説明

III族窒化物結晶の作製装置およびIII族窒化物結晶の作製方法

【課題】反応管内のガス供給口近傍におけるIII族窒化物の析出が抑制されてなるIII族窒化物の作製装置を提供する。
【解決手段】作製装置10の供給系14は、三層構造の供給管を形成するように構成されてなる。供給管14aからは、金属Alと第1ガスg1中のHClガスとの反応で生成するAlClxガスを供給する。供給管14bからはNH3ガス含む第2ガスg2を供給する。供給管14cからは、第3ガスg3としてAlClxとNH3との反応によるAlNの生成を抑制するガス(例えばN2ガス)を供給する。供給管14aの端部14e近傍の領域において、サセプタ12側へと供給されるAlClxガスを取り囲むように第3ガスg3の流れが形成されるので、当該領域においてAlClxガスとNH3ガスとが反応することが抑制され、結果として、端部14eへのAlNの析出が効果的に抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、III族窒化物結晶の作製装置、特にIII族窒化物膜をエピタキシャル成長させる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
III族窒化物結晶は、フォトニックデバイス及び電子デバイスなどの半導体素子を構成する材料として用いられている。
【0003】
III族窒化物結晶の厚膜(III族窒化物厚膜)の作製方法として、所定の下地基板の上に、HVPE(Hydride Vapor Phase Epitaxy)法を用いてIII族窒化物結晶をエピタキシャル形成させる方法およびそのための装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。これは、金属AlなどのIII族原料金属と塩化水素ガスなどのハロゲン化水素ガスを反応管内で加熱下で反応させることで、III族原料金属の塩化物を生成させ、これをアンモニアガスと気相反応させて生成したIII族窒化物を下地基板上に析出させることでIII族窒化物をエピタキシャル成長させる方法である。
【0004】
【特許文献1】特開2005−252248号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
HVPE法によるIII族窒化物の作製装置においては、生成したIII族窒化物が、下地基板上に達する前に、上述の塩化物ガスの供給口の端部に析出することがある。高温のIII族窒化物成長部分からの熱輻射あるいは原料供給部での加熱による熱伝導のため、原料供給口の端部の温度が、III族窒化物析出温度より高くなるからである。係る析出物が存在すると、供給される原料ガスの流れに乱れが生じることとなる。また、係る析出物がパーティクルとして飛散して、成長中の結晶に付着すると、結晶品質が劣化することにもなる。すなわち、III族窒化物のエピタキシャル成長に際して、上述のような供給口の端部へのIII族窒化物の析出は、望ましくない。特に、こうした傾向は、III族元素としてAlを含む場合に顕著となる。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、反応管内のガス供給口近傍におけるIII族窒化物の析出が抑制されてなるIII族窒化物の作製装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、反応管内でIII族元素のハロゲン化物含有ガスと窒素元素含有ガスとを気相反応させることによって基板の上にIII族窒化物結晶を作製する装置であって、前記反応管内に一方端部が位置するように前記反応管に挿通されてなるハロゲン化物含有ガス導入管を通じて前記ハロゲン化物含有ガスを前記反応管内に供給するハロゲン化物含有ガス供給手段と、前記窒素元素含有ガスを前記反応管内に供給する窒素元素含有ガス供給手段と、前記III族窒化物の形成を補助するための補助ガスを供給する補助ガス供給手段と、を備え、前記ハロゲン化物含有ガス導入管から供給される前記ハロゲン化物含有ガスが前記基板近傍に向けて整流されるように前記補助ガスを供給する、ことを特徴とする。
【0008】
また、請求項2の発明は、反応管内でIII族元素のハロゲン化物含有ガスと窒素元素含有ガスとを気相反応させることによって基板の上にIII族窒化物結晶を作製する装置であって、前記反応管内に一方端部が位置するように前記反応管に挿通されてなるハロゲン化物含有ガス導入管を通じて前記ハロゲン化物含有ガスを前記反応管内に供給するハロゲン化物含有ガス供給手段と、前記窒素元素含有ガスを前記反応管内に供給する窒素元素含有ガス供給手段と、前記III族窒化物の形成を補助するための補助ガスを供給する補助ガス供給手段と、前記ハロゲン化物含有ガス導入管から供給される前記ハロゲン化物含有ガスが前記基板に向かう方向とは異なる方向に拡散することを抑制するように前記補助ガスを供給する、ことを特徴とする。
【0009】
