ナノ構造処理のための導電性補助層の形成及び選択的除去
一又は複数のナノ構造の作成方法が開示されており、当該方法は:基板の上部表面上に導電層を形成すること;導電層上に触媒のパターン層を形成すること;触媒層上に一又は複数のナノ構造を成長させること;及び一又は複数のナノ構造の間及び周囲の導電層を選択的に除去することを含んでなる。デバイスもまた開示されており、該デバイスは、基板、ここで基板は一又は複数の絶縁領域によって隔てられた一又は複数の露出金属島を含んでなる;一又は複数の露出金属島又は絶縁領域の少なくともいくつかを覆う基板上に配された導電性補助層;導電性補助層上に配された触媒層;及び触媒層上に配された一又は複数のナノ構造を含んでなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、その全開示を出典明示によりここに援用する2008年2月25日出願の米国仮出願番号第61/031333号に基づく優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
ここに記載された技術は概して、ナノ構造の化学的蒸着法(CVD)の分野に関し、より特定すると、ナノ構造の成長中のプラズマ誘起損傷の低減又は除去、及び導電性及び絶縁表面の両方でナノ構造の自己整合成長を可能にすることに関する。
【背景技術】
【0003】
ここに記載された本技術は、炭素ナノ構造(例えばカーボンナノチューブ、炭素ナノ繊維、及びカーボンナノワイヤ)といったナノ構造に関するが、それに限定されるものではない。これらのナノ構造は、その高い熱及び電気伝導率から近年注目を集めている。
【0004】
炭素ナノ構造は、アーク放電法、レーザアブレーション、又は化学的蒸着法(CVD)で製造可能である。触媒がCVD処理でナノ構造の成長を得るために用いられる。二つの最も頻繁に用いられるCVD法は、熱CVD及びプラズマ化学気相成長法(つまりプラズマCVD)である。熱CVDでナノ構造の形成に必要なエネルギーは熱エネルギーである。プラズマCVDでナノ構造の形成に必要なエネルギーはプラズマからのものである。プラズマCVDでは、熱CVDで用いられる温度より低温でナノ構造を成長させることができる。プラズマCVDのより低い成長温度は、ナノ構造が成長する基板が過度温度により損傷することがしばしばあるため有意な利点である。
【0005】
高周波プラズマCVD、誘導結合型プラズマCVD及び直流プラズマCVDなど数種類のプラズマCVDがある。直流プラズマCVD(DC−CVD)は、基板表面に近い電界がナノ構造の配向を可能にするため、多くの場合好ましい。いくつかの例で、電界は基板に略垂直なナノ構造配向を引き起こす。いくつかの例で、垂直方向から他の方向に角度変位した配向もまた所望通りに達成できる。
【0006】
図1A−Eは、基板上に成長できるナノ構造の様々な構成を示す。図1Aは導電性基板100上に、パターン触媒層102及び/又は104からナノ構造106及び/又は108を成長させるための構成を示す。ナノ構造106は小さい触媒ドット102上に成長している単独のナノ構造であり、一方、ナノ構造108は大きい触媒領域104上に成長しているナノ構造の「フォレスト」(複数の密集したナノ構造)である。図1Bは、絶縁基板110上に形成された連続金属下層112上にパターン触媒層102及び/又は104からナノ構造106及び/又は108を成長させるための構成を示す。小さい触媒ドット102は個別のナノ構造106を生じ、一方、大きい触媒領域104はナノ構造の「フォレスト」108(複数の密集したナノ構造)を生じる。ナノ構造を成長させるためにDC−CVDを用いるこれら二つの構成は比較的単純である。
【0007】
しかしながら、パターン触媒層102及び/又は104が、絶縁体110上に直接(図1Cに示したように)又は絶縁体110の上の孤立した金属島114上に(図1Dに示したように)形成される場合、問題が生じる。その問題は、金属島周囲に絶縁領域がある場合に最も頻繁に起こり、金属島が基板の他の部分に電気接続されていても起こる。電気アークは成長工程で起こり、スパッタリングにより成長構造に損傷を与える。アークはまた、アークにより生成される過大電圧により成長構造に接続された電子デバイスにも損傷を与えうる。図2は、アーク放電により基板に生じた損傷の例を示す。これらの過大電圧は、デバイスが複数の物質層の下に埋められていてもデバイスが最上部の金属層に電気接続されているため、デバイスに損傷を与えうる。米国特許番号第5,651,865号には、DCプラズマで導電性表面上に絶縁域を有することに関する問題についての詳述がある。
【0008】
アークに伴う問題を軽減するためにDC電源の改良を述べる解決策がいくつか提案されている。例えば、米国特許番号第5,576,939号及び同第6,943,317号は、アーク発生時に電源の極性を切り換えるか又は切断するための手段を開示している。米国特許番号第5,584,972号は、電源及び電極の間にインダクタ及びダイオードを接続することを記載している。米国特許番号第7,026,174号は、アーク放電を低減するためにウェハにバイアス電圧を掛けることを開示している。米国特許番号第5,651,865号は、プラズマ電圧の周期的極性変化を利用して導電性表面から任意の絶縁体を選択的にスパッタすることを開示しており、これによっては絶縁域のあるサンプル上でのナノ構造の成長は可能ではない。
【0009】
パターン金属下層上にナノ繊維を作成するための方法が、いくつかの出願、例えば米国特許番号第6,982,519号に示されている。開示された方法は、パターン触媒層を用いて連続金属下層上にナノ繊維を成長させ、その後、光リソグラフィを用いて金属下層をパターン形成することからなる。開示された方法は、成長に連続金属下層を必要とし、金属下層のパターン形成はその後に行われる。
【0010】
米国特許番号第6,982,519号に開示の技術は、集積回路の配線層の標準的な(CMOS)処理と適合せず、化学機械研磨を用いて層間絶縁膜の凹みに水平な金属導体116(例えば図1Eのもの)が形成される。研磨後、次のヴィア(垂直配線)層が、配線層の上面及び隣に形成される。よって、(パターン金属下層を得るための)配線のいかなるパターン形成も、次のヴィア層の作成前に為されなければならない。
【0011】
米国特許番号第6,982,519号に開示の方法では、リソグラフィの後にナノ構造間に金属が残るため、基板が絶縁のまま残るように絶縁基板上に直接ナノ構造を成長させることが不可能である。いくつかの適用では、例えば絶縁体からの熱輸送で(連続金属層が望ましくない場合)ナノ構造被覆表面を絶縁とすること(例えば図1Cの絶縁表面110上のナノ構造を成長させること)が望ましい。
【0012】
更に、既存の金属島(図1Dに示したような)にナノ構造を成長させることは不便であり、図2のSEM写真に示したようなプラズマ誘起チップ損傷が問題として例示される。
【0013】
図1Eに示した構成は、いくつかの下方にある(又はデバイスの配向方法によっては上方にある)パターン金属下層116へのヴィア118(垂直配線)を含む。パターン金属下層116(水平配線)又は任意の存在する従来型のヴィア118(垂直配線)上に直接ナノ構造を成長させることが好ましいであろう。
【0014】
米国特許番号第6,982,519号によって対処されていない別の問題は、集積回路の製造に使用される全ての金属がナノ構造の成長に用いられるプラズマガスに適合するわけではないことである。例えば、米国特許公報第2008/00014443号は、有害な化学反応が起こるためアセチレン含有プラズマで銅を使用することはできないことを提示している。
【0015】
米国特許公報第2007/0154623号は、相互作用を防ぐためにガラス基板と触媒との間にバッファ層を用いるための方法を開示する。米国特許公報第2007/0259128号は、カーボンナノチューブの部位密度を制御するために中間層を用いるための方法を開示する。これらの適用はいずれも、既にパターン形成された金属下層上でのナノ構造の成長又はアーク除去に必要な条件を満たさない。
【0016】
部分的にのみ金属下層で覆われたチップ上にナノ構造を成長させるとき、触媒粒子の外で寄生成長が生じることがある。これにより、チップ表面に沿った望ましくない漏れ電流が発生しうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】米国特許番号第5,651,865号
【特許文献2】米国特許番号第5,576,939号
【特許文献4】米国特許番号第6,943,317号
【特許文献5】米国特許番号第5,584,972号
【特許文献6】米国特許番号第7,026,174号
【特許文献7】米国特許番号第5,651,865号
【特許文献8】米国特許番号第6,982,519号
【特許文献9】米国特許公報第2008/00014443号
【特許文献10】米国特許公報第2007/0154623号
【特許文献11】米国特許公報第2007/0259128号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
従って、アーク誘起チップ損傷及び繊細な電子デバイスの過大電圧損傷の問題、又は使用される物質の不適合、プラズマ成長処理中の寄生成長による問題のない、予めパターン形成された金属下層上にナノ構造を成長させるための方法が必要である。様々な実施例で、ここに記載された技術はこれらの処理関連の問題のいくつか又は全てを解決しうる。
【0019】
ここでの本発明の背景の考察は、本発明の背景にある事情を説明するために盛り込まれた。参照した全ての題材が、いずれの請求項の優先日時点においても公開、周知、又は一般常識の一部であったことを認めるものとして見なされるわけではない。
【課題を解決するための手段】
【0020】
ここに記載された技術は概して、ナノ構造の化学的蒸着法(CVD)の分野に関し、より特定すると、ナノ構造の成長処理中のプラズマ誘起損傷の低減又は除去、及び導電性及び絶縁表面の両方でナノ構造の自己整合成長を可能にすることに関する。
【0021】
一態様で、一又は複数のナノ構造の作成方法は:基板の上部表面上に導電性補助層を形成すること;導電性補助層上に触媒のパターン層を形成すること;触媒層上に一又は複数のナノ構造を成長させること;及び一又は複数のナノ構造の間及び周囲の導電性補助層を選択的に除去することを含む。
【0022】
いくつかの実施例で、触媒層は形成後にパターン形成される。いくつかの実施例で、基板は付加的にその上部表面と同延の金属下層を備え、且つそれは導電性補助層に覆われている。いくつかの実施例で、金属下層はパターン形成されている。いくつかの実施例で、金属下層は:Cu、Ti、W、Mo、Pt、Al、Au、Pd、P、Ni、及びFeから選択された一又は複数の金属を含んでなる。いくつかの実施例で、金属下層は、TiN、WN、及びAlNから選択された一又は複数の導電性合金を含んでなる。いくつかの実施例で、金属下層は、一又は複数の導電性ポリマーを含んでなる。いくつかの実施例で、基板は半導体である。いくつかの実施例で、基板は絶縁体である。いくつかの実施例で、基板は、上面に少なくとも一つの導電層を有した絶縁体を含んでなる。いくつかの実施例で、形成方法のいずれかは:蒸着、めっき、スパッタリング、分子線エピタキシ、パルスレーザ蒸着、CVD、及びスピンコーティングから選択された方法によって実行される。いくつかの実施例で、一又は複数のナノ構造は、炭素、GaAs、ZnO、InP、InGaAs、GaN、InGaN、又はSiを含んでなる。いくつかの実施例で、一又は複数のナノ構造は、ナノ繊維、ナノチューブ、又はナノワイヤを含む。いくつかの実施例で、導電性補助層は:半導体、導電性ポリマー、及び合金から選択された材料を含んでなる。いくつかの実施例で、導電性補助層は、1nmから100ミクロンの厚さである。いくつかの実施例で、一又は複数のナノ構造はプラズマで成長させられる。いくつかの実施例で、導電性補助層の選択的除去は、エッチングにより達成される。いくつかの実施例で、エッチングはプラズマドライエッチングである。いくつかの実施例で、エッチングは電気化学エッチングである。いくつかの実施例で、エッチングは光化学熱分解エッチングである。いくつかの実施例で、エッチングは熱分解エッチングである。いくつかの実施例で、該方法は更に、導電性補助層と触媒層の間に付加的な層を形成することを含む。
