説明

光結合構造体および電気配線基板

【課題】 製造プロセスの簡略化を図り、低価格化を実現できるとともに、光結合効率の低下を抑えることができる光結合構造体および電気配線基板を得る。
【解決手段】 第1コア端面11aが第1端面12aに露出し、第2コア端面11bが第2端面12bに露出し、第1コア端面11aからミラー面13に至り、ミラー面13で方向を変えられて第2コア端面11bに至る連続した光路を構成するコア11が、クラッド12内に埋設されており、かつコア11の第1コア端面11aおよび第2コア端面11bがそれぞれ第1端面12aおよび第2端面12bに2次元的に配列されている光路変換デバイスと、第1端面あるいは第2端面の複数のコアが複数の導波路コアと相対するように設けられたアレイ型光導波路ユニットと、複数の導波路コアを光デバイスに接続するための光コネクタとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、2次元に配列された光電変換素子や光導波路を有する部品同士を光結合する光路変換デバイスと光コネクタとを有する光結合構造体、上記光路変換デバイスとアレイ型光導波路ユニットとが実装された電気配線基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、高速大容量の光通信システムや多数のプロセッサ間を並列信号処理する超並列コンピュータの開発に向けて、高密度で装置内を通信する光インターコネクションの開発が精力的に行われている。このような光インターコネクションを行う際、伝送された光信号の処理は電子デバイスで担われる。そして、それらの電子デバイスを結合する境界デバイスには、光導波路、光電変換素子、電子制御用のLSIやスイッチ、あるいは電子部品を駆動させるための電気回路があわさった光−電気混合デバイスが必要となる。特に、高速広帯域の通信システムを実現するために、VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)、LD(Laser Diode)、PD(Photo Diode)のような光電変換素子を備えたデバイスの要求が高まっている。
【0003】
このような要求に対し、マイクロミラー付き光ピンを光電変換素子上に設け、光ピンと同形のスルーホールを光プリント基板に設け、光ピンをスルーホールに嵌め込んで光電変換素子と光プリント基板とを光結合させる技術が、例えば非特許文献1に提案されている。
【0004】
この従来の光回路実装における90度光路変換技術は、図17に示されるように、光プリント基板1には光導波路となるコア2が埋設され、スルーホール3がコア2を切断するように光プリント基板1に形成され、光電変換素子4に固定されたマイクロミラー付き光ピン5をスルーホール3に嵌め込むものである。そして、スルーホール3はその穴中心をコア2の光軸と直交するように光プリント基板1に形成され、光ピン5の先端面をその光軸と45度の角度を有するマイクロミラー5aに形成している。これにより、例えばコア2を伝播してきた光がマイクロミラー5aで全反射されて光ピン5に導かれ、光ピン5内を伝播して光電変換素子4に到達する。つまり、コア2と光電変換素子4とを、90度光路変換させて光結合させている。
【0005】
この従来の光路変換技術を採用することにより、発光素子から空間に出射される光や光導波路から空間に出射される光が放射角を持って広がることに起因する発光素子と光導波路との光結合や光導波路と受光素子との光結合の低下を防止できる。さらに、この従来の光路変換技術によれば、マイクロミラー5aを介してVCSEL等の発光素子(光電変換素子)からコア2に光を入射させる場合にも、コア2からPD等の受光素子(光電変換素子)に光を出射させる場合にも、同構造で光電変換素子4とコア2との光結合が行えるという利点がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
エレクトロニクス実装学会誌「光回路実装における90度光路変換技術」(vol.2, No.5, P368-372, 1999)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の光路変換技術は、以上のように構成されているので、マイクロミラー付き光ピン5を光電変換素子4のそれぞれに対して単品で固定しなければならず、製造プロセスが煩雑となるとともに、低価格化が図られない。
【0008】
また、光ピン5を嵌め込むためにスルーホール3を光プリント基板1に形成する必要がある。この光ピン5は数μm〜数百μmの直径であり、スルーホール3も光ピン5と同等の径を有するように形成しなければならず、スルーホール3の加工が極めて困難であり、生産性が悪化してしまう。そして、スルーホール3の個数が多くなるほど、この問題が顕著となる。さらに、微細なスルーホール3の内壁面を凹凸なく形成することは困難であり、スルーホール3によって形成されたコア2の端面の凹凸に起因してコア2と光ピン5との光結合効率が低下してしまう。
