説明

車載用装置

【課題】予定外の移動や、身近な場所への短距離移動等が発生した場合に、最適な充電量及び充電時間を算出することが可能な電気自動車用の車載用装置を提供する。
【解決手段】本発明の車載用装置は、経路探索を行う経路探索部と、経路探索部により探索された経路を走行するために車載用バッテリに充電すべき充電量を算出する充電管理部とを備えている。充電管理部は、算出した充電量を車載用バッテリに充電するために必要な充電時間を算出し、算出した充電時間を画像又は音声等により通知する。また走行中に、充電時間の算出又は補正に用いた各種情報、例えば搭乗人数やエアコンの使用/未使用等に変更が加えられたか否かを監視し、変更が検知された場合に警告を示す画像を表示部に表示する。これにより、充電量不足により走行不可となる可能性があることを、ユーザに対して通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用装置に関するものであり、特にバッテリにより駆動する電気自動車に搭載されて経路探索を行う経路案内機能を備えた車載用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車の実用化に伴い、電気自動車で使用されることを前提とした様々な車載用装置の開発が進められている。電気自動車はバッテリでモータを駆動し、その駆動力を動力源とする。このため、バッテリの残容量が少なくなった時点で、最寄りの充電スタンドを探し、充電する必要がある。なお充電スタンドとは、ガソリンスタンドのように、電気自動車の充電が行えるスタンドのことを指す。
【0003】
上記に関連して特許文献1には、電気自動車の航続力を考慮して目的地までの最適な誘導経路を探索する経路探索装置が開示されている。この経路探索装置は、充電スタンドに関する情報を含んだ道路地図データに基づいて、バッテリの補充電を考慮した目的地までの誘導経路を探索する。
【0004】
また特許文献2には、目的地に到達した後も次の走行ができるように、注意喚起を行うようにした電気自動車の経路案内システムが開示されている。この経路案内システムは、目的地においてバッテリへの充電が可能か否かを判断し、目的地での充電が不可能と判断したときは、目的地近傍の充電スタンドをディスプレイに表示する。
【特許文献1】特開平10−170293号公報
【特許文献2】特開2003−294463号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1及び特許文献2においては、バッテリの残容量の確保を行うための機能については開示されているが、充電にかかる時間の短縮については、開示も示唆もなされていない。例えば予定外の移動が発生した場合や、身近な場所への短距離移動が発生した場合において、最低限必要な充電だけを行いたい場合、従来と同様に充電スタンドで充電する必要がある。
【0006】
しかしながら、現在の技術においてバッテリを満充電するには、数時間を必要とする。このため、ガソリンの給油のように手軽に行えるものではなく、移動途中のスタンドで何時間も費やして満充電することは現実的ではない。
【0007】
上記の問題に対しては、充電を短時間で済ませるために満充電は行わず、電気自動車に装備されている燃料(残容量)計の目盛りを目安に充電時間を切りつめるか、或いは充電時間対走行可能距離を日々の実績より推定し、時間を切りつめる方法がある。例えば、10分充電すれば10Kmは走行可能といった、ユーザの経験に基づいた充電を行う方法である。
【0008】
しかしこの方法は、あくまでもユーザの感覚に依存するため、確実性がない。走行時には様々な要因、例えばライトの使用やワイパーの使用等により、バッテリの消費電力が常に変化する。このため、容量切れで動けなくなることを回避するために、どうしても多めに充電することとなる。つまり、短時間の充電で済ませることが難しい。
【0009】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、予定外の移動や、身近な場所への短距離移動等が発生した場合に、ユーザが走行したい経路に最適な充電量及び充電時間による充電を可能とした、電気自動車用の車載用装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために本発明の車載用装置は、目的地の指定を受け付けて経路探索を行う経路探索部を備えた車載用装置において、前記経路探索部により探索された経路を電気自動車が走行するために必要な充電量を算出し、前記充電量に基づく充電処理に必要な充電時間を算出し、前記充電時間を通知する充電管理部を備えたことを特徴としている。
