説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】ゲート幅が互いに異なる第1,第2のMISトランジスタを備えた半導体装置において、第1,第2のMISトランジスタの閾値電圧を、所望の閾値電圧に制御する。
【解決手段】半導体装置は、第1,第2のMISトランジスタを備えた半導体装置である。第1のMISトランジスタは、第1の高誘電率絶縁膜15aを有する第1のゲート絶縁膜15Aと、第1のゲート電極20Aとを備えている。第2のMISトランジスタは、第2の高誘電率絶縁膜15bを有する第2のゲート絶縁膜15Bと、第2のゲート電極20Bとを備えている。第1,第2のゲート絶縁膜は、調整用金属を含む。第1のMISトランジスタの第1のゲート幅W1は、第2のMISトランジスタの第2のゲート幅W2よりも小さい。第1のゲート絶縁膜中における調整用金属の平均調整用金属濃度は、第2のゲート絶縁膜中における調整用金属の平均調整用金属濃度に比べて低い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関し、特に、ゲート幅が互いに異なり、且つ、調整用金属を含むゲート絶縁膜を有するMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)を備えた半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LSIの微細化のために、ゲート絶縁膜の薄膜化が要求されている。このため、近年、ゲート絶縁膜として、例えばハフニウム(Hf)系酸化膜等の高誘電率絶縁膜を適用することが検討されている。これにより、ゲート絶縁膜の物理的な膜厚を厚くしてリーク電流を抑制しつつ、ゲート絶縁膜の電気的な膜厚を薄くすることができる。
【0003】
しかしながら、ゲート絶縁膜として高誘電率絶縁膜を用い、ゲート電極として従来のポリシリコン膜を用いた場合、フェルミレベルピニングと呼ばれる現象により、MISFET(以下、MISトランジスタという)の閾値電圧が高くなるという短所がある。また、この場合、ゲート電極の空乏化と呼ばれる現象により、ゲート容量が小さくなり、ゲート電極下に高い電界を印加することができず、MISトランジスタの駆動能力が低下するという短所もある。
【0004】
そこで、ゲート電極として、従来のポリシリコン膜に代わって、金属膜を用いる技術が提案されている。ゲート絶縁膜として高誘電率絶縁膜を用い、ゲート電極として金属膜を用いた場合、n型MISトランジスタの閾値電圧とp型MISトランジスタの閾値電圧とを、それぞれ、互いに独立して制御する必要がある。
【0005】
そこで、n型MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタの実効仕事関数を、バンドエッジ側へシフトさせて、n型MOSトランジスタの閾値電圧を低くする為に、ゲート絶縁膜として、例えばランタン(La)を含むHf系酸化膜を用いる技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。ゲート絶縁膜として、Laを含むHf系酸化膜を用いることにより、n型MOSトランジスタの実効仕事関数を、バンドエッジ側へシフトさせることができるのは、次のような理由による。Hf系酸化膜にLaを含ませると、フラットバンド電圧がマイナス側へシフトするため、n型MOSトランジスタの実効仕事関数をバンドエッジ側へシフトさせることができる。
【0006】
以下、従来の半導体装置の構成について、図6を参照しながら説明する。図6は、従来の半導体装置の構成を示すゲート長方向の断面図である。
【0007】
図6に示す従来の半導体装置は、n型MOSトランジスタnTr1と、p型MOSトランジスタpTrとを備えている。
【0008】
図6に示すように、シリコン基板101の上部には、素子分離領域102が形成されている。シリコン基板101における第1のNMOS領域には、Pウェル拡散層103が形成されている。一方、シリコン基板101におけるPMOS領域には、Nウェル拡散層104が形成されている。
【0009】
シリコン基板101における第1のNMOS領域上には、ゲート絶縁膜117a及びゲート電極116aが順次形成されている。一方、シリコン基板101におけるPMOS領域上には、ゲート絶縁膜117b、SiN膜109b、La(O)膜111b及びゲート電極116bが順次形成されている。
【0010】
ゲート電極116a,116bの側面上には、SiN膜118a,118b及びTEOS膜119a,119bが順次形成されている。シリコン基板101におけるゲート電極116a,116bの側方下には、ソース・ドレイン拡散層120a,120bが形成されている。
【0011】
ゲート絶縁膜117aは、シリコン酸化膜105a及び高誘電率ゲート絶縁膜(Laを含むHfSiO膜)106aを有する。一方、ゲート絶縁膜117bは、シリコン酸化膜105b及びLaを含まないHfSiON膜110bを有する。
【0012】
ゲート電極116aは、WSi膜114a、バリアメタル113a及びドープト多結晶シリコン膜115aを有する。一方、ゲート電極116bは、W膜112b、バリアメタル113b及びドープト多結晶シリコン膜115bを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2009−194352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、従来の半導体装置の製造方法を用いて、ゲート幅が互いに異なるn型MOSトランジスタと、p型MOSトランジスタとを備えた半導体装置を製造した場合、以下に示す問題がある。この問題について、図7を参照しながら説明する。図7は、従来の半導体装置の構成を示すゲート幅方向の断面図である。図7において、図6に示す構成要素と同様の構成要素には、図6に示す符号と同一の符号を付す。従って、図7の説明では、図6の説明と同様の説明を適宜省略する。
【0015】
図7に示す従来の半導体装置は、n型MOSトランジスタnTr2,nTr1と、p型MOSトランジスタpTrとを備えている。n型MOSトランジスタnTr2のゲート幅WTr2は、n型MOSトランジスタnTr1のゲート幅WTr1よりも小さい(WTr2<WTr1)。
【0016】
図7に示す半導体装置は、図6に示す半導体装置と同様の構成要素に加えて、さらに、以下の構成要素を備えている。
【0017】
シリコン基板101における第2のNMOS領域上には、ゲート絶縁膜117c及びゲート電極116cが順次形成されている。ゲート電極116cの側面上には、SiN膜118c及びTEOS膜119cが順次形成されている。図7に示す図は、ゲート幅方向の断面図であり、ゲート長方向の断面図ではないため、図7には図示されないが、シリコン基板101におけるゲート電極116cの側方下には、ソース・ドレイン拡散層が形成されている。
【0018】
ゲート絶縁膜117cは、シリコン酸化膜105c及び高誘電率ゲート絶縁膜(Laを含むHfSiO膜)106cを有する。ゲート電極116cは、WSi膜114c、バリアメタル113c及びドープト多結晶シリコン膜115cを有する。
【0019】
図6において符号の付与が省略されているが、シリコン基板101における第2,第1のNMOS,PMOS領域には、素子分離領域102に囲まれた活性領域101c,101a,101bが形成されている。
【0020】
図6において図示が省略されているが、n型MOSトランジスタnTr1,nTr2の閾値電圧を制御する為に、活性領域101c,101aにおけるゲート電極116c,116aの直下には、例えばボロン(B)等のp型不純物を含むp型のチャネル領域121c,121aが形成されている。一方、p型MOSトランジスタpTrの閾値電圧を制御する為に、活性領域101bにおけるゲート電極116bの直下には、n型不純物を含むn型のチャネル領域121bが形成されている。
【0021】
チャネル領域121cとチャネル領域121aとは、同一の工程で形成されるため、形成直後のチャネル領域121c中におけるp型不純物の平均不純物濃度X121cと、形成直後のチャネル領域121a中におけるp型不純物の平均不純物濃度X121aとは、同じである(X121c=X121a)。
【0022】
しかしながら、チャネル領域121c,121aの形成後に施される熱処理により、チャネル領域121c,121a中に含まれるp型不純物が、素子分離領域102中に拡散する。
【0023】
上述の通り、チャネル領域121cとチャネル領域121aとは、同一の工程で形成されるため、形成後に施される熱処理の回数及び条件等は、チャネル領域121cとチャネル領域121aとで同じである。このため、チャネル領域121c中から素子分離領域102中に拡散するp型不純物の拡散量M121cと、チャネル領域121a中から素子分離領域102中に拡散するp型不純物の拡散量M121aとは、同じである(M121c=M121a)。
【0024】
ゲート幅WTr2は、ゲート幅WTr1よりも小さい(WTr2<WTr1)ため、チャネル領域121cのチャネル幅は、チャネル領域121aのチャネル幅よりも小さい。このため、チャネル領域121cにおける拡散量M121cが占める割合は、比較的大きい一方、チャネル領域121aにおける拡散量M121aが占める割合は、比較的小さい。
【0025】
