説明

タングステン膜の成膜方法

【課題】工程が煩雑になることなく、埋め込み部分のボイドやシームを解消することができるタングステン膜の成膜方法を提供すること。
【解決手段】処理容器内において、ホールを有する基板にCVDによりタングステン膜を成膜してホール内にタングステンの埋め込み部を形成する工程と、同じ処理容器内にエッチングガスとしてClFガスまたはFガスを供給して埋め込み部の上部をエッチングし、開口を形成する工程と、開口が形成された埋め込み部を有する基板に対して同じ処理容器内において、CVDによりタングステン膜を成膜する工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に形成されたホールにタングステン膜を埋め込むタングステン膜の成膜方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程においては、配線間の凹部(ビアホール)や基板コンタクト用の凹部(コンタクトホール)を埋め込むためにタングステン(W)膜が用いられている。
【0003】
タングステン(W)の成膜方法としては、過去には物理的蒸着(PVD)が用いられていたが、Wは高融点金属であること、およびPVDでは近年のデバイスの微細化による高カバレッジに対応することが困難であること等の理由で、高カバレッジに対応することが可能で、かつデバイスの微細化に十分対応可能な化学的蒸着法(CVD)が主流となっている。CVDによりW膜を形成する場合には、原料ガスとして例えば六フッ化タングステン(WF)および還元ガスであるHガスを用い、ウエハ上でWF+3H→W+6HFと反応させることにより成膜される。これにより、微細なホールでもほぼ100%のステップカバレッジで成膜することができる。
【0004】
しかしながら、最近のホールの高アスペクト比化にともなって、ボーイングによりホールの中央部が膨らむ場合があり、この場合には、ステップカバレッジが100%であっても、埋め込まれたタングステン膜の中央部に不可避的にボイドやシームが生じてしまう。このようなボイドやシームが生じた場合には、成膜後のCMPによりボイドやシームが露出して、半導体性能に悪影響を及ぼす。
【0005】
このような不都合を解消可能な技術としては、タングステン膜を埋め込んだ後、NFガスをプラズマ化して膜の上部をエッチングし、その後に膜中のシームを埋める成膜を行うものが知られている(特許文献1)。
【0006】
また、成膜ガスとしてWFとHガスを用いてタングステン(W)を埋め込んだ後、WFの流量を変化させてエッチングガスとして用い、埋め込まれたタングステン(W)の一部をエッチングして貫通口を形成し、その後再びタングステン(W)を成膜して空隙を埋める技術も知られている(特許文献2)。
【0007】
さらに、ホール中へのタングステン(W)の成膜と、ClFガスによるエッチングとを交互に行ってオーバーハングを生じさせずにタングステン(W)をホールに埋め込む技術も知られている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−153852号公報
【特許文献2】特開2010−225697号公報
【特許文献3】特開2002−9017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1の技術は、エッチングにプラズマを使用しており、成膜チャンバとエッチングチャンバとを別個に設ける必要があり、処理が煩雑となってスループットが低下してしまう。
【0010】
また、上記特許文献2の技術は、成膜ガスとして用いるWFをエッチングガスとしても用い、流量を変化させて成膜とエッチングとを切り替えるが、WFのエッチング作用は必ずしも十分とはいえず、また、同じガスで成膜とエッチングを行うため制御が難しく、確実性に問題がある。
【0011】
さらに、上記特許文献3の技術は、成膜途中でオーバーハングが生じた段階でエッチングして膜を平坦化する操作を繰り返すことにより、オーバーハング部分が繋がってボイドが形成されることを防ぐものであり、制御が難しく工程が煩雑となる。また、エッチングの条件等も十分に開示されていない。
【0012】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、工程が煩雑になることなく、埋め込み部分のボイドやシームを解消することができるタングステン膜の成膜方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、処理容器内において、ホールを有する基板にCVDによりタングステン膜を成膜してホール内にタングステンの埋め込み部を形成する工程と、前記処理容器内にエッチングガスとしてClFガスまたはFガスを供給して前記埋め込み部の上部をエッチングし、開口を形成する工程と、前記開口が形成された埋め込み部を有する基板に対して前記処理容器内において、CVDによりタングステン膜を成膜する工程とを有することを特徴とするタングステン膜の成膜方法を提供する。
【0014】
本発明において、前記エッチング工程における前記ClFガスまたは前記Fガスの分圧を0.2〜2666Paの範囲とすることが好ましい。また、前記エッチング工程における前記処理容器内の圧力を180〜5333Paの範囲とすることが好ましい。
【0015】
また、前記タングステン膜の成膜は250〜450℃の範囲で行い、前記エッチングは250〜350℃の範囲で行うことができる。この場合に、前記タングステン膜の成膜の際の温度と、前記エッチングの際の温度の差が10℃以下である条件とすることができる。
