾルバ30のギャップが変化する可能性を低減することができるので、レゾルバ30が誤検出する可能性を低減することができる。
【0073】
なお、外輪押え28の押圧部28bの高さは1/4Bとする。
このようにして、本実施の形態では、レゾルバロータ18ra、18riは、ロータ間座42を介して微小な間隔をもって配置されているとともに2つのボルト18a、18bによりそれぞれ取り付けられている。
これにより、レゾルバロータ18ra、18riを独立に固定することができるので、レゾルバロータ18ra、18riの軸方向の位置をそれぞれ調整することができる。
【0074】
さらに、本実施の形態では、レゾルバステータ20sa、20siは、ステータ間座44を介して微小な間隔をもって配置されているとともに2つのボルト20a、20bによりそれぞれ取り付けられている。
これにより、レゾルバステータ20sa、20siを独立に固定することができるので、レゾルバステータ20sa、20siの軸方向の位置をそれぞれ調整することができる。
【0075】
さらに、本実施の形態では、レゾルバ30は、ABS型およびINC型のレゾルバとして構成した。
これにより、ギャップ変化の影響を効果的に低減することができる。
さらに、本実施の形態では、配線管48の高さDは、上式(1)により得られる値に設定されている。
【0076】
これにより、配線管48の高さが小さくなるので、薄型モータ100の高さを小さくすることができる。また、レゾルバ30の複数の配線について1回のクロス分が許容されるので、レゾルバ30の配線を配線管48に収容する作業性が低下する可能性を低減することができる。
さらに、本実施の形態では、内輪押え26の外周面とボルト穴26cの内壁面の肉厚tiは、上式(2)により得られる値に設定されている。
【0077】
これにより、内輪14aを隙間なく固定することができるので、検出精度を向上することができる。
さらに、本実施の形態では、外輪押え28の内周面とボルト穴28cの内壁面の肉厚toは、上式(3)により得られる値に設定されている。
これにより、外輪14bを隙間なく固定することができるので、検出精度を向上することができる。
【0078】
さらに、本実施の形態では、内輪押え26の押圧部26bの高さHは、上式(4)により得られる値に設定されている。
これにより、レゾルバ30のギャップが変化する可能性を低減することができるので、レゾルバ30が誤検出する可能性を低減することができる。
上記第2の実施の形態において、クロスローラ軸受14は、発明6ないし10の転がり軸受に対応し、ステータ22は、発明7、8または10の内輪被支持体に対応し、ロータ12は、発明9の外輪被支持体に対応し、レゾルバ30は、発明7または10の回転センサに対応している。また、レゾルバロータ18raは、発明6の第1レゾルバロータに対応し、レゾルバロータ18riは、発明6の第2レゾルバロータに対応し、ボルト18a、18bは、発明6の固定手段に対応している。
【0079】
なお、上記第1の実施の形態においては、レゾルバ30、クロスローラ軸受14およびモータ部16を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置したが、これに限らず、レゾルバ30、クロスローラ軸受14およびモータ部16の配置順序は任意とすることができ、例えば、次の5つの構成を採用することができる。
まず、第1の構成を説明する。
【0080】
図6は、モータ部16、クロスローラ軸受14およびレゾルバ30を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した薄型モータ100の軸方向の断面図である。
モータ部16、クロスローラ軸受14およびレゾルバ30は、図6に示すように、径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置されている。
ステータ22には、軸方向上方(図6の上方向)に突出した円環状の内壁体22aが形成され、内壁体22aよりも径方向外側には、軸方向上方に突出した円環状の外壁体22bが形成されている。一方、ロータ12には、軸方向下方(図6の下方向)に突出した円環状の内壁体12aが形成され、内壁体12aよりも径方向外側には、軸方向下方に突出した円環状の外壁体12bが形成されている。そして、ステータ22およびロータ12は、ロータ12の内壁体12aがステータ22の内壁体22aと外壁体22bの間に、ステータ22の外壁体22bがロータ12の内壁体12aと外壁体12bの間に位置するように互いに跨って配置されている。
【0081】
内輪14aは、ロータ12の内壁体12aに軸方向に押圧された状態で固定されている。具体的には、ロータ12の内壁体12aの下端を内輪14aの上面に当接させ、内輪押え26の押圧部26bを内輪14aの下面に接触させ、内輪押え26をボルト26aでロータ12の内壁体12aに締結することにより固定される。
外輪14bは、ステータ22の外壁体22bに軸方向に押圧された状態で固定されている。具体的には、ステータ22の外壁体22bの上端を外輪14bの下面に当接させ、外輪押え28の押圧部28bを外輪14bの上面に接触させ、外輪押え28をボルト28aでステータ22の外壁体22bに締結することにより固定される。
【0082】
