車載用表示装置
【課題】共通の表示手段に形成され運転席側と助手席側との異なる方向から視認できる運転席用画面及び助手席用画面に運転席用画像及び助手席用画像をそれぞれ表示する車載用表示装置であって、操作に応じて理想的な画像の表示を行うことができる車載用表示装置を提供する。
【解決手段】車載用表示装置は、D席画像又はP席画像を操作する操作ボタン群152及びタッチパネル130と、D席画像を操作ボタン群及びタッチパネルの操作対象とするD席モードとP席画像を操作ボタン群及びタッチパネルの操作対象とするP席モードとを切り替える切替ボタン151と、モードの状態に応じて、操作ボタン群152及びタッチパネル130からの操作入力に対するD席画像及びP席画像を決定する制御部20を備えている。
【解決手段】車載用表示装置は、D席画像又はP席画像を操作する操作ボタン群152及びタッチパネル130と、D席画像を操作ボタン群及びタッチパネルの操作対象とするD席モードとP席画像を操作ボタン群及びタッチパネルの操作対象とするP席モードとを切り替える切替ボタン151と、モードの状態に応じて、操作ボタン群152及びタッチパネル130からの操作入力に対するD席画像及びP席画像を決定する制御部20を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用表示装置に関し、特に、共通の表示手段に形成され運転席側と助手席側との異なる方向から視認できる運転席用画面及び助手席用画面に運転席用画像及び助手席用画像をそれぞれ表示する車載用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
共通の(単一の)表示画面上で異なる方向からそれぞれ異なる画像を視認できる、いわゆるマルチビューディスプレイとしては、例えば、液晶パネルの前に視差バリアを設け、1ピクセルごとにバックライトからの光の進行方向を振り分けることで、左右において異なる情報(画像)を表示できるものが知られている(例えば、特許文献1等参照)。
【0003】
一方、車載用の表示装置においては、車両の走行中に運転者が映像を注視すると運転への注意力が散漫になり、運転操作に影響を及ぼすことから、テレビ画像やDVD等の映像については、走行中の表示を規制することが行われている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−78080号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、上述したマルチビューディスプレイを用いた表示装置を車両に搭載することにより、運転者がナビゲーション画像を観ている間に助手席の搭乗者がテレビ等の他の画像を観ることが可能となる。
しかし、このような表示装置は、運転席側に表示されている画像と異なる画像が助手席側に表示され得るため、助手席側からの操作であっても、誤って運転席側から視認できる画像に関しての操作と認識される場合がある。
また、運転席側と助手席側とに同一の画像が表示されている場合には、助手席の搭乗者の操作が運転席側に表示されている画像に対しても反映されることになるため、運転席側に表示される画像に表示規制や操作規制をすることができないという問題がある。
【0006】
そこで本発明は、上記問題に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、共通の表示手段に形成され運転席側と助手席側との異なる方向から視認できる運転席用画面及び助手席用画面に運転席用画像及び助手席用画像をそれぞれ表示する車載用表示装置であって、操作入力に応じた理想的な画像の表示を行うことができる車載用表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、共通の表示手段に形成され運転席側と助手席側との異なる方向から視認できる運転席用画面及び助手席用画面に運転席用画像及び助手席用画像をそれぞれ表示する車載用表示装置であって、運転席用画像又は助手席用画像を操作する操作手段と、前記運転席用画像を前記操作手段の操作対象とする運転席モードと前記助手席用画像を前記操作手段の操作対象とする助手席モードとを切り替える切替ボタンと、前記モードの状態に応じて、前記操作手段からの操作入力に対する運転席用画像及び助手席用画像を決定する表示制御手段を備えている車載用表示装置によって達成できる。
このような構成により、操作入力に応じた理想的な画像の表示を行うことができる。
【0008】
また、前記表示制御手段は、前記モードが運転席モードで、前記操作手段からの操作入力がある場合には、前記運転席用画面に前記操作入力に対応する運転席用画像を表示する車載用表示装置によって達成できる。
このような構成により、運転者は所望に応じて運転席用画像を操作することができる。
【0009】
また、前記表示制御手段は、前記モードが助手席モードで、前記操作手段からの操作入力がある場合には、前記助手席用画面に前記操作入力に対応する助手席用画像を表示する車載用表示装置によって達成できる。
このような構成により、助手席の搭乗者は助手席用画像を操作することができる。
【0010】
また、前記表示制御手段は、前記モードが助手席モードで、車両が走行中の場合は、前記運転席用画面に操作を不許可とする規制画像を表示する車載用表示装置によって達成できる。
このような構成により、走行中に運転者が運転席用画面を操作することを防止でき、運転への注意力の低下を防止できる。
【0011】
また、前記表示制御手段は、前記モードが助手席モードで、車両が走行中の場合は、前記助手席用画面に操作を許可する画像を表示する車載用表示装置によっても達成できる。
このような構成により、走行中であっても、助手席の搭乗者は助手席用画像を操作することができる。
【0012】
また、前記表示制御手段は、前記操作手段からの操作入力に基づき、所定の画像を前記運転席用画面及び助手席用画面にオンスクリーン表示させる車載用表示装置によっても達成できる。
このような構成により、相手側がどのような操作をしたかを把握することができる。
【0013】
また、前記規制画像は、静止画像又は単一色の画像である車載用表示装置によっても達成できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、共通の表示手段に形成され運転席側と助手席側との異なる方向から視認できる運転席用画面及び助手席用画面に運転席用画像及び助手席用画像をそれぞれ表示する車載用表示装置であって、操作に応じて理想的な画像の表示を行うことができる車載用表示装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の最良の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るマルチビュー車載用表示装置の基本構成を説明するための図である。
この車載用表示装置は、図1に示すように、表示制御手段としての表示制御部10、表示手段としての表示部100等から構成されている。
