説明

半導体デバイス及びその製造方法

【課題】ゲート電極と上部導電層とのショートを防止した安定動作可能な縦型MOSトランジスタを有する半導体デバイスを提供する。
【解決手段】縦型MOSトランジスタを構成する半導体ピラー5Aは、第1の幅を有する上部5Aaと第2の幅を有する下部5Abを有し、上部5Aa側面は第2の絶縁膜6aと第3の絶縁膜6bで覆われ、下部5Abは側面から第2の絶縁膜6aまでゲート絶縁膜である第1の絶縁膜11Aで覆われており、ゲート電極13Aが第2及び第3の絶縁膜6により上部導電層18と絶縁されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体デバイス及びその製造方法に関し、詳しくは、縦型トランジスタを有する半導体デバイス及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect-Transistor)では、高密度化とともに、その構成要素であるゲート、ソース及びドレインを平面的にレイアウトすることが困難となりつつあり、最小配線ピッチが90nm以下のDRAM(Dynamic Random Access Memory)等では、立体的なレイアウトが必要となっている。ここで、立体的なレイアウトとは、半導体基板の法線方向に形成した半導体の柱(以降、半導体ピラーと称するが、半導体がシリコンである場合はシリコンピラーと表記する。)における上方と下方にソース/ドレイン(S/D)を設けて、さらにシリコンピラーの表面には、ゲート絶縁膜並びにゲート電極(ワード線)を配置して、各構成要素を半導体基板の法線方向に積み重ねた構造(以降、縦型MOSトランジスタと称する)としたものである。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2008−288391号公報)では、公報の図1(a)に示す構造の縦型MOSトランジスタを有する半導体装置が開示されている。同図に示されるように、第1のシリコンピラー(15A)の上方と下方に第2の拡散層(26)と第1の拡散層(18)を配置し、第1のシリコンピラー(15A)の側面部に第1のゲート絶縁膜(19A)と第1のゲート電極(20A)を積層配置した縦型MOSトランジスタである。このトランジスタでは、第1の拡散層(18)と配線層(30)を第1のコンタクトプラグ(29a)で接続しており、第2の拡散層(26)と配線層(30)を第2のコンタクトプラグ(29b)で接続している。従って、第3のコンタクトプラグ(29c)に接続されている配線層(30)から供給された電荷が、第2のゲート電極(20B)を介して第1のゲート電極(20A)に到達することで、第1のシリコンピラー(15A)に形成されているトランジスタが動作して、コンタクトプラブ(29a)と(29b)に接続されている配線層30同士が導通状態となる。なお、括弧内の符号は、特許文献1の図面における符号であり、以下も同様である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−288391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような縦型MOSトランジスタを安定して動作させるには、電荷の導通部を絶縁膜で完全に覆って電荷をリークさせないことが必須となっており、そのような製造方法が求められている。
【0006】
特許文献1の縦型MOSトランジスタにおける第1のゲート電極(20A)と第2の拡散層(26)は、シリコン酸化膜であるマスク絶縁膜(14a)とシリコン窒化膜であるサイドウォール絶縁膜(25)で絶縁されている。しかしながら、ゲート絶縁膜(19A)を形成する前処理で、基板面の不要な酸化膜を除去するウェットエッチングを行うと、マスク絶縁膜(14a)の一部も除去されて、そこに空洞(スペース)が生じることになる。さらに詳細に述べると、特許文献1の図6に示されているサイドウォール絶縁膜(16)は、活性領域(13)を熱酸化して保護してから、第1及び第2のシリコンピラー(15A)、(15B)の側面に形成されている。従って、サイドウォール絶縁膜(16)と第1のシリコンピラー(15A)の間には、図示されていないシリコン酸化膜が介在しており、そのシリコン酸化膜は保護絶縁膜であるシリコン酸化膜(14a)と接している。この状態から、ゲート絶縁膜(19A)を形成するために第1のシリコンピラー(15A)の側面を露出させるには、特許文献1の図9に示されているように、ウェットエッチングによって、サイドウォール絶縁膜(16)とその下地となったシリコン酸化膜を除去せねばならず、そのときにシリコン酸化膜(14a)の側面部の一部も除去されてしまうので、そこに空洞が生じることになる。
【0007】
この空洞の発生について、図25を参照して説明する。図25は、本発明の課題を説明する工程断面図であり、特許文献1における第1のシリコンピラー(15A)の一部を拡大して示しており、特許文献1の符号にそれぞれ100を足して説明する。まず、図25(a)では、特許文献1の図6と同様に、第1のシリコンピラー115A上にはマスク絶縁膜であるシリコン酸化膜114aとシリコン窒化膜114bが積層されており、側面にはサイドウォール絶縁膜として図示されていなかったシリコン酸化膜116aとシリコン窒化膜116bが形成されている。
【0008】
次に、特許文献1の図9と同様に、サイドウォール絶縁膜(16)を除去して第1のシリコンピラー115Aの側面を露出させるには、図25(b)に示すように、シリコン窒化膜116bとシリコン酸化膜116aを除去する。トランジスタを高速化したり低消費電力化するには、ゲート絶縁膜をごく薄く形成するため、シリコン酸化膜116aは残留しないように確実に除去する必要がある。そのため、シリコン酸化膜114aの側面の一部が除去され、空洞CVが形成される。
【0009】
次に、図25(c)に示すように、ごく薄いゲート絶縁膜119Aを形成しても空洞CVは残留する。この後、第1のゲート電極120Aを形成するが、第1のゲート電極120Aは、空洞CVにも埋め込まれてしまう(図25(d)参照)。その後、第1のシリコンピラー115A上のシリコン窒化膜114bを除去し、サイドウォール125を形成し、開口内に露出するシリコン酸化膜114aを除去してスルーホール123を形成した際に、空洞CV内の第1のゲート電極120Aがスルーホール123内に露出する場合がある(図25(e)参照)。その結果、スルーホール123の内部に形成する第2の拡散層126と第1のゲート電極120Aが短絡(ショート)してしまう場合がある(図25(f)の破線部参照)。
【0010】
