説明

高表面品質GaNウェーハおよびその製造方法

【課題】優れた表面品質をGa側にて有するAlGaInN半導体ウェーハおよびそのようなウェーハの製造方法を実現する。
【解決手段】ウェーハのGa側における10×10μm面積内で1nm未満の根二乗平均表面粗さを特徴とする、AlGaInN(式中、0<y≦1およびx+y+z=1)を含む高品質ウェーハ。このようなウェーハは、例えばシリカまたはアルミナなどの研磨粒子と酸または塩基とを含む化学的機械研磨(CMP)スラリーを用いて、そのGa側にてCMPに付される。このような高品質AlGaInNウェーハの製造方法はラッピング工程、機械研磨工程、およびその表面品質を更に高めるための熱アニールまたは化学エッチングによるウェーハの内部応力を低下させる工程を含んでよい。このCMP方法はAlGaInNウェーハのGa側における結晶欠陥を強調するために有用に適用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は優れた表面品質をGa側にて有するAlGaInN(式中、0<y≦1およびx+y+z=1)半導体ウェーハに関し、また、そのようなウェーハの製造方法に関する。
【関連技術の説明】
【0002】
GaNおよびこれに関連する、一般式AlGaInN(式中、0<y≦1およびx+y+z=1)で表されるGaN様のIII−V窒化物結晶膜は、例えば高温エレクトロニクス、パワーエレクトロニクスおよび光エレクトロニクス(例えば発光ダイオード(LED)および青色光レーザダイオード(LD))などの様々な用途において有用な材料である。青色発光ダイオード(LED)およびレーザは光磁気メモリおよびCDROMにおける極めて高い記録密度ならびにフルカラー発光ディスプレイの構築を可能にし、実現する技術である。青色発光ダイオードは道路および鉄道の信号などにおける今日の白熱電球に取って代わることができ、これによりコストおよびエネルギーの実質的節約を約束するものである。
【0003】
現在、AlGaInN膜は、高品質AlGaInN基板を利用できないため、例えばサファイアまたはシリコンカーバイドなどのネイティブでない基板上に成長させている。しかしながら、そのような異種基板とその上にエピタキシャル成長したAlGaInN結晶との間の熱膨張率および格子定数の違いにより、成長したAlGaInN結晶中には著しい熱応力および内部応力が存在することとなる。熱応力および内部応力はAlGaInN結晶におけるマイクロクラック、歪みおよび他の欠陥を招き、また、そのようなAlGaInN結晶を壊れ易くする。格子不整合な異種基板上での成長により格子欠陥密度を増大させ、デバイス性能の低下をもたらす。
【0004】
成長したAlGaInN結晶における有害な熱応力および高い欠陥密度を低下させるため、膜成長基板として上述の異種基板に代えて高品質のフリースタンディングAlGaInNウェーハを提供することが望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
「単結晶GaN物品の製造方法(Method for Making a Single Crystal Ga*N Article)」を発明の名称とする米国特許第5,679,152号および「バルク単結晶窒化ガリウムおよびその製造方法(Bulk Single Crystal Gallium Nitride and Method of Making Same)」を発明の名称とする米国特許第5,679,153号はフリースタンディングAlGaInN結晶を製造するハイドライド気相エピタキシー(HVPE)法を開示しており、この結晶はその上にAlGaInN結晶をホモエピタキシャル成長させるための結晶成長基板として好都合に用いることができる。
【0006】
後で成長させたAlGaInN結晶の品質はAlGaInN結晶が成長する基板表面および表面近傍領域の品質と直接的に関連しているため、表面および準表面(または表層)ダメージ(または加工変質層)のない、平坦度の高い初期基板表面を提供することが重要である。
【0007】
しかしながら、機械研磨後、AlGaInN結晶は通常、極めて低い表面品質を有し、実質的な表面および準表面ダメージおよび研磨スクラッチ(または掻き傷)を有する。従って、フリースタンディングAlGaInN結晶の表面品質を更に高め、よって、高品質エピタキシャル成長およびその上へのデバイス作製に適当なものとするためには追加のウェーハ仕上げ処理(または加工)を要する。
【0008】
結晶性AlGaInNは一般的に、化学的に安定なウルツ鉱型構造で存在する。AlGaInN化合物の最も一般的な結晶方位はそのc軸に対して垂直な2つの極性表面を有するものであり、一方側はNで終端されており、もう一方側はGaで終端されている(以下、結晶構造のGa側という場合においてGaは単なる例示に過ぎず、別のIII族(AlGaIn)結晶組成、例えばGaInN結晶において対応するGaIn側、AlGaInN結晶において対応するAlGaIn側、およびAlGaN結晶において対応するAlGa側を代表するものとして理解される)。
【0009】
結晶の極性は結晶表面の成長形態および化学的安定性に大きく影響する。AlGaInN結晶のN側はKOHまたはNaOH系溶液に対して化学反応性であり、他方、この結晶のGa側は極めて安定であり、殆どの常套的な化学エッチャントに対して反応しないことが解っている。よって、N側はKOHまたはNaOHの水溶液を用いて容易に研磨(またはポリッシング)でき、機械研磨プロセスにより残っている表面ダメージおよびスクラッチを除去し、平坦度の高い表面を得ることができる。
【0010】
他方、AlGaInN結晶のGa側(AlGaIn側)はKOHまたはNaOH溶液と接触した後も実質的に同じままであり、その表面ダメージおよびスクラッチはそのような溶液によって変わることはない。Wayherら、「バルクおよびエピタキシャルGaNの化学的研磨(Chemical Polishing of Bulk and Epitaxial GaN)」、J. CRYSTAL GROWTH、第182巻、第17〜22頁、1997年を参照のこと、また、Porowskiら、「GaNおよびGa1−x−yAlInNの結晶およびエピタキシャル層の機械−化学的研磨(Mechano-Chemical Polishing of Crystals and Epitaxial Layers of GaN and Ga1-x-yAlxInyN)」を発明の名称とする国際特許出願公開公報WO98/45511も参照のこと。
【0011】
しかしながら、AlGaInN結晶のGa側はN側より優れた膜成長表面であることが解っている。Miskyら、「フリースタンディングHVPE−GaN基板におけるMOCVDエピタキシー(MOCVD-Epitaxy on Free-Standing HVPE-GaN Substrates)」、PHYS. STAT. SOL. (A)、第176巻、第443〜46頁、1999年を参照のこと。従って、後続のその上への結晶成長に対して適切なものとなるようにAlGaInN結晶のGa側を作製するのに特に有効なウェーハ仕上げプロセスを提供することが重要である。
【0012】
近年、反応性イオンエッチング(RIE)がAlGaInNウェーハのGa側から表面材料層を除去してより滑らかなウェーハ表面を得るために用いられている。Karoutaら、「反応性イオンエッチングを用いるGa極性GaN基板の仕上げ研磨(Final Polishing of Ga-Polar GaN Substrates Using Reactive Ion Etching)」、J. ELECTRONIC MATERIALS、第28巻、第1448〜51頁、1999年を参照のこと。しかしながら、そのようなRIEプロセスは、より深いスクラッチの除去に対しては有効でなく、また、イオンボンバードメントによる更なるダメージおよび付随する汚染物質による更なる表面凹凸(irregularity)をもたらし、今度はOプラズマ中におけるGaNウェーハの追加の洗浄を要することとなるため満足できるものではない。
【0013】
従って、AlGaInNウェーハに対し、そのGa側にて表面および準表面ダメージまたは汚染を実質的になくし、またはわずかにして、高い表面品質を付与することが好都合である。また、そのようなAlGaInNウェーハを経済的かつ効果的で、研磨の間またはその後に煩わしい洗浄プロセスを要しない表面研磨プロセスによって製造することが望ましい。
【発明の要旨】
【0014】
本発明は概して、優れた表面品質をGa側にて有するAlGaInN(式中、0<y≦1およびx+y+z=1)ウェーハに関し、また、そのようなウェーハの製造方法にする。
