透光性管状物体の厚さ測定装置
【課題】 透光性管状物体の厚さを全域にわたって短時間で精度よく測定する。
【解決手段】 測定用レーザ光をガルバノミラー35で反射させてガラス管Gに照射し、ガラス管Gの外周面で反射する反射光及び内周面で反射する反射光をラインセンサ39で受光し、反射光の受光位置からガラス管Gの厚さを検出する。サーボ用レーザ光源40からのサーボ用レーザ光をガルバノミラー35で反射させて、ガラス管Gにおける測定用レーザ光の照射位置又はその近傍位置にZ軸方向から照射する。フォトディテクタ48でガラス管Gからのサーボ用レーザ光の反射光を受光し、Y軸方向エラー信号生成回路119、Y軸方向サーボ回路120及びY軸方向ドライブ回路121が、モータ36を駆動制御することにより、測定用レーザ光の光軸がガラス管Gの中心軸と交差するようにガルバノミラー35のX軸線周りの回転をサーボ制御する。
【解決手段】 測定用レーザ光をガルバノミラー35で反射させてガラス管Gに照射し、ガラス管Gの外周面で反射する反射光及び内周面で反射する反射光をラインセンサ39で受光し、反射光の受光位置からガラス管Gの厚さを検出する。サーボ用レーザ光源40からのサーボ用レーザ光をガルバノミラー35で反射させて、ガラス管Gにおける測定用レーザ光の照射位置又はその近傍位置にZ軸方向から照射する。フォトディテクタ48でガラス管Gからのサーボ用レーザ光の反射光を受光し、Y軸方向エラー信号生成回路119、Y軸方向サーボ回路120及びY軸方向ドライブ回路121が、モータ36を駆動制御することにより、測定用レーザ光の光軸がガラス管Gの中心軸と交差するようにガルバノミラー35のX軸線周りの回転をサーボ制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光をガラス管などの透光性管状物体の表面に照射し、透光性管状物体の表面からの反射光を受光することで、透光性管状物体の厚さを測定する透光性管状物体の厚さ測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ガラス製品のような透光性物体の厚さが規格通りに作製されているかを検査するために、透光性物体の厚さを測定することが行われている。このような測定は透光性物体の表面を傷つけないため、非接触で行われることが多く、このための測定装置としては、例えば下記特許文献1に記載されているように、透光性物体の表面に対して斜めにレーザ光を照射し、表面と裏面で反射した反射光を受光センサで受光し、受光位置の差から透光性物体の厚さを求める装置が多く使用されている。また、透光性物体の厚さを測定する装置としては、これに限らず、例えば下記特許文献2に記載されているように、スーパー・ルミネッセント・ダイオード光源(SLD光源)からの広波長帯域のレーザ光を検査対象物の表面に照射し、検査対象物の表面からの反射光と、検査対象物への表面へのレーザ光の照射経路に設けた基準面からの反射光とを干渉させて回折格子に導き、回折格子で波長ごとに分光することで検査対象物の変位を求める装置を採用することもできる。すなわち、透光性物体に広波長帯域のレーザ光を照射し、透光性物体の表面と裏面での反射光を干渉させて回折格子に導き、回折格子で波長ごとに分光してCCD等で受光し、受光位置ごとの光強度を取得する。この受光位置ごとの光強度(すなわち、受光曲線)は、反射光の干渉による光強度が反射レーザ光の波長と透光性物体の表裏面間の距離との関係で定まるとともに、同一波長の反射レーザ光同士の干渉のみによってもたらされるので、透光性物体の表裏面間の距離(すなわち、厚さ)により異なる。よって、受光曲線を解析することで、透光性物体の厚さを求めるというものである。
【0003】
透光性物体にはガラス管などのような管状物体があり、この場合も、下記特許文献1及び下記特許文献2に記載されている方法及び装置を適用して管状物体の厚さを測定することができる。例えば、下記特許文献3には、下記特許文献1に記載された方法及び装置により管状物体の厚さを測定する装置が記載されている。下記特許文献3では、レーザ光の入射角度を変化させて、管状物体の屈折率と厚さの2つを検出することが記載されているが、管状物体の屈折率が既知であれば、入射角度を固定して厚さを測定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−222428号公報
【特許文献2】特開2010−121977号公報
【特許文献3】特開平09−504875号公報
【発明の概要】
【0005】
透光性管状物体の厚さを測定する場合、管状物体に照射されたレーザ光の反射光が光を解析処理する光学機器で受光される必要がある。そのためには、レーザ光と管状物体表面のなす角度が一定になるようにレーザ光を照射する必要がある。透光性物体が管状物体の場合、上記特許文献3に示されているように、レーザ光をその光軸が管状物体の中心軸と交差するように照射する必要がある。管状物体の中心軸が直線であり、管状物体の直径が大きければ、上記特許文献3に示されているように、管状物体を中心軸が設定された位置になるようにセット機構にセットし、レーザ光を設定された経路で管状物体と相対的に移動させればよいが、管状物体の中心軸に直線になっていない箇所があったり、管状物体の直径が小さい場合は、このようにしただけでは、常にレーザ光の光軸を管状物体の中心軸と交差するようにすることができず、厚さを測定できない箇所が存在するという問題があった。
【0006】
また、管状物体を回転させながらその全域の厚さ測定を行う場合であって、管状物体の直径が小さい場合には、管状物体の中心軸が常に設定位置にあるように管状物体を回転させることは困難であり、この場合もレーザ光を設定された経路で移動させただけでは、常にレーザ光の光軸を管状物体の中心軸と交差させることはできず、厚さを測定できない箇所が存在するという問題がある。また、管状物体を何らかの工程上の理由(管状物体が高温又は管状物体への異物付着を避ける等の理由)で、セット機構にセットすることができず、管状物体の一端を掴むのみの場合には、管状物体の中心軸を常に設定された位置にすることは難しく、レーザ光を設定された経路で移動させただけでは、常にレーザ光の光軸を管状物体の中心軸と交差させることができないことがあり、厚さを測定できない箇所が存在する場合があるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記問題に対処するためになされたもので、その目的は、透光性管状物体の中心軸方向に透光性管状物体と相対的にレーザ光を移動して透光性管状物体の全域の厚さを測定する際、透光性管状物体の中心軸が所定位置からずれている箇所がある場合でも、常に反射光を所定位置(解析処理をするための光学機器)に戻るようにすることができ、短時間で透光性管状物体の全域の厚さを測定することができる透光性管状物体の厚さ測定装置を提供することにある。なお、下記本発明の各構成要件の記載においては、本発明の理解を容易にするために、実施形態の対応箇所の符号を括弧内に記載しているが、本発明の各構成要件は、実施形態の符号によって示された対応箇所の構成に限定解釈されるべきものではない。
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、測定用レーザ光をレーザ光の光軸位置を変化させる光学部品(35,81)を介して透光性管状物体(G)に照射する測定用レーザ光照射手段(30〜34,60,61,70〜75,78〜80,83)と、透光性管状物体の外周面で反射する測定用レーザ光の反射光と透光性管状物体の内周面で反射する測定用レーザ光の反射光とを光学部品を介して第1受光センサで受光する測定用レーザ光受光手段(39,76,77)と、第1受光センサで受光した反射光の受光状態に対応する信号を生成して、前記生成した信号から測定用レーザ光が照射された位置における透光性管状物体の厚さを検出する厚さ検出手段(117,200,S142,S148,140)と、測定用レーザ光照射手段によって照射される測定用レーザ光の透光性管状物体に対する照射位置を、透光性管状物体の中心軸方向に移動させるレーザ光照射位置移動手段(11,110)とを備えた透光性管状物体の厚さ測定装置において、サーボ用レーザ光を光学部品を介して透光性管状物体に対して照射する手段であって、測定用レーザ光の透光性管状物体に対する照射位置又はその近傍位置にサーボ用レーザ光を対物レンズ(44,83)で集光して照射するサーボ用レーザ光照射手段(40〜43,62,63,70〜75,78〜80)と、サーボ用レーザ光の反射光を対物レンズ及び光学部品を介して受光して、サーボ用レーザ光の透光性管状物体の中心軸からのずれ量を表す信号を出力する第1ずれ量検出光学手段(42,47,48,80,84,85)と、第1ずれ量検出光学手段からの信号に基づいて、測定用レーザ光の光軸が透光性管状物体の中心軸と交差するように、光学部品を駆動制御する第1サーボ手段(36,82,119〜121)とを設けたことにある。
【0009】
上記のように構成した本発明においては、測定用レーザ光及びサーボ用レーザ光を、光軸位置を変化させることができる光学部品(例えば、回転可能なミラー)を介して透光性管状物体の表面に照射し、第1サーボ手段が、第1ずれ量検出光学手段によって検出されたサーボ用レーザ光の透光性管状物体の中心軸からのずれ量を表す信号に基づいて、測定用レーザ光の光軸が透光性管状物体の中心軸と交差するように光学部品を駆動制御する。これにより、透光性管状物体の中心軸が設定された位置からずれている場合でも、測定用レーザ光の光軸を常に透光性管状物体の中心軸と交差させることができるので、短時間で透光性管状物体の全域の厚さを的確に測定することができる。
【0010】
また、本発明の他の特徴は、サーボ用レーザ光の透光性管状物体からの反射光を入射して、対物レンズによるサーボ用レーザ光の焦点位置と、サーボ用レーザ光が照射される透光性管状物体の表面位置とのずれ量を表す信号を出力する第2ずれ量検出光学手段(42,47,49〜51,80,84,86〜88)と、第2ずれ量検出光学手段からの信号に基づいて、対物レンズによるサーボ用レーザ光の焦点位置がサーボ用レーザ光が照射される透光性管状物体の表面位置に一致するように、対物レンズをサーボ用レーザ光の光軸方向に駆動制御する第2サーボ手段(122〜124,44a,83a)とを設けたことにある。
【0011】
これによれば、第2サーボ手段は、第2ずれ量検出光学手段によって検出された焦点位置のずれ量を表す信号に基づいて、対物レンズによるサーボ用レーザ光の焦点位置がサーボ用レーザ光が照射される透光性管状物体の表面に一致するように、対物レンズをサーボ用レーザ光の光軸方向に駆動制御する。したがって、透光性管状物体の中心軸の変動をさらに精度よく検出することができるので、測定用レーザ光の光軸をさらに高精度で管状物体の中心軸と交差させるように制御することができる。
【0012】
また、本発明の他の特徴は、入射したレーザ光を分割する分割用光学素子(62)を設け、1つのレーザ光源からのレーザ光を分割用光学素子で分割して、測定用レーザ光とサーボ用レーザ光を生成するようにしたことにある。
【0013】
これによれば、レーザ光源、光学部品の数及びレーザ駆動回路の数を減らすことができるため、装置の製造コストを抑制することができる。
【0014】
さらに、本発明の他の特徴は、入射したレーザ光を分割する分割用光学素子(80)を設け、1つのレーザ光源から出射されたレーザ光を測定用レーザ光とサーボ用レーザ光とに共通のレーザ光として、透光性管状物体の中心軸の垂直方向から対物レンズを介して透光性管状物体に照射し、透光性管状物体によって反射された測定用レーザ光とサーボ用レーザ光とに共通のレーザ光を分割用光学素子で分割して、測定用レーザ光の反射光とサーボ用レーザ光の反射光を生成するようにしたことにある。
【0015】
これによっても、レーザ光源、光学部品の数及びレーザ駆動回路の数を減らし、装置の製造コストを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係る透光性管状物体の厚さ測定装置の全体構成図である。
【図2A】図1の光ヘッドの構造を詳細に示す構成図である。
【図2B】図2AのB−B線に沿って見た光ヘッドの構造を詳細に示す構成図である。
【図3】ガラス管の変位とフォトディテクタに照射された反射光の位置変化との関係を説明するための説明図である。
【図4A】図1のコントローラによって実行される厚さ測定プログラムの前半部分を示すフローチャートである。
【図4B】前記厚さ測定プログラムの後半部分を示すフローチャートである。
【図5A】本発明の第2実施形態に係る透光性管状物体の厚さ測定装置における光ヘッドの構造を詳細に示す構成図である。
【図5B】図5BのB−B線に沿って見た光ヘッドの構造を詳細に示す構成図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る透光性管状物体の厚さ測定装置の全体構成図である。
【図7A】図6の分光ユニットの構造を詳細に示す構成図である。
【図7B】図6の測定ヘッドの構造を詳細に示す構成図である。
【図8A】図6のコントローラによって実行される厚さ測定プログラムの前半部分を示すフローチャートである。
【図8B】前記厚さ測定プログラムの後半部分を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
a.第1実施形態
以下、本発明の第1実施形態について図面を用いて説明する。図1は、第1実施形態に係る透光性管状物体の厚さ測定装置の全体構成図である。この厚さ測定装置は、ガラス管などのような透光性管状物体の厚さを、レーザ光を透光性管状物体に照射して、透光性管状物体からの反射光を受光することにより測定するものである。透光性管状物体は、本実施形態では、細いガラス管Gである。厚さ測定装置は、ガラス管Gを保持して移動させるワーク駆動装置10と、ガラス管Gの厚さを測定するために測定用レーザ光をガラス管Gに照射するとともにガラス管Gからの反射光を受光する光ヘッド100と、ワーク駆動装置10及び光ヘッド100を支持する支持装置20を備えている。
【0018】
支持装置20は、水平部20a及び垂直部20bからなるL字型に一体形成されている。水平部20aの図示左端部側には、X軸方向フィードモータ11が組み付けられている。X軸方向フィードモータ11は、その出力回転軸をX軸方向(図面の上下方向)に延設されたスクリューロッド12の下端に連結させて、回転によりスクリューロッド12をX軸線周りに回転させる。なお、Y軸方向は紙面の垂直方向とし、Z軸方向は図面の左右方向とする。スクリューロッド12の上端は、垂直部20bの上端にて突出させた突出部に回転可能に支持されている。スクリューロッド12には、移動体13がナットを介して螺合されている。移動体13は、スクリューロッド12に対する回転が規制され、スクリューロッド12の回転によりスクリューロッド12の軸線方向に移動する。すなわち、移動体13は、スクリューロッド12との組み合わせによりねじ送り機構を構成している。
【0019】
X軸方向フィードモータ11内には、エンコーダ11aが組み込まれている。このエンコーダ11aは、X軸方向フィードモータ11が所定の微小回転角度だけ回転するたびに、その出力がハイレベルとローレベルとに交互に切り替わるパルス列信号ΦA,ΦBを出力する。なお、パルス列信号ΦA,ΦBは互いにπ/2だけ位相のずれた信号であり、この位相ずれによりX軸方向フィードモータ11の回転方向が判別される。エンコーダ11aから出力されるパルス列信号ΦA,ΦBは、X軸方向フィードモータ制御回路110と移動位置検出回路111に入力される。移動位置検出回路111は、後述するコントローラ200からの指示により作動開始し、作動開始後、エンコーダ11aから出力されるパルス列信号ΦA,ΦBが入力されなくなると移動限界位置を意味する信号をX軸方向フィードモータ制御回路110に出力し、カウント値を「0」として、以後、エンコーダ11aが出力するパルス列信号ΦA,ΦBのパルス数をX軸方向フィードモータ11の回転方向に応じてカウントアップ又はカウントダウンする。そして積算したカウント数から移動体13の移動位置を計算してコントローラ200及びX軸方向フィードモータ制御回路110に出力する。このカウント値が「0」となる移動限界位置が、移動体13の移動位置を制御する原点位置(本実施形態では上側の移動限界位置)となる。
【0020】
X軸方向フィードモータ制御回路110は、コントローラ200からの指示により作動開始し、コントローラ200から移動位置の設定値を入力すると、移動位置検出回路111から所定時間間隔で出力される移動位置を入力し、入力した移動位置がコントローラ200から入力した設定値になるまでX軸方向フィードモータ制御回路110を駆動して移動体13を移動させる。なお、作動開始直後において移動位置の設定値が入力されると、X軸方向フィードモータ11を駆動して移動体13を移動限界位置方向に移動させ、移動位置検出回路111から移動限界位置を表す信号を入力するとX軸方向フィードモータ11への駆動信号の出力を停止する。その後、移動位置検出回路111から出力される移動位置がコントローラ200から入力した移動位置の設定値になるまでX軸方向フィードモータ11を駆動して移動体13を移動させる。
【0021】
また、X軸方向フィードモータ制御回路110には、移動体13の移動速度の設定値(設定速度)がコントローラ200により入力される。そして、コントローラ200から移動開始の指示を入力すると、エンコーダ11aから出力されるパルス列信号ΦA,ΦBのX軸方向フィードモータ11の回転方向を含む単位時間当たりのパルス数から移動体13の移動方向を含む移動速度を計算し、計算した移動速度が設定速度になるようにX軸方向フィードモータ11を駆動制御する。
【0022】
移動体13には、スピンドルモータ14が組み付けられている。スピンドルモータ14の出力回転軸の先端には、ガラス管Gの一端(上端)を固定するための固定具15が組み付けられている。したがって、固定具15にガラス管Gを固定した状態で、スピンドルモータ14を回転させることにより、ガラス管Gは軸線周りに回転する。
【0023】
スピンドルモータ14内には、エンコーダ14aが組み込まれている。エンコーダ14aは、X軸方向フィードモータ11の場合と同様に、スピンドルモータ14の回転方向の情報を含むパルス列信号ΦA,ΦBを出力する。また、エンコーダ14aは、基準回転位置ごとにインデックス信号Indexも出力する。エンコーダ14aから出力されるパルス列信号ΦA,ΦBは、スピンドルモータ制御回路112に入力される。スピンドルモータ制御回路112は、コントローラ200からの指示により作動開始し、エンコーダ14aから出力されるパルス列信号ΦA,ΦBの単位時間当たりのパルス数からスピンドルモータ14の回転速度を計算し、計算した回転速度がコントローラ200によって設定された回転速度に等しくなるようにスピンドルモータ14の回転を制御する。
【0024】
エンコーダ14aから出力されるパルス列信号ΦA,ΦB及びインデックス信号Indexは、回転角度検出回路113に入力される。回転角度検出回路113は、インデックス信号Indexの到来によりカウント値を「0」にリセットし、パルス列信号ΦA又はΦBの到来ごとにカウント値をアップさせて、カウント値をスピンドルモータ14の回転角度を表す信号としてコントローラ200に出力する。
【0025】
支持装置20の水平部20aの図示右端部には、Z軸方向フィードモータ21が組み付けられている。Z軸方向フィードモータ21は、その出力回転軸をZ軸方向に延設されたスクリューロッド22の右端に連結させて、回転によりスクリューロッド22をZ軸線周りに回転させる。スクリューロッド22の左端は、水平部20aの上面にて突出させた突出部に回転可能に支持されている。スクリューロッド22には、テーブル23がナットを介して螺合されている。テーブル23は、スクリューロッド22に対する回転が規制され、スクリューロッド22の回転によりスクリューロッド22の軸線方向に移動する。すなわち、テーブル23は、スクリューロッド22との組み合わせによりねじ送り機構を構成している。
【0026】
Z軸方向フィードモータ21内には、エンコーダ21aが組み込まれている。このエンコーダ21aも、X軸方向フィードモータ11と同様なパルス列信号ΦA,ΦBを出力する。エンコーダ21aから出力されるパルス列信号ΦA,ΦBは、移動位置検出回路115に入力される。移動位置検出回路115は、コントローラ200からの指示により作動開始し、作動開始後、エンコーダ21aから出力されるパルス列信号ΦA,ΦBが入力されなくなると移動限界位置を意味する信号をZ軸方向フィードモータ制御回路114に出力し、カウント値を「0」として、以後、エンコーダ21aが出力するパルス列信号ΦA,ΦBのパルス数をZ軸方向フィードモータ21の回転方向に応じてカウントアップ又はカウントダウンする。そして積算したカウント数からテーブル23の移動位置を計算してコントローラ200及びZ軸方向フィードモータ制御回路114に出力する。このカウント値が「0」となる移動限界位置が、テーブル23の移動位置を制御する原点位置(本実施形態では左側の移動限界位置)となる。
