説明

負荷駆動装置、照明装置、表示装置

【課題】本発明は、PWM駆動のリニアリティ低下やダイナミックレンジ縮小を招くことなく、単一の外部制御信号のみを用いて装置自体のオン/オフ制御と負荷のPWM駆動の双方を実現することが可能な負荷駆動装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係るLEDドライバIC1は、PWM駆動される輝度制御信号PWMからイネーブル信号ENを生成するイネーブル制御部10A(図1では平滑回路)と;イネーブル信号ENに応じてオン/オフ制御され、かつ、輝度制御信号PWMに応じてLED2のPWM駆動を行う負荷駆動部20と;を有して成る構成とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単一の外部制御信号を用いることで装置自体のオン/オフ制御と負荷のPWM[Pulse Width Modulation]駆動の双方を実現する負荷駆動装置に関するものであり、例えば、LED[Light Emitting Diode]に駆動電流を供給するLEDドライバIC、並びに、これを用いた照明装置、及び、表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図7は、LEDドライバICの一従来例を示すブロック図である。本図に示す通り、従来のLEDドライバICは、LEDドライバIC自体のオン/オフ制御を行うためのイネーブル信号ENをPWM駆動することによって、LEDドライバ部からLEDに対して供給される駆動電流IoのPWM駆動を行い、延いては、LEDの輝度制御(駆動電流Ioの平均値制御)を行う構成とされていた。
【0003】
言い換えれば、本従来例のLEDドライバICは、LEDドライバIC自体のオン/オフ制御を行うためのイネーブル信号ENと、PWM駆動によるLEDの輝度制御を行うための輝度制御信号PWMと、を単一の外部制御信号に統合した構成とされていた。
【0004】
なお、本発明に関連する従来技術としては、例えば特許文献1を挙げることができる。
【0005】
【特許文献1】特開2008−61482号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
確かに、上記従来のLEDドライバICであれば、単一の外部制御信号を用いて、LEDドライバIC自体のオン/オフ制御と、PWM駆動によるLEDの輝度制御の双方を実現することができるので、ピン数を削減することが可能である。
【0007】
しかしながら、上記従来のLEDドライバICは、LEDドライバIC自体をオン/オフさせてLEDの輝度制御を行う構成であるため、イネーブル信号ENをローレベルからハイレベルに立ち上げる際には、その都度、LEDドライバICに集積化された内部回路が全て一から起動し直される形となっていた。
【0008】
そのため、上記従来のLEDドライバICでは、イネーブル信号ENをハイレベルに立ち上げてから、LEDに供給される駆動電流Ioが所望の電流値に立ち上がるまでに、LEDドライバ部を形成する基準電圧源や基準電流源などの起動(特に基準電圧Vrefの立上がり)に伴う遅延dが生じていた(図8を参照)。
【0009】
このような遅延dが生じると、イネーブル信号ENのオンデューティ(PWM駆動の一周期Tに占めるハイレベル期間の比率)に応じた駆動電流Ioが得られなくなる。そのため、上記従来のLEDドライバICでは、図9の一点鎖線や二点鎖線で示したように、PWM駆動の周波数f(=1/T)が高速化するにつれて、イネーブル信号ENのオンデューティと駆動電流Ioとの関係が理想状態(図9の実線を参照)から乖離し、PWM駆動のリニアリティ低下やダイナミックレンジ縮小が招かれていた。
【0010】
なお、イネーブル信号ENと輝度制御信号PWMを個別に入力する構成とすれば、上記の課題は解消し得る反面、ピン数が増大してしまうという問題があった。
【0011】