【0015】
本発明の1つの要旨は、そのようなタイプの高品質AlGaInNウェーハであって、ウェーハのGa側における10×10μm面積内で1nm未満の根二乗平均(RMS)粗さを特徴とする表面粗さを有するウェーハに関する。
【0016】
徐々に好ましさの程度が高くなる範囲で、そのようなウェーハのGa側でのRMS表面粗さは次の範囲内にある:(1)10×10μm面積内で0.7nm未満;(2)10×10μm面積内で0.5nm未満;(3)2×2μm面積内で0.4nm未満;(4)2×2μm面積内で0.2nm未満;および(5)2×2μm面積内で0.15nm未満。
【0017】
本発明によるAlGaInNウェーハは好ましくは、原子間力顕微鏡で観察した場合にそのGa側における規則的なステップ構造を特徴とする。
【0018】
本発明によるAlGaInNウェーハは好ましくは、そのGa側におけるAlGaInNウェーハの結晶欠陥が1μm未満の直径を有する小さいピットを構成することを特徴とする。そのような寸法を有する小さいピットは原子間力顕微鏡(AFM)および走査型電子顕微鏡(SEM)技術のいずれによっても容易に認められるが、同時に、このようなピットはAlGaInNウェーハ表面に著しいダメージを与えるものでなく、よって、後にその上に成長するAlGaInN結晶の品質を損なうものではない。
【0019】
このような高品質AlGaInN結晶ウェーハは、シリカまたはアルミナを含有する化学的機械研磨(CMP)スラリー組成物を用いてAlGaInNウェーハブランク(blank、または未加工ウェーハ)をそのGa側にて化学的機械研磨(CMP)することによって容易に製造される。そのようなCMPプロセスにより、AlGaInNウェーハの結晶欠陥(直径1μm未満の小さいピットにより確認される)を容易に視認可能にすることができる。
【0020】
本発明のもう1つの要旨は、上述の本発明のAlGaInNウェーハ上に成長したエピタキシャルAlx’Gay’Inz’N膜(式中、0<y’≦1およびx’+y’+z’=1)を含むエピタキシャルAlGaInN結晶構造体に関する。そのようなエピタキシャルAlGaInN結晶構造体は好ましくはウルツ鉱型結晶性薄膜を含むが、特定の半導体、電子または光電子用途に対して適切な任意の他の適当な形態または構造であってよい。このエピタキシャル膜の組成はウェーハ基板の組成と同様であっても、異なっていてもよい。エピタキシャルAlGaInN結晶構造体は、上述の本発明のAlGaInNウェーハ上に順次成長した、組成またはドーピングの異なるいくつかのエピタキシャルAlx’Gay’Inz’N膜を含んでいてよい。エピタキシャル膜はグレーデッド組成を有していてよく、即ち、エピタキシャル膜の組成は基板とエピタキシャル膜との間の境界からの距離につれて変化してよい。本明細書において使用する場合、用語「薄膜」は約100μm未満の厚さを有する材料層を意味する。
【0021】
また、本発明のもう1つの要旨は、上述の本発明のAlGaInNウェーハ上に成長した少なくとも1つのそのようなエピタキシャルAlGaInN結晶構造体を含む光電子デバイスに関する。
【0022】
本発明の更なる要旨は、上述の本発明のAlGaInNウェーハ上に成長した少なくとも1つのそのようなエピタキシャルAlGaInN結晶構造体を含むマイクロ電子デバイスに関する。
【0023】
本発明の更なる要旨は、上述の本発明のAlGaInNウェーハ上に成長したエピタキシャルAlGaInN結晶構造体を含むAlGaInNブールに関する。ブール(boule:または元結晶)とは、少なくとも2枚のウェーハへとスライスできるものとして定義される。AlGaInNブールは、ハイドライド気相エピタキシー法(HVPE)、有機金属塩化物(MOC)法、有機金属化学気相堆積法(MOCVD)、昇華法、液相成長法などの任意の適当な方法で成長させることができる。
【0024】
更なる要旨において、本発明はAlGaInNウェーハをそのGa側にて化学的機械研磨(CMP)する方法であって、
200nm未満の粒子寸法を有する研磨アモルファスシリカ粒子と、
少なくとも1種の酸と、
場合により、少なくとも1種の酸化剤と
を含むCMPスラリーを用い、CMPスラリーのpH値は約0.5〜約4の範囲にある方法を意図する。
【0025】
CMPスラリー中の研磨アモルファスシリカ粒子は、例えばヒュームドシリカまたはコロイダルシリカを含み得る。CMPスラリー中のアモルファスシリカ粒子は約10nm〜約100nmの範囲にある平均粒子寸法を有することが好ましい。
【0026】
好ましい構成上の要旨において、本発明のCMPスラリーは少なくとも1種の酸化剤、例えば過酸化水素またはジクロロイソシアヌル酸などを含む。
【0027】
そのようなCMPスラリーのpH値は約0.6〜約3の範囲にあることが好ましく、約0.8〜約2.5の範囲にあることがより好ましい。
【0028】
本発明の更なる要旨は、AlGaInNウェーハをそのGa側にて化学的機械研磨(CMP)する方法であって、
200nm未満の粒子寸法を有する研磨コロイダルアルミナ粒子と、
少なくとも1種の酸と、
場合により、少なくとも1種の酸化剤と
を含むCMPスラリーを用い、CMPスラリーのpH値は約3〜約5の範囲にある方法に関する。
【0029】
CMPスラリー中の研磨コロイダルアルミナ粒子は約10nm〜約100nmの範囲にある粒子寸法を有することが好ましい。
【0030】
好ましい構成上の要旨において、本発明のCMPスラリーは、少なくとも1種の酸化剤、例えば過酸化水素またはジクロロイソシアヌル酸などを含む。
【0031】
そのようなCMPスラリーのpH値は約3〜約4の範囲にあることが好ましい。
【0032】
本発明の更なる要旨は、AlGaInNウェーハをそのGa側にて化学的機械研磨(CMP)することであって、
200nm未満の粒子寸法を有するアモルファスシリカ粒子と、
少なくとも1種の塩基と、
場合により、少なくとも1種の酸化剤と
を含むCMPスラリーを用い、CMPスラリーのpH値は約8〜約13.5の範囲にある方法に関する。
【0033】
そのようなCMPスラリー中のアモルファスシリカ粒子は約10nm〜約100nmの範囲にある粒子寸法を有するヒュームドシリカ粒子、または約10nm〜約100nmの範囲にある粒子寸法を有するコロイダルシリカ粒子を含むことが好ましい。
【0034】
本発明の実施に有用な塩基は、これらに限定されるものではないが、アンモニア、アルカノールアミンおよび水酸化物、例えばKOHまたはNaOHを含む。アンモニアおよびアルカノールアミンはCMPスラリーを安定化するようにも機能するので特に好ましい。
【0035】
そのようなCMPスラリーは少なくとも1種の酸化剤、例えば過酸化水素またはジクロロイソシアヌル酸などを含む。
【0036】
そのようなCMPスラリーのpH値は約9〜約13の範囲にあることが好ましく、pH値が約10〜約11の範囲にあることがより好ましい。
【0037】
本発明の更なる要旨は、AlGaInNウェーハの結晶欠陥密度を容易に測定するためにAlGaInNウェーハのそのGa側における結晶欠陥を強調する方法であって、
AlGaInNウェーハを供給する工程、
上述の本発明のCMP方法の1つに従って、ウェーハをそのGa側にて化学的機械研磨する工程、
研磨したAlGaInNウェーハを洗浄および乾燥する工程、および
ウェーハ中の欠陥密度を測定するために原子間力顕微鏡または走査型電子顕微鏡でウェーハをスキャンする工程
を含む方法に関する。
【0038】
CMPプロセスは本明細書に上述したような酸性シリカスラリーを用いて実施することが好ましい。
【0039】
また、本発明のもう1つの要旨は、高品質AlGaInNウェーハを製造する方法であって、
約100μm〜約1000μmの範囲にある厚さを有するAlGaInNウェーハブランクを供給する工程、
場合により、AlGaInNウェーハの内部応力を低下させる工程、
場合により、約5μm〜約15μmの範囲にある平均粒子寸法を有する研磨材を含むラッピングスラリーを用いてAlGaInNウェーハブランクをそのN側にてラッピングする工程、
場合により、約0.1μm〜約6μmの範囲にある平均粒子寸法を有する研磨材を含む機械研磨スラリーを用いてAlGaInNウェーハブランクをそのN側にて機械研磨する工程、
場合により、約5μm〜約15μmの範囲にある平均粒子寸法を有する研磨材を含むラッピングスラリーを用いてAlGaInNウェーハブランクをそのGa側にてラッピングする工程、