表示制御部10は、供給源としての第1の画像ソース300Aから画像データDT1が供給されると共に供給源としての第2の画像ソース300Bから画像データDT2が供給されて、これら第1及び第2の画像データDT1,DT2からなる画像データADTを共通の表示部100へ出力する。尚、表示制御部10の具体的な構成については後述する。
また、第1及び第2の画像ソース300A,300Bは、後述するカメラ、TV受信部、DVD再生部、HD再生部、ナビゲーション部等で構成される。
【0016】
表示部100は、後述するように、液晶パネル、バックライト、視差バリア等から構成されており、第1の画像データDT1に基づく第1の画像IM1を右方向から観察者OBRが視認できると共に第2の画像データDT2に基づく第2の画像IM2を左方向から観察者OBLが視認できるように共通の表示画面に表示する。すなわち、表示部100は、観察者OBR側から視認できる画面(運転席用画面)と観察者OBL側から視認できる画面(助手席用画面)とを備えており、これらの画面に第1の画像IM1及び第2の画像IM2がそれぞれ表示される。尚、表示部100の具体的な構成については後述する。
【0017】
図2は本発明の一実施形態に係る車載用表示装置を車両へ適用した例を示す斜視図である。
表示部100は、図2に示すように、車両のダッシュボード部分の運転席DSと助手席ASとの間に配置される。また、表示部100には、車載用表示装置を手動で操作するための操作部150が設けられている。
図2に示すケースにおいては、運転席DSに着席した乗員が上記の観察者OBRとなり、助手席ASに着席した乗員が上記の観察者OBLとなる。そして、これらの搭乗者は、それぞれ運転席DS側又は助手席AS側から表示部100に表示された異なる第1の画像IM1及び第2の画像IM2を同時に観ることができる。
【0018】
図3ないし図9は本発明の一実施形態に係る車載用表示装置の具体的な構成を示す図であって、図3は車載用表示装置の機能ブロック図、図4は制御部の構成を示す機能ブロック図、図5は第1及び第2の画質調整回路の機能ブロック図、図6は画像出力部の機能ブロック図、図7は液晶パネルの断面構造及び作用を説明するための図、図8は液晶パネルの正面図、及び図9はTFT基板の回路図である。
【0019】
この車載用表示装置は、図3に示すように、表示部100加えて、制御部20、分配回路30、第1及び第2の画質調整回路50A,50B、画像出力部70等から構成されている。尚、上記した表示制御部10は、制御部20、分配回路30、第1及び第2の画質調整回路50A,50B、画像出力部70等から構成される。
【0020】
制御部20は、図4に示すように、プロセッサ(CPU)21、インターフェース22、ROM23、RAM24等から構成され、ROM23に記憶されたプログラムに従って車載用表示装置を総合的に制御する。
また、制御部20は、後述するように、表示部100に表示される第1の画像IM1及び第2の画像IM2の重なりにより互いに隔てられた第1の画像IM1の可視範囲と第2の画像IM1の可視範囲とを、第1の画像IM1及び第2の画像IM2の少なくとも一方の画質を調整して所定範囲になるように制御する。
【0021】
制御部20は、図3に示すように、車両に搭載されて画像や音声を供給する供給源としての、車両の周囲等を撮像するカメラ310、音楽や画像を再生するCD/MD(コンパクトディスク/ミニディスク)再生部320、アンテナからラジオ放送波を受信するラジオ受信部330、アンテナからセレクタ341を介してTV放送波を受信するTV受信部340、DVD(ディジタルバーサタイルディスク)から音楽情報や画像を再生するDVD再生部350、HD(ハードディスク)に記録された画像や音楽情報を再生するHD再生部360、VICS情報受信部371が受信した道路情報やGPS情報受信部372が受信した地理情報に基づいて地図やルート案内画像を出力するナビゲーション部370等と接続されて、これらとの間でデータを授受すると共にこれらをコントロールする。
また、制御部20には、各種データを記憶する外部メモリ140、車載用表示装置を操作するための操作部150、車載用表示装置をリモコン操作するためのリモコン171との間で赤外線信号や無線信号を送受するリモコン送受信部170、車両に備わるライトスイッチや光センサで構成されて車両内の明るさを検知する明るさ検知センサ190、運転席や助手席に設けられる感圧センサ等で構成されて車両の乗員を検出する乗員検知センサ200、車両の走行速度を検出する車速センサ210等が接続され、制御部20は、これらから得られる各種データに基づいて各種制御が可能となっている。
【0022】
分配回路30は、図3に示すように、上記したカメラ310、CD/MD再生部320、ラジオ受信部330、TV受信部340、DVD再生部350、HD再生部360、ナビゲーション部370等から供給される音声データや画像データを、制御部20からの制御指令に応じて、音声調整回路60、第1の画質調整回路50A、あるいは、第2の画質調整回路50Bへ分配する。
【0023】
音声調整回路60は、図3に示すように、分配回路30から供給された音声データを調整してスピーカ61へ出力する。
【0024】
第1及び第2の画質調整回路50A,50Bは、図5に示すように、それぞれコントラスト調整部51、輝度調整部52、色調調整部53、ガンマ値調整部54等から構成され、制御部20からの制御指令に応じて、第1及び第2の画像データの画質(コントラスト、輝度、色調、ガンマ値)をそれぞれ調整する。
【0025】
画像出力部70は、図6に示すように、第1及び第2の画質調整回路50A,50Bにおいてそれぞれ画質調整された第1及び第2の画像データがそれぞれ書き込まれる第1及び第2の書込回路71,72、VRAM(Video RAM)73、液晶パネル駆動部74等から構成されている。
第1及び第2の書込回路71,は、第1及び第2の画質調整回路50A,50Bで画質調整された第1及び第2の画像データを合成すべく、VRAM73の所定アドレスにそれぞれ書き込む。
VRAM73は、第1及び第2の画像データを合成した画像データを保持する。この合成した画像データは、表示部100の各画素にそれぞれ対応している。
液晶パネル駆動部74は、後述する液晶パネル110を駆動する回路であり、VRAM73に保持されている合成画像データに基づいて、液晶パネル110の対応する画素を駆動する。
【0026】
表示部100は、図3に示すように、液晶パネル110、液晶パネル110の背面側から照明光を当てるバックライト120、車載用表示装置を操作する信号を入力するためのタッチパネル130等から構成されている。尚、タッチパネル130は、図示しないが、透明なシート状に形成されて液晶パネル110の前面に貼着される。
【0027】
液晶パネル110は、図7に示すように、バックライト120側から順に配置された、偏光板111、TFT(Thin Film Transistor)基板112、液晶層113、RGBの3原色の画素をもつカラーフィルタ基板114、視差バリア115、ガラス板116、偏光板117等から構成された周知の構造を有する。
