説明

データセンタートラッキング回路及びこれを含む半導体集積回路

【課題】本発明は、外部環境の影響にも安定的に動作し、より向上した電力及び面積効率を具現するデータセンタートラッキング回路及びこれを含む半導体集積回路を提供する。
【解決手段】本発明は、直列連結した複数のクロックバッファーからなり、クロックをバッファーリングして出力信号を出力するクロックツリー;クロックに基づき、出力信号の位相の変化を感知して感知信号を出力する感知部;及び、感知信号に応じて、クロックツリーに供給される電流を調節し、出力信号の位相を調節するディレイ補償部を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路に関し、特に、データセンタートラッキング回路及びこれを含む半導体集積回路に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体集積回路は、データストロボ信号を用いてチップセットとデータの送受信を行う。半導体集積回路からチップセットに伝送されるデータ及びデータストロボ信号は、互いに同一の位相を有するように制御され、チップセットから半導体集積回路に伝送されるデータ及びデータストロボ信号は、互いに90°の位相差を有するように制御される。
【0003】
このように、半導体メモリ装置にデータが入力される際、データストロボ信号はデータの一つのビット区間の中間時点にトグルを行うことが好ましい。このために、半導体メモリ装置は、データセンタートラッキング回路を備え、このようなデータセンタートラッキング回路の代表例としてCDR(clock data recovery)回路などが用いられる(例えば、特許文献1)。
【0004】
しかしながら、CDR回路は、DLL(Delayed Locked Loop)やPLL(Phase Locked Loop)及びクロックツリーを備えて構成されるので、専有面積及び電力効率の面において短所がある。また、CDR回路は、データをコーディングする動作によりデータを送受信するが、このときの所要時間によりデータの正確なタイミング制御が難しいという問題点がある。
【特許文献1】特開平9−284259号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記問題点を解決するために案出されたもので、その目的は、外部環境の影響にも安定的に動作し、より向上した電力及び面積効率を具現するデータセンタートラッキング回路及びこれを含む半導体集積回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のデータセンタートラッキング回路は、直列連結した複数のクロックバッファーからなり、クロックをバッファーリングして出力信号を出力するクロックツリー;前記クロックに基づき、前記出力信号の位相の変化を感知して感知信号を出力する感知部;及び、前記感知信号に応じて、前記クロックツリーに供給される電流を調節し、前記出力信号の位相を調節するディレイ補償部を含む。
【0007】
また、本発明のデータセンタートラッキング回路を含む半導体集積回路は、第1のクロックをバッファーリングして第2のクロックを出力するDQSバッファー;前記第2のクロックをバッファーリングして第3のクロックを出力するが、前記第3のクロックの位相の変化を感知し、前記感知結果により前記第2のクロックをバッファーリングするために供給される電流量を調節して、前記第3のクロックの位相の変化量を補正するデータセンタートラッキング回路;及び、前記第3のクロックに同期してデータをラッチ及び伝送するラッチ回路を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明のデータセンタートラッキング回路及びこれを含む半導体集積回路は、温度や電力やノイズ等のような外部環境の変化にもクロックツリーの遅延量を一定にすることで、データ及びクロック間の位相差を90度に維持できる。また、データコーディングなどの動作を遂行しないので、エンコーダ及びデコーダが不要になり、面積及び電力効率の面においても利得がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、添付図面に基づき、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。
図1に示すように、本発明の一実施形態による半導体集積回路は、DQSバッファー10、データセンタートラッキング回路20及びラッチ回路30を含む。
【0010】
