説明

惰性運転における車両駆動ユニットの運転方法および装置

【課題】惰性運転において燃料消費量を低減させる、車両駆動ユニットの運転方法および装置を提供する。
【解決手段】駆動ユニット(180)の惰性運転において、駆動ユニット(180)の出力変数が事前設定走行方式により設定される、車両駆動ユニット(180)の運転方法において、駆動ユニット(180)の惰性運転に対して少なくとも2つの事前設定走行方式が設定され、惰性運転において、事前設定走行方式のいずれかが走行状況の関数として選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両駆動ユニットの運転方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
駆動ユニットの出力変数、例えばエンジン回転速度またはトルクが設定される、車両駆動ユニットの運転方法および装置が既知である。内燃機関を有する車両においては、例えば内燃機関への給気量が調節要素を介して設定される。この場合、調節要素として通常絞り弁が使用される。
【0003】
最新のオットー・サイクル・エンジンにおいては、消費量を節約するために、惰性運転において可能なかぎり燃料の噴射が遮断される。この場合、絞り弁は閉鎖されている。したがって、内燃機関の高いブレーキ・トルクいわゆるエンジン・ブレーキが得られる。高いエンジン・ブレーキ・トルクにより、車両は、惰性運転において著しく速度が落ちていく。特定の走行状況において、これは好ましくないことがあり、且つドライバは短時間後に惰性運転を再び中止させなければならない。ここで絞り弁が開放された場合、明らかにより少ないエンジン・ブレーキ・トルクが得られ且つ車両はより長く惰行運転で運転されるであろう。
【0004】
高いエンジン回転速度においてドライバが加速ペダルを放した場合、エンジンは通常いわゆる惰性燃料遮断、即ち惰性運転に移行し、惰性運転においては、燃料はもはや噴射されない。しかしながら、エンジン回転速度が所定のしきい値以下に低下した場合、または例えば触媒保護機能が惰性燃料遮断を禁止した場合、燃料噴射が再開され、これによりトルク発生が行われる。この場合、これは燃焼惰性運転と呼ばれる。これは種々の根拠を有している。
1.エンジン回転速度がさらに急速に低下したとき、所定のアイドル回転速度を下回った場合に、十分にトルクを急速に構成できないので、エンジンが失速する危険性が存在するであろう。
2.アイドル運転においては、例えば摩擦または付属機器の運転により発生する損失トルクを補償するために、エンジンは必要な十分なトルクを直ちに発生しなければならない。エンジン回転速度が所定のアイドル回転速度よりも僅かでも超えているときには、トルクが急激に0まで低下することはなく、その理由は、他の場合にはアイドリング制御装置が不安定となるからである。
3.ドライバが加速ペダルを放したとき、これは、ドライバができるだけ急速に停止したいことを意味することがある。この場合には、エンジンおよび制御技術の境界条件を考慮して、できるだけ少ないトルクが設定されることが好ましいであろう。しかしながら、これは、車両がまだ有している運動量でドライバができるだけ長い間転がり走行し続けたいことを意味していることもある。この場合には、燃焼される燃料ができるだけ最適の効率で運動エネルギーに変換されることが望ましいであろう。上昇された空気量および燃料量を燃焼することが好ましいことさえある。
【0005】
燃焼惰性運転が存在するとき、全ての場合に対して、車両適用データにより、いずれの充填量およびいずれの点火角効率が設定されるかが統一的に決定されている。これは異なる走行状況においては最適ではない。
【0006】
例えば、赤信号のためにドライバが停止したいことがある。良好な転がり走行特性で設計された適用により、この場合に不必要なトルクが発生され、これは直ちに増幅されたブレーキを介して再び補償される。これは不必要に燃料を消費させ且つ同時にブレーキ摩耗を上昇させる。または、ドライバが車両の運動量をできるだけ長い間転がり走行に利用したいことがある。しかしながら、燃焼惰性運転が最小トルクで設計されているとき、点火角はできるだけ遅い値にシフトされ、即ち混合物は悪い効率で燃焼される。ドライバは、これにより上昇された減速を、ドライバが再び早めにペダルを踏むことにより補償しなければならず、これは同様に消費量を上昇するように作用する。
【発明の開示】
【0007】
本発明による車両駆動ユニットの運転方法および運転装置は、従来技術に比較して、駆動ユニットの惰性運転に対して少なくとも2つの事前設定走行方式が設定され、惰性運転において事前設定走行方式のいずれかが走行状況の関数として選択されるという利点を有している。このようにして、駆動ユニットの惰性運転に対して、例えばできるだけ少ない燃料消費量を達成するために、実際の走行状況に最も適している走行方式が選択可能である。
【0008】
本発明の方法の有利な改良および改善が可能である。
出力変数が駆動ユニットの少なくとも1つの操作変数によって設定され、且つ少なくとも1つの操作変数が選択走行方式の関数として設定されるとき、選択走行方式が、特に簡単に変換可能である。
【0009】
内燃機関が使用される場合、操作変数として、特に、駆動ユニットの内燃機関への給気量、点火角、内燃機関への燃料供給量および変速比が適している。
第1の走行状況が存在した場合、給気量が低下され、および/または点火角が遅れ方向に調節され、および/または燃料供給量が低下され、および/または変速比が低下される第1の走行方式が選択されるとき、および第2の走行状況が存在した場合、給気量が上昇され、および/または点火角が進み方向に調節され、および/または燃料供給量が上昇され、および/または変速比が上昇される第2の走行方式が選択されるとき、それは特に有利である。このようにして、第1の走行方式により、車両の減速運転モードのために駆動ユニットの出力変数が低下可能であり、且つ第2の走行方式により、車両の転がり走行運転モードを形成するために駆動ユニットの出力変数が保持可能またはむしろ上昇可能である。
【0010】
走行状況が、操作要素の操作から導かれた変数または駆動ユニットの出力変数に対する設定から導かれた変数の勾配の評価により決定され、勾配が所定のしきい値を下回っているときに第1の走行状況が検出され、勾配が所定のしきい値を超えているときに第2の走行状況が検出されるとき、それは特に有利である。このようにして、走行状況が、特に確実にドライバの希望により決定可能である。
【0011】
設定されるべき給気量、および/または設定されるべき点火角、および/または設定されるべき燃料供給量、および/または設定されるべき変速比が、操作要素の操作から導かれた変数または駆動ユニットの出力変数に対する設定から導かれた変数の勾配の関数として、それぞれ1つの特性曲線またはそれぞれ1つの特性曲線群により決定されるとき、他の利点が得られる。このようにして、走行状況の関数として、1つの操作変数が設定可能であるか、ないしは複数の操作変数が異なって設定可能である。
【0012】
走行状況がブレーキ・ペダルの操作の評価により決定され、ブレーキ・ペダルが踏み込まれているときに第1の走行状況が検出され、ブレーキ・ペダルが放されているときに第2の走行状況が検出されるとき、他の利点が得られる。このようにして、走行状況が同様に、特に確実且つ簡単に決定可能である。
【0013】
走行状況が水平面に対する車両の傾斜に関する情報の評価により決定され、傾斜の絶対値が所定のしきい値を超えているときに第1の走行状況が検出され、傾斜の絶対値が所定のしきい値を下回っているときに第2の走行状況が検出されるとき、他の利点が得られる。このようにして、走行状況がドライバの希望とは独立に決定可能である。
【0014】
走行状況が、走行速度、または先行車両、または走行路面上の検出障害物、または交通案内の評価により決定されることにより、走行状況の決定の信頼性が向上可能である。走行状況のこの決定もまた、ドライバの希望とは独立している。さらに、所定の時間内に変速機の戻り切換が検出されたときに第1の走行状況が検出され、且つ他の場合に第2の走行状況が検出されることにより、走行状況の決定における信頼性が向上可能である。自動変速機の場合、自動変速機において選択レバーまたはこれに対応する操作要素が「Dorive(駆動)」ないしは「D」と異なる位置にあるときに第1の走行状況が検出され、および他の場合に第2の走行状況が検出されることにより、走行状況の決定における信頼性が向上可能である。さらに、車両または駆動ユニットの安全に関係する構成要素にエラーが検出された場合、給気量が低下され、および/または点火角が遅れ方向にシフトされ、および/または燃料供給量が低下され、および/または変速比が低下されるとき、それは有利である。このようにして、車両のエラーを有する運転および安全上危険な運転が回避されることが保証される。
【0015】
第1の走行状況または第2の走行状況が存在する確率が、対応の走行状況を検出するためのいずれの1つの条件またはいずれの複数の条件が存在するかの関数として決定され、且つそれらが存在する対応確率が所定のしきい値を超えているときにのみ第1の走行状況または第2の走行状況が検出されるとき、他の利点が得られる。このようにして、1つまたは複数の前記条件による走行状況の決定において、実際に存在する走行状況に関するこのような条件の誤った解釈が発生可能であることが考慮される。この場合、第1の走行状況または第2の走行状況の存在に対する確率を考慮して、第1の走行方式および第2の走行方式の間の妥協としての1つまたは複数の走行方式もまた形成可能である。これは、使用される走行方式を実際走行状況に細かく適合させることを可能にする。
【0016】
さらに、第1の走行状況を選択したときに出力変数に対して最小値が設定されるとき、それは有利である。このようにして、希望の減速モードが、特に簡単且つ確実に形成可能である。
【0017】
