説明

半導体装置

【課題】良質な半導体装置を提供することを目的としている。
【解決手段】素子分離領域間の凸部108を含むシリコン基板106と、凸部108上の絶縁部112と、絶縁部112上のシリコンフィン114と、上面が凸部108の上面よりも低く位置する素子分離領域内の素子分離層116と、シリコンフィン114に設けられたソース/ドレイン領域と、ソース/ドレイン領域104のシリコンフィン114の側面から外側に突き出た横方向エピ成長シリコン部118と、ゲート電極領域102内のゲート絶縁層122を介してシリコンフィン114上に設けられるゲート電極124と、ゲート電極124の側面に隣接する第1のスペーサ128と、ソース/ドレイン領域104内の凸部108の側面を覆う第2のスペーサ130とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、例えばマルチゲートMOS(metal oxide silicon)トランジスタに関する。
【背景技術】
【0002】
トランジスタのデザインは改良され、発展されており、異なるタイプのトランジスタの数は増え続けている。より速い駆動電流を有する縮小されたデバイス(scaled devices)やプレーナ(平面)MOSFETに比べてショートチャネル効果が抑制されたデバイスを提供するためにダブルゲートの非プレーナMOSFET(例えばフィンMOSFET(metal oxide semiconductor field effect transistors))およびトライゲートの非プレーナMOSFETを含む、マルチゲートの非プレーナMOSFETが開発されている。SRAM(static random access memory)のセルはこのようなマルチゲートの非プレーナMOSFETを用いることができる。
【0003】
ダブルゲートの非プレーナMOSFETは、チャネル領域が薄いシリコンフィン内に形成されるFETである。ソースおよびドレイン領域は、チャネル領域の両側のフィンの対向する端部に形成される。ゲートは、チャネル領域に対応する領域内の薄いシリコンフィン上に形成される。フィンMOSFETは、完全に空乏化されるほど薄いフィンを有するダブルゲートの非プレーナFETのタイプである。
【0004】
トライゲートの非プレーナMOSFETは、ダブルゲートの非プレーナMOSFETの構造と類似の構造を有している。しかしながら、フィンの幅と高さは、ゲートが上面と対向する側壁を含むチャネルの3つの側面上に形成されることができるように、ほぼ同じである。高さと幅の割合は、チャネルが完全に空乏化され、トライゲートのMOSFETの3次元フィールド効果がより大きな駆動電流を得られ、プレーナトランジスタに比べてショートチャネル特性が改善されるため、一般的に3:2〜2:3の範囲である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7、304、384号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
良質な半導体装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の半導体装置は、素子分離領域間の凸部を含むシリコン基板と、凸部上の絶縁部と、絶縁部上のシリコンフィンと、上面が凸部の上面よりも低く位置する素子分離領域内の素子分離層と、前記シリコンフィンに設けられたソース/ドレイン領域と、前記ソース/ドレイン領域のシリコンフィンの側面から外側に突き出た横方向エピ成長シリコン部(laterally grown silicon)と、ゲート電極領域内のゲート絶縁層を介してシリコンフィン上に設けられるゲート電極と、ゲート電極の側面に隣接する第1のスペーサと、ソース/ドレイン領域内の凸部の側面を覆う第2のスペーサとを備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態に係るマルチゲートMOSトランジスタの例を示す斜視図である。
【図2】図2(a)は、第1の実施形態に係るマルチゲートMOSトランジスタの例であり、ゲート電極領域の一部を示す図1のX1−X1線に沿った断面図であり、図2(b)は、第1の実施形態に係るマルチゲートMOSトランジスタの例であり、ソース/ドレイン領域の一部を示す図1のX2−X2線に沿った断面図である。
【図3】図3(a)は、第1の実施形態に係る他のマルチゲートMOSトランジスタの例であり、ゲート電極領域の一部を示す断面図であり、図3(b)は、第1の実施形態に係る他のマルチゲートMOSトランジスタの例であり、ソース/ドレイン領域の一部を示す断面図である。
【図4】第2の実施形態に係るマルチゲートMOSトランジスタの例を示す斜視図である。
【図5】図5(a)は、第2の実施形態に係るマルチゲートMOSトランジスタの例であり、ゲート電極領域の一部を示す図4のX3−X3線に沿った断面図であり、図5(b)は、第2の実施形態に係るマルチゲートMOSトランジスタの例であり、ソース/ドレイン領域の一部を示す図4のX4−X4線に沿った断面図である。
【図6】図6(a)は、第2の実施形態に係る他のマルチゲートMOSトランジスタの例であり、ゲート電極領域の一部を示す断面図であり、図6(b)は、第2の実施形態に係る他のマルチゲートMOSトランジスタの例であり、ソース/ドレイン領域の一部を示す断面図である。
【図7】実施形態に係るマルチゲートMOSトランジスタの形成方法を示す図である。
【図8】実施形態に係るマルチゲートMOSトランジスタの形成方法を示す図である。
【図9】実施形態に係るマルチゲートMOSトランジスタの形成方法を示す図である。
【図10】実施形態に係るマルチゲートMOSトランジスタの形成方法を示す図である。
【図11】実施形態に係るマルチゲートMOSトランジスタの形成方法を示す図である。
【図12】実施形態に係るマルチゲートMOSトランジスタの形成方法を示す図である。
【図13】実施形態に係るマルチゲートMOSトランジスタの形成方法を示す図である。
【図14】実施形態に係るマルチゲートMOSトランジスタの形成方法を示す図である。
【図15】実施形態に係るマルチゲートMOSトランジスタの形成方法を示す図である。
【図16】実施形態に係る他のマルチゲートMOSトランジスタの形成方法を示す図である。
【図17】実施形態に係る他のマルチゲートMOSトランジスタの形成方法を示す図である。
【図18】実施形態に係る他のマルチゲートMOSトランジスタの形成方法を示す図である。
【図19】実施形態に係る他のマルチゲートMOSトランジスタの形成方法を示す図である。
【図20】実施形態に係る他のマルチゲートMOSトランジスタの形成方法を示す図である。
【図21】実施形態に係る他のマルチゲートMOSトランジスタの形成方法を示す図である。
【図22】実施形態に係る他のマルチゲートMOSトランジスタの形成方法を示す図である。
【図23】実施形態に係る他のマルチゲートMOSトランジスタの形成方法を示す図である。
【図24】実施形態に係る他のマルチゲートMOSトランジスタの形成方法を示す図である。
【図25】実施形態に係る他のマルチゲートMOSトランジスタの形成方法を示す図である。
【図26】実施形態に係る他のマルチゲートMOSトランジスタの形成方法を示す図である。
【図27】実施形態に係るマルチゲートMOSトランジスタの形成方法を示すフロー図である。
【図28】実施形態に係るマルチゲートMOSトランジスタのセル領域を減らす方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここでは、マルチゲートMOSトランジスタおよびその製造方法が提供される。特に、実施形態では、ダブルゲートのフィンFETや、トライゲートのフィンFETなどを提供する。また、特に、実施形態は、SON(silicon on nothing)ダブルゲートのフィンFET、またはSONトライゲートのフィンFETを供給することが可能である。SON技術において、エアギャップ(例えば開口部)はチャネル領域の下に形成され、絶縁膜がギャップ内に形成される。
【0010】
従来の一般的なバルクフィンFET形成工程は、トランジスタのパンチスルーリークを抑制するため、チャネル下部に高濃度イオン注入を含んでいる。しかしながら、不純物イオンは、チャネル領域に拡散され得る。そのためにVtの変化を引き起こしうる。従来のバルクフィンFETの形成プロセスにおいて、フィンの高さは、一般にRIE(reactive ion etching)による素子分離領域(shallow trench isolation)絶縁膜のエッチバックによって規定される。フィンの高さは、RIEによってバラツキを引き起こされうる。
【0011】
本マルチゲートMOSトランジスタは、後述する利点のいくつかを提供することが可能である。1)マルチゲートMOSトランジスタは、マルチゲートMOSトランジスタがパンチスルーを防止するためのイオン注入を必要としないため、十分に均一なデバイスの特性を提供することが可能であり、2)マルチゲートMOSトランジスタのフィンの高さは、RIE工程ではなく、エピタキシャル工程によって形成された層の厚さによって規定されるため、十分に一様にすることができ、3)マルチゲートMOSトランジスタは、低コストバルクシリコン基板によって形成することができ、および/または4)マルチゲートMOSトランジスタは、バルクシリコン基板の凸部の側面が、絶縁層で覆われているため、フィンとシリコン基板との間の短絡を抑制することが可能である。
