説明

半導体装置

【課題】金属薄膜抵抗体を含む集積回路を備えた半導体装置において、レーザ照射による金属薄膜抵抗体の周辺領域へのダメージを低減する。
【解決手段】半導体基板1上に形成された下層側絶縁膜5と、下層側絶縁膜5上に形成された金属配線パターン11と、下層側絶縁膜5上及び金属配線パターン11上に形成された、少なくとも最上層にリン又はリン及びボロンが導入されたシリコン酸化膜15bをもつ下地絶縁膜15と、金属配線パターン11上の下地絶縁膜15に形成された接続孔17を備え、金属薄膜抵抗体21は下地絶縁膜15上から接続孔17内にわたって形成されて接続孔17内で金属配線パターン11と電気的に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、特に、金属薄膜抵抗体を含む集積回路を備えた半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アナログ集積回路において、抵抗素子は重要な素子として多用されている。近年、抵抗素子の中でも金属薄膜からなる抵抗体(金属薄膜抵抗体と称す)がその抵抗値の温度依存性(以下TCRという)の低さから注目を集めている。金属薄膜抵抗体の材料としては、例えばクロムシリコン(CrSi)やニッケルクロム(NiCr)、窒化タンタル(TaN)、クロムシリサイド(CrSi2)、窒化クロムシリサイド(CrSiN)、クロムシリコンオキシ(CrSi0)などが用いられる。
金属薄膜抵抗体を備えた半導体装置において、高集積化の要求を満たすために、より高いシート抵抗を目指し、1000Å(オングストローム)以下という薄い膜厚で金属薄膜抵抗体を形成することが多い。
【0003】
従来、金属薄膜抵抗体の電気的接続をとる方法として、以下のような方法がある。
1)金属薄膜抵抗体に直接金属配線を接続する方法(例えば特許文献1参照。)。
2)金属薄膜抵抗体を形成した後、層間絶縁膜を形成し、その層間絶縁膜に接続孔を形成し、接続孔を介して金属配線を接続する方法(例えば特許文献2及び特許文献3参照。)。
3)金属薄膜抵抗体層上にバリヤ膜を形成し、そのバリヤ膜に金属配線を接続する方法(例えば特許文献4及び特許文献5参照。)。
4)絶縁膜に形成された接続孔内に電極を形成し、上記絶縁膜上に抵抗体膜を形成した後、上記抵抗体膜を上記電極に接続するようにドライエッチングして抵抗体のパターンを形成する方法(例えば特許文献1参照。)。
【0004】
上記1)〜4)の金属薄膜抵抗体の電気的接続をとる方法を以下に示す。
図37を参照して、1)金属薄膜抵抗体上に直接金属配線を形成する方法を説明する。
素子分離酸化膜3及びトランジスタ素子等(図示は省略)の形成が完了したウェハ状のシリコン基板1上に第1層目層間絶縁膜5を形成し、第1層目層間絶縁膜5上に金属薄膜抵抗体101を形成する。金属薄膜抵抗体101上を含む第1層目層間絶縁膜5上全面に配線用金属膜を形成し、その配線用金属膜をウェットエッチング技術によりパターニングして第1層目金属配線パターン103を形成する。
一般的な半導体装置の製造工程では、配線用金属膜のエッチング処理にはドライエッチング技術が用いられるが、配線用金属膜の直下に膜厚が薄い金属薄膜抵抗体101が存在する状況下では、オーバーエッチングにより金属薄膜抵抗体101をエッチングしてしまうため、ドライエッチング技術を使用することができない。したがって、配線用金属膜をウェットエッチング技術によってパターニングして第1層目金属配線パターン103を形成する必要がある。
【0005】
図38を参照して、2)金属薄膜抵抗体を形成した後、層間絶縁膜を形成し、その層間絶縁膜に接続孔を形成し、接続孔を介して金属配線を接続する方法について説明する。
シリコン基板1上に素子分離酸化膜3、第1層目層間絶縁膜5及び金属薄膜抵抗体101を形成した後、金属薄膜抵抗体101上を含む第1層目層間絶縁膜5上に、金属配線との層間絶縁膜となるCVD(chemical vapor deposition)酸化膜105を形成する。CVD酸化膜105上に、金属薄膜抵抗体101の両端部に対応して開口部をもつ、金属配線接続用の接続孔を形成するためのレジストパターンを形成し、ウェットエッチング技術により、そのレジストパターンをマスクにしてCVD酸化膜105を選択的に除去して接続孔107を形成する。レジストパターン除去後、接続孔107内を含むCVD酸化膜105上に、AlSiCu膜からなる配線用金属膜を形成し、その配線用金属膜をパターニングして第1層目金属配線パターン109を形成する。
一般的な半導体装置の製造工程では、接続孔107の形成にはドライエッチング技術が用いられるが、金属薄膜抵抗体101が1000Åより薄い場合には、接続孔107が金属薄膜抵抗体101を突き抜けるのを防止するのは困難であり、ウェットエッチング技術により接続孔107を形成する必要がある。
【0006】
図39を参照して、3)金属薄膜抵抗体層上にバリヤ膜を形成し、そのバリヤ膜に金属配線を接続する方法を説明する。
シリコン基板1上に素子分離酸化膜3、第1層目層間絶縁膜5及び金属薄膜抵抗体101を形成した後、金属薄膜抵抗体101上を含む第1層目層間絶縁膜5上に、金属配線とのバリヤ膜となるTiW等の高融点金属膜を形成し、さらにその上に配線用金属膜を形成し、その配線用金属膜をドライエッチング技術によりパターニングして第1層目金属配線パターン111を形成する。このとき、配線用金属膜下には上記高融点金属膜が形成されているので、ドライエッチング技術を用いても金属薄膜抵抗体101がエッチングされることはない。その後、ウェットエッチング技術により第1層目金属配線パターン111をマスクにして上記高融点金属膜を選択的に除去して高融点金属膜パターン113を形成する。ここで、金属薄膜抵抗体101の直上に上記高融点金属膜があるので、ドライエッチング技術による上記高融点金属膜のパターニングは困難である。
【0007】
図40を参照して、4)絶縁膜に形成された接続孔内に電極を形成し、上記絶縁膜上に抵抗体膜を形成した後、これを上記電極に接続するようにドライエッチングして抵抗体のパターンを形成する方法を説明する。ここでは接続孔下に設けられた金属配線パターンの上層に金属配線パターンをさらに形成する場合について説明する。
シリコン基板1上に第1層目層間絶縁膜5を形成し後、第1層目層間絶縁膜5上に第1層目金属配線パターン115を形成する。第1層目層間絶縁膜5上に絶縁膜117を形成した後、金属薄膜抵抗体の両端部に対応して配置された第1層目金属配線パターン115上の絶縁膜117に第1接続孔119を形成し、第1接続孔119に導電性材料を埋め込んで導電性プラグ(電極)121を形成する。このとき、第1層目金属配線パターン115と、後工程で形成される第2層目金属配線パターンを電気的に接続するための接続孔は形成されていない。次に、絶縁膜117上全面に金属薄膜抵抗体用の金属薄膜を形成し、その金属薄膜をパターニングして導電性プラグ121上及び絶縁膜117上に金属薄膜抵抗体101を形成する。
【0008】
絶縁膜117上全面に、後工程で形成される第2層目金属配線パターンをドライエッチング技術によりパターニングする際に金属薄膜抵抗体101がエッチングされるのを防止するための絶縁膜123を形成する。金属薄膜抵抗体101の形成領域とは異なる領域で第2層目金属配線パターンと電気的接続を取るために配置された第1層目金属配線パターン115上の絶縁膜117及び123に第2接続孔125を形成し、第2接続孔125に導電性材料を埋め込んで第2導電性プラグ127を形成する。第2導電性プラグ127の形成領域を含んで絶縁膜123上に第2層目金属配線パターン用の金属膜を形成し、その金属膜を写真製版技術及びドライエッチング技術にてパターニングして、第2導電性プラグ127上及び絶縁膜123上に第2層目金属配線パターン129を形成する。
【0009】
また、金属薄膜抵抗体ではないが、最上層配線電極上に絶縁膜を介して形成され、かつその最上層配線電極と結線されている抵抗体を備えた半導体集積回路装置が開示されている(例えば特許文献6参照。)。
図41を参照して、このような構造を金属薄膜抵抗体に適用した場合について説明する。
【0010】
素子分離酸化膜3が形成されたシリコン基板1上に第1層目層間絶縁膜5を形成し、第1層目層間絶縁膜5上に第1層目金属配線パターン115を形成した後、第1層目金属配線パターン115上を含む第1層目層間絶縁膜5上全面に下地絶縁膜131を形成する。写真製版技術及びドライエッチング技術により、第1層目金属配線パターン115上の下地絶縁膜131に接続孔133を形成する。接続孔133の形成領域を含んで下地絶縁膜131上全面に金属薄膜抵抗体を形成するための金属薄膜を形成し、その金属薄膜を所定の形状にパターニングして金属薄膜抵抗体101を形成する。
【0011】
また、金属薄膜抵抗体を備えた半導体装置として、半導体集積回路の絶縁膜上に金属薄膜抵抗を搭載する集積回路であって、金属薄膜抵抗の電極部分における金属薄膜抵抗と金属配線との接触が、金属配線の端部の端面及び上面の少なくとも一部分においてなされるよう構成されたものが開示されている(例えば特許文献7参照。)。
【0012】
図42を参照して、金属配線の端部の端面及び上面の少なくとも一部分において金属薄膜抵抗と金属配線との接触をとる方法について説明する。
素子分離酸化膜3が形成されたシリコン基板1上に第1層目層間絶縁膜5を形成し、第1層目層間絶縁膜5上に第1層目金属配線パターン115を形成し、第1層目金属配線パターン115上を含む第1層目層間絶縁膜5上全面にプラズマ窒化膜135を形成した後、プラズマ窒化膜135の一部分を取り除いて第1層目金属配線パターン115の端面及び上面の一部分を露出させる。その後、金属薄膜抵抗体用の金属薄膜を蒸着し、その金属薄膜をパターニングして金属薄膜抵抗体101を形成する。
【0013】
また、半導体装置にあっては、物理的な装置完成後に性能の調整等のために、ヒューズ素子や抵抗素子にレーザ光を照射して切断又は変質させるレーザトリミング処理が行なわれる(例えば特許文献8参照。)。
しかし、レーザトリミング処理の実施時にレーザ光が酸化シリコン膜などの絶縁膜を透過して半導体基板、例えばシリコン基板に照射されると、レーザ光が照射された絶縁膜やシリコン基板が損傷し、半導体装置の信頼性が低下するという問題があった。また、半導体装置の性能を測定しながらトリミングを行なうトリミング処理(オンライントリミングと称す)において、レーザ光がシリコン基板に照射されることにより、シリコン基板に電子正孔対が発生する。このような電子正孔対は性能測定時のノイズとなり、正しく測定できず、高精度なトリミング処理ができないという問題もあった。
【0014】
このような不具合を低減すべく、抵抗素子の周囲にレーザ光の透過を阻止する被膜を配置する方法(例えば特許文献9参照。)や、ポリシリコンからなるヒューズとシリコン基板の間にポリシリコン、高融点金属又は高融点金属シリサイドにより形成したレーザ光遮蔽体を配置する方法(例えば特許文献10参照。)がある。
【0015】
また、特許文献11には、金属薄膜抵抗体の下層と上層を所定の膜厚のシリコン酸化膜で形成することにより、レーザトリミング処理の際に金属薄膜抵抗体に吸収される実際のエネルギーを安定させる方法が開示されている。特許文献11では、金属薄膜抵抗体の下層と上層のシリコン酸化膜として、シリコン酸化膜(SiO2)、PSG(phospho silicate glass)膜、BPSG(Borophospho silicate grass)膜が挙げられている。
【0016】
【特許文献1】特開2002−124639号公報
【特許文献2】特開2002−261237号公報
【特許文献3】特許第2699559号公報
【特許文献4】特許第2932940号公報
【特許文献5】特許第3185677号公報
【特許文献6】特開昭58−148443号公報
【特許文献7】特開昭61−100956号公報
【特許文献8】特開平8−124729号公報
【特許文献9】特開昭56−58256号公報
【特許文献10】特開昭58−170号公報
【特許文献11】特許第2536303号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
例えば、金属薄膜抵抗体の下地絶縁膜としてNSG(non-doped silicate glass)膜を用いた場合、金属薄膜抵抗体に対してレーザトリミング処理を行なう際、金属薄膜抵抗体が下地絶縁膜に拡散しにくいため、レーザパワーを高くする必要があり、例えば金属薄膜抵抗体上に形成されているパッシベーション膜や、金属薄膜抵抗体下の素子やシリコン基板など、金属薄膜抵抗体の周辺領域へのダメージが入り易いという問題があった。
本発明は、金属薄膜抵抗体を含む集積回路を備えた半導体装置において、レーザ照射による金属薄膜抵抗体の周辺領域へのダメージを低減することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の半導体装置は金属薄膜抵抗体を含む集積回路を備えた半導体装置であって、第1態様は、半導体基板上に他の層を介して形成された下層側絶縁膜(単に下地膜とも称す)と、上記下層側絶縁膜上に形成された金属配線パターンと、上記下層側絶縁膜上及び上記金属配線パターン上に形成された、少なくとも最上層にリン又はリン及びボロンが導入されたシリコン酸化膜をもつ下地絶縁膜と、上記金属配線パターン上の上記下地絶縁膜に形成された接続孔を備え、上記金属薄膜抵抗体は上記下地絶縁膜上から上記接続孔内にわたって形成されて上記接続孔内で上記金属配線パターンと電気的に接続されているものである。
本願特許請求の範囲及び本明細書において、金属薄膜抵抗体の下地膜である下地絶縁膜は単層のリン又はリン及びボロンが導入されたシリコン酸化膜であってもよいし、最上層にリン又はリン及びボロンが導入されたシリコン酸化膜をもつ複数層の絶縁膜からなる積層膜であってもよい。
リンが導入されたシリコン酸化膜(PSG膜)並びに、リン及びボロンが導入されたシリコン酸化膜(BPSG膜)は、NSG膜に比べて原子密度が低く、融点も低い。
【0019】
ところで、金属薄膜抵抗体の電気的接続をとる方法に関して、図37を参照して説明した上記1)の方法では、上述のように、金属薄膜抵抗体101上に直接第1層目金属配線パターン103を形成しているが、第1層目金属配線パターン103用の金属膜のパターニングをドライエッチング技術によっては行なうことができず、微細パターンの形成が困難であり、回路の高集積化の妨げになるという問題があった。
また、金属薄膜抵抗体101は一般的に酸化されやすく、金属薄膜抵抗体101の表面が酸化された状態で第1層目金属配線パターン103用の金属膜を形成しても、金属薄膜抵抗体101と第1層目金属配線パターン103の良好な電気的接続を得ることができないという問題があった。一般的な半導体装置の製造工程では、シリコン基板表面等の自然酸化膜をフッ酸水溶液で除去することにより金属配線との良好な電気的接続を得ることができるが、金属薄膜抵抗体101はフッ酸に少なからずエッチングされてしまうため、第1層目金属配線パターン103用の金属膜を形成する前にフッ酸による酸化膜除去処理を行なうと金属薄膜抵抗体101の抵抗値のバラツキを招く虞があった。
【0020】
また、図38を参照して説明した上記2)の方法では、金属薄膜抵抗体101の上に層間絶縁膜85を形成することにより、第1層目金属配線パターン109用の金属膜のパターニングをドライエッチング技術により行なうことができる。
しかし、金属薄膜抵抗体101と第1層目金属配線パターン109を電気的に接続するための接続孔107の形成については、上述のように、ウェットエッチング技術により開口する必要があり、微細化による高集積化の妨げとなる。さらに、接続孔107を形成するためのウェットエッチング処理においてフッ酸水溶液を使用するが、フッ酸により金属薄膜抵抗体101がエッチングされてしまうのを防止するには、金属薄膜抵抗体101上にバリヤ膜を形成及びパターニングする工程を新規に追加する等の対策が必要であり、工程数が増加するという問題があった。
【0021】
また、図39を参照して説明した上記3)の方法では、第1層目金属配線パターン111用金属膜のエッチング処理をドライエッチング技術によって行なうことができ、さらに接続孔の形成も不要である。しかし、上述のように、金属薄膜抵抗体101の長さを実質的に決定する高融点金属膜パターン113を形成するための高融点金属膜のパターニングをウェットエッチング技術により行なう必要があるので、高融点金属膜パターン113は希望するエッチング領域よりも広くエッチングされてしまい、金属薄膜抵抗体101の実質的な長さがばらつき、結果的に抵抗値のバラツキを大きくしてしまうとともに、微細化が困難になるという問題があった。
さらに、高融点金属膜パターン113用の高融点金属膜の形成時には金属薄膜抵抗体101の表面は酸化されており、高融点金属膜パターン113との電気的接続を良好なものとするためには、フッ酸水溶液による金属薄膜抵抗体101表面の酸化膜除去が必要となるが、高融点金属膜パターン113を形成する前にフッ酸による酸化膜除去処理を行なうと金属薄膜抵抗体101の抵抗値がばらつく原因となる虞があった。
【0022】
このように、図37から図39を参照して説明した上記方法1)から3)では、金属薄膜抵抗体の膜厚が薄いことに起因して、いずれかの工程でウェットエッチング処理が必要であり、微細化の妨げとなったり、抵抗値のバラツキを発生させる原因となったりしていた。
さらに、金属薄膜抵抗体が酸化されやすく、金属配線との良好な電気的接続を形成することが困難なので、金属薄膜抵抗体専用のバリヤ膜形成工程の追加や、フッ酸水溶液による表面酸化膜除去処理が必要であり、工程数が増加したり、抵抗値のバラツキを生む原因となったりしていた。
【0023】
本発明の半導体装置の第1態様は、このような問題も解決することができるものである。
【0024】
また、金属配線パターン上の絶縁膜に形成された接続孔内に金属薄膜抵抗体の一部分を形成する場合、図41に示したように、接続孔133の内壁側面、特に接続孔133の底部側において金属薄膜抵抗体101のステップカバレージ(段差被覆性)が悪くなり、金属薄膜抵抗体101と第1層目金属配線パターン115との接触抵抗が大きくなるとともにばらつくという問題があった。
【0025】
そこで、上記第1態様において、上記接続孔の少なくとも上端部がテーパー状に形成されており、かつ、成分に少なくとも上記金属配線パターン及び上記下地絶縁膜の材料ならびにArを含んでいる逆スパッタリング残渣が上記接続孔の内壁に形成されているようにしてもよい。
このような逆スパッタリング残渣及び接続孔上端部のテーパー形状は、上記下地絶縁膜に接続孔を形成した後、Arガスを用いた逆スパッタリング処理(以下Ar逆スパッタリング処理と称す)を施すことにより形成することができる。
【0026】
本発明の半導体装置の第2態様は、半導体基板上に他の層を介して形成された、少なくとも最上層にリン又はリン及びボロンが導入されたシリコン酸化膜をもつ下地絶縁膜と、上記下地絶縁膜上に形成された金属配線パターンと、上記金属配線パターンの側面に形成された絶縁性材料からなるサイドウォールを備え、上記金属薄膜抵抗体は上記下地絶縁膜上から上記サイドウォール表面を介して上記金属配線パターン上にわたって形成されているものである。
【0027】
上記第2態様において、上記サイドウォールの上記下地絶縁膜側の表面に、成分に少なくとも上記サイドウォールの材料及びArを含んでいる逆スパッタリング残渣が形成されているようにしてもよい。このような逆スパッタリング残渣は、金属配線パターン及びサイドウォールを形成した後に下地絶縁膜に対してAr逆スパッタリング処理を施すことにより形成することができる。
【0028】
上記第2態様において、上記金属薄膜抵抗体は上記金属配線パターンと交差して形成されているようにしてもよい。ここで、「金属薄膜抵抗体は金属配線パターンと交差して形成されている」とは、上記第2態様では、金属薄膜抵抗体の一部分が金属配線パターンの一側面側のサイドウォール上から、金属配線パターン上を介して、上記一側面とは反対側のサイドウォール上にわたって形成されていることを意味する。また、上記第3態様では、金属薄膜抵抗体の一部分が金属配線パターンの一側面近傍に形成された下地絶縁膜の表面から、金属配線パターン上を介して、上記一側面とは反対側の下地絶縁膜にわたって形成されていることを意味する。
【0029】
上記第1態様及び上記第2態様において、上記金属配線パターンは、金属材料パターンと、上記金属材料パターンの少なくとも上面に形成された高融点金属膜により構成されている例を挙げることができる。
【0030】
本発明の半導体装置の第3態様は、半導体基板上に他の層を介して形成された、少なくとも最上層にリン又はリン及びボロンが導入されたシリコン酸化膜をもつ下地絶縁膜と、上記下地絶縁膜に形成された第1接続孔及び第2接続孔と、上記第1接続孔内に形成された第1導電性プラグと、上記第1導電性プラグの形成と同時に上記第2接続孔内に形成された第2導電性プラグと、上記第2導電性プラグ上及び上記下地絶縁膜上に形成された金属配線パターンを備え、上記金属薄膜抵抗体は上記第1導電性プラグ上及び上記下地絶縁膜上にわたって形成されているものである。
【0031】
さらに、上記第1導電性プラグ及び上記第2導電性プラグは上記第1接続孔及び上記第2接続孔の内壁表面に形成された第1導電性材料と上記第1導電性材料上に形成された第2導電性材料からなり、上記第1接続孔において、上記第1導電性材料の上端部は上記第1接続孔の上端部及び上記第2導電性材料の上面とは間隔をもって形成されており、上記第2導電性材料の上面の外周部及び上記第1接続孔の上端部はテーパー形状に形成されており、上記第1導電性材料上の、上記第1接続孔の内壁と上記第2導電性材料の間の空間に、成分に少なくとも上記下地絶縁膜の材料、上記第1導電性材料及びArを含む逆スパッタリング残渣が形成されているようにしてもよい。
上記テーパー形状及び上記逆スパッタリング残渣は、第1導電性プラグ上に形成された金属配線パターン用の金属膜を選択的に除去する際に第1導電性プラグを構成する第1導電性材料の上部が除去され、第1導電性プラグの周囲に窪みが形成された状態で、下地絶縁膜に対してAr逆スパッタリング処理を行なうことにより形成することができる。
【0032】
上記第1態様から上記第3態様において、上記金属薄膜抵抗体の上面を覆う金属窒化膜を備え、上記金属薄膜抵抗体の上面と上記金属窒化膜の間には金属酸化膜は形成されていないようにしてもよい。
【0033】