【0023】
一態様で、デバイスは基板を含み、ここで基板は一又は複数の絶縁領域によって隔てられた一又は複数の露出金属島を含んでなる;一又は複数の露出金属島又は絶縁領域の少なくともいくつかを覆う基板上に配された導電性補助層;導電性補助層上に配された触媒層;及び触媒層上に配された一又は複数のナノ構造を含む。いくつかの実施例で、ナノ構造は配線である。
【0024】
一態様で、一又は複数のナノ構造を作製するための方法は:基板の上部表面上に金属下層を形成すること;金属下層上に触媒層を形成すること;触媒層上に絶縁体層を形成すること;絶縁体層上に導電性補助層を形成すること;導電性補助層から触媒層へと絶縁体層を通ってヴィアホールを作製すること;ヴィアホールを介して触媒層上に一又は複数のナノ構造を成長させること;及び導電性補助層を選択的に除去することを含む。
【0025】
一態様で、一又は複数のナノ構造を含むデバイスは、以下のステップ:基板の上部表面上に金属下層を形成するステップ;金属下層上に触媒層を形成するステップ;触媒層上に絶縁体層を形成するステップ;絶縁体層上に導電性補助層を形成するステップ;導電性補助層から触媒層へと絶縁体層を通ってヴィアホールを作製するステップ;ヴィアホールを介して触媒層上に一又は複数のナノ構造を成長させるステップ;及び導電性補助層を選択的に除去するステップを含んでなる工程によって製造される。
【0026】
一態様で、一又は複数のナノ構造を作製するための方法は:基板上に導電性補助層を形成すること、ここで基板は露出パターン金属下層又は露出絶縁体層を含んでなる;触媒層からナノ構造を成長させること、ここで触媒層は導電層の上又は露出絶縁体層の下に配されている;及び導電性補助層の全て又は一部をエッチングにより選択的に除去することを含む。
【0027】
当該方法及びデバイスは、一又は複数の以下の利点を提供しうる。
【0028】
いくつかの実施例で、当該方法は、一又は複数のパターン形成済み金属下層、並びに電気的絶縁基板上でのナノ構造の成長を可能にする。当該方法は、基板に含まれる電気的に繊細なデバイスへのアーク損傷に対する保護を提供しうる。金属下層又は絶縁層と不適合なガスを含む成長プラズマに関する制限が取り除かれうる。
【0029】
いくつかの実施例で、当該方法は、基板の上部表面を覆う連続電気的導電性補助層を形成すること、次いで補助層の上に触媒層を形成すること(及び/又はパターン形成すること)、触媒層上にナノ構造を成長させること、及び次にナノ構造によって覆われていない領域の導電性補助層を選択的に除去することを伴う。当該方法の結果、パターン触媒−補助層の積層上に成長している自己整合繊維が得られる。成長のための良質な接地が、成長工程中に連続導電性補助層により達成され、それによりアーク放電問題が取り除かれる。従って、当該方法は、ナノ構造の成長後の導電性補助層の除去が容易なため、既にパターン形成された金属下層(一又は複数)又は絶縁層(一又は複数)の特定の位置上にナノ構造を成長させることを可能とする。
【0030】
いくつかの実施例で、ナノ構造は絶縁層を通って成長し、当該方法は、基板(導電又は絶縁)上に触媒層を形成すること、次に触媒層上に絶縁層を形成すること、次に絶縁層の上に連続パターン導電性補助層を形成すること、絶縁層の一部を選択的に除去して絶縁層を通って触媒層へとヴィアホールを作製すること、次に触媒層からナノ構造を成長させること、及び最後にナノ構造によって覆われていない領域の導電性補助層を選択的に除去することを伴う。
【0031】
ここに記載された技術の別の利点は、チップ表面上の全ての電気コネクタが共に短絡且つ接地されるため、基板上の繊細な電気デバイスがプラズマの高電圧から保護される点である。ここに記載された技術は実質的に全てのアークを除去するが、いくらかのスパークがあったとしても(例えば基板の取り扱い中に静電気により生じたもの)、該スパークの損傷効果は有意に低減される。
【0032】
第三の利点は、(場合によってはパターン形成された)金属下層がナノ構造の成長中にプラズマから保護される点である。これは、成長に用いられるガスと不適合な金属下層(一又は複数)又は絶縁層(一又は複数)上でナノ構造を成長させるときに重要である。例えば、アセチレン含有プラズマを用いた銅表面上での成長は、これらの材料が必ずしも適合しないためナノ構造成長中に有害作用を引き起こす。本明細書に開示した方法を利用することによって、プラズマガスと基板又は金属下層との適合性に関するこういった制限が取り除かれうる。
【0033】
第四の利点は、触媒外での寄生成長が回避される点である。
【0034】
導電性補助層の除去は自己整合工程であるため、個別のナノ構造が、絶縁のまま残ることができる絶縁層/基板上に又はそれを通って成長できる。これは、補助層が触媒層の上に形成される場合に導電性補助層材料がナノ構造の真下に残るように、又は補助層が触媒層以外の層(例えば触媒層及び基板の上に形成された絶縁層)上に配される場合に該材料が完全に除去されるように、導電性補助層を選択的に除去することによって達成される。
【0035】
他の特徴及び利点は、説明及び図面及び請求項から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1A−1Eは、基板上にナノ構造を成長させるための例示的構成を示す。
【図2】図2は、スパークによる損傷を受けたチップ表面を示すSEM(走査型電子顕微鏡)画像である。
【図3】図3A−3Eは、本明細書に開示の技術に従ってナノ構造を作製するための例示的工程を示す。
【図4】図4A−4Bは、本明細書に開示の技術の代替的実施例を示す。
【図5】図5A−5Bは、本明細書に開示の技術の代替的実施例を示す。
【図6】図6は、(一部)絶縁表面上にナノ構造を成長させるための例示的工程のフロー図である。
【図7】図7A−7Bは、本明細書に開示の技術を用いて作製された例示的光導波構造を示す。
【図8】図8A−8Bは、絶縁層を介してナノ構造を成長させるための例示的工程を示す。
【図9】図9A−9Bは、パターン金属下層、連続導電性補助層、及びナノ繊維が成長したパターン触媒層を備えた例示的デバイスを示すSEM画像である。
【図10】図10は、補助層が選択的に除去された同一の例示的デバイスを示すSEM画像である。
【図11】図11A−11Bはそれぞれ、補助層が除去される前と後の下層として銅を有した例示的デバイスのSEM画像である。
【図12】微細構造/ナノ構造が絶縁層のヴィアホールを通って成長している例示的デバイスのSEM画像である。
【0037】
(本明細書で使用される参照番号のリスト)
100−導電性基板
102−個別のナノ構造の成長を支えるためにパターン形成された触媒層
104−ナノ構造の「フォレスト」(複数の密集したナノ構造)の成長を支えるためにパターン形成された触媒層
106−個別のナノ構造
108−ナノ構造の「フォレスト」(複数の密集したナノ構造)
110−絶縁基板
112−連続金属下層
114−絶縁体の上部にあるパターン金属下層
116−絶縁基板の上面と同じ高さにある上面を有したパターン金属下層(研磨後の平坦なチップ)
118−ヴィア(垂直配線)
120−連続導電性補助層
122−残留触媒層(自己整合エッチング後)
124−残留導電性補助層(自己整合エッチング後)
126−任意の層
128−導波路のための基板
130−導波路材料
132−導電性補助層の残存する垂直側壁
134−パターン導電性補助層
136−絶縁体を通るヴィアホール
200−導電性補助層の形成
210−任意の付加的な層の形成
220−触媒層の形成及びパターン形成
230−ナノ構造の成長
240−補助層の選択的及び自己整合除去
【0038】
種々の図における同様の参照番号及び記号表示は、同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
ここに記載された技術は、プラズマ処理、例えばナノ構造(つまり少なくとも一つのナノメートルのオーダーの寸法を有した構造)の成長に関する。いくつかの実施例で、当該技術はまた、ナノメートルの範囲以外、例えばマイクロメートル又はミリメートルのサイズ範囲の形状を有した構造の処理にも適用する。
【0040】
「基板」は、ナノ構造の成長のために他の層が形成されうる任意の一又は複数の層を示すものである。基板としては、絶縁体又は金属層又はデバイスを含む半導体が含まれうる。半導体としては、ドープ又はノンドープシリコン、シリコンカーバイド、II−VI又はIII−V材料(GaAs、InP、InGaAsなど)又は半導体ポリマーが含まれうる。基板はまた、ガラス又はインジウムスズ酸化物(ITO)といった透明の導電性又は絶縁材料であってよい。また基板としては、ポリマー層又はプリント基板(PCB)が含まれうる。基板は平坦である必要がなく、波形構造を含みうる。
【0041】
「金属下層」には、露出金属島(例えば配線又はヴィア)及び/又は基板と上面の露出絶縁体層の間に配されている連続導電層を含む、補助層が基板構造上に形成される前に既に基板構造の上部表面上に存在する任意の金属が含まれうる。金属下層は、任意の金属及び/又は金属合金又はCu、Ti、W、Mo、Pt、Al、Au、Pd、Pt、Ni、Feなどといった周期表からの異なる金属の組み合わせを含んでなりうる。金属下層はまた、一又は複数の導電性ポリマーを含んでなりうる。金属下層はまた、上記の導電性材料の任意の組み合わせを含んでなりうる。
【0042】
「触媒」は、化学反応を促進するための金属、合金又は材料積層である。一例示的触媒はニッケルに覆われたシリコンである。触媒層はまた、障壁層、例えば金層と上面のSi/Ni層の間に形成されたタングステン層を含んでよい。触媒は、Ni、Fe、Pt、Pdといった純金属、又はNiFe、NiCr、NiAlFeなどといった金属合金でありうる。
【0043】
「絶縁体」は、任意の電気的絶縁材料、例えば二酸化ケイ素、窒化ケイ素、又は高k材料、例えばHfO、ZrOなど、酸化アルミニウム、焼結複合材料、ポリマー、レジスト(例えばSU8)、様々な形態のポリアミド、ITO、いわゆる低k材料、又は層間絶縁膜(ILD)でありうる。
【0044】
「形成」とは、任意の一又は複数の蒸着、めっき、スパッタリング、又は熱又はプラズマCVDといった化学的蒸着法(CVD)による、分子線エピタキシ(MBE)による、パルスレーザ蒸着(PLD)による、又はスピンコーティングによる形成を意味する。
【0045】
「ナノ構造」とは、少なくとも一つのナノメートルのオーダーの寸法を有した構造(体)である。ナノ構造としては、炭素、GaAs、ZnO、InP、GaN、InGaN、InGaAs又は他の材料のナノ繊維、ナノチューブ、又はナノワイヤが含まれうる。
【0046】
図3Aは、シリコンチップといった部分的に処理された基板を示す。本明細書に記載された技術は、基板に埋め込まれた配線116又はヴィア118(パターン金属下層)によって形成された金属島上にナノ構造を成長させるために絶縁基板110に適用される。ヴィア118及び配線116(パターン金属下層)は、トレンチ(溝)エッチング及びトレンチへの金属の形成を含む、標準的なウェハ処理方法、例えばいわゆるダマシンプロセスによって製造されうる。化学機械研磨(CMP)が、基板及び配線の平坦な上面を達成するために用いられうる。
【0047】
図3Eに示された構造を製造するために、複数のステップが図6に示されたように実行される。最初に、連続導電性補助層120が基板110及び基板110に埋め込まれたパターン金属下層116及び118上に形成され、図3Bの構造が得られる(ステップ200)。任意の電気的導電性材料が補助層120として用いられうる。導電性材料の例としては、W、Moなどといった周期表からの任意の電気的導電性元素、窒化チタンといった導電性合金、ドープシリコンといった半導体、又は導電性ポリマーが含まれる。補助層のための材料は、金属下層と補助層を隔てるバッファ層が最初に形成されていない場合は、パターン金属下層の材料と異なっているべきである。記載の例では、タングステン層が連続導電性補助層120として採用された。