また、上記では、LEDドライバICを例に挙げて、本発明が解決しようとする課題の説明を行ったが、このような課題は、単一の外部制御信号を用いて装置自体のオン/オフ制御と負荷のPWM駆動の双方を実現する負荷駆動装置全般に関わるものであった。
【0012】
本発明は、上記の問題点に鑑み、PWM駆動のリニアリティ低下やダイナミックレンジ縮小を招くことなく、単一の外部制御信号を用いて装置自体のオン/オフ制御と負荷のPWM駆動の双方を実現することが可能な負荷駆動装置、並びに、これを用いた照明装置及び表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明に係る負荷駆動装置は、外部入力されるPWM信号からイネーブル信号を生成するイネーブル制御部と;前記イネーブル信号に応じてオン/オフ制御され、かつ、前記PWM信号に応じて負荷のPWM駆動を行う負荷駆動部と;を有して成る構成(第1の構成)とされている。
【0014】
なお、上記第1の構成から成る負荷駆動装置において、前記負荷駆動部は、所定の基準電圧を生成する基準電圧生成回路と、前記基準電圧を電流変換して前記負荷の駆動電流を生成する駆動電流生成回路と、を有して成り、前記基準電圧生成回路は、前記イネーブル信号に応じて前記基準電圧の生成可否が制御されるものであって、前記駆動電流生成回路は、前記PWM信号に応じて前記駆動電流の生成可否が制御されるものである構成(第2の構成)にするとよい。
【0015】
また、上記第2の構成から成る負荷駆動装置にて、前記イネーブル制御部は、前記PWM信号を平滑化して前記イネーブル信号を生成する平滑回路である構成(第3の構成)にするとよい。
【0016】
また、上記第2の構成から成る負荷駆動装置において、前記イネーブル制御部は、前記PWM信号のパルスエッジをトリガとして、前記イネーブル信号を所定の論理レベルに保持するラッチ回路である構成(第4の構成)にしてもよい。
【0017】
なお、上記第4の構成から成る負荷駆動装置は、前記PWM信号が所定の論理レベルに維持されている期間をカウントし、そのカウント値が所定値に達したときに前記イネーブル制御部をリセットするリセット制御部を有して成る構成(第5の構成)にするとよい。
【0018】
また、上記第3〜第5いずれかの構成から成る負荷駆動装置は、前記PWM信号の外部入力が開始されてから所定の期間が経過するまで、前記負荷駆動部に対する前記PWM信号の供給を禁止するマスク制御部を有して成る構成(第6の構成)にしてもよい。
【0019】
また、上記第1〜第6いずれかの構成から成る負荷駆動装置は、前記負荷として発光素子が外部接続される構成(第7の構成)にするとよい。
【0020】
また、本発明に係る照明装置は、光源となる発光素子と、前記発光素子に駆動電流を供給する上記第7の構成から成る負荷駆動装置と、を有して成る構成(第8の構成)とされている。
【0021】
また、本発明に係る表示装置は、液晶パネルと、前記液晶パネルを照明する上記8の構成から成る照明装置と、を有して成る構成(第9の構成)とされている。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、PWM駆動のリニアリティ低下やダイナミックレンジ縮小を招くことなく、単一の外部制御信号を用いて装置自体のオン/オフ制御と負荷のPWM駆動の双方を実現することが可能な負荷駆動装置、並びに、これを用いた照明装置及び表示装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下では、LEDドライバICに本発明を適用した場合を例示して詳細な説明を行う。
【0024】
まず、本発明に係る表示装置の第1実施形態について、図1を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明に係る表示装置の第1実施形態を示す回路ブロック図であり、特に本発明に関連する箇所として、LEDドライバICの周辺部分が示されている。
【0025】
本実施形態の表示装置は、LEDドライバIC1と、LEDドライバIC1から駆動電流Ioの供給を受けて発光するLED2と、LED2によって背面ないしは側面から照明される液晶パネル(不図示)と、を有して成る。