【0012】
実施形態は、図面を参照して説明される。図中の同一の符号は同じ要素であることを意味している。後述する文章において、説明の目的で、多くの特定の詳記が、請求された主題の完全な理解を提供するために示されている。しかしながら、これらの特定の詳記なしでも、請求された主題を実施可能なことが明らかであろう。他の例において、よく知られた構造やデバイスは、請求された主題の説明を容易にするためにブロックダイアグラムで示されている。
【0013】
(第1の実施形態)
図1は、マルチゲートMOSトランジスタの一例の斜視図を示している。図2(a)は、FET(または電界効果トランジスタとも呼ぶ)100のゲート電極領域の一部であり、図1のゲート電極領域102のX1−X1線に沿った断面図を示している。図2(b)は、FET100のソース/ドレイン領域の一部であり、図1のソース/ドレイン領域104のX2−X2線に沿った断面図を示している。
【0014】
マルチゲートMOSトランジスタ100は、素子分離領域(shallow trench region)110間の一つ以上の凸部108と、凸部108上に設けられた一つ以上の絶縁部112と、絶縁部112上に設けられた一つ以上のシリコンフィン114と、素子分離領域(shallow trench isolation region)110中の素子分離層(shallow trench isolation layer)116と、トランジスタが2以上のシリコンフィンを含んでいる場合、S/D(ソースおよびドレイン)抵抗、および/またはソース/ドレイン領域中のシリコンフィン同士の電気的な接続を行うことが可能である横方向エピ成長シリコン部(laterally grown silicon)118と、ゲート電極120と、ゲート電極120の側面に近接された第1のスペーサ128と、ソース/ドレイン領域中の凸部108の側面に近接された第2のスペーサ130と、を含んでいるバルク半導体基板(例えばバルクシリコン基板)106を含むことが可能である。ソース/ドレイン部(例えば、拡散層)はシリコンフィン内(例えば、シリコンフィン132の上面および側面)および/またはソース/ドレイン領域内に形成することができる。二つの凸部、二つの絶縁部、二つのシリコンフィンは、簡単のため図1および図2(b)に図示されている。しかしながら、本マルチゲートMOSトランジスタは、一つ以上の凸部、一つ以上の絶縁部、一つ以上のシリコンフィンを含むことができる。マルチゲートMOSトランジスタ100はトライゲートフィンFETと呼ばれうる。
【0015】
一つ以上の隣接するトランジスタ134は、バルクシリコン基板上に選択的に配置することができる。この例では、一つの隣接するトランジスタ134が、マルチゲートMOSトランジスタ100に隣接して配置されている。図1には図示されていないが、バルクシリコン基板の凸部と、絶縁部の凸部は第2のスペーサ130によって覆われている。絶縁部の側面の上部は図1で見ることができる。横方向エピ成長シリコン部118は、横方向エピ成長シリコン部118の下のシリコンフィン114を示すために、図1では省略されている。
【0016】
図1、図2(a)に示すように、ゲート電極領域102において、マルチMOSトランジスタはシリコンフィン114上のゲート電極120を含んでいる。ゲート電極120は、ゲート絶縁層を介してシリコンフィン114上に設けられる。ゲート電極120は、例えばシリコンフィン114上のHigh−K部122、High−K部122上の金属部124、および金属部124上のポリシリコン部126などの適当なゲート電極材料を含むことができる。High−K部122は、素子分離層116の上面上に、絶縁部112の側面上、およびシリコンフィン114の上面と側面とに形成されることが可能である。金属部124は、High−K部上と、金属部上のポリシリコン部126の間に形成されることができる。ひとつの実施形態において、ゲート電極120は、バルクシリコン基板の凸部108上に形成される。
【0017】
図1、図2(b)に示すように、ソース/ドレイン領域104において、マルチゲートMOSトランジスタは、ソース/ドレイン(S/D)抵抗値および/または、二つ以上のシリコンフィンが含まれる場合のシリコンフィン間の電気的な接続を行うことができる横方向エピ成長シリコン部118を含んでいる。マルチゲートMOSトランジスタはさらに、凸部108の側面に近接し設けられた第2のスペーサ130を含んでいる。マルチゲートMOSトランジスタは、二つの側面および上面拡散層132を含むシリコンフィン114および横方向エピ成長シリコン部118からなるソース/ドレイン部を含むことができる。ソース/ドレイン部は、一つ以上のp型ドーパント(例えばボロン)またはn型ドーパント(例えば砒素)を含んでいる。
【0018】
マルチゲートMOSトランジスタは、バルクシリコン基板の表面に実質的に平行な方向に沿って、バルクシリコン基板の表面に対して実質的に垂直に形作られている一つ以上のシリコンフィン114を含んでいる。このようなトランジスタにおいて、電流は、バルクシリコン基板の表面に実質的に平行な方向に沿ってシリコンフィンの側面または上面を流れる。シリコンフィンは、フィンと呼ばれる。
【0019】
本実施形態のトランジスタは、ダブルゲートタイプトランジスタでも良い。ダブルゲートトランジスタは、一般的にバルクシリコン基板の表面に実質的に平行な方向に沿って配置され、バルクシリコン基板の表面に対して実質的に垂直に形成されている比較的細いフィンを含んでいる。チャネルは、シリコンフィンの二つの側面に形成され、電流は、二つ以上の面を流れる。
【0020】
本実施形態のトランジスタは、トライゲートタイプトランジスタでも良い。トライゲートトランジスタは、一般的にバルクシリコン基板の表面に実質的に平行な方向に沿って配置され、バルクシリコン基板の表面に対して実質的に垂直に形成されている比較的幅の広いフィンを含んでいる。チャネルは、シリコンフィンの二つの側面および上面の3面に形成され、電流は、3面を流れる。
【0021】
バルクシリコン基板の一つ以上の凸部108は、バルクシリコン基板の表面に実質的に平行な方向に沿って配置され、バルクシリコン基板の表面に対して実質的に垂直に形成されている。凸部は、素子分離領域のバルクシリコン基板をエッチング除去することで形成されても良い。
【0022】
一つ以上の絶縁部112は、バルクシリコン基板の一つ以上の凸部上に形成されている。絶縁部112は適当な絶縁材を含むことができる。絶縁部112は、一つ以上の異なる絶縁材料を含むことができる。一実施形態において、絶縁部112は、第1のシリコン酸化部、シリコン窒化部、そして第2のシリコン酸化部の三つに別けられた部分を有している。酸化物―窒化物―酸化物(oxide-nitride-oxide)の構成は、ONO部と呼ばれる。
【0023】
シリコンフィン114は、絶縁部112上に形成されている。シリコンフィン114は、エピタキシャル成長工程によって形成することができる。シリコンフィン114は、エピタキシャル成長によって形成されるので、シリコンフィン114間の高さバラツキを最小限にすることができる。
【0024】
素子分離層116は、素子分離領域110内に形成される。素子分離層116の上面は、凸部108の上面よりも下に配置される。素子分離層116は、凸部108の下部分のみを囲み、凸部108の全ての部分は囲まない。素子分離層116は、適当な絶縁材料を含むことができる。素子分離層116の材料の例は、シリコン酸化物(例えばSiおよびSiO)のような酸化物、シリコン窒化物(例えばSixNy、シリコンリッチのシリコン窒化物、および窒素リッチのシリコン窒化物)のような窒化物を含んでいる。
【0025】
横方向エピ成長シリコン部118は、ソース/ドレイン領域104において、シリコンフィン114の側面上にある。横方向エピ成長シリコン部118は、シリコンフィン114の側面から外側に突き出ている。横方向エピ成長シリコン部118は、ソース/ドレイン領域104において、S/D抵抗を低減し、かつ/または、シリコンフィン114間の電気的な接続を行うことができる。横方向エピ成長シリコン部118は、ゲート電極領域において、二つ以上のシリコンフィンを電気的に接続しない。横方向エピ成長シリコン部118は、典型的にシリコンを含み、シリコンエピタキシャル工程で形成することが可能である。横方向エピ成長シリコン部118は、少なくともシリコンフィン114の側面上にシリコンエピタキシャル層を成長させることで形成することができる。
【0026】
ゲート電極120のHigh−K部122は、例えばハフニウム酸化物(HfO)、ハフニウムシリケート(HfSiO)、アルミナ(Al)、タンタル酸化物(Ta)、チタン酸化物(TiO)、ジルコニア酸化物(ZrO)、イットリウム酸化物(Y)、シリコンジルコニア酸化物(SiZrO)、ランタン酸化物(La)、シリケイトに相当する他の物等のような金属酸化物などの適当なHigh−K材料を含むことができる。金属部は、例えば、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、チタン窒化物(TiN)および金(Au)またはこれらの合金等の適当な金属材料を含むことができる。
【0027】
