説明

車両の速度制御装置

【課題】 運転者の運転操作の負担が増大することを抑制しつつ、適切な速度制御を実行する。
【解決手段】 車速制御装置16は、自車両が先行車両に追従する追従走行状態において、例えばカーブや登坂路の頂上付近等での道路形状に起因して先行車両が一時的に外界監視装置11の検知領域から逸脱した場合や、例えば外界監視装置11に異常が発生した場合等に、距離検知部25にて自車両から先行車両までの距離の検知が不可になると、設定車速判定部29から入力される先行車両の速度と所定の目標速度との比較結果に基づき、自車両速度情報抽出部24にて抽出される自車両の速度が、対象物速度情報抽出部22にて抽出される先行車両の速度または所定の目標速度の何れか小さい方と同等になるようにして速度制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の速度制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばレーダーやカメラ等の外界センサによって先行車両の有無を検知し、先行車両が検知された場合には、予め設定された所定の上限速度以下において所定の車間距離を保持するようにして自動的に速度制御を行う追従走行を実行し、一方、先行車両が検知されない場合には、予め設定された所定の上限速度を維持するようにして自動的に速度制御を行う定速走行を実行する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−63401号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記従来技術に係る装置では、追従走行の実行時に、例えばカーブや登坂路の頂上付近等での道路形状に起因して先行車両が一時的に外界センサの検知領域から逸脱すると、自車両が追従すべき先行車両が存在しないと判断されることで追従走行の実行が停止され、定速走行の実行が開始される場合がある。このとき、追従走行時の自車両の速度が、定速走行の目標速度である所定の上限速度よりも小さい場合には、自車両の速度が所定の上限速度に到達するように自動的に加速動作が実行されることになる。これに伴い、たとえ先行車両の速度が変化していない状態であっても、自車両と先行車両との間の車間距離が所定の車間距離よりも過剰に短くなってしまうという問題が生じる。
しかも、この場合、例えば自車両の運転者が先行車両の存在を視認可能で有れば、運転者の走行意志に反して加速動作が実行されることになり、この走行挙動の変化に対して、例えば上限速度や車間距離の設定を変更する操作やオートクルーズ制御を停止する操作を実行する必要が生じ、運転者の運転操作の負担が増大してしまうという問題が生じる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、運転者の運転操作の負担が増大することを抑制しつつ、適切な速度制御を実行することが可能な車両の速度制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の車両の速度制御装置は、自車両が追従する先行車両と自車両との車間距離を検知する距離検知手段(例えば、実施の形態での距離検知部25)と、自車両の速度を検出する速度検出手段(例えば、実施の形態での自車両情報検出部13および自車両速度情報抽出部24)と、自車両の速度を制御する速度制御手段(例えば、実施の形態での設定車速判定部29および車速制御装置16)とを備え、前記速度制御手段は、前記先行車両に追従すべく前記距離検知手段により検知される前記車間距離が該車間距離に対して設定される目標車間距離と同等になるように、あるいは、前記速度検出手段により検出される前記速度が該速度に対して設定される目標速度と同等になるように、自車両の速度を制御しており、前記先行車両の速度を通信により取得する通信手段(例えば、実施の形態での情報送受信部12)を備え、前記速度制御手段は、自車両が前記先行車両に追従している状態で前記距離検知手段にて前記車間距離の検知が不可である場合に、前記通信手段により取得した前記先行車両の速度と前記目標速度との比較結果に基づき、自車両の速度を制御することを特徴としている。
【0005】
上記構成の車両の速度制御装置によれば、自車両が先行車両に追従している状態で距離検知手段にて車間距離の検知が不可である場合、つまり距離検知手段にて先行車両を見失った場合であっても、通信手段により先行車両の速度を取得していることで、先行車両の走行状態を精度良く認識することができる。そして、この状態で、取得した先行車両の速度と目標速度とを比較し、この比較結果に基づき自車両の速度を制御することで、適切な追従走行を継続することができる。
【0006】
さらに、請求項2に記載の本発明の車両の速度制御装置では、前記速度制御手段は、前記通信手段により取得した前記先行車両の速度と前記目標速度との大小を比較し、前記速度検出手段により検出される前記速度が、前記先行車両の速度または前記目標速度の何れか小さい方と同等になるように、自車両の速度を制御することを特徴としている。