さらに、第1の走行方式により駆動ユニットの出力変数が低下され、第2の走行方式により駆動ユニットの出力変数が保持または上昇されるとき、それは有利である。このようにして、車両の減速モードに対する第1の走行方式および車両の転がり走行モードに対する第2の走行方式が、特に簡単に使用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1において、180は車両の駆動ユニットを示す。駆動ユニット180は内燃機関1を含み、内燃機関1は、例えばオットー・サイクル・エンジンとして形成されていてもまたはディーゼル・エンジンとして形成されていてもよい。以下においては、例として、内燃機関1は、オットー・サイクル・エンジンとして形成されているものと仮定される。内燃機関1は1つまたは複数のシリンダ40を含み、シリンダ40の燃焼室に給気管35を介して燃焼空気が供給される。給気管35内に調節要素5が配置され、調節要素5は、この例においては電子制御の絞り弁として形成されているものであり且つその開度はエンジン制御装置25により設定される。このようにして、シリンダ充填量は、絞り弁5の開度の関数として設定ないしは調節可能である。図1に示されているように、燃料が個々のシリンダ40内に直接噴射される場合、燃料は、対応のシリンダの燃焼室内に直接それぞれの噴射弁45を介して噴射され、この場合、噴射量および噴射時間は、同様にエンジン制御装置25により設定される。代替態様として、燃料の噴射が、吸気管と呼ばれる給気管35の区間、即ち、絞り弁5と、図を見やすくするために図1には示されていないシリンダ40の給気弁との間の給気管35の区間内に行われてもよい。シリンダ40の燃焼室内に形成された空気/燃料混合物は、それぞれの点火プラグ50を介してシリンダ40ごとに点火され、この場合、点火プラグ50は、その点火時期に関して同様にエンジン制御装置25により操作される。空気/燃料混合物の燃焼において発生する排気ガスは、排気系55を介して排出される。シリンダ40の範囲内に回転速度センサ60が配置され、回転速度センサ60は、当業者に既知のように内燃機関1の回転速度を測定し且つ測定値をエンジン制御装置25に伝送する。さらに、速度センサ65が設けられ、速度センサ65は、当業者に既知のように、車両の走行速度を測定し且つ測定値をエンジン制御装置25に伝送する。さらに、図1に示すように傾斜センサ70が設けられ、傾斜センサ70は、当業者に既知のように、水平面に対する車両の傾斜を測定し且つ測定値をエンジン制御装置25に伝送する。さらに、操作要素、この例においては加速ペダルが設けられ、操作要素の操作度またはペダル角が加速ペダル・モジュール10により測定され且つ同様にエンジン制御装置25に伝送される。さらに、ブレーキ・ペダルが設けられ、ブレーキ・ペダルの操作度がブレーキ・ペダル・モジュール20により測定され且つ同様にエンジン制御装置25に伝送される。オプションとして、図1に示されているように、さらに、エンジン制御装置25は、ナビゲーション・ユニット95から情報を受け取るように設計されていてもよい。さらに、エンジン制御装置25は、オプションとして、図1に示されているように、走行速度制御装置165、特に適応走行速度制御装置と結合されていてもよい。さらに、エンジン制御装置25に、オプションとして、図1に示されているように、画像処理ユニット170の信号が供給されてもよい。内燃機関1の出力変数、特にトルクまたは出力は、変速比ueを有する変速機199を介して、図1には示されていない車両の駆動車輪に伝送される。以下においては、例として、内燃機関の出力変数はトルクmiであると仮定される。変速機199は、図1に示すように、変速機制御装置175により当業者に既知のように制御され、この場合、変速機制御装置175は、例えばCANバスとして形成されているインタフェース196を介してエンジン制御装置25と信号を交換する。
【0019】
ここで、本発明により、車両駆動ユニット180の惰性運転において、高いエンジン・ブレーキ・トルクないしは低いエンジン・ブレーキ・トルクが希望される走行状況が区別されるように設計されている。一般に、惰性運転に対してエンジン制御装置25内に少なくとも2つの事前設定走行方式が設けられ、この場合、惰性運転においては、加速ペダルを放した後の実際の走行状況の関数として、これらの事前設定走行方式の1つが変換のために選択される。次に、検出走行状況の関数として、それに対応してこの走行状況に対して設定された走行方式がエンジン制御装置25により選択且つ変換される。
【0020】
本発明により、推定されたドライバの希望を考慮して、車両の最小トルク、即ち最適減速、良好な転がり走行特性および低燃料消費の間でできるだけ最適決定をするように設計されている。このために、エンジン制御装置25は、図5にブロック回路図で示されているように、確率決定手段197を含み、確率決定手段197に入力変数194が供給されている。ここで、これらの入力変数194は、図1のエンジン制御装置25に、回転速度センサ60から、加速ペダル・モジュール10から、ブレーキ・ペダル・モジュール20から、変速機制御装置175から、速度センサ65から、傾斜センサ70から、ナビゲーション・ユニット95から、適応走行速度制御装置165から、および/または画像処理ユニット170から供給される信号である。これらの変数から、確率決定手段197は、後に詳細に説明されるように、確率値Wを決定し、確率値Wは、選択手段195に伝送される。選択手段195はさらに設定手段190と結合され、設定手段190内に、確率値Wに対するそれぞれ1つの範囲に割り当てられた所定の事前設定走行方式が記憶されている。選択手段195がいずれの確率値Wを受け取ったかに応じてそれぞれ、選択手段195は、この確率値Wに割り当てられている所定の走行方式を、設定手段190から選択し且つそれを設定手段185に伝送する。次に、設定手段185は、操作変数193により選択走行方式を変換する。操作変数は、内燃機関1への給気量であっても、点火角であっても、内燃機関1への燃料供給量であっても、および/または変速比であってもよい。この場合、給気量は絞り弁5により、点火角は点火プラグ50により、燃料供給量は噴射弁45により、および変速比は変速機制御装置175により、当業者に既知のように変換される。
【0021】
以下においては、例として、惰性運転に対して2つの所定の事前設定走行方式の間で選択可能であると仮定されるものとする。一方で、これは、車両がそれにより減速されるべきである第1の走行方式であり、他方で、これは、できるだけブレーキ作用なしに車両の転がり走行が希望されている第2の走行方式である。
【0022】
いわゆる燃焼惰性運転においては、加速ペダルは放され、車両は転がり走行するが、惰性燃料遮断、即ち燃料供給遮断は許されない。その理由は、例えばエンジン回転速度が低くなりすぎるため、または図1には示されていない排気系55内の触媒の保護または加熱のため、能動的診断機能のため等からである。加速ペダルおよび/またはブレーキ・ペダルのような車両の操作要素の位置から、または例えば、回転速度センサ60から、変速機制御175から、速度センサ65から、傾斜センサ70から、適応走行速度制御装置165から、ナビゲーション・ユニット95から、および/または画像処理ユニット170から供給可能なその他の車両情報から、加速ペダルが放され且つ車両が転がり走行しているとき、確率決定手段197により確率値Wが決定され、この場合、第1の走行方式が選択されるべき確率、即ちドライバの停止希望が存在する確率が高いか、またはできるだけブレーキ作用なしに車両の転がり走行が希望されている確率が高いかが決定される。
【0023】
車両をできるだけ停止させるために、車両ができるだけ減速されるべき第1の走行方式を選択手段195が選択した場合、絞り弁5の対応の操作により、できるだけ低い、内燃機関1に供給されるべき給気量が設定され、この給気量は、燃焼技術的に可能な最小値と、駆動ユニット180のアイドリング制御の安定性基準と、並びに場合によりアイドリング制御のために必要な、形成されるべきトルク余裕とから得られる。しかしながら、内燃機関1に供給されるべき空気量の、この値以上の上昇は行われない。このようにして、ドライバの減速希望が支援される。この場合、燃料供給量は、空気/燃料混合比に対する所定の値を保持するために、噴射弁45の対応の操作により設定される。この場合、最小空気量により、最小燃料量消費量もまた得られる。
【0024】
オプションとして、点火角が、可能な最も遅れた値に設定されてもよい。したがって、空気/燃料混合物はシリンダ40において低効率で燃焼されるが、これにより、ドライバの減速希望がさらに支援される。自動変速機を有する車両においては、これにより、低効率にもかかわらず、逆に燃料が節約されることさえある。コンバータ滑りのために、低トルクによりエンジン回転速度が低下する。作業サイクルごとのシリンダ40の充填量が一定に保持されるとき、単位時間当たりのシリンダ40内の空気/燃料混合物の流量は、より低い回転速度により低下し、したがって燃料消費量もまた低下される。ドライバの実際減速希望から出発するとき、遅れ点火角による低い燃焼効率は重要ではない。よりよい効率において、ドライバは、より強いブレーキ・ペダル操作によってこれを補償するであろう。
【0025】
ディーゼル・エンジンの場合、第1の走行方式は、内燃機関1への空気供給量の低下による代わりに、噴射弁45の対応の操作による内燃機関1への燃料供給量の低下によって実行可能である。
【0026】
選択手段195が第2の走行方式を選択し、それにより、車両が、惰行運転において、できるだけ低いブレーキ作用で、可能ならばむしろブレーキ作用なしで転がり走行すべきとき、これは、設定手段185により、点火角ができるだけ高い効率を有する値に、好ましくは最適値にセットされることによって実行可能である。この場合、第1の走行方式に比較して、点火角は進み方向に調節されている。場合により、例えば回転速度がきわめて低いのでアイドリング制御がトルク余裕を要求するとき、または触媒の加熱のためにまたは能動的診断機能によりこれが要求されるとき、点火角の遅れにより多少低い効率が設定されてもよい。この場合においても、点火角効率は、このとき一般に、できるだけ遅い点火角を有する第1の走行方式の場合よりも高くあるべきである。高い点火角効率はドライバの転がり走行希望を支援し、燃料内の潜在エネルギーが車両の運動エネルギーに最適に変換されるようにする。これは燃料消費量を最小にする。
【0027】
このような場合、オプションとして、第1の走行方式により示される内燃機関1への最小空気量とは偏差があってもよく、加速ペダルを放したときに多少高い給気量が設定されても、したがって空気/燃料混合比に対する所定の値を保持するために、内燃機関1に供給される、より高い燃料量が設定されてもよい。このようにして、内部エンジン・トルクmiが、駆動ユニット180の出力変数として、むしろさらに上昇される。これはドライバの転がり走行希望をさらに支援する。実際に、ドライバの減速希望ではなく、ドライバの転がり走行希望が存在することから出発して、これが消費量を上昇させるように働くことはない。空気量の上昇なしに、希望速度での車両の転がり走行を維持するために、ドライバは早めに再び加速ペダルを踏まなければならない。
【0028】