約0.1μm〜約6μmの範囲にある平均粒子寸法を有する研磨材を含む機械研磨スラリーを用いてAlGaInNウェーハブランクをそのGa側にて機械研磨する工程、
少なくとも1種の化学反応物質と200nm未満の平均粒子寸法を有する研磨コロイダル粒子とを含むCMPスラリーを用いてAlGaInNウェーハをそのGa側にて化学的機械研磨する工程、および
場合により、AlGaInNウェーハの内部応力を更に低下させ、および表面品質を向上させるようにマイルド(または穏やかに)エッチングする工程
を含み、得られるAlGaInNウェーハは、ウェーハのGa側における10×10μm面積内で1nm未満の根二乗平均(RMS)表面粗さを有する方法に関する。
【0040】
AlGaInNウェーハブランクは任意の適当な方法により、例えば(1)AlGaInNブールを成長させ、その後、これをウェーハブランクへとスライスすること、あるいは(2)厚いAlGaInN膜を異種基板上に成長させ、その後、この厚い膜を基板から分離することにより作製できる。ウェーハブランクはc軸がウェーハ表面に対して垂直になるように向き決めされていてよく、あるいはウェーハブランクは後のエピタキシー成長、デバイス加工またはデバイス設計を容易にするように意図的にわずかに食違って(misorient)いて(c軸がウェーハ表面に対して垂直でなくて)よい。
【0041】
AlGaInNウェーハブランクは、例えばそのようなAlGaInNウェーハとこれがその上で成長する異種基板との間の温度係数および格子定数の相違によって生じる内部応力を低下させるためのプロセス(または処理)に付してよい。内部応力の低下は、AlGaInNウェーハを熱アニールすること、およびウェーハを化学エッチングすることのいずれによっても実施できる。
【0042】
熱アニールは窒素またはアンモニア雰囲気中、高温(または上昇した温度、例えば約700℃〜約1000℃)にて約1分間〜約1時間実施することが好ましい。
【0043】
AlGaInNウェーハの化学エッチングはこのウェーハから表面材料の層を除去し、これにより該ウェーハの内部応力を緩和するように機能する。化学エッチングプロセスはウェーハの厚さにおいて100μm未満の表面材料を除去することが好ましく、より好ましくは厚さ10μm未満である。
【0044】
AlGaInNウェーハは、高温にて非常に強い酸、例えば硫酸、リン酸またはそれらの組合せによって、および高温にて非常に強い塩基、例えば溶融KOHまたはNaOHによってのいずれでも化学エッチングできる。
【0045】
本発明の実施に好都合に用いられるラッピングスラリー組成物は任意の適当な研磨材、これらに限定されるものではないが、例えばダイアモンド粉末(powder:または微粉)、シリコンカーバイド粉末、ボロンカーバイド粉末およびアルミナ粉末などを含む研磨材を含んでいてよい。好ましくは、ラッピングスラリーは約6μm〜約10μmの範囲にある平均粒子寸法を有するダイアモンド粉末を含む。より好ましくは、2種またはそれ以上のラッピングスラリーでAlGaInNウェーハブランクをラッピングし、各々のより後のラッピングスラリーは段々とより小さくなる平均寸法を有する研磨材を含む。例えば、AlGaInNウェーハブランクは、約8μm〜約10μmの平均寸法を有する研磨材を含む第1スラリーによって、その後、約5μm〜約7μmの平均寸法を有する研磨材を含む第2スラリーによってラッピングしてよい。
【0046】
同様に、本発明において有用な機械研磨スラリーは、これらに限定されるものではないが、ダイアモンド粉末、シリコンカーバイド粉末、ボロンカーバイド粉末およびアルミナ粉末などを含む任意の適当な研磨材を含んでいてよい。約0.1μm〜約3μmの範囲にある平均粒子寸法を有するダイアモンド粉末が特に好ましい。また、機械研磨工程も2種またはそれ以上の機械研磨スラリーを適用してもよく、各々のより後の機械研磨スラリーは次第により小さくなる平均寸法を有する研磨材を含む。例えば、約2.5μm〜約3.5μmの平均寸法を有する研磨材を含む第1機械研磨スラリーを用いることができ、その後、約0.75μm〜約1.25μmの平均寸法を有する研磨材を含む第2機械研磨スラリーを、その後、約0.35μm〜約0.65μmの平均寸法を有する研磨材を含む第3機械研磨スラリーを、その後、約0.2μm〜約0.3μmの平均寸法を有する研磨材を含む第4機械研磨スラリーを、そして最後に、約0.1μm〜約0.2μmの平均寸法を有する研磨材を含む第5機械研磨スラリーを用いることができる。
【0047】
CMPスラリーは少なくとも1種の化学反応物質を含み、これは酸および塩基のいずれであってもよい。酸の場合にはCMPスラリーのpH値は約0.5〜約4の範囲にある値に調節することが好ましく、代わりに塩基である場合にはそのようなスラリーのpH値は約8〜約13.5の範囲にある値に調節することが好ましい。
【0048】
CMPの後、AlGaInNウェーハは、ウェーハの応力を更に低下させ、および表面品質を向上させるための追加のプロセスに付してよい。この目的のためにはマイルド(または穏やかな)エッチングが好ましい。マイルドエッチングは、ダメージを受けていないGa側表面をエッチングすることなく、仕上げCMP研磨からのGa側表面にあるいくらかの残留表面ダメージを除去でき、よって、表面品質を向上させることができる。また、マイルドエッチングはN側表面のダメージも除去でき、よって、表面ダメージにより生じるウェーハにおけるストレスを低下させることができる。また、このマイルドエッチングはN側表面をマット仕上げすることもできる。例えば、ウェーハは塩基(例えばKOHまたはNaOH)の水溶液または酸(例えばHF、HSOまたはHPO)の水溶液中で、水溶液の沸点(典型的には約100℃)未満の温度にてわずかにエッチングすることができる。
【0049】
本発明の他の要旨、特徴および態様は次の説明および特許請求の範囲からより十分に明らかになるであろう。
【発明の詳細な説明およびその好ましい態様】
【0050】
本発明による高品質AlGaInNウェーハの製造は、以下により十分に説明するような、フリースタンディングAlGaInNウェーハブランクの作製、ラッピング、機械研磨、化学的機械研磨および内部応力の低下を含むプロセス工程によって容易に行われる。
【0051】
フリースタンディングAlGaInNウェーハブランクは様々な任意の適当な方法によって得られる。1つの方法は、まずAlGaInNブールを成長させ、その後、これをスライスしてウェーハブランクとすることを含むものである。AlGaInNウェーハブランクを作製するもう1つの方法は、(1)例えばハイドライド気相エピタキシー法(HVPE)、有機金属塩化物(MOC)法、有機金属化学気相堆積法(MOCVD)、昇華法などの適当な方法を用いて、厚いAlGaInN膜を異種基板上に成長させる工程、およびその後(2)異種基板を研磨またはエッチングすることによって、レーザ誘起リフトオフプロセスによってまたは他の適当な技術によって、異種基板を厚いAlGaInN膜から分離する工程を利用するものである。
【0052】
一例として、HVPEプロセス技術を用いて、約400μm厚さのGaN膜をサファイア基板上に成長させることができる。
【0053】
そのようなウェーハブランクの結晶方位を識別するため、例えばフラットなどのマークがウェーハに形成されていてよい。AlGaInNウェーハブランクは、後続のウェーハブランクのマウントおよび加工が容易なように、例えば粒子線によって、円形にされていてよい。
【0054】
フリースタンディングAlGaInNウェーハブランクを取付け具(または治具)にマウントすることにより、必要なとおりに容易にラッピングまたはポリッシング(または研磨)することができる。ウェーハブランクはウェーハブランクを保持するための凹部を有するテンプレート(または型板)上にマウントすることができる。別法では、ウェーハブランクは平坦なテンプレート上に、例えば(1)そのようなテンプレートをホットプレート上で加熱し、(2)そのようなテンプレートにワックスを塗布(または適用)し、および(3)ウェーハブランクをワックス塗布テンプレートに対して押し付けることによって、マウントすることができる。テンプレートが冷えた後、ワックスは固まって、ウェーハブランクをテンプレート上に保持するように機能する。
【0055】
AlGaInNウェーハブランクがAlGaInNブールから得られたものであり、比較的厚く、均一である場合、そのようなウェーハブランクをマウントするために凹型テンプレートを用いることができ、これはワックス塗布テンプレートよりもプロセス時間が短く、取外しが容易で、および汚染が少ないという利点がある。
【0056】