【0009】
また、光電変換素子4を2次元配列する構成では、多数の光電変換素子4に対して光ピン5を1つづつ固定しなければならず、光ピン5の位置精度が悪化する。これにより、光電変換素子4と光ピン5との光軸ずれが生じ、光結合効率の低下をもたらすことになる。
また、光電変換素子4の素子数の増大に対応するためにコア2を2次元配列した層を多層に配置する構成では、光ピン5の長さはコア層毎に異なり、長尺の光ピン5が必要となる。この光ピン5の長尺化は、光ピン5の反りをもたらし、コア2の光軸に対するマイクロミラー5aの位置精度が悪化してしまい、光結合効率が低下する。
【0010】
この発明は、上記の課題を解消するためになされたもので、2次元的に配列された光導波路や光電変換素子等の部品間を光結合する複数の光導波路と光路変換用のミラー面とを一体化して、製造プロセスの簡略化を図り、低価格化を実現できるとともに、光結合効率の低下を抑えることができる光路変換デバイスと光コネクタとを有する光結合構造体、上記光路変換デバイスとアレイ型光導波路ユニットとが実装された電気配線基板を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係る光結合構造体は、第1端面、第2端面およびミラー面が形成されたクラッドと、上記クラッドに埋設され、それぞれ第1コア端面が上記第1端面に露出し、第2コア端面が上記第2端面に露出し、該第1コア端面から上記ミラー面に至り、該ミラー面で方向を変えられて該第2コア端面に至る連続した光路を構成する複数のコアとを備え、上記第1コア端面および第2コア端面がそれぞれ上記第1端面および第2端面に2次元的に配列され、上記複数のコアは行方向コアと列方向コアとがマトリックス状に配列され、行方向コアと列方向コアの少なくとも一つは交差している光路変換デバイスと、上記第1端面あるいは第2端面の上記複数のコアが複数の導波路コアと相対するように設けられたアレイ型光導波路ユニットと、上記複数の導波路コアを光デバイスに接続するための光コネクタとを備えたことを特徴とするものである。
【0012】
この発明に係る電気配線基板は、第1端面、第2端面およびミラー面が形成されたクラッドと、上記クラッドに埋設され、それぞれ第1コア端面が上記第1端面に露出し、第2コア端面が上記第2端面に露出し、該第1コア端面から上記ミラー面に至り、該ミラー面で方向を変えられて該第2コア端面に至る連続した光路を構成する複数のコアとを備え、上記第1コア端面および第2コア端面がそれぞれ上記第1端面および第2端面に2次元的に配列され、上記複数のコアは行方向コアと列方向コアとがマトリックス状に配列され、行方向コアと列方向コアの少なくとも一つは交差している光路変換デバイスと、上記第1端面あるいは第2端面の上記複数のコアが複数の導波路コアと相対するように設けられたアレイ型光導波路ユニットとが実装されたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、低価格で光結合効率の高い光結合構造体、または電気配線基板が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の実施の形態1に係る光路変換デバイスを模式的に示す斜視図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る光路変換デバイスにおける光路変換動作を説明する側面図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る光路変換デバイスを用いた光結合構造を説明する模式図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る光路変換デバイスを用いた光結合構造の実装例を示す模式図である。
【図5】この発明の実施の形態2に係る光路変換デバイスにおける光路変換動作を説明する模式図である。
【図6】この発明の実施の形態3に係る光路変換デバイスにおける光路変換動作を説明する模式図である。
【図7】この発明の実施の形態4に係る光路変換デバイスを用いた実装構造を示す模式図である。
【図8】この発明の実施の形態5に係る光路変換デバイスを用いた実装構造を示す模式図である。
【図9】この発明の実施の形態6に係る光路変換デバイスの製造方法を説明する工程図である。
【図10】この発明の実施の形態7に係る光路変換デバイスの製造方法を説明する工程図である。
【図11】この発明の実施の形態9に係る光路変換デバイスの製造方法を説明する工程図である。
【図12】この発明の実施の形態9に係る光路変換デバイスの製造方法におけるコア形成方法を説明する図である。
【図13】この発明の実施の形態10に係る光路変換デバイスの製造方法を説明する工程図である。
【図14】この発明の実施の形態11に係る光路変換デバイスを示す側面図である。