チャネル領域121cにおける拡散量M121cが占める割合は、比較的大きいため、製造後のチャネル領域121c中におけるp型不純物の平均不純物濃度Y121cは、形成直後のチャネル領域121c中におけるp型不純物の平均不純物濃度X121cよりも、顕著に低くなる(Y121c<X121c)。
【0026】
一方、チャネル領域121aにおける拡散量M121aが占める割合は、比較的小さいため、製造後のチャネル領域121a中におけるp型不純物の平均不純物濃度Y121aは、形成直後のチャネル領域121a中におけるp型不純物の平均不純物濃度X121aよりも、顕著に低くなることはなく、平均不純物濃度Y121aは、平均不純物濃度X121aと実質的に同じである(Y121a=X121a)。
【0027】
従って、製造後のチャネル領域121c中におけるp型不純物の平均不純物濃度Y121cは、製造後のチャネル領域121a中におけるp型不純物の平均不純物濃度Y121aよりも低くなる(Y121c<Y121a)。一般に、チャネル領域中におけるp型不純物の平均不純物濃度が低くなるに連れて、n型MOSトランジスタの閾値電圧が低くなる。このため、n型MOSトランジスタnTr2の閾値電圧は、n型MOSトランジスタnTr1の閾値電圧よりも低くなる。
【0028】
このように、従来では、チャネル幅が小さくなるに連れて、製造後のチャネル領域中におけるp型不純物の平均不純物濃度が、形成直後のチャネル領域中におけるp型不純物の平均不純物濃度よりも低くなるため、n型MOSトランジスタの閾値電圧が低下する。即ち、ゲート幅が小さくなるに連れてMOSトランジスタの閾値電圧が低下する逆ナローチャネル効果が発生する。
【0029】
以上のように、従来では、高誘電率ゲート絶縁膜106c,106aとして、Laを含むHfSiO膜を用いることにより、n型MOSトランジスタnTr2,nTr1の閾値電圧を低くする。一方、チャネル幅の大きいチャネル領域121a中におけるp型不純物の平均不純物濃度は、製造後が形成直後と実質的に同じになるものの、チャネル幅の小さいチャネル領域121c中におけるp型不純物の平均不純物濃度は、製造後が形成直後よりも低くなるため、n型MOSトランジスタnTr2の閾値電圧が、n型MOSトランジスタnTr1の閾値電圧よりも低くなる。
【0030】
このため、従来では、ゲート幅WTr1の大きいn型MOSトランジスタnTr1の閾値電圧を低くして、所望の閾値電圧にすることは可能なものの、ゲート幅WTr2の小さいn型MOSトランジスタnTr2の閾値電圧が低くなり過ぎて、所望の閾値電圧よりも低くなり、所望の閾値電圧にすることができないという問題がある。
【0031】
前記に鑑み、本発明の目的は、ゲート幅が互いに異なる第1,第2のMISトランジスタを備えた半導体装置において、第1,第2のMISトランジスタの閾値電圧を、所望の閾値電圧に制御することである。
【課題を解決するための手段】
【0032】
前記の目的を達成するため、本発明に係る半導体装置は、第1のMISトランジスタ及び第2のMISトランジスタを備えた半導体装置であって、第1のMISトランジスタは、半導体基板における第1の活性領域上に形成され、第1の高誘電率絶縁膜を有する第1のゲート絶縁膜と、第1のゲート絶縁膜上に形成された第1のゲート電極とを備え、第2のMISトランジスタは、半導体基板における第2の活性領域上に形成され、第2の高誘電率絶縁膜を有する第2のゲート絶縁膜と、第2のゲート絶縁膜上に形成された第2のゲート電極とを備え、第1のゲート絶縁膜及び第2のゲート絶縁膜は、それぞれ調整用金属を含み、第1のMISトランジスタの第1のゲート幅は、第2のMISトランジスタの第2のゲート幅よりも小さく、第1のゲート絶縁膜中における調整用金属の平均調整用金属濃度は、第2のゲート絶縁膜中における調整用金属の平均調整用金属濃度に比べて低いことを特徴とし、第1の活性領域における第1のゲート電極の直下に形成された第1の不純物を含む第1のチャネル領域と、第2の活性領域における第2のゲート電極の直下に形成された第2の不純物を含む第2のチャネル領域とを備え、第1のチャネル領域中における第1の不純物の平均不純物濃度は、第2のチャネル領域中における第2の不純物の平均不純物濃度に比べて低いことが好ましい。
【0033】
本発明に係る半導体装置によると、第1のゲート絶縁膜中における調整用金属(例えばLa)の平均調整用金属濃度を、第2のゲート絶縁膜中における調整用金属(例えばLa)の平均調整用金属濃度よりも低くする。これにより、第1のMISトランジスタの実効仕事関数を、ミッドギャップ寄りの実効仕事関数にする一方、第2のMISトランジスタの実効仕事関数を、バンドエッジ寄りの実効仕事関数にして、第1のMISトランジスタの閾値電圧を、第2のMISトランジスタの閾値電圧よりも、高くすることができる。
【0034】
このため、第1,第2のチャネル領域の形成後に施される熱処理によって、製造後の第1のチャネル領域中における第1の不純物(例えばp型不純物)の平均不純物濃度が、製造後の第2のチャネル領域中における第2の不純物(例えばp型不純物)の平均不純物濃度よりも低くなることにより、第1のMISトランジスタの閾値電圧が、第2のMISトランジスタの閾値電圧よりも、低くなることがあっても、上述の通り、第1のMISトランジスタの閾値電圧を、第2のMISトランジスタの閾値電圧よりも、高くすることができる。このため、総合的には、第1のMISトランジスタの閾値電圧と、第2のMISトランジスタの閾値電圧とを、同じにすることができる。
【0035】
このように、第1のゲート絶縁膜中における調整用金属の平均調整用金属濃度を、第2のゲート絶縁膜中における調整用金属の平均調整用金属濃度よりも低くすることにより、第1,第2のチャネル領域中における第1,第2の不純物の平均不純物濃度の差異に起因して発生する第1,第2のMISトランジスタの閾値電圧の差異を補償することができる。従って、第1,第2のMISトランジスタの閾値電圧を、所望の閾値電圧に制御することができる。
【0036】
本発明に係る半導体装置において、第1のゲート幅は、100nm以下であり、第2のゲート幅は、200nm以上であることが好ましい。
【0037】
本発明に係る半導体装置において、第1のMISトランジスタ及び第2のMISトランジスタは、n型MISトランジスタであり、調整用金属は、ランタンであることが好ましい。
【0038】
本発明に係る半導体装置において、第1の高誘電率絶縁膜中における調整用金属の平均調整用金属濃度は、第2の高誘電率絶縁膜中における調整用金属の平均調整用金属濃度に比べて低いことが好ましい。
【0039】
本発明に係る半導体装置において、第1のゲート絶縁膜は、第1の活性領域上に形成された第1の界面層と、第1の界面層上に形成された第1の高誘電率絶縁膜とからなり、第2のゲート絶縁膜は、第2の活性領域上に形成された第2の界面層と、第2の界面層上に形成された第2の高誘電率絶縁膜とからなることが好ましい。
【0040】
本発明に係る半導体装置において、第1の界面層及び第2の界面層は、シリコン酸化膜からなることが好ましい。
【0041】
本発明に係る半導体装置において、第1の高誘電率絶縁膜及び第2の高誘電率絶縁膜は、比誘電率が10以上の金属酸化物からなることが好ましい。
【0042】
本発明に係る半導体装置において、第1のゲート電極は、第1のゲート絶縁膜上に形成された第1の金属膜と、第1の金属膜上に形成された第1のシリコン膜とからなり、第2のゲート電極は、第2のゲート絶縁膜上に形成された第2の金属膜と、第2の金属膜上に形成された第2のシリコン膜とからなることが好ましい。
【0043】
前記の目的を達成するため、本発明に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板における第1の活性領域上に形成された第1のゲート絶縁膜及び第1のゲート電極を有する第1のMISトランジスタと、半導体基板における第2の活性領域上に形成された第2のゲート絶縁膜及び第2のゲート電極を有する第2のMISトランジスタとを備えた半導体装置の製造方法であって、第1の活性領域及び第2の活性領域の上に、高誘電率絶縁膜を有するゲート絶縁膜形成膜を形成する工程(a)と、ゲート絶縁膜形成膜における第1の活性領域上に位置する第1の領域に調整用金属を導入して第1のゲート絶縁膜形成膜を形成する一方、ゲート絶縁膜形成膜における第2の活性領域上に位置する第2の領域に調整用金属を導入して第2のゲート絶縁膜形成膜を形成する工程(b)と、第1のゲート絶縁膜形成膜及び第2のゲート絶縁膜形成膜の上に、ゲート電極形成膜を形成する工程(c)と、ゲート電極形成膜、第1のゲート絶縁膜形成膜及び第2のゲート絶縁膜形成膜をパターニングして、第1の活性領域上に第1のゲート絶縁膜形成膜からなる第1のゲート絶縁膜及びゲート電極形成膜からなる第1のゲート電極を形成する一方、第2の活性領域上に第2のゲート絶縁膜形成膜からなる第2のゲート絶縁膜及びゲート電極形成膜からなる第2のゲート電極を形成する工程(d)とを備え、第1のMISトランジスタの第1のゲート幅は、第2のMISトランジスタの第2のゲート幅よりも小さく、工程(b)では、第1のゲート絶縁膜形成膜中における調整用金属の平均調整用金属濃度が、第2のゲート絶縁膜形成膜中における調整用金属の平均調整用金属濃度に比べて低くなるように、第1のゲート絶縁膜形成膜及び第2のゲート絶縁膜形成膜を形成することを特徴とする。
【0044】