永久磁石16aは、内輪押え26の内周面に取り付けられ、内輪押え26と一体にロータ12の内壁体12aの内周面側に固定されている。一方、コイル16bは、ボルト16cによりステータ22の内壁体22aの外周面に取り付けられている。
レゾルバ30は、単極レゾルバ信号および多極レゾルバ信号を出力するABS/INC一体型のレゾルバであって、上記第1および第2の実施の形態におけるレゾルバ30とは、一体に構成されている点を除き同等の機能を有する。レゾルバロータ18は、ボルト18aによりロータ12の外壁体12bに取り付けられている。一方、レゾルバステータ20は、ボルト20aにより外輪押え28の外周面に取り付けられ、外輪押え28と一体にステータ22の外壁体22bの外周面側に固定されている。
【0083】
このようにして、第1の構成では、モータ部16、クロスローラ軸受14およびレゾルバ30を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した。
これにより、レゾルバ30の誤検出の可能性を低減する効果およびクロスローラ軸受14の長寿命化を図る効果のほか、レゾルバ30がクロスローラ軸受14を挟んでモータ部16の反対側に配置されているので、レゾルバ30がモータ部16からのノイズや熱の影響を受けにくく、高い検出精度を実現することができる。また、レゾルバ30を径方向の最も外側に配置したことにより、レゾルバ30の直径を大きくすることができるので、金型加工時等の精度を安定化でき、さらに高い検出精度を実現することができる。
【0084】
次に、第2の構成を説明する。
図7は、クロスローラ軸受14、モータ部16およびレゾルバ30を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した薄型モータ100の軸方向の断面図である。
クロスローラ軸受14、モータ部16およびレゾルバ30は、図7に示すように、径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置されている。
【0085】
ステータ22には、軸方向上方(図7の上方向)に突出した円環状の内壁体22aが形成され、内壁体22aよりも径方向外側には、軸方向上方に突出した円環状の外壁体22bが形成されている。一方、ロータ12には、軸方向下方(図7の下方向)に突出した円環状の内壁体12aが形成され、内壁体12aよりも径方向外側には、軸方向下方に突出した円環状の外壁体12bが形成されている。そして、ステータ22およびロータ12は、ロータ12の内壁体12aがステータ22の内壁体22aと外壁体22bの間に、ステータ22の外壁体22bがロータ12の内壁体12aと外壁体12bの間に位置するように互いに跨って配置されている。
【0086】
内輪14aは、ステータ22の内壁体22aに軸方向に押圧された状態で固定されている。具体的には、ステータ22の内壁体22aの上端を内輪14aの下面に当接させ、内輪押え26の押圧部26bを内輪14aの上面に接触させ、内輪押え26をボルト26aでステータ22の内壁体22aに締結することにより固定される。
外輪14bは、ロータ12の内壁体12aに軸方向に押圧された状態で固定されている。具体的には、ロータ12の内壁体12aの下端を外輪14bの上面に当接させ、外輪押え28の押圧部28bを外輪14bの下面に接触させ、外輪押え28をボルト28aでロータ12の内壁体12aに締結することにより固定される。
【0087】
永久磁石16aは、外輪押え28の外周面に取り付けられ、外輪押え28と一体にロータ12の内壁体12aの外周面側に固定されている。一方、コイル16bは、ボルト16cによりステータ22の外壁体22bの内周面に取り付けられている。
レゾルバ30は、単極レゾルバ信号および多極レゾルバ信号を出力するABS/INC一体型のレゾルバであって、上記第1および第2の実施の形態におけるレゾルバ30とは、一体に構成されている点を除き同等の機能を有する。レゾルバロータ18は、ボルト18aによりロータ12の外壁体12bに取り付けられている。一方、レゾルバステータ20は、ボルト20aによりステータ22の外壁体22bの外周面に取り付けられている。
【0088】
このようにして、第2の構成では、クロスローラ軸受14、モータ部16およびレゾルバ30を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した。
これにより、レゾルバ30の誤検出の可能性を低減する効果およびクロスローラ軸受14の長寿命化を図る効果のほか、レゾルバ30を径方向の最も外側に配置したことにより、レゾルバ30の直径を大きくすることができるので、金型加工時等の精度を安定化でき、さらに高い検出精度を実現することができる。また、クロスローラ軸受14が径方向の最も内側に配置されているので、クロスローラ軸受14のサイズを小さくすることにより薄型モータ100の高さを小さくすることができるとともに、モータ部16またはレゾルバ30への配線がしやすく、クロスローラ軸受14のグリースが漏れにくい。
【0089】
次に、第3の構成を説明する。
図8は、クロスローラ軸受14、レゾルバ30およびモータ部16を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した薄型モータ100の軸方向の断面図である。
クロスローラ軸受14、レゾルバ30およびモータ部16は、図8に示すように、径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置されている。