第1のスペーサ128は、ゲート電極102の側面に近接して形成されている。第1のスペーサ128は、ゲート電極102の側面を覆う(例えば、High−K部、金属部、およびポリシリコン部の側面)。第1のスペーサ128は、適当な絶縁材料を含むことができる。第1のスペーサ128の材料の例は、シリコン酸化物(例えばSi、およびSiO)のような酸化物と、シリコン窒化物(例えば、Si、シリコンリッチのシリコン窒化物、窒素リッチのシリコン窒化物)のような窒化物とを含んでいる。ゲート電極102の金属部124はHigh−K部、ポリシリコン部、第1のスペーサ128に覆われている。金属部124の側面は第1のスペーサ128に覆われている。
【0028】
この例において、第2のスペーサ130は、ソース/ドレイン領域中の絶縁部、凸部108の側面に近接して形成されている。第2のスペーサ130は、ソース/ドレイン領域内の絶縁部112の側面の下部分及び凸部108の側面を覆っている。第2のスペーサ130は、適当な絶縁材料を含むことができる。第2のスペーサ130の材料の例は、シリコン酸化物(例えばSi、およびSiO)のような酸化物と、シリコン窒化物(例えば、Si、シリコンリッチのシリコン窒化物、窒素リッチのシリコン窒化物)のような窒化物とを含んでいる。
【0029】
図2(b)において、第2のスペーサ130は、近接する第2のスペーサ130とは接触せず、スペース(ギャップ)は、第2のスペーサ130間に設けられている。しかしながら、第2のスペーサ130の一部は、互いに接触してもよい。
【0030】
横方向エピ成長シリコン部118は、凸部108または半導体基板106に接触していない。そのため、ソース/ドレイン領域104は、凸部108または半導体基板106に電気的に接続されない。言い換えると、横方向エピ成長シリコン部118は、第2のスペーサ130によって凸部108から分離される。
【0031】
横方向エピ成長シリコン部118の下部分は、第2のスペーサ130に接触している。また、図示していないが、横方向エピ成長シリコン部118は、第1のスペーサ128に接触している。
【0032】
図1、2(a)、2(b)には示していないが、金属シリサイドは、横方向エピ成長シリコン部118、ゲート電極102、またはそれら両方の上に形成することが可能である。金属シリサイドは、タングステン、タンタル、モリブデンなど、および、プラチナ、パラジウム、コバルト、ニッケルなどの周期表の8族の金属などの耐熱性の高い金属を含むことが可能である。
【0033】
図3(a)および図3(b)は、マルチゲートMOSトランジスタ300の他の例を示している。図3(a)は、トランジスタ300のゲート電極領域302の一部の断面図を示している。図3(b)は、トランジスタ300のソース/ドレイン領域304の一部の断面図を示している。マルチゲートMOSトランジスタは、素子分離領域(shallow trench region)310間の凸部308を含んでいるバルクシリコン基板306と、凸部308上の絶縁部312と、絶縁部312上のシリコンフィン314と、シリコンフィン314上のマスク部316と、素子分離領域(shallow trench isolation region)310内の素子分離層318とを含んでいる。マスク部316は、素子分離(shallow trench isolation)を形成する際のエッチングマスクとして用いられるマスク層の部分である。マスク部316は、適当な絶縁材料を含むことができる。マスク部316の材料の例は、シリコン酸化物(例えばSi、およびSiO)のような酸化物と、シリコン窒化物(例えば、Si、シリコンリッチのシリコン窒化物、窒素リッチのシリコン窒化物)のような窒化物とを含んでいる。1実施形態において、マスク部316は、シリコン窒化物を含んでいる。マルチゲートMOSトランジスタ300は、ダブルゲートフィンFETと呼ばれる。
【0034】
図3(a)に示すように、ゲート電極領域302において、マルチゲートMOSトランジスタは、マスク部316上にゲート電極320を含んでいる。ゲート電極302はゲート絶縁層を介してシリコンフィン上に設けられる。ゲート電極302は、例えばシリコンフィン314上のHigh−K部322と、High−K部322上の金属部324と、金属部324上のポリシリコン部326との、適当なゲート電極材料を含むことができる。High−K部322は素子分離層318の上面上、凸部308の側面、絶縁部312の側面、シリコンフィン314の側面、およびマスク部316の上面と側面とに形成することができる。金属部324は、High−K部322、およびポリシリコン部326の間に形成することができる。本実施形態では、ゲート電極は、バルクシリコン基板306の凸部308の側面部分上にも形成される。
【0035】
図3(b)に示すように、ソース/ドレイン領域304において、マルチゲートMOSトランジスタはS/D抵抗を低減し、かつ/またはシリコンフィン314間の電気的な接続を行うことができる横方向エピ成長シリコン部328を含んでいる。この横方向エピ成長シリコン部328は、第2のスペーサ330、または、図示していないが、第1のスペーサ128に接触している。マルチゲートMOSトランジスタは更に、シリコンフィン314の側面と凸部308の側面とに近接する第2のスペーサ330を含んでいる。マルチゲートMOSトランジスタは、ソース/ドレイン領域において、シリコンフィン314の二つの側面332と、ソース/ドレイン領域の横方向エピ成長シリコン部328とを含むことができる。
【0036】
(第2の実施形態)
図4は、マルチゲートMOSトランジスタ400の他の例の斜視図である。図5(a)は、図4のX3−X3線に沿った電界効果トランジスタ400のゲート電極領域402の一部の断面図を示している。図5(b)は、図4のX4−X4線に沿った電界効果トランジスタ400のソース/ドレイン領域404の一部の断面図を示している。
【0037】
マルチゲートMOSトランジスタ400は、素子分離領域410間の一つ以上の凸部408を含んでいるバルクシリコン基板406と、凸部408上の一つ以上の絶縁部412と、絶縁部412上の一つ以上のシリコンフィン414と、素子分離領域410内の素子分離層416と、S/D抵抗を低減し、および/またはシリコンフィン414間の電気的な接続を行うことができる横方向エピ成長シリコン部418と、ゲート電極420と、ゲート電極420の側面に近接された第1のスペーサ428とを含むことができる。素子分離層416の上面は、絶縁部412の上面と、絶縁部412の下面との間に位置している。マルチゲートMOSトランジスタのソース/ドレインは、シリコンフィン414の上面と側面430と、ソース/ドレイン領域の横方向エピ成長シリコン部418とを含んでいる。図4および5(b)において、二つの凸部、二つの絶縁部、および二つのシリコンフィンが示されているが、本実施形態のマルチゲートMOSトランジスタ400は、一つ以上の凸部、一つ以上の絶縁部、および一つ以上のシリコンフィンを含むことができる。マルチゲートMOSトランジスタ400は、トライゲートフィンFETと呼ばれうる。
【0038】
絶縁部412の下部分およびバルクシリコン基板406の凸部408は素子分離層416によって覆われている。横方向エピ成長シリコン部418は図4において横方向エピ成長シリコン部418の下のシリコンフィン414を図示するために省略されている。一つ以上の隣接するトランジスタ432を、バルクシリコン基板406上に配置することができる。
【0039】
図4、図5(a)に示すように、ゲート電極領域402において、マルチゲートMOSトランジスタはシリコンフィン414上のゲート電極420を含んでいる。ゲート電極402は、ゲート絶縁層を介してシリコンフィン414上に儲けられる。ゲート電極402は例えばシリコンフィン414上のHigh−K部422と、High−K部422上の金属部424と、金属部424上のポリシリコン部426との、適当なゲート電極材料を含むことができる。High−K部422は、素子分離層416の上面と、絶縁部412の側面と、シリコンフィン414の上面および側面とに形成することができる。金属部424は、High−K部422上および金属部424上のポリシリコン部426の間に形成することができる。本実施形態では、ゲート電極はバルクシリコン基板の凸部408の側面には形成されない。
【0040】
図4、図5(b)に示すように、ソース/ドレイン領域404において、マルチゲートMOSトランジスタはS/D抵抗を低減しおよび/またはシリコンフィン414間の電気的な接続を行うことができる横方向エピ成長シリコン部418を含んでいる。本例において、マルチゲートMOSトランジスタは絶縁部412の側面および凸部の側面に近接している絶縁スペーサ(図2(b)のスペーサ130)を含んでいない。その代わり、素子分離層416は、絶縁部412の側面の下部分と、凸部408の側面を覆い、横方向エピ成長シリコン部418と接触する。マルチゲートMOSトランジスタのソース/ドレインは、シリコンフィン414の2つの側面および上面430を含んでいるシリコンフィン414と、ソース/ドレイン領域における横方向エピ成長シリコン部418とを含むことができる。また、図示していないが、横方向エピ成長シリコン部418は、第1のスペーサ428に接触している。
【0041】
シリコンフィン414の側面からの成長シリコンは、素子分離層416によって物理的にブロックされ、下方向に成長しないため、横方向エピ成長シリコン部418は、凸部408とは電気的に接続されない。
【0042】
