説明

アクティブマトリクス型駆動基板、その製造方法及び表示装置

【課題】電子ペーパー等の表示装置に適用した場合に、その消費電力を小さくでき、歩留まりを向上させることができるアクティブマトリクス型駆動基板及びその製造方法等を提供する。
【解決手段】第1絶縁膜2を表面に有する導電基材1上に設けられた薄膜トランジスタ10及び保持容量20と、薄膜トランジスタ10及び保持容量20を第2絶縁膜16,17を介して覆う画素電極30を有し、保持容量20が第1電極21と誘電体膜22と薄膜トランジスタ10のソース・ドレイン電極14,15に接続する第2電極23との積層体であるアクティブマトリクス型駆動基板50であって、導電基材1と第1電極21とが第1絶縁膜2の開口部4で接続されているように構成する。第2絶縁膜(16,17)が少なくとも層間絶縁膜17を有し、導電基材1が金属基材であり、第1絶縁膜2が金属基材1の表面粗さを低減する平坦化膜であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクティブマトリクス型駆動基板、その製造方法、及びその駆動基板を備えた表示装置に関する。さらに詳しくは、電子ペーパー等の表示装置に適用した場合に、その消費電力を小さくでき、歩留まりを向上できるアクティブマトリクス型駆動基板、その製造方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
アクティブマトリクス型の駆動基板は、液晶表示装置、有機EL装置及び電子ペーパー等において、その表示画素をON/OFFさせるための駆動基板として利用されている。例えば電子ペーパー等に用いるアクティブマトリクス型駆動基板は、通常、画素電極と、その画素電極をON/OFF制御する薄膜トランジスタと、保持容量とを備え、さらに薄膜トランジスタに電圧信号を供給するX配線(走査線。ゲート線とも言う。)及びY配線(データ線)と、保持容量に電流を供給するコモン線とが縦横に配線されている。
【0003】
図22は、電子ペーパーに用いる一般的なアクティブマトリクス型駆動基板100の単位画素103の一例を示す模式的な断面図であり、図23は、図22に示す単位画素103がマトリクス状に配列したアクティブマトリクス型駆動基板100について、主に第1電極121のパターンを示した模式的な平面図である。なお、図22及び図23は、ベース基材101として金属基材を用いた例であり、その金属基材面には、その金属基材の表面凹凸を平滑にする平坦化層102を設けている。このアクティブマトリクス型駆動基板100は、図22に示すように、薄膜トランジスタ110と保持容量120とがインプレーン(同一面内)に設けられ、それらを覆うように画素電極130が設けられている。例えばマイクロカプセル電気泳動方式の電子ペーパーは、アクティブマトリクス型駆動基板100の画素電極130上に、マイクロカプセル層と透明電極層と透明基板とがその順で配置されて構成される。
【0004】
詳しくは、図22に示すように、薄膜トランジスタ110は、平坦化層102上にゲート電極111、ゲート絶縁膜112、半導体膜113、ソース・ドレイン電極114,115、保護膜116が所定のパターンでその順で設けられて形成されている。保持容量120は、平坦化層102上に、第1電極121(ゲート電極111と同一材料で同時に形成)、誘電体膜122(ゲート絶縁膜112と同一材料で同時に形成)、第2電極123(ソース・ドレイン電極114,115と同一材料で同時に形成)とが所定のパターンでその順で設けられて形成されている。保持容量120上には、薄膜トランジスタ110と同じ保護膜116が設けられている。画素電極130は、薄膜トランジスタ110と保持容量120とを覆うように、寄生容量を小さくするための層間絶縁膜117を間に挟んで設けられている。画素電極130は、保護膜116と層間絶縁膜117とを貫通する開口部131を介して第2電極123に接続し、その第2電極123は薄膜トランジスタ110のソース・ドレイン電極114,115に接続されている。
【0005】
こうしたアクティブマトリクス型駆動基板100は、図23に示すように、薄膜トランジスタ110と、薄膜トランジスタ110のゲート電極111に電圧信号を供給するゲート線141と、薄膜トランジスタ110のソース・ドレイン電極114,115に電圧信号を供給するデータ線142とで構成されている。なお、データ線142は、ゲート線141に直交し、そのゲート線141と共に単位画素103を囲むように縦横に配線されている。一方、保持容量120の第2電極123は薄膜トランジスタ110のソース・ドレイン電極114,115に接続されるが、第1電極121は、図23に示すように、隣接する単位画素103が備える保持容量120の第1電極141にコモン線143で接続されている。
【0006】
特許文献1は有機EL装置に関する発明であるが、同文献の図5及び第0083段落には、金属基板と第2絶縁膜の一部と容量電極とで構成された保持容量Csが記載されている。この保持容量は、第2絶縁膜の一部が金属基板上設けられているため、その金属基板の表面粗さによって、金属基板と容量電極とが短絡して絶縁不良を起こし易いという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−310352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記した一般的なアクティブマトリクス型駆動基板100では、図23に示すように、コモン線143がデータ線142と交差する(コモン線の配線方向によってはゲート線141と交差する)。そのため、データ線142(若しくはゲート線141)の寄生容量が増加して消費電力が増大するという問題がある。また、交差部では絶縁不良が発生し易く、歩留まりが低下し易いとい問題がある。
【0009】
また、基板の透明性が必須の構成として要求されない電子ペーパー等のアクティブマトリクス型駆動基板においては、耐熱性とフレキシブル性のよい金属基材をベース基材として用いることが好ましいが、そうした金属基材は、ガラス基材やプラスチック基材に比べて表面が粗く、短絡が発生し易い等、薄膜トランジスタや保持容量の特性の低下や歩留まりを低下させる原因にもなっている。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、電子ペーパー等の表示装置に適用した場合に、その消費電力を小さくでき、歩留まりを向上させることができるアクティブマトリクス型駆動基板及びその製造方法を提供する。本発明の他の目的は、そうしたアクティブマトリクス型駆動基板を備えた表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための本発明に係るアクティブマトリクス型駆動基板は、第1絶縁膜を表面に有する導電基材上に設けられた薄膜トランジスタ及び保持容量と、該薄膜トランジスタ及び保持容量を第2絶縁膜を介して覆う画素電極とを有し、前記保持容量が第1電極と誘電体膜と前記薄膜トランジスタのソース・ドレイン電極に接続する第2電極との積層体である駆動基板であって、前記導電基材と前記第1電極とが前記第1絶縁膜の開口部で接続されていることを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、導電基材と、保持容量を構成する第1電極とが電気的に接続されているので、第1電極への電流供給を導電基材が行うことができる。その結果、従来のようにデータ線又はゲート線と交差するコモン線を設ける必要がなく、したがって、データ線又はゲート線の寄生容量も増加することがなく、消費電力を低減することができる。また、データ線又はゲート線とコモン線との交差部がないので、絶縁不良が発生し難く、歩留まりの低下を防ぐことができる。したがって、本発明のアクティブマトリクス型駆動基板を電子ペーパー等の表示装置に適用すれば、消費電力を小さくでき、歩留まりを向上させることができる。
【0013】