【図15】この発明の実施の形態12に係る光路変換デバイスを示す側面図である。
【図16】この発明の実施の形態13に係る光路変換デバイスを示す側面図である。
【図17】従来の光路変換デバイスを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施の形態を図について説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る光路変換デバイスを模式的に示す斜視図、図2はこの発明の実施の形態1に係る光路変換デバイスにおける光路変換動作を説明する側面図である。
【0016】
図1において、光路変換デバイス10は、光路となる6本のL字状のコア11が、クラッド12内に埋め込まれて作製されている。
クラッド12には、第1端面12a、第2端面12bおよび光路変換用のミラー面13が形成されている。そして、コア11の第1コア端面11aがクラッド12の第1端面12aに3列・2行のマトリックス状(2次元的)に配列され、第2コア端面11bがクラッド12の第2端面12bに3列・2行のマトリックス状(2次元的)に配列されている。各コア11は、第1コア端面11aからミラー面13に至る光路と、第2コア端面11bからミラー面13に至る光路とが、光軸をミラー面13上で交差させ、かつ、光軸の交差点におけるミラー面13の垂線に対して対称となるようにL字状に形成されている。そして、6本のコア11は、ミラー面13に直交する同一平面上に平行に配列された2本のコア11を、該平面に直交する方向に平行に所定ピッチで3列に配列して構成されている。なお、ミラー面13には、各コア11の光軸の交差点が3列・2行のマトリックス状(2次元的)に配列されている。
【0017】
なお、ミラー面13は、コア11の光軸に対して45度の角度(ミラー角度θ)の平坦面に形成されている。また、第1および第2端面12a、12bは、それぞれコア11の光軸に対して90度の角度の平坦面に形成されている。
また、コア11およびクラッド12には、屈折率の異なるガラスが用いられている。そして、コア11には、クラッド12のガラスより屈折率の大きいガラスが用いられており、両者の屈折率差は0.1〜1.0%である。
【0018】
このように構成された光路変換デバイス10における光路変換動作について図2を参照しつつ説明する。
光14は、光路変換デバイス10の第1端面12aからコア11の第1コア端面11a内に入射する。そして、コア11の屈折率>クラッド12の屈折率となっているので、光14は、低損失でコア11内を進んでミラー面13に到達する。そこで、光14は、ミラー面13で反射され、光路を90度変換されて低損失でコア11内を進んで、コア11の第2コア端面11bから出射される。これにより、光14の光路は、光路変換デバイス10により90度変換される。
なお、光14が光路変換デバイス10の第2端面12bからコア11の第2コア端面11b内に入射した場合も、同様に光路を90度変換されて、コア11の第1コア端面11aから出射される。
【0019】
ついで、この光路変換デバイス10を用いた光結合構造について図3を参照しつつ説明する。
図3において、アレイ型光電変換素子ユニット20は、面発光型レーザ(VCSEL)および端面発光型レーザ(LD)等の発光素子あるいはフォトダイオード(PD)等の受光素子からなる光電変換素子21が仕様に応じて適宜選択されて2次元に配列されて基板22上に実装されている。ここでは、6つの光電変換素子21が、光路変換デバイス10のコア11の第1コア端面11aと同等の配列ピッチで3列・2行のマトリックスに配列されている。
【0020】
アレイ型光導波路ユニット25は、光導波路となる断面矩形のコア26が、その光軸を平行として、3列・2層のマトリックスに配列されて、クラッド27に埋め込まれて作製されている。このアレイ型光導波路ユニット25におけるコア26の配列ピッチは、光路変換デバイス10におけるコア11の第2コア端面11bの配列ピッチと等しく構成されている。そして、コア26の長さ方向のユニット25の両端面がコア26の光軸に対して90度の角度の平坦面に形成されている。ここで、コア26およびクラッド27の材料には、例えばフッ素化ポリイミドが用いられている。そして、コア26には、クラッド27のフッ素化ポリイミドより屈折率の大きいフッ素化ポリイミドが用いられている。そして、両者の屈折率差は0.1〜1.0%である。
【0021】
この光路変換デバイス10は、各コア11の第1コア端面11aの光軸を光電変換素子21の素子面の中心に一致させてアレイ型光電変換素子ユニット20に密接して配設される。そして、アレイ型光導波路ユニット25が、各コア26の光軸を各コア11の第2コア端面11bの光軸に一致させて光路変換デバイス10に密接して配設される。
