説明

ハイブリッド車両のエンジン制御装置

【課題】 エンジン停止から再始動までの経過時間にかかわらず、エンジン始動時の燃料噴射量を安定させてエンジン始動の安定性および排気性能の向上を図ることができるハイブリッド車両のエンジン制御装置を提供する。
【解決手段】 統合コントローラ10は、エンジンEおよびモータジェネレータMGの発生するトルクで走行するエンジン使用走行モードからエンジンEを停止してモータジェネレータMGの発生するトルクのみで走行する電気自動車走行モードへ移行した場合、エンジンEのスロットルバルブを全開状態とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンとモータジェネレータとを備えたハイブリッド車両のエンジン制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のハイブリッド車両では、エンジンおよびモータジェネレータを共に駆動して走行するエンジン使用走行モードから、モータジェネレータのみを駆動して走行する電気自動車走行モードへ移行する際、エンジンへの燃料噴射を停止すると同時に、エンジン再始動に備えスロットルをエンジン始動位置であるアイドル回転を維持可能な程度の開度まで閉じている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2001−295680号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のハイブリッド車両では、エンジン再始動時の燃料噴射量は、エンジン再始動がエンジン停止から一定時間後に行われることを考慮し、インテークマニホールド内の圧力が大気圧となっている状態で最適な噴射量となるように適合を行っている。したがって、エンジン停止から再始動までの時間が短く、インテークマニホールド内の圧力が不定の場合は、エンジンに吸入される空気量があらかじめ設定された適合結果と異なる状態でエンジン始動が行われるため、適切な燃料噴射量とならず、エンジン始動の安定性低下、排気性能の悪化を招くという問題があった。
【0004】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、エンジン停止から再始動までの経過時間にかかわらず、エンジン始動時の燃料噴射量を安定させてエンジン始動の安定性および排気性能の向上を図ることができるハイブリッド車両のエンジン制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するため、本発明では、エンジンと、モータジェネレータと、エンジンおよびモータジェネレータ相互間の動力伝達を断接する第1クラッチと、モータジェネレータと車輪との動力伝達を断接する第2クラッチと、を有するハイブリッド車両のエンジン制御装置において、
前記エンジンおよびモータジェネレータの発生するトルクで走行するエンジン使用走行モードからエンジンを停止してモータジェネレータの発生するトルクのみで走行する電気自動車走行モードへ移行した場合、エンジンのスロットルバルブを開状態とするエンジン停止時スロットル開度制御手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
よって、本発明では、エンジン使用走行モードから電気自動車走行モードへと移行した場合、エンジンのスロットルバルブを開状態とすることで、エンジン回転停止直後のインテークマニホールド内の圧力が安定するため、エンジン停止から再始動までの経過時間が短い場合であっても、クランキング開始からエンジンが吸入する空気量を安定させることができる。
この結果、エンジン停止から再始動までの経過時間にかかわらず、エンジン始動時の燃料噴射量を安定させてエンジン始動の安定性および排気性能の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例1,2に基づいて説明する。
【実施例1】
【0008】
まず、ハイブリッド車両の駆動系構成を説明する。図1は実施例1の後輪駆動によるハイブリッド車両を示す全体システム図である。実施例1におけるハイブリッド車の駆動系は、図1に示すように、エンジンEと、フライホイールFWと、第1クラッチCL1と、モータジェネレータMGと、第2クラッチCL2と、自動変速機ATと、プロペラシャフトPSと、ディファレンシャルDFと、左ドライブシャフトDSLと、右ドライブシャフトDSRと、左後輪RL(駆動輪)と、右後輪RR(駆動輪)と、を有する。なお、FLは左前輪、FRは右前輪である。
【0009】
エンジンEは、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンであり、後述するエンジンコントローラ(エンジン停止時スロットル開度制御手段)1からの制御指令に基づいて、スロットルバルブのバルブ開度や燃料噴射量等が制御される。なお、エンジン出力軸にはフライホイールFWが設けられている。
【0010】
第1クラッチCL1は、エンジンEとモータジェネレータMGとの間に介装されたクラッチであり、後述する第1クラッチコントローラ5からの制御指令に基づいて、第1クラッチ油圧ユニット6により作り出された制御油圧により、スリップ締結を含み締結・解放が制御される。
【0011】