【0090】
ステータ22には、軸方向上方(図8の上方向)に突出した円環状の内壁体22aが形成され、内壁体22aよりも径方向外側には、軸方向上方に突出した円環状の外壁体22bが形成されている。一方、ロータ12には、軸方向下方(図8の下方向)に突出した円環状の内壁体12aが形成され、内壁体12aよりも径方向外側には、軸方向下方に突出した円環状の外壁体12bが形成されている。そして、ステータ22およびロータ12は、ロータ12の内壁体12aがステータ22の内壁体22aと外壁体22bの間に、ステータ22の外壁体22bがロータ12の内壁体12aと外壁体12bの間に位置するように互いに跨って配置されている。
【0091】
内輪14aは、ステータ22の内壁体22aに軸方向に押圧された状態で固定されている。具体的には、ステータ22の内壁体22aの上端を内輪14aの下面に当接させ、内輪押え26の押圧部26bを内輪14aの上面に接触させ、内輪押え26をボルト26aでステータ22の内壁体22aに締結することにより固定される。
外輪14bは、ロータ12の内壁体12aに軸方向に押圧された状態で固定されている。具体的には、ロータ12の内壁体12aの下端を外輪14bの上面に当接させ、外輪押え28の押圧部28bを外輪14bの下面に接触させ、外輪押え28をボルト28aでロータ12の内壁体12aに締結することにより固定される。
【0092】
永久磁石16aは、ロータ12の外壁体12bの内周面に取り付けられている。一方、コイル16bは、ボルト16cによりステータ22の外壁体22bの外周面に取り付けられている。
レゾルバ30は、単極レゾルバ信号および多極レゾルバ信号を出力するABS/INC一体型のレゾルバであって、上記第1および第2の実施の形態におけるレゾルバ30とは、一体に構成されている点を除き同等の機能を有する。レゾルバロータ18は、ボルト18aにより外輪押え28の外周面に取り付けられ、外輪押え28と一体にロータ12の内壁体12aの外周面側に固定されている。一方、レゾルバステータ20は、ボルト20aによりステータ22の外壁体22bの内周面に取り付けられている。
【0093】
このようにして、第3の構成では、クロスローラ軸受14、レゾルバ30およびモータ部16を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した。
これにより、レゾルバ30の誤検出の可能性を低減する効果およびクロスローラ軸受14の長寿命化を図る効果のほか、クロスローラ軸受14が径方向の最も内側に配置されているので、クロスローラ軸受14のサイズを小さくすることにより薄型モータ100の高さを小さくすることができるとともに、モータ部16またはレゾルバ30への配線がしやすく、クロスローラ軸受14のグリースが漏れにくい。また、モータ部16が径方向の最も外側に配置されているので、巻線を巻くスペースを大きく確保することができ、高い出力トルクを実現することができる。さらに、モータ部16の極数を増やすことができ、低速から超低速の運転を実現することができる。
【0094】
次に、第4の構成を説明する。
図9は、モータ部16、レゾルバ30およびクロスローラ軸受14を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した薄型モータ100の軸方向の断面図である。
モータ部16、レゾルバ30およびクロスローラ軸受14は、図9に示すように、径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置されている。
【0095】
ステータ22には、軸方向上方(図9の上方向)に突出した円環状の内壁体22aが形成され、内壁体22aよりも径方向外側には、軸方向上方に突出した円環状の外壁体22bが形成されている。一方、ロータ12には、軸方向下方(図9の下方向)に突出した円環状の内壁体12aが形成され、内壁体12aよりも径方向外側には、軸方向下方に突出した円環状の外壁体12bが形成されている。そして、ステータ22およびロータ12は、ロータ12の内壁体12aがステータ22の内壁体22aと外壁体22bの間に、ステータ22の外壁体22bがロータ12の内壁体12aと外壁体12bの間に位置するように互いに跨って配置されている。
【0096】
内輪14aは、ステータ22の外壁体22bに軸方向に押圧された状態で固定されている。具体的には、ステータ22の外壁体22bの上端を内輪14aの下面に当接させ、内輪押え26の押圧部26bを内輪14aの上面に接触させ、内輪押え26をボルト26aでステータ22の外壁体22bに締結することにより固定される。
外輪14bは、ロータ12の外壁体12bに軸方向に押圧された状態で固定されている。具体的には、ロータ12の外壁体12bの下端を外輪14bの上面に当接させ、外輪押え28の押圧部28bを外輪14bの下面に接触させ、外輪押え28をボルト28aでロータ12の外壁体12bに締結することにより固定される。
【0097】
永久磁石16aは、ロータ12の内壁体12aの内周面に取り付けられている。一方、コイル16bは、ボルト16cによりステータ22の内壁体22aの外周面に取り付けられている。
