説明

運転支援装置

【課題】歩行者との事故発生の危険度を総合的に判定し、危険度に適応した回避行動を支援すること。
【解決手段】自車カメラ31によって撮影した車両周辺の画像や、路車間通信装置35、車両間通信装置36が受信した画像に対して画像処理部11による画像処理を施した後、画像認識部12が歩行者の有無を認識する。その結果、歩行者が存在するならば危険度算出部13がナビゲーション装置20、速度センサ32、レーダ33、雨滴センサ34などの出力を用いて歩行者と自車両とが接触する可能性(危険度)を算出し、車両動作制御部14はエンジン制御装置61、ブレーキ制御装置62、変速制御装置63、ステアリング制御装置64、乗員用エアバッグ65および歩行者用エアバッグ66を制御して危険度に対応した車両動作の支援を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両の走行にかかる情報を収集し、該収集した情報をもとに車両の運転を支援する運転支援装置に関し、特に歩行者の安全を確保する運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から車両事故、特に車両と歩行者(自転車などを含む)との事故の防止は非常に重要な課題である。このような事故では、特に歩行者側の被害が大きくなるため、車両側において歩行者との接触を防止すべく、各種技術が考案されてきた。
【0003】
たとえば、特許文献1は、歩行者の存在を認識した場合にブレーキ命令やライト点滅命令を出力することで歩行者との衝突を回避するが開示する車載ネットワークシステムを開示している。
【0004】
【特許文献1】特開2003−182474号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の技術では、歩行者を認識した時点でブレーキをかけることで歩行者を保護しているが、たとえば歩行者が自車両を認識し、余裕をもって回避できる場合などには、必ずしもブレーキをかける必要はない。また、後続車両などとの関係によっては、減速によって後続車両との不要な接触が生じる可能性がある。
【0006】
また、自車両の減速によっても歩行者との接触を回避できない場合には、操舵によって自車両の進行方向を変更し、接触を回避する必要がある。さらに、歩行者保護の観点からは、自車両が他の障害物に敢えて衝突することで、歩行者との衝突を防ぐことが必要な状況も発生しうる。
【0007】
このように、歩行者との接触や衝突を回避するためには、単にブレーキをかけるのみでは対応できない場合があり、状況に適応した回避行動を実行する必要がある。しかしながら、従来、このような回避行動は運転者の運転操作に依存しており、車両側からの充分な支援が行われていないという問題点があった。
【0008】
そこで、事故発生の危険度合いを総合的に判断し、状況に適応した回避行動を支援する運転支援装置の実現が重要な課題となっていた。
【0009】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消し、課題を解決するためになされたものであり、歩行者との事故発生の危険度を総合的に判定し、危険度に適応した回避行動を支援する運転支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明に係る運転支援装置は、車両の走行にかかる情報を収集し、該収集した情報をもとに車両の運転を支援する運転支援装置であって、画像取得手段が取得した車両周辺の画像から歩行者を認識する画像認識手段と、前記画像認識手段によって認識した歩行者と自車両とが接触する危険度に基づいて自車両の動作制御を行なう動作制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
この請求項1の発明によれば運転支援装置は、車両周辺の画像を取得して歩行者を画像認識し、認識した歩行者と自車両とが接触する危険の度合いを算出し、算出された危険度に基づいて自車両の動作を制御する。
【0012】
また、請求項2の発明に係る運転支援装置は、請求項1の発明において、前記動作制御手段は、車外への報知装置、エンジン制御装置、ブレーキ制御装置、変速制御装置、ステアリング制御装置、乗員用エアバッグ、歩行者用エアバッグのいずれか、もしくは車外への報知装置、エンジン制御装置、ブレーキ制御装置、変速制御装置、ステアリング制御装置、乗員用エアバッグ、歩行者用エアバッグを組み合わせて使用した動作制御を行うことを特徴とする。
【0013】
この請求項2の発明によれば運転支援装置は、車両周辺の画像を取得して歩行者を画像認識し、認識した歩行者と自車両とが接触する危険の度合いを算出し、算出された危険度に基づいて、車外への報知装置、エンジン制御装置、ブレーキ制御装置、変速制御装置、ステアリング制御装置、乗員用エアバッグ、歩行者用エアバッグのいずれか、もしくはその組み合わせの動作を制御する。
【0014】
また、請求項3の発明に係る運転支援装置は、請求項2の発明において、前記動作制御手段は、前記危険度によって歩行者と自車両とが接触する可能性があることが示された場合に、前記エンジン制御装置に対する動作制御を行なって自車両の加速を制限することを特徴とする。
【0015】
この請求項3の発明によれば運転支援装置は、車両周辺の画像を取得して歩行者を画像認識し、認識した歩行者と自車両とが接触する危険の度合いを算出し、危険度によって歩行者と自車両とが接触する可能性があることが示された場合に、エンジン制御装置の動作制御によって自車両の加速を制限する。
【0016】
また、請求項4の発明に係る運転支援装置は、請求項2または3の発明において、前記動作制御手段は、前記危険度によって歩行者と自車両とが接触する可能性があることが示された場合に、前記エンジン制御装置、前記ブレーキ制御装置、前記変速制御装置に対する動作制御を行なって運転者による減速操作を支援することを特徴とする。
【0017】
