説明

腐食と表面欠陥を走査するための方法と装置

本発明は、パイプラインの安全な使用の寿命を判定する方法および装置に関し、以下のステップからなる。
a)パイプライン上で表面腐食解析の領域を画定するステップ。
b)パイプライン上で画定された領域を走査するための腐食走査システムを提供するステップ。
c)腐食走査システムによって画定された領域の表面上の腐食の位置を特定し、その腐食を測定するステップ。
d)腐食走査システムによって画定領域でのパイプラインの残存壁厚を判定するステップ。
e)ステップc)とd)とで得られた画定領域での腐食に関する表面状態データを処理して、パイプラインの安全な使用の寿命を判定するステップ。
別の態様では、本発明は、本発明による方法を実施するための腐食走査システムに関する。別の態様では、本発明は、パイプラインの安全な寿命を予測するための予測システムに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腐食またはへこみや第三者が引き起こす損傷等の表面欠陥の有無を発見するための部材検査の分野に関する。特に本発明は、パイプライン中またはパイプライン上の腐食を判定し、解析するための方法と装置に関する。更に本発明はまたパイプラインの安全な使用の寿命を判定する方法と装置に関する。別の態様は、本発明は、パイプラインの安全な寿命を予測する予測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
使用中のパイプ、タンク、あるいはその他工業物品の内外表面上の腐食により、部材の完全性が損なわれ、その装置の使用寿命が減少する可能性がある。欠陥は様々な形を取り、1つまたは複数のメカニズムによって始まり、結果として腐食および/または割れが形成される可能性がある。これらの要因は広範囲な部材に影響し、自動車、工業製品、航空宇宙、パイプライン、発電所、タンク、容器、熱交換器、気体/圧縮ボトル、沖合のプラットフォームの支柱、煙突、蒸留塔および船舶等をはじめとして多くの工業に亘る。
【0003】
腐食は、主に電気化学的方法に起因する2つの部材間で電子交換が行われる母材の破壊である。腐食は、早期の劣化によって製品の意匠寿命を短くする可能性を有する。種々の腐食が存在する。腐食は、腐食される全表面に亘って略同じ速度で均一または全面的に進行する。点蝕が生じると局所的な腐食により金属表面には複数の孔が生じることになる。割れ目腐食が部材の割れ目に、あるいはその直近の周辺に生じる。粒界腐食は、金属の粒界で、あるいはその近傍での腐食をもたらす。壊食は、高いレベルの過流を有する流れの速い液体で通常生じるエロージョンと腐食の両方が係わり生じる。環境誘起型の割れは、機械的応力と腐食との共同作用から生じる。
【0004】
種々の腐食タイプは、明確に異なる腐食パターンを作りだす。しかしながら、その腐食が広い領域に影響する低レベルの孔食の結果であろうと、より破壊的な電解腐食または微生物学的に影響を受けた腐食であろうと、いずれにしてもその結果はパイプやその他の構造物の完全性を危うくする可能性のある金属損失である。形成された腐食パターンは、均一な欠陥、毛孔面、条痕、溝型欠陥を含むものである。
【0005】
パイプライン中の腐食は、多額の費用を要する問題であり、常に産業によって取り組む必要のある問題である。パイプライン作業者は、パイプラインの腐食状態を判定するために種々のインライン検査道具を使用する。そのような検査道具の1つは、いわゆるピグとスマートピグあるいはスクレーパから構成される。ピグは、ある特定のパイプラインと同一径の筒状プラグであり、スマートピグは、パイプラインの中で、且つパイプラインの端から端まで動くことができる検査運搬具で、その上には機械的な構成品、例えば、高度な電子センサー、データ収集装置が搭載される。多くのパイプラインは、発射機と受動機を備え、それにより遠隔制御のスマートピグがパイプラインの端から端まで往復運動し、パイプの状態を定期的に評価することが可能になる。更にパイプの中に入り、一方向に移動し、ケーブルによって引き出すことのできるケーブルピグもある。インラインスマートピグは、損傷や腐食を識別し、且つパイプライン全体の状態を評価することができる。
【0006】
しかしながら、点蝕を測定するためにスマートピグを用いる方法は、概ね効果的ではあるがいくつかの欠点がある。このようなスマートピグの使用時の欠点の1つは、鋭い角の周りを横切ったり、異なる大きさの開口部に割込んだり、パイプ寸法を変更したりすることが困難なことである。そのため、この測定方法は、真っ直ぐなパイプ部分に沿って主に長さ方向に行われ、パイプ表面上のエルボ、ベンド、湾曲した周辺部の評価については、本来は望まれる評価であるが、あらかじめ避けている。加えて、既存の測定器具は機械的な制限があり、そのことが、更に、腐食の測定を小さな領域や点に制限している。その結果、公知の方法では正確性や分解能が劣るデータしか通常は得られない。パイプ径の大きさため中に入ることが妨げられるところでは、内面へのアクセスは、開口部近傍の面に限定されてしまう。
【0007】
カニアとキャロル(非特許文献1)は、露出したパイプラインの内外腐食測定のため、3つのシステム、即ち、レーザーによるパイプライン腐食評価システム、半自動超音波システム、そして磁束漏洩スキャナーの使用に関して記述している。これらのシステムによる結果は、パイプラインの状態を評価し、必要ならば適切な是正措置を提案するRSTRNG等の腐食評価手順に用いられる。しかしながら、記載された技術によって腐食領域を検知し、その腐食領域を特定することはできるが、パイプラインの安全な使用を検討する必要がある場合でも、パイプラインの残存寿命に関する情報を提供しない。
【0008】
結論として、腐食測定の公知の方法は、機械的に限定されるばかりでなく、当該方法を実行し、データを処理し、結果を解析するために必要とされる労力のため、高価で時間がかかるものである。加えて、腐食がパイプラインの中で検知され、その位置を特定できても、現在使用できる方法では、パイプラインの安全な使用をまだ検討する必要がある場合でも、パイプラインの残存寿命を判定することができないという他の主要な欠点がある。
【非特許文献1】国際パイプライン会議 第一巻 ASME 309〜313ページ、1998年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、内外表面を解析する、費用効果のある腐食・表面解析装置を提供する必要性があり、そしてすべてのタイプのパイプ部分における腐食の迅速な測定と評価を可能にし且つ現在知られている方法・装置の欠点を解消する方法を提供する必要性がある。
【0010】
そのため、本発明の目的は、特に、パイプライン、タンク、容器、煙突等の腐食を測定する改善された方法と装置を提供することである。特に、本発明の目的は、パイプラインの安全な使用の寿命を判定する方法と装置を提供することである。
【0011】
気体・液体搬送パイプラインでは、腐食は危険で高価な損傷の原因になり得、定期的なベースでのパイプ状態の評価が必要となる。今日、石油・ガス工業が直面する2つの主要な関心は、環境保護とその環境保護下におけるパイプラインの安全な操業である。その結果、腐食欠陥およびその伝播・分布の効果的な寸法の分類、測定、記録保存は、あらゆるパイプライン操業会社にとって主要な検討課題である。
【0012】
パイプラインの腐食を測定する現在公知の方法は、パイプラインの腐食し易い領域を特定できるが、腐食したパイプラインの安全な使用の残存寿命を判定することはできない。本発明は、この問題の解決のためパイプラインの安全な使用の寿命を判定する改善された方法と装置を提供する。本発明の装置と方法は、より良く金属損失を画定し、特徴づけ、大きさで分類することを可能にする。
【0013】
本発明は、腐食の生ずる可能性のある対象物の安全な使用の寿命を判定する改善された方法と装置に関する。本発明についてパイプライン、例えば、気体あるいは液体搬送用パイプラインの安全な使用の寿命の判定を参照して説明する。しかしながら、本発明による方法と装置を使用して腐食およびへこみや第三者が引き起こす損傷等の表面欠陥を判定でき、そして他の対象物、例えば、これらに限定されないが、高速道路橋、鉄道路線、自動車、飛行機、船、原子炉、クレーン、タンク、容器、煙突、バン、熱交換器、蒸留塔、気体・液体圧力ボトル、沖合のプラットフォームの支柱、熱交換器等の安全な使用の寿命を判定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
第一の態様として、本発明はパイプラインの安全な使用の寿命を判定する方法に関し、以下のステップからなる。
a)パイプライン上で表面腐食解析の領域を画定するステップ。
b)パイプライン上で画定された領域を走査するための腐食走査システムを提供するステップ。
c)腐食走査システムにより画定領域の表面上の腐食の位置を特定し該腐食を測定することにより、前記表面上の複数の腐食孔の位置を特定し該腐食孔を測定するステップ。
d)腐食走査システムにより画定領域でのパイプラインの壁厚を判定するステップ。
e)ステップc)とd)とで得られた画定領域での腐食に関する表面状態データを処理して、安全な使用の寿命を判定するステップ。
【0015】
好ましい実施例では、本発明は、更に上記した方法に関し、欠陥上の最も少ない金属損失領域の部位を識別し、走査し、解析することを可能にする。別の好ましい実施例では、本発明は、更に上記した方法に関し、ある表面欠陥内の最も深い点の河床の最悪ケースのプロファイルを自動的に生成することを可能にする。
【0016】
ここで用いる対象物の「安全な使用の寿命」とは、該対象物が確実に、すなわち安全に使用でき、腐食に起因する対象物の亀裂、損傷が予想されないとされる残存期間を意味する。
【0017】
「パイプライン上の画定領域」とは、パイプラインの外側および/または内側の領域を含むことを意味する。
【0018】
ここで用いる「表面状態データ」の用語は、パイプラインの外側表面の状態データおよび/またはパイプラインの内側表面の状態データを含むことを意味する。
【0019】
本発明による方法は、対象の画定領域の腐食に関する、容易に使用可能な出力を提供することを可能にする。該出力を使用して、特定の領域の点蝕やその孔の深さを認識し、残りの部材の量、つまり、パイプラインの残りの壁厚と腐食したパイプラインの強度を評価することができる。そのため、3次元面のすべての可能な方向に移動できる腐食走査システムが使用される。
【0020】