本発明では、前処理時におけるマスク絶縁膜114aの除去を回避してショートの発生を防ぐことにより、縦型MOSトランジスタの動作を安定させることができる半導体デバイスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態によれば、
半導体基板の法線方向の上部と下部に導電層を有する縦型MOSトランジスタを有する半導体デバイスであって、
前記縦型MOSトランジスタは、
半導体基板上面に第1の幅を有する上部と、前記第1の幅より大きい第2の幅を有する下部を有する第1の段差の形成された半導体ピラーと、
前記下部半導体ピラーの側面と前記第1の段差の少なくとも一部の上面に設けられた第1の絶縁膜と、
前記上部半導体ピラーの少なくとも一部の側面に設けられた第2の絶縁膜と、
前記第2の絶縁膜上から前記半導体ピラーの上面より上方に延在する第3の絶縁膜とを備えており、
前記半導体ピラーの側面は、前記第1及び前記第2の絶縁膜によって連続的に覆われている半導体デバイスが提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一実施形態によれば、縦型MOSトランジスタにおける上部導電層とゲート電極とのショートの発生を防ぐことにより、縦型MOSトランジスタの動作が安定した半導体デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の好ましい実施形態による半導体デバイス50の構造を示す図であり、(a)は略断面図、(b)は(a)のXX部における略透視平面図である。
【図2】図1の半導体デバイス50の製造工程を説明する図であり、(a)は略断面図、(b)は平面図である。
【図3】図1の半導体デバイス50の製造工程を説明する略断面図である。
【図4】図1の半導体デバイス50の製造工程を説明する略断面図である。
【図5】図1の半導体デバイス50の製造工程を説明する図であり、(a)は略断面図、(b)は平面図である。
【図6】図1の半導体デバイス50の製造工程を説明する略断面図である。
【図7】図1の半導体デバイス50の製造工程を説明する図であり、(a)は略断面図、(b)は平面図である。
【図8】図1の半導体デバイス50の製造工程を説明する略断面図である。
【図9】図1の半導体デバイス50の製造工程を説明する略断面図である。
【図10】図1の半導体デバイス50の製造工程を説明する略断面図である。
【図11】図1の半導体デバイス50の製造工程を説明する略断面図である。
【図12】図1の半導体デバイス50の製造工程を説明する図であり、(a)は略断面図、(c)及び(d)は(a)の破線部の拡大図であり、エッチング時間の違いによる態様を示している。
【図13】図1の半導体デバイス50の製造工程を説明する略断面図である。
【図14】図1の半導体デバイス50の製造工程を説明する図であり、(a)は略断面図、(c)及び(d)は(a)の破線部の拡大図であり、それぞれ図12の(c)、(d)に対応している。
【図15】図1の半導体デバイス50の製造工程を説明する図であり、(a)は略断面図、(b)は平面図である。
【図16】図1の半導体デバイス50の製造工程を説明する略断面図である。
【図17】図1の半導体デバイス50の製造工程を説明する略断面図である。
【図18】図1の半導体デバイス50の製造工程を説明する略断面図である。
【図19】図1の半導体デバイス50の製造工程を説明する略断面図である。
【図20】図1の半導体デバイス50の製造工程を説明する略断面図である。
【図21】図1の半導体デバイス50の製造工程を説明する略断面図である。
【図22】図1の半導体デバイス50の製造工程を説明する略断面図である。
【図23】図1の半導体デバイス50の製造工程を説明する図であり、(a)は略断面図、(b)は(a)のYY部における略透視平面図である。
【図24】本発明の好ましい別の実施形態による半導体デバイス60の構造を示す略断面図である。
【図25】本発明の課題を説明する略工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の好ましい実施形態による半導体デバイス50の構造を示す図であり、(a)は略断面図、(b)は(a)のXX部における略透視平面図である。
【0015】
図1(a)及び(b)に示すように、本実施形態による半導体デバイス50は、2つの半導体ピラー(以降、シリコンピラーと表記)が隣接して位置しており、一方のシリコンピラー5Aには縦型MOSトランジスタが設けられ、他方のシリコンピラー5Bは縦型MOSトランジスタのゲート電極へ給電するために設けられたダミーピラーとなっている。
【0016】
シリコンピラー5Aに設けられた縦型MOSトランジスタは、半導体基板1(以降、シリコン基板1と表記)に設けられたSTI(Shallow Trench Isolation)2に囲まれた活性領域3内に位置しており、シリコンピラー5Aの側面部に設けられたゲート絶縁膜11Aと、ゲート絶縁膜11Aを覆うゲート電極13Aと、シリコンピラー5Aの下部周辺に設けられた導電層である第1の拡散層9(「下部導電層」と呼ぶこともある)と、シリコンピラー5Aの上面に設けられた導電層である第2の拡散層18(「上部導電層」と呼ぶこともある)で構成される。同様に活性領域3内に設けられたダミーピラーであるシリコンピラー5Bも、ゲート絶縁膜11Bとゲート電極13Bと第1の拡散層9を備えるとともに、第2の拡散層18に代えて保護絶縁膜4aとキャップ絶縁膜4bも備えている。本明細書においては、ゲート絶縁膜11Aとゲート絶縁膜11Bを合わせて「ゲート絶縁膜11」あるいは「第1の絶縁膜11」、ゲート電極13Aとゲート電極13Bを合わせて「ゲート電極13」あるいは「導電膜13」と呼ぶことがある。第1の拡散層9は、シリコンピラー5A、5Bの真下の領域ではなく、シリコンピラーが設けられていないシリコン基板1の平坦領域に位置している。
【0017】
第1の拡散層9は、第1のコンタクトプラグ21aを介して配線層22に接続されている。第2の拡散層18は、第2のコンタクトプラグ21bを介して配線層22に接続されている。ゲート電極13Bは、第3のコンタクトプラグ(ゲートコンタクトとも表記する)21cを介して配線層22に接続されている。
【0018】
シリコンピラー5Aは、シリコン基板1の主面に対してほぼ垂直に設けられており、半導体基板1の上面に第2の幅を有する下部シリコンピラー5Abと、下部シリコンピラー5Abの上に位置し、第2の幅より小さい第1の幅を有する上部シリコンピラー5Aaから構成されている。ここで、上部シリコンピラー5Aaと下部シリコンピラー5Abを合わせて単に「シリコンピラー5A」と呼ぶことがある。下部シリコンピラー5Abの第2の幅よりも、上部シリコンピラー5Aaの第1の幅が小さい、すなわち、第2の幅が第1の幅より大きいので、半導体デバイス50は下部シリコンピラー5Abの上面と上部シリコンピラー5Aaの側面で構成された段差を有しており、その段差を「第1の段差」と称する。