また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の作製装置であって、前記補助ガス供給手段が、前記反応管内に一方端部が位置するように前記反応管に挿通されてなる補助ガス導入管を通じて前記補助ガスを供給するように構成されてなり、前記ハロゲン化物含有ガス導入管が前記補助ガス供給導入管の内部に挿通されてなる、ことを特徴とする。
【0010】
また、請求項4の発明は、請求項3に記載の作製装置であって、前記ハロゲン化物含有ガス導入管の前記一方端部が前記補助ガス導入管の前記一方端部から突出しないように、前記ハロゲン化物導入管と前記補助ガス導入管とが配置されてなる、ことを特徴とする。
【0011】
また、請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の作製装置であって、前記補助ガスが窒素ガスであることを特徴とする。
【0012】
また、請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の作製装置であって、前記ハロゲン化物含有ガス供給手段が、前記ハロゲン化物導入管の内部でIII族元素金属とハロゲン化水素とを反応させることによって生成する前記ハロゲン化物ガスを供給する、ことを特徴とする。
【0013】
また、請求項7の発明は、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の作製装置であって、前記III族元素が少なくともAl元素を含む、ことを特徴とする。
【0014】
また、請求項8の発明は、所定の反応管内でIII族元素のハロゲン化物含有ガスと窒素元素含有ガスとを気相反応させることによって基板の上にIII族窒化物結晶を作製する方法であって、前記反応管内に一方端部が位置するように前記反応管に挿通されてなるハロゲン化物含有ガス導入管の内部でIII族元素金属とハロゲン化水素とを反応させることによって前記ハロゲン化物含有ガスを生成させる工程と、生成した前記ハロゲン化物含有ガスを前記ハロゲン化物含有ガス導入管から前記反応管に供給する工程と、前記ハロゲン化物含有ガス導入管から供給される前記ハロゲン化物含有ガスが前記基板近傍に向けて整流されるように、所定の補助ガス供給源から補助ガスを供給する工程と、を備えることを特徴とする。
【0015】
また、請求項9の発明は、所定の反応管内でIII族元素のハロゲン化物含有ガスと窒素元素含有ガスとを気相反応させることによって基板の上にIII族窒化物結晶を作製する方法であって、前記反応管内に一方端部が位置するように前記反応管に挿通されてなるハロゲン化物含有ガス導入管の内部でIII族元素金属とハロゲン化水素とを反応させることによって前記ハロゲン化物含有ガスを生成させる工程と、生成した前記ハロゲン化物含有ガスを前記ハロゲン化物含有ガス導入管から前記反応管に供給する工程と、前記ハロゲン化物含有ガス導入管から供給される前記ハロゲン化物含有ガスが前記基板に向かう方向とは異なる方向に拡散することを抑制するように、所定の補助ガス供給源から補助ガスを供給する工程と、備えることを特徴とする。
【0016】
また、請求項10の発明は、請求項8または請求項9に記載の作製装置であって、前記III族元素金属が少なくともAlを含む、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1ないし請求項10の発明によれば、作製装置の反応管内において、III族元素のハロゲン化物含有ガスを供給するハロゲン化物含有ガス導入管の端部にIII族窒化物が析出することが、補助ガス供給手段によって、該ハロゲン化物含有ガスと窒素元素含有ガス供給手段によって供給される窒素元素含有ガスとの間に補助ガスを供給するようにすることで、効果的に抑制される。これにより、作製装置において良好な結晶品質を有するIII族窒化物を効率的に生成することができる。
【0018】
特に、請求項1の発明によれば、補助ガスを供給することによって、ハロゲン化物含有ガス導入管の端部近傍においてハロゲン化物含有ガスが基板近傍に向けて整流されるので、ハロゲン化物含有ガス導入管の端部におけるIII族窒化物の析出が抑制される。
【0019】
特に、請求項2の発明によれば、補助ガスを供給することによって、ハロゲン化物含有ガス導入管の端部近傍においてハロゲン化物含有ガスが基板に向かう方向とは異なる方向に拡散することが抑制されるので、ハロゲン化物含有ガス導入管の端部におけるIII族窒化物の析出が抑制される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は、本発明の実施の形態に係るIII族窒化物結晶の作製装置10の構造を概念的に示す図である。作製装置10は、略水平方向に長手方向を有する、例えば石英製やSUSステンレス製の反応管11を備える。図1(a)は、反応管11の長手方向に沿った作製装置10の断面模式図であり、図1(b)は、位置A−A’における、該長手方向と垂直な面の断面図である。
【0021】