【0026】
LEDドライバIC1は、ピンT1を介して外部入力される輝度制御信号PWMからイネーブル信号ENを生成するイネーブル制御部10Aと、イネーブル信号ENに応じてオン/オフ制御され、かつ、輝度制御信号PWMに応じてLED2のPWM駆動を行うLEDドライバ部20と、を有して成る。なお、上記の輝度制御信号PWMは、LED2の輝度値に応じてパルス幅変調処理が施されたパルス信号である。
【0027】
また、本実施形態において、イネーブル制御部10Aは、抵抗101とキャパシタ102から成る平滑回路を用いて輝度制御信号PWMから平滑電圧Vsを生成し、これをバッファ103に通すことでイネーブル信号ENを生成する構成とされている。ただし、平滑回路の構成はこれに限定されるものではなく、その他の回路構成を採用しても構わない。また、図1では、バッファ103としてヒステリシス特性を持つシュミットバッファを用いているが、ヒステリシス特性のないバッファを用いても構わないし、或いは、インバータやコンパレータを用いても構わない。
【0028】
このように、LEDドライバIC1は、単一のピンT1を輝度制御端子兼イネーブル端子として共通化し、さらに、輝度制御信号PWMの信号経路とイネーブル信号ENの信号経路をIC内部で分離した構成とされている。
【0029】
LEDドライバ部20は、基準電圧生成回路201と、Pチャネル型MOS[Metal Oxide Semiconductor]電界効果トランジスタ202及び203と、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタ204〜207と、抵抗208(抵抗値:R)と、オペアンプ209と、インバータ210と、を有して成る。
【0030】
基準電圧生成回路201は、所定の基準電圧Vrefを生成する手段であって、イネーブル信号ENに応じて基準電圧Vrefの生成可否が制御されるものである。より具体的に述べると、基準電圧生成回路201は、イネーブル信号ENがハイレベルとされているときに動作状態(基準電圧Vrefの生成が許可されている状態)となり、イネーブル信号ENがローレベルとされているときに非動作状態(基準電圧Vrefの生成が禁止されている状態)となる。
【0031】
トランジスタ202及び203のソースは、いずれも電源端に接続されている。トランジスタ202及び203のゲートは、いずれもトランジスタ202のドレインに接続されている。トランジスタ202のドレインは、トランジスタ204のドレインに接続されている。トランジスタ204のソースは、抵抗208を介して接地端に接続されている。オペアンプ209の非反転入力端(+)は、基準電圧Vrefの印加端(基準電圧生成部201の出力端)に接続されている。オペアンプ209の反転入力端(−)は、トランジスタ204のソースに接続されている。オペアンプ209の出力端は、トランジスタ204のゲートに接続されている。トランジスタ203のドレインは、トランジスタ205及び206のドレインに接続されている。トランジスタ206及び207のゲートは、いずれもトランジスタ206のドレインに接続されている。トランジスタ205〜207のソースは、いずれも接地端に接続されている。トランジスタ207のドレインは、ピンT2を介してLED2のカソードに接続されている。インバータ210の入力端は、輝度制御信号PWMの印加端(ピンT1)に接続されている。インバータ210の出力端は、トランジスタ205のゲートに接続されている。
【0032】