以下に、ドライバの減速希望と転がり走行希望とはどのように異なるかを説明する。ここで、最も簡単な可能性は、ブレーキ・ペダルが操作されているときには減速希望を推測し、ブレーキ・ペダルが操作されていないときには転がり走行希望を推測することである。代替態様または追加態様として、加速ペダルがきわめて急速に放されたときには減速希望を推測し、一方、加速ペダルが比較的ゆっくり放されたときには転がり走行希望を推測してもよい。追加態様または代替態様として、ドライバが惰行運転を作動させる前の所定の時間内に変速機199の戻り切換を行ったとき、または走行速度に適切な低いギアで走行しているとき、または自動変速機の場合に「Drive(駆動)」ないしは「D」とは異なる選択レバー位置を設定したときに減速希望が推測されてもよい。追加態様または代替態様として、実際に走行される走行路面に急な下り勾配が存在するときに減速希望が推測されてもよい。上り勾配ないしは下り勾配は、当業者に既知のように、例えば車輪トルクと車輪加速度との間の比較により決定されてもよい。追加態様または代替態様として、適応走行速度制御装置165の場合における先行車両との間隔または先行車両への接近速度のような、ドライバ支援システムの情報が使用されてもよい。追加態様または代替態様として、ナビゲーション・ユニット95の情報が使用されてもよく、この情報内において、例えば急カーブの手前または交差点の手前で減速希望が推測される。
【0029】
図7には、内燃機関1の出力トルクmiのエンジン回転速度nmotに対する線図が示されている。内燃機関1の出力トルクmiは、内部トルクまたは内部エンジン・トルクとも呼ばれる。図7に示されている線図は、2つの走行方式のいずれかの選択の、内部トルクmiとエンジン回転速度nmotとの比への影響を表わしているか、ないしは2つの走行方式のいずれかの選択におけるこの比に対する余裕を示している。符号400で示されている、図7の線図内の直線は、アイドリング制御の制御技術的安定性の理由から設定可能な最小内部エンジン・トルクmiを表わす。符号405で示されている直線は車両の走行可能性を考慮した最小内部エンジン・トルクmiを表わし、直線405は、約600rpmのエンジン回転速度nmotにおいて約20Nmの内部トルクmiが達成される点において直線400に対応し、より大きいエンジン回転速度nmotに対してはより大きい内部トルクmiの値をとる。直線400よりも上昇された直線405の内部エンジン・トルクmiは、低速においてより快適な走行特性を達成するように、加速ペダルを放すときの車両減速度を低減させるために使用される。さらに、このように直線400よりも上昇された最小値は、加速ペダル操作が小さいときにおける車両の発進特性を改善する。例えば車両の発進において5%の加速ペダル位置を設定したとき、内燃機関1は、例えば線形目盛であると仮定して、設定可能なトルク上昇に関して、図7に示されている、回転速度の関数としての直線400の最小内部エンジン・トルクmiの上方5%に存在する内部エンジン・トルクmiを設定する。発進過程の間にエンジン回転速度nmotは上昇する。ここで直線400の内部エンジン・トルクmiの最小値が回転速度nmotの上昇と共にきわめて急速に低下したとき、5%の加速ペダル操作により設定された内部エンジン・トルクmiもまたそれに対応して急速に低下することは当然である。この場合、この内部エンジン・トルクmiは、実際エンジン回転速度nmotに割り当てられている、直線400の内部エンジン・トルクmiと、加速ペダルの最大操作即ち100%操作において設定可能なトルク上昇の5%との和に対応する。したがって、車両は発進時に内部エンジン・トルクmiをいわゆる自給する。この特性は、約600rpmを超える回転速度に対して直線405を使用した場合に著しく緩和され、その理由は、この回転速度範囲において、直線405は直線400よりも大きい内部エンジン・トルクmiを提供するからである。
【0030】
したがって、直線400はアイドリング制御の安定性のみにより制限され、これに対して、直線405は、低速におけるできるだけ快適な走行特性を考慮した、通常発進時に発生する、ドライバによる加速ペダルの特有な操作によって制限されている。この場合、直線405は、例えば試験台上において決定され且つエンジン制御装置25内に記憶されてもよい。
【0031】
直線410は、内燃機関1に供給される空気量を任意に小さくすることができないことから得られたものである。第1に、絞り弁5は一般に十分には気密ではなく、したがってこれを可能にすることはできず、第2に、きわめて低い吸気管圧力は、内燃機関1に供給される空気量がきわめて小さいことにより、オイルがシール・リングによってシリンダ40の燃焼室内にかき落され且つこのようにして既知の「ブルー・スモーク」が発生することもある。したがって、回転速度の関数としての最小空気量を設定するしきい値は、例えば試験台上で決定される。内燃機関1の燃焼運転においては、これから、空気/燃料混合比に対する所定の値において最小燃料量が得られ、この最小燃料量は、一方で、最適点火角を仮定して、回転速度nmotを介して直線410の内部トルクmiの線図内で得られる。
【0032】
しかしながら、最適点火角よりも遅れた点火角を設定することにより、エンジン制御装置25は、最小空気量において、直線410の内部トルクよりも低下された内部トルクmiを設定してもよい。この場合、できるだけ遅れた点火角において、内部トルクmiの回転速度nmotに対する直線415の線図が得られ、直線415は全回転速度範囲にわたり直線410よりもより低い内部トルクmiを発生する。直線410および415もまた、それに対応して、例えば試験台上において決定され且つエンジン制御装置25内に記憶されてもよい。
【0033】
加速ペダルを放したとき、ドライバの減速希望が想定されるかまたは転がり走行希望が想定されるかに応じてそれぞれ、駆動ユニット180に対して次の運転方式が推奨される。
【0034】
ドライバの転がり走行希望が存在する確率が高い場合、直線405のエンジン回転速度nmotの関数としての、したがって走行可能性を考慮した最小内部エンジン・トルクmiに対応する内部エンジン・トルクmiが設定される。この場合、点火角はできるだけ最適効率に設定され、ここで、必要なトルク余裕を提供するために、この効率は場合により点火角の遅れ調節によって低下されてもよい。
【0035】
ドライバの転がり走行希望に対する確率がより小さく、したがってドライバの転がり走行希望がもはや全く想定可能ではない場合、図7の符号420、425で示されている矢印に対応して、与えられた実際エンジン回転速度nmotにおいて直線400および直線410の最大値から得られる内部エンジン・トルクmiが設定可能である。即ち、約950rpmのエンジン回転速度nmotにおける矢印420の場合、直線400および直線410の最大値は直線400上に存在しているので、このエンジン回転速度nmotにおいて存在する直線400上の内部エンジン・トルクmiで走行され、一方、約1200rpmのエンジン回転速度nmotにおける矢印425の場合、最大値は直線410上に存在するので、この場合には直線410の内部エンジン・トルクmiで走行される。点火角は、場合により必要となるトルク余裕は別として、最適点火角効率が得られるように設定されることが好ましい。したがって、転がり走行希望が存在する確率が高い上記の場合よりも車両のより高い減速度が確かに設定されるが、以下に記載の場合よりも小さい減速度が設定される。最適点火角の設定により、いずれの場合も燃料が浪費されることはない。
【0036】
これに対して、例えばブレーキが踏み込まれたのでドライバの減速希望が高い確率で推測可能な場合、約1200rpmのエンジン回転速度nmotの例における矢印430により、前の場合よりもさらに低い、直線415および直線400からの最大値の内部トルクないしは内部エンジン・トルクmiが設定される。ここで、この場合には最大値は直線415上に存在し、このエンジン回転速度に対して設定された最小空気量においては点火角に対してできるだけ遅れた値に対応する。
【0037】
内燃機関1の全てのシリンダに対して燃料供給を遮断することによる実際の惰性燃料遮断が、図7の例として考察された2つのエンジン回転速度nmotに対して矢印435、440により示され、矢印435、440により、内部エンジン・トルクmiはこのとき0に戻される。ここで、この惰性燃料遮断は、いわゆる還元段における内燃機関1の個々のシリンダへの燃料供給の順次遮断によって行われてもよい。
【0038】
このような惰性燃料遮断に対する条件は後に説明する。
ここで、図6は本発明による方法の例示フローに対する流れ図を示し、この流れ図においては、上記のように、2つの走行方式即ち車両の減速および車両の転がり走行が設定手段190内において設定されている。プログラムがスタートした後、確率値Wが0にセットされる。確率値Wは、いずれの確率で第1の走行方式が選択されるべきであるか、即ちいずれの確率で車両のドライバが車両を減速したいという状況が存在するかを与える。車両ができるだけ小さいブレーキ作用で転がり走行すべき第2の走行方式に対する確率は、このとき、この確率値Wを値1から減算することにより決定可能である。プログラム点200において、エンジン制御装置25は、加速ペダル・モジュール10の信号により、惰性運転が設定されるべきかどうかを検査する。これが肯定(y)の場合、プログラムはプログラム点210に分岐され、否定(n)の場合、プログラム点205に分岐される。ここで、エンジン制御装置25は、加速ペダルが放されたときに惰性運転が設定されるべきことを検出可能である。
【0039】
プログラム点210において、確率決定手段197は、ブレーキ・ペダル・モジュール20の信号により、加速ペダルを放してからブレーキ・ペダルが操作されたかどうかを検査する。これが肯定の場合、プログラムはプログラム点215に分岐され、否定の場合、プログラム点220に分岐される。
【0040】
プログラム点215において、新たな確率値Wを形成するために、確率決定手段197は確率値Wに第1の値X1を加算する。それに続いて、プログラムはプログラム点220に移行される。プログラム点220において、確率決定手段197は、加速ペダルを放したときに加速ペダルの操作によって導かれた変数の勾配が所定のしきい値を下回っているかどうかを検査する。これが肯定の場合、プログラムはプログラム点225に分岐され、否定の場合、プログラム点230に分岐される。加速ペダルの操作により導かれた変数は、例えば加速ペダルの操作度であってもよい。加速ペダルの操作度は確率決定手段198に加速ペダル・モジュール10から伝送される。勾配に対する所定のしきい値は負の値であることが好ましく、その理由は、加速ペダルを放したとき、加速ペダルの操作勾配はいずれの場合も負であるからである。ここで、この所定のしきい値は、ドライバの減速希望とドライバの転がり走行希望との間の有効且つ確実な区別が可能なように、例えば試験台上において適切に選択されてもよい。
【0041】
プログラム点225において、新たな確率値Wを形成するために、確率決定手段197は、実際に存在する確率値Wに第2の値X2を加算する。それに続いて、プログラムはプログラム点230に移行される。