図1(a)に示すように、反応管11の内部には、略水平な載置面を有するサセプタ12が設けられてなる。サセプタ12の載置面上に下地基板13を載置した状態で、反応管11の一方端側に備わる供給系14から所定のガスを供給し、下地基板13の上方の空間で所定の気相反応を生じさせることによって、下地基板13の上にIII族窒化物結晶をエピタキシャル形成させることができる。なお、以下の説明においては、III族窒化物結晶としてAlNを作製する場合を例に説明しているが、作製装置10は、他のIII族元素(B、Ga、Inなど)を含むIII族窒化物結晶を作製する場合にも、適用可能である。
【0022】
また、反応管11の外周部分には、供給系14のうち少なくとも後述するボート15を含む部分を、反応管11の外部から加熱する第1ヒータ16が備わっている。第1ヒータ16は、抵抗加熱ヒータである。さらには、下地基板13へのエピタキシャル成長を行わせるべく、サセプタ12の上に載置された下地基板13を加熱するための第2ヒータ17も備わっている。第2ヒータ17は、RF加熱ヒータである。AlNをエピタキシャル形成する場合には、第1ヒータ16の加熱温度を400℃以上、第2ヒータの加熱温度を1400℃以上とすることが望ましい。第1ヒーター16の加熱温度は、Al金属を効率よくハロゲン化水素と反応させるために必要な温度であり、第2のヒーター温度17は、AlNの結晶品質を向上させるために必要な温度である。ハロゲン化水素ガスを塩化水素ガスとし、第1ヒーター16の加熱温度を550℃とし、第2ヒータ17の加熱温度を1500℃とするのが好適な一例である。
【0023】
さらには、反応管11の内部からの排気を行うための排気系18も備わっている。
【0024】
このような構成を有する作製装置10においては、図示しない制御手段によって、供給系14からのガスの供給態様の制御と、第1ヒータおよび第2ヒータ17の加熱態様の制御とを適宜に行うことにより、所望のIII族窒化物結晶をHVPE法によって作製することが可能とされてなる。
【0025】
供給系14は、図1(b)に示すように、反応管11の内壁面を含めて、反応管11の内部にて同軸状にあたかも三層構造の供給管を形成するように構成されてなる。ここで、反応管11の長手方向の軸中心部分を供給管14aと、該三層構造の最外周部分を供給管14bと、両者の間を供給管14cと称することとする。換言すれば、供給系14は、反応管11と内壁を共通にする供給管14bの内部に供給管14cが挿通され、さらにその内部に供給管14aが挿通された構成を有する。供給管14a、14b、および14cは、いずれも先端部分(供給口)がサセプタ12の近傍にまで達するように設けられてなる。ただし、供給管14aは、供給管14bの端部よりもややサセプタ12から遠い位置(図1における水平方向右寄りに)に、端部14eが位置するように設けられてなる。
【0026】
供給管14aには、所定のキャリアガス(例えばN2ガス)とともにHClが供給される。このHClを含むガスを第1ガスg1と称することとする。なお、第1ガスg1を供給する供給管14aの途中には、金属Al粉末あるいはペレットを載置するためのボート15が設けられてなる。第1ヒータ16によってボート15を含む領域を加熱しつつ第1ガスg1を供給することにより、供給管14aにおいては、金属Al粉末あるいはペレットとHClとの反応によってAlClxガスし、係るAlClxガスがさらにキャリアガスにより運ばれて、サセプタ12の近傍に向けて供給されることになる。
【0027】
供給管14bには、該キャリアガスとともにNH3が供給される。このNH3を含むガスを第2ガスg2と称することとする。係るNH3と供給管14aから供給されるAlClxとが反応することで生じるAlNが、順次に下地基板13に析出することで、AlNのエピタキシャル成長が実現される。
【0028】
供給管14cには、上述したAlClxとNH3との反応によるAlNの生成およびその析出を抑制するガス(反応抑制性ガス)が供給される。このガスを第3ガスg3と称することとする。第3ガスg3としては、例えば、AlClxとNH3とのいずれとも反応しないガスを用いることができる。具体的には、第1ガスg1および第2ガスg2においてキャリアガスとして用いられるガスを用いることができる。特に、拡散係数が低いガスが望ましいため、窒素ガス、あるいは、Neより質量数の大きい希ガスが好ましく、コスト上の観点を加味すると、窒素ガスが好ましい。
【0029】