このように本発明は、腐食走査システムを3次元方向に移動させることで画定領域の表面上の腐食の位置を特定し、該腐食を測定し、パイプラインの表面上の複数の腐食孔の位置を特定する。本発明による方法に使用される腐食走査システムは、3次元面内のすべての可能な方向に位置できるように構成される。
【0021】
好ましい実施例では、本発明は上記した方法に関し、ステップc)とd)は、画定領域の表面上で腐食操作システムを3次元に移動させるステップから構成されるので、腐食走査システムによる各測定は(内側および/または外側)表面状態データをX、YおよびZ座標で提供する。
【0022】
更により好ましい実施例では、本発明による方法のステップc)とd)は、画定領域の表面上で腐食走査システムを3次元に移動させるステップから構成されるので、腐食走査システムによる各測定について、X、YおよびZ座標の表面状態データは可変となる。
【0023】
その結果、パイプラインは、すべての可能な方向で走査することができる。表面状態データは、3次元で得ることができ、現在公知の方法の場合よりパイプラインの腐食孔の表面状態をより正確に、より正しく評価をすることとなる。
【0024】
加えて、本発明はまた腐食を受けやすいパイプライン上の領域の位置を特定し、その領域を特徴づけることを可能にする。そのため、本発明の方法は、隣接する腐食孔の位置を特定し、その腐食孔を拡大し、腐食の受けやすい領域として解釈する。
【0025】
第二の態様として、本発明は、以下の構成からなる腐食走査システムに関する。
−装置を3次元で位置決めし、移動させる位置決めアームにおいて、装置が脱着自在に接続できる位置決めアームと、
―表面の領域へレーザー光を発光し反射されたレーザー光を検知してその領域の状態を評価するレーザー装置において、位置決めアームに脱着自在に取り付けられるレーザー装置と、
―レーザー装置と位置決めアームを制御するためそれらに接続され、レーザー装置から得られた表面状態データを受信し処理する第一コンピューター読み取り可能手段。
【0026】
好ましい実施例では、腐食走査システムはさらに以下の構成からなる。
―表面の領域へアコースティック信号を送信し反射されたアコースティック信号を検知して該領域の状態を評価する超音波測定装置において、位置決めアームに脱着自在に取り付けられる超音波測定装置と、
―超音波測定装置と位置決めアームを制御するためそれらに接続され、超音波測定装置から得られた表面状態データを受信し処理する第二コンピューター読み取り可能手段。
【0027】
好ましい実施例では、腐食走査システムは追加の測定装置、例えば、限定されないが、レーザー超音波プローブまたは後方散乱プローブから構成してもよい。
【0028】
前記腐食走査システムは、パイプライン上の腐食の位置と過酷度を判定することにより、更にまた腐食した領域でのパイプラインの残りの壁厚を判定することによってパイプラインの安全な使用の寿命を判定することを可能にする。そのために腐食走査システムは、レーザー装置と、また好ましくは、超音波測定装置またはレーザー超音波測定装置またはガンマ光線あるいはベータ光線に基づく後方散乱測定装置とを備え、当該レーザー装置や測定装置の両方とも位置決めアームに装着でき、その結果3次元で移動できる。
【0029】
前記レーザー装置と超音波測定装置は3次元面においてすべての可能な方向へ移動できるので、該装置は、腐食孔の位置や、幅、深さ、構造、形等の表面特性を含む腐食孔の表面状態を非常に正確に判定することができる。特に、前記腐食走査システムによる各測定はX、Y、Z座標での表面状態データを提供する。更に、腐食走査システムによる各測定に対して、X、Y、Z座標の表面状態データは可変となる。有利な点として、3つの可変方向で表面状態データを得ることができることによって腐食に関してより正しく、正確な情報を得ることができることである。
【0030】
腐食走査システムの適切なコンピューター読み取り可能手段は、レーザー装置と超音波測定装置によって得られた表面状態データを受信し、処理し、パイプラインを使用しても安全であるパイプラインの残りの寿命を計算することを可能にする。
【0031】
ここで用いる「第一コンピューター読み取り可能手段」と「第二コンピューター読み取り可能手段」という用語は、1つの共通プロセッサーを有する2つの異なるコンピューターまたは、2つの異なるプロセッサーを有する1つのコンピューターを意味する。この後者の場合は、レーザー装置を使用して得られたデータは、一方のプロセッサーによって処理される一方、他方のプロセッサーは、超音波測定装置を使用して得られたデータを処理する。これらのコンピューターは携帯型コンピューターあるいはフィールドコンピューターでもよい。
【0032】
第三の態様では、本発明は本発明による方法によって得られたデータとこのデータからなるデータベースに関する。加えて、本発明は、本発明による方法によって得られたこのデータの使用に更に関し、このデータの使用によりパイプラインの安全な使用の寿命を判定する予測プログラムを作成する。
【0033】
このように本発明は、パイプライン中あるいはパイプライン上の腐食を検知し、その位置を特定し、腐食を解析することでパイプラインの残存耐用年数とパイプラインの安全な使用の寿命を計算することを可能にする方法を提供する。この方法は、パイプライン厚み、表面腐食に関するデータのみを使用して腐食を検知し、その位置を特定し、パイプラインの残存耐用年数を計算する。なお、表面腐食と厚みの測定は単一のシステムによって行われる。
【0034】
当業者は以下に示す詳細な記載と添付図面に基づき本発明の実施例と最終用途の多くの可能性を即座に認識するであろう。
【0035】
腐食は、環境との反応に起因して通常は金属またはその性質を有する物質の劣化として通常定義される自然に生ずる現象である。腐食は、対象物、例えば、高速道路橋、気体・液体搬送パイプライン、鉄道路線、自動車、飛行機、船、クレーン、石油精製工場、化学工場、石油化学と医薬生産工場、原子力発電所等に危険で高価な損傷を与える原因となりえる。腐食は、構造上の欠陥、生命の損失、資本投資の損失、環境の悪化につながるため、検知し、測定し、マッピングし、評価する必要がある。
【0036】
腐食損傷は常に同じ速度で且つ同じ腐食メカニズムで生じるという一般的な誤解がある。ただし、これは実際には事実ではない。腐食は、特定のタイプの操業状況が係わる場面で生じ、例えば、温度の変動や製品の化学的性質の変化に伴う製品とパイプ部材との間の相互作用が原因となる。腐食の過酷度、即ち、潜在する破滅的な性質は速度だけでは判定できない。例えば、加圧システムでは、進行速度の遅い局所的な腐食(例えば、点蝕)は進行速度の速い一般的な腐食よりパイプの完全性に対してはるかに悪い影響を与える可能性がある。
【0037】
本発明は、湾曲した並びに真っ直ぐなパイプ部分の重要箇所における腐食の迅速な測定と評価を可能にして関連費用を削減する腐食走査システムと方法を提供する。パイプ部分の除去または修復に関する決定をより確信をもって行うことができるので、正確性が劣る従来技術のアプローチを使用するときに要求される不必要な修復をなくすことになり、この正確性の向上により更にコスト削減がもたらされる。更に、安全係数を低く抑えることができる信頼できる修復が行えるようになり、更なるコスト削減が達成される。前記システムと方法はまたパイプ内と共にパイプ外の腐食欠陥に伴う金属損失を識別し、計算し、記録することを可能にする。
【0038】
方法
第一の実施例では、本発明は、パイプエルボ、パイプ周囲、パイプ溶接部等の平らな面、湾曲した面、あるいは溶接面上に適用することができる、パイプラインの安全な使用の寿命を判定する方法を提供する。
【0039】
前記方法は、パイプライン上での表面腐食解析の領域を画定し、パイプライン上で画定した内側および/または外側領域を走査する腐食走査システムを提供する初期ステップを含む。次に腐食は、腐食走査システムによって画定領域の表面上でその位置が特定され、測定される。それによって、この表面上で複数の腐食孔がその位置を特定され、測定される。本発明のステップの更なるステップにおいて、画定領域でのパイプラインの残存壁厚は腐食走査システムによって測定される。最終ステップにおいて、前記方法の腐食走査システムによって得られた画定領域での腐食に関する表面状態データは処理されて、パイプラインの安全な使用の寿命を判定する。
【0040】
本発明による方法は、対象の画定領域での腐食に関連する、容易に使用可能な出力を提供することを可能にする。前記出力を使用して特定領域にある点蝕および孔の深さを識別し、残存部材の量、すなわち、腐食したパイプラインの残存壁厚とその強度を評価することができる。
【0041】
従来の方法では、腐食走査は通常パイプライン上の固定距離、即ち、Z座標が一定で行われる。その結果、2次元、即ち、可変X、Y座標での可変表面状態座標のみが提供される。従来の方法では、Z座標の表面状態データは測定されない。
【0042】
これに対して、本発明による方法は3次元で腐食走査を行う。このことは、走査は、被走査のパイプラインに対して固定した距離で行われないことを意味する。本発明による方法では、3次元面のすべての可能な方向へ移動できる腐食走査システムが適用される。その結果、上述の提供される方法の腐食走査システムで実施される各測定はX、Y座標並びにZ座標の表面状態データを提供する。更に、この腐食走査システムによる各測定は、可変であるX、Y、Z座標の表面状態データを提供する。測定状態に応じて変化する3次元座標は腐食に関するより正確な、より完全な、より効果的なデータを提供でき、これは従来の腐食走査システムの使用では得る事のできないものである。
【0043】
特定の実施例では、本発明は、個々の腐食孔を識別するための方法を提供するばかりでなく、パイプライン上の腐食しやすい領域を判定する方法も提供する。そのため、本発明による方法に使用される腐食走査システムは、個々の腐食孔の位置を特定できるように構成される。位置が特定された隣接する孔はグループ化され、腐食しやすい領域として示される。
【0044】
本発明の方法は、X、Y、Z方向に移動できる腐食走査システムによって画定領域の表面の位置を特定し、その表面を測定することを可能にするので、本発明は、真っ直ぐな並びに湾曲したパイプ領域、および通常は腐食をより受けやすく、腐食解析が望まれる溶接領域を含むパイプラインのすべての部分で行われる腐食解析の方法を提供する。
【0045】