【0048】
導電性補助層の厚さは、約1nmから100μm、及び好適には約1nmから100nmの間であってよい。一実施例で、50nmのタングステン層が用いられる。いくつかの実施例で、一つのみの補助層が用いられる。しかしながら、ここに記載された技術は、単一の材料層を有した一つの補助層だけの使用に制限されるものではなく、補助層は、リフトオフ、接着、エッチング選択比を向上させるために、又はエッチング停止層、電気めっきのためのシード層又は保護層として機能するように、複数の層を含んでもよい。更に、熱管理のための層、例えばペルチェ(Peltier)材料といった高又は低熱伝導率を有した層が含まれうる。
【0049】
ここに記載された技術は、補助層として複数の異なる材料を用いて利用できる。補助層のエッチング中にナノ構造が自己整合マスク層として用いられうるように補助層材料とエッチングパラメータを選択することが重要である。補助層材料の選択肢は、補助層の真下にある材料によって決めることができる。成長したナノ構造間の不要な触媒残渣を全て除去するために選択的除去工程を利用することもできるので、補助層は触媒であってもよい。
【0050】
パターン触媒層102及び/又は104は、ナノ構造が成長するべき場所を画定する。触媒はニッケル、鉄、白金、パラジウム、ニッケルシリサイド、コバルト、モリブデン、又はその合金であってよく、又は他の材料(例えばシリコン)と組み合わされてもよい。ここに記載された技術は触媒を用いないナノ構造成長工程にも適用できるため、触媒は任意であってよい。小さい触媒ドット102を含むパターン触媒層は個別のナノ構造を生じることとなり、そして大きい触媒領域104を含むパターン触媒層はナノ構造の「フォレスト」を生じることとなる。
【0051】
触媒層をパターン形成するために(図6のステップ220)、レジストを用いた標準的なエッチバック又はリフトオフ処理が用いられうる。紫外線又は電子ビームを用いてレジスト層がパターン形成されうる。ナノインプリントリソグラフィ又はレーザ書き込みといった他の手段もまたレジスト(又は直接触媒層)をパターン形成するために用いられてよい。触媒層はまた、レジストを使用しない方法、例えば化学的自己組織化方法でパターン形成されてもよい。触媒粒子のアレイが、ラングミュアーブロジェット膜を用いて、ウェハ上に触媒(ナノ)粒子を有した溶液をスピンオンして、又は昇温でアニーリング中に触媒粒子に変換される連続触媒膜を形成して表面上に形成されうる。これらの技術のいくつかを利用して非平坦表面上に触媒層を成長させ且つ成長部位密度(単位面積当たりの成長部位の数)を制御することができる。
【0052】
ナノ構造の成長中、導電性補助層は電気的に接地されるか又は、基板ホルダの電位或いは他の何らかの適切な接地電位に接続されうる。ナノ構造106及び/又は108はプラズマ、典型的にはDCプラズマで成長させられうる(図6のステップ230)。ナノ構造成長のために用いられるプラズマガスは、アセチレン、一酸化炭素、メタン、又は高次炭化水素といった任意の炭素前駆体であってよく、アンモニア、水素、アルゴン、又は窒素といった他のガスと混合されてもよい。成長温度は好適には摂氏800度以下である。約0.1から250トールの範囲、及び好適には約0.1から100トールの間の圧力が用いられうる。プラズマ電流は約10mAから100A、及び好適には約10mAから1Aの範囲であってよい。
【0053】
いくつかの実施例で、RFプラズマ又は熱CVDがナノ構造の成長のために用いられてよく、ここに記載された技術は特にDCバイアスの掛けられたRFプラズマの場合に適用される。いくつかの実施例で、ここに記載された技術はまた、気相(プラズマなし)及び液相で成長させられるナノ構造の場合にも適用される。
【0054】
ここに記載された技術によるいくつかの実施例で、成長ステップの後に、導電性補助層がエッチングによって選択的に除去される(図6のステップ240)。エッチング方法及びエッチングガス(ドライエッチングの場合)又はエッチング液(ウェットエッチングの場合)は、導電性補助層及びナノ構造の材料に応じて選択される。例えば、炭素ナノ繊維の下に位置するタングステンを備えた補助層は、フッ素含有プラズマを用いたプラズマドライエッチングによって好適に除去されうる。この組み合わせの利点は、ナノ構造及び触媒粒子に対する相対的選択性である。
【0055】
他のエッチング方法、例えば他の異方性エッチング法、ウェット(等方性)エッチング、熱分解、電気化学エッチング、又は光化学エッチングが用いられうる。エッチング停止層を用いる又はエッチング時間を変更することによって、十分に強いエッチングが実行可能となる。導電性補助層及び金属下層間の相対的選択性を有するエッチング液又はエッチングガスを選択することが有利でありうる。
【0056】
この自己整合選択的除去工程を利用して特定位置の導電性補助層120を除去した後、最終構造は、残留触媒層124下方の残留導電性補助層122、及びナノ構造106及び/又は108からなる(図3E参照)。
【0057】
ここに記載された方法を用いて、図3Eに示したように、孤立した金属島116上か又は直接絶縁基板110上に個別のナノ構造106か又はナノ構造の「フォレスト」108を作製することが可能である。
【0058】
また、金属下層が残りの基板と同じレベルになくてもナノ構造を形成することが可能である。図4Aは、絶縁基板110の上面に形成された孤立した金属島114を示す。連続導電性補助層120が基板表面の上且つそれを覆うように形成され(ステップ200)、次いでパターン触媒層102及び/又は104が連続導電性補助層上に形成される(ステップ220)。ナノ構造の成長(ステップ230)及び補助層の自己整合選択的除去(ステップ240)の後、構造は図4Bに示されたようなものとなる。
【0059】
図5A及び5Bに、代替的方法によって形成された最終構造が示されている。最初に、連続導電性補助層120が基板の上面に亘って形成され(ステップ200)、次にいくつかの任意のパターン層126が、例えばナノ構造に垂直な方向に電気伝導を可能にするために補助層120に形成される(ステップ210)。最後にパターン触媒102及び/又は104が任意の層又は補助層上に形成される(ステップ220)。成長工程(ステップ230)後、前項に記載したように補助層が選択的に除去される(ステップ240)。ここに記載された他の方法と同様に、ナノ構造の成長後、リソグラフィは不要である。こうして、図5A及び5Bに示された方法によって、上面にナノ構造106及び/又は108及び下方に残留補助層124を有した孤立した島(任意のパターン層126)が作製される。
【0060】
別の実施例で、図8A−8Cは、触媒層の上面に形成された絶縁材料層に作製されたヴィアホールを介してナノ構造を成長させる方法を示す。まず、触媒層102及び/又は104が導電性基板100上に形成される。しかしながら、この場合の基板は絶縁基板であってもよい。次に絶縁層110が基板及び触媒層上に形成される。次にパターン導電性補助層134が絶縁層110の上面に形成される。いくつかの実施例では、連続導電性補助層がまず絶縁層の上面に形成され、次いで様々な適切な方法でパターン形成されてもよい。次にホールが絶縁層110を選択的にエッチングすることによって作製され、触媒層へのヴィアホール136が作製される。次いでナノ構造の成長が実施され、触媒層102及び/又は104上にナノ構造106及び/又は108が形成される。次にパターン導電性補助層134が選択的に除去される(図6のステップ240)、つまりこの場合完全に除去される。
【0061】
必要ならば、導電性補助層下方の材料の一つが、適切な相対的選択性を有するエッチング液を用いてエッチングされうる。例えば酸化ケイ素がウェット又はドライエッチングを用いてエッチングされうる。こうして、触媒及びナノ構造層は更なる処理のためにマスクとして機能する。
【実施例】
【0062】
(応用例)
本明細書に記載された技術の重要な応用は、例えばコンピュータデバイスで使用されうる集積回路の配線及び/又は熱エレベータの作製である。ナノ構造は、集積回路チップ内部で又は集積回路チップへ/から熱及び電気を運ぶために用いられる。使用される成長方法及びデバイスは、研磨による金属のパターン形成を伴う現行の処理基準と適合し、また関与する金属とも適合する。また、集積回路(複数のデバイス層)の三次元積層がここに記載された方法で作られたナノ構造を配線として利用できる。例えば、ヴィアホール配線構造を作製するために本発明を利用する方法が図8A−8Cに記載されている。図12は、ここに記載された技術及び方法を用いて作製された例示的なデバイスとして、酸化物絶縁体にヴィアホールを介して炭素ナノ構造が成長しているデバイスのSEM顕微鏡写真を示す。図12で、明るく平坦な領域は絶縁領域であり、残りの領域には垂直に成長したナノ構造が見られる。
【0063】
別の応用は、寄生成長の除去である。部分的にのみ金属下層(つまりパターン金属下層)で覆われたチップ上にナノ構造を成長させるとき、触媒粒子の外で寄生成長が起こる場合がある。これは、ここに記載されたように連続金属補助層を用いることで回避されうる。
【0064】
ここに記載された技術はまた、ナノ構造の成長中に金属下層及び他の露出材料をプラズマから保護するために用いられうる。これは特に、ナノ構造の成長に使用されるガスと適合しない金属下層上にナノ構造を成長させるときに重要である。一例は、アセチレン含有プラズマを用いて銅表面上にナノ構造を成長させることであり、これは銅とアセチレンが互いに反応するためである。導電性補助層が酸素又は他の選択材料が金属下層に到達するのを防ぐ拡散障壁として機能するため、望ましくない酸化/化学反応/拡散が防止可能である。例えば、アルミニウム下層(存在する場合)が補助層によって酸化から保護されうる。更に、汚染(例えば金属イオン)もまた、ここに開示された方法を用いて作られたナノ構造では低減されうる。
【0065】
ここに記載された技術はまた、ナノ構造の成長中に基板の任意の繊細な電気デバイスをプラズマの高電圧アークから保護するために用いられうる。結局、プラズマに何らかのアークがある場合、結果として生じる損傷は有意に低減されることとなり、これは基板表面上の全てのコネクタが共に短絡且つ導電性補助層によって接地されているためである。この静電放電(ESD)保護はまた、製造所でウェハを取り扱うため又は一部完成したウェハを別の製造所へ移送するために重要である。
【0066】
ここに記載された方法はまた、ナノ構造の真下の領域以外に金属が残らないようにプラズマエッチングにより補助層を自己整合除去することによって絶縁表面上にサーマルバンプを作製するために用いられうる。
【0067】
ここに記載された技術はまた、電気伝導性ポリマー薄膜及びコーティングを、該薄膜が部分的に光透過性、透過性、又は透過性でないように作成するために用いられうる。応用は例えば、タッチパネル、静電放電(ESD)、シールド、及びディスプレイの電極層といった製品の製造でありうる。
【0068】
更に、ここに記載されたように作製されたナノ構造の機械的特性は、例えば絶縁体に機械的安定性を付与するために利用されうる。よって、導電性補助層が自己整合工程でプラズマエッチングにより(ナノ構造の真下を除いて)選択的に除去されるため、連続金属下層が必要とされないことが利点である。
【0069】
異方性電導膜の例である熱界面材料(TIM)が、ここに記載された技術を用いて作製されうる。この場合、ナノ構造の層は、熱伝導率の増大を助けるように設計されたポリマーのゴムに埋め込まれている。ポリマーはまず、補助層の除去後にナノ繊維上にスピンされ、次にリフトオフされる(ナノ構造はそこに埋め込まれている)。ポリマー薄膜の下に連続金属膜がないため(選択的に除去済みであるから)、ポリマー薄膜の別の平行なナノ構造を短絡させるリスクがない。
【0070】