また、上記第1態様から上記第3態様において、上記金属配線パターンは最上層の金属配線パターンであるようにしてもよい。
【0034】
また、図37から図42を参照して説明した従来技術のように、金属薄膜抵抗体を備えた半導体装置において、金属薄膜抵抗体へのレーザトリミング処理の実施時に、レーザ光が酸化シリコン膜などの絶縁膜を透過して半導体基板、例えばシリコン基板に照射されると、レーザ光が照射された絶縁膜やシリコン基板が損傷し、半導体装置の信頼性が低下するという問題があった。また、オンライントリミングの実施時において、レーザ光がシリコン基板に照射されることにより、シリコン基板に電子正孔対が発生する。このような電子正孔対は性能測定時のノイズとなり、正しく測定できず、高精度なトリミング処理ができないという問題もあった。
このような不具合を発生させないようにするには、金属薄膜抵抗体を切断又は変質させる最小レーザパワーと半導体基板への影響がない最大のレーザパワーの間の強度にレーザパワー設定しなければならないので、レーザパワーに関してマージンが少なく、安定したトリミング処理を行なうことができないという問題があった。
【0035】
そこで、上記第1態様から上記第3態様において、上記金属薄膜抵抗体下の領域で上記下地絶縁膜下に金属材料からなるレーザ光透過防止膜をさらに備えているようにしてもよい。
【0036】
また、上記第1態様から上記第3態様において、上記金属薄膜抵抗体下の領域に集積回路の構成要件のうち上記金属薄膜抵抗体以外の構成要件の少なくとも一部が配置されているようにしてもよい。
【0037】
上記金属薄膜抵抗体下の領域に配置されている上記集積回路の構成要件の例として、例えばトランジスタ素子、容量素子、金属配線パターン、ポリシリコン配線パターン、不純物拡散層を挙げることができる。
【0038】
さらに、上記金属薄膜抵抗体の膜厚は5〜1000Å、好ましくは20〜500Åである例を挙げることができる。
【0039】
さらに、上記下地絶縁膜は平坦化処理が施されているようにしてもよい。
【0040】
本発明の半導体装置が適用される半導体装置の一例として、2個以上の抵抗素子による分割によって電圧出力を得、ヒューズ素子の切断によって電圧出力を調整できる分割抵抗回路を備えた半導体装置を挙げることができる。その分割抵抗回路を構成する抵抗素子は、本発明の半導体装置を構成する金属薄膜抵抗体により構成される。
【0041】
本発明の半導体装置が適用される半導体装置の他の例として、2個以上の抵抗素子による分割によって電圧出力を得、抵抗素子へのレーザ照射によって電圧出力を調整できる分割抵抗回路を備えた半導体装置を挙げることができる。その分割抵抗回路を構成する抵抗素子は、本発明の半導体装置を構成する金属薄膜抵抗体により構成される。
【0042】
本発明の半導体装置が適用される半導体装置のさらに他の例として、入力電圧を分割して分割電圧を供給するための分割抵抗回路と、基準電圧を供給するための基準電圧発生回路と、上記分割抵抗回路からの分割電圧と上記基準電圧発生回路からの基準電圧を比較するための比較回路をもつ電圧検出回路を備えた半導体装置を挙げることができる。その電圧検出回路を構成する分割抵抗回路は、本発明の半導体装置を構成する金属薄膜抵抗体が適用された抵抗素子を備えている。
【0043】
本発明の半導体装置が適用される半導体装置のさらに他の例として、入力電圧の出力を制御する出力ドライバと、出力電圧を分割して分割電圧を供給するための分割抵抗回路と、基準電圧を供給するための基準電圧発生回路と、上記分割抵抗回路からの分割電圧と上記基準電圧発生回路からの基準電圧を比較し、比較結果に応じて上記出力ドライバの動作を制御するための比較回路をもつ定電圧発生回路を備えた半導体装置を挙げることができる。その定電圧発生回路を構成する分割抵抗回路は、本発明の半導体装置を構成する金属薄膜抵抗体が適用された抵抗素子を備えている。
【発明の効果】
【0044】
本発明の半導体装置の第1態様では、金属薄膜抵抗体の下地絶縁膜として、少なくとも最上層にリン又はリン及びボロンが導入されたシリコン酸化膜をもつものを用いるようにしたので、金属薄膜抵抗体の下面に接触する絶縁膜としてNSG膜を用いる場合に比べて原子密度が低いPSG膜又はBPSG膜を用いることにより、レーザトリミング時に金属薄膜抵抗体が下地絶縁膜に拡散しやすくなり、低パワーでのトリミングが可能となり、レーザ照射による金属薄膜抵抗体の周辺領域へのダメージを低減することができる。
さらに、第1態様では、金属薄膜抵抗体は下地絶縁膜上から、下地絶縁膜に形成された接続孔内にわたって形成されて、接続孔内で、下層側絶縁膜上に形成された金属配線パターンと電気的に接続されているようにしたので、図37から図39を参照して説明した従来技術のようには、金属薄膜抵抗体を形成した後にウェットエッチング技術によるパターニングを行なう必要はない。さらに、金属薄膜抵抗体における金属配線パターンとの接触面が大気に暴露されることはないので、金属薄膜抵抗体に対する表面酸化膜除去処理及びエッチング防止用バリヤ膜形成を行なわなくても、金属薄膜抵抗体と金属配線パターンの良好な電気的接続を安定して得ることができる。これにより、金属薄膜抵抗体の膜厚に関わらず、工程数を増加させることなく、金属薄膜抵抗体の微細化及び抵抗値の安定化を実現することができる。
【0045】
また、第1態様において、接続孔の少なくとも上端部がテーパー状に形成されており、かつ、成分に少なくとも金属配線パターン及び下地絶縁膜の材料ならびにArを含んでいる逆スパッタリング残渣が接続孔の内壁に形成されているようにすれば、逆スパッタリング残渣の存在によって接続孔内での金属薄膜抵抗体のステップカバレージを向上させることができ、金属薄膜抵抗体の金属配線パターンとの接触抵抗の安定化を実現することができる。さらに、接続孔の少なくとも上端部に形成されたテーパー状により、金属薄膜抵抗体用の金属薄膜形成時において接続孔の上端部近傍に堆積された金属薄膜のオーバーハングを防止して接続孔内への金属薄膜の堆積に及ぼす影響を低減することができ、金属薄膜のステップカバレージ、ひいては金属薄膜抵抗体のステップカバレージを向上させることができる。
また、従来、金属薄膜抵抗体は下地膜の組成や下地膜形成からの経過時間等に起因して抵抗値が変動するなど、下地膜の影響を受けてしまうという問題があった。上述のように、この態様における逆スパッタリング残渣及接続孔上端部のテーパー形状は、下地絶縁膜に接続孔を形成した後にAr逆スパッタリング処理を行なうことにより形成することができるが、金属薄膜抵抗体用の金属薄膜を形成する前に下地絶縁膜に対してAr逆スパッタリング処理が施されていることにより、金属薄膜抵抗体のシート抵抗の下地膜依存性の軽減及び経時変化の低減を図ることができるという効果もある。
金属薄膜抵抗体の下地膜にAr逆スパッタリング処理を施すことにより得られる効果については後述にて詳細に説明する。
【0046】
本発明の半導体装置の第2態様では、金属薄膜抵抗体の下地絶縁膜として、少なくとも最上層にリン又はリン及びボロンが導入されたシリコン酸化膜をもつものを用いるようにしたので、上記第1態様と同様に、レーザ照射による金属薄膜抵抗体の周辺領域へのダメージを低減することができる。
さらに、第2態様では、半導体基板上に他の層を介して形成された下地絶縁膜と、下地絶縁膜上に形成された金属配線パターンと、金属配線パターンの側面に形成された絶縁性材料からなるサイドウォールを備え、金属薄膜抵抗体は下地絶縁膜上からサイドウォール表面を介して金属配線パターン上にわたって形成されているようにしたので、この態様でも、金属薄膜抵抗体を形成した後にウェットエッチング技術によるパターニングを行なう必要はない。さらに、金属薄膜抵抗体における金属配線パターンとの接触面が大気に暴露されることはないので、金属薄膜抵抗体に対する表面酸化膜除去処理及びエッチング防止用バリヤ膜形成を行なわなくても、金属薄膜抵抗体と金属配線パターンの良好な電気的接続を安定して得ることができる。これにより、この態様でも、金属薄膜抵抗体の膜厚に関わらず、工程数を増加させることなく、金属薄膜抵抗体の微細化及び抵抗値の安定化を実現することができる。
さらに、金属薄膜抵抗体は下地絶縁膜上からサイドウォール表面を介して金属配線パターン上にわたって形成されているようにしているので、金属配線パターン側面に起因する急峻な段差による金属薄膜抵抗体のステップカバレージの悪化を防止することができ、金属薄膜抵抗体の抵抗値の安定化を実現することができる。
さらに、金属薄膜抵抗体は下地絶縁膜上からサイドウォール表面を介して金属配線パターン上にわたって形成されているので、配線パターン上に形成された接続孔を介して金属薄膜抵抗体と配線パターンの電気的接続を形成する場合に比べて上記接続孔を形成する一連の工程を行なわなくてよいので、工程の短縮及び簡素化を実現でき、かつ上記接続孔を有するがゆえの金属薄膜抵抗体のステップカバレージの悪化による金属薄膜抵抗体の抵抗値変動及び電極との接触抵抗の増大もない。
【0047】
さらに、サイドウォールの上記絶縁膜側の表面に、成分に少なくともサイドウォールの材料及びArを含んでいる逆スパッタリング残渣が形成されているようにすれば、逆スパッタリング残渣は金属配線パターン及びサイドウォールを形成した後に下地絶縁膜に対してAr逆スパッタリング処理を施すことにより形成することができるが、金属薄膜抵抗体用の金属薄膜を形成する前に下地絶縁膜に対してAr逆スパッタリング処理が施されていることにより、金属薄膜抵抗体のシート抵抗の下地膜依存性の軽減及び経時変化の低減を図ることができる。金属薄膜抵抗体の下地膜にAr逆スパッタリング処理を施すことにより得られる効果については後述にて詳細に説明する。
【0048】
また、上記第2態様において、金属薄膜抵抗体は金属配線パターンと交差して形成されているようにすれば、金属配線パターンと金属薄膜抵抗体の重ね合わせズレや金属薄膜抵抗体の端部の丸まりによる、電極と金属薄膜抵抗体の接触領域の変動をなくすことができ、さらに安定した接触抵抗を得ることができる。
【0049】
また、上記第1態様及び上記第2態様において、金属配線パターンは、金属材料パターンと、金属材料パターンの少なくとも上面に形成された高融点金属膜により構成されているようにすれば、金属薄膜抵抗体と金属材料パターンの間に高融点金属膜を介在させることができるので、金属薄膜抵抗体と金属配線パターンの接触抵抗のバラツキを低減することができ、抵抗値の精度及び歩留りの向上を図ることができる。さらに、一般に金属薄膜抵抗体と金属材料が直接接触している構造では300〜400℃程度の比較的低温の熱処理により接触抵抗が大きく変動してしまうが、このような不具合をなくすことができる。
【0050】
本発明の半導体装置の第3態様では、金属薄膜抵抗体の下地絶縁膜として、少なくとも最上層にリン又はリン及びボロンが導入されたシリコン酸化膜をもつものを用いるようにしたので、上記第1態様及び上記第2態様と同様に、レーザ照射による金属薄膜抵抗体の周辺領域へのダメージを低減することができる。
さらに、半導体基板上に他の層を介して形成された下地絶縁膜と、下地絶縁膜に形成された第1接続孔及び第2接続孔と、第1接続孔内に形成された第1導電性プラグと、第1導電性プラグの形成と同時に第2接続孔内に形成された第2導電性プラグと、第2導電性プラグ上及び下地絶縁膜上に形成された金属配線パターンを備え、金属薄膜抵抗体は第1導電性プラグ上及び下地絶縁膜上にわたって形成されているようにしたので、この態様でも、金属薄膜抵抗体を形成した後にウェットエッチング技術によるパターニングを行なう必要はない。さらに、金属薄膜抵抗体における第1導電性プラグとの接触面が大気に暴露されることはないので、金属薄膜抵抗体に対する表面酸化膜除去処理及びエッチング防止用バリヤ膜形成を行なわなくても、金属薄膜抵抗体と第1導電性プラグの良好な電気的接続を安定して得ることができる。これにより、金属薄膜抵抗体の膜厚に関わらず、工程数を増加させることなく、金属薄膜抵抗体の微細化及び抵抗値の安定化を実現することができる。
さらに、金属薄膜抵抗体は第1接続孔内に形成された第1導電性プラグ上及び下地絶縁膜上に形成されているので、図41を参照して説明した、金属配線パターン上に形成された接続孔を介して金属薄膜抵抗体と金属配線パターンの電気的接続を形成する場合のようには、金属薄膜抵抗体のステップカバレージの悪化による金属薄膜抵抗体の抵抗値変動及び電極との接触抵抗の増大もない。
さらに、上下層の金属配線パターン間を電気的に接続するための第2導電性プラグは金属薄膜抵抗体の電気的接続をとるための第1導電性プラグと同時に形成されたものであるので、図40を参照して説明した製造工程に比べて絶縁膜123の形成工程、並びに第2接続孔125及び第2導電性プラグ127を形成するための専用の工程をなくすことができ、製造工程数を増加させずに、低コストかつ短工期で金属薄膜抵抗体を形成することができる。
このように、第3態様によれば、製造工程数の大幅な増加を招くことなく、金属薄膜抵抗体の抵抗値の安定化を実現することができる。
【0051】
さらに、第1導電性プラグ及び第2導電性プラグは第1接続孔及び第2接続孔の内壁表面に形成された第1導電性材料と第1導電性材料上に形成された第2導電性材料からなり、第1接続孔において、第1導電性材料の上端部は第1接続孔の上端部及び第2導電性材料の上面とは間隔をもって形成されており、第2導電性材料の上面の外周部及び第1接続孔の上端部はテーパー形状に形成されており、第1導電性材料上の、第1接続孔の内壁と第2導電性材料の間の空間に、成分に少なくとも下地絶縁膜の材料、第1導電性材料及びArを含む逆スパッタリング残渣が形成されているようにしてもよい。
上述のように、上記テーパー形状及び上記逆スパッタリング残渣は、第1導電性プラグを構成する第1導電性材料の上部が除去されて第1導電性プラグの周囲に窪みが形成された状態で、下地絶縁膜に対してAr逆スパッタリング処理を行なうことにより形成することができる。第2導電性材料の上面の外周部及び第1接続孔の上端部がテーパー形状に形成され、さらに、第1導電性材料上の、第1接続孔の内壁と第2導電性材料の間の空間に埋戻し材料が形成されていることにより、第1接続孔近傍における金属薄膜抵抗体のステップカバレージを改善することができ、金属薄膜抵抗体の抵抗値の安定化及び精度の向上を図ることができる。
さらに、金属薄膜抵抗体の形成前に下地絶縁膜に対してAr逆スパッタリング処理が施されていることより、金属薄膜抵抗体のシート抵抗の下地膜依存性の軽減及び経時変化の低減を図ることができ、金属薄膜抵抗体の抵抗値の安定化を実現することができる。金属薄膜抵抗体の下地膜にAr逆スパッタリング処理を施すことにより得られる効果については後述にて詳細に説明する。
【0052】
上記第1態様から上記第3態様において、上記金属薄膜抵抗体の上面を覆う金属窒化膜を備え、上記金属薄膜抵抗体の上面と上記金属窒化膜の間には金属酸化膜は形成されていないようにすれば、金属薄膜抵抗体の上面の酸化をなくすことができ、金属薄膜抵抗体の抵抗値の安定化及び精度の向上を図ることができる。
【0053】
上記第1態様から上記第3態様において、上記金属配線パターンは最上層の金属配線パターンであるようにすれば、例えば金属薄膜抵抗体のレイアウト変更を金属薄膜抵抗体及び最上層の金属配線パターンのレイアウト変更により実現できるなど、設計の自由度を向上させることができる。
また、最上層の金属配線パターンが形成された絶縁膜よりも上層側に金属薄膜抵抗体を配置することにより、金属薄膜抵抗体の上層には絶縁性材料からなる最終保護膜が形成され、金属薄膜抵抗体の上層に最終保護膜以外の絶縁膜も形成されている場合に比べて金属薄膜抵抗体上の絶縁性材料の膜厚を薄くして膜厚ばらつきを小さくすることができる。これにより、金属薄膜抵抗体にレーザ光を照射してトリミング処理を施す際に、金属薄膜抵抗体上の絶縁性材料でのレーザ光の干渉のばらつきを小さくして金属薄膜抵抗体に与えられるレーザエネルギーのばらつきを小さくすることができ、トリミングの正確性を向上させることができる。さらに、金属薄膜抵抗体上の絶縁性材料の膜厚を薄くできることにより、トリミング処理時のレーザ照射に起因する金属薄膜抵抗体の温度上昇などに対して放熱能力を向上させることができる。
【0054】
また、上記第1態様から上記第3態様において、上記金属薄膜抵抗体下の領域で上記下地絶縁膜と上記集積回路の構成要件の間に金属材料からなるレーザ光透過防止膜をさらに備えているようにすれば、レーザトリミング処理時において金属薄膜抵抗体を切断又は変質させるのに十分な強度のレーザ光を金属薄膜抵抗体に照射しても、下地絶縁膜を透過したレーザ光はレーザ光透過防止膜により半導体基板とは反対側に反射されるので、レーザ光が半導体基板及び上記集積回路の構成要件に照射されるのを防止することができる。これにより、金属薄膜抵抗体下に上記集積回路の構成要件を配置する場合であっても、上記集積回路の構成要件が損傷したり特性が変動したりするのを防止することができる。さらに、トリミング処理時の半導体基板へのレーザ光の照射に起因する半導体装置の信頼性の低下を防止することができる。さらに、オンライントリミング処理時において、半導体基板へのレーザ光の照射に起因する電子正孔対の発生を防止して、高精度なトリミング処理を行なうことができる。
【0055】
本発明の半導体装置において、上記金属薄膜抵抗体下の領域に集積回路の構成要件のうち上記金属薄膜抵抗体以外の構成要件、例えば例えばトランジスタ素子、容量素子、金属配線パターン、ポリシリコン配線パターン、不純物拡散層の少なくとも一部が配置されているようにすれば、チップ面積の小型化を図ることができる。
【0056】
さらに、上記金属薄膜抵抗体の膜厚は5〜1000Å、好ましくは20〜500Åであるようにすることができるが、特に、上記第1態様から第3態様においては、上述のように、金属薄膜抵抗体を形成した後にウェットエッチング技術によるパターニングを行なう必要はなく、さらに、金属薄膜抵抗体の金属配線パターンとの接触面が大気に暴露されることはなく、金属薄膜抵抗体に対する表面酸化膜除去処理及びエッチング防止用バリヤ膜形成を行なわなくても、金属薄膜抵抗体と金属配線パターンの良好な電気的接続を安定して得ることができるので、上記のような膜厚の金属薄膜抵抗体をもつ半導体装置に適用しても、工程数を増加させることなく、金属薄膜抵抗体の微細化及び抵抗値の安定化を実現することができる。
さらに、上記逆スパッタリング残渣を備えている態様によれば、金属薄膜抵抗体のシート抵抗の下地膜依存性の軽減を図ることができるので、上記のような膜厚の金属薄膜抵抗体をもつ半導体装置に適用しても、金属薄膜抵抗体の抵抗値の安定化を実現することができる。
【0057】
さらに、本発明の半導体装置において、下地絶縁膜は平坦化処理が施されているようにすれば、上記絶縁膜の段差に起因して金属薄膜抵抗体の抵抗値がばらつくのを防止することができる。
【0058】
また、2個以上の抵抗素子による分割によって電圧出力を得、ヒューズ素子の切断によって電圧出力を調整できる分割抵抗回路を備えた半導体装置において、分割抵抗回路を構成する抵抗素子は、本発明の半導体装置を構成する金属薄膜抵抗体及び下地絶縁膜を備えているようにすれば、分割抵抗回路を含む半導体装置においてトリミング処理時のレーザ照射による金属薄膜抵抗体の周辺領域へのダメージを低減することができ、分割抵抗回路の出力電圧の精度を向上させることができる。
【0059】
また、2個以上の抵抗による分割によって電圧出力を得、抵抗素子へのレーザ照射によって電圧出力を調整できる分割抵抗回路を備えた半導体装置においても、分割抵抗回路を構成する抵抗素子は、本発明の半導体装置を構成する金属薄膜抵抗体及び下地絶縁膜を備えているようにすれば、分割抵抗回路を含む半導体装置においてトリミング処理時のレーザ照射による金属薄膜抵抗体の周辺領域へのダメージを低減することができ、分割抵抗回路の出力電圧の精度を向上させることができる。
【0060】
また、入力電圧を分割して分割電圧を供給するための分割抵抗回路と、基準電圧を供給するための基準電圧発生回路と、上記分割抵抗回路からの分割電圧と上記基準電圧発生回路からの基準電圧を比較するための比較回路をもつ電圧検出回路を備えた半導体装置において、分割抵抗回路として本発明の半導体装置を構成する金属薄膜抵抗体及び下地絶縁膜が適用された分割抵抗回路を備えているようにすれば、本発明が適用された分割抵抗回路では出力電圧の精度を向上させることができるので、電圧検出回路の検出精度を向上させることができる。
【0061】
また、入力電圧の出力を制御する出力ドライバと、出力電圧を分割して分割電圧を供給するための分割抵抗回路と、基準電圧を供給するための基準電圧発生回路と、上記分割抵抗回路からの分割電圧と上記基準電圧発生回路からの基準電圧を比較し、比較結果に応じて上記出力ドライバの動作を制御するための比較回路をもつ定電圧発生回路を備えた半導体装置において、分割抵抗回路として本発明の半導体装置を構成する金属薄膜抵抗体及び下地絶縁膜及びレーザ光透過防止膜が適用された分割抵抗回路を備えているようにすれば、本発明が適用された分割抵抗回路では出力電圧の精度を向上させることができるので、定電圧発生回路の出力電圧の安定性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0062】
図1は第1態様の一実施例を示す断面図であり、(A)は金属薄膜抵抗体の形成領域を示す断面図、(B)は(A)の破線で囲まれた部分を拡大して示す拡大断面図である。
【0063】
シリコン基板1上に素子分離酸化膜3が形成されている。後述する金属薄膜抵抗体の下に対応する領域であって、素子分離酸化膜3に囲まれた領域のシリコン基板1表面に2つの不純物拡散層4a,4aが形成されている。不純物拡散層4a,4a間のシリコン基板1上にゲート絶縁膜4bを介してポリシリコン膜からなるゲート電極4cが形成されて、トランジスタ素子が形成されている。
【0064】
素子分離酸化膜3及びトランジスタ素子の形成領域を含むシリコン基板1上にBPSG膜又はPSG膜からなる第1層目層間絶縁膜(下層側絶縁膜)5が形成されている。第1層目層間絶縁膜5に、不純物拡散層4a,4a及びゲート電極4cに対応してコンタクトホール6aが形成されている。コンタクトホール6a内に例えばタングステンが埋め込まれて導電性プラグ6bが形成されている。
【0065】
第1層目層間絶縁膜5上及び導電性プラグ6b上に、金属材料パターン7と金属材料パターン7表面に形成された高融点金属膜9からなる第1層目金属配線パターン11,11aが形成されている。金属材料パターン7は例えばAlSiCu膜により形成されている。高融点金属膜9は例えばTiN膜により形成されており、反射防止膜兼バリヤ膜として機能するものである。後述する金属薄膜抵抗体の下に対応する領域には、導電性プラグ6bに対応して第1層目金属配線パターン11aが紙面垂直方向に形成されている。