本発明による方法に使用される腐食走査システムは、好ましくは、装置を3次元方向に位置決めし、移動させる位置決めアームにおいて、装置が脱着自在に接続できる位置決めアームと、表面の領域へレーザー光を発光し反射されたレーザー光を検知してその領域の状態を評価するのに適したレーザー装置において、位置決めアームに脱着自在に取り付けられるレーザー装置と、レーザー装置と位置決めアームの制御のためそれらに接続が可能で、レーザー装置から得られる表面状態データを受信し、処理するのに適している第一コンピューター読み取り可能手段とから構成される。
【0046】
好ましい実施例では、本発明は上記に定義された方法に関し、第一コンピューター読み取り可能手段は、最適アルゴリズム的方法を用いてレーザー装置により得ることができる表面状態データを受信し、処理するのに適している。この最適アルゴリズム的方法の詳細は以下の通りである。
【0047】
更なる実施例では、前記第一コンピューター読み取り可能手段はまた表面基準技術、内側壁厚の明細を可能にする技術、浮動最適平面技術等の他の技術の使用によりレーザー装置により得ることができる表面状態データを受信し、処理するのに適してもいる。これらの技術の詳細は以下の通りである。
【0048】
更に一層好ましい実施例では、本発明による方法で使用された腐食走査システムはさらに以下の構成からなる。
表面の領域へアコースティック信号を送信し反射されたアコースティック信号を検知してその領域の状態を評価する超音波測定装置において、位置決めアームに脱着自在に取り付けられる超音波測定装置と、
超音波測定装置と位置決めアームの制御のためそれらに接続することができる第二コンピューター読み取り可能手段において、超音波測定装置から得られた表面状態データを受信し、処理する第二コンピューター読み取り可能手段。
【0049】
好ましくは、他の実施例によれば、本発明は、第二コンピューター読み取り可能手段は第一コンピューター読み取り可能手段と異なり、第二コンピューター読み取り可能手段は第一コンピューター読み取り可能手段と通信可能に接続するのに適している方法に関する。
【0050】
腐食走査システム
他の実施例では、本発明は、腐食走査解析のため画定した対象の表面の領域上の腐食を判定し、特徴づけるための腐食走査システムに関する。該腐食走査システムは、位置決めアームと、このアームに脱着自在に接続できるレーザー装置と、レーザー装置と位置決めアームの制御のためそれらに接続するコンピューター読み取り可能手段とから構成される。
【0051】
図1には、腐食走査システムの位置決めアーム1の例が示されている。位置決めアームは手動または自動で作動できる。この代表として示す位置決めアーム1は、取り付け要素5上にアーム1を位置決めするのに適した基材2と、基材2に回動可能に接続する第一支柱3と、第一支柱1に回動可能に接続し、少なくとも1つの装置が回動可能に、脱着自在に取り付けられるのに適した第二支柱4とから構成される。重要なことは、このアーム1は、腐食走査解析のために画定した領域上で、当該アーム1に脱着自在に接続する少なくとも1つの装置を3次元で位置決めし、移動することができることである。位置決めアームの第一支柱3と第二支柱4は、好ましくは金属、アルミニウム、もしくはセベラーのような複合材料から作られる。好ましい実施例では、位置決めアームの支柱3及び4は複合材料から作られる。この材料は温度変動の影響を受けにくい利点がある。
【0052】
位置決めアームの支柱の数は、図1に示す数に限定されない。ここでは3次元ローカライザーとしても示される位置決めアームは、支柱の数に応じて単一軸、あるいは多数の軸、例えば、異なる支柱間で1つの限定軸あるいは非限定軸から14以上の自由軸まで持つことができる。当該アームは、磁気車輪を有する台車上に置くことができ、装置の変位や移動を計算し記録するエンコーダーを備えることができる。
【0053】
他の好ましい実施例では、1つ、あるいは複数の測定装置、例えば、レーザースキャナー、超音波測定装置、そして他のプローブはすべて同一の位置決めアーム上に取り付けることができる。これらの装置は、位置決めアームの支柱の1つに取り付けることができ、位置決めアームの第二、第三、あるいは第四支柱のいずれかの上に取り付けることができる。
【0054】
他の好ましい実施例では、本発明による腐食走査システムは、前記位置決めアームに取り付けられた測定装置に接続でき、前記測定装置の温度を制御することができる冷却システムを更に有する。適切な冷却システムは、限定されないが、冷却板による閉回路冷却システム、または位置決めアームおよび/またはレーザーセンサーあるいは白色光スキャナーのための圧縮機冷却機構および/または温度補償機構、あるいはセンサーハウジング内の空気流による冷却機構からなる。温度補償機構はPT100、PT1000等によって測定装置と3次元ローカライザーに内蔵され、測定値を環境温度で補正することができる。
【0055】
前記位置決めアームは、正確性が高く、持ち運び可能なので環境に関係なく、必要なところで簡単に組み立てることができる。この好ましい実施例では、位置決めアームは持ち運び可能にまたは固定使用に設計され、種々のタイプの取り付け要素または取り付け面、例えば、これに限定されないが、テーブルトップ、スライドレール、三脚台、磁気ブロック、カムロック等の上に位置決めアームを装着することができる基材2を備える。このように位置決めアームはまた磁石により走査される対象物の表面上に取り付けることができる。このような磁石は、例えば、電磁石あるいは、カムロックを有する磁石であってもよい。好ましくは、位置決めアーム1の基材は被測定面に脱着自在に接続する。位置決めアームを脱着自在に接続するために、脱着自在な接続手段、例えばストラップ、固定または活性磁石等の磁石手段、クランプ、ブラケット、スタッド、フレーム、真空グリッピング、カムロックシステム等をアプリケーションが必要とすれば使用して、位置決めアーム1を表面に対して固定してもよい。同様に、位置決めアーム1は、位置決めアーム1を搬送する可動型キャリッジまたは固定キャリッジ上に設けてもよい。図3は、例えば、本発明による位置決めアーム1のスライドレール10上への装着を示している。このようなスライドレールは、位置決めアームが軸方向と径方向に移動できるような横方向レールシステムに適用してもよい。別の例として、図5は本発明による位置決めアーム1の、パイプライン13に設けられた取り付け面5上への装着を示す。
【0056】
位置決めアームが、磁気車輪を有するトロリーまたは他の移動要素上に位置決めされると、アームの変位が記録され、そのデータを位置決めアーム上に設けられた装置によって測定された3次元表面状態データに加えることができる。このようにアームの変位は、記録済み表面状態データと同一の世界座標系に簡単に、且つ迅速に記録することができる。
【0057】
図6に示すように、本発明によるシステムは持ち運び可能で、現場で簡単に使用できるものである。図示したように、パイプライン13を堀出し、掘り出したパイプライン13に腐食走査システムを適用する。走査システムは、位置決めアーム1の基材2を取り付け面5上に固定することによりパイプライン13に適用される。ユーザーは、これにより位置決めアームの第二支柱4に接続した装置6を、埋設したパイプの表面上に容易に移動させ、その領域の腐食状態を調査することができる。位置決めアームはコンピューター読み取り可能手段7に接続し、その結果、得られたデータはリアルタイムで画面上に作成されて、データが捕捉され、その対象物が完全に走査されたかを確認することができる。
【0058】
図2は、本発明による腐食走査システムの実施例を示し、レーザー装置6は位置決めアーム1に接続している。レーザー装置は、表面の領域にレーザー光を当て、そのレーザー反射光を検知して表面状態を評価することができる。レーザー装置は位置決めアーム1の第二支柱4に対し、容易に取り外し、再接続することができる。好ましい実施例では、本発明は、レーザー装置6が腐食走査解析のために画定した部材の表面の領域を横切るレーザー光を発光するのに適したレーザー発光源と、表面の領域を横切るレーザー光を投影する手段と、部材の表面の領域から反射されたレーザー光を検知し、表面状態データを生成するのに適したレーザー光検知器とから構成される腐食走査システムに関する。
【0059】
前記レーザー装置はモアレ等の白色光スキャナーを始めとして従来技術で公知の任意のタイプのレーザー装置から構成できる。該レーザー装置は表面デジタル化に適している。該レーザー装置においてレーザー源はレーザーダイオード、あるいは、例えば、5mWヘリウムネオンのガスレーザーまたはモアレ白色光スキャナー等の従来タイプでもよい。可視、赤外、紫外光を作るレーザーを始めとしてすべての公知のレーザーを使用することができる。レーザー光を投影する手段はレーザー装置の視野を確立し、表面上に狭い走査領域を作り出す。投影する手段は走査領域を横切って繰り返してレーザービームを走査する手段から構成してもよい。この場合、ビームは絶えず走査領域の一端から他端に移動して走査領域をトレースする。好ましくは、投影する手段は一定のパターンでレーザービームを拡散し、例えば、要素によるレーザービームの拡散または反射によって絶えず走査領域を画定する。別の例としては、投影する手段は、レーザーダイオードから径方向に投影された出力を画定するように形つくられたバッフル等の光源から投影されたレーザー光の範囲を画定し、レーザー装置の視野を作り出す単なる手段である。被測定面から反射されたレーザー光は、レーザー検知器によって検知される。該レーザー光検知器は、好ましくは、電荷結合デバイス(CCDカメラ)であって、走査領域から反射されたレーザー光のパターンと強度を検知し、記録する。同一の結果を達成する、他の適切な検知器が本発明のこの要素の範囲内で考えられる。このような検知器としては、この例には限定されないが、CCDアレー、フォトダイオードアレー、TDIアレー、Si、Ge、Pbs等のフォト検知器、そしてInGaAsフォト検知器等の検知器がありえる。同様に、同一の結果を達成する、投影用の他の適切な手段は本発明の範囲内と考えられる。
【0060】
本発明による他の好ましい実施例では、レーザー装置6は、秒当たり約20.000以上の測定点を走査できる。レーザー光を投影する方法と手段にも係わらず、秒当たりの走査数はユーザーによって変更でき、同一領域で多数の走査は可能である。本発明の好ましい実施例では、レーザー装置6は、秒当たり23.000以上の点を走査することが可能である。光検知器、例えば、電荷結合デバイスは400マイクロ秒以下の周期でその角度位置に沿って、反射光をサンプリングし、測定点を作り出すことができ、該測定点はコンピューター読み取り可能手段に送付される。他の好ましい例では、本発明による腐食走査システムは、分当たり500cmと1000cmの間に含まれる領域を走査することができる。加えて、更に他の実施例では、本発明による腐食走査システムは、各測定点間でμmレベルまでの、及び0.025mmの深さまでの高正確性測定を提供することが可能である。