モータジェネレータMGは、ロータに永久磁石を埋設しステータにステータコイルが巻き付けられた同期型モータジェネレータであり、後述するモータコントローラ2からの制御指令に基づいて、インバータ3により作り出された三相交流を印加することにより制御される。このモータジェネレータMGは、バッテリ4からの電力の供給を受けて回転駆動する電動機として動作することもできるし(以下、この状態を「力行」と呼ぶ)、ロータが外力により回転している場合には、ステータコイルの両端に起電力を生じさせる発電機として機能してバッテリ4を充電することもできる(以下、この動作状態を「回生」と呼ぶ)。なお、このモータジェネレータMGのロータは、図外のダンパーを介して自動変速機ATの入力軸に連結されている。
【0012】
第2クラッチCL2は、モータジェネレータMGと左右後輪RL,RRとの間に介装されたクラッチであり、後述するATコントローラ7からの制御指令に基づいて、第2クラッチ油圧ユニット8により作り出された制御油圧により、スリップ締結とスリップ解放を含み締結・解放が制御される。
【0013】
自動変速機ATは、前進5速後退1速等の有段階の変速比を車速やアクセル開度等に応じて自動的に切り換える変速機であり、第2クラッチCL2は、専用クラッチとして新たに追加したものではなく、自動変速機ATの各変速段にて締結される複数の摩擦締結要素のうち、いくつかの摩擦締結要素を流用している。なお、詳細については後述する。
【0014】
そして、自動変速機ATの出力軸は、プロペラシャフトPS、ディファレンシャルDF、左ドライブシャフトDSL、右ドライブシャフトDSRを介して左右後輪RL,RRに連結されている。なお、前記第1クラッチCL1と第2クラッチCL2には、例えば、比例ソレノイドで油流量および油圧を連続的に制御できる湿式多板クラッチを用いている。
【0015】
このハイブリッド駆動系には、第1クラッチCL1の締結・解放状態に応じて3つの走行モードを有する。第1走行モードは、第1クラッチCL1の解放状態で、モータジェネレータMGの動力のみを動力源として走行するモータ使用走行モードとしての電気自動車走行モード(以下、「EV走行モード」と略称する。)である。第2走行モードは、第1クラッチCL1の締結状態で、エンジンEを動力源に含みながら走行するエンジン使用走行モード(以下、「HEV走行モード」と略称する。)である。
【0016】
第3走行モードは、第1クラッチCL1は締結状態で第2クラッチCL2をスリップ制御させ、エンジンEを動力源に含みながら走行するエンジン使用スリップ走行モード(以下、「WSC(Wet Start Clutch)走行モード」と略称する。)である。このモードは、特にバッテリSOCが低いときやエンジン水温が低いときに、クリープ走行を達成する。さらに、エンジン停止状態からの発進時にエンジン始動しつつ駆動力を出力可能なモードである。
【0017】
上記「HEV走行モード」には、「エンジン走行モード」と「モータアシスト走行モード」と「走行発電モード」との3つの走行モードを有する。
「エンジン走行モード」は、エンジンEのみを動力源として駆動輪を動かす。「モータアシスト走行モード」は、エンジンEとモータジェネレータMGの2つを動力源として駆動輪を動かす。「走行発電モード」は、エンジンEを動力源として駆動輪RR,RLを動かすと同時に、モータジェネレータMGを発電機として機能させる。
【0018】
定速運転時や加速運転時には、エンジンEの動力を利用してモータジェネレータMGを発電機として動作させる。また、減速運転時は、制動エネルギを回生してモータジェネレータMGにより発電し、バッテリ4の充電のために使用する。
また、さらなるモードとして、車両停止時には、エンジンEの動力を利用してモータジェネレータMGを発電機として動作させる発電モードを有する。
【0019】
次に、ハイブリッド車両の制御系を説明する。実施例1におけるハイブリッド車両の制御系は、図1に示すように、エンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、インバータ3と、バッテリ4と、第1クラッチコントローラ5と、第1クラッチ油圧ユニット6と、ATコントローラ7と、第2クラッチ油圧ユニット8と、ブレーキコントローラ9と、統合コントローラ10と、を有して構成されている。なお、エンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、第1クラッチコントローラ5と、ATコントローラ7と、ブレーキコントローラ9と、統合コントローラ10とは、情報交換が可能なCAN通信線11を介して接続されている。
【0020】
エンジンコントローラ1は、エンジン水温センサ1aからのエンジン水温、エアフローメータ1cからの吸入空気量、スロットル開度センサ1dからのスロットル開度、エンジン回転数センサ12からのエンジン回転数情報を入力し、統合コントローラ10からの目標エンジントルク指令等に応じ、エンジン動作点(エンジン回転数Ne,エンジントルクTe)を制御する指令を、スロットルバルブアクチュエータTVAへ出力する。スロットルバルブアクチュエータTVAは、エンジンコントローラ1からの指令に応じて図外のスロットルバルブの開度を可変する。
また、エンジンコントローラ1内には、エンジンEの燃料噴射量やスロットル開度等に基づいてエンジントルクTengを推定するエンジントルク推定部1bが設けられている。エンジン回転数Neや推定されたエンジントルクTengの情報は、CAN通信線11を介して統合コントローラ10へ供給される。
【0021】