【0027】
Z軸方向フィードモータ制御回路114は、コントローラ200からの指示により作動開始し、コントローラ200から移動位置の設定値を入力すると、移動位置検出回路115から所定時間間隔で出力される移動位置を入力し、入力した移動位置がコントローラ200から入力した設定値になるまでZ軸方向フィードモータ21を駆動してテーブル23を移動させる。なお、作動開始直後において移動位置の設定値が入力されると、Z軸方向フィードモータ21を駆動してテーブル23を移動限界位置方向に移動させ、移動位置検出回路115から移動限界位置を表す信号を入力するとX軸方向フィードモータ21への駆動信号の出力を停止する。その後、移動位置検出回路115から出力される移動位置がコントローラ200から入力した移動位置の設定値になるまでZ軸方向フィードモータ21を駆動してテーブル23を移動させる。
【0028】
テーブル23上には、光ヘッド100が固定されている。図1は、平面内に全ての部品を網羅した光ヘッド100の概念図である。図2A及び図2Bは、この光ヘッド100を詳細に示しており、図2Aは光ヘッド100をガラス管Gの中心軸方向(X軸方向)から見た図であり、図2Bは光ヘッド100を図2Aの矢印B−B線に沿って見た図である。なお、図2A及び図2Bにおいては、見た方向に重なっている部品に関しては適宜省略されている。具体的には、図2Aでは、後述する測定用レーザ光源30、ラインセンサ39及び測定用レーザ光の光路上にある部品が省略されている。図2Bでは、サーボ用レーザ光の反射光の光路上にある部品が省略されている。
【0029】
光ヘッド100は、測定用レーザ光源30を有する。測定用レーザ光源30から出射された測定用レーザ光は、コリメートレンズ31で平行光に変換され、その大部分がビームスプリッタ32を通過して、リレーレンズ33,34を介してガルバノミラー35に入射し、ガルバノミラー35で反射されてガラス管Gに照射される。リレーレンズ33,34は、測定用レーザ光の断面径を小さくするために利用される。ガルバノミラー35は、ミラーの平面がX軸方向に平行であって、モータ36の駆動軸に組付けられた回転軸を有する。これにより、ガルバノミラー35は、モータ36によって正転・逆転駆動されて、入射した測定用レーザ光を反射してその光軸方向を変更する。ガラス管Gに照射される測定用レーザ光の光軸は、X−Z平面に平行で、ガラス管Gの軸線(すなわちX軸)に対して予め決められた角度だけ傾いている。
【0030】
一方、ビームスプリッタ32で反射された一部の測定用レーザ光は、集光レンズ37によりフォトディテクタ38の受光面に集光される。フォトディテクタ38は、受光面に集光された光の強度に応じた受光信号を出力する受光素子である。フォトディテクタ38からの受光信号は測定用レーザ駆動回路116に供給される。測定用レーザ駆動回路116は、コントローラ200によって作動制御され、測定用レーザ光源30を駆動制御する。この場合、測定用レーザ駆動回路116は、フォトディテクタ38からの受光信号を用いて測定用レーザ光の強度をフィードバック制御するので、測定用レーザ光源30は常に適正な強度の測定用レーザ光を出射する。
【0031】
ガラス管Gに照射された測定用レーザ光は、まずガラス管Gの外周面で反射されてガルバノミラー35に入射し、ガルバノミラー35にて反射されてラインセンサ39によって受光される。また、ガラス管Gに照射された測定用レーザ光は、ガラス管Gの表面で屈折してガラス管Gの肉厚部分に侵入し、ガラス管Gの内周面で反射してガラス管Gの外周面に導かれる。ガラス管Gの外周面に導かれた測定用レーザ光は、ガラス管Gの外周面でふたたび屈折して外部に導かれ、ガルバノミラー35で反射されてラインセンサ39に到達する。ラインセンサ39は、CCD、CMOS等の画素が直線に配列された受光素子であり、前記ガラス管Gの外周面で反射した測定用レーザ光と、ガラス管Gの内周面で反射した測定用レーザ光の受光位置はガラス管Gの厚さに応じて異なる。
【0032】
ラインセンサ39には、センサ信号取出回路117が接続されている。センサ信号取出回路117は、コントローラ200により制御されて、予め決められた周期でラインセンサ39の各画素の信号を導出し、画素ごとに、信号強度に相当するディジタルデータと画素位置のディジタルデータとを対にしてコントローラ200に出力する。
【0033】
また、光ヘッド100は、サーボ用レーザ光源40を有する。サーボ用レーザ光源40から出射されたサーボ用レーザ光は、コリメートレンズ41で平行光に変換され、その大部分が偏光ビームスプリッタ42を通過してガルバノミラー35に入射する。ガルバノミラー35で反射されたサーボ用レーザ光は、1/4波長板43及び対物レンズ44を介してガラス管Gの外周面に照射される。この場合、ガラス管Gの外周面に照射される測定用レーザ光の光軸はZ軸であり、測定用レーザ光はガラス管Gの外周面上で集光されて小さな光スポットを形成するように設定されている。
【0034】
一方、偏光ビームスプリッタ42で反射されたサーボ用レーザ光源40からの一部のサーボ用レーザ光は、集光レンズ45によりフォトディテクタ46の受光面に集光される。フォトディテクタ46は、受光面に集光された光の強度に応じた受光信号を出力する受光素子である。フォトディテクタ46からの受光信号はサーボ用レーザ駆動回路118に供給される。サーボ用レーザ駆動回路118は、コントローラ200によって作動制御され、サーボ用レーザ光源40を駆動制御する。この場合、サーボ用レーザ駆動回路118は、フォトディテクタ46からの受光信号を用いてサーボ用レーザ光の強度をフィードバック制御するので、サーボ用レーザ光源40は常に適正な強度のサーボ用レーザ光を出射する。
【0035】
サーボ用レーザ光のガラス管Gからの反射光は、対物レンズ44によって平行光に変換され、1/4波長板43を介してガルバノミラー35に入射し、ガルバノミラー35で反射されて偏光ビームスプリッタ42に導かれて、偏光ビームスプリッタ42で反射される。偏光ビームスプリッタ42で反射されたサーボ用レーザ光の半分は、ビームスプリッタ47を透過し、残りの半分はビームスプリッタ47で反射する。ビームスプリッタ47を透過したサーボ用レーザ光の反射光は、2分割のフォトディテクタ48で受光される。フォトディテクタ48は、図3に示すように、受光領域が図示左右(Y軸方向)に2分割された2つの受光素子を備え、その受光領域A,Bに入射したサーボ用レーザ光の強度に比例した検出信号を受光信号(a,b)として出力する。また、フォトディテクタ48は、Z軸方向から見てガラス管Gの中心軸がスピンドルモータ14の回転軸と一致しているときに、図3(b)に示すように、サーボ用Z軸方向レーザ光が受光領域の分割線DIVにより2分割される位置に配置される。
【0036】
フォトディテクタ48から出力される受光信号(a,b)は、Y軸方向エラー信号生成回路119に入力される。Y軸方向エラー信号生成回路119は、受光信号(a,b)を増幅した後、これらの信号を使って光強度の差(a−b)を演算し、その演算結果をY軸方向エラー信号(a−b)としてY軸方向サーボ回路120に出力する。ガラス管Gの位置がY軸方向に変動すると、図3(a),(b),(c)に示すように、その変動位置に応じてガラス管Gに照射されるサーボ用Z軸方向レーザ光の位置が変化し、これに伴って、フォトディテクタ48に受光される反射光RLの位置が変化する。このため、Y軸方向エラー信号(a−b)の大きさは、ガラス管Gの中心軸とスピンドルモータ14の回転軸とのY軸方向におけるずれ量を表すものとなる。
【0037】
Y軸方向サーボ回路120及びY軸方向ドライブ回路121の動作に関しては、Y軸方向サーボ回路120が、Y軸方向エラー信号生成回路119から入力したY軸方向エラー信号(a−b)に基づいて、Y軸方向エラー信号(a−b)が「0」になるようにY軸方向サーボ信号を発生し、Y軸方向ドライブ回路121がY軸方向サーボ信号に基いてモータ36に駆動信号を出力して、ガルバノミラー35をX軸周りに回転させる。したがって、フォトディテクタ48に受光されたサーボ用Z軸方向レーザ光の反射光が、受光面の中央に維持されるようにガルバノミラー35のX軸方向に平行な直線周りの回転角がサーボ制御されることとなる。このため、サーボ用Z軸方向レーザ光及び測定用レーザ光の光軸がガラス管Gの中心軸と交差するように維持される。
【0038】
ビームスプリッタ47で反射されたサーボ用レーザ光の半分は、集光レンズ49にて2分割のフォトディテクタ50に集光される。集光レンズ49とフォトディテクタ50との間にはナイフ51が設けられている。これら集光レンズ49、フォトディテクタ50及びナイフ51は、光ディスク装置でよく用いられるナイフエッジ法によるフォーカスサーボに利用されるものである。2分割のフォトディテクタ50は、領域ごとの入射したサーボ用レーザ光の強度を表す信号をそれぞれZ軸方向エラー信号生成回路122に出力する。
【0039】
Z軸方向エラー信号生成回路122は、入力した2信号の差をZ軸方向エラー信号として、Z軸方向サーボ回路123に出力する。なお、Z軸方向エラー信号は、いわゆるフォーカスエラー信号である。Z軸方向サーボ回路123はZ軸方向エラー信号に基づいてZ軸方向サーボ信号を生成してZ軸方向ドライブ回路124に出力し、Z軸方向ドライブ回路124はこのZ軸方向サーボ信号に基づいてフォーカスアクチュエータ44aを駆動制御する。フォーカスアクチュエータ44aは、対物レンズ44を光軸方向に変位させて、対物レンズ44の焦点を光軸方向に変位させる。この場合、ガラス管Gの直径はある程度大きいので、この方法で対物レンズ44の焦点をガラス管Gの表面に一致させることができ、ガラス管GのY軸方向の変位を精度よく検出することができる。ナイフエッジ法を用いるのは、2分割のフォトディテクタ50が出力する2つの信号の差がガラス管GのZ軸方向の変位のみにより起こるようにするためである。
【0040】
また、この透光性管状物体の厚さ測定装置は、コントローラ200、入力装置202及び表示装置204も備えている。コントローラ200は、CPU、ROM、RAM、タイマ及びハードディスクなどの大容量の不揮発性メモリを有するコンピュータ装置によって構成され、図4A及び図4Bに示す厚さ測定プログラムの実行により、各種回路を制御してガラス管Gの厚さを測定する。入力装置202は、キーボードからなり、作業者が種々の情報を入力するとともに、コントローラ200の作動に対して指示する。表示装置204は、コントローラ200によって制御された各種情報を表示する。
【0041】
次に、上記のように構成した厚さ測定装置の動作を説明する。まず、作業者は、ガラス管Gの上端部を固定具15に固定し、入力装置202を操作してガラス管Gの長さを入力する。そして、作業者、入力装置202を操作することにより、コントローラ200に図4A及び図4Bの厚さ測定プログラムを実行させる。
【0042】
コントローラ200は、この厚さ測定プログラムの実行を図4AのステップS100にて開始して、ステップS102にて変数nを「0」に設定する。この変数nは、ラインセンサ39からのセンサ信号、回転角度検出回路113からの回転角度データ及び移動位置検出回路111からのX軸方向位置データの取込みタイミングを規定するものである。
【0043】
前記ステップS102の処理後、コントローラ200は、ステップS104にて、X軸方向フィードモータ制御回路110に対してガラス管Gを測定開始位置まで移動するように指示する。具体的には、測定用レーザ光がガラス管Gの測定開始点に照射されるようなX軸方向位置を測定開始位置としてX軸方向フィードモータ制御回路110に出力する。測定開始位置は、以下のA,B,CからA−B+Cの計算を行うことで求められる。なお、A,Cは予めコントローラ200に記憶されている。
A:移動体13のX軸方向位置が原点位置にある状態(すなわち移動体13の上側移動限界位置にある状態)で、固定具15にガラス管Gを固定したときに固定具15内でガラス管Gの上側の先端位置からサーボ用レーザ光の光軸までのX軸方向距離
B:入力装置202を用いて入力されたガラス管Gの長さ(B<A)
C:ガラス管Gにおける下側の先端位置から測定開始点までの距離
【0044】
X軸方向フィードモータ制御回路110は、X軸方向フィードモータ11を回転させることにより、スクリューロッド12を軸線周りに回転させて移動体13をX軸方向に移動させ、ガラス管GをX軸線方向に測定開始位置に向かって移動させる。このガラス管GのX軸方向への移動中、X軸方向フィードモータ制御回路110は、移動位置検出回路111から移動体13(すなわちガラス管G)のX軸方向位置を表すX軸方向位置データを入力している。そして、入力したX軸方向位置データがコントローラ200から入力された測定開始位置を示すと、X軸方向フィードモータ制御回路110は、X軸方向フィードモータ11の回転を停止させて、移動体13及びガラス管GのX軸方向への移動を停止させる。
【0045】
一方、コントローラ200も、前記ステップS104の処理後、ステップS106にて、移動位置検出回路111からX軸方向位置データを入力して、入力したX軸方向位置データが測定開始位置以上になったかを判定する。X軸方向位置データが測定開始位置以上にならなければ、コントローラ200はステップS106にて「No」と判定し続けて、ステップS106の処理を繰り返し実行する。そして、X軸方向位置データが測定開始位置以上になった時点で、コントローラ200は、ステップS106にて「Yes」と判定して、ステップS108に進む。
【0046】
ステップS108においては、コントローラ200は、Z軸方向フィードモータ制御回路114に対して光ヘッド100を測定用設定位置まで移動するように指示する。具体的には、サーボ用レーザ光がガラス管Gの外周面上に集光されてスポットが形成されるようなZ軸方向位置を測定用設定位置としてZ軸方向フィードモータ制御回路114に出力する。Z軸方向フィードモータ制御回路114は、Z軸方向フィードモータ21を回転させることにより、スクリューロッド22を軸線周りに回転させてテーブル23をZ軸方向に移動させ、テーブル23及び光ヘッド100をZ軸方向に測定用設定位置に向かって移動させる。このテーブル23及び光ヘッド100のZ軸方向への移動中、Z軸方向フィードモータ制御回路114は、移動位置検出回路115からテーブル23(すなわち光ヘッド100)のZ軸方向位置を表すZ軸方向位置データを入力している。そして、入力したZ軸方向位置データがコントローラ200から入力された測定用設定位置を示すと、Z軸方向フィードモータ制御回路114は、Z軸方向フィードモータ21の回転を停止させて、テーブル23及び光ヘッド100のZ軸線方向への移動を停止させる。
【0047】
一方、コントローラ200も、前記ステップS108の処理後、ステップS110にて、移動位置検出回路115からZ軸方向位置データを入力して、入力したZ軸方向位置データが測定用設定位置以上になったかを判定する。Z軸方向位置データが測定用設定位置以上にならなければ、コントローラ200はステップS110にて「No」と判定し続けて、ステップS110の処理を繰り返し実行する。そして、Z軸方向位置データが測定用設定位置以上になった時点で、コントローラ200は、ステップS110にて「Yes」と判定して、ステップS112に進む。
【0048】
ステップS112においては、コントローラ200は、測定用レーザ駆動回路116を作動開始させる。これにより、測定用レーザ駆動回路116は、測定用レーザ光源30を駆動して測定用レーザ光を出射させる。この場合、測定用レーザ駆動回路116は、フォトディテクタ38からの受光信号を用いて測定用レーザ光の強度をフィードバック制御するので、測定用レーザ光源30は常に適正な強度の測定用レーザ光を出射する。
【0049】
測定用レーザ光源30から出射された測定用レーザ光は、コリメートレンズ31で平行光に変換され、その大部分がビームスプリッタ32を通過してリレーレンズ33,34を介してガルバノミラー35に入射し、ガルバノミラー35にて反射されてガラス管Gに照射される。ガラス管Gに照射された測定用レーザ光は、まずガラス管Gの外周面で反射され、ガルバノミラー35にて反射されてラインセンサ39によって受光される。また、ガラス管Gに照射された測定用レーザ光は、ガラス管Gの表面で屈折してガラス管Gの肉厚部分に侵入し、ガラス管Gの内周面で反射してガラス管Gの外周面に導かれる。ガラス管Gの外周面に導かれた測定用レーザ光は、ガラス管Gの外周面でふたたび屈折して外部に導かれてガルバノミラー35に入射し、ガルバノミラー35にて反射されてラインセンサ39に到達する。
【0050】
前記ステップS112の処理後、コントローラ200は、ステップS114にて、サーボ用レーザ駆動回路118を作動開始させる。これにより、サーボ用レーザ駆動回路118は、サーボ用レーザ光源40を駆動してサーボ用レーザ光を出射させる。この場合、サーボ用レーザ駆動回路118は、フォトディテクタ46からの受光信号を用いてサーボ用レーザ光の強度をフィードバック制御するので、サーボ用レーザ光源40は常に適正な強度の測定用レーザ光を出射する。
【0051】
サーボ用レーザ光源40から出射されたサーボ用レーザ光は、コリメートレンズ41で平行光に変換され、その大部分が偏光ビームスプリッタ42を通過してガルバノミラー35に入射し、ガルバノミラー35にて反射されて1/4波長板43及び対物レンズ44を介してガラス管Gの外周面に照射される。サーボ用レーザ光のガラス管Gからの反射光は、対物レンズ44によって平行光に変換され、1/4波長板43を介してガルバノミラー35に入射し、ガルバノミラー35にて反射されて偏光ビームスプリッタ42に導かれ、偏光ビームスプリッタ42で反射される。偏光ビームスプリッタ42で反射されたサーボ用レーザ光の半分は、ビームスプリッタ47を通過して2分割のフォトディテクタ48で受光される。残りの半分はビームスプリッタ47で反射して、集光レンズ49によって集光され、ナイフ51を介してフォトディテクタ50に導かれる。フォトディテクタ48で受光されたサーボ用レーザ光の受光量を表す受光信号はY軸方向エラー信号生成回路119に供給され、Y軸方向エラー信号生成回路119はこの受光信号に基づいてY軸方向エラー信号(a−b)を生成する。一方、フォトディテクタ50で受光されたサーボ用レーザ光の受光量を表す受光信号はZ軸方向エラー信号生成回路122に供給され、Z軸方向エラー信号生成回路122はこの受光信号に基づいてZ軸方向エラー信号(すなわち、フォーカスエラー信号)を生成する。
【0052】
前記ステップS114の処理後、コントローラ200は、ステップS116にてY軸方向サーボ回路120に作動開始を指示する。これに応答して、Y軸方向サーボ回路120は、作動を開始して、Y軸方向エラー信号生成回路119から入力したY軸方向エラー信号(a−b)に基づいてY軸方向サーボ信号を作成し、Y軸方向ドライブ回路121を介してモータ36を駆動制御して、ガルバノミラー35のX軸方向に平行な直線周りの回転をサーボ制御する。したがって、フォトディテクタ48に受光されたサーボ用Z軸方向レーザ光の反射光が、受光面の中央に維持されるようにガルバノミラー35のX軸方向に平行な直線周りの回転角がサーボ制御されることとなり、ガラス管GがY軸方向に変位しても、その変位に応じてガルバノミラー35がX軸方向に平行な直線周りに回転制御され、サーボ用Z軸方向レーザ光及び測定用レーザ光の光軸が常にガラス管Gの中心軸と交差するように維持される。
【0053】
前記ステップS116の処理後、コントローラ200は、ステップS118にてZ軸方向サーボ回路123に作動開始を指示する。これに応答して、Z軸方向サーボ回路123は、作動を開始して、Z軸方向エラー信号生成回路122から入力したZ軸方向エラー信号に基づいてZ軸方向サーボ信号を発生し、Z軸方向ドライブ回路124を介してフォーカスアクチュエータ44aを駆動して、対物レンズ44をZ軸方向にサーボ制御(すなわちフォーカスサーボ制御)する。これにより、サーボ用レーザ光の焦点位置をガラス管Gの表面に一致させることができ、ガラス管GのY軸方向の変位を精度よく検出することができる。
【0054】