この請求項4の発明によれば運転支援装置は、車両周辺の画像を取得して歩行者を画像認識し、認識した歩行者と自車両とが接触する危険の度合いを算出し、危険度によって歩行者と自車両とが接触する可能性があることが示された場合に、エンジン制御装置、ブレーキ制御装置、変速制御装置に対する動作制御を行なって運転者による減速操作を支援する。
【0018】
また、請求項5の発明に係る運転支援装置は、請求項2,3または4の発明において、前記動作制御手段は、前記危険度によって歩行者と自車両とが接触する可能性があることが示された場合に、前記エンジン制御装置、前記ブレーキ制御装置、前記変速制御装置に対する動作制御を行なって自車両の減速操作を自動実行することを特徴とする。
【0019】
この請求項5の発明によれば運転支援装置は、車両周辺の画像を取得して歩行者を画像認識し、認識した歩行者と自車両とが接触する危険の度合いを算出し、危険度によって歩行者と自車両とが接触する可能性があることが示された場合に、エンジン制御装置、ブレーキ制御装置、変速制御装置に対する動作制御を行なって自車両を自動的に減速させる。
【0020】
また、請求項6の発明に係る運転支援装置は、請求項2〜5のいずれか一つ発明において、前記動作制御手段は、前記危険度によって歩行者と自車両とが接触する可能性があることが示された場合に、前記ステアリング制御装置に対する動作制御によって運転者による回避操作を支援することを特徴とする。
【0021】
この請求項6の発明によれば運転支援装置は、車両周辺の画像を取得して歩行者を画像認識し、認識した歩行者と自車両とが接触する危険の度合いを算出し、危険度によって歩行者と自車両とが接触する可能性があることが示された場合にステアリング制御装置に対する動作制御を行なって運転者による回避操作を支援する。
【0022】
また、請求項7の発明に係る運転支援装置は、請求項2〜6のいずれか一つの発明において、動作制御手段は、前記危険度によって歩行者と自車両とが接触する可能性があることが示された場合に、前記ステアリング装置に対する動作制御によって自車両の回避操作を自動実行することを特徴とする。
【0023】
この請求項7の発明によれば運転支援装置は、車両周辺の画像を取得して歩行者を画像認識し、認識した歩行者と自車両とが接触する危険の度合いを算出し、危険度によって歩行者と自車両とが接触する可能性があることが示された場合にステアリング制御装置に対する動作制御を行なって自律的に歩行者の回避を実行する。
【0024】
また、請求項8の発明に係る運転支援装置は、請求項2〜7のいずれか一つの発明において、前記動作制御手段は、前記危険度によって自車両の衝突が不可避であることが示された場合に、前記エンジン制御装置、前記ブレーキ制御装置、前記変速制御装置、前記ステアリング制御装置に対する動作制御を行なって被害が最小化となる走行制御を自動実行することを特徴とする。
【0025】
この請求項8の発明によれば運転支援装置は、車両周辺の画像を取得して歩行者を画像認識し、認識した歩行者と自車両とが接触する危険の度合いを算出し、危険度によって自車両の衝突が不可避であることが示された場合にエンジン制御装置、ブレーキ制御装置、変速制御装置、ステアリング制御装置に対する動作制御を行なって被害が最小化となる走行制御を自動実行する。
【0026】
また、請求項9の発明に係る運転支援装置は、請求項2〜8のいずれか一つの発明において、前記動作制御手段は、前記危険度によって自車両の衝突が不可避であることが示された場合に、前記乗員用エアバッグを展開することを特徴とする。
【0027】
この請求項9の発明によれば運転支援装置は、車両周辺の画像を取得して歩行者を画像認識し、認識した歩行者と自車両とが接触する危険の度合いを算出し、危険度によって自車両の衝突が不可避であることが示された場合に乗員用エアバッグを展開する。
【0028】
また、請求項10の発明に係る運転支援装置は、請求項2〜9のいずれか一つ発明において、前記動作制御手段は、前記危険度によって自車両の歩行者に対する接触が不可避であることが示された場合に、前記歩行者用エアバッグを展開することを特徴とする。
【0029】
この請求項10の発明によれば運転支援装置は、車両周辺の画像を取得して歩行者を画像認識し、認識した歩行者と自車両とが接触する危険の度合いを算出し、危険度によって自車両の歩行者への接触が不可避であることが示された場合に歩行者用エアバッグを展開する。
【0030】
また、請求項11の発明に係る運転支援装置は、請求項1〜10のいずれか一つの発明において、前記危険度は、道路形状、前記歩行者の状態、前記歩行者と自車両との相対距離および相対速度を用いて算出されることを特徴とする。
【0031】
この請求項11の発明によれば運転支援装置は、車両周辺の画像を取得して歩行者を画像認識し、道路形状、前記歩行者の状態、前記歩行者と自車両との相対距離および相対速度を用いて歩行者と自車両とが接触する危険の度合いを算出し、算出された危険度に基づいて自車両の動作を制御する。
【0032】
また、請求項12の発明に係る運転支援装置は、請求項11の発明において、前記危険度は、周辺車両の状態、周辺の地図情報、時刻情報、天候情報のうち、少なくともいずれか一つをさらに用いて算出されることを特徴とする。
【0033】
この請求項12の発明によれば運転支援装置は、車両周辺の画像を取得して歩行者を画像認識し、周辺車両の状態、周辺の地図情報、時刻情報、天候情報などを用いて歩行者と自車両とが接触する危険の度合いを算出し、算出された危険度に基づいて自車両の動作を制御する。
【0034】
また、請求項13の発明に係る運転支援装置は、請求項12の発明において、前記道路形状、前記歩行者の状態、前記相対距離および相対速度、周辺車両の状態、天候情報のうち、少なくともいずれか一つが画像処理によって取得されることを特徴とする。
【0035】
この請求項13の発明によれば運転支援装置は、車両周辺の画像を取得して歩行者の有無、歩行者の状態、道路形状、歩行者と自車両との相対距離および相対速度、周辺車両の状況、天候などを画像認識して歩行者と自車両とが接触する危険の度合いを算出し、算出された危険度に基づいて自車両の動作を制御する。
