説明

クロックシステム

【課題】第2の発振回路の起動を待つことなく第1の発振回路の出力により高精度なクロック信号を得る。
【解決手段】クロックシステム1は、CR発振回路11、水晶発振回路12、及びトリミング回路15を含む。CR発振回路11は、内部回路17に供給されるクロックCLK1を生成する。水晶発振回路12は、CR発振回路11の発振周波数の調整に使用される。トリミング回路15は、CR発振回路11と水晶発振回路12の間の発振周波数差の検出結果に基づいて、CR発振回路11の発振周波数を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発振回路を含むクロックシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
リモコン装置、AV関連製品などの機器に搭載される制御回路、信号処理プロセッサ等の内部回路は、一般的に、消費電力低減のために間欠的に動作する。内部回路の動作を停止する場合、内部回路に対してクロック信号を供給する発振回路の動作を停止することも行われている。
【0003】
しかしながら、発振回路の起動が開始されてから所望の品質を満たすクロック信号が出力されるまでには有限の時間を要する。水晶振動子を用いた発振回路(水晶発振回路)のみを使用すると、最終的には高精度なクロック信号が得られるが、出力安定化までに時間がかかる。一方、水晶発振回路に代えてCR発振回路を使用する場合、出力安定化までの立ち上がりは水晶発振回路に比べて早いものの、水晶発振回路に比べて発振精度(ジッタ、ワンダ特性)が低いという欠点がある。
【0004】
そこで、特許文献1は、水晶発振回路とCR発振回路を兼用する技術を開示している。具体的には、特許文献1に記載のクロックシステムは、水晶発振回路とCR発振回路を含む。特許文献1に記載のクロックシステムは、電源をオンした直後の立ち上がり時には、立ち上がりの早いCR発振回路によって生成されるクロック信号を選択して内部回路に出力する。そして、特許文献1に記載のクロックシステムは、水晶発振回路の出力が安定した後に、発振精度が良好な水晶発振回路によって生成されるクロック信号を選択して内部回路に出力するとともに、CR発振回路の発振を停止する。つまり、特許文献1に記載のクロックシステムは、電源をオンした直後の立ち上がり時にCR発振回路を使用してクロック出力を行い、その後、CR発振回路から水晶発振回路に切り替えてクロック出力を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−326802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、CR発振回路の発振周波数精度は水晶発振回路に比べて低い。よって、CR発振回路の周波数精度では十分でなくより高精度なクロック信号が求められる場合には、特許文献1の技術は適用できない。つまり、電源をオンした直後のCR発振回路の出力信号では品質が十分でない場合、結局のところ、水晶発振回路の出力安定化を待たなければ内部回路(制御回路など)は所望の動作を開始できないという問題がある。
【0007】
水晶発振回路の出力が安定するまでの起動時間は4ms程度である。一方、間欠的に動作する内部回路の動作時間は、水晶発振回路の起動時間に比べて短い場合がある。例えば自動車のワイヤレスキーシステムにおいて鍵データの送信に要する時間は典型的には高々1ms程度である。しかしながら、水晶発振回路の起動を待たなければ鍵データの送信を開始できない。この水晶発振回路の起動待ち時間を短くできれば、システムの動作時間を短縮でき、省電力化を図ることができる。
【0008】
なお、上記の問題が生ずるケースは、CR発振回路及び水晶発振回路を併用するクロックシステムに限られない。すなわち、起動時間が相対的に短いが発振精度が相対的に低い第1の発振回路と、起動時間が相対的に長いが発振精度が相対的に高い第2の発振回路を併用するクロックシステムにおいて広く問題となり得る。例えば、LC発振回路及び水晶発振回路を併用するクロックシステムでも問題となり得る。また、CR発振回路又はLC発振回路と、セラミック振動子等の他の固体振動子を用いた発振回路とを併用するクロックシステムでも問題となり得る。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係るクロックシステムは、第1及び第2の発振回路、並びにトリミング回路を含む。前記第1の発振回路は、内部回路に供給されるクロック信号を生成する。前記第2の発振回路は、前記第1の発振回路の発振周波数の調整に使用される。前記トリミング回路は、前記第1の発振回路と前記第2の発振回路の間の発振周波数差の検出結果に基づいて、前記第1の発振回路の発振周波数を調整する。