【0011】
この構成によると、本発明の車載用装置は、目的地の指定を受け付けて経路探索を行う、経路探索部を備えている。また、経路探索部により探索された経路を走行するために車載用バッテリに充電すべき充電量を算出し、算出した充電量を車載用バッテリに充電するために必要な充電時間を算出し、算出した充電時間を画像又は音声等により通知する。これによりユーザは、目分量や経験に頼ることなく、経路に応じた必要最低限の充電を迅速且つ容易に行うことができる。
【0012】
また上記の目的を達成するために本発明の車載用装置は、GPS(Global Positioning System)装置と、画像の表示を行う表示部と、前記車載用装置に対する指示を受け付ける操作部と、地図情報を記録する記録部とを備え、前記経路探索部が、前記GPS装置により得られた前記電気自動車の位置と、前記操作部により受け付けた目的地と、前記地図情報とに基づいて経路探索を行い、前記充電管理部が、算出した前記充電時間を示す画像を前記表示部に表示することを特徴としている。
【0013】
この構成によると、本発明の車載用装置は、車両位置の経度/緯度情報を取得するGPS装置と、表示部と、操作部と、地図情報を記録する記録部とを備えている。上述の経路探索部は、GPS装置により得られた電気自動車の現在位置と、ユーザより受け付けた目的地と、記録部に記録されている地図情報とから、経路探索を行う。このため、経路探索及び経路に関する情報の取得、例えば距離や高低差等の取得を、容易に行うことができる。また充電管理部は、算出した充電時間を示す画像を表示部に表示する。これにより、ユーザに充電時間を通知することが可能である。
【0014】
また上記の目的を達成するために本発明の車載用装置は、前記充電管理部が、前記経路探索部により探索された経路の距離、高低差、又は探索実行日時に基づいて、前記充電量を算出することを特徴としている。
【0015】
この構成によると、充電管理部は、経路探索部により探索された経路の距離、高低差、又は探索が実施された日時に基づいて、充電量を算出する。つまり、まず走行経路の距離に基づいて充電量を算出した後、車載用バッテリの負荷となる要素である高低差を加味して、必要な充電量を算出する。また、探索が実施された日時に基づき、例えば夜間であればライトの使用が車載用バッテリの負荷となる等の要素を加味して、必要な充電量を算出する。これにより、走行状況にあわせた充電量を算出することが可能である。
【0016】
また上記の目的を達成するために本発明の車載用装置は、前記充電管理部が、前記電気自動車の乗車人数、又は積載重量を受け付け、受け付けた値に基づいて前記充電量の補正を行うことを特徴としている。
【0017】
この構成によると、充電管理部は、予め指定された電気自動車の乗車人数、又は積載重量に基づいて、充電量を補正する。つまり、まず走行経路の距離に基づいて充電量を算出した後、車載用バッテリの負荷となる要素である乗車人数又は積載重量を加味して、充電量の増減を行う。例えば、乗車人数が増えた場合は負荷が増えるため、充電量を増加させる。これにより、走行状況にあわせた充電量を算出することが可能である。
【0018】
また上記の目的を達成するために本発明の車載用装置は、前記充電管理部が、前記電気自動車に搭載されている電子機器の使用/未使用の指定を電子機器毎に受け付け、前記指定に基づいて前記充電量の補正を行うことを特徴としている。
【0019】
この構成によると、充電管理部は、電気自動車に搭載されている電子機器、例えばテレビやエアコン等の使用状況に基づいて、充電量を補正する。つまり、まず走行経路の距離に基づいて充電量を算出した後、車載用バッテリの負荷となる要素である電子機器の消費電力を加味して、充電量の増減を行う。例えば、テレビやエアコンを使用する場合は負荷が増えるため、充電量を増加させる。これにより、走行状況にあわせた充電量を算出することが可能である。
【0020】
また上記の目的を達成するために本発明の車載用装置は、交通情報を受信する交通情報取得部を備え、前記充電管理部が、前記交通情報取得部が取得した交通情報に含まれる渋滞情報に基づいて前記充電量の補正を行うことを特徴としている。
【0021】
この構成によると、VICS(Vehicle Information and Communication System)等により交通情報を取得する交通情報取得部を備えている。充電管理部は、交通情報に含まれる渋滞情報に基づいて、充電量を補正する。つまり、渋滞が発生していることにより巡航速度が低下し、車載用バッテリの消費効率が低下することを加味して、充電量の増減を行う。これにより、走行状況にあわせた充電量を算出することが可能である。