【0016】
前記エッチング工程は、エッチングガスの供給と、処理容器内のパージとを複数回繰り返して行うことができる。また、前記エッチングガスとして用いるClFガスまたはFガスは、処理容器内のクリーニングガスとして供給されるものであることが好ましい。
【0017】
前記エッチングガスを前記処理容器内に供給する供給ラインに、前記処理容器をバイパスして排気ラインに接続されるプリフローラインが接続されており、前記エッチング工程において、前記エッチングガスを前記プリフローラインに流してから前記供給ラインに切り換えて供給することが好ましい。
【0018】
前記埋め込み部を形成する工程は、ClFガスまたはFガスによるエッチングを挟んで2回以上CVDによりタングステン膜を成膜することにより行ってもよい。また、前記開口が形成された埋め込み部を有する基板に対してタングステン膜を成膜する工程と、埋め込み部を形成する工程におけるタングステン膜を成膜する工程とは異なる条件で行ってもよい。
【0019】
タングステン膜の成膜は、タングステン原料ガスとしてWFを用い、還元ガスとしてHガス、SiHガス、およびBのうち少なくとも1種を用いて行うことができる。
【0020】
本発明はまた、コンピュータ上で動作し、成膜装置を制御するためのプログラムが記憶された記憶媒体であって、前記プログラムは、実行時に、上記タングステン膜の成膜方法が行われるように、コンピュータに前記成膜装置を制御させることを特徴とする記憶媒体を提供する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、処理容器内において、ホールを有する基板にCVDによりタングステン膜を成膜してホール内にタングステンの埋め込み部を形成し、その後、処理容器内にエッチングガスとしてClFガスまたはFガスを供給して埋め込み部の上部をエッチングすることにより開口を形成し、再度CVDによりタングステン膜を成膜するので、埋め込み部の内部にタングステン膜を成膜することができ、埋め込み部内部のボイドやシームを煩雑な工程を経ることなく解消することができる。また、ClFやFはエッチング作用が強く、これらガスを供給するのみでプラズマレスで容易にエッチングすることができる。また、このようにエッチング作用の強いClFガスまたはFガスを用いて埋め込み部の上部のみをわずかにエッチングする必要があり制御が難しいが、ClFガスまたはFガスの分圧を0.2〜2666Paの範囲に調整することにより制御性よく最適なエッチングを行うことができる。さらに、成膜を行う処理容器内でエッチングも行うため、スループットが高い。さらにまた、エッチング工程により、埋め込み部を形成した際のタングステン膜の表面を好ましいエッチング量でエッチングして平滑化することができ、それにより、タングステン膜の表面モフォロジを改善して埋め込み性能を改善させることができるとともに、反射率の高いタングステン膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係るタングステン膜の成膜方法を実施するための成膜装置の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る成膜方法のフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態に係る成膜方法を説明するための工程断面図である。
【図4】事前にガスが供給されていないガスラインを介してエッチングガスを供給した場合と、事前にガスラインにエッチングガスを封入しておいてからガスラインを介してエッチングガスを供給した場合とで、ガス流量の経時変化を示す図である。
【図5】事前にエッチングガスが供給されていないガスラインを介してガスを供給した場合と、事前にガスラインにエッチングガスを封入しておいてからガスラインを介してエッチングガスを供給した場合とで、エッチング状態を比較して示す透過型電子顕微鏡写真である。
【図6】従来のCVDのみによりタングステン膜を成膜した場合の埋め込み部を示すSEM写真である。
【図7】本発明の実験例によりタングステン膜の成膜を行った場合の埋め込み部を示すSEM写真およびTEM写真である。
【図8】本発明の他の実験例によりタングステン膜の成膜を行った場合の埋め込み部を示すSEM写真およびTEM写真である。
【図9】タングステン膜の成膜のみを行った場合、およびタングステン膜成膜の後にClFによるエッチングを行った場合における、膜厚と表面粗さ(Rms)との関係を示す図である。
【図10】タングステン膜の成膜のみを行った場合、およびタングステン膜成膜の後にClFによるエッチングを行った場合における、膜厚と反射率との関係を示す図である。
【図11】タングステン膜の成膜のみの場合、およびタングステン膜成膜の後にClFによるエッチングを行った場合の膜の走査型顕微鏡(SEM)写真である。
【図12】タングステン膜の成膜のみの場合、およびタングステン膜成膜の後にClFによるエッチングを行った場合の膜の原子間力顕微鏡(AFM)写真である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について具体的に説明する。
<成膜装置>
図1は本発明に係るタングステン膜の成膜方法を実施するための成膜装置の一例を示す断面図である。
【0024】