本発明に係るアクティブマトリクス型駆動基板において、前記第2絶縁膜が、少なくとも層間絶縁膜を有する。
【0014】
この発明によれば、第2絶縁膜が有する層間絶縁膜は、薄膜トランジスタ及び保持容量の各電極と前記画素電極との間の寄生容量の低減に有効である。
【0015】
本発明に係るアクティブマトリクス型駆動基板において、前記導電基材が金属基材であり、前記第1絶縁膜が該金属基材の表面粗さを低減する平坦化膜である。
【0016】
この発明によれば、耐熱性に優れた金属基材を用いるので、例えば薄膜トランジスタの作製時に熱処理が加わっても問題が生じない。また、金属基材の表面は比較的粗い場合があるが、本発明では金属基材上にその表面粗さを低減する平坦化膜が設けられているので、平坦化膜上に設けられた電極との短絡を防ぐことができる。
【0017】
本発明に係るアクティブマトリクス型駆動基板において、前記開口部の断面視上方には前記第2電極が設けられていないように構成する。
【0018】
この発明によれば、開口部の上方に第2電極が設けられていないので、開口部における導電基材の表面粗さに起因した短絡の問題を防ぐことができる。
【0019】
上記課題を解決するための本発明に係る表示装置は、上記本発明に係るアクティブマトリクス型駆動基板と、該アクティブマトリクス型駆動基板が有する画素電極上に配置された表示層と、該表示層上に配置された対向電極と、該対向電極上に配置された透明基材とを有することを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、消費電力を小さくでき、歩留まりを向上させることができるアクティブマトリクス型駆動基板を備えるので、省エネで品質安定のよい表示装置とすることができる。特にフレキシブル性のある電子ペーパーとして有効である。
【0021】
上記課題を解決するための本発明に係るアクティブマトリクス型駆動基板の製造方法は、薄膜トランジスタと、第1電極と誘電体膜と前記薄膜トランジスタのソース・ドレイン電極に接続する第2電極との積層体である保持容量と、前記薄膜トランジスタ及び前記保持容量を第2絶縁膜を介して覆う画素電極とを備えたアクティブマトリクス型駆動基板の製造方法であって、
第1絶縁膜を表面に有する導電基材を準備する工程と、前記第1絶縁膜に所定パターンの開口部を形成する工程と、前記第1絶縁膜上に前記薄膜トランジスタ及び前記保持容量を面内方向に形成するとともに、前記導電基材と前記保持容量を構成する第1電極とを前記開口部で接続する工程と、前記薄膜トランジスタ及び保持容量を覆う第2絶縁膜を形成するとともに、前記第2電極上の第2絶縁膜に所定パターンの開口部を形成する工程と、前記開口部を介して前記第2電極に接続する画素電極を前記薄膜トランジスタと保持容量を覆うように形成する工程と、を有することを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、導電基材と保持容量を構成する第1電極とを電気的に接続するので、第1電極への電流供給を導電基材が行うことができる。その結果、従来のようにデータ線又はゲート線と交差するコモン線を設ける必要がなく、したがって、データ線又はゲート線の寄生容量も増加することがなく、消費電力を低減することができる。また、製造したアクティブマトリクス型駆動基板は、データ線又はゲート線とコモン線との交差部がないので、絶縁不良が発生し難く、歩留まりの低下を防ぐことができる。したがって、本発明で製造したアクティブマトリクス型駆動基板を電子ペーパー等の表示装置に適用すれば、消費電力を小さくでき、歩留まりを向上させることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係るアクティブマトリクス型駆動基板及びその製造方法によれば、導電基材と保持容量を構成する第1電極とを電気的に接続して第1電極への電流供給を導電基材が担うので、従来のようにデータ線又はゲート線と交差するコモン線を設ける必要がなく、その結果、データ線又はゲート線の寄生容量も増加することがなく、消費電力を低減することができる。また、製造したアクティブマトリクス型駆動基板は、データ線又はゲート線とコモン線との交差部がないので、絶縁不良が発生し難く、歩留まりの低下を防ぐことができる。したがって、本発明で製造したアクティブマトリクス型駆動基板を電子ペーパー等の表示装置に適用すれば、消費電力を小さくでき、歩留まりを向上させることができる。
【0024】
本発明に係る表示装置によれば、消費電力を小さくでき、歩留まりを向上させることができるアクティブマトリクス型駆動基板を備えるので、省エネで品質安定のよい表示装置とすることができる。特にフレキシブル性のある電子ペーパーとして有効である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係るアクティブマトリクス型駆動基板(ボトムゲートトップコンタクト型TFTを含む)の一例を示す模式的な断面図である。
【図2】図1に示すアクティブマトリクス型駆動基板の製造方法を示す工程図(その1)である。
【図3】図1に示すアクティブマトリクス型駆動基板の製造方法を示す工程図(その2)である。
【図4】図1に示すアクティブマトリクス型駆動基板の製造方法を示す工程図(その3)である。
【図5】図1に示すアクティブマトリクス型駆動基板の製造方法を示す工程図(その4)である。
【図6】図1に示すアクティブマトリクス型駆動基板の製造方法を示す工程図(その5)である。
【図7】図1に示すアクティブマトリクス型駆動基板の製造方法を示す工程図(その6)である。
【図8】図1に示すアクティブマトリクス型駆動基板の製造方法を示す工程図(その7)である。
【図9】図1に示すアクティブマトリクス型駆動基板の製造方法を示す工程図(その8)である。
【図10】本発明に係るアクティブマトリクス型駆動基板(トップゲートボトムコンタクト型TFTを含む)の一例を示す模式的な断面図である。本発明に係る薄膜トランジスタの一例を示す模式的な断面図である。
【図11】図10に示すアクティブマトリクス型駆動基板の製造方法を示す工程図(その1)である。
【図12】図10に示すアクティブマトリクス型駆動基板の製造方法を示す工程図(その2)である。
【図13】図10に示すアクティブマトリクス型駆動基板の製造方法を示す工程図(その3)である。
【図14】図10に示すアクティブマトリクス型駆動基板の製造方法を示す工程図(その4)である。
【図15】図10に示すアクティブマトリクス型駆動基板の製造方法を示す工程図(その5)である。
【図16】図10に示すアクティブマトリクス型駆動基板の製造方法を示す工程図(その6)である。
【図17】図10に示すアクティブマトリクス型駆動基板の製造方法を示す工程図(その7)である。
【図18】図10に示すアクティブマトリクス型駆動基板の製造方法を示す工程図(その8)である。
【図19】本発明に係るアクティブマトリクス型駆動基板(ボトムゲートボトムコンタクト型TFTを含む)の一例を示す模式的な断面図である。
【図20】本発明に係るアクティブマトリクス型駆動基板(トップゲートトップコンタクト型TFTを含む)の一例を示す模式的な断面図である。本発明に係る薄膜トランジスタの一例を示す模式的な断面図である。
【図21】本発明に係る表示装置の一例を示す模式的な断面図である。
【図22】電子ペーパーに用いる一般的なアクティブマトリクス型駆動基板の単位画素の一例を示す模式的な断面図である。
【図23】図22に示す単位画素がマトリクス状に配列したアクティブマトリクス型駆動基板について、主に第1電極のパターンを示した模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明に係るアクティブマトリクス型駆動基板及びその製造方法並びに表示装置について、図面を参照して詳しく説明する。なお、本発明は、その技術的特徴を有すれば種々の変形が可能であり、以下に具体的に示す実施形態に限定されるものではない。
【0027】