【0066】
第1層目金属配線パターン11,11aの形成領域を含む第1層目層間絶縁膜5上に、例えば、下層側から順にプラズマNSG膜15a、SOG膜、プラズマPSG膜15bからなる第2層目層間絶縁膜(下地絶縁膜)15が形成されている。図1(A)では第2層目層間絶縁膜15を一体的に図示し、図1(B)に示す領域にはSOG膜は形成されていない。第2層目層間絶縁膜15に、金属薄膜抵抗体の両端部及び第1層目金属配線パターン11に対応して接続孔17が形成されている。
【0067】
(B)に示すように、接続孔17の底面は高融点金属膜9の表面側の一部が除去されて形成されており、接続孔17の上端部はテーパー形状に形成されている。また、接続孔17の内壁には逆スパッタリング残渣19が形成されている。接続孔17の上端部のテーパー形状及び逆スパッタリング残渣19の(A)での図示は省略している。接続孔17の上端部のテーパー形状及び逆スパッタリング残渣19は、接続孔17が形成された第2層目層間絶縁膜15に対してAr逆スパッタリング処理が施されて形成されたものである。したがって、逆スパッタリング残渣19は成分に高融点金属膜9及び第2層目層間絶縁膜15の材料ならびにArを含んでおり、ここではTi、N、Si、O、Arを含んでいる。
【0068】
第2層目層間絶縁膜15上に、接続孔17,17間の領域から接続孔17内及び第1層目金属配線パターン11上にわたってCrSi薄膜抵抗体(金属薄膜抵抗体)21が形成されている。CrSi薄膜抵抗体21の両端部は接続孔17内で第1層目金属配線パターン11と電気的に接続されている。CrSi薄膜抵抗体21下には第2層目層間絶縁膜15を介して第1層目金属配線パターン11aが配置されている。
CrSi薄膜抵抗体21の形成領域を含む第2層目層間絶縁膜15上に、下層側がシリコン酸化膜、上層側がシリコン窒化膜からなる、最終保護膜としてのパッシベーション膜23(図1では一体的に図示している。)が形成されている。パッシベーション膜23上にポリイミド膜が形成されていてもよい。
【0069】
この実施例では、CrSi薄膜抵抗体21の下地絶縁膜15として最上層にPSG膜15bをもつものを用いているので、CrSi薄膜抵抗体21の下面に接触する絶縁膜としてNSG膜を用いる場合に比べて原子密度が低いPSG膜15bを用いることにより、レーザトリミング時にCrSi薄膜抵抗体21が下地絶縁膜に拡散しやすくなり、低パワーでのトリミングが可能となり、レーザ照射による金属薄膜抵抗体の周辺領域へのダメージを低減することができる。
【0070】
さらに、CrSi薄膜抵抗体21下の領域に集積回路の構成要件としてのトランジスタ素子及び第1層目金属配線パターン11aが配置されているので、チップ面積の小型化を図ることができる。
【0071】
さらに、(B)に示すように、接続孔17の内壁に逆スパッタリング残渣19が形成されているので、接続孔17内でのCrSi薄膜抵抗体21のステップカバレージが向上されている。これにより、CrSi薄膜抵抗体21の第1層目金属配線パターン11との接触抵抗の安定化を実現することができる。
さらに、接続孔17の上端部がテーパー状に形成されているので、CrSi薄膜抵抗体21を形成するためのCrSi薄膜形成時において接続孔17の上端部近傍に堆積されたCrSi薄膜のオーバーハングを防止して接続孔17内へのCrSi薄膜の堆積に及ぼす影響を低減することができ、CrSi薄膜のステップカバレージ、ひいてはCrSi薄膜抵抗体21のステップカバレージを向上させることができる。
【0072】
図2は、図1を参照して説明した実施例を製造するための製造方法の一例を説明するための工程断面図である。図3はその製造方法においてAr逆スパッタリング処理を施した後の接続孔近傍の状態を拡大して示す断面図である。図2では接続孔の内壁に形成されるサイドウォール及び接続孔の上端部のテーパー形状の図示を省略している。図1から図3を参照して、この製造方法の例を説明する。
【0073】
(1)公知の技術により、ウェハ状のシリコン基板1表面に素子分離酸化膜3を形成し、さらに、CrSi薄膜抵抗体の下に対応する領域に不純物拡散層4a,4a、ゲート絶縁膜4b及びゲート電極4cを形成してトランジスタ素子を形成する。
例えば常圧CVD装置を用いて、素子分離酸化膜3及びトランジスタ素子等の形成が完了したシリコン基板1上に、BPSG膜又はPSG膜からなる第1層目層間絶縁膜5を約8000Åの膜厚に形成する。その後、リフロー等の熱処理を行なって第1層目層間絶縁膜5の表面を平坦化する。
写真製版技術及びエッチング技術により、不純物拡散層4a,4a及びゲート電極4cに対応してコンタクトホール6aを形成する。コンタクトホール6aの形成領域を含む第1層目層間絶縁膜5上全面に導電材料、例えばタングステンを形成した後、エッチバック処理又はCMP処理を施して、不要なタングステンを除去してコンタクトホール6a内に導電性プラグ6bを形成する。
【0074】
例えばDCマグネトロンスパッタリング装置を用いて、第1層目層間絶縁膜5上に、AlSiCu膜からなる配線用金属膜を約5000Åの膜厚に形成し、さらにその上に、公知の技術である反射防止膜としての高融点金属膜、ここではTiN膜を約800Åの膜厚に、真空中で連続的に形成する。ここで、高融点金属膜は、最終的には後工程で配線用金属膜から形成される金属材料パターンと、金属薄膜抵抗体との接触抵抗を安定させるためのバリヤ膜としても機能するため、配線用金属膜と高融点金属膜を真空中で連続して形成することが好ましい。
【0075】
公知の写真製版技術及びエッチング技術により、高融点金属膜及び配線用金属膜をパターンニングして、金属配線パターン7及び高融点金属膜9からなる第1層目金属配線パターン11,11aを形成する(図2(a)参照。)。この時、配線用金属膜上に、反射防止膜として機能する高融点金属膜が形成されているので、第1層目金属配線パターン11の形成領域を画定するためのレジストパターンの太りや細りなどを最小限に抑えることができる。第1層目金属配線パターン11aは導電性プラグ6b上及び第1層目層間絶縁膜5上に形成されており、CrSi薄膜抵抗体の下に対応する領域に配置されている。
【0076】
また、この段階では金属薄膜抵抗体は形成されておらず、第1層目金属配線パターン11の下地膜は第1層目層間絶縁膜5により形成されているので、第1層目金属配線パターン11のパターンニングをドライエッチング技術により十分なオーバーエッチングをもって行なうことが可能であり、従来技術の問題点となっていたウェットエッチング技術によるパターニングを適用する必要性は全く無く、回路の微細化に影響を与えることはない。
【0077】
(2)例えばプラズマCVD法により、第1層目金属配線パターン11,11aの形成領域を含む第1層目層間絶縁膜5上にプラズマNSG膜を6000Å程度の膜厚に形成する。公知の技術であるSOGのコーティング処理及びエッチバック処理を行なうことにより、プラズマCVD酸化膜上にSOG膜を形成して平坦化を行なう。さらに、プラズマPSG膜を2000Å程度の膜厚に形成する。これにより、下層側から順にプラズマNSG膜、SOG膜、プラズマPSG膜からなる第2層目層間絶縁膜15を形成する(図2(b)参照。)。
【0078】
(3)公知の写真製版技術により、金属薄膜抵抗体の両端部の形成予定領域及び第1層目金属配線パターン11に対応して第2層目層間絶縁膜15に接続孔を形成するためのレジストパターンを形成する。
例えば並行平板型プラズマエッチング装置により、RFパワー:700W(ワット)、Ar:500sccm(standard cc/分)、CHF3:500sccm、CF4:500sccm、圧力:3.5Torr(トル)の条件で、レジストパターンをマスクにして第2層目層間絶縁膜15を選択的に除去して、第2層目層間絶縁膜15に接続孔17を形成する。接続孔17の底部には、反射防止膜兼バリヤ膜としての高融点金属膜9が約600Åの膜厚で残存している。
その後、レジストパターンを除去する(図2(c)参照。)。
【0079】
ここで、接続孔17の形成後に、接続孔17の側壁等に付着しているエッチング時の副生成物除去工程を行なってもよい。また、接続孔17内部での金属薄膜抵抗体のステップカバレージを改善する目的で、エッチング条件の変更によるテーパーエッチングや、ウェットエッチング技術とドライエッチング技術を組み合わせたエッチング処理等により、接続孔17の形状の改善を行なってもよい。
【0080】
また、上記工程(3)において、プラズマエッチング条件を最適化することにより、第2層目層間絶縁膜15のエッチングレートに対する高融点金属膜9のエッチングレートをさらに低く抑えることは十分可能であり、接続孔17の底部に残る高融点金属膜9の膜厚をこの製造方法例よりも大きくすることもできる。さらに、高融点金属膜9の形成時点での膜厚を低く抑えつつ、接続孔17形成後の高融点金属膜9の残存膜厚を確保するもできる。このように、接続孔17を形成する上記工程(3)を金属薄膜抵抗体が形成されていない段階で行なうので、金属薄膜抵抗体の薄さに起因した制約を一切受けること無く接続孔17の加工が可能であり、ドライエッチング技術の適用による微細化の追求が十分に可能である。
【0081】
(4)例えばマルチチャンバースパッタリング装置のArスパッタエッチングチャンバーにて、真空中で、DCバイアス:1250V、Ar:20sccm、圧力:8.5mTorr(ミリトル)、処理時間:20秒の条件で、接続孔17内を含む第2層目層間絶縁膜15の表面に対してAr逆スパッタリング処理を行なう。このエッチング条件は、1000℃、ウェット雰囲気で形成した熱酸化膜を約50Åだけエッチングする条件と同等である。この処理を行なった後の接続孔17底部に残存する高融点金属膜9の膜厚は500Å程度であった。
【0082】
続けて、Ar逆スパッタリング処理完了後に真空状態を破らずに連続して金属薄膜抵抗体用のCrSi薄膜(金属薄膜)27を形成する。ここでは、半導体ウェハをArスパッタエッチングチャンバーからCrSiターゲットが装着されたスパッタチャンバーに移送した後、Si/Cr=80/20wt%(重量パーセント)のCrSiターゲットを使用し、DCパワー:0.7KW(キロワット)、Ar:85sccm、圧力:8.5mTorr、処理時間:9秒の条件で処理を行ない、接続孔17内を含む第2層目層間絶縁膜15上全面にCrSi薄膜27を約50Åの膜厚に形成した(図2(d)参照。)。
【0083】
このように、金属薄膜抵抗体用のCrSi薄膜27を形成する前に、接続孔17内を含む第2層目層間絶縁膜15に対してAr逆スパッタリング処理を行なうことにより、図3に示すように、接続孔17の内壁に、高融点金属膜9及び第2層目層間絶縁膜15の材料ならびにArを含む材料からなる逆スパッタリング残渣19を形成することができるとともに、接続孔17の上端部をテーパー形状に形成することができる。そして、逆スパッタリング残渣19の存在によって接続孔17内でのCrSi薄膜27のステップカバレージを向上させることができ、さらに、接続孔17の上端部に形成されたテーパー状により、CrSi薄膜27の形成時において接続孔17の上端部近傍に堆積されたCrSi薄膜27のオーバーハングを防止して接続孔17内へのCrSi薄膜27の堆積に及ぼす影響を低減することができ、CrSi薄膜27のステップカバレージを向上させることができる。
【0084】
さらに、上記Ar逆スパッタリング処理を行なうことにより、接続孔17底部の高融点金属膜9表面に形成されている自然酸化膜を除去することができ、第1層目金属配線パターン11とCrSi薄膜27との良好な電気的接続を形成することができる。
さらに、上記Ar逆スパッタリング処理を行なうことにより、後工程でCrSi薄膜27から形成されるCrSi薄膜抵抗体の下地膜依存性を改善できる。この効果については後述する。
【0085】
(5)写真製版技術により、CrSi薄膜27上に金属薄膜抵抗体の形成領域を画定するためのレジストパターンを形成し、例えばRIE(反応性イオンエッチング)装置を用い、そのレジストパターンをマスクにしてCrSi薄膜27をパターニングし、CrSi薄膜抵抗体21を形成し、その後、レジストパターンを除去する。ここで、CrSi薄膜抵抗体21は接続孔17内で第1層目金属配線パターン11と電気的に接続されているので、従来技術のようには金属薄膜抵抗体上面で電気的接続をとるためにフッ酸水溶液によるCrSi薄膜抵抗体21の表面の金属酸化膜除去処理を行なう必要はない。
例えばプラズマCVD法により、CrSi薄膜抵抗体21の形成領域を含む第2層目層間絶縁膜15上に、パッシベーション膜23としてのシリコン酸化膜及びシリコン窒化膜を順次形成する。以上により、半導体装置の製造工程が完了する(図1参照。)。
【0086】
この製造方法によれば、第1層目金属配線パターン11及び接続孔17を形成した後、CrSi薄膜抵抗体21を形成して接続孔17内でCrSi薄膜抵抗体21と第1層目金属配線パターン11の電気的接続を形成するので、CrSi薄膜抵抗体21をパターニングした後にウェットエッチング技術によるパターニングを行なう必要はない。
【0087】
さらに、CrSi薄膜抵抗体21の第1層目金属配線パターン11との接触面が大気に暴露されることはないので、CrSi薄膜抵抗体21に対する表面酸化膜除去処理及びエッチング防止用バリヤ膜形成を行なわなくても、CrSi薄膜抵抗体21と第1層目金属配線パターン11の良好な電気的接続を安定して得ることができる。
これにより、CrSi薄膜抵抗体21の膜厚に関わらず、工程数を増加させることなく、CrSi薄膜抵抗体21の微細化及び抵抗値の安定化を実現することができる。
【0088】
さらに、CrSi薄膜抵抗体21と金属材料パターン7の間にバリヤ膜として機能する高融点金属膜9を介在させているので、CrSi薄膜抵抗体21と第1層目金属配線パターン11の接触抵抗のバラツキを低減することができ、抵抗値の精度及び歩留りの向上を図ることができる。
【0089】
さらに、高融点金属膜9はバリヤ膜兼反射防止膜としても機能しており、従来技術に比べて製造工程を増加させることなく高融点金属膜9を形成することができるので、製造コストの増大を防止しつつ、金属薄膜抵抗体と金属配線パターンの接触抵抗を安定させることができる。
【0090】
図4及び図5を参照して、上記実施例と同様の構成で形成した金属薄膜抵抗体の特性について調べた結果を示す。図4は、金属薄膜抵抗体のシート抵抗と膜厚との関係を示し、縦軸はシート抵抗(Ω/□)、横軸はCrSi膜厚(Å)を示す。図5は、金属薄膜抵抗体のシート抵抗のウェハ面内の63箇所での測定結果の標準偏差(σ)を平均値(AVE)で割った値(σ/AVE)とCrSi膜厚との関係を示し、縦軸はσ/AVE(%)、横軸はCrSi膜厚(Å)を示す。
【0091】
金属薄膜抵抗体の形成条件は次の通りである。
マルチチャンバースパッタリング装置を用いて、DCパワー:0.7KW、Ar:85sccm、圧力:8.5mTorr、ターゲット:Si/Cr=50/50wt%及び80/20wt%の2種について、体積時間を調整することにより、CrSi薄膜を25〜500Åの膜厚にサンプルを作成した。なお、Si/Cr=50/50wt%のサンプルについては膜厚が500Åのものは作成していない。
【0092】
また、CrSi薄膜形成前のAr逆スパッタリング処理は、上記マルチチャンバースパッタリング装置を用いて、DCバイアス:1250V、Ar:20sccm、圧力:8.5mTorr、処理時間:160秒の条件で行なった。これは、1000℃、ウェット雰囲気で形成した熱酸化膜を400Åだけエッチング除去するのに相当する処理である。
また、本サンプルでは、金属薄膜抵抗体に接続する下層の金属配線として、膜厚が5000ÅのAlSiCu膜を用い、AlSiCu膜とCrSi薄膜間の接続孔底部にはAlSiCu膜上のTiN膜が形成されていない構造を採用した。
【0093】
シート抵抗の測定は、幅が0.5μm(マイクロメートル)、長さが50μmの帯状パターンを0.5μm間隔で20本配置したうちの1本の金属薄膜抵抗体の両端に1Vの電圧を印加して電流値を測定する2端子法にて行なった。
また、金属配線とCrSi薄膜抵抗体とをつなぐ接続孔の平面寸法は0.6μm×0.6μmであった。
【0094】
図4に示すように、ターゲット(Si/Cr=50/50wt%とSi/Cr=80/20wt%)の組成に関わらず、200Å以上の膜厚から25Åという極めて薄い膜厚まで、膜厚とシート抵抗の線形性が維持されており、従来技術では形成できないような微細な寸法の金属薄膜抵抗体を薄い膜厚に形成できることが分かる。
【0095】
また、ウェハ面内63箇所におけるシート抵抗のバラツキを示す図5を見ても、ターゲット(Si/Cr=50/50wt%とSi/Cr=80/20wt%)の両方とも、抵抗値のバラツキは膜厚の影響をほとんど受けておらず、抵抗値のバラツキも非常に小さく安定していることが分かる。このことから、接続孔内へのサイドウォールの形成方法としてAr逆スパッタリング処理を採用すれば、極めて微細な金属薄膜抵抗体パターンを金属薄膜抵抗体の膜厚に関係なく安定して形成できる。
【0096】
図6は、金属薄膜抵抗体用の金属薄膜を形成する前にAr逆スパッタリング処理を行なった場合及び行なわなかった場合のCrSi薄膜抵抗体のシート抵抗と金属薄膜抵抗体の下地膜を形成してから経過した時間との関係を示す図であり、(A)は行なった場合、(B)は行なわなかった場合を示す。図6において、縦軸はシート抵抗(Ω/□)、横軸は下地膜形成後経過時間(時間)を示す。
【0097】
図6のサンプルとして、下地膜としてプラズマCVD法によって2000Åの膜厚に形成したプラズマSiN膜とプラズマNSG膜の2つのシリコンウェハを準備し、これらのシリコンウェハに形成したCrSi薄膜抵抗体を用い、CrSi薄膜抵抗体のシート抵抗を4端子法によって測定した。
【0098】
下地膜のプラズマSiN膜は、並行平板型プラズマCVD装置を用いて、温度:360℃、圧力:5.5Torr、RFパワー:200W、SiH4:70sccm、N2:3500sccm、NH3:40sccmの条件で形成した。
プラズマNSG膜は、並行平板型プラズマCVD装置を用いて、温度:400℃、圧力:3.0Torr、RFパワー:250W、SiH4:16sccm、N2O:1000sccmの条件で形成した。
【0099】
CrSi薄膜抵抗体は、マルチチャンバースパッタリング装置を用いて、Si/Cr=80/20wt%のターゲット、DCパワー:0.7KW、Ar:85sccm、圧力:8.5mTorr、体積時間:13秒の条件で処理を行なうことで、100Åの膜厚に形成した。
【0100】
Ar逆スパッタリング処理を行なったサンプルには、上記マルチチャンバースパッタリング装置を用いて、DCバイアス:1250V、Ar:20sccm、圧力:8.5mTorr、処理時間:80秒の条件で行なった。これは、1000℃、ウェット雰囲気で形成した熱酸化膜を200Åだけエッチング除去するのに相当する処理である。
【0101】
(B)に示すように、CrSi薄膜の形成前にAr逆スパッタリング処理を行なっていない場合、下地膜の違い(SiN膜上とNSG膜上)によりシート抵抗が大きく異なっているのが分かる。さらに、下地膜を形成してからCrSi薄膜抵抗体を形成するまでに経過した時間の影響を大きく受けているのが分かる。
これに対し、(A)に示すように、Ar逆スパッタリング処理を行なった場合、下地膜の種類及び経過時間ともに、CrSi薄膜抵抗体のシート抵抗にほとんど影響を与えていないのが分かる。
【0102】
このことから、Ar逆スパッタリング処理を行なった後、真空中で連続して金属薄膜抵抗体用の金属薄膜を形成することにより、前工程からの経過時間や製品毎に異なる下地膜の違い等によって発生する抵抗値のバラツキを大幅に改善できることが分かる。
【0103】
図7は、Ar逆スパッタリング処理の量とシート抵抗の関係を示す図である。縦軸はシート抵抗(Ω/□)、横軸はエッチング量(熱酸化膜エッチング量換算)(Å)を示す。図7のサンプルについて、下地膜及びCrSi薄膜抵抗体は図6のサンプル形成と同じ条件で形成したプラズマNSG膜及びCrSi薄膜抵抗体を用いた。なお、成膜から1週間経過したプラズマNSG膜に対してAr逆スパッタリング処理を行なった後、そのプラズマNSG膜上にCrSi薄膜抵抗体を形成した。Ar逆スパッタリング処理の条件は、エッチング量以外は図6のサンプルと同じ条件で行なった。そして、ウェット雰囲気で形成した熱酸化膜エッチング量換算で0Å(Ar逆スパッタリング処理無し)、25Å、50Å、100Å、200Å、400Å、1000Åとなるように調整した。CrSi薄膜抵抗体のシート抵抗を4端子法によって測定した。
【0104】
図7の結果から、Ar逆スパッタリング処理は、ウェット雰囲気で形成した熱酸化膜エッチング量換算で25Å以上の膜厚分だけ行なえば、CrSi薄膜抵抗体の抵抗値安定化の効果が得られることが分かった。なお、図7ではAr逆スパッタリング処理条件について熱酸化膜エッチング量換算で1000Åの膜厚分だけエッチングしたものまでしかサンプルを製作していないが、熱酸化膜エッチング量換算で1000Åよりも大きい膜厚分だけエッチングした場合であっても、金属薄膜抵抗体の形成領域に下地膜が残存しているのであれば、上記Ar逆スパッタリング処理の効果が得られるものと予想できる。
【0105】
さらに、Ar逆スパッタリング処理の効果は下地の影響のみならず、CrSi薄膜の抵抗値そのものの安定性にも影響を与えることが分かった。
図8は、CrSi薄膜を形成した後に、温度25℃、湿度45%の大気中に放置した時間と、形成直後のシート抵抗(R0)からのシート抵抗の変化率(ΔR/R0)の関係を示す図であり、縦軸はΔR/R0(%)、横軸は放置時間(時間)を示す。
【0106】
図8のサンプルについて、下地膜及びCrSi薄膜抵抗体は図6のサンプル形成と同じ条件で形成したプラズマNSG膜及びCrSi薄膜抵抗体を用いた。
Ar逆スパッタリング処理については、処理を行なわないもの(Arエッチ無)、処理時間40秒で熱酸化膜換算:100Åのもの(Arエッチ:100Å)、処理時間80秒で熱酸化膜換算:200Åのもの(Arエッチ:200Å)の3種を準備した。
【0107】
Ar逆スパッタリング処理を行なっていないサンプル(Arエッチ無)では、形成後から時間が経過するとともに抵抗値が上昇し、300時間以上放置した場合、3%以上も抵抗値が変動しているのが分かる。