モータコントローラ2は、モータジェネレータMGのロータ回転位置を検出するレゾルバ13からの情報を入力し、統合コントローラ10からの目標モータジェネレータトルク指令等に応じ、モータジェネレータMGのモータ動作点(モータ回転数Nm,モータトルクTm)を制御する指令をインバータ3へ出力する。なお、このモータコントローラ2では、バッテリ4の充電状態を表すバッテリSOCを監視していて、バッテリSOC情報は、モータジェネレータMGの制御情報に用いると共に、CAN通信線11を介して統合コントローラ10へ供給する。
【0022】
また、モータジェネレータMGに流れる電流値(電流値の正負によって駆動トルクと回生制動トルクを区別している)に基づいて、モータジェネレータトルクTmgを推定するモータジェネレータトルク推定部2bが設けられている。この推定されたモータジェネレータトルクTmgの情報は、CAN通信線11を介して統合コントローラ10へ供給される。
【0023】
第1クラッチコントローラ5は、第1クラッチ油圧センサ14と第1クラッチストロークセンサ15からのセンサ情報を入力し、統合コントローラ10からの第1クラッチ制御指令に応じ、第1クラッチCL1の締結・解放を制御する指令を第1クラッチ油圧ユニット6に出力する。なお、第1クラッチストロークC1Sの情報は、CAN通信線11を介して統合コントローラ10へ供給する。
【0024】
ATコントローラ7は、アクセル開度センサ16と車速センサ17と第2クラッチ油圧センサ18とからのセンサ情報を入力し、統合コントローラ10からの第2クラッチ制御指令に応じ、第2クラッチCL2の締結・解放を制御する指令をAT油圧コントロールバルブ内の第2クラッチ油圧ユニット8に出力する。なお、アクセルペダル開度APOと車速VSPの情報は、CAN通信線11を介して統合コントローラ10へ供給する。
【0025】
ブレーキコントローラ9は、4輪の各車輪速を検出する車輪速センサ19とブレーキストロークセンサ20からのセンサ情報を入力し、例えば、ブレーキ踏み込み制動時、ブレーキストロークBSから求められる要求制動力に対し回生制動力だけでは不足する場合、その不足分を摩擦制動力で補うように、統合コントローラ10からの回生協調制御指令に基づいて回生協調ブレーキ制御を行う。
【0026】
統合コントローラ10は、車両全体の消費エネルギを管理し、最高効率で車両を走らせるための機能を担うもので、モータ回転数Nm(=ωmg)を検出するモータ回転数センサ21と、第2クラッチ出力回転数N2outを検出する第2クラッチ出力回転数センサ22と、第2クラッチトルクTCL2を検出する第2クラッチトルクセンサ23と、ブレーキ油圧センサ24と、第1クラッチCL1の温度を検知する温度センサ10aと、第2クラッチCL2の温度を検知する温度センサ10bと、からの情報およびCAN通信線11を介して得られた情報を入力する。モータ回転数センサ21は、自動変速機ATの入力軸回転数センサと等価である。また、第2クラッチ出力回転数センサ22は、自動変速機ATの出力軸回転数を検出し、各締結要素の関係に基づいて、第2クラッチCL2の出力回転数を算出するセンサであるため、自動変速機ATの出力軸回転数センサと等価である。
【0027】
また、統合コントローラ10は、エンジンコントローラ1への制御指令によるエンジンEの動作制御と、モータコントローラ2への制御指令によるモータジェネレータMGの動作制御と、第1クラッチコントローラ5への制御指令による第1クラッチCL1の締結・解放制御と、ATコントローラ7への制御指令による第2クラッチCL2の締結・解放制御と、を行う。
【0028】
以下に、図2に示すブロック図を用いて、実施例1の統合コントローラ10にて演算される制御を説明する。例えば、この演算は、制御周期10msec毎に統合コントローラ10で演算される。統合コントローラ10は、目標駆動力演算部100と、モード選択部200と、目標充放電演算部300と、動作点指令部400と、変速制御部500と、を有する。
【0029】
目標駆動力演算部100では、あらかじめ設定された目標駆動力マップを用いて、アクセルペダル開度APOと車速VSPとから、目標駆動力tFoOを演算する。
【0030】
モード選択部200では、あらかじめ設定されたEV-HEV選択マップを用いて、アクセルペダル開度APOと車速VSPとから、目標モードを演算する。ただし、バッテリSOCが所定値以下であれば、強制的に「HEV走行モード」を目標モードとする。また、EV-HEV選択マップには、低車速領域においてアクセルペダル開度APOが大きいときに、大きな駆動力を出力するために、WSCモードが設定されている。HEV→WSC切換線もしくはEV→WSC切換線は、自動変速機ATが1速段のときに、エンジンEのアイドル回転数よりも小さな回転数となる車速VSP1よりも低い領域に設定されている。
【0031】
目標充放電演算部300では、あらかじめ設定された目標充放電量マップを用いて、バッテリSOCから目標充放電電力tPを演算する。
【0032】
動作点指令部400では、アクセルペダル開度APOと、目標駆動力tFoOと、目標モードと、車速VSPと、目標充放電電力tPとから、これらの動作点到達目標として、過渡的な目標エンジントルクと目標モータジェネレータトルクと目標第2クラッチ締結トルクと目標自動変速シフトと第1クラッチソレノイド電流指令を演算する。
【0033】
動作点指令部400は、エンジン停止時スロットル開度制御部(エンジン停止時スロットル開度制御手段)400aを備えている。このエンジン停止時スロットル開度制御部400aは、HEV走行モードからEV走行モードへ移行した場合のスロットル開度を、エアフローメータ1cからの吸入空気量情報とエンジン回転数センサ12からのエンジン回転数情報とに基づいて制御する指令をエンジンコントローラ1へ出力する。