図6(a)および図6(b)は、マルチゲートMOSトランジスタ600の他の例を示している。図6(a)は、電界効果トランジスタ600のゲート電極領域602の一部の断面図を示している。図6(b)は、電界効果トランジスタ600のソース/ドレイン領域604の一部の断面図を示している。マルチゲートMOSトランジスタは、素子分離領域(shallow trench region)610間の一つ以上の凸部608を含んでいるバルクシリコン基板606と、凸部608上の一つ以上の絶縁部612と、絶縁部612上の一つ以上のシリコンフィン614と、シリコンフィン614上の一つ以上のマスク部616と、素子分離領域(shallow trench isolation region)610内の素子分離層618とを含んでいる。マスク部616は、素子分離(shallow trench isolation)を形成する際のエッチングマスクとして用いられるマスク層の部分である。マスク部616は、図3(a)、図3(b)に関連して記載されたマスク部と同様の材料を含むことができる。図6(b)において二つの凸部608、二つの絶縁部612、および二つのシリコンフィン614が示されているが、本実施形態のマルチゲートMOSトランジスタ600は、一つ以上の凸部608、一つ以上の絶縁部612、および一つ以上のシリコンフィン614を含むことができる。マルチゲートMOSトランジスタ600は、ダブルゲートフィンFETと呼ばれうる。
【0043】
図6(a)に示すように、ゲート電極領域602において、マルチゲートMOSトランジスタは、マスク部上にゲート電極620を含んでいる。ゲート電極602はゲート絶縁層を介してシリコンフィン614上に儲けられる。ゲート電極602は、例えばHigh−K部622、High−K部622上の金属部624、およびポリシリコン部626のような適当なゲート電極材料を含むことが可能であり、High−K部622は、素子分離層618の上部分と、絶縁部612の側面の上部分と、シリコンフィン614の側面と、マスク部616の上面および側面上とに形成されることが可能である。金属部624は、High−K部622上に形成されることができ、ポリシリコン部626は金属部624上に形成することができる。本実施形態では、ゲート電極は、バルクシリコン基板の凸部608の側面には形成されない。
【0044】
図6(b)に示すように、ソース/ドレイン領域604において、マルチゲートMOSトランジスタはS/D抵抗を低減しおよび/またはシリコンフィン314間の電気的な接続を行うことができる横方向エピ成長シリコン部628を含んでいる。この横方向エピ成長シリコン部628は、素子分離層618、または、図示していないが、第1のスペーサ428に接触している。本例では、マルチゲートMOSトランジスタは、絶縁部の側面および凸部の側面に近接している絶縁スペーサを含んでいない。代わりに、素子分離層は、絶縁部の側面の下部分と、凸部の側面を覆う。その結果、シリコンフィンと凸部(例えばバルクシリコン)との間のショート回路を抑制および/または防止する。マルチゲートMOSトランジスタのソース/ドレインは、シリコンフィン614の2つの側面630を含んでいるシリコンフィン614と、ソース/ドレイン領域における横方向エピ成長シリコン部628とを含むことができる。
【0045】
図7〜図15、図16〜図20、図21〜図26を参照することで、マルチゲートMOSトランジスタの多くの可能な実施形態の中で3つを明確に図示している。図7は、マルチゲートMOSトランジスタ700の製造途中の断面図を示している。この製造途中のトランジスタは、バルクシリコン基板702、バルクシリコン基板上のシリコンゲルマニウム層704、シリコン層706、および第1のパターンマスク層708を含むことが出来る。
【0046】
シリコンゲルマニウム層704は、エピタキシャル成長法によって形成されることができる。シリコンゲルマニウムエピタキシャル成長は、例えばシリコンソースガス(例えば、SiHCl、SiH、Si、SiH、SiF等)、ゲルマニウムソースガス(例えば、GeH、GeF等)、および自由に選択可能なキャリアガスを用いて上昇された温度(例えば600℃)などの適当な条件下で行われることができる。
【0047】
シリコンゲルマニウム部704は適当な量のゲルマニウムを有する。本実施形態において、シリコンゲルマニウム層704は、約5wt%以上かつ約80wt%以下のシリコン、および約20wt%以上かつ約95wt%以下のゲルマニウムを備えている。他の実施形態において、シリコンゲルマニウム層704は、約50wt%以上かつ約75wt%以下のシリコン、および約25wt%以上かつ約50wt%以下のゲルマニウムを備えている。さらに他の実施形態において、シリコンゲルマニウム層704は、約60wt%以上かつ約70wt%以下のシリコン、および約30wt%以上かつ約40wt%以下のゲルマニウムを備えている。
【0048】
シリコンゲルマニウム層704は、組み立てられたマルチゲートMOSトランジスタ構造の所望の実施例に依存した適当な高さを有している。この高さは変わっても良く、本実施形態において重要ではない。本実施形態において、シリコンゲルマニウム層704の高さは約5nm以上かつ約80nm以下である。他の本実施形態において、シリコンゲルマニウム層704の高さは約10nm以上かつ約70nm以下である。さらに他の本実施形態において、シリコンゲルマニウム層704の高さは約15nm以上かつ約60nm以下である。
【0049】
シリコン層706は、エピタキシャル成長法によって形成されることができる。シリコンエピタキシャル成長は、例えばシリコンソースガス(例えば、SiHCl、SiH、Si、SiH、SiF等)、および自由に選択可能なキャリアガスを用いて上昇された温度(例えば700℃)などの適当な条件下で行われることができる。
【0050】
シリコン層706は、組み立てられたマルチゲートMOSトランジスタ構造の所望の実施例に依存した適当な高さを有している。この高さは変わっても良く、本実施形態において重要ではない。本実施形態において、シリコン層706の高さは約5nm以上かつ約80nm以下である。他の本実施形態において、シリコン層706の高さは約10nm以上かつ約70nm以下である。さらに他の本実施形態において、シリコン層706の高さは約15nm以上かつ約60nm以下である。
【0051】
第1のパターンマスク層708は、適当な方法で形成されることができる。例えば、第1のパターンマスク層708は、リソグラフィや側壁転写法などによって形成される。図7に示していないが、側壁転写法によって第1のパターンマスク層708が形成された場合、第1のパターンマスク層708は、断面形状が三角形や台形などの形になる可能性がある。マスク層は、典型的に、シリコン酸化膜、またはシリコン窒化物、シリコンが多いシリコン窒化物、窒素リッチのシリコン窒化物などである。
【0052】
図8は素子分離領域800の形成工程を示している。その結果、図8は、素子分離領域800間に、バルクシリコン基板の2個以上の凸部802と、凸部802上の2個以上のシリコンゲルマニウム部804と、シリコンゲルマニウム部804上の2個以上のシリコンフィン806とを形成することを示している。図8において二つの凸部802、二つのシリコンゲルマニウム部804、および二つのシリコンフィン806が示されているが、一つ以上の凸部802、一つ以上のシリコンゲルマニウム部804、および一つ以上のシリコンフィン806が形成されることが可能である。素子分離領域800は、第1のパターンマスク層708を用い、第1のパターンマスク層708によって覆われていないバルクシリコン基板の部分を除去することで、バルクシリコン基板の上部分に形成される。
素子分離領域は、適当なエッチング技術によって形成されることが可能である。エッチングの例は、RIEおよび異方性のケミカルウエットを含んでいる。異方性のケミカルウエットエッチングのエッチャントの例は、テトラアルキルアンモニウム水酸化物(例えば、テトラメチルアンモニウム水酸化物(TMAH))およびアンモニウム水酸化物(NHOH)のような基礎溶液を含んでいる。例として、TMAH溶液を用いた溝の形成を後述している。TMAH溶液を用いた溝の形成は、バルクシリコン基板をTMAH溶液に浸すこと、またはバルクシリコン基板の上面上にTMAH溶液をスプレーするまたは広げることによって典型的に処理される。
【0053】
TMAH溶液は、他の構成要素への実質的なダメージやエッチング無しに、バルクシリコン基板の部分の除去を促進するのに十分な量のTMAHを含みうる。一実施形態において、TMAH溶液は、重さに対し約0.5%以上かつ約40%以下のTMAHを含んでいる。バルクシリコン基板は、溝の形成を促進するための適当な時間かつ適当な温度でTMAH溶液に接触させられる。一実施形態において、シリコン基板は、約5秒以上かつ約20分以下の間、約20℃以上かつ約100℃以下でTMAH溶液に接触させられる。
【0054】
他の実施形態において、エッチャントはNHOH溶液である。NHOHは、望ましい濃度のNHOH(例えば、NHOH:HO= 1:3000(wt/wt))を有するTMAH溶液を作るための脱イオン水(de-ionized water)のような水で薄められうる。シリコン基板は、約100秒間、約45℃の温度でNHOHに接触させられる。
【0055】
