説明

ナビゲーション装置

【課題】放送電波の受信に適した推奨経路を探索することができるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】電界強度に基づく推奨経路の探索では、リンクコストに対して電界強度リンクデータ30の電界強度分類値に基づいて重み付けを行い、その重み付けしたリンクコストによって推奨経路を探索する。電界強度分類値は電界強度を0〜5で分類した値である。たとえば、電界強度分類値が0のリンク、つまり電界強度が最も弱いリンクのリンクコストを100倍にし、電界強度分類値の値が5のリンク、つまり電界強度が最も強いリンクのリンクコストを0倍にする重み付けを行う。このようにすることによって、放送電波の電界強度が小さい道路を通過する経路のリンクコストは大きくなり、放送電波の電界強度が大きい道路を通過する経路のリンクコストは小さくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビ放送やラジオ放送を受信する機能を有するナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
以下のような車載端末装置が従来技術として知られている。車載端末装置が検出した電波の電界強度と、電界強度を検出した位置とを記憶した電界強度データベースを作成する。また、目的地に到達するまでの距離や時間に基づいて複数の経路を探索する。そして、電界強度データベースに記憶されている電界強度のデータに基づいて、複数の経路から最も電波の受信に適した経路を選択し、その選択した経路にしたがって経路誘導する(たとえば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2006−108921号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1の発明の車載端末装置では、目的地に到達するまでの距離や時間に基づいて複数の経路を選択し、その複数の経路の中から電波の受信に適した経路が選択される。したがって、選択された経路が必ずしも電波の受信に適した経路であるとは限らないという問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(1)請求項1の発明のナビゲーション装置は、地図上の位置と、その位置における放送電波の電界強度とを記憶する電界強度記憶手段と、電界強度記憶手段によって記憶した地図上の位置とその位置における電界強度とに基づいて目的地までの推奨経路を探索する推奨経路探索手段とを備えることを特徴とする。
(2)請求項2の発明は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、推奨経路探索手段は、電界強度記憶手段によって記憶した電界強度を反映したリンクコストを用いて推奨経路を探索することを特徴とする。
(3)請求項3の発明は、請求項1または2に記載のナビゲーション装置において、車両の現在地を検出する現在地検出手段と、放送電波を受信する放送電波受信手段と、放送電波受信手段によって受信した放送電波の電界強度を検出する電界強度検出手段とを備え、電界強度記憶手段は、電界強度検出手段によって検出した放送電波の電界強度と、放送電波の電界強度を検出したときに現在地検出手段によって検出した車両の現在地とを対応付けて記憶することを特徴とする。
(4)請求項4の発明は、請求項3に記載のナビゲーション装置において、放送電波受信手段は、時分割で複数の放送局の放送電波を受信し、電界強度検出手段は、複数の放送局の放送電波の電界強度を検出することを特徴とする。
(5)請求項5の発明は、請求項1または2に記載のナビゲーション装置において、車両の現在地を検出する現在地検出手段と、放送電波を受信する放送電波受信手段と、地図上の位置とその位置における放送電波の電界強度の情報とを情報センタから受信する電界強度情報受信手段とを備え、電界強度記憶手段は、電界強度情報受信手段によって受信した、地図上の位置とその位置における放送電波の電界強度とを記憶することを特徴とする。
(6)請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のナビゲーション装置において、推奨経路探索手段は、放送電波優先時間帯においては、電界強度記憶手段によって記憶した地図上の位置とその位置における電界強度とに基づいて探索し、その他の時間帯においては、目的地まで最短時間または最短距離で到達する経路を探索することを特徴とする。
(7)請求項7の発明は、請求項6項に記載のナビゲーション装置において、ユーザにより放送電波優先時間帯が指定される指定手段を備え、推奨経路探索手段は、指定手段によって指定された放送電波優先時間帯においては、電界強度記憶手段によって記憶した地図上の位置とその位置における電界強度とに基づいて探索することを特徴とする。