他方、より壊れやすく、薄く、または厚さがより不均一なAlGaInNウェーハブランク、例えばHVPEプロセスにより得られるウェーハブランクの場合には、凹型テンプレートを用いることは、ラッピングおよび/またはポリッシングプロセスの間にAlGaInNウェーハを壊すという危険性を伴うため、好ましさが劣るであろう。
【0057】
AlGaInNウェーハブランクをマウントするために用いる取付け具は、各ラッピングまたはポリッシング装置に対して適切であり、これに適合する任意の適当なタイプのものであってよい。AlGaInNウェーハの厚さ均一性を向上させる目的で、平面を規定する3つのアジャスタブル・ダイアモンド・ストップを含む特別のラッピング取付け具を利用することができる。ストップにより規定される平面は取付け具表面に対して平行であり、この表面から所定の距離だけ離間している。3つのダイアモンド・ストップはAlGaInNウェーハから表面材料が更に除去されるのを防止するストップ・ポイントとして機能するので、そのような所定の距離はラッピングしたAlGaInNウェーハの最小厚さを規定する。
【0058】
AlGaInNウェーハブランクがその内部に存在する内部応力によってわずかに湾曲しまたは歪んでいる場合、ウェーハをテンプレート上にワックス・マウントする間にウェーハブランクへ加重することが好ましい。そのような目的のための加重のタイプおよび大きさは当該技術分野の知識の範囲内で容易に決定できる。
【0059】
AlGaInNウェーハブランクを適切にマウントした後、ウェーハに平坦な表面を形成するように、定盤表面に研磨粒子(または砥粒)が埋め込まれている定盤(またはラッピングプレート)に対してウェーハブランクを押し付けることによってこれをラッピングできる。ラッピングプロセスを制御するようにウェーハへの圧力を調節できる。
【0060】
同じ研磨材および定盤回転速度を用いる場合、AlGaInNウェーハブランクのラッピング速度(またはレート)は研磨材の粒子寸法の増大に伴って増加する。よって、より大きな研磨粒子はより高速のラッピング速度をもたらすが、より粗いラップ表面を形成する。
【0061】
また、ラッピング速度は使用する研磨材材料の硬度にも依存する。例えば、ダイアモンド粉末はシリコンカーバイド粉末よりも高速のラッピング速度を有し、また、シリコンカーバイド粉末はアルミナ粉末よりも高速のラッピング速度を有する。
【0062】
また、ラッピング速度は使用する定盤のタイプにも依存する。例えば、銅の定盤は鋳鉄板よりも低速のラッピング速度を有するが、銅の定盤は鋳鉄板によって形成されるよりも滑らかなラップ表面をもたらす。
【0063】
最良のラッピング効果を得るためには、例えば処理時間、表面仕上げおよび製造コストなどの多数の因子を考慮しなければならず、研磨材材料、粒子寸法、ラッピング速度およびウェーハ圧力の多数の組合せを本発明の実施に適用できる。AlGaInNウェーハのクラック発生(または割れもしくは欠け)の可能性を低減するために、5psi、好ましくは2psi未満の圧力が好ましい。処理時間を短縮するために、1次研磨には50μm/時より大きいラッピング速度が好ましい。例えばダイアモンド、シリコンカーバイド、ボロンカーバイドおよびアルミナなどの様々な種類の研磨材材料のなかでも、ダイアモンドスラリーは、材料除去速度が大きく、より良好な表面仕上げを形成するので好ましい。
【0064】
AlGaInNウェーハブランクのラッピングは単一工程または複数工程(後続の各ラッピング工程では徐々に粒子寸法が小さくなる研磨材を用いる)のいずれによっても行い得る。各ラッピング工程の後、次の工程に進む前に、前工程からの表面ダメージが実質的に除去されていることを確認するために光学顕微鏡を用いて表面を検査してよい。
【0065】
本発明の1つの例示的な態様において、1psiの圧力下で鋳鉄定盤上でAlGaInNウェーハをラッピングするための9μmのダイアモンド研磨材を含む1種のラッピングスラリーを用いる。ダイアモンド研磨材粒子の寸法はダイアモンドスラリー製造者により規定されており、これはスラリー中のダイアモンド粒子の平均寸法である。
【0066】
本発明のもう1つの例示的な態様において、2種のラッピングスラリーであって、鋳鉄定盤上でAlGaInNウェーハをラッピングするための9μmのダイアモンド研磨材を含む第1ラッピングスラリーと、所望の表面仕上げを得るために銅板上で同じウェーハをラッピングするための6μmのダイアモンド研磨材を含む第2スラリーとを用いる。
【0067】
AlGaInNウェーハをラッピングした後、滑らかな表面形態を得るためにこれを機械研磨することができる。機械研磨プロセスの間、研磨材粒子を有する研磨パッドに対してAlGaInNウェーハを押し付ける。典型的には、研磨プロセスはラッピングよりも(同一寸法のダイアモンドスラリーを用いたとしても)良好な表面仕上げを提供する。研磨は単一工程または複数工程(後続の各研磨工程では徐々に粒子寸法が小さくなる研磨材を用いる)のいずれによっても行い得る。
【0068】
機械研磨プロセスの後、AlGaInNウェーハ表面は比較的滑らかになる。図1は、鏡面仕上げが得られるまで1μmのダイアモンドスラリーで機械研磨した後のGaN表面のノマルスキー光学顕微鏡写真(×100)を示す。しかしながら、このようなAlGaInNウェーハは著しい表面および準表面ダメージがまだ存在するのでAlGaInN結晶をホモエピタキシャル成長させるには適さない。この表面ダメージは、図2に示すように、原子間力顕微鏡(AFM)の下で視認できる高密度な研磨スクラッチを特徴とする。
【0069】
そのような表面および準表面ダメージならびに研磨スクラッチを除去するため、AlGaInNウェーハを化学的機械研磨(CMP)することが好ましい。
【0070】
AlGaInNウェーハのGa側を化学的機械研磨するのに有効な第1CMPスラリーは酸および200nm未満の粒子寸法を有する研磨アモルファスシリカ粒子、例えばヒュームドシリカまたはコロイダルシリカなどを含む。そのようなCMPスラリーのpH値は好ましくは約0.5〜約4の範囲にある。また好ましくは、そのようなCMPスラリーは酸化剤、例えば過酸化水素またはジクロロイソシアヌル酸なども含む。
【0071】
図3および4は、0.8のpH値を有する酸性コロイダルシリカCMPスラリーを用いて約1時間化学的機械研磨したGaNウェーハのノマルスキー光学顕微鏡写真およびAFM写真を示す。GaNウェーハはCMPの前にまず、1μmのダイアモンドスラリーで研磨した。基板にはわずかに欠陥があるものの、GaN表面は非常に滑らかであり、2×2μm面積内で約0.15nm、10×10μm面積内で約0.5nmのRMS表面粗さを有する。更に、これまで見られなかったステップ構造がAFMの下、GaN表面に観察される。このようなステップ構造の存在は、CMPプロセスが前の機械研磨による研磨スクラッチを除去するのに奏功したことを示している。そのようなスラリーを使用するCMP速度は、例えば約2μm/時のオーダーであり得る。
【0072】
更に、CMPプロセスが表面にある準表面ダメージをも除去したことを確認するため、CMPプロセス後のウェーハを強いエッチャントHPOで、180℃にて5分間エッチングする。このエッチング条件では、GaN表面のGa側にある結晶欠陥ならびに表面および準表面ダメージは良好な結晶性材料よりも大きい速度でエッチングされ、エッチピットを形成する。ピットの寸法および数は原子間力顕微鏡で調べることができる。熱いHPOエッチングの後、CMP研磨ウェーハ(またはCMPポリッシュドウェーハ)にはいくつかのエッチピットが見られるが、エッチピットの密度はCMP研磨した表面に存在したピットの密度と同じである。しかしながら、ピットの寸法は大きくなる。比較のために、CMPプロセスで完全に研磨していないウェーハ(即ち、CMP処理時間がより短く、よって、研磨ダメージが残存している)には、HPOで180℃にて5分間エッチングした後、より多くのエッチピットが見られ、このピットの多くは線に沿っている。このことはCMPプロセスが完了しないと表面および準表面ダメージが完全に除去されないことを示している。
【0073】
酸化剤は好都合に酸性CMPスラリーに添加することができる。過酸化水素またはジクロロイソシアヌル酸を酸化剤として使用する場合、研磨速度は2μm/時より大きく、RMS表面粗さは2×2μm面積内で0.2nm未満、10×10μm面積内で0.5nm未満である。AlGaInNウェーハ表面におけるステップ構造がAFMの下で容易に観察される。
【0074】