レゾルバ30は、単極レゾルバ信号および多極レゾルバ信号を出力するABS/INC一体型のレゾルバであって、上記第1および第2の実施の形態におけるレゾルバ30とは、一体に構成されている点を除き同等の機能を有する。レゾルバロータ18は、ボルト18aによりロータ12の内壁体12aの外周面に取り付けられている。一方、レゾルバステータ20は、ボルト20aにより内輪押え26の内周面に取り付けられ、内輪押え26と一体にステータ22の外壁体22bの内周面側に固定されている。
【0098】
このようにして、第4の構成では、モータ部16、レゾルバ30およびクロスローラ軸受14を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した。
これにより、レゾルバ30の誤検出の可能性を低減する効果およびクロスローラ軸受14の長寿命化を図る効果のほか、クロスローラ軸受14が径方向の最も外側に配置されているので、大径のクロスローラ軸受14を収容することができ、高い剛性を実現することができる。
【0099】
次に、第5の構成を説明する。
図10は、レゾルバ30、モータ部16およびクロスローラ軸受14を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した薄型モータ100の軸方向の断面図である。
レゾルバ30、モータ部16およびクロスローラ軸受14は、図10に示すように、径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置されている。
【0100】
ステータ22には、軸方向上方(図10の上方向)に突出した円環状の内壁体22aが形成され、内壁体22aよりも径方向外側には、軸方向上方に突出した円環状の外壁体22bが形成されている。一方、ロータ12には、軸方向下方(図10の下方向)に突出した円環状の内壁体12aが形成され、内壁体12aよりも径方向外側には、軸方向下方に突出した円環状の外壁体12bが形成されている。そして、ステータ22およびロータ12は、ロータ12の内壁体12aがステータ22の内壁体22aと外壁体22bの間に、ステータ22の外壁体22bがロータ12の内壁体12aと外壁体12bの間に位置するように互いに跨って配置されている。
【0101】
内輪14aは、ステータ22の外壁体22bに軸方向に押圧された状態で固定されている。具体的には、ステータ22の外壁体22bの上端を内輪14aの下面に当接させ、内輪押え26の押圧部26bを内輪14aの上面に接触させ、内輪押え26をボルト26aでステータ22の外壁体22bに締結することにより固定される。
外輪14bは、ロータ12の外壁体12bに軸方向に押圧された状態で固定されている。具体的には、ロータ12の外壁体12bの下端を外輪14bの上面に当接させ、外輪押え28の押圧部28bを外輪14bの下面に接触させ、外輪押え28をボルト28aでロータ12の外壁体12bに締結することにより固定される。
【0102】
永久磁石16aは、ロータ12の内壁体12aの外周面に取り付けられている。一方、コイル16bは、ボルト16cにより内輪押え26の内周面に取り付けられ、内輪押え26と一体にステータ22の外壁体22bの内周面側に固定されている。
レゾルバ30は、単極レゾルバ信号および多極レゾルバ信号を出力するABS/INC一体型のレゾルバであって、上記第1および第2の実施の形態におけるレゾルバ30とは、一体に構成されている点を除き同等の機能を有する。レゾルバロータ18は、ボルト18aによりロータ12の内壁体12aの内周面に取り付けられている。一方、レゾルバステータ20は、ボルト20aによりステータ22の内壁体22aの外周面に取り付けられている。
【0103】
このようにして、第5の構成では、レゾルバ30、モータ部16およびクロスローラ軸受14を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した。
これにより、レゾルバ30の誤検出の可能性を低減する効果およびクロスローラ軸受14の長寿命化を図る効果のほか、クロスローラ軸受14が径方向の最も外側に配置されているので、大径のクロスローラ軸受14を収容することができ、高い剛性を実現することができる。
【0104】
なお、図5ないし図9の構成においては、ABS/INC一体型のレゾルバを設けて構成したが、これに限らず、ABS型のレゾルバのみから構成することもできるし、INC型のレゾルバのみから構成することもできるし、ABS型およびINC型のレゾルバから構成することもできる。
また、上記第2の実施の形態においては、レゾルバ30、クロスローラ軸受14およびモータ部16を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置したが、これに限らず、レゾルバ30、クロスローラ軸受14およびモータ部16の配置順序は任意とすることができ、例えば、次の5つの構成を採用することができる。
【0105】
まず、第1の構成を説明する。
図11は、上記第2の実施の形態に図5の構成を適用した場合の薄型モータ100の軸方向の断面図である。
レゾルバ30は、図11に示すように、ABS/INC一体型のレゾルバではなく、上記第2の実施の形態におけるABS型およびINC型のレゾルバとして構成されている。
【0106】
レゾルバロータ18ra、18riは、ロータ間座42を介して微小な間隔をもって配置されている。レゾルバロータ18raは、ボルト18aにより、ロータ12の外壁体12bの内周面とロータ間座42の上面の間に固定されて取り付けられている。レゾルバロータ18riは、ボルト18bによりロータ間座42の下面に取り付けられている。