【0042】
プログラム点230において、確率決定手段197は、回転速度センサ60の信号および速度センサ65の信号により、エンジン回転速度の車両速度に対する比nmot/vが実際に所定のしきい値を超えているかどうかを検査する。これが肯定の場合、プログラムはプログラム点235に分岐され、否定の場合、プログラム点240に分岐される。
【0043】
所定のしきい値は、この場合も同様に、ドライバの減速希望と転がり走行希望との間の区別が同様に確実に可能となるように、例えば試験台上において適切に選択される。エンジン回転速度の車両速度に対する比が大きければ大きいほど、それだけドライバの減速希望が推測可能である。エンジン回転速度の車両速度に対する比が小さければ小さいほど、それだけドライバの転がり走行希望が推測可能である。
【0044】
プログラム点235において、確率に対する新たな値Wを形成するために、確率決定手段197は、確率に対する実際値Wに第3の値X3を加算する。それに続いて、プログラムはプログラム点240に移行される。
【0045】
プログラム点240において、確率決定手段197は、加速ペダルを放す前の所定の時間内に変速機制御装置175から変速機の戻り切換が伝送されたかどうかを検査する。これが肯定の場合、プログラムはプログラム点245に分岐され、否定の場合、プログラム点250に分岐される。この場合、所定の時間は、例えば、この所定の時間内に実行された変速機の戻り切換が確実に以後の惰性運転のためのドライバの減速希望の意味で検出可能なように適切に選択可能である。変速機の戻り切換が所定の時間よりも以前に行われた場合、変速機の戻り切換と以後の惰性運転との間の関係はもはや形成可能ではない。
【0046】
プログラム点245において、新たな確率値Wを形成するために、確率決定手段197はそのときの実際確率値Wに第4の値X4を加算する。それに続いて、プログラムはプログラム点250に移行される。
【0047】
プログラム点250において、確率決定手段197は、実際に自動変速機が使用されているときに選択レバーまたはこれに対応する操作要素の位置が「Drive(駆動)」ないしは「D」とは異なる位置にあるかどうかを検査する。これが肯定の場合、プログラムはプログラム点255に分岐され、否定の場合、プログラム点260に分岐される。選択レバーが「Drive(駆動)」ないしは「D」とは異なる位置にある場合、ドライバの減速希望が推測可能である。プログラム点255において、確率に対する新たな値Wを形成するために、確率決定手段197は確率に対する実際値Wに第5の値X5を加算する。それに続いて、プログラムはプログラム点260に移行される。
【0048】
プログラム点260において、確率決定手段197は、傾斜センサ70の信号により、水平面に対する車両の傾斜の絶対値が所定のしきい値を実際に超えているかどうかを検査する。これが肯定の場合、プログラムはプログラム点265に分岐され、否定の場合、プログラム点270に分岐される。この場合、所定のしきい値は、ドライバの減速希望が転がり走行希望から確実に区別可能なように設定可能である。ここで、車両の傾斜の絶対値が所定のしきい値より大きい場合、下り勾配の存在により減速希望が推測可能である。これに対して傾斜の絶対値が所定のしきい値より小さい場合、ドライバは惰性運転における転がり走行を希望していることが推測される。
【0049】
プログラム点265において、確率に対する新たな値Wを形成するために、確率決定手段197は確率に対する実際値Wに第6の値X6を加算する。それに続いて、プログラムはプログラム点270に移行される。
【0050】
プログラム点270において、確率決定手段197は、適応走行速度制御装置165の信号およびこの場合特に間隔センサの信号により、先行車両との間隔が所定のしきい値を実際に下回っているかどうかを検査する。これが肯定の場合、プログラムはプログラム点275に分岐され、否定の場合、プログラム点280に分岐される。この場合、所定のしきい値は、ドライバの減速希望と転がり走行希望とが同様に確実に区別可能なように選択可能である。先行車両との間隔が小さければ小さいほど、それだけドライバの減速希望が推測可能である。即ち、先行車両との間隔が所定のしきい値を下回っている場合、減速希望が推測され、他の場合、転がり走行希望が推測される。
【0051】
プログラム点275において、確率に対する新たな値Wを得るために、確率決定手段197は確率に対する実際値Wに第7の値X7を加算する。それに続いて、プログラムはプログラム点280に移行される。
【0052】
プログラム点280において、確率決定手段197は、同様に適応走行速度制御装置165の間隔センサにより、先行車両との間隔の時間微分、即ち先行車両への接近速度が所定の値を実際に超えているかどうかを検査する。これが肯定の場合、プログラムはプログラム点285に分岐され、否定の場合、プログラム点290に分岐される。この場合、ドライバの減速希望をドライバの転がり走行希望から区別するために、所定のしきい値は0に等しいか負に選択されている。接近速度が負の場合ないしは接近速度が所定のしきい値を下回っている場合、ドライバは転がり走行を希望していることが推測され、他の場合、ドライバの減速希望が推測される。
【0053】
プログラム点285において、確率に対する新たな値Wを得るために、確率決定手段197は確率に対する実際値Wに第8の値X8を加算する。それに続いて、プログラムはプログラム点290に移行される。
【0054】
プログラム点290において、確率決定手段197は、例えば画像処理ユニット170の信号により、カメラによって走行路面上の障害物が実際に検出されたかどうかを検査する。これが肯定の場合、プログラムはプログラム点295に分岐され、否定の場合、プログラム点300に分岐される。障害物が検出された場合、ドライバの減速希望が推測され、他の場合、転がり走行希望が推測される。この場合、画像処理ユニット170は、例えばカメラを含み、カメラはドライバの視界を撮影し且つ障害物を検出するための処理ユニットに伝送する。即ち、画像処理ユニット170がカメラ信号により走行路面上の障害物を検出した場合、このことが対応の信号により確率決定手段197に伝送される。
【0055】
プログラム点295において、確率に対する新たな値Wを形成するために、確率決定手段197は、確率に対する実際値Wに値X9を加算する。それに続いて、プログラムはプログラム点300に移行される。
【0056】
プログラム点300において、確率決定手段197は、ナビゲーション・ユニット95から供給された信号により、車両が実際にカーブに接近しているかどうかを検査する。これが肯定の場合、プログラムはプログラム点305に分岐され、否定の場合、プログラム点310に分岐される。この場合、ナビゲーション・ユニット95は、当業者に既知のように、車両の実際走行位置を決定し且つこれを記憶カード・データで検定し、これにより、車両が実際にカーブに接近しているかどうかが特定可能である。この情報は確率決定手段197に伝送される。車両が実際にカーブに接近している場合、車両の減速希望が推測され、他の場合、転がり走行希望が推測される。
【0057】
プログラム点305において、確率に対する新たな値Wを形成するために、確率決定手段197は、確率に対する実際値Wに値X10を加算する。それに続いて、プログラムはプログラム点310に移行される。車両が実際にカーブに接近しているかどうかのプログラム点300における検査は、画像処理ユニット170が、上記のように、ドライバの視界内にカーブが現われたかどうかもまた決定可能であるので、確率決定手段197による画像処理ユニット170からの信号の受信によっても実行可能である。
【0058】
プログラム点310において、確率決定手段197は、ナビゲーション・ユニット95ないしは画像処理ユニット170の信号により、車両が実際に交差点または合流点に接近しているかどうかを検査する。これが肯定の場合、プログラムはプログラム点315に分岐され、否定の場合、プログラム点320に分岐される。この場合、交差点ないしは合流点への接近は、ナビゲーション・ユニット95ないしは画像処理ユニット170により、カーブの検出に関して既に記載されたように検出される。
【0059】
車両が交差点または合流点に接近した場合、ドライバの減速希望が推測可能であり、他の場合、転がり走行希望が存在する。
プログラム点315において、新たな確率値Wを形成するために、確率決定手段197は、実際確率値Wに値X11を加算する。それに続いて、プログラムはプログラム点320に移行される。
【0060】
プログラム点320において、選択手段195は、確率値Wが所定のしきい値Sを超えているかどうかを検査する。これが肯定の場合、プログラムはプログラム点325に分岐され、否定の場合、プログラム点330に分岐される。この場合、しきい値Sは、しきい値Sを超えている確率値Wは十分確実に減速希望を示唆し、しきい値Sを下回っている確率値Wは十分確実に転がり走行希望を示唆しているように選択されている。
【0061】
即ち、プログラム点325において、選択手段195により第1の走行方式が選択され且つ上記のように変換される。それに続いて、プログラムは終了される。
プログラム点330において、選択手段195は第2の走行方式を選択し且つ上記のようにそれを変換する。それに続いて、プログラムは終了される。
【0062】
代替態様として、図7の例に示されているように、1つのしきい値Sによる図6のような2つの確率範囲よりも多く相互に分割するように設計されていてもよい。図7によれば3つの確率範囲が必要であり、即ち、例えば第1のしきい値S1を超える高い確率値Wにおいてはドライバの転がり走行希望が推測される第1の確率範囲が、また第1のしきい値S1より小さい第2のしきい値S2を下回る確率値Wに対してはドライバの減速希望が推測される第2の確率範囲が必要である。確率値Wが第1のしきい値S1と第2のしきい値S2の間にあるとき、矢印420、425に示すように、ドライバの顕著な転がり走行希望と顕著な減速希望との間に存在する走行状況が検出され、例えば矢印425に示すように、実際エンジン回転速度nmotにおいて直線405の下側および直線415の上側、即ち直線410上に存在する内部エンジン・トルクmiを設定させる。内部エンジン・トルクmi、したがって上記の操作変数の設定に対応の影響を有する、3つの確率範囲およびその確率範囲に付属の走行状況よりも多い確率範囲および付属の走行状況が設けられていてもよい。
【0063】
図6の実施例においては、和X1+X2+X3+...+X11が値1を与えるように設計されている。この場合、個々の値X1、X2、X3、...、X11は、ドライバの減速希望または転がり走行希望に対する一方または他方の基準の存在がいかに強く現われるかに応じて、全く異なった大きさであってもよい。即ち、ブレーキ・ペダルの操作はドライバの減速希望を著しく強調しているので、ブレーキ・ペダルの操作の値X1は、値X1、X2、X3、...、X11の最大値として形成するように、例えば、0.5または0.55とするように設計されていてもよい。しきい値Sは、例えば0.5に等しく選択されてもよい。