【0034】
また、エンジン停止時スロットル開度制御部400aは、EV走行モードからHEV走行モードへ移行する際のエンジン始動時、吸入空気量情報、エンジン回転数情報およびエンジントルク推定部1bからのクランキングトルク(エンジントルクTeng)に基づいて、スロットル開度と燃料噴射量とを制御する指令をエンジンコントローラ1へ出力する。
【0035】
変速制御部500では、あらかじめ設定されたシフトスケジュールに沿って、各クラッチ締結トルクと目標変速段を達成するように自動変速機AT内のソレノイドバルブを駆動制御する。なお、このシフトスケジュールは、車速VSPとアクセルペダル開度APOに基づいてあらかじめ目標変速段が設定されたものであり、アップシフト線、ダウンシフト線等が設定されている。
【0036】
[エンジン停止時スロットル開度制御処理]
図3は、実施例1のエンジン停止時スロットル開度制御部400aで実行されるエンジン停止時スロットル開度制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。
【0037】
ステップS1では、統合コントローラ1でエンジン停止要求フラグがセットされているか否かを判定する。YESの場合にはステップS10へ移行し、NOの場合にはステップS2へ移行する。
【0038】
ステップS2では、エアフローメータ1cが吸入空気量を検出しているか否かを、エアフローメータ1cの検出値が検出可能値よりも大きいか否かにより判定する。YESの場合にはステップS3へ移行し、NOの場合にはステップS6へ移行する。
【0039】
ステップS3では、エアフローメータ1cからの吸入空気量情報に基づいて、燃料噴射量を決定し、ステップS4へ移行する。
【0040】
ステップS4では、エンジン始動が完了したか否かを、エンジン回転数センサ12からのエンジン回転数が始動可能回転数よりも高いか否かにより判定する。YESの場合にはステップS5へ移行し、NOの場合にはステップS7へ移行する。
【0041】
ステップS5では、スロットル開度をHEV走行モードに応じた値とする指令をスロットルバルブアクチュエータTVAに出力し、本制御を終了する。
【0042】
ステップS6では、あらかじめ設定された始動時噴射量テーブルを参照して燃料噴射量を決定し、ステップS7へ移行する。
【0043】
ステップS7では、スロットル開度センサ1dにより検出されたスロットル開度がアイドル回転相当であるか否かを判定する。YESの場合にはステップS8へ移行し、NOの場合にはステップS9へ移行する。
【0044】
ステップS8では、スロットル開度をアイドル回転相当の開度まで閉じる指令をスロットルバルブアクチュエータTVAに出力し、本制御を終了する。
【0045】
ステップS9では、スロットルバルブを全開放状態とする指令をスロットルバルブアクチュエータTVAに出力し、本制御を終了する。
【0046】
一方、前述のステップS1にてYESの判定でステップS10に進んだ場合、ステップS10では、燃料噴射量をゼロとし、ステップS11へ移行する。
【0047】
ステップS11では、スロットル開度をアイドル回転相当の開度まで閉じる指令をスロットルバルブアクチュエータTVAに出力し、ステップS12へ移行する。
【0048】
ステップS12では、エアフローメータ1cが吸入空気量を検出しているか否かを、エアフローメータ1cの検出値が検出可能値よりも大きいか否かにより判定する。YESの場合にはステップS13へ移行し、NOの場合にはステップS15へ移行する。
【0049】
ステップS13では、エンジン回転数センサ12からのエンジン回転数がスロットル開放許可回転数よりも高いか否かを判定する。YESの場合にはステップS14へ移行し、NOの場合にはステップS15へ移行する。ここで、スロットル開放許可回転数とは、スロットルバルブを全開放した場合であっても、触媒の還元能力低下を伴うことのないエンジン回転数をいう。
【0050】
ステップS14では、スロットル開度をアイドル回転相当の開度まで閉じる指令をスロットルバルブアクチュエータTVAに出力し、本制御を終了する。
【0051】
ステップS15では、スロットルバルブを全開放状態とする指令をスロットルバルブアクチュエータTVAに出力し、本制御を終了する。
【0052】
次に、作用を説明する。
特開平11−82260号公報には、燃料により駆動するエンジンと、バッテリに蓄えられた電力により駆動するモータとによって駆動力を発生するハイブリッド車両であって、エンジンとモータとの動力伝達を断接する第1クラッチと、モータと駆動輪との動力伝達を断接する機構として自動変速機内に第2クラッチとを設けた構成が開示されている。
【0053】
この種のハイブリッド車両では、エンジンを停止し、第1クラッチを開放、第2クラッチを締結しモータの動力のみで走行を行うEV走行モードと、第1および第2クラッチを締結し、エンジンおよびモータの動力を駆動力として走行を行うHEV走行モードがある。
【0054】
ドライバーのアクセル踏み込み量が小さくドライバーの要求駆動力が小さい場合、車速が低い場合など、動力として必要な出力が小さい場合、またはモータへ電力を供給する電池のSOCが低い場合などは、EV走行モードで走行し、アクセル踏み込み量が大きく駆動力が大きい場合、または車速が高い場合など動力として必要な出力が大きい場合には、エンジンを始動しHEV走行モードで走行する。