レゾルバステータ20sa、20siは、ステータ間座44を介して微小な間隔をもって配置されている。レゾルバステータ20saは、ボルト20aにより、外輪押え28の外周面とステータ間座44の上面の間に固定されて取り付けられている。レゾルバステータ20siは、ボルト20bにより、ステータ間座44の下面に取り付けられている。したがって、レゾルバステータ20sa、20siは、外輪押え28と一体にステータ22の外壁体22bの外周面側に固定されている。
【0107】
配線管48の高さDは、上式(1)により得られる値に設定されている。
内輪押え26の外周面とボルト穴26cの内壁面の肉厚tiは、上式(2)の範囲の値に、外輪押え28の内周面とボルト穴28cの内壁面の肉厚toは、上式(3)の範囲の値にそれぞれ設定されている。
外輪押え28の押圧部28bの高さHは、上式(4)により得られる値に設定されている。
【0108】
次に、第2の構成を説明する。
図12は、上記第2の実施の形態に図6の構成を適用した場合の薄型モータ100の軸方向の断面図である。
レゾルバ30は、図12に示すように、ABS/INC一体型のレゾルバではなく、上記第2の実施の形態におけるABS型およびINC型のレゾルバとして構成されている。
【0109】
レゾルバロータ18ra、18riは、ロータ間座42を介して微小な間隔をもって配置されている。レゾルバロータ18raは、ボルト18aにより、ロータ12の外壁体12bの内周面とロータ間座42の上面の間に固定されて取り付けられている。レゾルバロータ18riは、ボルト18bによりロータ間座42の下面に取り付けられている。
レゾルバステータ20sa、20siは、ステータ間座44を介して微小な間隔をもって配置されている。レゾルバステータ20siは、ボルト20aにより、ステータ22の外壁体22bの外周面とステータ間座44の下面の間に固定されて取り付けられている。レゾルバステータ20saは、ボルト20bにより、ステータ間座44の上面に取り付けられている。
【0110】
配線管48の高さDは、上式(1)により得られる値に設定されている。
内輪押え26の外周面とボルト穴26cの内壁面の肉厚tiは、上式(2)の範囲の値に、外輪押え28の内周面とボルト穴28cの内壁面の肉厚toは、上式(3)の範囲の値にそれぞれ設定されている。
次に、第3の構成を説明する。
【0111】
図13は、上記第2の実施の形態に図7の構成を適用した場合の薄型モータ100の軸方向の断面図である。
レゾルバ30は、図13に示すように、ABS/INC一体型のレゾルバではなく、上記第2の実施の形態におけるABS型およびINC型のレゾルバとして構成されている。
レゾルバロータ18ra、18riは、ロータ間座42を介して微小な間隔をもって配置されている。レゾルバロータ18raは、ボルト18aにより、外輪押え28の外周面とロータ間座42の上面の間に固定されて取り付けられている。レゾルバロータ18riは、ボルト18bによりロータ間座42の下面に取り付けられている。
【0112】
レゾルバステータ20sa、20siは、ステータ間座44を介して微小な間隔をもって配置されている。レゾルバステータ20siは、ボルト20aにより、ステータ22の外壁体22bの内周面とステータ間座44の下面の間に固定されて取り付けられている。レゾルバステータ20saは、ボルト20bにより、ステータ間座44の上面に取り付けられている。
【0113】
配線管48の高さDは、上式(1)により得られる値に設定されている。
内輪押え26の外周面とボルト穴26cの内壁面の肉厚tiは、上式(2)の範囲の値に、外輪押え28の内周面とボルト穴28cの内壁面の肉厚toは、上式(3)の範囲の値にそれぞれ設定されている。
外輪押え28の押圧部28bの高さHは、上式(4)により得られる値に設定されている。
【0114】
次に、第4の構成を説明する。
図14は、上記第2の実施の形態に図8の構成を適用した場合の薄型モータ100の軸方向の断面図である。
レゾルバ30は、図14に示すように、ABS/INC一体型のレゾルバではなく、上記第2の実施の形態におけるABS型およびINC型のレゾルバとして構成されている。
【0115】
レゾルバロータ18ra、18riは、ロータ間座42を介して微小な間隔をもって配置されている。レゾルバロータ18raは、ボルト18aにより、ロータ12の内壁体12aの外周面とロータ間座42の上面の間に固定されて取り付けられている。レゾルバロータ18riは、ボルト18bによりロータ間座42の下面に取り付けられている。
レゾルバステータ20sa、20siは、ステータ間座44を介して微小な間隔をもって配置されている。レゾルバステータ20saは、ボルト20aにより、内輪押え26の内周面とステータ間座44の上面の間に固定されて取り付けられている。レゾルバステータ20siは、ボルト20bにより、ステータ間座44の下面に取り付けられている。したがって、レゾルバステータ20sa、20siは、内輪押え26と一体にステータ22の外壁体22bの内周面側に固定されている。
【0116】
配線管48の高さDは、上式(1)により得られる値に設定されている。
内輪押え26の外周面とボルト穴26cの内壁面の肉厚tiは、上式(2)の範囲の値に、外輪押え28の内周面とボルト穴28cの内壁面の肉厚toは、上式(3)の範囲の値にそれぞれ設定されている。