図1に示すように、成膜装置100は、例えばアルミニウムやアルミニウム合金等により円筒状或いは箱状に成形された処理容器2を有している。この処理容器2内には、容器底部より起立する支柱4上に、断面L字状の保持部材6を介して被処理基板である半導体ウエハ(以下単にウエハと記す)Sを載置するための載置台8が設けられている。この支柱4および保持部材6は、熱線透過性の材料、例えば石英により構成されており、また、載置台8は、厚さ1mm程度の例えばカーボン素材、アルミニウム化合物等により構成されている。
【0025】
この載置台8の下方には、複数本、例えば3本のリフタピン10(2本のみ図示)が設けられ、各リフタピン10の基端部は、円弧状の支持部材12により支持されている。この支持部材12には容器底部を貫通して設けられた押し上げ棒14が取り付けられており、押し上げ棒14はアクチュエータ18により昇降されるようになっている。そして、アクチュエータ18により押し上げ棒14を上下動させることにより、支持部材12を介してリフタピン10を上下動させ、リフタピン10を載置台8に貫通して設けられたピン孔16に挿通させてウエハSを持ち上げるようになっている。押し上げ棒14の容器底部の下方へ貫通した部分には、処理容器2内の気密状態を保持するために伸縮可能なベローズ20が設けられている。
【0026】
載置台8の周縁部には、ウエハSの周縁部を保持してこれを載置台8側へ固定するためのセラミック製のリング状をなすクランプリング22が設けられており、このクランプリング22は、支持棒24を介してリフタピン10側に連結されており、リフタピン10と一体的に昇降するようになっている。リフタピン10および支持棒24も石英等の熱線透過部材により構成されている。
【0027】
載置台8の直下の容器底部には、石英等の熱線透過材料よりなる透過窓26がOリング等のシール部材28を介して気密に設けられており、その下方には、透過窓26を囲むように箱状の加熱室30が設けられている。この加熱室30内には加熱手段として複数の加熱ランプ32が反射鏡も兼ねる回転台34に取り付けられており、この回転台34は、回転モータ36により回転される。したがって、加熱ランプ32より放出された熱線は、透過窓26を透過して載置台8の下面を照射してこれを加熱し得るようになっている。なお、加熱手段として加熱ランプ32に代えて、載置台8に埋め込んだ抵抗加熱ヒータを用いるようにしてもよい。
【0028】
載置台8の外周側には、多数の整流孔38を有するリング状の整流板40が、上下方向に環状に成形された支持コラム42により支持された状態で設けられている。整流板40の内周側には、クランプリング22の外周部と接触してこの下方にガスが流れないようにするリング状の石英製アタッチメント44が設けられる。
【0029】
整流板40の下方の底部には排気口46が設けられ、この排気口46には、排気管52が接続されている。この排気管52の途中には圧力調整弁48、真空ポンプ50が設けられている。そして、真空ポンプ50により処理容器2内を真空引きして、その中を所定の圧力に維持する。処理容器2の側壁には、処理容器2内に対してウエハSを搬入出するための開口54が設けられ、この開口54はゲートバルブ56により開閉可能となっている。
【0030】
一方、処理容器2の天井部には、その中へ所定のガスを導入するためのガス導入手段であるシャワーヘッド60が設けられている。このシャワーヘッド60は、例えばアルミニウム合金等により円形箱状に成形され、その天井部にはガス導入口61が設けられている。シャワーヘッド60の下面には、ガス導入口61からシャワーヘッド60の内部へ供給されたガスを放出するための多数のガス吐出孔62が均等に形成されており、ウエハSの上方の処理空間に対して均等にガスを放出するようになっている。シャワーヘッド60の内部には、多数のガス分散孔64を有する拡散板65が配設されており、シャワーヘッド60内へ導入されたガスを拡散してウエハ面に、より均等にガスを供給するようになっている。
【0031】
ガス導入口61には、ガス供給部70のガス配管71が接続されている。ガス供給部70は、このガス配管71と、ガス配管71から分岐した複数の分岐配管72a〜72fとを有している。さらに、分岐配管72aに接続されたClF3ガス源73、分岐配管72bに接続されたWF6ガス源74、分岐配管72cに接続されたArガス源75、分岐配管72dに接続されたN2ガス源76、分岐配管72eに接続されたSiH4ガス源77、分岐配管72fに接続されたH2ガス源78を有している。
【0032】
ClF3ガス源73からは、クリーニングおよびエッチングに用いるClFガスが供給される。ClFガスの代わりにFガスを用いることができる。FガスはClFガスとほぼ同様のクリーニング作用およびエッチング作用を及ぼす。また、WF6ガス源74からはタングステン原料であるWF6ガスが供給される。タングステン原料としてはタングステンカルボニル(W(CO))を用いてもよい。その場合にはWFとは異なり、還元剤を用いずに熱分解によりタングステン膜を成膜することができる。Arガス源75、N2ガス源76からはパージガスや希釈ガスとして用いるArガス、Nガスが供給される。パージガスや希釈ガスとしては、他の不活性ガスを用いることもできる。SiH4ガス源77からはタングステン膜の核生成のために用いられるSiHガスが供給される。SiHガスの代わりにBガスを用いることもできる。さらに、Hガス源78からはWFの還元ガスとしてHガスが供給される。還元ガスとしてはHガスの他にSiH、B等を用いることができる。
【0033】