(8)請求項8の発明は、請求項7項に記載のナビゲーション装置において、放送電波によって放送される番組の番組表を取得する番組表取得手段を備え、指定手段は、ユーザによって番組表の中から選択された番組の放送時間帯が放送電波優先時間帯として指定されることを特徴とする。
(9)請求項9の発明は、請求項6乃至8のいずれか1項に記載のナビゲーション装置において、放送電波優先時間帯が複数であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、放送電波の電界強度に基づいて推奨経路を探索するので、放送電波を良好に受信しながら走行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の実施形態によるナビゲーション装置の構成を図1に示す。図1のナビゲーション装置1は、地図表示などの通常のナビゲーション機能のほかに、地上デジタル放送を受信し、視聴することができる。ナビゲーション装置1は、制御回路11、ROM12、RAM13、現在地検出装置14、画像メモリ15、表示モニタ16、スピーカ17、入力装置18、地上デジタル放送受信部19、データ記憶部110およびディスクドライブ111を有している。ディスクドライブ111には、地図データが記録されたDVD−ROM112が装填される。
【0007】
制御回路11は、マイクロプロセッサ及びその周辺回路からなり、RAM13を作業エリアとしてROM12に格納された制御プログラムを実行して各種の制御を行う。この制御回路11がDVD−ROM112に記憶された地図データに基づいて所定の経路探索処理を行うと、その処理結果が推奨経路として表示モニタ16に表示される。
【0008】
現在地検出装置14は車両の現在地を検出する装置であり、たとえば、車両の進行方向を検出する振動ジャイロ14a、車速を検出する車速センサ14b、GPS( Global Positioning System )衛星からのGPS信号を検出するGPSセンサ14cなどからなる。ナビゲーション装置1は、この現在地検出装置14により検出された車両の現在地に基づいて、地図の表示範囲や経路探索開始点などを決定するとともに、地図上にその現在地を表示する。
【0009】
画像メモリ15は、表示モニタ16に表示するための画像データを格納する。この画像データは道路地図描画用データや各種の図形データからなり、それらはDVD−ROM112に記憶された地図データに基づいて、適宜生成される。ナビゲーション装置1は、このようにして生成された画像データを用いることによって地図表示などを行うことができる。
【0010】
表示モニタ16は、地図データなどの各種情報に基づいて、自車位置付近の道路地図などの各種情報を画面表示としてナビゲーション装置1のユーザに提供する。また、表示モニタ16は、地上デジタル放送受信部19で受信した地上デジタル放送の映像情報を出力する。スピーカ17は、地図データなどの各種情報に基づいて、自車位置付近の地図などの各種情報を音声によりユーザに提供する。また、スピーカ17は、地上デジタル放送受信部19で受信した地上デジタル放送の音声情報を出力する。
【0011】
入力装置18は、車両の目的地などをユーザが設定するための入力スイッチを有し、これは操作パネルやリモコンなどによって実現される。ユーザは、表示モニタ16の表示画面の指示または、スピーカ17からの音声の指示に従って入力装置18を操作することにより、目的地を選択して目的地を設定する。また、入力装置18によって、地上デジタル放送受信部19によって受信される放送局を選択することができる。
【0012】
目的地がユーザにより設定されると、ナビゲーション装置1は、現在地検出手段14により検出された現在地を出発地として目的地までの経路演算を所定のアルゴリズムに基づいて行う。以下、この経路演算を経路探索と呼ぶ。このようにして求められたルート(以下、推奨経路という)は、表示形態、たとえば表示色などを変えることによって、ほかの道路とは区別して画面表示される。これにより、ユーザは地図上の推奨経路を画面上で認識することができる。また、ナビゲーション装置1は、推奨経路にしたがって車両が走行できるように、ユーザに対して画面や音声などによる進行方向指示を行い、車両を誘導する。
【0013】
地上デジタル放送受信部19は、地上デジタル放送の電波を受信し、その受信した電波をチューニングして所望の周波数の電波を選択する。そして、選択した周波数の電波より画像信号および音声信号を抽出して増幅し、表示モニタ16やスピーカ18に出力する。また、電波をチューニングするときに使用するSメータ電圧をアナログ/デジタル変換して電波の電界強度を検出する。
【0014】
