説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】適切な高い動作電圧を有するN型およびP型トランジスタ、ならびに適切な低い動作電圧を有するN型およびP型トランジスタを備えた半導体装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の一態様に係る半導体装置1は、半導体基板2上に形成されたHVNトランジスタ10と、HVPトランジスタ20と、LVNトランジスタ30と、LVPトランジスタ40と、抵抗素子50を有する。LVNトランジスタ30は、絶縁体層31a、La層31bおよび高誘電率絶縁体層31cからなるゲート絶縁膜31と、金属層32aおよび半導体層32bからなるゲート電極32を有する。LVPトランジスタ40は、絶縁体層41a、Al層41bおよび高誘電率絶縁体層41cからなるゲート絶縁膜41と、金属層42aおよび半導体層42bからなるゲート電極41を有する。抵抗素子50は、絶縁体材料からなる第1の層51と、半導体材料からなる第2の層52を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)のゲート絶縁膜に高誘電率材料からなる膜を用いて、物理的膜厚を厚くしてゲートリークの発生を抑えつつ、電気的な膜厚を薄くする提案がなされている。この高誘電率材料としては、例えば、HfO等のHf化合物、ZrO等のZr化合物が用いられる。
【0003】
また、N型MOSFETの閾値電圧を下げるためにHfOからなる高誘電率ゲート絶縁膜上にLa膜をキャップする技術が知られている(例えば、非特許文献1参照)。また、P型MOSFETの閾値電圧を下げるためにHfSiONからなる高誘電率ゲート絶縁膜上にAl膜をキャップする技術が知られている(例えば、非特許文献2参照)。
【0004】
さらに、N型MOSFETの閾値電圧を下げるためには、チャネル上に形成されるSiOあるいはSiONからなる界面絶縁層と、HfOやHfSiON等のHf化合物からなる高誘電率ゲート絶縁膜との界面にLaが存在することが要されることが知られている(例えば、非特許文献3参照)。
【非特許文献1】V. Narayanan et al., 2006 Symposium On VLSI Technology Digest of Technical Papers, pp.224
【非特許文献2】関根克行他、2006年秋季応用物理学学術講演会講演予稿集
【非特許文献3】Y. Yamamoto et al., Extended Abstracts of the 2006 International Conference on Solid State Devices and Materials, pp.212
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、適切な高い動作電圧を有するN型およびP型トランジスタ、ならびに適切な低い動作電圧を有するN型およびP型トランジスタを備えた半導体装置およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、半導体基板内に素子分離領域を形成し、前記半導体基板上の前記素子分離領域に分離された第1、第2、第3、および第4の領域を形成する工程と、前記第1、第2の領域上に第1の絶縁膜を形成する工程と、前記第1の絶縁膜上に第1の半導体膜を形成する工程と、前記第1の半導体膜形成後、前記第4の領域上に第2の絶縁膜を形成し、前記第2の絶縁膜上に酸化アルミニウム膜を形成する工程と、前記第1の半導体膜形成後、前記第3の領域上に第3の絶縁膜を形成し、前記第3の絶縁膜上に酸化ランタン膜を形成する工程と、前記酸化アルミニウム膜および前記酸化ランタン膜上に高誘電率絶縁膜を形成する工程と、前記高誘電率絶縁膜上に金属膜を形成する工程と、前記第1の半導体膜および前記金属膜上に第2の半導体膜を形成する工程と、前記第1の絶縁膜、前記第1の半導体膜、前記第2の絶縁膜、前記酸化アルミニウム膜、前記第3の絶縁膜、前記酸化ランタン膜、前記高誘電率絶縁膜、前記金属膜、および前記第2の半導体膜をパターニングする工程と、を含む半導体装置の製造方法を提供する。