【0036】
また、請求項14の発明に係る運転支援装置は、請求項12の発明において、前記道路形状、前記周辺の地図情報および前記時刻情報のうち、少なくともいずれか一つがナビゲーション装置から取得されることを特徴とする。
【0037】
この請求項14の発明によれば運転支援装置は、車両周辺の画像を取得して歩行者を画像認識するとともにナビゲーション装置から道路形状、周辺の地図情報、時刻情報などを取得して自車両とが接触する危険の度合いを算出し、算出された危険度に基づいて自車両の動作を制御する。
【0038】
また、請求項15の発明に係る運転支援装置は、請求項11〜14のいずれか一つの発明において、前記危険度算出手段は、周辺車両との車両間通信によって前記周辺車両の状態を取得することを特徴とする。
【0039】
この請求項15の発明によれば運転支援装置は、車両周辺の画像を取得して歩行者を画像認識するとともに周辺車両との車両間通信によって周辺車両の状態を取得して歩行者と自車両とが接触する危険の度合いを算出し、算出された危険度に基づいて自車両の動作を制御する。
【0040】
また、請求項16の発明に係る運転支援装置は、請求項1〜15のいずれか一つの発明において、前記画像取得手段は、自車両に搭載した車載撮影装置から前記車両周辺の画像を取得することを特徴とする。
【0041】
この請求項16の発明によれば運転支援装置は、自車両周辺の画像を撮影して歩行者を画像認識し、認識した歩行者と自車両とが接触する危険の度合いを算出し、算出された危険度に基づいて自車両の動作を制御する。
【0042】
また、請求項17の発明に係る運転支援装置は、請求項1〜16のいずれか一つの発明において、前記画像取得手段は、外部との通信によって前記車両周辺の画像を取得することを特徴とする。
【0043】
この請求項17の発明によれば運転支援装置は、外部との通信によって自車両周辺の画像を取得して歩行者を画像認識し、認識した歩行者と自車両とが接触する危険の度合いを算出し、算出された危険度に基づいて自車両の動作を制御する。
【0044】
また、請求項18の発明に係る運転支援装置は、車両の走行にかかる情報を収集し、該収集した情報をもとに車両の運転を支援する運転支援装置であって、画像取得手段が取得した車両周辺の画像から歩行者を認識する画像認識手段と、自車両の走行している道路上の走行環境を検出する走行環境検出手段と、前記画像認識手段および前記走行環境検出手段に基づいて自車両の動作制御を行なう動作制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0045】
この請求項18の発明によれば運転支援装置は、車両周辺の画像を取得して歩行者を画像認識するとともに自車両の走行環境を検出して車両動作を制御する。
【発明の効果】
【0046】
請求項1の発明によれば運転支援装置は、車両周辺の画像を取得して歩行者を画像認識し、認識した歩行者と自車両とが接触する危険の度合いを算出し、算出された危険度に基づいて自車両の動作を制御するので、歩行者との事故発生の危険度を総合的に判定し、危険度に適応した回避行動を支援する運転支援装置を得ることができるという効果を奏する。
【0047】
また、請求項2の発明によれば運転支援装置は、車両周辺の画像を取得して歩行者を画像認識し、認識した歩行者と自車両とが接触する危険の度合いを算出し、算出された危険度に基づいて、車外への報知装置、エンジン制御装置、ブレーキ制御装置、変速制御装置、ステアリング制御装置、乗員用エアバッグ、歩行者用エアバッグのいずれか、もしくはその組み合わせの動作を制御するので、歩行者との事故発生の危険度を総合的に判定し、危険度に適応して各種車載機器を制御する運転支援装置を得ることができるという効果を奏する。
【0048】
また、請求項3の発明によれば運転支援装置は、車両周辺の画像を取得して歩行者を画像認識し、認識した歩行者と自車両とが接触する危険の度合いを算出し、危険度によって歩行者と自車両とが接触する可能性があることが示された場合に、エンジン制御装置の動作制御によって自車両の加速を制限するので、走行速度を抑制し、もって歩行者を保護する運転支援装置を得ることができるという効果を奏する。
【0049】
また、請求項4の発明によれば運転支援装置は、車両周辺の画像を取得して歩行者を画像認識し、認識した歩行者と自車両とが接触する危険の度合いを算出し、危険度によって歩行者と自車両とが接触する可能性があることが示された場合に、エンジン制御装置、ブレーキ制御装置、変速制御装置に対する動作制御を行なって運転者による減速操作を支援するので、状況に適応した運転操作の支援によって歩行者保護を行なう運転支援装置を得ることができるという効果を奏する。
【0050】
また、請求項5の発明によれば運転支援装置は、車両周辺の画像を取得して歩行者を画像認識し、認識した歩行者と自車両とが接触する危険の度合いを算出し、危険度によって歩行者と自車両とが接触する可能性があることが示された場合に、エンジン制御装置、ブレーキ制御装置、変速制御装置に対する動作制御を行なって自車両を自動的に減速させるので、状況に適応して自動的に減速し、もって歩行者を保護する運転支援装置を得ることができるという効果を奏する。
【0051】
また、請求項6の発明によれば運転支援装置は、車両周辺の画像を取得して歩行者を画像認識し、認識した歩行者と自車両とが接触する危険の度合いを算出し、危険度によって歩行者と自車両とが接触する可能性があることが示された場合にステアリング制御装置に対する動作制御を行なって運転者による回避操作を支援するので、状況に適応した運転操作の支援によって歩行者保護を行なう運転支援装置を得ることができるという効果を奏する。
【0052】
また、請求項7の発明によれば運転支援装置は、車両周辺の画像を取得して歩行者を画像認識し、認識した歩行者と自車両とが接触する危険の度合いを算出し、危険度によって歩行者と自車両とが接触する可能性があることが示された場合にステアリング制御装置に対する動作制御を行なって自律的に歩行者の回避を実行するので、状況に適応して自動的に歩行者を回避する運転支援装置を得ることができるという効果を奏する。