データ記憶部110は、フラッシュメモリやハードディスクなどの書き換え可能な不揮発性メモリや不揮発性記録媒体によって構成され、ナビゲーション装置1の機能に必要なデータを記憶する。データ記憶部110に記憶された情報は、制御回路11によって適宜読み出されて利用される。また、データ記憶部110には、図2に示す電界強度データ20と図3に示す電界強度リンクデータ30とが記憶されている。
【0015】
図2に示すように、電界強度データ20は、所定の放送局の地上デジタル放送を受信したときに検出した電波の電界強度と、その検出したときの車両位置とを含み、データ記憶部110に格納される。電界強度データ20は、放送局ごとに作成されるが、説明の都合上、特定のひとつの放送局の地上デジタル放送について説明する。表示モニタ16の表示画面に表示された不図示のメニューから「学習モード」が設定されると、車両のイグニッションスイッチがオンの間は、地上デジタル放送の電波の電界強度と車両の位置とが所定時間の間隔で常に検出される。そして、その検出結果が電界強度データに順次データ記憶部110に格納される。
【0016】
図3に示すように、電界強度リンクデータ30は、リンクを識別するためのリンクIDとそのリンクIDのリンクにおける電界強度とを含み、データ記憶部110に格納される。このリンクIDは、後述する地図データのリンク情報におけるリンクIDと同一のものが使用される。電界強度リンクデータ30は電界強度データ20を用いて以下のように作成される。電界強度データ20の車両位置に相当するリンクを地図データより抽出する。そして、抽出されたリンクIDと電界強度分類値とを対応付けて電界強度リンクデータ30を作成してデータ記憶部110に記憶する。
【0017】
電界強度は、その強度にしたがって6段階の電界強度分類値に分類され、この分類値(0〜5)が電界強度リンクデータ30としてデータ記憶部110に格納される。ここで、電界強度分類値が0の場合、電界強度が最も小さく、電界強度分類値5の場合、電界強度が最も大きい。ひとつのリンクにおいて複数の電界強度のデータが存在する場合があるが、この場合は複数の電界強度の平均値よりそのリンクの電界強度分類値を決定する。
【0018】
ディスクドライブ111は、装填されたDVD−ROM112から、表示モニタ16へ地図を表示するための地図データを読み出す。地図データは、地図表示用データ、経路探索用データなどを含み、表示用および経路探索用データには、道路のリンク情報およびノード情報が含まれている。道路のリンク情報およびノード情報には、リンクやノードを識別できるようにするためIDが付されている。地図表示用データは、広域から詳細まで複数の縮尺の地図データを有し、ユーザの要求にしたがって、表示地図の縮尺を変更することができる。なお、DVD−ROM114以外の他の記録メディア、たとえばCD−ROMやハードディスクなどより地図データを読み出してもよい。
【0019】
次に、本発明の電界強度に基づく推奨経路の探索方法を説明する。電界強度に基づく推奨経路とは、放送電波を受信するのに適した経路であり、その経路にしたがって走行することによって可能な限り強い電界強度で放送電波を受信しながら目的地まで走行することができる。従来から、推奨経路演算として最短距離で目的地まで到達する推奨経路演算アルゴリズムや、最短時間で目的地まで到達する推奨経路演算アルゴリズムが知られている。これらのアルゴリズムで推奨経路を演算する際、リンクごとに割り当てられた距離に関するリンクコストや時間に関するリンクコストが用いられている。この実施の形態では、電界強度分類値に関する重み係数を上記リンクコストに重畳的に用いて推奨経路を演算する。
【0020】
電界強度に基づく推奨経路の探索に際して使用されるリンクコストは、電界強度リンクデータ30の電界強度分類値に基づいて重み付けされる。たとえば、電界強度分類値が0であるリンクのリンクコストを100倍に(重み係数を100に)、電界強度分類値が1であるリンクのリンクコストを10倍に(重み係数を10に)、電界強度分類値が2であるリンクのリンクコストを5倍に(重み係数を5に)重み付けをする。また、電界強度分類値が3であるリンクのリンクコストを1倍に(重み係数を1に)、電界強度分類値が4であるリンクのリンクコストを0.5倍に(重み係数を0.5に)、電界強度分類値が5であるリンクのリンクコストを0倍に(重み係数を0に)重み付けをする。すなわち、電界強度分類値が5のリンクのリンクコストはゼロとなる。
【0021】
このようにすることによって、放送電波の電界強度が小さい道路を通過する経路のリンクコストは大きくなり、放送電波の電界強度が大きい道路を通過する経路のリンクコストは小さくなる。したがって、重み付けをした後のリンクコストで推奨経路を演算すると、受信する電波の電界強度の強い道路を通過する推奨経路が探索されることになる。
【0022】
図4を参照して、具体的に本発明の電界強度に基づく推奨経路の探索方法を説明する。予め定めた特定放送局について作成した電界強度分類値を用いて、リンクL1の道路からリンクL9の道路に進行する推奨経路を探索するものとして説明する。