これがAu、Cu、Al、Niなどといった金属を形成する次の処理ステップである場合は、導電性補助層はまた全てのナノ構造に電気めっき、無電解メッキ、又はガルバニめっきに必要な電流を供給することも可能である。
【0071】
別の応用は、一部絶縁基板上に直接化学プローブを作ることである。これは例えば、標準的なシリコン集積回路上に直接なされうる。
【0072】
ここに記載された技術は、CMOS、Bi−CMOS、Bi−polar、又はHEMTなどといったトランジスタのためのソース、ドレイン及びゲート金属接点を作製するために用いられうる。こういった構成は特定のトランジスタレイアウトに合わせて変形が想定されうる。応用には液晶を有したデバイスも含まれる。
【0073】
いくつかの応用では、必要なら補助層が一方向でのみ除去できるという特性が利用される。適切に設計された基板構造上で異方性エッチングを用いると、補助層は垂直表面上には残るが水平表面からは除去されることとなる。図7A及び7Bに示されたように、導波路材料130が適切な基板128上に形成される。基板128及び導波路材料130は、上面並びに側壁上が補助層120で覆われる。異方性エッチングによって、側壁をそのまま残して上面の補助層が選択的に除去される。その結果、そうでなければ透明な上面に成長した個別のナノ繊維106と金属化側壁132とを有した構造が作製される。当該構造は、吸収された光を導波路130(補助層に覆われた側壁を有した構造からなる)に繋ぐ光吸収体として有用である。
【0074】
ここに記載された技術はまた、再加工処理方法を提供する。これは、処理に問題/失敗があった場合に、ナノ構造を除去して工程を再度やり直すために化学機械研磨(CMP)によってナノ構造を除去するだけで、処理済みウェハが再加工できることを意味する。
【0075】
本技術は、ボールグリッドアレイ(BGA)、フリップチップ(FC)モジュール、CSP、WLP、FCOB、TCBなど、ICタイプ、RFIDタグ、CMOS、BiCMOS、GaAS、HEMT AlGAA、MMIC、MCM、LCD、ディスプレイ、携帯電話機、ASICチップ、メモリデバイス、MCU、及び集積受動部品といった接合技術に適用可能である。
【0076】
(例示的デバイス)
原理を実証するために、パターン金(下)層(下にチタン接着促進層を有する)が、そうでなければ絶縁性の酸化物表面上に(標準的なリソグラフィ技術を用いて)形成された。触媒をパターン金属下層上に直接配するのは、成長中に大きなプラズマ誘起損傷が生じうるため望ましくない。代わりに、タングステン補助層(50nm)がチップ表面全体にスパッタされた。次いでパターン触媒層(Si10nm及びNi10nm)が標準的なリフトオフ工程によって(パターン金属下層と並んで)形成された。成長後、構造が図9A及び9Bに示されたように現れた。当該例で、成長温度は約700度、及びプラズマは約4トールの圧力でC2H2及びNH3ガス(それぞれ20及び100sccm)を混合して生成された。プラズマ電流は20mAに設定され、成長時間は約60分だった。この特定の例で、触媒は、成長工程後にナノ繊維の薄膜(「フォレスト」)が生じるようにパターン形成されたが、触媒域をもっと小さくすれば個別の垂直配向したナノ繊維が生じることとなる。
【0077】
導電性補助層は次いで、フッ素含有プラズマでのプラズマエッチング(圧力10mトール、ガス流20sccmCF4)によって、及びプラズマエッチングCVD処理チャンバで終点検出を用いて除去された。
【0078】
該方法の実用性は、処理前(図9A及び9B)及び処理後(図10)に撮られたSEM写真によって示されうる。補助層が除去されているのにも関わらず、繊維は本質的に同一に見える。よって、繊維の真下の補助層部分のみが基板上に残った、補助層の自己整合選択的除去が達成されている。残りの領域から補助層が完全に除去されていることが電気計測により立証された。最小限の寄生成長が孤立した金属島の外に見られる。アルミニウムを下層とした同様の例示的デバイスが図11Aに、そして銅を下層とした例が図11Bにそれぞれ示されている。
【0079】
よって、プラズマ誘起チップ損傷なしで(絶縁チップ表面上にある)パターン金属下層上でナノ繊維を成長させるという目的は達成された。
【0080】
図12は、ここに記載された技術及び方法を用いて作製された例示的デバイスとしての、酸化物絶縁体でヴィアホールを介して炭素ナノ構造が成長する例示的デバイスのSEM顕微鏡写真を示す。図12で、明るく平坦な領域は絶縁領域であり、残りの領域には垂直に成長したナノ構造が見られる。よって、絶縁層でヴィアホールを介してナノ繊維を成長させるという目的は達成されている。
【0081】
ここに引用された全ての特許及び他の参考文献の内容はいかなるものもその全体が参照によりここに組み込まれる。
【0082】
本明細書は多くの特定の実施詳細を含むが、それらは何ら発明又は請求項の範囲を限定するものではなく、特定の発明の特定の実施例に固有でありうる特徴を説明するものと解釈されるべきである。別個の実施形態との関連で本明細書に記載されている特定の特徴は、単一の実施例と組み合わせても実施可能である。逆に、単一の実施形態との関連で記載されている様々な特徴を、複数の実施形態で別個に、又は任意の適切なサブコンビネーションで実施することもできる。更に、特徴が特定のコンビネーションで機能するものとしてここに記載、及び更には当初はそのように請求されていても、請求されたコンビネーションからの一又は複数の特徴が場合によってはそのコンビネーションから削除されてよく、及び請求されたコンビネーションはサブコンビネーション又はサブコンビネーションの変形を対象としうる。
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、その全開示を出典明示によりここに援用する2008年2月25日出願の米国仮出願番号第61/031333号に基づく優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
ここに記載された技術は概して、ナノ構造の化学的蒸着法(CVD)の分野に関し、より特定すると、ナノ構造の成長中のプラズマ誘起損傷の低減又は除去、及び導電性及び絶縁表面の両方でナノ構造の自己整合成長を可能にすることに関する。
【背景技術】
【0003】
ここに記載された本技術は、炭素ナノ構造(例えばカーボンナノチューブ、炭素ナノ繊維、及びカーボンナノワイヤ)といったナノ構造に関するが、それに限定されるものではない。これらのナノ構造は、その高い熱及び電気伝導率から近年注目を集めている。
【0004】
炭素ナノ構造は、アーク放電法、レーザアブレーション、又は化学的蒸着法(CVD)で製造可能である。触媒がCVD処理でナノ構造の成長を得るために用いられる。二つの最も頻繁に用いられるCVD法は、熱CVD及びプラズマ化学気相成長法(つまりプラズマCVD)である。熱CVDでナノ構造の形成に必要なエネルギーは熱エネルギーである。プラズマCVDでナノ構造の形成に必要なエネルギーはプラズマからのものである。プラズマCVDでは、熱CVDで用いられる温度より低温でナノ構造を成長させることができる。プラズマCVDのより低い成長温度は、ナノ構造が成長する基板が過度温度により損傷することがしばしばあるため有意な利点である。
【0005】
高周波プラズマCVD、誘導結合型プラズマCVD及び直流プラズマCVDなど数種類のプラズマCVDがある。直流プラズマCVD(DC−CVD)は、基板表面に近い電界がナノ構造の配向を可能にするため、多くの場合好ましい。いくつかの例で、電界は基板に略垂直なナノ構造配向を引き起こす。いくつかの例で、垂直方向から他の方向に角度変位した配向もまた所望通りに達成できる。
【0006】
図1A−Eは、基板上に成長できるナノ構造の様々な構成を示す。図1Aは導電性基板100上に、パターン触媒層102及び/又は104からナノ構造106及び/又は108を成長させるための構成を示す。ナノ構造106は小さい触媒ドット102上に成長している単独のナノ構造であり、一方、ナノ構造108は大きい触媒領域104上に成長しているナノ構造の「フォレスト」(複数の密集したナノ構造)である。図1Bは、絶縁基板110上に形成された連続金属下層112上にパターン触媒層102及び/又は104からナノ構造106及び/又は108を成長させるための構成を示す。小さい触媒ドット102は個別のナノ構造106を生じ、一方、大きい触媒領域104はナノ構造の「フォレスト」108(複数の密集したナノ構造)を生じる。ナノ構造を成長させるためにDC−CVDを用いるこれら二つの構成は比較的単純である。
【0007】
しかしながら、パターン触媒層102及び/又は104が、絶縁体110上に直接(図1Cに示したように)又は絶縁体110の上の孤立した金属島114上に(図1Dに示したように)形成される場合、問題が生じる。その問題は、金属島周囲に絶縁領域がある場合に最も頻繁に起こり、金属島が基板の他の部分に電気接続されていても起こる。電気アークは成長工程で起こり、スパッタリングにより成長構造に損傷を与える。アークはまた、アークにより生成される過大電圧により成長構造に接続された電子デバイスにも損傷を与えうる。図2は、アーク放電により基板に生じた損傷の例を示す。これらの過大電圧は、デバイスが複数の物質層の下に埋められていてもデバイスが最上部の金属層に電気接続されているため、デバイスに損傷を与えうる。米国特許番号第5,651,865号には、DCプラズマで導電性表面上に絶縁域を有することに関する問題についての詳述がある。
【0008】
アークに伴う問題を軽減するためにDC電源の改良を述べる解決策がいくつか提案されている。例えば、米国特許番号第5,576,939号及び同第6,943,317号は、アーク発生時に電源の極性を切り換えるか又は切断するための手段を開示している。米国特許番号第5,584,972号は、電源及び電極の間にインダクタ及びダイオードを接続することを記載している。米国特許番号第7,026,174号は、アーク放電を低減するためにウェハにバイアス電圧を掛けることを開示している。米国特許番号第5,651,865号は、プラズマ電圧の周期的極性変化を利用して導電性表面から任意の絶縁体を選択的にスパッタすることを開示しており、これによっては絶縁域のあるサンプル上でのナノ構造の成長は可能ではない。
【0009】
パターン金属下層上にナノ繊維を作成するための方法が、いくつかの出願、例えば米国特許番号第6,982,519号に示されている。開示された方法は、パターン触媒層を用いて連続金属下層上にナノ繊維を成長させ、その後、光リソグラフィを用いて金属下層をパターン形成することからなる。開示された方法は、成長に連続金属下層を必要とし、金属下層のパターン形成はその後に行われる。
【0010】
米国特許番号第6,982,519号に開示の技術は、集積回路の配線層の標準的な(CMOS)処理と適合せず、化学機械研磨を用いて層間絶縁膜の凹みに水平な金属導体116(例えば図1Eのもの)が形成される。研磨後、次のヴィア(垂直配線)層が、配線層の上面及び隣に形成される。よって、(パターン金属下層を得るための)配線のいかなるパターン形成も、次のヴィア層の作成前に為されなければならない。
【0011】
米国特許番号第6,982,519号に開示の方法では、リソグラフィの後にナノ構造間に金属が残るため、基板が絶縁のまま残るように絶縁基板上に直接ナノ構造を成長させることが不可能である。いくつかの適用では、例えば絶縁体からの熱輸送で(連続金属層が望ましくない場合)ナノ構造被覆表面を絶縁とすること(例えば図1Cの絶縁表面110上のナノ構造を成長させること)が望ましい。
【0012】
更に、既存の金属島(図1Dに示したような)にナノ構造を成長させることは不便であり、図2のSEM写真に示したようなプラズマ誘起チップ損傷が問題として例示される。
【0013】
図1Eに示した構成は、いくつかの下方にある(又はデバイスの配向方法によっては上方にある)パターン金属下層116へのヴィア118(垂直配線)を含む。パターン金属下層116(水平配線)又は任意の存在する従来型のヴィア118(垂直配線)上に直接ナノ構造を成長させることが好ましいであろう。