【0019】
シリコンピラー(ダミーピラー)5Bもシリコンピラー5Aと同様に、半導体基板1の上面に第4の幅を有する下部シリコンピラー5Bbと、下部シリコンピラー5Bbの上に位置し、第4の幅より小さい第3の幅を有する上部シリコンピラー5Baから構成されている。上部シリコンピラー5Baと下部シリコンピラー5Bbを合わせて単に「シリコンピラー5B」と呼ぶことがある。なお、シリコンピラー5A、5Bにおける第1の幅と第3の幅、第2の幅と第4の幅のそれぞれ組みは、同一であっても異なっていてもよいが、シリコンピラー5Bにおける第3の幅及び第4の幅が、それぞれシリコンピラー5Aにおける第1の幅及び第2の幅より大きいことが好ましい。また、シリコンピラー5A、5Bのそれぞれ下部では、下部シリコンピラー5Abの側面に設けられたゲート電極13Aと、下部シリコンピラー5Bbの側面に設けられたゲート電極13Bとが接触するように近接配置される。
【0020】
本実施形態に係る半導体デバイス50では、シリコンピラー5Bの平面方向の大きさは、シリコンピラー5Aよりも大きく設定されていることが好ましい。特に限定されるものではないが、下部シリコンピラー5Abの平面寸法は70×70nm程度、下部シリコンピラー5Bbの平面寸法は100×70nm程度に設定することができる。これによれば、第2のコンタクトプラグ21bとゲートコンタクト21cとの距離を離すことができることから、配線層22の形成マージンを拡大することができる。また、上部シリコンピラー5Ba側のゲート電極13Bの平面領域が広がることから、ゲート電極13Bとゲートコンタクト21cとの接続を確実にすることができる。各シリコンピラーの高さは、要求されるトランジスタの特性に応じて設定すればよい。例えば、シリコンピラー5Aの平面寸法が70×70nmであれば、シリコンピラーの高さを約150nm程度に設定すればよい。
【0021】
ゲート電極13Aは、下部シリコンピラー5Abの側面と少なくとも一部の上面に設けられたゲート絶縁膜11Aと、上部シリコンピラー5Aaから第2の拡散層18までの側面部に設けられたサイドウォールマスク6の一部を覆うように設けられている。サイドウォールマスク6は、第2の絶縁膜である保護絶縁膜6aと第3の絶縁膜であるキャップ絶縁膜6bで構成される積層構造となっている。ここで、上部シリコンピラー5Aaの少なくとも一部の側面に設けられた保護絶縁膜6aは、第2の拡散層18の底部も覆っている。キャップ絶縁膜6bの下部は、ゲート電極13Aとゲート絶縁膜11Aを介して下部シリコンピラー5Abと接している。キャップ絶縁膜6bの上部は、第2の拡散層18の底部から側面の一部を覆っている。
【0022】
一方、ゲート電極13Bは、下部シリコンピラー5Bbの側面に位置したゲート絶縁膜11Bと、上部シリコンピラー5Baからキャップ絶縁膜4b(第5の絶縁膜4b)までの側面部に位置したサイドウォールマスク6を覆うように設けられている。ここでも、上部シリコンピラー5Baでは、サイドウォールマスク6を構成する保護絶縁膜6aとキャップ絶縁膜6bは積層構造となっており、さらに保護絶縁膜6aは保護絶縁膜4a(第4の絶縁膜4a)の側面を覆うように設けられているので、キャップ絶縁膜6bと上部シリコンピラー5Baとの接触状態は、シリコンピラー5Aの場合と同様である。ここで、ゲート絶縁膜11Bは、ゲート絶縁膜11Aと同時に形成されるダミーの絶縁膜であって、絶縁膜としては機能するが、トランジスタのゲート絶縁膜として機能するものではない。
【0023】
保護絶縁膜4aは、上部シリコンピラー5Aa、5Baを形成する際のマスクの一部であり、シリコン酸化膜によって構成される。保護絶縁膜6a(第2の絶縁膜6a)はゲート絶縁膜11(第1の絶縁膜11)よりも厚くなるように設けられており、第1の絶縁膜と第2の絶縁膜の接触部で構成される段差を「第2の段差」と称する。ゲート電極13Aとゲート電極13Bは、いずれも第2の段差を充填するように設けられている。なお、図面では説明のため、保護絶縁膜4aと6a、キャップ絶縁膜4bと6b、さらにはキャップ絶縁膜6bとSTI2とをそれぞれ区別しているが、実際の装置ではこれら組み合わせはそれぞれ同材料で形成されていることから一体化している。
【0024】
上部シリコンピラー5Baの上方にはキャップ絶縁膜4bが設けられている。キャップ絶縁膜4bは、上部シリコンピラー5Aa、5Baの形成に用いたハードマスクの一部であるが、その後の工程で除去せず、そのまま絶縁膜として利用している。ハードマスクは上部シリコンピラー5Aaの上方にも存在していたが、第2の拡散層18を形成する際に除去されている。
【0025】
ゲート電極13A、13Bは、対応するゲート絶縁膜11A、11Bの外周に位置しており、さらに第2の段差を充填している。特に、ゲート電極13Bは、キャップ絶縁膜6bを介して、キャップ絶縁膜4bの周縁部を覆うリング状の上部領域を有しており、ゲートコンタクト21cはこの上部領域に接続されている。より詳細には、ゲートコンタクト21cは、シリコンピラー5Bの上方に残存するキャップ絶縁膜4b及び6bとゲート電極13Bとの界面部分に接続されている。
【0026】
第1の拡散層9は、活性領域3の底部、すなわち、層間絶縁膜14によって埋め込まれた下部シリコンピラー5Ab、5Bbの下部周辺におけるシリコン酸化膜で構成された絶縁膜8の下方に設けられている。第2の拡散層18は、上部シリコンピラー5Aaの上面に設けられている。第1及び第2の拡散層9、18は、シリコン基板中の不純物とは反対の導電型を有する不純物をイオン注入することにより形成することができる。
【0027】
第2の拡散層18は、上部シリコンピラー5Aaの上部に位置したLDD(Lightly Doped Drain)領域17に接続されている。第2の拡散層18の外壁面には、ゲート電極13Aとの間を絶縁する筒状のサイドウォールマスク6が位置しており、第2の拡散層18とゲート電極13Aとの間の絶縁が確保されている。より詳細には、サイドウォールマスク6を構成する保護絶縁膜6aを上部シリコンピラー5Aaの側面に設けたことにより、保護絶縁膜6aによって、第2の拡散層18の下部がゲート電極13Aから絶縁されている。従って、サイドウォールマスク6で覆われた第2の拡散層18の底面形状は、上部シリコンピラー5Aaの上面形状にほぼ等しい。
【0028】
第1乃至第3のコンタクトプラグ21a乃至21cは、少なくとも層間絶縁膜19を貫通するコンタクトホール内に導電性材料を充填することにより設けられる。コンタクトプラグの材料としては、ポリシリコンを用いることが好ましい。ゲートコンタクト21cの下端部は、上部シリコンピラー5Baの上方にあるキャップ絶縁膜4b及び6bとゲート電極13Bとの界面部分に接続されている。