【0023】
図4(a)の丸内の数字は、たとえば距離や時間に関するリンクL1〜L9のそれぞれのリンクコストである。リンクL1のリンクコストが3.2、リンクL2のリンクコストが3.2、リンクL3のリンクコストが3.2である。リンクL4のリンクコストが3.2、リンクL5のリンクコストが2.1、リンクL6のリンクコストが5.3である。リンクL7のリンクコストが2.5、リンクL8のリンクコストが2.5、リンクL9のリンクコストが4.1である。
【0024】
図4(a)の四角内の数字は、リンクL1〜L9のそれぞれの電界強度分類値である。リンクL1の電界強度分類値が3、リンクL2の電界強度分類値が3、リンクL3の電界強度分類値が4である。リンクL4の電界強度分類値が3、リンクL5の電界強度分類値が1、リンクL6の電界強度分類値が5である。リンクL7の電界強度分類値が3、リンクL8の電界強度分類値が4、リンクL9の電界強度分類値が3である。
【0025】
リンクコストの合計値を加算して計算すると、リンクL1、リンクL5およびリンクL9を通過するときの電界強度分類値で重み付けをしない場合のリンクコストの合計値は9.4である。一方、電界強度分類値で重み付けをした場合のリンクコストの合計値は28.5である。リンクL1、リンクL2、L4、L7およびリンクL9を通過するときの電界強度分類値で重み付けをしない場合のリンクコストの合計値は16.2である。一方、電界強度分類値で重み付けをした場合のリンクコストの合計値は22.6である。リンクL1、リンクL3、L6、L8およびリンクL9を通過するときの電界強度分類値で重み付けをしない場合のリンクコストの合計値は18.3である。一方、電界強度分類値で重み付けをした場合のリンクコストの合計値は10.2である。
【0026】
最短時間、または最短距離となるアルゴリズムを用いて推奨経路を演算する場合は、電界強度分類値で重み付けをしない場合のリンクコストが一番小さい経路であるリンクL1、リンクL5およびリンクL9を通過する1つの経路が探索される。一方、放送電波を受信するのに適したアルゴリズムを用いて推奨経路を演算する場合は、図4(b)に示すように、電界強度分類値でリンクコストに重み付けをした場合のリンクコストが一番小さい経路であるリンクL1、リンクL3、L6、L8およびリンクL9を通過する1つの経路41が探索される。
【0027】
以上の本発明の実施形態によるナビゲーション装置は次のような作用効果を奏する。
(1)放送電波の電界強度を反映したリンクコストを用いて推奨経路を探索、つまり出発地から目的地までのリンク上における放送電波の電界強度に基づいて推奨経路を探索するので、放送電波の受信に適した推奨経路を探索することができる。このようにして探索された推奨経路にしたがって走行することによって、目的地に到達するまで可能な限り良好な受信状態で放送番組を視聴し続けることができる。
【0028】
(2)ナビゲーション装置1が検出した車両位置と放送電波の電界強度とに基づいて電界強度データ20を作成した。実際に地上デジタル放送を受信する装置によって、地上デジタル放送の電波の電界強度を検出するので、正確な電界強度を電界強度データ20に格納することができる。一方、第三者が提供する電界強度のデータでは、電界強度を検出するアンテナの位置や感度などがナビゲーション装置1と異なるため、実際にナビゲーション装置1が検出する電界強度と異なる場合がある。このような正確な電界強度データ20を用いて放送電波の受信に適した推奨経路を探索するので、確実に放送電波の受信に適した推奨経路を探索することができる。
【0029】
以上の実施の形態のナビゲーション装置1を次のように変形することができる。
(1)電界強度データ20には、所定の放送局の地上デジタル放送を受信したときに検出した電界強度が格納されている。しかし、所定時間ごとにチャンネルを切り替えて、図5に示すように、すべての地上デジタル放送の放送局(A放送局〜Z放送局)における放送電波の電界強度を検出して、電界強度データ20を作成してデータ記憶部110に格納するようにしてもよい。放送局によって、受信する放送電波の電界強度が異なる場合があるからである。全ての地上デジタル放送の放送局の放送電波の電界強度を検出し、それらの電界強度を電界強度データ20としてデータ記憶部110に格納することによって、推奨経路演算の条件として所望の放送局を指定し、その放送局の放送の受信に適した推奨経路を探索することができる。
【0030】
また、電界強度を検出するときのチャンネルを切り替える時間間隔は常に一定でなくてもよい。たとえば、車速が速いときはチャンネルを切り替える時間を短くし、車速が遅いときはチャンネルを切り替える時間を長くしてもよい。さらに、電界強度を検出するときの1チャンネルあたりの受信時間も一定である必要はなく、車速が速いときは1チャンネルあたりの受信時間を短くし、車速が遅いときは1チャンネルあたりの受信時間を長くしてもよい。このようにすることによって、同じチャンネルの電界強度を検出する検出位置の位置間隔が離れすぎるのを防止することができる。