【0007】
また、本発明の他の態様は、半導体基板内に素子分離領域を形成し、前記半導体基板上の前記素子分離領域に分離された第1、第2、第3、および第4の領域、ならびに前記素子分離領域上の第5の領域を形成する工程と、前記第1、第2、および第5の領域上に第1の絶縁膜を形成する工程と、前記第1の絶縁膜上に第1の半導体膜を形成する工程と、前記第1の半導体膜形成後、前記第4の領域上に第2の絶縁膜を形成し、前記第2の絶縁膜上に酸化アルミニウム膜を形成する工程と、前記第1の半導体膜形成後、前記第3の領域上に第3の絶縁膜を形成し、前記第3の絶縁膜上に酸化ランタン膜を形成する工程と、前記酸化アルミニウム膜および前記酸化ランタン膜上に高誘電率絶縁膜を形成する工程と、前記高誘電率絶縁膜上に金属膜を形成する工程と、前記第1の半導体膜および前記金属膜上に第2の半導体膜を形成する工程と、前記第1の絶縁膜、前記第1の半導体膜、前記第2の絶縁膜、前記酸化アルミニウム膜、前記第3の絶縁膜、前記酸化ランタン膜、前記高誘電率絶縁膜、前記金属膜、および前記第2の半導体膜をパターニングする工程と、を含む半導体装置の製造方法を提供する。
【0008】
また、本発明の他の態様は、半導体基板上に形成され、第1の絶縁体層からなるゲート絶縁膜および第1の半導体層からなるゲート電極を有する第1のN型トランジスタと、前記半導体基板上に形成され、前記第1の絶縁体層からなるゲート絶縁膜および前記第1の半導体層からなるゲート電極を有する第1のP型トランジスタと、前記半導体基板上に形成され、第2の絶縁体層、前記第2の絶縁体層上の酸化ランタン層、および前記酸化ランタン層上の高誘電率絶縁体層からなるゲート絶縁膜ならびに金属層および前記金属層上の第2の半導体層からなるゲート電極を有し、前記第1のN型トランジスタよりも低い動作電圧を有する第2のN型トランジスタと、前記半導体基板上に形成され、第3の絶縁体層、前記第3の絶縁体層上の酸化アルミニウム層、および前記酸化アルミニウム層上の前記高誘電率絶縁体層からなるゲート絶縁膜ならびに前記金属層および前記金属層上の前記第2の半導体層からなるゲート電極を有し、前記第1のP型トランジスタよりも低い動作電圧を有する第2のP型トランジスタと、を有する半導体装置を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、適切な高い動作電圧を有するN型およびP型トランジスタ、ならびに適切な低い動作電圧を有するN型およびP型トランジスタを備えた半導体装置およびその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
〔第1の実施の形態〕
(半導体装置の構成)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置1の断面図である。半導体装置1は、半導体基板2上に、素子分離領域3により電気的に分離された高い動作電圧を有するN型トランジスタ10(以下、HVNトランジスタ10)、高い動作電圧を有するP型トランジスタ20(以下、HVPトランジスタ20)、低い動作電圧を有するN型トランジスタ30(以下、LVNトランジスタ30)、および低い動作電圧を有するP型トランジスタ40(以下、LVPトランジスタ40)、ならびに素子分離領域3上に形成された抵抗素子50を有する。
【0011】
半導体基板2は、Si結晶等のSi系結晶からなる。
【0012】
素子分離領域3は、例えば、SiO等の絶縁材料からなり、STI(Shallow Trench Isolation)構造を有する。
【0013】
HVNトランジスタ10は、ゲート絶縁膜11、ゲート電極12、ゲート側壁13、およびソース・ドレイン領域14を有する。ゲート電極12は、下層12aおよび上層12bからなる。
【0014】
HVPトランジスタ20は、ゲート絶縁膜21、ゲート電極22、ゲート側壁23、およびソース・ドレイン領域24を有する。ゲート電極22は、下層22aおよび上層22bからなる。
【0015】