この液晶パネル110は、図7及び図8に示すように、例えば、水平方向に800画素、垂直方向に480画素が配列された表示画面を有すると共に、この表示画面には、水平方向において左側表示用画素118(以下、助手席側表示用画素118ともいう。)と右側表示用画素119(以下、運転席側表示用画素119ともいう。)とが交互に配列されて構成されている。
【0028】
視差バリア115は、図7及び図8に示すように、ストライプ状に形成されて遮蔽部と透光部を有し、その遮蔽部は隣接する左側表示用画素118と右側表示用画素119との間に配置される。視差バリア115をカラーフィルタ基板114の前面に配置することにより、左側表示用画素118を透過した照明光は、左側に向かう照明光のみ選択的に視差バリア115の透光部を通過し、右側表示用画素119を透過した照明光は、右側に向かう照明光のみが選択的に視差バリア115の透光部を通過する。これにより、図7に示すように、液晶パネル110の右側(運転席側)からは第1の画像IM1が視認でき、左側(助手席側)からは第2の画像IM2が視認できるようになっている。
尚、視差バリア115は、特開平10−123461号公報や特開平11−84131号公報等に開示されているものと同様のものを使用できる。
【0029】
TFT基板112は、図9に示すように、データ線駆動回路DR1、走査線駆動回路DR2、垂直方向に配列された走査線SCL、水平方向に配列されたデータ線DTL、走査線SCLとデータ線DTLとの交差する領域毎に形成されたTFT素子EL、に対応して形成された画素電極EP等を備え、走査線SCL及びデータ線DTLで囲まれた各領域がサブピクセルSBPを構成しており、データ線DTLに沿う各列のサブピクセルSBPは交互に左側表示用画素118と右側表示用画素119とに割り当てられる。
データ線駆動回路DR1は、液晶パネル駆動部74によりその駆動タイミングを制御されて、画素電極EPへの印加電圧を制御する。
走査線駆動回路DR2は、液晶パネル駆動部74によりその駆動タイミングを制御されて、TFT素子ELを選択走査する。
【0030】
ここで、液晶一例としてTN(Twisted Nematic)型液晶の駆動原理について図10及び図11を参照して説明すると、TN型液晶では、図10(a)に示すように、光が通らないように偏光方向を直交させた2枚の偏光フィルタFa,Fb(偏光板)の間にねじれた液晶を挟むと、上から入った光は液晶分子の隙間に沿って90度ねじれるので、下の偏光フィルタFbを通過できる。図10(b)に示すように、液晶に電圧を印加すると、液晶分子が直立してねじれが取れ、上から入った光は、そのまま下に向かうので、下のフィルタFbを通過できない。すなわち、図11に示すように、液晶分子に電圧を印加していない状態では光が透過し、電圧を印加すると光が遮断されて画面上では黒くなり、電圧により液晶が光のシャッターの機能を果たす。このことから、液晶への印加電圧の制御により、輝度制御が可能となる。また、左側用表示画像と右側用表示画像に対応する液晶への印加電圧をそれぞれ制御することにより、左側用、右側用それぞれの画像の輝度制御が可能となる。
【0031】
メモリ140は、例えば、フラッシュメモリ等の電気的書き換え可能な不揮発性メモリ又はバッテリバックアップされた揮発性メモリにより構成されており、制御部20による制御に必要なデータ等を記憶している。具体的には、例えば、後述する可視領域を設定するための設定情報や、車両のハンドル位置等の車両情報を記憶保持する。
【0032】
次に、図12を参照して、切替ボタンについて以下に説明する。
図12は、車載用表示装置の斜視図である。操作部150には、図12に示すように、切替ボタン151と、操作ボタン群152等から構成される。
操作ボタン群(操作手段)152は、D席画像又はP席画像を操作することができ、ナビゲーションにおける目的地の設定や、ボリュームなどの操作を行う複数のボタンから構成されている。
また、表示部100のタッチパネル(操作手段)130を押すことにより、操作することができる。
切替ボタン151は、操作されることにより、D席画像を操作ボタン群152及びタッチパネル130の操作対象とするD席モード(運転席モード)と、P席画像を操作ボタン群152及びタッチパネル130の操作対象とするP席モード(助手席モード)とを切り替える。
また、制御部(表示制御手段)20は、モードの状態に応じて、操作ボタン群152及びタッチパネル130の操作対象からの操作入力に対するD席画像及びP席画像を決定する。これにより、操作入力に応じた理想的な画像の表示を行うことができる。詳しくは以下に説明する。
【0033】
次に、制御部20によるモードの状態に応じて操作入力に対するD席画像及びP席画像を決定する処理の一例について図13を参照して説明する。尚、この処理は車載用表示装置の動作中は繰り返し実行される。
ここで図13は、制御部20によるモードの状態に応じて操作入力に対するD席画像及びP席画像を決定する処理の一例を示すフローチャートである。
制御部20は、操作ボタン群152又はタッチパネル130からの信号に基づいて、車載用表示装置に対して操作がなされたかどうかを判定し(ステップST1)、操作がされていない場合は、この処理を終了する。
制御部20は、操作がなされた場合は、切替ボタン151からの信号に基づいて、D席モードかどうかを判定し(ステップST2)、D席モードである場合には、運転席用画面に操作入力に対応するD席画像を表示する(ステップST3)。これにより、運転者は運転席用画像を操作することができる。
例えば、図14(a)に示すように、P席画像としてテレビ画像を表示し、D席画像としてナビゲーション画像を表示している状態において、D席モードが選択されている場合は、運転者は操作ボタン群152又はタッチパネル130を操作することにより、運転席用画面にはその操作入力に対応するD席画像が表示される。例えば、図14(b)に示すような目的地を設定する画像や、図14(c)に示すようなナビゲーションメニューや、図14(d)に示すようなオーディオメニューが、D席画像が表示される。
制御部20は、D席モードではない場合、即ちP席モードの場合は、助手席用画面に操作入力に対応するP席画像を表示する(ステップST4)。これにより、助手席の搭乗者は助手席用画像を操作することができる。
【0034】
次に、車両が走行中であるときの制御部20による走行規制の処理の一例について図15を参照して説明する。
図15は、車両が走行中であるときの制御部20による走行規制の処理の一例を示すフローチャートである。尚、この処理は車載用表示装置の動作中に繰り返し実行される。
制御部20は、車速センサ210からの信号に基づいて車両が走行中かどうかを判定し(ステップST21)、走行中ではない場合は、図13の処理を行う。
制御部20は、D席モードではない場合は、即ちP席モードの場合は、操作ボタン群152又はタッチパネル130からの信号に基づいて、車載用表示装置に対して操作がなされたかどうかを判定し(ステップST22)、操作がない場合は、この処理を終了する。
制御部20は、車載用表示装置に対して操作がなされた場合には、D席モードかどうかを判定し(ステップST23)、D席モードの場合は、図13のステップST3の処理を行う。