AlGaInNウェーハのGa側を化学的機械研磨するのに有効な第2CMPスラリーは酸および200nm未満の粒子寸法を有する研磨コロイダルアルミナ粒子を含む。そのようなCMPスラリーのpH値は好ましくは約3〜約4の範囲にある。また好ましくは、そのようなCMPスラリーは酸化剤、例えば過酸化水素またはジクロロイソシアヌル酸なども含む。
【0075】
図7は、酸化剤として過酸化水素を含む酸性コロイダルアルミナCMPスラリー(pH=3.6)で1時間化学的機械研磨した後のGaN表面のAFM写真を示す。ステップ構造がAFMの下で観察され、このことは酸性コロイダルアルミナスラリーがGaN表面から機械的ダメージを除去するのに有効であることを示している。しかしながら、同じ研磨操作条件では、コロイダルアルミナ系スラリーはシリカ系スラリーよりもはるかに遅い研磨速度(約0.1μm/時)を有する。遅い研磨速度のために、酸性コロイダルアルミナCMPスラリーによる1時間の研磨の後も多くの研磨スクラッチが依然として存在する。このコロイダルアルミナ系スラリーにより表面/準表面ダメージを完全に除去するには、はるかに長い研磨時間が必要である。
【0076】
AlGaInNウェーハのGa側を化学的機械研磨するのに有効な第3CMPスラリーは塩基および200nm未満の粒子寸法を有するアモルファスシリカ粒子(ヒュームドシリカおよびコロイダルシリカのいずれでもよい)を含む。そのようなCMPスラリーのpH値は好ましくは約8〜約13.5の範囲にある。
【0077】
図5および6は、11.2のpH値を有する塩基性コロイダルシリカスラリーを用いて約1時間化学的機械研磨したGaNウェーハのノマルスキー光学顕微鏡写真およびAFM写真を示す。この表面は酸性シリカスラリーにより得られる表面仕上げと比較して、より凸凹に見え、研磨したときのスクラッチをかなり多く有する。更に、このスクラッチは1μmのダイアモンド粉末を含むダイアモンドスラリーで機械研磨した後のGaN表面におけるものより大きく、より深い。このことはより大きな粒子または粒子凝集物が塩基性シリカスラリー中に存在することを示している。興味深いことに、ステップ構造も観察される。ステップ構造の存在は、前の機械研磨による表面ダメージが除去されていることを示すが、スラリー中により大きい粒子が存在することにより新たなダメージが導入される。従って、研磨前に塩基性シリカスラリーを濾過して、大きい粒子を除去し、およびそのようなスラリー中の研磨粒子が200nm未満の粒子寸法を有することを確保するのが望ましい。
【0078】
pH変更のために水酸化物を用いることに加えて、塩基性シリカスラリーのpHはアンモニアまたはアルカノールアミンによって調節してよい。アンモニアまたはアルカノールアミンで安定化させたスラリーはより滑らかな研磨面を形成し、よって、水酸化物系スラリーよりも好ましい。
【0079】
CMPプロセスの安定性を向上させるため、CMPプロセスの間、周囲の湿度および温度を制御することが好都合であろう。
【0080】
化学的機械研磨の後、AlGaInNウェーハを当該技術分野において既知の技術を用いて洗浄および乾燥してよい。また、仕上げ研磨ウェーハから残りの表面および準表面ダメージを除去するためにマイルドエッチングを用いることもできる。マイルドエッチングの条件は、ダメージを受けていないGa側表面をエッチングせず、またはある限度内でエッチングしつつ、仕上げ研磨によるGa側表面にあるいくらかの残留表面ダメージを除去するように選択する。また、マイルドエッチングは、N側表面にあるダメージを除去して、N表面のダメージにより生じたウェーハの応力を低下させることもできる。また、このマイルドエッチングはN表面をマット仕上げすることもできる。例えば、ウェーハは塩基(例えばKOHまたはNaOHなど)の水溶液または酸(例えばHF、HSOまたはHPOなど)の水溶液中で100℃未満の温度にてわずかにエッチングすることができる。
【0081】
AlGaInNウェーハは内部応力を受け得、これはウェーハを湾曲させ、または反らさせる。AlGaInNウェーハの熱アニールまたは化学エッチング(これらは一連のウェーハ製造工程の前、後またはその間に実施してよい)により、そのような内部応力を緩和させることができる。
【0082】
AlGaInNウェーハがその表面に大きなピットを有し、製造プロセスによるピット内に汚染物質が捕捉されている場合、ウェーハ作製工程の間に化学エッチングおよび洗浄工程を有してピットから汚染物質を除去することが有益である。
【0083】
本発明の1つの態様において、AlGaInNウェーハを窒素雰囲気中、1000℃以下の温度にて熱アニールに付す。好ましくは、アニール温度は約700℃〜約1000℃の範囲にあり、熱アニール時間は約1分間〜約1時間の範囲にある。
【0084】
本発明のもう1つの態様において、AlGaInNウェーハを化学エッチングに付し、これは好都合に、ダメージを受けた表面材料をAlGaInNウェーハから除去し、および表面ダメージにより生じたウェーハの湾曲および反りを低減する。
【0085】
AlGaInNウェーハの化学エッチングは、高温で非常に強い酸または塩基中にウェーハを浸漬することによって実施できる。150℃より高い温度の硫酸またはリン酸はAlGaInNウェーハをエッチングできる。別法では、溶融水酸化カリウムまたはナトリウムもAlGaInNウェーハをエッチングできる。エッチング条件、例えばエッチング温度およびエッチング時間などは、好ましくは、厚さ100μm未満および好ましくは厚さ10μm未満の表面材料を除去するように制御される。
【0086】
例えば酸性シリカCMPスラリー(pH=0.8)を用いて約1時間、GaN表面を化学的機械研磨した後に小さなピットが形成され、これはGaNウェーハの結晶格子における転移に起因し得る。ピットの直径は典型的には1μm未満、およびより典型的には0.5μm未満である。ピットは原子間力顕微鏡で撮像した場合、明瞭なエッジのない丸形に見える。ウェーハを完全にCMP研磨し、そして例えばHPOにより180℃にて5分間エッチングした場合、ピットの寸法は大きくなるが、ピットの密度は同じままであり、即ち、それ以上のピットは形成されない。更に、CMP研磨ウェーハのエッチングにより形成されるピットは、原子間力顕微鏡で撮像した場合、六角形に見える。
【0087】
図8はGaN表面のAFM写真を示し、明瞭に視認可能なピットが存在している。GaN表面は酸性コロイダルシリカCMPスラリー(pH=0.8)を用いて約1時間化学的機械研磨した。
【0088】
また、図9は酸性コロイダルシリカCMPスラリー(pH=0.8)により1時間化学的機械研磨したGaNウェーハの走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示し、このようなGaNウェーハの欠陥密度を測定するのに数えることのできる視認可能なピットが存在している。GaNウェーハ表面を化学的機械研磨しないと、そのようなピットはAFMまたはSEMで観察することができない。
【0089】
従って、AFMまたはSEM技術による後の欠陥密度測定のため、結晶欠陥を強調する(または明らかにするもしくは目立たせる)ようにAlGaInNウェーハを準備するためにCMPプロセスを用いることができる。
【0090】
この欠陥強調技術は、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)、ウェット化学エッチングおよび光電気化学エッチングなどの他の技術よりも優れている。これらエッチング技術は一般的に過酷なエッチング条件下で実施され、エッチングしたAlGaInNウェーハを、後にその上にAlGaInN結晶材料をエピタキシャル成長させるのに不適当なものにする。
【0091】
これに対して、結晶欠陥を強調するためにCMPプロセスを用いることはAlGaInNウェーハの結晶表面にダメージを与えず、よって、後の結晶成長を可能にする。
【実施例1】
【0092】
厚さ数百ミクロンのGaN膜をサファイア基板上にHVPE法により成長させ、その後、サファイア基板から分離した。これにより形成されたフリースタンディングGaNウェーハブランクは、2×2μm面積内で約4nmのRMS粗さを有するざらざらのGa表面を呈した。
【0093】
その後、ラッピングプロセスを経ることなく、GaNウェーハブランクをGa側にて酸性シリカスラリーによって研磨した。
【0094】
研磨後、このようなGaNウェーハの表面形態が大いに改善され、ざらざらの表面は完全に除去されたことが観察された。RMS粗さは2×2μm面積内で0.3nm未満に低減された。
【実施例2】
【0095】