【0022】
また上記の目的を達成するために本発明の車載用装置は、前記経路探索部により探索された経路、及び前記充電管理部により算出された充電量に基づく走行中に、前記充電量の算出、又は補正に用いられた情報の内容変更が発生したか否かを監視し、前記内容変更が検知された場合に、警告を示す画像を前記表示部に表示するバッテリ監視部を備えたことを特徴としている。
【0023】
この構成によると、経路探索部により探索された経路、及び充電管理部により算出された充電量による走行を行っている際に、充電時間算出又は補正に用いた各種情報、例えば搭乗人数やエアコンの使用/未使用等に変更が加えられたか否かを監視するバッテリ監視部を備えている。変更が検知されるとバッテリ監視部は、警告を示す画像を表示部に表示する。これにより、充電量不足により走行不可となる可能性があることを、ユーザに対して通知することができる。
【0024】
また上記の目的を達成するために本発明の車載用装置は、前記バッテリ監視部が、前記経路探索部により探索された経路、及び前記充電管理部により算出された充電量に基づく走行中に、走行経路の変更、又は予め定められた値を超える加速/減速が発生したか否かを監視し、前記変更又は前記加速/減速が検知された場合に、警告を示す画像を前記表示部に表示することを特徴としている。
【0025】
この構成によると、バッテリ監視部は、経路探索部により探索された経路、及び充電管理部により算出された充電量による走行を行っている際に、走行経路の変更、又は所定値を超える急激な加速/減速が行われたかを監視する。これらが検知された場合、バッテリ監視部は、警告を示す画像を表示部に表示する。これにより、充電量不足により走行不可となる可能性があることを、ユーザに対して通知することができる。
【0026】
また上記の目的を達成するために本発明の車載用装置は、前記バッテリ監視部が、前記経路探索部により探索された経路、及び前記充電管理部により算出された充電量に基づく走行中に、前記電気自動車に対して電力の供給を行う車載用バッテリの充電量を監視し、前記充電量では前記経路を完走できないことが検知された場合に、前記経路探索部に対して充電施設への経路探索を指示することを特徴としている。
【0027】
この構成によると、バッテリ監視部は、経路探索部により探索された経路、及び充電管理部により算出された充電量による走行を行っている際に、電気自動車に電力を供給している車載用バッテリの残り充電量を監視する。そして現在の充電量では目的地に到着できないことが検知された場合に、経路探索部に対して、最寄りの充電スタンド(=充電施設)までの経路探索を指示する。これにより、電力不足により走行不能となるのを回避することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、目的地まで走行するのに必要な充電量を、複数の情報、例えば走行距離や高低差、電子機器の使用状況等に基づいて算出する。このため、従来のようにユーザの経験や、充電量を示す計器等に頼りながら充電量を決定する方法と比較して、より精度の高い充電量及び充電時間の算出処理を行うことができる。従って、余分な充電時間を省きながらも、充電量不足の回避を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下に本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、ここで示す実施形態は一例であり、本発明はここに示す実施形態に限定されるものではない。
〈1.内部構成について〉
図1は、本発明の一実施形態に係る車載用装置を搭載した電気自動車100の内部構成示すブロック図である。図1のブロック図に示すように、本発明の車載用装置は、経路案内処理に関連する装置である第一制御部11(=経路探索部)、GPSアンテナ12(=GPS装置)、測位航法装置13(=GPS装置)、LCD(Liquid Crystal Display)14(=表示部)、表示制御部15、操作部16、スピーカ17、フラッシュメモリ18(=記録部)を含むように構成されている。また、バッテリ管理及び車両駆動に関連する装置である、第二制御部21、充電制御回路22、バッテリ23(=車載用バッテリ)、第三制御部31、インバータ回路32、モータ33、及び駆動装置34を含むように構成されている。
【0030】
第一制御部11は、主に経路案内処理に関連する各装置(例えば測位航法装置13)を統括制御するための中央処理装置である。また、後述する第二制御部21や第三制御部31と通信を行うことにより、電気自動車100の各装置へ制御指示を伝達したり、各装置が処理する情報の表示指示を表示制御部15へ行ったりすることが可能である。