【0029】
以上のような構造を有する半導体デバイス50は、第1の拡散層9がソース及びドレインの一方として機能し、第2の拡散層18がソース及びドレインの他方として機能する。また、ゲート電極13Aは、ゲート電極13Bを通じてゲートコンタクト21cに接続され、さらに配線層22に接続されている。チャネル領域は下部シリコンピラー5Abの縦方向に位置しており、ゲート絶縁膜11Aを介したゲート電極13Aからの電界によって制御される。
【0030】
以上説明したように、本実施形態の半導体デバイス50によれば、上部シリコンピラー5Aaの側面に、保護絶縁膜6aとキャップ絶縁膜6bで構成されたサイドウォールマスク6がリング状に設けられている。またサイドウォールマスク6の上部におけるリング内を充填するように第2の拡散層18が設けられている。そして、サイドウォールマスク6の一部表面に設けられたゲート電極13Aは、キャップ絶縁膜6bとゲート絶縁膜11Aで挟まれた領域で保護絶縁膜6aと接していることから、ゲート電極13Aと第2の拡散層18は短絡することなく完全に絶縁されているので、半導体デバイス50の動作を安定させることができる。
【0031】
次に、本実施形態による半導体デバイス50の製造方法について詳細に説明する。
図2〜図23は、本実施形態による半導体デバイス50の製造方法を説明するための工程図である。これらの図においては、断面図と適宜平面図を示し、さらに必要に応じて部分拡大断面図を示す。
【0032】
図2に示すように、半導体デバイス50の製造では、まず半導体基板1としてシリコン基板(以下、単に「基板1」と称す)を用意し、この基板1上にSTI2を形成することにより、STI2に囲まれた活性領域3を形成する。実際の基板1には多数の活性領域が形成されるが、図2には1つの活性領域のみを示している。特に限定されるものではないが、本実施形態の活性領域3は図2(b)の平面図に示すように矩形状の平面構造を有している。
【0033】
STI2の形成では、基板1の主面に約270nmの深さを有する溝をドライエッチング法により形成し、溝の内壁を含む基板全面に薄いシリコン酸化膜を熱酸化により形成した後、溝の内部を含む基板全面に400〜500nmの厚みを有するシリコン窒化膜をCVD(Chemical Vapor Deposition)法によって堆積させる。その後、基板1上の不要なシリコン窒化膜をCMP(Chemical Mechanical Polishing)により除去して、シリコン窒化膜を溝の内部にのみ残すことにより、STI2が形成される。
【0034】
次に、図3に示すように、基板1の全面にシリコン酸化膜である保護絶縁膜4a及びシリコン窒化膜であるキャップ絶縁膜4bを形成する。特に限定されるものではないが、保護絶縁膜4a及びキャップ絶縁膜4bはCVD法で形成することができ、保護絶縁膜4aの膜厚は約10nm、キャップ絶縁膜4bの膜厚は約120nmとすることができる。本明細書においては、保護絶縁膜4a及びキャップ絶縁膜4bの積層膜を単に「ハードマスク4」と呼ぶことがある。ハードマスク4は、エッチング時のマスク膜として機能するものである。
【0035】
次に、図4に示すように、フォトリソグラフィとドライエッチング法によってハードマスク4をパターニングすることにより、上部シリコンピラー5Aa、5Baを形成すべき領域と活性領域3よりも外側の領域にあるハードマスク4を残して、それ以外のハードマスク4を除去する。なお、活性領域3内に不要なシリコンピラーが形成されないよう、STI2を覆うハードマスク4のエッジは、活性領域3の外周よりもやや外側に位置させることが好ましい。より好ましくは、後述する2回目のシリコンドライエッチングに際して、STI2側壁のキャップ絶縁膜6bが活性領域3内にはみ出さない程度に活性領域外周から後退させることが望ましい。なお、上部シリコンピラー5Aa、5Baを形成すべき領域のハードマスク4をそれぞれ第1のマスク4A、第2のマスク4Bという。
【0036】
次に、図5に示すように、パターニングされたハードマスク4をエッチングマスクに用いて、活性領域3の露出面をドライエッチング法により約50nmまで掘り下げる。ここで、図5(a)は断面図、図5(b)は平面図である。このエッチング工程により、活性領域3の露出面に凹部が形成され、掘り下げられなかった部分は基板1の主面に対してほぼ垂直で高さH1が約50nmとなった上部シリコンピラー5Aa、5Baとなる。また、上部シリコンピラー5Aaは第1の幅W1を有するように形成され、上部シリコンピラー5Baは第3の幅W3を有するように形成される。ここでは、W1は約40nm、W3は約70nmとすることができる。なお、図5(b)の平面図に示すように、紙面垂直方向の幅はほぼ同じであり、ほぼW1の幅である。ここでは、活性領域3内に1つの縦型MOSトランジスタとなる上部シリコンピラー5Aaと1つのダミーピラーとなる上部シリコンピラー5Baを形成しているが、これに限定されず、上部シリコンピラー5Aaを複数設けても良い。例えば、ダミーピラーとなる上部シリコンピラー5Baを中央に設け、その両側に縦型MOSトランジスタとなる上部シリコンピラー5Aaを設けても良い。また、ダミーピラーをSTI2に接するように設けても良い。さらに、STI2に近接してシリコンピラー5Aを形成する場合には、ダミーピラーを省略することも可能である。また、シリコンピラー5A,5Bの形状は、例示する平面形状が矩形の場合に限定されず、円形(楕円形を含む)や6角形や8角形等の多角形状であっても良く、シリコンピラー5A,5Bとで矩形と円形等を組み合わせても良い。なお、シリコンピラー5の各幅W1〜W4は、長軸(又は長径)の幅を示す。このように、上部シリコンピラー5Aa、5Baは同時に形成されており、上部シリコンピラー5Aa、5Baの上方に残存するのは、キャップ絶縁膜4bとなる。ここで、ハードマスク4で覆われていないSTI2も、ドライエッチング法によって、活性領域3の露出面と同じ深さまで掘り下げる。なお、特に限定されるものではないが、活性領域3とSTI2の掘り下げは、夫々に最適なエッチングガスを用いて、個別にドライエッチングを行うことが好ましい。
【0037】