200〜500ミクロンの範囲にある厚さを有する厚いGaN膜を2インチのサファイア基板上にHVPE法により成長させた。その後、GaN膜をサファイア基板から分離して、フリースタンディングGaNウェーハブランクを得た。
【0096】
GaN膜のフラット(または平面)はサファイア基板のフラットから30°ずれていた。その後、粒子線ジェットを用いてGaNウェーハブランクを30、35、40mmの直径を有するウェーハ形状へと寸法決めした。ウェーハの寸法決めの間におけるウェーハの破損を防止するため、GaNウェーハを少なくとも1mm厚さのガラス板上にワックスを用いてマウントすることが好ましい。
【0097】
9枚のGaNウェーハを、N側がラップ取付け具に面するようにしてラップ取付け具にワックスでマウントした。ワックスを冷却しながらスチール・ブロックを各ウェーハの上に配置した。まず、鋳鉄定盤上で直径9μmのダイアモンドスラリーによりGaNウェーハをGa側にてラッピングした。ラッピング前には、ウェーハ間および各ウェーハ内で大きい厚さバラツキが存在していた。ラッピング後には、ウェーハ厚さの均一性が大いに改善された。
【0098】
その後、ウェーハをラップ取付け具から外し、機械研磨取付け具にワックス・マウントした。各ウェーハを直径3μmのダイアモンドスラリーで研磨して鏡面仕上げとした。光学顕微鏡検査に付すと、ラッピングプロセスによる全ての表面ダメージが除去された。
【0099】
機械研磨後、ウェーハを酸性コロイダルシリカスラリーによって化学的機械研磨した。ノマルスキー光学顕微鏡を用いて研磨表面を検査し、CMPプロセスにより全ての機械研磨スクラッチが除去されたことを確認した。
【実施例3】
【0100】
3枚のGaNウェーハブランクを、Ga側がラップ取付け具に面するようにしてラップ取付け具にワックスでマウントした。ワックスを冷却しながらスチール・ブロックを各ウェーハの上に配置した。まず、鋳鉄定盤を有するラップマスター(Lapmaster)15ラッピング機にて直径9μmのダイアモンドスラリーによりGaNウェーハをN側にてラッピングして均一なマット仕上げとした。
【0101】
N側をラッピングした後、ホットプレート上で加熱することによりGaNウェーハをラップ取付け具から外した。ウェーハを洗浄し、Ni側がラップ取付け具に面するようにしてラップ取付け具にワックスでマウントした。ワックスを冷却しながらスチール・ブロックを各ウェーハの上に配置した。鋳鉄定盤上で直径9μmのダイアモンドスラリーによりGaNウェーハをGa側にてラッピングし、所望のウェーハ厚さを得た。次いで、銅定盤上で直径6μmのダイアモンドスラリーによりGaNウェーハをラッピングし、前のラッピング工程による表面特徴を除去した。
【0102】
ラッピング後、3枚のウェーハをビューラー(Buehler)ECOMETポリッシャーにて直径1μmのダイアモンドスラリーにより機械研磨し、前のラッピング工程による表面特徴を除いた。
【0103】
機械研磨後、3枚のウェーハをビューラー(Buehler)ECOMETポリッシャーにて酸性コロイダルシリカスラリーにより化学的機械研磨した。酸性コロイダルシリカスラリーは1モル濃度の塩酸水溶液2部を市販のシリカスラリーであるナルコ(Nalco)2350ポリッシングスラリー1部と混合することにより調製した。ノマルスキー光学顕微鏡を用いて研磨表面を検査し、CMPプロセスにより全ての機械的研磨スクラッチが除去されたことを確認した。
【0104】
CMPプロセス後、ウェーハを研磨取付け具から外し、そして洗浄した。また、ウェーハを希フッ酸中でも洗浄してウェーハ表面にある全ての残留コロイダルシリカ粒子を除去した。ウェーハを原子間力顕微鏡(デジタルインスツルメンツ(Digital Instruments)ナノスコープ(NanoScope)III)で撮像してピット密度および表面平坦度を測定した。1枚のウェーハについてのRMS粗さは2×2μm面積内で0.11nmであり、10×10μm面積内で0.28nmであった。3枚のウェーハについてのピット密度は約10〜10ピット/cmであり、ピット寸法は直径約0.4μm未満であった。
【0105】
本発明のGaNウェーハは、例えば発光ダイオードおよび青色光レーザなどの光電子デバイスを構成するために使用できる。そのようなデバイスは、青色発光ダイオード(LED)およびレーザが光磁気メモリおよびCDROMにおける極めて高い記録密度ならびにフルカラー発光ディスプレイの構築を可能し、実現する技術であるので重要である。そのようなデバイスは道路および鉄道の信号などにおける今日の白熱電球に取って代わることができ、これによりコストおよびエネルギーの極めて大きな節約を約束するものである。
【0106】
本発明を特定の特徴、要旨および態様に関連して本明細書中に説明して来た。通常の能力を有する当業者に対して容易に示唆されるように、本発明の適用可能性はこれらに限定されるものでなく、多くのバリエーション、改変および他の態様にまで容易に拡張され、それらを包含することが理解されるであろう。従って、本発明は特許請求の範囲と矛盾することなく広く解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】図1は、1μmのダイアモンドスラリーにより機械研磨して鏡面仕上げとした後のGaN表面のノマルスキー光学顕微鏡写真(×100)である。
【図2】図2は、図1に示すGaN表面のAFM写真である。
【図3】図3は、酸性コロイダルシリカCMPスラリー(pH=0.8)により1時間化学的機械研磨し、そして希フッ酸中で洗浄した後のGaN表面のノマルスキー光学顕微鏡写真(×100)である。
【図4】図4は、図3に示すGaN表面の原子間力顕微鏡(AFM)写真である。
【図5】図5は、塩基性コロイダルシリカCMPスラリー(pH=11.2)により1時間化学的機械研磨し、そして希フッ酸中で洗浄した後のGaN表面のノマルスキー光学顕微鏡写真(×100)である。
【図6】図6は、図5に示すGaN表面のAFM写真である。
【図7】図7は、酸化剤として過酸化水素を含む酸性コロイダルアルミナCMPスラリー(pH=3.6)により1時間化学的機械研磨し、そして希フッ酸で洗浄した後のGaN表面のAFM写真である。
【図8】図8は、酸性シリカCMPスラリー(pH=0.8)により1時間化学的機械研磨し、そして希フッ酸中で洗浄した後のGaN表面のAFM写真である。
【図9】図9は、酸性シリカCMPスラリー(pH=0.8)により1時間化学的機械研磨し、そして希フッ酸中で洗浄した後のGaN表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
AlGaInN(式中、0<y≦1およびx+y+z=1)を含むウェーハであって、ウェーハのGa側における10×10μm面積内で1nm未満の根二乗平均(RMS)表面粗さを特徴とする、ウェーハ。
【請求項2】
前記ウェーハのRMS表面粗さは、ウェーハのGa側における10×10μm面積内で0.7nm未満である、請求項1に記載のウェーハ。
【請求項3】
前記ウェーハのRMS表面粗さは、ウェーハのGa側における10×10μm面積内で0.5nm未満である、請求項1に記載のウェーハ。
【請求項4】
前記ウェーハのRMS表面粗さは、ウェーハのGa側における2×2μm面積内で0.4nm未満である、請求項1に記載のウェーハ。
【請求項5】
前記ウェーハのRMS表面粗さは、ウェーハのGa側における2×2μm面積内で0.2nm未満である、請求項1に記載のウェーハ。
【請求項6】
前記ウェーハのRMS表面粗さは、ウェーハのGa側における2×2μm面積内で0.15nm未満である、請求項1に記載のウェーハ。
【請求項7】
原子間力顕微鏡で観察した場合にGa側におけるステップ構造を特徴とする、請求項1に記載のウェーハ。
【請求項8】
Ga側における結晶欠陥が1μm未満の直径を有する小さいピットとして見られる、請求項1に記載のウェーハ。
【請求項9】
シリカまたはアルミナを含有する化学的機械研磨(CMP)スラリーを用いてAlGaInNウェーハブランクをそのGa側にて化学的機械研磨(CMP)することによって形成される、請求項1に記載のウェーハ。
【請求項10】
AlGaInNを含むウェーハ上に成長したエピタキシャルAlx’Gay’Inz’N薄膜(式中、0<y’≦1、x’+y’+z’=1、0<y≦1およびx+y+z=1)を含むエピタキシャルAlGaInN結晶構造体であって、該ウェーハは、ウェーハのGa側における10×10μm面積内で1nm未満の根二乗平均(RMS)表面粗さを特徴とする、エピタキシャルAlGaInN結晶構造体。
【請求項11】
ウルツ鉱型結晶性薄膜を含む、請求項10に記載のエピタキシャルAlGaInN結晶構造体。