[アクティブマトリクス型駆動基板及びその製造方法]
(基本構成)
本発明に係るアクティブマトリクス型駆動基板50(以下「AM型駆動基板50」と略す。)は、図1、図10、図19及び図20に示すように、第1絶縁膜2を表面に有する導電基材1上に設けられた薄膜トランジスタ10及び保持容量20と、薄膜トランジスタ10及び保持容量20を第2絶縁膜18を介して覆う画素電極30とを有する。そして、本発明は、保持容量20が、第1電極21と誘電体膜22と前記薄膜トランジスタ10のソース・ドレイン電極14,15に接続する第2電極23との積層体であり、導電基材1と前記保持容量20を構成する第1電極21とが第1絶縁膜2の開口部5(第1開口部5ともいう。)で接続されていることに特徴がある。
【0028】
本発明に係るAM型駆動基板50の製造方法は、図2〜図9及び図11〜図18に示すように、薄膜トランジスタ10と、第1電極21と誘電体膜22と前記薄膜トランジスタ10のソース・ドレイン電極14,15に接続する第2電極23との積層体である保持容量20と、薄膜トランジスタ10及び保持容量20を第2絶縁膜18を介して覆う画素電極30とを備えたAM型駆動基板50を製造する方法である。そして、その工程は、第1絶縁膜2を表面に有する導電基材1を準備する工程と、第1絶縁膜2に所定パターンの開口部(第1開口部5)を形成する工程と、第1絶縁膜2上に薄膜トランジスタ10及び保持容量20を面内方向に形成するとともに、導電基材1と保持容量20を構成する第1電極21とを第1開口部5で接続する工程と、薄膜トランジスタ10及び保持容量20を覆う第2絶縁膜18を形成するとともに、第2電極23上の第2絶縁膜18に所定パターンの開口部(第2開口部32)を形成する工程と、第2開口部32を介して第2電極23に接続する画素電極30を薄膜トランジスタ10と保持容量20を覆うように形成する工程と、を有することに特徴がある。
【0029】
こうしたAM型駆動基板50及びその製造方法では、導電基材1と保持容量20を構成する第1電極21とを電気的に接続している。そのため、第1電極21への電流供給を導電基材1が行うことができる。その結果、従来のようにデータ線又はゲート線と交差するコモン線を設ける必要がなく、したがって、データ線42又はゲート線41の寄生容量も増加することがなく、消費電力を低減することができる。また、製造したAM型駆動基板50には、図6等に示すように、データ線42又はゲート線41とコモン線(本願では導電基材1が担うことになる。)との交差部がない。そのため、絶縁不良が発生し難く、歩留まりの低下を防ぐことができる。したがって、本発明で製造したAM型駆動基板50を電子ペーパー等の表示装置に適用すれば、消費電力を小さくでき、歩留まりを向上させることができる。
【0030】
[第1実施形態]
最初に、図1に示すボトムゲートトップコンタクト型の薄膜トランジスタを有するAM型駆動基板50Aの製造工程を図2〜図9に基づいて説明する。図1に示すAM型駆動基板50Aを構成するボトムゲートトップコンタクト型の薄膜トランジスタ10は、導電基材1上の第1絶縁膜2の上に設けられた所定パターンのゲート電極11と、ゲート電極11を覆うゲート絶縁膜12と、ゲート絶縁膜12上であってゲート電極11の上方に設けられた所定パターンの半導体膜13と、半導体膜13上の中央部(チャネル領域)を開けて離間して設けられたソース・ドレイン電極14,15と、それら全体を覆う保護膜16とを有している。
【0031】
(導電基材の準備工程)
基材として、第1絶縁膜2を表面に有する導電基材1を準備する。導電基材1としては、全てが導電性材料からなる基材であってもよいし、少なくとも第1絶縁膜2が形成される面に導電性材料が設けられた基材であってもよい。要するに、この導電基材1は、表面に設けられた第1絶縁膜2の第1開口部5を介して後述の第1電極21と電気的に接続されるものであって、マトリクス状に設けられた各第1電極21に電流を供給できるものであればよい。
【0032】
全てが導電性材料からなる導電基材1としては、金属基材を好ましく挙げることができ、具体的には、ステンレス、銅等の箔状もしくはフィルム状の金属基材を挙げることができる。金属基材は、耐熱性が高く、例えば後述の薄膜トランジスタ10の作製工程で熱処理が加わっても全く問題が生じないという利点がある。少なくとも第1絶縁膜2が形成される面に導電性材料が設けられた導電基材1としては、例えばプラスチック基材、ガラス基材又はセラミクス基材のような非導電性基材上に、全面膜として又は所定のパターンで設けられた導電層を有するものを例示できる。この場合の導電層としては、保持容量20を構成する第1電極21に電流を供給できればその構成材料は特に限定されないが、例えば、銅層、アルミニウム層、金層、銀層等の金属層を挙げることができる。そうした導電層は、基材の全面に設けられたものであってもよいし、所定のパターンで設けられたものであってもよく、通常、厚さ0.01〜100μm程度で設けられていることが好ましい。
【0033】
導電基材1はフレキシブル性を有することが好ましい。こうした導電基材1を用いることにより、フレキシブル性を有するAM型駆動基板50Aを作製でき、フレキシブル性を有する電子ペーパー等の表示装置を作製できる。フレキシブル性を有する導電基材1の厚さは特に限定されないが、金属基材の場合には通常、0.01〜1mmであり、例えばステンレス基材の場合では0.05〜0.1mmが好ましい。一方、導電層が設けられた導電基材1の場合は、その基材の種類によってフレキシブル性が異なるので一概には言えないが、通常、0.01〜1mm程度である。
【0034】
第1絶縁膜2は、導電基材1上の全面又は必要な箇所に設けられる。予め第1絶縁膜2が設けられた導電基材1を入手してもよいが、通常は、例えば金属基材の一方の面(薄膜トランジスタ0や保持容量20が設けられる側の面)の全面に塗布して設けられる。第1絶縁膜2は、絶縁膜として機能するとともに平坦化膜として機能するものであることが好ましい。導電基材1として金属基材を用いる場合には、その表面が粗く、大部分は算術平均粗さRaで10nm〜100nmであるが、1〜10μm程度の突起や傷が多数存在する。そのため、第1絶縁膜2が平坦化膜として用いて金属基材の表面粗さを低減させることが、平坦化膜上に設けられた電極との短絡を防止する観点から好ましい。なお、表面粗さは、触針式表面粗さ計や、AFM(原子間力顕微鏡)等で測定することができる。
【0035】
第1絶縁膜2としては、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂等の絶縁樹脂からなる膜を好ましく挙げることができる。その厚さは、主に絶縁性と平坦化性を考慮して設定されるが、通常、5〜10μmである。
【0036】
第1絶縁膜2上には、必要に応じて、下地膜を設けてもよい。例えば、密着膜、応力緩和膜、バッファ膜(熱緩衝膜)等を設けてもよい。一例としては、酸化クロム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、窒化ケイ素、又は酸窒化ケイ素等からなる化合物膜が好ましく用いられる。これらの膜は、その機能や目的に応じて、単層で設けてもよいし、2層以上を積層してもよい。こうした下地膜は各種の蒸着法、DCスパッタリング法、RFマグネトロンスパッタリング法、プラズマCVD法等の各種の方法で形成することができるが、実際には、膜を構成する材質に応じた好ましい方法が採用される。
【0037】
(第1開口部の形成工程)
次に、図2(A1)(A2)に示すように、第1絶縁膜2に所定パターンの開口部(第1開口部5)を形成する。第1開口部5の形成は、先ず、第1絶縁膜2上に感光性レジスト膜を設け、露光、現像して、第1開口部5の形成場所を開口させた所定パターンのエッチングマスクを形成する。次いで、第1絶縁膜2のエッチング液を用いて第1絶縁膜2に第1開口部5を形成する。感光性レジスト膜は各種のものを利用することができる。エッチング液は、第1絶縁膜2の種類によっても異なるが、第1絶縁膜2が例えばポリイミド膜である場合にはヒドラジン系のエッチャントを用いることができる。形成された第1開口部5は、その後に形成される第1電極21と導電基材1とを接続するためのコンタクトホールとして機能する。