本発明に係る半導体装置の製造方法によると、第1のゲート絶縁膜形成膜中における調整用金属(例えばLa)の平均調整用金属濃度を、第2のゲート絶縁膜形成膜中における調整用金属の平均調整用金属濃度よりも低くする。これにより、第1のMISトランジスタの実効仕事関数を、ミッドギャップ寄りの実効仕事関数にする一方、第2のMISトランジスタの実効仕事関数を、バンドエッジ寄りの実効仕事関数にして、第1のMISトランジスタの閾値電圧を、第2のMISトランジスタの閾値電圧よりも、高くすることができる。
【0045】
このため、第1,第2のチャネル領域の形成後に施される熱処理によって、製造後の第1のチャネル領域中における第1の不純物(例えばp型不純物)の平均不純物濃度が、製造後の第2のチャネル領域中における第2の不純物(例えばp型不純物)の平均不純物濃度よりも低くなることにより、第1のMISトランジスタの閾値電圧が、第2のMISトランジスタの閾値電圧よりも、低くなることがあっても、上述の通り、第1のMISトランジスタの閾値電圧を、第2のMISトランジスタの閾値電圧よりも、高くすることができる。このため、総合的には、第1のMISトランジスタの閾値電圧と、第2のMISトランジスタの閾値電圧とを、同じにすることができる。
【0046】
このように、第1のゲート絶縁膜形成膜中における調整用金属の平均調整用金属濃度を、第2のゲート絶縁膜形成膜中における調整用金属の平均調整用金属濃度よりも低くすることにより、第1,第2のチャネル領域中における第1,第2の不純物の平均不純物濃度の差異に起因して発生する第1,第2のMISトランジスタの閾値電圧の差異を補償することができる。従って、第1,第2のMISトランジスタの閾値電圧を、所望の閾値電圧に制御することができる。
【0047】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、工程(b)は、ゲート絶縁膜形成膜における第1の領域上に、第1の膜厚を有し且つ調整用金属を含む第1の調整用金属膜を形成する工程(b1)と、ゲート絶縁膜形成膜における第2の領域上に、第2の膜厚を有し且つ調整用金属を含む第2の調整用金属膜を形成する工程(b2)と、工程(b1)及び工程(b2)の後に、熱処理により第1の調整用金属膜中の調整用金属をゲート絶縁膜形成膜における第1の領域に導入して第1のゲート絶縁膜形成膜を形成すると共に、第2の調整用金属膜中の調整用金属をゲート絶縁膜形成膜における第2の領域に導入して第2のゲート絶縁膜形成膜を形成する工程(b3)とを備え、第1の膜厚は、第2の膜厚に比べて薄いことが好ましい。
【0048】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、工程(b)は、ゲート絶縁膜形成膜上に、調整用金属を含む調整用金属膜を形成する工程(b1)と、工程(b1)の後に、第1の熱処理により調整用金属膜中の調整用金属をゲート絶縁膜形成膜における第1の領域に導入して第1のゲート絶縁膜形成膜を形成すると共に、調整用金属膜中の調整用金属をゲート絶縁膜形成膜における第2の領域に導入する工程(b2)と、工程(b2)の後に、調整用金属膜における第1のゲート絶縁膜形成膜上に位置する部分を除去する工程(b3)と、工程(b3)の後に、第2の熱処理により調整用金属膜中の調整用金属をゲート絶縁膜形成膜における第2の領域に追加導入して第2のゲート絶縁膜形成膜を形成する工程(b4)とを備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0049】
本発明に係る半導体装置及びその製造方法によると、第1のゲート絶縁膜中における調整用金属の平均調整用金属濃度を、第2のゲート絶縁膜中における調整用金属の平均調整用金属濃度よりも低くすることにより、第1,第2のチャネル領域中における第1,第2の不純物の平均不純物濃度の差異に起因して発生する第1,第2のMISトランジスタの閾値電圧の差異を補償することができる。従って、第1,第2のMISトランジスタの閾値電圧を、所望の閾値電圧に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】(a) 〜(c) は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す図であり、(a) は平面図であり、(b) は(a) に示すIb-Ib線における断面図(ゲート幅方向の断面図)であり、(c) は(a) に示すIc-Ic線における断面図(ゲート長方向の断面図)である。
【図2】(a) 〜(c) は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示すゲート幅方向の断面図である。
【図3】(a) 〜(c) は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示すゲート幅方向の断面図である。
【図4】(a) 〜(c) は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示すゲート幅方向の断面図である。
【図5】(a) 〜(c) は、本発明の第2の実施形態の変形例に係る半導体装置の製造方法を工程順に示すゲート幅方向の断面図である。
【図6】従来の半導体装置の構成を示すゲート長方向の断面図である。
【図7】従来の半導体装置の構成を示すゲート幅方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0052】
(第1の実施形態)
以下に、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置について、図1(a) 〜(c) を参照しながら説明する。図1(a) 〜(c) は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す図であり、図1(a) は平面図であり、図1(b) は図1(a) に示すIb-Ib線における断面図(ゲート幅方向の断面図)であり、図1(c) は図1(a) に示すIc-Ic線における断面図(ゲート長方向の断面図)である。図1(a) において、簡略的に図示する為に、素子分離領域11に囲まれた第1,第2の活性領域、及び第1,第2のゲート電極のみを図示する。図1(a) 〜(c) 、及び後述の図2(a) 〜図5(c) において、「第1のnMIS領域」とは、n型の第1のMISトランジスタが形成される領域をいう。「第2のnMIS領域」とは、n型の第2のMISトランジスタが形成される領域をいう。第1のMISトランジスタは、例えばSRAM(Static Random Access Memory)に用いられるトランジスタである。第2のMISトランジスタは、例えばロジック回路に用いられるトランジスタである。
【0053】
図1(a) 〜(c) に示すように、本実施形態に係る半導体装置は、第1のMISトランジスタTr1と、第2のMISトランジスタTr2とを備えている。
【0054】
図1(a) に示すように、半導体基板における第1のnMIS領域には、素子分離領域11に囲まれた第1の活性領域10aが形成されている。半導体基板における第2のnMIS領域には、素子分離領域11に囲まれた第2の活性領域10bが形成されている。第1の活性領域10a上には、第1のゲート絶縁膜(図1(b),(c):15A参照)及び第1のゲート電極20Aが順次形成されている。第2の活性領域10b上には、第2のゲート絶縁膜(図1(b),(c):15B参照)及び第2のゲート電極20Bが順次形成されている。
【0055】
第1のMISトランジスタTr1の第1のゲート幅W1は、第2のMISトランジスタTr2の第2のゲート幅W2よりも小さい(W1<W2)。第1のゲート幅W1は、例えば100nm以下である。第2のゲート幅W2は、例えば200nm以上である。ここで、「第1,第2のゲート幅W1,W2」とは、第1,第2の活性領域10a,10bのゲート幅方向の幅をいう。
【0056】
図1(b) 〜(c) に示すように、半導体基板10には、p型ウェル領域12が形成されている。
【0057】
第1のMISトランジスタTr1は、図1(b) 〜(c) に示すように、第1の活性領域10a上に形成された第1のゲート絶縁膜15Aと、第1のゲート絶縁膜15A上に形成された第1のゲート電極20Aと、第1の活性領域10aにおける第1のゲート電極20Aの直下に形成されたp型の第1のチャネル領域13aと、第1のゲート電極20Aの側面上に形成された第1のオフセットスペーサ21aと、第1の活性領域10aにおける第1のゲート電極20Aの側方下に形成された第1のn型エクステンション領域22a(特に、図1(c) 参照)と、第1のゲート電極20Aの側面上に第1のオフセットスペーサ21aを介して形成された第1のサイドウォール23aと、第1の活性領域10aにおける第1のサイドウォール23aの外側方下に形成された第1のn型ソースドレイン領域24a(特に、図1(c) 参照)とを備えている。
【0058】
第2のMISトランジスタTr2は、図1(b) 〜(c) に示すように、第2の活性領域10b上に形成された第2のゲート絶縁膜15Bと、第2のゲート絶縁膜15B上に形成された第2のゲート電極20Bと、第2の活性領域10bにおける第2のゲート電極20Bの直下に形成されたp型の第2のチャネル領域13bと、第2のゲート電極20Bの側面上に形成された第2のオフセットスペーサ21bと、第2の活性領域10bにおける第2のゲート電極20Bの側方下に形成された第2のn型エクステンション領域22b(特に、図1(c) 参照)と、第2のゲート電極20Bの側面上に第2のオフセットスペーサ21bを介して形成された第2のサイドウォール23bと、第2の活性領域10bにおける第2のサイドウォール23bの外側方下に形成された第2のn型ソースドレイン領域24b(特に、図1(c) 参照)とを備えている。