内輪押え26の押圧部26bの高さHは、上式(4)により得られる値に設定されている。
【0117】
次に、第5の構成を説明する。
図15は、上記第2の実施の形態に図9の構成を適用した場合の薄型モータ100の軸方向の断面図である。
レゾルバ30は、図15に示すように、ABS/INC一体型のレゾルバではなく、上記第2の実施の形態におけるABS型およびINC型のレゾルバとして構成されている。
【0118】
レゾルバロータ18ra、18riは、ロータ間座42を介して微小な間隔をもって配置されている。レゾルバロータ18raは、ボルト18aにより、ロータ12の内壁体12aの内周面とロータ間座42の上面の間に固定されて取り付けられている。レゾルバロータ18riは、ボルト18bによりロータ間座42の下面に取り付けられている。
レゾルバステータ20sa、20siは、ステータ間座44を介して微小な間隔をもって配置されている。レゾルバステータ20siは、ボルト20aにより、ステータ22の内壁体22aの外周面とステータ間座44の下面の間に固定されて取り付けられている。レゾルバステータ20saは、ボルト20bにより、ステータ間座44の上面に取り付けられている。
【0119】
配線管48の高さDは、上式(1)により得られる値に設定されている。
内輪押え26の外周面とボルト穴26cの内壁面の肉厚tiは、上式(2)の範囲の値に、外輪押え28の内周面とボルト穴28cの内壁面の肉厚toは、上式(3)の範囲の値にそれぞれ設定されている。
なお、図11ないし図15の構成においては、ABS型およびINC型のレゾルバを設けて構成したが、これに限らず、ABS型のレゾルバのみから構成することもできるし、INC型のレゾルバのみから構成することもできるし、ABS/INC一体型のレゾルバから構成することもできる。
【0120】
また、上記第1および第2の実施の形態においては、薄型モータ100の内側が回転するインナーロータ型で構成したが、これに限らず、薄型モータ100の外側が回転するアウターロータ型で構成することもできる。この場合、ロータ12が内輪被支持体となり、ステータ22が外輪被支持体となる。
また、図6ないし図15の構成においては、薄型モータ100の外側が回転するアウターロータ型で構成したが、これに限らず、薄型モータ100の内側が回転するインナーロータ型で構成することもできる。この場合、ロータ12が内輪被支持体となり、ステータ22が外輪被支持体となる。
【0121】
また、上記第1の実施の形態においては、レゾルバロータ18をロータ12の内壁体12aの外周面に、レゾルバステータ20を内輪押え26の内周面に取り付けて構成したが、これに限らず、レゾルバステータ20をロータ12の内壁体12aの外周面に、レゾルバロータ18を内輪押え26の内周面に取り付けて構成することもできる。図6ないし図15の構成についても同様である。
【0122】
また、上記第1および第2の実施の形態においては、ステータ22の内壁体22aおよび外壁体22bをステータ22の一部として形成したが、これに限らず、ステータ22の内壁体22aまたは外壁体22bを別部材で構成し、これをステータ22に取り付けて構成することもできる。また、ステータ22の内壁体22aを形成せずに内輪押え26をステータ22に直接取り付けて構成することもできるが、この場合は、内輪押え26がステータ22の内壁体を構成することとなる。図6ないし図15の構成についても同様である。
【0123】
また、上記第1および第2の実施の形態においては、ロータ12の内壁体12aおよび外壁体12bをロータ12の一部として形成したが、これに限らず、ロータ12の内壁体12aまたは外壁体12bを別部材で構成し、これをロータ12に取り付けて構成することもできる。また、ロータ12の外壁体12bを形成せずに外輪押え28をロータ12に直接取り付けて構成することもできるが、この場合は、外輪押え28がロータ12の外壁体を構成することとなる。図6ないし図15の構成についても同様である。
【0124】
また、上記第1および第2の実施の形態においては、レゾルバ30、クロスローラ軸受14およびモータ部16を径方向の同一平面上に配置したが、これに限らず、モータ部16は、レゾルバ30およびクロスローラ軸受14と径方向同一平面上に配置しなくてもよい。図6ないし図15の構成についても同様である。
また、上記第1および第2の実施の形態においては、クロスローラ軸受14を適用したが、これに限定するものではなく、4点接触玉軸受、アンギュラ玉軸受、深溝玉軸受、円筒ころ軸受、円錐ころ軸受などを適用してもよい。この場合、モーメント荷重、アキシャル荷重およびラジアル荷重を同時に受けることができる転がり軸受を採用することが好ましい。かかる転がり軸受としては、例えば、4点接触玉軸受が該当する。図6ないし図15の構成についても同様である。
【0125】
また、上記第1および第2の実施の形態においては、本発明に係る複合レゾルバの径方向平面配置構造を有する転がり軸受装置を、ステータ22とロータ12を回転可能に支持する構造に適用したが、これに限らず、2つの部材の間に介在してそれらを相対的に回転可能に支持する構造であればどのような構造にも適用することもできる。図6ないし図15の構成についても同様である。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】本実施の形態に係る薄型モータ100の軸方向の断面図である。