素子分離領域は、適当な深さ(例えば、素子分離領域の底面からシリコン層の上面までの距離)を有している。トレンチは、実質的に同一の深さを有することができる。この深さは変わっても良く、本実施形態にとって重要ではない。深さは、組み立てられた電界効果トランジスタの所望の実施例に依存し得る。一実施形態において、トレンチの深さは約30nm以上かつ約200nm以下である。他の本実施形態において、深さは約40nm以上かつ約150nm以下である。さらに他の本実施形態において、深さは約50nm以上かつ約100nm以下である。そのまたさらに他の本実施形態において、深さは約70nmである。
【0056】
素子分離領域の形成の結果、バルクシリコン基板の一つ以上の凸部と、凸部上の一つ以上のシリコンゲルマニウム部と、シリコンゲルマニウム部上の一つ以上のシリコンフィンとが形成される。凸部、一つ以上のシリコンゲルマニウム部、一つ以上のシリコンフィンは、実質的に長方形の平行六方体(rectangular parallelepiped)形状を有している。凸部、シリコンゲルマニウム部、およびシリコンフィンの上面および下面の寸法は、組み立てられた電界効果トランジスタの所望の実施例に依存している適当な長さを有している。
【0057】
シリコンゲルマニウム部およびシリコンフィンの高さは、シリコンゲルマニウム層およびシリコン層の高さとそれぞれ同様である。一実施形態において、凸部の高さは、約20nm以上かつ約150nm以下である。他の実施形態において、凸部の高さは、約30nm以上かつ約130nm以下である。さらに他の実施形態において、凸部の高さは、約4
0nm以上かつ約100nm以下である。
【0058】
一実施形態において、凸部、シリコンゲルマニウム部、およびシリコンフィンの上面および下面の短辺は、約5nm以上かつ約100nm以下である。他の実施形態において、凸部、シリコンゲルマニウム部、およびシリコンフィンの上面および下面の短辺は、約7nm以上かつ約70nm以下である。さらに他の実施形態において、凸部、シリコンゲルマニウム部、およびシリコンフィンの上面および下面の短辺は、約10nm以上かつ約50nm以下である。
【0059】
一実施形態において、凸部、シリコンゲルマニウム部、およびシリコンフィンの上面および下面の長辺は、約150nm以上かつ約1500nm以下である。他の実施形態において、凸部、シリコンゲルマニウム部、およびシリコンフィンの上面および下面の短辺は、約400nm以上かつ約1300nm以下である。さらに他の実施形態において、凸部、シリコンゲルマニウム部、およびシリコンフィンの上面および下面の短辺は、約500nm以上かつ約1000nm以下である。
【0060】
素子分離領域の形成の結果、隣接トランジスタ部808は形成されることができる。図8において、隣接トランジスタ部808をU型で示しているが、隣接トランジスタ部808は、適当な形を有することができる。一実施形態において、隣接トランジスタ部808は、線型、I型、L型、T型、Y型、V型またはこれらの組み合わせを有する。
【0061】
図9は、素子分離領域800における素子分離層900の形成を示している。素子分離層900は、バルクシリコン基板上に素子分離層の材料を堆積し、CMP(chemical mechanical polishing)および/またはエッチング(例えばRIE)により前記材料の上部分を除去して形成することができる。第1のパターンマスク層708は、シリコンフィンの上面上に存在し、絶縁材料の上部分はCMPによって第1のパターンマスク層708の上面まで研磨される。次に絶縁層の上部分はRIEによってさらに除去される。その後、第1のパターンハードマスクは適当なエッチングによって除去することが出来る。
【0062】
素子分離層900は、素子分離層900の上面が凸部の上面より低い限り、適当な高さを有している。素子分離層の上面は凸部の上面の下に位置している。一実施形態において、素子分離層の高さは、約5nm以上かつ約135nm以下である。他の実施形態において、素子分離層の高さは、約10nm以上かつ約110nm以下である。さらに他の実施形態において、素子分離層の高さは、約10nm以上かつ約70nm以下である。
【0063】
凸部802の上面は、素子分離層900によって囲まれない。凸部の上面は、素子分離層900の上面上に突き出されている。一実施形態において、突き出された凸部の高さは、約15nm以上かつ約140nm以下である。他の実施形態において、突き出された凸部の高さは、約20nm以上かつ約120nm以下である。さらに他の実施形態において、突き出された凸部の高さは、約30nm以上かつ約90nm以下である。
【0064】
図10は、ゲート電極領域1002内のシリコンフィン上にゲート電極1000を形成することを示している。ゲート電極1000は、シリコンフィン804の長手方向に実質的に直交した方向に形成されることができる。本実施形態ではゲート電極1000は、シリコンフィン804の長辺の真ん中に形成されることができる。ゲート電極1000は、図2に関連して記載された同様の方法で、シリコンフィン804上にHigh−K部と、High−K部上に金属部と、金属部上にポリシリコン部とを含むことが出来る。
【0065】
ゲート電極1000は、適当な方法で形成することができる。例えば、High−K層は、CVDを含む適当な技術によってバルクシリコン基板(例えばシリコンフィン)上に形成される。金属層は、CVDおよびPVD(physical vapor deposition)を含む適当な技術によってHigh−K層上に形成される。ポリシリコン層は、堆積(例えば、CVD等)によってHigh−K層上に形成されることができる。High−K層、金属層、およびポリシリコン層は、第2のパターンマスク層1004を用いてリソグラフィ、およびエッチング技術によってパターン形成される。
【0066】
ゲート電極1000は、組み立てられた電界効果トランジスタの所望の実施例に依存する適当な寸法を有する。一実施形態において、ゲート電極1000の高さは約50nm以上かつ約200nm以下である。他の本実施形態において、ゲート電極1000の高さは約60nm以上かつ約180nm以下である。さらに他の本実施形態において、ゲート電極1000の高さは約70nm以上かつ約150nm以下である。
【0067】
一実施形態において、ゲート電極1000の短辺は、約5nm以上かつ約50nm以下である。他の実施形態において、ゲート電極1000の短辺は、約7nm以上かつ約45nm以下である。さらに他の実施形態において、ゲート電極1000の短辺は、約10nm以上かつ約40nm以下である。一実施形態において、ゲート電極1000の長辺は、約200nm以上かつ約1500nm以下である。他の実施形態において、ゲート電極1000の長辺は、約300nm以上かつ約1300nm以下である。さらに他の実施形態において、ゲート電極1000の長辺は、約400nm以上かつ1200nm以下である。
【0068】
一実施形態において、High−K部の高さは、約0.5nm以上かつ約20nm以下である。他の実施形態において、High−K部の高さは、約0.7nm以上かつ約10nm以下である。さらに他の実施形態において、High−K部の高さは、約1nm以上かつ約8nm以下である。一実施形態において、金属部の高さは、約0.5nm以上かつ約20nm以下である。他の実施形態において、金属部の高さは、約0.7nm以上かつ約10nm以下である。さらに他の実施形態において、金属部の高さは、約1nm以上かつ約8nm以下である。一実施形態において、ポリシリコン部の高さは、約30nm以上かつ約200nm以下である。他の実施形態において、ポリシリコン部の高さは、約40nm以上かつ約180nm以下である。さらに他の実施形態において、ポリシリコン部の高さは、約50nm以上かつ約150nm以下である。
【0069】
図11は、ゲート電極1000の側面に隣接して第1のスペーサ1100を形成することを示している。第1のスペーサ(第1の絶縁スペーサ)1100は、適当な絶縁材料(例えばシリコン酸化物、やシリコン窒化物など)を含むことができる。第1のスペーサ1100は、CVDを含む適当な方法を用いた堆積膜の一部をエッチング除去および/またはエッチバックすることで、形成することが可能である。第1のスペーサ1100は、ゲート電極1000の金属部を覆う。そして、第1のスペーサ1100は、シリコンゲルマニウム部を除去する、後のエッチングプロセス中に、金属層を保護するエッチマスクとして役に立つことができる。
【0070】
図12および13は、シリコンゲルマニウム部804を絶縁部1300に替えることを示している。図12は、シリコンゲルマニウム部804を除去し、それによって、凸部802およびシリコンフィン806間に2個以上の第1の開口部(例えばキャビティ)を形成することを示している。図13は、2個以上の開口部1200において2個以上の絶縁部1300が形成されることを示している。
【0071】
図12に図示するように、2個以上のシリコンゲルマニウム部804はエッチングによって除去され、2個以上の第1の開口部1200が形成される。ゲート電極の金属部(の品質、完全性)は、エッチングによる影響および/またはダメージを受けない。これは、ゲート電極の金属部がHigh−K部、ゲートのポリシリコン部、および/または第1のスペーサ1100によって覆われているためである。金属部は、High−K部、ゲートのポリシリコン部、第1のスペーサ1100によって覆われているため、シリコンゲルマニウムのエッチング中にエッチャントに曝されない。
【0072】