これにより、光電変換素子21が発光素子の場合、光電変換素子21から出射された光は、光路変換デバイス10により光路を90度変換されて、アレイ型光導波路ユニット25の一端側からコア26に入射する。そして、コア26の屈折率>クラッド27の屈折率となっているので、光は、低損失でコア26内を進み、アレイ型光導波路ユニット25の他端側から出射される。
一方、光電変換素子21が受光素子の場合、アレイ型光導波路ユニット25の他端側からコア26に入射した光は、第2コア端面11bからコア11に入射する。そして、光は、光路変換デバイス10により光路を90度変換されて、第1コア端面11aから出射し、光電変換素子21に受光される。
【0022】
ついで、図3に示される光結合構造の実装例を図4に基づいて説明する。
IC16およびアレイ型光電変換素子ユニット20が半田バンプあるいはワイヤボンディングにより基板17に実装される。また、光路変換デバイス10およびアレイ型光導波路ユニット25がコア11、26を互いに相対するようにして電気配線基板19上に実装される。ついで、光電変換素子21が光路変換デバイス10のコア11の第1コア端面11aに相対するようにして基板17を半田ボール18により電気配線基板19上に実装することで、図3に示される光結合構造が実現される。
そして、例えば、アレイ型光導波路ユニット25のコア26が光スイッチや合分波器等の光デバイスと光コネクタ等により接続され、光通信システムや超並列コンピュータに組み込まれる。
【0023】
ここで、図4では、アレイ型光電変換素子ユニット20を基板17に固定するものとしているが、アレイ型光電変換素子ユニット20を光路変換デバイス10に実装(固定)するようにしてもよい。
また、アレイ型光電変換素子ユニット20を基板17に半田バンプやワイヤボンディングにより電気的に接続するものとしているが、両者の接続には、導電性接着剤、Pin Grid Array(PGA)、Land Grid Array(LGA)等を用いてもよい。
【0024】
また、アレイ型光電変換素子ユニット20と光路変換デバイス10との隙間やアレイ型光導波路ユニット25と光路変換デバイス10との隙間は、一般的に空気であるが、使用する波長で伝播損失が小さく、コア11、26と効率よく光結合できる材料、例えばフッ素化ポリイミド、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂をこれらの隙間に充填するようにしてもよい。
また、アレイ型光導波路ユニット25は、例えばフッ素化ポリイミド、ポリメチルメタアクリレート、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の接着剤を用いて電気配線基板19に固定できるが、位置決め用の枠体やガイドピンを用いてアレイ型光導波路ユニット25を光路変換デバイス10に固定してもよい。
【0025】
このように、この実施の形態1によれば、光導波路であるコア11が3×2のマトリックス状に配列されてクラッド12に埋設され、光路変換用のミラー面13がクラッド12に一体に形成されている。
そこで、従来のマイクロミラー付き光ピン5や光ピン5を嵌め込むためのスルーホール3が不要となり、製造プロセスが簡略化され、低価格化が図られるとともに、スルーホール3の内壁面の凹凸に起因する光結合効率の低下もない。
【0026】
また、コア11を高い位置精度でマトリックス状の配列に作製できるので、マトリックス状に配列された光電変換素子21(コア26)とコア11との光軸ずれが生じにくく、光結合効率の低下が抑えられる。
また、マトリックス状に配列された光素子間を単一の光路変換デバイスで光結合でき、構成が簡素化され、低価格化が図られる。
また、コア11がミラー面13の前後で連続しているので、伝播する光を十分閉じ込めることができ、損失を少なくすることができる。
【0027】
また、コア11がクラッド12に埋設されているので、コア11の長尺化に起因するコアの反りの発生は、従来技術のように光ピン5単品に発生する反りに比べて著しく低減される。その結果、コア11を3×2のマトリックス状に配列しても、コア11の位置精度の悪化がなく、光結合効率の低下が著しく抑えられる。
また、光路変換デバイス10がブロック体であるので、アレイ型光電変換素子ユニット20やアレイ型光導波路ユニット25等の素子と光路変換デバイス10とを光結合を、簡便な方法で精度よく行うことができる。
【0028】
ここで、上記実施の形態1では、クラッド12の一部を除去して平坦面のミラー面13を作製するものとしているが、ミラー面13に高反射率を有する金や多層膜を被覆するようにしてもよい。この場合、ミラー面13での反射率が向上され、損失の低下が抑えられる。また、ミラー面13に光選択透過膜を被覆するようにしてもよい。この場合、ミラー面13にフィルタ機能が付与され、所定波長の光のみをミラー面13を透過させて他の光導波路に入射させることができ、用途の拡大が図られる。
【0029】
