表面の干渉分析のための方法およびシステムならびに関連する応用例
物体の空間的特性を決定するための方法には、2つ以上の界面を含む測定物体からの走査低コヒーレンス干渉信号を得ることが含まれる。走査低コヒーレンス干渉信号には、2つ以上の重なり合う低コヒーレンス干渉信号(それぞれ個々の界面に起因する)が含まれる。低コヒーレンス干渉信号に基づいて、少なくとも1つの界面の空間的特性が決定される。場合によって、決定は、低コヒーレンス干渉信号のサブセットに基づき、信号の全体に基づくのではない。あるいはまたは加えて、決定は、低コヒーレンス干渉信号を得るために用いられる干渉計の機器応答を示す場合があるテンプレートに基づくことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、以下の米国仮出願の利益を主張する。第60/502,932号明細書(2003年9月15日出願)「表面プロファイリングならびにフォーカスおよびティルト検出のための高速走査干渉計」、第60/502,933号明細書(2003年9月15日出願)、「薄膜コーティングを有する場合がある表面をプロファイリングするためのかすめ入射干渉計」、第60/502,907号明細書(2003年9月15日出願)、「薄膜コーティングを通して表面をプロファイリングするための三角測量センサ」、第60/502,930号明細書(2003年9月15日出願)、「薄膜がある場合の表面トポグラフィの高速測定」、および第60/539,437号明細書(2004年1月26日出願)、「干渉パターン・マッチング・テンプレートを用いた表面プロファイリング」。なお各出願は、本明細書において参照により取り入れられている。
【0002】
本発明は、物体の干渉分析、たとえば物体トポグラフィの干渉法決定に関する。
【背景技術】
【0003】
干渉法、たとえば走査白色光干渉法(SWLI)を用いて、物体の空間的特性を決定することができる。典型的な空間的特性には、表面トポグラフィ、または何らかの基準に対する物体の場所が含まれる。物体に不透明基板を覆う厚膜が含まれる場合には、SWLIデータには、基板−皮膜界面および皮膜−空気界面からそれぞれ生じる離間に配置された2つのパターンが含まれる場合がある。干渉パターンが完全に分離できる場合、すなわち2つの信号間にゼロ変調の領域が存在する場合には、標準的な技術を用いて、データから、基板表面および皮膜−空気界面に関する独立した情報を得ることができる。覆う皮膜が薄くなるにつれ、個々の干渉パターンは、互いに重なり合って歪め合い始める。このような重なり合った干渉パターンが生じると、基板表面および皮膜−空気界面に関して誤った空間情報が得られるおそれがある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様は、光路長差(OPD)の関数として重なり合う干渉パターンを生成する物体からの低コヒーレンス干渉信号を分析するための方法およびシステムに関する。本発明の方法およびシステムは、たとえばフラット・パネル・ディスプレイ測定、半導体ウェハ計測、はんだバンプ処理、その場薄膜測定、および異種材料分析において用いることができる。
【0005】
1つの典型的な方法は、フォトリソグラフィ・システムに対するその場フォーカスおよびティルト調整において、パターニングされたウェハ上のフォトレジスト皮膜の空間的特性を高速に決定することに関するものである。空間的特性には、フォトリソグラフィ・システムの基準に対するフォトレジスト上面のトポグラフィおよび/または位置を含めることができる。いくつかの実施形態においては、空間的特性は、たとえばフォトリソグラフィ・システムに対するフォトレジスト皮膜の絶対的または相対位置を示す。
【0006】
一般的に、一態様において、本発明の特徴は、(i)測定物体から低コヒーレンス干渉信号を得ることであって、測定物体は第1および第2の界面を備え、低コヒーレンス干渉信号は、それぞれ第1および第2の界面に起因する第1および第2の重なり合う干渉パターンを含むことと、(ii)重なり合う干渉パターンのサブセットを特定することであって、サブセットは、第1および第2の干渉パターンの一方からの寄与が他方の干渉パターンからの寄与よりも大きいことと、を含む方法である。
【0007】
方法の実施形態には、以下の特徴のいずれかが含まれていても良い。
前記得ることが、複数の低コヒーレンス干渉信号を得ることを含み、各低コヒーレンス干渉信号は、第1および第2の重なり合う干渉パターンを含み、各第1の干渉パターンは第1の界面の異なる点に起因し、各第2の干渉パターンは第2の界面の異なる点に起因し、複数の低コヒーレンス干渉信号を得ることが、物体を結像することを含み、サブセットを特定することが、それぞれの干渉信号のサブセットを特定することを含み、各サブセットは、対応する干渉信号の第1および第2の干渉パターンの一方からの寄与が他方の干渉パターンからの寄与より大きくても良い。
【0008】
複数の低コヒーレンス干渉信号のそれぞれに対して、前記得ることが、干渉計を用いることを含み、光に起因する複数の低コヒーレンス信号がそれぞれ、光路長差の範囲を有し、光路長差の各範囲は、干渉計のコヒーレンス長の少なくとも50%であっても良い。たとえば各範囲は、少なくとも干渉計のコヒーレンス長程度の大きさであっても良い。
【0009】
第1の界面は物体の外面であっても良く、方法は、外面の複数の点のそれぞれの相対的な高さを決定することを含んでいても良い。
第1および第2の界面は、1000nm以下だけ分離していても良い。
【0010】
第1の界面は物体の外面であり、第2の界面は外面の真下であっても良い。たとえば、外面は、基板を覆うフォトレジスト層の外面であり、第2の界面は、フォトレジストの外面と基板との間に規定されても良い。
【0011】
第1および第2の界面は、液晶ディスプレイ・セルの界面であっても良い。
方法はさらに、低コヒーレンス干渉信号に基づいて第1または第2の界面の少なくとも一部の点のそれぞれの空間的特性を決定することを含んでいても良い。
【0012】
第1および第2の重なり合う干渉パターンがそれぞれ複数のフリンジを含んでいても良く、少なくとも一部の点のそれぞれの空間的特性を決定することが、第1または第2の重なり合う干渉パターンの一方のフリンジの半分未満に基づいて少なくとも一部の点のそれぞれの空間的特性を決定することを含んでいても良い。
【0013】
第1および第2の重なり合う干渉パターンがそれぞれ、複数のフリンジを含んでいても良く、少なくとも一部の点のそれぞれの空間的特性を決定することが、各第1または第2の重なり合う干渉パターンのフリンジの半分を変換することを含んでいても良い。
【0014】
少なくとも一部の点のそれぞれの空間的特性を決定することが、対応する干渉信号の重なり合う干渉パターンの非対称のサブセットに基づいて少なくとも一部の点のそれぞれの空間的特性を決定することを含んでいても良い。たとえば、少なくとも一部の点のそれぞれの空間的特性を決定することが、非対称のサブセットを変換することを含んでいても良い。また、第1の界面は物体の外面であっても良く、少なくとも一部の点のそれぞれの空間的特性を決定することが、外面の複数の点の空間的特性を決定することを含んでいても良い。このような場合、各非対称のサブセットは、物体の外面に起因する干渉がゆうせいであっても良い。
【0015】
サブセットを特定することが、干渉計応答を示すテンプレートに基づいて非対称のサブセットの境界を決定することを含んでいても良い。たとえばテンプレートは、物体の高さには無関係な干渉計応答を示しても良い。境界を決定することが、テンプレートと低コヒーレンス干渉信号とを比較することを含んでいても良い。
【0016】
サブセットを特定することが、干渉計応答を示すテンプレートと低コヒーレンス干渉信号とを相互相関させることを含んでいても良い。相互相関させることが、低コヒーレンス干渉信号の形状に基づいて標準化することを含んでいても良い。
【0017】
少なくとも一部の点のそれぞれの空間的特性を決定することが、対応する低コヒーレンス干渉信号と干渉計応答を示すテンプレートとに基づいて空間的特性を決定することを含んでいても良い。少なくとも一部の点のそれぞれの空間的特性を決定することはさらに、対応する低コヒーレンス干渉信号とテンプレートとを比較することを含んでいても良い。比較することが、対応する低コヒーレンス干渉信号とテンプレートとの間の最良のマッチングの場所を決定することを含んでいても良い。たとえば、比較することが、テンプレートと重なり合う干渉パターンとを相互相関させることを含んでいても良い。相互相関させることが、対応する低コヒーレンス干渉信号の形状に基づいて標準化することを含んでいても良い。
【0018】
テンプレートは非対称であっても良い。たとえばテンプレートは、切断された干渉パターンの形状を有していても良い。本方法がさらに、基準物体の複数の点のそれぞれからの基準の低コヒーレンス干渉信号を得ることによってテンプレートを生成することを含み、テンプレートは、基準の低コヒーレンス干渉信号のそれぞれから得られる寄与を含んでいても良い。
【0019】
たとえば、各基準の低コヒーレンス干渉信号が、対応する物点の高さを示す物体高さ依存性の特性を含んでいても良く、テンプレートを作成することが、基準の低コヒーレンス干渉信号から物体高さ依存性の特性を取り除くことを含んでいても良い。基準の低コヒーレンス干渉信号には、重なり合わない干渉パターンが含まれていても良い。
【0020】
他の態様においては、本発明の特徴は、(i)物体から低コヒーレンス干渉信号を得るように構成された光学システムであって、物体は複数の界面を有し、低コヒーレンス干渉信号は、少なくとも第1および第2の物体の界面に起因する少なくとも第1および第2の重なり合う干渉パターンを含む、光学システムと、(ii)第1および第2の重なり合う干渉パターンの非対称のサブセットに基づいて第1および第2の界面の少なくとも一方の空間的特性を決定するように構成されたプロセッサと、を含む装置である。
【0021】
装置の実施形態には、以下の特徴のいずれかが含まれていても良い。
プロセッサがさらに、第1および第2の干渉パターンの一方からの寄与が干渉パターンの他方からの寄与よりも大きく含まれる低コヒーレンス干渉信号の部分を決定することと、低コヒーレンス干渉信号の前記部分からデータのサブセットを選択することと、を行なうように構成されても良い。
【0022】
第1の界面は物体の外面であっても良く、第1の干渉パターンは第1の界面に起因し、プロセッサはさらに、第1の界面の空間的特性を決定するように構成されていても良い。
光学システムが、物体から複数の低コヒーレンス干渉信号を得るように構成され、各低コヒーレンス干渉信号は、第1および第2の界面の異なる点に起因する個々の第1および第2の重なり合う干渉パターンを含んでいても良く、プロセッサはさらに、複数の低コヒーレンス干渉信号の個々の非対称のサブセットに基づいて、第1の界面の複数の点の空間的特性を決定するように構成されていても良い。
【0023】
たとえば複数の点の空間的特性は、それぞれの点の相対的な高さであっても良い。
プロセッサは、物体の外面の、他の物体に対する空間的特性を決定するように構成されていても良い。
【0024】
プロセッサは、物体の外面の、フォトリソグラフィ装置に対する位置を決定するように構成されていても良い。
プロセッサはさらに、本発明の最初に述べた方法の態様について前述したステップのいずれかを行なうように構成されていても良い。
【0025】
一般的に、他の態様においては、本発明の特徴は、干渉計を用いて、複数の界面を有する物体から得られる低コヒーレンス干渉信号を受け取ることであって、低コヒーレンス干渉信号は、少なくとも第1および第2の物体の界面に起因する少なくとも第1および第2の重なり合う干渉パターンを含むことと、第1および第2の重なり合う干渉パターンの非対称のサブセットに基づいて、第1および第2の界面の少なくとも一方の空間的特性を決定することとを、少なくとも行なうように構成されたプロセッサである。プロセッサの実施形態はさらに、本発明の最初に述べた方法の態様に関して前述した特徴を含んでいても良い。
【0026】
一般的に、他の態様においては、本発明の特徴は、物体の空間的特性を決定するための方法であって、(i)干渉計を用いて、第1の物体から得られる低コヒーレンス干渉信号を提供することと、(ii)低コヒーレンス干渉信号と干渉計の応答を示すテンプレートとに基づいて第1の物体の空間的特性を決定することと、を含む方法である。
【0027】
方法の実施形態には、以下の特徴のいずれかが含まれていても良い。
第1の物体が外面を含んでいても良く、決定することが、外面の点の相対的な高さを決定することを含んでいても良い。
【0028】
前記提供することが、干渉計を用いて、第1の物体の対応する異なる点からそれぞれ得られる複数の低コヒーレンス干渉信号を提供することを含んでいても良く、前記決定することが、対応する低コヒーレンス干渉信号とテンプレートとに基づいて各異なる点の空間的特性を決定することを含んでいても良い。
【0029】
複数の低コヒーレンス干渉信号がそれぞれ、干渉計を用いて物体の一部を結像することを含むステップによって得られても良い。
物体は外面を有しており、各異なる点の空間的特性は各点の高さであっても良い。たとえば、物体が、フォトレジストによってコーティングされたウェハを含んでいても良く、物体の外面がフォトレジストの外面であっても良い。
【0030】
テンプレートは非対称であっても良い。たとえばテンプレートは、切断された干渉パターンの形状を有していても良い。低コヒーレンス干渉信号が、第1および第2の物体の界面に起因する重なり合う干渉パターンを含んでいても良く、空間的特性を決定することが、第1および第2の界面の少なくとも一方の空間的特性を決定することを含んでいても良い。第1の界面が物体の外面であっても良く、前記決定することが、外面の空間的特性を決定することを含んでいても良い。さらに、テンプレートの形状は、第2の界面ではなく第1の界面からの寄与が優勢な低コヒーレンス干渉信号の部分に対応していても良い。
【0031】
テンプレートが、複数の第2の低コヒーレンス干渉信号のそれぞれから得られる寄与を含んでいても良い。たとえば、複数の第2の低コヒーレンス干渉信号がそれぞれ、基準物体の個々の異なる点に起因しても良い。
【0032】
複数の第2の低コヒーレンス干渉信号がそれぞれ、対応する基準物点の高さを示す物体高さ依存性の特性を含んでいても良く、方法が、テンプレートを生成することを含み、テンプレートを生成することが、物体高さ依存性の特性からの寄与を取り除くことを含んでいても良い。たとえば、各第2の低コヒーレンス干渉信号が、対応する基準物点の高さを示す位相関連の特性を有していても良く、寄与を取り除くことが、位相関連の特性を取り除くことを含んでいても良い。また第1の物体および基準物体は、同じであっても良い。あるいは、第1の物体が、横たわる薄膜を含む基板を含んでいても良く、複数の第2の低コヒーレンス干渉信号が、単一の反射性界面を有する基準物体の一部から得られても良い。
【0033】
方法はさらに、テンプレートと低コヒーレンス干渉信号とを比較することを含んでいても良い。
前記比較することが、テンプレートと低コヒーレンス干渉信号とを相互相関させることを含んでいても良い。たとえば相互相関が、部分複素の相互相関を含んでいても良い。相互相関させることが、低コヒーレンス干渉信号の形状に基づいて標準化することを含んでいても良い。
【0034】
前記比較することが、低コヒーレンス干渉信号内の場所を決定することを含んでいても良く、空間的特性を決定することが、場所の一方の側に位置する低コヒーレンス干渉信号の部分を処理することを含んでいても良い。さらに方法が、低コヒーレンス干渉信号を変換することを含んでいても良い。たとえば、低コヒーレンス干渉信号が、第1および第2の重なり合う干渉パターンを含んでいても良く、場所の一方の側の低コヒーレンス干渉信号の部分は、第2の干渉パターンではなく第1の干渉パターンからの寄与が優勢であっても良い。たとえば第1の干渉パターンが、第1の物体の外面に起因しても良い。
【0035】
一般的に、他の態様においては、本発明の特徴は、複数の低コヒーレンス干渉信号を提供することであって、各低コヒーレンス干渉信号は、干渉計を用いて物体の対応する異なる点から得られていることと、干渉計の応答を示すテンプレートを生成することであって、低コヒーレンス干渉信号のそれぞれからの寄与を組み合わせることを含むことと、を含む干渉計テンプレートを作成するための方法である。
【0036】
方法の実施形態には、以下の特徴のいずれかが含まれていても良い。
各低コヒーレンス干渉信号が、干渉計を用いて物体の一部を結像することによって物体の対応する異なる点から得られていても良い。
【0037】
物体の異なる点がそれぞれ、個々の空間的特性を有していても良く、各低コヒーレンス干渉信号が、対応する物点の空間的特性に依存する空間依存性の特性を含んでいても良く、テンプレートを生成することが、低コヒーレンス干渉信号の少なくとも一部の空間依存性の特性を取り除くことを含んでいても良い。
【0038】
空間的特性が、相対的な高さであっても良い。
空間依存性の特性を取り除くことが、低コヒーレンス干渉信号を逆次元に変換して(変換後の低コヒーレンス干渉信号が逆次元での位相変化を示す)、逆次元に対する位相変化の線形部分を取り除くことを含んでいても良い。
【0039】
物体の異なる点が、物体の界面の周囲の異なる点であっても良い。
界面が物体の外面であっても良い。
方法はさらに、干渉計を用いて少なくとも1つの第2の低コヒーレンス干渉信号を得ることであって、第2の低コヒーレンス干渉信号は、第2の物体の点に起因することと、第2の低コヒーレンス干渉信号とテンプレートとに基づいて、第2の物体の点の空間的特性を決定することと、を含んでいても良い。
【0040】
たとえば、第2の物体が基板と少なくとも1つの横たわる層とを含み、第2の物体の点が、横たわる層の少なくとも一部によって規定されても良い。横たわる層が、物体の外面を規定する表面を有し、第2の物体の点が外面に位置していても良い。
【0041】
干渉計を用いて得ることが、複数の第2の低コヒーレンス干渉信号を得ることを含み、各第2の低コヒーレンス干渉信号は第2の物体の異なる点に起因しても良く、第2の物体の点の空間的特性を決定することが、第2の低コヒーレンス干渉信号とテンプレートとに基づいて第2の物体の異なる点の空間的特性を決定することを含んでいても良い。
【0042】
複数の第2の低コヒーレンス干渉信号を得ることが、第2の物体の一部を結像することを含んでいても良い。
決定することが、第2の低コヒーレンス干渉信号とテンプレートとを比較することを含んでいても良い。たとえば、比較することが、少なくとも1つの第2の低コヒーレンス干渉信号とテンプレートとを相互相関させることを含んでいても良い。さらに、比較することが、第1の低コヒーレンス干渉信号の形状に対する相互相関を規格化することを含んでいても良い。
【0043】
テンプレートが、非対称の切断された低コヒーレンス干渉信号の形態を有していても良い。
一般的に、他の態様においては、本発明の特徴は、少なくとも1つの低コヒーレンス干渉信号を提供することであって、低コヒーレンス干渉信号は、物体の少なくとも1つの点に起因する干渉パターンを含むとともに、干渉計を用いて得られていることと、少なくとも1つの低コヒーレンス干渉信号から、干渉計の応答を示す非対称のテンプレートを生成することと、を含む干渉計テンプレートを生成するための方法である。
【0044】
方法の実施形態には、以下の特徴のいずれかが含まれていても良い。
非対称のテンプレートが、切断された干渉パターンの形状を有していても良い。
物体の少なくとも1つの点が空間的特性を有していても良く、少なくとも1つの低コヒーレンス干渉信号が、少なくとも1つの点の空間的特性に依存する空間依存性の特性を有していても良く、生成することが、低コヒーレンス干渉信号から空間依存性の特性を取り除くことを含んでいても良い。
【0045】
一般的に、他の態様においては、本発明の特徴は、物体から得られる低コヒーレンス干渉信号を提供することと、低コヒーレンス干渉信号とテンプレートとの比較に基づいて物体の空間的特性を決定することであって、テンプレートは切断された干渉パターンの形状を有することと、を含む方法である。
【0046】
方法の実施形態は、以下の実施形態のいずれかを含んでいても良い。
提供することが、物体の対応する異なる点からそれぞれ得られる複数の低コヒーレンス干渉信号を提供することを含んでいても良く、空間的特性を決定することが、対応する低コヒーレンス干渉信号とテンプレートとの比較に基づいて物体の各異なる点の空間的特性を決定することを含んでいても良い。
【0047】
方法はさらに、低コヒーレンス干渉信号とテンプレートとを相互相関させることによって低コヒーレンス干渉信号とテンプレートとを比較することを含んでいても良い。
物体がさらに、基板と少なくとも1つの横たわる層とを含み、物体の空間的特性が、少なくとも横たわる層の外面の点の空間的特性であっても良い。
【0048】
低コヒーレンス干渉信号が、横たわる層の外面から光を反射させることを含む方法によって得られても良い。たとえば、横たわる層がフォトレジストであっても良い。
一般的に、他の態様においては、本発明の特徴は、物体の異なる点から複数の低コヒーレンス干渉信号を得るように構成された光学システムと、コードを含むプロセッサと、を備える干渉計である。プロセッサは、干渉計の応答を示すテンプレートを作成するように構成され、テンプレートは複数の低コヒーレンス干渉信号からの寄与を含む。
【0049】
装置の実施形態には、以下の特徴のいずれかが含まれていても良い。
複数の低コヒーレンス干渉信号が、物体の異なる点の空間的特性に関係づけられる特性を含んでいても良く、テンプレートを作成するように構成されるコードが、物体の異なる点の空間的特性に関係づけられる特性の少なくとも一部が無いテンプレートを作成するように構成されるコードを含んでいても良い。
【0050】
コードを含むプロセッサがさらに、第2の物体から第2の低コヒーレンス干渉信号を得ることと、第2の低コヒーレンス干渉信号とテンプレートとに基づいて第2の物体の空間的特性を決定することと、を行なうように構成される。たとえば、空間的特性を決定するためのコードが、第2の低コヒーレンス干渉信号とテンプレートとを比較するように構成されるコードを含んでいても良い。
【0051】
プロセッサがさらに、前述した方法の態様に関連して前述した対応するステップのいずれかを行なうように構成されていても良い。
一般的に、他の態様においては、本発明の特徴は、コンピュータ読取可能な媒体を含むプロセッサであって、媒体は、干渉計を用いて、物体の異なる点から得られる複数の低コヒーレンス干渉信号を受け取ることと、干渉計の応答を示すテンプレートを生成することと、を行なうように構成されるコードを含み、テンプレートは複数の低コヒーレンス干渉信号からの寄与を含む。
【0052】
さらなる実施形態においては、コードがさらに、プロセッサに、前述した方法の態様に関連して前述した対応するステップのいずれかを行なわせても良い。
干渉データを得るためのシステムの実施形態には、低コヒーレンス(スペクトル的に広帯域のおよび/または拡張光源の)干渉計、たとえば白色光走査干渉法(SWLI)機器が含まれる。低コヒーレンス干渉計は、少なくともシステムの要素を機械的または電気光学的に走査して、基準経路と測定経路(測定経路は物体表面まで方向づけられている)との間の光路差(OPD)を変えるために、備え付けられている。OPD走査中の複数の干渉信号が、プロセッサによって記録される。記録はたとえば、物体の一部を複数の検出器要素上に結像することによって、行なわれる。低コヒーレンス光源および/または装置の幾何学的配置によって、干渉信号を、物体表面の各結像点に対して、ゼロOPD位置の辺りに局在化させる。システムは、複数の層を有する場合がある物体(詳細には基板上の透明な薄膜)を分析するように構成されている。この場合、層間の界面からの干渉信号は完全に分離される。
【0053】
本発明の方法は、各検出器要素によって検出される干渉信号の一部を選択することを含む。選択部分は、選択された界面または表面(たとえば基板と薄膜層との間の界面)に対応する。各干渉信号の選択部分は、その他の界面または表面からの反射に起因する不要な干渉現象による歪みが比較的ない部分として特定される。選択部分は、対象界面に対するゼロOPDとは異なるOPD位置に対して収集された干渉情報を含んでも良いし、またはこれに限定されても良い。
【0054】
干渉信号の一部を選択するための本発明の方法には、特定の光路長差において始まる干渉信号の一部を取り出すことが含まれる。特定の光路長差は、たとえば信号重心によってまたは対象信号の実質的に未破損部分の範囲を予測可能に規定する信号の何らかの他の特性によって、特定される。次に、取り出した部分を、まるで全信号であるかのようにさらに処理するために送る。
【0055】
低コヒーレンス干渉信号の一部を選択するための本発明の他の方法には、測定物体から収集される測定干渉信号と基準表面の事前測定によって生成されるテンプレートとを比較することが含まれる。比較は、測定干渉信号自体を用いて、理論上の予測によって、またはそれらの組み合わせによって行なわれる。テンプレートは、実質的に歪められていない各低コヒーレンス干渉信号の一部に対応することができる。本方法には、テンプレートに最良にマッチングする各測定低コヒーレンス干渉信号の場所を見出すことを含むことができる。この技術によって、さらに処理することなく界面高さの場所を直接得ることができる。測定分解能に対する改善として、本技術は、複数の記憶信号(たとえば種々のオフセットを有するテンプレートの組)を含むことで、補間の改善を可能にしても良い。
【0056】
データ処理におけるステップとして、いったん界面の場所が、光路長差に対する選択信号部分の場所によって特定されたら、補償因子を含めることで、薄膜の屈折特性および分散特性と、これらの材料パラメータがたとえば対物レンズのNAおよび照明のスペクトルのバンド幅にどのように関係するのかとに、対処しても良い。これは、対象とする界面の真の物理プロファイルに対応する補正データを得るためである。
【0057】
いくつかの実施形態においては、フォトレジストの外面の空間的特性が、重なり合う干渉パターンを含む干渉信号の少なくとも一部に基づいて決定される。空間的特性に基づいて、フォトレジストおよびフォトリソグラフィ・システムの相対位置を変更することができる。
【0058】
いくつかの実施形態においては、物体の外面の空間的特性が、低コヒーレンス干渉の少なくとも一部から、たとえば外面から何らかの材料を取り除いた後に、決定される。空間的特性に基づいて、さらに材料を取り除くことができる。たとえば、さらに取り除く間に除去レートを変更することができる。
【0059】
いくつかの実施形態においては、物体の一部の空間的特性が、たとえば物体の一部にレーザ・ビームを照射してスクライブ・ラインを形成した後で、決定される。空間的特性に基づいて、物体または他の物体のさらなるスクライビングが行なわれる。
【0060】
いくつかの実施形態においては、複数の低コヒーレンス干渉信号が得られる。各干渉信号は、光路長差値の関数としての検出器強度を含み、およびIsysとして示すことができる。複数の干渉信号を、周波数ドメイン内で平均化して、単一の部分スペクトル※q〜sys※を決定する。このスペクトルは、周波数ドメイン内のすべての低コヒーレンス干渉信号に対するフィールド平均に対応する。
【0061】
部分スペクトルを逆変換して、テンプレート※I〜sys※を得る。この実部は、各干渉信号に類似する干渉信号を表わす場合があるが、振幅スケーリングと物体高さ依存性の差とが取り除かれている。いくつかの実施形態においては、テンプレートは、各走査位置ζにおける包絡線および位相を複素関数※I〜sys※の係数および引数を用いてそれぞれ分離できるように、複雑な形式※I〜sys※で維持される。
【0062】
別に定義がない限り、本明細書で用いられる技術用語および科学用語はすべて、本発明が属する技術分野の通常の知識を有する者によって広く理解されているものと同じ意味を有する。
【0063】
特に断りのない限り、本明細書で説明される方法およびシステムによって決定される物体の空間的特性は、相対的であっても良いし絶対的であっても良い。
本発明の他の特徴、目的、および優位性は、以下の詳細な説明から明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0064】
図1を参照して、シミュレートされている低コヒーレンス干渉信号150に、物体の単一の点(たとえば、単一の反射性界面を有するシリコン・ウェハの点)から得られる複数の検出器強度値が含まれている。強度値は、物点からの反射光と基準物体からの反射光との間の光路長差(OPD)の関数としてプロットされる。干渉信号150は、OPDを走査することによって得られる低コヒーレンス白色光走査干渉法(SWLI)信号である。OPDの走査はたとえば、光学部品および/または物体を移動させて物体からの反射光または基準光が進む光路を変えることによって、行なわれる。低コヒーレンス走査白色光干渉計として構成することができる干渉計の例は、ミラウ(Mirau)干渉計である。代替的にまたは組み合わせて、干渉計によってOPDを変えることを、物体からの反射光および基準光の空間分布を検出することによって行なっても良い。OPDは、検出器上の空間位置の関数として変化する。
【0065】
図1では、強度値が、OPD(ここでは走査位置)の関数としてプロットされている。強度値によって、複数のフリンジ152を有する干渉パターン151がマッピングされている。フリンジは、低コヒーレンス包絡線154に従って最大値の両側で減衰している。低コヒーレンス包絡線がない場合には、干渉パターンのフリンジは通常、振幅が広範囲の光路差に渡って同様である。包絡線154自体は、このような干渉信号内において明確に現れることはないが、説明のために示している。OPD軸に沿っての干渉パターンの場所は一般的に、ゼロOPDの位置(たとえば、物点からの反射光と基準物体からの反射光との間のゼロOPDに対応する走査位置または空間位置)に関係づけられる。ゼロOPD走査位置は、物体トポグラフィ(各物点の相対的な高さを記述する)と、物体自体の方位および位置(干渉計に対する各物点の位置に影響を及ぼす)との関数である。また干渉信号には、機器の寄与も含まれる。機器の寄与はたとえば、干渉計オプティクスに関係づけられる。干渉計オプティクスはたとえば、オプティクスの開口数(NA)、データ収集レート、走査速度、干渉信号を収集するために用いられる光の波長、波長の関数としての検出器感度、および他の機器による特性である。
【0066】
フリンジ152の振幅を変調するコヒーレンス包絡線154の幅は一般的に、検出光のコヒーレンス長に対応する。コヒーレンス長を決定する要因の中には、時間コヒーレンス現象(たとえば、光源のスペクトル・バンド幅に関係づけられる)、および空間コヒーレンス現象(たとえば、物体を照明する光の入射角度の範囲に関係づけられる)がある。通常、コヒーレンス長は、以下の場合に減少する。(a)光源のスペクトルのバンド幅が大きくなる、および/または(b)入射角度の範囲が大きくなる。データを収集するために用いられる干渉計の構成に依存して、これらのコヒーレンス現象の一方もしくは他方が優勢になっても良く、またはそれらが両方とも全体のコヒーレンス長に実質的に寄与しても良い。干渉計のコヒーレンス長は、単一の反射表面を有する物体(たとえば、薄膜構造ではない)から干渉信号を得ることによって、決定することができる。コヒーレンス長は、観察される干渉パターンを変調する包絡線の半値幅に対応する。
【0067】
図1から分かるように、干渉信号150が発生するのは、検出光の光路差の範囲が、コヒーレンス包絡線の幅よりも大きく変化する場合、したがって検出光のコヒーレンス長よりも大きく変化する場合である。一般的に、低コヒーレンス干渉信号は、検出光のコヒーレンス包絡線によって振幅変調される干渉フリンジを得ることによって発生することができる。たとえば干渉パターンは、観察される干渉フリンジの振幅が互いに対して少なくとも20%、少なくとも30%、または少なくとも50%だけ異なるOPDに渡って得られる場合がある。たとえば、フリンジ98の最大振幅は、フリンジ99の最大振幅よりも約50%小さい。
【0068】
低コヒーレンス干渉計は、干渉計のコヒーレンス長に匹敵するかまたはそれを超えるOPDの範囲に渡って検出される干渉信号を検出するように、構成することができる。たとえば、検出されるOPDの範囲は、コヒーレンス長より少なくとも2倍大きくても良いし、少なくとも3倍大きくても良い。いくつかの実施形態においては、検出光のコヒーレンス長は、物体の特徴の高さ変化のオーダであり、たとえば数ミクロン以下だが検出光の公称上の波長を超えるオーダである。
【0069】
一般的に、干渉信号(たとえば干渉パターンの形状および位相)に対する機器関連の寄与は、物体のトポグラフィおよび位置とともにゆっくりと変化する傾向がある。他方で、干渉信号が、異なる空間的特性(たとえば異なる相対的な高さ、または干渉計に対して異なる相対位置)を有する物点から得られる場合、干渉パターンは走査位置軸に沿ってシフトする。したがって、異なる物点から得られる干渉パターンは、形状は同様であるが、各点の空間的特性に関係づけられる量だけ走査位置軸に沿ってシフトしている場合がある。
【0070】
図2を参照して、物体および物点の空間的特性に関係づけられる寄与が、テンプレート215によって低減されるかまたは取り除かれている。このような寄与はたとえば、物体トポグラフィ(異なる点の相対的な高さを記述する)、物体位置、および物体方位寄与である。テンプレート215は、物体に対する干渉計の応答を表わしており、干渉計を用いて得られる低コヒーレンス干渉信号内に現れる寄与を表わす機器の寄与を含むことができる。前述したように、このような機器の寄与は、異なる物点から得られる干渉信号に対して同様であるかまたは同じである。したがってテンプレート215には、異なる物点から得られる干渉信号からの寄与を含むことができる。異なる点は、分析すべき表面全体の周囲に配置しても良いし、分析すべき領域の1つまたは複数のサブセットの周囲に配置しても良い。
【0071】
異なる物点からの干渉信号を処理して、複数の干渉信号からの情報を組み合わせ(たとえば平均化し)て、テンプレートを作成する。結果として生じるテンプレートは、信号対雑音レベル(S/N)を、個々の干渉信号よりも著しく高くすることができる。いくつかの実施形態においては、テンプレート215は、複数の干渉信号からの寄与を含み、そのS/Nは、少なくとも10、少なくとも33、または少なくとも100倍だけ、個々の干渉信号よりも大きい。出願人は、このようなテンプレートに基づいて干渉信号を処理することで、物体の1つまたは複数の空間的特性を決定できることを見出した。
【0072】
図3を参照して、干渉信号190は、物体191から収集される。物体191は、基板192および横たわる層(たとえば薄膜193)を含む。基板および皮膜によって、それらの間の界面194が規定される。皮膜の外面195によって、物体とその周囲(たとえば、空気、他のガス、または真空)との間の界面が規定される。界面は一般的に、物体の部分間の屈折率変化によって規定される。
【0073】