【0059】
第1のチャネル領域13aは、第1の不純物(例えばp型不純物)を含む。第2のチャネル領域13bは、第2の不純物(例えばp型不純物)を含む。第1のチャネル領域13a中におけるp型不純物の平均不純物濃度は、第2のチャネル領域13b中におけるp型不純物の平均不純物濃度よりも低い。なお、後述の第2の実施形態にも記載の通り、形成直後の第1のチャネル領域(図2(a):13A参照)中におけるp型不純物の平均不純物濃度と、形成直後の第2のチャネル領域(図2(a):13B参照)中におけるp型不純物の平均不純物濃度とは、同じである。しかしながら、第1,第2のチャネル領域の形成後に施される熱処理(例えば、第1,第2のn型ソースドレイン注入領域中に含まれるn型不純物を活性化させる為の熱処理等)により、第1,第2のチャネル領域中に含まれるp型不純物が、素子分離領域11中に拡散する。このため、製造後の第1のチャネル領域13a中におけるp型不純物の平均不純物濃度は、製造後の第2のチャネル領域13b中におけるp型不純物の平均不純物濃度よりも低くなる。
【0060】
第1,第2のゲート絶縁膜15A,15Bは、それぞれ調整用金属(例えばLa)を含む。第1のゲート絶縁膜15A中における調整用金属の平均調整用金属濃度は、第2のゲート絶縁膜15B中における調整用金属の平均調整用金属濃度よりも低い。
【0061】
第1のゲート絶縁膜15Aは、第1の界面層14aと、調整用金属を含む第1の高誘電率絶縁膜15aとを有する。第2のゲート絶縁膜15Bは、第2の界面層14bと、調整用金属を含む第2の高誘電率絶縁膜15bとを有する。第1の高誘電率絶縁膜15a中における調整用金属の平均調整用金属濃度は、第2の高誘電率絶縁膜15b中における調整用金属の平均調整用金属濃度よりも低い。具体的には、第1の高誘電率絶縁膜15a中におけるLaの平均La濃度は、例えば20%以下である。第2の高誘電率絶縁膜15b中におけるLaの平均La濃度は、例えば25%である。
【0062】
第1,第2の高誘電率絶縁膜15a,15bは、例えば比誘電率が10以上の金属酸化物からなり、具体的には例えば、Laを含むHfSiOからなる。第1,第2の界面層14a,14bは、例えばシリコン酸化膜からなる。
【0063】
第1のゲート電極20Aは、第1の金属膜19aと、第1のシリコン膜20aとを有する。第2のゲート電極20Bは、第2の金属膜19bと、第2のシリコン膜20bとを有する。
【0064】
本実施形態によると、第1のゲート絶縁膜15A中における調整用金属(例えばLa)の平均調整用金属濃度を、第2のゲート絶縁膜15B中における調整用金属(例えばLa)の平均調整用金属濃度よりも低くする。これにより、第1のMISトランジスタTr1の実効仕事関数を、ミッドギャップ寄りの実効仕事関数にする一方、第2のMISトランジスタTr2の実効仕事関数を、バンドエッジ寄りの実効仕事関数にして、第1のMISトランジスタTr1の閾値電圧を、第2のMISトランジスタTr2の閾値電圧よりも、高くすることができる。
【0065】
このため、第1,第2のチャネル領域の形成後に施される熱処理によって、製造後の第1のチャネル領域13a中におけるp型不純物の平均不純物濃度が、製造後の第2のチャネル領域13b中におけるp型不純物の平均不純物濃度よりも低くなることにより、第1のMISトランジスタTr1の閾値電圧が、第2のMISトランジスタTr2の閾値電圧よりも、低くなることがあっても、上述の通り、第1のMISトランジスタTr1の閾値電圧を、第2のMISトランジスタTr2の閾値電圧よりも、高くすることができる。このため、総合的には、第1のMISトランジスタTr1の閾値電圧と、第2のMISトランジスタTr2の閾値電圧とを、同じにすることができる。
【0066】
このように、第1のゲート絶縁膜15A中における調整用金属の平均調整用金属濃度を、第2のゲート絶縁膜15B中における調整用金属の平均調整用金属濃度よりも低くすることにより、第1,第2のチャネル領域13a,13b中におけるp型不純物の平均不純物濃度の差異に起因して発生する第1,第2のMISトランジスタTr1,Tr2の閾値電圧の差異を補償することができる。従って、第1,第2のMISトランジスタTr1,Tr2の閾値電圧を、所望の閾値電圧に制御することができる。
【0067】
このため、LSIの高集積化に伴い、逆ナローチャネル効果が発生する(即ち、MISトランジスタのゲート幅が小さくなるに連れてMISトランジスタの閾値電圧が低下する)ことがあっても、ゲート絶縁膜中における調整用金属の平均調整用金属濃度を低くすることにより、逆ナローチャネル効果に起因するMISトランジスタの閾値電圧の低下を補償することができる。このため、MISトランジスタの閾値電圧を、所望の閾値電圧に制御しながら、LSIを高集積化することができるので、LSIの高集積化を加速することができる。
【0068】
例えば、第1のMISトランジスタTr1を、SRAM等のメモリを構成するトランジスタとして用いた場合、第1のMISトランジスタTr1の閾値電圧を、所望の閾値電圧に制御しながら、メモリを高集積化することができるので、メモリの高集積化を加速することができる。
【0069】
(第2の実施形態)
以下に、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法について、図2(a) 〜(c) 、図3(a) 〜(c) 及び図4(a) 〜(c) を参照しながら説明する。図2(a) 〜図4(c) は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示すゲート幅方向の断面図である。図2(a) 〜図4(c) において、左側から順に、第1のnMIS領域、第1のpMIS領域、第2のpMIS領域及び第2のnMIS領域を示す。図2(a) 〜図4(c) において、「第1のpMIS領域」とは、p型の第3のMISトランジスタが形成される領域をいう。「第2のpMIS領域」とは、p型の第4のMISトランジスタが形成される領域をいう。第1,第3のMISトランジスタは、例えばSRAMに用いられるトランジスタである。第2,第4のMISトランジスタは、例えばロジック回路に用いられるトランジスタである。また、図2(a) 〜図4(c) において、第1の実施形態における構成要素と同一の構成要素には、図1(a) 〜(c) に示す符号と同一の符号を付す。
【0070】
まず、図2(a) に示すように、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法により、例えばシリコン(Si)からなる半導体基板10の上部に、例えば深さが200nm〜400nmのトレンチ内に例えばシリコン酸化膜(SiO2膜)が埋め込まれた素子分離領域11を選択的に形成する。これにより、半導体基板10における第1,第2のnMIS領域に、素子分離領域11に囲まれた第1,第2の活性領域10a,10bを形成する。それと共に、半導体基板10における第1,第2のpMIS領域に、素子分離領域11に囲まれた第3,第4の活性領域10c,10dを形成する。第1の活性領域10aのゲート幅方向の幅(即ち、第1のゲート幅)W1は、第2の活性領域10bのゲート幅方向の幅(即ち、第2のゲート幅)W2よりも小さい(W1<W2)。第1のゲート幅W1は、例えば100nm以下である。第2のゲート幅W2は、例えば200nm以上である。第3の活性領域10cのゲート幅方向の幅(即ち、第3のゲート幅)は、第4の活性領域10dのゲート幅方向の幅(即ち、第4のゲート幅)よりも小さい。
【0071】
その後、半導体基板10における第1,第2のnMIS領域に、第1,第2のp型ウェル領域12x,12yを形成する。一方、半導体基板10における第1,第2のpMIS領域に、n型ウェル領域12zを形成する。
【0072】
その後、イオン注入により、例えば注入エネルギーが10keV,注入ドーズ量が5×1012ions/cm2のイオン注入条件で、第1,第2の活性領域10a,10bに、例えばボロン(B)等のp型不純物を注入する。これにより、第1,第2の活性領域10a,10bの上部に、p型の第1,第2のチャネル領域13A,13Bを形成する。一方、イオン注入により、例えば注入エネルギーが85keV,注入ドーズ量が7×1012ions/cm2のイオン注入条件で、第3,第4の活性領域10c,10dに、例えばヒ素(As)等のn型不純物を注入する。これにより、第3,第4の活性領域10c,10dの上部に、n型の第3,第4のチャネル領域13C,13Dを形成する。
【0073】
このとき、第1のチャネル領域13Aと第2のチャネル領域13Bとは、同一のイオン注入条件で形成されるため、形成直後の第1のチャネル領域13A中におけるp型不純物の平均不純物濃度X13Aと、形成直後の第2のチャネル領域13B中におけるp型不純物の平均不純物濃度X13Bとは、同じである(X13A=X13B)。同様に、第3のチャネル領域13C中におけるn型不純物の平均不純物濃度と、第4のチャネル領域13D中におけるn型不純物の平均不純物濃度とは、同じである。