【0007】
上記構成の車両の速度制御装置によれば、距離検知手段にて先行車両を見失った場合であっても、例えば先行車両に対して過剰に接近してしまったり、例えば追従走行の制御状態から安易に逸脱するような走行状態を設定してしまうことを防止して、適切な追従走行を継続することができる。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、本発明の車両の速度制御装置によれば、距離検知手段にて先行車両を見失った場合であっても、通信手段により取得した先行車両の速度と目標速度との比較結果に基づき自車両の速度を制御することで、適切な追従走行を継続することができる。
さらに、請求項2に記載の本発明の車両の速度制御装置によれば、例えば先行車両に対して過剰に接近してしまったり、例えば追従走行の制御状態から安易に逸脱するような走行状態を設定してしまうことを防止して、適切な追従走行を継続することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態に係る車両の速度制御装置について添付図面を参照しながら説明する。
本実施の形態による車両の速度制御装置10は、例えば、外界監視装置11と、情報送受信部12と、自車両情報検出部13と、地図データ記憶部14と、処理装置15と、車速制御装置16と、報知装置17とを備えて構成されている。
【0010】
外界監視装置11は、例えば可視光領域や赤外線領域にて撮像可能なCCDカメラやC−MOSカメラ等からなるカメラおよび画像処理部と、例えばレーザ光やミリ波等のレーダおよびレーダ制御部とを備えて構成されている。
カメラは、例えばフロントウィンドウの車室内側でルームミラー近傍の位置に配置され、フロントウィンドウ越しに自車両の進行方向前方の所定検知範囲の外界を撮影する。
画像処理部は、カメラにより撮影して得た画像に対して、例えばフィルタリングや二値化処理等の所定の画像処理を行い、二次元配列の画素からなる画像データを生成して処理装置15へ出力する。
また、レーダは、例えば自車両のボディのノーズ部や車室内のフロントウィンドウ近傍等に配置され、処理装置15からレーダ制御部へ入力される制御指令に応じたレーダ制御部の制御により、レーザ光やミリ波等の発信信号を適宜の検知方向(例えば、自車両の進行方向前方等)に向けて発信すると共に、この発信信号が自車両の外部の物体(検知対象物)によって反射されることで生じた反射信号を受信し、反射信号と発信信号とを混合してビート信号を生成して処理装置15へ出力する。
【0011】
情報送受信部12は、他車両に搭載された情報送受信部との間の車車間通信により各種情報の送受信を行う。ここで、他車両から発信される対象物情報は、他車両の車両状態に係る情報、例えば速度および位置に加えて、ヨー角(車両重心の上下方向軸回りの回転角度)や操舵角(運転者が入力した操舵角度の方向と大きさ)や、方向指示器やブレーキのオン/オフ状態等である。
【0012】
自車両情報検出部13は、自車両情報として、例えば自車両の走行速度(車速)を検出する車速センサや、例えば人工衛星を利用して車両の位置を測定するためのGPS(Global Positioning System)信号等の測位信号や自車両の外部の情報発信装置から発信される位置信号や例えば道路上に配置された基点マーカとの磁気作用等、さらには、適宜のジャイロセンサや加速度センサ等の検出結果に基づいて自車両の現在位置や進行方向を検出する位置センサや、ヨー角(車両重心の上下方向軸回りの回転角度)やヨーレート(車両重心の上下方向軸回りの回転角速度)や操舵角(運転者が入力した操舵角度の方向と大きさ)を検出する各センサや、方向指示器やブレーキのオン/オフ状態を検知する各センサ等を備えて構成されている。
【0013】
地図データ記憶部14は、例えばハードディスク装置等の磁気ディスク装置や、例えばCD−ROMやCD−RやMOやDVD等の光ディスク装置等のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体からなる。そして、地図データ記憶部14は、例えばナビゲーション装置(図示略)や表示装置において地図を表示するための地図データとして、例えば道路の幅員データや複数の道路の交差角度や交差点の形状や位置等の道路情報を格納している。
【0014】
処理装置15は、例えば、対象物位置情報抽出部21と、対象物速度情報抽出部22と、自車両位置情報抽出部23と、自車両速度情報抽出部24と、距離検知部25と、速度検知部26と、相対位置判定部27と、相対速度判定部28と、設定車速判定部29とを備えて構成されている。
【0015】
対象物位置情報抽出部21は、情報送受信部12にて受信した対象物情報から他車両の位置情報を抽出する。