【0031】
GPSアンテナ12は、GPS衛星62から発せられる特定の電波(例えば1.575GHzのL1電波等)を受信するための受信機である。GPSアンテナ12は、複数のGPS衛星62から位置情報を受信することが可能である。測位航法装置13は、GPSアンテナ12で受信した信号をデコードし、緯度経度情報を生成するとともに、ジャイロ等を利用した航法装置を備える装置である。
【0032】
LCD14は、電気自動車100が保持する各種情報、例えば地図画像やバッテリ23の残容量等を表示する表示装置である。表示制御部15は、所定の画像データをLCD14の信号フォーマットにあわせた信号にエンコードした後、D/A変換を行い、画像信号を出力する。表示制御部15から出力された画像信号はLCD14に送られ、画像として表示される。
【0033】
操作部16は、ユーザが経路案内指示や、充電処理の開始指示等を行うための入力インタフェースである。操作部16は、例えば複数のプッシュボタンやタッチセンサ等を含むように構成されている。或いは、LCD14と一体型となったタッチパネル形式でもよい。
【0034】
スピーカ17は、音声処理部(不図示)が音声データをデコードしてD/A変換することにより得られたアナログ音声信号により、音声を出力するための拡声器である。フラッシュメモリ18は、電気自動車100が保持する各種データを一時的に記録する記録装置である。フラッシュメモリ18は、例えば充電量の算出処理に用いられる各パラメータ(後述)の値や、電気自動車100の設定データやユーザデータ等を記録する役割を持つ。
【0035】
第二制御部21は、主に電源管理処理に関連する各装置(例えば充電制御回路22)を統括制御するための中央処理装置である。第二制御部21は、第二制御部21が備える演算処理上で所定のプログラムを実行することにより実現される機能部として、バッテリ制御部21a、充電管理部21b、及びバッテリ監視部21cを備えている。なお、各機能部が実施する処理の詳細については後述する。
【0036】
充電制御回路22は、第二制御部21からの制御指示に従い、バッテリ23の残量等の状態を管理/制御する。充電制御回路22は、家庭用交流電源71と商業用交流電源72との両方から電力を受けて、バッテリ23の充電を行うことが可能である。バッテリ23は、外部電源より電力の供給を受け、電力を一時的に備蓄しておく。
【0037】
第三制御部31は、主に車両の駆動制御処理に関連する各装置(例えばモータ33)を統括制御するための中央処理装置である。インバータ回路32は、バッテリ23とモータ33とを接続し、直流電力から交流電力を電気的に生成する役割を持つ。
【0038】
モータ33は、バッテリ23から供給される電力を利用して駆動装置34を駆動する。駆動装置34は、例えばタイヤ(不図示)の回転等を行うことにより、電気自動車100の駆動を行う。
〈2.充電処理について〉
ここで、本発明の一実施形態に係る車載用装置が実施する充電処理の概要を、図6〜図7のフロー図を用いながら説明する。なお、図6及び図7に記述している丸印は処理の接続子を示している。小文字アルファベットの識別子に処理が移行した場合、対応する大文字アルファベットの識別子へ処理が移行する。例えば、接続子aに処理が移行した場合は接続子Aへ、接続子bに処理が移行した場合は接続子Bへ、それぞれ処理が移行するものとする。
【0039】
図6に示す処理フローは、電気自動車100の主電源が投入され、且つ充電可能状態となった場合に開始される。なお充電可能状態とは、例えば家庭用電源71又は商業用電源72を接続する接続端子(不図示)の保護カバーが開かれた場合や、接続端子に外部電源が接続された場合等を指すものとする。ただし充電可能状態となったとしても、ユーザからの充電開始指示を検知するまでは本処理の実施を行わず、指示待ちの待機状態となる形態でもよい。
【0040】
本処理の開始後、充電管理部21bはステップS110において、充電を行うか否かの選択指示をユーザから受け付けるための充電画面をLCD14に表示する。上記充電画面において充電指示を受け付けたか否かにより、ステップS120において処理の分岐を行う。充電指示を受け付けなかった場合、本処理を終了する。充電指示を受け付けた場合、充電管理部21bはステップS130において、最小充電を行うか否かの選択指示をユーザから受け付けるための最小充電画面(図2(a))をLCD14に表示する。
【0041】