【0014】
米国特許番号第6,982,519号によって対処されていない別の問題は、集積回路の製造に使用される全ての金属がナノ構造の成長に用いられるプラズマガスに適合するわけではないことである。例えば、米国特許公報第2008/00014443号は、有害な化学反応が起こるためアセチレン含有プラズマで銅を使用することはできないことを提示している。
【0015】
米国特許公報第2007/0154623号は、相互作用を防ぐためにガラス基板と触媒との間にバッファ層を用いるための方法を開示する。米国特許公報第2007/0259128号は、カーボンナノチューブの部位密度を制御するために中間層を用いるための方法を開示する。これらの適用はいずれも、既にパターン形成された金属下層上でのナノ構造の成長又はアーク除去に必要な条件を満たさない。
【0016】
部分的にのみ金属下層で覆われたチップ上にナノ構造を成長させるとき、触媒粒子の外で寄生成長が生じることがある。これにより、チップ表面に沿った望ましくない漏れ電流が発生しうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】米国特許番号第5,651,865号
【特許文献2】米国特許番号第5,576,939号
【特許文献4】米国特許番号第6,943,317号
【特許文献5】米国特許番号第5,584,972号
【特許文献6】米国特許番号第7,026,174号
【特許文献7】米国特許番号第5,651,865号
【特許文献8】米国特許番号第6,982,519号
【特許文献9】米国特許公報第2008/00014443号
【特許文献10】米国特許公報第2007/0154623号
【特許文献11】米国特許公報第2007/0259128号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
従って、アーク誘起チップ損傷及び繊細な電子デバイスの過大電圧損傷の問題、又は使用される物質の不適合、プラズマ成長処理中の寄生成長による問題のない、予めパターン形成された金属下層上にナノ構造を成長させるための方法が必要である。様々な実施例で、ここに記載された技術はこれらの処理関連の問題のいくつか又は全てを解決しうる。
【0019】
ここでの本発明の背景の考察は、本発明の背景にある事情を説明するために盛り込まれた。参照した全ての題材が、いずれの請求項の優先日時点においても公開、周知、又は一般常識の一部であったことを認めるものとして見なされるわけではない。
【課題を解決するための手段】
【0020】
ここに記載された技術は概して、ナノ構造の化学的蒸着法(CVD)の分野に関し、より特定すると、ナノ構造の成長処理中のプラズマ誘起損傷の低減又は除去、及び導電性及び絶縁表面の両方でナノ構造の自己整合成長を可能にすることに関する。
【0021】
一態様で、一又は複数のナノ構造の作成方法は:基板の上部表面上に導電性補助層を形成すること;導電性補助層上に触媒のパターン層を形成すること;触媒層上に一又は複数のナノ構造を成長させること;及び一又は複数のナノ構造の間及び周囲の導電性補助層を選択的に除去することを含む。
【0022】
いくつかの実施例で、触媒層は形成後にパターン形成される。いくつかの実施例で、基板は付加的にその上部表面と同延の金属下層を備え、且つそれは導電性補助層に覆われている。いくつかの実施例で、金属下層はパターン形成されている。いくつかの実施例で、金属下層は:Cu、Ti、W、Mo、Pt、Al、Au、Pd、P、Ni、及びFeから選択された一又は複数の金属を含んでなる。いくつかの実施例で、金属下層は、TiN、WN、及びAlNから選択された一又は複数の導電性合金を含んでなる。いくつかの実施例で、金属下層は、一又は複数の導電性ポリマーを含んでなる。いくつかの実施例で、基板は半導体である。いくつかの実施例で、基板は絶縁体である。いくつかの実施例で、基板は、上面に少なくとも一つの導電層を有した絶縁体を含んでなる。いくつかの実施例で、形成方法のいずれかは:蒸着、めっき、スパッタリング、分子線エピタキシ、パルスレーザ蒸着、CVD、及びスピンコーティングから選択された方法によって実行される。いくつかの実施例で、一又は複数のナノ構造は、炭素、GaAs、ZnO、InP、InGaAs、GaN、InGaN、又はSiを含んでなる。いくつかの実施例で、一又は複数のナノ構造は、ナノ繊維、ナノチューブ、又はナノワイヤを含む。いくつかの実施例で、導電性補助層は:半導体、導電性ポリマー、及び合金から選択された材料を含んでなる。いくつかの実施例で、導電性補助層は、1nmから100ミクロンの厚さである。いくつかの実施例で、一又は複数のナノ構造はプラズマで成長させられる。いくつかの実施例で、導電性補助層の選択的除去は、エッチングにより達成される。いくつかの実施例で、エッチングはプラズマドライエッチングである。いくつかの実施例で、エッチングは電気化学エッチングである。いくつかの実施例で、エッチングは光化学熱分解エッチングである。いくつかの実施例で、エッチングは熱分解エッチングである。いくつかの実施例で、該方法は更に、導電性補助層と触媒層の間に付加的な層を形成することを含む。
【0023】
一態様で、デバイスは基板を含み、ここで基板は一又は複数の絶縁領域によって隔てられた一又は複数の露出金属島を含んでなる;一又は複数の露出金属島又は絶縁領域の少なくともいくつかを覆う基板上に配された導電性補助層;導電性補助層上に配された触媒層;及び触媒層上に配された一又は複数のナノ構造を含む。いくつかの実施例で、ナノ構造は配線である。
【0024】
一態様で、一又は複数のナノ構造を作製するための方法は:基板の上部表面上に金属下層を形成すること;金属下層上に触媒層を形成すること;触媒層上に絶縁体層を形成すること;絶縁体層上に導電性補助層を形成すること;導電性補助層から触媒層へと絶縁体層を通ってヴィアホールを作製すること;ヴィアホールを介して触媒層上に一又は複数のナノ構造を成長させること;及び導電性補助層を選択的に除去することを含む。
【0025】
一態様で、一又は複数のナノ構造を含むデバイスは、以下のステップ:基板の上部表面上に金属下層を形成するステップ;金属下層上に触媒層を形成するステップ;触媒層上に絶縁体層を形成するステップ;絶縁体層上に導電性補助層を形成するステップ;導電性補助層から触媒層へと絶縁体層を通ってヴィアホールを作製するステップ;ヴィアホールを介して触媒層上に一又は複数のナノ構造を成長させるステップ;及び導電性補助層を選択的に除去するステップを含んでなる工程によって製造される。
【0026】
一態様で、一又は複数のナノ構造を作製するための方法は:基板上に導電性補助層を形成すること、ここで基板は露出パターン金属下層又は露出絶縁体層を含んでなる;触媒層からナノ構造を成長させること、ここで触媒層は導電層の上又は露出絶縁体層の下に配されている;及び導電性補助層の全て又は一部をエッチングにより選択的に除去することを含む。
【0027】
当該方法及びデバイスは、一又は複数の以下の利点を提供しうる。
【0028】
いくつかの実施例で、当該方法は、一又は複数のパターン形成済み金属下層、並びに電気的絶縁基板上でのナノ構造の成長を可能にする。当該方法は、基板に含まれる電気的に繊細なデバイスへのアーク損傷に対する保護を提供しうる。金属下層又は絶縁層と不適合なガスを含む成長プラズマに関する制限が取り除かれうる。
【0029】
いくつかの実施例で、当該方法は、基板の上部表面を覆う連続電気的導電性補助層を形成すること、次いで補助層の上に触媒層を形成すること(及び/又はパターン形成すること)、触媒層上にナノ構造を成長させること、及び次にナノ構造によって覆われていない領域の導電性補助層を選択的に除去することを伴う。当該方法の結果、パターン触媒−補助層の積層上に成長している自己整合繊維が得られる。成長のための良質な接地が、成長工程中に連続導電性補助層により達成され、それによりアーク放電問題が取り除かれる。従って、当該方法は、ナノ構造の成長後の導電性補助層の除去が容易なため、既にパターン形成された金属下層(一又は複数)又は絶縁層(一又は複数)の特定の位置上にナノ構造を成長させることを可能とする。
【0030】
いくつかの実施例で、ナノ構造は絶縁層を通って成長し、当該方法は、基板(導電又は絶縁)上に触媒層を形成すること、次に触媒層上に絶縁層を形成すること、次に絶縁層の上に連続パターン導電性補助層を形成すること、絶縁層の一部を選択的に除去して絶縁層を通って触媒層へとヴィアホールを作製すること、次に触媒層からナノ構造を成長させること、及び最後にナノ構造によって覆われていない領域の導電性補助層を選択的に除去することを伴う。
【0031】
ここに記載された技術の別の利点は、チップ表面上の全ての電気コネクタが共に短絡且つ接地されるため、基板上の繊細な電気デバイスがプラズマの高電圧から保護される点である。ここに記載された技術は実質的に全てのアークを除去するが、いくらかのスパークがあったとしても(例えば基板の取り扱い中に静電気により生じたもの)、該スパークの損傷効果は有意に低減される。
【0032】
第三の利点は、(場合によってはパターン形成された)金属下層がナノ構造の成長中にプラズマから保護される点である。これは、成長に用いられるガスと不適合な金属下層(一又は複数)又は絶縁層(一又は複数)上でナノ構造を成長させるときに重要である。例えば、アセチレン含有プラズマを用いた銅表面上での成長は、これらの材料が必ずしも適合しないためナノ構造成長中に有害作用を引き起こす。本明細書に開示した方法を利用することによって、プラズマガスと基板又は金属下層との適合性に関するこういった制限が取り除かれうる。
【0033】
第四の利点は、触媒外での寄生成長が回避される点である。
【0034】
導電性補助層の除去は自己整合工程であるため、個別のナノ構造が、絶縁のまま残ることができる絶縁層/基板上に又はそれを通って成長できる。これは、補助層が触媒層の上に形成される場合に導電性補助層材料がナノ構造の真下に残るように、又は補助層が触媒層以外の層(例えば触媒層及び基板の上に形成された絶縁層)上に配される場合に該材料が完全に除去されるように、導電性補助層を選択的に除去することによって達成される。
【0035】
他の特徴及び利点は、説明及び図面及び請求項から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1A−1Eは、基板上にナノ構造を成長させるための例示的構成を示す。
【図2】図2は、スパークによる損傷を受けたチップ表面を示すSEM(走査型電子顕微鏡)画像である。
【図3】図3A−3Eは、本明細書に開示の技術に従ってナノ構造を作製するための例示的工程を示す。
【図4】図4A−4Bは、本明細書に開示の技術の代替的実施例を示す。
【図5】図5A−5Bは、本明細書に開示の技術の代替的実施例を示す。
【図6】図6は、(一部)絶縁表面上にナノ構造を成長させるための例示的工程のフロー図である。
【図7】図7A−7Bは、本明細書に開示の技術を用いて作製された例示的光導波構造を示す。
【図8】図8A−8Bは、絶縁層を介してナノ構造を成長させるための例示的工程を示す。
【図9】図9A−9Bは、パターン金属下層、連続導電性補助層、及びナノ繊維が成長したパターン触媒層を備えた例示的デバイスを示すSEM画像である。
【図10】図10は、補助層が選択的に除去された同一の例示的デバイスを示すSEM画像である。
【図11】図11A−11Bはそれぞれ、補助層が除去される前と後の下層として銅を有した例示的デバイスのSEM画像である。
【図12】微細構造/ナノ構造が絶縁層のヴィアホールを通って成長している例示的デバイスのSEM画像である。
【0037】
(本明細書で使用される参照番号のリスト)
100−導電性基板
102−個別のナノ構造の成長を支えるためにパターン形成された触媒層
104−ナノ構造の「フォレスト」(複数の密集したナノ構造)の成長を支えるためにパターン形成された触媒層
106−個別のナノ構造
108−ナノ構造の「フォレスト」(複数の密集したナノ構造)
