説明

車両の駆動装置

【課題】従来よりも簡素な構成で車両のエネルギーを回収することが可能な車両の駆動装置を提供する。
【解決手段】駆動装置2は、内燃機関3に接続されて回転する入力部材10と、入力部材10がクラッチ12を介して接続される回転部材11と、回転部材11の回転を変速する自動変速機15とを備えている。自動変速機15は、差動機構18が持つ複数の回転要素に対する回転部材11の接続関係を変更することにより複数の変速段を実現でき、かつこれら回転要素のすべてと回転部材10とを切り離すことができる。回転部材11は入力部材10と回転部材11とがクラッチ12にて切り離され、かつ複数の回転要素のすべてと回転部材11とが自動変速機15にて切り離されたときに、単独で回転できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の変速段を実現できる変速機構を備えた車両の駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関から駆動輪までの動力伝達経路内に変速機構を設けるとともに、変速機構とは別個独立にエネルギー回収用のフライホイールを設け、このフライホイールを内燃機関と変速機構とを結ぶ駆動軸にクラッチ及び伝達手段を介して接続した車両の駆動装置が知られている(特許文献1)。その他に、本発明に関連する先行技術文献として特許文献2が存在する。
【0003】
【特許文献1】特開昭61−192961号公報
【特許文献2】特開2002−349685号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の駆動装置は、車両減速時に駆動軸の回転をフライホールに伝達することによりフライホイールにエネルギーを回収し、その後フライホイールに回収されたエネルギーを車両加速時に利用するというエネルギーの回収及びその利用をクラッチの操作によって実現している。しかしながら、この駆動装置は、エネルギーの回収装置として変速機構とは別個独立にフライホイール、クラッチ及び伝達装置がそれぞれ設けられているため駆動装置全体の大型化と部品点数の増加とを招く。
【0005】
そこで、本発明は、従来よりも簡素な構成で車両のエネルギーを回収することが可能な車両の駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両の駆動装置は、駆動源に接続されて回転する入力部材と、前記入力部材がクラッチを介して接続される回転部材と、相互に差動回転可能な複数の回転要素を持ち、前記回転部材が前記複数の回転要素の少なくともいずれか一つの回転要素に接続されることにより前記回転部材の回転を変速できる変速機構と、前記変速機構から出力された動力を駆動輪に伝達するための出力部材と、を備え、前記変速機構は、前記複数の回転要素に対する前記回転部材の接続関係を変更することにより複数の変速段を実現でき、かつ前記複数の回転要素のすべてと前記回転部材とを切り離すことができるように構成されており、前記入力部材と前記回転部材とが前記クラッチにて切り離され、かつ前記複数の回転要素のすべてと前記回転部材とが前記変速機構にて切り離されたときに、前記回転部材が単独で回転できるように構成されていることにより上述した課題を解決する(請求項1)。
【0007】
この駆動装置によれば、複数の変速段を実現するために用いられる回転部材から入力部材と複数の回転要素とがそれぞれ切り離された場合には、その回転部材は入力部材と回転要素とは別に単独で回転できる。つまりこの場合には回転部材が自由に回転できる。従って、回転部材に対して入力部材及び回転要素の少なくとも一方が接続された状態で、回転部材を回転させた後にこれらを回転部材から切り離すことにより、回転部材にエネルギーを回収させることができる。その後、回転部材に対して入力部材又は回転要素のいずれかを接続することにより、回転部材にて回収されたエネルギーを駆動源側又は駆動輪側で利用することが可能になる。この駆動装置は、こうしたエネルギーの回収と利用とを変速機構の変速段を実現する回転部材を利用することにより実現しているため、装置の大型化及び部品点数の増加を抑えることができる。
【0008】