【0010】
上述した本発明の一態様に係るクロックシステムは、例えば、前記第2の発振回路の過去の起動時に取得された前記検出結果又は前記検出結果に対応する前記第1の発振回路の制御値を参照することによって、前記第1の発振回路の起動時における前記第1の発振周波数の調整を行うとよい。記憶しておいた過去の検出結果又は制御値を用いることによって、前記第1の発振回路の発振周波数精度が前記第2の発振回路の発振周波数精度に比べて低い場合であっても、前記第2の発振回路の起動を待つことなく、前記第1の発振回路が生成する前記第1のクロック信号を速やかに所望の精度に近づけることができる。つまり、前記第2の発振回路の起動を待つことなく前記第1の発振回路を用いて高精度なクロック信号を得られるため、内部回路による所望の動作(例えば、ワイヤレスキーシステムにおける鍵データの送信など)を速やかに開始できる。
【発明の効果】
【0011】
上述の本発明の一態様によれば、前記第2の発振回路の起動を待つことなく前記第1の発振回路の出力により高精度なクロック信号を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1にかかるクロックシステムの構成例を示すブロック図である。
【図2】図1に示したクロックシステムの一部について具体的な構成例を示すブロック図である。
【図3】図1に示したクロックシステムの通常モード動作手順の一例を示すフローチャートである。
【図4】図1に示したクロックシステムの校正モード動作手順の一例を示すフローチャートである。
【図5】図1に示したクロックシステムの校正モード動作手順の他の例を示すフローチャートである。
【図6】図3に示した通常モード動作手順に関するタイミング波形図である。
【図7】図4に示した通常モード動作手順に関するタイミング波形図である。
【図8】本発明の実施の形態2にかかるクロックシステムの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。
【0014】
<発明の実施の形態1>
図1は、本実施の形態にかかるクロックシステム1の構成例を示すブロック図である。
クロックシステム1は、2つの発振回路、すなわち、CR発振回路11及び水晶発振回路12を含む。CR発振回路11は、内部回路17に供給される動作クロックCLK1を生成する。一方、水晶発振回路12の生成クロックCLK2は、内部回路17の動作クロックとしては使用されず、クロックCLK1の校正(発振周波数の補正)のためのリファレンス信号として利用される。以下では、図1に示した各要素について順に説明する。
【0015】
CR発振回路11は、容量(C)及び抵抗(R)を含むCR回路をアンプの帰還ループに配置した構成によってクロックCLK1を発振する。CR発振回路11は、容量値及び抵抗値のうち少なくとも一方を変更することによって発振周波数を変更できる。水晶発振回路12は、水晶の固有振動によってクロックCLK2を発振する。CR発振回路11は、出力が安定化するまでに要する起動時間は水晶発振回路12に比べて短いが、発振周波数精度は水晶発振回路12に比べて低い。
【0016】
周波数差検出回路13は、2つのクロック信号CLK1及びCLK2の周波数差を検出する。周波数差検出回路13は、例えば2つのカウンタを含んでもよい。これら2つのカウンタによってCLK1及びCLK2のパルス数を計数してカウンタ値を比較することによって、周波数差を検出できる。
【0017】
記憶回路14は、検出回路13による検出結果を保持する。記憶回路14としては、例えば、レジスタ、RAM(Read Only Memory)等の半導体記憶素子を使用すればよい。記憶回路14は、周波数差の検出結果、例えばカウンタ値又はその差を記憶してもよいし、周波数差の検出結果に応じて定まるCR発振回路11に対する制御値を保持してもよい。CR発振回路11に対する制御値は、CR発振回路11が有する可変容量又は可変抵抗に対する制御値である。