制御部20は、D席モードではない場合、即ちP席モードの場合は、運転席用画面に操作を不許可とする規制画像を表示する(ステップST24)。このような構成により、走行中に運転者が運転席用画面を操作することを防止でき、運転への注意力の低下を防止できる。尚、規制画像は、静止画像又は単一色の画像である。
例えば、車両が走行中に図16(a)に示すように、P席画像としてテレビ画像を表示し、D席画像としてナビゲーション画像を表示している状態において、P席モードが選択され、助手席の搭乗者が操作を行った場合には、図16(b)(c)に示すように、助手席用画面にはその操作入力に対応するP席画像が表示される。しかし、運転席用画面には、規制画像が表示される。
また、制御部20は、助手席用画面に操作入力に対応するP席画像を表示する(ステップST25)。このように、車両が走行中の場合であっても、P席モードにおいて操作がなされた場合は助手席用画面に操作を許可する画像を表示する。このような構成により、走行中であっても、助手席の搭乗者は助手席用画像を操作することができる。尚、走行中にD席モードで操作入力がなされた運転席用画面を表示する場合に、操作が繁雑な機能や、画面を注視するおそれのある画像(例えば、TV画像、DVD画像や、文字入力画面など)に対する入力操作や画像の表示は行わないものとする。
【0035】
次に、オンスクリーン表示する場合の制御部20の処理の一例について、図17を参照して説明する。
図17は、オンスクリーン表示する場合の制御部20の処理の一例を示すフローチャートである。尚、この処理は車載用表示装置の動作中に繰り返し実行される。
制御部20は、操作ボタン群152又はタッチパネル130からの信号に基づいて、車載用表示装置に対して操作がなされたかどうかを判定し(ステップST31)、操作がされていない場合は、この処理を終了する。
制御部20は、操作がされた場合は、その操作入力が所定の画像を運転席用画面及び助手席用画面にオンスクリーン表示させる必要があるかどうかを判定する(ステップST32)。制御部20は、オンスクリーン表示させる必要がない操作入力の場合は、図13のフローチャートのステップST2からの処理を実行する。
制御部20は、オンスクリーン表示させる必要がある操作入力の場合は、所定の画像を運転席用画面及び助手席用画面にオンスクリーン表示させる(ステップST33)。このような構成により、相手側がどのような操作をしたかを把握することができる。
例えば、車両が走行中に図16(a)に示すように、P席画像としてテレビ画像を表示し、D席画像としてナビゲーション画像を表示している状態において、P席モードが選択され、助手席の搭乗者がオンスクリーン表示させる必要がある操作を行った場合には、運転席用画面に図16(d)に示すような規制画像にオンスクリーン表示がなされる。
【0036】
上記実施形態は本発明の好適な実施形態である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態に係る表示装置の基本構成を説明するための図である。
【図2】表示装置の車両への適用例を示す斜視図である。
【図3】表示装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図4】制御部の構成を示す機能ブロック図である。
【図5】第1及び第2の画質調整回路の構成を示す機能ブロック図である。
【図6】画像出力部の構成を示す機能ブロック図である。
【図7】表示部の断面構造を示す図である。
【図8】液晶パネルの正面図である。
【図9】TFT基板の回路図である。
【図10】液晶の動作原理を説明するための図である。
【図11】シャッターとしての液晶の機能を説明するための図である。
【図12】車載用表示装置の斜視図である。
【図13】制御部によるD席モードとP席モードとの切り替える処理の一例を示すフローチャートである。
【図14】運手席用画面及び助手席用画面に表示される画像の例示図である。
【図15】車両が走行中であるときの制御部による走行規制の処理の一例を示すフローチャートである。
【図16】所定の処理が行われた場合の運手席用画面及び助手席用画面に表示される画像の例示図である。
【図17】オンスクリーン表示する場合の制御部の処理の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0038】
10…表示制御部
20…制御部
30…分配回路
50A,50B…第1及び第2の画質調整回路
60…音声調整回路
70…画像出力部
100…表示部
110…液晶パネル
120…バックライト
130…タッチパネル
140…メモリ
150…操作部
151…切替ボタン
152…操作ボタン群
170…リモコン送受信部
190…明るさ検知センサ
200…乗員検知センサ
300A,300B…画像ソース
310…カメラ
320…CD/MD再生部
330…ラジオ受信部
340…TV受信部
350…DVD再生部
360…HD再生部
370…ナビゲーション部
DS…運転席
AS…助手席
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用表示装置に関し、特に、共通の表示手段に形成され運転席側と助手席側との異なる方向から視認できる運転席用画面及び助手席用画面に運転席用画像及び助手席用画像をそれぞれ表示する車載用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
共通の(単一の)表示画面上で異なる方向からそれぞれ異なる画像を視認できる、いわゆるマルチビューディスプレイとしては、例えば、液晶パネルの前に視差バリアを設け、1ピクセルごとにバックライトからの光の進行方向を振り分けることで、左右において異なる情報(画像)を表示できるものが知られている(例えば、特許文献1等参照)。
【0003】
一方、車載用の表示装置においては、車両の走行中に運転者が映像を注視すると運転への注意力が散漫になり、運転操作に影響を及ぼすことから、テレビ画像やDVD等の映像については、走行中の表示を規制することが行われている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−78080号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、上述したマルチビューディスプレイを用いた表示装置を車両に搭載することにより、運転者がナビゲーション画像を観ている間に助手席の搭乗者がテレビ等の他の画像を観ることが可能となる。
しかし、このような表示装置は、運転席側に表示されている画像と異なる画像が助手席側に表示され得るため、助手席側からの操作であっても、誤って運転席側から視認できる画像に関しての操作と認識される場合がある。
また、運転席側と助手席側とに同一の画像が表示されている場合には、助手席の搭乗者の操作が運転席側に表示されている画像に対しても反映されることになるため、運転席側に表示される画像に表示規制や操作規制をすることができないという問題がある。
【0006】