本発明の駆動装置によるエネルギーの回収及び利用は種々の態様で実現してよい。例えば、本発明の一態様においては、前記駆動源として、車両の減速過程で車速が所定値に達した時に燃焼が中断するようにフューエルカットを実行する内燃機関が設けられており、前記内燃機関のフューエルカットの実行に連動して、前記入力部材と前記回転部材とが前記クラッチにて切り離され、かつ前記複数の回転要素のすべてと前記回転部材とが前記変速機構にて切り離されるように前記クラッチ及び前記変速機構のそれぞれを制御する解放制御を実行する解放制御手段と、フューエルカットにより燃焼が中断した前記内燃機関の燃焼を再開すべき再始動条件が前記解放制御の実行中に成立したときに、前記入力部材と前記回転部材とが接続されるように前記クラッチを制御する始動制御手段と、を更に備えてもよい(請求項2)。
【0009】
一般に、車両の駆動源として内燃機関が設けられている場合、その車両の走行中にフューエルカットが実行されると内燃機関の燃焼が中断されるため車両に作用するエンジンブレーキの制動力が燃焼中の場合よりも大きくなる。このため、車両の減速過程でフューエルカットを長期間実施するにはエンジンブレーキが効きすぎてしまう難点がある。従って、フューエルカットの実行期間は減速中の車両の挙動が不安定にならない範囲内に制限される。この態様によれば、フューエルカットの実行に連動して解放制御が実行されて入力部材と回転部材とが切り離されるので、エンジンブレーキが効きすぎることを防止できる。従って、フューエルカットの実行期間に対する制限が緩和されるので、その実行期間を長引かせることが可能になる。これにより、燃費を向上させることができる。
【0010】
また、この態様では、解放制御の実行によって回転部材に回収されたエネルギーを解放制御後に回転部材と入力部材とを接続させるクラッチの操作にて内燃機関の再始動のために利用することができる。従って、回転部材にて回収されたエネルギーの有効に活用することができるため、更なる燃費向上を期待できる。なお、回転部材の構造や形状等の特性に特段の制限はないが、回収可能なエネルギー量を増加させるためには可能な限り慣性モーメントを大きくすることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明によれば、複数の変速段を実現するために用いられる回転部材から入力部材と複数の回転要素とがそれぞれ切り離された場合に、その回転部材は入力部材と回転要素とは別に単独で回転できる。このため、回転部材に対して入力部材及び回転要素の少なくとも一方が接続された状態で回転部材を回転させた後にこれらを回転部材から切り離すことにより、回転部材にエネルギーを回収させることができる。その後、回転部材に対して入力部材又は回転要素のいずれかを接続することにより、回転部材にて回収されたエネルギーを駆動源側又は駆動輪側で利用することが可能になる。この駆動装置は、こうしたエネルギーの回収と利用とを変速機構の変速段を実現する回転部材を利用することにより実現できるため、装置の大型化及び部品点数の増加を抑えることができる。従って、従来よりも簡素な構成で車両のエネルギーを回収することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は本発明の一形態に係る駆動装置が適用された車両の全体構成を模式的に示している。車両1に搭載された駆動装置2にはその駆動源として内燃機関3が設けられている。駆動装置2から出力された動力は差動装置4を介して左右の駆動輪5に伝達される。内燃機関3は火花点火型の周知の多気筒内燃機関として構成されている。内燃機関3は所定条件が成立したときにフューエルカットを実行して燃焼を中断できる。こうした内燃機関3に対する各種の制御は、所定のプログラムを実行可能なコンピュータとして構成されたエンジンコントロールユニット(ECU)6にて行われている。ECU6には車両1の速度(車速)を検出するための車速センサ7及びアクセル開度を検出するためのアクセル開度センサ8のそれぞれの信号が入力される。
【0013】
駆動装置2は、内燃機関3に接続されて回転する入力部材10と、この入力部材10がクラッチ12を介して接続される回転部材11とを備えている。入力部材10は内燃機関3のクランクシャフト(不図示)に対して接続されている。なお、内燃機関3からのトルク変動の伝達を緩和するため、クランクシャフトと入力部材10との間にダンパーを設けることも可能である。クラッチ12は入力部材10と回転部材11との間の動力伝達を断続できる摩擦式クラッチとして構成されている。クラッチ12によってその動力伝達が遮断されるときには回転部材11から入力部材10が切り離されることになる。