これに対し、Ar逆スパッタリング処理を行なったサンプル(Arエッチ:100Å、及びArエッチ:200Å)では、抵抗値の変化率は大幅に減少し、300時間以上放置しても、形成直後のシート抵抗±1%から外れることはなかった。
さらに、Arエッチ:100ÅとArエッチ:200Åを比較すると、Ar逆スパッタリング処理量の大小の影響は小さく、わずかなエッチング量で効果があることが判明した。
【0108】
以上、図4から図8を参照して、下地膜のシート抵抗への影響や大気放置時間の影響に対するAr逆スパッタリング処理の効果を説明したが、これらの効果は、サンプルとして使用した、ターゲットがSi/Cr=50/50wt%又は80/20wt%のCrSi薄膜抵抗に限定されるものではない。なお、Si/Cr=50/50〜90/10wt%のターゲットで形成したCrSi薄膜及びCrSiN膜の全てで上記と同様の効果が観察されている。
また、Ar逆スパッタリング処理方法も今回使用したDCバイアススパッタエッチング法に限定されるものではない。
【0109】
図9は、接続孔形成時に接続孔底部に高融点金属膜を残存させたサンプルと完全に除去したサンプルについて熱処理に起因する金属薄膜抵抗と金属配線の接触抵抗の変動を調べた結果を示す図である。縦軸は熱処理前の接触抵抗値で規格化した値を示し、横軸は熱処理回数を示す。
【0110】
図9のサンプルとして、接続孔形成時のドライエッチング時間を調整することで、接続孔底部の高融点金属膜を500Å程度残存させたサンプルと、完全に除去したサンプルを作成した。
高融点金属膜にはTiN膜を用いた。
CrSi薄膜抵抗体は、Si/Cr=80/20wt%、DCパワー:0.7KW、Ar:85sccm、圧力:8.5mTorr、体積時間:6秒の条件で50Åの膜厚に形成した。
CrSi薄膜形成前のAr逆スパッタリング処理は、DCバイアス:1250V、Ar:20sccm、圧力:8.5mTorr、処理時間:160秒の条件で行なった。これは、1000℃、ウェット雰囲気で形成した熱酸化膜を400Åだけエッチング除去するのに相当する処理である。
接続孔の平面寸法は0.6μm×0.6μmであった。接触抵抗測定方法は4端子法を用いた。
【0111】
上記のサンプルについて、350℃、窒素雰囲気中で30分の熱処理を追加することで、接触抵抗がどのように変化するかを調べた。
TiN膜を接続孔底部に有するサンプル(TiN有)は、熱処理を2回追加してもほとんど熱処理前の接触抵抗から変化していない。これに対し、TiN膜を完全に除去したサンプル(TiN無)は、2回の熱処理追加によって接触抵抗が熱処理前に比べて20%以上変動している。このことは、TiN膜がCrSi薄膜と金属配線の相互作用による抵抗変動を防止するバリヤ膜としての機能を有することを意味している。
【0112】
CrSi薄膜抵抗体と金属配線の間にTiN膜を存在させることにより、例えばシンタリングやCVDなど、製造工程で行なわれる熱処理による接触抵抗の変動を極めて小さくできるとともに、後工程である組立て作業で行なわれる半田処理などの熱処理での接触抵抗の変動を防止できる。これにより、設定通りの接触抵抗を安定して得ることができるとともに、組立て前後の接触抵抗の変動を防止することができ、製品の高精度化や歩留の向上が可能となる。
【0113】
図1から図3を参照して説明した製造方法では、上記工程(1)において、第1層目金属配線パターン11用の金属膜と高融点金属膜を真空中で連続して形成しているが、製造方法はこれに限定されるものではない。
例えば、第1層目金属配線パターン11用の金属膜を形成し、一旦大気に暴露した後、高融点金属膜を形成した場合には、配線用金属膜表面に形成される自然酸化膜の影響で、上記金属膜と高融点金属膜との間で電気的導通を確保することが困難になる。このようなときには、上記金属膜及び高融点金属膜をパターニングして形成した金属材料パターン7及び高融点金属膜9からなる第1層目金属配線パターン11上の第2層目層間絶縁膜15に接続孔17を形成する段階で、接続孔17底部の高融点金属膜9を全部除去することによって、第1層目金属配線パターン11とCrSi薄膜抵抗体21間の電気的接続を得ることができる。
【0114】
また、上記工程(1)において、反射防止膜兼バリヤ膜として機能する高融点金属膜を800Åの膜厚に形成しているが、製造方法はこれに限定されるものではない。
一般に、反射防止膜としての高融点金属膜は500Å以下の膜厚に形成されるが、接続孔17の底部にバリヤ膜としての高融点金属膜9を残存させたい場合には、接続孔17形成時のオーバーエッチング(上記工程(3)参照。)や、金属薄膜形成時のAr逆スパッタリング処理(上記工程(4)参照。)において、高融点金属膜9の膜ベリが若干生じてしまうため、バリヤ膜としての機能を安定的に得るために、500Å以上の膜厚に形成することが好ましい。
【0115】
ただし、上述したように、接続孔17形成用のエッチング条件やAr逆スパッタリング処理条件を最適化することにより、高融点金属膜9の膜厚が500Å以下でも高融点金属膜9の膜ベリを最小限に抑えてバリヤ膜としての機能を発揮させることは可能である。
【0116】
また、上記工程(4)において、CrSi薄膜27の形成直前にAr逆スパッタリング処理を行なっているが、バリヤ膜としての高融点金属膜9が接続孔17底部に残存している場合には、TiN膜からなる高融点金属膜9は大気に晒されてもAlSiCu膜ほどは強固な自然酸化膜を形成しないため、上記Ar逆スパッタリング処理を行なわなくてもCrSi薄膜27と第1層目金属配線パターン11の電気的接続を得ることができる。上記Ar逆スパッタリング処理を行なわない場合には、接続孔17の上端部のテーパー形状及び逆スパッタリング残渣19は形成されない。ただし、上述したように、CrSi薄膜27の形成直前にAr逆スパッタリング処理を行なうことによりCrSi薄膜抵抗体21の抵抗値の安定性を改善することができるので、上記Ar逆スパッタリング処理を行なうことが好ましい。
【0117】
また、上記の実施例では、第2層目層間絶縁膜15として、SOG膜の形成及びエッチバック技術を用いて平坦化したものを用いているが、金属薄膜抵抗体の下地となる絶縁膜はこれに限定されるものではない。金属薄膜抵抗体の下地となる絶縁膜としては、例えば公知の技術であるCMP(chemical mechanical polish)技術を用いて平坦化を行なった絶縁膜や、平坦化を行なっていないプラズマCVD酸化膜、SOGを塗布した後に熱処理を施して平坦化したSOG膜、HDP(high-density-plasma)−CVD法により形成したCVD絶縁膜をエッチバックして平坦化したものなど、他の絶縁膜であってもよい。ただし、アナログ抵抗素子の中には、TCRのみならず、ペア性や比精度も重要となるような構成で使用されている場合も多いので、特に、本発明の半導体装置を構成する金属薄膜抵抗体をアナログ抵抗素子に適用する場合には、金属薄膜抵抗体の下地となる絶縁膜は平坦化処理が施されていることが好ましい。
【0118】
また、上記の実施例では、CrSi薄膜抵抗体21の上にパッシベーション膜23を形成しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、CrSi薄膜抵抗体21の上に形成される絶縁膜は、例えば第2層目の金属配線を形成するための層間絶縁膜など、いかなる絶縁膜であってもよい。
【0119】
図10は第1態様の他の実施例を示す断面図であり、(A)は金属薄膜抵抗体の形成領域を示す断面図、(B)は(A)の破線で囲まれた部分を拡大して示す拡大断面図である。この実施例は図1でのトランジスタ素子に替えて、金属薄膜抵抗体の下の領域に容量素子を配置したものである。図1と同じ機能を果たす部分には同じ符号を付し、それらの部分の詳細な説明は省略する。
【0120】
シリコン基板1上に素子分離酸化膜3が形成されている。CrSi薄膜抵抗体21の下の領域で素子分離酸化膜3上に例えばポリシリコン膜からなる下層側電極13aが形成されている。下層側電極13a上に容量素子用絶縁膜13bを介して例えばポリシリコン膜からなる上層側電極13cが形成されている。容量素子用絶縁膜13bは例えばシリコン酸化膜やシリコン窒化膜、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜の積層膜などにより形成される。下層側電極13a、容量素子用絶縁膜13b及び上層側電極13cは容量素子を構成する。
【0121】
素子分離酸化膜3及び容量素子の形成領域を含むシリコン基板1上に第1層目層間絶縁膜5が形成されている。第1層目層間絶縁膜5に、下層側電極13a上で上層側電極13cが形成されていない領域、及び上層側電極13cに対応してコンタクトホール6a及び導電性プラグ6bが形成されている。
【0122】
第1層目層間絶縁膜5上に、金属材料パターン7及び高融点金属膜9からなる第1層目金属配線パターン11,11a、下層側から順にプラズマNSG膜15a、SOG膜、プラズマPSG膜15bからなる第2層目層間絶縁膜15、上端部にテーパー形状をもつ接続孔17、逆スパッタリング残渣19、CrSi薄膜抵抗体21、ならびにパッシベーション膜23が形成されている。図10(A)では第2層目層間絶縁膜15を一体的に図示し、図10(B)に示す領域にはSOG膜は形成されていない。
CrSi薄膜抵抗体21下の領域には、第1層目金属配線パターン11a、ならびに下層側電極13a、容量素子用絶縁膜13b及び上層側電極13cからなる容量素子が配置されている。
【0123】
この実施例でも、CrSi薄膜抵抗体21の下地絶縁膜15として最上層にPSG膜15bをもつものを用いているので、CrSi薄膜抵抗体21の下面に接触する絶縁膜としてNSG膜を用いる場合に比べてレーザ照射による金属薄膜抵抗体の周辺領域へのダメージを低減することができる。
さらに、CrSi薄膜抵抗体21下の領域に集積回路の構成要件としての容量素子及び第1層目金属配線パターン11aが配置されているので、チップ面積の小型化を図ることができる。
【0124】
この実施例は、公知の製造方法により、素子分離酸化膜3上に下層側電極13a、容量素子用絶縁膜13b及び上層側電極13cを形成した後、第1層間絶縁膜5の形成工程以降の工程を図1から図3を説明した上記実施例と同様にして行なうことにより形成することができる。
【0125】
図11は第1態様のさらに他の実施例を示す断面図であり、(A)は金属薄膜抵抗体の形成領域を示す断面図、(B)は(A)の破線で囲まれた部分を拡大して示す拡大断面図である。この実施例は図1でのトランジスタ素子に替えて、金属薄膜抵抗体の下の領域にポリシリコン配線パターンを配置したものである。図1と同じ機能を果たす部分には同じ符号を付し、それらの部分の詳細な説明は省略する。
【0126】
シリコン基板1上に素子分離酸化膜3が形成されている。CrSi薄膜抵抗体21の下の領域で素子分離酸化膜3上にポリシリコン膜からなるポリシリコン配線パターン28が形成されている。
素子分離酸化膜3及びポリシリコン配線パターン28の形成領域を含むシリコン基板1上に第1層目層間絶縁膜5が形成されている。第1層目層間絶縁膜5に、ポリシリコン配線パターン28に対応してコンタクトホール6a及び導電性プラグ6bが形成されている。
【0127】
第1層目層間絶縁膜5上に、金属材料パターン7及び高融点金属膜9からなる第1層目金属配線パターン11,11a、下層側から順にプラズマNSG膜15a、SOG膜、プラズマPSG膜15bからなる第2層目層間絶縁膜15、上端部にテーパー形状をもつ接続孔17、逆スパッタリング残渣19、CrSi薄膜抵抗体21、ならびにパッシベーション膜23が形成されている。CrSi薄膜抵抗体21下の領域には、第1層目金属配線パターン11a及びポリシリコン配線パターン28が配置されている。図11(A)では第2層目層間絶縁膜15を一体的に図示し、図11(B)に示す領域にはSOG膜は形成されていない。
【0128】
この実施例でも、CrSi薄膜抵抗体21の下地絶縁膜15として最上層にPSG膜15bをもつものを用いているので、CrSi薄膜抵抗体21の下面に接触する絶縁膜としてNSG膜を用いる場合に比べてレーザ照射による金属薄膜抵抗体の周辺領域へのダメージを低減することができる。
さらに、CrSi薄膜抵抗体21下の領域に集積回路の構成要件としてのポリシリコン配線パターン28及び第1層目金属配線パターン11aが配置されているので、チップ面積の小型化を図ることができる。
【0129】
この実施例は、公知の製造方法により、素子分離酸化膜3上にポリシリコン配線パターン28を形成した後、第1層間絶縁膜5の形成工程以降の工程を図1から図3を説明した上記実施例と同様にして行なうことにより形成することができる。
【0130】
図12は第1態様のさらに他の実施例を示す断面図であり、(A)は金属薄膜抵抗体の形成領域を示す断面図、(B)は(A)の破線で囲まれた部分を拡大して示す拡大断面図である。この実施例は図1でのトランジスタ素子に替えて、金属薄膜抵抗体の下の領域に不純物拡散層を配置したものである。図1と同じ機能を果たす部分には同じ符号を付し、それらの部分の詳細な説明は省略する。
【0131】
シリコン基板1上に素子分離酸化膜3が形成されている。CrSi薄膜抵抗体21の下の領域であって、素子分離酸化膜3で囲まれた領域のシリコン基板1の表面側に不純物拡散層29が形成されている。
素子分離酸化膜3及び不純物拡散層29の形成領域を含むシリコン基板1上に第1層目層間絶縁膜5が形成されている。第1層目層間絶縁膜5に、不純物拡散層29に対応してコンタクトホール6a及び導電性プラグ6bが形成されている。
【0132】
第1層目層間絶縁膜5上に、金属材料パターン7及び高融点金属膜9からなる第1層目金属配線パターン11,11a、下層側から順にプラズマNSG膜15a、SOG膜、プラズマPSG膜15bからなる第2層目層間絶縁膜15、上端部にテーパー形状をもつ接続孔17、逆スパッタリング残渣19、CrSi薄膜抵抗体21、ならびにパッシベーション膜23が形成されている。CrSi薄膜抵抗体21下の領域には、第1層目金属配線パターン11a及び不純物拡散層29が配置されている。図12(A)では第2層目層間絶縁膜15を一体的に図示し、図12(B)に示す領域にはSOG膜は形成されていない。
【0133】
この実施例でも、CrSi薄膜抵抗体21の下地絶縁膜15として最上層にPSG膜15bをもつものを用いているので、CrSi薄膜抵抗体21の下面に接触する絶縁膜としてNSG膜を用いる場合に比べてレーザ照射による金属薄膜抵抗体の周辺領域へのダメージを低減することができる。
さらに、CrSi薄膜抵抗体21下の領域に集積回路の構成要件としての不純物拡散層29及び第1層目金属配線パターン11aが配置されているので、チップ面積の小型化を図ることができる。
【0134】
この実施例は、公知の製造方法により、シリコン基板1に素子分離酸化膜3及び不純物拡散層29を形成した後、第1層間絶縁膜5の形成工程以降の工程を図1から図3を説明した上記実施例と同様にして行なうことにより形成することができる。
【0135】
図13は第1態様のさらに他の実施例を示す断面図であり、(A)は金属薄膜抵抗体の形成領域を示す断面図、(B)は(A)の破線で囲まれた部分を拡大して示す拡大断面図である。図1と同じ機能を果たす部分には同じ符号を付し、それらの部分の詳細な説明は省略する。
【0136】
シリコン基板1上に素子分離酸化膜3、不純物拡散層4a,4a、ゲート絶縁膜4b及びゲート電極4cを備えたトランジスタ素子、第1層目層間絶縁膜5、コンタクトホール6a、導電性プラグ6b、金属材料パターン7及び高融点金属膜9からなる第1層目金属配線パターン11,11a、下層側から順にプラズマNSG膜15a、SOG膜、プラズマPSG膜15bからなる第2層目層間絶縁膜15、上端部にテーパー形状をもつ接続孔17、逆スパッタリング残渣19、ならびにCrSi薄膜抵抗体21が形成されている。図13(A)では第2層目層間絶縁膜15を一体的に図示し、図13(B)に示す領域にはSOG膜は形成されていない。
【0137】
CrSi薄膜抵抗体21の上面にCrSiN膜(金属窒化膜)30が形成されている。CrSi薄膜抵抗体21とCrSiN膜30の間にはCrSiOは形成されていない。
CrSi薄膜抵抗体21及びCrSiN膜30の形成領域を含む第2層目層間絶縁膜15上にパッシベーション膜23が形成されている。
【0138】
この実施例でも、CrSi薄膜抵抗体21の下地絶縁膜15として最上層にPSG膜15bをもつものを用いているので、CrSi薄膜抵抗体21の下面に接触する絶縁膜としてNSG膜を用いる場合に比べてレーザ照射による金属薄膜抵抗体の周辺領域へのダメージを低減することができる。
【0139】
この実施例を製作するための製造方法を説明する。
図2(a)から(c)を参照して説明した上記工程(1)から(3)と同じ工程により、素子分離酸化膜3と、不純物拡散層4a,4a、ゲート絶縁膜4b及びゲート電極4cを備えたトランジスタ素子の形成が完了したウェハ状のシリコン基板1上に、第1層目層間絶縁膜5、コンタクトホール6a、導電性プラグ6b、金属配線パターン7及び高融点金属膜9からなる第1層目金属配線パターン11,11a、第2層目層間絶縁膜15、ならびに接続孔17を形成する。
【0140】
図2(d)を参照して説明した上記工程(4)と同じ条件により、例えばマルチチャンバースパッタリング装置のArスパッタエッチングチャンバーにて、真空中で、層間絶縁膜5の表面に対してAr逆スパッタリング処理を行なって逆スパッタリング残渣19及び接続孔17上端部のテーパー形状を形成し、続けて、Ar逆スパッタリング処理の完了後に真空を破らずに連続して金属薄膜抵抗体用のCrSi薄膜を形成する。
【0141】
さらに、CrSi薄膜の形成後、真空を破らずに連続して、CrSi薄膜上にCrSiN膜を形成する。例えば、CrSi薄膜の形成で用いたSi/Cr=80/20wt%のCrSiターゲットを使用し、DCパワー:0.7KW(キロワット)、Ar+N2(アルゴンと窒素の混合ガス):85sccm、圧力:8.5mTorr、処理時間:6秒の条件で処理を行ない、CrSi薄膜上にCrSiN膜を約50Åの膜厚に形成する。次に、CrSiN膜及びCrSi薄膜をパターニングして、CrSiN膜30及びCrSi薄膜抵抗体21からなる積層パターンを形成する。
【0142】
図1から図3を参照して説明した上記製造方法と同様に、CrSi薄膜抵抗体21は第1層目金属配線パターン11と電気的に接続されているので、従来技術のようにはフッ酸水溶液によるCrSi薄膜抵抗体21の表面の金属酸化膜除去処理を行なう必要はない。さらに、CrSi薄膜抵抗体21の上面はCrSiN膜30により覆われているので、大気など、酸素を含む雰囲気中に暴露されてもCrSi薄膜抵抗体21の上面が酸化されることはない。
その後、第2層目層間絶縁膜15上にパッシベーション膜23を形成する。
【0143】
一般に、金属薄膜は酸素との反応性が高く、金属薄膜を大気に晒した状態で長時間放置すると抵抗値が変動してしまうことが知られている。
この実施例では、CrSi薄膜抵抗体21の上面にCrSiN膜30を形成することにより、CrSi薄膜抵抗体21の上面が大気に晒されてCrSi薄膜抵抗体21の抵抗値が変動するのを防止している。ここで、CrSi薄膜抵抗体21を形成するためのCrSi薄膜が成膜された段階で、CrSi薄膜と第1層目金属配線パターン11との電気的接続は完了しているため、CrSi薄膜21上に新たな薄膜が成膜されても、特性上何ら影響を与えるものではない。
【0144】
図14に、CrSiN膜形成用のガスのN2分圧とCrSiN膜の抵抗率の関係を示す図であり、縦軸は抵抗率ρ(mohm・cm(ミリオーム・センチメートル))、横軸はN2分圧(%)を示す。ここでは、ターゲット:Si/Cr=50/50wt%、DCパワー:0.7KW、Ar+N2:85sccm、圧力:8.5mTorr、処理時間:6秒の条件でAr+N2ガスのN2分圧を調整してCrSiN膜を形成した。
【0145】
2分圧を18%以上添加してリアクティブスパッタにより形成されたCrSiN膜は、N2を全く添加しないガスを用いた場合(N2分圧が0%)に比べて10倍以上の高い抵抗率を示す。したがって、N2分圧を18%以上に設定してCrSiN膜を成膜するようにすれば、CrSi薄膜抵抗体上に直接CrSiN膜を形成しても、CrSi薄膜抵抗体全体の抵抗値はCrSi薄膜が決定することとなり、CrSiN膜は抵抗値にほとんど影響を与えない。ここで、N2分圧の上限は90%程度である。N2分圧を90%よりも大きく設定した場合、スパッタリング速度の大幅な低下を招き、生産効率が低下するので好ましくない。
なお、CrSiN膜は、N2分圧を例えば6〜11%程度添加してリアクティブスパッタにより形成するようにすれば、CrSiN膜自体を金属薄膜抵抗体として使用することも可能である。
【0146】
また、上記の実施例では、CrSi薄膜抵抗体21上にCrSiN膜30を備えているが、CrSi薄膜抵抗体21上にCVD系の絶縁膜、例えばシリコン窒化膜等を備えているようにしてもよい。しかし、一般的なマルチチャンバースパッタ装置にはCVDチャンバーは接続されておらず、CVD系の絶縁膜を真空中で連続してCrSi薄膜抵抗体21上に形成するためには、対応する新しい設備を購入する必要があり、製造コストに多大な影響を与えてしまう。
上記製造方法例のように、CrSi薄膜抵抗体21用のCrSi薄膜27上にCrSiN膜30を形成する構成であれば、新しい装置を購入すること無く、既存のマルチチャンバースパッタ装置を用いてCrSi薄膜抵抗体21の耐酸化カバー膜となるCrSiN膜30を、真空状態を破ること無く形成することができる。
【0147】
また、図13を参照して説明した実施例のようにCrSi薄膜抵抗体21上にCrSiN膜30を備えている態様は、図10から図12を参照して説明した各実施例にも適用することができる。
【0148】
図15は第1態様のさらに他の実施例を示す断面図であり、(A)は金属薄膜抵抗体の形成領域を示す断面図、(B)は(A)の破線で囲まれた部分を拡大して示す拡大断面図である。図1と同じ機能を果たす部分には同じ符号を付し、それらの部分の詳細な説明は省略する。
【0149】
シリコン基板1の表面に素子分離酸化膜3が形成されている。CrSi薄膜抵抗体21の下に対応する領域であって、素子分離酸化膜3に囲まれた領域のシリコン基板1に不純物拡散層4a,4a、ゲート絶縁膜4b及びゲート電極4cを備えたトランジスタ素子が形成されている。