前記ステップS118の処理後、コントローラ200は、ステップS120にて、センサ信号取出回路117に対して作動開始を指示する。これに応答して、センサ信号取出回路117は作動を開始し、予め決められた周期でラインセンサ39の各画素の信号を導出し、画素ごとに、信号強度に相当するディジタルデータと画素位置のディジタルデータとを対にしてコントローラ200に出力し始める。コントローラ200は、ステップS122にて前記ラインセンサ39から出力される信号強度と画素位置を表すディジタルデータを入力する。この場合、ラインセンサ39に入力される反射光は、図2Bに示すように、ガラス管Gの外周面の反射光とガラス管Gの内周面の反射光であり、信号強度は2つのピーク値を有する。そして、ステップS122においては、この2つのピーク値のうちの一方のピーク値が位置するラインセンサ39上の位置(ピーク位置)を計算する。本実施形態においては、ガラス管Gの外周面で反射した測定用レーザ光に関するピーク値、すなわち図2Bにてラインセンサ39の上側のピーク値が位置するラインセンサ39上の位置(ピーク位置)を計算する。
【0055】
前記ステップS122の処理後、コントローラ200は、ステップS124にて、前記計算したピーク位置からラインセンサ39上の予め決められた設定位置を減算して、減算結果の絶対値が所定の小さな許容値以下であるかを判定する。この場合、予め決められた設定位置とは、ラインセンサ39の長尺方向の中心位置から、図2Bにて若干上方の位置である。そして、この位置は、フォーカスサーボ制御による対物レンズ44の変位が原点位置を中心に行われる位置である。前記絶対値が許容値以下であれば、コントローラ200は、ステップS124にて「Yes」と判定して、図4BのステップS132に進む。一方、前記絶対値が許容値よりも大きければ、コントローラ200は、ステップS124にて「No」と判定して、ステップS126に進む。
【0056】
ステップS126においては、コントローラ200は、前記減算結果(ピーク位置−設定位置)からZ軸方向への移動距離を検出し、現在のZ軸方向位置に移動距離を加算してテーブル23のZ軸方向移動位置を計算する。なお、この移動距離の計算においては、減算結果(ピーク位置−設定位置)に対するテーブル23のZ軸方向への移動距離を示す変換関数又は変換テーブルを予め用意しておき、この変換関数又は変換テーブルを用いる。次に、コントローラ200は、ステップS128にてテーブル23の移動位置をZ軸方向フィードモータ制御回路114に出力する。Z軸方向フィードモータ制御回路114は、Z軸方向フィードモータ21の作動を制御するとともに、移動位置検出回路115からテーブル23のZ軸方向位置を入力して、テーブル23を前記入力された移動位置まで移動する。前記ステップS128の処理後、コントローラ200は、ステップS130にて、移動位置検出回路115からテーブル23の移動位置を入力して、前記入力した移動位置が前記Z軸方向フィードモータ制御回路114に指示した移動位置に達したか否かを判定する。テーブル23の移動位置が前記指示した移動位置に達するまで、コントローラ200はステップS130にて「No」と判定し続けてステップS130の処理を続ける。一方、テーブル23の移動位置が前記指示した移動位置に達すると、コントローラ200はステップS130にて「Yes」と判定して、前述したステップS122,S124の処理を実行する。これらのステップS122〜S130の処理により、ガラス管Gの外周面にて反射した測定用レーザ光の光軸位置がラインセンサ39の長尺方向中央位置から若干だけ上に位置するようになる。そして、この状態では、ガラス管Gの外周面で反射した測定用レーザ光の光軸と、ガラス管Gの内周で反射した測定用レーザ光の光軸の中央がラインセンサ39の長尺方向中央にほぼ位置する。なお、ステップS122からステップS130までの処理を行うのは、厚さ測定を行うガラス管Gの直径がガラス管Gによって多少変化するため、光ヘッド100からガラス管Gの表面までの距離を一定にして、サーボ用レーザ光が集光する位置に測定用レーザ光が照射されるようにするためである。
【0057】
ステップS132においては、コントローラ200は、スピンドルモータ制御回路112にガラス管Gの軸線周りの回転開始を指示するとともに、回転速度も指示する。スピンドルモータ制御回路112は、エンコーダ14aからのパルス列信号ΦA,ΦBに基づいて計算したスピンドルモータ14の回転速度を用いて、ガラス管Gが前記指示された回転速度で回転するように、スピンドルモータ14を回転させ始める。これにより、ガラス管Gは、前記指示された回転速度で軸線周りに回転し始める。次に、コントローラ200は、ステップS134にて、回転角度検出回路113に作動開始を指示する。これにより、回転角度検出回路113は、スピンドルモータ14の回転角度(ガラス管Gの軸線周りの回転角度)を表す回転角度データをコントローラ200に出力し始める。
【0058】
前記ステップS134の処理後、コントローラ200は、ステップS136にて、X軸方向フィードモータ制御回路110にガラス管GのX軸方向への移動開始を指示するとともに、移動速度も指示する。X軸方向フィードモータ制御回路110は、エンコーダ11aからのパルス列信号ΦA,ΦBに基づいて計算したX軸方向フィードモータ11の回転速度を用いて、ガラス管Gが前記指示された移動速度でX軸方向(図示下方向)に移動するように、X軸方向フィードモータ11を回転させ始める。これにより、ガラス管Gは、前記指示された移動速度でX軸方向に移動し始める。次に、コントローラ200は、ステップS138にて、タイマによる時間計測を開始させる。
【0059】
前記ステップS138の処理後、コントローラ200は、ステップS140にて計測時間が所定の短時間Tに変数nを乗算した乗算結果nT以上であるかを判定する。いま、変数nは「0」であるので、コントローラ200は、ステップS140にて「Yes」と判定して、ステップS142にてセンサ信号取出回路117から最新のセンサ信号を取込み、ステップS144にて回転角度検出回路113から回転角度データを取込み、ステップS146にて移動位置検出回路111からX軸方向位置データを取込む。そして、コントローラ200は、ステップS148にて、ガラス管Gの厚さを計算する。
【0060】
このガラス管Gの計算においては、ラインセンサ39によって受光されたガラス管Gの外周面及び内周面での2つの反射測定用レーザ光の各ピーク値の位置(ピーク位置)を検出する。この場合、ピーク値は、ガラス管Gの外周面及び内周面でそれぞれ反射した測定用レーザ光の光軸にそれぞれ対応する。次に、前記検出した2つのピーク位置を用いて、2つのピーク位置間の距離を求める。そして、ピーク位置間の距離から、予め用意された変換関数又は変換テーブルを用いて、測定用レーザ光が照射されている位置のガラス管Gの厚さを計算する。この変換関数又は変換テーブルは、ガラス管Gの屈折率及び測定用レーザ光のガラス管Gの軸線に対する角度が定まれば一義的に決まるものであり、ガラス管の屈折率が分かっていない場合には、ガラス管Gの屈折率を測定して入力することで定める。なお、測定用レーザ光のガラス管Gの軸線に対する角度は本実施形態による装置によって定まるものである。そして、このステップS148においては、計算されたガラス管Gの厚さを、前入力した回転角度データ及びX方向位置データと対応付けてメモリに記憶しておく。
【0061】
前記ステップS148の処理後、コントローラ200は、ステップS150にて、前記取込んだX軸方向位置データによって表されたX軸方向位置が測定終了位置以上を示しているか、すなわちガラス管Gの長さから設定される測定終了位置以上にガラス管Gが既に移動されたかを判定する。また、コントローラ200は、ステップS152において、前記取込んだセンサ信号中に設定値以上の強度を示す受光データが無いか、すなわち測定用レーザ光の照射位置がガラス管Gの端部を通り過ぎてしまったか、又はサーボ制御が行われていないかを判定する。X軸方向位置が測定終了位置以上を示しておらず、かつセンサ信号中に設定値以上の強度を示す受光データが有れば、コントローラ200は、ステップS150,S152にて共に「No」と判定して、ステップS154にて変数nに「1」を加算して、ステップS140に戻る。そして、計測開始されてからの時間がnT以上になるごとに、コントローラ200は、前述したステップS142〜S148の処理を繰り返し行う。これにより、メモリには、回転角度データによって表されたガラス管Gの軸線周りの角度及びX方向位置データによって表されたガラス管Gの軸線方向位置ごとに、ガラス管Gの厚さを表すデータが記憶されていく。
【0062】
そして、X軸方向位置が測定終了位置以上を示し、又はセンサ信号中に設定値以上の強度を示す受光データが無くなると、コントローラ200は、ステップS150又はS152にて「Yes」と判定して、ステップS156以降に進む。コントローラ200は、ステップS156にてスピンドルモータ制御回路112にスピンドルモータ14の作動停止を指示する。これにより、スピンドルモータ制御回路112はスピンドルモータ14の回転を停止させ、ガラス管Gの軸線周りの回転が停止する。つぎに、コントローラ200は、ステップS158にてX軸方向フィードモータ制御回路110にX軸方向フィードモータ11の作動停止を指示する。これにより、X軸方向フィードモータ制御回路110はX軸方向フィードモータ11の回転を停止させ、ガラス管Gの軸線方向(X軸方向)の移動が停止する。次に、コントローラ200は、ステップS160にてY軸方向サーボ回路120に作動停止を指示し、ステップS162にてZ軸方向サーボ回路123に作動停止を指示する。これらの処理により、ガルバノミラー35のX軸方向に平行な直線周りの回転角のサーボ制御(サーボ用Z軸方向レーザ光のY軸方向のサーボ制御)及び対物レンズ44のZ軸方向へのサーボ制御(フォーカスサーボ制御)も停止する。
【0063】
前記ステップS162の処理後、コントローラ200は、ステップS164にて測定用レーザ駆動回路116に測定用レーザ光源30の駆動停止を指示し、ステップS166にてサーボ用レーザ駆動回路118にサーボ用レーザ光源40の駆動停止を指示する。これにより、測定用レーザ光源30による測定用レーザ光のガラス管Gに対する照射も、サーボ用レーザ光源40によるサーボ用レーザ光のガラス管Gに対する照射も停止する。次に、コントローラ200は、ステップS168にて回転角度検出回路113の作動停止を指示し、ステップS170にてセンサ信号取出回路117の作動停止を指示する。これにより、回転角度検出回路113が作動停止して角度データがコントローラ200に入力されなくなるとともに、センサ信号取出回路117も作動停止してセンサ信号がコントローラ200に入力されなくなる。
【0064】
前記ステップS170の処理後、コントローラ200は、ステップS172にてX軸方向フィードモータ制御回路110に移動体13のX軸方向駆動限界位置への移動を指示し、ステップS174にてZ軸方向フィードモータ制御回路114にテーブル23のZ軸方向駆動限界値への移動を指示する。これらの移動指示により、X軸方向フィードモータ制御回路110は移動体13をX軸方向駆動限界位置まで移動させ、Z軸方向フィードモータ制御回路114がテーブル23をZ軸方向駆動限界値まで移動させる。これにより、ガラス管Gの厚さ測定開始前と同じ状態になるので、作業者は固定具15からガラス管Gを取外し、次に測定したガラス管Gをセットして前述した厚さ測定をふたたび行うことができる。そして、コントローラ200は、ステップS176にて前述したガラス管Gの厚さの測定結果を表示装置204に表示して、ステップS178にて厚さ測定プログラムの実行を終了する。
【0065】
上記説明からも理解できるように、上記第1実施形態に係る透光性管状物体の厚さ測定装置によれば、測定用レーザ光及びサーボ用レーザ光が、光軸位置を変化させることができるガルバノミラー35を介してガラス管Gの表面に照射される。ガラス管Gの表面にて反射された測定用レーザ光は、ふたたびガルバノミラー35を介してラインセンサ39に導かれる。すなわち、ラインセンサ39は、ガラス管Gの外周面で反射する測定用レーザ光の反射光とガラス管Gの内周面で反射する測定用レーザ光の反射光の両反射光を受光して、受光信号を出力する。コントローラ200は、このラインセンサ39による受光信号に基いて、測定用レーザ光の照射位置のガラス管Gの厚さを検出する。一方、ガラス管Gの表面にて反射されたサーボ用レーザ光はフォトディテクタ48に導かれて、フォトディテクタ48は、サーボ用レーザ光のガラス管Gの中心軸からのY軸方向のずれ量を検出して、検出したずれ量を表す信号を出力する。そして、Y軸方向エラー信号生成回路119、Y軸方向サーボ回路120及びY軸方向ドライブ回路121が、モータ36を駆動制御することにより、サーボ用レーザ光及び測定用レーザ光の光軸がガラス管Gの中心軸と交差するように、ガルバノミラー35のX軸線に平行な直線周りの回転角をサーボ制御する。これにより、ガラス管Gの中心軸が設定された位置からずれている場合でも、サーボ用レーザ光及び測定用レーザ光の光軸を常にガラス管Gの中心軸と交差させることができるので、短時間でガラス管Gの全域の厚さを的確に測定することができる。
【0066】
また、上記第1実施形態においては、サーボ用レーザ光を集光レンズ49及びナイフ51を介してフォトディテクタ50で受光し、この受光に基づいて、Z軸方向エラー信号生成回路122、Z軸方向サーボ回路123及びZ軸方向ドライブ回路124がフォーカスアクチュエータ44aを駆動することにより、対物レンズ44をZ軸方向にサーボ制御(すなわちフォーカス制御)する。これにより、サーボ用レーザ光の焦点位置をガラス管Gの表面に一致させることができ、ガラス管GのY軸方向の変位を精度よく検出することができる。
【0067】
b.第2実施形態
上記第1実施形態においては、測定用レーザ光を出射する測定用レーザ光源30と、サーボ用レーザ光を出射するサーボ用レーザ光源40とを別々に設けるようにした。しかし、第2実施形態に係る透光性管状物体の厚さ測定装置は、図5A及び図5Bに示すように、測定用レーザ光とサーボ用レーザ光とを1つのレーザ光として共通に出射するレーザ光源60を備えている。なお、図6A及び図6Bは、図2A及び図2Bの表示態様に合わせて、光ヘッド100を詳細に示している。
【0068】
レーザ光源60から出射されたレーザ光は、上記第1実施形態のコリメートレンズ31,41に代わる共通のコリメートレンズ61を介して、ビームスプリッタ62に入射する。ビームスプリッタ62は、レーザ光源60から出射されたレーザ光を適切な強度割合になるように分割して、測定用レーザ光とサーボ用レーザ光を生成する。測定用レーザ光は、上記第1実施形態の場合と同様なビームスプリッタ32に入射する。サーボ用レーザ光は、新たに設けたミラー63で反射し、上記第1実施形態の場合と同様な偏光ビームスプリッタ42に入射する。他の構成は、上記第1実施形態と同様であり、上記第1実施形態と同様な符号を付してその説明を省略する。
【0069】
上記のように構成した第2実施形態に係る透光性管状物体の厚さ測定装置においては、レーザ光源60から出射されたレーザ光がコリメートレンズ61を介してビームスプリッタ62に入射され、ビームスプリッタ62が測定用レーザ光とサーボ用レーザ光を生成する。そして、測定用レーザ光はビームスプリッタ32に入射され、サーボ用レーザ光はミラー63を介して偏光ビームスプリッタ42に入射される。それ以外の動作は、上記第1実施形態の場合と全く同一である。したがって、この第2実施形態によっても、上記第1実施形態の場合と同様に、ガラス管Gの中心軸が設定された位置からずれている場合でも、サーボ用レーザ光及び測定用レーザ光の光軸を常にガラス管Gの中心軸と交差させることができるので、短時間でガラス管Gの全域の厚さを的確に測定することができる。また、サーボ用レーザ光の焦点位置をガラス管Gの表面に一致させることができ、ガラス管GのY軸方向の変位を精度よく検出することもできる。さらに、この第2実施形態では、上記第1実施形態に比べて、単にミラー63とビームスプリッタ62を追加するだけで、測定用レーザ光とサーボ用レーザ光とに対して共通のレーザ光源60及びコリメートレンズ61を用いているので、レーザ光源、光学部品の数及びレーザ駆動回路の数を減らすことができるため、装置の製造コストを安価に抑えることができる。
【0070】
c.第3実施形態
上記第1及び第2実施形態においては、測定用レーザ光とサーボ用レーザ光とをガラス管Gにそれぞれ別々に照射した。しかし、第3実施形態に係る透光性管状物体の厚さ測定装置は、図6に示すように、1つのレーザ光をガラス管Gに照射し、反射光を詳しくは後述するビームスプリッタ80で適切な強度割合になるように分割し、一方を厚さ測定に用い、他方をサーボ制御に用いるようにしている。また、この第3実施形態においては、ガラス管Gの中心軸に対して垂直方向からレーザ光を照射し、反射光を用いてガラス管Gの厚さ測定を行うことになるが、これには、背景技術の項で説明したように、スーパー・ルミネセント・ダイオード光源(以下、SLD(Super Luminescent Diode)光源という)のように広波長帯域のレーザ光を照射し、反射光を回折格子で分光したときの受光曲線からガラス管Gの厚さを導出する周知の技術を用いる。
【0071】
さらに、この第3実施形態においては、上記第1及び第2実施形態で用いた光ヘッド100が大きくなることを回避するために、上記光ヘッド100の機能を、分光ユニット100A及び測定ヘッド100Bの2つに分散させている。そして、分光ユニット100A及び測定ヘッド100Bを光ファイバー70で光学的に連結している。測定ヘッド100Bは、上記第1実施形態の場合と同様に、テーブル23に固定されている。
【0072】
分光ユニット100Aは、図7Aに詳細に示すように、広波長帯域のレーザ光を出射するSLD光源71を有する。SLD光源71から出射されたレーザ光は、コリメートレンズ72で平行光に変換され、リレーレンズ73,74で断面径が小さくされて、ビームスプリッタ75に導かれる。ビームスプリッタ75は、リレーレンズ73,74からの入射光をそのまま透過し、光ファイバー70を介して測定ヘッド100Bに導く。逆に、測定ヘッド100Bから光ファイバー70を介してビームスプリッタ75に導かれたレーザ光は、ビームスプリッタ75で反射されて、反射型の回折格子76に導かれて一連のスペクトルに分散されてラインセンサ77に導かれる。ラインセンサ77は、CCD、CMOS等で形成されている。なお、前記反射型の回折格子76に代えて透光型の回折格子を用い、ビームスプリッタ75からの反射光を透光型の回折格子を介してラインセンサ77に導くようにしてもよい。
【0073】
測定ヘッド100Bは、光ファイバー70によって伝播されたレーザ光の断面径を大きくするためのリレーレンズ78,79を有する。リレーレンズ78,79によって断面径の大きくされたレーザ光は、ビームスプリッタ80を通過してガルバノミラー81に入射する。ガルバノミラー81で反射されたレーザ光は、対物レンズ83を介してガラス管Gの外周面に照射される。ガルバノミラー81は、上記第1実施形態と同様に、モータ82によってX軸線に平行な直線周りに回転駆動される。対物レンズ83は、上記第1実施形態のアクチュエータ44aと同様なアクチュエータ83aによってZ軸方向に駆動される。なお、この場合も、ガラス管Gの外周面に照射されるレーザ光の光軸はZ軸方向であり、同レーザ光はガラス管Gの外周面上で集光されて小さな光スポットを形成するように設定されている。
【0074】
レーザ光のガラス管Gからの反射光は、対物レンズ83によって平行光に変換されてガルバノミラー81に入射し、ガルバノミラー81で反射されてビームスプリッタ80に導かれる。ガルバノミラー81で反射されてビームスプリッタ80に入射したレーザ光の一部はビームスプリッタ80を透過して、リレーレンズ79,78によって断面径が小さくされて光ファイバー70内に導かれ、光ファイバー70を介して分光ユニット100Aに導かれて厚さ測定に用いられる。また、ガルバノミラー81で反射されてビームスプリッタ80に入射したレーザ光の一部はビームスプリッタ80で反射されて、ビームスプリッタ84に導かれてサーボ制御に用いられる。
【0075】
ビームスプリッタ80で反射されたレーザ光(サーボ用レーザ光に相当する)は、その一部がビームスプリッタ84を透過し、その一部がビームスプリッタ84で反射する。ビームスプリッタ84を透過したサーボ用レーザ光は、2分割のフォトディテクタ85で受光される。このフォトディテクタ85は上記第1実施形態のフォトディテクタ48と同じであり、フォトディテクタ85の出力はY軸方向エラー信号生成回路119に供給されて、上記第1実施形態の場合と同様にY軸方向エラー信号の生成に利用される。ビームスプリッタ84で反射されたサーボ用レーザ光は、集光レンズ86によって2分割のフォトディテクタ87に集光される。集光レンズ86とフォトディテクタ87との間にはナイフ88が設けられている。これら集光レンズ86、フォトディテクタ87及びナイフ88は、上記第1実施形態の集光レンズ49、フォトディテクタ50及びナイフ51と同様に、ナイフエッジ法によるフォーカスサーボに利用されるものであり、Z軸方向エラー信号生成回路122に出力されてZ軸方向エラー信号の生成に用いられる。