これらガス源が接続された分岐配管にはそれぞれマスフローコントローラのような流量制御器79と、その前後の開閉弁80とが設けられている。なお、図示していないが、載置台8の下方の空間にバックガス(パージガス)としてArガスを供給するバックガスArラインも設けられている。
【0034】
分岐配管72a、72b、72eにはそれぞれプリフローライン81、83、85が接続されている。プリフローライン81、83、85は排気管52に接続されており、流量安定等の観点からClF3ガス、WF6ガス、SiH4ガスを処理容器2内に流す前に、プリフローすることができるようになっている。プリフローライン81、83、85の接続部近傍にはそれぞれ開閉バルブ82、84、86が設けられている。
【0035】
この成膜装置100は、成膜装置100の各構成部、例えばアクチュエータ18,ランプ32の電源、真空ポンプ50、マスフローコントローラ79、バルブ80等を制御するための制御部90を有している。この制御部90は、各構成部の制御を実行するマイクロプロセッサ(コンピュータ)からなるコントローラ91と、オペレータが成膜装置100を管理するためにコマンドの入力操作等を行うキーボードや、成膜装置100の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等からなるユーザーインターフェース92と、成膜装置100で実行される処理をコントローラ91の制御にて実現するための制御プログラムや、各種データ、および処理条件に応じて処理装置の各構成部に処理を実行させるためのプログラムすなわち処理レシピが格納された記憶部93とを備えている。なお、ユーザーインターフェース92および記憶部93はコントローラ91に接続されている。
【0036】
上記処理レシピは記憶部93の中の記憶媒体に記憶されている。記憶媒体は、ハードディスクであってもよいし、CDROM、DVD、フラッシュメモリ等の可搬性のものであってもよい。また、他の装置から、例えば専用回線を介してレシピを適宜伝送させるようにしてもよい。
【0037】
そして、必要に応じて、ユーザーインターフェース92からの指示等にて任意のレシピを記憶部93から呼び出してコントローラ91に実行させることで、コントローラ91の制御下で、成膜装置100での以下に示すような処理が行われる。
【0038】
<成膜方法>
次に、以上のように構成された成膜装置100を用いて行われる成膜方法の実施形態について説明する。図2は本発明の一実施形態に係る成膜方法のフローチャート、図3はその際の工程断面図である。
【0039】
まず、最初に、半導体基板または下層の導電層である下地201の上に層間絶縁層202が形成され、層間絶縁層202にホール(コンタクトホールまたはビアホール)203が形成されたウエハSに対してCVDによりタングステン膜を成膜し、ホール203を埋めるタングステン埋め込み部204を形成する(ステップ1、図3(a)参照)。この際のタングステン膜の成膜は、基本的にタングステン原料であるWFと還元ガスであるHを供給して、例えば温度:250〜500℃、圧力:500〜66666Paの範囲で常法に従って行えばよい。
【0040】
ステップ1のタングステン膜の成膜が終了した時点では、ホール203のボーイング等の影響により埋め込み部204の内部にボイド(シーム)205が形成された状態で上部が塞がってしまう(図3(a)参照)。このため、本実施形態ではステップ1の成膜後、ClFガス(またはFガス)によりエッチングを行って埋め込み部204の上部に開口206を形成する(ステップ2、図3(b))。
【0041】
この際のエッチングは、次のタングステン膜の成膜でボイド(シーム)205を埋めることができる程度に開口206が形成されればよく、その場合には、タングステン膜の形状エッチング量は、例えばわずか1〜20nmでよいため制御性が高いことが要求される。しかし、ClFガスはクリーニングガスとして用いられるものであり、そのエッチング作用は極めて大きく、クリーニングと同様の条件でエッチングを行うとエッチング作用が強すぎて制御性が悪くなることが判明した。そして、制御性よくエッチングを行うためには、ClF分圧を0.2〜2666Paの範囲にすることが好ましいことが見出された。より好ましくは0.3〜8.0Paである。ClFガスの代わりにFガスを用いた場合でも同様な範囲が好ましいことが見出された。また、処理容器2内の圧力も制御性よくエッチングするために重要であり、10666Pa以下でエッチングが可能である。埋め込み部204の肩口をエッチングして開口206を有効に形成するためには5333Pa以下が好ましい。また、圧力が180Paになると埋め込み部204の全体がコンフォーマルにエッチングされるため、圧力は180Pa以上であり、500Pa以上が好ましい。したがって、180〜10666Pa、好ましくは180〜5333Pa、さらには500〜5333Paの間で、埋め込み部204の肩口に次のタングステン成膜が形成可能な開口206が形成されるように圧力をコントロールすればよい。圧力の一層好ましい範囲は2666〜4000Paである。また、制御性のよいエッチングを実現するためには、ClFガスの流量も重要であり、10〜1000sccm(mL/min)でエッチングが可能である。好ましくは15〜60sccm(mL/min)である。さらに、エッチングの制御性を良好にするためには温度も重要であり、250〜500℃が好ましく、300〜350℃がより好ましい。
【0042】
このエッチング工程は、ClFガスの供給を1回で行ってもよいが、エッチングをより制御性よく行う観点から、昇圧→ClFフロー→減圧パージを複数サイクル繰り返してもよい。