【0031】
(2)チャンネルを切り替えて、すべての地上デジタル放送の放送局(A放送局〜Z放送局)における放送電波の電界強度を検出して、電界強度データ20としてデータ記憶部110に格納する場合、時分割で複数の放送局の放送電波の電界強度を検出するようにしてもよい。図6(a)に示すように、チャンネルを切り替えて、所定チャンネル数(たとえば、A〜C放送局の3チャンネル)の電界強度を所定時間内に検出する。そして、一定時間経過後、図6(b)に示すように、他の放送局の所定チャンネル数(たとえば、D〜F放送局の3チャンネル)の電界強度を所定時間内に検出する。さらに一定時間経過後、図6(c)に示すように、他の放送局の所定チャンネル数(たとえば、G〜I放送局の3チャンネル)の電界強度を所定時間内に検出する。このようにして、時分割で、すべての地上デジタル放送の放送局(A放送局〜Z放送局)について、所定チャンネル数ずつ、電界強度を検出するようにしてもよい。
【0032】
(3)放送電波の電界強度を検出し、その電界強度を電界強度データ20や電界強度リンクデータ30としてデータ記憶部110に格納する放送は地上デジタル放送に限定しない。たとえば、テレビのアナログ放送や、FMラジオ放送、AMラジオ放送でもよい。これらの放送についても良好な受信状態で番組を視聴したい場合があるからである。また、地上デジタル放送、テレビのアナログ放送、FMラジオ放送、AMラジオ放送の順にと、受信する放送を切り替えて、電界強度を検出するようにしてもよい。この場合も、それぞれの放送において、すべての放送局について電界強度を検出してもよい。
【0033】
(4)図7に示すように、電界強度データ20や電界強度リンクデータ30を地図上に表示するようにしてもよい。以下、電界強度データ20や電界強度リンクデータ30を地図上に表したものを電界強度マップ70と呼ぶ。この場合、道路上の電界強度を色の濃淡や色彩で表す。たとえば、図7に示すように、検出した電界強度が弱くなるにしたがって道路の着色を薄くし、検出した電界強度が強くなるにしたがって道路の着色を濃くするようにしてもよい。また、電界強度が最も強い道路を赤色に着色し、道路における電界強度が弱くなるにしたがって、橙、緑、水色、青と着色するようにしてもよい。複数の放送電波の電界強度で測定する場合については、放送局や放送によって放送電波の電界強度の強い位置、弱い位置が変わるので、放送局ごとに、または放送ごとに電界強度マップを作成するようにしてもよい。電界強度に基づく推奨経路を探索しなくても放送電波の電界強度が強い道路を選択して通過することができ、利便性が向上する。
【0034】
(5)放送電波の電界強度に基づいて推奨経路を探索するのであれば、実施形態に限定されない。
(a)たとえば、電界強度を検出したリンクに、電界強度のリンクコストを設定し、そのリンクコストを用いて推奨経路を探索するようにしてもよい。この場合、時間や距離に関するリンクコストを用いることなく、電界強度のリンクコストの総和が最も低い経路が推奨経路として探索されるようにする。
【0035】
(b)電界強度分類値が4以下のリンクを通過せずに目的地に到達する推奨経路を探索するようにし、この条件で推奨経路を探索できない場合は、電界強度分類値が3以下のリンクを通過せずに目的地に到達する推奨経路を探索する。この条件でも推奨経路を探索できない場合は、電界強度分類値が2以下のリンクを通過せずに目的地に到達する推奨経路を探索する。このように、推奨経路のリンクとして相応しくないリンクの電界強度を順次下げていき、弱い電界強度のリンクを通過しない推奨経路、つまり、視聴する放送番組が途切れたり、画像や音声が悪くなったりしない推奨経路を探索するようにしてもよい。
【0036】
(6)それぞれの車両に設けられたナビゲーション装置1が検出した車両位置の情報と電界強度の情報とを情報センタのサーバに格納するようにし、情報センタのサーバに格納されている電界強度情報に基づいて、放送電波の受信に適した推奨経路を探索するようにしてもよい。この電界強度情報システムを図8に示す。図8の電界強度情報システムは、通信装置を備えたナビゲーション装置1と、ナビゲーション装置1とネットワーク3を介して接続される情報センタ2とを備える。この電界強度情報システムでは、ナビゲーション装置1が検出した車両位置の情報と電界強度の情報とを、ネットワーク3を介して情報センタ2に送信する。
【0037】
図8に示すように、情報センタ2はサーバ21を備える。サーバ21には、図2や図3で示した不図示の電界強度データや電界強度リンクデータが記憶されている。ナビゲーション装置から送信された車両位置の情報と電界強度の情報とは、不図示の電界強度データや電界強度リンクデータとして情報センタ2のサーバ21に格納される。