【0055】
ここで、特開平2001−295680号公報には、HEV走行モードからEV走行モードへ切り替える際、エンジンへの燃料噴射を停止し、それと同時に次のエンジン始動に備えるために、スロットルをエンジン始動位置であるアイドル回転を維持できる程度の開度まで閉じる制御が記載されている。これは、一般に次回のエンジン始動時までには、エンジンのインテークマニホールド内が負圧状態でなくなり、空気が満たされているため、スロットルが開いた状態でエンジンを始動すると、始動時のトルクが大きくなってエンジン始動時に車両の駆動力が過剰に発生してしまうため、スロットルバルブをアイドル回転数相当まで閉じることでエンジン始動時のトルクが低下するのを早め、始動トルクが駆動力に伝達し車両駆動力の過剰な押し出しが発生することを防止している。
【0056】
しかしながら、エンジンとモータジェネレータとの動力伝達を断接する第1クラッチ、およびモータジェネレータと駆動輪との動力伝達を断接する第2クラッチを備えたハイブリッド車両では、第1クラッチまたは第2クラッチをスリップ状態とすることで、エンジン始動時のトルクが車輪に伝達されるのを防止可能であるため、必ずしも、エンジン始動時に過剰トルクによる駆動力過多を考慮する必要はない。
【0057】
また、EV走行を行った後に、エンジン始動を行う際の燃料噴射量は、エンジン停止後一定の時間が経ってから始動を行うことを考慮し、インテークマニホールド内の圧力が、大気圧となっている状態で最適な噴射量となるように適合を行っている。したがって、通常の走行中など、エンジン停止からの時間が短くインテークマニホールド内の圧力が不定の場合は、エンジンに吸入される空気量が設定した適合結果と違う状態でエンジンを始動することとなり、適切な燃料噴射量とならず、始動の安定性の低下や、排気性能の悪化を招いていた。
【0058】
エンジン停止時またはエンジン停止中にスロットルバルブを閉じた状態とした場合、停止直後には、インテークマニホールド内の圧力が負圧状態となり、その圧力は、エンジン停止直前のスロットル開度やエンジン回転数により変わり、停止後にスロットル開度を小さくした場合は、停止直後の圧力状態から一定の時間を掛け大気圧まで圧力が上昇する。
【0059】
このため、エンジン回転が停止した直後にエンジン始動要求が発生すると、その直前の圧力状態により、吸気行程で燃焼室に吸い込まれる空気量が変わってしまい、適切な燃料噴射量がわからないため、エンジン始動時の燃焼が安定せず、排気性能が悪化(噴射量大でCO,HC→大、噴射量小でNOx→大)、着火の安定性が低下(噴射量大小)、燃費が悪化(噴射量大)するという問題があった。
【0060】
図4は、時点t01でHEV走行モードからEV走行モードへ移行した後、時点t02でドライバーがアクセルを踏み込んで再びHEV走行モードへと移行する際のインテークマニホールド内の圧力を示すタイムチャートであり、エンジン停止中にスロットルバルブを閉状態とした場合、時点t01から時点t02までの時間が短いため、インテークマニホールド内の圧力が復帰していないことがわかる。
【0061】
この対策として、特開平11−223145号公報に挙げられるように、インテークマニホールド内の圧力を、エンジン停止直前の状態、停止後の状態、エンジン停止からの経過時間等に基づいて推定することで、適切な燃料噴射量を実現しようとする技術が開示されている。ところが、外部の環境要因、ハードウェアのばらつき要因等、圧力の推定に対して影響を与える条件が多く、推定精度に問題があり、適切な燃料噴射量を実現することは困難であった。
【0062】
これに対し、実施例1のハイブリッド車両のエンジン制御装置では、HEV走行モードからEV走行モードへと移行したとき、図3のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS10→ステップS11→ステップS12→ステップS15、またはステップS1→ステップS10→ステップS11→ステップS12→ステップS13→ステップS15へと進み、スロットルバルブを全開放状態とする。
【0063】
図5は、実施例1のエンジン停止時スロットル開度制御作用を示すタイムチャートであり、実施例1では、スロットルバルブを全開放状態とすることにより、エンジン回転を停止した時点t1直後の時点t2からインテークマニホールド内の圧力が安定しているため、時点t3のクランキング開始からエンジンEが吸入する空気量を安定させることができる。よって、エンジン始動時の燃料噴射量が安定し、排気性能の安定、着火の安定性、エンジン始動時のエンジン燃費の最適化を図ることができる。
【0064】
また、クランキング中は第2クラッチCL2をスリップ状態とし、エンジン始動時のトルクが駆動力として左右ドライブシャフトDSL,DSRへ伝達されるのを防止している。これにより、スロットルバルブを全開放することに伴い発生する過剰なエンジントルクによって、車両の駆動力が変動するのを回避することができる。
【0065】
ここで、エンジン停止直後、エンジン回転中に燃料噴射量をゼロとしたままスロットルを開放した場合、吸入した空気がそのまま触媒に流れてしまい、触媒付近の酸素濃度の上昇および触媒温度の低下を伴うため、エンジン再始動時に燃料を再噴射した後の触媒の還元能力が低下し、排気性能の悪化を招くおそれがある。
【0066】