なお、上記実施の形態1では、コア11の第1および第2コア端面11a、11bを3列・2行のマトリックス状に配列するものとしているが、第1および第2コア端面11a、11bの配列状態はこれに限定されるものではなく、光電変換素子21の配列状態やコア26の配列状態に合わせて適宜設定されるものである。また、第1および第2コア端面11a、11bの配列ピッチも、等ピッチである必要はなく、光電変換素子21やコア26の配列状態に合わせて適宜設定されるものである。さらに、第1および第2コア端面11a、11bは必ずしも3列・2行の完全なマトリックス状に配列されている必要はなく、例えばある1列の2個のコア端面が他の列のコア端面に対して行方向にオフセットされていてもよいし、ある1列に3個のコア端面が配列されていてもよい。
【0030】
また、ミラー角度θを45度とするものとしているが、ミラー角度θは45度に限定されるものではなく、適宜設定すれば、光路の変換角度を任意に調整できる。
また、コア11、26内を伝播するモードはシングルモードでも、マルチモードでもよいことは言うまでもないことである。
【0031】
また、上記実施の形態1では、コア11およびクラッド12の材料として、石英ガラス、酸化ガラス、ハロゲン化ガラス等のガラスを用いるものとしているが、コア11およびクラッド12の材料はこれに限定されるものではなく、伝播損失に対して低損失な材料であればよく、例えばフッ素化ポリイミド、ポリメチルメタアクリレート、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等を用いることができる。そして、コア11とクラッド12との屈折率差を約0.1〜1.0%としているが、用途により適宜変更できることは言うまでもないことである。
【0032】
また、光電変換素子21の扱える波長は、0.85μm、1.3μm、1.55μmのものが一般的であるが、これに限定されるものではなく、必要に応じて任意の波長を用いることができる。
【0033】
また、光電変換素子21の波長特性を活用して、複数の波長を扱えるようにしても良い。この場合、隣接するコア11、26を伝播する光のクロストークが抑えられるようになる。
【0034】
また、アレイ型光導波路ユニット25におけるコア26およびクラッド27は、フッ素化ポリイミドに限定されるものではなく、光の伝播に必要な屈折率が得られ、かつ、伝播波長に対して低損失の材料であればよく、例えば石英ガラス、酸化ガラス、ハロゲン化ガラス等のガラス、ポリメチルメタアクリレート、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等を用いることができる。そして、コア26とクラッド27との屈折率差を約0.1〜1.0%としているが、用途により適宜変更できることは言うまでもないことである。
また、アレイ型光導波路ユニット25は、コア26をクラッド27に埋め込んで構成するものとしているが、コアとクラッドとが一体に作製された複数の光ファイバを束ねてアレイ型光導波路ユニットを構成してもよい。
【0035】
実施の形態2.
この実施の形態2では、図5に示されるように、ミラー角度θを45度とする第2ミラー面13aがミラー面13と第2端面12bとの間に形成されている。
このように作製された光路変換デバイス10Aでは、光路を180度変換することができ、複雑な光路変換に対応できる。
なお、この実施の形態2においても、ミラー角度θを適宜設定することにより、光路の変換角度を任意に調整できる。
【0036】
実施の形態3.
この実施の形態3では、図6に示されるように、ミラー角度θを45度とする第2ミラー面13bがミラー面13と第2端面12bとの間に形成されている。
このように作製された光路変換デバイス10Bでは、光路をクランク変換(0度変換)することができ、複雑な光路変換に対応できる。
なお、この実施の形態3においても、ミラー角度θを適宜設定することにより、光路の変換角度を任意に調整できる。
【0037】
実施の形態4.
図7はこの発明の実施の形態4に係る光路変換デバイスを用いた実装構造を示す模式図である。
この実施の形態4では、図7に示されるように、異なる基板17に実装されたアレイ型光電変換素子ユニット20間の光結合構造を光路変換デバイス10とアレイ型光導波路ユニット25と組み合わせて実現している。
従って、この光路変換デバイス10は、アレイ型光電変換素素子ユニット20とアレイ型光導波路ユニット25との間の光結合、さらにはアレイ型光導波路ユニット25間の光結合に適用することができる。
【0038】
実施の形態5.
図8はこの発明の実施の形態5に係る光路変換デバイスを用いた実装構造を示す模式図である。
この実施の形態5では、図8に示されるように、異なる基板17に実装されたアレイ型光電変換素子ユニット20間の光結合構造を光路変換デバイス10Aで実現している。
従って、この光路変換デバイス10Aは、アレイ型光電変換素素子ユニット20間の光結合に適用することができる。
【0039】
実施の形態6.