【図2】薄型モータ100の制御システムの構成を示すブロック図である。
【図3】本実施の形態に係る薄型モータ100の軸方向の断面図である。
【図4】ロータ間座42の下面図である。
【図5】図4のA−O−A’線に沿った軸方向の断面図である。
【図6】モータ部16、クロスローラ軸受14およびレゾルバ30を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した薄型モータ100の軸方向の断面図である。
【図7】クロスローラ軸受14、モータ部16およびレゾルバ30を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した薄型モータ100の軸方向の断面図である。
【図8】クロスローラ軸受14、レゾルバ30およびモータ部16を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した薄型モータ100の軸方向の断面図である。
【図9】モータ部16、レゾルバ30およびクロスローラ軸受14を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した薄型モータ100の軸方向の断面図である。
【図10】レゾルバ30、モータ部16およびクロスローラ軸受14を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置した薄型モータ100の軸方向の断面図である。
【図11】上記第2の実施の形態に図5の構成を適用した場合の薄型モータ100の軸方向の断面図である。
【図12】上記第2の実施の形態に図6の構成を適用した場合の薄型モータ100の軸方向の断面図である。
【図13】上記第2の実施の形態に図7の構成を適用した場合の薄型モータ100の軸方向の断面図である。
【図14】上記第2の実施の形態に図8の構成を適用した場合の薄型モータ100の軸方向の断面図である。
【図15】上記第2の実施の形態に図9の構成を適用した場合の薄型モータ100の軸方向の断面図である。
【図16】従来の薄型モータ200の軸方向の断面図である。
【符号の説明】
【0127】
100、200 薄型モータ
12 ロータ
14 クロスローラ軸受
14a 内輪
14b 外輪
14c クロスローラ
16 モータ部
16a 永久磁石
16b コイル
30 レゾルバ
18 レゾルバロータ
20 レゾルバステータ
42 ロータ間座
44 ステータ間座
22 ステータ
12a、22a 内壁体
12b、22b 外壁体
26 内輪押え
28 外輪押え
26b、28b 押圧部
16c、18a、20a、24a、26a、28a ボルト
24 固定板
70 ドライブユニット
60 サーボドライバ
61 発振器
63 切換スイッチ
220 ハウジングインナ
18ra、18ri レゾルバロータ
20sa、20si レゾルバステータ
18b、20b ボルト
26c、28c、46a、46b ボルト穴
42 ロータ間座
44 ステータ間座
48 配線管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内輪および外輪を有する転がり軸受と、前記内輪に支持される内輪被支持体と、前記外輪に支持される外輪被支持体と、前記内輪被支持体と前記外輪被支持体の間に配置され、それらの相対位置により変化するセンサ信号を出力する回転センサとを備える転がり軸受装置において、
前記回転センサおよび前記転がり軸受を径方向の同一平面上に配置し、
前記回転センサは、前記内輪被支持体または前記外輪被支持体の回転に同期して変化するリラクタンス変化の基本波成分が第1周期となる前記センサ信号を出力する第1レゾルバと、前記リラクタンス変化の基本波成分が前記第1周期とは異なる第2周期となる前記センサ信号を出力する第2レゾルバとからなり、
さらに、励磁信号を出力する発振器と、前記第1レゾルバおよび前記第2レゾルバのなかから択一的に選択されたレゾルバに前記励磁信号が供給されるように前記発振器から前記第1レゾルバおよび前記第2レゾルバに供給される励磁信号の供給経路を切り換える切換手段とを備えることを特徴とする複合レゾルバの径方向平面配置構造を有する転がり軸受装置。
【請求項2】
内輪および外輪を有する転がり軸受と、前記内輪に支持される内輪被支持体と、前記外輪に支持される外輪被支持体と、前記内輪被支持体および前記外輪被支持体を相対的に回転させる駆動体と、前記内輪被支持体と前記外輪被支持体の間に配置され、それらの相対位置により変化するセンサ信号を出力する回転センサとを備える転がり軸受装置において、
前記回転センサ、前記転がり軸受および前記駆動体を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置し、
前記回転センサは、前記内輪被支持体または前記外輪被支持体の回転に同期して変化するリラクタンス変化の基本波成分が第1周期となる前記センサ信号を出力する第1レゾルバと、前記リラクタンス変化の基本波成分が前記第1周期とは異なる第2周期となる前記センサ信号を出力する第2レゾルバとからなり、