【請求項12】
エピタキシャルAlx’Gay’Inz’N薄膜はAlGaInNを含むウェーハと同じ組成を有する、請求項10に記載のエピタキシャルAlGaInN結晶構造体。
【請求項13】
エピタキシャルAlx’Gay’Inz’N薄膜はAlGaInNを含むウェーハと異なる組成を有する、請求項10に記載のエピタキシャルAlGaInN結晶構造体。
【請求項14】
エピタキシャルAlx’Gay’Inz’N薄膜はグレーディッド組成を有する、請求項10に記載のエピタキシャルAlGaInN結晶構造体。
【請求項15】
AlGaInN(式中、0<y≦1およびx+y+z=1)を含むウェーハ上に成長した少なくとも1つのエピタキシャルAlx’Gay’Inz’N結晶構造体を含む光電子デバイスであって、該ウェーハは、ウェーハのGa側における10×10μm面積内で1nm未満の根二乗平均(RMS)表面粗さを特徴とする、光電子デバイス。
【請求項16】
光電子デバイスは発光ダイオードである、請求項15に記載の光電子デバイス。
【請求項17】
光電子デバイスは青色光レーザダイオードである、請求項15に記載の光電子デバイス。
【請求項18】
光電子デバイスは発光ダイオードに組み込まれている、請求項15に記載の光電子デバイス。
【請求項19】
光電子デバイスは光磁気メモリデバイスに組み込まれている、請求項15に記載の光電子デバイス。
【請求項20】
光電子デバイスはフルカラー発光ディスプレイに組み込まれている、請求項15に記載の光電子デバイス。
【請求項21】
光電子デバイスはDVDデバイスに組み込まれている、請求項15に記載の光電子デバイス。
【請求項22】
AlGaInN(式中、0<y≦1およびx+y+z=1)を含むウェーハ上に成長した少なくとも1つのエピタキシャルAlx’Gay’Inz’N結晶構造体を含むマイクロ電子デバイスであって、該ウェーハは、ウェーハのGa側における10×10μm面積内で1nm未満の根二乗平均(RMS)表面粗さを特徴とする、マイクロ電子デバイス。
【請求項23】
AlGaInN(式中、0<y≦1およびx+y+z=1)を含むウェーハ上に成長したエピタキシャルAlx’Gay’Inz’N結晶ブールであって、該ウェーハは、ウェーハのGa側における10×10μm面積内で1nm未満の根二乗平均(RMS)表面粗さを特徴とする、エピタキシャルAlx’Gay’Inz’N結晶ブール。
【請求項24】
ブールは気相中で成長する、請求項23に記載のエピタキシャルAlx’Gay’Inz’N結晶ブール。
【請求項25】
ブールは液相中で成長する、請求項23に記載のエピタキシャルAlx’Gay’Inz’N結晶ブール。
【請求項26】
AlGaInNウェーハ(式中、0<y≦1およびx+y+z=1)をそのGa側にて化学的機械研磨(CMP)する方法であって、
200nm未満の粒子寸法を有する研磨アモルファスシリカ粒子と、
少なくとも1種の酸と、
場合により、少なくとも1種の酸化剤と
を含むCMPスラリーを用い、CMPスラリーのpH値は約0.5〜約4の範囲にある方法。
【請求項27】
CMPスラリーは約10nm〜約100nmの範囲にある粒子寸法を有するヒュームドシリカを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
CMPスラリーは約10nm〜約100nmの範囲にある粒子寸法を有するコロイダルシリカを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
CMPスラリーは酸化剤を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
酸化剤は過酸化水素を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
酸化剤はジクロロイソシアヌル酸を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
CMPスラリーは約0.6〜約3の範囲にあるpH値を有する、請求項26に記載の方法。
【請求項33】
CMPスラリーは約0.8〜約2.5の範囲にあるpH値を有する、請求項26に記載の方法。
【請求項34】
AlGaInNウェーハ(式中、0<y≦1およびx+y+z=1)をそのGa側にて化学的機械研磨(CMP)する方法であって、
200nm未満の粒子寸法を有する研磨コロイダルアルミナ粒子と、
少なくとも1種の酸と、
場合により、少なくとも1種の酸化剤と
を含むCMPスラリーを用い、CMPスラリーのpH値は約3〜約5の範囲にある方法。
【請求項35】
CMPスラリーは約10nm〜約100nmの範囲にある粒子寸法を有するコロイダルアルミナを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
CMPスラリーは酸化剤を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
酸化剤は過酸化水素を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
酸化剤はジクロロイソシアヌル酸を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
CMPスラリーは約3〜約4の範囲にあるpH値を有する、請求項34に記載の方法。
【請求項40】
AlGaInNウェーハ(式中、0<y≦1およびx+y+z=1)をそのGa側にて化学的機械研磨(CMP)する方法であって、
200nm未満の粒子寸法を有するアモルファスシリカ粒子と、
少なくとも1種の塩基と、
場合により、少なくとも1種の酸化剤と
を含むCMPスラリーを用い、CMPスラリーのpH値は約8〜約13.5の範囲にある方法。
【請求項41】
CMPスラリーは約10nm〜約100nmの範囲にある粒子寸法を有するヒュームドシリカを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
CMPスラリーは約10nm〜約100nmの範囲にある粒子寸法を有するコロイダルシリカを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
CMPスラリーはアンモニア、アルカノールアミンおよび水酸化物からなる群から選択される塩基を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
CMPスラリーはアンモニアを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項45】
CMPスラリーはアルカノールアミンを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項46】
CMPスラリーはKOHおよびNaOHからなる群から選択される水酸化物を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項47】
CMPスラリーは酸化剤を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項48】
酸化剤は過酸化水素を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
酸化剤はジクロロイソシアヌル酸を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
CMPスラリーは約9〜約13の範囲にあるpH値を有する、請求項40に記載の方法。
【請求項51】
CMPスラリーは約10〜約11の範囲にあるpH値を有する、請求項40に記載の方法。
【請求項52】
CMPスラリーは、研磨パッドへ送る前に直径100nmより大きい粒子を除去するために濾過される、請求項26に記載の方法。
【請求項53】
CMPスラリーは、研磨パッドへ送る前に直径100nmより大きい粒子を除去するために濾過される、請求項34に記載の方法。
【請求項54】
CMPスラリーは、研磨パッドへ送る前に直径100nmより大きい粒子を除去するために濾過される、請求項40に記載の方法。
【請求項55】
AlGaInNウェーハ(式中、0<y≦1およびx+y+z=1)内のそのGa側における結晶欠陥密度を測定する方法であって、
AlGaInNウェーハを供給する工程、
該ウェーハをそのGa側にて、200nm未満の粒子寸法を有する研磨アモルファスシリカ粒子と、少なくとも1種の酸と、場合により、少なくとも1種の酸化剤とを含むCMPスラリーを用いて化学的機械研磨し、CMPスラリーのpH値は約0.5〜約4の範囲にある工程、