【0064】
加速ペダルを放した後の実際の走行状況を決定するための追加基準として、加速ペダルの操作から導かれた変数の勾配に対応して、駆動ユニット180の出力変数、この例においては内部エンジン・トルクmiに対する設定から導かれた変数の勾配が使用されてもよい。即ち、図を見やすくするために図1には示されていないが、内燃機関1の内部トルクmiに対するこのような設定を変換のためにエンジン制御装置25に出力する車両機能が設けられていてもよい。この車両機能は、例えば、アンチロック・システム、駆動滑り制御、走行動特性制御等であってもよい。例えば走行動特性制御により内部エンジン・トルクmiの急速な解除が要求されたとき、これは同様に減速希望と解釈されてもよい。したがって、図6の流れ図において、追加態様として、このような車両機能により要求された勾配、即ち内部エンジン・トルクmiに対する設定から導かれた変数の勾配、好ましくは内部エンジン・トルクmiに対する設定の勾配それ自身が所定のしきい値を下回っているかどうかの状態の問い合わせが行われてもよい。これが肯定の場合、減速希望が検出され、他の場合、転がり走行希望が検出される。この場合、所定のしきい値は、加速ペダル操作の勾配の場合においても同様に負であり、且つ減速希望が転がり走行希望から確実に区別可能なように適切に選択されている。内部エンジン・トルクmiに対する設定は必ずしも車両機能によって行われる必要はなく、加速ペダル・モジュールそれ自身により加速ペダルの操作度から導かれたドライバの希望トルクの形で行われてもよい。駆動ユニット180の出力変数に対する設定から導かれた変数の勾配に対する所定のしきい値は、同様に、例えば試験台上において適切に決定されてもよい。
【0065】
この場合、対応の基準に、確率値Wを形成するための値X12が割り当てられている。
追加態様として、加速ペダルを放した後に実際に存在する走行状況に対する基準として、実際変速比ueおよび実際車両速度vからの商、即ちue/vが、所定のしきい値を下回っているかどうかが検査されてもよい。これが肯定の場合、減速希望が存在すると想定され、否定の場合、転がり走行希望が想定される。この場合、所定のしきい値は、減速希望と転がり走行希望との間の確実な区別が可能なように選択されるべきである。この場合、所定のしきい値は、例えば試験台上においてそれに対応して適切に決定されてもよい。
【0066】
変速比ueの車両速度vに対する比が小さければ小さいほど、それだけドライバの減速希望が検出され、変速比ueの車両速度vに対する比が高ければ高いほど、それだけドライバの転がり走行希望が推測される。この基準に対してもまた、確率値Wに対する対応の値X13が付属されてもよい。
【0067】
変速比ueは、エンジン制御装置25、したがって確率決定手段197に、変速機制御装置175を介して伝送され、車両速度vは速度センサ65を介して伝送される。
したがって、全ての前記基準を使用したとき、X1+X2+X3、...、X13の和は、値1を与える。
【0068】
前記操作変数、即ち給気量、燃料供給量および点火角により、例えば図7に示されている方法によって決定された走行方式に対応して、設定手段185により駆動ユニット180の出力変数として内部エンジン・トルクmiが設定される。
【0069】
前記操作変数に追加してまたはその代わりに、ドライバの減速希望または転がり走行希望は、変速機制御装置175の側における適切な変速比ueの設定により支援されてもよい。
【0070】
ここで、減速希望の場合にリセットされ、即ち変速比ueが低下されてもよく、また転がり走行希望の場合、変速比ueが上昇され即ち高い値に切り換えられてもよい。
きわめて一般的に、選択された走行方式により駆動ユニット180の出力変数を設定するために、1つまたは複数の操作変数、即ち給気量、燃料供給量、点火角および変速比が選択されてもよい。変速比は内部エンジン・トルクmiに影響を与えないので、操作変数として変速比ueが使用された場合、特に図7に関して行われた前記の考察が、例えば駆動ユニット180の車輪トルク出力変数に対しても同様に適用される。
【0071】
さらに、例えばブレーキ装置のような、車両または駆動ユニット180の安全に関係する構成要素にエラーが検出された場合、選択された走行方式とは独立に、給気量が低下され、および/または点火角が遅れ方向にシフトされ、および/または燃料供給量が低下され、および/または変速比が低下されるように設計されていてもよい。このようにして、車両は安全のために減速され且つ場合により停止される。
【0072】
さらに、そのしきい値を超えたときには燃料供給が完全に遮断され、即ち完全な惰性燃料遮断が実行される、駆動ユニット180の運転変数に対するそのしきい値もまた実際の走行状況の関数として設定するように設計されていてもよい。駆動ユニット180のこの運転変数は、好ましくはエンジン回転速度nmotであってもよい。即ち、第1の走行方式を選択させる第1の走行状況が存在した場合、即ち減速希望が存在した場合、エンジン回転速度に対する第1の所定のしきい値は、第2の走行状況が存在した場合、即ち第2の走行方式を選択させる転がり走行希望が存在する場合よりも小さい値で選択されてもよい。したがって、減速希望の場合には、転がり走行希望が存在した場合よりも小さいエンジン回転速度で既に完全な惰性燃料遮断が行われる。
【0073】
それに対応して、完全な惰性燃料遮断の後に燃料供給を再開させるための、駆動ユニットの運転変数に対する第2の所定のしきい値が、加速ペダルを放した後の実際の走行状況の関数として選択されるように設計されていてもよい。ここで、運転変数として、同様に、好ましくはエンジン回転速度が使用されてもよい。即ち、例えば、第1の走行状況、即ち減速希望が存在した場合、そのしきい値を下回っているときには前の遮断後に燃料供給が再開される、エンジン回転速度に対する第2の所定のしきい値が、第2の走行状況、即ち転がり走行希望が存在する場合よりも低い値となるように設計されていてもよい。したがって、加速ペダルを放した後に減速希望が存在した場合、転がり走行希望、即ち第2の走行状況が存在する場合よりも低いエンジン回転速度に低下したときにはじめて、燃料供給が再開される。
【0074】
この場合、エンジン回転速度に対する第1の所定のしきい値およびエンジン回転速度に対する第2の所定のしきい値は、燃料供給の遮断による完全な惰性燃料遮断および前の遮断後の燃料供給の再開が実際に存在する走行状況に最適に同調されているように、即ち実際走行状況、したがって選択された走行方式を最適に支援するように、例えば試験台上において適切に決定されてもよい。これは、減速希望が存在する場合、燃料供給の完全な遮断が、転がり走行希望が存在する場合よりも低いエンジン回転速度において既に行われること、および減速希望が存在した場合における、前の遮断後の燃料供給の再開が、低下するエンジン回転速度において、転がり走行希望が存在する場合よりも低いエンジン回転速度ではじめて行われることによって達成される。
【0075】
以下に、本発明による方法および本発明による装置を、例として、加速ペダルを放した後の、走行状況の関数としての走行方式の変換のために、ただ1つの操作変数として給気量が使用される場合に対して説明する。
【0076】
一般的に、以下に示されている具体的な実施形態は、内燃機関1への給気量が調節要素5、即ちこの例においては絞り弁を介して設定され、且つ内燃機関1の惰性運転において調節要素5の開度が走行状況の関数として設定される、内燃機関1を有する車両の運転方法である。この場合、上記のように、走行状況が加速ペダルの操作から導かれた変数の勾配の評価により決定されるように設計されていてもよい。この場合、勾配が所定のしきい値を下回っているときには調節要素5の開度は調節要素5の閉鎖位置の方向に低下され、また勾配が所定のしきい値を超えているときには調節要素5の開度が調節要素5の全開方向に上昇可能である。代替態様として、惰性運転において設定されるべき調節要素5の開度ないしはこの開度を表わす変数が、加速ペダルの操作から導かれた変数の勾配の関数として、特性曲線または特性曲線群15により決定されるように設計されていてもよい。
【0077】
追加態様または代替態様として、走行状況がブレーキ・ペダルの操作の評価により決定されてもよい。この場合、ブレーキ・ペダルが踏み込まれたときに調節要素5の開度が調節要素5の閉鎖位置の方向に低下され、且つブレーキ・ペダルが放されたときに調節要素5の開度が調節要素5の全開方向に上昇されるように設計されていてもよい。
【0078】
追加態様または代替態様として、走行状況が水平面に対する車両の傾斜に関する情報の評価により決定されるように設計されていてもよい。この場合、傾斜の絶対値が所定のしきい値を超えている場合、調節要素5の開度が調節要素5の閉鎖位置の方向に低下され、また傾斜の絶対値が所定のしきい値を下回っている場合、調節要素5の開度が調節要素5の全開方向に上昇されるように設計されていてもよい。
【0079】
追加態様または代替態様として、走行状況が走行速度の評価により決定されるように設計されていてもよい。
さらに、オプションとして、車両または内燃機関1の安全に関係する構成要素にエラーが検出された場合、調節要素5の開度が調節要素5の閉鎖位置の方向に低下されるように設計されていてもよい。
【0080】
ここで、本発明により、内燃機関1を有する車両の運転のためにエンジン制御装置25が設けられ、内燃機関1は内燃機関1への給気量を設定するための調節要素5を有し、この場合、内燃機関1の惰性運転において調節要素5の開度を走行状況の関数として決定する制御ユニット30(図2)が設けられている。
【0081】
検出走行状況の関数として、次に、希望のエンジン・ブレーキ・トルクを発生するように絞り弁5が操作される。これにより、燃料消費量は低下可能である。即ち、本発明により、車両の惰行運転ないしは内燃機関1の惰性運転においては、絞り弁5の開度は実際の走行状況の関数として設定される。
【0082】