【0038】
ナビゲーション装置1が電界強度に基づく推奨経路を探索するとき、ナビゲーション装置1は、サーバ21に記憶されている電界強度の情報を受信し、その受信した電界強度の情報を一旦データ記憶部110に記憶する。そして、その受信した情報に基づいて推奨経路を探索する。自車両が通過したことがない場所についても電界強度に基づく推奨経路を探索することができるので利便性が向上する。さらに、ナビゲーション装置1が出発地および目的地の情報を情報センタ2に送信し、情報センタ2において電界強度に基づく推奨経路を探索するようにしてもよい。
【0039】
(7)目的地に向けて走行中に視聴したい番組が放送している時間帯の推奨経路は、電界強度に基づく推奨経路にしたがって経路誘導するようにし、放送していない時間帯は、目的地に最短距離または最短時間で到達できる推奨経路にしたがって経路誘導するようにしてもよい。番組の放送時間の情報は地上デジタル放送の電子番組表から取得することができる。電子番組表は、地上デジタル放送の放送電波に含まれているので、地上デジタル放送を受信すると電子番組表を取得することができる。
【0040】
たとえば、図9を参照して、15:00から17:00までの間に放送している番組を視聴する場合について説明する。図9(a)に示すように、最初は、目的地に最短距離または最短時間で到達できる推奨経路91aにしたがって経路誘導を行う。番組が始まる時間である15:00になると、図9(b)に示すように、車両の現在地を出発地として、電界強度に基づく推奨経路91bを探索する。そして、推奨経路91bにしたがって経路誘導を行う。
【0041】
番組が終了する時間である17:00になると、図9(c)に示すように、車両の現在地を出発地として、目的地に最短距離または最短時間で到達できる推奨経路91cを探索する。そして、図9(d)に示すように、推奨経路91cにしたがって経路誘導を行う。放送番組の放映時間だけ、放送番組を視聴するのに適した推奨経路上を走行するので、目的地に到達する時間があまり遅くならず、便利である。
【0042】
番組が始まる時間には、すでに放送電波を受信するのに適した位置を走行しているようにするため、番組が始まる時間の所定時間前(たとえば、10分前)に車両の現在地を出発地として、電界強度に基づく推奨経路を探索し、その推奨経路にしたがって経路誘導するようにしてもよい。
【0043】
また、出発時間がわかれば、推奨経路上を走行する所要時間から番組が始まる時間および番組が終了する時間の車両位置を推測することができる。したがって、推測した番組が始まる時間と終わる時間の車両位置に基づいて目的地に最短距離または最短時間で到達できる推奨経路91a,91cおよび放送番組を視聴するのに適した推奨経路91bを探索するようにしてもよい。
【0044】
上記の場合、ユーザが入力装置18を操作して、番組が始まる時間(15:00)と番組が終了する時間(17:00)を入力し、番組が放送している時間帯を指定することになる。しかし、ユーザが、電子番組表の中から番組を選択すると、選択された番組の放送時間帯が指定されるようにしてもよい。ユーザが放送開始時間および放送終了時間を調べて入力しなくてもよいので利便性が向上する。選択できる番組はひとつに制限されず、複数の番組を選択し、複数の番組の放送時間帯が指定されるようにしてもよい。一度に複数の番組が選択できて便利である。
【0045】
視聴する番組が放送している時間帯に限定されず、所定の時間帯は、電界強度に基づく推奨経路にしたがって経路誘導するようにし、そのほかの時間帯は、目的地に最短距離または最短時間で到達できる推奨経路にしたがって経路誘導するようにしてもよい。
【0046】
特許請求の範囲の要素と実施の形態との対応関係を説明する。
本発明の電界強度記憶手段はデータ記憶部110に対応し、推奨経路探索手段は制御回路11に対応する。現在地検出手段は現在地検出装置14に対応し、放送電波受信手段および電界強度検出手段は地上デジタル放送受信部19に対応する。電界強度情報受信手段は不図示の通信装置に対応し、指定手段は入力装置18に対応する。番組表取得手段は地上デジタル放送受信部19に対応する。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する上で、上記の実施形態の構成要素と本発明の構成要素の対応関係になんら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施形態におけるナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】電界強度データを説明するための図である。
【図3】電界強度リンクデータを説明するための図である。
【図4】電界強度に基づく推奨経路の探索を説明するための図である。
【図5】すべての放送局の放送電波の電界強度の検出を説明するための図である。