なお、上記構成から成るLEDドライバ部20において、トランジスタ204、抵抗208、及び、オペアンプ209は、基準電圧Vrefを基準電流Ia(=Vref/R)に変換するV/I変換回路を形成している。また、トランジスタ202及び203は、基準電流Iaからミラー電流Ib(=m×Ia)を生成する第1カレントミラー回路を形成している。また、トランジスタ206及び207は、ミラー電流IbからLED2の駆動電流Io(=n×Ib=m×n×Ia)を生成する第2カレントミラー回路を形成している。また、トランジスタ205、及び、インバータ210は、輝度制御信号PWMに基づいて、第2カレントミラー回路の動作可否を制御するスイッチ回路を形成している。より具体的に述べると、輝度制御信号PWMがハイレベルとされているときには、トランジスタ205がオフされて、第2カレントミラー回路が動作状態(駆動電流Ioの生成が許可されている状態)となり、輝度制御信号PWMがローレベルとされているときには、トランジスタ205がオンされて、第2カレントミラー回路が非動作状態(駆動電流Ioの生成が禁止されている状態)となる。
【0033】
すなわち、上記構成から成るLEDドライバ部20において、トランジスタ202〜207、抵抗208、オペアンプ209、及び、インバータ210は、基準電圧Vrefを電流変換してLED2の駆動電流Ioを生成する駆動電流生成部を形成しており、この駆動電流生成部は、輝度制御信号PWMに応じて駆動電流Ioの生成可否が制御されるものとなっている。
【0034】
次に、上記構成から成るLEDドライバIC1のPWM動作について、図2の信号波形図を参照しながら詳細に説明する。図2は、第1実施形態のPWM動作を説明するための信号波形図であって、(a)にはICを立ち上げる際の様子、(b)にはICを立ち下げる際の様子が各々示しており、各々上から順に、輝度制御信号PWM、平滑電圧Vs、イネーブル信号EN、基準電圧Vref、及び、駆動電流Ioが描写されている。
【0035】
まず、ICの立上げ動作について、図2(a)を参照しながら説明する。時刻t11にて輝度制御信号PWMの入力が開始され、その電圧レベルがローレベルからハイレベルに立ち上げられると、輝度制御信号PWMを平滑化して得られる平滑電圧Vsが上昇を開始し、その電圧レベルがバッファ103のスレッショルドレベルを上回った時点で、イネーブル信号ENがローレベルからハイレベルに立ち上がる。なお、バッファ103のスレッショルドレベルは、輝度制御信号PWMの入力期間中、常にイネーブル信号ENがハイレベルを維持するように、適宜設定しておくことが望ましい。
【0036】
基準電圧生成部201は、上記したイネーブル信号ENのハイレベル遷移を受けて動作状態となり、基準電圧Vrefの生成を開始する。基準電圧Vrefは、所定の起動時間をかけて目標となる電圧レベルまで立ち上がり、以後、その電圧レベルに保持される。また、駆動電流Ioは、輝度制御信号PWMに応じてPWM駆動され、延いては、LED2の輝度制御(駆動電流Ioの平均値制御)が実施される。
【0037】
次に、ICの立下げ動作について、図2(b)を参照しながら説明する。時刻t13にて輝度制御信号PWMの入力が終了され、その電圧レベルがローレベルに維持されると、輝度制御信号PWMを平滑化して得られる平滑電圧Vsが低下し、その電圧レベルがバッファ103のスレッショルドレベルを下回った時点で、イネーブル信号ENがハイレベルからローレベルに立ち下がる。一方、基準電圧生成部201は、上記したイネーブル信号ENのローレベル遷移を受けて非動作状態となり、基準電圧Vrefの生成を停止する。
【0038】
上記したように、本実施形態のLEDドライバIC1は、ピンT1を介して外部入力される輝度制御信号PWMからIC内部で別系統のイネーブル信号ENを生成し、このイネーブル信号ENを用いてLEDドライバIC1自体のオン/オフ制御(図1の例では、基準電圧Vrefの生成制御)を行う一方、PWM駆動される輝度制御信号PWMを用いてLED2の輝度制御を行う構成とされている。
【0039】
このような構成とすることにより、輝度制御信号PWMの入力期間中には、イネーブル信号ENをハイレベルに維持し、LEDドライバIC1自体をオン状態に維持しながら、駆動電流IoのPWM駆動を行うことができるようになるので、LED2の輝度制御に際して、LEDドライバIC1自体のオン/オフを繰り返す必要がなくなる。
【0040】