素子分離酸化膜3及びトランジスタ素子の形成領域を含むシリコン基板1上に第1層目層間絶縁膜5が形成されている。第1層目層間絶縁膜5に、不純物拡散層4a,4a及びゲート電極4cに対応してコンタクトホール6a及び導電性プラグ6bが形成されている。
第1層目層間絶縁膜5上及び導電性プラグ6b上に、金属材料パターン7と高融点金属膜9からなる第1層目金属配線パターン11aが形成されている。図示しない領域の第1層目層間絶縁膜5上には金属材料パターン7と高融点金属膜9からなる第1層目金属配線パターンが形成されている。
【0150】
第1層目金属配線パターン11aの形成領域を含む第1層目層間絶縁膜5上に、例えば、下層側から順にプラズマNSG膜、SOG膜、プラズマPSG膜からなる第2層目層間絶縁膜31が形成されている。図15(A)では第2層目層間絶縁膜31を一体的に図示している。
第2層目層間絶縁膜31上に、金属材料パターン33と金属材料パターン33表面に形成された高融点金属膜35からなる第2層目金属配線パターン37が形成されている。金属材料パターン33は例えばAlSiCu膜により形成されている。高融点金属膜35は例えばTiN膜により形成されており、反射防止膜兼バリヤ膜として機能するものである。第2層目金属配線パターン37の一部はCrSi薄膜抵抗体21の下の領域に延伸して形成されてレーザ光透過防止膜41を構成している。
【0151】
第2層目金属配線パターン37及びレーザ光透過防止膜41の形成領域を含む第2層目層間絶縁膜31上に、例えば、下層側から順にプラズマNSG膜39a、SOG膜、プラズマPSG膜39cからなる第3層目層間絶縁膜(下地絶縁膜)39(図15では一体的に図示している。)が形成されている。第3層目層間絶縁膜39に、金属薄膜抵抗体の両端部及び第2層目金属配線パターン37に対応して接続孔17が形成されている。
【0152】
(B)に示すように、接続孔17の底面は高融点金属膜35の表面側の一部が除去されて形成されており、接続孔17の上端部はテーパー形状に形成されている。また、接続孔17の内壁には逆スパッタリング残渣19が形成されている。接続孔17の上端部のテーパー形状及び逆スパッタリング残渣19の(A)での図示は省略している。接続孔17の上端部のテーパー形状及び逆スパッタリング残渣19は、接続孔17が形成された第3層目層間絶縁膜39に対してAr逆スパッタリング処理が施されて形成されたものである。したがって、逆スパッタリング残渣19は成分に高融点金属膜35及び第3層目層間絶縁膜39の材料ならびにArを含んでおり、ここではTi、N、Si、O、Arを含んでいる。
【0153】
第3層目層間絶縁膜39上に、接続孔17,17間の領域から接続孔17内及び第2層目金属配線パターン37上にわたってCrSi薄膜抵抗体21が形成されている。CrSi薄膜抵抗体21の両端部は接続孔17内で第2層目金属配線パターン37と電気的に接続されている。CrSi薄膜抵抗体21下には第3層目層間絶縁膜39を介してレーザ光透過防止膜41が配置され、さらにレーザ光透過防止膜41下には第1層目金属配線パターン11a及びトランジスタ素子が配置されている。
CrSi薄膜抵抗体21の形成領域を含む第3層目層間絶縁膜39上にパッシベーション膜23が形成されている。
【0154】
この実施例でも、図1を参照して説明した実施例と同様に、CrSi薄膜抵抗体21の下地絶縁膜31として最上層にPSG膜31cをもつものを用いているので、CrSi薄膜抵抗体21の下面に接触する絶縁膜としてNSG膜を用いる場合に比べてレーザ照射による金属薄膜抵抗体の周辺領域へのダメージを低減することができる。さらに、CrSi薄膜抵抗体21下の領域に集積回路の構成要件としてのトランジスタ素子及び第1層目金属配線パターン11aが配置されているので、チップ面積の小型化を図ることができる。
【0155】
さらに、CrSi薄膜抵抗体21下の領域で第3層目層間絶縁膜39と、第1層目金属配線パターン11a、トランジスタ素子及びシリコン基板1の間に、金属材料からなるレーザ光透過防止膜41を備えているので、レーザトリミング処理時においてCrSi薄膜抵抗体21が切断又は変質されるのに十分な強度のレーザ光25をCrSi薄膜抵抗体21に照射しても、第3層目層間絶縁膜39を透過したレーザ光25はレーザ光透過防止膜41によりシリコン基板1とは反対側に反射され、レーザ光25が第1層目金属配線パターン11a、トランジスタ素子及びシリコン基板1に照射されるのを防止することができる。
これにより、CrSi薄膜抵抗体21下に配置した第1層目金属配線パターン11aが損傷したり、トランジスタ素子の特性が変動したりするのを防止することができる。さらに、トリミング処理時のシリコン基板1へのレーザ光の照射に起因する半導体装置の信頼性の低下を防止することができる。さらに、オンライントリミング処理時において、シリコン基板1へのレーザ光の照射に起因する電子正孔対の発生を防止して、高精度なトリミング処理を行なうことができる。
【0156】
さらに、(B)に示すように、接続孔17の内壁に逆スパッタリング残渣19が形成され、接続孔17の上端部がテーパー状に形成されているので、図1に示した、接続孔17の内壁に逆スパッタリング残渣19が形成され、接続孔17の上端部がテーパー状に形成されている実施例と同様に、接続孔17近傍でのCrSi薄膜抵抗体21のステップカバレージを向上させてCrSi薄膜抵抗体21の金属配線パターン37との接触抵抗の安定化を実現することができる。
【0157】
この実施例の製造方法の例を説明すると、まず、図2(a)を参照して説明した上記工程(1)と同様にして、不純物拡散層4a,4a、ゲート絶縁膜4b及びゲート電極4cを備えたトランジスタ素子ならびに素子分離酸化膜3が形成されたシリコン基板1上に第1層目層間絶縁膜5、コンタクトホール6a、導電性プラグ6b及び第1層目金属配線パターン11aを形成した後、図2(b)を参照して説明した上記工程(2)と同様の工程により第2層目層間絶縁膜31を形成する。
【0158】
図2(a)から(d)を参照して説明した上記工程(1)から(4)において第1層目層間絶縁膜5上に金属材料パターン7及び高融点金属膜9からなる第1層目金属配線パターン11、第2層目層間絶縁膜15、接続孔17、逆スパッタリング残渣19及びCrSi薄膜27を形成したのと同様の工程により、第2層目層間絶縁膜31上に金属材料パターン33及び高融点金属膜35からなる第2層目金属配線パターン37ならびに第3層目層間絶縁膜39を形成し、第3層目層間絶縁膜39に接続孔17を形成し、Ar逆スパッタリング処理により接続孔17の上端部のテーパー形状及び逆スパッタリング残渣19を形成し、CrSi薄膜抵抗体21用のCrSi薄膜を形成する。その後、CrSi薄膜をパターニングしてCrSi薄膜抵抗体21を形成し、さらにパッシベーション膜23を形成することにより、この実施例の製造工程が完了する。
【0159】
このように、この実施例においても、図1を参照して説明した実施例と同様に、CrSi薄膜抵抗体21をパターニングした後にウェットエッチング技術によるパターニングを行なう必要がないことによる効果、CrSi薄膜抵抗体21の金属配線パターン37との接触面が大気に暴露されることはないことによる効果、CrSi薄膜抵抗体21と金属材料パターン33の間にバリヤ膜として機能する高融点金属膜35を介在させていることによる効果、及び、CrSi薄膜抵抗体21用のCrSi薄膜を形成する前に下地膜である第3層目層間絶縁膜39にAr逆スパッタリング処理を施すことによる効果を得ることができる。
【0160】
また、図16に示すように、図13を参照して説明した実施例と同様に、CrSi薄膜抵抗体21の上面にCrSiN膜30が形成されているようにしてもよい。この実施例でもCrSi薄膜抵抗体21とCrSiN膜30の間にはCrSiOは形成されていない。図16に示した実施例において、CrSiN膜30は図13を参照して説明した製造方法と同様にして形成することができる。
【0161】
図17は第1態様のさらに他の実施例を示す断面図であり、(A)は金属薄膜抵抗体の形成領域を示す断面図、(B)は(A)の破線で囲まれた部分を拡大して示す拡大断面図である。図1と同じ機能を果たす部分には同じ符号を付し、それらの部分の詳細な説明は省略する。
【0162】
この実施例が図15を参照して説明した実施例と異なる点は、金属材料パターン33及び高融点金属膜35からなるレーザ光透過防止膜41が第2層目金属配線パターン37とは分離して設けられていることである。その他の構造は図15を参照して説明した実施例と同じである。このような構造は、図15に示した実施例を製造するための製造工程において第2層目金属配線パターン37及びレーザ光透過防止膜41をパターニングするためのマスクを変更することにより、同様に形成することができる。
このように、第2層目金属配線パターン37とレーザ光透過防止膜41が分離して設けられている場合であっても、図15を参照して説明した実施例と同じ作用効果を得ることができる。
【0163】
図17を参照して説明した実施例において、図16を参照して説明した実施例のようにCrSi薄膜抵抗体21上にCrSiN膜30を備えているようにしてもよい。
また、図15から図17を参照して説明した各実施例のトランジスタ素子に替えて、CrSi薄膜抵抗体21下であってレーザ光透過防止膜41下の領域に、図10に示した容量素子や、図11に示したポリシリコン配線パターン28、図12に示した不純物拡散層29などを配置するようにしてもよい。
【0164】
図15から図17を参照して説明した各実施例では、レーザ光透過防止膜41はCrSi薄膜抵抗体21が電気的に接続される第2層目金属配線パターン37と同じ材料により形成されているが、本発明の半導体装置の第1態様はこれに限定されるものではなく、レーザ光透過防止膜は、第2層目金属配線パターン37とは別途形成された、第1層目金属配線パターン37とは異なる金属材料により形成されているものであってもよい。
【0165】
また、図15から図17を参照して説明した各実施例では、レーザ光透過防止膜41はCrSi薄膜抵抗体21が電気的に接続される第2層目金属配線パターン37と同じ層に形成されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばレーザ光透過防止膜は第2層目金属配線パターンと同じ層に形成され、かつ金属薄膜抵抗体が電気的に接続される金属配線パターンは第3層目金属配線パターンにより形成されている構成など、金属薄膜抵抗体が電気的に接続される金属配線パターンとレーザ光透過防止膜は互いに異なる層に形成されていてもよい。
【0166】
図18は半導体装置の第2態様の一実施例における金属薄膜抵抗体の形成領域を示す図であり、(A)は平面図、(B)は(A)のA−A位置での断面図、(C)は(B)の破線で囲まれた部分を拡大して示す拡大断面図である。(A)でのパッシベーション膜の図示は省略している。上記の実施例と同じ機能を果たす部分には同じ符号を付し、それらの部分の詳細な説明は省略する。
【0167】
シリコン基板1の表面に素子分離酸化膜3が形成されている。CrSi薄膜抵抗体21の下に対応する領域であって、素子分離酸化膜3に囲まれた領域のシリコン基板1に不純物拡散層4a,4a、ゲート絶縁膜4b及びゲート電極4cを備えたトランジスタ素子が形成されている。
素子分離酸化膜3及びトランジスタ素子の形成領域を含むシリコン基板1上に第1層目層間絶縁膜5が形成されている。第1層目層間絶縁膜5に、不純物拡散層4a,4a及びゲート電極4cに対応してコンタクトホール6a及び導電性プラグ6bが形成されている。
第1層目層間絶縁膜5上及び導電性プラグ6b上に、金属材料パターン7と高融点金属膜9からなる第1層目金属配線パターン11aが形成されている。図示しない領域の第1層目層間絶縁膜5上には金属材料パターン7と高融点金属膜9からなる第1層目金属配線パターンが形成されている。
第1層目金属配線パターン11aの形成領域を含んで第1層目層間絶縁膜5上に、下層側から順にプラズマNSG膜31a、SOG膜31b、プラズマPSG膜31cからなる第2層目層間絶縁膜31が形成されている。図18(B)では第2層目層間絶縁膜31を一体的に図示している。
第2層目層間絶縁膜31上に、金属材料パターン33と高融点金属膜35からなる第2層目金属配線パターン37が形成されている。
【0168】
第2層目金属配線パターン37の側面に絶縁性材料、例えばCVD酸化膜からなるサイドウォール67が形成されている。サイドウォール67の第2層目層間絶縁膜31側の表面に逆スパッタリング残渣69((A)及び(B)での図示は省略)が形成されている。逆スパッタリング残渣69は第2層目金属配線パターン37及びサイドウォール67が形成された後に第2層目層間絶縁膜31に対してAr逆スパッタリング処理が施されて形成されたものである。逆スパッタリング残渣69は成分に少なくとも第2層目層間絶縁膜31及びサイドウォール67の材料ならびにArを含んでいる。
【0169】
対向する一対の第2層目金属配線パターン37間のサイドウォール67の表面、逆スパッタリング残渣69の表面及び第2層目層間絶縁膜31上に帯状のCrSi薄膜抵抗体21が形成されている。CrSi薄膜抵抗体21の両端部は、一対の第2層目金属配線パターン37において対向する側面とは反対側の側面に形成されたサイドウォール67及び逆スパッタリング残渣69の表面ならびに第2層目層間絶縁膜31上に延伸して形成されており、CrSi薄膜抵抗体21と第2層目金属配線パターン37は互いに交差して形成されている。
CrSi薄膜抵抗体21の形成領域を含む第2層目層間絶縁膜31上に最終保護膜としてのパッシベーション膜23((A)での図示は省略)が形成されている。
【0170】
この実施例でも、図1を参照して説明した実施例と同様に、CrSi薄膜抵抗体21の下地絶縁膜31として最上層にPSG膜31cをもつものを用いているので、CrSi薄膜抵抗体21の下面に接触する絶縁膜としてNSG膜を用いる場合に比べてレーザ照射による金属薄膜抵抗体の周辺領域へのダメージを低減することができる。
さらに、CrSi薄膜抵抗体21下の領域に集積回路の構成要件としてのトランジスタ素子及び第1層目金属配線パターン11aが配置されているので、チップ面積の小型化を図ることができる。
【0171】
図19はこの実施例の製造方法の一例を説明するための工程断面図である。図18及び図19を参照してこの実施例を説明する。
【0172】
(1)図2(a)から(c)を参照して説明した上記工程(1)から(3)と同じ工程により、素子分離酸化膜3と、不純物拡散層4a,4a、ゲート絶縁膜4b及びゲート電極4cを備えたトランジスタ素子の形成が完了したウェハ状のシリコン基板1上に、第1層目層間絶縁膜5、コンタクトホール6a、導電性プラグ6b、金属配線パターン7及び高融点金属膜9からなる第1層目金属配線パターン11aを形成する。
図2(b)を参照して説明した上記工程(2)で第2層目層間絶縁膜15を形成したのと同様の工程により、第1層目層間絶縁膜5上全面に、下層側から順にプラズマNSG膜、SOG膜、プラズマPSG膜からなる第2層目層間絶縁膜31を形成する。
【0173】
図2(a)を参照して説明した上記工程(1)で第1層目金属配線パターン11を形成したのと同様の工程により、第2層目層間絶縁膜31上に金属材料パターン33及び高融点金属膜35からなる第2層目金属配線パターン37を形成する(図19(a)参照。)。
この段階では、従来技術のようには金属薄膜抵抗体は形成されておらず、第2層目金属配線パターン37の下地膜は第2層目層間絶縁膜31により形成されているので、高融点金属膜及び配線用金属膜のパターンニングをドライエッチング技術により十分なオーバーエッチングをもって行なうことが可能であり、従来技術の問題点となっていたウェットエッチング技術によるパターニングを適用する必要性は全く無く、回路の微細化に影響を与えることはない。
【0174】
(2)例えばプラズマCVD法により、第2層目金属配線パターン37の形成領域を含む第2層目層間絶縁膜31上にプラズマPSG膜を2000Å程度の膜厚に形成した後、エッチバック処理を行なって、第2層目金属配線パターン37の側面にプラズマPSG膜からなるサイドウォール67を形成する(図19(b)参照。)。
【0175】
(3)例えばマルチチャンバースパッタリング装置のArスパッタエッチングチャンバーにて、真空中で、DCバイアス:1250V、Ar:20sccm、圧力:8.5mTorr(ミリトル)、処理時間:20秒の条件で、第2層目金属配線パターン37及びサイドウォール67の形成領域を含んで第2層目層間絶縁膜31に対してAr逆スパッタリング処理を行なう。このエッチング条件は、1000℃、ウェット雰囲気で形成した熱酸化膜を約50Åだけエッチングする条件と同等である。このAr逆スパッタリング処理により、サイドウォール67の第2層目層間絶縁膜31側の表面に逆スパッタリング残渣69(図18(C)参照。)が形成される。
【0176】
続けて、Arスパッタエッチング完了後に真空状態を破らずに連続して金属薄膜抵抗体用のCrSi薄膜を形成する。ここでは、半導体ウェハをArスパッタエッチングチャンバーからCrSiターゲットが装着されたスパッタチャンバーに移送した後、Si/Cr=80/20wt%(重量パーセント)のCrSiターゲットを使用し、DCパワー:0.7KW(キロワット)、Ar:85sccm、圧力:8.5mTorr、処理時間:9秒の条件で処理を行ない、配線パターン11及びサイドウォール67,67の形成領域を含む第2層目層間絶縁膜31上全面にCrSi薄膜を約50Åの膜厚に形成した。
【0177】
写真製版技術により、CrSi薄膜上に金属薄膜抵抗体の形成領域を画定するためのレジストパターンを形成する。例えばRIE装置を用い、そのレジストパターンをマスクにしてCrSi薄膜をパターニングしてCrSi薄膜抵抗体21を形成する(図19(c)参照。)。その後、上記レジストパターンを除去する。ここで、CrSi薄膜抵抗体21は第2層目金属配線パターン37の一部分と電気的に接続されているので、従来技術のようには金属薄膜抵抗体上面で電気的接続をとるためにフッ酸水溶液によるCrSi薄膜抵抗体21の表面の金属酸化膜除去処理を行なう必要はない。
【0178】
(4)例えばプラズマCVD法により、第2層目層間絶縁膜31上全面にパッシベーション膜23としてのシリコン酸化膜及びシリコン窒化膜を順次形成する。以上により、半導体装置の製造工程が完了する(図18参照。)。
【0179】
このように、CrSi薄膜抵抗体21を形成した後にウェットエッチング技術によるパターニングを行なう必要はなく、さらに、CrSi薄膜抵抗体21における第2層目金属配線パターン37との接触面が大気に暴露されることはないので、CrSi薄膜抵抗体21に対する表面酸化膜除去処理及びエッチング防止用バリヤ膜形成を行なわなくても、CrSi薄膜抵抗体21と第2層目金属配線パターン37の良好な電気的接続を安定して得ることができる。これにより、CrSi薄膜抵抗体21の膜厚に関わらず、工程数を増加させることなく、CrSi薄膜抵抗体21の微細化及び抵抗値の安定化を実現することができる。
【0180】
さらに、CrSi薄膜抵抗体21は第2層目金属配線パターン37の上面からサイドウォール67及び逆スパッタリング残渣69の表面を介して第2層目層間絶縁膜31上にわたって形成されているので、配線パターン上に形成された接続孔を介して金属薄膜抵抗体と配線パターンの電気的接続を形成する場合に比べて上記接続孔を形成する一連の工程を行なわなくてよいので、工程の短縮及び簡素化を実現でき、かつ上記接続孔を有するがゆえの金属薄膜抵抗体のステップカバレージの悪化による金属薄膜抵抗体の抵抗値変動及び電極との接触抵抗の増大もない。
【0181】
さらに、第2層目金属配線パターン37の側面にサイドウォール67が形成されているので、配線パターン11の側面に起因する急峻な段差によるCrSi薄膜抵抗体21のステップカバレージの悪化を防止することができる。
このように、第2層目金属配線パターン37との接触抵抗も含めてCrSi薄膜抵抗体21の抵抗値の安定化を実現することができる。
【0182】
さらに、CrSi薄膜抵抗体21の両端部は第2層目金属配線パターン37と交差して形成されているので、第2層目金属配線パターン37とCrSi薄膜抵抗体21の重ね合わせズレやCrSi薄膜抵抗体21の端部の丸まりによる、第2層目金属配線パターン37とCrSi薄膜抵抗体21の接触領域の変動をなくすことができ、さらに安定した接触抵抗を得ることができる。
【0183】
さらに、CrSi薄膜抵抗体21と金属材料パターン33の間にバリヤ膜として機能する高融点金属膜35を介在させているので、CrSi薄膜抵抗体21と第2層目金属配線パターン37の接触抵抗のバラツキを低減することができ、抵抗値の精度及び歩留りの向上を図ることができる。
さらに、高融点金属膜35はバリヤ膜兼反射防止膜としても機能しており、従来技術に比べて製造工程を増加させることなく高融点金属膜35を形成することができるので、製造コストの増大を防止しつつ、金属薄膜抵抗体と配線パターンの接触抵抗を安定させることができる。
【0184】
さらに、CrSi薄膜抵抗体21用のCrSi薄膜の形成直前にAr逆スパッタリング処理が施されていることにより、図4から図8を参照して説明したように、CrSi薄膜抵抗体21の下地膜依存性を改善できる。
【0185】
図20は、半導体装置の第2態様の他の実施例を示す図であり、(A)は平面図、(B)は(A)のB−B位置での断面図、(C)は(B)の破線で囲まれた部分を拡大して示す拡大断面図である。(A)でのパッシベーション膜の図示は省略している。上記の実施例と同じ機能を果たす部分には同じ符号を付し、それらの部分の詳細な説明は省略する。
【0186】
この実施例が図18を参照して説明した上記実施例を異なる点は、CrSi薄膜抵抗体21の上面にCrSiN膜30が形成されていることである。CrSi薄膜抵抗体21とCrSiN膜30の間にはCrSiOは形成されていない。CrSiN膜30は図13を参照して説明した製造方法例と同様にして形成することができる。
【0187】
この実施例でも、図13に示した実施例と同様に、CrSi薄膜抵抗体21の上面にCrSiN膜30を備えているので、CrSi薄膜抵抗体21の上面が大気に晒されてCrSi薄膜抵抗体21の抵抗値が変動するのを防止することができる。
【0188】
図21は第2態様の一実施例を示す断面図であり、(A)は平面図、(B)は(A)のC−C位置での断面図、(C)は(B)の破線で囲まれた部分を拡大して示す拡大断面図である。(A)でのパッシベーション膜の図示は省略している。上記の実施例と同じ機能を果たす部分には同じ符号を付し、それらの部分の詳細な説明は省略する。