研磨したAlGaInNウェーハを洗浄および乾燥する工程、および
該ウェーハ内の欠陥密度を測定するために原子間力顕微鏡または走査型電子顕微鏡でウェーハをスキャンする工程
を含む方法。
【請求項56】
AlGaInN(式中、0<y≦1およびx+y+z=1)を含むウェーハを製造する方法であって、
約100μm〜約1000μmの範囲にある厚さを有するAlGaInNウェーハブランクを供給する工程、
場合により、AlGaInNウェーハブランクの内部応力を低下させる工程、
場合により、約5μm〜約15μmの範囲にある平均粒子寸法を有する研磨材を含むラッピングスラリーを用いてAlGaInNウェーハブランクをそのN側にてラッピングする工程、
場合により、約0.1μm〜約6μmの範囲にある平均粒子寸法を有する研磨材を含む機械研磨スラリーを用いてAlGaInNウェーハブランクをそのN側にて機械研磨する工程、
場合により、約5μm〜約15μmの範囲にある平均粒子寸法を有する研磨材を含むラッピングスラリーを用いてAlGaInNウェーハブランクをそのGa側にてラッピングする工程、
約0.1μm〜約6μmの範囲にある平均粒子寸法を有する研磨材を含む機械研磨スラリーを用いてAlGaInNウェーハブランクをそのGa側にて機械研磨する工程、
少なくとも1種の化学反応物質と200nm未満の平均粒子寸法を有する研磨材粒子とを含むCMPスラリーを用いてAlGaInNウェーハをそのGa側にて化学的機械研磨する工程、および
場合により、AlGaInNウェーハの内部応力を更に低下させるため、表面品質を向上させるため、およびN側をマット仕上げするために、AlGaInNウェーハをマイルドエッチング条件でエッチングする工程
を含み、これにより製造されるAlGaInNウェーハは、ウェーハのGa側における10×10μm面積内で1nm未満の根二乗平均(RMS)表面粗さを特徴とする表面粗さを有する方法。
【請求項57】
AlGaInNウェーハブランクは、
厚いAlGaInN膜を異種基板上に成長させる工程、および
異種基板を厚いAlGaInN膜から分離する工程
により作製される、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
AlGaInNウェーハブランクは、
AlGaInNブールを成長させる工程、および
AlGaInNブールをスライスする工程
により作製される、請求項56に記載の方法。
【請求項59】
AlGaInNブールを、ウェーハブランク表面がc軸に対して垂直になるようにスライスする、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
AlGaInNブールを、ウェーハブランク表面がc軸に対して意図的に垂直にならないようにスライスする、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
窒素またはアンモニア雰囲気中、約700℃〜約1000℃の高温にて約1分間〜約1時間、ウェーハを熱アニールすることにより、AlGaInNウェーハの内部応力を低下させる、請求項56に記載の方法。
【請求項62】
厚さ100μm未満の表面材料の除去をもたらす化学エッチングにより、AlGaInNウェーハの内部応力を低下させる、請求項56に記載の方法。
【請求項63】
厚さ10μm未満の表面材料をAlGaInNウェーハから除去する、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
AlGaInNウェーハを150℃より高い温度にて強酸によって化学エッチングする、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
強酸は硫酸、リン酸およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
AlGaInNウェーハを150℃より高い温度にて溶融強塩基によって化学エッチングする、請求項62に記載の方法。
【請求項67】
強塩基は溶融LiOH、溶融NaOH、溶融KOH、溶融RbOH、溶融CsOHおよびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
AlGaInNウェーハブランクはダイアモンド粉末、シリコンカーバイド粉末、ボロンカーバイド粉末およびアルミナ粉末からなる群から選択される研磨材を含むラッピングスラリーによってラッピングされる、請求項56に記載の方法。
【請求項69】
ラッピングスラリーは約6μm〜約15μmの範囲にある平均粒子寸法を有するダイアモンド粉末を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項70】
AlGaInNウェーハブランクはそのGa側にて、2種またはそれ以上のラッピングスラリーによってラッピングされ、各々のより後のラッピングスラリーは順により小さくなる平均寸法を有する研磨材を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項71】
AlGaInNウェーハブランクは、約8μm〜約10μmの平均寸法を有する研磨材を含む第1ラッピングスラリーによって、そして、約5μm〜約7μmの平均寸法を有する研磨材を含む第2ラッピングスラリーによってラッピングされる、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
機械研磨スラリーはダイアモンド粉末、シリコンカーバイド粉末、ボロンカーバイド粉末およびアルミナ粉末からなる群から選択される研磨材を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項73】
機械研磨スラリーは約0.1μm〜約6μmの範囲にある平均粒子寸法を有するダイアモンド粉末を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項74】
AlGaInNウェーハブランクは、2種またはそれ以上の機械研磨スラリーによって機械研磨され、各々のより後の機械研磨スラリーは次第により小さくなる平均寸法を有する研磨材を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項75】
AlGaInNウェーハブランクは、約2.5μm〜約3.5μmの平均寸法を有する研磨材を含む第1機械研磨スラリーによって、約0.75μm〜約1.25μmの平均寸法を有する研磨材を含む第2機械研磨スラリーによって、約0.35μm〜約0.65μmの平均寸法を有する研磨材を含む第3機械研磨スラリーによって、約0.2μm〜約0.3μmの平均寸法を有する研磨材を含む第4機械研磨スラリーによって、そして、約0.1μm〜約0.2μmの平均寸法を有する研磨材を含む第5機械研磨スラリーによって機械研磨される、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
CMPスラリーは酸性であり、および該CMPスラリーのpH値は約0.5〜約4の範囲にある、請求項56に記載の方法。
【請求項77】
CMPスラリーは塩基性であり、および該CMPスラリーのpH値は約8〜約13.5の範囲にある、請求項56に記載の方法。
【請求項78】
マイルドエッチング条件は、100℃未満の温度における酸水溶液中でのエッチングおよび塩基水溶液中でのエッチングからなる群から選択される、請求項56に記載の方法。
【請求項79】
酸はフッ酸、硝酸、硫酸、リン酸水溶液およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
塩基はLiOH、NaOH、KOH、RbOH、CsOH水溶液およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項78に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−91235(P2009−91235A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−254168(P2008−254168)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【分割の表示】特願2003−503865(P2003−503865)の分割
【原出願日】平成14年6月4日(2002.6.4)
【出願人】(500224003)クリー・インコーポレーテッド (8)
【Fターム(参考)】