従って、時刻t11における初回起動時にこそ、LEDドライバIC1の起動(特に、基準電圧Vrefの立上がり)に伴って、駆動電流Ioの立上がりに所定の遅延を生じるものの、時刻t12以降においては、LEDドライバIC1の起動が完了された状態で、駆動電流IoのPWM駆動を行うことができるので、駆動電流Ioの立上がりに生じる遅延は極めて小さくなり、輝度制御信号PWMのオンデューティに応じた駆動電流Ioを得ることが可能となる。なお、時刻t12以降、LED2の輝度制御が継続的に実施されることを鑑みれば、初回起動時のみに生じる駆動電流Ioの立上がり遅延が輝度制御全体に及ぼす影響は殆どなく、これを無視しても特段の問題は生じないと考えられる。
【0041】
このように、本実施形態のLEDドライバIC1であれば、PWM駆動のリニアリティ低下やダイナミックレンジ縮小を招くことなく、単一の外部制御信号(図1では輝度制御信号PWM)を用いてLEDドライバIC1自体のオン/オフ制御とLED2のPWM駆動の双方を実現することが可能となる。特に、PWM駆動の周波数f(=1/T)を高速化する上で、本発明は非常に有効であると言える。
【0042】
次に、本発明に係る表示装置の第2実施形態について、図3を参照しながら詳細に説明する。図3は、本発明に係る表示装置の第2実施形態を示す回路ブロック図であり、特に本発明に関連する箇所として、LEDドライバICの周辺部分が示されている。
【0043】
図3に示すように、本実施形態のLEDドライバIC1は、第1実施形態とほぼ同様の構成から成り、平滑回路を用いたイネーブル制御部10Aに代えて、ラッチ回路を用いたイネーブル制御部10BをLEDドライバIC1に搭載し、さらにリセット制御部30を追加した点に特徴を有している。そこで、第1実施形態と同一の構成要素については、図1と同一の符号を付すことで重複した説明を割愛し、以下では、本実施形態の特徴部分についてのみ重点的な説明を行う。
【0044】
本実施形態のLEDドライバIC1において、イネーブル制御部10Bは、輝度制御信号PWMの立上がりエッジをトリガとして、イネーブル信号ENをハイレベルにセットする一方、リセット信号RSTの立上がりエッジをトリガとして、イネーブル信号ENをローレベルにリセットするラッチ回路である。例えば、イネーブル制御部10BとしてDフリップフロップを用いた場合には、データ端(D)をハイレベル信号の印加端(例えば電源端)に接続し、クロック端をピンT1に接続し、リセット端をリセット信号RSTの印加端(リセット制御部30の出力端)に接続し、出力端(Q)をLEDドライバ部20のイネーブル信号入力端に接続すればよい。
【0045】
リセット制御部30は、輝度制御信号PWMがローレベルに維持されている期間をカウントし、そのカウント値が所定値に達したときに、イネーブル制御部ENをリセットすべく、リセット信号RSTを生成する手段である。なお、上記期間をカウントする手段としては、所定の内部クロック信号をカウントするカウンタを用いればよい。
【0046】
次に、上記構成から成るLEDドライバIC1のPWM動作について、図4の信号波形図を参照しながら詳細に説明する。図4は、第2実施形態のPWM動作を説明するための信号波形図であって、(a)にはICを立ち上げる際の様子、(b)にはICを立ち下げる際の様子が各々示しており、各々上から順に、輝度制御信号PWM、リセット信号RST、イネーブル信号EN、基準電圧Vref、及び、駆動電流Ioが描写されている。
【0047】
まず、ICの立上げ動作について、図4(a)を参照しながら説明する。時刻t21にて輝度制御信号PWMの入力が開始され、その電圧レベルがローレベルからハイレベルに立ち上げられると、その立上がりエッジをトリガとして、イネーブル信号ENがローレベルからハイレベルにセットされる。
【0048】
LEDドライバ部20を形成する基準電圧生成部201(図3では不図示)は、上記したイネーブル信号ENのハイレベル遷移を受けて動作状態となり、基準電圧Vrefの生成を開始する。基準電圧Vrefは、所定の起動時間をかけて目標となる電圧レベルまで立ち上がり、以後、その電圧レベルに保持される。また、駆動電流Ioは、輝度制御信号PWMに応じてPWM駆動され、延いては、LED2の輝度制御(駆動電流Ioの平均値制御)が実施される。