干渉信号190には、界面194に起因する第1の干渉パターン196と、界面195に起因する第2の干渉パターン197とが含まれる。第1および第2の干渉パターン196、197は、重なり合っている。たとえば、干渉パターン196、197の最大値は、干渉計のコヒーレンス長よりも短いOPDだけ分離しており、パターン196、197は、ゼロ強度の領域によって分離されてはいない。物体の空間的特性を決定するための既存の方法では、物体が、重なり合う干渉パターンを生成する界面を有する場合、誤った結果が得られる可能性がある。なぜならば、重なり合う干渉パターンは互いに歪め合うからである。出願人は、このような界面を有する物体の場合、その空間的特性は、重なり合う干渉パターン上の一部に基づいて決定できることを見出した。たとえば、界面195の空間的特性、たとえば物体191の外面のトポグラフィは、干渉信号190のサブセット200に基づいて決定することができる。サブセット200は、干渉パターン196(界面194による)からの寄与ではなく、干渉パターン197(界面195による)からの寄与が優勢である。界面194の空間的特性は、サブセット200と同様であるが重なり合うパターンの左側に位置するサブセットに基づいて、決定することができる。
【0074】
図4を参照して、テンプレート180は非対称であり、切断された干渉パターンの形状を有する。1つまたは複数の界面を有する物体の空間的特性、たとえば物体190の界面195の空間的特性は、非対称のテンプレート180に基づいて決定することができる。いくつかの実施形態においては、干渉信号を非対称のテンプレートによって処理して、干渉信号のサブセットの境界を決定することができ、これを処理して、界面の空間的特性を決定することができる。たとえば、干渉信号200(図3)をテンプレート180(図4)によって処理して、干渉信号190に伴うサブセット200の境界201を決定することができる(図3)。境界は通常、干渉信号のx軸に沿っての位置、たとえば走査位置である。サブセットを、境界に基づいて選択することができる。サブセットにさらに処理を施して、特定の界面の空間的特性を決定することができる。いくつかの実施形態においては、干渉信号を非対称のテンプレートによって処理することで、物体の界面の空間的特性を決定することが、さらに処理することなく可能となる。
【0075】
次に、薄膜のない物体に起因する低コヒーレンス干渉信号と薄膜のない物体に起因する低コヒーレンス干渉信号とについて、詳しく説明する。
図1を再び参照して、低コヒーレンス干渉信号150によってシミュレートされているデータは、次のものを用いて収集されている。光源として、波数がガウシアン分布をなし、波長のバンド幅が100nmであり、その中心が平均値640nmであり、対物レンズ開口数(NA)が0.3のもの。測定物体として、固体窒化ケイ素(Si3N4、屈折率=2.019)からなるもの(この材料は、640nmにおいて部分的に透明である)。
【0076】
次に図5を参照して、低コヒーレンス干渉信号156によって、シリコン(Si、屈折率=3.725−0.029i)基板に2μmのSi3N4をコーティングした測定物体から収集されるデータが、シミュレートされている。明瞭にするために、干渉信号156は、ノイズを用いずにシミュレートされている。信号156には、第1の干渉パターン157と第2の干渉パターン159とが含まれる。第1および第2の干渉パターン157、159には、ピーク165、167とフリンジ162、164とが、それぞれ含まれている。フリンジは、それぞれの包絡線158、160に従って減衰する。干渉パターンのピークは、走査位置軸に沿って離間に配置されている。干渉パターン157、159は、測定物体の基板−皮膜界面および皮膜−空気界面からの反射に起因する干渉に、それぞれ対応する。干渉パターン157、159は重なり合っていない。たとえばパターンは、本質的にゼロ変調強度の領域169によって、離間に配置されている。したがって、物体界面の空間的特性を決定するために、干渉信号157、159を互いに独立に処理することができる。
【0077】
図6を参照して、低コヒーレンス干渉信号170は、シリコン(Si、屈折率=3.725−0.029i)基板に1.1μm厚みのSi3N4薄膜をコーティングした物体から収集されるデータをシミュレートしている。干渉信号には、第1の干渉パターン172(シリコン基板における界面に起因する)と第2の干渉パターン174(Si3N4層の外面に起因する)とが含まれ、各パターンには複数のフリンジが含まれている。フリンジは、それぞれの包絡線181、183に従って減衰する。膜厚が薄いために(図5と比較して)、干渉パターン172、174は重なり合って全体の干渉パターンを形成している。従来のデータ処理では、組み合わされた干渉効果を区別することができず、誤った界面の空間的特性が与えられるであろう。たとえば不正確な皮膜高さ、トポグラフィ、または位置である。
【0078】
図7を参照して、図1からの干渉信号150の一部を、干渉パターン172および174を含む図6の干渉信号170の一部とともにプロットしている。(ここで、明瞭にするために、干渉信号150の干渉パターンを、図1の線を形成するために接続された点としてではなく、離散的な点として示している。各点は、特定の走査位置で観察される検出器強度を表している。)1.1μmの皮膜が存在するために、干渉信号170は、干渉信号150と比べると変化しているが、干渉パターン174の部分(皮膜−空気界面)と干渉パターン151の部分(基板−空気界面に起因する)とは、ほぼ同一である。
【0079】
本明細書において説明するいくつかの実施形態においては、1つまたは複数の層(たとえば薄膜)を有する基板を含む物体の選択部分の空間的特性を、干渉信号のサブセットに基づいて決定する。このような物体から得られる干渉信号には、重なり合う干渉パターンが含まれる場合があるが、信号には、重なり合いによる歪みが比較的ないサブセットが含まれている可能性がある。干渉信号の比較的歪められていないサブセットを用いて、測定物体の空間的特性を決定することができる。通常、各サブセットには、測定物体の選択部分に起因する干渉が優勢な干渉パターンの少なくとも一部が含まれる。たとえば、図6を参照して、干渉信号170のサブセット180’には、1.1μm厚みのSi3N4薄膜−空気界面に起因する干渉からの寄与が優勢なフリンジが含まれ、その下のシリコン−皮膜界面に起因する干渉(干渉信号の左側に現れる)からのものではない。サブセット180’は、走査位置に対して非対称である。サブセット180’の特性(たとえば干渉位相を含む)は、Si3N4薄膜−空気界面に対応しており、その下のシリコン−皮膜界面からの影響は、ほとんどないかまたは全くない。
【0080】
1.1μm厚みのSi3N4薄膜の空間的特性(たとえばその表面での1つまたは複数の点の相対的な高さ)は、サブセット180’に基づいて決定することができる。いくつかの実施形態においては、決定する際に、干渉信号170のサブセット180’の外側部分を重視することは、ほとんどないか全くない。たとえば干渉信号の他の部分は、抑える(たとえばゼロに設定する)ことができる。サブセット180’を分析して、測定物体の皮膜−空気界面の部分の空間的特性を決定することができる。
【0081】
いくつかの実施形態においては、サブセット180’は非対称であり、サブセット180’に含まれるのは、干渉パターン・フリンジの強度を変調する包絡線の下の領域の75%以下、65%以下、または50%以下である。たとえばサブセット180’に含まれるのは、包絡線183の真下の約50%の領域のみである。
【0082】
いくつかの実施形態においては、サブセットの少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、または少なくとも75%が、近接して離間に配置された第2の界面または表面がなければ観察されたであろう干渉パターンの重心の一方の側に位置する。たとえば、サブセット180’は本質的にすべて、干渉パターン151の重心の右側に位置する。干渉パターン151は、図6の重なり合う干渉パターン172を生じる皮膜がなければ観察されるものである。
【0083】
いくつかの実施形態においては、サブセット180’に含まれるフリンジの数は、干渉信号のフリンジ全部の数よりも少ない。たとえば、図6を参照して、干渉信号170には、強度が少なくとも閾値強度189程度に大きい16個のフリンジが含まれる。図4の干渉パターンは重なり合っているため(図3の干渉パターンとは異なる)、両方の干渉パターン172、174のフリンジが総和に寄与する。サブセット180’には、フリンジの50%以下、またはフリンジの35%以下、25%以下、20%以下、15%以下が含まれていても良い。閾値強度は、最大フリンジ強度の少なくとも2.5%、少なくとも5%、少なくとも10%、または少なくとも20%であっても良い。閾値強度は、最大フリンジ強度の30%以下、たとえば、25%以下、20%以下、15%以下であっても良い。
【0084】
いくつかの実施形態においては、サブセット180’の幅は、分析すべき表面または界面に対応する干渉パターンに隣接する干渉パターンから決定される。たとえば、干渉パターン172は、基板−皮膜界面(シリコン−Si3N4)に起因し、干渉パターン174は、隣接する横たわるSi3N4−空気界面に起因する。隣接する干渉パターン172の寸法(たとえば幅Δ)は、ピーク191と、隣接する干渉パターンの振幅が選択値(たとえばピークの25%、ピークの15%、ピークの10%、ピークの5%、またはピークの2%)まで低減している走査位置(たとえば走査位置193)とから、決定することができる。サブセット180’の場所は、ピーク191のΔ内に位置する干渉信号のデータを除外することによって、すなわち走査位置197の左側のデータを除外することによって、決定される。
【0085】
その代わりにまたはそれに加えて、干渉信号170の異なるサブセット(たとえば、図6の左側に位置する干渉信号170の部分から得られるサブセット)に分析を施して、測定物体の基板−皮膜界面の空間的特性を決定することができる。
【0086】
いくつかの実施形態においては、測定物体の空間的特性を決定するために、干渉パターンのサブセットにFDAを施す。FDAの実施形態においては、サブセットを逆次元に変換することが、たとえばフーリエ変換によって可能である。通常、分析には、変換後信号の周波数に対する周波数ドメイン位相の変化レートを決定することが含まれる。FDA技術は、米国特許第5,398,113号明細書、発明の名称「干渉信号の空間周波数分析による表面トポグラフィ測定のための方法および装置」において、概略的に説明されている(この文献の内容は本明細書において参照により取り入れられている)。
【0087】
いくつかの実施形態においては、干渉パターンのサブセットを、光路長差ドメイン内で、たとえば信号を変換することなく走査ドメイン内で、直接分析する。空間情報を、たとえばサブセットの部分の位置、サブセット内のフリンジの間隔、または第2の干渉信号のフリンジに対するサブセットのフリンジの位相に基づいて、決定することができる。
【0088】
いくつかの実施形態においては、干渉信号に対するサブセット180’の位置もしくは境界、および/または測定物体の選択部分の一部の空間的特性(たとえば基板−皮膜もしくは皮膜−空気界面のトポグラフィまたは位置)を、少なくとも1つのテンプレート(理論、実験、またはそれらの組み合わせから決定される)を用いて決定する。テンプレートは、対称的であっても良いし、テンプレート180の場合と同様に非対称であっても良い。テンプレートによって、複数の表面または界面からの不要な信号を含むことがある測定干渉信号の対応部分にマッチングするためのフィルタ・テンプレートを得ることができる。テンプレート・アプローチでは、測定物体の選択部分に起因する干渉に対応する測定干渉データ部分の位置を、走査位置に対して決めるために、マッチングまたはデータ相関アルゴリズムを用いることができる。干渉データの対応部分の、走査位置に対する場所は、測定物体の選択部分の空間的特性を示す。テンプレート・データは、1つまたは複数の基準物体、1つまたは複数の測定物体、またはそれらの組み合わせから得ても良い。
【0089】
いくつかの実施形態においては、干渉信号内の対象領域を決定するために、干渉信号をテンプレートに基づいて処理する。たとえば、テンプレートと干渉信号とを相互相関させて、干渉信号の対象領域に対応する走査位置を決定することができる。境界の一方の側の干渉信号部分にさらに処理を施すことが、たとえば周波数ドメイン分析(FDA)によって、または光路長寸法において可能である。これについては前述した通りである。
【0090】
いくつかの実施形態においては、干渉信号をテンプレートに基づいて処理して、特定の界面に対応する走査位置を決定する。特定の界面とは、たとえば基板−薄膜間の界面、または薄膜と物体を囲む環境との間の界面(たとえば薄膜−空気界面)である。このような界面を有する物体の例は、フォトレジスト・コーティングされたウェハである。いったん対象領域が特定されたら、干渉信号の一部にさらに分析(たとえばFDAまたは位相シフト)を施して、物体または物点の空間的特性(たとえば物体トポグラフィ、位置、または方位)を決定することができる。いくつかの実施形態においては、データの分析部分は、非対称であり、特定の界面に起因する干渉パターン部分のみを含む。空間的特性は、近くに界面が存在していても正確に決定することができる。このような界面はたとえば、1000nm以下、800nm以下、600nm以下、500nm以下、たとえば、400nm以下だけ分離している界面である。いくつかの実施形態においては、1つまたは複数の空間的特性は、200nm以上だけ分離している界面が存在していても正確に決定される。たとえば、薄膜−空気界面の1つまたは複数の点の高さおよび位置は、その下に基板−皮膜界面が存在していても、正確に決定することができる。いくつかの実施形態においては、2つの界面間の距離は、データを得るために使用される干渉計のコヒーレンス長のオーダであり、たとえば数ミクロン以下のオーダである。
【0091】
いくつかの実施形態においては、物体の空間的特性を決定するために、テンプレートを用いて干渉パターンを処理する。たとえば、テンプレートと干渉信号との間の相互相関を用いて、物体の高さもしくは位置および/またはその1つもしくは複数の点を決定することができる。
【0092】
いくつかの実施形態においては、テンプレートを、第1の物体(たとえば薄膜のない基準物体)から得る。テンプレートに基づいて、第2の物体(たとえば基板−皮膜および皮膜−空気の界面を有する測定物体)から得られる1つまたは複数の干渉信号を、処理する。いくつかの実施形態においては、物体から得られるテンプレートを用いて、同じ物体から得られる干渉信号を処理する。
【0093】
いくつかの実施形態においては、空間的特性は、測定物体のトポグラフィ(たとえば、基板を覆う層の高さ、位置、または厚み)に関係づけられる。空間的特性は、測定物体の一部の位置および/または方位、たとえば他の物体に対する測定物体の一部の位置、たとえばフォトリソグラフィ・ツールの基準部分に対する基板を覆う層の表面の位置に、関係づけられても良い。
【0094】
“物体からの干渉信号の取得”
図9を参照して、干渉信号を得るための典型的な測定システム50には、干渉計51と自動化されたコンピュータ制御システム52とが含まれる。測定システム50は、測定物体53の1つまたは複数の空間的特性を決定するように動作することができる。いくつかの実施形態においては、1つまたは複数の空間的特性は、物体53のトポグラフィおよび/または物体53の他の物体(たとえばシステム50の一部)に対する場所に関係する。いくつかの実施形態においては、その他の物体は、フォトリソグラフィ・システムの基準部分である。いずれにしても、システム50は、1つまたは複数の少なくとも部分的に横たわる層を含む物体(たとえばフォトレジストまたははんだの層と接触する基板)の1つまたは複数の空間的特性を決定するように、動作することができる。
【0095】
光源54は、スペクトル的に広帯域の光源(たとえば白色光ランプ)であっても良いし、複数の異なる波長(たとえば複数の発光ダイオードから生じる)を含んでいても良い。光源54は、拡散スクリーン55を照明する。広帯域光源に対する代替案または広帯域光源と組み合わせとして、光源54には、狭帯域または擬似単色の光源(通常は開口数が高い)を含むことができる。単色光源を高い開口数と組み合わせて用いることで、低コヒーレンス干渉信号を得ることができる、たとえばコヒーレンス長は、数ミクロン以下のオーダであっても良い。
【0096】
レンズ56から、平行ビームがビーム・スプリッティング素子57に伝えられる。ビーム・スプリッティング素子57によって、ビームの第1の部分がレンズ62および基準物体58に伝えられる。いくつかの実施形態においては、基準物体58は、光学的に平坦であるとともに、単一の反射表面のみを含んでいる。たとえば、基準物体58は基準ミラーとすることができる。いくつかの実施形態においては、基準物体58は、3次元の表面トポグラフィを示し、および/または光を反射する複数の離間に配置された層を含む。以下の説明では、基準物体58は、単一の反射面を含む基準ミラーであると、限定することなく仮定する。
【0097】
ビーム・スプリッティング素子57によって、ビームの第2の部分がレンズ60に送られる。レンズ60によって、ビームが測定物体53上にフォーカスされる。ビーム・スプリッティング素子57によって、基準ミラー58からの反射光と測定物体53からの反射光とが組み合わされる。組み合わされた光は、レンズ61に送られる。レンズ61によって、組み合わされた光が検出器59にフォーカスされる。測定物体53から反射された光とミラー58から反射された光とが、検出器59で干渉して、合成されたビーム強度を示す検出器信号が生成される。
【0098】
検出器59には通常、複数の検出器要素(たとえば画素)が含まれ、これらは少なくとも一次元、より一般的には二次元に配置されている。以下の説明では、検出器59には二次元配列の検出器要素(たとえば複数の画素を含むCCD)が含まれることを、限定することなく仮定する。図示した実施形態では、レンズ60およびレンズ61によって、測定物体53からの反射光が検出器59上にフォーカスされるため、検出器59の各検出器要素は、個々の点(たとえば測定物体53の小さい領域または場所)に対応する。さらに、レンズ62はレンズ61と協同して基準物体58を検出器59上に結像する。こうして、干渉パターンを検出器59において観察することが、拡張された(すなわち空間的にインコヒーレントな)照明の場合でも可能である。
【0099】
前述したように、測定物体53は、複数の反射面(たとえば1つまたは複数の少なくとも部分的に光透過性の層を含む基板)を含む可能性がある。最も外側の光透過性の層と周囲の大気(または真空)との間の界面によって、第1の反射面が規定される。層間の各界面または層と基板との間の各界面によって、さらなる反射面が規定される。このような実施形態においては、測定物体53からの反射光には、各反射面または界面から反射される寄与(たとえば別個のビーム)が含まれる可能性がある。各反射面または界面は一般的に、ビーム伝搬軸に沿って離間に配置されているため、別個のビームはそれぞれ、測定物体53からの反射光と組み合わされたときに、異なる干渉パターンを生成する。検出器59によって観察される干渉パターンには、測定物体から反射される各別個のビームが生成する干渉パターンの総和が含まれる。
【0100】
システム50は通常、基準物体58に送られて反射される光と測定物体53に送られて反射される光との間で光路長差(OPD)を形成するように構成される。いくつかの実施形態においては、測定物体53を移動または作動させることを、電気機械的なトランスデューサ63(たとえば圧電性のトランスデューサ(PZT))とコンピュータ52によって制御される付随の駆動エレクトロニクス64とによって行なうことで、干渉計51のOPDを変える方向に沿って正確な走査を行なうことができる。いくつかの実施形態においては、システム50は、基準物体58を移動させることによってOPDを変更するように構成されている。いくつかの実施形態においては、システム50は、少なくとも物体のトポグラフィの高さ変化と同程度の大きさの量だけ、OPDを変更するように構成されている。いくつかの実施形態においては、光路長を、少なくとも干渉計のコヒーレンス長と同程度の大きさの距離(たとえば数ミクロンのオーダ)だけ変化させる。
【0101】
システム50は、OPDの変更に伴って複数の検出器信号を収集することが、たとえば測定物体53の位置を走査することによって可能である。こうして収集された検出器信号は、干渉信号の配列としてデジタル・フォーマットで記憶することができる、検出器59の各画素から1つの干渉信号が収集され、各干渉信号は、測定物体53の異なる場所に対する強度の変化をOPDの関数として表わす。たとえば、検出器59に128x128個の配列が含まれ、走査中に64個の画像が記憶される場合、ほぼ16,000個の干渉信号が発生し、各64個のデータ点が長さ方向に存在する。広帯域光源54を用いる実施形態においては、干渉信号を、白色光走査干渉法(SWLI)干渉信号、より一般的には、低コヒーレンス長走査干渉信号と言う場合がある。
【0102】
データを収集した後で、コンピュータ52は、干渉信号を、たとえば方法100および110と、測定物体の表面トポグラフィを示す出力データとに従って、処理すること(67)ができる。次に、方法100、110およびデータ処理67の種々の態様について説明する。
【0103】
“干渉法テンプレートの作成”
図8を参照して、テンプレートを得るための方法110には、複数の典型的な基準干渉信号を得ること(112)が含まれる。これはたとえば、物体の複数の異なる点を結像することによってなされる。基準干渉信号は、理論的に生成すること、測定物体の代わりに基準物体を用いて得られる基準干渉信号から決定すること、測定物体自体を用いて得られる測定干渉信号から決定することが可能であり、またはこのような技術の組み合わせによって可能である。いずれにしても、複数の基準干渉信号を変換して(114)、変換された次元にし、複数の変換後干渉信号を作成する。これはたとえば、フーリエ変換によってなされる。ステップ116では、複数の変換後干渉法の組からの寄与を含む、1つまたは複数の代表的な変換後干渉信号が作成される。ステップ118では、変換されたテンプレートが作成される。変換後テンプレートは、干渉計からの寄与を維持しながら、物体のトポグラフィおよび位置からの寄与を制限または排除することができる。変換後テンプレートには、複数の基準干渉信号から得られる寄与を含むことができる。いくつかの実施形態においては、変換後テンプレート干渉データは、変換後干渉信号の平均から得られる。ステップ120では、変換後テンプレートを逆変換して(120)、テンプレートを作成する。テンプレートは非対称であり得る。
【0104】
テンプレートを得るための方法110について、測定物体の代わりに基準物体から得られる基準干渉信号(112)からテンプレートを作成する文脈において、限定することなく説明する。しかし方法110には、測定物体自体から収集される測定干渉信号からテンプレートを作成することが含まれていても良い。基準物体には通常、単一の反射面が含まれる。たとえば物体には、透明なコーティングまたは皮膜が無い可能性がある。いくつかの実施形態においては、基準物体は、弱い非線形性を有するSWLI干渉信号を生成する、たとえば、炭化ケイ素平坦面である。基準物体は、3次元のトポグラフィを有していても良く、その結果、基準物体の高さhsysは、物点が異なると変化する。物体は、複数の画素xを有する二次元検出器(たとえばシステム50の検出器59)を備える干渉法システムを用いて結像される。そのため、異なる物点から検出される光は、異なる検出器画素によって検出される。強度値が、異なる走査位置ζにおいて得られる。各位置は、異なるOPDに対応するため、複数の干渉信号(通常は各検出器画素に対して1つ)が得られる。説明を、このような構成を用いて得られるSWLIデータの典型的な説明から始める。しかし説明は、任意の低コヒーレンス干渉信号に適用できることを理解されたい。これは信号が、たとえば走査により測定光と基準光との間の光路長差を変えることによって得られたのか、または複数の光路長差に渡って測定光と基準光とを空間的に検出することによって得られたのかに、関係しない。変動OPDは一般的に、観察されるフリンジの振幅を変調するのには十分である。
【0105】
低コヒーレンス干渉信号は、場合によっては、包絡線によって変調される純粋な正弦曲線の搬送波を通して、記述することができる。変調された正弦曲線の搬送波の説明が適用できるのは、たとえば対称的な光源スペクトル、非分散オプティクス、および固体表面物体を含む場合である。しかし一般的に、実際の干渉法システムの場合には、これらの条件を満たしていない。したがって、以下の説明では一般化して、純粋な正弦曲線の搬送波からのずれを吸収するさらなる非線形OPD依存性の位相項を含むようにする。当然のことながら、方法110は、低コヒーレンス干渉信号の他の説明、たとえば前述の正弦曲線の搬送波モデルの点から実施することが可能である。
【0106】
単一の検出器画素xによって検出される低コヒーレンス干渉信号(たとえば基準干渉信号Isys(ζ、x))は、走査位置ζの関数として以下のように変化する。
【0107】
【数1】
ここで、DCsysは一定のバックグラウンドであり、ACsysは、公称角振動数K0で振動し、および包絡線msysと位相φsysとによって変調される干渉信号の振幅であり、hsys(x)は、画素xで結像される物点の高さである。信号包絡線msysは、光源の特性、検出器が検出する波長の範囲、および光学システムの開口数に関係づけられる。前述したように、包絡線msysおよび位相φsysは両方とも一般的に、走査位置とともにゆっくりと変化する。相対位置(たとえば高さ)が異なる物体場所から得られる干渉パターンは、包絡線関数および周波数内容が同様に成形されている傾向があるが、表面高さに関係づけられる量だけ走査位置軸に沿ってシフトしている。以下の説明では、テンプレートの決定について例示するが、物体の空間的特性からの寄与は限定されているかまったくないが、機器の寄与は維持される場合についてである。
【0108】
いくつかの実施形態においては、テンプレートを決定することには、基準干渉信号を異なる次元に変換すること(114)が含まれる。変換はたとえば、各基準干渉信号をフーリエ変換して、個々の変換後干渉信号qsys(K、x)を得ることによって行なう。ここでKの単位は、変換後の次元(たとえば、波数、走査位置の逆次元、又はデータ収集周波数)である。
【0109】
干渉信号のフーリエ変換は、以下の式に従って行なうことができる。
【0110】
【数2】
ここで、
【0111】
【数3】
であり、規格化積分は、以下のようになる。
【0112】
【数4】
ここで「^」を用いて、※ζ^※は式(2)および(3)における積分の自由変数であることを示す。基準干渉信号をフーリエ変換し、フーリエのシフト定理を適用することで、各画素xに対する変換後干渉信号を、以下のように表現することができる。
【0113】
【数5】
ここで、
【0114】
【数6】
であり、
【0115】
【数7】
である。
【0116】
変換後干渉信号のK<0の周波数成分は、スペクトルの正周波数成分の複素共役であり、Kが反転されている。
変換後干渉信号に、窓関数を施して、周波数ドメイン対象領域(ROI)(たとえばKmin〜Kmaxとして規定される窓)を選択しても良い。窓の選択は、ROI内のノイズに対して意味のある強度または振幅を有するGsys(K−K0)のDCが無い正周波数スペクトル成分が優勢になるようにまたはこれのみを含むように、行なっても良い。窓関数は、アポダイジング関数であっても良い。
【0117】
代表的な変換後干渉データを作成すること(118)には、複数の変換後干渉信号を組み合わせることを含むことができる。このような組み合わせはたとえば、重み付け(たとえばノイズに基づく重み付け)を伴うかまたは伴わない平均化によって行なう。いくつかの実施形態においては、作成すること(118)には、変換後干渉信号の大きさからの寄与を含む第1の変換後干渉信号と、変換後干渉信号の位相からの寄与を含む第2の変換後干渉信号とを作成することが、含まれる。たとえば、変換後干渉信号の大きさの組み合わせ(たとえば大きさのフィールド平均)を含む第1の変換後干渉信号は、以下のように決定することができる。
【0118】
【数8】
ここで、以下のようになる。
【0119】
【数9】
また、変換後干渉信号の位相の組み合わせ(たとえば位相のフィールド平均)は、以下のように決定することができる。
【0120】
【数10】
ここで、角度周波数の関数としての測定位相は、以下のようになる。
【0121】
【数11】
この場合、以下のようになる。
【0122】
【数12】
周波数ドメイン内の位相データφ’’’sysに対する3つのプライム符号は、位相情報内に複数の2π不確定性が存在することを示す。この不確定性は、(1)角度周波数K間におけるもの、(2)画素間におけるもの、(3)絶対的な基準に対する全体的なものである。式(10)におけるconnectK関数は、これらのプライム符号の1つを、各画素に対する角度周波数に渡って接続することによって取り除く。このような2π不確定性を取り除くための関数の例が、以下の文献で説明されている。米国特許出願第10/053,106号明細書(2001年11月2日出願)、発明の名称「高さ走査干渉法および位相ギャップ分析を含む装置」、ならびにギグリア(Ghiglia)ら、「2次元位相アンラッピング:理論、アルゴリズム、およびソフトウェア(TwoDimensionalPhaseUnwrapping:Theory,Algorithms,andSoftware)」、ジョン・ワイリ&ソンズ(JohnWiley&Sons)社、(ニューヨーク、1998年)。なお、これらの文献は本明細書において参照により取り入れられている。式(9)におけるフィールド平均によって、プライム符号がもう1つ取り去られて、たった一つのプライム符号のみが残る。これは、位相に対する全体的なオフセット値は未知であることを示す。
【0123】
変換後テンプレート※q〜sys※を、以下のようにして作成することができる(118)。
【0124】
【数13】
ここで、関数nonlinKによって、角度周波数Kに対して非線形である引数部分が返されるため、角度周波数Kに伴う位相の線形変化が取り除かれる。角度周波数に伴う位相の線形変化は、走査位置軸に沿っての干渉パターンの物体トポグラフィ関連のシフトに関係づけられる。周波数の線形変化を取り除くことによって、干渉パターンに対するある特定の機器関連の寄与を維持することができる。こうしてテンプレートは、物体に対する機器の応答に関係する。なお位相の線形変化は、干渉信号を組み合わせる前に取り除くことができることに、注意されたい。
【0125】
式(12)におけるチルダ「〜」は、変換後テンプレート※q〜sys※には正の非ゼロ周波数だけが含まれることを示す。非ゼロの周波数のみを含むことに対する代替案として、変換後テンプレートは他の周波数を含むこともできる。
【0126】
変換後テンプレート※q〜sys※を逆変換して、走査ドメインにおけるテンプレートを作成することができる。
【0127】
【数14】
逆フーリエ変換によれば、
【0128】
【数15】
【0129】
【数16】
ここで、便宜上、平均化されたスケーリング因子※ACsys※に、1の値を割り当てる。
【0130】
関数※I〜sys※の実部は、各走査位置において容易に分離できる包絡線および位相を有する。包絡線は以下の通りである。
【0131】
【数17】
一方、位相は以下のようになる。
【0132】
【数18】
この場合、以下のようになる。
【0133】
【数19】
テンプレートは、干渉信号と同じ単位を有していても良い。たとえば検出器強度対走査位置である。変換後テンプレートは、変換後干渉信号と同じ単位(たとえば強度または振幅対逆走査位置)を有していても良い。テンプレートは一般的に、物体(たとえば物体界面の点)に対する干渉計の応答を表わしても良い。たとえば、前述したように、テンプレートを決定することには、たとえば物体の場所および表面高さhsysに関係づけられる寄与を低減または取り除く一方で、機器に関係づけられる寄与(たとえば包絡線の形状および位相に関係づけられる寄与)を維持することを、含むことができる。また振動および一定のバックグラウンド信号ACsys、DCsysの振幅からの寄与を、低減または取り除いても良い。テンプレート※q〜sys※または※I〜sys※のいずれかを用いて、測定物体の空間的特性を決定することができる。これはテンプレートが、基準物体から収集されたのか、または他の方法で(たとえば測定物体自体から)収集されたのかに、関係しない。
【0134】
いくつかの実施形態においては、空間的特性の決定で用いるために、テンプレートの一部を選択することができる。たとえば、テンプレートの窓のある部分※I〜pat※を、窓関数を用いて選択することができる。
【0135】
【数20】
テンプレート窓は、以下によって与えられる。
【0136】
【数21】
典型的な窓の中心は、ゼロ走査位置ζ=0にあり、この場合、適切な窓は、以下のようであっても良い。
【0137】
【数22】
ここで、窓幅Δζは任意に決定しても良い。あるいは窓関数の端点を、包絡線の最大振幅に対して規定することができる。たとえば窓の幅は、最大振幅の10%に対応する走査位置まで延びていても良い。
【0138】
いくつかの実施形態においては、窓のあるテンプレートの中心はゼロ走査位置にはない。いくつかの実施形態においては、窓のあるテンプレートは、干渉データに対して非対称である。たとえば、窓のあるテンプレートは、テンプレートの一方の側では10%振幅に対応する走査位置まで延びる一方で、テンプレートの他方の側では、同じ相対的な振幅に対応する走査位置まで延びていなくても良い。たとえば、包絡線msysのピークの走査位置に対応するようにζstartを選択して、テンプレート・データが、記憶されたピークの一方の側の走査位置にのみ対応するようにすることができる。このような切断されたテンプレートを用いて、複数の近接した離間に配置された層が存在ある場合に(たとえば薄膜を有する基板)、表面または界面の対象領域または空間的特性を決定することができる。
【0139】
“テンプレートに基づいた対象領域または空間的特性の決定”
測定物体の対象領域または空間的特性を決定することには、干渉信号とテンプレートとを比較することを含むことができる。比較はたとえば、テンプレートに対応する(たとえばテンプレートと同様の形状特徴を有する)測定干渉信号部分の位置を決めることによって行なう。比較は、干渉信号とテンプレートとの間の相互相関から決定されるメリット関数として表現することができる。次に、干渉信号とテンプレートとを比較するための2つの方法について説明する。
【0140】
“テンプレートに基づいて空間的特性を決定する第1の方法”
以下の説明では、テンプレート※I〜pat※を用いて、測定物体の対象領域または空間的特性を決定することについて例示する。測定物体から、複数の測定干渉信号※I〜ex※が収集される。各干渉信号によって、画素xに対する検出器強度対走査位置信号が、以下のように記述される。
【0141】
【数23】
各干渉信号※I〜ex※のフーリエ変換を、以下のように得ることができる。
【0142】
【数24】
【0143】
【数25】
ここで、以下のようになる。
【0144】
【数26】
各フーリエ変換後測定干渉信号の正周波数部分から、部分スペクトルを得ることができる。
【0145】
【数27】
各部分スペクトルは、以下のように逆変換することができる。
【0146】
【数28】
【0147】
【数29】