DQSバッファー10は、第1のクロック(CLK1)をバッファリングして、第2のクロック(CLK2)を出力する。DQSバッファー10は、一般のレシーバーバッファーを用いて具現できる。第1のクロック(CLK1)は、半導体集積回路内で生成されて用いられるクロックである。
【0011】
データセンタートラッキング回路20は、第2のクロック(CLK2)をバッファリングして、第3のクロック(CLK3)を出力する。データセンタートラッキング回路20は、クロックツリーを含み、温度や電力やノイズ等のような外部環境により変動する第3のクロック(CLK3)の位相の変化を補償する。すなわち、データセンタートラッキング回路20は、第3のクロック(CLK3)の位相の変化を感知し、感知結果によって第2のクロック(CLK2)をバッファーリングするために供給される電流量を調節する。半導体集積回路は、このようなデータセンタートラッキング回路20の動作により、 データ及びデータストロボ信号の位相をより精密に制御して出力できることで、データ出力動作の信頼度を向上できる。
【0012】
ラッチ回路30は、第3のクロック(CLK3)に同期してデータ(DATA1、DATA3、DATA3)をラッチし、出力データ(DATA_OUT1、DATA_OUT2、DATA_OUT3)として外部に伝送する。ここで、ラッチ回路30が第3のクロック(CLK3)に同期してラッチするデータの個数を3つとしたが、これは説明の便宜のために例示的に提示されたものに過ぎない。
【0013】
図2に示すように、データセンタートラッキング回路20は、クロックツリー210、感知部220及びディレイ補償部230を含む。
【0014】
クロックツリー210は、第2のクロック(CLK2)をバッファリングして、第3のクロック(CLK3)を出力する。クロックツリー210は、直列連結した複数のクロックバッファー211を含む。
【0015】
感知部220は、第2のクロック(CLK2)及び第3のクロック(CLK3)の入力を受け、第2のクロック(CLK2)に対する第3のクロック(CLK3)の位相の変化を感知して、感知信号(pd_s)を出力する。感知部220は、レプリカ部221及び位相比較器222を含む。
【0016】
レプリカ部221は、クロックツリー210が第2のクロック(CLK2)に付与する遅延量を補償するために、第3のクロック(CLK3)を所定の時間だけ遅延させる。
【0017】
位相比較器222は、レプリカ部221の出力信号と第2のクロック(CLK2)の位相とを比較して、感知信号(pd_s)を生成する。位相比較器222は、第2のクロック(CLK2)及びレプリカ部221の出力信号のうちで、どの信号の位相が先んじるかを感知して、その結果に対応する電圧レベルを有する感知信号(pd_s)を出力する。
【0018】
ディレイ補償部230は、感知信号(pd_s)に応じてクロックツリー210に供給される電流量を制御する。ディレイ補償部230は、フィルター部231、ファインステートマシン232、レジスタ部233、D/Aコンバータ(Digital Analog Converter)234、レギュレータ部235を含む。
【0019】
フィルター部231は、感知信号(pd_s)の論理値が所定回数の間どのような電圧レベルで入力されるかを判別して、その合計である合(sum)を出力する。例えば、感知信号(pd_s)が、5回はアップ信号であり、3回はダウン信号であれば、2回のアップ信号が合(sum)になる。
【0020】
ファインステートマシン232は、合(sum)に応じてデジタルコード(Dg_code)を出力する。ファインステートマシン232は、デジタルコード(Dg_code)のデフォルト値に合(sum)を足し算又は引き算した後に生成されるコードをデジタルコード(Dg_code)として出力する。例えば、デジタルコード(Dg_code)のデフォルト値が11であり、合(sum)が2回のアップ信号であれば、デジタルコード(Dg_code)は13になり、合(sum)が1回のダウン信号であれば、デジタルコード(Dg_code)は10になる。
【0021】
こうしたフィルター部231及びファインステートマシン232の構成は、当業者であれば容易に具現できる技術である。
【0022】
レジスタ部233は、デジタルコード(Dg_code)を格納し、格納した信号を出力する。レジスタ部233は、デジタルコード(Dg_code)を格納していて、パワーダウンモードのようなパワーオフ状態の後、リロッキング(relocking)が要求される際、格納したデジタルコード(Dg_code)をD/Aコンバータ234に伝送できる。このように、レジスタ部233により、パワーダウンモードの脱出時、クロックツリー210に供給される電流量の復元が速くなることで、データセンタートラッキング回路20の正常動作までの時間が短縮される。