【0038】
(薄膜トランジスタと保持容量の形成工程)
次に、図3(B1)(B2)〜図7(F1)(F2)に示すように、第1絶縁膜2上に薄膜トランジスタ10及び保持容量20を面内方向に形成する。さらにその形成過程で、導電基材1と保持容量20を構成する第1電極21とを第1開口部5で接続する。以下、薄膜トランジスタ10と保持容量20の形成工程について順次説明する。
【0039】
先ず、図3(B1)(B2)に示すように、第1絶縁膜2上に、ゲート電極11とゲート線41と第1電極21とを形成する。ゲート電極11は薄膜トランジスタ10の構成要素であり、第1電極21は保持容量20の構成要素である。ゲート線41は、ゲート電極11に電圧信号を供給する配線であり、AM型駆動基板50Aの周縁部でフレキシブルプリント配線板(図示しない)等を介して外部回路に接続されている。ゲート電極11、ゲート線41及び第1電極21(以下、「ゲート電極等」ともいう。)は、第1絶縁膜2と第1開口部5を覆う全面に金属膜を成膜し、その後にパターニングしてそれぞれ所定のパターンで形成される。したがって、これらは同一材料で同時に形成される。
【0040】
ゲート電極等の形成材料としては、例えば、Al、W、Ta、Mo、Cr、Ti、Cu、Au、AlMg、MoW、MoNb等の金属材料、ITO(インジウム錫オキサイド)、酸化インジウム、IZO(インジウム亜鉛オキサイド)、SnO、ZnO等の透明導電材料を好ましく挙げることができる。なお、所望の導電性を有するものであれば、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリアルキルチオフェン誘導体、ポリシラン誘導体のような透明な導電性高分子等であってもよい。
【0041】
ゲート電極等の形成は、形成材料の種類や導電基材1の耐熱性に応じた成膜手段とパターニング手段が適用される。例えば、金属材料又は透明導電材料でゲート電極等を形成する場合には、成膜手段としてスパッタリング法や各種CVD法等を適用でき、パターニング手段としてフォトリソグラフィを適用できるが、低温成膜が要求される場合には、成膜手段として低温成膜可能なスパッタリング法やプラズマCVD法を好ましく適用できる。また、導電性高分子でゲート電極等を形成する場合には、成膜手段として真空蒸着法やパターン印刷法等を適用でき、パターニング手段としてフォトリソグラフィを適用できる。ゲート電極等の厚さは、通常、0.05〜0.1μm程度である。
【0042】
次に、図4(C1)(C2)に示すように、ゲート電極11、ゲート線41及び第1電極21を覆う全面に絶縁膜12,22を形成する。この絶縁膜12,22は、薄膜トランジスタ10ではゲート絶縁膜12として機能し、保持容量20では誘電体膜22として機能する。なお、上記で形成したゲート線41上では通常の絶縁膜として機能する。この絶縁膜12,22は、絶縁性が高く、誘電率が比較的高く、薄膜トランジスタ10のゲート絶縁膜として及び保持容量20の誘電体膜として適しているものであれば各種の材料を用いることができる。例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素等のケイ素の酸化物、窒化物、酸窒化物等を好ましく挙げることができる。また、酸化イットリウム、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化スカンジウム、チタン酸バリウムストロンチウムのうち少なくとも1種又は2種以上を挙げることができる。
【0043】
絶縁膜12,22の形成は、絶縁膜材料の種類や導電基材1の耐熱性に応じた成膜手段とパターニング手段が適用される。例えば、ケイ素の酸化物、窒化物、酸窒化物等で絶縁膜12,22を形成する場合には、成膜手段としてDCスパッタリング法、RFマグネトロンスパッタリング法、プラズマCVD法等を適用でき、パターニング手段としてフォトリソグラフィを適用できる。12,22の厚さは、通常、0.1〜0.3μm程度である。また、公知の塗布型絶縁膜形成材料を用いて絶縁膜12,22を塗布形成してもよく、この場合の厚さは、通常、0.2〜1.0μm程度である。
【0044】
絶縁膜12,22は全面を覆うように設けることが好ましいが、必要な箇所にパターン形成したものであってもよい。絶縁膜12,22を全面に設けた場合にはフォトリソグラフィでパターニングするが、その際、フレキシブルプリント配線板(図示しない)と接続するための取出電極部を第5開口部6として開口する。この第5開口部6は、AM型駆動基板50Aの周縁部に設け、ゲート線41の端部がその第5開口部6で露出して、フレキシブルプリント配線板に接続できるようになっている。露出したゲート線41は、フレキシブルプリント配線板を介して外部回路に接続される。
【0045】
次に、図5(D1)(D2)に示すように、ゲート絶縁膜12上に所定パターンの半導体膜13を形成する。半導体膜13は、アモルファスシリコン半導体膜であってもポリシリコン型の半導体膜であっても酸化物半導体膜であってもよい。以下においては、逆スタガ型でも順スタガ型でも好ましく適用できる酸化物半導体膜(符号13を用いる。)を用いた場合について説明する。
【0046】
酸化物半導体膜13としては、半導体特性を有する各種の酸化物を用いることができ、好ましくはIMZO半導体膜を用いることができる。IMZO半導体膜13を構成する酸化物は、InMZnO(MはGa,Al,Feのうち少なくとも1種)を主たる構成元素とするアモルファス酸化物である。特に、MがGaであるInGaZnO系のアモルファス酸化物が好ましく、この場合、In:Ga:Znの比が1:1:m(m<6)であることが好ましい。また、Mgをさらに含む場合においては、In:Ga:Zn1-xMgxの比が1:1:m(m<6)で0<x≦1であることが好ましい。なお、組成割合は、蛍光X線(XRF)装置によって測定したものである。InGaZnO系のアモルファス酸化物については、InとGaとZnの広い組成範囲でアモルファス相を示す。この三元系でアモルファス相を安定して示す組成範囲としては、InGaZn(3x/2+3y/2+z)で比率x/yが0.4〜1.4の範囲であり、比率z/yが0.2〜12の範囲にあるように表すことができる。なお、ZnOに近い組成とInに近い組成で結晶質を示す。また、アモルファス酸化物が、InxGa1-x酸化物(0≦x≦1)、InxZn1-x酸化物(0.2≦x≦1)、InxSn1-x酸化物(0.8≦x≦1)、Inx(Zn,Sn)1-x酸化物(0.15≦x≦1)から選ばれるいずれかのアモルファス酸化物であってもよい。
【0047】
本発明では、InGaZnO系半導体膜(IGZO半導体膜)を好ましく挙げることができる。また、このIGZO半導体膜には、必要に応じて、Al、Fe、Sn等を構成元素として加えたものであってもよい。
【0048】
IMZO半導体膜13がアモルファスであるか否かは、測定対象となるIMZO半導体膜に入射角度0.5°程度の低入射角によるX線回折を行った場合に、結晶質の存在を示す明瞭な回折ピークが検出されないこと、すなわち所謂ハローパターンが見られることで確認できる。そうしたハローパターンは、微結晶状態のIMZO半導体膜でも見られるので、このIMZO半導体膜13には、そのような微結晶状態のIMZO半導体膜も含まれるものとする。
【0049】
IMZO半導体膜13の形成は、半導体材料の種類や導電基材1の耐熱性に応じた成膜手段とパターニング手段が適用される。例えば、成膜手段としてDCスパッタリング法、RFマグネトロンスパッタリング法、プラズマCVD法等を適用でき、パターニング手段としてフォトリソグラフィを適用できる。なお、スパッタリングで成膜する場合におけるスパッタリングターゲットしては、所定のスパッタリング条件下で目的の成膜組成が得られるように調整されたスパッタリングターゲットを用いることが好ましい。通常、目的とする成膜組成と同じ組成のスパッタリングターゲットが好ましく用いられる。IMZO半導体膜13の厚さは、成膜条件によって任意に設計されるために一概には言えないが、通常10〜150nmの範囲内であることが好ましく、15〜50nmの範囲内であることがより好ましい。