最小充電画面において最小充電指示を受け付けたか否かにより、ステップS130において処理の分岐を行う。最小充電指示を受け付けなかった場合、つまり図2(a)において「いいえ」が選択された場合、充電管理部21bはステップS131において、満充電を実施するか否かの選択を受け付ける。
【0042】
満充電の実施指示が検知された場合、バッテリ制御部21aはステップS132において、充電制御回路22による満充電を行った後、本処理を終了する。満充電の実施指示が検知されなかった場合、再びステップS110に移行する。
【0043】
説明をステップS130に戻すと、最小充電指示を受け付けた場合、つまり図2(a)において「はい」が選択された場合、充電管理部21bはステップS140において、目的地の設定を受け付ける画面をLCD14に表示する(図2(b))。この画面において目的地の入力がなされると、第一制御部11はステップS150において、測位航法装置15や、フラッシュメモリ18に記録されている地図データ等を用いて、経路探索を行う。この結果、電気自動車100が搭載されている車両の現在位置から目的地までの経路が取得され、LCD14に表示される(図2(c))。
【0044】
次に充電管理部21bはステップS160において、最小充電量を算出するための各種パラメータ(=充電量の補正に用いる情報)の取得を行う。図5は、取得するパラメータの一例を示した模式図である。パラメータには大別して二種類のものが存在し、第一制御部が経路案内処理の処理結果に基づいて取得する第一パラメータ(図5の上側)と、第二制御部がユーザから受け付けて取得する第二パラメータ(図5の下側)とが存在する。
【0045】
第一パラメータは、経路案内処理の処理結果から求められるため、通常はユーザ操作による変更はできない。図5に示す例では、第一パラメータに、目的地までの走行距離、道の高低具合(=高低差)、日時(=探索実施日時)、渋滞状況、ETC(Electronic Toll Collection System)の使用状況が含まれている。走行距離は、その距離が長くなるのに応じて、必要充電量が増加する。道の高低具合は、高低具合が大きくなるのに応じて、必要充電量が増加する。日時は、ライト点灯が必要となる夜間において、必要充電量が増加する。渋滞状況は、VICSにより得られる交通情報から取得するものであり、渋滞距離が長くなるのに応じて、必要充電量が増加する。ETC使用状況は、ETCを使用している場合において、不使用の場合よりも必要充電量が増加する。
【0046】
これに対して第二パラメータは、ユーザからの指定を受けて決定するパラメータであり、任意のタイミングでユーザが変更可能である。図5に示す例では、第二パラメータに、乗車人数/積載重量、天候が含まれている。乗車人数/積載重量は、人数/重量が増えるのに応じて、必要充電量が増加する。天候については、極端に暑い気候、又は極端に寒い気候の場合に、エアコンの稼働等が必要となるため、必要充電量が増加する。また、雨天の場合はワイパー等の稼働が必要となるため、必要充電量が増加する。
【0047】
以上に説明した各パラメータは、例えば個々に所定の係数と関連付けられており、この係数を基準充電量(=走行距離に基づいて算出された充電量)に乗算することにより、必要充電量の算出を行う。例えば、乗車人数のパラメータに一人が設定された場合は係数を1.00、二人が設定された場合は係数を1.01というように、設定人数が増加するのに伴い係数を増加させる。この結果、算出される必要充電量も増加する。
【0048】
このようにパラメータの値に応じた係数を予め定めておくことにより、走行状況に応じた必要充電量を算出することが可能である。なお、パラメータの値と係数との関係は、予め電気自動車100の工場出荷前において調整が行われ、フラッシュメモリ18等の記録媒体に記録されているものとする。
【0049】
次に充電管理部21bはステップS170において、上述した第二パラメータの内容変更を行うか否かの選択要求を、ユーザに対して行う。これに対して内容変更の実施が指示されると、充電管理部21bはステップS180において、パラメータ設定画面(図3(a))をLCD14に表示する。なお、内容変更の実施が指示されなかった場合は、後述するステップS190に移行する。
【0050】
図3(a)に示すようにパラメータ設定画面では、エアコン、Audio、RSES(Rear-Seat Entertainment System)、TV等の使用有無を、ユーザが手動により選択可能である。これらの電子機器を使用する場合、つまりONに設定した場合、消費電力が増加するため、算出される充電量も増加する。
【0051】