【0014】
詳しくは後述するが、回転部材11は減速時における車両1のエネルギーを回収する機能を持っており、そのエネルギーの回収量を増加させるためできるだけ大きな慣性モーメントを有するように構成されている。一例として、回転部材11の慣性モーメントは0.01[kgcm]以上に設定される。このように回転部材11の慣性モーメントを大きく設定すると、駆動装置2の回転慣性が大きくなり車両1の振動や雑音を低減できるとともに、定常走行時に内燃機関3を低回転で使用することができるので燃費向上に貢献できる。
【0015】
駆動装置2には回転部材11の回転を変速できる変速機構としての自動変速機15が設けられている。自動変速機15から出力された動力は出力部材としてのプロペラシャフト13に伝達される。プロペラシャフト13は差動装置4に接続されている。自動変速機15は二組のシングルピニオン型の遊星歯車機構16、17が組み合わされた差動機構18を備えている。第1遊星歯車機構16は外歯歯車であるサンギアSu1と、そのサンギアSu1に対して同軸的に配置された内歯歯車であるリングギアRi1と、これらのギアSu1、Ri1に噛み合うピニオン19を自転かつ公転自在に保持するキャリアCr1とを有している。一方、第2遊星歯車機構17は外歯歯車であるサンギアSu2と、そのサンギアSu2に対して同軸的に配置された内歯歯車であるリングギアRi2と、これらのギアS2、R2に噛み合うピニオン20を自転かつ公転自在に保持するキャリアCr2を有している。これらの遊星歯車機構16、17はそれぞれのサンギアSu1、Su2が一体回転するように相互に接続されている。これにより、差動機構18は、相互に差動回転可能な5つの回転要素として、第1要素:サンギアSu1及びサンギアSu2の組み合わせ、第2要素:リングギアRi1、第3要素:キャリアCr1、第4要素:リングギアRi2、及び第5要素:キャリアCr2を有する。
【0016】
自動変速機15は、互いに変速比が相違する複数の変速段を実現するため、差動機構18の回転要素に対する回転部材11の接続関係を変更する切替装置21と、車両1の車体構成部材に結合されたケーシング14に対して差動機構18の回転要素を回転不能に拘束する二つのブレーキ22、23とを有している。切替装置21は二つのクラッチ24、25を持っていて、これらのクラッチ24、25の作動状態の組み合わせを適宜変更することにより、回転部材11に対する接続関係を変更する。第1クラッチ24は回転部材11と第1要素(サンギアSu1、Su2)との間の動力伝達を断続でき、第2クラッチ25は回転部材11と第2要素(リングギアRi1)との間の動力伝達を断続できる。クラッチ24、25の両者が解放状態になり、上記の動力伝達がそれぞれ遮断された場合には各要素が回転部材11から切り離される。第1ブレーキ22は第1要素をケーシング14に対して回転不能に拘束する状態と、その拘束を解除する状態とを切り替える。また、第2ブレーキ23は第5要素(キャリアCr2)をケーシング14に対して回転不能に拘束する状態と、その拘束を解除する状態とを切り替える。自動変速機15は切替装置21及び各ブレーキ22、23の作動状態を変更することにより複数の変速段を実現し、車両1の走行状態に適した変速段が選択されるように制御される。
【0017】
自動変速機15に対する制御は駆動制御装置26にて行われる。駆動制御装置26は駆動装置2を適正に制御するためのコンピュータとして構成されている。駆動制御装置26には車両1の走行状態に関する情報をECU21を介して取得し、その情報に基づいてクラッチ12及び自動変速機15を制御する。駆動制御装置26は、車両1の発進時に入力部材10と回転部材11とが一体回転するようにクラッチ12を係合状態に制御する。また、駆動制御装置26は車両1の車速及びアクセル開度に基づいて適正な変速段が選択されるように自動変速機15を制御する。これらの制御は公知のものと同様であり、本発明の要旨との直接的な関連性が低いため詳細な説明を省略することとする。
【0018】
本形態の駆動装置2は車両1の減速過程から再加速までに実行される制御に特徴がある。図2は駆動制御装置26が行う制御結果の一例を説明するタイミングチャートである。図示の例は、クラッチ12及びクラッチ25がそれぞれ係合状態(ON)で走行中の車両1が減速してから再加速するまでの過程を示している。なお、この間、切替装置21の他方の第1クラッチ24は解放状態に制御されている。つまり図2の場合、回転部材11はクラッチ24によって第1要素が切り離された状態となっている。