【0189】
シリコン基板1の表面に素子分離酸化膜3が形成されている。CrSi薄膜抵抗体21の下に対応する領域であって、素子分離酸化膜3に囲まれた領域のシリコン基板1に不純物拡散層4a,4a、ゲート絶縁膜4b及びゲート電極4cを備えたトランジスタ素子が形成されている。
素子分離酸化膜3及びトランジスタ素子の形成領域を含むシリコン基板1上に第1層目層間絶縁膜5が形成されている。第1層目層間絶縁膜5に、不純物拡散層4a,4a及びゲート電極4cに対応してコンタクトホール6a及び導電性プラグ6bが形成されている。
第1層目層間絶縁膜5上及び導電性プラグ6b上に、金属材料パターン7と高融点金属膜9からなる第1層目金属配線パターン11aが形成されている。図示しない領域の第1層目層間絶縁膜5上には金属材料パターン7と高融点金属膜9からなる第1層目金属配線パターンが形成されている。
【0190】
第1層目金属配線パターン11aの形成領域を含んで第1層目層間絶縁膜5上に第2層目層間絶縁膜31が形成されている。第2層目層間絶縁膜31上に、金属材料パターン33と高融点金属膜35からなるレーザ光透過防止膜41が形成されている。レーザ光透過防止膜41はCrSi薄膜抵抗体21の下の領域に配置されている。
【0191】
レーザ光透過防止膜41の形成領域を含む第2層目層間絶縁膜31上に、例えば、下層側から順にプラズマNSG膜39a、SOG膜39b、プラズマPSG膜39cからなる第3層目層間絶縁膜(下地絶縁膜)39が形成されている。図21(B)では第3層目層間絶縁膜39を一体的に示している。
第3層目層間絶縁膜39上に、金属材料パターン57と金属材料パターン57表面に形成された高融点金属膜58からなる第3層目金属配線パターン59が形成されている。金属材料パターン57は例えばAlSiCu膜により形成されている。高融点金属膜57は例えばTiN膜により形成されており、反射防止膜兼バリヤ膜として機能するものである。
【0192】
第3層目金属配線パターン59の側面に絶縁性材料、例えばCVD酸化膜からなるサイドウォール67が形成されている。サイドウォール67の第3層目層間絶縁膜39側の表面に逆スパッタリング残渣69((A)及び(B)での図示は省略)が形成されている。逆スパッタリング残渣69は第3層目金属配線パターン59及びサイドウォール67が形成された後に第3層目層間絶縁膜59に対してAr逆スパッタリング処理が施されて形成されたものである。逆スパッタリング残渣69は成分に少なくとも第3層目層間絶縁膜59及びサイドウォール67の材料ならびにArを含んでいる。
【0193】
対向する一対の第3層目金属配線パターン59間のサイドウォール67の表面、逆スパッタリング残渣69の表面及び第3層目層間絶縁膜59上に帯状のCrSi薄膜抵抗体21が形成されている。CrSi薄膜抵抗体21の両端部は、一対の第3層目金属配線パターン59において対向する側面とは反対側の側面に形成されたサイドウォール67及び逆スパッタリング残渣69の表面ならびに第3層目層間絶縁膜39上に延伸して形成されており、CrSi薄膜抵抗体21と第3層目金属配線パターン59は互いに交差して形成されている。CrSi薄膜抵抗体21下には第3層目層間絶縁膜39を介してレーザ光透過防止膜41が配置され、さらにレーザ光透過防止膜41下には第1層目金属配線パターン11a及びトランジスタ素子が配置されている。
CrSi薄膜抵抗体21の形成領域を含む第3層目層間絶縁膜39上に最終保護膜としてのパッシベーション膜23((A)での図示は省略)が形成されている。
【0194】
この実施例でも、図1を参照して説明した実施例と同様に、CrSi薄膜抵抗体21の下地絶縁膜39として最上層にPSG膜39cをもつものを用いているので、CrSi薄膜抵抗体21の下面に接触する絶縁膜としてNSG膜を用いる場合に比べてレーザ照射による金属薄膜抵抗体の周辺領域へのダメージを低減することができる。
さらに、CrSi薄膜抵抗体21下の領域に集積回路の構成要件としてのトランジスタ素子及び第1層目金属配線パターン11aが配置されているので、チップ面積の小型化を図ることができる。
【0195】
さらに、CrSi薄膜抵抗体21下の領域で第3層目層間絶縁膜39と、第1層目金属配線パターン11a、トランジスタ素子及びシリコン基板1の間に、金属材料からなるレーザ光透過防止膜41を備えているので、図15を参照して説明した実施例と同様に、レーザトリミング処理時においてCrSi薄膜抵抗体21が切断又は変質されるのに十分な強度のレーザ光25をCrSi薄膜抵抗体21に照射してもレーザ光25が第1層目金属配線パターン11a、トランジスタ素子及びシリコン基板1に照射されるのを防止することができる。
【0196】
この実施例の製造方法の例を説明すると、まず、図2(a)を参照して説明した上記工程(1)と同様にして、不純物拡散層4a,4a、ゲート絶縁膜4b及びゲート電極4cを備えたトランジスタ素子ならびに素子分離酸化膜3が形成されたシリコン基板1上に第1層目層間絶縁膜5、コンタクトホール6a、導電性プラグ6b及び第1層目金属配線パターン11aを形成した後、図2(b)を参照して説明した上記工程(2)と同様の工程により下層側から順に第2層目層間絶縁膜31を形成する。
【0197】
図2(a)及び(b)を参照して説明した上記工程(1)及び(2)において第1層目層間絶縁膜5上に金属材料パターン7及び高融点金属膜9からなる第1層目金属配線パターン11ならびに第2層目層間絶縁膜15を形成したのと同様の工程により、第2層目層間絶縁膜31上に金属材料パターン33及び高融点金属膜35からなるレーザ光透過防止膜41、ならびに、プラズマNSG膜、SOG膜、プラズマPSG膜からなる第3層目層間絶縁膜39を形成する。
図2(a)を参照して説明した上記工程(1)で第1層目金属配線パターン11を形成したのと同様の工程により、第3層目層間絶縁膜39上に金属材料パターン57及び高融点金属膜58からなる第2層目金属配線パターン59を形成する。
【0198】
図19(b)及び(c)を参照して説明した上記工程(2)及び(3)と同様にして、第3層目金属配線パターン59の側面にサイドウォール67を形成し、Ar逆スパッタリング処理を行なって逆スパッタリング残渣69を形成し、さらにCrSi薄膜抵抗体21を形成する。
その後、パッシベーション膜23を形成することにより、この実施例の製造工程が完了する。
【0199】
このように、この実施例においても、CrSi薄膜抵抗体21をパターニングした後にウェットエッチング技術によるパターニングを行なう必要がないことによる効果、CrSi薄膜抵抗体21の金属配線パターン37との接触面が大気に暴露されることはないことによる効果、CrSi薄膜抵抗体21と金属材料パターン33の間にバリヤ膜として機能する高融点金属膜35を介在させていることによる効果、及び、CrSi薄膜抵抗体21用のCrSi薄膜を形成する前に下地膜である第3層目層間絶縁膜39にAr逆スパッタリング処理を施すことによる効果を得ることができる。
【0200】
さらに、CrSi薄膜抵抗体21は第3層目金属配線パターン59の上面からサイドウォール67及び逆スパッタリング残渣69の表面を介して第2層目層間絶縁膜31上にわたって形成されているので、図18を参照して説明した実施例と同様に、配線パターン上に形成された接続孔を介して金属薄膜抵抗体と配線パターンの電気的接続を形成する場合に比べて工程の短縮及び簡素化を実現でき、かつ上記接続孔を有するがゆえの金属薄膜抵抗体のステップカバレージの悪化による金属薄膜抵抗体の抵抗値変動及び電極との接触抵抗の増大はない。さらに、配線パターン11の側面に起因する急峻な段差によるCrSi薄膜抵抗体21のステップカバレージの悪化を防止することができる。
さらに、CrSi薄膜抵抗体21の両端部は第3層目金属配線パターン59と交差して形成されているので、第3層目金属配線パターン59とCrSi薄膜抵抗体21の重ね合わせズレやCrSi薄膜抵抗体21の端部の丸まりによる、第3層目金属配線パターン59とCrSi薄膜抵抗体21の接触領域の変動をなくすことができ、さらに安定した接触抵抗を得ることができる。
【0201】
また、図22に示すように、図13を参照して説明した実施例と同様に、CrSi薄膜抵抗体21の上面にCrSiN膜30が形成されているようにしてもよい。この実施例でもCrSi薄膜抵抗体21とCrSiN膜30の間にはCrSiOは形成されていない。図16に示した実施例において、CrSiN膜30は図13を参照して説明した製造方法と同様にして形成することができる。
【0202】
また、図18、及び図20から図22を参照して説明した各実施例のトランジスタ素子に替えて、CrSi薄膜抵抗体21下の領域に、図10に示した容量素子や、図11に示したポリシリコン配線パターン28、図12に示した不純物拡散層29などを配置するようにしてもよい。
【0203】
また、上記の第2態様の実施例では、CrSi薄膜抵抗体21と、第2層目金属配線パターン37又は第3層目金属配線パターン59は互いに交差して設けられているが、本発明はこれに限定されるものではなく、金属薄膜抵抗体の端部が金属配線パターン上に配置されていてもよいし、金属薄膜抵抗体の下に金属配線パターンの端部が配置されていてもよい。
また、金属薄膜抵抗体と金属配線パターンは互いに直交する方向に配置されている必要はなく、金属薄膜抵抗体と金属配線パターンは互いに平行に配置されているなど、金属薄膜抵抗体と金属配線パターンの形状、向き及び配置は実施例に限定されるものではない。
【0204】
図23は半導体装置の第3態様の一実施例を示す図であり、(A)は断面図、(B)は第1接続孔近傍を拡大して示す断面図、(C)は第2接続孔近傍を拡大して示す断面図である。上記の実施例と同じ機能を果たす部分には同じ符号を付し、それらの部分の詳細な説明は省略する。
【0205】
シリコン基板1上に不純物拡散層4a,4a、ゲート絶縁膜4b及びゲート電極4cを備えたトランジスタ素子、素子分離酸化膜3、第1層目層間絶縁膜5、コンタクトホール6a、導電性プラグ6b、金属材料パターン及び高融点金属膜からなる第1層目金属配線パターン11,11aが形成されている。第1層目金属配線パターン11,11aは例えばAlSiCu膜からなる金属材料パターンとその金属材料パターン表面に形成された高融点金属膜、例えばTiN膜により形成されているが、図23では金属材料パターンと高融点金属膜を一体的に示している。第1層目金属配線パターン11の形成領域を含む第1層目層間絶縁膜5上に、例えば、下層側から順にプラズマNSG膜15a、SOG膜、プラズマPSG膜15bからなる第2層目層間絶縁膜15が形成されている。図23(A)では第2層目層間絶縁膜15を一体的に図示し、図23(B)及び(C)に示す領域にはSOG膜は形成されていない。
【0206】
第2層目層間絶縁膜15に、第1層目金属配線パターン11に対応して第1接続孔43及び第2接続孔45が形成されている。第1接続孔43は、第1層目金属配線パターン11と、第2層目層間絶縁膜15上に形成される金属薄膜抵抗体を電気的に接続するためのものである。第2接続孔45は、第1層目金属配線パターン11と、第2層目層間絶縁膜15上に形成される第2層目金属配線パターンを電気的に接続するためのものである。
【0207】
第1接続孔43内に導電性材料が埋め込まれて第1導電性プラグ47が形成されている。第2接続孔45内に導電性材料が埋め込まれて第2導電性プラグ49が形成されている。第1導電性プラグ47及び第2導電性プラグ49は、例えばチタンからなり、接続孔内壁表面に形成されたバリヤメタル(第1導電性材料)51と、バリヤメタル51上に形成されたタングステン(第2導電性材料)53により形成されている。(A)では、第1導電性プラグ47及び第2導電性プラグ49について、バリヤメタル51及びタングステン53を一体的に示している。
【0208】
(B)に示すように、第1接続孔43において、バリヤメタル51の上端部は第1接続孔43の上端部及びタングステン53の上面とは間隔をもって形成されている。タングステン53の上面の外周部及び第1接続孔43の上端部はテーパー形状((A)での図示は省略)に形成されている。さらに、バリヤメタル51上の、第1接続孔43の内壁とタングステン53の間の空間に、成分に少なくとも第2層目層間絶縁膜15の材料、タングステン及びArを含む逆スパッタリング残渣55((A)での図示は省略)が形成されている。
【0209】
(C)に示すように、第2接続孔45においては、バリヤメタル51、タングステン53及び第2層目層間絶縁膜15の上面が同じ高さに形成されており、第1接続孔43のようにはテーパー形状や逆スパッタリング残渣55は形成されていない。
【0210】
第1導電性プラグ47上及び第2層目層間絶縁膜15上にCrSi薄膜抵抗体21が形成されている。CrSi薄膜抵抗体21の両端部は第1導電性プラグ47を介して第1層目金属配線パターン11と電気的に接続されている。CrSi薄膜抵抗体21下には第2層目層間絶縁膜15を介して第1層目金属配線パターン11a及びトランジスタ素子が配置されている。
【0211】
第2導電性プラグ49上及び第2層目層間絶縁膜15上に、最上層の金属配線パターンとしての第2層目金属配線パターン37が形成されている。第2層目金属配線パターン37は第2導電性プラグ49を介して第1層目金属配線パターン11と電気的に接続されている。
CrSi薄膜抵抗体21及び第2層目金属配線パターン37の形成領域を含む第2層目層間絶縁膜15上にパッシベーション膜23が形成されている。
【0212】
この実施例でも、図1を参照して説明した実施例と同様に、CrSi薄膜抵抗体21の下地絶縁膜15として最上層にPSG膜15bをもつものを用いているので、CrSi薄膜抵抗体21の下面に接触する絶縁膜としてNSG膜を用いる場合に比べてレーザ照射による金属薄膜抵抗体の周辺領域へのダメージを低減することができる。
さらに、CrSi薄膜抵抗体21下の領域に集積回路の構成要件としてのトランジスタ素子及び第1層目金属配線パターン11aが配置されているので、チップ面積の小型化を図ることができる。
【0213】
図24はこの実施例を製造するための製造方法の一例を説明するための工程断面図である。図24において、右側の破線円で囲まれた断面図は各工程での第1接続孔の状態を拡大して示すものである。図23及び図24を参照してこの製造方法の例を説明する。
【0214】
(1)図2(a)及び(b)を参照して説明した上記工程(1)及び(2)と同様にして、素子分離酸化膜3ならびに不純物拡散層4a,4a、ゲート絶縁膜4b及びゲート電極4cを備えたトランジスタ素子等の形成が完了したウェハ状のシリコン基板1上に第1層目層間絶縁膜5、コンタクトホール6a及び導電性プラグ6bを形成し、第1層目層間絶縁膜5上に金属材料パターン7及び高融点金属膜9からなる第1層目金属配線パターン11aを形成し、第2層目層間絶縁膜15を形成する。
【0215】
公知の写真製版技術及びドライエッチング技術により、第1層目金属配線パターン11の所定の領域に対応して第2層目層間絶縁膜15に第1接続孔43及び第2接続孔45を形成する。
第1接続孔43及び第2接続孔45の内壁表面を含む第2層目層間絶縁膜15上全面に例えばチタンからなるバリヤメタル51を1000Åの膜厚に形成し、さらにその上にタングステン53を7500Åの膜厚に形成した後、エッチバック処理又はCMP処理を施して、不要なタングステン53及びバリヤメタル51を除去する。これにより、第1接続孔43内にバリヤメタル51及びタングステン53からなる第1導電性プラグ47を形成し、第2接続孔45内にバリヤメタル51及びタングステン53からなる第2導電性プラグ49を形成する(図24(a)参照。)。
【0216】
(2)例えばDCマグネトロンスパッタリング装置を用いて、第2層目層間絶縁膜15上に、例えばAlSiCu膜からなる金属材料膜を約5000Åの膜厚に形成し、続けて真空中で連続的に例えばTiN膜からなる高融点金属膜を約500Åの膜厚に形成して配線用金属膜61を形成する(図24(b)参照。)。
【0217】
(3)写真製版技術により、第2層目金属配線パターンの形成領域を画定するためのレジストパターン63を配線用金属膜61上に形成した後、ドライエッチング技術により、レジストパターン63をマスクにして配線用金属膜61をパターンニングして第2層目金属配線パターン37を形成する(図24(c)参照。)。このドライエッチングの際に、第1導電性プラグ47上の配線用金属膜61は除去されるが、第1導電性プラグ47を構成するバリヤメタル51の上部も除去されて第1導電性プラグ47の周囲に窪みが形成される(図24(c)の拡大図参照。)。
このような窪みは、配線用金属膜61とタングステン53(第2導電性材料)のエッチング選択比が大きく、かつ配線用金属膜61とバリヤメタル51(第1導電性材料)のエッチング選択比が小さい場合に形成される。したがって、このような窪みは、この実施例での第1導電性プラグ47及び配線用金属膜61の材料の種類を用いた場合にのみ形成されるのではなく、金属配線用パターン用の金属膜に対して、第1導電性プラグを構成する第1導電性材料のエッチング選択比が小さく、かつ第1導電性プラグを構成する第2導電性材料のエッチング選択比が大きい場合に形成される。
【0218】
(4)レジストパターン63を除去した後、図2(d)を参照して説明した上記工程(4)でのAr逆スパッタリング処理と同じ条件で、第1導電性プラグ47の形成領域を含んで第2層目層間絶縁膜15の表面に対してAr逆スパッタリング処理を行なう(図24(d)参照。)。
このAr逆スパッタリング処理により、第1接続孔43において、タングステン53の上面の外周部及び第1接続孔43の上端部がテーパー形状に形成され、さらに、バリヤメタル51上の、第1接続孔43の内壁と第タングステン53の間の空間に、成分に少なくとも第2層目層間絶縁膜15の材料、タングステン及びArを含む逆スパッタリング残渣55が形成される(図24(d)の拡大図参照。)。
【0219】
(5)Ar逆スパッタリング処理の完了後に真空を破らずに連続して、図2(d)を参照して説明した上記工程(4)でのCrSi薄膜成膜と同じ条件で、第1導電性プラグ47及び第2層目金属配線パターン37の形成領域を含む第2層目層間絶縁膜15上全面に金属薄膜抵抗体用のCrSi薄膜を形成する。写真製版技術により、CrSi薄膜上に金属薄膜抵抗体の形成領域を画定するためのレジストパターン65を形成した後、例えばRIE装置を用い、レジストパターン65をマスクにしてCrSi薄膜をパターニングしてCrSi薄膜抵抗体21を形成する(図24(e)参照。)。
【0220】
このように、金属薄膜抵抗体用のCrSi薄膜63を形成する前に、第2層目層間絶縁膜15に対してAr逆スパッタリング処理を行ない、第1接続孔43において、タングステン53の上面の外周部及び第1接続孔43の上端部をテーパー形状に形成し、バリヤメタル51上の、第1接続孔43の内壁と第タングステン53の間の空間に逆スパッタリング残渣55を形成することにより、第1接続孔43近傍におけるCrSi薄膜63のステップカバレージを改善することができる。
さらに、図4から図8を参照して説明したように、上記Ar逆スパッタリング処理を行なうことにより、後工程でCrSi薄膜63から形成されるCrSi薄膜抵抗体の下地膜依存性を改善できる。
【0221】
(6)レジストパターン65を除去する。ここで、CrSi薄膜抵抗体21は第1導電性プラグ47を介して第1層目金属配線パターン11と電気的に接続されているので、従来技術のようには金属薄膜抵抗体上面で電気的接続をとるためにフッ酸水溶液によるCrSi薄膜抵抗体21の表面の金属酸化膜除去処理を行なう必要はない。
その後、パッシベーション膜23としてのシリコン酸化膜及びシリコン窒化膜を順次形成する。以上により、半導体装置の製造工程が完了する(図23参照。)。
【0222】
このように、第1層目金属配線パターン11及び接続孔43,45を形成し、接続孔43,45内に導電性プラグ47,49を形成した後、CrSi薄膜抵抗体21を形成して、第1導電性プラグ47を介してCrSi薄膜抵抗体21と第1層目金属配線パターン11の電気的接続を形成するので、CrSi薄膜抵抗体21をパターニングした後にウェットエッチング技術によるパターニングを行なう必要はない。
【0223】
さらに、CrSi薄膜抵抗体21の第1導電性プラグ47との接触面が大気に暴露されることはないので、CrSi薄膜抵抗体21に対する表面酸化膜除去処理及びエッチング防止用バリヤ膜形成を行なわなくても、CrSi薄膜抵抗体21と第1導電性プラグ47の良好な電気的接続を安定して得ることができる。
これにより、CrSi薄膜抵抗体21の膜厚に関わらず、工程数を増加させることなく、CrSi薄膜抵抗体21の微細化及び抵抗値の安定化を実現することができる。
【0224】
さらに、CrSi薄膜抵抗体21を第1導電性プラグ47上及び第2層目層間絶縁膜15上に形成しているので、図41を参照して説明した、配線パターン上に形成された接続孔を介して金属薄膜抵抗体と配線パターンの電気的接続を形成する場合のようには、金属薄膜抵抗体のステップカバレージの悪化による金属薄膜抵抗体の抵抗値変動及び電極との接触抵抗の増大もない。
【0225】
さらに、第1層目金属配線パターン11と第2層目金属配線パターン37を電気的に接続するための第2導電性プラグ49を第1導電性プラグ47と同時に形成しているので、図40を参照して説明した製造工程に比べて絶縁膜123の形成工程、ならびに第2接続孔125及び第2導電性プラグ127を形成するための専用の工程をなくすことができ、製造工程数を増加させずに、低コストかつ短工期でCrSi薄膜抵抗体21を形成することができる。
【0226】
図25は、半導体装置の第3態様の他の実施例を示す図であり、(A)は断面図、(B)は第1接続孔近傍を拡大して示す断面図、(C)は第2接続孔近傍を拡大して示す断面図である。上記の実施例と同じ機能を果たす部分には同じ符号を付し、それらの部分の詳細な説明は省略する。
【0227】
この実施例が図23を参照して説明した上記実施例を異なる点は、CrSi薄膜抵抗体21の上面にCrSiN膜30が形成されていることである。CrSi薄膜抵抗体21とCrSiN膜30の間にはCrSiOは形成されていない。CrSiN膜30は図10を参照して説明した実施例と同様にして形成することができる。
【0228】
この実施例でも、図13に示した実施例と同様に、CrSi薄膜抵抗体21の上面にCrSiN膜30を備えているので、CrSi薄膜抵抗体21の上面が大気に晒されてCrSi薄膜抵抗体21の抵抗値が変動するのを防止することができる。