110−絶縁基板
112−連続金属下層
114−絶縁体の上部にあるパターン金属下層
116−絶縁基板の上面と同じ高さにある上面を有したパターン金属下層(研磨後の平坦なチップ)
118−ヴィア(垂直配線)
120−連続導電性補助層
122−残留触媒層(自己整合エッチング後)
124−残留導電性補助層(自己整合エッチング後)
126−任意の層
128−導波路のための基板
130−導波路材料
132−導電性補助層の残存する垂直側壁
134−パターン導電性補助層
136−絶縁体を通るヴィアホール
200−導電性補助層の形成
210−任意の付加的な層の形成
220−触媒層の形成及びパターン形成
230−ナノ構造の成長
240−補助層の選択的及び自己整合除去
【0038】
種々の図における同様の参照番号及び記号表示は、同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
ここに記載された技術は、プラズマ処理、例えばナノ構造(つまり少なくとも一つのナノメートルのオーダーの寸法を有した構造)の成長に関する。いくつかの実施例で、当該技術はまた、ナノメートルの範囲以外、例えばマイクロメートル又はミリメートルのサイズ範囲の形状を有した構造の処理にも適用する。
【0040】
「基板」は、ナノ構造の成長のために他の層が形成されうる任意の一又は複数の層を示すものである。基板としては、絶縁体又は金属層又はデバイスを含む半導体が含まれうる。半導体としては、ドープ又はノンドープシリコン、シリコンカーバイド、II−VI又はIII−V材料(GaAs、InP、InGaAsなど)又は半導体ポリマーが含まれうる。基板はまた、ガラス又はインジウムスズ酸化物(ITO)といった透明の導電性又は絶縁材料であってよい。また基板としては、ポリマー層又はプリント基板(PCB)が含まれうる。基板は平坦である必要がなく、波形構造を含みうる。
【0041】
「金属下層」には、露出金属島(例えば配線又はヴィア)及び/又は基板と上面の露出絶縁体層の間に配されている連続導電層を含む、補助層が基板構造上に形成される前に既に基板構造の上部表面上に存在する任意の金属が含まれうる。金属下層は、任意の金属及び/又は金属合金又はCu、Ti、W、Mo、Pt、Al、Au、Pd、Pt、Ni、Feなどといった周期表からの異なる金属の組み合わせを含んでなりうる。金属下層はまた、一又は複数の導電性ポリマーを含んでなりうる。金属下層はまた、上記の導電性材料の任意の組み合わせを含んでなりうる。
【0042】
「触媒」は、化学反応を促進するための金属、合金又は材料積層である。一例示的触媒はニッケルに覆われたシリコンである。触媒層はまた、障壁層、例えば金層と上面のSi/Ni層の間に形成されたタングステン層を含んでよい。触媒は、Ni、Fe、Pt、Pdといった純金属、又はNiFe、NiCr、NiAlFeなどといった金属合金でありうる。
【0043】
「絶縁体」は、任意の電気的絶縁材料、例えば二酸化ケイ素、窒化ケイ素、又は高k材料、例えばHfO、ZrOなど、酸化アルミニウム、焼結複合材料、ポリマー、レジスト(例えばSU8)、様々な形態のポリアミド、ITO、いわゆる低k材料、又は層間絶縁膜(ILD)でありうる。
【0044】
「形成」とは、任意の一又は複数の蒸着、めっき、スパッタリング、又は熱又はプラズマCVDといった化学的蒸着法(CVD)による、分子線エピタキシ(MBE)による、パルスレーザ蒸着(PLD)による、又はスピンコーティングによる形成を意味する。
【0045】
「ナノ構造」とは、少なくとも一つのナノメートルのオーダーの寸法を有した構造(体)である。ナノ構造としては、炭素、GaAs、ZnO、InP、GaN、InGaN、InGaAs又は他の材料のナノ繊維、ナノチューブ、又はナノワイヤが含まれうる。
【0046】
図3Aは、シリコンチップといった部分的に処理された基板を示す。本明細書に記載された技術は、基板に埋め込まれた配線116又はヴィア118(パターン金属下層)によって形成された金属島上にナノ構造を成長させるために絶縁基板110に適用される。ヴィア118及び配線116(パターン金属下層)は、トレンチ(溝)エッチング及びトレンチへの金属の形成を含む、標準的なウェハ処理方法、例えばいわゆるダマシンプロセスによって製造されうる。化学機械研磨(CMP)が、基板及び配線の平坦な上面を達成するために用いられうる。
【0047】
図3Eに示された構造を製造するために、複数のステップが図6に示されたように実行される。最初に、連続導電性補助層120が基板110及び基板110に埋め込まれたパターン金属下層116及び118上に形成され、図3Bの構造が得られる(ステップ200)。任意の電気的導電性材料が補助層120として用いられうる。導電性材料の例としては、W、Moなどといった周期表からの任意の電気的導電性元素、窒化チタンといった導電性合金、ドープシリコンといった半導体、又は導電性ポリマーが含まれる。補助層のための材料は、金属下層と補助層を隔てるバッファ層が最初に形成されていない場合は、パターン金属下層の材料と異なっているべきである。記載の例では、タングステン層が連続導電性補助層120として採用された。
【0048】
導電性補助層の厚さは、約1nmから100μm、及び好適には約1nmから100nmの間であってよい。一実施例で、50nmのタングステン層が用いられる。いくつかの実施例で、一つのみの補助層が用いられる。しかしながら、ここに記載された技術は、単一の材料層を有した一つの補助層だけの使用に制限されるものではなく、補助層は、リフトオフ、接着、エッチング選択比を向上させるために、又はエッチング停止層、電気めっきのためのシード層又は保護層として機能するように、複数の層を含んでもよい。更に、熱管理のための層、例えばペルチェ(Peltier)材料といった高又は低熱伝導率を有した層が含まれうる。
【0049】
ここに記載された技術は、補助層として複数の異なる材料を用いて利用できる。補助層のエッチング中にナノ構造が自己整合マスク層として用いられうるように補助層材料とエッチングパラメータを選択することが重要である。補助層材料の選択肢は、補助層の真下にある材料によって決めることができる。成長したナノ構造間の不要な触媒残渣を全て除去するために選択的除去工程を利用することもできるので、補助層は触媒であってもよい。
【0050】
パターン触媒層102及び/又は104は、ナノ構造が成長するべき場所を画定する。触媒はニッケル、鉄、白金、パラジウム、ニッケルシリサイド、コバルト、モリブデン、又はその合金であってよく、又は他の材料(例えばシリコン)と組み合わされてもよい。ここに記載された技術は触媒を用いないナノ構造成長工程にも適用できるため、触媒は任意であってよい。小さい触媒ドット102を含むパターン触媒層は個別のナノ構造を生じることとなり、そして大きい触媒領域104を含むパターン触媒層はナノ構造の「フォレスト」を生じることとなる。
【0051】
触媒層をパターン形成するために(図6のステップ220)、レジストを用いた標準的なエッチバック又はリフトオフ処理が用いられうる。紫外線又は電子ビームを用いてレジスト層がパターン形成されうる。ナノインプリントリソグラフィ又はレーザ書き込みといった他の手段もまたレジスト(又は直接触媒層)をパターン形成するために用いられてよい。触媒層はまた、レジストを使用しない方法、例えば化学的自己組織化方法でパターン形成されてもよい。触媒粒子のアレイが、ラングミュアーブロジェット膜を用いて、ウェハ上に触媒(ナノ)粒子を有した溶液をスピンオンして、又は昇温でアニーリング中に触媒粒子に変換される連続触媒膜を形成して表面上に形成されうる。これらの技術のいくつかを利用して非平坦表面上に触媒層を成長させ且つ成長部位密度(単位面積当たりの成長部位の数)を制御することができる。
【0052】
ナノ構造の成長中、導電性補助層は電気的に接地されるか又は、基板ホルダの電位或いは他の何らかの適切な接地電位に接続されうる。ナノ構造106及び/又は108はプラズマ、典型的にはDCプラズマで成長させられうる(図6のステップ230)。ナノ構造成長のために用いられるプラズマガスは、アセチレン、一酸化炭素、メタン、又は高次炭化水素といった任意の炭素前駆体であってよく、アンモニア、水素、アルゴン、又は窒素といった他のガスと混合されてもよい。成長温度は好適には摂氏800度以下である。約0.1から250トールの範囲、及び好適には約0.1から100トールの間の圧力が用いられうる。プラズマ電流は約10mAから100A、及び好適には約10mAから1Aの範囲であってよい。
【0053】
いくつかの実施例で、RFプラズマ又は熱CVDがナノ構造の成長のために用いられてよく、ここに記載された技術は特にDCバイアスの掛けられたRFプラズマの場合に適用される。いくつかの実施例で、ここに記載された技術はまた、気相(プラズマなし)及び液相で成長させられるナノ構造の場合にも適用される。
【0054】
ここに記載された技術によるいくつかの実施例で、成長ステップの後に、導電性補助層がエッチングによって選択的に除去される(図6のステップ240)。エッチング方法及びエッチングガス(ドライエッチングの場合)又はエッチング液(ウェットエッチングの場合)は、導電性補助層及びナノ構造の材料に応じて選択される。例えば、炭素ナノ繊維の下に位置するタングステンを備えた補助層は、フッ素含有プラズマを用いたプラズマドライエッチングによって好適に除去されうる。この組み合わせの利点は、ナノ構造及び触媒粒子に対する相対的選択性である。
【0055】
他のエッチング方法、例えば他の異方性エッチング法、ウェット(等方性)エッチング、熱分解、電気化学エッチング、又は光化学エッチングが用いられうる。エッチング停止層を用いる又はエッチング時間を変更することによって、十分に強いエッチングが実行可能となる。導電性補助層及び金属下層間の相対的選択性を有するエッチング液又はエッチングガスを選択することが有利でありうる。
【0056】
この自己整合選択的除去工程を利用して特定位置の導電性補助層120を除去した後、最終構造は、残留触媒層124下方の残留導電性補助層122、及びナノ構造106及び/又は108からなる(図3E参照)。
【0057】
ここに記載された方法を用いて、図3Eに示したように、孤立した金属島116上か又は直接絶縁基板110上に個別のナノ構造106か又はナノ構造の「フォレスト」108を作製することが可能である。
【0058】
また、金属下層が残りの基板と同じレベルになくてもナノ構造を形成することが可能である。図4Aは、絶縁基板110の上面に形成された孤立した金属島114を示す。連続導電性補助層120が基板表面の上且つそれを覆うように形成され(ステップ200)、次いでパターン触媒層102及び/又は104が連続導電性補助層上に形成される(ステップ220)。ナノ構造の成長(ステップ230)及び補助層の自己整合選択的除去(ステップ240)の後、構造は図4Bに示されたようなものとなる。
【0059】
図5A及び5Bに、代替的方法によって形成された最終構造が示されている。最初に、連続導電性補助層120が基板の上面に亘って形成され(ステップ200)、次にいくつかの任意のパターン層126が、例えばナノ構造に垂直な方向に電気伝導を可能にするために補助層120に形成される(ステップ210)。最後にパターン触媒102及び/又は104が任意の層又は補助層上に形成される(ステップ220)。成長工程(ステップ230)後、前項に記載したように補助層が選択的に除去される(ステップ240)。ここに記載された他の方法と同様に、ナノ構造の成長後、リソグラフィは不要である。こうして、図5A及び5Bに示された方法によって、上面にナノ構造106及び/又は108及び下方に残留補助層124を有した孤立した島(任意のパターン層126)が作製される。
【0060】