画素xに対する各逆変換後部分スペクトル※I〜ex※の実部は、同じ画素に対する干渉信号Iexに対応する。さらに、スペクトル※I〜ex※の位相および包絡線は、単純な演算によって容易に分離できる、たとえば信号強度ACex(x)と包絡線mexとの積は、複素関数※I〜ex※の大きさから、以下のように決定することができる。
【0148】
【数30】
テンプレート干渉データの包絡線mpatの少なくとも一部は通常、形状特徴が、各スペクトル※I〜ex※の減衰を記述する包絡線mexと同様である。包絡線間の差は通常、各画素xに結像される物体場所の線形のオフセットhexとスケーリング因子ACex(x)とに、関係づけられる。さらに、実験的な位相オフセットおよび干渉パターン・テンプレート位相オフセットφex、φpatの間の差も、各画素xに結像される物体場所の高さに関係づけられる。通常、位相オフセットの差は、高さhexに直線的に比例する。したがって、包絡線mex、mpat間の差および/または位相オフセットφex、φpat間の差を用いて、測定物体の空間的特性を決定することができる。本方法には、包絡線mex、mpatの形状とφex、φpatとが最良にマッチングされる走査位置ζbestを特定することを、含んでも良い。比較の結果は、メリット関数によって記述することができる。いくつかの実施形態においては、メリット関数は、干渉信号とテンプレートとを相互相関させることによって決定される。相互相関は、複素相関または部分複素相関とすることができる。
【0149】
いくつかの実施形態においては、ζbestを特定することは、窓wによって規定される干渉データのサブセット内におけるテンプレートと干渉信号との相関から得られるメリット関数Πを用いて、特定される。
【0150】
【数31】
ここで、以下のようになる。
【0151】
【数32】
上式は複素相関関数である。および
【0152】
【数33】
【0153】
【数34】
上式は、メリット関数を信号強度とは無関係にする規格化である。規格化は、干渉信号の形状、たとえば窓w内の複素干渉信号の大きさの二乗の移動平均に、依存することができる。式(30)は、統計学で良く知られている「ピアソン(Pearson)のr」の二乗であり、やはり最小2乗法分析によって得ることができる。テンプレートの複素共役※I〜*pat※を用いることによって、同位相の線形位相項K0ζが打ち消され、φex、φpatがマッチングした場合のΠが最大になる。相関の絶対値||によって、わずかでも残った複素位相が取り除かれる。
【0154】
Π(ζ)が、誤った高い値を生成すること、または低い信号レベルで特異性に遭遇することを防ぐために、以下のように、最小値MinDenomを分母に加えることができる。
【0155】
【数35】
ここで、max( )関数によって、全走査長さζにおける信号強度|※I〜ex※|の最大値が返され、またMinDenomは、関連情報を得るために考慮される最小の相対信号強度である。たとえばMinDenomは、ノイズのレベルに依存して、最大信号の5%または他の値に設定することができる。また相関は、比較的ノイズの多いデータに対しては、相関の結果を決定する際の影響力が小さくなるようにデータを重み付けすることによって、行なっても良い。
【0156】
相関積分※I〜※は、相関定理を用いて周波数ドメイン内で行なうことができる。
【0157】
【数36】
ここで、以下のようになる。
【0158】
【数37】
および、以下のようになる。
【0159】
【数38】
メリット関数Πによって、最良マッチング位置ζbestが得られる。通常、最良マッチング位置はメリット関数のピークであり、ピークの相対振幅はマッチングの質の目安である。この値はゼロ〜1であり、1は完全なマッチングに対応する。最良マッチング位置の検索には、さらなる条件および制約を含めて、より確固としたものにすることができる。妥当な最良マッチング位置ζbestを、以下のような信号強度を有するように選択することができる。
【0160】
【数39】
ここで、MinModは、0〜100%の値である。典型的なMinModは、滑らかな表面に対しては10%で、粗い表面に対してはもっと低いのが通常である。また最良マッチング位置におけるメリット関数の値は、誤った結果を減らすために、選択された最小のMinMeritを超える必要があるとすることができる。
【0161】
【数40】
ここで、MinMeritの値は0〜1であり、典型的な値は約0.3である。
【0162】
測定物体に、近接して離間に配置された界面または表面が無い場合には、メリット関数のΠが最大になる走査位置ζを検索することができる。測定物体に、近接して離間に配置された界面または表面がある場合には、MinModおよびMinMeritの条件を両方とも満たす走査位置が複数ある場合がある。走査位置は、たとえば検索アルゴリズムを用いて特定することができる。検索アルゴリズムとしては、一方の端(たとえばζ座標走査の上端)から始まりMinMerit条件を満たす第1のピークを見出すものである。アルゴリズムではさらに、MinRelModおよびMinRelMerit条件を設定する。これらの条件では、より小さいピークの信号が相対的に、なんらかのパーセンテージ値に基づいて、最も高いピークに匹敵することが要求される。
【0163】
代替的または相補的な検索ルーチンには、メリット関数のΠがある特定の閾値(たとえこれがピークでなかったとしても)を超える第1の走査位置を検索することが、含まれる。このアプローチを、近接して離間に配置された表面または界面を有する測定物体に起因するデータを分析するために用いても良い。このような表面または界面では、たとえば、その下に基板が存在するために、皮膜−空気界面に起因するピークが分かりにくい。
【0164】
Πの検索方法には、たとえば表面高さの位置を決めるためにメリット関数の微分を求めることを含むことができる。
最良マッチング位置ζbestは通常、包絡線mex、mpatが重なる走査位置に関係づけられる。したがって、相互相関からの最良マッチング位置によって、通常の分解能またはCT−Norm高さ測定値を得ることができる。
【0165】
【数41】
ここで下付きのΘは、高さ測定値hΘ(真の高さhではない)が、コヒーレンス・アプローチまたはフリンジ−コントラスト分析に基づくものであることを示す。
【0166】
周波数ドメイン分析の場合と同様に、通常の分解能高さプロファイルhΘには、フリンジ・オーダの不確定性は無いが、ある特定のノイズ・レベルが存在する場合がある。周波数ドメイン分析については、米国特許第5,398,113号明細書に説明されている。なお、この文献は本明細書において参照により取り入れられている。ノイズ・レベルは、干渉パターン内のその下の搬送波フリンジを用いることによって低減しても良い。
【0167】
相関テンプレート分析では、以下の相関関数の引数
【0168】
【数42】
は、差φex−φpatに等しい相対位相値を有する。相対位相φ”によって、テンプレート・マッチングに関する微細スケール情報が得られる。式(41)におけるダブル・プライムは、φ”に対してフリンジ・オーダの二重の不確定性が残っていることを示す。両方は、走査位置ζに渡って接続した後の、画像内の画素間のものおよびデータに対する全体的なものである。相対位相φ”は、走査位置とともにほぼ線形速度K0で進む。ピークの相関位置ζbestにおける相対位相φ”は、干渉パターン・テンプレートの包絡線部分に対する位相ギャップである。
【0169】
【数43】
この結果、より高分解能の位相プロファイルが得られる。
【0170】
【数44】
ここでΘは、公称上の角度周波数K0における位相の単位でのコヒーレンス・プロファイルである。
【0171】
【数45】
式(44)におけるコヒーレンス・プロファイルΘ(x)は、数学的な解析に合致する公称上の角度周波数K0を用いて決定することができる。K0が不正確の場合は通常、補間誤差が生じる。いくつかの実施形態においては、以下のように、テンプレートをそれ自体と自己相関させる。
【0172】
【数46】
その結果、自己相関位相を、走査位置ζの関数として検索することができる。
【0173】
【数47】
走査位置間の増分ζstepを知ることによって、公称角振動数K0が、以下のように与えられる。
【0174】
【数48】
公称振動数K0を用いて、フリンジ・オーダの不確定性を取り除くことが、フィールド接続された近似的な位相ギャップα’を用いて可能になる。この位相ギャップα’は、以下の式に従う。
【0175】
【数49】
ここで、Round関数は、その引数に最も近い整数を返す。位相ギャップα’は、たとえば正弦−余弦平均化技術を用いて決定することができる。位相ギャップを決定するための典型的な技術については、以下の文献に説明されている。米国特許出願第10/053,106号明細書、発明の名称「位相ギャップ分析を含む高さ走査干渉法および装置」(2001年11月2日出願)、米国特許出願第10/429,175号明細書、発明の名称「走査干渉法のための位相ギャップ分析」(2003年5月2日出願)、「白色光干渉顕微鏡法におけるフリンジ・オーダの決定」アプライド・オプティクス(Appl.Opt.)41(22)4571(2002)。なおこれらの文献は、本明細書において参照により取り入れられている。位相ギャップが決定されたら、測定物体の高さを、コヒーレンス・プロファイルおよび公称上の周波数K0を用いて、以下のように決定することができる。
【0176】
【数50】
“テンプレートに基づいて空間的特性を決定する第2の方法”
空間的特性を決定するための前述の方法には、干渉信号を、光路長差の次元から逆次元(たとえば逆走査次元)に変換することが含まれている。いくつかの実施形態においては、干渉信号を、たとえば逆次元へ変換することなく、走査次元において処理する。この処理には、干渉信号とテンプレートとを、走査次元において相互相関させることを含めることができる。たとえば処理には、各干渉信号とテンプレートとに、部分複素相関を以下のように施すことを、含むことができる。
【0177】
【数51】
テンプレートの特性は、干渉信号とテンプレートとの間の最良マッチング位置に対する部分複素相関の感度が高まるように、選択することができる。干渉信号を以下のように書くと、
【0178】
【数52】
部分複素相関を、以下のように、2つの部分の合計として表現することができる。
【0179】
【数53】
ここで、望ましくないerr項は以下のように与えられる。
【0180】
【数54】
テンプレート※I〜pat※の特性は、errを小さくする(たとえば項をゼロの方に持っていく)ように選択することができる。その結果、相関の結果が、式(53)の左側の第1項によって決定される。たとえば、このようなテンプレート※I〜pat※のフーリエ変換※q〜pat※は、干渉信号の期待される周波数の正周波数近傍の外側における値が、低いかまたは無視できても良い。いくつかの実施形態においては、テンプレート※I〜*pat※の複素部分の平均値またはDC値はゼロであり、※I〜*pat※と(数学的仮定の)※I〜*ex※との相関もゼロである。たとえば、テンプレート※I〜pat※は、負周波数成分がゼロとすることができる。
【0181】
前述したように作成された変換後テンプレートにアポダイジング窓関数を施すことによって、範囲Kmin…Kmaxにおける強い、DCが無い正周波数スペクトル成分から本質的になるテンプレート※I〜pat※を作成することができる。いくつかの実施形態においては、アポダイジング窓関数には、周波数ドメインにおいてもっと鋭いカット・オフを有する窓の代わりに二乗余弦またはフォン・ハン(von−Hann)窓が、含まれる。
【0182】
【数55】
アポダイズド窓関数によって、※I〜sys※を生成するときのリンギングが減り、限定された走査長において干渉パターンに関する重要な情報をすべて含むことが容易になる。なおアポダイゼイションに適応するために、全体の周波数ドメイン範囲ΔKは、正方形または長方形の窓関数より大きく(たとえば周波数ドメインにおいて2倍広く)ても良い。
【0183】
正方形または長方形の窓と比較して鮮明さが低い走査ドメイン窓関数wも、以下のように用いることができる。
【0184】
【数56】
干渉パターン・テンプレートは、以下のように、テンプレートと走査ドメイン窓関数との積によって与えられる。
【0185】
【数57】
ここで※I〜sys※には、複数の干渉信号からの寄与が含まれる。wを量Δζ/4だけ右へシフトさせることによって、非対称の窓を作成することができる。しかし通常は、窓はζ=0の位置の辺りに設定される。
【0186】
非ゼロ値のみを維持し、開始オフセットζoffsを示すことによって、最終的なイン・ラインのパターン・テンプレート※I〜pat.inl※を作成することができる。関数※I〜pat.inl※は、別個の部分複素相関における核として用いる。
【0187】
【数58】
ここで、任意的なオフセットζoffsは、ゼロ位置を維持するので、フーリエ変換実施のオフセットと一致する。
【0188】
たたみこみ核※I〜pat.inl※に対するフレームまたはバケットの数は、機器のコヒーレンス長、走査レート(nm/フレーム)、パターン閾値パラメータに依存して、変化する。たとえば、パターン閾値が20%に設定された状態では、窓wに対するΔζの範囲は、システム特徴付け信号包絡線の幅から、最大値の両側における20%のレベルまでである。100nmバンド幅、560nm中心波長、および80nm/フレームの走査レートの場合、核※I〜pat.inl※の範囲は、ほぼ23バケットである。パターン閾値を40%まで増加させると、※I〜pat.inl※は17バケットまで減少する。
【0189】
メリット関数は、以下のようにして決定することができる。
【0190】
【数59】
ここで、※〜I※は、式(57)によって規定されるイン・ラインの部分複素相関である。規格化は、選択された任意の単一強度(たとえば飽和のすぐ下の信号)から、決定することができる。たとえばこのような信号は、以下のように、検出器におけるデジタル・グレー・レベルの半分であっても良い。
【0191】
【数60】
たとえパターン・マッチングの質は変化しなくても、メリット関数は干渉信号強度とともに振動する。いくつかの実施形態においては、メリット関数を決定することは、干渉信号Iexを段階的に進むPSIアルゴリズム(共役核※I〜*pat.inl※によって規定される)を適用する場合と同様に作用する。これは、式(57)の部分複素相関を、離散的なデータの形で書き換えることによって、例示することができる。
【0192】
【数61】
アルゴリズム係数は以下のように規定される。
【0193】
【数62】
【0194】
【数63】
したがって、以下のようになる。
【0195】
【数64】
および、以下のようになる。
【0196】
【数65】
部分複素相関に基づくメリット関数を検索して、対象領域(たとえば物体の界面)に対応する場所を特定することができる。たとえば、物体の外面に対応する走査位置を決定する場合には、メリット関数の右側から第1のピークを検索することができる(右側の走査位置は、物体から距離が増加する方向に対応すると仮定する)。皮膜の外面に対応する走査位置を決定する場合には、少なくとも2つのメリット・ピークが存在すると仮定して、メリット関数の右側から第1のピークを検索することができる。メリット関数の最も強い2つのピークに対応する走査位置から、膜厚を決定することができる。
【0197】
いくつかの実施形態においては、メリット関数は、規格化された信号強度の二乗に近い。したがって、メリット関数の平方根のピークを検索することができる。
【0198】
【数66】
メリット関数を、MinMod2未満の値をすべてゼロに設定して、簡単にすることができる。次に、簡単にしたメリット関数のピークを検索する。いったんピークの位置が決まったら、本来のΠinlineメリット関数を用いて、隣接する離散的な走査位置間を補間することによって、より正確な情報を得ることができる。
【0199】
メリット関数Πは、窓w内において実験的な信号が干渉パターン・テンプレート※I〜pat※にどのくらい良好にマッチングするかを評価するという点で、単純な信号強度または包絡線計算とは異なっている。この理由により、信号大きさに対する規格化が必要となる。
【0200】
“処理およびプロセッサ・コード”
前述したコンピュータ解析方法はいずれも、ハードウェアで実施することも、ソフトウェアで実施することも、または両方の組み合わせで実施することもできる。本方法は、本明細書で説明した方法および図に従う標準的なプログラミング技術を用いて、コンピュータ・プログラムで実施することができる。本明細書で説明した関数を実施して、出力情報を生成するために、プログラム・コードを入力データに適用する。出力情報を、1つまたは複数の出力装置たとえばディスプレイ・モニタに加える。各プログラムを、高いレベルの手続き型またはオブジェクト指向のプログラミング言語で実施して、コンピュータ・システムと通信しても良い。しかしプログラムは、必要に応じて、アセンブリまたは機械語で実施することができる。どの場合でも、言語は、コンパイル済みまたはインタープリット済みの言語とすることができる。さらに、プログラムは、その目的のために事前にプログラムされた専用の集積回路上で実行することができる。
【0201】
このようなコンピュータ・プログラムはそれぞれ、好ましくは、多目的または特殊目的のプログラム可能なコンピュータによって読取可能な記憶媒体または装置(たとえばROMまたは磁気的ディスケット)上に記憶され、本明細書で説明した手順を行なうためにコンピュータが記憶媒体または装置を読み込んだときに、コンピュータを構成および操作する。またコンピュータ・プログラムは、プログラム実行中にキャッシュまたはメイン・メモリ内に存在することもできる。また本分析方法は、コンピュータ・プログラムによって構成されるコンピュータ−読取可能な記憶媒体として実施することもできる。そのように構成された記憶媒体によって、コンピュータが、本明細書で説明した関数を行なうために特定および所定の仕方で動作する。
【0202】
“典型的な応用例”
前述した低コヒーレンス干渉法およびシステムは、以下の表面分析問題のいずれに対して用いても良い。単純な薄膜;多層薄膜;回折するかそうでなければ複雑な干渉効果を生じる鋭いエッジおよび表面特徴;未分析の表面荒さ;未分析の表面特徴、たとえばその他の場合には滑らかな表面上のサブ波長幅の溝;異種材料;表面の偏光依存性の特性;および、干渉現象の入射角度依存性の摂動を招く表面または変形可能な表面特徴の偏向、振動、または移動。薄膜の場合、対象となる可変パラメータは、膜厚、皮膜の屈折率、基板の屈折率、またはそれらの何らかの組み合わせであっても良い。次に、このような特徴を示す物体および装置を含む典型的な応用例について、説明する。
【0203】
“フォトリソグラフィ”
多くのマイクロエレクトロニクス応用において、基板(たとえばシリコン・ウェハ)を覆うフォトレジスト層をパターニングするために、フォトリソグラフィが用いられている。図1Oaおよび1Obを参照して、物体30には、基板(たとえばウェハ32)と、横たわる層たとえばフォトレジスト層34とが含まれている。物体30には、屈折率の異なる種材料間に生じる複数の界面が含まれている。たとえば物体を囲む界面38は、フォトレジスト層34の外面39が、物体30を囲む環境(たとえば液体、空気、他のガス、または真空)と接触する場所であると規定される。基板−層の界面36は、ウェハ32の表面35とフォトレジスト層34の底面37との間に規定される。ウェハの表面35には、複数のパターニングされた特徴29が含まれていても良い。これらの特徴のいくつかは、基板の隣接部分と、高さが同じであるが屈折率が異なっている。基板の隣接部分に対して上方または下方に、他の特徴が延びていても良い。したがって界面36は、フォトレジストの外面の下に存在する複雑な変化するトポグラフィを示しても良い。
【0204】
物体上に、フォトリソグラフィ装置によってパターンが結像される。たとえばパターンは、電子回路の素子(または回路の陰画)に対応していても良い。結像した後に、フォトレジストの一部を取り除いて、取り除かれたフォトレジストの下の基板を露出する。露出された基板を、エッチングし、堆積材料で覆い、その他の場合には改質することができる。残りのフォトレジストによって、基板の他の部分が、このような改質から保護される。
【0205】
生産効率を増加させるために、単一のウェハから複数のデバイスが作製されることもある。デバイスは、同じであっても良いし異なっていても良い。各デバイスは、ウェハのサブセットにパターンを結像する必要がある。場合によっては、パターンは、異なるサブセット上に順次に結像される。いくつかの理由から、順次的な結像を行なうことができる。光学的な収差があると、ウェハの広い領域に渡って適切なパターン・フォーカス品質を実現することが、妨げられるおそれがある。光学的な収差がない場合であっても、ウェハおよびフォトレジストの空間的特性のために、やはりウェハの広い領域に渡って適切なパターン・フォーカスを実現することが妨げられる場合がある。次に、ウェハ/レジストの空間的特性とフォーカス品質との間の関係の態様について、説明する。
【0206】
再び図10bを参照して、物体30が、個数Nのサブセットの40iによって示されている。各サブセットは、結像すべき物体の全領域41よりも小さい。各サブセット40i内では、空間的特性の変化(たとえば、ウェハまたはフォトレジストの高さおよび傾斜の変化)は通常、全領域41に渡って調べる場合よりも小さい。それにもかかわらず、異なるサブセット40iのウェハまたはフォトレジストは通常、高さおよび傾斜が異なる。たとえば、層34は厚みΔt1およびΔt2を示しており、これらによって表面39の高さおよび傾斜が変わる(図10a)。このように、物体の各サブセットは、フォトリソグラフィ結像装置との空間的な関係が異なっている場合がある。フォーカスの品質は、空間的な関係(たとえば、物体とフォトリソグラフィ結像装置との間の距離)に関係づけられる。物体の異なるサブセットを適切にフォーカスするためには、物体と結像装置との相対的な再位置合わせを必要とする場合がある。物体の高さおよび傾斜が変化するため、適切なサブセットのフォーカスは、結像されるサブセットから遠い物体部分(たとえば物体の側面43)に対して物体の位置および方位を決定するだけでは、実現できない。
【0207】
結像すべき(さもなくば処理すべき)物体のサブセットにおける物体の空間的特性を決定することによって、適切なフォーカスを実現することができる。いったんサブセットの位置が決定されたら、物体(および/またはフォトリソグラフィ結像装置の一部)を移動、たとえば平行移動、回転、および/または傾斜させて、サブセットの位置を基準(たとえばフォトリソグラフィ結像装置の一部)に対して、変更することができる。決定および移動(必要ならば)は、各サブセットを結像するために繰り返すことができる。
【0208】
サブセットの空間的特性の決定には、物体の薄い層の外面の1つまたは複数の点の位置および/または高さを決定することを含むことができる。1つまたは複数の点は、結像すべき物体のサブセット内に位置している。たとえばサブセット402(図1a)の外面39の位置および方位は、サブセット内の点421〜423の位置に基づいて、決定することができる。結像すべきサブセットの空間的特性の決定には、干渉計を用いてサブセットに光を用いて照明すること、および照明されたサブセットからの反射光を含む干渉信号を検出することを、含むことができる。いくつかの実施形態においては、複数のサブセットを、光を用いて同時に結像して、複数の干渉信号を得る。各干渉信号は、サブセットの1つまたは複数の空間的特性を示す。こうして、干渉信号を用いて、複数のサブセットに渡って物体のトポグラフィを示す画像を作成することができる。サブセットのフォトリソグラフィの間、複数の干渉信号から決定される個々のサブセットのトポグラフィに基づいて、ウェハを位置合わせする。したがって各サブセットを、フォトリソグラフィ装置に対して最適なフォーカスが得られるように位置合わせすることができる。
【0209】
結像すべき物体の各サブセットからの干渉信号を検出することには、サブセットからの反射光および基準光の検出を、少なくとも検出光のコヒーレンス長と同程度に長いOPD範囲に渡って行なうことを、含むことができる。たとえば、光を少なくともそのコヒーレンス長に渡って検出しても良い。いくつかの実施形態においては、干渉計を、照明されたサブセットからの反射光が、外側界面(たとえば外面39)または内側界面(たとえば界面36)のいずれかからの反射光が優勢になるように、構成する。いくつかの実施形態においては、物体の空間的特性を、干渉信号の一部のみに基づいて決定する。たとえば干渉信号に、2つ以上の重なり合う干渉パターンが含まれる場合には、1つの干渉パターンの、物体の単一界面からの寄与が優勢である部分に基づいて、物体の空間的特性を決定することができる。
【0210】
“銅相互接続構造および化学的機械的研磨”
チップの異なるパーツ間の電気的相互接続を作製するために、いわゆる「デュアル・ダマシン銅」プロセスを用いることは、チップ製造業者の間では一般的になりつつある。これは、好適な表面トポグラフィ・システムを用いると効果的に特徴付けることができるプロセスの例である。デュアル・ダマシン・プロセスには6つの部分があると考えることができる。(1)中間層誘電体(ILD)の堆積。誘電体材料(たとえばポリマー、またはガラス)の層を、ウェハ(複数の別個のチップを含む)の表面上に堆積する;(2)化学的機械的研磨(CMP)。誘電体層を研磨して、精密な光リソグラフィに好適な滑らかな表面を形成する;(3)リソグラフィ・パターニングおよび反応性イオン・エッチング・ステップの組み合わせ。ウェハ表面に平行に進む狭いトレンチと、トレンチの底部から下部の(以前に規定された)電気伝導層まで進む小さいビアとを含む複雑なネットワークを形成する;(4)金属堆積ステップの組み合わせ。銅トレンチおよびビアの堆積を実現する;(5)誘電体堆積ステップ。誘電体を銅トレンチおよびビア上に設ける;および(6)最終的なCMPステップ。過剰な銅を取り除いて、誘電体材料によって囲まれる銅充填されたトレンチ(あるいはビア)のネットワークを残す。
【0211】
図11aを参照して、デバイス500は、基板501上に堆積された銅特徴502上への誘電体504の堆積によって形成される皮膜構造の典型である。誘電体504は不均一な外面506を有しており、この外面は、誘電体に沿っての高さ変化を示す。デバイス500から得られる干渉信号には、表面506、銅特徴502と誘電体504との間の界面508、基板501と誘電体504との間の界面510に起因する干渉パターンが含まれる可能性がある。デバイス500は、同様に干渉パターンを生成する複数の他の特徴を含んでいても良い。
【0212】
図11bを参照して、装置500’は、最終的なCMPステップ後の装置500の状態を例示している。上部の表面506は平坦化されて表面506’になっており、界面508は周囲に対して露出していても良い。基板表面における界面510は、損なわれないままとなっている。装置の性能および均一性は、表面504の平坦化をモニタすることに大きく左右される。次のことを理解しておくことは重要である。すなわち研磨レート、したがって研磨後の残りの銅(および誘電体)の厚みは、研磨条件(たとえばパッド圧力および研磨スラリ組成)だけでなく、銅および周囲の誘電体領域の局所的な詳細配置(すなわち、方位、近傍、形状)に、強くおよび複雑な仕方で依存する。したがって、銅元素502上の表面506の部分は、表面506の他の部分とは異なるレートでエッチングされる場合がある。さらに、いったん銅元素502の界面508が露出すると、誘電体および銅元素は、異なるエッチ・レートを示す場合がある。
【0213】
この「位置依存性の研磨レート」があるために、可変の表面トポグラフィが、横方向の多くの長さスケールで形成されることが知られている。たとえば、このことの意味は、ウェハのエッジ近くに位置するチップは総計すると、中心近くに位置するチップよりも速く研磨されるため、形成される銅領域は、エッジ付近では所望よりも薄く、中心では所望よりも厚いということである場合がある。これは、「ウェハ・スケール」のプロセス不均一性(すなわち、ウェハ直径に匹敵する長さスケールで起こるもの)の例である。また銅トレンチの密度が高い領域は、銅線密度の低い近くの領域よりも、研磨レートが高くなることも知られている。この結果、銅密度の高い領域において「CMP誘導腐食」として知られる現象が生じる。これは、「チップ・スケール」のプロセス不均一性−すなわち単一チップの寸法にほぼ比例する(はるかに小さいこともある)長さスケールで起こるもの−の例である。銅充填された単一のトレンチ領域(周囲の誘電体材料よりも高いレートで研磨される傾向がある)内では、他のタイプのチップ・スケールの不均一性(「デッシング」として知られる)が発生する。トレンチの幅が数ミクロンよりも大きくなると、デッシングが厳しくなり、その結果、影響の及んだ線が後に過大な電気抵抗を示して、チップ故障に至る場合がある。
【0214】
CMPによって誘発されるウェハおよびチップ・スケールのプロセス不均一性は、予測が本来的に難しく、CMP処理システム内の状態が進むにつれて経時的な変化を受ける。効果的にモニタを行なって、どの不均一性も確実に許容範囲内に留まるようにプロセス条件を適切に調整するためには、プロセス・エンジニアが、非接触の表面トポグラフィ測定を、チップ上で多数かつ幅広い場所において頻繁に行なうことが重要である。これは、前述した干渉法およびシステムの実施形態を用いれば可能である。
【0215】
いくつかの実施形態においては、1つまたは複数の空間的特性(たとえば表面506のトポグラフィおよび/または誘電体504の厚み)のモニタを、CMP前および/またはCMP中に構造から低コヒーレンス干渉信号を得ることによって、行なう。空間的特性に基づいて、研磨条件を変化させて、所望の平坦な表面506’を実現することができる。たとえば、パッド圧力、パッド圧力分布、研磨剤特性、溶媒組成および流量、ならびに他の条件を、空間的特性に基づいて決定することができる。必要に応じて、ある程度の研磨時間の後、空間的特性を再び決定して研磨条件を変えることができる。またトポグラフィおよび/または厚みは、たとえば表面504’が実現される終点を示す。こうして、低コヒーレンス干渉信号を用いて、物体の異なる領域を過剰研磨することによって凹部が発生することを、避けることができる。この点で、低コヒーレンス干渉方法およびシステムには優位性がある。なぜならば、装置の空間的特性、たとえば(a)銅元素502上の誘電体の表面と(b)基板表面510上であるが銅元素502に隣接する誘電体の表面との相対高的なさを、複数の界面が存在していても決定できるからである。
【0216】
“はんだバンプ処理”
図12aおよび12bを参照して、構造550は、はんだバンプ処理の間に生成される構造の典型である。構造550には、基板551、はんだに対して非湿潤性の領域502、はんだに対して湿潤性の領域503が含まれている。領域502は外面507を有する。領域503は外面509を有する。したがって、領域502と基板501との間に界面505が形成される。
【0217】
処理中に、はんだ504の塊を、湿潤性の領域503と接触するように位置合わせする。はんだを流すとすぐに、はんだは、湿潤性の領域503と確実な接触を形成する。隣接する非湿潤性の領域502は、流したはんだが構造の周囲で望ましくないマイグレーションを起こさないようにするためのダムのように作用する。構造の空間的特性、たとえば表面507、509の相対的な高さと表面502に対するはんだ504の寸法とを、知っていることが望ましい。本明細書の他の説明から判断できるように、構造550には、それぞれ干渉パターンを生じ得る複数の界面が含まれている。干渉パターン間で重なり合いが起こると、既知の干渉技術を用いて空間的特性を正確に決定することはできない。本明細書で説明したシステムおよび方法を用いれば、空間的特性を決定することができる。
【0218】
構造550から決定される空間的特性を用いて、製造条件、たとえば層502、503に対する堆積時間と領域503の面積当たりに用いるはんだ504の量とを、変えることができる。さらに、はんだを流すために用いる加熱条件を、空間的特性に基づいて変えて、適切なフローを実現しおよびまたははんだのマイグレーションを防ぐこともできる。
【0219】
“液晶ディスプレイ”
図13を参照して、パッシブ・マトリックスLCD450が複数の層から構成されている。主なパーツは、シール454によって接続される2つのガラス・プレート452、453である。入射光を単一方向に偏光するために、正面ガラス・プレート453に偏光子456を貼り付ける。偏光光は、正面ガラス・プレート453を通る。インジウム・スズ酸化物(ITO)層458を、電極として用いる。SiOxに基づくパッシベーション層460(ハード・コート層と呼ばれることもある)を、ITO458上にコーティングして、表面を電気的に絶縁する。液晶流体464をアライメントするために、パッシベーション層460上にポリイミド462をプリントする。液晶流体は、電界に敏感であり、電界が加えられると方位を変える。また液晶は、光学的に活性であり、入射光の偏光方向を回転させる。セル・ギャップΔg、すなわち液晶層464の厚みは、スペーサ466によって決定される。スペーサ466は、2つのガラス・プレート452、453を、固定された間隔に保つ。前面プレート453から背面プレート452に向かう電位が存在しない場合、偏光光は、液晶層464を通る際に90°だけ回転される。一方のプレートから他方のプレートに対して電位を加えた場合、光は回転しない。光は、液晶層464を通った後に、もう一つのポリイミド層468、もう一つのハード・コート層470、背面のITO電極472、および背面のガラス・プレート452を通る。光は、背面の偏光子474に達すると、90°だけ回転しているか否かに依存して、透過するかまたは吸収される。セル450は、カラー・ディスプレイを実現するために、フィルタ476または他のカラー化要素を含んでいても良い。
【0220】
セル・ギャップΔgによって、LCDの光電気特性(たとえば、コントラスト比および明るさ)が、かなりの程度まで決定される。均一な高品質ディスプレイを得るためには、製造中のセル・ギャップ制御が重要である。実際のセル・ギャップは、スペーサ466の寸法とは異なっている場合がある。なぜならば、アセンブリの間に、圧力または真空を加えて液晶媒体を導入し、封止剤454が硬化するために、寸法が変化することがあるからであり、および加えられた液晶媒体によってプレート452、453間に毛管力が生成されるからである。液晶媒体464を加える前および後の両方において、プレート452、453の表面480、482によって光が反射されて、セル・ギャップΔgを示す干渉パターンが生じる。干渉信号の低コヒーレンス性質を、それ自体で、または説明した干渉信号処理技術と組み合わせて用いることで、製造中にセル・ギャップΔgなどのセル特性をモニタすることができる。これは、セルの他の層が形成する界面があっても可能である。
【0221】