【0053】
また、請求項8の発明によれば運転支援装置は、車両周辺の画像を取得して歩行者を画像認識し、認識した歩行者と自車両とが接触する危険の度合いを算出し、危険度によって自車両の衝突が不可避であることが示された場合にエンジン制御装置、ブレーキ制御装置、変速制御装置、ステアリング制御装置に対する動作制御を行なって被害が最小化となる走行制御を自動実行するので、自車両の衝突が避けられない状況下であっても歩行者を保護する運転支援装置を得ることができるという効果を奏する。
【0054】
また、請求項9の発明によれば運転支援装置は、車両周辺の画像を取得して歩行者を画像認識し、認識した歩行者と自車両とが接触する危険の度合いを算出し、危険度によって自車両の衝突が不可避であることが示された場合に乗員用エアバッグを展開するので、自車両の衝突が避けられない状況で乗員を保護する運転支援装置を得ることができるという効果を奏する。
【0055】
また、請求項10の発明によれば運転支援装置は、車両周辺の画像を取得して歩行者を画像認識し、認識した歩行者と自車両とが接触する危険の度合いを算出し、危険度によって自車両の歩行者への接触が不可避であることが示された場合に歩行者用エアバッグを展開するので、歩行者との接触が避けられない場合に歩行者への衝撃を緩衝する運転支援装置を得ることができるという効果を奏する。
【0056】
また、請求項11の発明によれば運転支援装置は、車両周辺の画像を取得して歩行者を画像認識し、道路形状、前記歩行者の状態、前記歩行者と自車両との相対距離および相対速度を用いて歩行者と自車両とが接触する危険の度合いを算出し、算出された危険度に基づいて自車両の動作を制御するので、歩行者との事故発生の危険度を総合的に判定し、危険度に適応した動作制御によって事故防止および被害軽減を行なう運転支援装置を得ることができるという効果を奏する。
【0057】
また、請求項12の発明によれば運転支援装置は、車両周辺の画像を取得して歩行者を画像認識し、周辺車両の状態、周辺の地図情報、時刻情報、天候情報などを用いて歩行者と自車両とが接触する危険の度合いを算出し、算出された危険度に基づいて自車両の動作を制御するので、歩行者との事故発生の危険度を精度よく判定し、危険度に適応した動作制御によって事故防止および被害軽減を行なう運転支援装置を得ることができるという効果を奏する。
【0058】
また、請求項13の発明によれば運転支援装置は、車両周辺の画像を取得して歩行者の有無、歩行者の状態、道路形状、歩行者と自車両との相対距離および相対速度、周辺車両の状況、天候などを画像認識して歩行者と自車両とが接触する危険の度合いを算出し、算出された危険度に基づいて自車両の動作を制御するので、画像から各種情報を取得して事故発生の危険度を判定し、危険度に適応した動作制御によって事故防止および被害軽減を行なう運転支援装置を得ることができるという効果を奏する。
【0059】
また、請求項14の発明によれば運転支援装置は、車両周辺の画像を取得して歩行者を画像認識するとともにナビゲーション装置から道路形状、周辺の地図情報、時刻情報などを取得して自車両とが接触する危険の度合いを算出し、算出された危険度に基づいて自車両の動作を制御するので、ナビゲーション装置と協働して事故発生の危険度を判定し、危険度に適応した動作制御によって事故防止および被害軽減を行なう運転支援装置を得ることができるという効果を奏する。
【0060】
また、請求項15の発明によれば運転支援装置は、車両周辺の画像を取得して歩行者を画像認識するとともに周辺車両との車両間通信によって周辺車両の状態を取得して歩行者と自車両とが接触する危険の度合いを算出し、算出された危険度に基づいて自車両の動作を制御するので、周辺車両と協働して事故発生の危険度を判定し、危険度に適応した動作制御によって事故防止および被害軽減を行なう運転支援装置を得ることができるという効果を奏する。
【0061】
また、請求項16の発明によれば運転支援装置は、自車両周辺の画像を撮影して歩行者を画像認識し、認識した歩行者と自車両とが接触する危険の度合いを算出し、算出された危険度に基づいて自車両の動作を制御するので、自車両単独で事故発生の危険度を判定し、危険度に適応した動作制御によって事故防止および被害軽減を行なう運転支援装置を得ることができるという効果を奏する。
【0062】
また、請求項17の発明によれば運転支援装置は、外部との通信によって自車両周辺の画像を取得して歩行者を画像認識し、認識した歩行者と自車両とが接触する危険の度合いを算出し、算出された危険度に基づいて自車両の動作を制御するので、周辺車両や路上設備が撮影した画像を利用して事故発生の危険度を判定し、危険度に適応した動作制御によって事故防止および被害軽減を行なう運転支援装置を得ることができるという効果を奏する。
【0063】
また、請求項18の発明によれば運転支援装置は、車両周辺の画像を取得して歩行者を画像認識するとともに自車両の走行環境を検出して車両動作を制御するので、道路環境応じて適切な歩行者保護制御を実行する運転支援装置を得ることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0064】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る運転支援装置の好適な実施例を詳細に説明する。
【実施例】
【0065】
図1は、本発明の実施例である運転支援装置の概要構成を説明する説明図である。同図に示すように運転支援装置10は、ナビゲーション装置20、自車カメラ31、速度センサ32、レーダ33、雨滴センサ34、路車間通信装置35、車両間通信装置36、車内通知系40および車外通知系50、走行制御系60などと接続する。
【0066】