【0074】
次に、図2(b) に示すように、例えば酸素ガスを含む雰囲気中での熱処理により、第1,第3,第4,第2の活性領域10a,10c,10d,10bの表面部を酸化する。これにより、第1,第3,第4,第2の活性領域10a,10c,10d,10b上に、例えば膜厚が1nm〜2nmのシリコン酸化膜からなる第1,第3,第4,第2の界面層14A,14C,14D,14Bを形成する。
【0075】
その後、例えばMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法により、原料として例えばテトラジメチルアミノシリコン及びテトラジエチルアミノハフニウムを用いて、半導体基板10上の全面に、例えば膜厚が1nm〜2nmのHfSiO膜からなる高誘電率絶縁膜15を形成する。
【0076】
このようにして、第1,第3,第4,第2の活性領域10a,10c,10d,10b上に、第1,第3,第4,第2の界面層14A,14C,14D,14B及び高誘電率絶縁膜15を有するゲート絶縁膜形成膜を形成する。
【0077】
その後、例えばスパッタ法又はALD(Atomic Layer Deposition)法により、高誘電率絶縁膜15上に、例えば膜厚が0.5nm〜1.5nmのアルミニウム(Al)を含む調整用金属膜16を形成する。その後、例えばスパッタ法又はALD法により、調整用金属膜16上に、例えば膜厚が10nm〜20nmの窒化チタン膜(TiN膜)からなる保護膜17を形成する。
【0078】
次に、図2(c) に示すように、リソグラフィにより、保護膜17上に、第1,第2のnMIS領域を開口し且つ第1,第2のpMIS領域を覆うレジストRe1を形成する。その後、例えばウェットエッチングにより、レジストRe1をマスクとして、保護膜17及び調整用金属膜16における第1,第2のnMIS領域に形成された部分を除去する。その後、レジストRe1を除去する。
【0079】
次に、図3(a) に示すように、例えばスパッタ法により、半導体基板10上の全面に、例えば膜厚が0.5nm〜1.5nmのLaを含む調整用金属膜18を形成する。
【0080】
次に、図3(b) に示すように、リソグラフィにより、調整用金属膜18上に、第1のn,第1のpMIS領域を開口し且つ第2のp,第2のnMIS領域を覆うレジストRe2を形成する。なお、レジストRe2は、少なくとも第1の活性領域10aと対応する領域を開口するレジストであればよい。その後、例えばウェットエッチングにより、レジストRe2をマスクとして、調整用金属膜18における第1のn,第1のpMIS領域に形成された部分を除去して、該部分を薄膜化する。これにより、該部分の膜厚を、例えば0.2nm〜0.8nmにする。該部分の膜厚は、第1,第2のゲート幅(図2(a):W1,W2参照)及び調整用金属膜18の膜厚に基づいて設定される。
【0081】
このようにして、第1〜第4の界面層14A〜14D及び高誘電率絶縁膜15を有するゲート絶縁膜形成膜における、第1の活性領域10a上に位置する第1の領域上に、第1の膜厚(例えば0.2nm〜0.8nm)を有する第1の調整用金属膜18aを形成する。一方、該ゲート絶縁膜形成膜における、第2の活性領域10b上に位置する第2の領域上に、第2の膜厚(例えば0.5nm〜1.5nm)を有する第2の調整用金属膜18bを形成する。
【0082】
その後、レジストRe2を除去する。
【0083】
次に、図3(c) に示すように、例えば700℃,120秒の熱処理を行う。
【0084】
これにより、第1の調整用金属膜18a中の調整用金属(例えばLa)を、ゲート絶縁膜形成膜における第1の領域(特に、高誘電率絶縁膜15における第1の活性領域10a上に位置する領域)に導入して、第1の界面層14A及び調整用金属を含む第1の高誘電率絶縁膜15xを有する第1のゲート絶縁膜形成膜15Xを形成する。第1の高誘電率絶縁膜15xは、例えばLaを含むHfSiO膜からなる。
【0085】
それと共に、調整用金属膜16中の調整用金属(例えばAl)を、ゲート絶縁膜形成膜における第3,第4の活性領域10c,10d上に位置する第3,第4の領域(特に、高誘電率絶縁膜15における第3,第4の活性領域10c,10d上に位置する領域)に導入して、第3,第4の界面層14C,14D及び調整用金属を含む第3の高誘電率絶縁膜15zを有する第3のゲート絶縁膜形成膜15Zを形成する。第3の高誘電率絶縁膜15zは、例えばAlを含むHfSiO膜からなる。
【0086】
それと共に、第2の調整用金属膜18b中の調整用金属(例えばLa)を、ゲート絶縁膜形成膜における第2の領域(特に、高誘電率絶縁膜15における第2の活性領域10b上に位置する領域)に導入して、第2の界面層14B及び調整用金属を含む第2の高誘電率絶縁膜15yを有する第2のゲート絶縁膜形成膜15Yを形成する。第2の高誘電率絶縁膜15yは、例えばLaを含むHfSiO膜からなる。
【0087】
第1の調整用金属膜18aの第1の膜厚(例えば0.2nm〜0.8nm)を、第2の調整用金属膜18bの第2の膜厚(例えば0.5nm〜1.5nm)よりも薄くするため、第1の高誘電率絶縁膜15x中における調整用金属の平均調整用金属濃度を、第2の高誘電率絶縁膜15y中における調整用金属の平均調整用金属濃度よりも低くすることができる。第1の高誘電率絶縁膜15x中におけるLaの平均La濃度は、例えば20%以下である。第2の高誘電率絶縁膜15y中におけるLaの平均La濃度は、例えば25%である。
【0088】
次に、図4(a) に示すように、例えばウェットエッチングにより、第1,第2の調整用金属膜18a,18bにおける未反応の部分、保護膜17及び調整用金属膜16における未反応の部分を順次除去する。その後、例えばALD法により、第1,第3,第2のゲート絶縁膜形成膜15X,15Z,15Y上に、例えば膜厚が10nm〜20nmのTiN膜からなる金属膜19を形成する。その後、例えばCVD法により、金属膜19上に、例えば膜厚が70nm〜100nmのポリシリコン膜からなるシリコン膜20を形成する。
【0089】
このようにして、第1,第3,第2のゲート絶縁膜形成膜15X,15Z,15Y上に、金属膜19及びシリコン膜20を有するゲート電極形成膜を形成する。
【0090】
次に、図4(b) に示すように、リソグラフィにより、シリコン膜20上に、レジスト(図示省略)を形成する。その後、エッチングにより、レジストをマスクとして、ゲート電極形成膜及び第1,第3,第2のゲート絶縁膜形成膜15X,15Z,15Yを順次パターニングする。
【0091】
これにより、第1の活性領域10a上に、第1の界面層14a及び調整用金属を含む第1の高誘電率絶縁膜15aを有する第1のゲート絶縁膜15A、並びに第1の金属膜19a及び第1のシリコン膜20aを有する第1のゲート電極20Aを順次形成する。
【0092】
それと共に、第3の活性領域10c上に、第3の界面層14c及び調整用金属を含む第3の高誘電率絶縁膜15cを有する第3のゲート絶縁膜15C、並びに第3の金属膜19c及び第3のシリコン膜20cを有する第3のゲート電極20Cを順次形成する。
【0093】
それと共に、第4の活性領域10d上に、第4の界面層14d及び調整用金属を含む第4の高誘電率絶縁膜15dを有する第4のゲート絶縁膜15D、並びに第4の金属膜19d及び第4のシリコン膜20dを有する第4のゲート電極20Dを順次形成する。
【0094】
それと共に、第2の活性領域10b上に、第2の界面層14b及び調整用金属を含む第2の高誘電率絶縁膜15bを有する第2のゲート絶縁膜15B、並びに第2の金属膜19b及び第2のシリコン膜20bを有する第2のゲート電極20Bを順次形成する。
【0095】
第1のゲート電極20Aと第3のゲート電極20Cとは、一体に形成されている。第4のゲート電極20Dと第2のゲート電極20Bとは、一体に形成されている。
【0096】
第1の高誘電率絶縁膜15a中における調整用金属(例えばLa)の平均調整用金属濃度は、第2の高誘電率絶縁膜15b中における調整用金属(例えばLa)の平均調整用金属濃度よりも低い。一方、第3の高誘電率絶縁膜15c中における調整用金属(例えばAl)の平均調整用金属濃度と、第4の高誘電率絶縁膜15d中における調整用金属(例えばAl)の平均調整用金属濃度とは、同じである。
【0097】
次に、図4(c) に示すように、第1,第3,第4,第2のゲート電極20A,20C,20D,20Bの側面上に、断面形状がI字状の第1,第3,第4,第2のオフセットスペーサ31a,31c,31d,31bを形成する。第1のオフセットスペーサ31aと第3のオフセットスペーサ31cとは、一体に形成されている。第4のオフセットスペーサ31dと第2のオフセットスペーサ31bとは、一体に形成されている。
【0098】
その後、図4(c) に示す図は、ゲート幅方向の断面図であり、ゲート長方向の断面図ではないため、図4(c) には図示されないが、第1,第2の活性領域10a,10bにおける第1,第2のゲート電極20A,20Bの側方下に、第1,第2のn型エクステンション注入領域を形成する。一方、第3,第4の活性領域10c,10dにおける第3,第4のゲート電極20C,20Dの側方下に、第1,第2のp型エクステンション注入領域を形成する。
【0099】