【0049】
次に、ICの立下げ動作について、図4(b)を参照しながら説明する。時刻t23にて輝度制御信号PWMの入力が終了されて以後、その電圧レベルが所定期間Toffに亘ってローレベルに維持されると、リセット信号RSTがハイレベルに立ち上げられ、これをトリガとして、イネーブル信号ENがハイレベルからローレベルにリセットされる。一方、LEDドライバ部20を形成する基準電圧生成部201は、上記したイネーブル信号ENのローレベル遷移を受けて非動作状態となり、基準電圧Vrefの生成を停止する。
【0050】
上記したように、本実施形態のLEDドライバIC1であれば、第1実施形態と同様、輝度制御信号PWMの入力期間中には、イネーブル信号ENをハイレベルに維持し、LEDドライバIC1自体をオン状態に維持しながら、駆動電流IoのPWM駆動を行うことができるようになるので、LED2の輝度制御に際して、LEDドライバIC1自体のオン/オフを繰り返す必要がなくなる。従って、PWM駆動のリニアリティ低下やダイナミックレンジ縮小を招くことなく、単一の外部制御信号を用いてLEDドライバIC1自体のオン/オフ制御とLED2のPWM駆動の双方を実現することが可能となる。
【0051】
次に、本発明に係る表示装置の第3実施形態について、図5を参照しながら詳細に説明する。図5は、本発明に係る表示装置の第3実施形態を示す回路ブロック図であり、特に本発明に関連する箇所として、LEDドライバICの周辺部分が示されている。
【0052】
図5に示すように、本実施形態のLEDドライバIC1は、第2実施形態とほぼ同様の構成から成り、マスク制御部40を追加した点に特徴を有している。そこで、第2実施形態と同一の構成要素については、図3と同一の符号を付すことで重複した説明を割愛し、以下では、本実施形態の特徴部分についてのみ重点的な説明を行う。
【0053】
本実施形態のLEDドライバIC1において、マスク制御部40は、輝度制御信号PWMの外部入力が開始されてから所定のマスク期間Tmが経過するまで、LEDドライバ部20に対する輝度制御信号PWMの供給を禁止する手段であり、カウンタ41と、論理積演算器42と、を有して成る。カウンタ41は、輝度制御信号PWMのパルス数をカウントし、そのカウント値が所定値に達した時点でマスク信号MSKをローレベルからハイレベルに遷移させる手段である。論理積演算器42は、輝度制御信号PWMとマスク信号MSKとの論理積演算を行い、その演算結果をマスク処理済みの輝度制御信号PWM’としてLEDドライバ部20に出力する手段である。
【0054】
次に、上記構成から成るLEDドライバIC1のPWM動作について、図6の信号波形図を参照しながら詳細に説明する。図6は、第3実施形態のPWM動作を説明するための信号波形図であって、(a)にはICを立ち上げる際の様子、(b)にはICを立ち下げる際の様子が各々示しており、各々上から順に、輝度制御信号PWM、リセット信号RST、イネーブル信号EN、マスク信号MSK、マスク処理済みの輝度制御信号PWM’、基準電圧Vref、及び、駆動電流Ioが描写されている。なお、図6では、基準電圧Vrefの立上がりに要する時間がPWM駆動の一周期Tよりも長く、輝度制御信号PWMの4パルス目でマスク信号MSKがハイレベルに立ち上げられる様子が例示されている。
【0055】
まず、ICの立上げ動作について、図6(a)を参照しながら説明する。時刻t31にて輝度制御信号PWMの入力が開始され、その電圧レベルがローレベルからハイレベルに立ち上げられると、その立上がりエッジをトリガとして、イネーブル信号ENがローレベルからハイレベルにセットされる。LEDドライバ部20を形成する基準電圧生成部201(図5では不図示)は、上記したイネーブル信号ENのハイレベル遷移を受けて動作状態となり、基準電圧Vrefの生成を開始する。基準電圧Vrefは、所定の起動時間をかけて目標となる電圧レベルまで立ち上がり、以後、その電圧レベルに保持される。