ナビゲーション装置20は、自車両の走行経路の設定および誘導を行なう装置である。具体的には、ナビゲーション装置20は、GPS(Global Positioning System)によって自車両の現在位置を取得し、地図データ21を用いて自車両が走行している道路を特定し、車内通知系40を用いて経路誘導を実行する。また、ナビゲーション装置20は、運転支援装置10に自車両の位置情報、道路形状、周辺の地図情報、および時刻情報を送信する。
【0067】
自車カメラ31は、自車両の周辺を撮影する車載撮影手段であり、速度センサ32は、自車両の走行速度を測定するセンサである。また、レーダ33は、電波などによって自車両周辺の物体を検知するセンサであり、雨滴センサ34は、降雨状態を検知するセンサである。さらに、路車間通信装置35は、路上に設置された路側通信端末と通信する通信手段であり、車両間通信装置36は、他の車両との通信を行なう通信手段である。
【0068】
車内通知系40は、ディスプレイ41やスピーカ42などを含み、乗員への報知や情報提供を行なう。この車内通知系40は、運転支援装置10やナビゲーション装置20、また図示しないオーディオ装置など複数の車載装置で共用する。
【0069】
車外通知系50は、ホーン51、ヘッドライト52、ウインカーランプ53、ブレーキランプ54などを含み、自車両周辺への報知や情報提供を行なう。具体的には、ホーン51は、車両周辺に自車両の存在を報知する警音器である。また、ヘッドライト52、ウインカーランプ53およびブレーキランプ54は、それぞれ自車両前方の照明、右左折の報知、減速の報知などを行なう車載灯具である。運転支援装置10は、これらの車載灯具を車両周辺に対する危険報知に利用する。さらに、運転支援装置10は、周辺の他車両に対する報知に車両間通信装置36による車両間通信を利用する。
【0070】
走行制御系60は、エンジン制御装置61、ブレーキ制御装置62、変速制御装置63、ステアリング制御装置64、乗員用エアバッグ65および歩行者用エアバッグ66を含む。
【0071】
エンジン制御装置61は、運転者によるアクセルペダルの操作などに基づいて、エンジンの回転数などを制御する制御装置である。また、ブレーキ制御装置62は、運転者によるブレーキペダル操作などに基づいて、自車両の減速制御を行なう制御装置である。
【0072】
同様に、変速制御装置63は、運転者によるシフトレバーの操作状態やエンジンの回転数に基づいて駆動系のギアチェンジを行なう制御装置であり、ステアリング制御装置64は、運転者のハンドル操作に基づいて車両の舵角を制御する制御装置である。
【0073】
乗員用エアバッグ65は、衝突などによって自車両に衝撃が発生した場合に展開し、乗員の保護を行なう乗員保護機構である。また、歩行者用エアバッグ66は、自車両と歩行者とが接触した場合に展開し、歩行者の保護を行なう歩行者保護機構である。
【0074】
運転支援装置10は、その内部に画像処理部11、画像認識部12、危険度算出部13および車両動作制御部14を有する。画像処理部11は、自車両周辺の画像にして画像処理を行なって画像認識部12に出力する。なお、自車両周辺の画像は、自車カメラ31の撮影結果を用いても良いし、路車間通信装置35が路側通信端末から受信した周辺画像を用いても良い。また、車両間通信装置36によって他車両が撮影した画像を受信して使用することもできる。
【0075】
画像認識部12は、この画像に対する画像認識によって歩行者の有無を判定する。そして、歩行者の存在を検出したならば、危険度算出部13は歩行者と自車両とが接触する可能性(危険度)を算出する。車両動作制御部14は、この危険度に基づいて車外報知系50や車両間通信装置36、走行制御系60を制御し、歩行者や周辺車両に対する報知制御および自車両の動作制御を実行する。
【0076】
ここで、危険度算出部13は、自車両の状態や周辺の状況を示す各種情報を用いて危険度の算出を行なう。図2は、危険度算出部13が危険度の算出に使用する情報とその取得方法について説明する説明図である。
【0077】
図2に示すように、危険度算出部13は、「歩行者の有無」、「歩行者の位置」、「歩行者の状態」、「歩行者の特性」、「自車両の位置」、「自車両の速度」、「周辺車両の有無」、「周辺車両の状態」、「道路形状」、「周辺の地図情報」、「時刻」、「天候」などの情報を使用して危険度を算出する。
【0078】
ここで、「歩行者の有無」は既に述べたように画像認識によって取得できるほか、レーダ33によって検知することもできる。「歩行者の位置」は、自車両と歩行者との相対的な位置関係を示す情報であり、画像認識部12による画像認識やレーダ33によって取得することができる。
【0079】
「歩行者の状態」は、歩行者が移動状態や向き、歩行者が自車両に気付いている、自転車に乗っている、携帯電話を使っている、傘をさしている、などの状態を示す情報であり、画像認識部12による画像認識によって取得することができる。また、歩行者の移動方向については、レーダ33によって取得することもできる。
【0080】
「歩行者の特性」は、歩行者の大まかな年齢、たとえば子供である、高齢者であるなどを示す情報であり、画像認識部12による画像認識によって取得することができる。
【0081】
「自車両の位置」を示す情報は、ナビゲーション装置20から取得することができ、「自車両の速度」は、速度センサ32から取得することができる。
【0082】
「周辺車両の有無」は、自車両周辺に他の車両、たとえば対向車や後続車が存在するか否かを示す情報であり、画像認識部12による画像認識やレーダ33による検知の他、車両間通信装置36による車両間通信によって取得することができる。
【0083】
「周辺車両の状態」は、他の車両の移動方向、移動速度、走行予定経路などを示す情報であり、画像認識部12による画像認識、車両間通信装置36による車両間通信、レーダ33による検知によって取得することができる。
【0084】
「道路形状」を示す情報は、ナビゲーション装置20からの地図データ21の取得や、画像認識部12による画像認識によって得ることができる。また、道路における白線の位置や路面状態なども画像認識によって取得することができる。