【0076】
また、この第3実施形態は、上記第1実施形態の測定用レーザ駆動回路116及びサーボ用レーザ駆動回路118に代わるレーザ駆動回路131を備えている点、上記第1実施形態には存在しない直流成分検出回路132及びスレッドサーボ回路133を備えている点、並びに上記第1実施形態のセンサ信号取出回路117に代わるデータ処理装置140を備えている点で、上記第1実施形態と異なる。他の構成に関しては、上記実施形態と同じであるので、同一の構成には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0077】
レーザ駆動回路131は、コントローラ200に指示されて、SLD光源71を駆動制御する。なお、この第3実施形態においては、SLD光源71の光量のフィードバック制御は省略されている。直流成分検出回路132は、Z軸方向サーボ信号に含まれる直流成分を検出してスレッドサーボ回路133に出力する。スレッドサーボ回路133は、コントローラ200によって指示されて、直流成分検出回路132からの直流成分が「0」になるように制御するサーボ制御信号を生成して、生成したサーボ制御信号をZ軸方向フィードモータ制御回路114に供給する。Z軸方向フィードモータ制御回路114は、コントローラ200によるZ軸方向フィードモータ21の制御に加えて、このサーボ制御信号に応じてZ軸方向フィードモータ21をフィードバック制御する。これにより、ガラス管Gの径によらず、測定ヘッド100Bからガラス管Gまでの距離は、常に、対物レンズ83が中立位置を中心にZ軸方向に変動する距離となる。
【0078】
データ処理装置140は、コントローラ200の指示により、設定された頻度でラインセンサ77の各画素が出力する信号の大きさを表すディジタル形式の大きさデータをA/D変換して、A/D変換した大きさデータを画素位置に対応させて記憶する。そして、データ処理装置140は、この記憶した大きさデータ(すなわち、受光曲線)を処理することでガラス管Gの厚さを計算し、計算した厚さを表す厚さデータをコントローラ200に出力することを繰り返す。
【0079】
このガラス管Gの厚さの計算について簡単に説明しておく。対物レンズ83によってガラス管Gに照射されたレーザ光は、ガラス管Gの表面と裏面との両面で反射して、前記両面での反射光は互いに干渉する。この場合、SLD光源71から出射されてガラス管Gに導かれたレーザ光は広波長帯域のレーザ光(すなわち波長の異なる成分を含むレーザ光)であり、前記干渉は同じ波長のレーザ光同士でのみ行われて、この干渉による波長ごとのレーザ光の強度はガラス管Gの厚さに依存する。なお、この第3実施形態においては、対物レンズ83の開口数(NA)は小さく、焦点深度はガラス管Gの厚さ以上である。よって、ガラス管Gの表面と裏面とでのレーザ光の反射光は、元の光路を戻って干渉する。
【0080】
一方、回折格子76は、入射するレーザ光(測定用レーザ光に相当する)の波長によって回折の仕方を異ならせるので、ラインセンサ77の受光位置とレーザ光の波長とは対応関係にある。すなわち、回折格子76は、前記ガラス管Gの厚さに依存する干渉によって強度の大きさが異なるレーザ光の反射角を異ならせることになるので、ラインセンサ77の位置と受光強度との関係を表す受光曲線は、ガラス管Gの厚さに関係する。その結果、ガラス管Gの厚さが異なれば、干渉の結果としての波長ごとの光強度が異なるため、ラインセンサ77による受光曲線も異なり、受光曲線を解析することでガラス管Gの厚さを計算することができる。したがって、データ処理装置140からコントローラ200には、ガラス管Gの厚さを表す厚さデータが供給される。なお、受光曲線からガラス管Gの厚さを計算できない場合には、データ処理装置140からコントローラ200に「測定不可」を表すデータが供給される。
【0081】
上記のように構成した第3実施形態に係る透光性管状物体の厚さ測定装置の動作について説明すると、この第3実施形態においては、上記第1実施形態の図4A及び図4Bの厚さ測定プログラムに代えて、図8A及び図8Bの厚さ測定プログラムがコントローラ200によって実行される。この厚さ測定プログラムの実行は、図8AのステップS200にて開始され、コントローラ200は、上記第1実施形態のステップS102〜S110の処理と同様なステップS202〜S210により、変数nを「0」に初期設定するとともに、ガラス管GをX軸方向の測定開始位置まで移動し、上記第1実施形態の光ヘッド100に代わる測定ヘッド100BをZ軸方向の測定用設定位置まで移動する。次に、コントローラ200は、ステップS212にて、レーザ駆動回路131を作動させて、SLD光源71を駆動することにより測定用及びサーボ用を兼用した広波長帯域のレーザ光を出射させる。この場合、レーザ光の強度に関するフィードバック制御が省略されている。
【0082】
SLD光源71から出射された測定用レーザ光は、コリメートレンズ72で平行光に変換され、リレーレンズ73,74によって断面径が小さくされて、光ファイバー70を伝播して、分光ユニット100Aから測定ヘッド100Bに導かれる。測定ヘッド100Bにおいては、光ファイバー70によって伝播されたレーザ光は、リレーレンズ78,79によって断面径が大きくされ、ビームスプリッタ80を介してガルバノミラー81に入射する。ガルバノミラー81はこの入射レーザ光を反射して対物レンズ83に入射させ、対物レンズ83は入射したレーザ光を集光してガラス管Gに照射する。ガラス管Gに照射されたレーザ光の一部は、まずガラス管Gの外周面で反射され、対物レンズ83に入射する。また、ガラス管Gに照射されたレーザ光の一部は、ガラス管Gの肉厚部分に侵入し、ガラス管Gの内周面で反射してガラス管Gの肉厚部を介して対物レンズ83に入射する。したがって、ガラス管Gの外周面で反射したレーザ光と、ガラス管Gの内周面で反射したレーザ光は干渉し合って、対物レンズ83に入射する。したがって、ガラス管Gの厚さにより、波長に応じて強度が異なる干渉レーザ光が対物レンズ83に入射することになる。
【0083】
対物レンズ83に入射したレーザ光は、対物レンズ83によって平行光に変換されて、ガルバノミラー81に導かれて、ガルバノミラー81で反射してビームスプリッタ80に入射する。ビームスプリッタ80は、入射したレーザ光の一部を透過してリレーレンズ79,78により断面径を小さくして、光ファイバー70を介して分光ユニット100Aに測定用レーザ光として導く。分光ユニット100Aにおいては、光ファイバー70によって伝播された測定用レーザ光を、ビームスプリッタ75で反射させて、回折格子76に入射させる。回折格子76は、入射した測定用レーザ光を、波長に応じて反射角を異ならせてラインセンサ77に入射させる。
【0084】
一方、ビームスプリッタ80は、ガルバノミラー81から入射したレーザ光の一部を反射して、サーボ用レーザ光としてビームスプリッタ84に入射させる。ビームスプリッタ84は、入射したサーボ用レーザ光の一部を反射して、集光レンズ86、ナイフ51及びフォトディテクタ87に導く。フォトディテクタ87で受光されたサーボ用レーザ光の受光量を表す受光信号は、上記第1実施形態の場合と同様に、Z軸方向エラー信号生成回路122に供給されてZ軸方向エラー信号の生成に用いられる。また、ビームスプリッタ84は、入射したサーボ用レーザ光の一部を透過して、フォトディテクタ85に導く。フォトディテクタ85で受光されたサーボ用レーザ光の受光量を表す受光信号は、上記第1実施形態の場合と同様に、Y軸方向エラー信号生成回路119に供給されてY軸方向エラー信号の生成に用いられる。
【0085】
前記ステップS212の処理後、コントローラ200は、上記第1実施形態のステップS116、S118の処理と同様なステップS214,S216の処理により、Y軸方向サーボ回路120及びZ軸方向サーボ回路123の作動を開始させる。これにより、上記第1実施形態の場合と同様に、X軸方向に平行な直線周りのガルバノミラー81の回転がサーボ制御され、測定用でありサーボ用であるレーザ光の光軸が常にガラス管Gの中心軸と交差するように維持される。また、対物レンズ83もZ軸方向にサーボ制御(すなわちフォーカスサーボ制御)され、レーザ光の焦点位置がガラス管Gの表面に一致するように維持される。
【0086】
前記ステップS216の処理後、コントローラ200は、ステップS218にて、スレッドサーボ回路113に作動開始を指示する。スレッドサーボ回路113は、この作動開始に応答して作動を開始し、直流成分検出回路132によって検出された、Z軸方向サーボ回路123から供給されるZ軸方向サーボ信号に含まれる直流成分を「0」に制御するサーボ制御信号を生成して、生成したサーボ制御信号をZ軸方向フィードモータ制御回路114に供給する。そして、Z軸方向フィードモータ制御回路114は、このサーボ制御信号に応じてZ軸方向フィードモータ21の回転を制御して、テーブル23すなわち測定ヘッド100BのZ軸方向にサーボ制御する。これにより、ガラス管Gの径によらず、測定ヘッド100Bからガラス管Gまでの距離は、常に、対物レンズ83が中立位置を中心にZ軸方向に変動する距離となる。
【0087】
前記ステップS218の処理後、コントローラ200は、ステップS220にて、データ処理装置140に対して作動開始を指示する。これに応答して、データ処理装置140は、設定された頻度でラインセンサ77の各画素が出力する信号の大きさを表す信号を入力して、この入力した信号に基いてガラス管Gの厚さを計算し、計算した厚さを表す厚さデータを予め決められた周期でコントローラ200に出力し始める。
【0088】
次に、コントローラ200は、上記第1実施形態のステップS132〜S136と同様なステップS222〜S226の処理により、ガラス管Gを所定の回転速度で軸線周りに回転させ始め、回転角度検出回路113にガラス管Gの軸線周りの回転角度を表す回転角度データをコントローラ200に出力させ始め、かつガラス管GをX軸方向に所定の移動速度で移動させ始める。
【0089】
前記ステップS222〜S226の処理後、コントローラ200は、上記第1実施形態のステップS138,S140,S144,S146,S154の処理と同様なステップS228〜S234,S242の処理により、所定の時間間隔ごとに、回転角度検出回路113から回転角度データを取込むとともに、移動位置検出回路111からX軸方向位置データを取込む。そして、この第3実施形態においては、コントローラ200は、ステップS236にて、前記所定の時間間隔ごとに、データ処理装置140からガラス管Gの厚さを表す厚さデータを取込み、この取込んだ厚さデータを、前記取込んだ回転角度データ及びX方向位置データと対応付けてメモリに記憶しておく。
【0090】
また、前記ステップS230〜S236,S242を含む循環処理中、コントローラ200は、上記第1実施形態のステップS150と同じステップS238の判定処理により、測定用レーザ光の照射位置がガラス管Gの端部を通り過ぎた場合には、ステップS244に進む。また、データ処理装置140から「測定不可」を表す信号を入力した場合も、ステップS240の判定処理により、ステップS244に進む。
【0091】
ステップS240以降においては、コントローラ200は、上記第1実施形態のステップS156〜S162と同じステップS244〜S250の処理により、ガラス管Gの軸線周りの回転、ガラス管Gの軸線方向(X軸方向)の移動、ガルバノミラー81によるレーザ光のY軸方向へのサーボ制御及び対物レンズ83のZ軸方向へのサーボ制御(フォーカスサーボ制御)を停止させる。そして、コントローラ200は、ステップS252にて、レーザ駆動回路131にSLD光源71の駆動停止を指示して、SLD光源71によるレーザ光の出射を停止させる。また、コントローラ200は、上記第1実施形態のステップS168と同じステップS254の処理により、回転角度検出回路113の作動停止を停止させ、ステップS256の処理によりデータ処理装置140の作動も停止させる。
【0092】
前記ステップS256の処理後、コントローラ200は、上記第1実施形態のステップS172,S174と同様なステップS258,S260の処理により、移動体13をX軸方向駆動限界位置まで移動させるとともに、テーブル23をZ軸方向駆動限界値まで移動させる。そして、コントローラ200は、上記第1実施形態のステップS176と同様なステップS262の処理により、前述したガラス管Gの厚さの測定結果を表示装置204に表示して、ステップS264にて厚さ測定プログラムの実行を終了する。
【0093】
上記のように動作する第3実施形態に係る透光性管状物体の厚さ測定装置においては、上記第1実施形態と同様なY軸方向サーボ制御及びZ軸方向サーボ制御が行われる。したがって、この第3実施形態においても、上記第1実施形態の場合と同様に、ガラス管Gの中心軸が設定された位置からずれている場合でも、測定用レーザ光の光軸を常にガラス管Gの中心軸と交差させることができるので、短時間でガラス管Gの全域の厚さを的確に測定することができる。また、サーボ用レーザ光(この形態では測定用レーザ光と同じ)の焦点位置をガラス管Gの表面に一致させることができ、ガラス管GのY軸方向の変位を精度よく検出することもできる。さらに、この第3実施形態においては、1つのレーザ光をガラス管Gに照射し、その反射光をビームスプリッタ80で適切な強度割合になるように分割し、一方を厚さ測定に用い、他方をサーボ制御に用いるようにしている。これにより、レーザ光源、光学部品の数及びレーザ駆動回路の数を減らすことができるため、装置の製造コストを安価に抑えることができる。
【0094】
なお、上記第3実施形態においては、広波長帯域のレーザ光をガラス管Gに照射し、ガラス管Gからの反射光を回折格子で分光したときの受光曲線からガラス管Gの厚さを求める方法を採用した。しかし、レーザ光をガラス管Gの中心軸に垂直に照射したときに生じる反射光を用いてガラス管Gの厚さを計算することができれば、他のどのような方法を採用することともできる。例えば、レーザ光の波長を高速で変化させながらガラス管Gに照射し、レーザ光の波長に対するガラス管Gからの反射光の光強度を検出し、この波長と光強度の関係からガラス管Gの厚さを計算する方法を採用してもよい。
【0095】
また、低コヒーレント性で光路長が同一になったときにのみ干渉するレーザ光をビームスプリッタで分割し、一方をガラス管Gに照射して反射させ、他方を参照ミラーで反射させ、参照ミラーを駆動して双方が干渉して強度が大きくなる参照ミラーの2つの位置を検出することで、ガラス管Gの厚さを検出する方法を採用してもよい。
【0096】
d.その他の変形例
以上、本発明の第1乃至第3実施形態について説明したが、本発明の実施にあたっては、上記第1乃至第3実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変形も可能である。
【0097】
上記第1乃至第3実施形態では、ガルバノミラー35,81を駆動することによってY軸方向サーボを行ったが、レーザ光の光軸の位置を変化させることができれば、どのようなミラーを用いてもよい。例えば、マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム・ミラー(MEMSミラー)でもよいし、アクチュエータによって反射面の角度を変化させることができる立上げミラーでもよいし、ポリゴンミラーでよい。また、ミラーでなくても、AOD(音響光学偏向器)又はEOD(電気光学偏光器)によってレーザ光の光軸位置を変化させてもよい。
【0098】
また、上記第1乃至第3実施形態では、サーボ用のレーザ光を集光する対物レンズ44,83をZ軸方向に駆動させるZ軸方向サーボにナイフエッジ法を用いた。しかし、Z軸方向サーボが可能であれば、他のどのようなサーボを行ってもよい。例えば、非点収差法によるZ軸方向サーボを行ってもよいし、スポット・サイズ・ディテクション法(SSD法)によるZ軸サーボを行ってもよい。また、測定精度を高くする必要がなければ、Z軸方向サーボを行わなくてもよい。
【0099】
また、上記第1及び第2実施形態では、ガラス管Gにおける測定用レーザ光の照射位置とサーボ用レーザ光の照射位置とを合わせたが、ガラス管Gの中心軸の変動が小さければ、照射位置を近傍にするだけでもよい。
【0100】
また、上記第1乃至第3実施形態では、ガラス管Gを回転させながらX軸方向へ移動させ、ガラス管Gの全域の厚さを測定したが、中心軸方向の1ラインの測定のみでよければ、回転を伴わないで、ガラス管Gの厚さを測定するよういしてもよい。
【0101】
また、上記第1乃至第3実施形態では、ガラス管GをX軸方向へ移動させたが、ガラス管Gを固定して光ヘッド100又は測定ヘッド100BをX軸方向に移動させるようにしてもよい。
【0102】
さらに、上記第1乃至第3実施形態では、Z軸方向の移動機構を設けたが、Z軸方向の移動機構をなくし、X軸方向の駆動限界位置をさらに上側にしてガラス管Gをセットできるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0103】
10…ワーク駆動装置、11…X軸方向フィードモータ、13…移動体、14…スピンドルモータ、20…支持装置、21…Z軸方向フィードモータ、23…テーブル、30…測定用レーザ光源、35,81…ガルバノミラー、39,77…ラインセンサ、40…サーボ用レーザ光源、60…レーザ光源、70…光ファイバー、76…回折格子、100…光ヘッド、100A…分光ユニット、100B…測定ヘッド、140…データ処理装置、200…コントローラ
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光をガラス管などの透光性管状物体の表面に照射し、透光性管状物体の表面からの反射光を受光することで、透光性管状物体の厚さを測定する透光性管状物体の厚さ測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ガラス製品のような透光性物体の厚さが規格通りに作製されているかを検査するために、透光性物体の厚さを測定することが行われている。このような測定は透光性物体の表面を傷つけないため、非接触で行われることが多く、このための測定装置としては、例えば下記特許文献1に記載されているように、透光性物体の表面に対して斜めにレーザ光を照射し、表面と裏面で反射した反射光を受光センサで受光し、受光位置の差から透光性物体の厚さを求める装置が多く使用されている。また、透光性物体の厚さを測定する装置としては、これに限らず、例えば下記特許文献2に記載されているように、スーパー・ルミネッセント・ダイオード光源(SLD光源)からの広波長帯域のレーザ光を検査対象物の表面に照射し、検査対象物の表面からの反射光と、検査対象物への表面へのレーザ光の照射経路に設けた基準面からの反射光とを干渉させて回折格子に導き、回折格子で波長ごとに分光することで検査対象物の変位を求める装置を採用することもできる。すなわち、透光性物体に広波長帯域のレーザ光を照射し、透光性物体の表面と裏面での反射光を干渉させて回折格子に導き、回折格子で波長ごとに分光してCCD等で受光し、受光位置ごとの光強度を取得する。この受光位置ごとの光強度(すなわち、受光曲線)は、反射光の干渉による光強度が反射レーザ光の波長と透光性物体の表裏面間の距離との関係で定まるとともに、同一波長の反射レーザ光同士の干渉のみによってもたらされるので、透光性物体の表裏面間の距離(すなわち、厚さ)により異なる。よって、受光曲線を解析することで、透光性物体の厚さを求めるというものである。
【0003】
透光性物体にはガラス管などのような管状物体があり、この場合も、下記特許文献1及び下記特許文献2に記載されている方法及び装置を適用して管状物体の厚さを測定することができる。例えば、下記特許文献3には、下記特許文献1に記載された方法及び装置により管状物体の厚さを測定する装置が記載されている。下記特許文献3では、レーザ光の入射角度を変化させて、管状物体の屈折率と厚さの2つを検出することが記載されているが、管状物体の屈折率が既知であれば、入射角度を固定して厚さを測定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−222428号公報
【特許文献2】特開2010−121977号公報
【特許文献3】特開平09−504875号公報
【発明の概要】
【0005】