【0023】
D/Aコンバータ234は、デジタルコード(Dg_code)をアナログ信号(ans)に変換する。D/Aコンバータ234は、一般の形態のD/Aコンバータを用いて具現できる。アナログ信号(ans)の電圧レベルは、クロックツリー210に供給される電圧レベルの0.1倍〜10倍の範囲を有するのが好ましい。
【0024】
レギュレータ部235は、アナログ信号(ans)に応じて、クロックツリー210に供給される電流量を調節する。レギュレータ部235は、比較部236及び供給制御部237を含む。
【0025】
比較部236は、アナログ信号(ans)と、クロックツリー210に供給される電源電圧とを比較する。供給制御部237は、比較部236の出力により、電源電圧からクロックツリー210に供給される電流量を調節する。供給制御部237は、図2に示すように、PMOSトランジスタ(PM1)として具現できる。PMOSトランジスタ(PM1)は、比較部236の出力信号がローレベルの場合、既に印加された電源からクロックツリー210に電流を供給する。
【0026】
このように構成されたデータセンタートラッキング回路20において、温度や電力やノイズ等の変動により、クロックツリー210の遅延量が変動すれば、クロックツリー210から出力される第3のクロック(CLK3)の位相も変化する。感知部220は、このような第3のクロック(CLK3)の位相の変化を感知して感知信号(pd_s)を生成し、ディレイ補償部230は、前記感知信号(pd_s)に応じて、クロックツリー210が第2のクロック(CLK2)のバッファーリングのために使用する電流量を制御する。これにより、クロックツリー210は、第2のクロック(CLK2)に付与する遅延量を再調整することで、第3のクロック(CLK3)の変化した位相が補償される。
【0027】
図3に示すように、ラッチ回路30は、データ(DATA1、DATA2、DATA3)の個数によって複数のラッチ部を含む。ここでは、データの個数を3つとしたため、ラッチ部も3つ(第1〜第3のラッチ部310〜330)とした。第1〜第3のラッチ部310〜330は、第3のクロック(CLK3)が温度や電圧やノイズ等のような外部環境の変化にも一定の位相を有するように制御された後に入力されるので、より安定的にデータをラッチできる。
【0028】
なお、本発明の詳細な説明では具体的な実施形態について説明したが、本発明の要旨から逸脱しない範囲内で多様に変形・実施が可能である。よって、本発明の範囲は、前述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載及びこれと均等なものに基づいて定められるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態による半導体集積回路のブロック図である。
【図2】図1に示すデータセンタートラッキング回路の詳細構成図である。
【図3】図1に示すラッチ回路の詳細構成図である。
【符号の説明】
【0030】
10…DQSバッファー
20…データセンタートラッキング回路
30…ラッチ回路
210…クロックツリー
211…クロックバッファー
220…感知部
221…レプリカ部
222…位相比較器
230…ディレイ補償部
231…フィルター部
232…ファインステートマシン
233…レジスタ部
234…D/Aコンバータ
235…レギュレータ部
236…比較部
237…供給制御部
310…第1のラッチ部
320…第2のラッチ部
330…第3のラッチ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列連結した複数のクロックバッファーからなり、クロックをバッファーリングして出力信号を出力するクロックツリーと、
前記クロックに基づき、前記出力信号の位相の変化を感知して感知信号を出力する感知部と、
前記感知信号に応じて、前記クロックツリーに供給される電流を調節し、前記出力信号の位相を調節するディレイ補償部と
を含むことを特徴とするデータセンタートラッキング回路。
【請求項2】
前記感知部は、
前記クロックツリーが前記クロックに付与する遅延量を補償するために、前記出力信号を所定の時間だけ遅延させるレプリカ部と、
前記レプリカ部の出力信号と前記クロックの位相とを比較して、前記感知信号を生成する位相比較器と
を含むことを特徴とする請求項1に記載のデータセンタートラッキング回路。