【0085】
「周辺の地図情報」は、自車両が走行中の道路付近にどのような種類の建物(住宅、店舗、学校など)があるかを示す情報であり、ナビゲーション装置20から地図データ21を取得することで得ることができる。また、「時刻」を示す情報は、ナビゲーション装置20がGPSにおいて使用している時刻情報を取得することで得ることができる。
【0086】
「天候」に関する情報、たとえば降雨の有無、霧の有無などについては、雨滴センサ34によって取得することができる。また、ワイパーの操作状態やフォグランプの点灯状態などから降雨や霧の有無を判定してもよい。
【0087】
図3に自車両と歩行者との危険判定の具体例を示す。同図では、自車両C10が道路R10を走行中である。道路R10は、歩道R11と車道R12に区分されており、歩道R11を歩行者H10が自車両の方向に移動している。また、自車両C10の前方からは対向車両C11が接近しており、自車両C10の後方には後続車両C12が追従している。
【0088】
この歩行者H10の存在、相対距離および相対速度は、画像認識部12による画像認識やレーダ33によって認識するとともに、その状態と特性を画像認識により判定する。そして、相対距離が小さい程、また相対速度が大きいほど、危険度は大きくなる。また、この危険度は、相対距離と相対速度とから将来歩行者と自車両とが衝突する確率を基本として求められるようにしても良い。
【0089】
また、歩行者が自車両に気付いていない場合は、気付いている場合に比して危険度が大きくなり、歩行者が車道を歩いている場合や、歩道が存在しない場合には歩行者が歩道にいる場合に比して危険度が大きくなる。
【0090】
また、地図データ21や画像処理によって取得した道路R10の道幅が狭い場合には、道幅が広い場合に比して危険度が大きくなる。さらに道幅は、自車両C10が歩行者H10を回避するために取りうる回避行動に影響を与える。
【0091】
加えて、画像認識や雨滴センサ34などの出力から路面状態を判定した結果、降雨、降雪などによって路面が濡れている場合には、自車両C10の減速・停止に要する制動距離が大きくなるために危険度が大きくなる。
【0092】
また、先行車両C11の存在も、自車両C10の回避行動に制限を加える。より具体的には、先行車両C11による回避行動の制限は、対向車両C11の大きさ、位置、速度、走行予定などによって変化する。
【0093】
同様に、後続車両C12の存在も、自車両C10の回避行動に制限を加える。後続車両C12の位置や速度によっては、自車両C10が歩行者H10との接触を回避するための動作制御を行なった際に、後続車両C12が自車両C10に追突する可能性があるためである。
【0094】
つぎに、車両動作制御部14による動作制御についてさらに説明する。図4は、危険度算出部13が算出した危険度と、車両動作制御部14による動作制御の対応関係の具体例を示す図である。
【0095】
図4では、危険度算出部13は、危険が最も小さい「危険度1」から最も大きい「危険度7」までの7段階で危険度を算出している。「危険度1」は、歩行者が存在するが危険度が比較的低い状態であり、車両動作制御部14は、車外報知系50や車両間通信装置36による報知制御のみを実行する。
【0096】
そして、「危険度2」では、車両動作制御部13は、エンジン制御装置61に対する制御を行なって、車両の加速を制限する。また、「危険度3」では、加速制限に加えて減速支援および操舵支援を行なう。減速支援は、具体的には、ブレーキ制御装置62に対する制御によって、ブレーキペダルの遊びを少なくするなど、運転者による事故防止のための運転操作を支援するものである。同様に、操舵支援は、ステアリング制御装置64に対する制御によって、ハンドルの切り角に対する操舵量を大きくするなど、運転者による運転操作を支援するものである。
【0097】
さらに「危険度4」では、車両動作制御部14は、自動減速および操舵支援を行なう。自動減速は、エンジン制御装置61、ブレーキ制御装置62および変速制御装置63を制御して自車両を自動的に減速する処理である。また、操舵支援を併せて行なうことで、運転者によるハンドル操作を支援する。
【0098】
「危険度5」では車両動作制御部14は、自動回避を実行する。この自動回避は、エンジン制御部61、ブレーキ制御装置62および変速制御装置63による車速の自動制御に加え、ステアリング制御装置64を制御して自動操舵を行なうことにより、歩行者との衝突を回避する回避行動である。
【0099】
「危険度6」は、事故の発生が不可避な状況であり、車両動作制御部14は、被害が最小となる方向への自動回避と乗員用エアバッグ65の展開を実行する。具体的には、歩行者との接触を避けて壁などに自車両を衝突させることで、歩行者の保護を行なうとともに、乗員用エアバッグ65を展開して乗員への衝撃を軽減する。
【0100】
さらに、「危険度7」は、歩行者との接触が不可避な状況であり、車両動作制御部14は、歩行者用エアバッグ65を展開して歩行者の保護を行なう。
【0101】
このように、危険度に対応して車両の動作制御およびその組み合わせを変更することで、状況に適応した回避行動を支援することができる。
【0102】
つぎに図3および図4を用いて状態遷移を説明する。まず、図3のように歩行者が自車両の進行方向に向かって歩こうとしたことが検出されたとき、現段階での衝突確率は低いが危険性はあり、危険度1となって、歩行者に対し報知がなされる。
【0103】
つぎに、歩行者に対して報知を行なったにもかかわらず、例えば歩行者が自車両を見ておらず、しかも更に前記進行方向に近づき、歩行者と自車両との距離が縮まると、危険度が2となって、自車両の加速の制限がなされる(この時も、報知処理の実行は継続する)。すなわち、報知制御しても危険度が高くなると、車両運動系の制御を行なうのである。
【0104】
さらに歩行者と自車両との距離が縮まり、将来の衝突確率が更に高くなると、危険度が3となって、減速支援や操舵支援など運転者への操作サポートがなされる。
【0105】