別の実施例で、図8A−8Cは、触媒層の上面に形成された絶縁材料層に作製されたヴィアホールを介してナノ構造を成長させる方法を示す。まず、触媒層102及び/又は104が導電性基板100上に形成される。しかしながら、この場合の基板は絶縁基板であってもよい。次に絶縁層110が基板及び触媒層上に形成される。次にパターン導電性補助層134が絶縁層110の上面に形成される。いくつかの実施例では、連続導電性補助層がまず絶縁層の上面に形成され、次いで様々な適切な方法でパターン形成されてもよい。次にホールが絶縁層110を選択的にエッチングすることによって作製され、触媒層へのヴィアホール136が作製される。次いでナノ構造の成長が実施され、触媒層102及び/又は104上にナノ構造106及び/又は108が形成される。次にパターン導電性補助層134が選択的に除去される(図6のステップ240)、つまりこの場合完全に除去される。
【0061】
必要ならば、導電性補助層下方の材料の一つが、適切な相対的選択性を有するエッチング液を用いてエッチングされうる。例えば酸化ケイ素がウェット又はドライエッチングを用いてエッチングされうる。こうして、触媒及びナノ構造層は更なる処理のためにマスクとして機能する。
【実施例】
【0062】
(応用例)
本明細書に記載された技術の重要な応用は、例えばコンピュータデバイスで使用されうる集積回路の配線及び/又は熱エレベータの作製である。ナノ構造は、集積回路チップ内部で又は集積回路チップへ/から熱及び電気を運ぶために用いられる。使用される成長方法及びデバイスは、研磨による金属のパターン形成を伴う現行の処理基準と適合し、また関与する金属とも適合する。また、集積回路(複数のデバイス層)の三次元積層がここに記載された方法で作られたナノ構造を配線として利用できる。例えば、ヴィアホール配線構造を作製するために本発明を利用する方法が図8A−8Cに記載されている。図12は、ここに記載された技術及び方法を用いて作製された例示的なデバイスとして、酸化物絶縁体にヴィアホールを介して炭素ナノ構造が成長しているデバイスのSEM顕微鏡写真を示す。図12で、明るく平坦な領域は絶縁領域であり、残りの領域には垂直に成長したナノ構造が見られる。
【0063】
別の応用は、寄生成長の除去である。部分的にのみ金属下層(つまりパターン金属下層)で覆われたチップ上にナノ構造を成長させるとき、触媒粒子の外で寄生成長が起こる場合がある。これは、ここに記載されたように連続金属補助層を用いることで回避されうる。
【0064】
ここに記載された技術はまた、ナノ構造の成長中に金属下層及び他の露出材料をプラズマから保護するために用いられうる。これは特に、ナノ構造の成長に使用されるガスと適合しない金属下層上にナノ構造を成長させるときに重要である。一例は、アセチレン含有プラズマを用いて銅表面上にナノ構造を成長させることであり、これは銅とアセチレンが互いに反応するためである。導電性補助層が酸素又は他の選択材料が金属下層に到達するのを防ぐ拡散障壁として機能するため、望ましくない酸化/化学反応/拡散が防止可能である。例えば、アルミニウム下層(存在する場合)が補助層によって酸化から保護されうる。更に、汚染(例えば金属イオン)もまた、ここに開示された方法を用いて作られたナノ構造では低減されうる。
【0065】
ここに記載された技術はまた、ナノ構造の成長中に基板の任意の繊細な電気デバイスをプラズマの高電圧アークから保護するために用いられうる。結局、プラズマに何らかのアークがある場合、結果として生じる損傷は有意に低減されることとなり、これは基板表面上の全てのコネクタが共に短絡且つ導電性補助層によって接地されているためである。この静電放電(ESD)保護はまた、製造所でウェハを取り扱うため又は一部完成したウェハを別の製造所へ移送するために重要である。
【0066】
ここに記載された方法はまた、ナノ構造の真下の領域以外に金属が残らないようにプラズマエッチングにより補助層を自己整合除去することによって絶縁表面上にサーマルバンプを作製するために用いられうる。
【0067】
ここに記載された技術はまた、電気伝導性ポリマー薄膜及びコーティングを、該薄膜が部分的に光透過性、透過性、又は透過性でないように作成するために用いられうる。応用は例えば、タッチパネル、静電放電(ESD)、シールド、及びディスプレイの電極層といった製品の製造でありうる。
【0068】
更に、ここに記載されたように作製されたナノ構造の機械的特性は、例えば絶縁体に機械的安定性を付与するために利用されうる。よって、導電性補助層が自己整合工程でプラズマエッチングにより(ナノ構造の真下を除いて)選択的に除去されるため、連続金属下層が必要とされないことが利点である。
【0069】
異方性電導膜の例である熱界面材料(TIM)が、ここに記載された技術を用いて作製されうる。この場合、ナノ構造の層は、熱伝導率の増大を助けるように設計されたポリマーのゴムに埋め込まれている。ポリマーはまず、補助層の除去後にナノ繊維上にスピンされ、次にリフトオフされる(ナノ構造はそこに埋め込まれている)。ポリマー薄膜の下に連続金属膜がないため(選択的に除去済みであるから)、ポリマー薄膜の別の平行なナノ構造を短絡させるリスクがない。
【0070】
これがAu、Cu、Al、Niなどといった金属を形成する次の処理ステップである場合は、導電性補助層はまた全てのナノ構造に電気めっき、無電解メッキ、又はガルバニめっきに必要な電流を供給することも可能である。
【0071】
別の応用は、一部絶縁基板上に直接化学プローブを作ることである。これは例えば、標準的なシリコン集積回路上に直接なされうる。
【0072】
ここに記載された技術は、CMOS、Bi−CMOS、Bi−polar、又はHEMTなどといったトランジスタのためのソース、ドレイン及びゲート金属接点を作製するために用いられうる。こういった構成は特定のトランジスタレイアウトに合わせて変形が想定されうる。応用には液晶を有したデバイスも含まれる。
【0073】
いくつかの応用では、必要なら補助層が一方向でのみ除去できるという特性が利用される。適切に設計された基板構造上で異方性エッチングを用いると、補助層は垂直表面上には残るが水平表面からは除去されることとなる。図7A及び7Bに示されたように、導波路材料130が適切な基板128上に形成される。基板128及び導波路材料130は、上面並びに側壁上が補助層120で覆われる。異方性エッチングによって、側壁をそのまま残して上面の補助層が選択的に除去される。その結果、そうでなければ透明な上面に成長した個別のナノ繊維106と金属化側壁132とを有した構造が作製される。当該構造は、吸収された光を導波路130(補助層に覆われた側壁を有した構造からなる)に繋ぐ光吸収体として有用である。
【0074】
ここに記載された技術はまた、再加工処理方法を提供する。これは、処理に問題/失敗があった場合に、ナノ構造を除去して工程を再度やり直すために化学機械研磨(CMP)によってナノ構造を除去するだけで、処理済みウェハが再加工できることを意味する。
【0075】
本技術は、ボールグリッドアレイ(BGA)、フリップチップ(FC)モジュール、CSP、WLP、FCOB、TCBなど、ICタイプ、RFIDタグ、CMOS、BiCMOS、GaAS、HEMT AlGAA、MMIC、MCM、LCD、ディスプレイ、携帯電話機、ASICチップ、メモリデバイス、MCU、及び集積受動部品といった接合技術に適用可能である。
【0076】
(例示的デバイス)
原理を実証するために、パターン金(下)層(下にチタン接着促進層を有する)が、そうでなければ絶縁性の酸化物表面上に(標準的なリソグラフィ技術を用いて)形成された。触媒をパターン金属下層上に直接配するのは、成長中に大きなプラズマ誘起損傷が生じうるため望ましくない。代わりに、タングステン補助層(50nm)がチップ表面全体にスパッタされた。次いでパターン触媒層(Si10nm及びNi10nm)が標準的なリフトオフ工程によって(パターン金属下層と並んで)形成された。成長後、構造が図9A及び9Bに示されたように現れた。当該例で、成長温度は約700度、及びプラズマは約4トールの圧力でC2H2及びNH3ガス(それぞれ20及び100sccm)を混合して生成された。プラズマ電流は20mAに設定され、成長時間は約60分だった。この特定の例で、触媒は、成長工程後にナノ繊維の薄膜(「フォレスト」)が生じるようにパターン形成されたが、触媒域をもっと小さくすれば個別の垂直配向したナノ繊維が生じることとなる。
【0077】
導電性補助層は次いで、フッ素含有プラズマでのプラズマエッチング(圧力10mトール、ガス流20sccmCF4)によって、及びプラズマエッチングCVD処理チャンバで終点検出を用いて除去された。
【0078】
該方法の実用性は、処理前(図9A及び9B)及び処理後(図10)に撮られたSEM写真によって示されうる。補助層が除去されているのにも関わらず、繊維は本質的に同一に見える。よって、繊維の真下の補助層部分のみが基板上に残った、補助層の自己整合選択的除去が達成されている。残りの領域から補助層が完全に除去されていることが電気計測により立証された。最小限の寄生成長が孤立した金属島の外に見られる。アルミニウムを下層とした同様の例示的デバイスが図11Aに、そして銅を下層とした例が図11Bにそれぞれ示されている。
【0079】
よって、プラズマ誘起チップ損傷なしで(絶縁チップ表面上にある)パターン金属下層上でナノ繊維を成長させるという目的は達成された。
【0080】
図12は、ここに記載された技術及び方法を用いて作製された例示的デバイスとしての、酸化物絶縁体でヴィアホールを介して炭素ナノ構造が成長する例示的デバイスのSEM顕微鏡写真を示す。図12で、明るく平坦な領域は絶縁領域であり、残りの領域には垂直に成長したナノ構造が見られる。よって、絶縁層でヴィアホールを介してナノ繊維を成長させるという目的は達成されている。
【0081】
ここに引用された全ての特許及び他の参考文献の内容はいかなるものもその全体が参照によりここに組み込まれる。
【0082】
本明細書は多くの特定の実施詳細を含むが、それらは何ら発明又は請求項の範囲を限定するものではなく、特定の発明の特定の実施例に固有でありうる特徴を説明するものと解釈されるべきである。別個の実施形態との関連で本明細書に記載されている特定の特徴は、単一の実施例と組み合わせても実施可能である。逆に、単一の実施形態との関連で記載されている様々な特徴を、複数の実施形態で別個に、又は任意の適切なサブコンビネーションで実施することもできる。更に、特徴が特定のコンビネーションで機能するものとしてここに記載、及び更には当初はそのように請求されていても、請求されたコンビネーションからの一又は複数の特徴が場合によってはそのコンビネーションから削除されてよく、及び請求されたコンビネーションはサブコンビネーション又はサブコンビネーションの変形を対象としうる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一又は複数のナノ構造の作製方法であって:
基板の上部表面上に導電性補助層を形成すること;
導電性補助層上に触媒のパターン層を形成すること;
触媒層上に一又は複数のナノ構造を成長させること;及び
一又は複数のナノ構造の間及び周囲の導電性補助層を選択的に除去すること
を含む方法。
【請求項2】
触媒層は形成された後にパターン形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
基板が付加的に、その上部表面と同延であり且つ導電性補助層に覆われている金属下層を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
金属下層がパターン形成されている、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
金属下層が:Cu、Ti、W、Mo、Pt、Al、Au、Pd、P、Ni、及びFeから選択された一又は複数の金属を含んでなる、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
金属下層が、TiN、WN、及びAlNから選択された一又は複数の導電性合金を含んでなる、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