作製装置10において、このような第3ガスg3を供給管14aと供給管14bとの間に位置する供給管14cから供給するのは、供給管14aの端部14eにおけるAlNの析出を抑制するためである。具体的に言えば、AlNを生成させるべく上述した温度条件で加熱を行うと、供給管14aの端部14eの温度がAlNの析出温度以上となってしまうため、何らかの強制的な冷却機構を設ける場合は別として、温度条件的には端部14eにおいてAlNが析出し得る。この状況は、含有されるIII族元素のうちAl元素の含有率が50%以上のIII族窒化物を作製しようとする場合にも顕著に起こり得る。しかしながら、作製装置10においては、端部14e近傍の領域において、供給管14a内で生成されてサセプタ12側へと供給されるAlClxガスを取り囲むように第3ガスg3の流れを形成することにより、当該領域においてAlClxガスと供給管14bから供給される第2ガスg2に含まれるNH3ガスとが反応することを抑制してなる。これはすなわち、端部14eの近傍においては、第3ガスg3が、AlClxガスを整流する作用を有しているともいえる。係る作製装置10においては、係る整流作用が好適に発揮されるように、各ガスの供給流量や供給圧力などが、適宜に調整され、設定される。例えば、反応管内圧力を40Torrに保ちつつ、第1ガスg1および第3ガスg3を(第3ガスg3の流量)≧(第1ガスg1の流量)なる関係をみたすように供給するのがその好適な一例である。反応抑制ガスとして作用する第3ガスg3の流量を多くした場合、より効率的に反応抑制を行うことができる。
【0030】
なお、第3ガスg3の流れが端部14e近傍でのAlNの反応生成を抑制しているということは、微視的な観点からみれば、第3ガスg3の流れが、端部14eから流れ出たAlClxの気体粒子が基板に向かう方向とは異なる方に向けて拡散することを、より具体的には、第2ガスg2の方に向けて拡散することを、抑制する作用を備えている、ということもできる。
【0031】
なお、このように第3ガスg3を供給する態様であっても、端部14eからサセプタ12に近づくにつれて、上述のような第3ガスg3による整流作用は弱まっていき、サセプタ12の上部近傍においてはAlClxとNH3との反応は十分に起こるので、下地基板13上へのAlNのエピタキシャル成長が妨げられることはない。一方で、供給系14から連続的にガスが供給されることで、反応管11内全体のガスの流れは一方向(図1においては水平方向右から左)に保たれるので、サセプタ12の上部近傍における反応生成したAlNの端部14eへの付着が生じることもほとんどない。第3ガスg3は、サセプタ12上におけるAlNの確実な反応生成の実現を補助する補助ガスとして作用するものであるともいえる。
【0032】
以上、説明したように、本実施の形態に係るIII族窒化物結晶の作製装置によれば、AlClxガスを供給する供給管の端部にIII族窒化物が析出することが、AlClxガスとNH3ガスとの間に供給される反応抑制ガスの作用によって効果的に抑制されるので、良好な結晶品質を有するIII族窒化物を効率的に生成することができる。
【0033】
<変形例>
上述の実施の形態においては、反応管11が水平方向に長手方向を有する横型構造の作製装置10を対象として説明を行っているが、本発明の効果を得ることができる作製装置はこれに限定されるものではない。図2は、本発明の変形例としての作製装置20を示す図である。なお、作製装置20において第1の実施の形態に係る作製装置10と同様の作用効果を奏する構成要素については、図1と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0034】
作製装置20は、垂直方向に長手方向を有する反応管21を備える。また、反応管21の内部には、略水平な載置面を有するサセプタ22が設けられてなる。すなわち、作製装置20は、上述の実施形態に係る横型構造の作製装置とは異なり、縦型構造を有するものである。
【0035】
係る作製装置20においても、供給系14は作製装置10と同様に構成されてなる。これにより、供給管14aの端部におけるAlNの析出が抑制される。また、サセプタ22の上部近傍においてはAlClxとNH3との反応は十分に起こるので、下地基板13上へのAlNのエピタキシャル成長が妨げられることはない。一方で、反応管21内全体のガスの流れは一方向(図2においては垂直方向上から下)に保たれるので、サセプタ22の上部近傍における反応生成したAlNの供給管14aの端部への付着が生じることもほとんどない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】III族窒化物結晶の作製装置10の構造を概念的に示す図である。
【図2】変形例に係る作製装置20を示す図である。
【符号の説明】
【0037】
10、20 (III族窒化物結晶の)作製装置
11、21 反応管
12、22 サセプタ
13 下地基板
14 供給系
14a、14b、14c 供給管
14e (供給管14aの)端部
15 ボート
16 第1ヒータ
17 第2ヒータ
18 排気系

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応管内でIII族元素のハロゲン化物含有ガスと窒素元素含有ガスとを気相反応させることによって基板の上にIII族窒化物結晶を作製する装置であって、
前記反応管内に一方端部が位置するように前記反応管に挿通されてなるハロゲン化物含有ガス導入管を通じて前記ハロゲン化物含有ガスを前記反応管内に供給するハロゲン化物含有ガス供給手段と、
前記窒素元素含有ガスを前記反応管内に供給する窒素元素含有ガス供給手段と、
前記III族窒化物の形成を補助するための補助ガスを供給する補助ガス供給手段と、