【0056】
また、時刻t31において、カウンタ41では、輝度制御信号PWMのパルス数がカウントされ、カウント値「1」が格納される。その後も、時刻t32、時刻t33にて、それぞれ輝度制御信号PWMのパルスが立ち上げられる毎に、カウンタ41のカウント値も「2」、「3」とインクリメントされていく。ただし、カウント値が「4」に達するまでの間、マスク信号MSKはローレベルに維持されるため、マスク処理済みの輝度制御信号PWM’は、外部入力される輝度制御信号PWMの論理レベルに依ることなく、常にローレベルに維持される形となり、LEDドライバ部20における駆動電流Ioの生成は停止された状態となる。
【0057】
その後、時刻t34にて、輝度制御信号PWMの4パルス目が立ち上げられて、カウンタ41のカウント値が「4」に達すると、輝度制御信号PWMの外部入力が開始されてから所定のマスク期間Tmが経過したという判断の下、マスク信号MSKがローレベルからハイレベルにセットされる。その結果、マスク処理済みの輝度制御信号PWM’は、外部入力される輝度制御信号PWMと同一の論理レベルとなり、LEDドライバ部20では、駆動電流IoのPWM駆動が開始され、延いては、LED2の輝度制御(駆動電流Ioの平均値制御)が実施される。
【0058】
次に、ICの立下げ動作について、図6(b)を参照しながら説明する。時刻t35にて輝度制御信号PWMの入力が終了されて以後、その電圧レベルが所定期間Toffに亘ってローレベルに維持されると、リセット信号RSTがハイレベルに立ち上げられ、これをトリガとして、イネーブル信号ENがハイレベルからローレベルにリセットされる。一方、LEDドライバ部20を形成する基準電圧生成部201は、上記したイネーブル信号ENのローレベル遷移を受けて非動作状態となり、基準電圧Vrefの生成を停止する。
【0059】
上記したように、本実施形態のLEDドライバIC1であれば、基準電圧Vrefが目標となる電圧レベルに達していない過渡期において、不安定な駆動電流Ioの生成を禁止することができるので、LED2のPWM駆動をより安定して実施することが可能となる(図6(a)の破線部分を参照)。
【0060】
なお、上記では、第2実施形態の構成にマスク制御部40を追加した構成を例に挙げて説明を行ったが、本発明の構成はこれに限定されるものではなく、第1実施形態の構成にマスク制御部40を追加しても構わない。
【0061】
また、上記では、輝度制御信号PWMの信号経路を導通/遮断する手段として、論理積演算器42を用いた構成を例に挙げて説明を行ったが、本発明の構成はこれに限定されるものではなく、アナログスイッチなどを用いても構わない。
【0062】
また、上記では、カウンタ41で輝度制御信号PWMのパルス数をカウントする構成を例に挙げて説明を行ったが、本発明の構成はこれに限定されるものではなく、リセット制御部30と同様、別途の内部クロック信号をカウントする構成としても構わない。
【0063】
また、上記した第1〜第3実施形態では、本発明をLEDドライバICに適用した構成を例に挙げて説明を行ったが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではなく、単一の外部制御信号を用いて装置自体のオン/オフ制御と負荷のPWM駆動の双方を実現する負荷駆動装置全般に広く適用することが可能である。
【0064】
また、本発明の構成は、上記した第1〜第3実施形態のほか、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、例えば、LEDに駆動電流を供給するLEDドライバIC、並びに、これを用いた照明装置、及び、表示装置に好適な技術である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】は、本発明に係る表示装置の第1実施形態を示す回路ブロック図である。
【図2】は、第1実施形態のPWM動作を説明するための信号波形図である。
【図3】は、本発明に係る表示装置の第2実施形態を示す回路ブロック図である。