その後、図4(c) に示すように、第1,第3,第4,第2のゲート電極20A,20C,20D,20Bの側面上に、第1,第3,第4,第2のオフセットスペーサ31a,31c,31d,31bを介して、第1,第3,第4,第2のサイドウォール33a,33c,33d,33bを形成する。第1のサイドウォール33aと第3のサイドウォール33cとは、一体に形成されている。第4のサイドウォール33dと第2のサイドウォール33bとは、一体に形成されている。
【0100】
その後、図4(c) には図示されないが、第1,第2の活性領域10a,10bにおける第1,第2のサイドウォール33a,33bの外側方下に、第1,第2のn型ソースドレイン注入領域を形成する。一方、第3,第4の活性領域10c,10dにおける第3,第4のサイドウォール33c,33dの外側方下に、第1,第2のp型ソースドレイン注入領域を形成する。
【0101】
その後、例えば1000℃,1秒の熱処理を行う。
【0102】
これにより、第1,第2のn型エクステンション注入領域中に含まれるn型不純物を活性化して、第1,第2のn型エクステンション領域(図1(c):22a,22b参照)を形成する。一方、第1,第2のp型エクステンション注入領域中に含まれるp型不純物を活性化して、第1,第2のp型エクステンション領域を形成する。
【0103】
それと共に、第1,第2のn型ソースドレイン注入領域中に含まれるn型不純物を活性化して、第1,第2のn型ソースドレイン領域(図1(c):24a,24b参照)を形成する。一方、第1,第2のp型ソースドレイン注入領域中に含まれるp型不純物を活性化して、第1,第2のp型ソースドレイン領域を形成する。
【0104】
以上のようにして、本実施形態に係る半導体装置を製造することができる。
【0105】
本実施形態では、形成直後の第1のチャネル領域13A(図2(a) 参照)中におけるp型不純物の平均不純物濃度と、形成直後の第2のチャネル領域13B(図2(a) 参照)中におけるp型不純物の平均不純物濃度とは、同じである。しかしながら、第1,第2のチャネル領域13A,13Bの形成後に施される熱処理(例えば、第1,第2のn型ソースドレイン注入領域中に含まれるn型不純物、及び第1,第2のp型ソースドレイン注入領域中に含まれるp型不純物を活性化させる為の熱処理等)により、第1,第2のチャネル領域13A,13B中に含まれるp型不純物が、素子分離領域11中に拡散する。このため、製造後の第1のチャネル領域13a(図4(c) 参照)中におけるp型不純物の平均不純物濃度は、製造後の第2のチャネル領域13b(図4(c) 参照)中におけるp型不純物の平均不純物濃度よりも低くなる。
【0106】
同様に、形成直後の第3のチャネル領域13C(図2(a) 参照)中におけるn型不純物の平均不純物濃度と、形成直後の第4のチャネル領域13D(図2(a) 参照)中におけるn型不純物の平均不純物濃度とは、同じである。しかしながら、第3,第4のチャネル領域13C,13Dの形成後に施される熱処理(例えば、第1,第2のn型ソースドレイン注入領域中に含まれるn型不純物、及び第1,第2のp型ソースドレイン注入領域中に含まれるp型不純物を活性化させる為の熱処理等)により、第3,第4のチャネル領域13C,13D中に含まれるn型不純物が、素子分離領域11中に拡散する。このため、製造後の第3のチャネル領域13c(図4(c) 参照)中におけるn型不純物の平均不純物濃度は、製造後の第4のチャネル領域13d(図4(c) 参照)中におけるn型不純物の平均不純物濃度よりも低くなる。
【0107】
第1のMISトランジスタTr1は、第1の実施形態における第1のMISトランジスタTr1と同様の構成要素を備えている。但し、本実施形態では、第1のゲート電極20Aが、図4(c) に示すように、第3のゲート電極20Cと一体に形成されているため、第1のゲート電極20Aの側面のうち、第3のゲート電極20Cと隣接する側面以外の側面上に、第1のオフセットスペーサ31aを介して、第1のサイドウォール33aが形成されている。
【0108】
第2のMISトランジスタTr2は、第1の実施形態における第2のMISトランジスタTr2と同様の構成要素を備えている。但し、本実施形態では、第2のゲート電極20Bが、図4(c) に示すように、第4のゲート電極20Dと一体に形成されているため、第2のゲート電極20Bの側面のうち、第4のゲート電極20Dと隣接する側面以外の側面上に、第2のオフセットスペーサ31bを介して、第2のサイドウォール33bが形成されている。
【0109】
第3,第4のMISトランジスタTr3,Tr4は、図4(c) に示すように、第3,第4の活性領域10c,10d上に形成された第3,第4のゲート絶縁膜15C,15Dと、第3,第4のゲート絶縁膜15C,15D上に形成された第3,第4のゲート電極20C,20Dと、第3,第4の活性領域10c,10dにおける第3,第4のゲート電極20C,20Dの直下に形成されたn型の第3,第4のチャネル領域13c,13dと、第3,第4のゲート電極20C,20Dの側面上に形成された第3,第4のオフセットスペーサ31c,31dと、第3,第4の活性領域10c,10dにおける第3,第4のゲート電極20C,20Dの側方下に形成された第1,第2のp型エクステンション領域と、第3,第4のゲート電極20C,20Dの側面上に第3,第4のオフセットスペーサ31c,31dを介して形成された第3,第4のサイドウォール33c,33dと、第3,第4の活性領域10c,10dにおける第3,第4のサイドウォール33c,33dの外側方下に形成された第1,第2のp型ソースドレイン領域とを備えている。
【0110】
第3,第4のゲート絶縁膜15C,15Dは、第3,第4の界面層14c,14dと、第3,第4の高誘電率絶縁膜15c,15dとを有する。第3,第4のゲート電極20C,20Dは、第3,第4の金属膜19c,19dと、第3,第4のシリコン膜20c,20dとを有する。
【0111】
第1のゲート絶縁膜15A中における調整用金属(例えばLa)の平均調整用金属濃度は、第2のゲート絶縁膜15B中における調整用金属(例えばLa)の平均調整用金属濃度よりも低い。一方、第3のゲート絶縁膜15C中における調整用金属(例えばAl)の平均調整用金属濃度と、第4のゲート絶縁膜15D中における調整用金属(例えばAl)の平均調整用金属濃度とは、同じである。
【0112】
第1の高誘電率絶縁膜15a中における調整用金属(例えばLa)の平均調整用金属濃度は、第2の高誘電率絶縁膜15b中における調整用金属(例えばLa)の平均調整用金属濃度よりも低い。一方、第3の高誘電率絶縁膜15c中における調整用金属(例えばAl)の平均調整用金属濃度と、第4の高誘電率絶縁膜15d中における調整用金属(例えばAl)の平均調整用金属濃度とは、同じである。
【0113】
第1のチャネル領域13a中におけるp型不純物の平均不純物濃度は、第2のチャネル領域13b中におけるp型不純物の平均不純物濃度よりも低い。同様に、第3のチャネル領域13c中におけるn型不純物の平均不純物濃度は、第4のチャネル領域13d中におけるn型不純物の平均不純物濃度よりも低い。
【0114】
本実施形態によると、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0115】
本実施形態では、第1,第3,第4,第2のMISトランジスタを備えた半導体装置の製造方法について説明したが、本実施形態と同様の製造方法により、第1の実施形態に係る半導体装置(即ち、第1,第2のMISトランジスタを備えた半導体装置)を製造することができる。具体的には、図2(a) における第1,第2のnMIS領域に示す工程と同様の工程を行った後、図3(a) 〜図4(c) における第1,第2のnMIS領域に示す工程と同様の工程を順次行うことにより、第1の実施形態に係る半導体装置を製造することができる。
【0116】
<第2の実施形態の変形例>
以下に、本発明の第2の実施形態の変形例に係る半導体装置の製造方法について、図5(a) 〜(c) を参照しながら説明する。図5(a) 〜(c) は、本発明の第2の実施形態の変形例に係る半導体装置の製造方法を工程順に示すゲート幅方向の断面図である。図5(a) 〜(c) において、第2の実施形態における構成要素と同一の構成要素には、図2(a) 〜図4(c) に示す符号と同一の符号を付す。従って、本変形例では、第2の実施形態と同様の説明を適宜省略する。
【0117】
まず、第2の実施形態における図2(a) 〜(c) に示す工程と同様の工程を順次行う。
【0118】
次に、図3(a) に示す工程と同様の工程を行う。具体的には、例えばスパッタ法により、半導体基板10上の全面に、例えば膜厚が0.5nm〜1.5nmのLaを含む調整用金属膜18を形成する。
【0119】
次に、図5(a) に示すように、例えば650℃,120秒の熱処理(第1の熱処理)を行う。
【0120】
これにより、調整用金属膜18中の調整用金属(例えばLa)を、ゲート絶縁膜形成膜における第1の領域(特に、高誘電率絶縁膜15における第1の活性領域10a上に位置する領域)に導入して、第1の界面層14A及び調整用金属を含む第1の高誘電率絶縁膜15xを有する第1のゲート絶縁膜形成膜15Xを形成する。
【0121】
それと共に、調整用金属膜16中の調整用金属(例えばAl)を、ゲート絶縁膜形成膜における第3,第4の領域(特に、高誘電率絶縁膜15における第3,第4の活性領域10c,10d上に位置する領域)に導入して、調整用金属を含む高誘電率絶縁膜15wを形成する。
【0122】