そこで本発明は、上記問題に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、共通の表示手段に形成され運転席側と助手席側との異なる方向から視認できる運転席用画面及び助手席用画面に運転席用画像及び助手席用画像をそれぞれ表示する車載用表示装置であって、操作入力に応じた理想的な画像の表示を行うことができる車載用表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、共通の表示手段に形成され運転席側と助手席側との異なる方向から視認できる運転席用画面及び助手席用画面に運転席用画像及び助手席用画像をそれぞれ表示する車載用表示装置であって、運転席用画像又は助手席用画像を操作する操作手段と、前記運転席用画像を前記操作手段の操作対象とする運転席モードと前記助手席用画像を前記操作手段の操作対象とする助手席モードとを切り替える切替ボタンと、前記モードの状態に応じて、前記操作手段からの操作入力に対する運転席用画像及び助手席用画像を決定する表示制御手段を備えている車載用表示装置によって達成できる。
このような構成により、操作入力に応じた理想的な画像の表示を行うことができる。
【0008】
また、前記表示制御手段は、前記モードが運転席モードで、前記操作手段からの操作入力がある場合には、前記運転席用画面に前記操作入力に対応する運転席用画像を表示する車載用表示装置によって達成できる。
このような構成により、運転者は所望に応じて運転席用画像を操作することができる。
【0009】
また、前記表示制御手段は、前記モードが助手席モードで、前記操作手段からの操作入力がある場合には、前記助手席用画面に前記操作入力に対応する助手席用画像を表示する車載用表示装置によって達成できる。
このような構成により、助手席の搭乗者は助手席用画像を操作することができる。
【0010】
また、前記表示制御手段は、前記モードが助手席モードで、車両が走行中の場合は、前記運転席用画面に操作を不許可とする規制画像を表示する車載用表示装置によって達成できる。
このような構成により、走行中に運転者が運転席用画面を操作することを防止でき、運転への注意力の低下を防止できる。
【0011】
また、前記表示制御手段は、前記モードが助手席モードで、車両が走行中の場合は、前記助手席用画面に操作を許可する画像を表示する車載用表示装置によっても達成できる。
このような構成により、走行中であっても、助手席の搭乗者は助手席用画像を操作することができる。
【0012】
また、前記表示制御手段は、前記操作手段からの操作入力に基づき、所定の画像を前記運転席用画面及び助手席用画面にオンスクリーン表示させる車載用表示装置によっても達成できる。
このような構成により、相手側がどのような操作をしたかを把握することができる。
【0013】
また、前記規制画像は、静止画像又は単一色の画像である車載用表示装置によっても達成できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、共通の表示手段に形成され運転席側と助手席側との異なる方向から視認できる運転席用画面及び助手席用画面に運転席用画像及び助手席用画像をそれぞれ表示する車載用表示装置であって、操作に応じて理想的な画像の表示を行うことができる車載用表示装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の最良の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るマルチビュー車載用表示装置の基本構成を説明するための図である。
この車載用表示装置は、図1に示すように、表示制御手段としての表示制御部10、表示手段としての表示部100等から構成されている。
表示制御部10は、供給源としての第1の画像ソース300Aから画像データDT1が供給されると共に供給源としての第2の画像ソース300Bから画像データDT2が供給されて、これら第1及び第2の画像データDT1,DT2からなる画像データADTを共通の表示部100へ出力する。尚、表示制御部10の具体的な構成については後述する。
また、第1及び第2の画像ソース300A,300Bは、後述するカメラ、TV受信部、DVD再生部、HD再生部、ナビゲーション部等で構成される。
【0016】
表示部100は、後述するように、液晶パネル、バックライト、視差バリア等から構成されており、第1の画像データDT1に基づく第1の画像IM1を右方向から観察者OBRが視認できると共に第2の画像データDT2に基づく第2の画像IM2を左方向から観察者OBLが視認できるように共通の表示画面に表示する。すなわち、表示部100は、観察者OBR側から視認できる画面(運転席用画面)と観察者OBL側から視認できる画面(助手席用画面)とを備えており、これらの画面に第1の画像IM1及び第2の画像IM2がそれぞれ表示される。尚、表示部100の具体的な構成については後述する。
【0017】
図2は本発明の一実施形態に係る車載用表示装置を車両へ適用した例を示す斜視図である。
表示部100は、図2に示すように、車両のダッシュボード部分の運転席DSと助手席ASとの間に配置される。また、表示部100には、車載用表示装置を手動で操作するための操作部150が設けられている。
図2に示すケースにおいては、運転席DSに着席した乗員が上記の観察者OBRとなり、助手席ASに着席した乗員が上記の観察者OBLとなる。そして、これらの搭乗者は、それぞれ運転席DS側又は助手席AS側から表示部100に表示された異なる第1の画像IM1及び第2の画像IM2を同時に観ることができる。
【0018】
図3ないし図9は本発明の一実施形態に係る車載用表示装置の具体的な構成を示す図であって、図3は車載用表示装置の機能ブロック図、図4は制御部の構成を示す機能ブロック図、図5は第1及び第2の画質調整回路の機能ブロック図、図6は画像出力部の機能ブロック図、図7は液晶パネルの断面構造及び作用を説明するための図、図8は液晶パネルの正面図、及び図9はTFT基板の回路図である。
【0019】
この車載用表示装置は、図3に示すように、表示部100加えて、制御部20、分配回路30、第1及び第2の画質調整回路50A,50B、画像出力部70等から構成されている。尚、上記した表示制御部10は、制御部20、分配回路30、第1及び第2の画質調整回路50A,50B、画像出力部70等から構成される。
【0020】
制御部20は、図4に示すように、プロセッサ(CPU)21、インターフェース22、ROM23、RAM24等から構成され、ROM23に記憶されたプログラムに従って車載用表示装置を総合的に制御する。
また、制御部20は、後述するように、表示部100に表示される第1の画像IM1及び第2の画像IM2の重なりにより互いに隔てられた第1の画像IM1の可視範囲と第2の画像IM1の可視範囲とを、第1の画像IM1及び第2の画像IM2の少なくとも一方の画質を調整して所定範囲になるように制御する。
【0021】