LVNトランジスタ30は、ゲート絶縁膜31、ゲート電極32、ゲート側壁33、およびソース・ドレイン領域34を有する。ゲート絶縁膜31は、絶縁体層31a、絶縁体層31a上のLa層31b、La層31b上の高誘電率絶縁体層31cからなる。ゲート電極32は、金属層32aおよび半導体層32bからなる。LVNトランジスタ30は、HVNトランジスタ10よりも低い動作電圧を有する。
【0016】
LVPトランジスタ40は、ゲート絶縁膜41、ゲート電極42、ゲート側壁43、およびソース・ドレイン領域44を有する。ゲート絶縁膜41は、絶縁体層41a、絶縁体層41a上のAl層41b、Al層41b上の高誘電率絶縁体層41cからなる。ゲート電極42は、金属層42aおよび半導体層42bからなる。LVPトランジスタ40は、HVPトランジスタ20よりも低い動作電圧を有する。
【0017】
抵抗素子50は、第1の層51、第1の層51上の第2の層52、および側壁53を有する。第2の層52は、下層52aおよび上層52bからなる。抵抗素子50は、例えば、中抵抗素子、eフューズ(electronic fuse)として働く素子であり、半導体装置1の回路に悪影響を及ぼす大きさの電流が抵抗素子50に流れた場合に第2の層52が断線する。そのため、第2の層52はある程度の大きさの電気抵抗を有する必要があり、金属からなる層を含まない。
【0018】
ゲート絶縁膜11、21、絶縁体層31a、41a、および第1の層51は、SiO、SiON等の絶縁材料からなる。また、ゲート絶縁膜11、21、および第1の層51は、同一の膜をパターニングすることにより形成され、同一の材料からなることが好ましい。また、ゲート絶縁膜11および21は、同じ膜厚を有しており、絶縁体層31a、41aの膜厚は、ゲート絶縁膜11、21の膜厚よりも薄く形成されている。
【0019】
下層12a、22a、52a、上層12b、22b、52b、および半導体層32b、42bは、Si結晶等のSiを主成分とする結晶からなる。また、上層12b、22b、52b、および半導体層32b、42bは、同一の膜をパターニングすることにより形成され、同一の材料からなることが好ましい。
【0020】
La層31bは、Laからなる。La層31bは、高誘電率絶縁体層31cと組み合わせて用いることにより、N型トランジスタの閾値電圧を低下させる作用を有する。また、La層31bは、絶縁体層31aと高誘電率絶縁体層31cの間に形成されており、絶縁体層31aの下に形成される場合よりも、LVNトランジスタ30の閾値電圧を小さくすることができる。
【0021】
Al層41bは、Alからなる。Al層41bは、高誘電率絶縁体層41cと組み合わせて用いることにより、P型トランジスタの閾値電圧を低下させる作用を有する。また、Al層41bは、絶縁体層41aと高誘電率絶縁体層41cの間に形成されており、絶縁体層41aの下に形成される場合よりも、LVPトランジスタ40の閾値電圧を小さくすることができる。
【0022】
高誘電率絶縁体層31c、41cは、HfO、HfON、HfSiO、HfSiON、ZrO、ZrON、ZrSiO、ZrSiON、HfZrO、HfZrON、HfZrSiO、HfZrSiON等の高誘電率材料からなる。また、高誘電率絶縁体層31c、41cは、同一の膜をパターニングすることにより形成され、同一の材料からなることが好ましい。高誘電率絶縁体層31c、41cを用いることにより、ゲート絶縁膜31、41の物理的膜厚を厚くしてゲートリークの発生を抑えつつ、電気的な膜厚を薄くすることができる。
【0023】
金属層32a、42aは、TiN、MoN、TaC、WN、TiAlN等の金属からなる。また、金属層32a、42aは、同一の材料からなる。ゲート絶縁膜31、41は、ゲート絶縁膜11、21よりも電気的な膜厚が薄いが、金属層32a、42aを用いることにより、ゲート電極32、42の空乏化を防ぐことができる。
【0024】
ゲート側壁13、23、33、43、および側壁53は、SiNやSiO等の絶縁膜、またはこれらの積層体からなる。
【0025】
ソース・ドレイン領域14、34は、As、P等のN型不純物を半導体基板2のHVNトランジスタ10の領域およびLVNトランジスタ30の領域に注入することにより形成される。また、ソース・ドレイン領域24、44は、B、BF等のP型不純物を半導体基板2のHVPトランジスタ20の領域およびLVPトランジスタ40の領域に注入することにより形成される。