それと共に、調整用金属膜18中の調整用金属(例えばLa)を、ゲート絶縁膜形成膜における第2の領域(特に、高誘電率絶縁膜15における第2の活性領域10b上に位置する領域)に導入して、調整用金属を含む高誘電率絶縁膜15vを形成する。
【0123】
次に、図5(b) に示すように、リソグラフィにより、調整用金属膜18上に、第1のnMIS領域を開口し且つ第1,第2のpMIS領域及び第2のnMIS領域を覆うレジストRe3を形成する。その後、例えばウェットエッチングにより、レジストRe3をマスクとして、調整用金属膜18における第1のゲート絶縁膜形成膜15X上に位置する部分を除去する。
【0124】
その後、レジストRe3を除去する。
【0125】
次に、図5(c) に示すように、例えば900℃,30秒の熱処理(第2の熱処理)を行う。
【0126】
これにより、調整用金属膜16中の調整用金属(例えばAl)を、ゲート絶縁膜形成膜における第3,第4の領域(特に、調整用金属を含む高誘電率絶縁膜15w)に追加導入して、第3,第4の界面層14C,14D及び調整用金属を含む第3の高誘電率絶縁膜15zを有する第3のゲート絶縁膜形成膜15Zを形成する。
【0127】
それと共に、調整用金属膜18中の調整用金属(例えばLa)を、ゲート絶縁膜形成膜における第2の領域(特に、調整用金属を含む高誘電率絶縁膜15v)に追加導入して、第2の界面層14B及び調整用金属を含む第2の高誘電率絶縁膜15yを有する第2のゲート絶縁膜形成膜15Yを形成する。
【0128】
次に、第2の実施形態における図4(a) 〜(c) に示す工程と同様の工程を順次行う。
【0129】
以上のようにして、本変形例に係る半導体装置を製造することができる。
【0130】
本変形例では、図5(a) に示すように、第1の熱処理により、調整用金属膜18中の調整用金属を、ゲート絶縁膜形成膜における第1,第2の領域(特に、高誘電率絶縁膜15における第1,第2の活性領域10a,10b上に位置する領域)に導入した後、図5(c) に示すように、第2の熱処理により、調整用金属膜18中の調整用金属を、ゲート絶縁膜形成膜における第2の領域(特に、高誘電率絶縁膜15における第2の活性領域10b上に位置する領域)にのみ追加導入する。このため、第1の高誘電率絶縁膜15x中における調整用金属の平均調整用金属濃度を、第2の高誘電率絶縁膜15y中における調整用金属の平均調整用金属濃度よりも低くすることができ、第1のゲート絶縁膜形成膜15X中における調整用金属の平均調整用金属濃度を、第2のゲート絶縁膜形成膜15Y中における調整用金属の平均調整用金属濃度よりも低くすることができる。
【0131】
本変形例によると、第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0132】
なお、第2の実施形態では、第1のゲート絶縁膜形成膜15X、及び調整用金属の平均調整用金属濃度が第1のゲート絶縁膜形成膜15Xよりも高い第2のゲート絶縁膜形成膜15Yを形成する方法として、図3(a) 〜(b) に示すように、ゲート絶縁膜形成膜15における第1の領域上に、第1の膜厚を有する第1の調整用金属膜18aを形成する一方、ゲート絶縁膜形成膜15における第2の領域上に、第1の膜厚よりも厚い第2の膜厚を有する第2の調整用金属膜18bを形成した後、図3(c) に示すように、例えば700℃,120秒の熱処理を行う場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0133】
第1に例えば、上述の第2の実施形態の変形例に記載の方法により、第1,第2のゲート絶縁膜形成膜を形成してもよい。
【0134】
第2に例えば、以下に記載の方法により、第1,第2のゲート絶縁膜形成膜を形成してもよい。
【0135】
まず、第2の実施形態における図2(a) 〜(b) に示す工程と同様の工程を順次行う。
【0136】
次に、第1,第2のnMIS領域を開口し、且つ、第1,第2のpMIS領域を覆うレジスト(図2(c):Re1参照)ではなく、第1のnMIS領域における中央領域、及び第2のnMIS領域を開口し、且つ、第1のnMIS領域における周辺領域(中央領域以外の領域)、第1,第2のpMIS領域を覆うレジストを形成する。このように、第1の活性領域と対応する領域における全領域を露出するレジスト(図2(c):Re1参照)ではなく、第1の活性領域と対応する領域における中央領域のみを露出するレジストを形成する。
【0137】
その後、保護膜17及び調整用金属膜16における、レジストで覆われた部分以外の部分(即ち、第1のnMIS領域における中央領域、及び第2のnMIS領域に形成された部分)を除去する。その後、レジストを除去する。
【0138】
次に、第2の実施形態における図3(a) に示す工程と同様の工程を行った後、図3(b) に示す工程(即ち、調整用金属膜18における第1のn,pMIS領域に形成された部分を薄膜化する工程)と同様の工程を行わずに、第2の実施形態における図3(c) に示す工程(即ち、熱処理により調整用金属膜中の調整用金属を高誘電率絶縁膜に導入する工程)と同様の工程を行う。
【0139】
このようにすると、調整用金属膜中の調整用金属(例えばLa)を高誘電率絶縁膜に導入する為の熱処理時に、高誘電率絶縁膜における第1の活性領域上に位置する領域は、その中央部分のみが、調整用金属膜と接する一方、高誘電率絶縁膜における第2の活性領域上に位置する領域は、その全部分が、調整用金属膜と接する。このため、第1の高誘電率絶縁膜中における調整用金属の平均調整用金属濃度を、第2の高誘電率絶縁膜中における調整用金属の平均調整用金属濃度よりも低くすることができ、第1のゲート絶縁膜形成膜中における調整用金属の平均調整用金属濃度を、第2のゲート絶縁膜形成膜中における調整用金属の平均調整用金属濃度よりも低くすることができる。
【0140】
なお、第2の実施形態及びその変形例では、第3のゲート絶縁膜15C中における調整用金属(例えばAl)の平均調整用金属濃度と、第4のゲート絶縁膜15D中における調整用金属(例えばAl)の平均調整用金属濃度とを同じにする場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0141】
既述の通り、第3,第4のチャネル領域13C,13Dの形成後に施される熱処理により、第3のチャネル領域13c中におけるn型不純物の平均不純物濃度は、第4のチャネル領域13d中におけるn型不純物の平均不純物濃度よりも低くなる。このため、第3のMISトランジスタTr3の閾値電圧が、第4のMISトランジスタTr4の閾値電圧よりも低くなる虞がある。
【0142】
そこで、第3のゲート絶縁膜中における調整用金属の平均調整用金属濃度を、第4のゲート絶縁膜中における調整用金属の平均調整用金属濃度よりも低くする。これにより、第3,第4のチャネル領域中におけるn型不純物の平均不純物濃度の差異に起因して発生する第3,第4のMISトランジスタの閾値電圧の差異を補償することができる。このため、第3,第4のMISトランジスタの閾値電圧を、所望の閾値電圧に制御することができる。
【0143】
なお、第1の実施形態並びに第2の実施形態及びその変形例では、第1,第2のゲート絶縁膜15A,15Bに含まれる調整用金属として、Laを用いる場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、Laの代わりに、他のランタノイド元素又はマグネシウム(Mg)等を用いてもよい。
【0144】
また、第2の実施形態及びその変形例では、第3,第4のゲート絶縁膜15C,15Dに含まれる調整用金属として、Alを用いる場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、Alの代わりに、酸化タンタル(TaO)等を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0145】
以上説明したように、本発明は、第1,第2のMISトランジスタの閾値電圧を、所望の閾値電圧に制御することができるので、ゲート幅が互いに異なる第1,第2のMISトランジスタを備えた半導体装置及びその製造方法に有用である。
【符号の説明】
【0146】
10 半導体基板
10a 第1の活性領域
10b 第2の活性領域
10c 第3の活性領域
10d 第4の活性領域
11 素子分離領域
12x 第1のp型ウェル領域
12y 第2のp型ウェル領域
12z n型ウェル領域
13A,13a 第1のチャネル領域
13B,13b 第2のチャネル領域
13C,13c 第3のチャネル領域
13D,13d 第4のチャネル領域
14A,14a 第1の界面層
14B,14b 第2の界面層
14C,14c 第3の界面層
14D,14d 第4の界面層
15 高誘電率絶縁膜
15v 高誘電率絶縁膜
15w 高誘電率絶縁膜
15x 第1の高誘電率絶縁膜
15y 第2の高誘電率絶縁膜
15z 第3の高誘電率絶縁膜
15X 第1のゲート絶縁膜形成膜
15Y 第2のゲート絶縁膜形成膜
15Z 第3のゲート絶縁膜形成膜
15a 第1の高誘電率絶縁膜
15b 第2の高誘電率絶縁膜
15c 第3の高誘電率絶縁膜
15d 第4の高誘電率絶縁膜
15A 第1のゲート絶縁膜
15B 第2のゲート絶縁膜
15C 第3のゲート絶縁膜
15D 第4のゲート絶縁膜
16 調整用金属膜
17 保護膜
18 調整用金属膜
18a 第1の調整用金属膜