【0019】
図示するように、車両1の減速過程における時刻t1で車速が所定値Vthに達すると、内燃機関3はフューエルカットにより燃焼が中断する。上述したようにフューエルカットはECU6にて行われる。そのフューエルカットの実行に連動して各クラッチ12、25は解放状態(OFF)に制御される。つまり、駆動制御装置26はフューエルカットの実行に連動して回転部材11から入力部材10及び第2要素(リングギアRi1)がそれぞれ切り離されるようにクラッチ12及びクラッチ25を制御する解放制御を行う。回転部材11から入力部材10及び第2要素が切り離されると回転部材11は単独で回転を続ける。これにより、車両1のエネルギーが回転部材11に回収される。フューエルカットの実行とともにクラッチ12が解放されて、駆動輪5側の動力が内燃機関3に伝達されないため、内燃機関3のクランクシャフトの回転速度、つまり内燃機関3の機関回転速度(回転数)は速やかに0になる。
【0020】
その後、時刻t2において不図示のアクセルペダルが踏み込まれてアクセル開度が立ち上がると、それに連動してクラッチ12が係合状態(ON)に制御される。これにより、回転部材11が回収したエネルギによって内燃機関3がクランキングされて、フューエルカットによって中断していた燃焼が再開する。これにより、機関回転数は上昇するとともに、回転部材11のエネルギーが消費されるので、回転部材11の回転数は低下する。続いて、時刻t3から時刻t4の期間内でクラッチ25は係合状態に制御される。これにより、内燃機関3の動力が自動変速機15を経てプロペラシャフト13に伝達されるので、プロペラシャフト13の回転数が上昇して車両1が加速状態に移行する。
【0021】
次に、図2の制御を実現するために駆動制御装置26が実行する処理について説明する。図3は駆動制御装置26が実行する駆動制御の制御ルーチンの一例を示したフローチャートである。このルーチンのプログラムは駆動制御装置26の記憶装置に保持されており、適時に読み出されて所定間隔で繰り返し実行される。
【0022】
ステップS1では、内燃機関3のフューエルカットが実行中であるか否かを判定する。この判定は、ECU6が内燃機関3に対して実行する制御結果、例えばフューエルカットの実行中にセットされるフラグの値を監視することにより実現している。もっとも、フューエルカットの実行条件(例えば、アクセル開度が0の状態で車速が所定値Vthに達した場合等)を駆動制御装置26が独自に判断することにより、フューエルカットの実行の有無を判断することもできる。フューエルカットが実行中であればステップS2に進み、そうでない場合は以後の処理をスキップして今回のルーチンを終了する。
【0023】
ステップS2では図2に示した解放制御を実行する。即ち、駆動制御装置26は回転部材11から入力部材10及び差動機構15の回転要素(第1要素又は第2要素の少なくとも一方)のそれぞれが切り離されるようにクラッチ12及び切替装置21を制御する。駆動制御装置26がこのステップS2の処理を実行することにより、駆動制御装置26は本発明に係る解放制御手段として機能する。
【0024】
ステップS3では、フューエルカットの実行により中断した内燃機関3の燃焼を再開すべき再始動条件が成立したか否かを判定する。ここでは、アクセル開度が0から立ち上がったことをもって再始動条件が成立したものと判断する。なお、この再始動条件は適宜に定めることができ、アクセル開度以外の車速、変速段等のパラメータを考慮して再始動条件の成否を判断してよい。再始動条件が成立している場合はステップS4に進み、そうでない場合は以後の処理をスキップして今回のルーチンを終了する。
【0025】
ステップS4では、内燃機関3の始動制御を実行する。即ち、駆動制御装置26は入力部材10と回転部材11とが接続されるようにクラッチ12を制御する。なお、駆動制御装置26が行う当該制御と並行して、ECU6はフューエルカットを終了して内燃機関3の燃料供給を再開させる。駆動制御装置26がこのステップS4の処理を実行することにより、駆動制御装置26は本発明に係る始動制御手段として機能する。
【0026】