【0061】
前記レーザー装置は作動中、位置決めアームの第二支柱に接続する。この位置決めアームは作動中にあらゆる可能な方向に移動できるため、それに応じて、レーザービームを部材の表面を横切って投影し、あらゆる可能な方向、すなわちX、Y方向並びにZ方向に向いた走査領域を画定することができる。その結果、該レ−ザー装置による各測定によりX、Y、Z座標の表面状態データを得ることができる。その上、本腐食走査システムによる各測定においてはX、Y、Z座標の表面状態データは可変である。その結果、非常に正確に画定領域を評価すること、位置決め誤差を減少させること、精度、正確性、速度を向上させることが可能になり、位置や腐食孔の幅、深さ、構造、そして形状等の表面特性などの腐食孔の表面状態が非常に正確に判定できる。
【0062】
図4には、コンピューター読み取り可能手段に接続するレーザースキャナーを有する位置決めアームの実施例の透視図を示す。この(第一の)コンピューター読み取り可能手段7は、レーザー装置6と位置決めアーム1の制御のため、これらに接続できる。この第一コンピューター読み取り可能手段は、レーザー装置1によって得ることができる表面状態データを受信し、処理するのに適している。好ましい実施例では、前記腐食走査システムは第一コンピューター読み取り可能手段7から更に構成され、第一コンピューター読み取り可能手段7は以下にさらに詳細に記述される最適アリゴリズム的方法を使用してレーザー装置6によって得ることができる表面状態データを受信し処理するのに適している。
【0063】
好ましい実施例では、位置決めアームは、レーザー装置を走査間で段階的にあるいは、走査中に同時に移動し、対象の全画定領域を測定することができる。本発明の作動において、レーザー装置は表面状態データを作り出し、位置決めアームは関連位置データを作り出し、両方のデータともコンピューター読み取り可能手段によって受信される。
【0064】
好ましくは、表面状態と位置データの作成が自動化され、コンピューター読み取り可能手段がこれらのデータを自動的に処理し、測定表面の領域上の腐食に関するデータを作ることである。ある領域の腐食に関するデータは主に孔の識別と深さに関する。しかしながら、別の実施例では、本発明はまた腐食を受けやすい領域に隣接する腐食孔をグループ化することで表面の腐食を受けやすい実効領域を識別できる腐食走査システムを提供するものである。レーザー装置と位置決めアームの自動作動のためのプログラミング並びに自動信号処理は当業者が有する技術の範囲内である。このデータはリアルタイムに処理してもよく、あるいは後で処理するようにメモリーにダウンロードしてもよい。データ出力装置はまた現場で使用できる形でデータを簡単に提供できる。
【0065】
好ましい実施例では、種々のタイプの測定装置が、本発明の腐食走査システムに接続することが可能である。従来の方法では、異なるタイプの測定装置で腐食欠陥を測定すると、ある装置で測定された欠陥を別の装置で測定された欠陥とに正確にマッチさせることに問題がある。オドメーターのずれ、方位測定の相違、ツールの相違、正確性と感度、そして腐食サイズと形状の変化が、異なる測定のマッチングを困難にしている。本発明の腐食走査システムは、異なる測定装置を同一システム上に提供することでこの問題を解決する。これにより、腐食は、1つの、そして同一の位置決めアーム上に取り付けた、異なる測定装置を使用して同じ場所で、最高の正確性で測定される。同じ場所、即ち、X、Y、Z座標について同じ位置で異なる測定が異なる測定装置で実行される。
【0066】
好ましい実施例では、このように本発明は、腐食走査解析のために画定した対象物の表面の領域上の腐食を判定し、特徴づける、上記した腐食走査システムに関する。該システムは、表面の領域にアコースティック信号を送信し、そこから反射されたアコースティック信号を検知して、その領域を評価するのに適した、位置決めアームの第二支柱に脱着自在に接続した超音波測定装置と、超音波測定装置と位置決めアームの制御のために、それらに接続した第二コンピューター読み取り可能手段とから更に構成され、それによって第二コンピューター読み取り可能手段は超音波測定装置によって得ることができる表面状態データを受信し、処理するのに適したものとなる。好ましい実施例では、レーザー装置と超音波測定装置の両方とも回動可能に位置決めアームの第二支柱に取り付けられている。
【0067】
「超音波」とは、人の耳にとって高すぎて聴くことのできない周波数またはピッチを有する音エネルギーを言う。超音波機械振動は人の可聴限界より高い周波数で生じ、その周波数は約20KHzである。ある特定の状況で50KHz〜200MHzの周波数が使用されるが、多くの工業上の超音波テストは500KHzと20MHzの間で行われる。一般に、より高い周波数を使用すると、それだけ薄い部材または小さな欠陥をより明確に解析することが可能になり、より低い周波数を使用すると、音波の伝導が非効率である厚いサンプルまたは部材の測定に対してより良好な透過を行う。
【0068】
超音波は方向性が高い。音源からすべての方向へ放射する可聴音とは異なり、超音波は、予測可能なパターンで部材を通過する、鋭く焦点が合ったビームとして生じる。すべての音波は異なる部材間の境界で反射する。しかし超音波周波数では、非常に短い波長により非常に小さい目標、例えば、小さな欠陥からの反射を可能にする。例えば、テスト片の向こう側の壁のような気体境界または別の硬い対象物の裂け目は、それにぶつかる超音波ビームの略100%を反射する。
【0069】
超音波測定装置は、対象物の厚み、例えば、パイプラインの壁厚を判定するのに適している。
【0070】
好ましい実施例では、本発明は腐食走査システムに関する。該腐食走査システムにおいて超音波測定装置が、腐食走査解析のため画定した部材の表面の領域を横切ってアコースティック信号を発生するのに適した、且つ、部材の表面の領域から反射されたアコースティック信号を検知し、表面状態データを生成するのに適した超音波変換器から構成される。該超音波変換器は電気エネルギーを機械振動に変換し、そしてその逆を行い、高周波数音波の発生、受信を行う。部材の物理的構造が変化すると、音波が部材を通過する方法も変化する。超音波部材解析は、音速、音の減衰、あるいはエコーの拡散と周波数内容等のパラメーターの調査を一般に含む。これらのパラメーターは、部材の厚みを始めとする部材特性を解析し、または適格化するのに役立つ。これらの作動用装置は、単純なパルサまたは受信機から複雑な解析システムに亘ることになる。超音波検知器はパイプの内壁と外壁から反射される超音波信号(音波)を検知し、記録する。特に検知器はアコースティック信号の発信と受信間の時間差における変動を判定する。それに基づいて壁厚に関するデータを計算することができる。同じ結果を達成する、他の適切な検知器は本発明の範囲内で考えられる。
【0071】
前記超音波測定装置は、作動中に位置決めアームの第二支柱に接続する。当該アームは、すべての可能な方向に移動することができるので、従って作動中にアコースティック信号はすべての可能な方向に配向した部材の表面を横切って発射することができる。
【0072】
一例として、レーザー光プローブと超音波プローブを本発明によるシステムの同一位置決めアーム上に設けることができ、表面状態データを3次元で記録することができる。該アーム上の両プローブ間の距離は既知なので、特定のソフトウエアプログラムは、一方のプローブの3次元測定値を他方のプローブの同じ3次元測定値に転送する。もし、両プローブの深さ測定値が略等しいならば、確実に外部に腐食が生じていると判定される。両プローブの深さ測定値の等しさが本発明のシステムの正確性を立証し、校正機能としての利用も考えられる。レーザー光プローブによって実施された深さ測定値は最適円筒体方法によって判定され、最適円筒体方法は欠陥領域に亘ってパイプの外径全体を走査することによって得られる実際の呼び径を提供する。腐食欠陥の外側の金属損失は3次元で定量化される。もし超音波プローブの深さ測定値が、レーザー光プローブで得られた測定値に対応していないとき、パイプラインの内側で金属損失が実質的に生じていると結論づけられ、その金属損失は、超音波プローブによって得られた全金属損失/mmをレーザー光プローブによって得られた全金属損失/mm、すなわち、欠陥領域に亘って最適円筒体径におけるレーザー光プローブの全金属損失から推定することによって定量化することができる。
【0073】
超音波測定装置が本発明に従って使用される腐食走査システムは、測定値の記録を作り出すことを可能にし、その記録を利用して、パイプ、例えば、パイプライン内のパイプ、パイプの壁部の特性、パイプの壁部の特性は主としてパイプ壁部の厚みであるが、を判定することができる。特に腐食したパイプラインの場合には、当該システムにより残存パイプ壁部の厚みを測定することが可能となる。もし腐食や他の機械的損傷に起因する何らの金属損失もパイプ壁部に生じていない場合、超音波システムに関連する装置は通常の壁厚を示すことになる。しかしながら、金属損失がある場合には、当該システムは、パイプ厚が本来の損傷のないパイプより薄くなっていることを示す情報を記録する。従来、超音波処理は、超音波エネルギーがパイプ壁部に侵入し、外側壁から反射され、変換器へ戻るまでにかかる時間を単に測定するだけであった。この測定において、その基準は内側パイプ壁(ID)表面からの第一の反射である。変換器から受信した次の信号は通常外側(OD)パイプ壁部からの反射である。ID信号の始まりからOD信号のスタートまでの時差は、超音波エネルギーがパイプ壁部を二度通過するのにかかった時間を表している。これは、普通二方向時間と呼ばれ、パイプライン検査の業界用語では金属時間(metal time)と呼ばれる。それは、超音波エネルギーがパイプの鋼壁部を通過するのにかかる時間を表しているからである。鋼中の音速は、略5793m/secとわかっているので半分の金属時間(一方向時間)を用いて、パイプ壁厚は簡単に計算される。
【0074】