【0229】
図26は第3態様の一実施例を示す断面図であり、(A)は断面図、(B)は第1接続孔近傍を拡大して示す断面図、(C)は第2接続孔近傍を拡大して示す断面図である。上記の実施例と同じ機能を果たす部分には同じ符号を付し、それらの部分の詳細な説明は省略する。
【0230】
シリコン基板1上に、素子分離酸化膜3、不純物拡散層4a,4aとゲート絶縁膜4bとゲート電極4cを備えたトランジスタ素子、第1層目層間絶縁膜5、コンタクトホール6a、導電性プラグ6b、金属材料パターン7と高融点金属膜9からなる第1層目金属配線パターン11a、第2層目層間絶縁膜31が形成されている。
【0231】
第2層目層間絶縁膜31上に、第2層目金属配線パターン37が形成されている。第2層目金属配線パターン37の一部はCrSi薄膜抵抗体21の下の領域に延伸して形成されてレーザ光透過防止膜41を構成している。第2層目金属配線パターン37及びレーザ光透過防止膜41は例えばAlSiCu膜からなる金属材料パターンとその金属材料パターン表面に形成された高融点金属膜、例えばTiN膜により形成されているが、図23では金属材料パターンと高融点金属膜を一体的に示している。
第2層目金属配線パターン37及びレーザ光透過防止膜41の形成領域を含んで第2層目層間絶縁膜31上に、下層側から順にプラズマNSG膜39a、SOG膜、プラズマPSG膜39cからなる第3層目層間絶縁膜39が形成されている。図26(A)では第3層目層間絶縁膜39を一体的に図示し、図26(B)及び(C)に示す領域にはSOG膜は形成されていない。
【0232】
第3層目層間絶縁膜39に、第2層目金属配線パターン37に対応して、第2層目金属配線パターン37とCrSi薄膜抵抗体21を電気的に接続するための第1接続孔43と、第2層目金属配線パターン37と第3層目金属配線パターン59を電気的に接続するための第2接続孔45が形成されている。第1接続孔43内にバリヤメタル51及びタングステン53からなる第1導電性プラグ47が形成され、第2接続孔45内にバリヤメタル51及びタングステン53からなる第2導電性プラグ49が形成されている。
【0233】
(B)に示すように、第1接続孔43において、バリヤメタル51の上端部は第1接続孔43の上端部及びタングステン53の上面とは間隔をもって形成されている。タングステン53の上面の外周部及び第1接続孔43の上端部はテーパー形状((A)での図示は省略)に形成されている。さらに、バリヤメタル51上の、第1接続孔43の内壁とタングステン53の間の空間に、成分に少なくとも第3層目層間絶縁膜39の材料、タングステン及びArを含む逆スパッタリング残渣55((A)での図示は省略)が形成されている。
(C)に示すように、第2接続孔45においては、バリヤメタル51、タングステン53及び第2層目層間絶縁膜15の上面が同じ高さに形成されており、第1接続孔43のようにはテーパー形状や逆スパッタリング残渣55は形成されていない。
【0234】
第1導電性プラグ47上及び第3層目層間絶縁膜39上にCrSi薄膜抵抗体21が形成されている。CrSi薄膜抵抗体21の両端部は第1導電性プラグ47を介して第2層目金属配線パターン37と電気的に接続されている。CrSi薄膜抵抗体21下には第2層目層間絶縁膜15を介してレーザ光透過防止膜41が配置され、さらにその下に第1層目金属配線パターン11a及びトランジスタ素子が配置されている。
【0235】
第2導電性プラグ49上及び第3層目層間絶縁膜39上に、最上層の金属配線パターンとしての第3層目金属配線パターン59が形成されている。第3層目金属配線パターン59は第2導電性プラグ49を介して第2層目金属配線パターン37と電気的に接続されている。
CrSi薄膜抵抗体21及び第3層目金属配線パターン59の形成領域を含んで第3層目層間絶縁膜39上にパッシベーション膜23が形成されている。
【0236】
この実施例でも、図1を参照して説明した実施例と同様に、CrSi薄膜抵抗体21の下地絶縁膜39として最上層にPSG膜39cをもつものを用いているので、CrSi薄膜抵抗体21の下面に接触する絶縁膜としてNSG膜を用いる場合に比べてレーザ照射による金属薄膜抵抗体の周辺領域へのダメージを低減することができる。
さらに、CrSi薄膜抵抗体21下の領域に集積回路の構成要件としてのトランジスタ素子及び第1層目金属配線パターン11aが配置されているので、チップ面積の小型化を図ることができる。
【0237】
さらに、CrSi薄膜抵抗体21下の領域で第3層目層間絶縁膜39と、第1層目金属配線パターン11a、トランジスタ素子及びシリコン基板1の間に、金属材料からなるレーザ光透過防止膜41を備えているので、図15を参照して説明した実施例と同様に、レーザトリミング処理時においてCrSi薄膜抵抗体21が切断又は変質されるのに十分な強度のレーザ光25をCrSi薄膜抵抗体21に照射してもレーザ光25が第1層目金属配線パターン11a、トランジスタ素子及びシリコン基板1に照射されるのを防止することができる。
【0238】
この実施例の製造方法の例を簡単に説明すると、第3層目層間絶縁膜39までの形成工程は図15を参照して説明した製造方法例と同じ工程により形成する。その後、図24を参照して説明した製造方法例と同様の工程により、第3層目層間絶縁膜39に第1接続孔43及び第2接続孔45を形成し、第1導電性プラグ47及び第2導電性プラグ49を形成し、第3層目金属配線パターン59を形成し、Ar逆スパッタリング処理を施し、CrSi薄膜抵抗体21を形成し、最後にパッシベーション膜23を形成する。
【0239】
このように、この実施例においても、CrSi薄膜抵抗体21をパターニングした後にウェットエッチング技術によるパターニングを行なう必要がないことによる効果、CrSi薄膜抵抗体21の金属配線パターン37との接触面が大気に暴露されることはないことによる効果、CrSi薄膜抵抗体21と金属材料パターン33の間にバリヤ膜として機能する高融点金属膜35を介在させていることによる効果、及び、CrSi薄膜抵抗体21用のCrSi薄膜を形成する前に下地膜である第3層目層間絶縁膜39にAr逆スパッタリング処理を施すことによる効果を得ることができる。
【0240】
さらに、図23を参照して説明した実施例と同様に、CrSi薄膜抵抗体21を第1導電性プラグ47上及び第2層目層間絶縁膜15上に形成しているので、金属薄膜抵抗体のステップカバレージの悪化による金属薄膜抵抗体の抵抗値変動及び電極との接触抵抗の増大はない。
さらに、第1導電性プラグ47と第2導電性プラグ49を同時に形成しているので、製造工程数を増加させずに、低コストかつ短工期でCrSi薄膜抵抗体21を形成することができる。
【0241】
また、図27に示すように、図13を参照して説明した実施例と同様に、CrSi薄膜抵抗体21の上面にCrSiN膜30が形成されているようにしてもよい。この実施例でもCrSi薄膜抵抗体21とCrSiN膜30の間にはCrSiOは形成されていない。図27に示した実施例において、CrSiN膜30は図13を参照して説明した製造方法と同様にして形成することができる。
【0242】
また、図28に示すように、図17を参照して説明した実施例と同様に、レーザ光透過防止膜41が第2層目金属配線パターン37とは分離して設けられているようにしてもよい。
さらに、図29に示した実施例において、図13を参照して説明した実施例と同様に、CrSi薄膜抵抗体21の上面にCrSiN膜30が形成されているようにしてもよい。
これらの場合であっても、図25を参照して説明した実施例と同じ作用効果を得ることができる。
【0243】
また、図25から図29を参照して説明した各実施例では、レーザ光透過防止膜41はCrSi薄膜抵抗体21が電気的に接続される第2層目金属配線パターン37と同じ材料により形成されているが、本発明の半導体装置の第3態様はこれに限定されるものではなく、レーザ光透過防止膜は、第2層目金属配線パターン37とは別途形成された、第2層目金属配線パターン37とは異なる金属材料により形成されているものであってもよい。
【0244】
また、上記の実施例では、レーザ光透過防止膜41と、CrSi薄膜抵抗体21が電気的に接続される第2層目金属配線パターン37はともに第1層目層間絶縁膜5上に形成されているが、レーザ光透過防止膜と、金属薄膜抵抗体が電気的に接続される金属配線パターンは互いに異なる絶縁膜上に形成されていてもよい。
【0245】
また、図23、及び図25から図29を参照して説明した各実施例のトランジスタ素子に替えて、CrSi薄膜抵抗体21下の領域に、図10に示した容量素子や、図11に示したポリシリコン配線パターン28、図12に示した不純物拡散層29などを配置するようにしてもよい。
【0246】
また、図23、及び図25から図29を参照して説明した各実施例では、第1導電性プラグ47及び第2導電性プラグ49として、チタンからなるバリヤメタル51及びタングステン53からなるものを用いているが、本発明において第1導電性プラグ及び第2導電性プラグはこれに限定されるものではない。例えば、第1導電性材料(バリヤメタル)としてチタン以外の材料、TiW、TiN、W、WSiなどを用いることができる。また、第2導電性材料としてタングステン以外の材料、Cu、Al、WSiなどを用いることができる。ただし、第1導電性材料及び第2導電性材料はここに挙げた材料に限定されるものではない。
【0247】
また、図23、及び図25から図29を参照して説明した各実施例では、第1接続孔43において、第1接続孔43において、バリヤメタル51の上端部は第1接続孔43の上端部及びタングステン53の上面とは間隔をもって形成され、タングステン53の上面の外周部及び第1接続孔43の上端部はテーパー形状に形成され、さらに逆スパッタリング残渣55が形成されているが、本発明の第3態様において第1接続孔43近傍の構造はこれに限定されるものではない。
【0248】
例えば、CrSi薄膜抵抗体21用のCrSi薄膜を形成する前に上記Ar逆スパッタリング処理を行なわない場合には、タングステン53の上面の外周部及び第1接続孔43の上端部にテーパー形状に形成されず、逆スパッタリング残渣55も形成されないが、このような構造であってもよい。
【0249】
また、図24を参照して説明した製造方法の例では、第2層目金属配線パターン37を形成した後(工程(2)及び(3)参照。)、CrSi薄膜抵抗体21を形成している(工程(4)参照)が、CrSi薄膜抵抗体21を形成した後に第2層目金属配線パターン37を形成するようにしてもよい。この場合には、第1接続孔43においてバリヤメタル51の上端部が除去されることはなく、第1導電性プラグ47の上面を平坦に形成することができる。なお、CrSi薄膜抵抗体21用のCrSi薄膜の形成直前にAr逆スパッタリング処理を行なっても、タングステン53の上面の外周部及び第1接続孔43の上端部のテーパー形状ならびに逆スパッタリング残渣55は形成されない。
ただし、CrSi薄膜抵抗体21の形成後に第2層目金属配線パターン37を形成する際にCrSi薄膜抵抗体21がエッチングされないようにするために、CrSi薄膜抵抗体21上面に保護用絶縁膜を形成することが好ましい。保護用絶縁膜は、例えば図13に示したCrSiN膜30や、公知の技術により形成したシリコン窒化膜、CrSiN膜30とシリコン窒化膜の積層膜などを挙げることができる。
【0250】
以上、本発明の第1態様から第3態様までの実施例を説明した。上記の実施例では、金属配線パターンの上面に形成された高融点金属膜9,33,57としてTiN膜を用いた例を挙げているが、金属配線パターンを構成する高融点金属膜はこれに限定されるものではなく、例えばTiWやWSiなど、他の高融点金属膜を用いてもよい。
【0251】
また、図1から図29を参照して説明した上記の実施例及びサンプルでは、金属薄膜抵抗体の材料としてCrSiを用いた例を示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、金属薄膜抵抗体の材料としては、例えばNiCr、TaN、CrSi2、CrSiN、CrSi、CrSi0など、他の材料を用いてもよい。
【0252】
また、上記の実施例では、1層、2層又は3層の金属配線パターンを備えた半導体装置に本発明を適用しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、4層以上の金属配線パターンを備えた多層金属配線構造の半導体装置に本発明を適用することもできる。その場合、金属薄膜抵抗体の電気的接続を得るための、金属薄膜抵抗体が電気的に接続される金属配線パターンは何層目の金属配線パターンであってもよい。
また、金属薄膜抵抗体下に配置されるレーザ光透過防止膜は、金属薄膜抵抗体下の領域であれば、いかなる層の金属配線パターンと同時に形成されたものであってもよい。また、レーザ光透過防止膜は金属配線パターンとは別途形成された金属材料からなるものであってもよい。
【0253】
また、上記の第1態様、第2態様及び第3態様の実施例では、CrSi薄膜抵抗体21が電気的に接続される第1層目金属配線パターン11、第2層目金属配線パターン37又は第3層目金属配線パターン59を最上層の金属配線パターンとし、第3態様の実施例ではCrSi薄膜抵抗体21が電気的に接続される金属配線パターンの1層だけ上層側の第2層目金属配線パターン37又は第3層目金属配線パターン59を最上層の金属配線パターンとしている。
これにより、例えばCrSi薄膜抵抗体21のレイアウト変更をCrSi薄膜抵抗体21及び最上層の金属配線パターンのレイアウト変更により実現できるなど、設計の自由度を向上させることができる。
【0254】
また、CrSi薄膜抵抗体21の上層には、膜厚が薄いCrSiN膜30を除いて、絶縁性材料からなるパッシベーション膜23が形成されているので、金属薄膜抵抗体の上層に最終保護膜以外の絶縁膜も形成されている場合に比べて、CrSi薄膜抵抗体21上の絶縁性材料の膜厚を薄くして膜厚ばらつきを小さくすることができる。これにより、CrSi薄膜抵抗体21にレーザ光を照射してトリミング処理を施す際に、CrSi薄膜抵抗体21上の絶縁性材料でのレーザの干渉のばらつきを小さくしてCrSi薄膜抵抗体21に与えられるレーザエネルギーのばらつきを小さくすることができ、トリミングの正確性を向上させることができる。さらに、トリミング処理時のレーザ照射に起因するCrSi薄膜抵抗体21の温度上昇などに対して放熱能力を向上させることができる。
【0255】
また、上記の実施例では、金属配線パターン11,37,59として、金属材料パターンの上面に高融点金属膜が形成されたものを用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、金属配線パターンとして上面に高融点金属膜が形成されていない金属材料パターンからなるものを用いてもよい。この場合、金属材料パターンとして例えばAl系合金を用いた場合には、金属材料パターン表面に強固な自然酸化膜が形成されるので、接続孔形成後で金属薄膜抵抗体用の金属薄膜を形成する前に、接続孔底部の金属材料パターン表面の自然酸化膜を除去する工程を行なうことが好ましい。その自然酸化膜除去工程は、金属薄膜抵抗体の抵抗値の経時的変化抑制を目的とした上記Ar逆スパッタリング処理を兼ねて行なってもよい。また、金属配線パターンはAl系合金を含むものに限定されるものではなく、いわゆるダマシン法により形成されたCu配線など、他の金属材料からなる金属配線パターンであってもよい。
【0256】
また、上記の実施例では、金属薄膜抵抗体下の領域に集積回路の構成要件、トランジスタ、容量素子、金属配線パターン、ポリシリコン配線パターン、不純物拡散層などが配置されているが、本発明の半導体装置はこれに限定されるものではなく、金属薄膜抵抗体下の領域には集積回路の構成要件を備えていない構成であってもよい。
【0257】
また、上記の実施例では、金属薄膜抵抗体の下面と接触する下地絶縁膜の最上層の膜としてPSG膜を用いているが、PSG膜に変えてBPSG膜を用いるようにしてもよい。金属薄膜抵抗体の下面と接触する下地絶縁膜の最上層の膜としての、PSG膜のリン不純物濃度は例えば3.7重量%、BPSG膜のボロン不純物濃度は例えば4.5重量%、リン不純物濃度は例えば3.7重量%を挙げることができる。また、上記の実施例では下地絶縁膜として積層膜を用いているが、下地絶縁膜はPSG膜又はBPSG膜の単層膜であってもよい。
【0258】
本発明の半導体装置を構成する金属薄膜抵抗体は、例えばアナログ回路を備えた半導体装置に適用することができる。以下に、本発明にかかる金属薄膜抵抗体を備えたアナログ回路を備えた半導体装置の実施例について説明する。
【0259】
図30はアナログ回路である定電圧発生回路を備えた半導体装置の一実施例を示す回路図である。
直流電源75からの電源を負荷77に安定して供給すべく、定電圧発生回路79が設けられている。定電圧発生回路79は、直流電源75が接続される入力端子(Vbat)81、基準電圧発生回路(Vref)83、演算増幅器(比較回路)85、出力ドライバを構成するPチャネルMOSトランジスタ(以下、PMOSと略記する)87、分割抵抗素子R1,R2及び出力端子(Vout)89を備えている。
【0260】
定電圧発生回路79の演算増幅器85では、出力端子がPMOS87のゲート電極に接続され、反転入力端子(−)に基準電圧発生回路83から基準電圧Vrefが印加され、非反転入力端子(+)に出力電圧Voutを抵抗素子R1とR2で分割した電圧が印加され、抵抗素子R1,R2の分割電圧が基準電圧Vrefに等しくなるように制御される。
【0261】
図31は、アナログ回路である電圧検出回路を備えた半導体装置の一実施例を示す回路図である。
電圧検出回路91において、符号85は演算増幅器で、その反転入力端子(−)に基準電圧発生回路83が接続され、基準電圧Vrefが印加される。入力端子(Vsens)93から入力される測定すべき端子の電圧が分割抵抗素子R1とR2によって分割されて演算増幅器85の非反転入力端子(+)に入力される。演算増幅器85の出力は出力端子(Vout)95を介して外部に出力される。
【0262】
電圧検出回路91では、測定すべき端子の電圧が高く、分割抵抗素子R1とR2により分割された電圧が基準電圧Vrefよりも高いときは演算増幅器85の出力がHレベルを維持し、測定すべき端子の電圧が降下してきて分割抵抗素子R1とR2により分割された電圧が基準電圧Vref以下になってくると演算増幅器85の出力がLレベルになる。
【0263】
一般に、図30に示した定電圧発生回路や図31に示した電圧検出回路では、製造プロセスのバラツキに起因して基準電圧発生回路からの基準電圧Vrefが変動するので、その変動に対応すべく、分割抵抗素子としてヒューズ素子の切断により抵抗値を調整可能な抵抗素子回路(分割抵抗回路と称す)や、抵抗素子へのレーザ照射により抵抗値を調整可能な分割抵抗回路を用いて、分割抵抗素子の抵抗値を調整している。
【0264】
図32は、本発明の金属薄膜抵抗体が適用される分割抵抗回路の一例を示す回路図である。
図33及び図34は、その分割抵抗回路のレイアウト例を示すレイアウト図であり、図33はヒューズ素子部分のレイアウト例を示し、図34は抵抗素子部分のレイアウト例を示す。
【0265】
図32に示すように、抵抗素子Rbottom、m+1個(mは正の整数)の抵抗素子RT0,RT1,…,RTm、抵抗素子Rtopが直列に接続されている。抵抗素子RT0,RT1,…,RTmには、各抵抗素子に対応してヒューズ素子RL0,RL1,…,RLmが並列に接続されている。
【0266】
図33に示すように、ヒューズ素子RL0,RL1,…,RLmは、例えばシート抵抗が20Ω〜40Ωのポリシリコンパターンにより形成されている。
抵抗素子RT0,RT1,…,RTmの値は抵抗素子Rbottom側から順に二進数的に増加するよう設定されている。すなわち、抵抗素子RTnの抵抗値は、抵抗素子RT0の抵抗値を単位値とし、その単位値の2n倍である。
【0267】
例えば、図34に示すように、CrSi薄膜抵抗体21を用い、抵抗素子RT0を1本のCrSi薄膜抵抗体21を単位抵抗とし、抵抗素子RTnを2n本のCrSi薄膜抵抗体21により構成する。CrSi薄膜抵抗体21は、例えば上記実施例で説明したものが用いられる。なお、図34では接続孔を記載しているが、接続孔を用いないで金属配線パターンと電気的に接続できるCrSi薄膜抵抗体21を用いた上記実施例を適用することもできる。また、CrSi薄膜抵抗体21の下地絶縁膜の最上層はPSG膜又はBPSG膜である。
図33及び図34において、符号A−A間、符号B−B間、符号C−C間、符号D−D、符号E−E、符号F−F及び符号G−G間はそれぞれ金属配線パターン96により電気的に接続されている。
【0268】
このように、抵抗素子の比の精度が重視される分割抵抗回路では、製造工程での作り込み精度を上げるために、一対の抵抗素子及びヒューズ素子からなる単位抵抗素子が直列に接続されて梯子状に配置されている。
このような分割抵抗回路では、任意のヒューズ素子RL0,RL1,…,RLmをレーザービームで切断することにより、所望の直列抵抗値を得ることができる。
【0269】
本発明の半導体装置では、金属薄膜抵抗体の下地絶縁膜として、少なくとも最上層にPSG膜又はBPSG膜をもつものを用いるようにしたので、レーザ照射による金属薄膜抵抗体の周辺領域へのダメージを低減することができ、図32に示した分割抵抗回路の出力電圧の精度を向上させることができる。
【0270】
図32に示した分割抵抗回路を図30に示した定電圧発生回路79の分割抵抗素子R1,R2に適用する場合、例えば抵抗素子Rbottom端を接地し、抵抗素子Rtop端をPMOS87のドレインに接続する。さらに、抵抗素子Rbottom、RT0間の端子NodeL、又は抵抗素子Rtop、RTm間の端子NodeMを演算増幅器85の非反転入力端子に接続する。
本発明を適用した分割抵抗回路によれば分割抵抗回路の出力電圧の精度を向上させることができるので、定電圧発生回路79の出力電圧の安定性を向上させることができる。
【0271】
また、図32に示した分割抵抗回路を図31に示した電圧検出回路91の分割抵抗素子R1,R2に適用する場合、例えば抵抗素子Rbottom端を接地し、抵抗素子Rtop端を入力端子77に接続する。さらに、抵抗素子Rbottom、RT0間の端子NodeL、又は抵抗素子Rtop、RTm間の端子NodeMを演算増幅器85の非反転入力端子に接続する。
本発明を適用した分割抵抗回路によれば分割抵抗回路の出力電圧の精度を向上させることができるので、電圧検出回路91の検出精度を向上させることができる。