制御部20は、図3に示すように、車両に搭載されて画像や音声を供給する供給源としての、車両の周囲等を撮像するカメラ310、音楽や画像を再生するCD/MD(コンパクトディスク/ミニディスク)再生部320、アンテナからラジオ放送波を受信するラジオ受信部330、アンテナからセレクタ341を介してTV放送波を受信するTV受信部340、DVD(ディジタルバーサタイルディスク)から音楽情報や画像を再生するDVD再生部350、HD(ハードディスク)に記録された画像や音楽情報を再生するHD再生部360、VICS情報受信部371が受信した道路情報やGPS情報受信部372が受信した地理情報に基づいて地図やルート案内画像を出力するナビゲーション部370等と接続されて、これらとの間でデータを授受すると共にこれらをコントロールする。
また、制御部20には、各種データを記憶する外部メモリ140、車載用表示装置を操作するための操作部150、車載用表示装置をリモコン操作するためのリモコン171との間で赤外線信号や無線信号を送受するリモコン送受信部170、車両に備わるライトスイッチや光センサで構成されて車両内の明るさを検知する明るさ検知センサ190、運転席や助手席に設けられる感圧センサ等で構成されて車両の乗員を検出する乗員検知センサ200、車両の走行速度を検出する車速センサ210等が接続され、制御部20は、これらから得られる各種データに基づいて各種制御が可能となっている。
【0022】
分配回路30は、図3に示すように、上記したカメラ310、CD/MD再生部320、ラジオ受信部330、TV受信部340、DVD再生部350、HD再生部360、ナビゲーション部370等から供給される音声データや画像データを、制御部20からの制御指令に応じて、音声調整回路60、第1の画質調整回路50A、あるいは、第2の画質調整回路50Bへ分配する。
【0023】
音声調整回路60は、図3に示すように、分配回路30から供給された音声データを調整してスピーカ61へ出力する。
【0024】
第1及び第2の画質調整回路50A,50Bは、図5に示すように、それぞれコントラスト調整部51、輝度調整部52、色調調整部53、ガンマ値調整部54等から構成され、制御部20からの制御指令に応じて、第1及び第2の画像データの画質(コントラスト、輝度、色調、ガンマ値)をそれぞれ調整する。
【0025】
画像出力部70は、図6に示すように、第1及び第2の画質調整回路50A,50Bにおいてそれぞれ画質調整された第1及び第2の画像データがそれぞれ書き込まれる第1及び第2の書込回路71,72、VRAM(Video RAM)73、液晶パネル駆動部74等から構成されている。
第1及び第2の書込回路71,は、第1及び第2の画質調整回路50A,50Bで画質調整された第1及び第2の画像データを合成すべく、VRAM73の所定アドレスにそれぞれ書き込む。
VRAM73は、第1及び第2の画像データを合成した画像データを保持する。この合成した画像データは、表示部100の各画素にそれぞれ対応している。
液晶パネル駆動部74は、後述する液晶パネル110を駆動する回路であり、VRAM73に保持されている合成画像データに基づいて、液晶パネル110の対応する画素を駆動する。
【0026】
表示部100は、図3に示すように、液晶パネル110、液晶パネル110の背面側から照明光を当てるバックライト120、車載用表示装置を操作する信号を入力するためのタッチパネル130等から構成されている。尚、タッチパネル130は、図示しないが、透明なシート状に形成されて液晶パネル110の前面に貼着される。
【0027】
液晶パネル110は、図7に示すように、バックライト120側から順に配置された、偏光板111、TFT(Thin Film Transistor)基板112、液晶層113、RGBの3原色の画素をもつカラーフィルタ基板114、視差バリア115、ガラス板116、偏光板117等から構成された周知の構造を有する。
この液晶パネル110は、図7及び図8に示すように、例えば、水平方向に800画素、垂直方向に480画素が配列された表示画面を有すると共に、この表示画面には、水平方向において左側表示用画素118(以下、助手席側表示用画素118ともいう。)と右側表示用画素119(以下、運転席側表示用画素119ともいう。)とが交互に配列されて構成されている。
【0028】
視差バリア115は、図7及び図8に示すように、ストライプ状に形成されて遮蔽部と透光部を有し、その遮蔽部は隣接する左側表示用画素118と右側表示用画素119との間に配置される。視差バリア115をカラーフィルタ基板114の前面に配置することにより、左側表示用画素118を透過した照明光は、左側に向かう照明光のみ選択的に視差バリア115の透光部を通過し、右側表示用画素119を透過した照明光は、右側に向かう照明光のみが選択的に視差バリア115の透光部を通過する。これにより、図7に示すように、液晶パネル110の右側(運転席側)からは第1の画像IM1が視認でき、左側(助手席側)からは第2の画像IM2が視認できるようになっている。
尚、視差バリア115は、特開平10−123461号公報や特開平11−84131号公報等に開示されているものと同様のものを使用できる。
【0029】
TFT基板112は、図9に示すように、データ線駆動回路DR1、走査線駆動回路DR2、垂直方向に配列された走査線SCL、水平方向に配列されたデータ線DTL、走査線SCLとデータ線DTLとの交差する領域毎に形成されたTFT素子EL、に対応して形成された画素電極EP等を備え、走査線SCL及びデータ線DTLで囲まれた各領域がサブピクセルSBPを構成しており、データ線DTLに沿う各列のサブピクセルSBPは交互に左側表示用画素118と右側表示用画素119とに割り当てられる。
データ線駆動回路DR1は、液晶パネル駆動部74によりその駆動タイミングを制御されて、画素電極EPへの印加電圧を制御する。
走査線駆動回路DR2は、液晶パネル駆動部74によりその駆動タイミングを制御されて、TFT素子ELを選択走査する。
【0030】
ここで、液晶一例としてTN(Twisted Nematic)型液晶の駆動原理について図10及び図11を参照して説明すると、TN型液晶では、図10(a)に示すように、光が通らないように偏光方向を直交させた2枚の偏光フィルタFa,Fb(偏光板)の間にねじれた液晶を挟むと、上から入った光は液晶分子の隙間に沿って90度ねじれるので、下の偏光フィルタFbを通過できる。図10(b)に示すように、液晶に電圧を印加すると、液晶分子が直立してねじれが取れ、上から入った光は、そのまま下に向かうので、下のフィルタFbを通過できない。すなわち、図11に示すように、液晶分子に電圧を印加していない状態では光が透過し、電圧を印加すると光が遮断されて画面上では黒くなり、電圧により液晶が光のシャッターの機能を果たす。このことから、液晶への印加電圧の制御により、輝度制御が可能となる。また、左側用表示画像と右側用表示画像に対応する液晶への印加電圧をそれぞれ制御することにより、左側用、右側用それぞれの画像の輝度制御が可能となる。
【0031】
メモリ140は、例えば、フラッシュメモリ等の電気的書き換え可能な不揮発性メモリ又はバッテリバックアップされた揮発性メモリにより構成されており、制御部20による制御に必要なデータ等を記憶している。具体的には、例えば、後述する可視領域を設定するための設定情報や、車両のハンドル位置等の車両情報を記憶保持する。