【0026】
また、LVPトランジスタ40は、SiGe結晶層45上に形成される。これにより、LVPトランジスタ40のチャネル領域がSiGe結晶層45内に形成されるため、LVPトランジスタ40の閾値電圧をより小さくすることができる。
【0027】
上記した本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置では次のような効果を得ることができる。すなわち、ゲート絶縁膜11および21が同じ膜厚を有しているため、HVNトランジスタ10およびHVPトランジスタ20の反転膜厚の広がりを防止することができる。
【0028】
以下に、本実施の形態に係る半導体装置1の製造方法の一例を示す。
【0029】
(半導体装置の製造方法)
図2A(a)〜(d)、図2B(e)〜(h)、図2C(i)〜(k)は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置1の製造工程を示す断面図である。
【0030】
まず、図2A(a)に示すように、半導体基板2上に素子分離領域3を形成してHVNトランジスタ10を形成するHVNトランジスタ領域10R、HVPトランジスタ20を形成するHVPトランジスタ20R、LVNトランジスタ30を形成するLVNトランジスタ領域30R、LVPトランジスタ40を形成するLVPトランジスタ領域40Rを分離した後、LVPトランジスタ領域40Rの半導体基板2の表面にSiGe結晶層45を形成する。なお、SiGe結晶層45上に厚さ0.5〜3nmのSi結晶膜をエピタキシャル成長させてもよい。
【0031】
また、本実施の形態においては、HVPトランジスタ20RとLVNトランジスタ30との間の素子分離領域3上の領域を抵抗素子50を形成するための抵抗素子領域50Rとして用いる。
【0032】
ここで、素子分離領域3は、例えば、次の様な工程により形成される。まず、例えば、フォトリソグラフィ法とRIE(Reactive Ion Etching)法を用いて半導体基板2に溝を形成する。次に、PVD(Physical Vapor Deposition)法およびCVD(Chemical Vapor Deposition)法により、その溝にSiO膜を堆積させた後、これをCMP(Chemical Mechanical Polishing)法により平坦化して、素子分離領域3に加工する。
【0033】
また、図示しないが、素子分離領域3を形成した後、イオン注入法により導電型不純物を半導体基板2内に注入し、HVNトランジスタ領域10R、HVPトランジスタ20R、LVNトランジスタ領域30R、およびLVPトランジスタ領域40Rのそれぞれにウェル(図示しない)を形成する。ここで、ウェルを形成するために、HVNトランジスタ領域10RおよびLVNトランジスタ領域30RにはP等のn型不純物が注入され、HVPトランジスタ20RおよびLVPトランジスタ領域40RにはB等のp型不純物が注入される。ウェル内の導電型不純物は、RTA(Rapid Thermal Annealing)等の熱処理により活性化される。
【0034】
また、SiGe結晶層45は、例えば、次の様な工程により形成される。まず、LVPトランジスタ領域40Rの半導体基板2の表面の高さをエッチングにより下げる。その後、高さを下げた半導体基板2の表面を下地としてSiGe結晶をエピタキシャル成長させ、SiGe結晶層45を得る。
【0035】
次に、図2A(b)に示すように、HVNトランジスタ領域10R、HVPトランジスタ20R、および抵抗素子領域50Rの半導体基板2および素子分離領域3上に絶縁膜60および半導体膜61を形成する。
【0036】
ここで、絶縁膜60および半導体膜61は、CVD法等により半導体基板2上に成膜された後、HVNトランジスタ領域10R、HVPトランジスタ20R、および抵抗素子領域50R以外の領域に形成された部分をフォトリソグラフィ法を用いて選択的に除去することにより形成される。絶縁膜60は、後の工程においてゲート絶縁膜11、21、および第1の層51に加工される膜である。また、半導体膜61は、後の工程において下層12a、22a、52aに加工される膜である。