透光性管状物体の厚さを測定する場合、管状物体に照射されたレーザ光の反射光が光を解析処理する光学機器で受光される必要がある。そのためには、レーザ光と管状物体表面のなす角度が一定になるようにレーザ光を照射する必要がある。透光性物体が管状物体の場合、上記特許文献3に示されているように、レーザ光をその光軸が管状物体の中心軸と交差するように照射する必要がある。管状物体の中心軸が直線であり、管状物体の直径が大きければ、上記特許文献3に示されているように、管状物体を中心軸が設定された位置になるようにセット機構にセットし、レーザ光を設定された経路で管状物体と相対的に移動させればよいが、管状物体の中心軸に直線になっていない箇所があったり、管状物体の直径が小さい場合は、このようにしただけでは、常にレーザ光の光軸を管状物体の中心軸と交差するようにすることができず、厚さを測定できない箇所が存在するという問題があった。
【0006】
また、管状物体を回転させながらその全域の厚さ測定を行う場合であって、管状物体の直径が小さい場合には、管状物体の中心軸が常に設定位置にあるように管状物体を回転させることは困難であり、この場合もレーザ光を設定された経路で移動させただけでは、常にレーザ光の光軸を管状物体の中心軸と交差させることはできず、厚さを測定できない箇所が存在するという問題がある。また、管状物体を何らかの工程上の理由(管状物体が高温又は管状物体への異物付着を避ける等の理由)で、セット機構にセットすることができず、管状物体の一端を掴むのみの場合には、管状物体の中心軸を常に設定された位置にすることは難しく、レーザ光を設定された経路で移動させただけでは、常にレーザ光の光軸を管状物体の中心軸と交差させることができないことがあり、厚さを測定できない箇所が存在する場合があるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記問題に対処するためになされたもので、その目的は、透光性管状物体の中心軸方向に透光性管状物体と相対的にレーザ光を移動して透光性管状物体の全域の厚さを測定する際、透光性管状物体の中心軸が所定位置からずれている箇所がある場合でも、常に反射光を所定位置(解析処理をするための光学機器)に戻るようにすることができ、短時間で透光性管状物体の全域の厚さを測定することができる透光性管状物体の厚さ測定装置を提供することにある。なお、下記本発明の各構成要件の記載においては、本発明の理解を容易にするために、実施形態の対応箇所の符号を括弧内に記載しているが、本発明の各構成要件は、実施形態の符号によって示された対応箇所の構成に限定解釈されるべきものではない。
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、測定用レーザ光をレーザ光の光軸位置を変化させる光学部品(35,81)を介して透光性管状物体(G)に照射する測定用レーザ光照射手段(30〜34,60,61,70〜75,78〜80,83)と、透光性管状物体の外周面で反射する測定用レーザ光の反射光と透光性管状物体の内周面で反射する測定用レーザ光の反射光とを光学部品を介して第1受光センサで受光する測定用レーザ光受光手段(39,76,77)と、第1受光センサで受光した反射光の受光状態に対応する信号を生成して、前記生成した信号から測定用レーザ光が照射された位置における透光性管状物体の厚さを検出する厚さ検出手段(117,200,S142,S148,140)と、測定用レーザ光照射手段によって照射される測定用レーザ光の透光性管状物体に対する照射位置を、透光性管状物体の中心軸方向に移動させるレーザ光照射位置移動手段(11,110)とを備えた透光性管状物体の厚さ測定装置において、サーボ用レーザ光を光学部品を介して透光性管状物体に対して照射する手段であって、測定用レーザ光の透光性管状物体に対する照射位置又はその近傍位置にサーボ用レーザ光を対物レンズ(44,83)で集光して照射するサーボ用レーザ光照射手段(40〜43,62,63,70〜75,78〜80)と、サーボ用レーザ光の反射光を対物レンズ及び光学部品を介して受光して、サーボ用レーザ光の透光性管状物体の中心軸からのずれ量を表す信号を出力する第1ずれ量検出光学手段(42,47,48,80,84,85)と、第1ずれ量検出光学手段からの信号に基づいて、測定用レーザ光の光軸が透光性管状物体の中心軸と交差するように、光学部品を駆動制御する第1サーボ手段(36,82,119〜121)とを設けたことにある。
【0009】
上記のように構成した本発明においては、測定用レーザ光及びサーボ用レーザ光を、光軸位置を変化させることができる光学部品(例えば、回転可能なミラー)を介して透光性管状物体の表面に照射し、第1サーボ手段が、第1ずれ量検出光学手段によって検出されたサーボ用レーザ光の透光性管状物体の中心軸からのずれ量を表す信号に基づいて、測定用レーザ光の光軸が透光性管状物体の中心軸と交差するように光学部品を駆動制御する。これにより、透光性管状物体の中心軸が設定された位置からずれている場合でも、測定用レーザ光の光軸を常に透光性管状物体の中心軸と交差させることができるので、短時間で透光性管状物体の全域の厚さを的確に測定することができる。
【0010】
また、本発明の他の特徴は、サーボ用レーザ光の透光性管状物体からの反射光を入射して、対物レンズによるサーボ用レーザ光の焦点位置と、サーボ用レーザ光が照射される透光性管状物体の表面位置とのずれ量を表す信号を出力する第2ずれ量検出光学手段(42,47,49〜51,80,84,86〜88)と、第2ずれ量検出光学手段からの信号に基づいて、対物レンズによるサーボ用レーザ光の焦点位置がサーボ用レーザ光が照射される透光性管状物体の表面位置に一致するように、対物レンズをサーボ用レーザ光の光軸方向に駆動制御する第2サーボ手段(122〜124,44a,83a)とを設けたことにある。
【0011】
これによれば、第2サーボ手段は、第2ずれ量検出光学手段によって検出された焦点位置のずれ量を表す信号に基づいて、対物レンズによるサーボ用レーザ光の焦点位置がサーボ用レーザ光が照射される透光性管状物体の表面に一致するように、対物レンズをサーボ用レーザ光の光軸方向に駆動制御する。したがって、透光性管状物体の中心軸の変動をさらに精度よく検出することができるので、測定用レーザ光の光軸をさらに高精度で管状物体の中心軸と交差させるように制御することができる。
【0012】
また、本発明の他の特徴は、入射したレーザ光を分割する分割用光学素子(62)を設け、1つのレーザ光源からのレーザ光を分割用光学素子で分割して、測定用レーザ光とサーボ用レーザ光を生成するようにしたことにある。
【0013】
これによれば、レーザ光源、光学部品の数及びレーザ駆動回路の数を減らすことができるため、装置の製造コストを抑制することができる。
【0014】
さらに、本発明の他の特徴は、入射したレーザ光を分割する分割用光学素子(80)を設け、1つのレーザ光源から出射されたレーザ光を測定用レーザ光とサーボ用レーザ光とに共通のレーザ光として、透光性管状物体の中心軸の垂直方向から対物レンズを介して透光性管状物体に照射し、透光性管状物体によって反射された測定用レーザ光とサーボ用レーザ光とに共通のレーザ光を分割用光学素子で分割して、測定用レーザ光の反射光とサーボ用レーザ光の反射光を生成するようにしたことにある。
【0015】
これによっても、レーザ光源、光学部品の数及びレーザ駆動回路の数を減らし、装置の製造コストを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係る透光性管状物体の厚さ測定装置の全体構成図である。
【図2A】図1の光ヘッドの構造を詳細に示す構成図である。
【図2B】図2AのB−B線に沿って見た光ヘッドの構造を詳細に示す構成図である。
【図3】ガラス管の変位とフォトディテクタに照射された反射光の位置変化との関係を説明するための説明図である。
【図4A】図1のコントローラによって実行される厚さ測定プログラムの前半部分を示すフローチャートである。
【図4B】前記厚さ測定プログラムの後半部分を示すフローチャートである。
【図5A】本発明の第2実施形態に係る透光性管状物体の厚さ測定装置における光ヘッドの構造を詳細に示す構成図である。
【図5B】図5BのB−B線に沿って見た光ヘッドの構造を詳細に示す構成図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る透光性管状物体の厚さ測定装置の全体構成図である。
【図7A】図6の分光ユニットの構造を詳細に示す構成図である。
【図7B】図6の測定ヘッドの構造を詳細に示す構成図である。
【図8A】図6のコントローラによって実行される厚さ測定プログラムの前半部分を示すフローチャートである。
【図8B】前記厚さ測定プログラムの後半部分を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
a.第1実施形態
以下、本発明の第1実施形態について図面を用いて説明する。図1は、第1実施形態に係る透光性管状物体の厚さ測定装置の全体構成図である。この厚さ測定装置は、ガラス管などのような透光性管状物体の厚さを、レーザ光を透光性管状物体に照射して、透光性管状物体からの反射光を受光することにより測定するものである。透光性管状物体は、本実施形態では、細いガラス管Gである。厚さ測定装置は、ガラス管Gを保持して移動させるワーク駆動装置10と、ガラス管Gの厚さを測定するために測定用レーザ光をガラス管Gに照射するとともにガラス管Gからの反射光を受光する光ヘッド100と、ワーク駆動装置10及び光ヘッド100を支持する支持装置20を備えている。
【0018】
支持装置20は、水平部20a及び垂直部20bからなるL字型に一体形成されている。水平部20aの図示左端部側には、X軸方向フィードモータ11が組み付けられている。X軸方向フィードモータ11は、その出力回転軸をX軸方向(図面の上下方向)に延設されたスクリューロッド12の下端に連結させて、回転によりスクリューロッド12をX軸線周りに回転させる。なお、Y軸方向は紙面の垂直方向とし、Z軸方向は図面の左右方向とする。スクリューロッド12の上端は、垂直部20bの上端にて突出させた突出部に回転可能に支持されている。スクリューロッド12には、移動体13がナットを介して螺合されている。移動体13は、スクリューロッド12に対する回転が規制され、スクリューロッド12の回転によりスクリューロッド12の軸線方向に移動する。すなわち、移動体13は、スクリューロッド12との組み合わせによりねじ送り機構を構成している。
【0019】
X軸方向フィードモータ11内には、エンコーダ11aが組み込まれている。このエンコーダ11aは、X軸方向フィードモータ11が所定の微小回転角度だけ回転するたびに、その出力がハイレベルとローレベルとに交互に切り替わるパルス列信号ΦA,ΦBを出力する。なお、パルス列信号ΦA,ΦBは互いにπ/2だけ位相のずれた信号であり、この位相ずれによりX軸方向フィードモータ11の回転方向が判別される。エンコーダ11aから出力されるパルス列信号ΦA,ΦBは、X軸方向フィードモータ制御回路110と移動位置検出回路111に入力される。移動位置検出回路111は、後述するコントローラ200からの指示により作動開始し、作動開始後、エンコーダ11aから出力されるパルス列信号ΦA,ΦBが入力されなくなると移動限界位置を意味する信号をX軸方向フィードモータ制御回路110に出力し、カウント値を「0」として、以後、エンコーダ11aが出力するパルス列信号ΦA,ΦBのパルス数をX軸方向フィードモータ11の回転方向に応じてカウントアップ又はカウントダウンする。そして積算したカウント数から移動体13の移動位置を計算してコントローラ200及びX軸方向フィードモータ制御回路110に出力する。このカウント値が「0」となる移動限界位置が、移動体13の移動位置を制御する原点位置(本実施形態では上側の移動限界位置)となる。
【0020】
X軸方向フィードモータ制御回路110は、コントローラ200からの指示により作動開始し、コントローラ200から移動位置の設定値を入力すると、移動位置検出回路111から所定時間間隔で出力される移動位置を入力し、入力した移動位置がコントローラ200から入力した設定値になるまでX軸方向フィードモータ制御回路110を駆動して移動体13を移動させる。なお、作動開始直後において移動位置の設定値が入力されると、X軸方向フィードモータ11を駆動して移動体13を移動限界位置方向に移動させ、移動位置検出回路111から移動限界位置を表す信号を入力するとX軸方向フィードモータ11への駆動信号の出力を停止する。その後、移動位置検出回路111から出力される移動位置がコントローラ200から入力した移動位置の設定値になるまでX軸方向フィードモータ11を駆動して移動体13を移動させる。
【0021】
また、X軸方向フィードモータ制御回路110には、移動体13の移動速度の設定値(設定速度)がコントローラ200により入力される。そして、コントローラ200から移動開始の指示を入力すると、エンコーダ11aから出力されるパルス列信号ΦA,ΦBのX軸方向フィードモータ11の回転方向を含む単位時間当たりのパルス数から移動体13の移動方向を含む移動速度を計算し、計算した移動速度が設定速度になるようにX軸方向フィードモータ11を駆動制御する。
【0022】
移動体13には、スピンドルモータ14が組み付けられている。スピンドルモータ14の出力回転軸の先端には、ガラス管Gの一端(上端)を固定するための固定具15が組み付けられている。したがって、固定具15にガラス管Gを固定した状態で、スピンドルモータ14を回転させることにより、ガラス管Gは軸線周りに回転する。
【0023】
スピンドルモータ14内には、エンコーダ14aが組み込まれている。エンコーダ14aは、X軸方向フィードモータ11の場合と同様に、スピンドルモータ14の回転方向の情報を含むパルス列信号ΦA,ΦBを出力する。また、エンコーダ14aは、基準回転位置ごとにインデックス信号Indexも出力する。エンコーダ14aから出力されるパルス列信号ΦA,ΦBは、スピンドルモータ制御回路112に入力される。スピンドルモータ制御回路112は、コントローラ200からの指示により作動開始し、エンコーダ14aから出力されるパルス列信号ΦA,ΦBの単位時間当たりのパルス数からスピンドルモータ14の回転速度を計算し、計算した回転速度がコントローラ200によって設定された回転速度に等しくなるようにスピンドルモータ14の回転を制御する。
【0024】
エンコーダ14aから出力されるパルス列信号ΦA,ΦB及びインデックス信号Indexは、回転角度検出回路113に入力される。回転角度検出回路113は、インデックス信号Indexの到来によりカウント値を「0」にリセットし、パルス列信号ΦA又はΦBの到来ごとにカウント値をアップさせて、カウント値をスピンドルモータ14の回転角度を表す信号としてコントローラ200に出力する。
【0025】
支持装置20の水平部20aの図示右端部には、Z軸方向フィードモータ21が組み付けられている。Z軸方向フィードモータ21は、その出力回転軸をZ軸方向に延設されたスクリューロッド22の右端に連結させて、回転によりスクリューロッド22をZ軸線周りに回転させる。スクリューロッド22の左端は、水平部20aの上面にて突出させた突出部に回転可能に支持されている。スクリューロッド22には、テーブル23がナットを介して螺合されている。テーブル23は、スクリューロッド22に対する回転が規制され、スクリューロッド22の回転によりスクリューロッド22の軸線方向に移動する。すなわち、テーブル23は、スクリューロッド22との組み合わせによりねじ送り機構を構成している。
【0026】
Z軸方向フィードモータ21内には、エンコーダ21aが組み込まれている。このエンコーダ21aも、X軸方向フィードモータ11と同様なパルス列信号ΦA,ΦBを出力する。エンコーダ21aから出力されるパルス列信号ΦA,ΦBは、移動位置検出回路115に入力される。移動位置検出回路115は、コントローラ200からの指示により作動開始し、作動開始後、エンコーダ21aから出力されるパルス列信号ΦA,ΦBが入力されなくなると移動限界位置を意味する信号をZ軸方向フィードモータ制御回路114に出力し、カウント値を「0」として、以後、エンコーダ21aが出力するパルス列信号ΦA,ΦBのパルス数をZ軸方向フィードモータ21の回転方向に応じてカウントアップ又はカウントダウンする。そして積算したカウント数からテーブル23の移動位置を計算してコントローラ200及びZ軸方向フィードモータ制御回路114に出力する。このカウント値が「0」となる移動限界位置が、テーブル23の移動位置を制御する原点位置(本実施形態では左側の移動限界位置)となる。
【0027】
Z軸方向フィードモータ制御回路114は、コントローラ200からの指示により作動開始し、コントローラ200から移動位置の設定値を入力すると、移動位置検出回路115から所定時間間隔で出力される移動位置を入力し、入力した移動位置がコントローラ200から入力した設定値になるまでZ軸方向フィードモータ21を駆動してテーブル23を移動させる。なお、作動開始直後において移動位置の設定値が入力されると、Z軸方向フィードモータ21を駆動してテーブル23を移動限界位置方向に移動させ、移動位置検出回路115から移動限界位置を表す信号を入力するとX軸方向フィードモータ21への駆動信号の出力を停止する。その後、移動位置検出回路115から出力される移動位置がコントローラ200から入力した移動位置の設定値になるまでZ軸方向フィードモータ21を駆動してテーブル23を移動させる。
【0028】
テーブル23上には、光ヘッド100が固定されている。図1は、平面内に全ての部品を網羅した光ヘッド100の概念図である。図2A及び図2Bは、この光ヘッド100を詳細に示しており、図2Aは光ヘッド100をガラス管Gの中心軸方向(X軸方向)から見た図であり、図2Bは光ヘッド100を図2Aの矢印B−B線に沿って見た図である。なお、図2A及び図2Bにおいては、見た方向に重なっている部品に関しては適宜省略されている。具体的には、図2Aでは、後述する測定用レーザ光源30、ラインセンサ39及び測定用レーザ光の光路上にある部品が省略されている。図2Bでは、サーボ用レーザ光の反射光の光路上にある部品が省略されている。
【0029】
光ヘッド100は、測定用レーザ光源30を有する。測定用レーザ光源30から出射された測定用レーザ光は、コリメートレンズ31で平行光に変換され、その大部分がビームスプリッタ32を通過して、リレーレンズ33,34を介してガルバノミラー35に入射し、ガルバノミラー35で反射されてガラス管Gに照射される。リレーレンズ33,34は、測定用レーザ光の断面径を小さくするために利用される。ガルバノミラー35は、ミラーの平面がX軸方向に平行であって、モータ36の駆動軸に組付けられた回転軸を有する。これにより、ガルバノミラー35は、モータ36によって正転・逆転駆動されて、入射した測定用レーザ光を反射してその光軸方向を変更する。ガラス管Gに照射される測定用レーザ光の光軸は、X−Z平面に平行で、ガラス管Gの軸線(すなわちX軸)に対して予め決められた角度だけ傾いている。
【0030】
一方、ビームスプリッタ32で反射された一部の測定用レーザ光は、集光レンズ37によりフォトディテクタ38の受光面に集光される。フォトディテクタ38は、受光面に集光された光の強度に応じた受光信号を出力する受光素子である。フォトディテクタ38からの受光信号は測定用レーザ駆動回路116に供給される。測定用レーザ駆動回路116は、コントローラ200によって作動制御され、測定用レーザ光源30を駆動制御する。この場合、測定用レーザ駆動回路116は、フォトディテクタ38からの受光信号を用いて測定用レーザ光の強度をフィードバック制御するので、測定用レーザ光源30は常に適正な強度の測定用レーザ光を出射する。
【0031】
ガラス管Gに照射された測定用レーザ光は、まずガラス管Gの外周面で反射されてガルバノミラー35に入射し、ガルバノミラー35にて反射されてラインセンサ39によって受光される。また、ガラス管Gに照射された測定用レーザ光は、ガラス管Gの表面で屈折してガラス管Gの肉厚部分に侵入し、ガラス管Gの内周面で反射してガラス管Gの外周面に導かれる。ガラス管Gの外周面に導かれた測定用レーザ光は、ガラス管Gの外周面でふたたび屈折して外部に導かれ、ガルバノミラー35で反射されてラインセンサ39に到達する。ラインセンサ39は、CCD、CMOS等の画素が直線に配列された受光素子であり、前記ガラス管Gの外周面で反射した測定用レーザ光と、ガラス管Gの内周面で反射した測定用レーザ光の受光位置はガラス管Gの厚さに応じて異なる。
【0032】
ラインセンサ39には、センサ信号取出回路117が接続されている。センサ信号取出回路117は、コントローラ200により制御されて、予め決められた周期でラインセンサ39の各画素の信号を導出し、画素ごとに、信号強度に相当するディジタルデータと画素位置のディジタルデータとを対にしてコントローラ200に出力する。
【0033】