さらに、励磁信号を出力する発振器と、前記第1レゾルバおよび前記第2レゾルバのなかから択一的に選択されたレゾルバに前記励磁信号が供給されるように前記発振器から前記第1レゾルバおよび前記第2レゾルバに供給される励磁信号の供給経路を切り換える切換手段とを備えることを特徴とする複合レゾルバの径方向平面配置構造を有する転がり軸受装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記内輪被支持体および前記外輪被支持体は、径方向内外に形成される内壁体および外壁体をそれぞれ有し、前記内輪被支持体の内壁体が前記外輪被支持体の内壁体と外壁体の間に、前記外輪被支持体の外壁体が前記内輪被支持体の内壁体と外壁体の間に位置するように互いに跨って配置され、
前記外輪被支持体の内壁体および前記内輪被支持体の内壁体の一方に前記回転センサの被検出体を、他方に前記回転センサの検出手段を固定し、
前記内輪被支持体の内壁体に前記内輪を、前記外輪被支持体の外壁体に前記外輪を固定し、
前記外輪被支持体の外壁体および前記内輪被支持体の外壁体の一方に前記駆動体の回転子を、他方に前記駆動体の固定子を固定したことを特徴とする複合レゾルバの径方向平面配置構造を有する転がり軸受装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、
前記転がり軸受は、クロスローラ軸受または4点接触玉軸受であることを特徴とする複合レゾルバの径方向平面配置構造を有する転がり軸受装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、
前記第1レゾルバは、第1レゾルバステータおよび第1レゾルバロータを有し、前記第1レゾルバロータと前記第2レゾルバステータの間のリラクタンスが前記第1レゾルバロータの位置により変化し、前記第1レゾルバロータの1回転につき前記リラクタンス変化の基本波成分が1周期となる前記センサ信号を出力する単極レゾルバであり、
前記第2レゾルバは、第2レゾルバステータおよび第2レゾルバロータを有し、前記第2レゾルバロータと前記第2レゾルバステータの間のリラクタンスが前記第2レゾルバロータの位置により変化し、前記第2レゾルバロータの1回転につき前記リラクタンス変化の基本波成分が多周期となる前記センサ信号を出力する多極レゾルバであることを特徴とする複合レゾルバの径方向平面配置構造を有する転がり軸受装置。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれか1項において、
前記第1レゾルバは第1レゾルバロータを、前記第2レゾルバは第2レゾルバロータを有し、
前記第1レゾルバロータおよび前記第2レゾルバロータは、ロータ間座を介して微小な間隔をもって配置されているとともに2つの固定手段によりそれぞれ取り付けられていることを特徴とする複合レゾルバの径方向平面配置構造を有する転がり軸受装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項において、
前記内輪被支持体には、当該内輪被支持体の径方向内側から径方向外側に貫通し前記回転センサの配線を収容する配線管が形成されており、
前記配線管の高さDは、前記回転センサの1本の配線の直径をd、所定の余裕をα(0<α<d)とすると、
D=2d+α
により得られる値に設定したことを特徴とする複合レゾルバの径方向平面配置構造を有する転がり軸受装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項において、
さらに、前記内輪を前記内輪被支持体に軸方向に固定する内輪押えを備え、
前記内輪押えには、当該内輪押えを固定するためのボルトを挿通するボルト穴が軸方向に形成され、
前記内輪押えの外周面と前記ボルト穴の内壁面の肉厚tiは、前記ボルト穴の1ピッチ分の長さをpiとすると、
pi<ti<2pi
の範囲の値に設定したことを特徴とする複合レゾルバの径方向平面配置構造を有する転がり軸受装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項において、
さらに、前記外輪を前記外輪被支持体に軸方向に固定する外輪押えを備え、
前記外輪押えには、当該外輪押えを固定するためのボルトを挿通するボルト穴が軸方向に形成され、
前記外輪押えの内周面と前記ボルト穴の内壁面の肉厚toは、前記ボルト穴の1ピッチ分の長さをpoとすると、
po<to<2po
の範囲の値に設定したことを特徴とする複合レゾルバの径方向平面配置構造を有する転がり軸受装置。
【請求項10】
請求項1ないし7および9のいずれか1項において、
さらに、前記内輪を前記内輪被支持体に軸方向に固定する内輪押えを備え、前記回転センサ、前記内輪押えおよび前記転がり軸受を径方向内側からその順序で径方向の同一平面上に配置し、
前記内輪押えの押圧部の高さHは、前記転がり軸受の高さをBとすると、
H=1/2B
により得られる値に設定したことを特徴とする複合レゾルバの径方向平面配置構造を有する転がり軸受装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−253125(P2008−253125A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−292046(P2007−292046)
【出願日】平成19年11月9日(2007.11.9)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】