典型的な方法としては、セル・ギャップΔgを示す干渉パターンを含む低コヒーレンス干渉信号を、層464を加える前に得ることを挙げることができる。セル・ギャップ(またはセルの他の空間的特性)を、干渉パターンから決定して、特定の値と比較することができる。特定の値と決定されたセル・ギャップとの差が許容誤差を超えている場合、製造条件(たとえばプレート452、453に加える圧力または真空)を変えて、セル・ギャップΔgを変更することができる。このプロセスは、所望のセル・ギャップが実現されるまで繰り返すことができる。そして液晶媒体をセル内に導入する。加えるべき液晶媒体の量は、測定されたセルの空間的特性から決定することができる。こうすることによって、セルの過剰充填または充填不足を回避することができる。また充填プロセスを、表面480、482からの干渉信号を観察することによって、モニタすることができる。いったんセルが充填されたら、セル・ギャップΔg(または他の空間的特性)をモニタするために、さらに低コヒーレンス干渉パターンを得る。再び製造条件を変えて、セル・ギャップを維持するかまたは許容誤差内に入れるようにすることができる。
【0222】
レーザ・スクライビングおよび切断
同時に製造された異なる構造(たとえばマイクロエレクトロニクス構造)を分離するために、レーザを用いて物体にスクライブすることができる。分離の品質は、スクライビング条件、たとえば、レーザ・フォーカス・サイズ、レーザ・パワー、物体の平行移動速度、およびスクライビング深さに、関係づけられる。構造の特徴の密度が大きい場合があるため、スクライブ・ラインは、構造の隣接する薄膜または層の場合がある。薄膜または層に付随する界面によって、干渉法を用いてスクライビング深さを決定するときに生じる干渉パターンが形成される場合がある。このような隣接する皮膜または層があっても、本明細書で説明した方法およびシステムを用いてスクライビング深さを決定することができる。
【0223】
典型的な方法としては、1つまたは複数の電子構造をスクライブすること、およびスクライブ・ラインに沿って構造を分離することを、挙げることができる。分離の前および/または後に、低コヒーレンス干渉信号を用いてスクライビングの深さを決定することができる。他のスクライビング条件が知られている。たとえば、レーザ・スポット・サイズ、レーザ・パワー、平行移動速度である。スクライビング深さは、干渉信号から決定することができる。スクライビング条件(スクライビング深さなど)の関数としての分離品質は、分離された構造を評価することによって決定することができる。このような決定に基づいて、所望の分離品質を実現するのに必要なスクライビング条件を決定することができる。製造が継続される間、スクライブされた領域から低コヒーレンス干渉信号を得て、プロセスをモニタすることができる。スクライビング条件を変えて、スクライビング特性を維持するかまたは許容誤差内に入れるようにすることができる。
【実施例】
【0224】
以下の非限定の例の文脈において、測定物体の空間的特性を決定することについて、さらに説明する。
“1.単一表面の測定物体の空間的特性の決定”
再び図1を参照して、干渉信号150は、物体表面を横切る直線状の軌跡を示す合計101個の干渉信号の1つでしかない。便宜上、残りの100個の干渉信号は図示しない。二酸化ケイ素物体表面は、ほぼ球面のプロファイルであり、PV=600nmである。照射波長は550nmで、バンド幅は100nmである。バンド幅は、波数においてガウシアンである。開口数は、垂直入射の平行光に対して0.01である。各干渉信号は、256個のグレー・スケール・ステップのフル・スケール・デジタル分解能を有する。平均の信号強度は、65個のグレー・レベルDCとその上の20個のグレー・レベル振幅ACである。信号は、2つのグレー・レベルの標準偏差を有するランダム・ノイズを有する。
【0225】
101個の干渉信号を、フーリエ変換を用いて逆領域に変換する。図14aを参照して、干渉信号200のフーリエ変換205の大きさは、ピークがミクロン当たり約3.7周期のPLDに位置する。変換後干渉信号を用いて、変換されたすべての干渉信号からの寄与を含む変換後テンプレートを作成する。対象領域202は、ピークを中心に示されている。
【0226】
図14bを参照して、101個の変換後干渉信号からの寄与を含む変換後干渉信号204は、信号対ノイズ比(S/N)が、各変換後干渉信号よりも実質的に高い。これは、図10aおよび10bを比較すると理解することができる。
【0227】
図15を参照して、テンプレート210には、包絡線212に従って減衰する複数のフリンジが含まれる。テンプレート210は、S/Nが各干渉信号よりも実質的に高い。これは、図1および11を比較すると理解することができる。テンプレート212はさらに、物体表面高さと、異なる干渉信号間の位相差と、DCバイアスとからの寄与が、テンプレートから取り除かれている点で、101個の測定干渉信号(たとえば150の組)とは異なる。
【0228】
再び図2を参照して、窓のあるテンプレート215は、テンプレート212と窓関数217との積を表わしており、窓関数の外側のテンプレート212の値はゼロに設定されている。
【0229】
図16を参照して、関数220は、図1の干渉信号200の振動する信号のAC部分の振幅とフリンジ(ACexmex)の減衰を記述する包絡線との積によって、与えられる。
【0230】
図17を参照して、メリット関数230が、図2の窓のあるテンプレートと図1の干渉信号150との複素相互相関によって得られる。
図18を参照して、測定物体の表面高さが、物体表面に渡る横方向位置の関数として示されている。表面高さは、テンプレート215と101個の干渉信号とから、コヒーレンス・プロファイル240hΘのアプローチと位相プロファイル242hΘのアプローチとを用いて、決定される。
【0231】
“2.薄膜を有する測定物体の空間的特性の決定”
図19を参照して、基準干渉信号300は、実施例1で用いたのと同じ基準物体から得られる101個の基準干渉信号の1つである。
【0232】
図20aおよび20bを参照して、101個の基準干渉信号が、フーリエ変換によって逆領域に変換されている。干渉信号300のフーリエ変換305の大きさは、ピークがミクロン当たり約3.7周期のOPDに位置する。101個の変換後干渉信号の大きさからの寄与を含む変換後干渉信号304は、信号対ノイズ比(S/N)が、各変換後干渉信号よりも実質的に高い。これは、図20aと20bとを比較すると理解することができる。
【0233】
101個の変換後干渉信号から、図15のテンプレート212と同様の特性を有するテンプレート(図示せず)が作成される。図21を参照して、非対称の窓のあるテンプレート315が、テンプレートと窓関数317との積を表わし、窓関数317の外側のテンプレートの値が、ゼロに設定されている。テンプレートの左側の境界は、フリンジの減衰を決定する包絡線のピークに対応する。
【0234】
図22を参照して、シリコン基板上の二酸化ケイ素皮膜(Si上のSiO2)を含む測定物体から、測定干渉信号400が得られる。物体の基板は、基準干渉信号を収集するために用いるものと同じである。すなわち基板は、実施例1で用いた測定物体と同じである。膜厚の値は、エッジにおける900nmから中央部における1500nmまで変わる(画素50において)。実施例1の場合と同じ条件の下で、101個の測定干渉信号の線形ストリップが収集される。
【0235】
図22に見られるように、干渉信号400には、第1および第2の干渉パターン402、404が含まれる。これらは、基板−皮膜界面および皮膜−空気界面にそれぞれ起因する。干渉パターンは、部分的に重なり合っている。
【0236】
図23を参照して、図22の干渉信号400の振動する信号のAC部分の振幅と第1および第2の干渉パターン402、404のフリンジの減衰を記述する包絡線との積によって、関数420が与えられる。
【0237】
図24を参照して、メリット関数425に、第1および第2のピーク427、429が、走査位置の関数として含まれている。メリット関数425は、図22の非対称のテンプレートを図23の干渉信号と相互相関させることによって、得られる。相互相関の各点は、式30に関して前述したように規格化される。線431は、走査位置に対する第1のピーク位置ζbestの場所を示す。第1のピーク位置ζbestは、皮膜−空気界面の場所を示す。
【0238】
図25を参照して、皮膜−空気界面に対する高さプロファイルを示す。プロファイル440hΘ(コヒーレンス)が、コヒーレンス・アプローチを用いて決定され、高さプロファイル442hΘ(位相)が、位相アプローチを用いて決定される。
【0239】
尚、国際出願の英文明細書中にJISコードで表記できない箇所があったため、この翻訳文では代替表記を使用した、具体的には、
※q〜sys※、※I〜sys※、※ACsys※、※I〜pat※、※I〜ex※、※I〜*pat※、※I〜※、※q〜pat※、※I〜*ex※、※I〜pat.inl※、※〜I※、及び※I〜*pat.inl※は、
【0240】
【数67】
のように、国際出願の明細書ではアルファベットの上又は下に「チルダ」を付けて表現されていたものや、それらの記号の上に更に「横棒」が引かれていたものがあったが、便宜上、翻訳文では※で挟んで表現した。
【図面の簡単な説明】
【0241】
【図1】薄膜または他のコーティングが存在しない固体シリコン基板からの低コヒーレンス干渉信号を示す図である。走査位置はζ座標である。
【図2】図1の説明を参照して、シリコン基板の複数の異なる場所のそれぞれから得られる干渉信号からの寄与を含むテンプレートを示す図である。図2のテンプレートには窓関数を乗じている。窓関数も示されている。
【図3】基板および横たわる薄膜を有する物体から得られる重なり合う干渉パターンを例示する図である。
【図4】非対称のテンプレートを示す図である。
【図5】2μmのSi3N4コーティングを有する(シリコン)基板からの低コヒーレンス干渉信号を示す図である。
【図6】1.1μmのSi3N4コーティングを有する(シリコン)基板からの低コヒーレンス干渉信号を示す図である。
【図7】図3のプロット(ダイアモンド)および図6のプロット(実線)の直接の比較を示す拡大図である。
【図8】テンプレートを作成する方法を例示するフローチャートである。
【図9】干渉信号を得るための典型的な干渉法システムを示す図である。
【図10a】基板と横たわる層たとえば薄膜とを含む測定物体の断面を示す図である。
【図10b】図1aの物体を示す平面図である。
【図11a】銅相互接続を有する典型的な構造を示す図である。平坦化前の構造を示す。
【図11b】銅相互接続を有する典型的な構造を示す図である。平坦化後の構造を示す。
【図12a】はんだバンプ処理の間に形成される典型的な構造を示す図である。はんだを付加する前の構造を示す。
【図12b】はんだバンプ処理の間に形成される典型的な構造を示す図である。はんだを付加した後であるが、はんだを流す前の構造を示す図である。
【図13】典型的な液晶ディスプレイの一部を示す図である。
【図14a】図2の干渉信号のフーリエ変換の大きさスペクトルの正周波数部分を例示する図である。
【図14b】フィールド平均化されたスペクトル※q〜sys※の正周波数部分を含む変換後ドメインにおけるテンプレートを示す図である。テンプレートは、物体の異なる点からの複数の干渉信号からの寄与を含む。
【図15】複数の干渉信号から決定されるテンプレートを例示し、およびその下でテンプレートのフリンジが減衰する包絡線も例示する図である。テンプレートは、窓関数が施されていないことを除いて、図3のテンプレートと同一である。
【図16】図2の干渉信号のフリンジの振幅と包絡線との積を例示する図である。
【図17】図3の窓のあるテンプレートと図2の干渉信号とから決定されるメリット関数を例示する図である。
【図18】図2の干渉信号を収集するために用いられる物体の高さプロファイルを例示する図である。
【図19】図2の信号を収集するために用いられるシリコン基板から収集される101個のシミュレートされた基準干渉信号Iexの第2の組のうちの1つを例示する図である。走査位置はζ座標である。
【図20a】図19の干渉信号のフーリエ変換の大きさスペクトルの正周波数部分を例示する図である。
【図20b】テンプレート変換された干渉データを例示する図であり、図19による複数の干渉信号からの寄与を含むフィールド平均化されたスペクトル※q〜sys※の正周波数部分である。
【図21】図19のデータから得られるテンプレートと非対称の窓関数との積から決定される非対称のテンプレートを示す図である。図19のデータから得られるテンプレートの右側部分のみが維持されている。
【図22】薄膜を有するシリコン基板から収集される101個のシミュレートされた干渉信号Iexの1つを例示する図である。薄膜が存在すること以外は、シリコン基板は、図19のデータを収集するために用いられるものと同じである。走査位置はζ座標である。
【図23】図22の干渉信号のフリンジの振幅と包絡線との積を例示する図である。
【図24】図21の非対称のテンプレートと図22のデータとから決定されるメリット関数を例示する図である。
【図25】図21のテンプレートと図22のデータとを用いて決定された、図22のデータを収集するために用いられるシリコン基板の基板−皮膜界面の高さプロファイルを例示する図である。
【技術分野】
【0001】
本出願は、以下の米国仮出願の利益を主張する。第60/502,932号明細書(2003年9月15日出願)「表面プロファイリングならびにフォーカスおよびティルト検出のための高速走査干渉計」、第60/502,933号明細書(2003年9月15日出願)、「薄膜コーティングを有する場合がある表面をプロファイリングするためのかすめ入射干渉計」、第60/502,907号明細書(2003年9月15日出願)、「薄膜コーティングを通して表面をプロファイリングするための三角測量センサ」、第60/502,930号明細書(2003年9月15日出願)、「薄膜がある場合の表面トポグラフィの高速測定」、および第60/539,437号明細書(2004年1月26日出願)、「干渉パターン・マッチング・テンプレートを用いた表面プロファイリング」。なお各出願は、本明細書において参照により取り入れられている。
【0002】
本発明は、物体の干渉分析、たとえば物体トポグラフィの干渉法決定に関する。
【背景技術】
【0003】
干渉法、たとえば走査白色光干渉法(SWLI)を用いて、物体の空間的特性を決定することができる。典型的な空間的特性には、表面トポグラフィ、または何らかの基準に対する物体の場所が含まれる。物体に不透明基板を覆う厚膜が含まれる場合には、SWLIデータには、基板−皮膜界面および皮膜−空気界面からそれぞれ生じる離間に配置された2つのパターンが含まれる場合がある。干渉パターンが完全に分離できる場合、すなわち2つの信号間にゼロ変調の領域が存在する場合には、標準的な技術を用いて、データから、基板表面および皮膜−空気界面に関する独立した情報を得ることができる。覆う皮膜が薄くなるにつれ、個々の干渉パターンは、互いに重なり合って歪め合い始める。このような重なり合った干渉パターンが生じると、基板表面および皮膜−空気界面に関して誤った空間情報が得られるおそれがある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様は、光路長差(OPD)の関数として重なり合う干渉パターンを生成する物体からの低コヒーレンス干渉信号を分析するための方法およびシステムに関する。本発明の方法およびシステムは、たとえばフラット・パネル・ディスプレイ測定、半導体ウェハ計測、はんだバンプ処理、その場薄膜測定、および異種材料分析において用いることができる。
【0005】
1つの典型的な方法は、フォトリソグラフィ・システムに対するその場フォーカスおよびティルト調整において、パターニングされたウェハ上のフォトレジスト皮膜の空間的特性を高速に決定することに関するものである。空間的特性には、フォトリソグラフィ・システムの基準に対するフォトレジスト上面のトポグラフィおよび/または位置を含めることができる。いくつかの実施形態においては、空間的特性は、たとえばフォトリソグラフィ・システムに対するフォトレジスト皮膜の絶対的または相対位置を示す。
【0006】
一般的に、一態様において、本発明の特徴は、(i)測定物体から低コヒーレンス干渉信号を得ることであって、測定物体は第1および第2の界面を備え、低コヒーレンス干渉信号は、それぞれ第1および第2の界面に起因する第1および第2の重なり合う干渉パターンを含むことと、(ii)重なり合う干渉パターンのサブセットを特定することであって、サブセットは、第1および第2の干渉パターンの一方からの寄与が他方の干渉パターンからの寄与よりも大きいことと、を含む方法である。
【0007】
方法の実施形態には、以下の特徴のいずれかが含まれていても良い。
前記得ることが、複数の低コヒーレンス干渉信号を得ることを含み、各低コヒーレンス干渉信号は、第1および第2の重なり合う干渉パターンを含み、各第1の干渉パターンは第1の界面の異なる点に起因し、各第2の干渉パターンは第2の界面の異なる点に起因し、複数の低コヒーレンス干渉信号を得ることが、物体を結像することを含み、サブセットを特定することが、それぞれの干渉信号のサブセットを特定することを含み、各サブセットは、対応する干渉信号の第1および第2の干渉パターンの一方からの寄与が他方の干渉パターンからの寄与より大きくても良い。
【0008】
複数の低コヒーレンス干渉信号のそれぞれに対して、前記得ることが、干渉計を用いることを含み、光に起因する複数の低コヒーレンス信号がそれぞれ、光路長差の範囲を有し、光路長差の各範囲は、干渉計のコヒーレンス長の少なくとも50%であっても良い。たとえば各範囲は、少なくとも干渉計のコヒーレンス長程度の大きさであっても良い。
【0009】
第1の界面は物体の外面であっても良く、方法は、外面の複数の点のそれぞれの相対的な高さを決定することを含んでいても良い。
第1および第2の界面は、1000nm以下だけ分離していても良い。
【0010】
第1の界面は物体の外面であり、第2の界面は外面の真下であっても良い。たとえば、外面は、基板を覆うフォトレジスト層の外面であり、第2の界面は、フォトレジストの外面と基板との間に規定されても良い。
【0011】
第1および第2の界面は、液晶ディスプレイ・セルの界面であっても良い。
方法はさらに、低コヒーレンス干渉信号に基づいて第1または第2の界面の少なくとも一部の点のそれぞれの空間的特性を決定することを含んでいても良い。
【0012】
第1および第2の重なり合う干渉パターンがそれぞれ複数のフリンジを含んでいても良く、少なくとも一部の点のそれぞれの空間的特性を決定することが、第1または第2の重なり合う干渉パターンの一方のフリンジの半分未満に基づいて少なくとも一部の点のそれぞれの空間的特性を決定することを含んでいても良い。
【0013】
第1および第2の重なり合う干渉パターンがそれぞれ、複数のフリンジを含んでいても良く、少なくとも一部の点のそれぞれの空間的特性を決定することが、各第1または第2の重なり合う干渉パターンのフリンジの半分を変換することを含んでいても良い。
【0014】
少なくとも一部の点のそれぞれの空間的特性を決定することが、対応する干渉信号の重なり合う干渉パターンの非対称のサブセットに基づいて少なくとも一部の点のそれぞれの空間的特性を決定することを含んでいても良い。たとえば、少なくとも一部の点のそれぞれの空間的特性を決定することが、非対称のサブセットを変換することを含んでいても良い。また、第1の界面は物体の外面であっても良く、少なくとも一部の点のそれぞれの空間的特性を決定することが、外面の複数の点の空間的特性を決定することを含んでいても良い。このような場合、各非対称のサブセットは、物体の外面に起因する干渉がゆうせいであっても良い。
【0015】
サブセットを特定することが、干渉計応答を示すテンプレートに基づいて非対称のサブセットの境界を決定することを含んでいても良い。たとえばテンプレートは、物体の高さには無関係な干渉計応答を示しても良い。境界を決定することが、テンプレートと低コヒーレンス干渉信号とを比較することを含んでいても良い。
【0016】
サブセットを特定することが、干渉計応答を示すテンプレートと低コヒーレンス干渉信号とを相互相関させることを含んでいても良い。相互相関させることが、低コヒーレンス干渉信号の形状に基づいて標準化することを含んでいても良い。
【0017】
少なくとも一部の点のそれぞれの空間的特性を決定することが、対応する低コヒーレンス干渉信号と干渉計応答を示すテンプレートとに基づいて空間的特性を決定することを含んでいても良い。少なくとも一部の点のそれぞれの空間的特性を決定することはさらに、対応する低コヒーレンス干渉信号とテンプレートとを比較することを含んでいても良い。比較することが、対応する低コヒーレンス干渉信号とテンプレートとの間の最良のマッチングの場所を決定することを含んでいても良い。たとえば、比較することが、テンプレートと重なり合う干渉パターンとを相互相関させることを含んでいても良い。相互相関させることが、対応する低コヒーレンス干渉信号の形状に基づいて標準化することを含んでいても良い。
【0018】
テンプレートは非対称であっても良い。たとえばテンプレートは、切断された干渉パターンの形状を有していても良い。本方法がさらに、基準物体の複数の点のそれぞれからの基準の低コヒーレンス干渉信号を得ることによってテンプレートを生成することを含み、テンプレートは、基準の低コヒーレンス干渉信号のそれぞれから得られる寄与を含んでいても良い。
【0019】
たとえば、各基準の低コヒーレンス干渉信号が、対応する物点の高さを示す物体高さ依存性の特性を含んでいても良く、テンプレートを作成することが、基準の低コヒーレンス干渉信号から物体高さ依存性の特性を取り除くことを含んでいても良い。基準の低コヒーレンス干渉信号には、重なり合わない干渉パターンが含まれていても良い。
【0020】
他の態様においては、本発明の特徴は、(i)物体から低コヒーレンス干渉信号を得るように構成された光学システムであって、物体は複数の界面を有し、低コヒーレンス干渉信号は、少なくとも第1および第2の物体の界面に起因する少なくとも第1および第2の重なり合う干渉パターンを含む、光学システムと、(ii)第1および第2の重なり合う干渉パターンの非対称のサブセットに基づいて第1および第2の界面の少なくとも一方の空間的特性を決定するように構成されたプロセッサと、を含む装置である。
【0021】
装置の実施形態には、以下の特徴のいずれかが含まれていても良い。
プロセッサがさらに、第1および第2の干渉パターンの一方からの寄与が干渉パターンの他方からの寄与よりも大きく含まれる低コヒーレンス干渉信号の部分を決定することと、低コヒーレンス干渉信号の前記部分からデータのサブセットを選択することと、を行なうように構成されても良い。
【0022】
第1の界面は物体の外面であっても良く、第1の干渉パターンは第1の界面に起因し、プロセッサはさらに、第1の界面の空間的特性を決定するように構成されていても良い。
光学システムが、物体から複数の低コヒーレンス干渉信号を得るように構成され、各低コヒーレンス干渉信号は、第1および第2の界面の異なる点に起因する個々の第1および第2の重なり合う干渉パターンを含んでいても良く、プロセッサはさらに、複数の低コヒーレンス干渉信号の個々の非対称のサブセットに基づいて、第1の界面の複数の点の空間的特性を決定するように構成されていても良い。
【0023】
たとえば複数の点の空間的特性は、それぞれの点の相対的な高さであっても良い。
プロセッサは、物体の外面の、他の物体に対する空間的特性を決定するように構成されていても良い。
【0024】
プロセッサは、物体の外面の、フォトリソグラフィ装置に対する位置を決定するように構成されていても良い。
プロセッサはさらに、本発明の最初に述べた方法の態様について前述したステップのいずれかを行なうように構成されていても良い。
【0025】
一般的に、他の態様においては、本発明の特徴は、干渉計を用いて、複数の界面を有する物体から得られる低コヒーレンス干渉信号を受け取ることであって、低コヒーレンス干渉信号は、少なくとも第1および第2の物体の界面に起因する少なくとも第1および第2の重なり合う干渉パターンを含むことと、第1および第2の重なり合う干渉パターンの非対称のサブセットに基づいて、第1および第2の界面の少なくとも一方の空間的特性を決定することとを、少なくとも行なうように構成されたプロセッサである。プロセッサの実施形態はさらに、本発明の最初に述べた方法の態様に関して前述した特徴を含んでいても良い。
【0026】
一般的に、他の態様においては、本発明の特徴は、物体の空間的特性を決定するための方法であって、(i)干渉計を用いて、第1の物体から得られる低コヒーレンス干渉信号を提供することと、(ii)低コヒーレンス干渉信号と干渉計の応答を示すテンプレートとに基づいて第1の物体の空間的特性を決定することと、を含む方法である。
【0027】
方法の実施形態には、以下の特徴のいずれかが含まれていても良い。
第1の物体が外面を含んでいても良く、決定することが、外面の点の相対的な高さを決定することを含んでいても良い。
【0028】
前記提供することが、干渉計を用いて、第1の物体の対応する異なる点からそれぞれ得られる複数の低コヒーレンス干渉信号を提供することを含んでいても良く、前記決定することが、対応する低コヒーレンス干渉信号とテンプレートとに基づいて各異なる点の空間的特性を決定することを含んでいても良い。
【0029】
複数の低コヒーレンス干渉信号がそれぞれ、干渉計を用いて物体の一部を結像することを含むステップによって得られても良い。
物体は外面を有しており、各異なる点の空間的特性は各点の高さであっても良い。たとえば、物体が、フォトレジストによってコーティングされたウェハを含んでいても良く、物体の外面がフォトレジストの外面であっても良い。
【0030】
テンプレートは非対称であっても良い。たとえばテンプレートは、切断された干渉パターンの形状を有していても良い。低コヒーレンス干渉信号が、第1および第2の物体の界面に起因する重なり合う干渉パターンを含んでいても良く、空間的特性を決定することが、第1および第2の界面の少なくとも一方の空間的特性を決定することを含んでいても良い。第1の界面が物体の外面であっても良く、前記決定することが、外面の空間的特性を決定することを含んでいても良い。さらに、テンプレートの形状は、第2の界面ではなく第1の界面からの寄与が優勢な低コヒーレンス干渉信号の部分に対応していても良い。
【0031】
テンプレートが、複数の第2の低コヒーレンス干渉信号のそれぞれから得られる寄与を含んでいても良い。たとえば、複数の第2の低コヒーレンス干渉信号がそれぞれ、基準物体の個々の異なる点に起因しても良い。
【0032】
複数の第2の低コヒーレンス干渉信号がそれぞれ、対応する基準物点の高さを示す物体高さ依存性の特性を含んでいても良く、方法が、テンプレートを生成することを含み、テンプレートを生成することが、物体高さ依存性の特性からの寄与を取り除くことを含んでいても良い。たとえば、各第2の低コヒーレンス干渉信号が、対応する基準物点の高さを示す位相関連の特性を有していても良く、寄与を取り除くことが、位相関連の特性を取り除くことを含んでいても良い。また第1の物体および基準物体は、同じであっても良い。あるいは、第1の物体が、横たわる薄膜を含む基板を含んでいても良く、複数の第2の低コヒーレンス干渉信号が、単一の反射性界面を有する基準物体の一部から得られても良い。
【0033】
方法はさらに、テンプレートと低コヒーレンス干渉信号とを比較することを含んでいても良い。
前記比較することが、テンプレートと低コヒーレンス干渉信号とを相互相関させることを含んでいても良い。たとえば相互相関が、部分複素の相互相関を含んでいても良い。相互相関させることが、低コヒーレンス干渉信号の形状に基づいて標準化することを含んでいても良い。
【0034】
前記比較することが、低コヒーレンス干渉信号内の場所を決定することを含んでいても良く、空間的特性を決定することが、場所の一方の側に位置する低コヒーレンス干渉信号の部分を処理することを含んでいても良い。さらに方法が、低コヒーレンス干渉信号を変換することを含んでいても良い。たとえば、低コヒーレンス干渉信号が、第1および第2の重なり合う干渉パターンを含んでいても良く、場所の一方の側の低コヒーレンス干渉信号の部分は、第2の干渉パターンではなく第1の干渉パターンからの寄与が優勢であっても良い。たとえば第1の干渉パターンが、第1の物体の外面に起因しても良い。
【0035】
一般的に、他の態様においては、本発明の特徴は、複数の低コヒーレンス干渉信号を提供することであって、各低コヒーレンス干渉信号は、干渉計を用いて物体の対応する異なる点から得られていることと、干渉計の応答を示すテンプレートを生成することであって、低コヒーレンス干渉信号のそれぞれからの寄与を組み合わせることを含むことと、を含む干渉計テンプレートを作成するための方法である。
【0036】
方法の実施形態には、以下の特徴のいずれかが含まれていても良い。
各低コヒーレンス干渉信号が、干渉計を用いて物体の一部を結像することによって物体の対応する異なる点から得られていても良い。
【0037】
物体の異なる点がそれぞれ、個々の空間的特性を有していても良く、各低コヒーレンス干渉信号が、対応する物点の空間的特性に依存する空間依存性の特性を含んでいても良く、テンプレートを生成することが、低コヒーレンス干渉信号の少なくとも一部の空間依存性の特性を取り除くことを含んでいても良い。
【0038】
空間的特性が、相対的な高さであっても良い。
空間依存性の特性を取り除くことが、低コヒーレンス干渉信号を逆次元に変換して(変換後の低コヒーレンス干渉信号が逆次元での位相変化を示す)、逆次元に対する位相変化の線形部分を取り除くことを含んでいても良い。
【0039】
物体の異なる点が、物体の界面の周囲の異なる点であっても良い。
界面が物体の外面であっても良い。
方法はさらに、干渉計を用いて少なくとも1つの第2の低コヒーレンス干渉信号を得ることであって、第2の低コヒーレンス干渉信号は、第2の物体の点に起因することと、第2の低コヒーレンス干渉信号とテンプレートとに基づいて、第2の物体の点の空間的特性を決定することと、を含んでいても良い。
【0040】
たとえば、第2の物体が基板と少なくとも1つの横たわる層とを含み、第2の物体の点が、横たわる層の少なくとも一部によって規定されても良い。横たわる層が、物体の外面を規定する表面を有し、第2の物体の点が外面に位置していても良い。
【0041】
干渉計を用いて得ることが、複数の第2の低コヒーレンス干渉信号を得ることを含み、各第2の低コヒーレンス干渉信号は第2の物体の異なる点に起因しても良く、第2の物体の点の空間的特性を決定することが、第2の低コヒーレンス干渉信号とテンプレートとに基づいて第2の物体の異なる点の空間的特性を決定することを含んでいても良い。
【0042】
複数の第2の低コヒーレンス干渉信号を得ることが、第2の物体の一部を結像することを含んでいても良い。
決定することが、第2の低コヒーレンス干渉信号とテンプレートとを比較することを含んでいても良い。たとえば、比較することが、少なくとも1つの第2の低コヒーレンス干渉信号とテンプレートとを相互相関させることを含んでいても良い。さらに、比較することが、第1の低コヒーレンス干渉信号の形状に対する相互相関を規格化することを含んでいても良い。
【0043】
テンプレートが、非対称の切断された低コヒーレンス干渉信号の形態を有していても良い。
一般的に、他の態様においては、本発明の特徴は、少なくとも1つの低コヒーレンス干渉信号を提供することであって、低コヒーレンス干渉信号は、物体の少なくとも1つの点に起因する干渉パターンを含むとともに、干渉計を用いて得られていることと、少なくとも1つの低コヒーレンス干渉信号から、干渉計の応答を示す非対称のテンプレートを生成することと、を含む干渉計テンプレートを生成するための方法である。
【0044】
方法の実施形態には、以下の特徴のいずれかが含まれていても良い。
非対称のテンプレートが、切断された干渉パターンの形状を有していても良い。
物体の少なくとも1つの点が空間的特性を有していても良く、少なくとも1つの低コヒーレンス干渉信号が、少なくとも1つの点の空間的特性に依存する空間依存性の特性を有していても良く、生成することが、低コヒーレンス干渉信号から空間依存性の特性を取り除くことを含んでいても良い。
【0045】
一般的に、他の態様においては、本発明の特徴は、物体から得られる低コヒーレンス干渉信号を提供することと、低コヒーレンス干渉信号とテンプレートとの比較に基づいて物体の空間的特性を決定することであって、テンプレートは切断された干渉パターンの形状を有することと、を含む方法である。
【0046】
方法の実施形態は、以下の実施形態のいずれかを含んでいても良い。
提供することが、物体の対応する異なる点からそれぞれ得られる複数の低コヒーレンス干渉信号を提供することを含んでいても良く、空間的特性を決定することが、対応する低コヒーレンス干渉信号とテンプレートとの比較に基づいて物体の各異なる点の空間的特性を決定することを含んでいても良い。
【0047】
方法はさらに、低コヒーレンス干渉信号とテンプレートとを相互相関させることによって低コヒーレンス干渉信号とテンプレートとを比較することを含んでいても良い。
物体がさらに、基板と少なくとも1つの横たわる層とを含み、物体の空間的特性が、少なくとも横たわる層の外面の点の空間的特性であっても良い。
【0048】
低コヒーレンス干渉信号が、横たわる層の外面から光を反射させることを含む方法によって得られても良い。たとえば、横たわる層がフォトレジストであっても良い。
一般的に、他の態様においては、本発明の特徴は、物体の異なる点から複数の低コヒーレンス干渉信号を得るように構成された光学システムと、コードを含むプロセッサと、を備える干渉計である。プロセッサは、干渉計の応答を示すテンプレートを作成するように構成され、テンプレートは複数の低コヒーレンス干渉信号からの寄与を含む。
【0049】
装置の実施形態には、以下の特徴のいずれかが含まれていても良い。
複数の低コヒーレンス干渉信号が、物体の異なる点の空間的特性に関係づけられる特性を含んでいても良く、テンプレートを作成するように構成されるコードが、物体の異なる点の空間的特性に関係づけられる特性の少なくとも一部が無いテンプレートを作成するように構成されるコードを含んでいても良い。
【0050】
コードを含むプロセッサがさらに、第2の物体から第2の低コヒーレンス干渉信号を得ることと、第2の低コヒーレンス干渉信号とテンプレートとに基づいて第2の物体の空間的特性を決定することと、を行なうように構成される。たとえば、空間的特性を決定するためのコードが、第2の低コヒーレンス干渉信号とテンプレートとを比較するように構成されるコードを含んでいても良い。
【0051】
プロセッサがさらに、前述した方法の態様に関連して前述した対応するステップのいずれかを行なうように構成されていても良い。
一般的に、他の態様においては、本発明の特徴は、コンピュータ読取可能な媒体を含むプロセッサであって、媒体は、干渉計を用いて、物体の異なる点から得られる複数の低コヒーレンス干渉信号を受け取ることと、干渉計の応答を示すテンプレートを生成することと、を行なうように構成されるコードを含み、テンプレートは複数の低コヒーレンス干渉信号からの寄与を含む。
【0052】
さらなる実施形態においては、コードがさらに、プロセッサに、前述した方法の態様に関連して前述した対応するステップのいずれかを行なわせても良い。
干渉データを得るためのシステムの実施形態には、低コヒーレンス(スペクトル的に広帯域のおよび/または拡張光源の)干渉計、たとえば白色光走査干渉法(SWLI)機器が含まれる。低コヒーレンス干渉計は、少なくともシステムの要素を機械的または電気光学的に走査して、基準経路と測定経路(測定経路は物体表面まで方向づけられている)との間の光路差(OPD)を変えるために、備え付けられている。OPD走査中の複数の干渉信号が、プロセッサによって記録される。記録はたとえば、物体の一部を複数の検出器要素上に結像することによって、行なわれる。低コヒーレンス光源および/または装置の幾何学的配置によって、干渉信号を、物体表面の各結像点に対して、ゼロOPD位置の辺りに局在化させる。システムは、複数の層を有する場合がある物体(詳細には基板上の透明な薄膜)を分析するように構成されている。この場合、層間の界面からの干渉信号は完全に分離される。