【0050】
所定パターンのIMZO半導体膜13の形成工程では、(i)ゲート絶縁膜12を覆う全面にIMZO半導体膜13を形成し、次いで、全面に形成されたIMZO半導体膜13をフォトレジストを用いたパターニング(露光、現像、エッチング)し、所定のパターンに加工する方法、又は、(ii)ゲート絶縁膜12を覆う全面にIMZO半導体膜13を形成し、さらにそのIMZO半導体膜13を覆う全面にパッシベーション膜(図示しない)を形成し、次いで、パッシベーション膜をフォトレジスト法にて所定パターンにパターニング(露光、現像、エッチング)し、パターニングされたパッシベーション膜をマスクにしてIMZO半導体膜13をパターニング(エッチング)し、所定のパターンに加工する方法、のいずれかを適用できる。
【0051】
ここで用いるパッシベーション膜は、液状にしたシリカ(SiOの水和物)やポリイミド樹脂等のパッシベーション膜用材料を塗布法で成膜し、その後にレジストを用いてパターニングすることができる。また、感光性を有するパッシベーション膜用材料を塗布法で成膜し、その後に露光現像して所定パターンのパッシベーション膜を形成してもよい。こうしたパッシベーション膜の厚さは、通常、0.1〜3μm程度である。
【0052】
次に、図6(E1)(E2)に示すように、ソース・ドレイン電極14,15と、第2電極23と、データ線42とを設ける。ソース・ドレイン電極14,15は、IMZO半導体膜13上に所定パターンで設け、第2電極23は、誘電体膜22上の前記第1電極21に対向する上方に設け、データ線42はソース又はドレイン電極14に接続する態様で設ける。これらは同一材料で同時に設けられる。図6(E1)では、データ線42とソース電極14とが繋がっており、ソース電極15と第2電極23とが繋がっている。データ線42は、画素の周囲に前記ゲート線41と直交するように設けられる。
【0053】
ソース・ドレイン電極14,15、第2電極23及びデータ線42(これらを「ソース・ドレイン電極等」という。)を構成する電極材料は、金属の配線材料であれば特に限定されず、Al、W、Ta、Mo、Cr、Ti、Cu、Au、AlMg、MoW、MoNb等の金属材料、ITO(インジウム錫オキサイド)、酸化インジウム、IZO(インジウム亜鉛オキサイド)、SnO、ZnO等の透明導電膜を挙げることができる。また、所望の導電性を有するものであれば、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリアルキルチオフェン誘導体、ポリシラン誘導体のような導電性高分子等であってもよい。半導体膜13としてIGZO半導体膜を形成した場合には、そのIGZO半導体膜13とのオーミック接触が考慮されて選択され、例えば、Ti、Ag、Mo、MoW等の金属膜が好ましい。
【0054】
ソース・ドレイン電極等の形成は、電極材料の種類や導電基材1の耐熱性に応じた成膜手段とパターニング手段が適用される。例えば、金属膜や透明導電膜でソース・ドレイン電極等を形成する場合には、成膜手段としてDCスパッタリング法、RFマグネトロンスパッタリング法、プラズマCVD法等を適用でき、パターニング手段としてフォトリソグラフィを適用できる。ソース・ドレイン電極等の厚さは、通常、0.1〜0.3μm程度である。
【0055】
IMZO半導体膜13上にパッシベーション膜(図示しない)を形成した場合(図示していない)には、ソース・ドレイン電極等の形成に先立って、IMZO半導体膜13のチャネル領域以外のパッシベーション膜にコンタクトホールを形成してもよい。こうしたパッシベーション膜は、IMZO半導体膜13のチャネル領域を保護しつつ、コンタクトホール部にソース電極接続部とドレイン電極接続部とを形成するために設けられる。コンタクトホールを有するパッシベーション膜を設けた後には、通常、活性化処理が行われる。この活性化処理により、コンタクトホール部で露出したIMZO半導体膜13の導電性を高めてソース電極接続部及びドレイン電極接続部とすることができる。導電性を高めたソース電極接続部及びドレイン電極接続部にソース・ドレイン電極14,15をそれぞれパターン成膜すると、ソース電極接続部及びドレイン電極接続部それぞれに対するソース・ドレイン電極14,15のオーミック抵抗を低減することができる。
【0056】
本発明においては、第2電極23は、第1開口部5の断面視上方には設けられていない。そのため、表面粗さの大きい導電基材1(金属基材等)を適用した場合であっても、その第1開口部5において、導電基材1の表面粗さを第1電極21が引き継ぎ、その結果、その第1電極21上の第1絶縁膜2の耐圧性が低下して短絡が生じ易い等の問題を防ぐことができる。なお、このとき、断面視上方とは、第1開口部5の周縁端部上に少なくとも架からないことであり、好ましくは、第2電極23は第1開口部5の周縁よりも10μm以上外側に設けられることが好ましい。
【0057】
第2電極23は、ソース電極14又はドレイン電極15と連続して設けられるが、その第2電極23は、後述する第2絶縁膜18の第2開口部32を介して画素電極30に接続する。つまり、ソース電極14又はドレイン電極15からの画像電極へのON/OFF電圧信号を伝達又は中継する機能も併せ持つ。
【0058】
データ線42は、導電基材1の周縁部にまで延び、その周縁部では、フレキシブルプリント配線板(図示しない)と接続するための取出電極となる。取出電極は、開口部(図示しない)で露出しており、フレキシブルプリント配線板を介して外部回路に接続される。
【0059】
(第2絶縁膜及び第2開口部の形成工程)
次に、図7(F1)(F2)及び図8(G1)(G2)に示すように、薄膜トランジスタ10及び保持容量20を覆う第2絶縁膜18を形成するとともに、第2電極23上の第2絶縁膜18に所定パターンの開口部(第2開口部32)を形成する。
【0060】
第2絶縁膜18は、少なくとも層間絶縁膜17を有する。層間絶縁膜17は、薄膜トランジスタ10及び保持容量20の各電極(ソース・ドレイン電極14,15、第2電極23、ゲート線41、データ線42等)と、後述の画素電極30との間の寄生容量の低減に有効である。ここで、「少なくとも」としたのは、必要に応じて他の絶縁膜を併せて設けてもよいことを意味し、具体的には、薄膜トランジスタ10を保護するための保護膜16を挙げることができ、そうした保護膜16は特に半導体膜13として酸化物半導体膜を採用した場合に好ましく設けられる。したがって、第2絶縁膜18は、少なくとも層間絶縁膜17を有し、さらに保護膜16等の他の絶縁膜を有していてもよい。ここでは、図示のように、保護膜16を設けた例で説明する。
【0061】
先ず、図7(F1)(F2)に示すように、薄膜トランジスタ10及び保持容量20のソース・ドレイン電極等を覆うように保護膜16を形成する。保護膜16は、薄膜トランジスタ10を保護するように作用する膜である。保護膜16を設けることにより、薄膜トランジスタ10の動作が雰囲気(例えば、水分、真空、温度)による影響を受けず、雰囲気の変化による不安定動作が生じずに、安定に動作させることができるという効果が得られる。したがって、保護膜16は、薄膜トランジスタ10の基本構造が形成された後にその全体を覆うように設けられている。
【0062】
保護膜16の形成材料としては、少なくとも1種の金属元素を含む金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属酸窒化物等を挙げることができる。金属としては、ケイ素、アルミニウム等が好ましく、具体的には、金属酸化物としては、SiO、Al等を挙げることができ、金属窒化物としては、Si、AlN等を挙げることができ、金属炭化物としては、SiC、TiC等を挙げることができ、金属酸窒化物としては、SiON、SiAlON等を挙げることができる。中でも、SiOからなる保護膜が好ましい。