第二コンピューター読み取り可能手段は、超音波測定装置と位置決めアームの制御のためこれらに接続している。該第二コンピューター読み取り可能手段は、超音波測定装置によって得ることができる表面状態データを受信し、処理するのに適している。好ましい実施例では、本発明による前記腐食走査システムは第一コンピューター読み取り可能手段とは異なる第二コンピューター読み取り可能手段を備えているので、第一と第二コンピューター読み取り可能手段は相互に接続することができる。第一と第二コンピューター読み取り可能手段は携帯型ユニット内で中央に位置させてもよく、または、コンピューター読み取り可能手段のある部分は、レーザー装置、超音波測定装置、位置決めアーム、その他の構成品にリンクするが、別個に位置しても、および/またはそれらに専用になってもよい。このようにコンピューター読み取り可能手段は、たとえば1つまたは複数のマイクロコンピューター読み取り器から構成されてもよい。その構造に関係なく、コンピューター読み取り可能手段のある部分は、レーザー装置、超音波測定装置と位置決めアームとから離れて位置し、好ましくは、位置決めアームおよび/またはレーザー装置、または超音波測定装置に接続したケーブル(例えば、ファイバー光ケーブル)から離れて位置し、それらからのデータを制御し、受信する。別の例としては、第一と第二コンピューター読み取り可能手段は、それぞれレーザー装置と超音波測定装置とに無線で相互接続してもよい。
【0075】
第一と第二コンピューター読み取り可能手段によって受信されたデータは、走査表面に関する図形の、目視の、または表の情報または出力を提供するために処理してもよく、更に、パイプ等の走査部材の残存壁厚と残存強度を判定するため処理してもよい。走査済み表面の修復に関する勧告を提言するため更なる処理を取り入れてもよい。好ましくは、キーボードとデータ出力装置、例えば、プリンター、プロッター、デイスプレイ等、あるいはそれらの組み合わせが提供され、コンピューター読み取り可能手段とのオペレータインターフェイスが可能になる。別の好ましい実施例では、上記データ出力装置は、携帯電話またはGPRSを介して電子伝言メールを備えてもよい。
【0076】
多数のレーザー装置および/または超音波測定装置は、本発明に応じて同時に使用でき、同一の位置決めアーム上に位置することにより対象の表面領域を評価する速度と能力を向上させることができることは理解されるであろう。
【0077】
対象物、特に、パイプラインの腐食状態を測定するために適した付加測定装置は同一の位置決めアームに接続することができることも更に理解されるであろう。適切な付加測定装置の例は、レーザー超音波プローブ、UTレーザープローブ、ガンマ線あるいはベータ線による後方散乱プローブ;磁束プローブ、壁厚プローブ等を含むがこれに限定されるものではない。例えば、別の実施例では、壁厚測定装置は位置決めアーム上に応用できる。例えば、別の実施例では、単一のスポットレーザーが他のプローブとの組み合わせで位置決めアーム上に取り付けることができる。例えば、散乱測定装置、即ち、ガンマ線プローブのような放射線プローブは、同様に本発明に従って使用してもよい。「散乱」は、部材中を伝播する波として定義され、波が部材の不連続に出会うとき、あるいは原子または分子レベルでの物質と相互反応すると、波の方向、周波数、あるいは極性が変化する現象である。「放射散乱」は、放射源と少し離れた点との間で、大気中、または他の部材中の原子、分子、あるいはそれらより大きい粒子との相互作用または衝突の結果として、最初の通路からの熱放射、電磁石放射、あるいは原子核放射の迂回を含む。散乱の測定は、対象物を通過するときのX線ビームの減衰の測定を含み、検知器に記録される。また、例えば、ガンマ線またはベータ線を有する後方散乱装置は、位置決めアーム上に装着できる。後方散乱によるプローブの使用によって、パイプ、容器、タンク、煙突、蒸留塔等上にある絶縁体を排除せずに内外の表面欠陥を測定することが可能になる。後方散乱装置は部材濃度を測定し、部材の相違を示すことができる。ガンマ線またはベータ線による後方散乱プローブ技術を本装置に適用することにより、多層の壁厚を測定することができ、絶縁の厚み、壁厚、層間絶縁を測定することができる。
【0078】
異なる測定装置をすべて同一の位置決めアーム上に取り付けて使用することの重要な利点は、異なる測定装置を使用することによって、異なる腐食測定と結果が得られること、およびすべての結果がすべての使用装置において同一の位置で、すなわち同一X、Y、Z座標で得られることである。このことが、走査対象物の特定の内および/または外側の領域を別々に測定することによる最適な、完全な、正確な情報を得ることを可能にする。
【0079】
別の利点は、主に腐食速度と解析のために使用できる、実験室の規模で使用される、即ち、教育上の目的あるいは研究の目的用の小規模な3次元ローカライザー(位置決めアーム)を提供できることである。
【0080】
他の実施例では、本発明は、位置決めアーム上に接触点プローブを他のプローブと組み合わせて使用し、走査モード中の腐食表面を追跡することを可能にするシステムと適切なソフトウエアを提供する。更に、これは、測定機械またはX−Y−Zテーブル等の3次元で移動する他の装置上で行うこともできる。
【0081】
アルゴリズム的方法
上記したように、最適アルゴリズム方法を使用して、例えば、レーザー装置を走査装置上で使用することで得られた表面状態データを処理する。図7は、この最適アルゴリズム方法で順に行われるステップの概略を示す。
【0082】
この方法の第一ステップは、ボックス13に記載の走査データの取得のステップである。実際には、レーザー装置、例えば、レーザーストライプセンサーは位置決めアーム上に取り付けられる。位置決めアームは手動または自動で操作することができる。レーザーストライプセンサーは走査対象物上に線を投影する。センサーはストライプの点上の深さを測定し、一方、位置決めアームはグローバルなXYZ位置座標を提供する。レーザーストライプセンサーと位置決めアームは決められた寸法の立方体上にアラインする。当該アライメント結果は、走査ファイルごとに記録される。レーザー装置は手動または自動的に走査対象物上で移動し、好ましくは、秒当たり23.000点まで捕捉する。この得られたデ−タはリアルタイムで画面上に形成されるので、データが捕捉されると、当該データを確認することが可能になり、対象物が完全に走査される。図8は、パイプラインの走査表面のリアルタイム図を示す。
【0083】
好ましい実施例では、外側(外部)と内側(内部)表面データが得られる。好ましくは、外側表面データは、前段落で説明したように入手する。内側の表面データを得るために、壁厚測定を行う。位置決めアームを、その上部に設けたプローブ、例えば、超音波プローブ、UTレーザープローブ、後方散乱プローブ、磁気フラックスプローブ、壁厚プローブ、厚みプローブと組み合わせて使用することで、厚さ測定を外部表面測定に加える。
【0084】
続いて、走査データは、完全自動化されたプロセスに集積され、そのプロセスで走査パッチまたは未組織の点集合体から抽出した多数の3次元画像が多角形表面、またはメッシュに変換される。図7に示すように、多角形モデルがボックス14に示すように得られ、走査データは、ボックス15に示すように多角形座標系で得られる。多角形モデルは、隣接する頂点と接続して三角形を成す頂点に存在する。これらの変換は以下の利点を有する。各多角形表面(三角形)は、内側と外側間の相違が目視できるような、且つ、明確な陰影図もできるように法線を有する。また重複が除かれ、適切な3次元フィルターを用いて、端部や細部を保存しながら、スマートな縮小が適用される。図9A〜Cは、多数の3次元画像の多角形表面への変換の結果を示す。図9Aは、未加工の走査データ(点集合体)を示す。図9Bは、陰影のある集積メッシュを示す。図9Cは、集積メッシュからの点集合体(頂点)、最初の点集合体に比べると10分の1から5分の1に減少したものを示す。
【0085】
好ましい実施例では、外部走査データを集積した後、走査システムの正確性をチェックする。そのため、磁気あるいは非磁気の認証済みゲージブロックを固定水準器と共に置く、好ましくは、パイプの12時の位置または6時の位置に置く。好ましくは、このゲージブロックはまた流れ方向を示す矢印を有する。パイプラインの厚みは自動的にキャリパーで測定される。「キャリパー」は、ゲージブロック段差の高さを測定する自動測定装置である。キャリパーは、ゲージブロックの「最も高い段差の上部表面と最も低い段差の上部表面間の距離」を画定する。測定されたゲージブロック段差が、ゲージブロックの認定済み距離と比較される。測定値と認定済み値の差分が、走査システムの精度内に充分収まることが好ましい。
【0086】
例では、2つのキャリパーは、図11に示すように12時の位置に互いに「階段状」に設けられる。上方のキャリパーからの厚みは、「キャリパー方法」を用いて自動的に測定され、キャリパーの認定済み厚みと比較される。これらの値の差分は、走査システムの精度内にあることが好ましい。
【0087】
多角形モデルの座標系は、位置決めアームの位置に依存する任意の走査座標系にまず提供される。多角形モデルの座標系は、多角形モデルを基準座標系または世界座標系に転送する次のステップのために必要である。これは、多角形モデル上に最適円筒体を作ることによってなされる。A321アライメントは、最適円筒体からの軸、即ち、チューブ軸は、X軸になり、実際の流れ方向とX軸方向は同じになるように行われる。好ましい実施例では、この方向は、上記したゲージブロックの矢印によって示される。Z軸位置と方向が、パイプ/チューブから実際の12時位置を向くようにセットされる。この方向が、ゲージブロックの位置によって画定される。基準座標系がボックス17に示すように得られる。図10は、世界座標系に対する走査座標系のアライメントを示す。
【0088】
実際のパイプの外側表面は、決して正確には円筒体状ではない。典型的な変形が、縦方向および横方向の溶接シームの存在と、パイプ自体の真直度と楕円度(丸くないこと)によって生じる。パイプの真直度と楕円形状、溶接シームの存在、腐食や腐食した領域の寸法に応じて、いくつかの基準タイプを作ることができる。これらの基準は、以下に説明する最適円筒体技術を使用したときを除いて、非腐食状態にある実際のパイプを表したものである。集積走査データと基準間の評価比較は、局所変形、即ち、ベンド、金属損失、あるいは壁厚等を示す。
【0089】
基準は、異なる技術に従って得ることができる。
【0090】
1つの実施例では、少なくとも1つの最適円筒体(例外なく、大きな腐食に対して30以上ある)は、実際のパイプ、即ち、非腐食状態のパイプに対する良好な基準を得るために作る必要がある。良好な基準を(多数の)最適円筒体のみで作ることができない場合がある。この場合には、表面処理技術が、上記したように所用の基準を作るために必要となる。図12は、1つの最適円筒体(薄いグレー領域)から作られた基準部分と、走査データ上のクロス部(濃いグレー領域)から作られた、曲線で描かれたロフト面を示す。実施例では、最適円筒体は、径方向と同様に軸方向でも作ってもよい。例えば、全周に亘ってパイプが腐食している小さな径を有するパイプの場合、概略最適円筒体は軸方向に作られるか、あるいは、表面処理技術によって作られる。