シリコンゲルマニウム部は、シリコンゲルマニウム部と、電界効果トランジスタの他の層/構成要素の完全さに実質的に影響またはダメージを与えない適当な金属エッチャントとが接触することで、除去することが出来る。シリコンゲルマニウム部は、酸性のガス(例えばHClガス)を用いたドライエッチングによって除去することが出来る。金属エッチャントのほかの例は、酸化性のエッチャント溶液を含んでいる。酸化性のエッチャントの例は、例えば、HSO/H、HNO/H、HCl/H、H/NHOH/HO、HPO、HNO、CHCOOHなどを備えている酸性の溶液を含んでいる。
【0073】
図13に示すように、2個以上の絶縁部1300が第1の開口部1200内に形成される。絶縁部1300は、適当な方法(例えば酸化や堆積など)によって形成することができる。例えば、絶縁部は、形成途中のトランジスタの曝された面(例えば、バルクシリコン基板の凸部の上面、およびシリコンフィンの低面)上に絶縁材料を含む一つ以上の膜を、CVDにより堆積し、絶縁層の1部をエッチング除去および/またはエッチバックすることによって形成される。絶縁部がONO構造である場合、第1のシリコン酸化層(図示せず)は形成途中のトランジスタの曝されているある面上に形成され、シリコン窒化層(図示せず)は第1のシリコン酸化層上に形成され、第2のシリコン酸化層(図示せず)は、シリコン窒化層上に形成される。他の実施形態において、絶縁部は低温のPECVD(plasma-enhanced chemical vapor deposition)によって形成されることができる。プラズマ成長酸化物は、スノー酸化物(snow oxide)と呼ばれ得る。絶縁部は、約200℃以上かつ400℃以下の温度で成長するプラズマ成長酸化物を含むことができる。
【0074】
形成途中のトランジスタの露出面上に形成された絶縁層の部分はエッチング(例えば、異方性エッチングを含んでいるドライエッチング)によって除去することができる。異方性ドライエッチングの例は、CHF/Ar/O、CHF/Arなどを含んでいるRIEを含んでいる。前記部分は、エッチングの結果、2個以上のシリコンフィンが露出される適当なコンディション下のエッチングによって除去されることができる。エッチング条件(例えばエッチング終了時間)を最適化および/または制御することで、絶縁層の残る部分の量を制御することができる。図13に示すように、凸部間の絶縁部およびソース/ドレイン領域1302内の絶縁部は残すことができ、その結果、ソース/ドレイン領域内の第2のスペーサ1304が形成される。換言すると、凸部の側面に隣接する絶縁部は、残すことが出来る。凸部の側面に隣接する第2のスペーサは、バルクシリコン基板上に形成されたシリコンフィンおよび凸部間の電気的ショート不良を防止および/または緩和することができる。一実施形態において、隣接トランジスタ部の側面に隣接する絶縁部は残すことができる。図13において、凸部802は第2のスペーサ1304によって覆われ、図示されていない。
【0075】
図14は、S/D抵抗を低減し、および/またはソース/ドレイン領域1302内のシリコンフィンの電気的な接続を行うことができる横方向エピ成長シリコン部1400を形成することを示している。横方向エピ成長シリコン部は、適当な技術で形成することができる。横方向エピ成長シリコン部1400はシリコンエピタキシャル工程によって形成することができるシリコンエピタキシャル工程において、シリコンエピタキシャル層は、シリコンフィンの表面上に形成される。シリコンエピタキシャル層は、少なくとも横方向に成長することが可能である。その結果、シリコンフィンの幅が広がる。シリコンエピタキシャル層は同時に垂直に成長することが出来る。シリコンエピタキシャル成長は、例えばソースガスとしてSiHCl、SiCl、キャリアガスとしてHとを用い、800℃のような高温条件下で行われることができる。横方向エピ成長シリコン部は、シリコンフィンと、凸部とを電気的に接続しない。横方向エピ成長シリコン部は、ゲート領域において、シリコンフィン間を電気的に接続しない。
図15は、第2のスペーサの側面、絶縁部、ゲート電極、またはそれらの組み合わせに隣接する第3のスペーサ1500の追加の形成を示している。第3のスペーサ1500は、適当な絶縁材料(例えば、シリコン酸化物、シリコン窒化物など)を含むことができる。第3のスペーサ1500は、CVDを含む適当な方法によって堆積した膜の1部をエッチング除去および/またはエッチバックすることによって形成することができる。
【0076】
図15に示していないが、ソース/ドレイン部は、図2(b)に関連して記載した方法と同様に、ソース/ドレイン領域内の2個以上のシリコンフィン内および横方向エピ成長シリコン部内に形成される。適当なイオン注入材料や濃度を、ソース/ドレイン部に用いることができる。例えば、ソース/ドレイン部は、1種以上のp型ドーパント(例えばボロン)、またはn型ドーパント(例えば砒素)を含んでいる。
ソース/ドレイン部は、適当な方法で形成することが可能である。ソース/ドレイン部は、1種以上のドーパントのイオン注入によって形成することができる。ソース/ドレイン部は、比較的高いエネルギーレベルおよび/または比較的高いドーパントの注入によって形成することができる。一実施形態において、ソース/ドレイン部は、約2KeV以上かつ約15KeV以下のエネルギーレベル、および約5×1014atoms/cm以上かつ約5×1015atoms/cm以下のドーズで形成される。
【0077】
図15に示していないが、金属シリサイドは、横方向エピ成長シリコン部の上に形成されることができる。金属シリサイドは、ゲート電極のポリシリコン部の上面上に形成されることができる。金属シリサイドは、横方向エピ成長シリコン部1400および/またはゲート電極のポリシリコン部のシリコンと、トランジスタ上に形成された金属層との化学反応によって形成することができる。
図示していないが、金属層は、トランジスタ上に形成される。金属層は、後の工程において、金属シリサイドに変えることができる適当な金属化合物を含むことができる。金属の例は、タングステン、タンタル、モリブデンなど、およびプラチナ、パラジウム、コバルト、ニッケルなどの周期表の8族の金属などの耐熱性の金属を含んでいる。金属層は、後の熱処理において、横方向エピ成長シリコンおよび/またはゲート電極のポリシリコン部の下地シリコンと反応し金属シリサイドを形成する事ができる。金属層は、例えばCVD、PVDなどの適当な方法によって形成されることができる。金属層は、例えば後の工程において形成される金属シリサイドの望ましい膜厚に依存した適当な膜厚を有している。
金属層は、熱処理によってトランジスタの構成要素である下地シリコンとの間に化学反応を引き起こし、金属シリサイドに変わることができる。シリサイド工程の間、金属層の金属は、トランジスタの構成要素である下地シリコン内に拡散することができ、そこに金属シリサイドを形成することができる。結果として、金属シリサイドは、電界効果トランジスタ上に選択的に形成される。(例えば、横方向エピ成長シリコン部および/またはゲート電極の上面)
金属シリサイドは、例えば所望の実施形態および/または形成された電界効果トランジスタに依存した適当な高さを有することができる。一実施形態において、金属シリサイドは約5nm以上かつ約30nm以下の高さを有している。他の実施形態において、金属シリサイドは約10nm以上かつ約25nm以下の高さを有している。
【0078】
シリサイド工程の適当な条件およびパラメータ(例えば、温度、熱処理時間など)の選択は、例えば金属シリサイドの望ましい寸法(例えば、高さ)、金属層および/または下地シリコンの構造および/または組成、所望の実施形態および/または形成される電界効果トランジスタの構造などに依存する。例えば、金属シリサイドは、RTA(rapid thermal annealing)によって形成される。
【0079】
例えばサイドスペーサおよびSTIs(shallow trench isolations)上の金属層の部分はシリコンと反応を起こしていないため、金属のままであり、例えばエッチングによって金属部分のみを選択的に除去することができる。金属層の未反応部分は、、金属シリサイドに実質的に影響またはダメージを与えない適当な金属エッチャントを用いることにより除去することができる。金属エッチャントの例は、酸化性のエッチャント溶液を含んでいる。酸化性のエッチャントの例は、例えば、HSO/H、HNO/H、HCl/H、H/NHOH/HO、HPO、HNO、CHCOOHなどを備えている酸性の溶液を含んでいる。他の金属エッチャントも、電界効果トランジスタの他の構成要素やシリサイド層と選択的に金属層の未反応部分を除去できる限りは使用することが可能である。
【0080】
図示していないが、マルチゲートMOSトランジスタの形成の他の実施形態において、第1のパターンマスク層は除去されない。マルチゲートMOSトランジスタは、第1のパターンマスク層708を除去しないことを除いて、図7〜図15に関連して記載された方法と同様に形成することができる。マスク層708は、図3(a)、3(b)に関連して記載した方法と同様に、結果としてマルチゲートMOSトランジスタに残る。
【0081】