図9はこの発明の実施の形態6に係る光路変換デバイスの製造方法を説明する工程図である。
【0040】
ここで、コアおよびクラッド材として石英を用いて光路変換デバイスの製造方法について説明する。
まず、図9の(a)に示されるように、低屈折率の石英ガラスを用いて、薄板平板状の基板30を作製する。ついで、スパッタ等の真空成膜技術を用いて高屈折率の石英を基板30上に所定厚さに成膜する。そして、高屈折率の石英膜上にフォトレジストを塗布し、写真製版技術を用いてフォトレジストをパターニングした後、反応性イオンエッチング(RIE)により石英膜の不要部分を除去する。ついで、フォトレジストを除去して、同一平面上に形成された高屈折率の石英膜からなる4本のコア31a、31bが得られる。2本のコア31aは平行な直線状に形成され、2本のコア31bは平行な直線状に形成され、コア31aとコア31bとが互いに直交している。なお、コア31a、31bの交差部は直線上に位置し、コア11の折り返し部に相当する。
そして、低屈折率の石英をスパッタ等の真空成膜技術を用いて基板30上に所定厚さに成膜する。これにより、図9の(b)に示されるように、コア31a、31bが低屈折率の石英(クラッド)に埋設されてなる導波路体32が得られる。
【0041】
ついで、この導波路体32を図9の(c)に示されるようにコア31a、31bを一致させて積み重ね、積み重ねられた導波路体32を貼り合わせて導波路ユニット33を得る。
ついで、ダイシングにより、導波路ユニット33をコア31a、31bの交差部の一部とともに切断除去し、図9の(d)に示されるように、ミラー面34を形成し、光路変換デバイスを得る。なお、ミラー面34はコア31aの光軸とコア31bの光軸との交点位置を通るように形成されている。
【0042】
このように作製された光路変換デバイスでは、コア31aとコア31bとがミラー面34で折り返されて連続するコア11を構成し、低屈折率の石英がクラッド12を構成し、ミラー面34がミラー面13を構成している。
そして、各コア11は、第1コア端面11aからミラー面13(34)に至るコア31aと、第2コア端面11bからミラー面13(34)に至るコア31bとが、ミラー面13(34)上で交差し、かつ、該交差点におけるミラー面13(34)の垂線に対して対称となるように形成されている。そして、8本のコア11は、ミラー面13(34)に直交する同一平面上に平行に配列された2本のコア11を、該平面に直交する方向(積層方向)に平行に4列に配列して構成されている。また、第1コア端面11aおよび第2コア端面11bが、それぞれ第1端面12aおよび第2端面12bに4列・2行のマトリックス状に配列されている。
【0043】
この実施の形態6による製造方法では、コア11が写真製版技術と反応性イオンエッチングとを組み合わせて作製されているので、コア11の位置精度が確保され、光電変換素子21やコア26との光結合における光結合効率を高めることができる。
また、導波路体32に複数本のコア31a、31bを作製できるので、低価格化が図られる。
【0044】
なお、上記実施の形態6では、ダイシングにより導波路ユニット33を切断してミラー面34を作製するものとしているが、ダイシングによる切断後、研磨を施してミラー面34の平面度を高めるようにしてもよい。さらに、ダイシングに代えて、反応性イオンエッチングや研磨によりミラー面を形成するようにしてもよい。
また、上記実施の形態6では、高屈折率の石英膜を成膜した後、エッチングによりコアを形成するものとしているが、予め所定形状に作製されたコアを基板30上に貼り付けてもよい。
【0045】
また、上記実施の形態6において、1つの導波路体32のみコア31a、31bを3本づつ作製すれば、1列のみ3行の第1および第2コア端面11a、11bの2次元的な配列状態が得られる。この場合、3本づつのコア31a、31bは、コア11を構成するコア31a、31bの光軸の交点を直線上に配列するように導波路体32に形成する必要がある。また、1つの導波路体32のみコア31a、31bを1本づつ作製すれば、1列のみ1行の第1および第2コア端面11a、11bの2次元的な配列状態が得られる。
また、上記実施の形態6において、4つの導波路体32を交互にオフセットして貼り合わせれば、第1および第2コア端面11a、11bを千鳥状に配列した2次元的な配列状態が得られる。この場合、各導波路体32におけるコア11を構成するコア31a、31bの光軸の交点を通る直線が、導波路体32の積層方向に重なるように導波路体32を積層する必要がある。
【0046】
実施の形態7.
上記実施の形態6では、導波路体32を貼り合わせた後ミラー面34を作製するものとしているが、この実施の形態7では、基板を作製する段階でミラー面を形成するものである。
【0047】
ここで、この実施の形態7による光路変換デバイスの製造方法について図10を参照しつつ説明する。
まず、図10の(a)に示されるように、低屈折率の石英ガラスを用いて、ミラー面34aが形成された薄板平板状の基板30Aを作製する。ついで、スパッタ等の真空成膜技術を用いて高屈折率の石英を基板30A上に所定厚さに成膜する。そして、高屈折率の石英膜上にフォトレジストを塗布し、写真製版技術を用いてフォトレジストをパターニングした後、反応性イオンエッチング(RIE)により石英膜の不要部分を除去する。ついで、フォトレジストを除去して、同一平面上に形成された高屈折率の石英膜からなる4本のコア31a、31bを得る。2本のコア31aは平行な直線状に形成され、2本のコア31bは平行な直線状に形成され、コア31aとコア31bとがミラー面34aで互いに直交している。 そして、低屈折率の石英をスパッタ等の真空成膜技術を用いて基板30A上に所定厚さに成膜する。これにより、図10の(b)に示されるように、コア31a、31bが低屈折率の石英(クラッド)に埋設されてなる導波路体32Aが得られる。
【0048】
ついで、この導波路体32Aを図10の(c)に示されるようにミラー面34aを一致させて積み重ね、積み重ねられた導波路体32Aを貼り合わせて導波路ユニット33を得る。これにより、図10の(d)示される光路変換デバイスが得られる。なお、ミラー面34はミラー面34aにより構成され、コア31aの光軸とコア31bの光軸との交点位置を通るように形成されている。
このように、この実施の形態7においても、上記実施の形態6と同様の光路変換デバイスが製造される。
【0049】
実施の形態8.