対象物速度情報抽出部22は、情報送受信部12にて受信した対象物情報から他車両の速度情報を抽出する。
なお、対象物位置情報抽出部21および対象物速度情報抽出部22は、必要に応じて、例えば情報送受信部12での情報受信に要する時間を考慮して他車両の位置情報や速度情報の変動を補正し、他車両の現在の位置情報や速度情報を推定可能である。
【0016】
自車両位置情報抽出部23は、自車両情報検出部13にて検出した自車両情報から自車両の現在の位置情報を抽出する。
自車両速度情報抽出部24は、自車両情報検出部13にて検出した自車両情報から自車両の現在の速度情報を抽出する。
なお、自車両位置情報抽出部23および自車両速度情報抽出部24は、必要に応じて、例えば自車両情報検出部13での検出動作に要する時間を考慮して自車両の位置情報や速度情報の変動を補正し、自車両の現在の位置情報や速度情報を推定可能である。
【0017】
距離検知部25は、外界監視装置11から入力される画像データに対して、例えば自車両の進行方向前方の所定領域(例えば、自車両の推定走行軌跡内)を走行する先行車両を検知対象物とした特徴量算出および形状判別等の認識処理を行い、認識した検知対象物と自車両との相対位置および相対距離を算出する。例えば、外界監視装置11のカメラがステレオカメラである場合や、カメラが複数のカメラを備えて構成される場合には、複数の画像データに基づく三角測量法等により、先行車両の相対位置および相対距離を算出する。
また、距離検知部25は、例えば外界監視装置11から入力されるビート信号の周波数f(ビート周波数)に基づき、所定の検知エリア内の検知対象物までの相対距離を算出する。
【0018】
なお、画像データの認識処理において、特徴量算出の処理では、例えば二値化処理後の画像データに対して、画素の連続性に基づく検知対象物の抽出およびラベリングを行い、抽出した検知対象物の重心および面積および外接四角形の縦横比等を算出する。また、形状判別の処理では、例えば予め記憶している所定パターン(例えば輪郭等)に基づき画像データ上の検索を行い、所定パターンとの類似性に応じて検知対象物を抽出する。
また、自車両の推定走行軌跡は、例えば自車両の速度と、自車両のヨーレートまたは舵角とに基づき規定される自車両の重心位置に対する線状の移動軌跡を中心として自車両の車幅相当の幅を有する帯状領域として設定される。
【0019】
速度検知部26は、外界監視装置11から入力される画像データに対して、例えば自車両の進行方向前方の所定領域を走行する先行車両を検知対象物とした特徴量算出および形状判別等の認識処理を行い、認識した検知対象物の時刻間追跡、すなわちサンプリング周期毎に抽出した検知対象物の同一性判定を行い、相対位置を時系列位置データとしてメモリ等に格納することによって、検知対象物の移動状態(例えば、移動速度や移動方向等)を算出する。
また、速度検知部26は、例えば外界監視装置11から入力されるビート信号の周波数f(ビート周波数)に基づき、所定の検知エリア内の検知対象物の移動状態(例えば、移動速度や移動方向等)を算出する。
【0020】
相対位置判定部27は、例えば、対象物位置情報抽出部21にて抽出した他車両の位置情報のうち、特に、自車両の進行方向前方の所定領域を走行する先行車両の位置情報と、自車両位置情報抽出部23にて抽出した自車両の位置情報と、地図データ記憶部14に格納された地図データとに基づき、例えばマップマッチング等を行い、道路上における自車両と先行車両との相対位置の情報を生成し、設定車速判定部29および車速制御装置16へ出力する。
また、相対位置判定部27は、距離検知部25にて検知された自車両から先行車両までの距離の情報が入力されている場合には、この距離の情報を設定車速判定部29および車速制御装置16へ出力する。
【0021】
相対速度判定部28は、例えば、対象物速度情報抽出部22にて抽出した他車両の速度情報のうち、特に、自車両の進行方向前方の所定領域を走行する先行車両の速度情報と、自車両速度情報抽出部24にて抽出した自車両の速度情報とに基づき、自車両と先行車両との相対速度の情報を生成し、設定車速判定部29および車速制御装置16へ出力する。
また、相対速度判定部28は、速度検知部26にて検知された先行車両の速度の情報が入力されている場合には、この速度の情報を設定車速判定部29および車速制御装置16へ出力する。
【0022】
設定車速判定部29は、予め運転者等の操作者により設定された自車両の速度に対する所定の目標速度と、自車両速度情報抽出部24にて抽出した自車両の速度との大小を比較し、この比較結果を車速制御装置16へ出力する。
また、設定車速判定部29は、自車両が先行車両に追従する追従走行状態において、距離検知部25にて自車両から先行車両までの距離の検知が不可である場合、例えばカーブや登坂路の頂上付近等での道路形状に起因して先行車両が一時的に外界監視装置11の検知領域から逸脱した場合や、例えば外界監視装置11に異常が発生した場合や、障害物が存在する場合等において、予め運転者等の操作者により設定された自車両の速度に対する所定の目標速度と、対象物速度情報抽出部22にて抽出した先行車両の速度との大小を比較し、この比較結果を車速制御装置16へ出力する。