そこで、実施例1では、ステップS10でエンジンの燃料カット後、ステップS13でエンジン回転数がスロットル開放許可回転数まで低下した後、ステップS15へと進んでスロットル開度を開放状態とする。これにより、触媒への空気の流入が防止され、触媒内の酸素濃度の上昇および触媒温度の低下を回避でき、エンジン再始動時の排気性能の悪化を防ぐことができる。
【0067】
また、実施例1では、ステップS12でエアフローメータ1cが吸入空気量を検出していると判定され、ステップS13でエンジン回転数がスロットル開放許可回転数よりも高いと判定された場合には、ステップS14でスロットルバルブをアイドル回転数に応じた開度とし(時点t1〜時点t2の区間)、ステップS12でエアフローメータ1cが吸入空気量を検出しない場合、またはステップS13でエンジン回転数がスロットル開放許可回転数以下の場合は、ステップS15でスロットルバルブを開放状態とする(図5の時点t2以降)。
【0068】
すなわち、エンジン回転数が高く、吸気口付近の吸入空気の流速がエアフローメータ1cで検出可能な水準よりも高い場合は、インテークマニホールド内の圧力が推定でき、エンジンEに吸入できる空気量がわかるため、適切な燃料噴射量が実現でき、エンジン始動の安定性や、エンジン始動時の排気性能が確保できる。一方、エンジン回転数が低い場合、またはスロットルを閉じたことで、吸気口付近の吸入空気の流速がエアフローメータ1cで検出不可能な水準まで低下した場合は、エアフローメータ1cからの情報に基づいて、燃料噴射量を決定することができなくなる。
【0069】
よって、実施例1では、エアフローメータ1cが使用できない状況になった場合は、スロットルバルブの開放を行うことで、インテークマニホールド内の圧力が大気圧に安定できるため、吸入空気量が安定し、その際の適正な燃料噴射量を求めることができ、エンジン始動の安定性の向上と良好な排気性能との両立を図ることができる。
【0070】
また、実施例1では、図6に示すように、エアフローメータ1cが吸入空気量を検出している状態のとき、時点t2'でエンジン再始動要求がなされた場合、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS7→ステップS8へと進み、スロットル開度をエンジン始動位置(アイドル回転相当)とし、エアフローメータ1cの吸入空気量情報に基づいて燃料噴射量を決定する。
【0071】
例えば、EV走行モード中にエンジンEを始動する際、エンジン回転上昇中にスロットル開度を変化させた場合、始動中の吸入空気量が安定しないため、エンジン始動時の適切な燃料噴射量を決定することができない。なお、エアフローメータ1cが吸入空気量を検出している間は、インテークマニホールド内の圧力が推定でき、エンジンに吸入できる空気量がわかるため、スロットルを開放せずにエンジンを始動したとしても適切な燃料噴射量が求まり、エンジン始動の安定性の向上と、良好な排気性能が確保できる。
【0072】
実施例1では、EV走行モード中にエンジン始動要求がなされた場合、ステップS2でエアフローメータが吸入空気量を検出し、かつ、ステップS4でエンジン回転数が始動可能回転数よりも高いときには、ステップS5でHEV走行モード中の指令値とし(図5の時点t4)、エアフローメータの検出した流速に基づいて推定した吸入空気量に応じて燃料噴射量を設定する。
【0073】
すなわち、EV走行モードからHEV走行モードへ移行する際、エンジン始動後もスロットルを開いたままにしておくと、インテークマニホールド内の負圧が発生しないため、エンジン始動完了後もエンジントルクが大きいままとなり、車両の駆動力過多を招くおそれがある。そこで、実施例1では、エンジン始動完了後のスロットル開度をHEV走行モード時の開度とすることで、HEV走行モード中の駆動力を、ドライバーの意図通りの駆動力とすることができる。
【0074】
実施例1では、エンジンEのクランキングトルクに応じてエンジン始動時の燃料噴射量を可変する。すなわち、図7に示すように、時点t3でエンジン始動要求により第1クラッチCL1を締結し、エンジンEをクランキングする場合、ドライバーのアクセル操作、車速等によってクランキングトルクが変化すると、エンジンEの回転上昇速度が変動し、適切な吸入空気量が得られないと場合がある。
【0075】
よって、実施例1では、図8に示すように、クランキングトルクがxの場合は燃料噴射量をX、クランキングトルクがyの場合は燃料噴射量をY、クランキングトルクがzの場合には燃料噴射量をZ、というように、クランキングトルクが大きいほど燃料噴射量をより多くすることで、エンジンEの回転上昇速度に応じた始動時燃料噴射量となるため、エンジン始動の安定性の向上と良好な排気性能の確保との両立を図ることができる。
【0076】
次に、効果を説明する。
実施例1のハイブリッド車両のエンジン制御装置にあっては、以下に列挙する効果が得られる。
【0077】
(1) エンジン停止時スロットル開度制御部400aは、HEV走行モードからEV走行モードへ移行した場合、エンジンEのスロットルバルブを開状態とするため、エンジン停止から再始動までの経過時間にかかわらず、エンジン始動時の燃料噴射量を安定させてエンジン始動の安定性および排気性能の向上を図ることができる。
【0078】
(2) エンジン停止時スロットル開度制御部400aは、EV走行モード時、スロットルバルブを全開放とするため、エンジン始動時の燃料噴射量をより安定させてエンジン始動の安定性および排気性能の向上を図ることができる。
【0079】