【0032】
次に、図12を参照して、切替ボタンについて以下に説明する。
図12は、車載用表示装置の斜視図である。操作部150には、図12に示すように、切替ボタン151と、操作ボタン群152等から構成される。
操作ボタン群(操作手段)152は、D席画像又はP席画像を操作することができ、ナビゲーションにおける目的地の設定や、ボリュームなどの操作を行う複数のボタンから構成されている。
また、表示部100のタッチパネル(操作手段)130を押すことにより、操作することができる。
切替ボタン151は、操作されることにより、D席画像を操作ボタン群152及びタッチパネル130の操作対象とするD席モード(運転席モード)と、P席画像を操作ボタン群152及びタッチパネル130の操作対象とするP席モード(助手席モード)とを切り替える。
また、制御部(表示制御手段)20は、モードの状態に応じて、操作ボタン群152及びタッチパネル130の操作対象からの操作入力に対するD席画像及びP席画像を決定する。これにより、操作入力に応じた理想的な画像の表示を行うことができる。詳しくは以下に説明する。
【0033】
次に、制御部20によるモードの状態に応じて操作入力に対するD席画像及びP席画像を決定する処理の一例について図13を参照して説明する。尚、この処理は車載用表示装置の動作中は繰り返し実行される。
ここで図13は、制御部20によるモードの状態に応じて操作入力に対するD席画像及びP席画像を決定する処理の一例を示すフローチャートである。
制御部20は、操作ボタン群152又はタッチパネル130からの信号に基づいて、車載用表示装置に対して操作がなされたかどうかを判定し(ステップST1)、操作がされていない場合は、この処理を終了する。
制御部20は、操作がなされた場合は、切替ボタン151からの信号に基づいて、D席モードかどうかを判定し(ステップST2)、D席モードである場合には、運転席用画面に操作入力に対応するD席画像を表示する(ステップST3)。これにより、運転者は運転席用画像を操作することができる。
例えば、図14(a)に示すように、P席画像としてテレビ画像を表示し、D席画像としてナビゲーション画像を表示している状態において、D席モードが選択されている場合は、運転者は操作ボタン群152又はタッチパネル130を操作することにより、運転席用画面にはその操作入力に対応するD席画像が表示される。例えば、図14(b)に示すような目的地を設定する画像や、図14(c)に示すようなナビゲーションメニューや、図14(d)に示すようなオーディオメニューが、D席画像が表示される。
制御部20は、D席モードではない場合、即ちP席モードの場合は、助手席用画面に操作入力に対応するP席画像を表示する(ステップST4)。これにより、助手席の搭乗者は助手席用画像を操作することができる。
【0034】
次に、車両が走行中であるときの制御部20による走行規制の処理の一例について図15を参照して説明する。
図15は、車両が走行中であるときの制御部20による走行規制の処理の一例を示すフローチャートである。尚、この処理は車載用表示装置の動作中に繰り返し実行される。
制御部20は、車速センサ210からの信号に基づいて車両が走行中かどうかを判定し(ステップST21)、走行中ではない場合は、図13の処理を行う。
制御部20は、D席モードではない場合は、即ちP席モードの場合は、操作ボタン群152又はタッチパネル130からの信号に基づいて、車載用表示装置に対して操作がなされたかどうかを判定し(ステップST22)、操作がない場合は、この処理を終了する。
制御部20は、車載用表示装置に対して操作がなされた場合には、D席モードかどうかを判定し(ステップST23)、D席モードの場合は、図13のステップST3の処理を行う。
制御部20は、D席モードではない場合、即ちP席モードの場合は、運転席用画面に操作を不許可とする規制画像を表示する(ステップST24)。このような構成により、走行中に運転者が運転席用画面を操作することを防止でき、運転への注意力の低下を防止できる。尚、規制画像は、静止画像又は単一色の画像である。
例えば、車両が走行中に図16(a)に示すように、P席画像としてテレビ画像を表示し、D席画像としてナビゲーション画像を表示している状態において、P席モードが選択され、助手席の搭乗者が操作を行った場合には、図16(b)(c)に示すように、助手席用画面にはその操作入力に対応するP席画像が表示される。しかし、運転席用画面には、規制画像が表示される。
また、制御部20は、助手席用画面に操作入力に対応するP席画像を表示する(ステップST25)。このように、車両が走行中の場合であっても、P席モードにおいて操作がなされた場合は助手席用画面に操作を許可する画像を表示する。このような構成により、走行中であっても、助手席の搭乗者は助手席用画像を操作することができる。尚、走行中にD席モードで操作入力がなされた運転席用画面を表示する場合に、操作が繁雑な機能や、画面を注視するおそれのある画像(例えば、TV画像、DVD画像や、文字入力画面など)に対する入力操作や画像の表示は行わないものとする。
【0035】
次に、オンスクリーン表示する場合の制御部20の処理の一例について、図17を参照して説明する。
図17は、オンスクリーン表示する場合の制御部20の処理の一例を示すフローチャートである。尚、この処理は車載用表示装置の動作中に繰り返し実行される。
制御部20は、操作ボタン群152又はタッチパネル130からの信号に基づいて、車載用表示装置に対して操作がなされたかどうかを判定し(ステップST31)、操作がされていない場合は、この処理を終了する。
制御部20は、操作がされた場合は、その操作入力が所定の画像を運転席用画面及び助手席用画面にオンスクリーン表示させる必要があるかどうかを判定する(ステップST32)。制御部20は、オンスクリーン表示させる必要がない操作入力の場合は、図13のフローチャートのステップST2からの処理を実行する。
制御部20は、オンスクリーン表示させる必要がある操作入力の場合は、所定の画像を運転席用画面及び助手席用画面にオンスクリーン表示させる(ステップST33)。このような構成により、相手側がどのような操作をしたかを把握することができる。
例えば、車両が走行中に図16(a)に示すように、P席画像としてテレビ画像を表示し、D席画像としてナビゲーション画像を表示している状態において、P席モードが選択され、助手席の搭乗者がオンスクリーン表示させる必要がある操作を行った場合には、運転席用画面に図16(d)に示すような規制画像にオンスクリーン表示がなされる。
【0036】
上記実施形態は本発明の好適な実施形態である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態に係る表示装置の基本構成を説明するための図である。
【図2】表示装置の車両への適用例を示す斜視図である。
【図3】表示装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図4】制御部の構成を示す機能ブロック図である。