また、光ヘッド100は、サーボ用レーザ光源40を有する。サーボ用レーザ光源40から出射されたサーボ用レーザ光は、コリメートレンズ41で平行光に変換され、その大部分が偏光ビームスプリッタ42を通過してガルバノミラー35に入射する。ガルバノミラー35で反射されたサーボ用レーザ光は、1/4波長板43及び対物レンズ44を介してガラス管Gの外周面に照射される。この場合、ガラス管Gの外周面に照射される測定用レーザ光の光軸はZ軸であり、測定用レーザ光はガラス管Gの外周面上で集光されて小さな光スポットを形成するように設定されている。
【0034】
一方、偏光ビームスプリッタ42で反射されたサーボ用レーザ光源40からの一部のサーボ用レーザ光は、集光レンズ45によりフォトディテクタ46の受光面に集光される。フォトディテクタ46は、受光面に集光された光の強度に応じた受光信号を出力する受光素子である。フォトディテクタ46からの受光信号はサーボ用レーザ駆動回路118に供給される。サーボ用レーザ駆動回路118は、コントローラ200によって作動制御され、サーボ用レーザ光源40を駆動制御する。この場合、サーボ用レーザ駆動回路118は、フォトディテクタ46からの受光信号を用いてサーボ用レーザ光の強度をフィードバック制御するので、サーボ用レーザ光源40は常に適正な強度のサーボ用レーザ光を出射する。
【0035】
サーボ用レーザ光のガラス管Gからの反射光は、対物レンズ44によって平行光に変換され、1/4波長板43を介してガルバノミラー35に入射し、ガルバノミラー35で反射されて偏光ビームスプリッタ42に導かれて、偏光ビームスプリッタ42で反射される。偏光ビームスプリッタ42で反射されたサーボ用レーザ光の半分は、ビームスプリッタ47を透過し、残りの半分はビームスプリッタ47で反射する。ビームスプリッタ47を透過したサーボ用レーザ光の反射光は、2分割のフォトディテクタ48で受光される。フォトディテクタ48は、図3に示すように、受光領域が図示左右(Y軸方向)に2分割された2つの受光素子を備え、その受光領域A,Bに入射したサーボ用レーザ光の強度に比例した検出信号を受光信号(a,b)として出力する。また、フォトディテクタ48は、Z軸方向から見てガラス管Gの中心軸がスピンドルモータ14の回転軸と一致しているときに、図3(b)に示すように、サーボ用Z軸方向レーザ光が受光領域の分割線DIVにより2分割される位置に配置される。
【0036】
フォトディテクタ48から出力される受光信号(a,b)は、Y軸方向エラー信号生成回路119に入力される。Y軸方向エラー信号生成回路119は、受光信号(a,b)を増幅した後、これらの信号を使って光強度の差(a−b)を演算し、その演算結果をY軸方向エラー信号(a−b)としてY軸方向サーボ回路120に出力する。ガラス管Gの位置がY軸方向に変動すると、図3(a),(b),(c)に示すように、その変動位置に応じてガラス管Gに照射されるサーボ用Z軸方向レーザ光の位置が変化し、これに伴って、フォトディテクタ48に受光される反射光RLの位置が変化する。このため、Y軸方向エラー信号(a−b)の大きさは、ガラス管Gの中心軸とスピンドルモータ14の回転軸とのY軸方向におけるずれ量を表すものとなる。
【0037】
Y軸方向サーボ回路120及びY軸方向ドライブ回路121の動作に関しては、Y軸方向サーボ回路120が、Y軸方向エラー信号生成回路119から入力したY軸方向エラー信号(a−b)に基づいて、Y軸方向エラー信号(a−b)が「0」になるようにY軸方向サーボ信号を発生し、Y軸方向ドライブ回路121がY軸方向サーボ信号に基いてモータ36に駆動信号を出力して、ガルバノミラー35をX軸周りに回転させる。したがって、フォトディテクタ48に受光されたサーボ用Z軸方向レーザ光の反射光が、受光面の中央に維持されるようにガルバノミラー35のX軸方向に平行な直線周りの回転角がサーボ制御されることとなる。このため、サーボ用Z軸方向レーザ光及び測定用レーザ光の光軸がガラス管Gの中心軸と交差するように維持される。
【0038】
ビームスプリッタ47で反射されたサーボ用レーザ光の半分は、集光レンズ49にて2分割のフォトディテクタ50に集光される。集光レンズ49とフォトディテクタ50との間にはナイフ51が設けられている。これら集光レンズ49、フォトディテクタ50及びナイフ51は、光ディスク装置でよく用いられるナイフエッジ法によるフォーカスサーボに利用されるものである。2分割のフォトディテクタ50は、領域ごとの入射したサーボ用レーザ光の強度を表す信号をそれぞれZ軸方向エラー信号生成回路122に出力する。
【0039】
Z軸方向エラー信号生成回路122は、入力した2信号の差をZ軸方向エラー信号として、Z軸方向サーボ回路123に出力する。なお、Z軸方向エラー信号は、いわゆるフォーカスエラー信号である。Z軸方向サーボ回路123はZ軸方向エラー信号に基づいてZ軸方向サーボ信号を生成してZ軸方向ドライブ回路124に出力し、Z軸方向ドライブ回路124はこのZ軸方向サーボ信号に基づいてフォーカスアクチュエータ44aを駆動制御する。フォーカスアクチュエータ44aは、対物レンズ44を光軸方向に変位させて、対物レンズ44の焦点を光軸方向に変位させる。この場合、ガラス管Gの直径はある程度大きいので、この方法で対物レンズ44の焦点をガラス管Gの表面に一致させることができ、ガラス管GのY軸方向の変位を精度よく検出することができる。ナイフエッジ法を用いるのは、2分割のフォトディテクタ50が出力する2つの信号の差がガラス管GのZ軸方向の変位のみにより起こるようにするためである。
【0040】
また、この透光性管状物体の厚さ測定装置は、コントローラ200、入力装置202及び表示装置204も備えている。コントローラ200は、CPU、ROM、RAM、タイマ及びハードディスクなどの大容量の不揮発性メモリを有するコンピュータ装置によって構成され、図4A及び図4Bに示す厚さ測定プログラムの実行により、各種回路を制御してガラス管Gの厚さを測定する。入力装置202は、キーボードからなり、作業者が種々の情報を入力するとともに、コントローラ200の作動に対して指示する。表示装置204は、コントローラ200によって制御された各種情報を表示する。
【0041】
次に、上記のように構成した厚さ測定装置の動作を説明する。まず、作業者は、ガラス管Gの上端部を固定具15に固定し、入力装置202を操作してガラス管Gの長さを入力する。そして、作業者、入力装置202を操作することにより、コントローラ200に図4A及び図4Bの厚さ測定プログラムを実行させる。
【0042】
コントローラ200は、この厚さ測定プログラムの実行を図4AのステップS100にて開始して、ステップS102にて変数nを「0」に設定する。この変数nは、ラインセンサ39からのセンサ信号、回転角度検出回路113からの回転角度データ及び移動位置検出回路111からのX軸方向位置データの取込みタイミングを規定するものである。
【0043】
前記ステップS102の処理後、コントローラ200は、ステップS104にて、X軸方向フィードモータ制御回路110に対してガラス管Gを測定開始位置まで移動するように指示する。具体的には、測定用レーザ光がガラス管Gの測定開始点に照射されるようなX軸方向位置を測定開始位置としてX軸方向フィードモータ制御回路110に出力する。測定開始位置は、以下のA,B,CからA−B+Cの計算を行うことで求められる。なお、A,Cは予めコントローラ200に記憶されている。
A:移動体13のX軸方向位置が原点位置にある状態(すなわち移動体13の上側移動限界位置にある状態)で、固定具15にガラス管Gを固定したときに固定具15内でガラス管Gの上側の先端位置からサーボ用レーザ光の光軸までのX軸方向距離
B:入力装置202を用いて入力されたガラス管Gの長さ(B<A)
C:ガラス管Gにおける下側の先端位置から測定開始点までの距離
【0044】
X軸方向フィードモータ制御回路110は、X軸方向フィードモータ11を回転させることにより、スクリューロッド12を軸線周りに回転させて移動体13をX軸方向に移動させ、ガラス管GをX軸線方向に測定開始位置に向かって移動させる。このガラス管GのX軸方向への移動中、X軸方向フィードモータ制御回路110は、移動位置検出回路111から移動体13(すなわちガラス管G)のX軸方向位置を表すX軸方向位置データを入力している。そして、入力したX軸方向位置データがコントローラ200から入力された測定開始位置を示すと、X軸方向フィードモータ制御回路110は、X軸方向フィードモータ11の回転を停止させて、移動体13及びガラス管GのX軸方向への移動を停止させる。
【0045】
一方、コントローラ200も、前記ステップS104の処理後、ステップS106にて、移動位置検出回路111からX軸方向位置データを入力して、入力したX軸方向位置データが測定開始位置以上になったかを判定する。X軸方向位置データが測定開始位置以上にならなければ、コントローラ200はステップS106にて「No」と判定し続けて、ステップS106の処理を繰り返し実行する。そして、X軸方向位置データが測定開始位置以上になった時点で、コントローラ200は、ステップS106にて「Yes」と判定して、ステップS108に進む。
【0046】
ステップS108においては、コントローラ200は、Z軸方向フィードモータ制御回路114に対して光ヘッド100を測定用設定位置まで移動するように指示する。具体的には、サーボ用レーザ光がガラス管Gの外周面上に集光されてスポットが形成されるようなZ軸方向位置を測定用設定位置としてZ軸方向フィードモータ制御回路114に出力する。Z軸方向フィードモータ制御回路114は、Z軸方向フィードモータ21を回転させることにより、スクリューロッド22を軸線周りに回転させてテーブル23をZ軸方向に移動させ、テーブル23及び光ヘッド100をZ軸方向に測定用設定位置に向かって移動させる。このテーブル23及び光ヘッド100のZ軸方向への移動中、Z軸方向フィードモータ制御回路114は、移動位置検出回路115からテーブル23(すなわち光ヘッド100)のZ軸方向位置を表すZ軸方向位置データを入力している。そして、入力したZ軸方向位置データがコントローラ200から入力された測定用設定位置を示すと、Z軸方向フィードモータ制御回路114は、Z軸方向フィードモータ21の回転を停止させて、テーブル23及び光ヘッド100のZ軸線方向への移動を停止させる。
【0047】
一方、コントローラ200も、前記ステップS108の処理後、ステップS110にて、移動位置検出回路115からZ軸方向位置データを入力して、入力したZ軸方向位置データが測定用設定位置以上になったかを判定する。Z軸方向位置データが測定用設定位置以上にならなければ、コントローラ200はステップS110にて「No」と判定し続けて、ステップS110の処理を繰り返し実行する。そして、Z軸方向位置データが測定用設定位置以上になった時点で、コントローラ200は、ステップS110にて「Yes」と判定して、ステップS112に進む。
【0048】
ステップS112においては、コントローラ200は、測定用レーザ駆動回路116を作動開始させる。これにより、測定用レーザ駆動回路116は、測定用レーザ光源30を駆動して測定用レーザ光を出射させる。この場合、測定用レーザ駆動回路116は、フォトディテクタ38からの受光信号を用いて測定用レーザ光の強度をフィードバック制御するので、測定用レーザ光源30は常に適正な強度の測定用レーザ光を出射する。
【0049】
測定用レーザ光源30から出射された測定用レーザ光は、コリメートレンズ31で平行光に変換され、その大部分がビームスプリッタ32を通過してリレーレンズ33,34を介してガルバノミラー35に入射し、ガルバノミラー35にて反射されてガラス管Gに照射される。ガラス管Gに照射された測定用レーザ光は、まずガラス管Gの外周面で反射され、ガルバノミラー35にて反射されてラインセンサ39によって受光される。また、ガラス管Gに照射された測定用レーザ光は、ガラス管Gの表面で屈折してガラス管Gの肉厚部分に侵入し、ガラス管Gの内周面で反射してガラス管Gの外周面に導かれる。ガラス管Gの外周面に導かれた測定用レーザ光は、ガラス管Gの外周面でふたたび屈折して外部に導かれてガルバノミラー35に入射し、ガルバノミラー35にて反射されてラインセンサ39に到達する。
【0050】
前記ステップS112の処理後、コントローラ200は、ステップS114にて、サーボ用レーザ駆動回路118を作動開始させる。これにより、サーボ用レーザ駆動回路118は、サーボ用レーザ光源40を駆動してサーボ用レーザ光を出射させる。この場合、サーボ用レーザ駆動回路118は、フォトディテクタ46からの受光信号を用いてサーボ用レーザ光の強度をフィードバック制御するので、サーボ用レーザ光源40は常に適正な強度の測定用レーザ光を出射する。
【0051】
サーボ用レーザ光源40から出射されたサーボ用レーザ光は、コリメートレンズ41で平行光に変換され、その大部分が偏光ビームスプリッタ42を通過してガルバノミラー35に入射し、ガルバノミラー35にて反射されて1/4波長板43及び対物レンズ44を介してガラス管Gの外周面に照射される。サーボ用レーザ光のガラス管Gからの反射光は、対物レンズ44によって平行光に変換され、1/4波長板43を介してガルバノミラー35に入射し、ガルバノミラー35にて反射されて偏光ビームスプリッタ42に導かれ、偏光ビームスプリッタ42で反射される。偏光ビームスプリッタ42で反射されたサーボ用レーザ光の半分は、ビームスプリッタ47を通過して2分割のフォトディテクタ48で受光される。残りの半分はビームスプリッタ47で反射して、集光レンズ49によって集光され、ナイフ51を介してフォトディテクタ50に導かれる。フォトディテクタ48で受光されたサーボ用レーザ光の受光量を表す受光信号はY軸方向エラー信号生成回路119に供給され、Y軸方向エラー信号生成回路119はこの受光信号に基づいてY軸方向エラー信号(a−b)を生成する。一方、フォトディテクタ50で受光されたサーボ用レーザ光の受光量を表す受光信号はZ軸方向エラー信号生成回路122に供給され、Z軸方向エラー信号生成回路122はこの受光信号に基づいてZ軸方向エラー信号(すなわち、フォーカスエラー信号)を生成する。
【0052】
前記ステップS114の処理後、コントローラ200は、ステップS116にてY軸方向サーボ回路120に作動開始を指示する。これに応答して、Y軸方向サーボ回路120は、作動を開始して、Y軸方向エラー信号生成回路119から入力したY軸方向エラー信号(a−b)に基づいてY軸方向サーボ信号を作成し、Y軸方向ドライブ回路121を介してモータ36を駆動制御して、ガルバノミラー35のX軸方向に平行な直線周りの回転をサーボ制御する。したがって、フォトディテクタ48に受光されたサーボ用Z軸方向レーザ光の反射光が、受光面の中央に維持されるようにガルバノミラー35のX軸方向に平行な直線周りの回転角がサーボ制御されることとなり、ガラス管GがY軸方向に変位しても、その変位に応じてガルバノミラー35がX軸方向に平行な直線周りに回転制御され、サーボ用Z軸方向レーザ光及び測定用レーザ光の光軸が常にガラス管Gの中心軸と交差するように維持される。
【0053】
前記ステップS116の処理後、コントローラ200は、ステップS118にてZ軸方向サーボ回路123に作動開始を指示する。これに応答して、Z軸方向サーボ回路123は、作動を開始して、Z軸方向エラー信号生成回路122から入力したZ軸方向エラー信号に基づいてZ軸方向サーボ信号を発生し、Z軸方向ドライブ回路124を介してフォーカスアクチュエータ44aを駆動して、対物レンズ44をZ軸方向にサーボ制御(すなわちフォーカスサーボ制御)する。これにより、サーボ用レーザ光の焦点位置をガラス管Gの表面に一致させることができ、ガラス管GのY軸方向の変位を精度よく検出することができる。
【0054】
前記ステップS118の処理後、コントローラ200は、ステップS120にて、センサ信号取出回路117に対して作動開始を指示する。これに応答して、センサ信号取出回路117は作動を開始し、予め決められた周期でラインセンサ39の各画素の信号を導出し、画素ごとに、信号強度に相当するディジタルデータと画素位置のディジタルデータとを対にしてコントローラ200に出力し始める。コントローラ200は、ステップS122にて前記ラインセンサ39から出力される信号強度と画素位置を表すディジタルデータを入力する。この場合、ラインセンサ39に入力される反射光は、図2Bに示すように、ガラス管Gの外周面の反射光とガラス管Gの内周面の反射光であり、信号強度は2つのピーク値を有する。そして、ステップS122においては、この2つのピーク値のうちの一方のピーク値が位置するラインセンサ39上の位置(ピーク位置)を計算する。本実施形態においては、ガラス管Gの外周面で反射した測定用レーザ光に関するピーク値、すなわち図2Bにてラインセンサ39の上側のピーク値が位置するラインセンサ39上の位置(ピーク位置)を計算する。
【0055】
前記ステップS122の処理後、コントローラ200は、ステップS124にて、前記計算したピーク位置からラインセンサ39上の予め決められた設定位置を減算して、減算結果の絶対値が所定の小さな許容値以下であるかを判定する。この場合、予め決められた設定位置とは、ラインセンサ39の長尺方向の中心位置から、図2Bにて若干上方の位置である。そして、この位置は、フォーカスサーボ制御による対物レンズ44の変位が原点位置を中心に行われる位置である。前記絶対値が許容値以下であれば、コントローラ200は、ステップS124にて「Yes」と判定して、図4BのステップS132に進む。一方、前記絶対値が許容値よりも大きければ、コントローラ200は、ステップS124にて「No」と判定して、ステップS126に進む。
【0056】
ステップS126においては、コントローラ200は、前記減算結果(ピーク位置−設定位置)からZ軸方向への移動距離を検出し、現在のZ軸方向位置に移動距離を加算してテーブル23のZ軸方向移動位置を計算する。なお、この移動距離の計算においては、減算結果(ピーク位置−設定位置)に対するテーブル23のZ軸方向への移動距離を示す変換関数又は変換テーブルを予め用意しておき、この変換関数又は変換テーブルを用いる。次に、コントローラ200は、ステップS128にてテーブル23の移動位置をZ軸方向フィードモータ制御回路114に出力する。Z軸方向フィードモータ制御回路114は、Z軸方向フィードモータ21の作動を制御するとともに、移動位置検出回路115からテーブル23のZ軸方向位置を入力して、テーブル23を前記入力された移動位置まで移動する。前記ステップS128の処理後、コントローラ200は、ステップS130にて、移動位置検出回路115からテーブル23の移動位置を入力して、前記入力した移動位置が前記Z軸方向フィードモータ制御回路114に指示した移動位置に達したか否かを判定する。テーブル23の移動位置が前記指示した移動位置に達するまで、コントローラ200はステップS130にて「No」と判定し続けてステップS130の処理を続ける。一方、テーブル23の移動位置が前記指示した移動位置に達すると、コントローラ200はステップS130にて「Yes」と判定して、前述したステップS122,S124の処理を実行する。これらのステップS122〜S130の処理により、ガラス管Gの外周面にて反射した測定用レーザ光の光軸位置がラインセンサ39の長尺方向中央位置から若干だけ上に位置するようになる。そして、この状態では、ガラス管Gの外周面で反射した測定用レーザ光の光軸と、ガラス管Gの内周で反射した測定用レーザ光の光軸の中央がラインセンサ39の長尺方向中央にほぼ位置する。なお、ステップS122からステップS130までの処理を行うのは、厚さ測定を行うガラス管Gの直径がガラス管Gによって多少変化するため、光ヘッド100からガラス管Gの表面までの距離を一定にして、サーボ用レーザ光が集光する位置に測定用レーザ光が照射されるようにするためである。
【0057】
ステップS132においては、コントローラ200は、スピンドルモータ制御回路112にガラス管Gの軸線周りの回転開始を指示するとともに、回転速度も指示する。スピンドルモータ制御回路112は、エンコーダ14aからのパルス列信号ΦA,ΦBに基づいて計算したスピンドルモータ14の回転速度を用いて、ガラス管Gが前記指示された回転速度で回転するように、スピンドルモータ14を回転させ始める。これにより、ガラス管Gは、前記指示された回転速度で軸線周りに回転し始める。次に、コントローラ200は、ステップS134にて、回転角度検出回路113に作動開始を指示する。これにより、回転角度検出回路113は、スピンドルモータ14の回転角度(ガラス管Gの軸線周りの回転角度)を表す回転角度データをコントローラ200に出力し始める。
【0058】