パラメータ設定画面においてユーザ操作により各種パラメータの設定が行われると、充電管理部21bは設定値をフラッシュメモリ18に記録する。次に充電管理部21bはステップS190において、上述の第一パラメータ及び第二パラメータに基づいて、経路毎の必要充電量、及び必要充電時間を算出する。
【0052】
なお、充電量に対応する充電時間は、バッテリ23や充電制御回路22の性能等に基づき、予め電気自動車100の工場出荷前に算出され、フラッシュメモリ18等に記録されているものとする。また、算出処理中は、図3(b)に示すような処理経過画面をLCD14に表示する。
【0053】
算出処理が完了すると、充電管理部21bはステップS200において、経路毎の充電時間を示す画面(図3(c))を表示する。なおこの際、充電時間が短い経路を優先的に表示する。そしてこの画面において、何れの経路用の充電を行うかの選択指示を待ち受ける。次に充電管理部21bはステップS210において、選択指示を受け付けたか否かにより処理の分岐を行う。
【0054】
選択指示を受け付けていない場合、再びステップS200に移行する。なお、所定時間を経過しても選択指示を受け付けない場合は、本処理を終了する形態でもよい。選択指示を受け付けた場合、充電管理部21bはステップS220(図7)において、最小充電を開始するか否かを決定するための最終確認画面(図4)を表示する。
【0055】
次に充電管理部21bはステップS230において、最終確認画面における決定指示を受け付けたか否かにより処理の分岐を行う。決定指示を受け付けた場合、つまり図4において「はい」が選択された場合、バッテリ制御部21aはステップS240において、充電制御回路22による充電を開始する。なおこの際、ステップS240、つまり図3(c)の画面で選択された経路の充電時間の長さだけ、充電を行う。
【0056】
次にバッテリ制御部21aはステップS250において、充電が完了したか否かの監視を行う。充電が完了していない場合、再びステップS250に移行し、監視を継続する。充電が完了した場合、ステップS260において、充電完了を示す画面をLCD14に表示し、本処理を終了する。
【0057】
説明をステップS230に戻すと、充電開始に対する決定指示を受け付けなかった場合、つまり図4において「いいえ」が選択された場合、充電管理部21bは各種設定項目の変更を行うための設定変更画面を表示する。そしてステップS231において、設定変更画面において経路の変更指示を受け付けたか否かの判定を行う。
【0058】
受け付けた場合、再びステップS200に移行する。受け付けなかった場合、ステップS232において、パラメータの変更指示を受け付けたか否かの判定を行う。受け付けた場合、再びステップS180に移行する。受け付けなかった場合、ステップS233において、目的地の変更指示を受け付けたか否かの判定を行う。
【0059】
受け付けた場合、再びステップS140に移行する。受け付けなかった場合、ステップS234において、充電方法の変更指示を受け付けたか否かの判定を行う。受け付けた場合、再びステップS130に移行する。受け付けなかった場合、ステップS235において、充電中止指示を受け付けたか否かの判定を行う。
【0060】
受け付けた場合、充電処理を中断し、本処理を終了する。受け付けなかった場合、再びステップS230に移行する。なお、以上に説明した本処理は、例えば電気自動車100の主電源が停止された場合や、充電制御回路22に接続されている外部電源の接続が解除された場合等のタイミングで、中断することが可能である。
〈3.走行中のバッテリ監視処理について〉
ここで、本発明の一実施形態に係る車載用装置が実施する車両走行時のバッテリ監視処理について、図8のフロー図を用いながら説明する。
【0061】
図8に示すフローは、図6及び図7による経路探索及び最小充電が行われ、且つ電気自動車100の走行が開始されたことを第一制御部11が検知することにより、開始される。
【0062】
本処理の開始後、第一制御部11はステップS310において、図6及び図7の処理で指定された指定経路を走行中であるか否かを、GPSアンテナ12及び測位航法装置13により判定する。指定経路から外れていると判定された場合、バッテリ監視部21cはステップS311において、警告の通知を行う。これは例えば、充電量が足りなくなる可能性がある旨を示す警告画像をLCD14に表示する、又は通知音声をスピーカ17から出力することにより行う。
【0063】
指定経路から外れていないと判定された場合、バッテリ監視部21cはステップS320において、設定パラメータの変更が検知されたか否かを判定する。なお設定パラメータの変更は、例えば操作部16による設定変更操作を受け付けた際に、パラメータ設定画面をLCD14に表示することにより実施可能である。