以上の形態によれば、車両1のエネルギーの回収と利用とを自動変速機15の変速段を実現する回転部材11を利用することにより実現できるため、装置の大型化及び部品点数の増加を抑えることができる。従って、従来よりも簡素な構成で車両のエネルギーを回収することができる。また、フューエルカットの実行に連動して解放制御が実行されて入力部材10と回転部材11とが切り離されるので、エンジンブレーキが効きすぎることを防止できる。従って、フューエルカットの実行期間に対する制限が緩和されるので、その実行期間を長引かせることが可能になる。これにより、燃費を向上させることができる。更に、解放制御の実行によって回転部材11に回収されたエネルギーを解放制御後に回転部材11と入力部材10とを接続させるクラッチ12の操作にて内燃機関3の再始動のために利用することができる。従って、回転部材11にて回収されたエネルギーの有効に活用することができるため燃費向上を期待できる。
【0027】
本発明は以上の形態に限定されず、種々の形態にて実施することができる。本形態の駆動源は内燃機関に限らず電動機であってもよい。また、動力分割機構を介して内燃機関と電動機とが接続された周知のハイブリットユニットを駆動源とすることもできる。上述した自動変速機15に含まれる差動機構18は一例にすぎず、差動機構18を機構学上等価な別形態に変更することも可能である。また、差動機構18を複数組の遊星歯車機構の組み合わせにより実現することは一例にすぎない。例えば、上述した形態の遊星歯車機構の全部又は一部を、歯車ではない摩擦車(ローラ)を回転要素として持つ遊星ローラ機構に置き換えて実施することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一形態に係る駆動装置が適用された車両の全体構成を模式的に示した図。
【図2】駆動制御装置が行う制御結果の一例を説明するタイミングチャート。
【図3】駆動制御装置が実行する駆動制御の制御ルーチンの一例を示したフローチャート。
【符号の説明】
【0029】
1 車両
2 駆動装置
3 内燃機関(駆動源)
5 駆動輪
10 入力部材
11 回転部材
12 クラッチ
13 プロペラシャフト(出力部材)
26 駆動制御装置(解放制御手段、始動制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源に接続されて回転する入力部材と、前記入力部材がクラッチを介して接続される回転部材と、相互に差動回転可能な複数の回転要素を持ち、前記回転部材が前記複数の回転要素の少なくともいずれか一つの回転要素に接続されることにより前記回転部材の回転を変速できる変速機構と、前記変速機構から出力された動力を駆動輪に伝達するための出力部材と、を備え、
前記変速機構は、前記複数の回転要素に対する前記回転部材の接続関係を変更することにより複数の変速段を実現でき、かつ前記複数の回転要素のすべてと前記回転部材とを切り離すことができるように構成されており、
前記入力部材と前記回転部材とが前記クラッチにて切り離され、かつ前記複数の回転要素のすべてと前記回転部材とが前記変速機構にて切り離されたときに、前記回転部材が単独で回転できるように構成されていることを特徴とする車両の駆動装置。
【請求項2】
前記駆動源として、車両の減速過程で車速が所定値に達した時に燃焼が中断するようにフューエルカットを実行する内燃機関が設けられており、
前記内燃機関のフューエルカットの実行に連動して、前記入力部材と前記回転部材とが前記クラッチにて切り離され、かつ前記複数の回転要素のすべてと前記回転部材とが前記変速機構にて切り離されるように前記クラッチ及び前記変速機構のそれぞれを制御する解放制御を実行する解放制御手段と、フューエルカットにより燃焼が中断した前記内燃機関の燃焼を再開すべき再始動条件が前記解放制御の実行中に成立したときに、前記入力部材と前記回転部材とが接続されるように前記クラッチを制御する始動制御手段と、を更に備える請求項1に記載の駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−269537(P2009−269537A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−123381(P2008−123381)
【出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】