上記実施の形態6では、コアおよびクラッド材として無機材である石英を用いるものとして説明しているが、この実施の形態8では、コアおよびクラッド材として有機材であるフッ素化ポリイミドを用いたものである。
まず、低屈折率の第1フッ素化ポリイミド溶液を石英基板上にスピンコートし、ベーキングして第1クラッド層を形成する。ついで、高屈折率の第2フッ素化ポリイミド溶液をスピンコートし、ベーキングして第1クラッド層上にコア層を形成する。
【0050】
そして、コア層上にフォトレジストを塗布し、写真製版技術によりフォトレジストをパターニングし、その後反応性イオンエッチングによりコア層の不要部分を除去する。そして、フォトレジストを除去し、コア層からなるコアが得られる。ついで、第1フッ素化ポリイミド溶液をスピンコートし、ベーキングして第2クラッド層を形成する。
これにより、コアが第1および第2クラッド層に埋設されてなる導波路体(上述の導波路体32に相当)が得られる。なお、コアは上記実施の形態6におけるコア31a、31bと同様に構成されている。以降、上記実施の形態6と同様に、この導波路体を積層貼り合わせて導波路ユニットを作製し、ミラー面を形成して、光路変換デバイスが得られる。
従って、この実施の形態8においても、上記実施の形態6と同様の効果が得られる。
【0051】
なお、この実施の形態8では、コアおよびクラッド材としてフッ素化ポリイミドを用いるものとしているが、コアおよびクラッド材としてポリメチルメタアクリレート、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等を用いた場合にも、この製造方法が適用できる。
また、上記実施の形態8では、コア層を反応性イオンエッチングによりパターニングするものとしているが、第2フッ素化ポリイミド溶液に光硬化性を付与すれば、写真製版技術のみでコア層をパターニングでき、製造プロセスの簡略化が図られる。
【0052】
また、上記実施の形態8では、導波路体を貼り合わせた後ミラー面を作製するものとしているが、上記実施の形態7と同様に、第1および第2フッ素化ポリイミド溶液を塗布する基板に予めミラー面を形成するようにしてもよい。
また、上記実施の形態8では、第2フッ素化ポリイミド溶液を塗布・硬化してコア層を形成した後、エッチングによりコアを形成するものとしているが、予め所定形状に作製されたコアを第1クラッド層上に貼り付けてもよい。
【0053】
実施の形態9.
図11はこの発明の実施の形態9に係る光路変換デバイスの製造方法を説明する工程図、図12はコア形成方法を説明する図である。
【0054】
ここで、コアおよびクラッド材としてハロゲン化ガラスを用いて光路変換デバイスの製造方法について説明する。
まず、図11の(a)に示されるように、ハロゲン化ガラスからなる平板状の基板40を作製する。
ついで、図12に示されるように、レーザ発生装置38から出射された810nmのレーザ光を集光レンズ39で集光し、100MJ/cmのエネルギーとして基板40の所定の深さ位置に照射する。この時、基板40は図12中矢印方向に移動され、1本のコア41bが基板40内のレーザ光の集光位置に形成される。1本のコア41bが形成された後、基板40をコア41bと直交する方向に所定量シフトさせ、同様に基板40を移動させつつ2本目のコア41bを形成する。このようにして、3本のコア41bが基板40内の同一平面上に平行に配列して形成される。
【0055】
ついで、集光レンズ39による基板40内の集光位置を所定量浅くして、同様にして、基板40内に3本のコア41bを平行に配列して形成する。これにより、図11の(b)に示されるように、6本のコア41bが3列・2層に配列された基板40(導波路体)を得る。
ついで、基板40の位置を90度回転させて、レーザ発生装置38および集光レンズ39を用いて、同様にして6本のコア41aを3列・2層に配列して基板40内に形成する。これにより、図11の(c)に示されるように、コア41aとコア41bとが互いに直角に交差するように形成された基板40(導波路体)を得る。なお、対応するコア41aとコア41bとの交差部は同一平面上に位置している。
ついで、ダイシングにより、基板40をコア41a、41bの交差部の一部とともに切断除去し、図11の(d)に示されるように、ミラー面42を形成し、光路変換デバイスを得る。このミラー面42はコア41aの光軸とコア41bの光軸との交点位置を通るように形成されている。
【0056】