【0043】
このようにして開口206を形成した後、処理容器2内のパージを経てタングステン成膜を行う(ステップ3、図3(c))。これにより、埋め込み部204に形成されたボイド(シーム)205内にタングステンを埋め込むことができ、煩雑な工程を経ることなく埋め込み部204のボイドやシームを解消することができる。
【0044】
ステップ1の成膜の際の成膜条件とステップ3の成膜の際の成膜条件は、同じであっても異なっていてもよい。生産性の観点から、ステップ3の成膜の際の温度を高めてもよい。
【0045】
また、ステップ1の埋め込み部204の形成は、タングステン膜の成膜を1回行うだけでもよいが、1回のタングステン膜の成膜だけでは、埋め込み部204の形状が悪い場合もある。埋め込み部204の形状が悪いと、その後、ステップ2のエッチングおよびステップ3の成膜を行ってもボイド(シーム)205を完全に埋め込めなくなるおそれがある。その場合には、ステップ1の埋め込み部204の形成を、ClFガス(またはFガス)によるエッチングを挟んで2回以上タングステン膜を成膜することにより行うことが好ましい。例えば、ステップ1の埋め込み部204の形成を、タングステン膜の成膜→ClFガス(またはFガス)エッチング→タングステン膜の成膜(成膜2回)、またはタングステン膜の成膜→ClFガス(またはFガス)エッチング→タングステン膜の成膜→ClFガス(またはFガス)エッチング→タングステン膜の成膜(成膜3回)により行い、その後ステップ2およびステップ3を行うことが好ましい。これにより、タングステン膜の表面が平滑化されるとともに、埋め込み部204が整った形状となり、その後のステップ2およびステップ3により、ボイドやシームをより確実に解消することができる。この際のエッチングは、ステップ2のエッチングと同様の条件で行うことができる。
【0046】
上記ステップ2のエッチング工程の条件を以下にまとめて示す。
温度:250〜500℃
圧力:180〜10666Pa
ClF分圧:0.2〜2666Pa
時間:0.5〜20sec
ClF流量:10〜1000sccm(mL/min)
Ar流量:0〜14000sccm(mL/min)
流量:0〜10000sccm(mL/min)
以上の条件でのサイクルを1回行うか、または2回以上繰り返す。
【0047】
ところで、通常、事前にガスが供給されていないガスラインを介してガスを供給すると、図4のAに示すように、狙い流量に安定する前に、狙い流量の約10倍のガスが一瞬流れるハンチング現象が生じる。したがって、エッチングガスを流していないステップ1の後、ステップ2で初めてエッチングガスを流すと、このようなハンチングが生じる。上述したようにエッチングガスとして用いるClFガス、Fガスはエッチング作用が極めて大きいため、このような瞬間的であっても多量に流れると、図5の(a)の透過型電子顕微鏡(TEM)写真に示すように、タングステン膜の下地のTiN膜まで削れてしまう現象が確認される。
【0048】
このようなハンチングは、ガスを供給する前にガスラインにガスを封入しておくことにより防止することができる(図4のB)。事前にガスラインにエッチングガスを封入しておいてからエッチングガスを供給した場合には、図5の(b)に示すように、下地のTiN膜への浸食は見られない。したがって、本実施形態では、WFガス、SiHガスを流す分岐配管72b、72eにプリフローライン83、85を設ける他、通常プリフローラインを設けないClFガスを流す分岐配管72aにもプリフローライン81を設け、プリフローライン81を介してプリフローを行ってClFガス供給ラインである分岐配管72aにClFガスを封入した後に、エッチングガスを分岐配管72aおよびガス配管71を介して処理容器2内に供給することにより、このような下地のエッチングを防止する。
【0049】
ClFガスを通常のクリーニングガスとして使用する場合には、ハンチングが生じても問題はないため、ClFガス用のプリフローラインは設けられていなかったが、本実施形態ではわずかな量のタングステン膜を高精度でエッチングする必要があるため、このようにプリフローラインを設けることが好ましい。
【0050】
上記ステップ1、3のタングステン膜の成膜は、上述したように常法に従って行えばよいが、最初にWFガスとSiHガス(またはBガス)とを交互供給してALD(Atomic Layered Deposition)により核生成(Nucleation)を行い、次いで、WFガスとHガスを用いて、メイン成膜の圧力に向けて圧力を徐々に上昇させてタングステン膜を成膜するランプアップ成膜を行い、圧力が所定値に達した時点でWFガスとHガスを用いたメイン成膜を行う手法を採用することが好ましい。
【0051】
タングステン膜成膜の好ましい条件は以下の通りである。
(a)核生成(ALD)
温度:250〜500℃
圧力:500〜10666Pa
1回あたりの時間:6〜15sec
繰り返し回数:3回
WF流量:50〜750sccm(mL/min)
SiH流量:40〜800sccm(mL/min)
(Bの場合、500〜10000sccm(mL/min))
流量:0〜12000sccm(mL/min)
Ar流量:0〜14000sccm(mL/min)
流量:0〜10000sccm(mL/min)
(b)ランプアップ成膜およびメイン成膜
温度:250〜500℃
圧力:500〜66666Pa
WF流量:50〜750sccm(mL/min)
SiH流量:0〜800sccm(mL/min)