次に、図6に示すように、上部シリコンピラー5Aa、5Baの内壁面にサイドウォールマスク6を形成する。サイドウォールマスク6は、シリコン基板1の全面にシリコン酸化膜である保護絶縁膜6a及びシリコン窒化膜であるキャップ絶縁膜6bを形成した後、これをエッチバックすることにより形成することができる。保護絶縁膜6aは熱酸化法によりまたキャップ絶縁膜6bはCVD法で形成することができ、特に限定されるものではないが、保護絶縁膜6aの膜厚は約10nm、キャップ絶縁膜6bの膜厚は約15nmとすることができる。保護絶縁膜6aを形成することで、上部シリコンピラー5Aaのシリコン部分の幅は前記W1より狭くなり、約30nmとなり、上部シリコンピラー5Baのシリコン部分の幅は前記W3より狭くなり、約60nmとなる。また、上部シリコンピラー5Aa,5Baの高さも約5nm増加し、H1’は約55nmとなる。このようにして、保護絶縁膜6aの厚さt1が約10nmであるので、上部シリコンピラー5Aa、5Baの上面からキャップ絶縁膜6bの底面までの距離L2が約45nmとなったサイドウォールマスク6で、上部シリコンピラー5Aa、5Baが覆われている。本明細書においては、保護絶縁膜6a及びキャップ絶縁膜6bの積層膜を単に「サイドウォールマスク6」と呼ぶことがある。なお、活性領域3の外周面(STI側壁)にもキャップ絶縁膜6bが形成されるが、これもサイドウォールマスク6として機能する。なお、キャップ絶縁膜6bはシリコン窒化膜に代えてシリコン酸窒化膜で形成しても良い。シリコン窒化膜をシリコン酸窒化膜に交換することは保護絶縁膜6bに限定されず、STI2,キャップ絶縁膜4bについても適用可能である。
【0038】
次に、図7に示すように、ハードマスク4とサイドウォールマスク6をエッチングマスクに用いて、活性領域3の露出面を2回目のシリコンドライエッチングにより約100nmまで掘り下げる。このドライエッチング工程により、活性領域3の露出面に凹部が形成され、掘り下げられなかった部分はシリコン基板の主面に対してほぼ垂直で高さH2が約100nmとなった下部シリコンピラー5Ab、5Bbとなる。また、下部シリコンピラー5Abは第2の幅W2を有するように形成され、下部シリコンピラー5Bbは第4の幅W4を有するように形成される。ここでは、W2は約80nm、W4は約110nmとなる。また、下部シリコンピラー5Ab、5Bbの平面形状は、上部シリコンピラー5Aa、5Baの相似形となる。このように、下部シリコンピラー5Ab、5Bbは同時に形成することができる。シリコンピラー5は、半導体基板の法線方向に形成された幅の異なる2段の「下部シリコンピラー5b」と「上部シリコンピラー5a」で構成されており、その総高さは、約155nmとなる。また、図中の破線部で示したように、下部シリコンピラー5bの上面部と上部シリコンピラー5aの側面部で構成される段差を「第1の段差」と称する。
【0039】
次に、図8に示すように、下部シリコンピラー5Ab、5Bbの側面にサイドウォール絶縁膜7を形成する。サイドウォール絶縁膜7は、ハードマスク4、サイドウォールマスク6を残したまま、活性領域3の露出面を熱酸化により保護(不図示)した後、CVD法によるシリコン窒化膜を形成し、さらにこのシリコン窒化膜をエッチバックすることにより形成することができる。これにより、活性領域3の内周面(STI側壁)と、下部シリコンピラー5Ab、5Bbの側面全面とキャップ絶縁膜6bの側面の一部がサイドウォール絶縁膜7に覆われた状態となる。
【0040】
次に、図9に示すように、活性領域3の露出面となっている活性領域3の底面にシリコン酸化膜である絶縁膜8を熱酸化により形成する。このとき、下部シリコンピラー5Ab、5Bbの側面は、サイドウォール絶縁膜7によって覆われているので熱酸化されることはない。特に限定されるものではないが、例えば、絶縁膜8の膜厚は約40nmとすることができる。
【0041】
次に、図10に示すように、シリコンピラー5の下部周辺に第1の拡散層9を形成する。第1の拡散層9は、活性領域3の表面に形成された絶縁膜8を介して、シリコン基板1中の不純物とは反対の導電型を有する不純物をイオン注入することにより形成することができる。
【0042】
次に、図11に示すように、サイドウォール絶縁膜7をウェットエッチングにより除去する。これにより、活性領域3の底面に形成された絶縁膜8並びに下部シリコンピラー5Ab、5Bbの側面が露出した状態となる。上部シリコンピラー5Aa、5Baは、ハードマスク4及びサイドウォールマスク6で覆われたままである。ここで、キャップ絶縁膜4b、6bの一部も除去されるが、ウェットエッチング時間を制御することにより、キャップ絶縁膜6bを10nm程度の膜厚で残留させることができる。
【0043】
次に、図12に示すように、下部シリコンピラー5Ab、5Bbの側面にゲート絶縁膜を形成する前処理として、下部シリコンピラー5Ab、5Bbの側面に残留している熱酸化膜を等方性エッチングで除去する。この等方性エッチングをウェットエッチングで行う場合を一例にすると、このウェットエッチングで用いる薬液には、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜のエッチング速度が異なる(さらに正確には、シリコン窒化膜には作用せずに、シリコン酸化膜だけを除去する)フッ化水素(HF)が混入されている。このため、上部シリコンピラー5Aa、5Baの側面に残留しているサイドウォールマスク6のうち、キャップ絶縁膜6bは除去されずに、保護絶縁膜6aの一部が除去されて、空洞が生じることになる。さらに詳細に述べると、フッ化水素とフッ化アンモニウム(NHF)と水(HO)を夫々1.6%、39%、59%とした混合薬液によるシリコン酸化膜のエッチングレートは約20nm/分である。この薬液を用いて、熱酸化膜が残留しないように除去時間を十分長くして90秒間とすると、図12(a)の破線部を拡大した図12(c)に示したように、下部シリコンピラー5Abの上面と上部シリコンピラー5Aaの側面部の一部まで保護絶縁膜6aが除去された空洞10Aが形成されて、その大きさは奥行きX1が25nm、高さY1が約20nmとなる。この空洞10Aが形成されることによって、保護絶縁膜6aは膜減りするものの、保護絶縁膜4aまでの長さL3は約35nmとして残存する。また、絶縁膜8も約10nmの膜厚で残存する。逆に、除去時間を熱酸化膜厚に合わせた30秒間に調整すると、図12(d)に示したように、下部シリコンピラー5Abの上面の一部まで除去された空洞10Bが形成されて、その奥行きX2が約10nm、高さY2は保護絶縁膜6aの膜厚と同じく10nmとなる。この空洞10Bが形成されることによっても、保護絶縁膜6aは膜減りするが、保護絶縁膜4aまでの長さL4は上部シリコンピラー5Aaの高さである約55nm残存する。シリコンピラー5Bについても同様である。
【0044】
以上のように、本実施形態によると、残存した保護絶縁膜6aの長さは、空洞10Aが形成された場合にL3で約35nmとなっているが、20nm以上残存していれば良く、Y1が約20nmであることから、そのために必要な上部シリコンピラー5Aa、5Baの高さは40nm以上となる。これは、保護絶縁膜6bの膜厚によってもほとんど変化しない。本明細書においては、空洞10Aと空洞10Bを合わせて単に「空洞10」と呼ぶことがある。ここでは、許容される最長時間のウェットエッチングを行っても、保護絶縁膜6aが全て除去されないように、上部シリコンピラー5Aa、5Baの高さが設定されている。なお、STI2の掘り下げ量の設定も同様である。