その後、さらに距離が縮まり、将来の衝突確率が更に高くなると、運転者の操作では対応できないとし、危険度が4となって自動減速がなされる。
【0106】
さらに衝突確率が高くなると、危険度が5となり、運転者の操作では対応できないとし、自車両が自動的に歩行者を回避する回避制御、例えばステアリングを自動的に制御する等の制御を行なう。
【0107】
歩行者との衝突が避けられないような危険度6となると、歩行者への衝突被害が最小となるように自車両を自動制御する。
【0108】
更に、歩行者への衝突が直前となった場合は、歩行者に対するエアバッグを展開し、被害を最小にする。
【0109】
なお、危険度1〜7においても歩行者への報知は行ない、歩行者に退避を促し続ける。また、この説明では、危険度1から危険度7までの状態を順次的に説明したが、仮に自車両が走行中に、図3に示した相対距離よりも近距離で歩行者が飛び出してきた場合は、危険度は例えば4などから始まることとなる。
【0110】
また、夜間や、歩行者が子供、高齢者である場合は、同じ衝突確率であっても危険度は更に上がる。
【0111】
更に、自車両が歩行者を保護するために、自動的に回避走行する際には、周辺車両に対しても影響が出るので、この回避走行する場合に周辺車両に対し、自動制御する旨の情報を車両間通信でデータ送信、あるいは自車両のハザードランプ点滅などで通知する。
【0112】
なお、図4に示した危険度と動作制御との対応関係はあくまで一例であり、危険度は任意の段階数に設定することができる。また、対応する動作制御の内容についても適宜変更して実施することができる。
【0113】
つぎに、運転支援装置10の処理動作について説明する。図5は運転支援装置10の処理動作を説明するフローチャートであり、同図に示す処理フローは運転支援装置10の電源投入時に繰り返し実行される。
【0114】
まず、運転支援装置10は、自車カメラ31、路車間通信装置35もしくは車両間通信装置36から自車両周辺の画像を取得する(ステップS101)。そして、取得した画像に対して画像処理部11による画像処理を加えたのち、画像認識部12によって歩行者の認識を行なう(ステップS102)。
【0115】
その結果、歩行者の存在を認識したならば(ステップS103,Yes)、危険度算出部13が車両周辺の情報を収集して危険度を算出し(ステップS104)、車両動作制御部14が危険度に対応した動作制御を実行する(ステップS105)。
【0116】
そして、動作制御によって危険を回避したか否かを判定し、危険を回避していなければ(ステップS106,No)、自車両周辺の画像を再度取得する(ステップS101)。
【0117】
一方、危険を回避した場合(ステップS106,Yes)、もしくは歩行者が存在しないと判定した場合(ステップS103,No)、運転支援装置10は処理を終了する。
【0118】
上述してきたように、本実施例にかかる運転支援装置は、車両周辺の画像から歩行者の存在を認識し、歩行者の状態や特性、自車両の状態、周辺の状況に基づいて自車両と歩行者が接触する可能性(危険度)を算出し、危険度に応じた動作制御を実行することで、状況に適応した回避行動を支援し、歩行者との接触事故を防止することができる。
【0119】
また、他の車両や路側通信端末から画像を取得することで、自車両から撮影できない位置にいる歩行者をも保護することが可能であるとともに、自車両か撮影した画像を周辺の車両に送信することで、周辺の車両における歩行者保護を支援することができる。
【0120】
また、本実施例の他に、次のような歩行者保護も図ることができる。すなわち、以上の実施例では、歩行者との危険度に応じて段階的に報知制御や車両走行制御を選択するようにしていたが、車両の道路上の走行環境、例えば、自車両が交差点を走行中、あるいは走行しようとしている時に、歩行者が画像で認識されると、自車両のスロットル開度を制限することにより、ひいては車両の速度を制限して、歩行者への衝突に対する安全性を向上するようにしてもよい。また、交差点に限らず、走行環境としては市街地や横断歩道、信号や学校などの環境に応じて制御することも可能である。
【0121】
さらに、歩行者とその他の障害物との違いについて補足説明する。歩行者に対しては、衝突を必ず避ける制御をしなければならない。このため、衝突の可能性が高くなると、自車両をステアリング制御等して衝突を避ける。
【0122】
また、危険度も歩行者の状態(体の向きや年齢など)に応じても制御する必要があり、この点で単なる障害物との差異がある。更に、衝突を避けなければならないことから、通常の障害物との衝突判定の閾値よりも、歩行者に対する閾値の方を低くして感度を上げるようにする。
【産業上の利用可能性】
【0123】
以上のように、本発明にかかる運転支援装置は、車両事故防止、特に歩行者との接触事故の防止に適している。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】本発明の実施例である運転支援装置の概要構成を示す概要構成図である。
【図2】図1に示した危険度算出部が危険度の算出に使用する情報とその取得方法について説明する説明図である。
【図3】図1に示した危険度算出部による危険度算出の具体例について説明する説明図である。
【図4】危険度と動作制御との対応関係の具体例を示す図である。
【図5】図1に示した運転支援装置の処理動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0125】
10 運転支援装置
11 画像処理部
12 画像認識部
13 危険度算出部
14 車両動作制御部
20 ナビゲーション装置
21 地図データ
31 自車カメラ
32 速度センサ
33 レーダ
34 雨滴センサ
35 路車間通信装置
36 車両間通信装置
40 車内通知系
41 ディスプレイ
42 スピーカ
50 車外報知系
51 ホーン
52 ヘッドライト
53 ウインカーランプ
54 ブレーキランプ
60 走行制御系
61 エンジン制御装置
62 ブレーキ制御装置
63 変速制御装置
64 ステアリング制御装置