【図6】時分割によるすべての放送局の放送電波の電界強度の検出を説明するための図である。
【図7】電界強度マップを説明するための図である。
【図8】電界強度情報システムを説明するための図である。
【図9】視聴する番組が放送している時間は、電界強度に基づく推奨経路にしたがって経路誘導するようにし、そのほかの時間は、目的地に最短距離または最短時間で到達できる推奨経路にしたがって経路誘導するための推奨経路の探索を説明するための図である。
【符号の説明】
【0048】
1 ナビゲーション装置
2 情報センタ
11 制御回路
14 現在地検出装置
16 表示モニタ
19 地上デジタル放送受信部
20 電界強度データ
21 サーバ
41,91a〜91c 推奨経路
70 電界強度マップ
110 データ記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図上の位置と、その位置における放送電波の電界強度とを記憶する電界強度記憶手段と、
前記電界強度記憶手段によって記憶した地図上の位置とその位置における電界強度とに基づいて目的地までの推奨経路を探索する推奨経路探索手段とを備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記推奨経路探索手段は、前記電界強度記憶手段によって記憶した電界強度を反映したリンクコストを用いて推奨経路を探索することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のナビゲーション装置において、
車両の現在地を検出する現在地検出手段と、
放送電波を受信する放送電波受信手段と、
前記放送電波受信手段によって受信した放送電波の電界強度を検出する電界強度検出手段とを備え、
前記電界強度記憶手段は、前記電界強度検出手段によって検出した放送電波の電界強度と、前記放送電波の電界強度を検出したときに前記現在地検出手段によって検出した車両の現在地とを対応付けて記憶することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項3に記載のナビゲーション装置において、
前記放送電波受信手段は、時分割で複数の放送局の放送電波を受信し、
前記電界強度検出手段は、前記複数の放送局の放送電波の電界強度を検出することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載のナビゲーション装置において、
車両の現在地を検出する現在地検出手段と、
放送電波を受信する放送電波受信手段と、
地図上の位置とその位置における放送電波の電界強度の情報とを情報センタから受信する電界強度情報受信手段とを備え、
前記電界強度記憶手段は、前記電界強度情報受信手段によって受信した、地図上の位置とその位置における放送電波の電界強度とを記憶することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のナビゲーション装置において、
前記推奨経路探索手段は、放送電波優先時間帯においては、前記電界強度記憶手段によって記憶した地図上の位置とその位置における電界強度とに基づいて探索し、その他の時間帯においては、前記目的地まで最短時間または最短距離で到達する経路を探索することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項6項に記載のナビゲーション装置において、
ユーザにより前記放送電波優先時間帯が指定される指定手段を備え、
前記推奨経路探索手段は、前記指定手段によって指定された放送電波優先時間帯においては、前記電界強度記憶手段によって記憶した地図上の位置とその位置における電界強度とに基づいて探索することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項8】
請求項7項に記載のナビゲーション装置において、
前記放送電波によって放送される番組の番組表を取得する番組表取得手段を備え、
前記指定手段は、ユーザによって前記番組表の中から選択された番組の放送時間帯が前記放送電波優先時間帯として指定されることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項9】
請求項6乃至8のいずれか1項に記載のナビゲーション装置において、
前記放送電波優先時間帯が複数であることを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−180577(P2008−180577A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−13538(P2007−13538)
【出願日】平成19年1月24日(2007.1.24)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】