【0018】
トリミング回路15は、記憶回路14に保持されたCLK1及びCLK2間の周波数差の検出結果又はこれに対応する制御値を読出し、CLK1の発振周波数をCLK2に近づけるようにCR発振回路11を制御する。
【0019】
発振制御部16は、タイマによる動作開始時間の到来及びユーザのボタン操作等に応じて生成される外部割込み信号に応じて、CR発振回路11及び水晶発振回路12を間欠的に起動する。本実施の形態では、発振制御部16は、「通常モード(第1の動作モード)」又は「校正モード(第2の動作モード)」のどちらかでCR発振回路11及び水晶発振回路12の起動制御を行う。
【0020】
校正モードでは、CR発振回路11及び水晶発振回路12を共に起動し、CLK1及びCLK2の周波数差を検出し、新たな検出結果を記憶回路14に保持する。これに対して、通常モードは、CR発振回路11を起動し水晶発振回路12を起動させない動作モードである。通常モードでは、過去に校正モードが実行された時に記憶回路14に保持されたCLK1及びCLK2の周波数差又はこれに対応する制御値を用いて、トリミング回路15がCR発振回路11の周波数補正を行う。
【0021】
なお、発振制御部16は、例えば、通常モードでの起動回数が所定回数に到達した場合、前回の校正モード実行時点から所定時間以上経過した場合に、校正モードを実行すればよい。水晶発振回路12の起動を伴う校正モードの実行回数を減らすことで、クロックシステム1の消費電力を低減きる。
【0022】
内部回路17は、CR発振回路11によって生成されるクロック信号CLK1を動作クロックとして動作する。内部回路17は、例えば、MPU(Micro Processing Unit)、MCU(Micro Controller Unit)、若しくはDSP(Digital Signal Processing Unit)、又はこれらの組み合わせである。
【0023】
内部回路17がMPU、MCU等である場合、図1に示すように、発振制御部16は内部回路17に配置されてもよい。図2は、内部回路17がMCUである場合のCR発振回路11、周波数差検出回路13、記憶回路14、トリミング回路15、発振制御部16のより具体的な構成例を示すブロック図である。図2の例では、MCU17が有するカウンタ170が周波数差検出回路13に相当する。また、レジスタ171又は172が記憶回路14に相当する。また、発振制御部16は、MCU17及び発振制御に関する命令群を含むプログラムによって実現される。具体的には、発振制御に関するプログラムをROM172等に格納しておき、このプログラムをMCU17が実行することによって、通常モード又は校正モードによるCR発振回路11及び水晶発振回路12の動作を制御すればよい。
【0024】
図2のCR発振回路11は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)インバータ110及び可変抵抗R1及び可変容量C1を含み、CMOSインバータ110のヒステリシス特性を利用して発振する。図2のトリミング回路15は、選択回路150を含む。選択回路150は、レジスタ171又はRAM172に格納された周波数差の検出結果又はこれに対応する制御値によって動作し、可変抵抗R1の抵抗値及び可変容量C1の容量値を切り替える。
【0025】
続いて以下では、通常モード動作手順及び校正モード動作手順の具体例について図3〜5のフローチャートを用いて説明する。図3は、クロックシステム1の通常モード動作手順の一例を示すフローチャートである。ステップS101では、発振制御部16は、外部割込みに応じてCR発振回路11の起動を開始する。ステップS102では、トリミング回路15は、記憶回路14に保持されたトリミングデータを用いてCR発振回路11の発振周波数をセットする。ここで、トリミングデータとは、CLK1及びCLK2の周波数差の検出結果又はこれに対応する制御を意味する。ステップS103では、トリミングデータによる校正が完了したクロックCLK1を内部回路17に供給する。ステップS104では、内部回路17はクロックCLK1を動作クロックとして動作し、所定の処理(例えば鍵データの送信)を完了する。ステップS105では、発振制御部16は、CR発振回路11の動作を停止させてスタンバイ状態に移行する。