【0045】
次に、図13に示すように、シリコンピラー5の露出面に、ゲート絶縁膜11A、11Bを同時に形成する。ゲート絶縁膜11は熱酸化により形成することができ、特に限定されるものではないが、これらの膜厚は約5nm以下であることが好ましい。なおゲート絶縁膜11は、膜厚が保護絶縁膜6aよりも薄く空洞10を埋められないので、空洞10はその容積を減少させて残留している。なお、図中の破線部で示したように、保護絶縁膜6a(第2の絶縁膜6a)とゲート絶縁膜11(第1の絶縁膜11)の接触部で構成される段差を「第2の段差」と称する。さらに、上部シリコンピラー5a(上部半導体ピラー5a)の側面は、ゲート絶縁膜11(第1の絶縁膜11)と保護絶縁膜6a(第2の絶縁膜6a)によって連続的に覆われている。
【0046】
次に、図14に示すように、シリコン基板1の全面に導電膜として約30nmの膜厚Tを有するポリシリコン膜12をCVD法により形成する。このとき、図14(a)の破線部を拡大した図14(c)に示すように、ポリシリコン膜12によって空洞10Aは完全に埋め込まれているが、空洞10Aの奥行き方向には保護絶縁膜6aが残留しているので、ポリシリコン膜12は空洞10Aの内部に留まっており、保護絶縁膜4aと接することは無い。この状況は、図14(d)に示したように、空洞10Bでも同様である。
【0047】
次に、図15に示すように、ポリシリコン膜12をエッチバックすることにより、ゲート電極13を形成することができる。これにより、シリコンピラー5Aの側面がゲート電極13Aで覆われた状態となり、シリコンピラー5Bの側面がゲート電極13Bで覆われた状態となる。また、STI2の側面にもポリシリコン膜12が残るが、このポリシリコン膜12はゲート電極として機能するものではない。また、シリコンピラー5A、5B間の距離L1がゲート電極13の膜厚Tの2倍未満に設定されていることから、シリコンピラー5Aとシリコンピラー5Bとの間の隙間に形成されたゲート電極13A、13Bは、互いに接触した状態となっている。なお、STI2の側面に残存するポリシリコン膜12がシリコンピラー5Aに近接している場合、STI2の側面に残存するポリシリコン膜12がフローティングゲートとして作用する場合もある。このような場合、ダミーピラーとなるシリコンピラー5Bのゲート電極13BとSTI2の側面に残存するポリシリコン膜12とが接続されるように配置して、電気的に接続することでフローティングゲートとして作用することを防止することもできる。また、ダミーピラーとなるシリコンピラー5Bを設けずに、シリコンピラー5AをSTIに近接配置して、ゲート電極13AをSTI2の側面に残存するポリシリコン膜12と接続するようにしても良い。この場合、後述するゲートコンタクトはSTI2の上方の任意の位置に設けることができる。縦型MOSトランジスタのゲート電極13AとSTI2の側壁ポリシリコン膜12とが電気的に分離している場合、STI2の側壁のポリシリコン膜12にフローティング状態となることを阻止する電位を印加する別の電極を設けても良い。
【0048】
次に、図16に示すように、シリコン基板1の全面にCVD法によりシリコン酸化膜からなる層間絶縁膜14を形成した後、層間絶縁膜14の表面をCMP法により研磨して平坦化する。このとき、キャップ絶縁膜4bがCMPストッパーとしての役割を果すので、層間絶縁膜14の膜厚を確実に制御することができる。こうして、活性領域3内は層間絶縁膜14で埋められた状態となる。
【0049】
次に、図17に示すように、シリコン基板1の全面にシリコン酸化膜からなるマスク酸化膜15を形成する。マスク酸化膜15はCVD法により形成することができ、マスク酸化膜15の膜厚は約20nmであることが好ましい。次に、シリコンピラー5Aの上方に形成された第1のマスク4Aを構成するキャップ絶縁膜4bが露出し、シリコンピラー5Bの上方の第2のマスク4Bを構成するキャップ絶縁膜4bが保護されるように、フォトリソグラフィとドライエッチング法によりマスク酸化膜15をパターニングする。
【0050】
次に、図18に示すように、露出したキャップ絶縁膜4bを異方性ドライエッチングにより除去することにより、シリコンピラー5Aの上方に保護絶縁膜4aを底面とするスルーホール16が形成される。この時、キャップ絶縁膜6bは、上部がテーパー状に形成されており、層間絶縁膜14で保護されているため、ほとんどエッチングされずに残る。このように、スルーホール16は、上部シリコンピラー5Aaを形成する際にマスクとして用いたキャップ絶縁膜4bを除去することにより形成されることから、上部シリコンピラー5Aaに対して自己整合的に形成されることになる。従って、第3の絶縁膜であるキャップ絶縁膜6bで囲まれたスルーホール16の平面形状は、上部シリコンピラー5Aaの上面形状に等しい。なお、ここでは、STI2上方のキャップ絶縁膜4bも除去しているが、STI2上方のキャップ絶縁膜4bは残存するようにマスク絶縁膜15で保護しても良い。
【0051】
次に、図19に示すように、シリコンピラー5Aの上部にLDD領域17を形成する。LDD領域17は、シリコンピラー5Aの上面に形成された保護絶縁膜4aを介して、シリコン基板1中の不純物と逆の導電型を有する低濃度の不純物を浅くイオン注入することにより形成することができる。
【0052】
次に、図20に示すように、スルーホール16の底部にある第1のマスク4Aを構成していた保護絶縁膜4aをドライエッチング等により除去し開口部を設け、シリコンピラー5Aの上面を露出させる。そして、スルーホール16の内部にシリコンエピタキシャル層18aを選択的エピタキシャル成長法により形成する。この時、STI2上の保護絶縁膜4aも除去されるが、キャップ絶縁膜4bを残存させた場合には除去されない。また、別途マスクで保護して残存させても良い。
【0053】
次に、図21に示すように、シリコンエピタキシャル層18aにシリコン基板中の不純物とは反対の導電型を有する高濃度の不純物をイオン注入することにより、第2の拡散層18が形成される。これにより、第2の拡散層18がシリコンピラー5Aに対して自己整合的に形成されることになる。なお、ここでは保護絶縁膜6aが残留しているので、ゲート電極13Aが第2の拡散層18と短絡することは無い。
【0054】