【0272】
図35は、本発明の金属薄膜抵抗体が適用される分割抵抗回路の他の例を示す回路図である。図36は、その分割抵抗回路における粗調整用抵抗素子及び微調整用抵抗素子のレイアウト例を示すレイアウト図である。
【0273】
図35に示すように、抵抗素子Rbottom、粗調整用抵抗素子97、微調整用抵抗素子99、抵抗素子Rtopが直列に接続されている。
図36に示すように、粗調整用抵抗素子97は複数の帯状の金属薄膜抵抗体21aが並列に接続されたものである。微調整用抵抗素子99は板状の金属薄膜抵抗体21aにより構成されている。金属薄膜抵抗体21a,21b下に絶縁膜(図示は省略)を介してレーザ光透過防止膜41が配置されている。金属薄膜抵抗体21a,21bとしては、本発明を構成する金属薄膜抵抗体が用いられる。図示は省略するが、レーザ光透過防止膜41下には、例えばトランジスタ素子や容量素子、金属配線パターン、ポリシリコン配線パターン、不純物拡散層などの集積回路の構成要件が配置されている。
【0274】
このような分割抵抗回路では、図36に示すように、例えばレーザ光軌跡25aで示すように任意の本数の金属薄膜抵抗体21aを切断又は変質させて絶縁させ、レーザ光軌跡25bで示すように金属薄膜抵抗体21bの任意の領域を切断又は変質させることにより、所望の直列抵抗値を得ることができる。
【0275】
本発明の半導体装置を構成する金属薄膜抵抗体及びレーザ光透過防止膜によれば、金属薄膜抵抗体下の領域に集積回路の構成要件のうち金属薄膜抵抗体以外の構成要件の少なくとも一部が配置されており、チップ面積の小型化を図ることができるので、図35に示した分割抵抗回路を含む半導体装置のチップ面積の小型化を図ることができる。さらに、金属薄膜抵抗体下にレーザ光透過防止膜が配置されているので、レーザトリミング処理時において金属薄膜抵抗体を切断又は変質させるのに十分な強度のレーザ光が照射されてもレーザ光が集積回路の構成要件や半導体基板に照射されるのを防止することができ、図35に示した分割抵抗回路の出力電圧の精度の向上を図ることができる。
【0276】
図35に示した分割抵抗回路を図30に示した定電圧発生回路79の分割抵抗素子R1,R2に適用する場合、例えば抵抗素子Rbottom端を接地し、抵抗素子Rtop端をPMOS87のドレインに接続する。さらに、抵抗素子Rbottom、微調整用抵抗素子99間の端子NodeL、又は抵抗素子Rtop、粗調整用抵抗素子97間の端子NodeMを演算増幅器85の非反転入力端子に接続する。
本発明を構成する金属薄膜抵抗体及びレーザ光透過防止膜を適用した分割抵抗回路によれば半導体装置のチップ面積を小型化でき、さらに図35に示した分割抵抗回路の出力電圧の精度を向上させることができるので、定電圧発生回路79を含む半導体装置のチップ面積の小型化を図ることができ、さらに定電圧発生回路79の出力電圧の安定性を向上させることができる。
【0277】
また、図35に示した分割抵抗回路を図31に示した電圧検出回路91の分割抵抗素子R1,R2に適用する場合、例えば抵抗素子Rbottom端を接地し、抵抗素子Rtop端を入力端子93に接続する。さらに、抵抗素子Rbottom、微調整用抵抗素子99間の端子NodeL、又は抵抗素子Rtop、粗調整用抵抗素子97間の端子NodeMを演算増幅器85の非反転入力端子に接続する。
本発明を構成する金属薄膜抵抗体及びレーザ光透過防止膜を適用した分割抵抗回路によれば半導体装置のチップ面積を小型化でき、さらに図35に示した分割抵抗回路の出力電圧の精度を向上させることができるので、電圧検出回路91を含む半導体装置のチップ面積の小型化を図ることができ、さらに電圧検出回路91の検出精度を向上させることができる。
【0278】
図30から図36を参照して、本発明の金属薄膜抵抗体下に集積回路の構成要件を配置する構成、もしくはその構成及び金属薄膜抵抗体下にレーザ光透過防止膜を配置した構成を適用した分割抵抗回路が適用される半導体装置の例を説明したが、このような分割抵抗回路が適用される半導体装置は定電圧発生回路を備えた半導体装置及び電圧検出回路を備えた半導体装置に限定されるものではなく、分割抵抗回路を備えた半導体装置であれば適用することができる。
また、本発明の金属薄膜抵抗体下に集積回路の構成要件を配置する構成、もしくはその構成及び金属薄膜抵抗体下にレーザ光透過防止膜を配置した構成が適用される半導体装置は分割抵抗回路を備えた半導体装置に限定されるものではなく、金属薄膜抵抗体を備えた半導体装置であれば、本発明を適用することができる。
【0279】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、寸法、形状、材料、配置などは一例であり、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0280】
【図1】第1態様の一実施例を示す断面図であり、(A)は金属薄膜抵抗体の形成領域を示す断面図、(B)は(A)の破線で囲まれた部分を拡大して示す拡大断面図である。
【図2】同実施例を製造するための製造方法の一例を説明するための工程断面図である。
【図3】図2の製造方法においてAr逆スパッタリング処理を施した後の接続孔近傍の状態を拡大して示す断面図である。
【図4】本発明により形成した金属薄膜抵抗体のシート抵抗と膜厚との関係を示す図であり、縦軸はシート抵抗(Ω/□)、横軸はCrSi膜厚(Å)を示す。
【図5】本発明により形成した金属薄膜抵抗体のシート抵抗のウェハ面内の63箇所での測定結果の標準偏差(σ)を平均値(AVE)で割った値(σ/AVE)と膜厚との関係を示す図であり、縦軸はσ/AVE(%)、横軸はCrSi膜厚(Å)を示す。
【図6】金属薄膜抵抗体用の金属薄膜を形成する前にAr逆スパッタリング処理を行なった場合及び行なわなかった場合のCrSi薄膜抵抗体のシート抵抗と金属薄膜抵抗体の下地膜を形成してから経過した時間との関係を示す図であり、(A)は行なった場合、(B)は行なわなかった場合を示し、縦軸はシート抵抗(Ω/□)、横軸は下地膜形成後経過時間(時間)を示す。
【図7】Ar逆スパッタリング処理の量とシート抵抗の関係を示す図であり、縦軸はシート抵抗(Ω/□)、横軸はエッチング量(熱酸化膜エッチング量換算)(Å)を示す。
【図8】金属薄膜抵抗体用のCrSi薄膜を形成した後に、温度25℃、湿度45%の大気中に放置した時間と、形成直後のシート抵抗からのシート抵抗の変化率(ΔR/R0)の関係を示す図であり、縦軸はΔR/R0(%)、横軸は放置時間(時間)を示す。
【図9】接続孔形成時に接続孔底部に高融点金属膜を残存させたサンプルと完全に除去したサンプルについて熱処理に起因する金属薄膜抵抗と金属配線の接触抵抗の変動を調べた結果を示す図であり、縦軸は熱処理前の接触抵抗値で規格化した値、横軸は熱処理回数を示す。
【図10】第1態様の他の実施例を示す断面図であり、(A)は金属薄膜抵抗体の形成領域を示す断面図、(B)は(A)の破線で囲まれた部分を拡大して示す拡大断面図である。
【図11】第1態様のさらに他の実施例を示す断面図であり、(A)は金属薄膜抵抗体の形成領域を示す断面図、(B)は(A)の破線で囲まれた部分を拡大して示す拡大断面図である。
【図12】第1態様のさらに他の実施例を示す断面図であり、(A)は金属薄膜抵抗体の形成領域を示す断面図、(B)は(A)の破線で囲まれた部分を拡大して示す拡大断面図である。
【図13】第1態様のさらに他の実施例を示す断面図であり、(A)は金属薄膜抵抗体の形成領域を示す断面図、(B)は(A)の破線で囲まれた部分を拡大して示す拡大断面図である。
【図14】CrSiN膜形成用のガスのN2分圧とCrSiN膜の抵抗率の関係を示す図であり、縦軸は抵抗率ρ(mohm・cm)、横軸はN2分圧(%)を示す。
【図15】第1態様の一実施例を示す断面図であり、(A)は金属薄膜抵抗体の形成領域を示す断面図、(B)は(A)の破線で囲まれた部分を拡大して示す拡大断面図である。
【図16】第1態様の他の実施例を示す断面図であり、(A)は金属薄膜抵抗体の形成領域を示す断面図、(B)は(A)の破線で囲まれた部分を拡大して示す拡大断面図である。
【図17】第1態様のさらに他の実施例を示す断面図であり、(A)は金属薄膜抵抗体の形成領域を示す断面図、(B)は(A)の破線で囲まれた部分を拡大して示す拡大断面図である。
【図18】半導体装置の第2態様の一実施例における金属薄膜抵抗体の形成領域を示す図であり、(A)は平面図、(B)は(A)のA−A位置での断面図、(C)は(B)の破線で囲まれた部分を拡大して示す拡大断面図である。
【図19】同実施例の製造方法の一例を説明するための工程断面図である。
【図20】半導体装置の第2態様の他の実施例を示す図であり、(A)は平面図、(B)は(A)のB−B位置での断面図、(C)は(B)の破線で囲まれた部分を拡大して示す拡大断面図である。
【図21】第2態様の一実施例を示す断面図であり、(A)は平面図、(B)は(A)のC−C位置での断面図、(C)は(B)の破線で囲まれた部分を拡大して示す拡大断面図である。
【図22】第2態様の他の実施例を示す断面図であり、(A)は平面図、(B)は(A)のD−D位置での断面図、(C)は(B)の破線で囲まれた部分を拡大して示す拡大断面図である。
【図23】半導体装置の第3態様の一実施例を示す図であり、(A)は断面図、(B)は第1接続孔近傍を拡大して示す断面図、(C)は第2接続孔近傍を拡大して示す断面図である。
【図24】同実施例を製造するための製造方法の一例を説明するための工程断面図である。
【図25】半導体装置の第3態様の他の実施例を示す図であり、(A)は断面図、(B)は第1接続孔近傍を拡大して示す断面図、(C)は第2接続孔近傍を拡大して示す断面図である。
【図26】第3態様の一実施例を示す断面図であり、(A)は断面図、(B)は第1接続孔近傍を拡大して示す断面図、(C)は第2接続孔近傍を拡大して示す断面図である。
【図27】第3態様の他の実施例を示す断面図であり、(A)は断面図、(B)は第1接続孔近傍を拡大して示す断面図、(C)は第2接続孔近傍を拡大して示す断面図である。
【図28】第3態様のさらに実施例を示す断面図であり、(A)は断面図、(B)は第1接続孔近傍を拡大して示す断面図、(C)は第2接続孔近傍を拡大して示す断面図である。
【図29】第3態様のさらに実施例を示す断面図であり、(A)は断面図、(B)は第1接続孔近傍を拡大して示す断面図、(C)は第2接続孔近傍を拡大して示す断面図である。
【図30】アナログ回路である定電圧発生回路を備えた半導体装置の一実施例を示す回路図である。
【図31】アナログ回路である電圧検出回路を備えた半導体装置の一実施例を示す回路図である。
【図32】アナログ回路である分割抵抗回路を備えた半導体装置の一実施例を示す回路図である。
【図33】同分割抵抗回路のヒューズ素子部分のレイアウト例を示すレイアウト図である。
【図34】同割抵抗回路の金属薄膜抵抗体部分のレイアウト例を示すレイアウト図である。
【図35】アナログ回路である分割抵抗回路を備えた半導体装置の他の実施例を示す回路図である。
【図36】同分割抵抗回路における粗調整用抵抗素子及び微調整用抵抗素子のレイアウト例を示すレイアウト図である。
【図37】従来の半導体装置を示す断面図である。
【図38】他の従来の半導体装置を示す断面図である。
【図39】さらに他の従来の半導体装置を示す断面図である。
【図40】さらに他の従来の半導体装置を適用した場合の不具合を説明するための断面図である。
【図41】さらに他の従来の半導体装置を適用した場合の不具合を説明するための断面図である。
【図42】さらに他の従来の半導体装置を示す断面図である。
【符号の説明】
【0281】
1 シリコン基板
3 素子分離酸化膜
4a 不純物拡散層
4b ゲート絶縁膜
4c ゲート電極
5 第1層目層間絶縁膜
6a コンタクトホール
6b 導電性プラグ
7 金属材料パターン
9 高融点金属膜
11,11a 第1層目金属配線パターン
13a 容量素子の下層側電極
13b 容量素子用絶縁膜
13c 容量素子の上層側電極
15 第2層目層間絶縁膜
15a NSG膜
15b PSG膜
17 接続孔
19 逆スパッタリング残渣
21 CrSi薄膜抵抗体
21a,21b 金属薄膜抵抗体
23 パッシベーション膜
25 レーザ光
25a,25b レーザ光軌跡
27 CrSi薄膜
28 ポリシリコン配線パターン
29 不純物拡散層
30 CrSiN膜
31 第2層目層間絶縁膜
31a NSG膜
31b SOG膜
31c PSG膜
33 金属材料パターン
35 高融点金属膜
37 第2層目金属配線パターン
39 第3層目層間絶縁膜
39a NSG膜
39b SOG膜
39c PSG膜
41 レーザ光透過防止膜
43 第1接続孔
45 第2接続孔
47 第1導電性プラグ
49 第2導電性プラグ
51 バリヤメタル(第1導電性材料)
53 タングステン(第2導電性材料)
55 逆スパッタリング残渣
57 金属材料パターン
58 高融点金属膜
59 第3層目金属配線パターン
61 配線用金属膜
63,65 レジストパターン
67 サイドウォール
69 逆スパッタリング残渣
75 直流電源
77 負荷
79 定電圧発生回路
81 入力端子
83 基準電圧発生回路
85 演算増幅器
87 PチャネルMOSトランジスタ
89 出力端子
91 電圧検出回路
93 入力端子
95 出力端子
96 金属配線パターン
97 粗調整用抵抗素子
99 微調整用抵抗素子
R1,R2 分割抵抗素子
Rbottom,RT0,RT1,…,RTm,Rtop 抵抗素子
RL0,RL1,…,RLm ヒューズ素子
NodeL,NodeM 端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属薄膜抵抗体を含む集積回路を備えた半導体装置において、
半導体基板上に他の層を介して形成された下層側絶縁膜と、
前記下層側絶縁膜上に形成された金属配線パターンと、
前記下層側絶縁膜上及び前記金属配線パターン上に形成された、少なくとも最上層にリン又はリン及びボロンが導入されたシリコン酸化膜をもつ下地絶縁膜と、
前記金属配線パターン上の前記下地絶縁膜に形成された接続孔を備え、
前記金属薄膜抵抗体は前記下地絶縁膜上から前記接続孔内にわたって形成されて前記接続孔内で前記金属配線パターンと電気的に接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記接続孔の少なくとも上端部がテーパー状に形成されており、かつ、成分に少なくとも前記金属配線パターン及び前記下地絶縁膜の材料ならびにArを含んでいる逆スパッタリング残渣が前記接続孔の内壁に形成されている請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
金属薄膜抵抗体を含む集積回路を備えた半導体装置において、
半導体基板上に他の層を介して形成された、少なくとも最上層にリン又はリン及びボロンが導入されたシリコン酸化膜をもつ下地絶縁膜と、
前記下地絶縁膜上に形成された金属配線パターンと、
前記金属配線パターンの側面に形成された絶縁性材料からなるサイドウォールを備え、
前記金属薄膜抵抗体は前記下地絶縁膜上から前記サイドウォール表面を介して前記金属配線パターン上にわたって形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
前記サイドウォールの前記下地絶縁膜側の表面に、成分に少なくとも前記サイドウォールの材料及びArを含んでいる逆スパッタリング残渣が形成されている請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記金属薄膜抵抗体は前記金属配線パターンと交差して形成されている請求項3又は4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記金属配線パターンは、金属材料パターンと、前記金属材料パターンの少なくとも上面に形成された高融点金属膜により構成されている請求項1から5のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項7】
金属薄膜抵抗体を含む集積回路を備えた半導体装置において、
半導体基板上に他の層を介して形成された、少なくとも最上層にリン又はリン及びボロンが導入されたシリコン酸化膜をもつ下地絶縁膜と、
前記下地絶縁膜に形成された第1接続孔及び第2接続孔と、
前記第1接続孔内に形成された第1導電性プラグと、
前記第1導電性プラグの形成と同時に前記第2接続孔内に形成された第2導電性プラグと、
前記第2導電性プラグ上及び前記下地絶縁膜上に形成された金属配線パターンを備え、
前記金属薄膜抵抗体は前記第1導電性プラグ上及び前記下地絶縁膜上にわたって形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
前記第1導電性プラグ及び前記第2導電性プラグは前記第1接続孔及び前記第2接続孔の内壁表面に形成された第1導電性材料と前記第1導電性材料上に形成された第2導電性材料からなり、
前記第1接続孔において、前記第1導電性材料の上端部は前記第1接続孔の上端部及び前記第2導電性材料の上面とは間隔をもって形成されており、前記第2導電性材料の上面の外周部及び前記第1接続孔の上端部はテーパー形状に形成されており、前記第1導電性材料上の、前記第1接続孔の内壁と前記第2導電性材料の間の空間に、成分に少なくとも前記下地絶縁膜の材料、前記第1導電性材料及びArを含む逆スパッタリング残渣が形成されている請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記金属薄膜抵抗体の上面を覆う金属窒化膜を備え、前記金属薄膜抵抗体の上面と前記金属窒化膜の間には金属酸化膜は形成されていない請求項1から8のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項10】
前記金属配線パターンは最上層の金属配線パターンである請求項1から9のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項11】
前記金属薄膜抵抗体下の領域で前記下地絶縁膜下に金属材料からなるレーザ光透過防止膜をさらに備えている請求項1から10のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項12】
前記金属薄膜抵抗体下の領域に集積回路の構成要件のうち前記金属薄膜抵抗体以外の構成要件の少なくとも一部が配置されている請求項1から11のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項13】
前記金属薄膜抵抗体下の領域に配置されている前記集積回路の構成要件は、トランジスタ素子を含んでいる請求項12に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記金属薄膜抵抗体下の領域に配置されている前記集積回路の構成要件は、容量素子を含んでいる請求項12又は13に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記金属薄膜抵抗体下の領域に配置されている前記集積回路の構成要件は、金属配線パターンを含んでいる請求項12から14のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項16】
前記金属薄膜抵抗体下の領域に配置されている前記集積回路の構成要件は、ポリシリコン配線パターンを含んでいる請求項12から15のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項17】
前記金属薄膜抵抗体下の領域に配置されている前記集積回路の構成要件は、半導体基板表面に形成された不純物拡散層を含んでいる請求項12から16のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項18】
前記金属薄膜抵抗体の膜厚は5〜1000Åである請求項1から17のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項19】
前記下地絶縁膜は平坦化処理が施されている請求項1から18のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項20】
2個以上の抵抗素子による分割によって電圧出力を得、ヒューズ素子の切断によって電圧出力を調整できる分割抵抗回路を備えた半導体装置において、
前記抵抗素子は、請求項1から19のいずれかに記載の金属薄膜抵抗体により構成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項21】
2個以上の抵抗素子による分割によって電圧出力を得、抵抗素子へのレーザ照射によって電圧出力を調整できる分割抵抗回路を備えた半導体装置において、
前記抵抗素子は、請求項1から19のいずれかに記載の金属薄膜抵抗体により構成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項22】
入力電圧を分割して分割電圧を供給するための分割抵抗回路と、基準電圧を供給するための基準電圧発生回路と、前記分割抵抗回路からの分割電圧と前記基準電圧発生回路からの基準電圧を比較するための比較回路をもつ電圧検出回路を備えた半導体装置において、
前記分割抵抗回路として請求項20又は21に記載の分割抵抗回路を備えていることを特徴とする半導体装置。
【請求項23】
入力電圧の出力を制御する出力ドライバと、出力電圧を分割して分割電圧を供給するための分割抵抗回路と、基準電圧を供給するための基準電圧発生回路と、前記分割抵抗回路からの分割電圧と前記基準電圧発生回路からの基準電圧を比較し、比較結果に応じて前記出力ドライバの動作を制御するための比較回路をもつ定電圧発生回路を備えた半導体装置において、
前記分割抵抗回路として請求項20又は21に記載の分割抵抗回路を備えていることを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【公開番号】特開2006−100679(P2006−100679A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−286742(P2004−286742)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】