図16〜図20は、第1のゲート電極を第2のゲート電極に替えることを示している。第1のゲート電極は、ダミーゲート電極として呼ばれ得る。図16は、他の例のマルチゲートMOSトランジスタ1600の一部の製造途中の断面図を示している。マルチゲートMOSトランジスタは、素子分離領域1604間に2以上の凸部(図示せず)を具備するバルクシリコン基板1602と、凸部上の2以上の絶縁部1606と、絶縁部1606上の2以上のシリコンフィン1608と、素子分離領域1604内の素子分離層1610と、ゲート電極領域1614内の第1のゲート電極1612と、シリコン酸化層(例えばSiO層)1704上の第1のポリシリコン部1706と、ゲート電極の側面に隣接した第1のスペーサ1616と、図13に関連して記載した方法と同様に、ソース/ドレイン領域1620内の凸部の側面に隣接する第2のスペーサ1618とを含むことができる。第1のゲート電極(例えば、ダミーゲート)は、シリコン酸化層(例えばSiO層)と、シリコン酸化層上のポリシリコン部とを含むことができる。バルクシリコン基板の凸部、および絶縁部の部分は、第2のスペーサで覆われているが、図示していない。
【0082】
ゲート交換工程が行われる際、第1のゲート電極はダミーであり、後で第2のゲート電極に交換されるので、第1のゲート電極はHigh−K部、金属部、を含む必要がない。ゲート交換工程は、適当なタイミング(製造工程中の適当な場所)で行うことができる。第2ゲート電極は、シリコンフィンの側面に隣接する横方向エピ成長シリコンおよびシリサイドを形成した後、層間絶縁膜を堆積し、平坦化し、第1のゲート電極(例えば、ダミーゲート)の上面を露出させた後、第1のゲート電極を第2のゲート電極に置き換えることによって形成することができる。
【0083】
図17は、図16のX5−X5線に沿った電界効果トランジスタ1600の一部の断面図である。X5−X5線は、シリコンフィンの長辺に沿ってシリコンフィン1608の中間を通って引かれている。図17は、バルクシリコン基板上に層間プリメタル絶縁層1700を形成することを示している。図17は、バルクシリコン基板の凸部1702と、2個以上のシリコンフィン1608上のシリコン酸化層1704、およびシリコン酸化層1704上の第1のポリシリコン部1706を具備している第1のゲート電極1612とを図示している。シリコン酸化層1704は、例えば約3nm程度の適当な高さを有している。第1のポリシリコン部1706は、例えば約100nm程度の適当な高さを有している。
【0084】
層間プリメタル絶縁層1700の上面は、第1のゲート電極の第1のポリシリコン部の上面と実質的に同一平面である。換言すると、第1のポリシリコン部の上面は露出される。しかし、シリコンフィンは、プリメタル絶縁層に覆われ、露出されない。
プリメタル絶縁層は、適当な絶縁材料を含むことができる。絶縁材料の例は、シリコン酸化物(例えばSi、およびSiO)のような酸化物と、シリコン窒化物(例えば、Si、シリコンリッチのシリコン窒化物、窒素リッチのシリコン窒化物)のような窒化物とを含んでいる。プリメタル絶縁層は、典型的にシリコン酸化物を含んでいる。プリメタル絶縁層は、例えば堆積(例えば、CVD、スピンオン技術など)およびCMP、および/またはエッチング技術によって適当な方法によって形成することができる。プリメタル絶縁層がCMPを用いて形成される際、第1のスペーサはCMP工程のCMPストッパとなることができる。
【0085】
図18は、第1のゲート電極1612を除去することで第2の開口部1800を形成することを示している。第2のゲート電極は、後の工程において第2の開口部1800内に形成される。第1のゲート電極は、例えばエッチングなどの適当な方法によって除去することができる。第1のゲート電極が第1のポリシリコン部1706およびシリコン酸化層1704を備えているため、第1のゲート電極は、ポリシリコンエッチャントおよびシリコン酸化物のためのエッチャントを含む適当なエッチャントを用いて除去することができる。ポリシリコンエッチャントの例は、TMAH、アルカリ金属水酸化物(例えば、KOH(potassium hydroxide)およびCeOH(cerium hydroxide))などを含んでいる。
【0086】
図19は、第2の開口部1800上のHigh−K層1900と、High−K層1900上の金属層1902と、金属層1902上の別の金属層1904とを形成することを示している。この三層は、ゲート領域内のシリコンフィンの上面上と、第1のスペーサの側面上と、プリメタル絶縁層の上面上とに形成される。金属層1902はゲートの仕事関数を定義する層であり、金属層1904はゲート溝1800を埋め込み、低抵抗ゲート電極を形成するための金属層である。
【0087】
図20は、第2のゲート電極2000を形成することを示している。第2のゲート電極2000は、第2の開口部1800内の第2のHigh−K部2002と、第2の金属部2004と、第3の金属部2006とを含んでいる適当なゲート電極材料を含むことができる。第2のゲート電極は、プリメタル絶縁層上のHigh−K層、金属層を除去することによって形成される。第2のゲート電極の上面は第1のスペーサの上面と同一平面であることができる。不要なHigh−K層、金属層の部分は、CMPおよび/またはエッチングで除去することができる。
【0088】
図21は、他の例のマルチゲートMOSトランジスタ2100の一部の製造途中の断面図を示している。マルチゲートMOSトランジスタは、素子分離領域2106間に2個以上の凸部2104を具備するバルクシリコン基板2102と、凸部上の2個以上のシリコンゲルマニウム部2108と、図8に関連して記載した方法と同様に、シリコンゲルマニウム部2108上の2個以上のシリコンフィン2110とを含むことができる。凸部、シリコンゲルマニウム部、およびシリコンフィンは、エッチマスクとしてパターンマスク層2112を用いたエッチングによって形成することができる。1個以上の隣接トランジスタ部2114は、トランジスタ2100に隣接して配置することができる。
【0089】
図22は、素子分離領域2106内に素子分離層2200を形成することを示している。素子分離層2200は、図9に関連する記載と同様の方法で形成することができる。素子分離層2200は、素子分離層2200の上面がシリコンゲルマニウム部の底面および上面間に位置する限り適当な高さを有している。素子分離層2200の高さは、凸部の高さよりも高い。素子分離層2200の高さがシリコンゲルマニウム部の底面および上面間に位置しているので、シリコンゲルマニウム部の底面は、素子分離層2200によって囲まれ、シリコンゲルマニウム部の上面は、素子分離層2200の上面上に突出している。
【0090】
一実施形態において、素子分離層2200の高さは、約15nm以上かつ約140nm以下である。他の実施形態において、素子分離層2200の高さは、約15nm以上かつ約120nm以下である。さらに他の実施形態において、素子分離層2200の高さは、約15nm以上かつ約90nm以下である。
【0091】
図23は、ゲート電極領域2302内のシリコンフィン上にゲート電極2300を形成することを示している。ゲート電極2300は、図10に関連する記載と同様にして形成することができる。ゲート電極2300は、図5(a)に関連する記載と同様にしてシリコンフィン上のHigh−K部と、High−K部上の金属部と、金属部上のポリシリコン部とを含むことができる。ゲート電極2300は、CVDを含む適当な方法によってバルクシリコン基板(例えばシリコンフィン)上にHigh−K層が形成されることと、CVDやPVD(physical vapor deposition)を含む適当な方法によって、High−K層上に金属層が形成されることと、堆積(例えば、CVD、スピンオン法など)によって、High−K層上にポリシリコン層を形成することと、次に、リソグラフィと、第2のパターンマスク層2304を用いたエッチング法によって、High−K層、金属層、およびポリシリコン層をパターニングすることによって形成することができる。
【0092】
図24は、ゲート電極2300の側面に隣接する第1のスペーサ2400を形成することを示している。第1のスペーサ2400は、適当な絶縁材料(例えば、シリコン酸化物、シリコン窒化物、など)を含むことができる。第1のスペーサは、図11に関連する記載と同様の方法で形成することができる。
【0093】
図25および26は、シリコンゲルマニウム部2108を絶縁部に交換することを示している。図25は、シリコンゲルマニウム部を除去することで、凸部およびシリコンフィン間に2個以上の第1の開口部(例えばキャビティ)2500を形成することを示している。図26は、2以上の開口部内に2個以上の絶縁部2600を形成することを示している。
【0094】
図25に示すように、シリコンゲルマニウム部2108は、図12に関連して記載した同様の方法のエッチングにより除去することができる。ゲート電極の金属部の完全性はエッチングによって悪影響および/またはダメージをうけない。これは、ゲート電極の金属部が、High−K部、ゲートポリシリコン部、および第1のスペーサ2400に覆われているためである。金属部は、シリコンゲルマニウムのエッチング時に、エッチャントに曝されない。
【0095】
図26に示すように、2個以上の絶縁部2600は、第1の開口部2500内に形成される。絶縁部2600は、図13に関連して記載された同様の方法において適当な方法で形成することができる。本例において、スペーサは、凸部が素子分離層2200によって囲まれているため、凸部2104の側面に隣接して形成されない。素子分離層2200は、バルクシリコン基板上のシリコンフィンおよび凸部間の電気的ショート不良を防止することができる。
【0096】