上記のように、実際の走行状況を決定するために種々の可能性が存在する。1つの可能性は、加速ペダルの操作から導かれた変数の勾配を決定することにある。この変数は、例えば、加速ペダルの操作度であっても、またはペダル角wped_wであってもよい。以下においては、例として、加速ペダルの操作から導かれた変数はペダル角wped_wであると仮定されるものとする。即ち車両の惰行運転ないしは内燃機関1の惰性運転が加速ペダルを急速に放すことによって達成されたとき、これは、当然に、惰行運転ないしは惰性運転において高いエンジン・ブレーキ・トルクが設定されるべきことを意味する。これに対して、車両の惰行運転ないしは内燃機関1の惰性運転が加速ペダルをゆっくり放すことによって達成されたとき、これは、当然に、惰行運転ないしは惰性運転において低いエンジン・ブレーキ・トルクが設定されるべきことを意味する。したがって、最も簡単な場合、ペダル角wped_wの勾配(dwped_w/dt)に対するしきい値Swped_wが設定され且つエンジン制御装置25内に記憶されるように設計されていてもよい。この場合、しきい値Swped_wは、例えば試験台上において適切に決定されてもよい。ここで、加速ペダルを放すときにはペダル角wped_wの負の時間勾配が設定されるので、所定のしきい値Swped_wは負の値として選択される。加速ペダル・モジュール10からエンジン制御装置25に伝送された加速ペダルのペダル角wped_wから、エンジン制御装置25は、このペダル角wped_wの時間勾配を決定する。加速ペダルを放したときのこの勾配が所定のしきい値Swped_wを下回っているとき、加速ペダルの急速な解放が存在し、且つ高いエンジン・ブレーキ・トルクが希望されている。この場合、エンジン制御装置25は、絞り弁5の開度が絞り弁5の閉鎖位置の方向に低下されるように絞り弁5を操作するであろう。これは、例えば絞り弁5が完全に閉鎖されることによって行われてもよい。このようにして、最大エンジン・ブレーキ・トルクが発生される。加速ペダルを放したときの勾配が所定のしきい値Swped_wを超えているとき、加速ペダルのゆっくりした解放が存在し且つ低いエンジン・ブレーキ・トルクが希望されている。この場合、エンジン制御装置25は、絞り弁5の開度が絞り弁5の全開方向に上昇されるように操作するであろう。これは、例えば、絞り弁5が完全に開放されることによって行われてもよい。このようにして、最小エンジン・ブレーキ・トルクが発生される。即ち所定のしきい値Swped_wの選択において、このしきい値Swped_wを超えるペダル角wped_wの勾配は最小エンジン・ブレーキ・トルクのドライバの希望とのみ相関を有し、且つこのしきい値Swped_wを下回るペダル角wped_wの勾配は最大エンジン・ブレーキ・トルクのドライバの希望とのみ相関を有していることに注意すべきである。
【0083】
代替実施形態により、惰行運転における走行状況の関数として絞り弁5の開度の異なった設定が可能である。この場合、設定されるべき絞り弁5の開度ないしはこの開度を表わす変数は、加速ペダルの操作から導かれた変数、この例においてはペダル角wped_wの勾配の関数として、特性曲線または特性曲線群により決定される。絞り弁5の開度を表わす変数は、例えば絞り弁5の開度に比例するペダル角に対する目標値wped_wsollであってもよく、対応するドライバの希望トルクを形成するために、ペダル角の目標値wped_wsollは絞り弁5の開度により変換可能である。特性曲線による方法の利点は、ペダル角wped_wの各勾配に対して絞り弁5の割当て開度ないしは、この例においてはペダル角の割当て目標値wped_wsollを特性曲線から求めることができることにあり、これにより、絞り弁5の開度はペダル角wped_wの勾配の関数として異なって設定可能である。特性曲線の出力変数として、全閉絞り弁5または全開絞り弁5が得られるように設計されていてもよいことは当然であり、これにより上記のしきい値による方法と同じ結果が得られる。惰行運転における実際走行状況の決定において、ペダル角wped_wの勾配に追加して1つまたは複数の他の入力変数が考慮されるべきとき、特性曲線群の使用が必要である。これは、例えば車両速度であってもよい。惰行運転において希望のブレーキ・エンジン・トルクを設定するために、ペダル角wped_wのそれぞれの時間勾配に、ペダル角に対する適切な目標値wped_wsoll、したがって絞り弁5の適切な開度をそれぞれ割り当てるために、特性曲線ないしは特性曲線群は、例えば試験台上において適切に決定されてもよい。
【0084】
図2に、惰行運転において走行状況の関数として絞り弁5の開度を設定することを示す機能図が示され、この場合、絞り弁5の開度に対する特性変数として、ペダル角に対する目標値wped_wsollが、特性曲線群により制御されて、ペダル角wped_wの勾配および走行速度の関数として設定される。ここで、図2において、30は制御ユニットを示し、制御ユニット30は、例えばエンジン制御装置25内においてソフトウェアおよび/またはハードウェアにより実行可能である。制御ユニット30の制御スイッチ90に、一方で、ドライバの希望に対応する、または例えばアンチロック・システム、駆動滑り制御、走行動特性制御等のような車両機能の要求に対応する、ペダル角に対する目標値FWwped_wsollが供給され、他方で、同様に加速ペダルに対する目標値を示す、特性曲線群15の出力変数wped_wsollが供給される。制御スイッチ90は、AND要素75の出力信号により操作される。AND要素75のこの出力信号がセットされている場合、制御スイッチ90はその出力に特性曲線群15の出力信号wped_wsollを提供するように操作される。AND要素75のこの出力信号がセットされていない場合、制御スイッチ90は、その出力に信号FWwped_wsollを提供するように操作される。AND要素75の第1の入力80に惰性燃料遮断BSAが供給され、惰性燃料遮断BSAは、内燃機関1ないしは車両が惰性運転ないしは惰行運転にあるかどうか、即ち惰性運転ないしは惰行運転が作動しているかどうかを与える。これは、エンジン制御装置25内において、加速ペダル10が放されたかどうか、即ちもはや操作されていないかどうかが検査されることによって簡単に特定可能である。これが肯定の場合、惰性運転が存在し且つ惰性燃料遮断BSAは、エンジン制御装置25によりセットされる。これが否定の場合、即ち加速ペダルの操作がなお続いている場合、惰性運転は存在せず、且つ惰性燃料遮断BSAは、エンジン制御装置25によりセットされないかないしはリセットされる。AND要素75の第2の反転入力85にブレーキ・ペダル信号wbremsが供給され、ブレーキ・ペダル信号wbremsは、ブレーキ・ペダルが操作されているときにはエンジン制御装置25によりセットされ、ブレーキ・ペダルが操作されていないときにはエンジン制御装置25によりセットされないかないしはリセットされる。さらに、エンジン制御装置25は、ブレーキ・ペダル・モジュール20から提供されるブレーキ・ペダルの操作度をそれに対応して評価する。このようにして、AND要素75の出力信号は、惰性運転が存在し且つブレーキ・ペダルが操作されていないときにのみセットされている。他の場合、AND要素75の出力信号はセットされていない。特性曲線群15の入力変数は、速度センサ65により決定される走行速度vと、エンジン制御装置25により形成される、加速ペダル・モジュール10からエンジン制御装置25に提供されるペダル角wped_wの時間勾配dwped_w/dtとである。特性曲線群15は、ペダル角の時間勾配dwped_w/dtおよび走行速度vに、ペダル角に対する目標値wped_wsollを割り当て、ペダル角に対する目標値wped_wsollは、絞り弁5の対応する希望開度を形成する。ここで、ペダル角wped_wの時間勾配dwped_w/dtが上昇し且つ走行速度vは同じままであるとき、エンジン・ブレーキ・トルクを低下させるために、ペダル角に対する目標値wped_wsoll、したがって絞り弁5の開度は上昇され、そして走行速度vが上昇し且つペダル角wped_wの時間勾配dwped_w/dtは同じままであるとき、エンジン・ブレーキ・トルクを上昇させ、したがって惰行運転における走行速度の低下により交通安全性を向上させるために、ペダル角に対する目標値wped_wsoll、したがって絞り弁5の開度が低下されるように設計されていてもよい。
【0085】
実際の走行状況が上記のようにペダル角wped_wの時間勾配dwped_w/dtの関数として決定される場合、ペダル角wped_wの時間勾配dwped_w/dtは、加速ペダルを放したときに惰行運転を達成するために存在したものである。
【0086】
ペダル角wped_wの時間勾配dwped_w/dtの関数として実際の走行状況を決定することに追加してまたはその代わりに、実際の走行状況が、ブレーキ・ペダルの操作の評価により決定されてもよい。ここで、ブレーキ・ペダルが踏み込まれたとき、絞り弁5の開度が絞り弁5の閉鎖位置方向に低下され、この場合、絞り弁5は、例えば完全に閉鎖されてもよく、ブレーキ・ペダルが放されたとき、絞り弁5の開度が絞り弁5の全開方向に上昇され、この場合、絞り弁5が例えば完全に開放されてもよいように設計されていてもよい。ブレーキ・ペダルの操作ないしはブレーキ・ペダルの非操作は、エンジン制御装置25により、ブレーキ・ペダル・モジュール20から提供されたブレーキ・ペダルの操作度から決定される。したがって、操作されたブレーキ・ペダルが特定されたとき、惰行運転における実際の走行状況は、ブレーキ・ペダルの操作度により、高いエンジン・ブレーキ・トルクが希望されていることが検出可能である。逆に、放されたブレーキ・ペダルが特定されたとき、惰行運転における実際の走行状況は、ブレーキ・ペダルの操作度により、低いエンジン・ブレーキ・トルクが希望されていることが検出可能である。
【0087】
ブレーキ・ペダルの操作度の関数として実際の走行状況を決定する場合においても、ブレーキ・ペダルの異なる操作度にそれぞれ絞り弁5の異なる開度を割り当てるように設計されていてもよく、この場合、この割当ては特性曲線を介して行われてもよい。このようにして、同様に、ブレーキ・ペダルの操作度の関数として絞り弁5の開度の異なる設定が達成可能である。実際の走行状況が、それに追加して、例えば走行速度vおよび/またはペダル角wped_wの時間勾配dwped_w/dtのような他の変数により同時に決定される場合、実際の走行状況を表わすこれらの全ての変数が入力変数として特性曲線群内に入力されてもよく、特性曲線群の出力変数は、絞り弁5の開度、ないしは例えばペダル角wped_wに対する目標値wped_wsollのような、絞り弁5の開度を表わす変数である。特性曲線ないしは特性曲線群は、同様に、例えば試験台上において適切に決定されてもよい。図2の特性曲線群15から出発して、図2の機能図により、特性曲線群15の他の入力変数として、ブレーキ・ペダルの操作度が入力されてもよく、この場合、走行速度vが同じままであり且つペダル角wped_wの時間勾配dwped_w/dtが同じままであるとき、ブレーキ・ペダルの操作の上昇と共に、ペダル角wped_wの目標値wped_wsoll、したがって絞り弁5の開度は低下する。この場合、制御スイッチ90は、惰性燃料遮断BSAのみにより、惰性燃料遮断BSAがセットされている場合には制御スイッチ90がその出力に特性曲線群15の出力を提供し、他の場合には目標値FWwped_wsollを提供するように制御されてもよい。