【0063】
保護膜16の形成方法としては、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、レーザー蒸着法、電子ビーム蒸着法、化学気相成長法(CVD法)等を挙げることができる。保護膜16の厚さは、成膜条件によって任意に設計されるために一概には言えないが、通常10nm以上200nm以下の範囲内であることが好ましく、50nm以上150nm以下の範囲内であることがより好ましい。
【0064】
保護膜16を形成した後は、半導体膜13の種類によっては必要に応じて熱処理することが好ましい。例えば半導体膜13としてIMZO半導体膜13を成膜した場合には、熱処理より、IMZO半導体膜13の半導体特性を高めることができる。例えば、ドレイン電流のON/OFF比を少なくとも10以上に大きくすることができる。なお、この熱処理は、パッシベーション膜(図示しない)がIMZO半導体膜13上に設けられていた態様で施してもよい。
【0065】
IMZO半導体膜13を設けた場合に熱処理が効果的な理由は以下のとおりである。すなわち、IMZO半導体膜13上へのソース・ドレイン電極14,15の形成工程において、スパッタリング時又はプラズマCVD時のプラズマ、保護膜16の形成工程でのスパッタリング時又はプラズマCVD時のプラズマ等により、IMZO半導体膜13は大きなダメージを受ける。具体的には、特にプラズマによって、IMZO半導体膜13の酸化物に欠陥が生じて導体化(電気導電性が高くなる)し、半導体特性が低下する。そのため、IMZO半導体膜13上に保護膜16を形成した後に熱処理を施すことによって、導体化して半導体特性が著しく低下したIMZO半導体膜13の特性を向上させることができる。このような効果が生じる理由としては、おそらく、上記した特定種の保護膜16をIMZO半導体膜13上に積層して熱処理を施すことにより、その熱処理時に原子状水素が生じ、その原子状水素がIMZO半導体膜13中に生じた欠陥を終端したためと考えられる。欠陥部分の終端により、プラズマダメージによって導体化したIMZO半導体膜13の半導体特性を回復させたものと推察される。
【0066】
この場合の熱処理温度としては、100〜500℃の範囲を挙げることができる。金属基材のように耐熱性基材を用いた場合には250〜500℃、好ましくは250〜350℃の高めの温度でも問題ないが、樹脂層を含む導電基材1を用いた場合には100℃〜200℃の範囲が好ましい。熱処理は、窒素ガス雰囲気、酸化性ガス雰囲気及び水蒸気雰囲気のいずれかの雰囲気中で行うことが好ましい。酸化性ガス雰囲気中での熱処理では、雰囲気ガス圧が0.01気圧〜1気圧の範囲であることが好ましい。また、水蒸気雰囲気中での熱処理では、水蒸気圧が1気圧〜20気圧の範囲であることが好ましく、5気圧〜15気圧の高圧水蒸気雰囲気であることが特に好ましい。高圧水蒸気雰囲気中での熱処理は、上記のIMZO半導体膜13の半導体特性を高めることができるとともに、ゲート絶縁膜14の界面準位や絶縁特性を向上させることができるので好ましい。
【0067】
次に、保護膜16を全面に設け、必要に応じて熱処理等を施した後は、図7(F1)(F2)に示すように、保護膜16に所定パターンの第2開口部32を形成する。この第2開口部32は、第2電極23と後述する画素電極30とを接続する箇所である。図示の例では、第2開口部32は第1開口部5とは、画素対角の最も離れた箇所に設けられている。第2開口部32の形成は、一般的なフォトリソグラフィで行うことができる。なお、保護膜16は通常、全面に設けた後にパターニングするが、必要な箇所に選択的に設けたものであってもよい。
【0068】
次に、図8(G1)(G2)に示すように、第2開口部32が設けられた保護膜16を覆うように層間絶縁膜17を形成する。層間絶縁膜17は、薄膜トランジスタ10、ゲート線及びソース線と、前記画素電極との間の寄生容量の低減に有効であり、そうした層間絶縁膜17の形成材料としては特に限定されず、各種のものを用いることができる。一例としては、透明アクリレート樹脂(新日本製鉄化学株式会社製、V259)等を挙げることができる。層間絶縁膜17の形成方法としては、スピンコートやダイコート等の各種の塗布法が好ましく適用され、形成された層間絶縁膜17の厚さは、寄生容量低減の観点から、4〜50μmと比較的厚いことが好ましく、2〜5μmがより好ましい。
【0069】
次に、層間絶縁膜17を全面に設けた後は、図8(G1)(G2)に示すように、層間絶縁膜17に所定パターンの第4開口部34を形成する。この第4開口部34は、第2開口部32と同じ箇所に設ける。その箇所は、第2電極23と後述する画素電極30とを接続する箇所である。第4開口部34の形成は、一般的なフォトリソグラフィで行うことができる。なお、層間絶縁膜17は保護膜16と同様、通常、全面に設けた後にパターニングするが、必要な箇所に選択的に設けたものであってもよい。
【0070】
こうして、図示の例では、保護膜16と層間絶縁膜17とからなる第2絶縁膜18を、画素電極30に接続する開口部(第2開口部32及び第4開口部34)を有した態様で形成する。
【0071】
(画素電極の形成工程)
次に、図9(H1)(H2)に示すように、開口部(第2開口部32及び第4開口部34)を介して第2電極23に接続する画素電極30を、薄膜トランジスタ10と保持容量20を覆うように形成する。画素電極30は、通常、全面に設けた後にフォトリソグラフィでパターニングするが、必要な箇所に選択的に設けたものであってもよい。画素電極30の形成材料としては、Al、Ti、Ag、ITO(インジウム錫酸化物)、IZO(インジウム亜鉛酸化物)等を挙げることができる。画素電極30の形成方法としては、DCマグネトロンスパッタリング法等が好ましく適用され、形成された画素電極30の厚さは、0.1〜0.3μmが好ましい。
【0072】
[第2実施形態]
次に、図10に示すトップゲートボトムコンタクト型の薄膜トランジスタを有するAM型駆動基板50Bの製造工程を図11〜図18に基づいて説明する。図10に示すAM型駆動基板50Bを構成するトップゲートボトムコンタクト型の薄膜トランジスタ10は、導電基材1上の第1絶縁膜2の上に所定領域(チャネル領域となる領域)を開けて離間して設けられた所定パターンのソース・ドレイン電極14,15と、ソース・ドレイン電極14,15間の前記所定領域を埋めるとともにソース・ドレイン電極14,15を跨ぐように設けられた所定パターンの半導体膜13と、それら(ソース・ドレイン電極14,15及び半導体膜13)を覆うように設けられたゲート絶縁膜12と、ゲート絶縁膜12上であって半導体膜13の上方に設けられたゲート電極11とを有している。こうした第2実施形態のAM型駆動基板50Bの構成要素は、基本的には上記第1実施形態の場合と同様であるので、同一の符号を用い、随時説明を省略する。
【0073】
導電基材1及びその導電基材1上に設けられる第1絶縁膜2は、上記第1実施形態の場合と同様にして準備する。その他は第1実施形態と同様である。
【0074】
次に、図11(A1)(A2)に示すように、第1絶縁膜2に所定パターンの開口部(第1開口部5)を形成する。その他は第1実施形態と同様である。
【0075】
次に、図12(B1)(B2)〜図15(E1)(E2)に示すように、第1絶縁膜2上に薄膜トランジスタ10及び保持容量20を面内方向に形成するとともに、その形成過程で、導電基材1と保持容量20を構成する第1電極21とを第1開口部5で接続する。
【0076】