【0064】
パラメータの変更が検知された場合、ステップS311に移行する。パラメータの変更が検知されていない場合、バッテリ監視部21cはステップS330において、モータ33及び駆動装置34による車両の急加速/急減速が、第三制御部31により検知されたか否かを判定する。
【0065】
急加速/急減速が検知された場合、ステップS311に移行する。急加速/急減速が検知されていないと判定された場合、バッテリ監視部21cはステップS340において、目的地までの充電量がバッテリ23に蓄電されているか否かを判定する。
【0066】
蓄電されていると判定された場合、再びステップS310に移行する。蓄電されていない、つまり充電量が不足していると判定された場合、バッテリ監視部21cはステップS350において、充電が必要である旨を示す画像や音声の出力を、LCD14やスピーカ17により行う。
【0067】
次に第一制御部11はステップS360において、フラッシュメモリ18に記録されている地図情報や、測位航法装置13が算出する現在位置から、最寄りの充電スタンドを探索する。そして探索結果をLCD14に表示した後、本処理を終了する。なお充電量が不足している場合、目的地の変更要求を行い、変更指示を待ち受ける状態に移行する形態でもよい。
【0068】
以上に説明した本実施形態によれば、現在地から目的地までに必要となる充電量及び充電時間を図5に示すパラメータに基づいて算出する。このため、ユーザの経験や、充電量を示す計器等に頼りながら充電量を決定する場合と比較して、より精度の高い充電量及び充電時間を算出することができる。従って、余分な充電時間を省きながらも、充電量不足の回避を行うことができる。これにより例えば、近所に買い物に行く等の短距離移動を行う際に、必要最低限の充電を迅速に行うことができる。
[その他の実施の形態]
以上、好ましい実施の形態及び実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は必ずしも上記実施の形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内において様々に変形して実施することができる。
【0069】
従って本発明は、以下の形態にも適用可能である。
(A)上記実施形態では、各パラメータの値に対応する係数を基準充電量に乗算することにより必要充電量を算出しているが、係数を用いずに必要充電量を算出する方法でもよい。例えば、所定のパラメータが閾値を超えるか否かを判定し、閾値を超える場合に基準充電量を所定量だけ増加させる等の算出方法により、必要充電量を算出する形態でもよい。
【0070】
(B)上記実施形態では、図8のステップS340において充電が必要となった場合、自動的に充電スタンドを探索する処理を行っているが、充電が必要となった時点でユーザからのスタンド探索指示を待ち受ける状態に移行し、指示を受けた時点で充電スタンドを探索する形態でもよい。又は、充電量が所定値を下回った時点で充電スタンドを探索する形態でもよい。これにより、スタンド探索を行う頻度を減らし、第一制御部11にかかる負荷を低減することができる。
【0071】
(C)上記実施形態では、本発明の各種処理に関わる第二制御部21の各種機能部が、マイクロプロセッサ等の演算処理装置上でプログラムを実行することにより実現されているが、各種機能部が複数の回路により実現される形態でもよい。
【0072】
(D)上記実施形態では、電気自動車100が、経路案内処理に関連する装置(第一制御部11〜フラッシュメモリ18)とバッテリ及び車両の駆動に関連する装置(第二制御部21〜駆動装置34)との両方を車内に備えている形態を例に説明したが、必ずしもこれら全てが車内に備えられている必要はない。例えば、充電管理部21bやバッテリ監視部21cの一部又は全ての機能が、通信網に存在する通信装置により実現され、電気自動車100が通信網を介して通信装置と通信を行うことにより、本発明を実施する形態でもよい。
【0073】
(E)上記に関連して、第一制御部11が充電管理部21b及び/又はバッテリ監視部21cを備える形態でもよい。つまり、第一制御11が備える演算処理装置上で所定のプログラムを実行することにより、充電管理部21b及び/又はバッテリ監視部21cを実現する形態でもよい。この場合、第一制御部11〜フラッシュメモリ18を含む車載用装置を独立したナビゲーション装置とすることにより、前記車載用装置を搭載する車両を適宜変更することが可能である。これにより、本発明の充電管理機能及び/又はバッテリ監視機能を備えた車載用装置の提供をより簡易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の車載用装置を搭載した電気自動車の装置構成を示すブロック図である。