65 乗員用エアバッグ
66 歩行者用エアバッグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行にかかる情報を収集し、該収集した情報をもとに車両の運転を支援する運転支援装置であって、
画像取得手段が取得した車両周辺の画像から歩行者を認識する画像認識手段と、
前記画像認識手段によって認識した歩行者と自車両とが接触する危険度に基づいて自車両の動作制御を行なう動作制御手段と、
を備えたことを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
前記動作制御手段は、車外への報知装置、エンジン制御装置、ブレーキ制御装置、変速制御装置、ステアリング制御装置、乗員用エアバッグ、歩行者用エアバッグのいずれか、もしくは車外への報知装置、エンジン制御装置、ブレーキ制御装置、変速制御装置、ステアリング制御装置、乗員用エアバッグ、歩行者用エアバッグを組み合わせて使用した動作制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記動作制御手段は、前記危険度によって歩行者と自車両とが接触する可能性があることが示された場合に、前記エンジン制御装置に対する動作制御を行なって自車両の加速を制限することを特徴とする請求項2に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記動作制御手段は、前記危険度によって歩行者と自車両とが接触する可能性があることが示された場合に、前記エンジン制御装置、前記ブレーキ制御装置、前記変速制御装置に対する動作制御を行なって運転者による減速操作を支援することを特徴とする請求項2または3に記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記動作制御手段は、前記危険度によって歩行者と自車両とが接触する可能性があることが示された場合に、前記エンジン制御装置、前記ブレーキ制御装置、前記変速制御装置に対する動作制御を行なって自車両の減速操作を自動実行することを特徴とする請求項2,3または4に記載の運転支援装置。
【請求項6】
前記動作制御手段は、前記危険度によって歩行者と自車両とが接触する可能性があることが示された場合に、前記ステアリング制御装置に対する動作制御によって運転者による回避操作を支援することを特徴とする請求項2〜5のいずれか一つに記載の運転支援装置。
【請求項7】
動作制御手段は、前記危険度によって歩行者と自車両とが接触する可能性があることが示された場合に、前記ステアリング装置に対する動作制御によって自車両の回避操作を自動実行することを特徴とする請求項2〜6のいずれか一つに記載の運転支援装置。
【請求項8】
前記動作制御手段は、前記危険度によって自車両の衝突が不可避であることが示された場合に、前記エンジン制御装置、前記ブレーキ制御装置、前記変速制御装置、前記ステアリング制御装置に対する動作制御を行なって被害が最小化となる走行制御を自動実行することを特徴とする請求項2〜7のいずれか一つに記載の運転支援装置。
【請求項9】
前記動作制御手段は、前記危険度によって自車両の衝突が不可避であることが示された場合に、前記乗員用エアバッグを展開することを特徴とする請求項2〜8のいずれか一つに記載の運転支援装置。
【請求項10】
前記動作制御手段は、前記危険度によって自車両の歩行者に対する接触が不可避であることが示された場合に、前記歩行者用エアバッグを展開することを特徴とする請求項2〜9のいずれか一つに記載の運転支援装置。
【請求項11】
前記危険度は、道路形状、前記歩行者の状態、前記歩行者と自車両との相対距離および相対速度を用いて算出されることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載の運転支援装置。
【請求項12】
前記危険度は、周辺車両の状態、周辺の地図情報、時刻情報、天候情報のうち、少なくともいずれか一つをさらに用いて算出されることを特徴とする請求項11に記載の運転支援装置。
【請求項13】
前記道路形状、前記歩行者の状態、前記相対距離および相対速度、周辺車両の状態、天候情報のうち、少なくともいずれか一つが画像処理によって取得されることを特徴とする請求項12に記載の運転支援装置。
【請求項14】
前記道路形状、前記周辺の地図情報および前記時刻情報のうち、少なくともいずれか一つがナビゲーション装置から取得されることを特徴とする請求項12に記載の運転支援装置。
【請求項15】
前記危険度算出手段は、周辺車両との車両間通信によって前記周辺車両の状態を取得することを特徴とする請求項11〜14のいずれか一つに記載の運転支援装置。
【請求項16】
前記画像取得手段は、自車両に搭載した車載撮影装置から前記車両周辺の画像を取得することを特徴とする請求項1〜15のいずれか一つに記載の運転支援装置。
【請求項17】
前記画像取得手段は、外部との通信によって前記車両周辺の画像を取得することを特徴とする請求項1〜16のいずれか一つに記載の運転支援装置。
【請求項18】
車両の走行にかかる情報を収集し、該収集した情報をもとに車両の運転を支援する運転支援装置であって、
画像取得手段が取得した車両周辺の画像から歩行者を認識する画像認識手段と、
自車両の走行している道路上の走行環境を検出する走行環境検出手段と、
前記画像認識手段および前記走行環境検出手段に基づいて自車両の動作制御を行なう動作制御手段と、
を備えたことを特徴とする運転支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−151114(P2006−151114A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−342680(P2004−342680)
【出願日】平成16年11月26日(2004.11.26)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】