【0037】
また、半導体膜61は、ピンホールの発生を抑えるために1nm以上の厚さに形成されることが好ましく、また、加工容易性を確保するために40nm以下、特に20nm以下の厚さに形成されることが好ましい。また、成膜時の半導体膜61は、非晶質でも多結晶でもよい。
【0038】
次に、図2A(c)に示すように、LVNトランジスタ領域30RおよびLVPトランジスタ領域40Rの半導体基板2上ならびに半導体膜61上に、絶縁膜62およびAl膜63を形成する。さらに、フォトリソグラフィ法によりLVPトランジスタ領域40RのAl膜63上にレジスト70aを形成する。
【0039】
ここで、絶縁膜62は、CVD法や酸化処理等により形成される。Al膜63は、例えば、PVD法等によりAl膜を0.2〜1.5nmの厚さに成膜した後、これを大気に曝すことにより形成される。絶縁膜62は、後の工程において絶縁体層41aに加工される膜である。また、Al膜63は、後の工程においてAl層41bに加工される膜である。
【0040】
次に、図2A(d)に示すように、レジスト70aをマスクとして用いてAl膜63および絶縁膜62をエッチングし、LVPトランジスタ領域40R以外の領域に位置する部分を除去する。Al膜63のエッチングには、例えば、NHOH/H混合液等のアルカリ薬液が用いられる。なお、絶縁膜60上には半導体膜61が設けられているため、Al膜63をエッチングする際に絶縁膜60を削るおそれがない。また、LVNトランジスタ領域30Rの絶縁膜62は除去されなくてもよい。Al膜63のエッチング後、残ったレジスト70aを水素等を用いて灰化し、除去する。
【0041】
次に、図2B(e)に示すように、LVNトランジスタ領域30Rの半導体基板2の表面にO水やH水を用いたウェット処理、酸化雰囲気中での熱処理等による酸化処理を施し、SiOからなる絶縁膜65を形成する。なお、この工程において、図2B(e)に示すように、半導体膜61の表面に絶縁膜64が形成されてもよい。
【0042】
ここで、絶縁膜65は、後の工程において絶縁体層31aに加工される膜である。
【0043】
次に、図2B(f)に示すように、絶縁膜64上、絶縁膜65上、およびAl膜63上にLa膜66を形成する。さらに、フォトリソグラフィ法によりLVNトランジスタ領域30RのLa膜66上にレジスト70bを形成する。
【0044】
ここで、La膜66は、例えば、PVD法等によりLa膜を0.1〜1.0nmさらに望ましくは0.1〜0.5nmの厚さに成膜した後、これを大気に曝すことにより形成される。La膜66は、後の工程においてLa層31bに加工される膜である。
【0045】
次に、図2B(g)に示すように、レジスト70bをマスクとして用いてLa膜66をエッチングし、LVNトランジスタ領域30R以外の領域に位置する部分を除去する。La膜66のエッチングには、例えば、希釈したHCl水溶液等が用いられる。希釈したHCl水溶液によりLa膜66をエッチングする場合は、Al膜63や絶縁膜64との選択比が十分に確保できるため、これらの厚さがトランジスタの動作に影響を及ぼすほど薄くなるおそれはない。La膜66のエッチング後、残ったレジスト70bを水素ガス等を用いて灰化し、除去する。
【0046】
なお、LVNトランジスタ領域30RのLa膜66と、LVPトランジスタ領域40RのAl膜63を形成する順序は逆であってもよい。
【0047】
次に、図2B(h)に示すように、絶縁膜64上、La膜66上、およびAl膜63上に、高誘電率絶縁体膜67および金属膜68を形成する。さらに、フォトリソグラフィ法によりLVNトランジスタ領域30RおよびLVPトランジスタ領域40Rの金属膜68上にレジスト70cを形成する。
【0048】
ここで、高誘電率絶縁体膜67がHfSiONからなる場合は、例えば、CVD法等によりHfSiO膜を成膜下後、これに窒化処理および熱処理を施すことにより形成される。また、金属膜68は、PVD法等により形成される。高誘電率絶縁体膜67は、後の工程において高誘電率絶縁体層31c、41cに加工される膜である。また、金属膜68は、後の工程において金属層32a、42aに加工される膜である。
【0049】