(3) エンジン停止時スロットル開度制御部400aは、HEV走行モードからEV走行モードへ移行した場合、エンジンEの燃料カット後にエンジン回転数がスロットル開放許可回転数まで低下したとき、スロットルバルブを開状態とするため、触媒への空気の流入を防ぎ、触媒内の酸素濃度の上昇および温度低下を抑制でき、エンジン再始動時の排気性能の悪化を防止することができる。
【0080】
(4) エンジン停止時スロットル開度制御部400aは、EV走行モード時、エンジン回転数がスロットル開放許可回転数よりも高い場合には、スロットルバルブをアイドル回転数に応じた開度とするため、触媒への空気の流入を防ぎ、触媒内の酸素濃度の上昇および温度低下を抑制でき、エンジン再始動時の排気性能の悪化を防止することができる。
【0081】
(5) エンジン停止時スロットル開度制御部400aは、EV走行モード時、エアフローメータ1cが吸入空気量を検出している場合は、スロットルバルブをアイドル回転数に応じた開度とするため、エンジン始動の安定性の向上と良好な排気性能の確保との両立を図ることができる。
【0082】
(6) エンジン停止時スロットル開度制御部400aは、EV走行モード時にエンジン始動要求がなされた際、エアフローメータ1cが吸入空気量を検出している場合には、エンジン始動が完了するまでの間、スロットルバルブをアイドル回転数に応じた開度とし、エアフローメータ1cの吸入空気量情報に基づいてエンジン始動を行う。これにより、エンジン始動の安定性の向上と良好な排気性能の確保との両立を図ることができる。
【0083】
(7) エンジン停止時スロットル開度制御部400aは、エアフローメータ1cが吸入空気量を検出している状態でエンジン始動が完了した場合には、スロットルバルブをHEV走行モードに応じた開度とし、エアフローメータ1cの吸入空気量情報に基づいて燃料噴射量を決定する。これにより、HEV走行モード時においてドライバーの要求駆動力に応じた燃料噴射量を設定することができる。
【0084】
(8) エンジン停止時スロットル開度制御部400aは、エンジンEのクランキングトルクに応じてエンジン始動時の燃料噴射量を可変するため、エンジン始動の安定性の向上と良好な排気性能の確保との両立を図ることができる。
【実施例2】
【0085】
図9は、実施例2のエンジン停止時スロットル開度制御部400aで実行されるエンジン停止時スロットル開度制御処理の流れを示すフローチャートで、図3に示した実施例1のエンジン停止時スロットル開度制御処理と異なる部分のみ説明する。
【0086】
ステップS12では、エアフローメータ1cが吸入空気量を検出しているか否かを、エアフローメータ1cの検出値が検出可能値よりも大きいか否かにより判定する。YESの場合にはステップS14へ移行し、NOの場合にはステップS13へ移行する。
【0087】
ステップS13では、エンジン回転数センサ12からのエンジン回転数がスロットル開放許可回転数よりも高いか否かを判定する。YESの場合にはステップS14へ移行し、NOの場合にはステップS15へ移行する。ここで、スロットル開放許可回転数とは、スロットルバルブを全開放した場合であっても、触媒の還元能力低下を伴うことのないエンジン回転数をいう。
なお、他の構成は実施例1と同様であるため、図示ならびに説明を省略する。
【0088】
実施例2のハイブリッド車両のエンジン制御装置では、実施例1と同様の作用効果を得ることができるが、実施例2では、ステップS12でエアフローメータ1cが吸入空気量を検出していないと判定され、かつ、ステップS13でエンジン回転数がスロットル開放許可回転数まで低下したと判定された場合に、ステップS15へと進み、スロットルバルブを全開放とする。よって、実施例1と比較して、エンジン停止時おける触媒への空気流入量をより一層低減でき、触媒内の酸素濃度の上昇および温度低下の抑制により、排気性能の悪化抑制効果を向上させることができる。
【0089】
(他の実施例)
以上、本発明のハイブリッド車両のエンジン制御装置を実施するための最良の形態を、各実施例に基づいて説明したが、本発明の具体的な構成は、各実施例に示した構成に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない設計変更等があっても本発明に含まれる。
【0090】
例えば、実施例では、HEV走行モードからEV走行モードへと移行した場合、スロットルバルブを全開放とする例を示したが、スロットルバルブの開度は、エンジン停止直後のインテークマニホールド内の圧力を安定させることが可能であれば、全開放状態でなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】実施例1の後輪駆動によるハイブリッド車両を示す全体システム図である。
【図2】実施例1の統合コントローラにおける演算処理プログラムを示す制御ブロック図である。
【図3】実施例1のエンジン停止時スロットル開度制御部400aで実行されるエンジン停止時スロットル開度制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】HEV走行モードからEV走行モードへ移行した後、ドライバーがアクセルを踏み込んで再びHEV走行モードへと移行する際のインテークマニホールド内の圧力を示すタイムチャートである。
【図5】実施例1のエンジン停止時スロットル開度制御作用を示すタイムチャートである。
【図6】実施例1のエンジン停止時スロットル開度制御作用を示すタイムチャートである。
【図7】実施例1のエンジン停止時スロットル開度制御作用を示すタイムチャートである。
【図8】図7のA部拡大図、B部拡大図である。