【0023】
車速制御装置16は、例えば運転者等の操作者の入力操作により車速制御動作の作動が指示されると、設定車速判定部29から入力される自車両の速度と所定の目標速度との比較結果に基づき、距離検知部25にて自車両から先行車両までの距離の検知が可能である場合には、所定の目標速度以下で自車両から先行車両までの距離に対する所定の目標車間距離を保持するようにして、例えばブレーキ油圧アクチュエータおよびスロットルアクチュエータを駆動制御して、自車両の速度制御を行う。一方、距離検知部25にて自車両から先行車両までの距離の検知が不可である場合には、自車両速度情報抽出部24にて抽出される自車両の速度が所定の目標速度と同等になるようにして速度制御を行う。
【0024】
さらに、車速制御装置16は、自車両が先行車両に追従する追従走行状態において、例えばカーブや登坂路の頂上付近等での道路形状に起因して先行車両が一時的に外界監視装置11の検知領域から逸脱した場合や、例えば外界監視装置11に異常が発生した場合や、障害物が存在する場合等に、距離検知部25にて自車両から先行車両までの距離の検知が不可になると、設定車速判定部29から入力される先行車両の速度と所定の目標速度との比較結果に基づき、自車両速度情報抽出部24にて抽出される自車両の速度が、対象物速度情報抽出部22にて抽出される先行車両の速度または所定の目標速度の何れか小さい方と同等になるようにして速度制御を行う。
そして、車速制御装置16は、実行中の車速制御の制御内容の情報を報知装置17へ出力する。
【0025】
報知装置17は、例えば、視覚的伝達装置と、聴覚的伝達装置とを備えて構成されている。
視覚的伝達装置は、例えば表示装置等であって、車速制御装置16から入力される制御内容の情報に応じて、例えば表示装置に情報を表示したり、所定の表示灯を点滅させる。
聴覚的伝達装置は、例えばスピーカ等であって、車速制御装置16から入力される制御内容の情報に応じて、所定の報知音や音声等を出力する。
【0026】
本実施の形態による車両の速度制御装置10は上記構成を備えており、次に、この車両の速度制御装置10の動作、特に、自車両が先行車両に追従する追従走行状態での速度制御動作について添付図面を参照しながら説明する。
【0027】
先ず、例えば図2に示すステップS01においては、外界監視情報つまり外界監視装置11から処理装置15に入力される画像データやビート信号において、先行車両が検知不可であるか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、後述するステップS03に進む。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS02に進む。
【0028】
ステップS02においては、予め設定された自車両の速度に対する所定の目標速度以下で自車両と先行車両との間の距離が所定の設定車頭距離Dset(目標車間距離)となるようにして、自車両の速度制御を行い、この速度制御の制御内容を自車両の乗員に報知して、一連の処理を終了する。
これにより、例えば図3(a)に示すように、自車両Pに搭載された外界監視装置11の所定検知範囲Q内に先行車両Rが存在する場合には、この先行車両Rに対して所定の設定車頭距離Dsetを保持するようにして、自車両Pの速度制御が実行される。
【0029】
また、ステップS03においては、自車両と他車両との間の車車間通信の通信状態が正常であるか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、後述するステップS05に進む。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS04に進む。
ステップS04においては、自動的な速度制御を適切に実行することができない虞があると判断して、車速制御装置16による速度制御の実行を中止して、この実行中止を報知する警報を自車両の乗員に出力して、一連の処理を終了する。
【0030】
また、ステップS05においては、対象物速度情報抽出部22にて抽出した先行車両の速度Vfが、予め運転者等の操作者により設定された自車両の速度に対する所定の設定速度Vset(目標速度)よりも大きいか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、ステップS06に進み、自車両速度情報抽出部24にて抽出される自車両の速度Vが、先行車両の速度Vfと同等になるようにして速度制御を行い、この速度制御の制御内容を自車両の乗員に報知して、一連の処理を終了する。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS07に進み、自車両速度情報抽出部24にて抽出される自車両の速度Vが、所定の設定速度Vsetと同等になるようにして速度制御を行い、この速度制御の制御内容を自車両の乗員に報知して、一連の処理を終了する。