流量:0〜12000sccm(mL/min)
Ar流量:0〜14000sccm(mL/min)
流量:0〜10000sccm(mL/min)
【0052】
なお、タングステン膜成膜(ステップ1およびステップ3)の際のより好ましい温度は250〜450℃であり、エッチングの際のより好ましい温度は250〜350℃であるから、それぞれの工程をこれらの温度範囲で行うことが好ましい。例えばタングステン膜成膜の際の温度を410℃、エッチングの際の温度を例えば250℃とすることにより、良好な埋め込み部204を形成することができる。ただし、この場合には両者の温度が100℃以上異なるため、温度の変更に時間を要し、スループットの面で不利である。このため、スループットをさらに向上させる観点から、温度範囲がより好ましい範囲から外れることがあるものの、両者をほぼ同じ温度(両者の温度差が10℃以下)、例えば、タングステン膜成膜を345℃、エッチングを340℃とすることが好ましい。
【0053】
以上のような工程を所定回数行った後、処理容器2内をClFガスによりクリーニングする。この際の条件としては、温度:室温〜340℃、圧力:1333〜2666Pa、ClF流量:300〜500sccm(mL/min)が例示される。
【0054】
本実施形態の方法によれば、コンタクトホールおよびビアホールのようなホールにタングステンを埋め込んで埋め込み部を形成し、埋め込み部の上部をClFガスまたはFガスによりエッチングして開口を形成した後、再びタングステン膜を形成するので、埋め込み部の内部にタングステン膜を成膜することができ、埋め込み部内部のボイドやシームを煩雑な工程を経ることなく解消することができる。また、ClFやFはエッチング作用が強く、これらガスを供給するのみでプラズマレスで容易にエッチングすることができる。また、このようにエッチング作用の強いClFガスまたはFガスを用いて埋め込み部の上部のみをわずかにエッチングする必要があり制御が難しいが、ClFガスまたはFガスの分圧を0.2〜2666Paの範囲に調整することにより制御性よく最適なエッチングを行うことができる。さらに、成膜を行う処理容器内でエッチングも行うため、スループットが高い。さらにまた、ClFやFはもともとクリーニングガスとして処理容器内に供給されるようになっているものであり、新たにエッチングのための設備を設ける必要がない。さらにまた、ステップ2のエッチングにより、ステップ1で形成したタングステン膜の表面を好ましいエッチング量でエッチングして平滑化することができ、それにより、タングステン膜の表面モフォロジを改善して埋め込み性能を改善させることができるとともに、反射率の高いタングステン膜を形成することができる。
【0055】
<実験結果>
次に、実験結果について説明する。
ここでは、以下の条件1、2により、ステップ1、ステップ2、およびステップ3を順次行ってタングステン膜を得た。条件1については、ステップ1においてエッチングを挟んで成膜を2回繰り返し、その後ステップ2およびステップ3を行った膜も形成した。このときのエッチングは以下に示すステップ2と同様の条件とした。また、従来と同様、CVDのみのタングステン膜も準備した。このときの成膜条件は以下に示す条件1のステップ1と同じ条件とした。
【0056】
[条件1]
(1)タングステン膜成膜(ステップ1、3ともに同じ条件)
(a)核生成(ALD)
温度:410℃
圧力:1000Pa
1サイクル(WF→パージ→SiH→パージ)あたりの時間:6sec
サイクル数:3回
WF流量:400sccm(mL/min)
SiH流量:400sccm(mL/min)
流量:0(mL/min)
Ar流量:6000sccm(mL/min)
流量:2000sccm(mL/min)
(b)ランプアップ成膜
温度:410℃
圧力:1000→10666Pa
時間:13sec
WF流量:450sccm(mL/min)
SiH流量:0sccm(mL/min)
流量:0→3900sccm(mL/min)
Ar流量:4000sccm(mL/min)
流量:2000sccm(mL/min)
(c)メイン成膜
温度:410℃
圧力:10666Pa
WF流量:450sccm(mL/min)
SiH流量:0sccm(mL/min)
流量:3900sccm(mL/min)
Ar流量:2000sccm(mL/min)
流量:200sccm(mL/min)
(2)エッチング(ステップ2)
温度:250℃
圧力:5333Pa
時間:3sec×10回
ClF流量:30sccm(mL/min)
Ar流量:6000sccm(mL/min)
流量:2000sccm(mL/min)
【0057】
[条件2]
(1)タングステン膜成膜(ステップ1)
(a)核生成(ALD)
温度:345℃
圧力:2666Pa
1サイクル(WF→パージ→SiH→パージ)あたりの時間:9sec
サイクル数:3回
WF流量:160sccm(mL/min)
SiH流量:200sccm(mL/min)
流量:0(mL/min)
Ar流量:6000sccm(mL/min)
流量:2700sccm(mL/min)
(b)ランプアップ成膜
温度:345℃
圧力:2666→26666Pa
時間:13sec
WF流量:600sccm(mL/min)
SiH流量:0sccm(mL/min)
流量:0→10000sccm(mL/min)
Ar流量:12000→2000sccm(mL/min)
流量:500sccm(mL/min)
(c)メイン成膜
温度:345℃
圧力:26666Pa
WF流量:600sccm(mL/min)