【0053】
本発明の方法は、各検出器要素によって検出される干渉信号の一部を選択することを含む。選択部分は、選択された界面または表面(たとえば基板と薄膜層との間の界面)に対応する。各干渉信号の選択部分は、その他の界面または表面からの反射に起因する不要な干渉現象による歪みが比較的ない部分として特定される。選択部分は、対象界面に対するゼロOPDとは異なるOPD位置に対して収集された干渉情報を含んでも良いし、またはこれに限定されても良い。
【0054】
干渉信号の一部を選択するための本発明の方法には、特定の光路長差において始まる干渉信号の一部を取り出すことが含まれる。特定の光路長差は、たとえば信号重心によってまたは対象信号の実質的に未破損部分の範囲を予測可能に規定する信号の何らかの他の特性によって、特定される。次に、取り出した部分を、まるで全信号であるかのようにさらに処理するために送る。
【0055】
低コヒーレンス干渉信号の一部を選択するための本発明の他の方法には、測定物体から収集される測定干渉信号と基準表面の事前測定によって生成されるテンプレートとを比較することが含まれる。比較は、測定干渉信号自体を用いて、理論上の予測によって、またはそれらの組み合わせによって行なわれる。テンプレートは、実質的に歪められていない各低コヒーレンス干渉信号の一部に対応することができる。本方法には、テンプレートに最良にマッチングする各測定低コヒーレンス干渉信号の場所を見出すことを含むことができる。この技術によって、さらに処理することなく界面高さの場所を直接得ることができる。測定分解能に対する改善として、本技術は、複数の記憶信号(たとえば種々のオフセットを有するテンプレートの組)を含むことで、補間の改善を可能にしても良い。
【0056】
データ処理におけるステップとして、いったん界面の場所が、光路長差に対する選択信号部分の場所によって特定されたら、補償因子を含めることで、薄膜の屈折特性および分散特性と、これらの材料パラメータがたとえば対物レンズのNAおよび照明のスペクトルのバンド幅にどのように関係するのかとに、対処しても良い。これは、対象とする界面の真の物理プロファイルに対応する補正データを得るためである。
【0057】
いくつかの実施形態においては、フォトレジストの外面の空間的特性が、重なり合う干渉パターンを含む干渉信号の少なくとも一部に基づいて決定される。空間的特性に基づいて、フォトレジストおよびフォトリソグラフィ・システムの相対位置を変更することができる。
【0058】
いくつかの実施形態においては、物体の外面の空間的特性が、低コヒーレンス干渉の少なくとも一部から、たとえば外面から何らかの材料を取り除いた後に、決定される。空間的特性に基づいて、さらに材料を取り除くことができる。たとえば、さらに取り除く間に除去レートを変更することができる。
【0059】
いくつかの実施形態においては、物体の一部の空間的特性が、たとえば物体の一部にレーザ・ビームを照射してスクライブ・ラインを形成した後で、決定される。空間的特性に基づいて、物体または他の物体のさらなるスクライビングが行なわれる。
【0060】
いくつかの実施形態においては、複数の低コヒーレンス干渉信号が得られる。各干渉信号は、光路長差値の関数としての検出器強度を含み、およびIsysとして示すことができる。複数の干渉信号を、周波数ドメイン内で平均化して、単一の部分スペクトル※q〜sys※を決定する。このスペクトルは、周波数ドメイン内のすべての低コヒーレンス干渉信号に対するフィールド平均に対応する。
【0061】
部分スペクトルを逆変換して、テンプレート※I〜sys※を得る。この実部は、各干渉信号に類似する干渉信号を表わす場合があるが、振幅スケーリングと物体高さ依存性の差とが取り除かれている。いくつかの実施形態においては、テンプレートは、各走査位置ζにおける包絡線および位相を複素関数※I〜sys※の係数および引数を用いてそれぞれ分離できるように、複雑な形式※I〜sys※で維持される。
【0062】
別に定義がない限り、本明細書で用いられる技術用語および科学用語はすべて、本発明が属する技術分野の通常の知識を有する者によって広く理解されているものと同じ意味を有する。
【0063】
特に断りのない限り、本明細書で説明される方法およびシステムによって決定される物体の空間的特性は、相対的であっても良いし絶対的であっても良い。
本発明の他の特徴、目的、および優位性は、以下の詳細な説明から明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0064】
図1を参照して、シミュレートされている低コヒーレンス干渉信号150に、物体の単一の点(たとえば、単一の反射性界面を有するシリコン・ウェハの点)から得られる複数の検出器強度値が含まれている。強度値は、物点からの反射光と基準物体からの反射光との間の光路長差(OPD)の関数としてプロットされる。干渉信号150は、OPDを走査することによって得られる低コヒーレンス白色光走査干渉法(SWLI)信号である。OPDの走査はたとえば、光学部品および/または物体を移動させて物体からの反射光または基準光が進む光路を変えることによって、行なわれる。低コヒーレンス走査白色光干渉計として構成することができる干渉計の例は、ミラウ(Mirau)干渉計である。代替的にまたは組み合わせて、干渉計によってOPDを変えることを、物体からの反射光および基準光の空間分布を検出することによって行なっても良い。OPDは、検出器上の空間位置の関数として変化する。
【0065】
図1では、強度値が、OPD(ここでは走査位置)の関数としてプロットされている。強度値によって、複数のフリンジ152を有する干渉パターン151がマッピングされている。フリンジは、低コヒーレンス包絡線154に従って最大値の両側で減衰している。低コヒーレンス包絡線がない場合には、干渉パターンのフリンジは通常、振幅が広範囲の光路差に渡って同様である。包絡線154自体は、このような干渉信号内において明確に現れることはないが、説明のために示している。OPD軸に沿っての干渉パターンの場所は一般的に、ゼロOPDの位置(たとえば、物点からの反射光と基準物体からの反射光との間のゼロOPDに対応する走査位置または空間位置)に関係づけられる。ゼロOPD走査位置は、物体トポグラフィ(各物点の相対的な高さを記述する)と、物体自体の方位および位置(干渉計に対する各物点の位置に影響を及ぼす)との関数である。また干渉信号には、機器の寄与も含まれる。機器の寄与はたとえば、干渉計オプティクスに関係づけられる。干渉計オプティクスはたとえば、オプティクスの開口数(NA)、データ収集レート、走査速度、干渉信号を収集するために用いられる光の波長、波長の関数としての検出器感度、および他の機器による特性である。
【0066】
フリンジ152の振幅を変調するコヒーレンス包絡線154の幅は一般的に、検出光のコヒーレンス長に対応する。コヒーレンス長を決定する要因の中には、時間コヒーレンス現象(たとえば、光源のスペクトル・バンド幅に関係づけられる)、および空間コヒーレンス現象(たとえば、物体を照明する光の入射角度の範囲に関係づけられる)がある。通常、コヒーレンス長は、以下の場合に減少する。(a)光源のスペクトルのバンド幅が大きくなる、および/または(b)入射角度の範囲が大きくなる。データを収集するために用いられる干渉計の構成に依存して、これらのコヒーレンス現象の一方もしくは他方が優勢になっても良く、またはそれらが両方とも全体のコヒーレンス長に実質的に寄与しても良い。干渉計のコヒーレンス長は、単一の反射表面を有する物体(たとえば、薄膜構造ではない)から干渉信号を得ることによって、決定することができる。コヒーレンス長は、観察される干渉パターンを変調する包絡線の半値幅に対応する。
【0067】
図1から分かるように、干渉信号150が発生するのは、検出光の光路差の範囲が、コヒーレンス包絡線の幅よりも大きく変化する場合、したがって検出光のコヒーレンス長よりも大きく変化する場合である。一般的に、低コヒーレンス干渉信号は、検出光のコヒーレンス包絡線によって振幅変調される干渉フリンジを得ることによって発生することができる。たとえば干渉パターンは、観察される干渉フリンジの振幅が互いに対して少なくとも20%、少なくとも30%、または少なくとも50%だけ異なるOPDに渡って得られる場合がある。たとえば、フリンジ98の最大振幅は、フリンジ99の最大振幅よりも約50%小さい。
【0068】
低コヒーレンス干渉計は、干渉計のコヒーレンス長に匹敵するかまたはそれを超えるOPDの範囲に渡って検出される干渉信号を検出するように、構成することができる。たとえば、検出されるOPDの範囲は、コヒーレンス長より少なくとも2倍大きくても良いし、少なくとも3倍大きくても良い。いくつかの実施形態においては、検出光のコヒーレンス長は、物体の特徴の高さ変化のオーダであり、たとえば数ミクロン以下だが検出光の公称上の波長を超えるオーダである。
【0069】
一般的に、干渉信号(たとえば干渉パターンの形状および位相)に対する機器関連の寄与は、物体のトポグラフィおよび位置とともにゆっくりと変化する傾向がある。他方で、干渉信号が、異なる空間的特性(たとえば異なる相対的な高さ、または干渉計に対して異なる相対位置)を有する物点から得られる場合、干渉パターンは走査位置軸に沿ってシフトする。したがって、異なる物点から得られる干渉パターンは、形状は同様であるが、各点の空間的特性に関係づけられる量だけ走査位置軸に沿ってシフトしている場合がある。
【0070】
図2を参照して、物体および物点の空間的特性に関係づけられる寄与が、テンプレート215によって低減されるかまたは取り除かれている。このような寄与はたとえば、物体トポグラフィ(異なる点の相対的な高さを記述する)、物体位置、および物体方位寄与である。テンプレート215は、物体に対する干渉計の応答を表わしており、干渉計を用いて得られる低コヒーレンス干渉信号内に現れる寄与を表わす機器の寄与を含むことができる。前述したように、このような機器の寄与は、異なる物点から得られる干渉信号に対して同様であるかまたは同じである。したがってテンプレート215には、異なる物点から得られる干渉信号からの寄与を含むことができる。異なる点は、分析すべき表面全体の周囲に配置しても良いし、分析すべき領域の1つまたは複数のサブセットの周囲に配置しても良い。
【0071】
異なる物点からの干渉信号を処理して、複数の干渉信号からの情報を組み合わせ(たとえば平均化し)て、テンプレートを作成する。結果として生じるテンプレートは、信号対雑音レベル(S/N)を、個々の干渉信号よりも著しく高くすることができる。いくつかの実施形態においては、テンプレート215は、複数の干渉信号からの寄与を含み、そのS/Nは、少なくとも10、少なくとも33、または少なくとも100倍だけ、個々の干渉信号よりも大きい。出願人は、このようなテンプレートに基づいて干渉信号を処理することで、物体の1つまたは複数の空間的特性を決定できることを見出した。
【0072】
図3を参照して、干渉信号190は、物体191から収集される。物体191は、基板192および横たわる層(たとえば薄膜193)を含む。基板および皮膜によって、それらの間の界面194が規定される。皮膜の外面195によって、物体とその周囲(たとえば、空気、他のガス、または真空)との間の界面が規定される。界面は一般的に、物体の部分間の屈折率変化によって規定される。
【0073】
干渉信号190には、界面194に起因する第1の干渉パターン196と、界面195に起因する第2の干渉パターン197とが含まれる。第1および第2の干渉パターン196、197は、重なり合っている。たとえば、干渉パターン196、197の最大値は、干渉計のコヒーレンス長よりも短いOPDだけ分離しており、パターン196、197は、ゼロ強度の領域によって分離されてはいない。物体の空間的特性を決定するための既存の方法では、物体が、重なり合う干渉パターンを生成する界面を有する場合、誤った結果が得られる可能性がある。なぜならば、重なり合う干渉パターンは互いに歪め合うからである。出願人は、このような界面を有する物体の場合、その空間的特性は、重なり合う干渉パターン上の一部に基づいて決定できることを見出した。たとえば、界面195の空間的特性、たとえば物体191の外面のトポグラフィは、干渉信号190のサブセット200に基づいて決定することができる。サブセット200は、干渉パターン196(界面194による)からの寄与ではなく、干渉パターン197(界面195による)からの寄与が優勢である。界面194の空間的特性は、サブセット200と同様であるが重なり合うパターンの左側に位置するサブセットに基づいて、決定することができる。
【0074】
図4を参照して、テンプレート180は非対称であり、切断された干渉パターンの形状を有する。1つまたは複数の界面を有する物体の空間的特性、たとえば物体190の界面195の空間的特性は、非対称のテンプレート180に基づいて決定することができる。いくつかの実施形態においては、干渉信号を非対称のテンプレートによって処理して、干渉信号のサブセットの境界を決定することができ、これを処理して、界面の空間的特性を決定することができる。たとえば、干渉信号200(図3)をテンプレート180(図4)によって処理して、干渉信号190に伴うサブセット200の境界201を決定することができる(図3)。境界は通常、干渉信号のx軸に沿っての位置、たとえば走査位置である。サブセットを、境界に基づいて選択することができる。サブセットにさらに処理を施して、特定の界面の空間的特性を決定することができる。いくつかの実施形態においては、干渉信号を非対称のテンプレートによって処理することで、物体の界面の空間的特性を決定することが、さらに処理することなく可能となる。
【0075】
次に、薄膜のない物体に起因する低コヒーレンス干渉信号と薄膜のない物体に起因する低コヒーレンス干渉信号とについて、詳しく説明する。
図1を再び参照して、低コヒーレンス干渉信号150によってシミュレートされているデータは、次のものを用いて収集されている。光源として、波数がガウシアン分布をなし、波長のバンド幅が100nmであり、その中心が平均値640nmであり、対物レンズ開口数(NA)が0.3のもの。測定物体として、固体窒化ケイ素(Si3N4、屈折率=2.019)からなるもの(この材料は、640nmにおいて部分的に透明である)。
【0076】
次に図5を参照して、低コヒーレンス干渉信号156によって、シリコン(Si、屈折率=3.725−0.029i)基板に2μmのSi3N4をコーティングした測定物体から収集されるデータが、シミュレートされている。明瞭にするために、干渉信号156は、ノイズを用いずにシミュレートされている。信号156には、第1の干渉パターン157と第2の干渉パターン159とが含まれる。第1および第2の干渉パターン157、159には、ピーク165、167とフリンジ162、164とが、それぞれ含まれている。フリンジは、それぞれの包絡線158、160に従って減衰する。干渉パターンのピークは、走査位置軸に沿って離間に配置されている。干渉パターン157、159は、測定物体の基板−皮膜界面および皮膜−空気界面からの反射に起因する干渉に、それぞれ対応する。干渉パターン157、159は重なり合っていない。たとえばパターンは、本質的にゼロ変調強度の領域169によって、離間に配置されている。したがって、物体界面の空間的特性を決定するために、干渉信号157、159を互いに独立に処理することができる。
【0077】
図6を参照して、低コヒーレンス干渉信号170は、シリコン(Si、屈折率=3.725−0.029i)基板に1.1μm厚みのSi3N4薄膜をコーティングした物体から収集されるデータをシミュレートしている。干渉信号には、第1の干渉パターン172(シリコン基板における界面に起因する)と第2の干渉パターン174(Si3N4層の外面に起因する)とが含まれ、各パターンには複数のフリンジが含まれている。フリンジは、それぞれの包絡線181、183に従って減衰する。膜厚が薄いために(図5と比較して)、干渉パターン172、174は重なり合って全体の干渉パターンを形成している。従来のデータ処理では、組み合わされた干渉効果を区別することができず、誤った界面の空間的特性が与えられるであろう。たとえば不正確な皮膜高さ、トポグラフィ、または位置である。
【0078】
図7を参照して、図1からの干渉信号150の一部を、干渉パターン172および174を含む図6の干渉信号170の一部とともにプロットしている。(ここで、明瞭にするために、干渉信号150の干渉パターンを、図1の線を形成するために接続された点としてではなく、離散的な点として示している。各点は、特定の走査位置で観察される検出器強度を表している。)1.1μmの皮膜が存在するために、干渉信号170は、干渉信号150と比べると変化しているが、干渉パターン174の部分(皮膜−空気界面)と干渉パターン151の部分(基板−空気界面に起因する)とは、ほぼ同一である。
【0079】
本明細書において説明するいくつかの実施形態においては、1つまたは複数の層(たとえば薄膜)を有する基板を含む物体の選択部分の空間的特性を、干渉信号のサブセットに基づいて決定する。このような物体から得られる干渉信号には、重なり合う干渉パターンが含まれる場合があるが、信号には、重なり合いによる歪みが比較的ないサブセットが含まれている可能性がある。干渉信号の比較的歪められていないサブセットを用いて、測定物体の空間的特性を決定することができる。通常、各サブセットには、測定物体の選択部分に起因する干渉が優勢な干渉パターンの少なくとも一部が含まれる。たとえば、図6を参照して、干渉信号170のサブセット180’には、1.1μm厚みのSi3N4薄膜−空気界面に起因する干渉からの寄与が優勢なフリンジが含まれ、その下のシリコン−皮膜界面に起因する干渉(干渉信号の左側に現れる)からのものではない。サブセット180’は、走査位置に対して非対称である。サブセット180’の特性(たとえば干渉位相を含む)は、Si3N4薄膜−空気界面に対応しており、その下のシリコン−皮膜界面からの影響は、ほとんどないかまたは全くない。
【0080】
1.1μm厚みのSi3N4薄膜の空間的特性(たとえばその表面での1つまたは複数の点の相対的な高さ)は、サブセット180’に基づいて決定することができる。いくつかの実施形態においては、決定する際に、干渉信号170のサブセット180’の外側部分を重視することは、ほとんどないか全くない。たとえば干渉信号の他の部分は、抑える(たとえばゼロに設定する)ことができる。サブセット180’を分析して、測定物体の皮膜−空気界面の部分の空間的特性を決定することができる。
【0081】
いくつかの実施形態においては、サブセット180’は非対称であり、サブセット180’に含まれるのは、干渉パターン・フリンジの強度を変調する包絡線の下の領域の75%以下、65%以下、または50%以下である。たとえばサブセット180’に含まれるのは、包絡線183の真下の約50%の領域のみである。
【0082】
いくつかの実施形態においては、サブセットの少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、または少なくとも75%が、近接して離間に配置された第2の界面または表面がなければ観察されたであろう干渉パターンの重心の一方の側に位置する。たとえば、サブセット180’は本質的にすべて、干渉パターン151の重心の右側に位置する。干渉パターン151は、図6の重なり合う干渉パターン172を生じる皮膜がなければ観察されるものである。
【0083】
いくつかの実施形態においては、サブセット180’に含まれるフリンジの数は、干渉信号のフリンジ全部の数よりも少ない。たとえば、図6を参照して、干渉信号170には、強度が少なくとも閾値強度189程度に大きい16個のフリンジが含まれる。図4の干渉パターンは重なり合っているため(図3の干渉パターンとは異なる)、両方の干渉パターン172、174のフリンジが総和に寄与する。サブセット180’には、フリンジの50%以下、またはフリンジの35%以下、25%以下、20%以下、15%以下が含まれていても良い。閾値強度は、最大フリンジ強度の少なくとも2.5%、少なくとも5%、少なくとも10%、または少なくとも20%であっても良い。閾値強度は、最大フリンジ強度の30%以下、たとえば、25%以下、20%以下、15%以下であっても良い。
【0084】
いくつかの実施形態においては、サブセット180’の幅は、分析すべき表面または界面に対応する干渉パターンに隣接する干渉パターンから決定される。たとえば、干渉パターン172は、基板−皮膜界面(シリコン−Si3N4)に起因し、干渉パターン174は、隣接する横たわるSi3N4−空気界面に起因する。隣接する干渉パターン172の寸法(たとえば幅Δ)は、ピーク191と、隣接する干渉パターンの振幅が選択値(たとえばピークの25%、ピークの15%、ピークの10%、ピークの5%、またはピークの2%)まで低減している走査位置(たとえば走査位置193)とから、決定することができる。サブセット180’の場所は、ピーク191のΔ内に位置する干渉信号のデータを除外することによって、すなわち走査位置197の左側のデータを除外することによって、決定される。
【0085】
その代わりにまたはそれに加えて、干渉信号170の異なるサブセット(たとえば、図6の左側に位置する干渉信号170の部分から得られるサブセット)に分析を施して、測定物体の基板−皮膜界面の空間的特性を決定することができる。
【0086】
いくつかの実施形態においては、測定物体の空間的特性を決定するために、干渉パターンのサブセットにFDAを施す。FDAの実施形態においては、サブセットを逆次元に変換することが、たとえばフーリエ変換によって可能である。通常、分析には、変換後信号の周波数に対する周波数ドメイン位相の変化レートを決定することが含まれる。FDA技術は、米国特許第5,398,113号明細書、発明の名称「干渉信号の空間周波数分析による表面トポグラフィ測定のための方法および装置」において、概略的に説明されている(この文献の内容は本明細書において参照により取り入れられている)。
【0087】
いくつかの実施形態においては、干渉パターンのサブセットを、光路長差ドメイン内で、たとえば信号を変換することなく走査ドメイン内で、直接分析する。空間情報を、たとえばサブセットの部分の位置、サブセット内のフリンジの間隔、または第2の干渉信号のフリンジに対するサブセットのフリンジの位相に基づいて、決定することができる。
【0088】
いくつかの実施形態においては、干渉信号に対するサブセット180’の位置もしくは境界、および/または測定物体の選択部分の一部の空間的特性(たとえば基板−皮膜もしくは皮膜−空気界面のトポグラフィまたは位置)を、少なくとも1つのテンプレート(理論、実験、またはそれらの組み合わせから決定される)を用いて決定する。テンプレートは、対称的であっても良いし、テンプレート180の場合と同様に非対称であっても良い。テンプレートによって、複数の表面または界面からの不要な信号を含むことがある測定干渉信号の対応部分にマッチングするためのフィルタ・テンプレートを得ることができる。テンプレート・アプローチでは、測定物体の選択部分に起因する干渉に対応する測定干渉データ部分の位置を、走査位置に対して決めるために、マッチングまたはデータ相関アルゴリズムを用いることができる。干渉データの対応部分の、走査位置に対する場所は、測定物体の選択部分の空間的特性を示す。テンプレート・データは、1つまたは複数の基準物体、1つまたは複数の測定物体、またはそれらの組み合わせから得ても良い。
【0089】
いくつかの実施形態においては、干渉信号内の対象領域を決定するために、干渉信号をテンプレートに基づいて処理する。たとえば、テンプレートと干渉信号とを相互相関させて、干渉信号の対象領域に対応する走査位置を決定することができる。境界の一方の側の干渉信号部分にさらに処理を施すことが、たとえば周波数ドメイン分析(FDA)によって、または光路長寸法において可能である。これについては前述した通りである。
【0090】
いくつかの実施形態においては、干渉信号をテンプレートに基づいて処理して、特定の界面に対応する走査位置を決定する。特定の界面とは、たとえば基板−薄膜間の界面、または薄膜と物体を囲む環境との間の界面(たとえば薄膜−空気界面)である。このような界面を有する物体の例は、フォトレジスト・コーティングされたウェハである。いったん対象領域が特定されたら、干渉信号の一部にさらに分析(たとえばFDAまたは位相シフト)を施して、物体または物点の空間的特性(たとえば物体トポグラフィ、位置、または方位)を決定することができる。いくつかの実施形態においては、データの分析部分は、非対称であり、特定の界面に起因する干渉パターン部分のみを含む。空間的特性は、近くに界面が存在していても正確に決定することができる。このような界面はたとえば、1000nm以下、800nm以下、600nm以下、500nm以下、たとえば、400nm以下だけ分離している界面である。いくつかの実施形態においては、1つまたは複数の空間的特性は、200nm以上だけ分離している界面が存在していても正確に決定される。たとえば、薄膜−空気界面の1つまたは複数の点の高さおよび位置は、その下に基板−皮膜界面が存在していても、正確に決定することができる。いくつかの実施形態においては、2つの界面間の距離は、データを得るために使用される干渉計のコヒーレンス長のオーダであり、たとえば数ミクロン以下のオーダである。
【0091】
いくつかの実施形態においては、物体の空間的特性を決定するために、テンプレートを用いて干渉パターンを処理する。たとえば、テンプレートと干渉信号との間の相互相関を用いて、物体の高さもしくは位置および/またはその1つもしくは複数の点を決定することができる。
【0092】
いくつかの実施形態においては、テンプレートを、第1の物体(たとえば薄膜のない基準物体)から得る。テンプレートに基づいて、第2の物体(たとえば基板−皮膜および皮膜−空気の界面を有する測定物体)から得られる1つまたは複数の干渉信号を、処理する。いくつかの実施形態においては、物体から得られるテンプレートを用いて、同じ物体から得られる干渉信号を処理する。
【0093】
いくつかの実施形態においては、空間的特性は、測定物体のトポグラフィ(たとえば、基板を覆う層の高さ、位置、または厚み)に関係づけられる。空間的特性は、測定物体の一部の位置および/または方位、たとえば他の物体に対する測定物体の一部の位置、たとえばフォトリソグラフィ・ツールの基準部分に対する基板を覆う層の表面の位置に、関係づけられても良い。
【0094】
“物体からの干渉信号の取得”
図9を参照して、干渉信号を得るための典型的な測定システム50には、干渉計51と自動化されたコンピュータ制御システム52とが含まれる。測定システム50は、測定物体53の1つまたは複数の空間的特性を決定するように動作することができる。いくつかの実施形態においては、1つまたは複数の空間的特性は、物体53のトポグラフィおよび/または物体53の他の物体(たとえばシステム50の一部)に対する場所に関係する。いくつかの実施形態においては、その他の物体は、フォトリソグラフィ・システムの基準部分である。いずれにしても、システム50は、1つまたは複数の少なくとも部分的に横たわる層を含む物体(たとえばフォトレジストまたははんだの層と接触する基板)の1つまたは複数の空間的特性を決定するように、動作することができる。
【0095】
光源54は、スペクトル的に広帯域の光源(たとえば白色光ランプ)であっても良いし、複数の異なる波長(たとえば複数の発光ダイオードから生じる)を含んでいても良い。光源54は、拡散スクリーン55を照明する。広帯域光源に対する代替案または広帯域光源と組み合わせとして、光源54には、狭帯域または擬似単色の光源(通常は開口数が高い)を含むことができる。単色光源を高い開口数と組み合わせて用いることで、低コヒーレンス干渉信号を得ることができる、たとえばコヒーレンス長は、数ミクロン以下のオーダであっても良い。
【0096】
レンズ56から、平行ビームがビーム・スプリッティング素子57に伝えられる。ビーム・スプリッティング素子57によって、ビームの第1の部分がレンズ62および基準物体58に伝えられる。いくつかの実施形態においては、基準物体58は、光学的に平坦であるとともに、単一の反射表面のみを含んでいる。たとえば、基準物体58は基準ミラーとすることができる。いくつかの実施形態においては、基準物体58は、3次元の表面トポグラフィを示し、および/または光を反射する複数の離間に配置された層を含む。以下の説明では、基準物体58は、単一の反射面を含む基準ミラーであると、限定することなく仮定する。
【0097】
ビーム・スプリッティング素子57によって、ビームの第2の部分がレンズ60に送られる。レンズ60によって、ビームが測定物体53上にフォーカスされる。ビーム・スプリッティング素子57によって、基準ミラー58からの反射光と測定物体53からの反射光とが組み合わされる。組み合わされた光は、レンズ61に送られる。レンズ61によって、組み合わされた光が検出器59にフォーカスされる。測定物体53から反射された光とミラー58から反射された光とが、検出器59で干渉して、合成されたビーム強度を示す検出器信号が生成される。
【0098】
検出器59には通常、複数の検出器要素(たとえば画素)が含まれ、これらは少なくとも一次元、より一般的には二次元に配置されている。以下の説明では、検出器59には二次元配列の検出器要素(たとえば複数の画素を含むCCD)が含まれることを、限定することなく仮定する。図示した実施形態では、レンズ60およびレンズ61によって、測定物体53からの反射光が検出器59上にフォーカスされるため、検出器59の各検出器要素は、個々の点(たとえば測定物体53の小さい領域または場所)に対応する。さらに、レンズ62はレンズ61と協同して基準物体58を検出器59上に結像する。こうして、干渉パターンを検出器59において観察することが、拡張された(すなわち空間的にインコヒーレントな)照明の場合でも可能である。
【0099】
前述したように、測定物体53は、複数の反射面(たとえば1つまたは複数の少なくとも部分的に光透過性の層を含む基板)を含む可能性がある。最も外側の光透過性の層と周囲の大気(または真空)との間の界面によって、第1の反射面が規定される。層間の各界面または層と基板との間の各界面によって、さらなる反射面が規定される。このような実施形態においては、測定物体53からの反射光には、各反射面または界面から反射される寄与(たとえば別個のビーム)が含まれる可能性がある。各反射面または界面は一般的に、ビーム伝搬軸に沿って離間に配置されているため、別個のビームはそれぞれ、測定物体53からの反射光と組み合わされたときに、異なる干渉パターンを生成する。検出器59によって観察される干渉パターンには、測定物体から反射される各別個のビームが生成する干渉パターンの総和が含まれる。
【0100】
システム50は通常、基準物体58に送られて反射される光と測定物体53に送られて反射される光との間で光路長差(OPD)を形成するように構成される。いくつかの実施形態においては、測定物体53を移動または作動させることを、電気機械的なトランスデューサ63(たとえば圧電性のトランスデューサ(PZT))とコンピュータ52によって制御される付随の駆動エレクトロニクス64とによって行なうことで、干渉計51のOPDを変える方向に沿って正確な走査を行なうことができる。いくつかの実施形態においては、システム50は、基準物体58を移動させることによってOPDを変更するように構成されている。いくつかの実施形態においては、システム50は、少なくとも物体のトポグラフィの高さ変化と同程度の大きさの量だけ、OPDを変更するように構成されている。いくつかの実施形態においては、光路長を、少なくとも干渉計のコヒーレンス長と同程度の大きさの距離(たとえば数ミクロンのオーダ)だけ変化させる。
【0101】
システム50は、OPDの変更に伴って複数の検出器信号を収集することが、たとえば測定物体53の位置を走査することによって可能である。こうして収集された検出器信号は、干渉信号の配列としてデジタル・フォーマットで記憶することができる、検出器59の各画素から1つの干渉信号が収集され、各干渉信号は、測定物体53の異なる場所に対する強度の変化をOPDの関数として表わす。たとえば、検出器59に128x128個の配列が含まれ、走査中に64個の画像が記憶される場合、ほぼ16,000個の干渉信号が発生し、各64個のデータ点が長さ方向に存在する。広帯域光源54を用いる実施形態においては、干渉信号を、白色光走査干渉法(SWLI)干渉信号、より一般的には、低コヒーレンス長走査干渉信号と言う場合がある。
【0102】
データを収集した後で、コンピュータ52は、干渉信号を、たとえば方法100および110と、測定物体の表面トポグラフィを示す出力データとに従って、処理すること(67)ができる。次に、方法100、110およびデータ処理67の種々の態様について説明する。
【0103】
“干渉法テンプレートの作成”
図8を参照して、テンプレートを得るための方法110には、複数の典型的な基準干渉信号を得ること(112)が含まれる。これはたとえば、物体の複数の異なる点を結像することによってなされる。基準干渉信号は、理論的に生成すること、測定物体の代わりに基準物体を用いて得られる基準干渉信号から決定すること、測定物体自体を用いて得られる測定干渉信号から決定することが可能であり、またはこのような技術の組み合わせによって可能である。いずれにしても、複数の基準干渉信号を変換して(114)、変換された次元にし、複数の変換後干渉信号を作成する。これはたとえば、フーリエ変換によってなされる。ステップ116では、複数の変換後干渉法の組からの寄与を含む、1つまたは複数の代表的な変換後干渉信号が作成される。ステップ118では、変換されたテンプレートが作成される。変換後テンプレートは、干渉計からの寄与を維持しながら、物体のトポグラフィおよび位置からの寄与を制限または排除することができる。変換後テンプレートには、複数の基準干渉信号から得られる寄与を含むことができる。いくつかの実施形態においては、変換後テンプレート干渉データは、変換後干渉信号の平均から得られる。ステップ120では、変換後テンプレートを逆変換して(120)、テンプレートを作成する。テンプレートは非対称であり得る。
【0104】
テンプレートを得るための方法110について、測定物体の代わりに基準物体から得られる基準干渉信号(112)からテンプレートを作成する文脈において、限定することなく説明する。しかし方法110には、測定物体自体から収集される測定干渉信号からテンプレートを作成することが含まれていても良い。基準物体には通常、単一の反射面が含まれる。たとえば物体には、透明なコーティングまたは皮膜が無い可能性がある。いくつかの実施形態においては、基準物体は、弱い非線形性を有するSWLI干渉信号を生成する、たとえば、炭化ケイ素平坦面である。基準物体は、3次元のトポグラフィを有していても良く、その結果、基準物体の高さhsysは、物点が異なると変化する。物体は、複数の画素xを有する二次元検出器(たとえばシステム50の検出器59)を備える干渉法システムを用いて結像される。そのため、異なる物点から検出される光は、異なる検出器画素によって検出される。強度値が、異なる走査位置ζにおいて得られる。各位置は、異なるOPDに対応するため、複数の干渉信号(通常は各検出器画素に対して1つ)が得られる。説明を、このような構成を用いて得られるSWLIデータの典型的な説明から始める。しかし説明は、任意の低コヒーレンス干渉信号に適用できることを理解されたい。これは信号が、たとえば走査により測定光と基準光との間の光路長差を変えることによって得られたのか、または複数の光路長差に渡って測定光と基準光とを空間的に検出することによって得られたのかに、関係しない。変動OPDは一般的に、観察されるフリンジの振幅を変調するのには十分である。