次に、図2C(i)に示すように、レジスト70cをマスクとして用いて高誘電率絶縁体膜67および金属膜68をエッチングし、LVNトランジスタ領域30RおよびLVPトランジスタ領域40R以外の領域に位置する部分を除去する。また、絶縁膜64もエッチングにより除去する。高誘電率絶縁体膜67、金属膜68、および絶縁膜64のエッチング後、残ったレジスト70cを水素ガス等を用いて灰化し、除去する。
【0050】
次に、図2C(j)に示すように、半導体膜61上および金属膜68上に、半導体膜69を形成する。
【0051】
ここで、半導体膜69は、CVD法等により形成される。半導体膜69は、後の工程において上層12b、22b、52b、および半導体層32b、42bに加工される膜である。
【0052】
次に、図2C(k)に示すように、半導体膜69、半導体膜61、絶縁膜60、金属膜68、高誘電率絶縁体膜67、La膜66、Al膜63、絶縁膜65、および絶縁膜62をパターニングする。これにより、HVNトランジスタ領域10Rのゲート絶縁膜11、下層12aおよび上層12b、HVPトランジスタ領域20Rのゲート絶縁膜21、下層22aおよび上層22b、LVNトランジスタ領域30Rの絶縁体層31a、La層31b、高誘電率絶縁体層31c、金属層32a、および半導体層32b、LVPトランジスタ領域40Rの絶縁体層41a、Al層41b、高誘電率絶縁体層41c、金属層42a、および半導体層42b、ならびに抵抗素子領域50Rの第1の層51、下層52a、および上層52bを形成する。
【0053】
その後、イオン注入法等によりソース・ドレイン領域14、24、34、44を形成し、CVD法およびRIE法等によりゲート側壁13、23、33、43、および側壁53を形成して、図1に示す半導体装置1を得る。
【0054】
なお、ソース・ドレイン領域14、24、34、44、上層12b、22b、および半導体層32b、42bの上部に金属シリサイド層を形成してもよい。なお、抵抗素子50の電気抵抗を低下させないために、上層52bの上部には金属シリサイド層を形成しない。
【0055】
(第1の実施の形態の効果)
本発明の第1の実施の形態によれば、メタルゲートとして働く金属層12a、22aを用いることにより、ゲート電極12、22の空乏化を防ぐことができる。一方、抵抗素子50は金属からなる層を含まないため、フューズとして働くために必要な程度の大きさの電気抵抗を有する。
【0056】
また、LVPトランジスタ領域40RのAl膜63をパターニングした後にLVNトランジスタ領域30Rの絶縁膜65を形成するため、Al膜63をパターニングする際に絶縁膜65を削るおそれがない。これにより、ゲート絶縁膜31の絶縁体層31aが薄くなることを防止でき、その結果、絶縁体層31aと絶縁体層41aの膜厚をほぼ等しくすることができる。
【0057】
また、Al膜63をパターニングする際に、絶縁膜60上に半導体膜61が設けられているため、絶縁膜60が削れて薄くなるおそれがない。これにより、ゲート絶縁膜11、21が薄くなることを防止できる。
【0058】
上記の効果により、HVNトランジスタ10、HVPトランジスタ20、VNトランジスタ30、およびLVPトランジスタ40に適切な閾値電圧を設定し、また、フューズとして働く抵抗素子50に適切な電気抵抗値を設定することができる。
【0059】
〔第2の実施の形態〕
本発明の第2の実施の形態は、半導体装置1のAl膜63をパターニングする際のマスクとして、レジスト膜70aの他にハードマスクを用いる点において、第1の実施の形態と異なる。
【0060】
Al膜63のエッチングには、例えば、NHOH/H混合液等のアルカリ薬液が用いられるが、レジスト膜70aのアルカリ薬液に対する耐性があまり高くないために、Al膜63のエッチング中にレジスト膜70aが削れて小さくなる(レジスト膜70aのパターンエッジが後退する)場合がある。エッチング中にレジスト膜70aが小さくなると、Al膜63に形成されるパターンが小さくなり、Al層41bを形成するために必要な幅または厚さを確保できなくなるおそれがある。そのため、本実施の形態では、Al膜63をパターニングする際のマスクとして、レジスト膜70aの他にハードマスクを用いて、Al膜63を所望の大きさにパターニングする。