SiH流量:0sccm(mL/min)
流量:10000sccm(mL/min)
Ar流量:2000sccm(mL/min)
流量:500sccm(mL/min)
(2)エッチング(ステップ2)
温度:340℃
圧力:500〜5333Pa
1回あたりの時間:3〜30sec(1回または複数サイクル)
ClF流量:30〜90sccm(mL/min)
Ar流量:6000sccm(mL/min)
流量:2000sccm(mL/min)
(3)最終のタングステン成膜(ステップ3)
(a)核生成(ALD)
温度:345℃
圧力:2666Pa
1サイクル(WF→パージ→SiH→パージ)あたりの時間:7.5sec
サイクル数:2回
WF流量:160ccm(mL/min)
SiH流量:200sccm(mL/min)
流量:0(mL/min)
Ar流量:6000sccm(mL/min)
流量:2000sccm(mL/min)
(b)ランプアップ成膜
温度:345→385℃
圧力:2666→26666Pa
時間:13sec
WF流量:600sccm(mL/min)
SiH流量:0sccm(mL/min)
流量:0→10000sccm(mL/min)
Ar流量:12000→2000sccm(mL/min)
流量:500sccm(mL/min)
(c)メイン成膜
温度:385℃
圧力:26666Pa
WF流量:600sccm(mL/min)
SiH流量:0sccm(mL/min)
流量:10000sccm(mL/min)
Ar流量:2000sccm(mL/min)
流量:500sccm(mL/min)
【0058】
従来のようにタングステン膜を通常のCVDを用いて成膜を行った場合の埋め込み部の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図6に示し、条件1を用いてタングステン膜の成膜を行った場合の埋め込み部のSEM写真および透過型電子顕微鏡(TEM)写真を図7に示し、条件2を用いてタングステン膜の成膜を行った場合の埋め込み部のSEM写真およびTEM写真を図8に示す。なお、図6〜8にはCMPにより研磨するライン(表面から180nm)を示している。
【0059】
図6に示すように、従来のCVD成膜しただけの場合には、ステップカバレッジ100%は得られるものの、ホールのボーイングにそって大きなボイドが形成されており、CMPを行った場合にボイドが露出してしまう。これに対して、図7に示すように、条件1では、ステップカバレッジ120%でタングステンを埋め込むことができ、埋め込み部のボイド等は大部分が解消されており、CMPを行ってもボイドが露出しないことがわかる。特に、ステップ1においてエッチングを挟んで成膜を2回繰り返したものは埋め込み部のボイドが完全に消失していることが確認された。また、図8に示すように、条件2でも埋め込み部のボイド等は大部分が解消されており、生産性を考慮した条件2でも条件1と同様の埋め込み性能が得られた。以上の実験結果から本発明の効果が確認された。
【0060】
次に、上記条件1と同様の条件で、種々の膜厚でステップ1のタングステン膜を成膜した後、ステップ2のClFによるエッチングを行った際のタングステン膜の表面粗さ(モフォロジ)および反射率を測定した結果および表面観察結果について説明する。
【0061】
図9は、タングステン膜の成膜のみを行った場合、およびタングステン膜成膜の後にClFによるエッチングを行った場合における、膜厚と表面粗さ(Rms)との関係を示す図である。また、図10は、タングステン膜の成膜のみを行った場合、およびタングステン膜成膜の後にClFによるエッチングを行った場合における、膜厚と反射率との関係を示す図である。これらの図に示すように、ClFによるエッチングを行ったものは、タングステン膜の成膜のみの場合よりも、表面粗さが2%改善され、反射率が4〜7%改善されることが確認された。
【0062】
図11は、タングステン膜の成膜のみの場合、およびタングステン膜成膜の後にClFによるエッチングを行った場合の膜の走査型顕微鏡(SEM)写真である。また、図12は、タングステン膜の成膜のみの場合、およびタングステン膜成膜の後にClFによるエッチングを行った場合の膜の原子間力顕微鏡(AFM)写真である。図11のSEM写真に示すように、(a)のタングステン膜の成膜のみの場合(膜厚75nm)よりも、(b)のエッチングを行った場合(膜厚80nm)のほうが表面がなだらかになっていることがわかる。また、図12のAFM写真に示すように、(a)のタングステン膜の成膜のみの場合(膜厚75nm)よりも、(b)のエッチングを行った場合(膜厚80nm)のほうが結晶粒が大きく、凹凸も少ないことが確認された。
【0063】
以上の結果から、ClFによるエッチングを行うことにより、凸部が削られて、先端部より広い断面が表面に出現し、その結果反射率が高くなりモフォロジが改善したものと考えられる。
【0064】
<他の適用>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々変形可能である。例えば、成膜の際の原料は上記のものに限らずタングステン膜を形成することができるものであればよく、例えばタングステンカルボニル(W(CO))を用いて、熱分解してタングステンを成膜してもよい。また、成膜装置としてWFガスとHガスを使用してタングステン膜を形成するものを記載したが、これに限らず、用いるガスによって最適な装置を選択すればよい。さらに、上記実施形態では、被処理基板として半導体ウエハを例にとって説明したが、半導体ウエハはシリコンであっても、GaAs、SiC、GaNなどの化合物半導体でもよく、さらに、半導体ウエハに限定されず、液晶表示装置等のFPD(フラットパネルディスプレイ)に用いるガラス基板や、セラミック基板等にも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0065】