【0031】
これにより、例えば図3(b)に示すように、自車両Pが先行車両Rに追従する追従走行状態において、例えば降坂路の始点付近を通過した先行車両Rが一時的に外界監視装置11の所定検知範囲Qから逸脱した場合であっても、この先行車両Rと自車両Pとの間の車車間通信により取得した先行車両Rの速度速度Vfに応じて、速度制御を継続することができ、例えば図3(b)および(c)に示すように、自車両Pの外界監視装置11の所定検知範囲Qから逸脱した先行車両Rが減速した場合であっても、この先行車両Rの減速に対応して自車両Pを減速させることができる。
このため、例えば図3(d)に示すように、自車両Pが先行車両Rと同様にして降坂路の始点付近を通過した後に、再度、外界監視装置11の所定検知範囲Q内で先行車両Rが検知される状態となった場合であっても、この先行車両Rに対して自車両Pを適切に追従させることができる。
【0032】
上述したように、本実施の形態による車両の速度制御装置10によれば、自車両が先行車両に追従する追従走行状態において、外界監視装置11にて先行車両が検知不可となった場合であっても、車車間通信により先行車両の走行状態の情報を取得することで、この情報に基づき、適切な追従走行を継続することができる。
【0033】
なお、上述した実施の形態において、車両の速度制御装置10は、地図データ記憶部14を備えるとしたが、これに限定されず、例えば自車両の外部に設置された地図データサーバから適宜のタイミングで通信により地図データを取得する地図データ取得部を備えてもよい。
【0034】
なお、上述した実施の形態において、車速制御装置16は、自車両が先行車両に追従する追従走行状態において、自車両から先行車両までの距離の検知が不可になると、設定車速判定部29から入力される先行車両の速度と所定の目標速度との比較結果に基づき、自車両の速度制御を行うとしたが、これに限定されず、例えば自車両から先行車両までの距離の検知が可能な状態では、この距離に応じて自車両の速度制御を行う際に、車車間通信により取得した先行車両の走行状態の情報を参照して、より適切な追従走行を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両の速度制御装置の構成図である。
【図2】図1に示す車両の速度制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】図3(a)〜(d)は、自車両Pが追従する先行車両Rが登坂路の頂上付近を通過する際の自車両Pの追従状態の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0036】
10 車両の速度制御装置
12 情報送受信部(通信手段)
13 自車両情報検出部(速度検出手段)
16 車速制御装置(速度制御手段)
24 自車両速度情報抽出部(速度検出手段)
25 距離検知部(距離検知手段)
29 設定車速判定部(速度制御手段)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両が追従する先行車両と自車両との車間距離を検知する距離検知手段と、自車両の速度を検出する速度検出手段と、自車両の速度を制御する速度制御手段とを備え、
前記速度制御手段は、前記先行車両に追従すべく前記距離検知手段により検知される前記車間距離が該車間距離に対して設定される目標車間距離と同等になるように、あるいは、前記速度検出手段により検出される前記速度が該速度に対して設定される目標速度と同等になるようにして自車両の速度を制御可能である車両の速度制御装置であって、
前記先行車両の速度を通信により取得する通信手段を備え、
前記速度制御手段は、自車両が前記先行車両に追従している状態で前記距離検知手段にて前記車間距離の検知が不可である場合に、前記通信手段により取得した前記先行車両の速度と前記目標速度との比較結果に基づき、自車両の速度を制御することを特徴とする車両の速度制御装置。
【請求項2】
前記速度制御手段は、前記通信手段により取得した前記先行車両の速度と前記目標速度との大小を比較し、前記速度検出手段により検出される前記速度が、前記先行車両の速度または前記目標速度の何れか小さい方と同等になるように、自車両の速度を制御することを特徴とする請求項1に記載の車両の速度制御装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−21705(P2006−21705A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−203297(P2004−203297)
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】