【0061】
なお、その他の第1の実施の形態と同様の点については説明を省略または簡略化する。
【0062】
(半導体装置の製造)
図3(a)〜(d)は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置1の製造工程を示す断面図である。
【0063】
まず、図2A(a)〜(c)に示したAl膜63を形成するまでの工程を第1の実施の形態と同様に行う。
【0064】
次に、図3(a)に示すように、Al膜63上にハードマスク71を形成し、フォトリソグラフィ法によりLVPトランジスタ領域40RのAl膜63上にレジスト70aを形成する。
【0065】
ここで、ハードマスク71は、Al膜63との選択比が十分に確保できる材料、例えば、TiN等の金属からなる。ハードマスク71は、金属膜68と同一の材料からなる膜であってもよい。また、ハードマスク71は、PVD法等により形成される。
【0066】
次に、図3(b)に示すように、レジスト70aをマスクとして用いてハードマスク71をエッチングし、LVPトランジスタ領域40R以外の領域に位置する部分を除去する。
【0067】
次に、図3(c)に示すように、レジスト70aおよびハードマスク71をマスクとして用いてAl膜63をエッチングし、LVPトランジスタ領域40R以外の領域に位置する部分を除去する。
【0068】
ここで、図3(c)に示すように、Al膜63のエッチング中にレジスト70aが削れてなくなってしまう場合でも、ハードマスク71がエッチングマスクとして働くため、Al膜63を所望の大きさにパターニングすることができる。
【0069】
次に、図3(d)に示すように、ハードマスク71をマスクとして用いて絶縁膜62をエッチングし、LVPトランジスタ領域40R以外の領域に位置する部分を除去した後、ハードマスク71を除去する。なお、LVNトランジスタ領域30Rの絶縁膜62は除去されなくてもよい。
【0070】
その後、図2B(e)に示した工程以降の工程を第1の実施の形態と同様に行い、図1に示す半導体装置1を得る。
【0071】
〔他の実施の形態〕
本発明は、上記各実施の形態に限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施が可能である。また、発明の主旨を逸脱しない範囲内において上記各実施の形態の構成要素を任意に組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の断面図。
【図2A】(a)〜(d)は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図。
【図2B】(e)〜(h)は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図。
【図2C】(i)〜(k)は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図。
【図3】(a)〜(d)は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図。
【符号の説明】
【0073】
1 半導体装置、 2 半導体基板、 10 HVNトランジスタ、 20 HVPトランジスタ、 30 LVNトランジスタ、 40 LVPトランジスタ、 11、12、31、41 ゲート絶縁膜、 12、22、32、42 ゲート電極、 31a、41a 絶縁体層、 31b La層、 41b Al層、 31c、41c 高誘電率絶縁体層、 32a、42a 金属層、 32b、42b 半導体層、 50 抵抗素子、 51 第1の層、 52 第2の層


【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板内に素子分離領域を形成し、前記半導体基板上の前記素子分離領域に分離された第1、第2、第3、および第4の領域を形成する工程と、
前記第1、第2の領域上に第1の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜上に第1の半導体膜を形成する工程と、