前記ステップS134の処理後、コントローラ200は、ステップS136にて、X軸方向フィードモータ制御回路110にガラス管GのX軸方向への移動開始を指示するとともに、移動速度も指示する。X軸方向フィードモータ制御回路110は、エンコーダ11aからのパルス列信号ΦA,ΦBに基づいて計算したX軸方向フィードモータ11の回転速度を用いて、ガラス管Gが前記指示された移動速度でX軸方向(図示下方向)に移動するように、X軸方向フィードモータ11を回転させ始める。これにより、ガラス管Gは、前記指示された移動速度でX軸方向に移動し始める。次に、コントローラ200は、ステップS138にて、タイマによる時間計測を開始させる。
【0059】
前記ステップS138の処理後、コントローラ200は、ステップS140にて計測時間が所定の短時間Tに変数nを乗算した乗算結果nT以上であるかを判定する。いま、変数nは「0」であるので、コントローラ200は、ステップS140にて「Yes」と判定して、ステップS142にてセンサ信号取出回路117から最新のセンサ信号を取込み、ステップS144にて回転角度検出回路113から回転角度データを取込み、ステップS146にて移動位置検出回路111からX軸方向位置データを取込む。そして、コントローラ200は、ステップS148にて、ガラス管Gの厚さを計算する。
【0060】
このガラス管Gの計算においては、ラインセンサ39によって受光されたガラス管Gの外周面及び内周面での2つの反射測定用レーザ光の各ピーク値の位置(ピーク位置)を検出する。この場合、ピーク値は、ガラス管Gの外周面及び内周面でそれぞれ反射した測定用レーザ光の光軸にそれぞれ対応する。次に、前記検出した2つのピーク位置を用いて、2つのピーク位置間の距離を求める。そして、ピーク位置間の距離から、予め用意された変換関数又は変換テーブルを用いて、測定用レーザ光が照射されている位置のガラス管Gの厚さを計算する。この変換関数又は変換テーブルは、ガラス管Gの屈折率及び測定用レーザ光のガラス管Gの軸線に対する角度が定まれば一義的に決まるものであり、ガラス管の屈折率が分かっていない場合には、ガラス管Gの屈折率を測定して入力することで定める。なお、測定用レーザ光のガラス管Gの軸線に対する角度は本実施形態による装置によって定まるものである。そして、このステップS148においては、計算されたガラス管Gの厚さを、前入力した回転角度データ及びX方向位置データと対応付けてメモリに記憶しておく。
【0061】
前記ステップS148の処理後、コントローラ200は、ステップS150にて、前記取込んだX軸方向位置データによって表されたX軸方向位置が測定終了位置以上を示しているか、すなわちガラス管Gの長さから設定される測定終了位置以上にガラス管Gが既に移動されたかを判定する。また、コントローラ200は、ステップS152において、前記取込んだセンサ信号中に設定値以上の強度を示す受光データが無いか、すなわち測定用レーザ光の照射位置がガラス管Gの端部を通り過ぎてしまったか、又はサーボ制御が行われていないかを判定する。X軸方向位置が測定終了位置以上を示しておらず、かつセンサ信号中に設定値以上の強度を示す受光データが有れば、コントローラ200は、ステップS150,S152にて共に「No」と判定して、ステップS154にて変数nに「1」を加算して、ステップS140に戻る。そして、計測開始されてからの時間がnT以上になるごとに、コントローラ200は、前述したステップS142〜S148の処理を繰り返し行う。これにより、メモリには、回転角度データによって表されたガラス管Gの軸線周りの角度及びX方向位置データによって表されたガラス管Gの軸線方向位置ごとに、ガラス管Gの厚さを表すデータが記憶されていく。
【0062】
そして、X軸方向位置が測定終了位置以上を示し、又はセンサ信号中に設定値以上の強度を示す受光データが無くなると、コントローラ200は、ステップS150又はS152にて「Yes」と判定して、ステップS156以降に進む。コントローラ200は、ステップS156にてスピンドルモータ制御回路112にスピンドルモータ14の作動停止を指示する。これにより、スピンドルモータ制御回路112はスピンドルモータ14の回転を停止させ、ガラス管Gの軸線周りの回転が停止する。つぎに、コントローラ200は、ステップS158にてX軸方向フィードモータ制御回路110にX軸方向フィードモータ11の作動停止を指示する。これにより、X軸方向フィードモータ制御回路110はX軸方向フィードモータ11の回転を停止させ、ガラス管Gの軸線方向(X軸方向)の移動が停止する。次に、コントローラ200は、ステップS160にてY軸方向サーボ回路120に作動停止を指示し、ステップS162にてZ軸方向サーボ回路123に作動停止を指示する。これらの処理により、ガルバノミラー35のX軸方向に平行な直線周りの回転角のサーボ制御(サーボ用Z軸方向レーザ光のY軸方向のサーボ制御)及び対物レンズ44のZ軸方向へのサーボ制御(フォーカスサーボ制御)も停止する。
【0063】
前記ステップS162の処理後、コントローラ200は、ステップS164にて測定用レーザ駆動回路116に測定用レーザ光源30の駆動停止を指示し、ステップS166にてサーボ用レーザ駆動回路118にサーボ用レーザ光源40の駆動停止を指示する。これにより、測定用レーザ光源30による測定用レーザ光のガラス管Gに対する照射も、サーボ用レーザ光源40によるサーボ用レーザ光のガラス管Gに対する照射も停止する。次に、コントローラ200は、ステップS168にて回転角度検出回路113の作動停止を指示し、ステップS170にてセンサ信号取出回路117の作動停止を指示する。これにより、回転角度検出回路113が作動停止して角度データがコントローラ200に入力されなくなるとともに、センサ信号取出回路117も作動停止してセンサ信号がコントローラ200に入力されなくなる。
【0064】
前記ステップS170の処理後、コントローラ200は、ステップS172にてX軸方向フィードモータ制御回路110に移動体13のX軸方向駆動限界位置への移動を指示し、ステップS174にてZ軸方向フィードモータ制御回路114にテーブル23のZ軸方向駆動限界値への移動を指示する。これらの移動指示により、X軸方向フィードモータ制御回路110は移動体13をX軸方向駆動限界位置まで移動させ、Z軸方向フィードモータ制御回路114がテーブル23をZ軸方向駆動限界値まで移動させる。これにより、ガラス管Gの厚さ測定開始前と同じ状態になるので、作業者は固定具15からガラス管Gを取外し、次に測定したガラス管Gをセットして前述した厚さ測定をふたたび行うことができる。そして、コントローラ200は、ステップS176にて前述したガラス管Gの厚さの測定結果を表示装置204に表示して、ステップS178にて厚さ測定プログラムの実行を終了する。
【0065】
上記説明からも理解できるように、上記第1実施形態に係る透光性管状物体の厚さ測定装置によれば、測定用レーザ光及びサーボ用レーザ光が、光軸位置を変化させることができるガルバノミラー35を介してガラス管Gの表面に照射される。ガラス管Gの表面にて反射された測定用レーザ光は、ふたたびガルバノミラー35を介してラインセンサ39に導かれる。すなわち、ラインセンサ39は、ガラス管Gの外周面で反射する測定用レーザ光の反射光とガラス管Gの内周面で反射する測定用レーザ光の反射光の両反射光を受光して、受光信号を出力する。コントローラ200は、このラインセンサ39による受光信号に基いて、測定用レーザ光の照射位置のガラス管Gの厚さを検出する。一方、ガラス管Gの表面にて反射されたサーボ用レーザ光はフォトディテクタ48に導かれて、フォトディテクタ48は、サーボ用レーザ光のガラス管Gの中心軸からのY軸方向のずれ量を検出して、検出したずれ量を表す信号を出力する。そして、Y軸方向エラー信号生成回路119、Y軸方向サーボ回路120及びY軸方向ドライブ回路121が、モータ36を駆動制御することにより、サーボ用レーザ光及び測定用レーザ光の光軸がガラス管Gの中心軸と交差するように、ガルバノミラー35のX軸線に平行な直線周りの回転角をサーボ制御する。これにより、ガラス管Gの中心軸が設定された位置からずれている場合でも、サーボ用レーザ光及び測定用レーザ光の光軸を常にガラス管Gの中心軸と交差させることができるので、短時間でガラス管Gの全域の厚さを的確に測定することができる。
【0066】
また、上記第1実施形態においては、サーボ用レーザ光を集光レンズ49及びナイフ51を介してフォトディテクタ50で受光し、この受光に基づいて、Z軸方向エラー信号生成回路122、Z軸方向サーボ回路123及びZ軸方向ドライブ回路124がフォーカスアクチュエータ44aを駆動することにより、対物レンズ44をZ軸方向にサーボ制御(すなわちフォーカス制御)する。これにより、サーボ用レーザ光の焦点位置をガラス管Gの表面に一致させることができ、ガラス管GのY軸方向の変位を精度よく検出することができる。
【0067】
b.第2実施形態
上記第1実施形態においては、測定用レーザ光を出射する測定用レーザ光源30と、サーボ用レーザ光を出射するサーボ用レーザ光源40とを別々に設けるようにした。しかし、第2実施形態に係る透光性管状物体の厚さ測定装置は、図5A及び図5Bに示すように、測定用レーザ光とサーボ用レーザ光とを1つのレーザ光として共通に出射するレーザ光源60を備えている。なお、図6A及び図6Bは、図2A及び図2Bの表示態様に合わせて、光ヘッド100を詳細に示している。
【0068】
レーザ光源60から出射されたレーザ光は、上記第1実施形態のコリメートレンズ31,41に代わる共通のコリメートレンズ61を介して、ビームスプリッタ62に入射する。ビームスプリッタ62は、レーザ光源60から出射されたレーザ光を適切な強度割合になるように分割して、測定用レーザ光とサーボ用レーザ光を生成する。測定用レーザ光は、上記第1実施形態の場合と同様なビームスプリッタ32に入射する。サーボ用レーザ光は、新たに設けたミラー63で反射し、上記第1実施形態の場合と同様な偏光ビームスプリッタ42に入射する。他の構成は、上記第1実施形態と同様であり、上記第1実施形態と同様な符号を付してその説明を省略する。
【0069】
上記のように構成した第2実施形態に係る透光性管状物体の厚さ測定装置においては、レーザ光源60から出射されたレーザ光がコリメートレンズ61を介してビームスプリッタ62に入射され、ビームスプリッタ62が測定用レーザ光とサーボ用レーザ光を生成する。そして、測定用レーザ光はビームスプリッタ32に入射され、サーボ用レーザ光はミラー63を介して偏光ビームスプリッタ42に入射される。それ以外の動作は、上記第1実施形態の場合と全く同一である。したがって、この第2実施形態によっても、上記第1実施形態の場合と同様に、ガラス管Gの中心軸が設定された位置からずれている場合でも、サーボ用レーザ光及び測定用レーザ光の光軸を常にガラス管Gの中心軸と交差させることができるので、短時間でガラス管Gの全域の厚さを的確に測定することができる。また、サーボ用レーザ光の焦点位置をガラス管Gの表面に一致させることができ、ガラス管GのY軸方向の変位を精度よく検出することもできる。さらに、この第2実施形態では、上記第1実施形態に比べて、単にミラー63とビームスプリッタ62を追加するだけで、測定用レーザ光とサーボ用レーザ光とに対して共通のレーザ光源60及びコリメートレンズ61を用いているので、レーザ光源、光学部品の数及びレーザ駆動回路の数を減らすことができるため、装置の製造コストを安価に抑えることができる。
【0070】
c.第3実施形態
上記第1及び第2実施形態においては、測定用レーザ光とサーボ用レーザ光とをガラス管Gにそれぞれ別々に照射した。しかし、第3実施形態に係る透光性管状物体の厚さ測定装置は、図6に示すように、1つのレーザ光をガラス管Gに照射し、反射光を詳しくは後述するビームスプリッタ80で適切な強度割合になるように分割し、一方を厚さ測定に用い、他方をサーボ制御に用いるようにしている。また、この第3実施形態においては、ガラス管Gの中心軸に対して垂直方向からレーザ光を照射し、反射光を用いてガラス管Gの厚さ測定を行うことになるが、これには、背景技術の項で説明したように、スーパー・ルミネセント・ダイオード光源(以下、SLD(Super Luminescent Diode)光源という)のように広波長帯域のレーザ光を照射し、反射光を回折格子で分光したときの受光曲線からガラス管Gの厚さを導出する周知の技術を用いる。
【0071】
さらに、この第3実施形態においては、上記第1及び第2実施形態で用いた光ヘッド100が大きくなることを回避するために、上記光ヘッド100の機能を、分光ユニット100A及び測定ヘッド100Bの2つに分散させている。そして、分光ユニット100A及び測定ヘッド100Bを光ファイバー70で光学的に連結している。測定ヘッド100Bは、上記第1実施形態の場合と同様に、テーブル23に固定されている。
【0072】
分光ユニット100Aは、図7Aに詳細に示すように、広波長帯域のレーザ光を出射するSLD光源71を有する。SLD光源71から出射されたレーザ光は、コリメートレンズ72で平行光に変換され、リレーレンズ73,74で断面径が小さくされて、ビームスプリッタ75に導かれる。ビームスプリッタ75は、リレーレンズ73,74からの入射光をそのまま透過し、光ファイバー70を介して測定ヘッド100Bに導く。逆に、測定ヘッド100Bから光ファイバー70を介してビームスプリッタ75に導かれたレーザ光は、ビームスプリッタ75で反射されて、反射型の回折格子76に導かれて一連のスペクトルに分散されてラインセンサ77に導かれる。ラインセンサ77は、CCD、CMOS等で形成されている。なお、前記反射型の回折格子76に代えて透光型の回折格子を用い、ビームスプリッタ75からの反射光を透光型の回折格子を介してラインセンサ77に導くようにしてもよい。
【0073】
測定ヘッド100Bは、光ファイバー70によって伝播されたレーザ光の断面径を大きくするためのリレーレンズ78,79を有する。リレーレンズ78,79によって断面径の大きくされたレーザ光は、ビームスプリッタ80を通過してガルバノミラー81に入射する。ガルバノミラー81で反射されたレーザ光は、対物レンズ83を介してガラス管Gの外周面に照射される。ガルバノミラー81は、上記第1実施形態と同様に、モータ82によってX軸線に平行な直線周りに回転駆動される。対物レンズ83は、上記第1実施形態のアクチュエータ44aと同様なアクチュエータ83aによってZ軸方向に駆動される。なお、この場合も、ガラス管Gの外周面に照射されるレーザ光の光軸はZ軸方向であり、同レーザ光はガラス管Gの外周面上で集光されて小さな光スポットを形成するように設定されている。
【0074】
レーザ光のガラス管Gからの反射光は、対物レンズ83によって平行光に変換されてガルバノミラー81に入射し、ガルバノミラー81で反射されてビームスプリッタ80に導かれる。ガルバノミラー81で反射されてビームスプリッタ80に入射したレーザ光の一部はビームスプリッタ80を透過して、リレーレンズ79,78によって断面径が小さくされて光ファイバー70内に導かれ、光ファイバー70を介して分光ユニット100Aに導かれて厚さ測定に用いられる。また、ガルバノミラー81で反射されてビームスプリッタ80に入射したレーザ光の一部はビームスプリッタ80で反射されて、ビームスプリッタ84に導かれてサーボ制御に用いられる。
【0075】
ビームスプリッタ80で反射されたレーザ光(サーボ用レーザ光に相当する)は、その一部がビームスプリッタ84を透過し、その一部がビームスプリッタ84で反射する。ビームスプリッタ84を透過したサーボ用レーザ光は、2分割のフォトディテクタ85で受光される。このフォトディテクタ85は上記第1実施形態のフォトディテクタ48と同じであり、フォトディテクタ85の出力はY軸方向エラー信号生成回路119に供給されて、上記第1実施形態の場合と同様にY軸方向エラー信号の生成に利用される。ビームスプリッタ84で反射されたサーボ用レーザ光は、集光レンズ86によって2分割のフォトディテクタ87に集光される。集光レンズ86とフォトディテクタ87との間にはナイフ88が設けられている。これら集光レンズ86、フォトディテクタ87及びナイフ88は、上記第1実施形態の集光レンズ49、フォトディテクタ50及びナイフ51と同様に、ナイフエッジ法によるフォーカスサーボに利用されるものであり、Z軸方向エラー信号生成回路122に出力されてZ軸方向エラー信号の生成に用いられる。
【0076】
また、この第3実施形態は、上記第1実施形態の測定用レーザ駆動回路116及びサーボ用レーザ駆動回路118に代わるレーザ駆動回路131を備えている点、上記第1実施形態には存在しない直流成分検出回路132及びスレッドサーボ回路133を備えている点、並びに上記第1実施形態のセンサ信号取出回路117に代わるデータ処理装置140を備えている点で、上記第1実施形態と異なる。他の構成に関しては、上記実施形態と同じであるので、同一の構成には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0077】
レーザ駆動回路131は、コントローラ200に指示されて、SLD光源71を駆動制御する。なお、この第3実施形態においては、SLD光源71の光量のフィードバック制御は省略されている。直流成分検出回路132は、Z軸方向サーボ信号に含まれる直流成分を検出してスレッドサーボ回路133に出力する。スレッドサーボ回路133は、コントローラ200によって指示されて、直流成分検出回路132からの直流成分が「0」になるように制御するサーボ制御信号を生成して、生成したサーボ制御信号をZ軸方向フィードモータ制御回路114に供給する。Z軸方向フィードモータ制御回路114は、コントローラ200によるZ軸方向フィードモータ21の制御に加えて、このサーボ制御信号に応じてZ軸方向フィードモータ21をフィードバック制御する。これにより、ガラス管Gの径によらず、測定ヘッド100Bからガラス管Gまでの距離は、常に、対物レンズ83が中立位置を中心にZ軸方向に変動する距離となる。
【0078】
データ処理装置140は、コントローラ200の指示により、設定された頻度でラインセンサ77の各画素が出力する信号の大きさを表すディジタル形式の大きさデータをA/D変換して、A/D変換した大きさデータを画素位置に対応させて記憶する。そして、データ処理装置140は、この記憶した大きさデータ(すなわち、受光曲線)を処理することでガラス管Gの厚さを計算し、計算した厚さを表す厚さデータをコントローラ200に出力することを繰り返す。
【0079】
このガラス管Gの厚さの計算について簡単に説明しておく。対物レンズ83によってガラス管Gに照射されたレーザ光は、ガラス管Gの表面と裏面との両面で反射して、前記両面での反射光は互いに干渉する。この場合、SLD光源71から出射されてガラス管Gに導かれたレーザ光は広波長帯域のレーザ光(すなわち波長の異なる成分を含むレーザ光)であり、前記干渉は同じ波長のレーザ光同士でのみ行われて、この干渉による波長ごとのレーザ光の強度はガラス管Gの厚さに依存する。なお、この第3実施形態においては、対物レンズ83の開口数(NA)は小さく、焦点深度はガラス管Gの厚さ以上である。よって、ガラス管Gの表面と裏面とでのレーザ光の反射光は、元の光路を戻って干渉する。
【0080】
一方、回折格子76は、入射するレーザ光(測定用レーザ光に相当する)の波長によって回折の仕方を異ならせるので、ラインセンサ77の受光位置とレーザ光の波長とは対応関係にある。すなわち、回折格子76は、前記ガラス管Gの厚さに依存する干渉によって強度の大きさが異なるレーザ光の反射角を異ならせることになるので、ラインセンサ77の位置と受光強度との関係を表す受光曲線は、ガラス管Gの厚さに関係する。その結果、ガラス管Gの厚さが異なれば、干渉の結果としての波長ごとの光強度が異なるため、ラインセンサ77による受光曲線も異なり、受光曲線を解析することでガラス管Gの厚さを計算することができる。したがって、データ処理装置140からコントローラ200には、ガラス管Gの厚さを表す厚さデータが供給される。なお、受光曲線からガラス管Gの厚さを計算できない場合には、データ処理装置140からコントローラ200に「測定不可」を表すデータが供給される。
【0081】
上記のように構成した第3実施形態に係る透光性管状物体の厚さ測定装置の動作について説明すると、この第3実施形態においては、上記第1実施形態の図4A及び図4Bの厚さ測定プログラムに代えて、図8A及び図8Bの厚さ測定プログラムがコントローラ200によって実行される。この厚さ測定プログラムの実行は、図8AのステップS200にて開始され、コントローラ200は、上記第1実施形態のステップS102〜S110の処理と同様なステップS202〜S210により、変数nを「0」に初期設定するとともに、ガラス管GをX軸方向の測定開始位置まで移動し、上記第1実施形態の光ヘッド100に代わる測定ヘッド100BをZ軸方向の測定用設定位置まで移動する。次に、コントローラ200は、ステップS212にて、レーザ駆動回路131を作動させて、SLD光源71を駆動することにより測定用及びサーボ用を兼用した広波長帯域のレーザ光を出射させる。この場合、レーザ光の強度に関するフィードバック制御が省略されている。