【0091】
別の実施例では、基準部分は異なる技術を用いて作られる。非標準パイプ、曲がったパイプ、印字等の場合、最適円筒体技術で良好な基準を作るのは困難もしくは不可能である。これらの場合、非腐食領域の多角形集積モデルに描出された媒介変数的な3次曲線に基づいてNurbs表面を作ることは可能である。
【0092】
別の例では、もし内側表面データが充分に濃い場合、このデータセットを集積することができ、内側パイプ表面の信頼できる多角形データセットが得られる。内側(集積または集積されない)と外側(集積または集積されない)走査データ間の比較は実際の壁厚を示す。
【0093】
さらに別の実施例では、浮動最適平面体技術を用いることができる。基準部分を作り出すこの技術は、特に、自動レポーティングに適している。
【0094】
ボックス18に示すように、多角形モデルと(多数の)基準部分(最適円筒体あるいは他のタイプの基準部分)間の比較が行われ、腐食の深さが示される。基準部分と外部(集積した)走査データの間の比較により表面誤差プロットが得られる。もし基準部分が内側走査データから作られるならば、この比較により各点毎に局所の部材損失値、あるいは実際の壁厚が得られる。表面誤差プロットは、ボックス18に示すように自動的に生成され、このプロットにより腐食の深さと寸法の明確なつば付き概観が得られる。パイプあるいはチューブの壁厚に関して10%以上のずれがあるゾーンは腐食ゾーンと見なされる。腐食ゾーンを判定するための値は変更してもよく、関連する工業で導入されている基準によってもよい。次のステップでは、腐食ゾーンはボックス19で示すようにプロット上で示され、各腐食ゾーンの表面状態データは、ボックス20に示すようにテキストファイルに出力される。これらのテキストファイルは、すべての頂点座標、即ち、X、Y、Z座標並びに基準値と比較したこれらの値の偏差を含む。図13は、3つの腐食ゾーンを示し、黒い曲線は10%部材損失線を示す位相線であり、それが囲むゾーンは腐食を示す。
【0095】
この方法による更なるステップにおいて、各腐食領域の表面状態データはボックス21に示すように処理され、ボックス22に示すように腐食を受けやすい領域が判定され、その腐食を受けやすい領域についての更なるデータが得られる。腐食領域のすべての点が、基準(最適円筒体あるいは他の基準システム)に対する誤差のベクトルと共に専用化したプログラムに読み込まれる。これらの点の座標が円筒体表面を展開すると同等の方法で変換される。使用した腐食評価システムに応じて、外部欠陥の外形を画定する長方形ボックスの寸法、最大ずれのある点の位置と深さ、最悪ケースのX、Yプロファイル、「河床」等のデータが自動的に計算され、すべての欠陥から抽出される。可能な報告要素のいくつかは、限定されないが、表面誤差プロット、最悪ケースのプロファイル、河床を含む。このように本発明は、別の好ましい実施例では、ある表面欠陥の最も深い点の河底の「最悪ケースのプロファイル」を計算する方法を提供する。産業分野および/または該当の工業で使用される規格と基準によるが、1つまたは複数のゾーンが1つの腐食を受けやすい領域であると見なされる。図14は、白い長方形ボックスで示される、パイプライン表面内の判定済みの2つの欠陥ゾーンを示す。
【0096】
最後に、パイプラインの腐食報告は、ボックス23で示した前ステップで得られた要素で作られる。腐食報告は手動または自動的に提供できる。特別な自動腐食解析・報告ソフトウエアは、標準パイプに対して開発された。好ましい実施例では、この手順は次のステップからなる。
−パイプの内側と外側の少なくとも一方を走査するステップ。
−キャリパー制御の実施により走査の正確性を評価するステップ。
−データセットを3−2−1アライメント技術によって世界座標系に変換するため未加工の走査データ上に直接最適円筒体を作成するステップ。走査データは広げられる、即ち、以前のステップで作られた最適円筒体によってデータを展開する。
−得られたデータを集積するステップ、
−いくつかの最適平面から作られる基準を作り出すために「浮動最適平面」アプローチを実施するステップ。展開したデータについてのこれらの局所最適平面は、手動報告で使用した局所最適円筒体と同等である。
−腐食領域と欠陥とを適切な相互作用ルールによって自動的に判定するステップと、そして
−カスタマー固有のテンプレートで報告される要素(例えば、最大ずれの点の位置と深さ、最悪ケースのXとYプロファイル等)を特定するステップ。これらの要素は、自動的に作られ、計算され、pdfまたはhtml形式で出力される。あるいは、欠陥表面の最も深い点のXYZ座標のエクセルシートをその位置での適切な壁厚を加えてあるいは加えずに出力する。
【0097】
有限要素解析に関して、公知の標準FEMパッケージによる強度または部材応力解析を、得られた3次元走査データに基づき行うことができる。FEMソフトウエアが強度を解析し、計算する。強度とは、構造上許される最大破壊圧を意味する。
【0098】
別の実施例では、腐食報告は現場で作成することができる。そのため、さらに別の実施例では、得られた3−次元データを処理する方法は、3次元データの記録された点集合体内で直接フィルタリングを行うステップと正確な最適円筒体を設計するステップからなる。
【0099】
別の好ましい実施例では、本発明に使用されるレーザープローブまたは他の任意のプローブの正確性の較正と制御は、以下のように行うことができる。プレート上で、例えば金属プレート上で内外の腐食を模倣するために腐食の領域が、金属片の両側でミーリング加工された。また、異なる時効を持つ鋼等の異なる部材を較正片として使用して、超音波測定プローブや他のプローブに対する正しい信号解析を行い、これらのプローブを正しく較正した。腐食プレートは、レーザープローブや他のプローブで走査する。好ましい実施例では、1μMレベルの正確性を有するこの較正片で得られた測定値が、本発明による現在の3次元ソフトウエアプログラムに導入され、異なるプローブで得られたデータは、このソフトウエアによって比較される。その結果に応じてプローブを正確に較正することができる。このような較正プロトコルはまた、実際の腐食表面を走査するときに得られたデータの正確性の表示を提供することを可能にし、または、正確に測定されたデータで走査および/または壁厚データを補正し、測定値が認定済み較正部分測定値でオフセットすることを可能にする。本発明に従い、シミュレーションを行った腐食部分や較正部分が、NIST、NAMAS、DKD、BKO、NKO、および他のローカルな基準及びまたは国際的な基準に従い、且つそれらにより認定済みの高正確性の測定装置によって測定される。このように当該装置は、正確性と反復性に関するこれらの規格に準じている。腐食解析はまた、該装置が異なる気候状態で使用できるので、異なる温度で行うことができる。該装置は、例えば、アラスカ並びに中近東の砂漠における使用にも適している。
【0100】
別の実施例では、本発明によるシステムと適切なソフトウエアにより走査データとピッグランによって得られたデータとを直ぐに比較することが可能になる。更に、本発明によるシステムと適切なソフトウエアにより走査データを各他の測定装置のXとYあるいはX−YとZデータとを比較することが可能になる。このように本発明は、報告中の得られた3次元データをパイプライン完全ソフトウエアプログラム、パイプライン管理ソフトウエアプログラム、GISプログラム等の他のソフトウエアプログラムとインターフェイスで接続することを可能にする。本発明はまた、位置や詳細図をトポグラフィーやGIS報告およびデータセットで直接提供する。
【0101】
別の好ましい実施例では、本発明は、腐食走査装置の位置をGPS世界座標によって判定する方法に関する。該装置によって測定されたデータを位置決めアームのGPS位置と関連付け、結合することもできる。パイプ上の位置決めアームの位置は、この位置のGPS座標によって監視することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明による装置と方法は、腐食を測定し、特徴づける必要のある、および/または内側および/または外側表面欠陥を測定し、特徴づける必要のある種々の用途で使用することができる。特に、別の実施例では、本発明は、腐食走査解析のために画定した対象物の内側および/または外側表面の領域上で腐食を判定し、特徴づけるための腐食走査システムと表面欠陥検知システムの使用に関する。さらに別の好ましい実施例では、本発明は、対象物の安全な使用の寿命を判定するための本発明による腐食走査システムと方法の使用に関する。特に、前記対象物は、高速道路橋、パイプライン、鉄道路線、自動車、飛行機、船、クレーン、原子炉、タンク、容器、煙突、熱交換器、蒸留塔、ガス&液体圧力ボトル、沖合のプラットフォーム支柱、バン等からなるグループから選択してもよい。特に好ましい実施例では、上記対象物は、気体または液体搬送パイプラインを含む。
【0103】
本発明の腐食走査装置は、現在公知の装置およびシステムと比較すると多くの利点がある。
【0104】
本発明は、欠陥が最も少ない金属損失領域の部位を識別し、走査し、解析することを可能にする上記の方法を提供する。
【0105】
パイプの腐食を防止する方法が、パイプライン基準の中に推奨されている。それらは、例えば、外側および/または内側の防護塗布の適用を含む。本発明による腐食走査装置により塗布厚とその経時的変化を検知し、経時的な腐食欠陥の金属損失伝播と比較してこれらを評価することが可能になる。最適円筒体方法は、腐食欠陥の影響の前と後のパイプ半径とパイプ直径を画定することを可能にする。
【0106】
なお、パイプラインの動的応力は、欠陥の成長の原因になり得る。本発明による腐食走査装置は、3次元座標で内外の亀裂と経時的な亀裂伝播をアーカイブに保管し、測定することを可能にする。
【0107】
更に、パイプラインは、座屈を受けることがある。よく起こる座屈モードは、a)外部圧力、軸方向圧縮、曲げ、ねじり、これらの負荷の組み合わせによる局所的な(パイプ壁)座屈、b)局所的な座屈あるいは局所の損傷の形成後に外部圧力による伝播座屈、そしてc)高作動温度と圧力からの軸方向圧縮力による球状座屈からなる。本発明による腐食走査装置は、3次元座標での座屈長と軸方向ずれの測定、および座屈領域周りの種々な直径の正確な測定を可能にし、寿命の残り期間を計算するための、種々の現存する、または新しい数学的アルゴリズムの関数で修復設備の更なる評価を改善することを可能にする。最適円筒体技術は、パイプ内外の座屈の前後のパイプ半径またはパイプ直径とこれらの最適円筒体の軸方向ずれ度合いを画定することを可能にする。本発明のシステムは、3次元座標で座屈領域とそれらの伝播を時間の関数として記録し、測定することができ、これらの伝播の影響を評価し解釈する際の改善となる。