【0105】
低コヒーレンス干渉信号は、場合によっては、包絡線によって変調される純粋な正弦曲線の搬送波を通して、記述することができる。変調された正弦曲線の搬送波の説明が適用できるのは、たとえば対称的な光源スペクトル、非分散オプティクス、および固体表面物体を含む場合である。しかし一般的に、実際の干渉法システムの場合には、これらの条件を満たしていない。したがって、以下の説明では一般化して、純粋な正弦曲線の搬送波からのずれを吸収するさらなる非線形OPD依存性の位相項を含むようにする。当然のことながら、方法110は、低コヒーレンス干渉信号の他の説明、たとえば前述の正弦曲線の搬送波モデルの点から実施することが可能である。
【0106】
単一の検出器画素xによって検出される低コヒーレンス干渉信号(たとえば基準干渉信号Isys(ζ、x))は、走査位置ζの関数として以下のように変化する。
【0107】
【数1】
ここで、DCsysは一定のバックグラウンドであり、ACsysは、公称角振動数K0で振動し、および包絡線msysと位相φsysとによって変調される干渉信号の振幅であり、hsys(x)は、画素xで結像される物点の高さである。信号包絡線msysは、光源の特性、検出器が検出する波長の範囲、および光学システムの開口数に関係づけられる。前述したように、包絡線msysおよび位相φsysは両方とも一般的に、走査位置とともにゆっくりと変化する。相対位置(たとえば高さ)が異なる物体場所から得られる干渉パターンは、包絡線関数および周波数内容が同様に成形されている傾向があるが、表面高さに関係づけられる量だけ走査位置軸に沿ってシフトしている。以下の説明では、テンプレートの決定について例示するが、物体の空間的特性からの寄与は限定されているかまったくないが、機器の寄与は維持される場合についてである。
【0108】
いくつかの実施形態においては、テンプレートを決定することには、基準干渉信号を異なる次元に変換すること(114)が含まれる。変換はたとえば、各基準干渉信号をフーリエ変換して、個々の変換後干渉信号qsys(K、x)を得ることによって行なう。ここでKの単位は、変換後の次元(たとえば、波数、走査位置の逆次元、又はデータ収集周波数)である。
【0109】
干渉信号のフーリエ変換は、以下の式に従って行なうことができる。
【0110】
【数2】
ここで、
【0111】
【数3】
であり、規格化積分は、以下のようになる。
【0112】
【数4】
ここで「^」を用いて、※ζ^※は式(2)および(3)における積分の自由変数であることを示す。基準干渉信号をフーリエ変換し、フーリエのシフト定理を適用することで、各画素xに対する変換後干渉信号を、以下のように表現することができる。
【0113】
【数5】
ここで、
【0114】
【数6】
であり、
【0115】
【数7】
である。
【0116】
変換後干渉信号のK<0の周波数成分は、スペクトルの正周波数成分の複素共役であり、Kが反転されている。
変換後干渉信号に、窓関数を施して、周波数ドメイン対象領域(ROI)(たとえばKmin〜Kmaxとして規定される窓)を選択しても良い。窓の選択は、ROI内のノイズに対して意味のある強度または振幅を有するGsys(K−K0)のDCが無い正周波数スペクトル成分が優勢になるようにまたはこれのみを含むように、行なっても良い。窓関数は、アポダイジング関数であっても良い。
【0117】
代表的な変換後干渉データを作成すること(118)には、複数の変換後干渉信号を組み合わせることを含むことができる。このような組み合わせはたとえば、重み付け(たとえばノイズに基づく重み付け)を伴うかまたは伴わない平均化によって行なう。いくつかの実施形態においては、作成すること(118)には、変換後干渉信号の大きさからの寄与を含む第1の変換後干渉信号と、変換後干渉信号の位相からの寄与を含む第2の変換後干渉信号とを作成することが、含まれる。たとえば、変換後干渉信号の大きさの組み合わせ(たとえば大きさのフィールド平均)を含む第1の変換後干渉信号は、以下のように決定することができる。
【0118】
【数8】
ここで、以下のようになる。
【0119】
【数9】
また、変換後干渉信号の位相の組み合わせ(たとえば位相のフィールド平均)は、以下のように決定することができる。
【0120】
【数10】
ここで、角度周波数の関数としての測定位相は、以下のようになる。
【0121】
【数11】
この場合、以下のようになる。
【0122】
【数12】
周波数ドメイン内の位相データφ’’’sysに対する3つのプライム符号は、位相情報内に複数の2π不確定性が存在することを示す。この不確定性は、(1)角度周波数K間におけるもの、(2)画素間におけるもの、(3)絶対的な基準に対する全体的なものである。式(10)におけるconnectK関数は、これらのプライム符号の1つを、各画素に対する角度周波数に渡って接続することによって取り除く。このような2π不確定性を取り除くための関数の例が、以下の文献で説明されている。米国特許出願第10/053,106号明細書(2001年11月2日出願)、発明の名称「高さ走査干渉法および位相ギャップ分析を含む装置」、ならびにギグリア(Ghiglia)ら、「2次元位相アンラッピング:理論、アルゴリズム、およびソフトウェア(TwoDimensionalPhaseUnwrapping:Theory,Algorithms,andSoftware)」、ジョン・ワイリ&ソンズ(JohnWiley&Sons)社、(ニューヨーク、1998年)。なお、これらの文献は本明細書において参照により取り入れられている。式(9)におけるフィールド平均によって、プライム符号がもう1つ取り去られて、たった一つのプライム符号のみが残る。これは、位相に対する全体的なオフセット値は未知であることを示す。
【0123】
変換後テンプレート※q〜sys※を、以下のようにして作成することができる(118)。
【0124】
【数13】
ここで、関数nonlinKによって、角度周波数Kに対して非線形である引数部分が返されるため、角度周波数Kに伴う位相の線形変化が取り除かれる。角度周波数に伴う位相の線形変化は、走査位置軸に沿っての干渉パターンの物体トポグラフィ関連のシフトに関係づけられる。周波数の線形変化を取り除くことによって、干渉パターンに対するある特定の機器関連の寄与を維持することができる。こうしてテンプレートは、物体に対する機器の応答に関係する。なお位相の線形変化は、干渉信号を組み合わせる前に取り除くことができることに、注意されたい。
【0125】
式(12)におけるチルダ「〜」は、変換後テンプレート※q〜sys※には正の非ゼロ周波数だけが含まれることを示す。非ゼロの周波数のみを含むことに対する代替案として、変換後テンプレートは他の周波数を含むこともできる。
【0126】
変換後テンプレート※q〜sys※を逆変換して、走査ドメインにおけるテンプレートを作成することができる。
【0127】
【数14】
逆フーリエ変換によれば、
【0128】
【数15】
【0129】
【数16】
ここで、便宜上、平均化されたスケーリング因子※ACsys※に、1の値を割り当てる。
【0130】
関数※I〜sys※の実部は、各走査位置において容易に分離できる包絡線および位相を有する。包絡線は以下の通りである。
【0131】
【数17】
一方、位相は以下のようになる。
【0132】
【数18】
この場合、以下のようになる。
【0133】
【数19】
テンプレートは、干渉信号と同じ単位を有していても良い。たとえば検出器強度対走査位置である。変換後テンプレートは、変換後干渉信号と同じ単位(たとえば強度または振幅対逆走査位置)を有していても良い。テンプレートは一般的に、物体(たとえば物体界面の点)に対する干渉計の応答を表わしても良い。たとえば、前述したように、テンプレートを決定することには、たとえば物体の場所および表面高さhsysに関係づけられる寄与を低減または取り除く一方で、機器に関係づけられる寄与(たとえば包絡線の形状および位相に関係づけられる寄与)を維持することを、含むことができる。また振動および一定のバックグラウンド信号ACsys、DCsysの振幅からの寄与を、低減または取り除いても良い。テンプレート※q〜sys※または※I〜sys※のいずれかを用いて、測定物体の空間的特性を決定することができる。これはテンプレートが、基準物体から収集されたのか、または他の方法で(たとえば測定物体自体から)収集されたのかに、関係しない。
【0134】
いくつかの実施形態においては、空間的特性の決定で用いるために、テンプレートの一部を選択することができる。たとえば、テンプレートの窓のある部分※I〜pat※を、窓関数を用いて選択することができる。
【0135】
【数20】
テンプレート窓は、以下によって与えられる。
【0136】
【数21】
典型的な窓の中心は、ゼロ走査位置ζ=0にあり、この場合、適切な窓は、以下のようであっても良い。
【0137】
【数22】
ここで、窓幅Δζは任意に決定しても良い。あるいは窓関数の端点を、包絡線の最大振幅に対して規定することができる。たとえば窓の幅は、最大振幅の10%に対応する走査位置まで延びていても良い。
【0138】
いくつかの実施形態においては、窓のあるテンプレートの中心はゼロ走査位置にはない。いくつかの実施形態においては、窓のあるテンプレートは、干渉データに対して非対称である。たとえば、窓のあるテンプレートは、テンプレートの一方の側では10%振幅に対応する走査位置まで延びる一方で、テンプレートの他方の側では、同じ相対的な振幅に対応する走査位置まで延びていなくても良い。たとえば、包絡線msysのピークの走査位置に対応するようにζstartを選択して、テンプレート・データが、記憶されたピークの一方の側の走査位置にのみ対応するようにすることができる。このような切断されたテンプレートを用いて、複数の近接した離間に配置された層が存在ある場合に(たとえば薄膜を有する基板)、表面または界面の対象領域または空間的特性を決定することができる。
【0139】
“テンプレートに基づいた対象領域または空間的特性の決定”
測定物体の対象領域または空間的特性を決定することには、干渉信号とテンプレートとを比較することを含むことができる。比較はたとえば、テンプレートに対応する(たとえばテンプレートと同様の形状特徴を有する)測定干渉信号部分の位置を決めることによって行なう。比較は、干渉信号とテンプレートとの間の相互相関から決定されるメリット関数として表現することができる。次に、干渉信号とテンプレートとを比較するための2つの方法について説明する。
【0140】
“テンプレートに基づいて空間的特性を決定する第1の方法”
以下の説明では、テンプレート※I〜pat※を用いて、測定物体の対象領域または空間的特性を決定することについて例示する。測定物体から、複数の測定干渉信号※I〜ex※が収集される。各干渉信号によって、画素xに対する検出器強度対走査位置信号が、以下のように記述される。
【0141】
【数23】
各干渉信号※I〜ex※のフーリエ変換を、以下のように得ることができる。
【0142】
【数24】
【0143】
【数25】
ここで、以下のようになる。
【0144】
【数26】
各フーリエ変換後測定干渉信号の正周波数部分から、部分スペクトルを得ることができる。
【0145】
【数27】
各部分スペクトルは、以下のように逆変換することができる。
【0146】
【数28】
【0147】
【数29】
画素xに対する各逆変換後部分スペクトル※I〜ex※の実部は、同じ画素に対する干渉信号Iexに対応する。さらに、スペクトル※I〜ex※の位相および包絡線は、単純な演算によって容易に分離できる、たとえば信号強度ACex(x)と包絡線mexとの積は、複素関数※I〜ex※の大きさから、以下のように決定することができる。
【0148】
【数30】
テンプレート干渉データの包絡線mpatの少なくとも一部は通常、形状特徴が、各スペクトル※I〜ex※の減衰を記述する包絡線mexと同様である。包絡線間の差は通常、各画素xに結像される物体場所の線形のオフセットhexとスケーリング因子ACex(x)とに、関係づけられる。さらに、実験的な位相オフセットおよび干渉パターン・テンプレート位相オフセットφex、φpatの間の差も、各画素xに結像される物体場所の高さに関係づけられる。通常、位相オフセットの差は、高さhexに直線的に比例する。したがって、包絡線mex、mpat間の差および/または位相オフセットφex、φpat間の差を用いて、測定物体の空間的特性を決定することができる。本方法には、包絡線mex、mpatの形状とφex、φpatとが最良にマッチングされる走査位置ζbestを特定することを、含んでも良い。比較の結果は、メリット関数によって記述することができる。いくつかの実施形態においては、メリット関数は、干渉信号とテンプレートとを相互相関させることによって決定される。相互相関は、複素相関または部分複素相関とすることができる。
【0149】
いくつかの実施形態においては、ζbestを特定することは、窓wによって規定される干渉データのサブセット内におけるテンプレートと干渉信号との相関から得られるメリット関数Πを用いて、特定される。
【0150】
【数31】
ここで、以下のようになる。
【0151】
【数32】
上式は複素相関関数である。および
【0152】
【数33】
【0153】
【数34】
上式は、メリット関数を信号強度とは無関係にする規格化である。規格化は、干渉信号の形状、たとえば窓w内の複素干渉信号の大きさの二乗の移動平均に、依存することができる。式(30)は、統計学で良く知られている「ピアソン(Pearson)のr」の二乗であり、やはり最小2乗法分析によって得ることができる。テンプレートの複素共役※I〜*pat※を用いることによって、同位相の線形位相項K0ζが打ち消され、φex、φpatがマッチングした場合のΠが最大になる。相関の絶対値||によって、わずかでも残った複素位相が取り除かれる。
【0154】
Π(ζ)が、誤った高い値を生成すること、または低い信号レベルで特異性に遭遇することを防ぐために、以下のように、最小値MinDenomを分母に加えることができる。
【0155】
【数35】
ここで、max( )関数によって、全走査長さζにおける信号強度|※I〜ex※|の最大値が返され、またMinDenomは、関連情報を得るために考慮される最小の相対信号強度である。たとえばMinDenomは、ノイズのレベルに依存して、最大信号の5%または他の値に設定することができる。また相関は、比較的ノイズの多いデータに対しては、相関の結果を決定する際の影響力が小さくなるようにデータを重み付けすることによって、行なっても良い。
【0156】
相関積分※I〜※は、相関定理を用いて周波数ドメイン内で行なうことができる。
【0157】
【数36】
ここで、以下のようになる。
【0158】
【数37】
および、以下のようになる。
【0159】
【数38】
メリット関数Πによって、最良マッチング位置ζbestが得られる。通常、最良マッチング位置はメリット関数のピークであり、ピークの相対振幅はマッチングの質の目安である。この値はゼロ〜1であり、1は完全なマッチングに対応する。最良マッチング位置の検索には、さらなる条件および制約を含めて、より確固としたものにすることができる。妥当な最良マッチング位置ζbestを、以下のような信号強度を有するように選択することができる。
【0160】
【数39】
ここで、MinModは、0〜100%の値である。典型的なMinModは、滑らかな表面に対しては10%で、粗い表面に対してはもっと低いのが通常である。また最良マッチング位置におけるメリット関数の値は、誤った結果を減らすために、選択された最小のMinMeritを超える必要があるとすることができる。
【0161】
【数40】
ここで、MinMeritの値は0〜1であり、典型的な値は約0.3である。
【0162】
測定物体に、近接して離間に配置された界面または表面が無い場合には、メリット関数のΠが最大になる走査位置ζを検索することができる。測定物体に、近接して離間に配置された界面または表面がある場合には、MinModおよびMinMeritの条件を両方とも満たす走査位置が複数ある場合がある。走査位置は、たとえば検索アルゴリズムを用いて特定することができる。検索アルゴリズムとしては、一方の端(たとえばζ座標走査の上端)から始まりMinMerit条件を満たす第1のピークを見出すものである。アルゴリズムではさらに、MinRelModおよびMinRelMerit条件を設定する。これらの条件では、より小さいピークの信号が相対的に、なんらかのパーセンテージ値に基づいて、最も高いピークに匹敵することが要求される。
【0163】
代替的または相補的な検索ルーチンには、メリット関数のΠがある特定の閾値(たとえこれがピークでなかったとしても)を超える第1の走査位置を検索することが、含まれる。このアプローチを、近接して離間に配置された表面または界面を有する測定物体に起因するデータを分析するために用いても良い。このような表面または界面では、たとえば、その下に基板が存在するために、皮膜−空気界面に起因するピークが分かりにくい。
【0164】
Πの検索方法には、たとえば表面高さの位置を決めるためにメリット関数の微分を求めることを含むことができる。
最良マッチング位置ζbestは通常、包絡線mex、mpatが重なる走査位置に関係づけられる。したがって、相互相関からの最良マッチング位置によって、通常の分解能またはCT−Norm高さ測定値を得ることができる。
【0165】
【数41】
ここで下付きのΘは、高さ測定値hΘ(真の高さhではない)が、コヒーレンス・アプローチまたはフリンジ−コントラスト分析に基づくものであることを示す。
【0166】
周波数ドメイン分析の場合と同様に、通常の分解能高さプロファイルhΘには、フリンジ・オーダの不確定性は無いが、ある特定のノイズ・レベルが存在する場合がある。周波数ドメイン分析については、米国特許第5,398,113号明細書に説明されている。なお、この文献は本明細書において参照により取り入れられている。ノイズ・レベルは、干渉パターン内のその下の搬送波フリンジを用いることによって低減しても良い。
【0167】
相関テンプレート分析では、以下の相関関数の引数
【0168】
【数42】
は、差φex−φpatに等しい相対位相値を有する。相対位相φ”によって、テンプレート・マッチングに関する微細スケール情報が得られる。式(41)におけるダブル・プライムは、φ”に対してフリンジ・オーダの二重の不確定性が残っていることを示す。両方は、走査位置ζに渡って接続した後の、画像内の画素間のものおよびデータに対する全体的なものである。相対位相φ”は、走査位置とともにほぼ線形速度K0で進む。ピークの相関位置ζbestにおける相対位相φ”は、干渉パターン・テンプレートの包絡線部分に対する位相ギャップである。
【0169】
【数43】
この結果、より高分解能の位相プロファイルが得られる。
【0170】
【数44】
ここでΘは、公称上の角度周波数K0における位相の単位でのコヒーレンス・プロファイルである。
【0171】
【数45】
式(44)におけるコヒーレンス・プロファイルΘ(x)は、数学的な解析に合致する公称上の角度周波数K0を用いて決定することができる。K0が不正確の場合は通常、補間誤差が生じる。いくつかの実施形態においては、以下のように、テンプレートをそれ自体と自己相関させる。
【0172】
【数46】
その結果、自己相関位相を、走査位置ζの関数として検索することができる。
【0173】
【数47】
走査位置間の増分ζstepを知ることによって、公称角振動数K0が、以下のように与えられる。
【0174】
【数48】
公称振動数K0を用いて、フリンジ・オーダの不確定性を取り除くことが、フィールド接続された近似的な位相ギャップα’を用いて可能になる。この位相ギャップα’は、以下の式に従う。
【0175】
【数49】
ここで、Round関数は、その引数に最も近い整数を返す。位相ギャップα’は、たとえば正弦−余弦平均化技術を用いて決定することができる。位相ギャップを決定するための典型的な技術については、以下の文献に説明されている。米国特許出願第10/053,106号明細書、発明の名称「位相ギャップ分析を含む高さ走査干渉法および装置」(2001年11月2日出願)、米国特許出願第10/429,175号明細書、発明の名称「走査干渉法のための位相ギャップ分析」(2003年5月2日出願)、「白色光干渉顕微鏡法におけるフリンジ・オーダの決定」アプライド・オプティクス(Appl.Opt.)41(22)4571(2002)。なおこれらの文献は、本明細書において参照により取り入れられている。位相ギャップが決定されたら、測定物体の高さを、コヒーレンス・プロファイルおよび公称上の周波数K0を用いて、以下のように決定することができる。
【0176】
【数50】
“テンプレートに基づいて空間的特性を決定する第2の方法”
空間的特性を決定するための前述の方法には、干渉信号を、光路長差の次元から逆次元(たとえば逆走査次元)に変換することが含まれている。いくつかの実施形態においては、干渉信号を、たとえば逆次元へ変換することなく、走査次元において処理する。この処理には、干渉信号とテンプレートとを、走査次元において相互相関させることを含めることができる。たとえば処理には、各干渉信号とテンプレートとに、部分複素相関を以下のように施すことを、含むことができる。
【0177】
【数51】
テンプレートの特性は、干渉信号とテンプレートとの間の最良マッチング位置に対する部分複素相関の感度が高まるように、選択することができる。干渉信号を以下のように書くと、
【0178】
【数52】
部分複素相関を、以下のように、2つの部分の合計として表現することができる。
【0179】
【数53】
ここで、望ましくないerr項は以下のように与えられる。
【0180】
【数54】
テンプレート※I〜pat※の特性は、errを小さくする(たとえば項をゼロの方に持っていく)ように選択することができる。その結果、相関の結果が、式(53)の左側の第1項によって決定される。たとえば、このようなテンプレート※I〜pat※のフーリエ変換※q〜pat※は、干渉信号の期待される周波数の正周波数近傍の外側における値が、低いかまたは無視できても良い。いくつかの実施形態においては、テンプレート※I〜*pat※の複素部分の平均値またはDC値はゼロであり、※I〜*pat※と(数学的仮定の)※I〜*ex※との相関もゼロである。たとえば、テンプレート※I〜pat※は、負周波数成分がゼロとすることができる。
【0181】
前述したように作成された変換後テンプレートにアポダイジング窓関数を施すことによって、範囲Kmin…Kmaxにおける強い、DCが無い正周波数スペクトル成分から本質的になるテンプレート※I〜pat※を作成することができる。いくつかの実施形態においては、アポダイジング窓関数には、周波数ドメインにおいてもっと鋭いカット・オフを有する窓の代わりに二乗余弦またはフォン・ハン(von−Hann)窓が、含まれる。
【0182】
【数55】
アポダイズド窓関数によって、※I〜sys※を生成するときのリンギングが減り、限定された走査長において干渉パターンに関する重要な情報をすべて含むことが容易になる。なおアポダイゼイションに適応するために、全体の周波数ドメイン範囲ΔKは、正方形または長方形の窓関数より大きく(たとえば周波数ドメインにおいて2倍広く)ても良い。
【0183】
正方形または長方形の窓と比較して鮮明さが低い走査ドメイン窓関数wも、以下のように用いることができる。
【0184】
【数56】
干渉パターン・テンプレートは、以下のように、テンプレートと走査ドメイン窓関数との積によって与えられる。
【0185】
【数57】
ここで※I〜sys※には、複数の干渉信号からの寄与が含まれる。wを量Δζ/4だけ右へシフトさせることによって、非対称の窓を作成することができる。しかし通常は、窓はζ=0の位置の辺りに設定される。
【0186】
非ゼロ値のみを維持し、開始オフセットζoffsを示すことによって、最終的なイン・ラインのパターン・テンプレート※I〜pat.inl※を作成することができる。関数※I〜pat.inl※は、別個の部分複素相関における核として用いる。
【0187】
【数58】
ここで、任意的なオフセットζoffsは、ゼロ位置を維持するので、フーリエ変換実施のオフセットと一致する。
【0188】
たたみこみ核※I〜pat.inl※に対するフレームまたはバケットの数は、機器のコヒーレンス長、走査レート(nm/フレーム)、パターン閾値パラメータに依存して、変化する。たとえば、パターン閾値が20%に設定された状態では、窓wに対するΔζの範囲は、システム特徴付け信号包絡線の幅から、最大値の両側における20%のレベルまでである。100nmバンド幅、560nm中心波長、および80nm/フレームの走査レートの場合、核※I〜pat.inl※の範囲は、ほぼ23バケットである。パターン閾値を40%まで増加させると、※I〜pat.inl※は17バケットまで減少する。
【0189】
メリット関数は、以下のようにして決定することができる。
【0190】
【数59】
ここで、※〜I※は、式(57)によって規定されるイン・ラインの部分複素相関である。規格化は、選択された任意の単一強度(たとえば飽和のすぐ下の信号)から、決定することができる。たとえばこのような信号は、以下のように、検出器におけるデジタル・グレー・レベルの半分であっても良い。
【0191】
【数60】
たとえパターン・マッチングの質は変化しなくても、メリット関数は干渉信号強度とともに振動する。いくつかの実施形態においては、メリット関数を決定することは、干渉信号Iexを段階的に進むPSIアルゴリズム(共役核※I〜*pat.inl※によって規定される)を適用する場合と同様に作用する。これは、式(57)の部分複素相関を、離散的なデータの形で書き換えることによって、例示することができる。
【0192】
【数61】
アルゴリズム係数は以下のように規定される。
【0193】
【数62】
【0194】
【数63】
したがって、以下のようになる。
【0195】
【数64】
および、以下のようになる。
【0196】
【数65】
部分複素相関に基づくメリット関数を検索して、対象領域(たとえば物体の界面)に対応する場所を特定することができる。たとえば、物体の外面に対応する走査位置を決定する場合には、メリット関数の右側から第1のピークを検索することができる(右側の走査位置は、物体から距離が増加する方向に対応すると仮定する)。皮膜の外面に対応する走査位置を決定する場合には、少なくとも2つのメリット・ピークが存在すると仮定して、メリット関数の右側から第1のピークを検索することができる。メリット関数の最も強い2つのピークに対応する走査位置から、膜厚を決定することができる。
【0197】
いくつかの実施形態においては、メリット関数は、規格化された信号強度の二乗に近い。したがって、メリット関数の平方根のピークを検索することができる。
【0198】
【数66】
メリット関数を、MinMod2未満の値をすべてゼロに設定して、簡単にすることができる。次に、簡単にしたメリット関数のピークを検索する。いったんピークの位置が決まったら、本来のΠinlineメリット関数を用いて、隣接する離散的な走査位置間を補間することによって、より正確な情報を得ることができる。
【0199】
メリット関数Πは、窓w内において実験的な信号が干渉パターン・テンプレート※I〜pat※にどのくらい良好にマッチングするかを評価するという点で、単純な信号強度または包絡線計算とは異なっている。この理由により、信号大きさに対する規格化が必要となる。
【0200】
“処理およびプロセッサ・コード”
前述したコンピュータ解析方法はいずれも、ハードウェアで実施することも、ソフトウェアで実施することも、または両方の組み合わせで実施することもできる。本方法は、本明細書で説明した方法および図に従う標準的なプログラミング技術を用いて、コンピュータ・プログラムで実施することができる。本明細書で説明した関数を実施して、出力情報を生成するために、プログラム・コードを入力データに適用する。出力情報を、1つまたは複数の出力装置たとえばディスプレイ・モニタに加える。各プログラムを、高いレベルの手続き型またはオブジェクト指向のプログラミング言語で実施して、コンピュータ・システムと通信しても良い。しかしプログラムは、必要に応じて、アセンブリまたは機械語で実施することができる。どの場合でも、言語は、コンパイル済みまたはインタープリット済みの言語とすることができる。さらに、プログラムは、その目的のために事前にプログラムされた専用の集積回路上で実行することができる。
【0201】
このようなコンピュータ・プログラムはそれぞれ、好ましくは、多目的または特殊目的のプログラム可能なコンピュータによって読取可能な記憶媒体または装置(たとえばROMまたは磁気的ディスケット)上に記憶され、本明細書で説明した手順を行なうためにコンピュータが記憶媒体または装置を読み込んだときに、コンピュータを構成および操作する。またコンピュータ・プログラムは、プログラム実行中にキャッシュまたはメイン・メモリ内に存在することもできる。また本分析方法は、コンピュータ・プログラムによって構成されるコンピュータ−読取可能な記憶媒体として実施することもできる。そのように構成された記憶媒体によって、コンピュータが、本明細書で説明した関数を行なうために特定および所定の仕方で動作する。
【0202】
“典型的な応用例”
前述した低コヒーレンス干渉法およびシステムは、以下の表面分析問題のいずれに対して用いても良い。単純な薄膜;多層薄膜;回折するかそうでなければ複雑な干渉効果を生じる鋭いエッジおよび表面特徴;未分析の表面荒さ;未分析の表面特徴、たとえばその他の場合には滑らかな表面上のサブ波長幅の溝;異種材料;表面の偏光依存性の特性;および、干渉現象の入射角度依存性の摂動を招く表面または変形可能な表面特徴の偏向、振動、または移動。薄膜の場合、対象となる可変パラメータは、膜厚、皮膜の屈折率、基板の屈折率、またはそれらの何らかの組み合わせであっても良い。次に、このような特徴を示す物体および装置を含む典型的な応用例について、説明する。
【0203】
“フォトリソグラフィ”
多くのマイクロエレクトロニクス応用において、基板(たとえばシリコン・ウェハ)を覆うフォトレジスト層をパターニングするために、フォトリソグラフィが用いられている。図1Oaおよび1Obを参照して、物体30には、基板(たとえばウェハ32)と、横たわる層たとえばフォトレジスト層34とが含まれている。物体30には、屈折率の異なる種材料間に生じる複数の界面が含まれている。たとえば物体を囲む界面38は、フォトレジスト層34の外面39が、物体30を囲む環境(たとえば液体、空気、他のガス、または真空)と接触する場所であると規定される。基板−層の界面36は、ウェハ32の表面35とフォトレジスト層34の底面37との間に規定される。ウェハの表面35には、複数のパターニングされた特徴29が含まれていても良い。これらの特徴のいくつかは、基板の隣接部分と、高さが同じであるが屈折率が異なっている。基板の隣接部分に対して上方または下方に、他の特徴が延びていても良い。したがって界面36は、フォトレジストの外面の下に存在する複雑な変化するトポグラフィを示しても良い。
【0204】
物体上に、フォトリソグラフィ装置によってパターンが結像される。たとえばパターンは、電子回路の素子(または回路の陰画)に対応していても良い。結像した後に、フォトレジストの一部を取り除いて、取り除かれたフォトレジストの下の基板を露出する。露出された基板を、エッチングし、堆積材料で覆い、その他の場合には改質することができる。残りのフォトレジストによって、基板の他の部分が、このような改質から保護される。
【0205】
生産効率を増加させるために、単一のウェハから複数のデバイスが作製されることもある。デバイスは、同じであっても良いし異なっていても良い。各デバイスは、ウェハのサブセットにパターンを結像する必要がある。場合によっては、パターンは、異なるサブセット上に順次に結像される。いくつかの理由から、順次的な結像を行なうことができる。光学的な収差があると、ウェハの広い領域に渡って適切なパターン・フォーカス品質を実現することが、妨げられるおそれがある。光学的な収差がない場合であっても、ウェハおよびフォトレジストの空間的特性のために、やはりウェハの広い領域に渡って適切なパターン・フォーカスを実現することが妨げられる場合がある。次に、ウェハ/レジストの空間的特性とフォーカス品質との間の関係の態様について、説明する。
【0206】
再び図10bを参照して、物体30が、個数Nのサブセットの40iによって示されている。各サブセットは、結像すべき物体の全領域41よりも小さい。各サブセット40i内では、空間的特性の変化(たとえば、ウェハまたはフォトレジストの高さおよび傾斜の変化)は通常、全領域41に渡って調べる場合よりも小さい。それにもかかわらず、異なるサブセット40iのウェハまたはフォトレジストは通常、高さおよび傾斜が異なる。たとえば、層34は厚みΔt1およびΔt2を示しており、これらによって表面39の高さおよび傾斜が変わる(図10a)。このように、物体の各サブセットは、フォトリソグラフィ結像装置との空間的な関係が異なっている場合がある。フォーカスの品質は、空間的な関係(たとえば、物体とフォトリソグラフィ結像装置との間の距離)に関係づけられる。物体の異なるサブセットを適切にフォーカスするためには、物体と結像装置との相対的な再位置合わせを必要とする場合がある。物体の高さおよび傾斜が変化するため、適切なサブセットのフォーカスは、結像されるサブセットから遠い物体部分(たとえば物体の側面43)に対して物体の位置および方位を決定するだけでは、実現できない。
【0207】
結像すべき(さもなくば処理すべき)物体のサブセットにおける物体の空間的特性を決定することによって、適切なフォーカスを実現することができる。いったんサブセットの位置が決定されたら、物体(および/またはフォトリソグラフィ結像装置の一部)を移動、たとえば平行移動、回転、および/または傾斜させて、サブセットの位置を基準(たとえばフォトリソグラフィ結像装置の一部)に対して、変更することができる。決定および移動(必要ならば)は、各サブセットを結像するために繰り返すことができる。
【0208】
サブセットの空間的特性の決定には、物体の薄い層の外面の1つまたは複数の点の位置および/または高さを決定することを含むことができる。1つまたは複数の点は、結像すべき物体のサブセット内に位置している。たとえばサブセット402(図1a)の外面39の位置および方位は、サブセット内の点421〜423の位置に基づいて、決定することができる。結像すべきサブセットの空間的特性の決定には、干渉計を用いてサブセットに光を用いて照明すること、および照明されたサブセットからの反射光を含む干渉信号を検出することを、含むことができる。いくつかの実施形態においては、複数のサブセットを、光を用いて同時に結像して、複数の干渉信号を得る。各干渉信号は、サブセットの1つまたは複数の空間的特性を示す。こうして、干渉信号を用いて、複数のサブセットに渡って物体のトポグラフィを示す画像を作成することができる。サブセットのフォトリソグラフィの間、複数の干渉信号から決定される個々のサブセットのトポグラフィに基づいて、ウェハを位置合わせする。したがって各サブセットを、フォトリソグラフィ装置に対して最適なフォーカスが得られるように位置合わせすることができる。