【0082】
SLD光源71から出射された測定用レーザ光は、コリメートレンズ72で平行光に変換され、リレーレンズ73,74によって断面径が小さくされて、光ファイバー70を伝播して、分光ユニット100Aから測定ヘッド100Bに導かれる。測定ヘッド100Bにおいては、光ファイバー70によって伝播されたレーザ光は、リレーレンズ78,79によって断面径が大きくされ、ビームスプリッタ80を介してガルバノミラー81に入射する。ガルバノミラー81はこの入射レーザ光を反射して対物レンズ83に入射させ、対物レンズ83は入射したレーザ光を集光してガラス管Gに照射する。ガラス管Gに照射されたレーザ光の一部は、まずガラス管Gの外周面で反射され、対物レンズ83に入射する。また、ガラス管Gに照射されたレーザ光の一部は、ガラス管Gの肉厚部分に侵入し、ガラス管Gの内周面で反射してガラス管Gの肉厚部を介して対物レンズ83に入射する。したがって、ガラス管Gの外周面で反射したレーザ光と、ガラス管Gの内周面で反射したレーザ光は干渉し合って、対物レンズ83に入射する。したがって、ガラス管Gの厚さにより、波長に応じて強度が異なる干渉レーザ光が対物レンズ83に入射することになる。
【0083】
対物レンズ83に入射したレーザ光は、対物レンズ83によって平行光に変換されて、ガルバノミラー81に導かれて、ガルバノミラー81で反射してビームスプリッタ80に入射する。ビームスプリッタ80は、入射したレーザ光の一部を透過してリレーレンズ79,78により断面径を小さくして、光ファイバー70を介して分光ユニット100Aに測定用レーザ光として導く。分光ユニット100Aにおいては、光ファイバー70によって伝播された測定用レーザ光を、ビームスプリッタ75で反射させて、回折格子76に入射させる。回折格子76は、入射した測定用レーザ光を、波長に応じて反射角を異ならせてラインセンサ77に入射させる。
【0084】
一方、ビームスプリッタ80は、ガルバノミラー81から入射したレーザ光の一部を反射して、サーボ用レーザ光としてビームスプリッタ84に入射させる。ビームスプリッタ84は、入射したサーボ用レーザ光の一部を反射して、集光レンズ86、ナイフ51及びフォトディテクタ87に導く。フォトディテクタ87で受光されたサーボ用レーザ光の受光量を表す受光信号は、上記第1実施形態の場合と同様に、Z軸方向エラー信号生成回路122に供給されてZ軸方向エラー信号の生成に用いられる。また、ビームスプリッタ84は、入射したサーボ用レーザ光の一部を透過して、フォトディテクタ85に導く。フォトディテクタ85で受光されたサーボ用レーザ光の受光量を表す受光信号は、上記第1実施形態の場合と同様に、Y軸方向エラー信号生成回路119に供給されてY軸方向エラー信号の生成に用いられる。
【0085】
前記ステップS212の処理後、コントローラ200は、上記第1実施形態のステップS116、S118の処理と同様なステップS214,S216の処理により、Y軸方向サーボ回路120及びZ軸方向サーボ回路123の作動を開始させる。これにより、上記第1実施形態の場合と同様に、X軸方向に平行な直線周りのガルバノミラー81の回転がサーボ制御され、測定用でありサーボ用であるレーザ光の光軸が常にガラス管Gの中心軸と交差するように維持される。また、対物レンズ83もZ軸方向にサーボ制御(すなわちフォーカスサーボ制御)され、レーザ光の焦点位置がガラス管Gの表面に一致するように維持される。
【0086】
前記ステップS216の処理後、コントローラ200は、ステップS218にて、スレッドサーボ回路113に作動開始を指示する。スレッドサーボ回路113は、この作動開始に応答して作動を開始し、直流成分検出回路132によって検出された、Z軸方向サーボ回路123から供給されるZ軸方向サーボ信号に含まれる直流成分を「0」に制御するサーボ制御信号を生成して、生成したサーボ制御信号をZ軸方向フィードモータ制御回路114に供給する。そして、Z軸方向フィードモータ制御回路114は、このサーボ制御信号に応じてZ軸方向フィードモータ21の回転を制御して、テーブル23すなわち測定ヘッド100BのZ軸方向にサーボ制御する。これにより、ガラス管Gの径によらず、測定ヘッド100Bからガラス管Gまでの距離は、常に、対物レンズ83が中立位置を中心にZ軸方向に変動する距離となる。
【0087】
前記ステップS218の処理後、コントローラ200は、ステップS220にて、データ処理装置140に対して作動開始を指示する。これに応答して、データ処理装置140は、設定された頻度でラインセンサ77の各画素が出力する信号の大きさを表す信号を入力して、この入力した信号に基いてガラス管Gの厚さを計算し、計算した厚さを表す厚さデータを予め決められた周期でコントローラ200に出力し始める。
【0088】
次に、コントローラ200は、上記第1実施形態のステップS132〜S136と同様なステップS222〜S226の処理により、ガラス管Gを所定の回転速度で軸線周りに回転させ始め、回転角度検出回路113にガラス管Gの軸線周りの回転角度を表す回転角度データをコントローラ200に出力させ始め、かつガラス管GをX軸方向に所定の移動速度で移動させ始める。
【0089】
前記ステップS222〜S226の処理後、コントローラ200は、上記第1実施形態のステップS138,S140,S144,S146,S154の処理と同様なステップS228〜S234,S242の処理により、所定の時間間隔ごとに、回転角度検出回路113から回転角度データを取込むとともに、移動位置検出回路111からX軸方向位置データを取込む。そして、この第3実施形態においては、コントローラ200は、ステップS236にて、前記所定の時間間隔ごとに、データ処理装置140からガラス管Gの厚さを表す厚さデータを取込み、この取込んだ厚さデータを、前記取込んだ回転角度データ及びX方向位置データと対応付けてメモリに記憶しておく。
【0090】
また、前記ステップS230〜S236,S242を含む循環処理中、コントローラ200は、上記第1実施形態のステップS150と同じステップS238の判定処理により、測定用レーザ光の照射位置がガラス管Gの端部を通り過ぎた場合には、ステップS244に進む。また、データ処理装置140から「測定不可」を表す信号を入力した場合も、ステップS240の判定処理により、ステップS244に進む。
【0091】
ステップS240以降においては、コントローラ200は、上記第1実施形態のステップS156〜S162と同じステップS244〜S250の処理により、ガラス管Gの軸線周りの回転、ガラス管Gの軸線方向(X軸方向)の移動、ガルバノミラー81によるレーザ光のY軸方向へのサーボ制御及び対物レンズ83のZ軸方向へのサーボ制御(フォーカスサーボ制御)を停止させる。そして、コントローラ200は、ステップS252にて、レーザ駆動回路131にSLD光源71の駆動停止を指示して、SLD光源71によるレーザ光の出射を停止させる。また、コントローラ200は、上記第1実施形態のステップS168と同じステップS254の処理により、回転角度検出回路113の作動停止を停止させ、ステップS256の処理によりデータ処理装置140の作動も停止させる。
【0092】
前記ステップS256の処理後、コントローラ200は、上記第1実施形態のステップS172,S174と同様なステップS258,S260の処理により、移動体13をX軸方向駆動限界位置まで移動させるとともに、テーブル23をZ軸方向駆動限界値まで移動させる。そして、コントローラ200は、上記第1実施形態のステップS176と同様なステップS262の処理により、前述したガラス管Gの厚さの測定結果を表示装置204に表示して、ステップS264にて厚さ測定プログラムの実行を終了する。
【0093】
上記のように動作する第3実施形態に係る透光性管状物体の厚さ測定装置においては、上記第1実施形態と同様なY軸方向サーボ制御及びZ軸方向サーボ制御が行われる。したがって、この第3実施形態においても、上記第1実施形態の場合と同様に、ガラス管Gの中心軸が設定された位置からずれている場合でも、測定用レーザ光の光軸を常にガラス管Gの中心軸と交差させることができるので、短時間でガラス管Gの全域の厚さを的確に測定することができる。また、サーボ用レーザ光(この形態では測定用レーザ光と同じ)の焦点位置をガラス管Gの表面に一致させることができ、ガラス管GのY軸方向の変位を精度よく検出することもできる。さらに、この第3実施形態においては、1つのレーザ光をガラス管Gに照射し、その反射光をビームスプリッタ80で適切な強度割合になるように分割し、一方を厚さ測定に用い、他方をサーボ制御に用いるようにしている。これにより、レーザ光源、光学部品の数及びレーザ駆動回路の数を減らすことができるため、装置の製造コストを安価に抑えることができる。
【0094】
なお、上記第3実施形態においては、広波長帯域のレーザ光をガラス管Gに照射し、ガラス管Gからの反射光を回折格子で分光したときの受光曲線からガラス管Gの厚さを求める方法を採用した。しかし、レーザ光をガラス管Gの中心軸に垂直に照射したときに生じる反射光を用いてガラス管Gの厚さを計算することができれば、他のどのような方法を採用することともできる。例えば、レーザ光の波長を高速で変化させながらガラス管Gに照射し、レーザ光の波長に対するガラス管Gからの反射光の光強度を検出し、この波長と光強度の関係からガラス管Gの厚さを計算する方法を採用してもよい。
【0095】
また、低コヒーレント性で光路長が同一になったときにのみ干渉するレーザ光をビームスプリッタで分割し、一方をガラス管Gに照射して反射させ、他方を参照ミラーで反射させ、参照ミラーを駆動して双方が干渉して強度が大きくなる参照ミラーの2つの位置を検出することで、ガラス管Gの厚さを検出する方法を採用してもよい。
【0096】
d.その他の変形例
以上、本発明の第1乃至第3実施形態について説明したが、本発明の実施にあたっては、上記第1乃至第3実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変形も可能である。
【0097】
上記第1乃至第3実施形態では、ガルバノミラー35,81を駆動することによってY軸方向サーボを行ったが、レーザ光の光軸の位置を変化させることができれば、どのようなミラーを用いてもよい。例えば、マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム・ミラー(MEMSミラー)でもよいし、アクチュエータによって反射面の角度を変化させることができる立上げミラーでもよいし、ポリゴンミラーでよい。また、ミラーでなくても、AOD(音響光学偏向器)又はEOD(電気光学偏光器)によってレーザ光の光軸位置を変化させてもよい。
【0098】
また、上記第1乃至第3実施形態では、サーボ用のレーザ光を集光する対物レンズ44,83をZ軸方向に駆動させるZ軸方向サーボにナイフエッジ法を用いた。しかし、Z軸方向サーボが可能であれば、他のどのようなサーボを行ってもよい。例えば、非点収差法によるZ軸方向サーボを行ってもよいし、スポット・サイズ・ディテクション法(SSD法)によるZ軸サーボを行ってもよい。また、測定精度を高くする必要がなければ、Z軸方向サーボを行わなくてもよい。
【0099】
また、上記第1及び第2実施形態では、ガラス管Gにおける測定用レーザ光の照射位置とサーボ用レーザ光の照射位置とを合わせたが、ガラス管Gの中心軸の変動が小さければ、照射位置を近傍にするだけでもよい。
【0100】
また、上記第1乃至第3実施形態では、ガラス管Gを回転させながらX軸方向へ移動させ、ガラス管Gの全域の厚さを測定したが、中心軸方向の1ラインの測定のみでよければ、回転を伴わないで、ガラス管Gの厚さを測定するよういしてもよい。
【0101】
また、上記第1乃至第3実施形態では、ガラス管GをX軸方向へ移動させたが、ガラス管Gを固定して光ヘッド100又は測定ヘッド100BをX軸方向に移動させるようにしてもよい。
【0102】
さらに、上記第1乃至第3実施形態では、Z軸方向の移動機構を設けたが、Z軸方向の移動機構をなくし、X軸方向の駆動限界位置をさらに上側にしてガラス管Gをセットできるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0103】
10…ワーク駆動装置、11…X軸方向フィードモータ、13…移動体、14…スピンドルモータ、20…支持装置、21…Z軸方向フィードモータ、23…テーブル、30…測定用レーザ光源、35,81…ガルバノミラー、39,77…ラインセンサ、40…サーボ用レーザ光源、60…レーザ光源、70…光ファイバー、76…回折格子、100…光ヘッド、100A…分光ユニット、100B…測定ヘッド、140…データ処理装置、200…コントローラ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定用レーザ光をレーザ光の光軸位置を変化させる光学部品を介して透光性管状物体に照射する測定用レーザ光照射手段と、
前記透光性管状物体の外周面で反射する前記測定用レーザ光の反射光と前記透光性管状物体の内周面で反射する前記測定用レーザ光の反射光とを前記光学部品を介して第1受光センサで受光する測定用レーザ光受光手段と、
前記第1受光センサで受光した反射光の受光状態に対応する信号を生成して、前記生成した信号から前記測定用レーザ光が照射された位置における前記透光性管状物体の厚さを検出する厚さ検出手段と、
前記測定用レーザ光照射手段によって照射される測定用レーザ光の前記透光性管状物体に対する照射位置を、前記透光性管状物体の中心軸方向に移動させるレーザ光照射位置移動手段とを備えた透光性管状物体の厚さ測定装置において、
サーボ用レーザ光を前記光学部品を介して前記透光性管状物体に対して照射する手段であって、前記測定用レーザ光の前記透光性管状物体に対する照射位置又はその近傍位置に前記サーボ用レーザ光を対物レンズで集光して照射するサーボ用レーザ光照射手段と、
前記サーボ用レーザ光の反射光を前記対物レンズ及び前記光学部品を介して受光して、前記サーボ用レーザ光の前記透光性管状物体の中心軸からのずれ量を表す信号を出力する第1ずれ量検出光学手段と、
前記第1ずれ量検出光学手段からの信号に基づいて、前記測定用レーザ光の光軸が前記透光性管状物体の中心軸と交差するように、前記光学部品を駆動制御する第1サーボ手段とを設けたことを特徴とする透光性管状物体の厚さ測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載した透光性管状物体の厚さ測定装置において、
前記サーボ用レーザ光の前記透光性管状物体からの反射光を入射して、前記対物レンズによる前記サーボ用レーザ光の焦点位置と、前記サーボ用レーザ光が照射される前記透光性管状物体の表面位置とのずれ量を表す信号を出力する第2ずれ量検出光学手段と、
前記第2ずれ量検出光学手段からの信号に基づいて、前記対物レンズによる前記サーボ用レーザ光の焦点位置が前記サーボ用レーザ光が照射される前記透光性管状物体の表面位置に一致するように、前記対物レンズを前記サーボ用レーザ光の光軸方向に駆動制御する第2サーボ手段とを設けたことを特徴とする透光性管状物体の厚さ測定装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載した透光性管状物体の厚さ測定装置において、
入射したレーザ光を分割する分割用光学素子を設け、
1つのレーザ光源からのレーザ光を前記分割用光学素子で分割して、前記測定用レーザ光と前記サーボ用レーザ光を生成するようにしたことを特徴とする透光性管状物体の厚さ測定装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載した透光性管状物体の厚さ測定装置において、
入射したレーザ光を分割する分割用光学素子を設け、
1つのレーザ光源から出射されたレーザ光を前記測定用レーザ光と前記サーボ用レーザ光とに共通のレーザ光として、前記透光性管状物体の中心軸の垂直方向から前記対物レンズを介して前記透光性管状物体に照射し、
前記透光性管状物体によって反射された前記測定用レーザ光と前記サーボ用レーザ光とに共通のレーザ光を前記分割用光学素子で分割して、前記測定用レーザ光の反射光と前記サーボ用レーザ光の反射光を生成するようにしたことを特徴とする透光性管状物体の厚さ測定装置。
【請求項1】
測定用レーザ光をレーザ光の光軸位置を変化させる光学部品を介して透光性管状物体に照射する測定用レーザ光照射手段と、
前記透光性管状物体の外周面で反射する前記測定用レーザ光の反射光と前記透光性管状物体の内周面で反射する前記測定用レーザ光の反射光とを前記光学部品を介して第1受光センサで受光する測定用レーザ光受光手段と、
前記第1受光センサで受光した反射光の受光状態に対応する信号を生成して、前記生成した信号から前記測定用レーザ光が照射された位置における前記透光性管状物体の厚さを検出する厚さ検出手段と、
前記測定用レーザ光照射手段によって照射される測定用レーザ光の前記透光性管状物体に対する照射位置を、前記透光性管状物体の中心軸方向に移動させるレーザ光照射位置移動手段とを備えた透光性管状物体の厚さ測定装置において、
サーボ用レーザ光を前記光学部品を介して前記透光性管状物体に対して照射する手段であって、前記測定用レーザ光の前記透光性管状物体に対する照射位置又はその近傍位置に前記サーボ用レーザ光を対物レンズで集光して照射するサーボ用レーザ光照射手段と、
前記サーボ用レーザ光の反射光を前記対物レンズ及び前記光学部品を介して受光して、前記サーボ用レーザ光の前記透光性管状物体の中心軸からのずれ量を表す信号を出力する第1ずれ量検出光学手段と、
前記第1ずれ量検出光学手段からの信号に基づいて、前記測定用レーザ光の光軸が前記透光性管状物体の中心軸と交差するように、前記光学部品を駆動制御する第1サーボ手段とを設けたことを特徴とする透光性管状物体の厚さ測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載した透光性管状物体の厚さ測定装置において、
前記サーボ用レーザ光の前記透光性管状物体からの反射光を入射して、前記対物レンズによる前記サーボ用レーザ光の焦点位置と、前記サーボ用レーザ光が照射される前記透光性管状物体の表面位置とのずれ量を表す信号を出力する第2ずれ量検出光学手段と、
前記第2ずれ量検出光学手段からの信号に基づいて、前記対物レンズによる前記サーボ用レーザ光の焦点位置が前記サーボ用レーザ光が照射される前記透光性管状物体の表面位置に一致するように、前記対物レンズを前記サーボ用レーザ光の光軸方向に駆動制御する第2サーボ手段とを設けたことを特徴とする透光性管状物体の厚さ測定装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載した透光性管状物体の厚さ測定装置において、
入射したレーザ光を分割する分割用光学素子を設け、
1つのレーザ光源からのレーザ光を前記分割用光学素子で分割して、前記測定用レーザ光と前記サーボ用レーザ光を生成するようにしたことを特徴とする透光性管状物体の厚さ測定装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載した透光性管状物体の厚さ測定装置において、
入射したレーザ光を分割する分割用光学素子を設け、
1つのレーザ光源から出射されたレーザ光を前記測定用レーザ光と前記サーボ用レーザ光とに共通のレーザ光として、前記透光性管状物体の中心軸の垂直方向から前記対物レンズを介して前記透光性管状物体に照射し、
前記透光性管状物体によって反射された前記測定用レーザ光と前記サーボ用レーザ光とに共通のレーザ光を前記分割用光学素子で分割して、前記測定用レーザ光の反射光と前記サーボ用レーザ光の反射光を生成するようにしたことを特徴とする透光性管状物体の厚さ測定装置。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【公開番号】特開2012−107978(P2012−107978A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−256719(P2010−256719)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(000112004)パルステック工業株式会社 (179)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(000112004)パルステック工業株式会社 (179)
【Fターム(参考)】
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