2;処理容器
8;載置台
30;加熱室
32;加熱ランプ
50;真空ポンプ
52;排気管
60;シャワーヘッド
70;ガス供給部
90;制御部
91;コントローラ
92;ユーザーインターフェース
93;記憶部(記憶媒体)
100;成膜装置
201;下地
202;層間絶縁膜
203;ホール
204;埋め込み部
205;ボイド(シーム)
206;開口
W;半導体ウエハ(被処理基板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理容器内において、ホールを有する基板にCVDによりタングステン膜を成膜してホール内にタングステンの埋め込み部を形成する工程と、
前記処理容器内にエッチングガスとしてClFガスまたはFガスを供給して前記埋め込み部の上部をエッチングし、開口を形成する工程と、
前記開口が形成された埋め込み部を有する基板に対して前記処理容器内において、CVDによりタングステン膜を成膜する工程と
を有することを特徴とするタングステン膜の成膜方法。
【請求項2】
前記エッチング工程における前記ClFガスまたは前記Fガスの分圧を0.2〜2666Paの範囲とすることを特徴とする請求項1に記載のタングステン膜の成膜方法。
【請求項3】
前記エッチング工程における前記処理容器内の圧力を180〜5333Paの範囲とすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のタングステン膜の成膜方法。
【請求項4】
前記タングステン膜の成膜は250〜450℃の範囲で行い、前記エッチングは250〜350℃の範囲で行うことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のタングステン膜の成膜方法。
【請求項5】
前記タングステン膜の成膜の際の温度と、前記エッチングの際の温度の差が10℃以下であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のタングステン膜の成膜方法。
【請求項6】
前記エッチング工程は、エッチングガスの供給と、処理容器内のパージとを複数回繰り返して行うことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のタングステン膜の成膜方法。
【請求項7】
前記エッチングガスとして用いるClFガスまたはFガスは、処理容器内のクリーニングガスとして供給されるものであることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のタングステン膜の成膜方法。
【請求項8】
前記エッチングガスを前記処理容器内に供給する供給ラインに、前記処理容器をバイパスして排気ラインに接続されるプリフローラインが接続されており、前記エッチング工程において、前記エッチングガスを前記プリフローラインに流してから前記供給ラインに切り換えて供給することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のタングステン膜の成膜方法。
【請求項9】
前記埋め込み部を形成する工程は、ClFガスまたはFガスによるエッチングを挟んで2回以上CVDによりタングステン膜を成膜することにより行うことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のタングステン膜の成膜方法。
【請求項10】
前記開口が形成された埋め込み部を有する基板に対してタングステン膜を成膜する工程と、埋め込み部を形成する工程におけるタングステン膜を成膜する工程とは異なる条件で行うことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のタングステン膜の成膜方法。
【請求項11】
タングステン膜の成膜は、タングステン原料ガスとしてWFを用い、還元ガスとしてHガス、SiHガス、およびBのうち少なくとも1種を用いて行うことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のタングステン膜の成膜方法。
【請求項12】
コンピュータ上で動作し、成膜装置を制御するためのプログラムが記憶された記憶媒体であって、前記プログラムは、実行時に、請求項1から請求項11のいずれかのタングステン膜の成膜方法が行われるように、コンピュータに前記成膜装置を制御させることを特徴とする記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図9】
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【図10】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−32575(P2013−32575A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−9452(P2012−9452)
【出願日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】