【図4】は、第2実施形態のPWM動作を説明するための信号波形図である。
【図5】は、本発明に係る表示装置の第3実施形態を示す回路ブロック図である。
【図6】は、第3実施形態のPWM動作を説明するための信号波形図である。
【図7】は、LEDドライバICの一従来例を示すブロック図である。
【図8】は、従来のPWM動作を説明するための信号波形図である。
【図9】は、PWMデューティと駆動電流Ioとの相関関係を示す図である。
【符号の説明】
【0067】
1 LEDドライバIC(負荷駆動装置)
2 発光ダイオード(LED)
10A イネーブル制御部(平滑回路)
10B イネーブル制御部(ラッチ回路)
101 抵抗
102 キャパシタ
103 バッファ
20 LEDドライバ部(負荷駆動部)
201 基準電圧生成回路
202、203 Pチャネル型MOS電界効果トランジスタ
204〜207 Nチャネル型MOS電界効果トランジスタ
208 抵抗
209 オペアンプ
210 インバータ
30 リセット制御部
40 マスク制御部
41 カウンタ
42 論理積演算器
T1、T2 ピン
EN イネーブル信号
PWM 輝度制御信号
Vref 基準電圧
Vs 平滑電圧
Ia 基準電流
Ib ミラー電流
Io 駆動電流
RST リセット信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部入力されるPWM信号からイネーブル信号を生成するイネーブル制御部と;
前記イネーブル信号に応じてオン/オフ制御され、かつ、前記PWM信号に応じて負荷のPWM駆動を行う負荷駆動部と;
を有して成ることを特徴とする負荷駆動装置。
【請求項2】
前記負荷駆動部は、所定の基準電圧を生成する基準電圧生成回路と、前記基準電圧を電流変換して前記負荷の駆動電流を生成する駆動電流生成回路と、を有して成り、
前記基準電圧生成回路は、前記イネーブル信号に応じて前記基準電圧の生成可否が制御されるものであって、
前記駆動電流生成回路は、前記PWM信号に応じて前記駆動電流の生成可否が制御されるものであることを特徴とする請求項1に記載の負荷駆動装置。
【請求項3】
前記イネーブル制御部は、前記PWM信号を平滑化して前記イネーブル信号を生成する平滑回路であることを特徴とする請求項2に記載の負荷駆動装置。
【請求項4】
前記イネーブル制御部は、前記PWM信号のパルスエッジをトリガとして、前記イネーブル信号を所定の論理レベルに保持するラッチ回路であることを特徴とする請求項2に記載の負荷駆動装置。
【請求項5】
前記PWM信号が所定の論理レベルに維持されている期間をカウントし、そのカウント値が所定値に達したときに、前記イネーブル制御部をリセットするリセット制御部を有して成ることを特徴とする請求項4に記載の負荷駆動装置。
【請求項6】
前記PWM信号の外部入力が開始されてから所定の期間が経過するまで、前記負荷駆動部に対する前記PWM信号の供給を禁止するマスク制御部を有して成ることを特徴とする請求項3〜請求項5のいずれかに記載の負荷駆動装置。
【請求項7】
前記負荷として発光素子が外部接続されることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の負荷駆動装置。
【請求項8】
光源となる発光素子と、前記発光素子に駆動電流を供給する請求項7に記載の負荷駆動装置と、を有して成ることを特徴とする照明装置。
【請求項9】
液晶パネルと、前記液晶パネルを照明する請求項8に記載の照明装置と、を有して成ることを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−51068(P2010−51068A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−211310(P2008−211310)
【出願日】平成20年8月20日(2008.8.20)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】