前記第1の半導体膜形成後、前記第4の領域上に第2の絶縁膜を形成し、前記第2の絶縁膜上に酸化アルミニウム膜を形成する工程と、
前記第1の半導体膜形成後、前記第3の領域上に第3の絶縁膜を形成し、前記第3の絶縁膜上に酸化ランタン膜を形成する工程と、
前記酸化アルミニウム膜および前記酸化ランタン膜上に高誘電率絶縁膜を形成する工程と、
前記高誘電率絶縁膜上に金属膜を形成する工程と、
前記第1の半導体膜および前記金属膜上に第2の半導体膜を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜、前記第1の半導体膜、前記第2の絶縁膜、前記酸化アルミニウム膜、前記第3の絶縁膜、前記酸化ランタン膜、前記高誘電率絶縁膜、前記金属膜、および前記第2の半導体膜をパターニングする工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
【請求項2】
半導体基板内に素子分離領域を形成し、前記半導体基板上の前記素子分離領域に分離された第1、第2、第3、および第4の領域、ならびに前記素子分離領域上の第5の領域を形成する工程と、
前記第1、第2、および第5の領域上に第1の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜上に第1の半導体膜を形成する工程と、
前記第1の半導体膜形成後、前記第4の領域上に第2の絶縁膜を形成し、前記第2の絶縁膜上に酸化アルミニウム膜を形成する工程と、
前記第1の半導体膜形成後、前記第3の領域上に第3の絶縁膜を形成し、前記第3の絶縁膜上に酸化ランタン膜を形成する工程と、
前記酸化アルミニウム膜および前記酸化ランタン膜上に高誘電率絶縁膜を形成する工程と、
前記高誘電率絶縁膜上に金属膜を形成する工程と、
前記第1の半導体膜および前記金属膜上に第2の半導体膜を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜、前記第1の半導体膜、前記第2の絶縁膜、前記酸化アルミニウム膜、前記第3の絶縁膜、前記酸化ランタン膜、前記高誘電率絶縁膜、前記金属膜、および前記第2の半導体膜をパターニングする工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第2の絶縁膜および前記第3の絶縁膜の膜厚は、前記第1の絶縁膜の膜厚よりも薄く形成される、
請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
半導体基板上に形成され、第1の絶縁体層からなるゲート絶縁膜および第1の半導体層からなるゲート電極を有する第1のN型トランジスタと、
前記半導体基板上に形成され、前記第1の絶縁体層からなるゲート絶縁膜および前記第1の半導体層からなるゲート電極を有する第1のP型トランジスタと、
前記半導体基板上に形成され、第2の絶縁体層、前記第2の絶縁体層上の酸化ランタン層、および前記酸化ランタン層上の高誘電率絶縁体層からなるゲート絶縁膜ならびに金属層および前記金属層上の第2の半導体層からなるゲート電極を有し、前記第1のN型トランジスタよりも低い動作電圧を有する第2のN型トランジスタと、
前記半導体基板上に形成され、第3の絶縁体層、前記第3の絶縁体層上の酸化アルミニウム層、および前記酸化アルミニウム層上の前記高誘電率絶縁体層からなるゲート絶縁膜ならびに前記金属層および前記金属層上の前記第2の半導体層からなるゲート電極を有し、前記第1のP型トランジスタよりも低い動作電圧を有する第2のP型トランジスタと、
を有する半導体装置。
【請求項5】
前記第1の絶縁体層からなる第1の層、前記第1の層上の前記第1の半導体層からなる第2の層を有する抵抗素子と、
をさらに有する請求項4に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−135427(P2010−135427A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−307865(P2008−307865)
【出願日】平成20年12月2日(2008.12.2)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】