詳しくは、図12(B1)(B2)に示すように、第1絶縁膜2上に、ソース・ドレイン電極14,15と、データ線42と、第2電極23とを形成する。ソース・ドレイン電極14,15は薄膜トランジスタ10の構成要素であり、第2電極23は保持容量20の構成要素である。データ線42は、ソース・ドレイン電極14,15に電圧信号を供給する配線であり、AM型駆動基板50Bの周縁部でフレキシブルプリント配線板(図示しない)等を介して外部回路に接続されている。ソース・ドレイン電極14,15、データ線42及び第2電極23(以下、「ソース・ドレイン電極等」ともいう。)は、第1絶縁膜2と第1開口部5を覆う全面に金属膜を成膜し、その後にパターニングしてそれぞれ所定のパターンで形成される。したがって、これらは同一材料で同時に形成される。また、ソース・ドレイン電極等の形成材料、形成手段及びその厚さは、上記第1実施形態の場合と同様である。
【0077】
第2電極23は、第1絶縁膜2上に設けられており、第1開口部5の断面視上方には設けられていない。そのため、表面粗さの大きい導電基材1(金属基材等)を適用した場合であっても、平坦化膜として好ましく作用する第1絶縁膜2を介して設けられているので、導電基材1の表面粗さに基づいた短絡等の問題を防ぐことができる。なお、このとき、断面視上方とは、第1開口部5の周縁端部上に少なくとも架からないことであり、好ましくは、第2電極23は第1開口部5の周縁よりも10μm以上外側に設けられることが好ましい。
【0078】
また、第2電極23は、ソース電極14又はドレイン電極15と連続して設けられるが、その第2電極23は、後述する第2絶縁膜18の第2開口部32を介して画素電極30に接続する。つまり、ソース電極14又はドレイン電極15からの画像電極へのON/OFF電圧信号を伝達又は中継する機能も併せ持つ。
【0079】
次に、図13(C1)(C2)に示すように、所定パターンの半導体膜13をソース・ドレイン電極14,15間を跨ぐように形成する。半導体膜13の形成材料、形成手段及び厚さ等については上記第1実施形態の場合と同様である。
【0080】
次に、図14(D1)(D2)に示すように、半導体膜13、ソース・ドレイン電極14,15、第2電極23及び第1開口部5を覆う全面に絶縁膜12,22を形成し、その後、第1開口部5上の絶縁膜を除去して第4開口部34を形成するとともに、その第4開口部34とは異なる箇所であって後述する第1電極21を設けない箇所の絶縁膜22を除去して第3開口部33を形成する。この絶縁膜12,22は、薄膜トランジスタ10ではゲート絶縁膜12として機能し、保持容量20では誘電体膜22として機能する。また、データ線42上では通常の絶縁膜として機能する。絶縁膜12,22の形成材料、形成手段及びその厚さ等は上記第1実施形態の場合と同様である。
【0081】
なお、第1実施形態と同様、絶縁膜12,22は全面を覆うように設けることが好ましいが、必要な箇所にパターン形成したものであってもよい。絶縁膜12,22を全面に設けた場合にはフォトリソグラフィでパターニングするが、その際、フレキシブルプリント配線板(図示しない)と接続するための取出電極部を開口部(図示しない)として開口する。この開口部は、AM型駆動基板50の周縁部に設け、データ線42の端部がその開口部で露出して、フレキシブルプリント配線板に接続できるようになっている。露出したデータ線42は、フレキシブルプリント配線板を介して外部回路に接続される。
【0082】
半導体膜13上に設けられるゲート絶縁膜12は、上記第1実施形態と同様、半導体膜13の保護膜としても作用する。そのため、このゲート絶縁膜12は、上記第1実施形態の保護膜としての機能を併用できる材質であることが好ましい。そうしたゲート絶縁膜12としては、上記保護膜16の形成材料として挙げられる金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属酸窒化物等を挙げることができる。また、上記第1実施形態の場合と同様、必要に応じて熱処理することが好ましく、その結果、半導体膜13に対し、第1実施形態の場合と同様、半導体特性を向上させることができる。
【0083】
次に、図15(E1)(E2)に示すように、絶縁膜12,22上に、ゲート電極11とゲート線41と第1電極21とを形成する。ゲート電極11は薄膜トランジスタ10の構成要素であり、第1電極21は保持容量20の構成要素である。ゲート線41は、ゲート電極11に電圧信号を供給する配線であり、AM型駆動基板50Aの周縁部でフレキシブルプリント配線板(図示しない)等を介して外部回路に接続されている。ゲート電極11、ゲート線41及び第1電極21(以下、「ゲート電極等」ともいう。)は、絶縁膜12,22と第1開口部5及び第4開口部34とを覆う全面に金属膜を成膜し、その後にパターニングしてそれぞれ所定のパターンで形成される。したがって、これらは同一材料で同時に形成される。
【0084】
第1電極21は、第1開口部5及び第4開口部34を介して導電基材1に電気的に接続する。また、第1電極21は、第3開口部33上には設けない。具体的には、第1電極21は第3開口部33の周縁よりも10μm以上外側に設けられることが好ましい。なお、ゲート電極等の形成材料、形成手段及びその厚さ等は上記第1実施形態の場合と同様である。
【0085】
次に、図16(F1)(F2)に示すように、薄膜トランジスタ10及び保持容量20を覆う第2絶縁膜18を形成し、その後、図17(G1)(G2)に示すように、絶縁膜22の第3開口部33上に所定パターンの開口部(第2開口部32)を形成する。
【0086】
第2絶縁膜18は、少なくとも層間絶縁膜17を有するものである。なお、上記第1実施形態の場合のような保護膜は上記ゲート絶縁膜12で代用可能であるので必ずしも設ける必要はない。層間絶縁膜17は、薄膜トランジスタ10及び保持容量20の各電極(ゲート電極11、第1電極21、ゲート線41等)と、後述の画素電極30との間の寄生容量の低減に有効である。層間絶縁膜17の形成材料、形成手段及びその厚さ、さらに層間絶縁膜17への第2開口部32の開口手段等は、上記第1実施形態と同様である。
【0087】
次に、図18(H1)(H2)に示すように、層間絶縁膜17の第2開口部32及び絶縁膜22の第3開口部33を介して第2電極23に接続する画素電極30を、薄膜トランジスタ10と保持容量20を覆うように形成する。画素電極30は、通常、全面に設けた後にフォトリソグラフィでパターニングするが、必要な箇所に選択的に設けたものであってもよい。画素電極30の形成材料、形成手段及びその厚さ等は、上記第1実施形態と同様である。
【0088】
[第3実施形態]
ボトムゲートボトムコンタクト型の薄膜トランジスタを有するAM型駆動基板50Cは、半導体膜13とソース・ドレイン電極14,15及び第2電極23との形成順が第1実施形態の場合と逆であるだけであり、それ以外は上記第1実施形態と同様である。そのため、上記第1実施形態と同様に製造できる。図19のAM型駆動基板50Cを構成するボトムゲートボトムコンタクト型の薄膜トランジスタ10は、導電基材1上の第1絶縁膜2の上に設けられた所定パターンのゲート電極11と、ゲート電極11を覆うように設けられたゲート絶縁膜12と、ゲート絶縁膜12上の中央部(チャネル領域)を開けて離間して設けられたソース・ドレイン電極14,15と、ゲート絶縁膜12上であってゲート電極11の上方にソース・ドレイン電極14,15間を跨ぐように設けられた所定パターンの半導体膜13と、それら全体を覆う保護膜16とを有している。
【0089】
[第4実施形態]
トップゲートトップコンタクト型の薄膜トランジスタを有するAM型駆動基板50Dは、半導体膜13とソース・ドレイン電極14,15及び第2電極23との形成順が第2実施形態の場合と逆であるだけであり、それ以外は上記第2実施形態と同様である。そのため、上記第2実施形態と同様に製造できる。図20のAM型駆動基板50Dを構成するトップゲートトップコンタクト型の薄膜トランジスタ10は、導電基材1上の第1絶縁膜2の上に設けられた所定パターンの半導体膜13と、半導体膜13の中央の所定領域(チャネル領域となる領域)を開けて離間して設けられた所定パターンのソース・ドレイン電極14,15と、半導体膜13及びソース・ドレイン電極14,15を覆うように設けられたゲート絶縁膜12と、ゲート絶縁膜12上であって半導体膜13の上方に設けられたゲート電極11とを有している。