【図9】実施例2のエンジン停止時スロットル開度制御部400aで実行されるエンジン停止時スロットル開度制御処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0092】
E エンジン
TVA スロットルバルブアクチュエータ
FW フライホイール
CL1 第1クラッチ
MG モータジェネレータ
CL2 第2クラッチ
AT 自動変速機
PS プロペラシャフト
DF ディファレンシャル
DSL 左ドライブシャフト
DSR 右ドライブシャフト
RL 左後輪
RR 右後輪
FL 左前輪
FR 右前輪
1 エンジンコントローラ
2 モータコントローラ
3 インバータ
4 バッテリ
5 第1クラッチコントローラ
6 第1クラッチ油圧ユニット
7 ATコントローラ
8 第2クラッチ油圧ユニット
9 ブレーキコントローラ
10 統合コントローラ
24 ブレーキ油圧センサ
100 目標駆動力演算部
200 モード選択部
300 目標充放電演算部
400 動作点指令部
400a エンジン停止時スロットル開度制御部
500 変速制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、モータジェネレータと、エンジンおよびモータジェネレータ相互間の動力伝達を断接する第1クラッチと、モータジェネレータと車輪との動力伝達を断接する第2クラッチと、を有するハイブリッド車両のエンジン制御装置において、
前記エンジンおよびモータジェネレータの発生するトルクで走行するエンジン使用走行モードからエンジンを停止してモータジェネレータの発生するトルクのみで走行する電気自動車走行モードへ移行した場合、エンジンのスロットルバルブを開状態とするエンジン停止時スロットル開度制御手段を備えることを特徴とするハイブリッド車両のエンジン制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のハイブリッド車両のエンジン制御装置において、
前記エンジン停止時スロットル開度制御手段は、前記電気自動車走行モード時、前記スロットルバルブを全開放とすることを特徴とするハイブリッド車両のエンジン制御装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のハイブリッド車両のエンジン制御装置において、
前記エンジン停止時スロットル開度制御手段は、前記エンジン使用走行モードから前記電気自動車走行モードへ移行した場合、前記エンジンの燃料カット後にエンジン回転数がスロットル開放許可回転数まで低下したとき、前記スロットルバルブを開状態とすることを特徴とするハイブリッド車両のエンジン制御装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のハイブリッド車両のエンジン制御装置において、
前記エンジン停止時スロットル開度制御手段は、前記電気自動車走行モード時、エンジン回転数が前記スロットル開放許可回転数よりも高い場合には、前記スロットルバルブをアイドル回転数に応じた開度とすることを特徴とするハイブリッド車両のエンジン制御装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のハイブリッド車両のエンジン制御装置において、
前記エンジン停止時スロットル開度制御手段は、前記電気自動車走行モード時、エアフローメータが吸入空気量を検出している場合は、前記スロットルバルブをアイドル回転数に応じた開度とすることを特徴とするハイブリッド車両のエンジン制御装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のハイブリッド車両のエンジン制御装置において、
前記エンジン停止時スロットル開度制御手段は、前記電気自動車走行モード時にエンジン始動要求がなされた際、エアフローメータが吸入空気量を検出している場合には、エンジン始動が完了するまでの間、前記スロットルバルブをアイドル回転数に応じた開度とし、エアフローメータの吸入空気量情報に基づいてエンジン始動を行うことを特徴とするハイブリッド車両のエンジン制御装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のハイブリッド車両のエンジン制御装置において、
前記エンジン停止時スロットル開度制御手段は、エアフローメータが吸入空気量を検出している状態でエンジン始動が完了した場合には、前記スロットルバルブを前記エンジン使用走行モードに応じた開度とし、エアフローメータの吸入空気量情報に基づいて燃料噴射量を決定することを特徴とするハイブリッド車両のエンジン制御装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のハイブリッド車両のエンジン制御装置において、
前記エンジン停止時スロットル開度制御手段は、前記エンジンのクランキングトルクに応じてエンジン始動時の燃料噴射量を可変することを特徴とするハイブリッド車両のエンジン制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−6736(P2009−6736A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−167100(P2007−167100)
【出願日】平成19年6月26日(2007.6.26)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】