次に、図22に示すように、シリコン基板1の全面にCVD法によってシリコン酸化膜である層間絶縁膜19を形成した後、層間絶縁膜19の表面をCMP法により研磨して平坦化する。次に、フォトリソグラフィとドライエッチング法によるパターニングを行って、第1乃至第3のコンタクトホール20a乃至20cを形成する。第1のコンタクトホール20aは、シリコンピラー5Aの隣に設けられた活性領域3内の空き領域に形成され、層間絶縁膜19及び14と絶縁膜8を貫通して、第1の拡散層9まで達している。第2のコンタクトホール20bは、シリコンピラー5Aの直上に形成され、層間絶縁膜19を貫通して第2の拡散層18まで達している。第3のコンタクトホール20cは、シリコンピラー5Bの直上ではないが、シリコンピラー5Bの上方に形成され、層間絶縁膜19を貫通してゲート電極13Bまで達している。
【0055】
次に、図23に示すように、第1乃至第3のコンタクトホール20a乃至20c内にポリシリコンを埋め込むことにより、第1乃至第3のコンタクトプラグ21a乃至21cを形成する。第1のコンタクトプラグ(第1の拡散層コンタクト)21aは第1の拡散層9に接続され、第2のコンタクトプラグ(第2の拡散層コンタクト)21bは第2の拡散層18に接続され、第3のコンタクトプラブ(ゲートコンタクト)はゲート電極13Bに接続される。なお図23(b)は図23(a)のYY部における略透視平面図である。
【0056】
最後に、第1乃至第3のコンタクトプラグ21a乃至21cの上端部に配線層22を形成することにより、図1に示した本実施形態の半導体デバイス50が完成する。
【0057】
以上説明したように、本実施形態の半導体デバイス50の製造方法によれば、ゲート絶縁膜11を形成する前処理で、シリコンピラー5の側面に形成した熱酸化膜を等方性エッチングであるウェットエッチングで除去した際に、サイドウォールマスク6を構成する保護絶縁膜6aが一部溶解して除去される。保護絶縁膜6aの一部溶解で生じた空洞10には、ゲート電極13が充填されるが、残留した保護絶縁膜6aは、その後の工程で形成される第2の拡散層18を覆っているので、ゲート電極13と第2の拡散層18を短絡させることなく、電気的な絶縁性を十分に確保することができる。
【0058】
図24は、本発明の好ましい他の実施形態による半導体デバイス60を示す略断面図である。
【0059】
図24に示したように、本実施形態の半導体デバイス60は縦型MOSトランジスタを用いたDRAMセルであり、セルトランジスタとなる縦型MOSトランジスタの上方にはキャパシタ31が形成されている。セルトランジスタの構造は、図1に示した半導体デバイス50の縦型MOSトランジスタの構造と同様である。
【0060】
キャパシタ31は、シリンダ型の下部電極32と、基準電位配線36に接続された円柱型の上部電極33と、下部電極32と上部電極33との間に設けられた容量絶縁膜34によって構成されている。下部電極32は層間絶縁膜35を貫通するシリンダホール内に形成されており、ストレージノードコンタクト37を介して第2の拡散層18に接続されている。また、配線層のうち、第1の拡散層9に接続される部分はビットライン38として用いられ、ゲート電極13Bに接続される部分はワードライン39として用いられる。
【0061】
このように、本実施形態の半導体デバイス60によれば、縦型MOSトランジスタを用いた非常に小型なDRAMセルの電気的な絶縁を十分に確保して、短絡の発生を防止することで、その動作を安定させることができる。
【0062】
なお、DRAMのセルトランジスタを一つの素子分離された領域に複数形成する場合、セルトランジスタのそれぞれのキャパシタに印加する基準電位をそれぞれ制御することで、それぞれのセルトランジスタを個別に制御することが可能となる。
【0063】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0064】
1 シリコン基板
2 STI
3 活性領域
4 ハードマスク
4a 保護絶縁膜(第4の絶縁膜)
4b キャップ絶縁膜(第5の絶縁膜)
4A 第1のマスク
4B 第2のマスク
5 シリコンピラー
5A シリコンピラー
5Aa 上部シリコンピラー
5Ab 下部シリコンピラー
5B シリコンピラー(ダミーピラー)
5Ba 上部シリコンピラー
5Bb 下部シリコンピラー
6 サイドウォールマスク
6a 保護絶縁膜(第2の絶縁膜)
6b キャップ絶縁膜(第3の絶縁膜)
7 サイドウォール絶縁膜
8 絶縁膜
9 第1の拡散層(下部導電層)
10 空洞
11 ゲート絶縁膜(第1の絶縁膜)
12 ポリシリコン膜
13 ゲート電極(導電膜)
14 層間絶縁膜
15 マスク酸化膜
16 スルーホール
17 LDD領域
18 第2の拡散層(上部導電層)
18a シリコンエピタキシャル層
19 層間絶縁膜
20a〜20c 第1〜第3のコンタクトホール
21a 第1のコンタクトプラグ(第1の拡散層コンタクト)
21b 第2のコンタクトプラグ(第2の拡散層コンタクト)
21c 第3のコンタクトプラグ(ゲートコンタクト)
22 配線層
31 キャパシタ
32 下部電極
33 上部電極
34 容量絶縁膜
35 層間絶縁膜
36 基準電位配線
37 ストレージノードコンタクト
38 ビットライン
39 ワードライン
50、60 半導体デバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の法線方向の上部と下部に導電層を有する縦型MOSトランジスタを有する半導体デバイスであって、
前記縦型MOSトランジスタは、
半導体基板上面に第1の幅を有する上部と、前記第1の幅より大きい第2の幅を有する下部を有する第1の段差の形成された半導体ピラーと、
前記下部半導体ピラーの側面と前記第1の段差の少なくとも一部の上面に設けられた第1の絶縁膜と、
前記上部半導体ピラーの少なくとも一部の側面に設けられた第2の絶縁膜と、
前記第2の絶縁膜上から前記半導体ピラーの上面より上方に延在する第3の絶縁膜とを備えており、
前記半導体ピラーの側面は、前記第1及び前記第2の絶縁膜によって連続的に覆われている半導体デバイス。
【請求項2】
前記第2の絶縁膜と前記第3の絶縁膜は互いに異なる材料で構成されている請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項3】
前記第2の絶縁膜がシリコン酸化膜であり、前記第3の絶縁膜がシリコン窒化膜あるいはシリコン酸窒化膜である請求項2に記載の半導体デバイス。
【請求項4】
前記第2の絶縁膜が前記第1の絶縁膜よりも厚い請求項1乃至3のいずれかに記載の半導体デバイス。
【請求項5】
さらに、前記第1の絶縁膜全面と前記第3の絶縁膜の少なくとも一部を覆い、前記第2の絶縁膜と前記第1の絶縁膜との接続部に形成される第2の段差を充填するように設けられた導電膜を備えている請求項4に記載の半導体デバイス。
【請求項6】
前記半導体ピラーの上面に前記上部導電層を備えており、
前記上部導電層と前記導電膜とが、少なくとも前記第2及び第3の絶縁膜によって絶縁されている請求項5に記載の半導体デバイス。