【0088】
ペダル角wped_wの時間勾配dwped_w/dtおよび/またはブレーキ・ペダルの操作度および/または走行速度vの関数として実際の走行状況を決定することに追加してまたはその代わりに、実際の走行状況が、水平面に対する車両の傾斜に関する情報の評価により決定されてもよい。このために、エンジン制御装置25は、傾斜センサ70の信号を評価する。ここで、エンジン制御装置25内に、水平面に対する車両の傾斜のための傾斜しきい値Nが設定されていてもよい。このとき、例えば、水平面に対する車両の傾斜の絶対値が所定の傾斜しきい値Nを超えているとき、絞り弁5の開度が絞り弁5の閉鎖位置の方向に低下され、この場合、絞り弁5は、例えば完全に閉鎖されてもよく、また水平面に対する車両の傾斜の絶対値が所定の傾斜しきい値Nを下回っているとき、絞り弁5の開度が絞り弁5の全開方向に上昇され、この場合、絞り弁5は、例えば完全に開放されてもよいように設計されていてもよい。したがって、傾斜しきい値Nを超え且つ水平面に対する車両の傾斜に対応する、その絶対値が大きい走行路面勾配が検出されたとき、惰行運転における実際の走行状況は、水平面に対する車両の傾斜により、高いエンジン・ブレーキ・トルクが希望されていることが検出可能である。この場合、交通安全上の理由から、高いエンジン・ブレーキ・トルクが希望されている。逆に、傾斜しきい値Nを下回り且つ水平面に対する車両の傾斜に対応する、その絶対値が小さい走行路面勾配が検出されたとき、惰行運転における実際の走行状況は、水平面に対する車両の傾斜により、低いエンジン・ブレーキ・トルクが希望されていることが検出可能である。この場合、交通安全上の理由から、高いエンジン・ブレーキ・トルクは必要ではなく且つより低いエンジン・ブレーキ・トルクが設定されてもよい。傾斜しきい値Nは、交通安全への必要な要求を満たすように、例えば試験台上においてまたは走行試験において適切に選択されてもよい。
【0089】
水平面に対する車両の勾配の関数として実際の走行状況を決定する場合においても、水平面に対する車両の異なる傾斜にそれぞれ絞り弁5の異なる開度を割り当てるように設計されていてもよく、この場合、この割当は特性曲線を介して行われてもよい。このようにして、同様に、水平面に対する車両の傾斜の関数として絞り弁5の開度の異なる設定が達成可能である。実際の走行状況が、それに追加して、例えば走行速度vおよび/またはペダル角wped_wの時間勾配dwped_w/dtおよび/またはブレーキ・ペダルの操作のような他の変数により同時に決定される場合、実際の走行状況を表わすこれらの全ての変数が入力変数として特性曲線群内に入力されてもよく、特性曲線群の出力変数は、絞り弁5の開度、ないしは例えばペダル角wped_wに対する目標値wped_wsollのような、絞り弁5の開度を表わす変数である。特性曲線ないしは特性曲線群は、同様に、例えば試験台上において適切に決定されてもよい。図2の特性曲線群15から出発して、図2の機能図により、特性曲線群15の他の入力変数として、水平面に対する車両の傾斜が入力されてもよく、この場合、走行速度vが同じままであり且つ加速ペダルwped_wの時間勾配dwped_w/dtが同じままであり、またブレーキ・ペダルの操作度が同じままであるとき、水平面に対する車両の傾斜の絶対値の上昇と共に、ペダル角wped_wの目標値wped_wsoll、したがって絞り弁5の開度は低下する。この場合、制御スイッチ90は、惰性燃料遮断BSAのみにより、惰性燃料遮断BSAがセットされている場合には、制御スイッチ90がその出力に特性曲線群15の出力を提供し、他の場合には目標値FWwped_wsollを提供するように制御されてもよい。
【0090】
さらに、オプションとして、車両または内燃機関1の安全に関係する構成要素または特性または運転変数にエラーが検出されたとき、安全上の理由から、エンジン・ブレーキ・トルクを上昇させ且つ車両をできるだけ急速に制動させるために、絞り弁5の開度は絞り弁の閉鎖位置の方向に低下される。この場合、絞り弁5が完全に閉鎖されたとき、最大ブレーキ作用が達成される。車両の安全に関係する構成要素に対する例として、ここでは、アンチロック・システムまたはブレーキ力増幅装置を挙げておく。内燃機関1の安全に関係する運転変数に対する例として、ここでは、エンジン温度またはエンジン・オイル・レベルを挙げておく。安全に関係する構成要素が故障した場合、または故障していなくてもそれらがエンジン制御装置25によりエラーを有するものとして検出された場合、または安全に関係する特性または運転変数がその許容範囲外にある場合、惰行運転の場合に、できるだけ大きいエンジン・ブレーキ・トルクを達成するために、実際の走行状況とは独立に絞り弁5はその閉鎖位置の方向に移動され、好ましくは完全に閉鎖される。
【0091】
図3には、本発明による方法の例示フローに対する流れ図が与えられている。プログラムがスタートした後、エンジン制御装置25は、プログラム点100において、惰行運転が存在するかどうかを検査する。これが肯定の場合、プログラムはプログラム点105に分岐され、否定の場合、プログラム点100に戻される。惰行運転の存在の検査は、上記のように、エンジン制御装置25が加速ペダルの操作度を評価することにより行われてもよい。加速ペダルが放されたとき、エンジン制御装置25は、惰行運転を検出し且つ惰性燃料遮断BSAをセットし、他の場合、エンジン制御装置25は、牽引運転を検出し且つ惰性燃料遮断BSAをリセットする。
【0092】
プログラム点105において、エンジン制御装置25は、車両または内燃機関1の安全に関係する構成要素または運転変数にエラーが存在しているかどうかを検査する。これが肯定の場合、プログラムはプログラム点140に分岐され、否定の場合、プログラム点110に分岐される。
【0093】
プログラム点110において、エンジン制御装置25は、上記のように、ブレーキ・ペダルの操作度を評価する。それに続いて、プログラムはプログラム点115に移行される。
【0094】
プログラム点115において、エンジン制御装置25は、ブレーキ・ペダルが操作されたかどうかを検査する。これが肯定の場合、プログラムはプログラム点140に分岐され、否定の場合、プログラム点120に分岐される。
【0095】
プログラム点120において、エンジン制御装置25は、傾斜センサ70の情報を評価し且つ水平面に対する車両の傾斜、したがって走行路面の勾配を決定する。それに続いて、プログラムはプログラム点125に移行される。
【0096】
プログラム点125において、エンジン制御装置25は、水平面に対する車両の傾斜の絶対値が所定の傾斜しきい値Nを超えているかどうかを検査する。これが肯定の場合、プログラムはプログラム点140に分岐され、否定の場合、プログラム点130に分岐される。
【0097】
プログラム点130において、エンジン制御装置25は、上記のように、惰行運転を達成するために加速ペダルを放したときに存在したペダル角wped_wの時間勾配dwped_w/dtを決定する。このために、加速ペダルの操作度が、エンジン制御装置25により、加速ペダル・モジュール10から提供された信号から離散時間間隔で走査され且つ記憶され、これにより、惰行運転を設定するための、加速ペダルを放したときの加速ペダルの操作度がエンジン制御装置25内に存在し、且つペダル角wped_wの時間勾配dwped_w/dtの計算のために使用可能である。さらに、エンジン制御装置25は実際の走行速度vを決定する。それに続いて、プログラムはプログラム点135に移行される。
【0098】
プログラム点135において、エンジン制御装置25により、以後においては考察されない図2の機能図からの特性曲線群15を用いて、走行速度vおよびペダル角wped_wの時間勾配dwped_w/dtの関数として、ペダル角に対する目標値wped_wsoll、したがって絞り弁5の設定されるべき開度が決定され、且つエンジン制御装置25により変換される。それに続いて、プログラムは終了される。
【0099】
プログラム点140において、エンジン制御装置25は、絞り弁5を完全に閉鎖させる。それに続いて、プログラムは終了される。
即ち、図3の流れ図により、惰行運転におけるエンジン・ブレーキ・トルクの、特性曲線群により制御された設定およびしきい値により制御された設定の混合形式が、例として提供され、この場合、実際の走行状況は、ブレーキ・ペダルの操作度に関しておよび水平面に対する車両の傾斜に関して、しきい値判定により決定され、また加速ペダルのペダル角wped_wの勾配dwped_w/dtおよび走行速度vに関して、特性曲線により決定され、この場合、さらに、実際の走行状況を決定するために、ブレーキ・ペダルの操作の評価が傾斜センサ70の評価に優先し、且つ傾斜センサ70の評価が加速ペダルのペダル角wped_wの勾配dwped_w/dtおよび走行速度vの評価に優先する。
【0100】
図4に図3の流れ図の変更態様が示されている。ここで、プログラム点130および135が図4の流れ図により置き換えられる。その他は、図3の流れ図が変更なしに保持されたままである。即ち、図4の実施形態により、プログラム点125から、否定の場合にプログラムはプログラム点145に分岐される。
【0101】
プログラム点145において、エンジン制御装置25は、上記のように、図3のプログラム点130においてと同様に、惰行運転を達成するために加速ペダルを放したときに存在したペダル角wped_wの時間勾配dwped_w/dtを決定する。それに続いて、プログラムはプログラム点150に移行される。
【0102】
プログラム点150において、エンジン制御装置25は、時間勾配dwped_w/dtが所定のしきい値Swped_wを下回っているかどうかを検査する。これが肯定の場合、プログラムはプログラム点140に分岐され、否定の場合、プログラム点160に分岐される。
【0103】
プログラム点140において、エンジン制御装置25は、絞り弁5を完全に閉鎖させる。この場合、プログラム点140は、図3の流れ図から移動されている。それに続いて、プログラムは終了される。
【0104】
プログラム点160において、エンジン制御装置25は、絞り弁5を完全に開放させる。それに続いて、プログラムは終了される。