【請求項3】
前記ディレイ補償部は、
前記感知信号の論理値が所定回数の間どのような電圧レベルで入力されるかを判別して、合を出力するフィルター部と、
前記合に応じてデジタルコードを出力するが、前記デジタルコードのデフォルト値に前記合を足し算又は引き算した後に生成されるコードを前記デジタルコードとして出力するファインステートマシンと、
前記デジタルコードをアナログ信号に変換するD/Aコンバータと、
前記アナログ信号に応じて、前記クロックツリーに入力される電流量を調節するレギュレータ部と
を含むことを特徴とする請求項1に記載のデータセンタートラッキング回路。
【請求項4】
前記ディレイ補償部は、前記デジタルコードを格納し、リロッキングが要求される際、格納した前記デジタルコードを前記D/Aコンバータに伝送するレジスタ部をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載のデータセンタートラッキング回路。
【請求項5】
前記レギュレータ部は、
前記アナログ信号と前記クロックツリーに供給される電源電圧とを比較する比較部と、
前記比較部の出力により、前記電源電圧から前記クロックツリーに供給される電流量を調節する供給制御部と
を含むことを特徴とする請求項3に記載のデータセンタートラッキング回路。
【請求項6】
第1のクロックをバッファーリングして第2のクロックを出力するDQSバッファーと、
前記第2のクロックをバッファーリングして第3のクロックを出力するが、前記第3のクロックの位相の変化を感知し、前記感知結果により前記第2のクロックをバッファーリングするために供給される電流量を調節して、前記第3のクロックの位相の変化量を補正するデータセンタートラッキング回路と、
前記第3のクロックに同期してデータをラッチ及び伝送するラッチ回路と
を含むことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項7】
前記データセンタートラッキング回路は、
直列連結した複数のクロックバッファーからなり、前記第2のクロックをバッファーリングして前記第3のクロックを出力するクロックツリーと、
前記第2のクロックに基づき、前記第3のクロックの位相の変化を感知して、感知信号を出力する感知部と、
前記感知信号に応じて、前記クロックツリーに供給される電流を調節し、前記第3のクロックの位相を調節するディレイ補償部と
を含むことを特徴とする請求項6に記載の半導体集積回路。
【請求項8】
前記感知部は、
前記クロックツリーが前記第2のクロックに付与する遅延量を補償するために、前記第3のクロックを所定の時間だけ遅延させるレプリカ部と、
前記レプリカ部の出力信号と前記第2のクロックの位相とを比較して、前記感知信号を生成する位相比較器と
を含むことを特徴とする請求項7に記載の半導体集積回路。
【請求項9】
前記ディレイ補償部は、
前記感知信号の論理値が所定回数の間どのような電圧レベルで入力されるかを判別して、合を出力するフィルター部と、
前記合に応じてデジタルコードを出力するが、前記デジタルコードのデフォルト値に前記合を足し算又は引き算した後に生成されるコードを前記デジタルコードとして出力するファインステートマシンと、
前記デジタルコードをアナログ信号に変換するD/Aコンバータと、
前記アナログ信号に応じて、前記クロックツリーに入力される電流量を調節するレギュレータ部と
を含むことを特徴とする請求項7に記載の半導体集積回路。
【請求項10】
前記レギュレータ部は、
前記アナログ信号と前記クロックツリーに供給される電源電圧とを比較する比較部と、
前記比較部の出力により、前記電源電圧から前記クロックツリーに供給される電流量を調節する供給制御部と
を含むことを特徴とする請求項9に記載の半導体集積回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−124703(P2009−124703A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−282601(P2008−282601)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(591024111)株式会社ハイニックスセミコンダクター (1,189)
【氏名又は名称原語表記】HYNIX SEMICONDUCTOR INC.
【住所又は居所原語表記】San 136−1,Ami−Ri,Bubal−Eup,Ichon−Shi,Kyoungki−Do,Korea
【Fターム(参考)】