【0108】
パイプラインが損傷する別の原因は、外部力、例えば、誰かがパイプラインを掘る、又はパイプラインに衝撃を与えたりすることによる偶然の損傷がある。パイプラインの欠陥は、数ヶ月で生じる事もあれば、数年後に生じる事もある。これらの欠陥の影響を判定することは非常に重要である。本発明による腐食走査装置は、へこみ領域周りの種々な半径を正確に測定することで内外のへこみの深さ、長さ、そして容積を3次元座標で測定することを可能にし、寿命の残り期間を計算するための、種々の現存する、または新しい数学的なアルゴリズムの関数で修復設備の更なる評価を改善することを可能にする。最適円筒体技術または浮動最適円筒体技術は、へこみ領域の外側と同様内側のへこみ生起の前後での半径を画定することを可能にする。なお、最適円筒体アルゴリズム的方法は、パイプ外径並びに内径の真円度のずれを提供する。金属損失を有するへこみの場合、金属損失の測定は、選択した深さ範囲の関数で金属損失深さと容積の種々な範囲で分類される。欠陥の完全な1次元、2次元、あるいは3次元デジタル記録化を行うことができる。
【0109】
別の実施例では、本発明は、本発明の方法によって得られたデータに関する。このデータは、本発明の腐食走査システム上に設けられた測定装置で得られた表面状態データから実質的に構成される。更なる実施例では、本発明は、本発明によるデータからなるデータベースに関する。このように本発明によれば、欠陥と腐食の3次元ライブラリが得られる。
【0110】
パイプラインの故障の起きる確率をその全設計寿命に亘って判定するために、すべての可能な故障モード(即ち、負荷)を認識し、確実に発生するであろう故障を解析する必要がある。海岸及び沖合にあるパイプラインの確実に発生するであろう主たる故障は、外側の干渉と腐食(外側および/または内側)を含む。あるパイプラインにとって、故障モードは、疲労、例えば、大きな周期的な圧力変化によるシーム溶接欠陥の疲労、曲げ不安定性、即ち熱応力または海底移動による座屈、または溶接まわりの欠陥、例えば、圧力、外部負荷、あるいは周期的な圧力による疲労が原因の欠陥を含むかもしれない。これらの故障モードの確率解析、即ち全寿命制限設計の適用は、適切なデータ、例えば欠陥の分布、腐食率等の不足により一般に制限を受け、保守的な仮定とその結果生じる保守的な故障率が余儀なくされる。特に欠陥の分布は、故障確率の計算には必要である。しかしながら、現在知られている多くのシステムは、パイプライン欠陥の記録を保持しておらず、これらのデータベースにより記録済み故障、即ち製品の損失につながった事故のみが利用できる。このことは、故障確率は欠陥総数に影響されるので、いかなる確率的なアプローチ(限界状態設計、あるいはリスク解析)をも妨げている。逆に、本発明の腐食走査システムは腐食走査データの記録を提供し、そのようなデータを含むデータベースを作り出す。別の実施例では、そのようなデータとデータベースが、パイプラインの安全な使用の寿命を判定する予測表を作成するのに使用できる利点がある。
【0111】
本発明による腐食走査装置の3次元内外の測定が正確性を有することは、パイプラインの安全な使用の寿命を判定するためのより良好な予測結果を画定するのに大いに助けとなり得る。腐食欠陥とその伝播の測定の正確性が欠如すると、大多数の欠陥の将来の過酷度を過大評価したり、少数の欠陥の過酷度を過少評価したりすることになる。最初の場合、過大評価はもともと保守的であるが、不必要な修復を行う際に資源を浪費することは更に過度に保守的である。第二の場合は、過酷度を過少評価することは作業者が安全性について誤った感覚を持つようになり、パイプライン故障につながる可能性がある。
【0112】
本発明の腐食走査システムは、パイプライン内側および/または外側の3次元測定の非常に高い正確性を専有化したソフトウエアによって提供し、正確な3次元デジタル記録を使って全寿命制限状態設計と残りの寿命計算値を求めるため、可能性のあるあらゆる方法論と数学的なアプローチを取り扱う。当該3次元デジタル記録は、単に過去の走査の上に新しい走査データを薄切りにし、適切なソフトウエアで欠陥の変化と伝播をフィルターにかけるだけで、腐食の分布と伝播を効果的に測定することを可能にする。
【0113】
本発明によるデータとデータベースを使用し、多数の対象物、これらに限定されないが、高速道路橋、パイプライン、鉄道路線、自動車、飛行機、船、クレーン、原子炉、タンク、容器、煙突、熱交換器、蒸留塔、ガス及び液体圧力ボトル、沖合のプラットフォームの支柱、バン等の安全な使用の寿命を判定する予測表もまた作成できることが理解されるであろう。
【0114】
本発明の腐食走査システムの別の適用は複製での使用を含む。今日、多くの腐食欠陥は、ゴム製複製あるいは他の部材の複製を介してまだ記録されている。本発明の腐食走査システムは3次元でこれらの複製を測定し、記録することができる。
【0115】
別の実施例では、本発明の腐食走査システムを使用し、別のパイプライン部品あるいは他の部品上の欠陥(複数)または腐食の取得済み表面状態データ(3次元での)を再生産することもできる。本発明の装置の3次元データと適切なソフトウエアにより、別のパイプライン部品あるいは他の部品上の腐食または欠陥やそれらの特定の金属損失を複写して、テストのために別の部品上でこれをシュミレーションすることができる。これはミーリング、電食機、スパークル機械、曲げ機械等で行うことができる。破裂テストのような異なるテストにより、後で行う残存破裂圧テストあるいは応力解析テストのようなテストと予想または計算結果/値と比較することができる。このように本発明は、計算テストまたは予測テストと、例えば、パイプ、タービン部品、タンク、「ポンプ」ハウジングあるいは構造物に関しての破裂圧力テストのような実行テストと比較することを可能にする。
【0116】
本発明の腐食走査システムは教育上または研究のためにも使用することができるので、表面欠陥の形状と寸法に関するスキームは複製の形で作られる。本発明の腐食走査システムは、すべての種類の部材、例えば、これに限定されないが、鋼、鍛造鉄鋼、ステンレス鋼、プラステック、木等で使用することができる。
【0117】
更に別の好ましい実施例では、本発明の腐食走査システムと適切なソフトウエアを使用して割れを走査し、応力解析を行うこともできる。
【0118】
別の実施例では、本発明の腐食走査システムはまた3次元で多層厚走査を提供する。好ましくは、この目的ために、1回の走査で25以上までの層を測定できる、超音波プローブ、レーザー超音波プローブなどのプローブ、または後方散乱測定装置を使用することができる。
【0119】
別の実施例では、本発明の方法と装置はまたパイプライン建設事業に適用することができる。ベストな取り付け順序でパイプを提供することは、この業界では、組み立て作業を容易にする良好なツールとなる。パイプ端部走査データに基づき、最小最適円筒体を自動的に作成することができる。これは可能な最大の内接半径(すべての点が仕立てた円筒体の外側にある、あるいは仕立てた円筒体と比べて正の誤差を有する)を有する数学的円筒体(半径は一定)である。仕立てたプリミティブと走査データとの比較により比較表や表面誤差プロットが得られる。可能な「最適」解決を教示するパイプの順序を有するリストを決めるための手順をこの比較表に基づいて作成することができる。3つのパラメーターが考慮される:a)最小最適円筒体の半径、b)円筒体に対する平均偏差、c)円筒体に対する標準偏差(StdDev)。この手順結果が、ベストな取り付け順序:例えば、チューブ1サイド2、チューブx1サイドy1、チュ−ブx2、サイドy2、チューブx3サイドy3...を示すリストである。
【0120】
上記では明確に記述していないが、本発明の多くの他の実施例が本発明の範囲と精神の内に明確にあり、その均等物もその範囲内にあることは明らかである。そのため、上述の記載は、例示のためにのみ検討されたもので本発明の実際の範囲は、添付した請求の範囲からのみ判断されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】本発明による腐食走査システムの位置決めアームの実施例の透視図である。
【図2】本発明による腐食走査システムのレーザースキャナーまたは白色光スキャナーを備えた位置決めアームの実施例の透視図である。
【図3】移動搬送機上に取り付けられた、本発明による腐食走査システムのレーザースキャナーを備えた位置決めアームの実施例の透視図である。
【図4】コンピューター読み取り可能手段に接続し、本発明による腐食走査システムのレーザースキャナーを備えた位置決めアームの実施例の透視図である。
【図5】パイプラインを走査するための本発明による腐食走査システムの使用を示す。
【図6】位置づけられたパイプラインを走査するための本発明による腐食走査システムの使用を示す。走査されるパイプラインは、少なくとも部分的に掘り出し、走査システムは、パイプラインに固定される。
【図7】本発明に従った最適アルゴリズム的方法のフローチャートである。
【図8】パイプラインに適用されたアルゴリズム的最適方法のステップを示す。パイプラインの走査表面のリアルタイム図を示す。
【図9】A〜Cはパイプラインに適用されたアルゴリズム的最適方法のステップを示す。複合3次元画像を多角形表面に変換した結果を示す。
【図10】パイプラインに適用されたアルゴリズム的最適方法のステップを示す。走査座標系の世界座標系へのアライメントを示す。
【図11】パイプラインに適用されたアルゴリズム的最適方法のステップを示す。最適アルゴリズム的方法での2つのキャリパーの使用を示す。
【図12】パイプラインに適用されたアルゴリズム的最適方法のステップを示す。1つの最適円筒体から作られた基準部分と、走査データ上のクロス部から作られた、曲線で描かれたロフト面を示す。
【図13】パイプラインに適用されたアルゴリズム的最適方法のステップを示す。3つの腐食ゾーンを示す。黒い曲線は、10%の部材損失線を表す位相線である。それが囲むゾーンは腐食を示す。
【図14】パイプラインに適用されたアルゴリズム的最適方法のステップを示す。白い長方形ボックスで表示した、パイプライン表面での2つの欠陥ゾーンを示す。