金属下層が、一又は複数の導電性ポリマーを含んでなる、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
基板が半導体である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
基板が絶縁体である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
基板が、上面に少なくとも一つの導電層を有した絶縁体を含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
形成のいずれかが:蒸着、めっき、スパッタリング、分子線エピタキシ、パルスレーザ蒸着、CVD、及びスピンコーティングから選択された方法によって実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
一又は複数のナノ構造が、炭素、GaAs、ZnO、InP、InGaAs、GaN、InGaN、又はSiを含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
一又は複数のナノ構造が、ナノ繊維、ナノチューブ、又はナノワイヤを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
導電性補助層が:半導体、導電性ポリマー、及び合金から選択された材料を含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
導電性補助層が、1nmから100Tmの厚さである、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
一又は複数のナノ構造がプラズマで成長する、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
導電性補助層の選択的除去が、エッチングにより達成される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
エッチングがプラズマドライエッチングである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
エッチングが電気化学エッチングである、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
エッチングが光化学熱分解エッチングである、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
エッチングが熱分解エッチングである、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
更に、導電性補助層と触媒層の間に付加的な層を形成することを含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
一又は複数の絶縁領域によって隔てられた一又は複数の露出金属島を含んでなる基板;
一又は複数の露出金属島又は絶縁領域の少なくともいくつかを覆う基板上に配された導電性補助層;
導電性補助層上に配された触媒層;及び
触媒層上に配された一又は複数のナノ構造
を含むデバイス。
【請求項24】
ナノ構造が配線である、請求項23に記載のデバイス。
【請求項25】
一又は複数のナノ構造を作製するための方法であって:
基板の上部表面上に金属下層を形成すること;
金属下層上に触媒層を形成すること;
触媒層上に絶縁体層を形成すること;
絶縁体層上に導電性補助層を形成すること;
導電性補助層から触媒層へと絶縁体層を通ってヴィアホールを作製すること;
ヴィアホールを介して触媒層上に一又は複数のナノ構造を成長させること;及び
導電性補助層を選択的に除去すること
を含む方法。
【請求項26】
以下のステップ:
基板の上部表面上に金属下層を形成するステップ;
金属下層上に触媒層を形成するステップ;
触媒層上に絶縁体層を形成するステップ;
絶縁体層上に導電性補助層を形成するステップ;
導電性補助層から触媒層へと絶縁体層を通ってヴィアホールを作製するステップ;
ヴィアホールを介して触媒層上に一又は複数のナノ構造を成長させるステップ;及び
導電性補助層を選択的に除去するステップ
を含む工程によって製造された一又は複数のナノ構造を含むデバイス。
【請求項27】
一又は複数のナノ構造を作製するための方法であって:
露出パターン金属下層又は露出絶縁体層を含む基板上に導電性補助層を形成すること;
導電性補助層の上又は露出絶縁体層の下に配されている触媒層からナノ構造を成長させること;及び
導電性補助層の一部又は全てをエッチングにより選択的に除去すること
を含む方法。
【請求項1】
一又は複数のナノ構造の作製方法であって:
基板の上部表面上に導電性補助層を形成すること;
導電性補助層上に触媒のパターン層を形成すること;
触媒層上に一又は複数のナノ構造を成長させること;及び
一又は複数のナノ構造の間及び周囲の導電性補助層を選択的に除去すること
を含む方法。
【請求項2】
触媒層は形成された後にパターン形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
基板が付加的に、その上部表面と同延であり且つ導電性補助層に覆われている金属下層を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
金属下層がパターン形成されている、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
金属下層が:Cu、Ti、W、Mo、Pt、Al、Au、Pd、P、Ni、及びFeから選択された一又は複数の金属を含んでなる、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
金属下層が、TiN、WN、及びAlNから選択された一又は複数の導電性合金を含んでなる、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
金属下層が、一又は複数の導電性ポリマーを含んでなる、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
基板が半導体である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
基板が絶縁体である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
基板が、上面に少なくとも一つの導電層を有した絶縁体を含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
形成のいずれかが:蒸着、めっき、スパッタリング、分子線エピタキシ、パルスレーザ蒸着、CVD、及びスピンコーティングから選択された方法によって実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
一又は複数のナノ構造が、炭素、GaAs、ZnO、InP、InGaAs、GaN、InGaN、又はSiを含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
一又は複数のナノ構造が、ナノ繊維、ナノチューブ、又はナノワイヤを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
導電性補助層が:半導体、導電性ポリマー、及び合金から選択された材料を含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
導電性補助層が、1nmから100Tmの厚さである、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
一又は複数のナノ構造がプラズマで成長する、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
導電性補助層の選択的除去が、エッチングにより達成される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
エッチングがプラズマドライエッチングである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
エッチングが電気化学エッチングである、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
エッチングが光化学熱分解エッチングである、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
エッチングが熱分解エッチングである、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
更に、導電性補助層と触媒層の間に付加的な層を形成することを含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
一又は複数の絶縁領域によって隔てられた一又は複数の露出金属島を含んでなる基板;
一又は複数の露出金属島又は絶縁領域の少なくともいくつかを覆う基板上に配された導電性補助層;
導電性補助層上に配された触媒層;及び
触媒層上に配された一又は複数のナノ構造
を含むデバイス。
【請求項24】
ナノ構造が配線である、請求項23に記載のデバイス。
【請求項25】
一又は複数のナノ構造を作製するための方法であって:
基板の上部表面上に金属下層を形成すること;
金属下層上に触媒層を形成すること;
触媒層上に絶縁体層を形成すること;
絶縁体層上に導電性補助層を形成すること;
導電性補助層から触媒層へと絶縁体層を通ってヴィアホールを作製すること;
ヴィアホールを介して触媒層上に一又は複数のナノ構造を成長させること;及び
導電性補助層を選択的に除去すること
を含む方法。
【請求項26】
以下のステップ:
基板の上部表面上に金属下層を形成するステップ;
金属下層上に触媒層を形成するステップ;
触媒層上に絶縁体層を形成するステップ;
絶縁体層上に導電性補助層を形成するステップ;
導電性補助層から触媒層へと絶縁体層を通ってヴィアホールを作製するステップ;
ヴィアホールを介して触媒層上に一又は複数のナノ構造を成長させるステップ;及び
導電性補助層を選択的に除去するステップ
を含む工程によって製造された一又は複数のナノ構造を含むデバイス。
【請求項27】
一又は複数のナノ構造を作製するための方法であって:
露出パターン金属下層又は露出絶縁体層を含む基板上に導電性補助層を形成すること;
導電性補助層の上又は露出絶縁体層の下に配されている触媒層からナノ構造を成長させること;及び
導電性補助層の一部又は全てをエッチングにより選択的に除去すること
を含む方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2011−517366(P2011−517366A)
【公表日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−548640(P2010−548640)
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【国際出願番号】PCT/SE2009/000098
【国際公開番号】WO2009/108101
【国際公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(510069593)スモルテック アーベー (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【国際出願番号】PCT/SE2009/000098
【国際公開番号】WO2009/108101
【国際公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(510069593)スモルテック アーベー (3)
【Fターム(参考)】
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