【0026】
図4は、クロックシステム1の校正モード動作手順の一例を示すフローチャートである。図4において、ステップS201では、発振制御部16は、外部割込みに応じてCR発振回路11及び水晶発振回路12の起動を開始する。ステップS202〜S204は、図3に示したステップS102〜S104と同様である。ステップS205では、周波数差検出回路13は、水晶発振回路12の発振開始後(発振周波数の安定化後)にCLK1及びCLK2間の周波数差を検出する。ステップS206では、周波数差検出回路13は、新たに得た周波数差の検出結果又はこれに対応する制御値を記憶回路14に格納することで、トリミングデータを更新する。ステップS207では、発振制御部16は、CR発振回路11及び水晶発振回路12の動作を停止させてスタンバイ状態に移行する。
【0027】
図5は、クロックシステム1の校正モード動作手順の他の例を示すフローチャートである。図5の手順は、クロックシステム1の電源投入後の一回目の起動、つまり記憶回路14に周波数差検出回路13による検出結果又はこれに対応する制御値が格納されていない場合に実行するとよい。ステップS301では、発振制御部16は、外部割込みに応じてCR発振回路11及び水晶発振回路12の起動を開始する。ステップS302及びS303は、図4のステップS205及びS206に相当する。すなわち、ステップS302では、周波数差検出回路13は、水晶発振回路12の発振開始後(発振周波数の安定化後)にCLK1及びCLK2間の周波数差を検出する。ステップS303では、周波数差検出回路13は、得られたトリミングデータ(周波数差の検出結果又はこれに対応する制御値)を記憶回路14に格納する。ステップS304〜S306は、図4のステップS202〜S204と同様であり、CR発振回路11の校正、及びクロックCLK1を動作クロックとする内部回路17の動作が行われる。ステップS307では、発振制御部16は、CR発振回路11及び水晶発振回路12の動作を停止させてスタンバイ状態に移行する。なお、水晶発振回路12の発振は、ステップS302における周波数差の検出後に速やかに停止させてもよい。
【0028】
次に、図6及び7のタイミング波形を参照して、通常モード及び校正モードの動作を説明する。図6は、図3に示した通常モード動作に関するタイミング波形を示している。図6(a)のスタート信号(外部割込み)が発振制御部16に与えられると、CR発振回路11に対するスタンバイ信号(図6(b))が解除され、CR発振が開始する(図6(c))。なお、図3の通常モード動作では、水晶発振回路12は起動しない(図6(d))。CR発振回路11から供給される動作クロックCLK1を用いて内部回路17が所定の処理(鍵データの送信等)を行う(図6(e))。
【0029】
図7は、図4に示した校正モード動作に関するタイミング波形を示している。図7(a)のスタート信号(外部割込み)が発振制御部16に与えられると、CR発振回路11及び水晶発振回路12に対するスタンバイ信号(図7(b))が解除され、CR発振がいち早く開始する(図7(c))。CR発振回路11から供給される動作クロックCLK1を用いて内部回路17が所定の処理(鍵データの送信等)を行う(図7(e))。水晶発振回路12は、CR発振回路11より遅れて発振を開始し(図7(d))、CLK1及びCLK2間の周波数差の比較、トリミングデータの更新が行われる(図7(e))。
【0030】
上述したように、クロックシステム1は、過去の水晶発振回路12の起動時に記憶しておいたトリミングデータ(CLK1及びCLK2間の周波数差の検出結果又は制御値)を用いることによって、水晶発振回路12の起動を待つことなく、CR発振回路11が生成するクロックCLK1を速やかに所望の精度に近づけることができる。つまり、水晶発振回路12の起動を待つことなくCR発振回路11を用いて高精度なクロックCLK1を得られるため、内部回路17による所望の動作(例えば、ワイヤレスキーシステムにおける鍵データの送信など)を速やかに開始できる。