【符号の説明】
【0122】
1 位置決めアーム
2 基材
3 第一支柱
4 第二支柱
5 取り付け要素
6 レーザー装置
7 コンピューター読み取り可能手段
10 スライドレール
13 パイプライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプラインの安全な使用の寿命を判定する方法において、
a)パイプライン上で表面腐食解析の領域を画定するステップと、
b)パイプライン上で画定領域を走査するための腐食走査システムを提供するステップと、
c)腐食走査システムにより画定領域の表面上の腐食の位置を特定および測定し、前記表面上の複数の腐食孔の位置を特定および測定するステップと、
d)腐食走査システムにより画定領域でのパイプラインの壁厚を判定するステップと、
e)ステップc)とd)とで得られた画定領域での腐食に関する表面状態データを処理して、パイプラインの安全な使用の寿命を判定するステップと、
から構成されるパイプラインの安全な使用の寿命を判定する方法。
【請求項2】
前記ステップc)とd)は、画定領域上の表面上で腐食走査システムを3次元で移動させるステップから構成され、腐食走査システムによる各測定が表面状態データをX、YおよびZ座標で提供する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステップc)とd)は、画定領域の表面上で腐食走査システムを3次元で移動させるステップから構成され、腐食走査システムによる各測定に対してX、YおよびZ座標の表面状態データは可変となる請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
隣接する腐食孔はその位置を特定し、拡大し、腐食を受けやすい領域として解釈する請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
腐食走査システムは、
−装置を位置決めし、3次元に移動させることのできる位置決めアーム(1)において、装置が脱着自在に接続できる位置決めアームと、
―表面の領域へレーザー光を発光し、反射されたレーザー光を検知してその領域の状態を評価するのに適するレーザー装置(6)において、位置決めアームに脱着自在に取り付けられるレーザー装置(6)と、
―レーザー装置(6)と位置決めアーム(1)の制御のため、それらに接続することができ、レーザー装置(6)によって得ることができる表面状態データを受信し処理するのに適した第一コンピューター読み取り可能手段(7)と、
から構成される請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
第一コンピューター読み取り可能手段(7)は、最適アルゴリズム的方法を使用することによりレーザー装置(6)によって得ることができる表面状態データを受信し処理するのに適している請求項5に記載の方法。
【請求項7】
第一コンピューター読み取り可能手段(7)は、浮動最適平面アルゴリズム的方法を使用することによりレーザー装置(6)によって得ることができる表面状態データを受信し処理するのに更に適している請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
腐食走査システムは更に、
―表面の領域へアコースティック信号を送信し反射されたアコースティック信号を検知してその領域の状態を評価する超音波測定装置において、位置決めアームに脱着自在に取り付けられる超音波測定装置と、
―超音波測定装置と位置決めアームの制御のためにそれらに接続することができ、超音波測定装置によって得ることができる表面状態データを受信し処理するのに適した第二コンピューター読み取り可能手段と、
から構成される請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
第二コンピューター読み取り可能手段は第一コンピューター読み取り可能手段と異なり、第二コンピューター読み取り可能手段は第一コンピューター読み取り可能手段と通信可能に接続するのに適し、第一コンピューター読み取り可能手段と第二コンピューター読み取り可能手段は、1つの共通プロセッサーを有する2つの異なるコンピューターか、または2つの異なるプロセッサーを有する1つのコンピューターから構成される請求項8に記載の方法。
【請求項10】
パイプライン上で表面腐食解析のための画定領域は真っ直ぐなパイプ領域と湾曲パイプ領域からなり、好ましくは、溶接領域である請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
腐食走査解析のために画定した対象物の表面の領域上で腐食を判定し、特徴づける腐食走査システムにおいて、
―腐食走査解析のために画定した領域上で少なくとも1つの装置を3次元に位置決めし、移動させることができ、装置が脱着自在に接続できる位置決めアーム(1)において、取り付け要素(5)上にアーム(1)を位置決めするのに適した基材(2)と、基材(2)に回動可能に接続する第一支柱(3)と、第一支柱(1)に回動可能に接続し、少なくとも1つの装置が回動可能に且つ脱着自在に取り付けられるのに適した第二支柱(4)とから構成される位置決めアーム(1)と、
―位置決めアーム(1)の第二支柱(4)に脱着自在に取り付けられるレーザー装置(6)において、表面の領域へレーザー光を発光し反射されたレーザー光を検知してその領域の状態を評価するのに適したレーザー装置(6)と、
―レーザー装置(6)と位置決めアーム(1)の制御のためにこれらに接続され、レーザー装置(1)によって得ることができる表面状態データを受信し処理するのに適した第一コンピューター読み取り可能手段(7)と、
から構成される腐食走査システム。
【請求項12】
前記位置決めアーム(1)の前記基材(2)は、テーブルトップ、スライドレール、三脚台、磁気ブロック、カムロック等の取り付け要素(5)上に設けられる請求項11に記載の腐食走査システム。
【請求項13】
第一コンピューター読み取り可能手段(7)は、最適アルゴリズム的方法を使用することによりレーザー装置(6)から得ることができる表面状態データを受信し処理するのに適している請求項11または12に記載の腐食走査システム。
【請求項14】
第一コンピューター読み取り可能手段(7)は、浮動最適平面アルゴリズム的方法を使用することによりレーザー装置(6)から得ることができる表面状態データを受信し処理するのに更に適している請求項11〜13のいずれか1項に記載の腐食走査システム。
【請求項15】
レーザー装置(1)は、腐食走査解析のために画定した部材の表面の領域を横切ってレーザー光を与えるのに適したレーザー光源と、表面の領域を横切ってレーザー光を発射する手段と、部材の表面の領域から反射されたレーザー光を検知し、表面状態データを生成するのに適したレーザー光検知器とから構成される請求項11〜14のいずれか1項に記載の腐食走査システム。
【請求項16】
腐食走査解析のため画定した対象物の表面の領域上で腐食を判定し、特徴づける腐食走査システムは、更に、
―位置決めアームの第二支柱に脱着自在に接続し、表面の領域へアコースティック信号を送信し反射されたアコースティック信号を検知してその領域の状態を評価するのに適した超音波測定装置と、
―超音波測定装置と位置決めアームの制御のためにそれらに接続され、超音波測定装置から得ることができる表面状態データを受信し処理するのに適した第二コンピューター読み取り可能手段と、
から構成される請求項11〜15のいずれか1項に記載の腐食走査システム。
【請求項17】
レーザー装置と超音波測定装置は、両方とも位置決めアームの第二支柱上に回動可能に取り付けられる請求項11〜16のいずれか1項に記載の腐食走査システム。
【請求項18】
第二コンピューター読み取り可能手段は第一コンピューター読み取り可能手段と異なり、第一コンピューター読み取り可能手段と第二コンピューター読み取り可能手段は相互接続でき、第一コンピューター読み取り可能手段と第二コンピューター読み取り可能手段は、1つの共通プロセッサーを有する2つの異なるコンピューターか、または2つの異なるプロセッサーを有する1つのコンピューターから構成される請求項11〜17のいずれか1項に記載の腐食走査システム。
【請求項19】
第一コンピューター読み取り可能手段と第二コンピューター読み取り可能手段は、電子ディスプレー、プリンター、プロッター、それらの組み合わせからなるグループから選択されるデータ出力装置から構成される請求項11〜18のいずれか1項に記載の腐食走査システム。
【請求項20】
前記システムは、更に位置決めアームの第二支柱に脱着自在に接続する付加的な測定装置から構成される請求項11〜19のいずれか1項に記載の腐食走査システム。
【請求項21】
前記位置決めアーム上で測定装置に接続することができ、前記測定装置の温度を制御することができる冷却システムから更に構成される請求項11〜20に記載の腐食走査システム。
【請求項22】
腐食走査解析のために画定した対象物の表面の領域上で腐食を判定し、特徴づける腐食走査システムの使用であって、前記対象物は、高速道路橋、パイプライン、鉄道路線、自動車、飛行機、船、クレーン、あるいは原子炉等からなるグループから選択される請求項11〜21のいずれか1項に記載の腐食走査システムの使用。
【請求項23】
前記対象物の安全な使用の寿命を判定する請求項22に記載の腐食走査システムの使用。
【請求項24】
前記対象物は、気体または液体搬送パイプラインである請求項22または23に記載の腐食走査システムの使用。
【請求項25】
請求項1から10のいずれか1項に記載の方法により得られたデータ。
【請求項26】
請求項25に記載のデータからなるデータベース。
【請求項27】
パイプラインの安全な使用の寿命を判定する予測図を作成するための請求項25に記載のデータの使用。

【図7】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2006−519369(P2006−519369A)
【公表日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501917(P2006−501917)
【出願日】平成16年2月20日(2004.2.20)
【国際出願番号】PCT/EP2004/001713
【国際公開番号】WO2004/074808
【国際公開日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(505308892)
【Fターム(参考)】