を備え、
前記ハロゲン化物含有ガス導入管から供給される前記ハロゲン化物含有ガスが前記基板近傍に向けて整流されるように前記補助ガスを供給する、
ことを特徴とするIII族窒化物結晶の作製装置。
【請求項2】
反応管内でIII族元素のハロゲン化物含有ガスと窒素元素含有ガスとを気相反応させることによって基板の上にIII族窒化物結晶を作製する装置であって、
前記反応管内に一方端部が位置するように前記反応管に挿通されてなるハロゲン化物含有ガス導入管を通じて前記ハロゲン化物含有ガスを前記反応管内に供給するハロゲン化物含有ガス供給手段と、
前記窒素元素含有ガスを前記反応管内に供給する窒素元素含有ガス供給手段と、
前記III族窒化物の形成を補助するための補助ガスを供給する補助ガス供給手段と、
前記ハロゲン化物含有ガス導入管から供給される前記ハロゲン化物含有ガスが前記基板に向かう方向とは異なる方向に拡散することを抑制するように前記補助ガスを供給する、
ことを特徴とするIII族窒化物結晶の作製装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の作製装置であって、
前記補助ガス供給手段が、前記反応管内に一方端部が位置するように前記反応管に挿通されてなる補助ガス導入管を通じて前記補助ガスを供給するように構成されてなり、
前記ハロゲン化物含有ガス導入管が前記補助ガス供給導入管の内部に挿通されてなる、
ことを特徴とするIII族窒化物結晶の作製装置。
【請求項4】
請求項3に記載の作製装置であって、
前記ハロゲン化物含有ガス導入管の前記一方端部が前記補助ガス導入管の前記一方端部から突出しないように、前記ハロゲン化物導入管と前記補助ガス導入管とが配置されてなる、
ことを特徴とするIII族窒化物結晶の作製装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の作製装置であって、
前記補助ガスが窒素ガスであることを特徴とするIII族窒化物結晶の作製装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の作製装置であって、
前記ハロゲン化物含有ガス供給手段が、前記ハロゲン化物導入管の内部でIII族元素金属とハロゲン化水素とを反応させることによって生成する前記ハロゲン化物ガスを供給する、
ことを特徴とするIII族窒化物結晶の作製装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の作製装置であって、
前記III族元素が少なくともAl元素を含む、
ことを特徴とするIII族窒化物結晶の作製装置。
【請求項8】
所定の反応管内でIII族元素のハロゲン化物含有ガスと窒素元素含有ガスとを気相反応させることによって基板の上にIII族窒化物結晶を作製する方法であって、
前記反応管内に一方端部が位置するように前記反応管に挿通されてなるハロゲン化物含有ガス導入管の内部でIII族元素金属とハロゲン化水素とを反応させることによって前記ハロゲン化物含有ガスを生成させる工程と、
生成した前記ハロゲン化物含有ガスを前記ハロゲン化物含有ガス導入管から前記反応管に供給する工程と、
前記ハロゲン化物含有ガス導入管から供給される前記ハロゲン化物含有ガスが前記基板近傍に向けて整流されるように、所定の補助ガス供給源から補助ガスを供給する工程と、
を備えることを特徴とするIII族窒化物結晶の作製方法。
【請求項9】
所定の反応管内でIII族元素のハロゲン化物含有ガスと窒素元素含有ガスとを気相反応させることによって基板の上にIII族窒化物結晶を作製する方法であって、
前記反応管内に一方端部が位置するように前記反応管に挿通されてなるハロゲン化物含有ガス導入管の内部でIII族元素金属とハロゲン化水素とを反応させることによって前記ハロゲン化物含有ガスを生成させる工程と、
生成した前記ハロゲン化物含有ガスを前記ハロゲン化物含有ガス導入管から前記反応管に供給する工程と、
前記ハロゲン化物含有ガス導入管から供給される前記ハロゲン化物含有ガスが前記基板に向かう方向とは異なる方向に拡散することを抑制するように、所定の補助ガス供給源から補助ガスを供給する工程と、
備えることを特徴とするIII族窒化物結晶の作製方法。
【請求項10】
請求項8または請求項9に記載の作製方法であって、
前記III族元素金属が少なくともAlを含む、
ことを特徴とするIII族窒化物結晶の作製方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−317949(P2007−317949A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−147066(P2006−147066)
【出願日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(304026696)国立大学法人三重大学 (270)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】