【0031】
<発明の実施の形態2>
発明の実施の形態1では、CR発振回路11が有する可変容量及び可変抵抗のうち少なくとも一方を調整することでCRは発振周波数を制御する例を示した。しかしながら、CR発振回路11の電源電圧もCR発振周波数に影響を与える。本実施の形態では、CR発振回路11に電源電圧を供給するレギュレータの出力電圧を、トリミングデータ(CLK1及びCLK2間の周波数差の検出結果又は制御値)に応じて調整する例を説明する。
【0032】
さらに、CR発振回路11が有する可変抵抗の抵抗値は温度に依存して変化する。言い換えると、CR発振回路11の発振周波数も周囲温度に応じて変化する。したがって、トリミングデータ取得時の周囲温度と現在の周囲温度が異なる場合、記憶回路14に保持されたトリミングデータは適切な値でない場合が考えられる。よって、本実施の形態では、周囲温度に応じてトリミングデータを補正する例についても説明する。なお、レギュレータの出力電圧によるCR発振周波数の制御と、周囲温度に基づくトリミングデータの補正は必ずしも併せて行う必要はなく、いずれか一方のみを実施してもよい。
【0033】
図8は、図2に対応して、本実施の形態にかかるクロックシステムの主要部分の構成例を示すブロック図である。本実施の形態にかかるクロックシステムの全体構成は、クロックシステム1(例えば図1)と同様とすればよい。
【0034】
図8の例では、発振制御部16は、MCU17及び発振制御に関する命令群を含むプログラムによって実現される。具体的には、発振制御に関するプログラムをROM172等に格納しておき、このプログラムをMCU17が実行することによって、通常モード又は校正モードによるCR発振回路11及び水晶発振回路12の動作を制御すればよい。
【0035】
レギュレータ152は、CR発振回路11に電源電圧を供給する。レギュレータ152の出力電圧は、記憶回路14としてのレジスタ171又はRAM172に格納されたトリミングデータに応じて変更される。
【0036】
温度検出回路151は、周囲温度を計測する。計測された周囲温度は、発振制御部16として機能するMCU17に送られる。発振制御部16として機能するMCU17は、可変抵抗R1の抵抗値の温度依存特性を参照し、過去のトリミングデータ取得時の周囲温度と現在の周囲温度との違いに基づいて、トリミングデータを補正する。可変抵抗R1の抵抗値の温度依存特性は、MCUがアクセス可能なメモリ(例えばROM172)に予め格納しておけばよい。
【0037】
<その他の実施の形態>
また、上述した発明の実施の形態1及び2では、CLK1及びCLK2の周波数差に基づいて、CR発振回路11の発振周波数を水晶発振回路12の発振周波数に近づける例を説明した。言い換えると、CLK1及びCLK2の周波数差がゼロに近づくように、CR発振回路11の発振周波数を校正する例を示した。しかしながら、CLK1及びCLK2の周波数差が予め定められた有限値に近づくように、CR発振回路11の発振周波数を校正してもよい。つまり、CR発振回路11と水晶発振回路12の基準発振周波数は同一でなくてもよい。
【0038】
また、上述した発明の実施の形態1及び2では、CR発振回路11及び水晶発振回路12を含むクロックシステムに関して説明した。しかしながら、上述した発明の実施の形態1及び2で説明した思想を、他方式の発振回路を使用する場合に適用してもよい。すなわち、発明の実施の形態1及び2で説明した思想は、起動時間が相対的に短いが発振精度が相対的に低い第1の発振回路と、起動時間が相対的に長いが発振精度が相対的に高い第2の発振回路を併用するクロックシステムに広く適用できる。発明の実施の形態1及び2で説明した思想は、例えば、LC発振回路及び水晶発振回路を併用するクロックシステムに適用してもよいし、CR発振回路又はLC発振回路と、セラミック振動子等の他の固体振動子を用いた発振回路とを併用するクロックシステムに適用してもよい。
【0039】
さらに、本発明は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、既に述べた本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0040】
1 クロックシステム