図示していないが、絶縁部を形成した後、エピ成長シリコン部は、図14に記載した同様の方法において形成することができる。第3のスペーサ、ソース/ドレイン部、および/または金属シリサイドは、図15に関連して記載した同様の方法において追加で形成することができる。
【0097】
図示していないが、マルチゲートMOSトランジスタの形成の他の実施形態において、ゲート電極2300は、絶縁部の形成の後、第2のゲート電極と交換される。図16〜図20に関連して記載された同様の方法において、ゲート電極を除去することができ、第2のゲート電極を形成することができる。
【0098】
図示していないが、マルチゲートMOSトランジスタの形成の他の実施形態において、第1のパターンマスク層2112は除去されない。マルチゲートMOSトランジスタは、第1のパターンマスク2112が除去されないということを除いて、図21〜図26に関連して記載した同様の方法において形成することができる。マスク層2112は、結果的に図6(a)および6(b)に関連して記載した同様の方法でマルチゲートMOSトランジスタに残る。
【0099】
図27は、マルチゲートMOSトランジスタの形成の方法の一例2700を示している。2702において、シリコンゲルマニウム層はバルクシリコン基板上に形成され、シリコン層はシリコンゲルマニウム層上に形成される。2704において、素子分離領域は、バルクシリコン基板内に形成され、これにより、素子分離領域間に、バルクシリコン基板の2以上の凸部、凸部上の2以上のシリコンゲルマニウム部、シリコンゲルマニウム部上の2以上のシリコンフィンが形成される。2706において、素子分離領域内に素子分離層が形成される。素子分離層の上面は、凸部の上面の下に配置される。2708において、第1のゲート電極は、シリコンフィン上に形成される。第1のゲート電極は、シリコンフィン上の第1のHigh−K部と、第1のHigh−K部上の第1の金属部と、第1の金属部上の第1のポリシリコン部とを有している。2710において、第1のスペーサは、第1のゲート電極の側面に隣接して形成される。2712において、シリコンゲルマニウム部は、絶縁部と交換される。2714において、第2のスペーサは、凸部の側面に隣接して形成される。2716において、横方向エピ成長シリコンは、ソース/ドレイン領域内に形成される。
【0100】
図28は、マルチゲートMOSトランジスタの形成の他の方法の一例2800を示している。2802において、バルク半導体層上にシリコンゲルマニウム層が形成され、シリコンゲルマニウム層上にシリコン層が形成される。2804において、バルクシリコン基板内に素子分離領域が形成され、これにより、素子分離領域間に、バルクシリコン基板の2以上の凸部、凸部上の2以上のシリコンゲルマニウム部、シリコンゲルマニウム部上の2以上のシリコンフィンが形成される。2806において、素子分離領域内に素子分離層が形成される。素子分離層の上面は、シリコンゲルマニウム部の底面および上面間に配置される。2808において、第1のゲート電極はシリコンフィン上に形成される。第1のゲート電極は、シリコンフィン上の第1のHigh−K部と、第1のHigh−K部上の第1の金属部と、第1の金属部上の第1のポリシリコンとを含んでいる。2810において、2以上のシリコンゲルマニウム部は、2以上の絶縁部に交換される。2812において、ソース/ドレイン領域内に横方向エピ成長シリコン部が形成される。
【0101】
図27および図28に示していないが、シリコンゲルマニウム部と絶縁部を交換する際、ゲート電極の金属部は、第1のスペーサとHigh−K部によって覆うことができる。シリコンゲルマニウム部と絶縁部を交換する際、ゲート電極の金属部の側面は、第1のスペーサで覆うことができる。この方法は、第1のゲート電極を第2のゲート電極に交換することをさらに含むことができる。第1のゲート電極と第2のゲート電極とを交換することは、第1の電極を除去することと、ゲート領域内のシリコンフィン上に第2のHigh−K部と、第2のHigh−K部上の第2の金属部と、第2の金属部上の第3の金属部とを形成することとを含んでいる。
【0102】
図示していないが、本実施形態は、マルチゲートMOSトランジスタおよび他のタイプのトランジスタを含むハイブリッドロジック回路を提供することができる。例えば、ハイブリッドロジック回路は、ダブルまたはトライゲートフィンFETおよびプレーナMOSFETを含んでいる。ハイブリッドロジック回路において、ダブルまたはトライゲートフィンFETの素子分離領域の深さは、プレーナMOSFETの深さより浅くてもよい。
【0103】
上述したことは、開示した発明の例を含んでいる。勿論、開示した発明の記載の目的のための構成要素及び方法の全ての考えうる組み合わせを書く事は不可能である。しかし、図の中の一般的な技術は、開示された発明の更なる組み合わせ及び入れ替えが可能であると認識できる。したがって、開示された発明は、添付された請求項の精神及び目的の中に含まれる変形、改良及び変化のような全ての変更を包含するつもりである。さらに、詳細な説明または請求項で使われている、含む、有する、持つ、またはこれらの系統の用語は、備えるという用語が、転換語としてクレームにて記載された場合と類似の解釈を含む。
【0104】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施することが可能である。さらに、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示された構成要件を適宜組み合わせることによって種々の発明が抽出される。例えば、開示された構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、所定の効果が得られるものであれば、発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0105】
100、300、400、600…MOSトランジスタ、
102、302、402、602、…ゲート電極、
104、304、404、604…ソース/ドレイン領域、
106、306、406、606…半導体基板、
108、308、408、608…凸部、 110、310、610…素子分離領域、 112、312、412、612…絶縁部、
114、314、414、614…シリコンフィン、
116、318、416、618…素子分離層、
118、328、418、628…横方向エピ成長シリコン部、
120、320、420、620…ゲート電極、
122、322、422、622…High−K部、
124、324、424、624…金属部、
126、326、426、626…ポリシリコン部、
128、428…第1のスペーサ、 130、330…第2のスペーサ、
132、332、430、630…シリコンフィン、
134、432…トランジスタ、 316、616…マスク部、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
素子分離領域間の凸部を含むシリコン基板と、
前記凸部上の絶縁部と、
前記絶縁部上のシリコンフィンと、
上面が前記凸部の上面よりも低く位置する前記素子分離領域内の素子分離層と、
前記シリコンフィンに設けられたソース/ドレイン領域と、
前記ソース/ドレイン領域の前記シリコンフィンの側面から外側に突き出た横方向エピ成長シリコン部と、
ゲート電極領域内のゲート絶縁層を介して前記シリコンフィン上に設けられるゲート電極と、
前記ゲート電極の側面に隣接する第1のスペーサと、
前記ソース/ドレイン領域内の前記凸部の側面を覆う第2のスペーサと
を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記横方向エピ成長シリコン部は、前記第1のスペーサまたは前記第2のスペーサに接触していることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
素子分離領域間の凸部を含むシリコン基板と、
前記凸部上の絶縁部と、
前記絶縁部上のシリコンフィンと、
上面が前記絶縁部の底面および上面間に位置する前記素子分離領域内の素子分離層と、
前記シリコンフィンに設けられたソース/ドレイン領域と、
前記ソース/ドレイン領域の前記シリコンフィンから外側に突き出た横方向エピ成長シリコン部と、
ゲート電極領域内のゲート絶縁層を介して前記シリコンフィン上に設けられるゲート電極と、
前記ゲート電極の側面に隣接する第1のスペーサと、
を備え、
前記素子分離層は、前記ソース/ドレイン領域内の前記凸部の側面を覆う
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
前記横方向エピ成長シリコン部は、前記第1のスペーサまたは前記素子分離層に接触していることを特徴とする請求項3記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2のスペーサは、前記凸部、および前記絶縁部の側面に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2011−129872(P2011−129872A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−199251(P2010−199251)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】