【図5】第1及び第2の画質調整回路の構成を示す機能ブロック図である。
【図6】画像出力部の構成を示す機能ブロック図である。
【図7】表示部の断面構造を示す図である。
【図8】液晶パネルの正面図である。
【図9】TFT基板の回路図である。
【図10】液晶の動作原理を説明するための図である。
【図11】シャッターとしての液晶の機能を説明するための図である。
【図12】車載用表示装置の斜視図である。
【図13】制御部によるD席モードとP席モードとの切り替える処理の一例を示すフローチャートである。
【図14】運手席用画面及び助手席用画面に表示される画像の例示図である。
【図15】車両が走行中であるときの制御部による走行規制の処理の一例を示すフローチャートである。
【図16】所定の処理が行われた場合の運手席用画面及び助手席用画面に表示される画像の例示図である。
【図17】オンスクリーン表示する場合の制御部の処理の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0038】
10…表示制御部
20…制御部
30…分配回路
50A,50B…第1及び第2の画質調整回路
60…音声調整回路
70…画像出力部
100…表示部
110…液晶パネル
120…バックライト
130…タッチパネル
140…メモリ
150…操作部
151…切替ボタン
152…操作ボタン群
170…リモコン送受信部
190…明るさ検知センサ
200…乗員検知センサ
300A,300B…画像ソース
310…カメラ
320…CD/MD再生部
330…ラジオ受信部
340…TV受信部
350…DVD再生部
360…HD再生部
370…ナビゲーション部
DS…運転席
AS…助手席
【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通の表示手段に形成され運転席側と助手席側との異なる方向から視認できる運転席用画面及び助手席用画面に運転席用画像及び助手席用画像をそれぞれ表示する車載用表示装置であって、
運転席用画像又は助手席用画像を操作する操作手段と、
前記運転席用画像を前記操作手段の操作対象とする運転席モードと前記助手席用画像を前記操作手段の操作対象とする助手席モードとを切り替える切替ボタンと、
前記モードの状態に応じて、前記操作手段からの操作入力に対する運転席用画像及び助手席用画像を決定する表示制御手段を備えていることを特徴とする車載用表示装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記モードが運転席モードで、前記操作手段からの操作入力がある場合には、前記運転席用画面に前記操作入力に対応する運転席用画像を表示することを特徴とする請求項1に記載の車載用表示装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記モードが助手席モードで、前記操作手段からの操作入力がある場合には、前記助手席用画面に前記操作入力に対応する助手席用画像を表示することを特徴とする請求項1に記載の車載用表示装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記モードが助手席モードで、車両が走行中の場合は、前記運転席用画面に操作を不許可とする規制画像を表示することを特徴とする請求項1に記載の車載用表示装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、前記モードが助手席モードで、車両が走行中の場合は、前記助手席用画面に操作を許可する画像を表示することを特徴とする請求項1に記載の車載用表示装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は、前記操作手段からの操作入力に基づき、所定の画像を前記運転席用画面及び助手席用画面にオンスクリーン表示させることを特徴とする請求項1に記載の車載用表示装置。
【請求項7】
前記規制画像は、静止画像又は単一色の画像であることを特徴とする請求項に記載4の車載用表示装置。
【請求項1】
共通の表示手段に形成され運転席側と助手席側との異なる方向から視認できる運転席用画面及び助手席用画面に運転席用画像及び助手席用画像をそれぞれ表示する車載用表示装置であって、
運転席用画像又は助手席用画像を操作する操作手段と、
前記運転席用画像を前記操作手段の操作対象とする運転席モードと前記助手席用画像を前記操作手段の操作対象とする助手席モードとを切り替える切替ボタンと、
前記モードの状態に応じて、前記操作手段からの操作入力に対する運転席用画像及び助手席用画像を決定する表示制御手段を備えていることを特徴とする車載用表示装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記モードが運転席モードで、前記操作手段からの操作入力がある場合には、前記運転席用画面に前記操作入力に対応する運転席用画像を表示することを特徴とする請求項1に記載の車載用表示装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記モードが助手席モードで、前記操作手段からの操作入力がある場合には、前記助手席用画面に前記操作入力に対応する助手席用画像を表示することを特徴とする請求項1に記載の車載用表示装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記モードが助手席モードで、車両が走行中の場合は、前記運転席用画面に操作を不許可とする規制画像を表示することを特徴とする請求項1に記載の車載用表示装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、前記モードが助手席モードで、車両が走行中の場合は、前記助手席用画面に操作を許可する画像を表示することを特徴とする請求項1に記載の車載用表示装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は、前記操作手段からの操作入力に基づき、所定の画像を前記運転席用画面及び助手席用画面にオンスクリーン表示させることを特徴とする請求項1に記載の車載用表示装置。
【請求項7】
前記規制画像は、静止画像又は単一色の画像であることを特徴とする請求項に記載4の車載用表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2007−83794(P2007−83794A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−272949(P2005−272949)
【出願日】平成17年9月20日(2005.9.20)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月20日(2005.9.20)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】
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