11 CR発振回路
12 水晶発振回路
13 周波数差検出回路
14 記憶回路
15 トリミング回路
16 発振制御部
17 内部回路
110 CMOSインバータ
150 選択回路
151 温度検出回路
152 レギュレータ
170 カウンタ
171 レジスタ
172 RAM(Random Access Memory)
173 ROM(Read Only Memory)
R1 抵抗
C1 容量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部回路に供給される第1のクロック信号を生成する第1の発振回路と、
前記第1の発振回路の発振周波数の調整に使用される第2の発振回路と、
前記第1の発振回路と前記第2の発振回路の間の発振周波数差の検出結果に基づいて、前記第1の発振周波数を調整するトリミング回路と、
を備えるクロックシステム。
【請求項2】
前記トリミング回路は、前記第1の発振回路の第1の発振周波数を前記第2の発振回路の第2の発振周波数に近づけるように、前記第1の発振周波数を調整する、請求項1に記載のクロックシステム。
【請求項3】
前記第1及び第2の発振回路は共に間欠的に起動され、
前記トリミング回路は、前記第2の発振回路の過去の起動時に取得された前記検出結果又は前記検出結果に対応する前記第1の発振回路の制御値を参照することによって、前記第1の発振回路の起動時における前記第1の発振周波数の調整を行う、請求項1又は2に記載のクロックシステム。
【請求項4】
前記検出結果及び前記制御値の少なくとも一方を記憶可能な記憶回路をさらに備え、
前記トリミング回路は、前記第2の発振回路の過去の起動時に前記記憶回路に保持された前記検出結果又は前記制御値を参照することによって、前記第1の発振回路の起動時における前記第1の発振周波数の調整を行う、請求項3に記載のクロックシステム。
【請求項5】
前記クロックシステムは、通常モード及び校正モードで動作可能であり、
前記通常モードでは、少なくとも前記第1の発振回路が起動され、前記第2の発振回路の過去の起動時に前記記憶回路に保持された前記検出結果又は前記制御値を参照することによって、前記第1の発振回路の起動時における前記第1の発振周波数の調整が行われ、
前記校正モードでは、前記第1及び第2の発振回路が共に起動され、前記第1及び第2の発振回路の起動後に前記発振周波数差の検出を行って得られる新たな検出結果又はこれに対応する制御値が、次回の前記通常モードによる動作のために前記記憶回路に格納される、請求項4に記載のクロックシステム。
【請求項6】
周囲温度を検出する温度検出回路をさらに備え、
前記トリミング回路は、前記記憶回路に保持された前記検出結果又は前記制御値によって定まる前記第1の発振回路に対する制御量を、前記周囲温度に応じて補正する、請求項4〜5のいずれか1項に記載のクロックシステム。
【請求項7】
少なくとも前記第1の発振回路に動作電圧を供給可能であり、前記動作電圧を変更可能な可変レギュレータをさらに備え、
前記動作電圧は、前記発振周波数差の検出結果に基づいて、前記第1の発振周波数が前記第2の発振周波数に近づくように調整される、請求項1〜6のいずれか1項に記載のクロックシステム。
【請求項8】
前記内部回路へ供給されるクロック信号の前記第1のクロック信号と前記第2のクロック信号の間での切り替えは行われない、請求項1〜7のいずれか1項に記載のクロックシステム。
【請求項9】
前記第1の発振回路は、前記第2の発振回路に比べて、起動時間が短く、発振周波数精度が低い、請求項1〜8のいずれか1項に記載のクロックシステム。
【請求項10】
前記第1の発振回路は、CR発振回路、又はLC発振回路であり、
前記第2の発振回路は、水晶発振回路、又はセラミック発振回路である、請求項1〜9のいずれか1項に記載のクロックシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−199481(P2011−199481A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−62569(P2010−62569)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】