【0209】
結像すべき物体の各サブセットからの干渉信号を検出することには、サブセットからの反射光および基準光の検出を、少なくとも検出光のコヒーレンス長と同程度に長いOPD範囲に渡って行なうことを、含むことができる。たとえば、光を少なくともそのコヒーレンス長に渡って検出しても良い。いくつかの実施形態においては、干渉計を、照明されたサブセットからの反射光が、外側界面(たとえば外面39)または内側界面(たとえば界面36)のいずれかからの反射光が優勢になるように、構成する。いくつかの実施形態においては、物体の空間的特性を、干渉信号の一部のみに基づいて決定する。たとえば干渉信号に、2つ以上の重なり合う干渉パターンが含まれる場合には、1つの干渉パターンの、物体の単一界面からの寄与が優勢である部分に基づいて、物体の空間的特性を決定することができる。
【0210】
“銅相互接続構造および化学的機械的研磨”
チップの異なるパーツ間の電気的相互接続を作製するために、いわゆる「デュアル・ダマシン銅」プロセスを用いることは、チップ製造業者の間では一般的になりつつある。これは、好適な表面トポグラフィ・システムを用いると効果的に特徴付けることができるプロセスの例である。デュアル・ダマシン・プロセスには6つの部分があると考えることができる。(1)中間層誘電体(ILD)の堆積。誘電体材料(たとえばポリマー、またはガラス)の層を、ウェハ(複数の別個のチップを含む)の表面上に堆積する;(2)化学的機械的研磨(CMP)。誘電体層を研磨して、精密な光リソグラフィに好適な滑らかな表面を形成する;(3)リソグラフィ・パターニングおよび反応性イオン・エッチング・ステップの組み合わせ。ウェハ表面に平行に進む狭いトレンチと、トレンチの底部から下部の(以前に規定された)電気伝導層まで進む小さいビアとを含む複雑なネットワークを形成する;(4)金属堆積ステップの組み合わせ。銅トレンチおよびビアの堆積を実現する;(5)誘電体堆積ステップ。誘電体を銅トレンチおよびビア上に設ける;および(6)最終的なCMPステップ。過剰な銅を取り除いて、誘電体材料によって囲まれる銅充填されたトレンチ(あるいはビア)のネットワークを残す。
【0211】
図11aを参照して、デバイス500は、基板501上に堆積された銅特徴502上への誘電体504の堆積によって形成される皮膜構造の典型である。誘電体504は不均一な外面506を有しており、この外面は、誘電体に沿っての高さ変化を示す。デバイス500から得られる干渉信号には、表面506、銅特徴502と誘電体504との間の界面508、基板501と誘電体504との間の界面510に起因する干渉パターンが含まれる可能性がある。デバイス500は、同様に干渉パターンを生成する複数の他の特徴を含んでいても良い。
【0212】
図11bを参照して、装置500’は、最終的なCMPステップ後の装置500の状態を例示している。上部の表面506は平坦化されて表面506’になっており、界面508は周囲に対して露出していても良い。基板表面における界面510は、損なわれないままとなっている。装置の性能および均一性は、表面504の平坦化をモニタすることに大きく左右される。次のことを理解しておくことは重要である。すなわち研磨レート、したがって研磨後の残りの銅(および誘電体)の厚みは、研磨条件(たとえばパッド圧力および研磨スラリ組成)だけでなく、銅および周囲の誘電体領域の局所的な詳細配置(すなわち、方位、近傍、形状)に、強くおよび複雑な仕方で依存する。したがって、銅元素502上の表面506の部分は、表面506の他の部分とは異なるレートでエッチングされる場合がある。さらに、いったん銅元素502の界面508が露出すると、誘電体および銅元素は、異なるエッチ・レートを示す場合がある。
【0213】
この「位置依存性の研磨レート」があるために、可変の表面トポグラフィが、横方向の多くの長さスケールで形成されることが知られている。たとえば、このことの意味は、ウェハのエッジ近くに位置するチップは総計すると、中心近くに位置するチップよりも速く研磨されるため、形成される銅領域は、エッジ付近では所望よりも薄く、中心では所望よりも厚いということである場合がある。これは、「ウェハ・スケール」のプロセス不均一性(すなわち、ウェハ直径に匹敵する長さスケールで起こるもの)の例である。また銅トレンチの密度が高い領域は、銅線密度の低い近くの領域よりも、研磨レートが高くなることも知られている。この結果、銅密度の高い領域において「CMP誘導腐食」として知られる現象が生じる。これは、「チップ・スケール」のプロセス不均一性−すなわち単一チップの寸法にほぼ比例する(はるかに小さいこともある)長さスケールで起こるもの−の例である。銅充填された単一のトレンチ領域(周囲の誘電体材料よりも高いレートで研磨される傾向がある)内では、他のタイプのチップ・スケールの不均一性(「デッシング」として知られる)が発生する。トレンチの幅が数ミクロンよりも大きくなると、デッシングが厳しくなり、その結果、影響の及んだ線が後に過大な電気抵抗を示して、チップ故障に至る場合がある。
【0214】
CMPによって誘発されるウェハおよびチップ・スケールのプロセス不均一性は、予測が本来的に難しく、CMP処理システム内の状態が進むにつれて経時的な変化を受ける。効果的にモニタを行なって、どの不均一性も確実に許容範囲内に留まるようにプロセス条件を適切に調整するためには、プロセス・エンジニアが、非接触の表面トポグラフィ測定を、チップ上で多数かつ幅広い場所において頻繁に行なうことが重要である。これは、前述した干渉法およびシステムの実施形態を用いれば可能である。
【0215】
いくつかの実施形態においては、1つまたは複数の空間的特性(たとえば表面506のトポグラフィおよび/または誘電体504の厚み)のモニタを、CMP前および/またはCMP中に構造から低コヒーレンス干渉信号を得ることによって、行なう。空間的特性に基づいて、研磨条件を変化させて、所望の平坦な表面506’を実現することができる。たとえば、パッド圧力、パッド圧力分布、研磨剤特性、溶媒組成および流量、ならびに他の条件を、空間的特性に基づいて決定することができる。必要に応じて、ある程度の研磨時間の後、空間的特性を再び決定して研磨条件を変えることができる。またトポグラフィおよび/または厚みは、たとえば表面504’が実現される終点を示す。こうして、低コヒーレンス干渉信号を用いて、物体の異なる領域を過剰研磨することによって凹部が発生することを、避けることができる。この点で、低コヒーレンス干渉方法およびシステムには優位性がある。なぜならば、装置の空間的特性、たとえば(a)銅元素502上の誘電体の表面と(b)基板表面510上であるが銅元素502に隣接する誘電体の表面との相対高的なさを、複数の界面が存在していても決定できるからである。
【0216】
“はんだバンプ処理”
図12aおよび12bを参照して、構造550は、はんだバンプ処理の間に生成される構造の典型である。構造550には、基板551、はんだに対して非湿潤性の領域502、はんだに対して湿潤性の領域503が含まれている。領域502は外面507を有する。領域503は外面509を有する。したがって、領域502と基板501との間に界面505が形成される。
【0217】
処理中に、はんだ504の塊を、湿潤性の領域503と接触するように位置合わせする。はんだを流すとすぐに、はんだは、湿潤性の領域503と確実な接触を形成する。隣接する非湿潤性の領域502は、流したはんだが構造の周囲で望ましくないマイグレーションを起こさないようにするためのダムのように作用する。構造の空間的特性、たとえば表面507、509の相対的な高さと表面502に対するはんだ504の寸法とを、知っていることが望ましい。本明細書の他の説明から判断できるように、構造550には、それぞれ干渉パターンを生じ得る複数の界面が含まれている。干渉パターン間で重なり合いが起こると、既知の干渉技術を用いて空間的特性を正確に決定することはできない。本明細書で説明したシステムおよび方法を用いれば、空間的特性を決定することができる。
【0218】
構造550から決定される空間的特性を用いて、製造条件、たとえば層502、503に対する堆積時間と領域503の面積当たりに用いるはんだ504の量とを、変えることができる。さらに、はんだを流すために用いる加熱条件を、空間的特性に基づいて変えて、適切なフローを実現しおよびまたははんだのマイグレーションを防ぐこともできる。
【0219】
“液晶ディスプレイ”
図13を参照して、パッシブ・マトリックスLCD450が複数の層から構成されている。主なパーツは、シール454によって接続される2つのガラス・プレート452、453である。入射光を単一方向に偏光するために、正面ガラス・プレート453に偏光子456を貼り付ける。偏光光は、正面ガラス・プレート453を通る。インジウム・スズ酸化物(ITO)層458を、電極として用いる。SiOxに基づくパッシベーション層460(ハード・コート層と呼ばれることもある)を、ITO458上にコーティングして、表面を電気的に絶縁する。液晶流体464をアライメントするために、パッシベーション層460上にポリイミド462をプリントする。液晶流体は、電界に敏感であり、電界が加えられると方位を変える。また液晶は、光学的に活性であり、入射光の偏光方向を回転させる。セル・ギャップΔg、すなわち液晶層464の厚みは、スペーサ466によって決定される。スペーサ466は、2つのガラス・プレート452、453を、固定された間隔に保つ。前面プレート453から背面プレート452に向かう電位が存在しない場合、偏光光は、液晶層464を通る際に90°だけ回転される。一方のプレートから他方のプレートに対して電位を加えた場合、光は回転しない。光は、液晶層464を通った後に、もう一つのポリイミド層468、もう一つのハード・コート層470、背面のITO電極472、および背面のガラス・プレート452を通る。光は、背面の偏光子474に達すると、90°だけ回転しているか否かに依存して、透過するかまたは吸収される。セル450は、カラー・ディスプレイを実現するために、フィルタ476または他のカラー化要素を含んでいても良い。
【0220】
セル・ギャップΔgによって、LCDの光電気特性(たとえば、コントラスト比および明るさ)が、かなりの程度まで決定される。均一な高品質ディスプレイを得るためには、製造中のセル・ギャップ制御が重要である。実際のセル・ギャップは、スペーサ466の寸法とは異なっている場合がある。なぜならば、アセンブリの間に、圧力または真空を加えて液晶媒体を導入し、封止剤454が硬化するために、寸法が変化することがあるからであり、および加えられた液晶媒体によってプレート452、453間に毛管力が生成されるからである。液晶媒体464を加える前および後の両方において、プレート452、453の表面480、482によって光が反射されて、セル・ギャップΔgを示す干渉パターンが生じる。干渉信号の低コヒーレンス性質を、それ自体で、または説明した干渉信号処理技術と組み合わせて用いることで、製造中にセル・ギャップΔgなどのセル特性をモニタすることができる。これは、セルの他の層が形成する界面があっても可能である。
【0221】
典型的な方法としては、セル・ギャップΔgを示す干渉パターンを含む低コヒーレンス干渉信号を、層464を加える前に得ることを挙げることができる。セル・ギャップ(またはセルの他の空間的特性)を、干渉パターンから決定して、特定の値と比較することができる。特定の値と決定されたセル・ギャップとの差が許容誤差を超えている場合、製造条件(たとえばプレート452、453に加える圧力または真空)を変えて、セル・ギャップΔgを変更することができる。このプロセスは、所望のセル・ギャップが実現されるまで繰り返すことができる。そして液晶媒体をセル内に導入する。加えるべき液晶媒体の量は、測定されたセルの空間的特性から決定することができる。こうすることによって、セルの過剰充填または充填不足を回避することができる。また充填プロセスを、表面480、482からの干渉信号を観察することによって、モニタすることができる。いったんセルが充填されたら、セル・ギャップΔg(または他の空間的特性)をモニタするために、さらに低コヒーレンス干渉パターンを得る。再び製造条件を変えて、セル・ギャップを維持するかまたは許容誤差内に入れるようにすることができる。
【0222】
レーザ・スクライビングおよび切断
同時に製造された異なる構造(たとえばマイクロエレクトロニクス構造)を分離するために、レーザを用いて物体にスクライブすることができる。分離の品質は、スクライビング条件、たとえば、レーザ・フォーカス・サイズ、レーザ・パワー、物体の平行移動速度、およびスクライビング深さに、関係づけられる。構造の特徴の密度が大きい場合があるため、スクライブ・ラインは、構造の隣接する薄膜または層の場合がある。薄膜または層に付随する界面によって、干渉法を用いてスクライビング深さを決定するときに生じる干渉パターンが形成される場合がある。このような隣接する皮膜または層があっても、本明細書で説明した方法およびシステムを用いてスクライビング深さを決定することができる。
【0223】
典型的な方法としては、1つまたは複数の電子構造をスクライブすること、およびスクライブ・ラインに沿って構造を分離することを、挙げることができる。分離の前および/または後に、低コヒーレンス干渉信号を用いてスクライビングの深さを決定することができる。他のスクライビング条件が知られている。たとえば、レーザ・スポット・サイズ、レーザ・パワー、平行移動速度である。スクライビング深さは、干渉信号から決定することができる。スクライビング条件(スクライビング深さなど)の関数としての分離品質は、分離された構造を評価することによって決定することができる。このような決定に基づいて、所望の分離品質を実現するのに必要なスクライビング条件を決定することができる。製造が継続される間、スクライブされた領域から低コヒーレンス干渉信号を得て、プロセスをモニタすることができる。スクライビング条件を変えて、スクライビング特性を維持するかまたは許容誤差内に入れるようにすることができる。
【実施例】
【0224】
以下の非限定の例の文脈において、測定物体の空間的特性を決定することについて、さらに説明する。
“1.単一表面の測定物体の空間的特性の決定”
再び図1を参照して、干渉信号150は、物体表面を横切る直線状の軌跡を示す合計101個の干渉信号の1つでしかない。便宜上、残りの100個の干渉信号は図示しない。二酸化ケイ素物体表面は、ほぼ球面のプロファイルであり、PV=600nmである。照射波長は550nmで、バンド幅は100nmである。バンド幅は、波数においてガウシアンである。開口数は、垂直入射の平行光に対して0.01である。各干渉信号は、256個のグレー・スケール・ステップのフル・スケール・デジタル分解能を有する。平均の信号強度は、65個のグレー・レベルDCとその上の20個のグレー・レベル振幅ACである。信号は、2つのグレー・レベルの標準偏差を有するランダム・ノイズを有する。
【0225】
101個の干渉信号を、フーリエ変換を用いて逆領域に変換する。図14aを参照して、干渉信号200のフーリエ変換205の大きさは、ピークがミクロン当たり約3.7周期のPLDに位置する。変換後干渉信号を用いて、変換されたすべての干渉信号からの寄与を含む変換後テンプレートを作成する。対象領域202は、ピークを中心に示されている。
【0226】
図14bを参照して、101個の変換後干渉信号からの寄与を含む変換後干渉信号204は、信号対ノイズ比(S/N)が、各変換後干渉信号よりも実質的に高い。これは、図10aおよび10bを比較すると理解することができる。
【0227】
図15を参照して、テンプレート210には、包絡線212に従って減衰する複数のフリンジが含まれる。テンプレート210は、S/Nが各干渉信号よりも実質的に高い。これは、図1および11を比較すると理解することができる。テンプレート212はさらに、物体表面高さと、異なる干渉信号間の位相差と、DCバイアスとからの寄与が、テンプレートから取り除かれている点で、101個の測定干渉信号(たとえば150の組)とは異なる。
【0228】
再び図2を参照して、窓のあるテンプレート215は、テンプレート212と窓関数217との積を表わしており、窓関数の外側のテンプレート212の値はゼロに設定されている。
【0229】
図16を参照して、関数220は、図1の干渉信号200の振動する信号のAC部分の振幅とフリンジ(ACexmex)の減衰を記述する包絡線との積によって、与えられる。
【0230】
図17を参照して、メリット関数230が、図2の窓のあるテンプレートと図1の干渉信号150との複素相互相関によって得られる。
図18を参照して、測定物体の表面高さが、物体表面に渡る横方向位置の関数として示されている。表面高さは、テンプレート215と101個の干渉信号とから、コヒーレンス・プロファイル240hΘのアプローチと位相プロファイル242hΘのアプローチとを用いて、決定される。
【0231】
“2.薄膜を有する測定物体の空間的特性の決定”
図19を参照して、基準干渉信号300は、実施例1で用いたのと同じ基準物体から得られる101個の基準干渉信号の1つである。
【0232】
図20aおよび20bを参照して、101個の基準干渉信号が、フーリエ変換によって逆領域に変換されている。干渉信号300のフーリエ変換305の大きさは、ピークがミクロン当たり約3.7周期のOPDに位置する。101個の変換後干渉信号の大きさからの寄与を含む変換後干渉信号304は、信号対ノイズ比(S/N)が、各変換後干渉信号よりも実質的に高い。これは、図20aと20bとを比較すると理解することができる。
【0233】
101個の変換後干渉信号から、図15のテンプレート212と同様の特性を有するテンプレート(図示せず)が作成される。図21を参照して、非対称の窓のあるテンプレート315が、テンプレートと窓関数317との積を表わし、窓関数317の外側のテンプレートの値が、ゼロに設定されている。テンプレートの左側の境界は、フリンジの減衰を決定する包絡線のピークに対応する。
【0234】
図22を参照して、シリコン基板上の二酸化ケイ素皮膜(Si上のSiO2)を含む測定物体から、測定干渉信号400が得られる。物体の基板は、基準干渉信号を収集するために用いるものと同じである。すなわち基板は、実施例1で用いた測定物体と同じである。膜厚の値は、エッジにおける900nmから中央部における1500nmまで変わる(画素50において)。実施例1の場合と同じ条件の下で、101個の測定干渉信号の線形ストリップが収集される。
【0235】
図22に見られるように、干渉信号400には、第1および第2の干渉パターン402、404が含まれる。これらは、基板−皮膜界面および皮膜−空気界面にそれぞれ起因する。干渉パターンは、部分的に重なり合っている。
【0236】
図23を参照して、図22の干渉信号400の振動する信号のAC部分の振幅と第1および第2の干渉パターン402、404のフリンジの減衰を記述する包絡線との積によって、関数420が与えられる。
【0237】
図24を参照して、メリット関数425に、第1および第2のピーク427、429が、走査位置の関数として含まれている。メリット関数425は、図22の非対称のテンプレートを図23の干渉信号と相互相関させることによって、得られる。相互相関の各点は、式30に関して前述したように規格化される。線431は、走査位置に対する第1のピーク位置ζbestの場所を示す。第1のピーク位置ζbestは、皮膜−空気界面の場所を示す。
【0238】
図25を参照して、皮膜−空気界面に対する高さプロファイルを示す。プロファイル440hΘ(コヒーレンス)が、コヒーレンス・アプローチを用いて決定され、高さプロファイル442hΘ(位相)が、位相アプローチを用いて決定される。
【0239】
尚、国際出願の英文明細書中にJISコードで表記できない箇所があったため、この翻訳文では代替表記を使用した、具体的には、
※q〜sys※、※I〜sys※、※ACsys※、※I〜pat※、※I〜ex※、※I〜*pat※、※I〜※、※q〜pat※、※I〜*ex※、※I〜pat.inl※、※〜I※、及び※I〜*pat.inl※は、
【0240】
【数67】
のように、国際出願の明細書ではアルファベットの上又は下に「チルダ」を付けて表現されていたものや、それらの記号の上に更に「横棒」が引かれていたものがあったが、便宜上、翻訳文では※で挟んで表現した。
【図面の簡単な説明】
【0241】
【図1】薄膜または他のコーティングが存在しない固体シリコン基板からの低コヒーレンス干渉信号を示す図である。走査位置はζ座標である。
【図2】図1の説明を参照して、シリコン基板の複数の異なる場所のそれぞれから得られる干渉信号からの寄与を含むテンプレートを示す図である。図2のテンプレートには窓関数を乗じている。窓関数も示されている。
【図3】基板および横たわる薄膜を有する物体から得られる重なり合う干渉パターンを例示する図である。
【図4】非対称のテンプレートを示す図である。
【図5】2μmのSi3N4コーティングを有する(シリコン)基板からの低コヒーレンス干渉信号を示す図である。
【図6】1.1μmのSi3N4コーティングを有する(シリコン)基板からの低コヒーレンス干渉信号を示す図である。
【図7】図3のプロット(ダイアモンド)および図6のプロット(実線)の直接の比較を示す拡大図である。
【図8】テンプレートを作成する方法を例示するフローチャートである。
【図9】干渉信号を得るための典型的な干渉法システムを示す図である。
【図10a】基板と横たわる層たとえば薄膜とを含む測定物体の断面を示す図である。
【図10b】図1aの物体を示す平面図である。
【図11a】銅相互接続を有する典型的な構造を示す図である。平坦化前の構造を示す。
【図11b】銅相互接続を有する典型的な構造を示す図である。平坦化後の構造を示す。
【図12a】はんだバンプ処理の間に形成される典型的な構造を示す図である。はんだを付加する前の構造を示す。
【図12b】はんだバンプ処理の間に形成される典型的な構造を示す図である。はんだを付加した後であるが、はんだを流す前の構造を示す図である。
【図13】典型的な液晶ディスプレイの一部を示す図である。
【図14a】図2の干渉信号のフーリエ変換の大きさスペクトルの正周波数部分を例示する図である。
【図14b】フィールド平均化されたスペクトル※q〜sys※の正周波数部分を含む変換後ドメインにおけるテンプレートを示す図である。テンプレートは、物体の異なる点からの複数の干渉信号からの寄与を含む。
【図15】複数の干渉信号から決定されるテンプレートを例示し、およびその下でテンプレートのフリンジが減衰する包絡線も例示する図である。テンプレートは、窓関数が施されていないことを除いて、図3のテンプレートと同一である。
【図16】図2の干渉信号のフリンジの振幅と包絡線との積を例示する図である。
【図17】図3の窓のあるテンプレートと図2の干渉信号とから決定されるメリット関数を例示する図である。
【図18】図2の干渉信号を収集するために用いられる物体の高さプロファイルを例示する図である。
【図19】図2の信号を収集するために用いられるシリコン基板から収集される101個のシミュレートされた基準干渉信号Iexの第2の組のうちの1つを例示する図である。走査位置はζ座標である。
【図20a】図19の干渉信号のフーリエ変換の大きさスペクトルの正周波数部分を例示する図である。
【図20b】テンプレート変換された干渉データを例示する図であり、図19による複数の干渉信号からの寄与を含むフィールド平均化されたスペクトル※q〜sys※の正周波数部分である。
【図21】図19のデータから得られるテンプレートと非対称の窓関数との積から決定される非対称のテンプレートを示す図である。図19のデータから得られるテンプレートの右側部分のみが維持されている。
【図22】薄膜を有するシリコン基板から収集される101個のシミュレートされた干渉信号Iexの1つを例示する図である。薄膜が存在すること以外は、シリコン基板は、図19のデータを収集するために用いられるものと同じである。走査位置はζ座標である。
【図23】図22の干渉信号のフリンジの振幅と包絡線との積を例示する図である。
【図24】図21の非対称のテンプレートと図22のデータとから決定されるメリット関数を例示する図である。
【図25】図21のテンプレートと図22のデータとを用いて決定された、図22のデータを収集するために用いられるシリコン基板の基板−皮膜界面の高さプロファイルを例示する図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定物体から低コヒーレンス干渉信号を得ることであって、測定物体は第1および第2の界面を備え、低コヒーレンス干渉信号は、それぞれ第1および第2の界面に起因する第1および第2の重なり合う干渉パターンを含むことと、
重なり合う干渉パターンのサブセットを特定することであって、サブセットは、第1および第2の干渉パターンの一方からの寄与が他方の干渉パターンからの寄与よりも大きいことと、
を含む方法。
【請求項2】
前記得ることが、複数の低コヒーレンス干渉信号を得ることを含み、各低コヒーレンス干渉信号が、第1および第2の重なり合う干渉パターンを含み、各第1の干渉パターンは第1の界面の異なる点に起因し、各第2の干渉パターンは第2の界面の異なる点に起因し、前記複数の低コヒーレンス干渉信号を得ることが、物体を結像することを含み、前記サブセットを特定することが、それぞれの干渉信号のサブセットを特定することを含み、各サブセットは、対応する干渉信号の第1および第2の干渉パターンの一方からの寄与が他方の干渉パターンからの寄与よりも大きい請求項1に記載の方法。
【請求項3】
複数の低コヒーレンス干渉信号のそれぞれに対して、前記得ることが、干渉計を用いることを含み、光に起因する複数の低コヒーレンス信号がそれぞれ、光路長差の範囲を有し、光路長差の各範囲は、干渉計のコヒーレンス長の少なくとも50%である請求項2に記載の方法。
【請求項4】
各範囲は、少なくとも干渉計のコヒーレンス長程度の大きさである請求項3に記載の方法。
【請求項5】
第1の界面は物体の外面であり、前記方法は、外面の複数の点のそれぞれの相対的な高さを決定することを含む請求項2に記載の方法。
【請求項6】
第1および第2の界面は、1000nm以下だけ分離している請求項2に記載の方法。
【請求項7】
第1の界面は物体の外面であり、第2の界面は外面の真下である請求項2に記載の方法。
【請求項8】
外面は、基板を覆うフォトレジスト層の外面であり、第2の界面は、フォトレジストの外面と基板との間に規定される請求項7に記載の方法。
【請求項9】
重なり合う干渉パターンのサブセットに基づいて外面の空間的特性を決定することと、空間的特性に基づいて物体の相対位置およびフォトリソグラフィ・システムを変更することと、を含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
第1の界面が物体の外面であり、前記方法が、
低コヒーレンス干渉信号を得る前に、物体の外面から材料を取り除くことと、
重なり合う干渉パターンのサブセットに基づいて物体の外面の空間的特性を決定することと、
空間的特性に基づいて物体の外面からさらなる材料を取り除くことと、
を含む請求項2に記載の方法。
【請求項11】
第1および第2の界面は液晶ディスプレイ・セルの界面である請求項2に記載の方法。
【請求項12】
低コヒーレンス干渉信号を得る前に、物体にレーザを照射してスクライブ・ラインを形成することと、
重なり合う干渉パターンのサブセットに基づいて、スクライブ・ラインを含む物体の一部の空間的特性を決定することと、
空間的特性に基づいて同じ物体または異なる物体のさらなるスクライビングを行なうことと、
を含む請求項2に記載の方法。
【請求項13】
低コヒーレンス干渉信号を得る前に、はんだバンプ・プロセスの間に第1および第2の界面を形成することを含む請求項2に記載の方法。
【請求項14】
前記方法がさらに、低コヒーレンス干渉信号に基づいて第1または第2の界面の少なくとも一部の点のそれぞれの空間的特性を決定することを含む請求項2に記載の方法。
【請求項15】
第1および第2の重なり合う干渉パターンがそれぞれ複数のフリンジを含み、前記少なくとも一部の点のそれぞれの空間的特性を決定することが、第1または第2の重なり合う干渉パターンの一方のフリンジの半分未満に基づいて少なくとも一部の点のそれぞれの空間的特性を決定することを含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
第1および第2の重なり合う干渉パターンがそれぞれ、複数のフリンジを含み、前記少なくとも一部の点のそれぞれの空間的特性を決定することが、各第1または第2の重なり合う干渉パターンのフリンジの半分を変換することを含む請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも一部の点のそれぞれの空間的特性を決定することが、対応する干渉信号の重なり合う干渉パターンの非対称のサブセットに基づいて少なくとも一部の点のそれぞれの空間的特性を決定することを含む請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも一部の点のそれぞれの空間的特性を決定することが、非対称のサブセットを変換することを含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
第1の界面は物体の外面であり、前記少なくとも一部の点のそれぞれの空間的特性を決定することが、外面の複数の点の空間的特性を決定することを含む請求項17に記載の方法。
【請求項20】
各非対称のサブセットが、物体の外面に起因する干渉によって占められる請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記サブセットを特定することが、干渉計応答を示すテンプレートに基づいて非対称のサブセットの境界を決定することを含む請求項17に記載の方法。
【請求項22】
テンプレートが、物体の高さには無関係な干渉計応答を示す請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記境界を決定することが、テンプレートと低コヒーレンス干渉信号とを比較することを含む請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記サブセットを特定することが、テンプレートと低コヒーレンス干渉信号とを相互相関させることを含む請求項14に記載の方法。
【請求項25】
前記相互相関させることが、低コヒーレンス干渉信号の形状に基づいて標準化することを含む請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記少なくとも一部の点のそれぞれの空間的特性を決定することが、対応する低コヒーレンス干渉信号と干渉計応答を示すテンプレートとに基づいて空間的特性を決定することを含む請求項14に記載の方法。
【請求項27】
前記少なくとも一部の点のそれぞれの空間的特性を決定することが、対応する低コヒーレンス干渉信号とテンプレートとを比較することを含む請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記比較することが、対応する低コヒーレンス干渉信号とテンプレートとの間の最良のマッチングの場所を決定することを含む請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記比較することが、テンプレートと重なり合う干渉パターンとを相互相関させることを含む請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記相互相関させることが、対応する低コヒーレンス干渉信号の形状に基づいて標準化することを含む請求項29に記載の方法。
【請求項31】
テンプレートは非対称である請求項26に記載の方法。
【請求項32】
テンプレートは切断された干渉パターンの形状を有する請求項31に記載の方法。
【請求項33】
基準物体の複数の点のそれぞれからの基準の低コヒーレンス干渉信号を得ることによってテンプレートを生成することを含み、テンプレートは、基準の低コヒーレンス干渉信号のそれぞれから得られる寄与を含む請求項26に記載の方法。
【請求項34】
各基準の低コヒーレンス干渉信号が、対応する物点の高さを示す物体高さ依存性の特性を含み、前記テンプレートを作成することが、基準の低コヒーレンス干渉信号から物体高さ依存性の特性を取り除くことを含む請求項33に記載の方法。
【請求項35】
基準の低コヒーレンス干渉信号には、重なり合わない干渉パターンが含まれる請求項33に記載の方法。
【請求項36】
物体から低コヒーレンス干渉信号を得るように構成された光学システムであって、物体は複数の界面を有し、低コヒーレンス干渉信号は、少なくとも第1および第2の物体の界面に起因する少なくとも第1および第2の重なり合う干渉パターンを含む、光学システムと、
第1および第2の重なり合う干渉パターンの非対称のサブセットに基づいて第1および第2の界面の少なくとも一方の空間的特性を決定するように構成されたプロセッサと、
を含む装置。
【請求項37】
前記プロセッサが、
第1および第2の干渉パターンの一方からの寄与が干渉パターンの他方からの寄与よりも大きく含まれる低コヒーレンス干渉信号の部分を決定することと、
低コヒーレンス干渉信号の前記部分からデータのサブセットを選択することと、
を行なうように構成される請求項36に記載の装置。
【請求項38】
第1の界面は物体の外面であり、第1の干渉パターンは第1の界面に起因し、プロセッサは第1の界面の空間的特性を決定するように構成される請求項36に記載の装置。
【請求項39】
光学システムは、物体から複数の低コヒーレンス干渉信号を得るように構成され、各低コヒーレンス干渉信号は、第1および第2の界面の異なる点に起因する個々の第1および第2の重なり合う干渉パターンを含み、プロセッサは、複数の低コヒーレンス干渉信号の個々の非対称のサブセットに基づいて、第1の界面の複数の点の空間的特性を決定するように構成される請求項38に記載の装置。
【請求項40】
複数の点の空間的特性は、それぞれの点の相対的な高さである請求項39に記載の装置。
【請求項41】
プロセッサは、物体の外面の、他の物体に対する空間的特性を決定するように構成される請求項39に記載の装置。
【請求項42】
プロセッサは、物体の外面の、フォトリソグラフィ装置に対する位置を決定するように構成される請求項39に記載の装置。
【請求項43】
干渉計を用いて、複数の界面を有する物体から得られる低コヒーレンス干渉信号を受け取ることであって、低コヒーレンス干渉信号は、少なくとも第1および第2の物体の界面に起因する少なくとも第1および第2の重なり合う干渉パターンを含むことと、
第1および第2の重なり合う干渉パターンの非対称のサブセットに基づいて、第1および第2の界面の少なくとも一方の空間的特性を決定することと
を、少なくとも行なうように構成されたプロセッサ。
【請求項44】
物体の空間的特性を決定するための方法であって、
干渉計を用いて、第1の物体から得られる低コヒーレンス干渉信号を提供することと、