図3および図4の2つの流れ図は、それぞれ本発明による方法の例示フローを示す。きわめて一般的には、実際の走行状況は、前記基準、即ち、ペダル角wped_wの時間勾配dwped_w/dt、ブレーキ・ペダルの操作度、走行速度v、水平面に対する車両の傾斜の各々に関して、特性曲線または特性曲線群により制御され、またはしきい値により制御され、また任意の順序で階層的に決定されても、または非階層的に例えば全ての基準に対してただ1つの特性曲線群により決定されてもよい。例えば回転速度センサ60により決定されるエンジン回転速度のような他の基準が実際の走行状況の決定のために使用されてもよい。実際の走行状況の決定のために使用される基準が多ければ多いほど、それだけ実際の走行状況はより細かく且つ詳細に決定可能である。決定された実際の走行状況から、次に、上記のように、惰行運転において設定されるべき絞り弁5の開度ないしは絞り弁5の開度を表わす設定されるべき変数が決定される。
【0105】
例えば、排ガス要求または構造要素保護要求からの優位の目的が中止を要求したとき、本発明による方法は中止されてもよい。
上記の例においては、設定されるべき給気量が、ペダル角の勾配の関数として、それぞれ1つの特性曲線またはそれぞれ1つの特性曲線群により決定されてもよいことが説明されてきた。給気量に追加してまたはその代わりに、操作変数として、設定されるべき点火角、および/または設定されるべき燃料供給量、および/または設定されるべき変速比が使用された場合、これらの変数もまた、ペダル角の勾配、一般的には加速ペダルの操作から導かれた変数の勾配の関数として、それぞれ1つの特性曲線またはそれぞれ1つの特性曲線群により決定されてもよい。それに対応して、加速ペダルの操作から導かれた変数の勾配の代わりに、代替態様または追加態様として、駆動ユニット180の出力変数に対する設定から導かれた変数の勾配が、それぞれ1つの特性曲線またはそれぞれ1つの特性曲線群により設定される場合に対しても、これが適用される。
【0106】
さらに、代替態様として、あるストローク範囲にわたり可動な加速ペダルの代わりに、実際にドライバが操作したときに位置変化を行わない蓄圧器のみが使用されるように設計されていてもよい。この場合、操作要素の操作から導かれた変数の勾配は、例えば蓄圧器により決定された圧力時間線図の勾配、即ち圧力の時間変化となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】図1は内燃機関を有する車両駆動ユニットのブロック回路図を示す。
【図2】図2は本発明による方法および本発明による装置の例示形態の機能図を示す。
【図3】図3は本発明による方法の例示フローの流れ図を示す。
【図4】図4は図3の流れ図の代替流れ図を示す。
【図5】図5は希望走行方式を選択するためのブロック回路図を示す。
【図6】図6は希望走行方式を選択するための流れ図を示す。
【図7】図7は本発明による方法および本発明による装置の機能方式を表わすための、駆動ユニットのエンジン回転速度に対する車両駆動ユニットのトルク線図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動ユニット(180)の惰性運転において、駆動ユニット(180)の出力変数が事前設定走行方式により設定される、車両駆動ユニット(180)の運転方法において、
駆動ユニット(180)の惰性運転に対して少なくとも2つの事前設定走行方式が設定されること、および
惰性運転において、事前設定走行方式のいずれかが走行状況の関数として選択されること、
を特徴とする車両駆動ユニットの運転方法。
【請求項2】
出力変数が駆動ユニット(180)の少なくとも1つの操作変数によって設定されること、および
少なくとも1つの操作変数が、選択走行方式の関数として設定されること、
を特徴とする請求項1に記載の運転方法。
【請求項3】
操作変数として、駆動ユニット(180)の内燃機関(1)への給気量、および/または点火角、および/または内燃機関(1)への燃料供給量、および/または変速比が選択されることを特徴とする請求項2に記載の運転方法。
【請求項4】
第1の走行状況が存在した場合、給気量が低下され、および/または点火角が遅れ方向に調節され、および/または燃料供給量が低下され、および/または変速比が低下される第1の走行方式が選択されること、および
第2の走行状況が存在した場合、給気量が上昇され、および/または点火角が進み方向に調節され、および/または燃料供給量が上昇され、および/または変速比が上昇される第2の走行方式が選択されること、
を特徴とする請求項3に記載の運転方法。
【請求項5】
走行状況が、操作要素(10)の操作から導かれた変数または駆動ユニット(180)の出力変数に対する設定から導かれた変数の勾配の評価により決定されること、および
勾配が所定のしきい値を下回っているときに第1の走行状況が検出され、且つ勾配が所定のしきい値を超えているときに第2の走行状況が検出されること、
を特徴とする請求項4に記載の運転方法。
【請求項6】
設定されるべき給気量、および/または設定されるべき点火角、および/または設定されるべき燃料供給量、および/または設定されるべき変速比が、操作要素(10)の操作から導かれた変数または駆動ユニット(180)の出力変数に対する設定から導かれた変数の勾配の関数として、それぞれ1つの特性曲線またはそれぞれ1つの特性曲線群(15)により決定されることを特徴とする、請求項3が引用されている場合の請求項4に記載の運転方法。
【請求項7】
走行状況がブレーキ・ペダル(20)の操作の評価により決定されること、および
ブレーキ・ペダル(20)が踏み込まれているときに第1の走行状況が検出され、且つブレーキ・ペダル(20)が放されているときに第2の走行状況が検出されること、
を特徴とする請求項4ないし6のいずれかに記載の運転方法。
【請求項8】
走行状況が水平面に対する車両の傾斜に関する情報の評価により決定されること、および
傾斜の絶対値が所定のしきい値を超えているときに第1の走行状況が検出され、且つ傾斜の絶対値が所定のしきい値を下回っているときに第2の走行状況が検出されること、
を特徴とする請求項4ないし7のいずれかに記載の運転方法。
【請求項9】
走行状況が走行速度または先行車両または走行路面上の検出障害物または交通案内の評価により決定されることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の運転方法。
【請求項10】
エンジン回転速度の車両速度に対する比が所定のしきい値を超えているときに第1の走行状況が検出されること、および
他の場合に第2の走行状況が検出されること、
を特徴とする、請求項4ないし8のいずれかが引用されている場合の請求項9に記載の運転方法。
【請求項11】
先行車両との間隔が所定のしきい値を下回り、および/または先行車両への接近速度が所定のしきい値を超え、および/または走行路面上に障害物が検出され、および/または車両がカーブまたは交差点または合流点に接近していることが検出されたときに第1の走行状況が検出されること、および
他の場合に第2の走行状況が検出されること、
を特徴とする、請求項4ないし8のいずれかが引用されている場合の請求項9または10に記載の運転方法。
【請求項12】
所定の時間内に変速機の戻り切換が検出されたときに第1の走行状況が検出されること、および
他の場合に第2の走行状況が検出されること、
を特徴とする請求項4ないし11のいずれかに記載の運転方法。
【請求項13】
自動変速機において選択レバーまたはこれに対応する操作要素が、Drive(駆動)ないしはDとは異なる位置にあるときに第1の走行状況が検出されること、および
他の場合に第2の走行状況が検出されること、
を特徴とする請求項4ないし12のいずれかに記載の運転方法。
【請求項14】
車両または駆動ユニット(180)の安全に関係する構成要素にエラーが検出された場合、給気量が低下され、および/または点火角が遅れ方向にシフトされ、および/または燃料供給量が低下され、および/または変速比が低下されることを特徴とする請求項3ないし13のいずれかに記載の運転方法。
【請求項15】
第1の走行状況が存在した場合に、駆動ユニット(180)の運転変数、特にエンジン回転速度に対する第1の所定のしきい値を超えているときには燃料供給が完全に遮断される、前記第1の所定のしきい値が、第2の走行状況が存在した場合よりも低い値に存在することを特徴とする、請求項3が引用されている場合の請求項4ないし14のいずれかに記載の運転方法。
【請求項16】
第1の走行状況が存在した場合に、駆動ユニット(180)の運転変数、特にエンジン回転速度に対する第2の所定のしきい値を下回っているときには燃料供給が前の遮断後に再開される、前記第2の所定のしきい値が、第2の走行状況が存在した場合よりも低い値に存在することを特徴とする、請求項3が引用されている場合の請求項4ないし15のいずれかに記載の運転方法。
【請求項17】
第1の走行状況または第2の走行状況が存在する確率が、対応の走行状況を検出するためのいずれの1つの条件またはいずれの複数の条件が存在するかの関数として決定されること、および
それらが存在する対応の確率が所定のしきい値を超えているときにのみ第1の走行状況または第2の走行状況が検出されること、
を特徴とする請求項4ないし16のいずれかに記載の運転方法。
【請求項18】
第1の走行状況を選択したときに出力変数に対して最小値が設定されることを特徴とする請求項1ないし17のいずれかに記載の運転方法。
【請求項19】
第1の走行方式により駆動ユニット(180)の出力変数が低下されること、および
第2の走行方式により駆動ユニット(180)の出力変数が保持または上昇されること、
を特徴とする請求項1ないし18のいずれかに記載の運転方法。
【請求項20】
駆動ユニット(180)の惰性運転において、駆動ユニット(180)の出力変数を事前設定走行方式により設定するための設定手段(185)を有する、車両駆動ユニット(180)の運転装置(25)において、
駆動ユニット(180)の惰性運転に対して少なくとも2つの事前設定走行方式を設定する設定手段(190)と、
惰性運転において、所定の走行方式のいずれかを走行状況の関数として選択する選択手段(195)と、
を備えたことを特徴とする車両駆動ユニットの運転装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−515333(P2007−515333A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−544466(P2006−544466)
【出願日】平成16年12月20日(2004.12.20)
【国際出願番号】PCT/EP2004/053619
【国際公開番号】WO2005/061875
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(591245473)ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (591)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【Fターム(参考)】