【請求項7】
前記第3の絶縁膜の一部は前記第2の絶縁膜を介して前記上部半導体ピラーと接しており、前記第3の絶縁膜の底部は前記第1の絶縁膜と前記導電膜を介して前記下部半導体ピラーと接している請求項5又は6に記載の半導体デバイス。
【請求項8】
前記第1の絶縁膜がゲート絶縁膜であり、前記導電膜がゲート電極である請求項5乃至7のいずれかに記載の半導体デバイス。
【請求項9】
前記縦型MOSトランジスタを構成する半導体ピラーと隣接しているダミーピラーを備えており、
前記ダミーピラーは、
半導体基板上面に第3の幅を有する上部と、前記第3の幅より大きい第4の幅を有する下部を備えた第1の段差の形成された半導体ピラーと、
前記第4の幅を有する下部半導体ピラーの側面と前記第1の段差の少なくとも一部の上面に設けられた前記第1の絶縁膜と、
前記第3の幅を有する上部半導体ピラーの少なくとも一部の側面に設けられた前記第2の絶縁膜と、
前記第2の絶縁膜上から前記第3の幅を有する上部半導体ピラー上面より上方に延在する前記第3の絶縁膜と、
前記第3の幅を有する上部半導体ピラー上面に前記第3の幅を有する上部半導体ピラーの水平断面と同形状の水平断面を有する第4及び第5の絶縁膜を
を備えており、
前記ダミーピラーの側面は、前記第1及び前記第2の絶縁膜によって連続的に覆われており、
前記ダミーピラーの前記第1の絶縁膜全面と前記第3の絶縁膜の少なくとも一部を覆い、前記第2の絶縁膜と前記第1の絶縁膜との接続部に形成される第2の段差を充填するように設けられた導電膜と縦型MOSトランジスタを構成する半導体ピラーに設けられた前記導電膜とが接続されている請求項5乃至8のいずれかに記載の半導体デバイス。
【請求項10】
前記ダミーピラー上部の第3の幅は縦型MOSトランジスタを構成する半導体ピラー上部の第1の幅より広く、前記ダミーピラー下部の第4の幅は縦型MOSトランジスタを構成する半導体ピラー下部の第2の幅より広い請求項9に記載の半導体デバイス。
【請求項11】
前記導電膜が縦型MOSトランジスタを構成する半導体ピラーにおけるゲート電極であり、該ゲート電極に、前記ダミーピラー上方に形成さたコンタクトが前記ダミーピラーに設けられた導電膜を介して電気的に接続されている請求項9又は10に記載の半導体デバイス。
【請求項12】
前記縦型MOSトランジスタの上部導電層に電気的に接続されるキャパシタを有する請求項1乃至11のいずれかに記載の半導体デバイス。
【請求項13】
半導体基板の法線方向の上部と下部に導電層を有する縦型MOSトランジスタを有する半導体デバイスの製造方法であって、
半導体基板上にマスク膜を形成する工程と、
前記マスク膜をマスクとして前記半導体基板を法線方向にエッチングして、前記縦型MOSトランジスタを構成する第1の幅を有する上部半導体ピラーを形成する工程と、
前記上部半導体ピラーの側面に第2の絶縁膜を形成する工程と、
前記第2の絶縁膜及び前記マスク膜の側面を覆うように第3の絶縁膜を形成する工程と、
前記第3の絶縁膜をマスクとして前記上部半導体ピラーの下方に前記第1の幅より大きい第2の幅を有する、前記縦型MOSトランジスタを構成する下部半導体ピラーを形成する工程と、
前記下部半導体ピラーの側面を覆い、前記第3の絶縁膜上に延在するサイドウォール絶縁膜を形成する工程と、
前記半導体基板の露出面に熱酸化膜を形成する工程と、
前記熱酸化膜を介して半導体基板に下部導電層となる第1の拡散層用の不純物を注入する工程と
前記サイドウォール絶縁膜を除去し、前記下部半導体ピラー側面を露出する等方性エッチングを行う工程と、
前記下部半導体ピラーの露出面に第1の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜と前記第3の絶縁膜上に導電膜を形成する工程と、
を備えている半導体デバイスの製造方法。
【請求項14】
前記下部半導体ピラー側面を露出するための等方性エッチングに際して、前記第3の絶縁膜は前記第2の絶縁膜よりもエッチング速度が遅い材料である請求項13に記載の半導体デバイスの製造方法。
【請求項15】
前記第2の絶縁膜がシリコン酸化膜であり、前記第3の絶縁膜がシリコン窒化膜あるいはシリコン酸窒化膜である請求項13又は14に記載の半導体デバイスの製造方法。
【請求項16】
前記第1の絶縁膜と前記第3の絶縁膜上に導電膜を形成する工程の後、前記マスク膜の高さまで層間絶縁膜を形成する工程と、
前記縦型MOSトランジスタを構成する上部半導体ピラー上の前記マスク膜を除去する工程と、
露出した前記上部半導体ピラーの上面に上部導電層となる半導体層を形成する工程と、
前記半導体層に不純物を注入して第2の拡散層を形成する工程と
をさらに有する請求項13乃至15のいずれかに記載の半導体デバイスの製造方法。
【請求項17】
前記半導体基板上にマスク膜を形成する工程は、縦型MOSトランジスタを構成する第1の幅を有する上部半導体ピラーを形成する第1のマスクと、第1のマスク膜に隣接して第3の幅を有する第2のマスクを形成し、前記上部半導体ピラーを形成する工程において、ダミーピラーとなる第3の幅を有する上部半導体ピラーを同時に形成する請求項13乃至16のいずれかに記載の半導体デバイスの製造方法。
【請求項18】
前記第3の幅は前記第1の幅より大きい請求項17に記載の半導体デバイスの製造方法。
【請求項19】
前記ダミーピラーとなる第3の幅を有する上部半導体ピラーの側面に、縦型MOSトランジスタを構成する第1の幅を有する上部半導体ピラーと同時に第2の絶縁膜及び第3の絶縁膜を形成し、前記第3の絶縁膜をマスクとして前記ダミーピラーとなる第3の幅を有する上部半導体ピラーの下方に前記第3の幅より大きい第4の幅を有する下部半導体ピラーを形成する請求項17又は18に記載の半導体デバイスの製造方法。
【請求項20】
縦型MOSトランジスタを構成する第2の幅を有する下部半導体ピラーと前記ダミーピラーとなる第4の幅を有する下部半導体ピラーの側面に前記第1の絶縁膜を介して設けられる導電膜が少なくとも接続されるように前記第2の幅を有する下部半導体ピラーと前記第4の幅を有する下部半導体ピラーが配置されており、前記導電膜がゲート電極であり、該ゲート電極に接続されるコンタクトを前記ダミーピラー上方に形成する工程を有する請求項17乃至19のいずれかに記載の半導体デバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2012−54334(P2012−54334A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−194448(P2010−194448)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【Fターム(参考)】