【図2】充電実施画面の一例を示す画面図である。
【図3】充電実施画面の一例を示す画面図である。
【図4】充電実施画面の一例を示す画面図である。
【図5】パラメータの一例を示す模式図である。
【図6】充電処理を示すフロー図である。
【図7】充電処理を示すフロー図である。
【図8】走行中におけるバッテリ監視処理を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0075】
100 電気自動車
11 第一制御部(経路探索部)
12 GPSアンテナ(GPS装置)
13 測位航法装置(GPS装置)
14 LCD(表示部)
16 操作部
18 フラッシュメモリ(記録部)
21 第二制御部
21a バッテリ制御部
21b 充電管理部
21c バッテリ監視部
23 バッテリ(車載用バッテリ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地の指定を受け付けて経路探索を行う経路探索部を備えた車載用装置において、
前記経路探索部により探索された経路を電気自動車が走行するために必要な充電量を算出し、前記充電量に基づく充電処理に必要な充電時間を算出し、前記充電時間を通知する充電管理部を備えたこと
を特徴とする車載用装置。
【請求項2】
GPS(Global Positioning System)装置と、
画像の表示を行う表示部と、
前記車載用装置に対する指示を受け付ける操作部と、
地図情報を記録する記録部とを備え、
前記経路探索部が、前記GPS装置により得られた前記電気自動車の位置と、前記操作部により受け付けた目的地と、前記地図情報とに基づいて経路探索を行い、
前記充電管理部が、算出した前記充電時間を示す画像を前記表示部に表示すること
を特徴とする請求項1に記載の車載用装置。
【請求項3】
前記充電管理部が、前記経路探索部により探索された経路の距離、高低差、又は探索実行日時に基づいて、前記充電量を算出すること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車載用装置。
【請求項4】
前記充電管理部が、前記電気自動車の乗車人数、又は積載重量を受け付け、受け付けた値に基づいて前記充電量の補正を行うこと
を特徴とする請求項3に記載の車載用装置。
【請求項5】
前記充電管理部が、前記電気自動車に搭載されている電子機器の使用/未使用の指定を電子機器毎に受け付け、前記指定に基づいて前記充電量の補正を行うこと
を特徴とする請求項3に記載の車載用装置。
【請求項6】
交通情報を受信する交通情報取得部を備え、
前記充電管理部が、前記交通情報取得部が取得した交通情報に含まれる渋滞情報に基づいて前記充電量の補正を行うこと
を特徴とする請求項3に記載の車載用装置。
【請求項7】
前記経路探索部により探索された経路、及び前記充電管理部により算出された充電量に基づく走行中に、前記充電量の算出、又は補正に用いられた情報の内容変更が発生したか否かを監視し、前記内容変更が検知された場合に、警告を示す画像を前記表示部に表示するバッテリ監視部を備えたこと
を特徴とする請求項2乃至請求項6に記載の車載用装置。
【請求項8】
前記バッテリ監視部が、前記経路探索部により探索された経路、及び前記充電管理部により算出された充電量に基づく走行中に、走行経路の変更、又は予め定められた値を超える加速/減速が発生したか否かを監視し、前記変更又は前記加速/減速が検知された場合に、警告を示す画像を前記表示部に表示すること
を特徴とする請求項7に記載の車載用装置。
【請求項9】
前記バッテリ監視部が、前記経路探索部により探索された経路、及び前記充電管理部により算出された充電量に基づく走行中に、前記電気自動車に対して電力の供給を行う車載用バッテリの充電量を監視し、前記充電量では前記経路を完走できないことが検知された場合に、前記経路探索部に対して充電施設への経路探索を指示すること
を特徴とする請求項7に記載の車載用装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−32459(P2010−32459A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−197359(P2008−197359)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】