18b 第2の調整用金属膜
19 金属膜
20 シリコン膜
19a 第1の金属膜
19b 第2の金属膜
19c 第3の金属膜
19d 第4の金属膜
20a 第1のシリコン膜
20b 第2のシリコン膜
20c 第3のシリコン膜
20d 第4のシリコン膜
20A 第1のゲート電極
20B 第2のゲート電極
20C 第3のゲート電極
20D 第4のゲート電極
21a,31a 第1のオフセットスペーサ
21b,31b 第2のオフセットスペーサ
31c 第3のオフセットスペーサ
31d 第4のオフセットスペーサ
22a 第1のn型エクステンション領域
22b 第2のn型エクステンション領域
23a,33a 第1のサイドウォール
23b,33b 第2のサイドウォール
33c 第3のサイドウォール
33d 第4のサイドウォール
24a 第1のn型ソースドレイン領域
24b 第2のn型ソースドレイン領域
Re1〜Re3 レジスト
W1 第1のゲート幅
W2 第2のゲート幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のMISトランジスタ及び第2のMISトランジスタを備えた半導体装置であって、
前記第1のMISトランジスタは、
半導体基板における第1の活性領域上に形成され、第1の高誘電率絶縁膜を有する第1のゲート絶縁膜と、
前記第1のゲート絶縁膜上に形成された第1のゲート電極とを備え、
前記第2のMISトランジスタは、
前記半導体基板における第2の活性領域上に形成され、第2の高誘電率絶縁膜を有する第2のゲート絶縁膜と、
前記第2のゲート絶縁膜上に形成された第2のゲート電極とを備え、
前記第1のゲート絶縁膜及び前記第2のゲート絶縁膜は、それぞれ調整用金属を含み、
前記第1のMISトランジスタの第1のゲート幅は、前記第2のMISトランジスタの第2のゲート幅よりも小さく、
前記第1のゲート絶縁膜中における前記調整用金属の平均調整用金属濃度は、前記第2のゲート絶縁膜中における前記調整用金属の平均調整用金属濃度に比べて低いことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1の活性領域における前記第1のゲート電極の直下に形成された第1の不純物を含む第1のチャネル領域と、
前記第2の活性領域における前記第2のゲート電極の直下に形成された第2の不純物を含む第2のチャネル領域とを備え、
前記第1のチャネル領域中における前記第1の不純物の平均不純物濃度は、前記第2のチャネル領域中における前記第2の不純物の平均不純物濃度に比べて低いことを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の半導体装置において、
前記第1のゲート幅は、100nm以下であり、
前記第2のゲート幅は、200nm以上であることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記第1のMISトランジスタ及び前記第2のMISトランジスタは、n型MISトランジスタであり、
前記調整用金属は、ランタンであることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記第1の高誘電率絶縁膜中における前記調整用金属の平均調整用金属濃度は、前記第2の高誘電率絶縁膜中における前記調整用金属の平均調整用金属濃度に比べて低いことを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項1〜5のうちいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記第1のゲート絶縁膜は、前記第1の活性領域上に形成された第1の界面層と、前記第1の界面層上に形成された前記第1の高誘電率絶縁膜とからなり、
前記第2のゲート絶縁膜は、前記第2の活性領域上に形成された第2の界面層と、前記第2の界面層上に形成された前記第2の高誘電率絶縁膜とからなることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項6に記載の半導体装置において、
前記第1の界面層及び前記第2の界面層は、シリコン酸化膜からなることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項1〜7のうちいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記第1の高誘電率絶縁膜及び前記第2の高誘電率絶縁膜は、比誘電率が10以上の金属酸化物からなることを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項1〜8のうちいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記第1のゲート電極は、前記第1のゲート絶縁膜上に形成された第1の金属膜と、前記第1の金属膜上に形成された第1のシリコン膜とからなり、
前記第2のゲート電極は、前記第2のゲート絶縁膜上に形成された第2の金属膜と、前記第2の金属膜上に形成された第2のシリコン膜とからなることを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
半導体基板における第1の活性領域上に形成された第1のゲート絶縁膜及び第1のゲート電極を有する第1のMISトランジスタと、前記半導体基板における第2の活性領域上に形成された第2のゲート絶縁膜及び第2のゲート電極を有する第2のMISトランジスタとを備えた半導体装置の製造方法であって、
前記第1の活性領域及び前記第2の活性領域の上に、高誘電率絶縁膜を有するゲート絶縁膜形成膜を形成する工程(a)と、
前記ゲート絶縁膜形成膜における前記第1の活性領域上に位置する第1の領域に調整用金属を導入して第1のゲート絶縁膜形成膜を形成する一方、前記ゲート絶縁膜形成膜における前記第2の活性領域上に位置する第2の領域に前記調整用金属を導入して第2のゲート絶縁膜形成膜を形成する工程(b)と、
前記第1のゲート絶縁膜形成膜及び前記第2のゲート絶縁膜形成膜の上に、ゲート電極形成膜を形成する工程(c)と、
前記ゲート電極形成膜、前記第1のゲート絶縁膜形成膜及び前記第2のゲート絶縁膜形成膜をパターニングして、前記第1の活性領域上に前記第1のゲート絶縁膜形成膜からなる第1のゲート絶縁膜及び前記ゲート電極形成膜からなる第1のゲート電極を形成する一方、前記第2の活性領域上に前記第2のゲート絶縁膜形成膜からなる第2のゲート絶縁膜及び前記ゲート電極形成膜からなる第2のゲート電極を形成する工程(d)とを備え、
前記第1のMISトランジスタの第1のゲート幅は、前記第2のMISトランジスタの第2のゲート幅よりも小さく、
前記工程(b)では、前記第1のゲート絶縁膜形成膜中における前記調整用金属の平均調整用金属濃度が、前記第2のゲート絶縁膜形成膜中における前記調整用金属の平均調整用金属濃度に比べて低くなるように、前記第1のゲート絶縁膜形成膜及び前記第2のゲート絶縁膜形成膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(b)は、前記ゲート絶縁膜形成膜における前記第1の領域上に、第1の膜厚を有し且つ前記調整用金属を含む第1の調整用金属膜を形成する工程(b1)と、前記ゲート絶縁膜形成膜における前記第2の領域上に、第2の膜厚を有し且つ前記調整用金属を含む第2の調整用金属膜を形成する工程(b2)と、前記工程(b1)及び前記工程(b2)の後に、熱処理により前記第1の調整用金属膜中の前記調整用金属を前記ゲート絶縁膜形成膜における前記第1の領域に導入して前記第1のゲート絶縁膜形成膜を形成すると共に、前記第2の調整用金属膜中の前記調整用金属を前記ゲート絶縁膜形成膜における前記第2の領域に導入して前記第2のゲート絶縁膜形成膜を形成する工程(b3)とを備え、
前記第1の膜厚は、前記第2の膜厚に比べて薄いことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項12】
請求項10に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(b)は、前記ゲート絶縁膜形成膜上に、前記調整用金属を含む調整用金属膜を形成する工程(b1)と、前記工程(b1)の後に、第1の熱処理により前記調整用金属膜中の前記調整用金属を前記ゲート絶縁膜形成膜における前記第1の領域に導入して前記第1のゲート絶縁膜形成膜を形成すると共に、前記調整用金属膜中の前記調整用金属を前記ゲート絶縁膜形成膜における前記第2の領域に導入する工程(b2)と、前記工程(b2)の後に、前記調整用金属膜における前記第1のゲート絶縁膜形成膜上に位置する部分を除去する工程(b3)と、工程(b3)の後に、第2の熱処理により前記調整用金属膜中の前記調整用金属を前記ゲート絶縁膜形成膜における前記第2の領域に追加導入して前記第2のゲート絶縁膜形成膜を形成する工程(b4)とを備えていることを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−238745(P2011−238745A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−108274(P2010−108274)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】