低コヒーレンス干渉信号と干渉計の応答を示すテンプレートとに基づいて第1の物体の空間的特性を決定することと、
を含む方法。
【請求項45】
第1の物体が外面を含み、前記決定することが、外面の点の相対的な高さを決定することを含む請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記提供することが、干渉計を用いて、第1の物体の対応する異なる点からそれぞれ得られる複数の低コヒーレンス干渉信号を提供することを含み、
前記決定することが、対応する低コヒーレンス干渉信号とテンプレートとに基づいて各異なる点の空間的特性を決定することを含む請求項44に記載の方法。
【請求項47】
複数の低コヒーレンス干渉信号はそれぞれ、干渉計を用いて物体の一部を結像することを含むステップによって得られた請求項46に記載の方法。
【請求項48】
物体が外面を有し、各異なる点の空間的特性が各点の高さである請求項46に記載の方法。
【請求項49】
物体が、フォトレジストによってコーティングされたウェハを含み、物体の外面がフォトレジストの外面である請求項48に記載の方法。
【請求項50】
テンプレートが非対称である請求項44に記載の方法。
【請求項51】
テンプレートが、切断された干渉パターンの形状を有する請求項50に記載の方法。
【請求項52】
低コヒーレンス干渉信号が、第1および第2の物体の界面に起因する重なり合う干渉パターンを含み、前記空間的特性を決定することが、第1および第2の界面の少なくとも一方の空間的特性を決定することを含む請求項50に記載の方法。
【請求項53】
第1の界面は物体の外面であり、前記決定することは、外面の空間的特性を決定することを含む請求項52に記載の方法。
【請求項54】
テンプレートの形状が、第2の界面ではなく第1の界面からの寄与が優勢な低コヒーレンス干渉信号の部分に対応する請求項53に記載の方法。
【請求項55】
テンプレートが、複数の第2の低コヒーレンス干渉信号のそれぞれから得られる寄与を含む請求項44に記載の方法。
【請求項56】
複数の第2の低コヒーレンス干渉信号がそれぞれ、基準物体の個々の異なる点に起因する請求項55に記載の方法。
【請求項57】
複数の第2の低コヒーレンス干渉信号がそれぞれ、対応する基準物点の高さを示す物体高さ依存性の特性を含み、前記方法はテンプレートを生成することを含み、該テンプレートを生成することが、物体高さ依存性の特性からの寄与を取り除くことを含む請求項56に記載の方法。
【請求項58】
各第2の低コヒーレンス干渉信号が、対応する基準物点の高さを示す位相関連の特性を有し、前記寄与を取り除くことが、位相関連の特性を取り除くことを含む請求項56に記載の方法。
【請求項59】
第1および基準の物体は同じである請求項56に記載の方法。
【請求項60】
第1の物体が、横たわる薄膜を含む基板を含み、複数の第2の低コヒーレンス干渉信号が、単一の反射性界面を有する基準物体の一部から得られる請求項56に記載の方法。
【請求項61】
テンプレートと低コヒーレンス干渉信号とを比較することを含む請求項44に記載の方法。
【請求項62】
前記比較することは、テンプレートと低コヒーレンス干渉信号とを相互相関させることを含む請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記相互相関させることは、低コヒーレンス干渉信号の形状に基づいて標準化することを含む請求項62に記載の方法。
【請求項64】
相互相関は部分複素の相互相関である請求項62に記載の方法。
【請求項65】
前記比較することが、低コヒーレンス干渉信号内の場所を決定することを含み、前記空間的特性を決定することが、場所の一方の側に位置する低コヒーレンス干渉信号の部分を処理することを含む請求項61に記載の方法。
【請求項66】
低コヒーレンス干渉信号を変換することを含む請求項65に記載の方法。
【請求項67】
低コヒーレンス干渉信号が、第1および第2の重なり合う干渉パターンを含み、場所の一方の側の低コヒーレンス干渉信号の部分は、第2の干渉パターンではなく第1の干渉パターンからの寄与が優勢である請求項65に記載の方法。
【請求項68】
第1の干渉パターンは第1の物体の外面に起因する請求項67に記載の方法。
【請求項69】
複数の低コヒーレンス干渉信号を提供することであって、各低コヒーレンス干渉信号は、干渉計を用いて物体の対応する異なる点から得られていることと、
干渉計の応答を示すテンプレートを生成することであって、該生成することが、低コヒーレンス干渉信号のそれぞれからの寄与を組み合わせることを含むことと、
を含む干渉計テンプレートを作成するための方法。
【請求項70】
各低コヒーレンス干渉信号が、干渉計を用いて物体の一部を結像することによって物体の対応する異なる点から得られている請求項69に記載の方法。
【請求項71】
物体の異なる点がそれぞれ、個々の空間的特性を有し、各低コヒーレンス干渉信号が、対応する物点の空間的特性に依存する空間依存性の特性を含み、前記テンプレートを生成することが、低コヒーレンス干渉信号の少なくとも一部の空間依存性の特性を取り除くことを含む請求項69に記載の方法。
【請求項72】
空間的特性が、相対的な高さである請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記空間依存性の特性を取り除くことが、
低コヒーレンス干渉信号を逆次元に変換することであって、変換後低コヒーレンス干渉信号は、逆次元に沿っての位相変化を示すことと、
逆次元に対する位相変化の線形部分を取り除くことと、
を含む請求項71に記載の方法。
【請求項74】
物体の異なる点が、物体の界面の周囲の異なる点である請求項69に記載の方法。
【請求項75】
界面が、物体の外面である請求項74に記載の方法。
【請求項76】
干渉計を用いて少なくとも1つの第2の低コヒーレンス干渉信号を得ることであって、第2の低コヒーレンス干渉信号は、第2の物体の点に起因することと、
第2の低コヒーレンス干渉信号とテンプレートとに基づいて、第2の物体の点の空間的特性を決定することと、
をさらに含む請求項74に記載の方法。
【請求項77】
前記干渉計を用いて得ることが、複数の第2の低コヒーレンス干渉信号を得ることを含み、各第2の低コヒーレンス干渉信号は第2の物体の異なる点に起因し、前記第2の物体の点の空間的特性を決定することが、第2の低コヒーレンス干渉信号とテンプレートとに基づいて第2の物体の異なる点の空間的特性を決定することを含む請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記複数の第2の低コヒーレンス干渉信号を得ることが、第2の物体の一部を結像することを含む請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記決定することが、第2の低コヒーレンス干渉信号とテンプレートとを比較することを含む請求項76に記載の方法。
【請求項80】
前記比較することが、少なくとも1つの第2の低コヒーレンス干渉信号とテンプレートとを相互相関させることを含む請求項79に記載の方法。
【請求項81】
第1の低コヒーレンス干渉信号の形状に対する相互相関を規格化することを含む請求項81に記載の方法。
【請求項82】
第2の物体が、基板と少なくとも1つの横たわる層とを含み、第2の物体の点は、横たわる層の少なくとも一部によって規定される請求項79に記載の方法。
【請求項83】
横たわる層が、物体の外面を規定する表面を有し、第2の物体の点が外面に位置する請求項82に記載の方法。
【請求項84】
テンプレートが、非対称の切断された低コヒーレンス干渉信号の形態を有する請求項69に記載の方法。
【請求項85】
少なくとも1つの低コヒーレンス干渉信号を提供することであって、低コヒーレンス干渉信号は、物体の少なくとも1つの点に起因する干渉パターンを含むとともに、干渉計を用いて得られていることと、
少なくとも1つの低コヒーレンス干渉信号から、干渉計の応答を示す非対称のテンプレートを生成することと、
を含む干渉計テンプレートを生成するための方法。
【請求項86】
非対称のテンプレートが、切断された干渉パターンの形状を有する請求項85に記載の方法。
【請求項87】
物体の少なくとも1つの点が空間的特性を有し、少なくとも1つの低コヒーレンス干渉信号が、少なくとも1つの点の空間的特性に依存する空間依存性の特性を有し、前記生成することが、低コヒーレンス干渉信号から空間依存性の特性を取り除くことを含む請求項85に記載の方法。
【請求項88】
物体から得られる低コヒーレンス干渉信号を提供することと、
低コヒーレンス干渉信号とテンプレートとの比較に基づいて物体の空間的特性を決定することであって、テンプレートは切断された干渉パターンの形状を有することと、
を含む方法。
【請求項89】
前記提供することが、物体の対応する異なる点からそれぞれ得られる複数の低コヒーレンス干渉信号を提供することを含み、
前記空間的特性を決定することが、対応する低コヒーレンス干渉信号とテンプレートとの比較に基づいて物体の各異なる点の空間的特性を決定することを含む請求項88に記載の方法。
【請求項90】
低コヒーレンス干渉信号とテンプレートとを相互相関させることによって低コヒーレンス干渉信号とテンプレートとを比較することを含む請求項88に記載の方法。
【請求項91】
物体が、基板と少なくとも1つの横たわる層とを含み、物体の空間的特性が、少なくとも横たわる層の外面の点の空間的特性である請求項88に記載の方法。
【請求項92】
低コヒーレンス干渉信号が、横たわる層の外面から光を反射させることを含む方法によって得られている請求項91に記載の方法。
【請求項93】
横たわる層がフォトレジストである請求項91に記載の方法。
【請求項94】
物体の異なる点から複数の低コヒーレンス干渉信号を得るように構成された光学システムと、コードを含むプロセッサと、を備える干渉計であって、
前記プロセッサは、干渉計の応答を示すテンプレートを作成するように構成され、テンプレートは複数の低コヒーレンス干渉信号からの寄与を含む干渉計。
【請求項95】
複数の低コヒーレンス干渉信号が、物体の異なる点の空間的特性に関係づけられる特性を含み、
テンプレートを作成するように構成されるコードが、物体の異なる点の空間的特性に関係づけられる特性の少なくとも一部が無いテンプレートを作成するように構成されるコードを含む請求項94に記載の干渉計。
【請求項96】
プロセッサが、
第2の物体から第2の低コヒーレンス干渉信号を得ることと、
第2の低コヒーレンス干渉信号とテンプレートとに基づいて第2の物体の空間的特性を決定することと、
を行なうように構成されるコードを含む請求項94に記載の干渉計。
【請求項97】
空間的特性を決定するためのコードが、第2の低コヒーレンス干渉信号とテンプレートとを比較するように構成されるコードを含む請求項94に記載の干渉計。
【請求項98】
コンピュータ読取可能な媒体を含むプロセッサであって、前記媒体は、
干渉計を用いて、物体の異なる点から得られる複数の低コヒーレンス干渉信号を受け取ることと、
干渉計の応答を示すテンプレートを生成することと、
を行うように構成されるコードを含み、テンプレートが複数の低コヒーレンス干渉信号からの寄与を含むプロセッサ。
【請求項1】
測定物体から低コヒーレンス干渉信号を得ることであって、測定物体は第1および第2の界面を備え、低コヒーレンス干渉信号は、それぞれ第1および第2の界面に起因する第1および第2の重なり合う干渉パターンを含むことと、
重なり合う干渉パターンのサブセットを特定することであって、サブセットは、第1および第2の干渉パターンの一方からの寄与が他方の干渉パターンからの寄与よりも大きいことと、
を含む方法。
【請求項2】
前記得ることが、複数の低コヒーレンス干渉信号を得ることを含み、各低コヒーレンス干渉信号が、第1および第2の重なり合う干渉パターンを含み、各第1の干渉パターンは第1の界面の異なる点に起因し、各第2の干渉パターンは第2の界面の異なる点に起因し、前記複数の低コヒーレンス干渉信号を得ることが、物体を結像することを含み、前記サブセットを特定することが、それぞれの干渉信号のサブセットを特定することを含み、各サブセットは、対応する干渉信号の第1および第2の干渉パターンの一方からの寄与が他方の干渉パターンからの寄与よりも大きい請求項1に記載の方法。
【請求項3】
複数の低コヒーレンス干渉信号のそれぞれに対して、前記得ることが、干渉計を用いることを含み、光に起因する複数の低コヒーレンス信号がそれぞれ、光路長差の範囲を有し、光路長差の各範囲は、干渉計のコヒーレンス長の少なくとも50%である請求項2に記載の方法。
【請求項4】
各範囲は、少なくとも干渉計のコヒーレンス長程度の大きさである請求項3に記載の方法。
【請求項5】
第1の界面は物体の外面であり、前記方法は、外面の複数の点のそれぞれの相対的な高さを決定することを含む請求項2に記載の方法。
【請求項6】
第1および第2の界面は、1000nm以下だけ分離している請求項2に記載の方法。
【請求項7】
第1の界面は物体の外面であり、第2の界面は外面の真下である請求項2に記載の方法。
【請求項8】
外面は、基板を覆うフォトレジスト層の外面であり、第2の界面は、フォトレジストの外面と基板との間に規定される請求項7に記載の方法。
【請求項9】
重なり合う干渉パターンのサブセットに基づいて外面の空間的特性を決定することと、空間的特性に基づいて物体の相対位置およびフォトリソグラフィ・システムを変更することと、を含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
第1の界面が物体の外面であり、前記方法が、
低コヒーレンス干渉信号を得る前に、物体の外面から材料を取り除くことと、
重なり合う干渉パターンのサブセットに基づいて物体の外面の空間的特性を決定することと、
空間的特性に基づいて物体の外面からさらなる材料を取り除くことと、
を含む請求項2に記載の方法。
【請求項11】
第1および第2の界面は液晶ディスプレイ・セルの界面である請求項2に記載の方法。
【請求項12】
低コヒーレンス干渉信号を得る前に、物体にレーザを照射してスクライブ・ラインを形成することと、
重なり合う干渉パターンのサブセットに基づいて、スクライブ・ラインを含む物体の一部の空間的特性を決定することと、
空間的特性に基づいて同じ物体または異なる物体のさらなるスクライビングを行なうことと、
を含む請求項2に記載の方法。
【請求項13】
低コヒーレンス干渉信号を得る前に、はんだバンプ・プロセスの間に第1および第2の界面を形成することを含む請求項2に記載の方法。
【請求項14】
前記方法がさらに、低コヒーレンス干渉信号に基づいて第1または第2の界面の少なくとも一部の点のそれぞれの空間的特性を決定することを含む請求項2に記載の方法。
【請求項15】
第1および第2の重なり合う干渉パターンがそれぞれ複数のフリンジを含み、前記少なくとも一部の点のそれぞれの空間的特性を決定することが、第1または第2の重なり合う干渉パターンの一方のフリンジの半分未満に基づいて少なくとも一部の点のそれぞれの空間的特性を決定することを含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
第1および第2の重なり合う干渉パターンがそれぞれ、複数のフリンジを含み、前記少なくとも一部の点のそれぞれの空間的特性を決定することが、各第1または第2の重なり合う干渉パターンのフリンジの半分を変換することを含む請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも一部の点のそれぞれの空間的特性を決定することが、対応する干渉信号の重なり合う干渉パターンの非対称のサブセットに基づいて少なくとも一部の点のそれぞれの空間的特性を決定することを含む請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも一部の点のそれぞれの空間的特性を決定することが、非対称のサブセットを変換することを含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
第1の界面は物体の外面であり、前記少なくとも一部の点のそれぞれの空間的特性を決定することが、外面の複数の点の空間的特性を決定することを含む請求項17に記載の方法。
【請求項20】
各非対称のサブセットが、物体の外面に起因する干渉によって占められる請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記サブセットを特定することが、干渉計応答を示すテンプレートに基づいて非対称のサブセットの境界を決定することを含む請求項17に記載の方法。
【請求項22】
テンプレートが、物体の高さには無関係な干渉計応答を示す請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記境界を決定することが、テンプレートと低コヒーレンス干渉信号とを比較することを含む請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記サブセットを特定することが、テンプレートと低コヒーレンス干渉信号とを相互相関させることを含む請求項14に記載の方法。
【請求項25】
前記相互相関させることが、低コヒーレンス干渉信号の形状に基づいて標準化することを含む請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記少なくとも一部の点のそれぞれの空間的特性を決定することが、対応する低コヒーレンス干渉信号と干渉計応答を示すテンプレートとに基づいて空間的特性を決定することを含む請求項14に記載の方法。
【請求項27】
前記少なくとも一部の点のそれぞれの空間的特性を決定することが、対応する低コヒーレンス干渉信号とテンプレートとを比較することを含む請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記比較することが、対応する低コヒーレンス干渉信号とテンプレートとの間の最良のマッチングの場所を決定することを含む請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記比較することが、テンプレートと重なり合う干渉パターンとを相互相関させることを含む請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記相互相関させることが、対応する低コヒーレンス干渉信号の形状に基づいて標準化することを含む請求項29に記載の方法。
【請求項31】
テンプレートは非対称である請求項26に記載の方法。
【請求項32】
テンプレートは切断された干渉パターンの形状を有する請求項31に記載の方法。
【請求項33】
基準物体の複数の点のそれぞれからの基準の低コヒーレンス干渉信号を得ることによってテンプレートを生成することを含み、テンプレートは、基準の低コヒーレンス干渉信号のそれぞれから得られる寄与を含む請求項26に記載の方法。
【請求項34】
各基準の低コヒーレンス干渉信号が、対応する物点の高さを示す物体高さ依存性の特性を含み、前記テンプレートを作成することが、基準の低コヒーレンス干渉信号から物体高さ依存性の特性を取り除くことを含む請求項33に記載の方法。
【請求項35】
基準の低コヒーレンス干渉信号には、重なり合わない干渉パターンが含まれる請求項33に記載の方法。
【請求項36】
物体から低コヒーレンス干渉信号を得るように構成された光学システムであって、物体は複数の界面を有し、低コヒーレンス干渉信号は、少なくとも第1および第2の物体の界面に起因する少なくとも第1および第2の重なり合う干渉パターンを含む、光学システムと、
第1および第2の重なり合う干渉パターンの非対称のサブセットに基づいて第1および第2の界面の少なくとも一方の空間的特性を決定するように構成されたプロセッサと、
を含む装置。
【請求項37】
前記プロセッサが、
第1および第2の干渉パターンの一方からの寄与が干渉パターンの他方からの寄与よりも大きく含まれる低コヒーレンス干渉信号の部分を決定することと、
低コヒーレンス干渉信号の前記部分からデータのサブセットを選択することと、
を行なうように構成される請求項36に記載の装置。
【請求項38】
第1の界面は物体の外面であり、第1の干渉パターンは第1の界面に起因し、プロセッサは第1の界面の空間的特性を決定するように構成される請求項36に記載の装置。
【請求項39】
光学システムは、物体から複数の低コヒーレンス干渉信号を得るように構成され、各低コヒーレンス干渉信号は、第1および第2の界面の異なる点に起因する個々の第1および第2の重なり合う干渉パターンを含み、プロセッサは、複数の低コヒーレンス干渉信号の個々の非対称のサブセットに基づいて、第1の界面の複数の点の空間的特性を決定するように構成される請求項38に記載の装置。
【請求項40】
複数の点の空間的特性は、それぞれの点の相対的な高さである請求項39に記載の装置。
【請求項41】
プロセッサは、物体の外面の、他の物体に対する空間的特性を決定するように構成される請求項39に記載の装置。
【請求項42】
プロセッサは、物体の外面の、フォトリソグラフィ装置に対する位置を決定するように構成される請求項39に記載の装置。
【請求項43】
干渉計を用いて、複数の界面を有する物体から得られる低コヒーレンス干渉信号を受け取ることであって、低コヒーレンス干渉信号は、少なくとも第1および第2の物体の界面に起因する少なくとも第1および第2の重なり合う干渉パターンを含むことと、
第1および第2の重なり合う干渉パターンの非対称のサブセットに基づいて、第1および第2の界面の少なくとも一方の空間的特性を決定することと
を、少なくとも行なうように構成されたプロセッサ。
【請求項44】
物体の空間的特性を決定するための方法であって、
干渉計を用いて、第1の物体から得られる低コヒーレンス干渉信号を提供することと、
低コヒーレンス干渉信号と干渉計の応答を示すテンプレートとに基づいて第1の物体の空間的特性を決定することと、
を含む方法。
【請求項45】
第1の物体が外面を含み、前記決定することが、外面の点の相対的な高さを決定することを含む請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記提供することが、干渉計を用いて、第1の物体の対応する異なる点からそれぞれ得られる複数の低コヒーレンス干渉信号を提供することを含み、
前記決定することが、対応する低コヒーレンス干渉信号とテンプレートとに基づいて各異なる点の空間的特性を決定することを含む請求項44に記載の方法。
【請求項47】
複数の低コヒーレンス干渉信号はそれぞれ、干渉計を用いて物体の一部を結像することを含むステップによって得られた請求項46に記載の方法。
【請求項48】
物体が外面を有し、各異なる点の空間的特性が各点の高さである請求項46に記載の方法。
【請求項49】
物体が、フォトレジストによってコーティングされたウェハを含み、物体の外面がフォトレジストの外面である請求項48に記載の方法。
【請求項50】
テンプレートが非対称である請求項44に記載の方法。
【請求項51】
テンプレートが、切断された干渉パターンの形状を有する請求項50に記載の方法。
【請求項52】
低コヒーレンス干渉信号が、第1および第2の物体の界面に起因する重なり合う干渉パターンを含み、前記空間的特性を決定することが、第1および第2の界面の少なくとも一方の空間的特性を決定することを含む請求項50に記載の方法。
【請求項53】
第1の界面は物体の外面であり、前記決定することは、外面の空間的特性を決定することを含む請求項52に記載の方法。
【請求項54】
テンプレートの形状が、第2の界面ではなく第1の界面からの寄与が優勢な低コヒーレンス干渉信号の部分に対応する請求項53に記載の方法。
【請求項55】
テンプレートが、複数の第2の低コヒーレンス干渉信号のそれぞれから得られる寄与を含む請求項44に記載の方法。
【請求項56】
複数の第2の低コヒーレンス干渉信号がそれぞれ、基準物体の個々の異なる点に起因する請求項55に記載の方法。
【請求項57】
複数の第2の低コヒーレンス干渉信号がそれぞれ、対応する基準物点の高さを示す物体高さ依存性の特性を含み、前記方法はテンプレートを生成することを含み、該テンプレートを生成することが、物体高さ依存性の特性からの寄与を取り除くことを含む請求項56に記載の方法。
【請求項58】
各第2の低コヒーレンス干渉信号が、対応する基準物点の高さを示す位相関連の特性を有し、前記寄与を取り除くことが、位相関連の特性を取り除くことを含む請求項56に記載の方法。
【請求項59】
第1および基準の物体は同じである請求項56に記載の方法。
【請求項60】
第1の物体が、横たわる薄膜を含む基板を含み、複数の第2の低コヒーレンス干渉信号が、単一の反射性界面を有する基準物体の一部から得られる請求項56に記載の方法。
【請求項61】
テンプレートと低コヒーレンス干渉信号とを比較することを含む請求項44に記載の方法。
【請求項62】
前記比較することは、テンプレートと低コヒーレンス干渉信号とを相互相関させることを含む請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記相互相関させることは、低コヒーレンス干渉信号の形状に基づいて標準化することを含む請求項62に記載の方法。
【請求項64】
相互相関は部分複素の相互相関である請求項62に記載の方法。
【請求項65】
前記比較することが、低コヒーレンス干渉信号内の場所を決定することを含み、前記空間的特性を決定することが、場所の一方の側に位置する低コヒーレンス干渉信号の部分を処理することを含む請求項61に記載の方法。
【請求項66】
低コヒーレンス干渉信号を変換することを含む請求項65に記載の方法。
【請求項67】
低コヒーレンス干渉信号が、第1および第2の重なり合う干渉パターンを含み、場所の一方の側の低コヒーレンス干渉信号の部分は、第2の干渉パターンではなく第1の干渉パターンからの寄与が優勢である請求項65に記載の方法。
【請求項68】
第1の干渉パターンは第1の物体の外面に起因する請求項67に記載の方法。
【請求項69】
複数の低コヒーレンス干渉信号を提供することであって、各低コヒーレンス干渉信号は、干渉計を用いて物体の対応する異なる点から得られていることと、
干渉計の応答を示すテンプレートを生成することであって、該生成することが、低コヒーレンス干渉信号のそれぞれからの寄与を組み合わせることを含むことと、
を含む干渉計テンプレートを作成するための方法。
【請求項70】
各低コヒーレンス干渉信号が、干渉計を用いて物体の一部を結像することによって物体の対応する異なる点から得られている請求項69に記載の方法。
【請求項71】
物体の異なる点がそれぞれ、個々の空間的特性を有し、各低コヒーレンス干渉信号が、対応する物点の空間的特性に依存する空間依存性の特性を含み、前記テンプレートを生成することが、低コヒーレンス干渉信号の少なくとも一部の空間依存性の特性を取り除くことを含む請求項69に記載の方法。
【請求項72】
空間的特性が、相対的な高さである請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記空間依存性の特性を取り除くことが、
低コヒーレンス干渉信号を逆次元に変換することであって、変換後低コヒーレンス干渉信号は、逆次元に沿っての位相変化を示すことと、
逆次元に対する位相変化の線形部分を取り除くことと、
を含む請求項71に記載の方法。
【請求項74】
物体の異なる点が、物体の界面の周囲の異なる点である請求項69に記載の方法。
【請求項75】
界面が、物体の外面である請求項74に記載の方法。
【請求項76】
干渉計を用いて少なくとも1つの第2の低コヒーレンス干渉信号を得ることであって、第2の低コヒーレンス干渉信号は、第2の物体の点に起因することと、
第2の低コヒーレンス干渉信号とテンプレートとに基づいて、第2の物体の点の空間的特性を決定することと、
をさらに含む請求項74に記載の方法。
【請求項77】
前記干渉計を用いて得ることが、複数の第2の低コヒーレンス干渉信号を得ることを含み、各第2の低コヒーレンス干渉信号は第2の物体の異なる点に起因し、前記第2の物体の点の空間的特性を決定することが、第2の低コヒーレンス干渉信号とテンプレートとに基づいて第2の物体の異なる点の空間的特性を決定することを含む請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記複数の第2の低コヒーレンス干渉信号を得ることが、第2の物体の一部を結像することを含む請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記決定することが、第2の低コヒーレンス干渉信号とテンプレートとを比較することを含む請求項76に記載の方法。
【請求項80】
前記比較することが、少なくとも1つの第2の低コヒーレンス干渉信号とテンプレートとを相互相関させることを含む請求項79に記載の方法。
【請求項81】
第1の低コヒーレンス干渉信号の形状に対する相互相関を規格化することを含む請求項81に記載の方法。
【請求項82】
第2の物体が、基板と少なくとも1つの横たわる層とを含み、第2の物体の点は、横たわる層の少なくとも一部によって規定される請求項79に記載の方法。
【請求項83】
横たわる層が、物体の外面を規定する表面を有し、第2の物体の点が外面に位置する請求項82に記載の方法。
【請求項84】
テンプレートが、非対称の切断された低コヒーレンス干渉信号の形態を有する請求項69に記載の方法。
【請求項85】
少なくとも1つの低コヒーレンス干渉信号を提供することであって、低コヒーレンス干渉信号は、物体の少なくとも1つの点に起因する干渉パターンを含むとともに、干渉計を用いて得られていることと、
少なくとも1つの低コヒーレンス干渉信号から、干渉計の応答を示す非対称のテンプレートを生成することと、
を含む干渉計テンプレートを生成するための方法。
【請求項86】
非対称のテンプレートが、切断された干渉パターンの形状を有する請求項85に記載の方法。
【請求項87】
物体の少なくとも1つの点が空間的特性を有し、少なくとも1つの低コヒーレンス干渉信号が、少なくとも1つの点の空間的特性に依存する空間依存性の特性を有し、前記生成することが、低コヒーレンス干渉信号から空間依存性の特性を取り除くことを含む請求項85に記載の方法。
【請求項88】
物体から得られる低コヒーレンス干渉信号を提供することと、
低コヒーレンス干渉信号とテンプレートとの比較に基づいて物体の空間的特性を決定することであって、テンプレートは切断された干渉パターンの形状を有することと、
を含む方法。
【請求項89】
前記提供することが、物体の対応する異なる点からそれぞれ得られる複数の低コヒーレンス干渉信号を提供することを含み、
前記空間的特性を決定することが、対応する低コヒーレンス干渉信号とテンプレートとの比較に基づいて物体の各異なる点の空間的特性を決定することを含む請求項88に記載の方法。
【請求項90】
低コヒーレンス干渉信号とテンプレートとを相互相関させることによって低コヒーレンス干渉信号とテンプレートとを比較することを含む請求項88に記載の方法。
【請求項91】
物体が、基板と少なくとも1つの横たわる層とを含み、物体の空間的特性が、少なくとも横たわる層の外面の点の空間的特性である請求項88に記載の方法。
【請求項92】
低コヒーレンス干渉信号が、横たわる層の外面から光を反射させることを含む方法によって得られている請求項91に記載の方法。
【請求項93】
横たわる層がフォトレジストである請求項91に記載の方法。
【請求項94】
物体の異なる点から複数の低コヒーレンス干渉信号を得るように構成された光学システムと、コードを含むプロセッサと、を備える干渉計であって、
前記プロセッサは、干渉計の応答を示すテンプレートを作成するように構成され、テンプレートは複数の低コヒーレンス干渉信号からの寄与を含む干渉計。
【請求項95】
複数の低コヒーレンス干渉信号が、物体の異なる点の空間的特性に関係づけられる特性を含み、
テンプレートを作成するように構成されるコードが、物体の異なる点の空間的特性に関係づけられる特性の少なくとも一部が無いテンプレートを作成するように構成されるコードを含む請求項94に記載の干渉計。
【請求項96】
プロセッサが、
第2の物体から第2の低コヒーレンス干渉信号を得ることと、
第2の低コヒーレンス干渉信号とテンプレートとに基づいて第2の物体の空間的特性を決定することと、
を行なうように構成されるコードを含む請求項94に記載の干渉計。
【請求項97】
空間的特性を決定するためのコードが、第2の低コヒーレンス干渉信号とテンプレートとを比較するように構成されるコードを含む請求項94に記載の干渉計。
【請求項98】
コンピュータ読取可能な媒体を含むプロセッサであって、前記媒体は、
干渉計を用いて、物体の異なる点から得られる複数の低コヒーレンス干渉信号を受け取ることと、
干渉計の応答を示すテンプレートを生成することと、
を行うように構成されるコードを含み、テンプレートが複数の低コヒーレンス干渉信号からの寄与を含むプロセッサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10a】
【図10b】
【図11a】
【図11b】
【図12a】
【図12b】
【図13】
【図14a】
【図14b】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20a】
【図20b】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10a】
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【図11a】
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【図12b】
【図13】
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【図14b】
【図15】
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【図20a】
【図20b】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公表番号】特表2007−506071(P2007−506071A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526427(P2006−526427)
【出願日】平成16年9月15日(2004.9.15)
【国際出願番号】PCT/US2004/030196
【国際公開番号】WO2005/029193
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(598176743)ザイゴ コーポレーション (39)
【氏名又は名称原語表記】ZYGO CORPORATION
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月15日(2004.9.15)
【国際出願番号】PCT/US2004/030196
【国際公開番号】WO2005/029193
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(598176743)ザイゴ コーポレーション (39)
【氏名又は名称原語表記】ZYGO CORPORATION
【Fターム(参考)】
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