【0090】
以上、第1〜第4実施形態に示すように、本発明に係るAM型駆動基板50A〜50Dの製造方法によれば、導電基材1と保持容量20を構成する第1電極21とを電気的に接続して第1電極21への電流供給を導電基材1が担うよういに構成した。そのため、従来のようにデータ線42又はゲート線41と交差するコモン線を設ける必要がなく、その結果、データ線42又はゲート線41の寄生容量も増加することがなく、消費電力を低減することができる。また、この製造方法で作製したAM型駆動基板50は、データ線42又はゲート線41とコモン線との交差部がないので、絶縁不良が発生し難く、歩留まりの低下を防ぐことができる。したがって、本発明で製造したAM型駆動基板50A〜50Dを電子ペーパー等の表示装置に適用すれば、消費電力を小さくでき、歩留まりを向上させることができる。
【0091】
[表示装置]
本発明に係る表示装置80は、図21に示すように、上記した本発明に係るAM型駆動基板50と、そのAM型駆動基板50が有する画素電極30上に配置された表示層81と、その表示層81上に配置された対向電極82と、その対向電極82上に配置された透明基材83とを有する。こうした構成からなる表示装置は、消費電力を小さくでき、歩留まりを向上させることができるAM型駆動基板50を備えるので、省エネで品質安定のよい表示装置とすることができる。特にフレキシブル性のある電子ペーパーとして有効である。ここで、AM型駆動基板50については、記述したので省略する。
【0092】
表示層81は、例えば電子ペーパーの表示層や有機EL層を好ましく挙げることができる。特に電子ペーパーの表示層としては、マイクロカプセル電気泳動方式で用いるマイクロカプセル電気泳動層、ツイストボール方式で用いるツイストボール層、トナーディスプレイ方式で用いる帯電粒子を有した空気層、等を挙げることができる。この表示層は、薄膜トランジスタ10及び保持容量20からのN/OFF信号を画素電極30から供給することによって、各画素に対応した表示層81をON/OFFさせて画像を表示する。この表示層は、後述する対向電極82上に設けられてAM型駆動基板50に貼り合わされたものであってもよいし、AM型駆動基板50上に設けられて対向電極82に貼り合わされたものであってもよい。
【0093】
対向電極82は、例えばITO、IZO等の透明導電膜を好ましく挙げることができる。対向電極82の成膜手段としては、DCスパッタリング法、RFマグネトロンスパッタリング法等を適用できる。その厚さは、通常、0.05〜0.3μm程度である。この対向電極82は、通常、後述の透明基材83に設けられている。対向電極82は、その上に表示層81を設けて前記AM型駆動基板50に貼り合わせてもよいし、表示層81が設けられたAM型駆動基板50に貼り合わされたものであってもよい。
【0094】
透明基材83は、例えば、ガラス、石英、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエステル、ポリカーボネート等を挙げることができる。透明基材83の厚さは、得られる表示装置80にフレキシブル性を持たせるか否かによっても異なり特に限定されないが、例えばフレキシブルな電子ペーパーとする場合には、厚さ5〜300μmのプラスチック基板が好ましく用いられる。
【0095】
こうした表示装置80によれば、消費電力を小さくでき、歩留まりを向上させることができるアクティブマトリクス型駆動基板を備えるので、省エネで品質安定のよい表示装置とすることができる。特にフレキシブル性のある電子ペーパーとして有効である。
【符号の説明】
【0096】
1 導電基材
2 第1絶縁膜
3 単位画素
5 開口部(第1開口部)
6 開口部(第5開口部)
10 薄膜トランジスタ
11 ゲート電極
12 ゲート絶縁膜(絶縁膜)
13 半導体膜
14,15 ソース・ドレイン電極
16 保護膜
17 層間絶縁膜
18 第2絶縁膜
19 取出電極
20 保持容量
21 第1電極
22 誘電体膜
23 第2電極
30 画素電極
32 開口部(第2開口部)
33 開口部(第3開口部)
34 開口部(第4開口部)
41 ゲート線
42 データ線
50 アクティブマトリクス型駆動基板
50A ボトムゲートトップコンタクト型
50B トップゲートボトムコンタクト型
50C ボトムゲートボトムコンタクト型
50D トップゲートトップコンタクト型
80 表示装置(電子ペーパー)
81 表示層(マイクロカプセル電気泳動層)
82 対向電極
83 透明基材
【0097】
100 アクティブマトリクス型駆動基板
101 金属基材
102 平坦化層
103 単位画素
110 薄膜トランジスタ
111 ゲート電極
112 ゲート絶縁膜
113 半導体膜
114,115 ソース・ドレイン電極
116 保護膜
117 層間絶縁膜
120 保持容量
121 第1電極
122 誘電体膜
123 第2電極
130 画素電極
131 開口部
141 ゲート線
142 データ線
143 コモン線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1絶縁膜を表面に有する導電基材上に設けられた薄膜トランジスタ及び保持容量と、該薄膜トランジスタ及び保持容量を第2絶縁膜を介して覆う画素電極とを有し、前記保持容量が第1電極と誘電体膜と前記薄膜トランジスタのソース・ドレイン電極に接続する第2電極との積層体である駆動基板であって、前記導電基材と前記第1電極とが前記第1絶縁膜の開口部で接続されていることを特徴とするアクティブマトリクス型駆動基板。
【請求項2】
前記第2絶縁膜が、少なくとも層間絶縁膜を有する、請求項1に記載のアクティブマトリクス型駆動基板。
【請求項3】
前記導電基材が金属基材であり、前記第1絶縁膜が該金属基材の表面粗さを低減する平坦化膜である、請求項1又は2に記載のアクティブマトリクス型駆動基板。
【請求項4】
前記開口部の断面視上方には前記第2電極が設けられていない、請求項1〜3のいずれか1項に記載のアクティブマトリクス型駆動基板。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のアクティブマトリクス型駆動基板と、該アクティブマトリクス型駆動基板が有する画素電極上に配置された表示層と、該表示層上に配置された対向電極と、該対向電極上に配置された透明基材とを有することを特徴とする表示装置。
【請求項6】
薄膜トランジスタと、第1電極と誘電体膜と前記薄膜トランジスタのソース・ドレイン電極に接続する第2電極との積層体である保持容量と、前記薄膜トランジスタ及び前記保持容量を第2絶縁膜を介して覆う画素電極とを備えたアクティブマトリクス型駆動基板の製造方法であって、
第1絶縁膜を表面に有する導電基材を準備する工程と、
前記第1絶縁膜に所定パターンの開口部を形成する工程と、
前記第1絶縁膜上に前記薄膜トランジスタ及び前記保持容量を面内方向に形成するとともに、前記導電基材と前記保持容量を構成する第1電極とを前記開口部で接続する工程と、
前記薄膜トランジスタ及び保持容量を覆う第2絶縁膜を形成するとともに、前記第2電極上の第2絶縁膜に所定パターンの開口部を形成する工程と、
前記開口部を介して前記第2電極に接続する画素電極を前記薄膜トランジスタと保持容量を覆うように形成する工程と、
を有することを特徴とするアクティブマトリクス型駆動基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2011−209539(P2011−209539A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−77649(P2010−77649)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】