このように作製された光路変換デバイスでは、コア41aとコア41bとがミラー面42で折り返されてコア11を構成し、基板40がクラッド12を構成し、ミラー面42がミラー面13を構成している。
そして、各コア11は、第1コア端面11aからミラー面13(42)に至るコア41aと、第2コア端面11bからミラー面13(42)に至るコア41bとが、ミラー面13(42)上で交差し、かつ、該交差点におけるミラー面13(42)の垂線に対して対称となるように形成されている。そして、コア11は、ミラー面13(42)に直交する同一平面上に平行に配列された2本のコア11を、該平面に直交する方向に平行に3列に配列して構成されている。
【0057】
この実施の形態9による製造方法では、レーザ発生装置38および集光レンズ39を用いてレーザ光を基板40に集光照射して、基板40内部に屈折率変化をもたらしてコア41a、41bを作製している。そこで、上記実施の形態6乃至8に比べて、導波路体32、32Aの貼り合わせ工程が不要となり、製造工程が簡略化され、低価格化が図られる。
また、上記実施の形態6乃至8による製造方法では、コアは断面矩形に形成されるが、この実施の形態9では、円形断面のコアを形成することができるので、伝播時の損失が少なく、効率的に光結合を行うことができる。
【0058】
なお、上記実施の形態9では、基板40としてハロゲン化ガラスを用いるものとしているが、基板の材料はハロゲン化ガラスに限定されるものではなく、光照射により屈折率変化を起こすものであればよく、例えば酸化ガラス、石英ガラスを用いることができる。
また、上記実施の形態9では、ダイシングにより基板40を切断してミラー面42を作製するものとしているが、ダイシングによる切断後、研磨を施してミラー面42の平面度を高めるようにしてもよい。さらに、ダイシングに代えて、反応性イオンエッチングや研磨によりミラー面を形成するようにしてもよい。
【0059】
また、上記実施の形態9では、光照射により3列・2層に配列されたコア41a、41bを基板40内に形成するものとしているが、他の方法でコア41bが3列・2層に配列された基板40を作製した後、光照射により、3列・2層に配列されたコア41aを基板40内に形成するようにしてもよい。ここで、コア41bが3列・2層に配列された基板40は、例えば基板40に3列の凹溝を形成し、各凹溝内に石英導波路や光ファイバを2本づつ収納し、その後フッ素化ポリイミド等の接着剤を凹溝内に充填して一体化することで得られる。
【0060】
実施の形態10.
上記実施の形態9では、コア41a、41bが形成された基板40にミラー面42を作製するものとしているが、この実施の形態10では、コア41a、41bの形成前の基板40Aにミラー面42を形成するものである。
【0061】
ここで、この実施の形態10による光路変換デバイスの製造方法について図13を参照しつつ説明する。
まず、図13の(a)に示されるように、ハロゲン化ガラスを用いて、ミラー面42が形成された平板状の基板40Aを作製する。
ついで、レーザ発生装置38から出射された810nmのレーザ光を集光レンズ39で集光し、100MJ/cmのエネルギーとして基板40Aの所定の深さ位置に照射する。この時、基板40Aは図12中矢印方向に移動され、1本のコア41bが基板40A内のレーザ光の集光位置に形成される。1本のコア41bが形成された後、基板40Aをコア41bと直交する方向に所定量シフトさせ、同様に基板40Aを移動させつつ2本目のコア41bを形成する。このようにして、3本のコア41bが同一平面上に平行に配列して形成された基板40A(導波路体)を得る。
【0062】
ついで、集光レンズ39による基板40A内の集光位置を所定量浅くして、同様にして、基板40A内に3本のコア41bを平行に配列して形成する。これにより、図13の(b)に示されるように、6本のコア41bが3列・2層に配列された基板40A(導波路体)を得る。
ついで、基板40Aの位置を90度回転させて、レーザ発生装置38および集光レンズ39を用いて、同様にして6本のコア41aを3列・2層に配列して基板40A内に形成する。コア41aは、それぞれの光軸が、図13の(c)に示されるように、対応するコア41bの光軸とミラー面42上で直角に交差するように形成される。
【0063】
これにより、光路変換デバイスが得られる。なお、ミラー面42はコア41aの光軸とコア41bの光軸との交点位置を通るように形成されている。
このように、この実施の形態10においても、上記実施の形態9と同様の光路変換デバイスが製造される。
【0064】
実施の形態11.
図14はこの発明の実施の形態11に係る光路変換デバイスを示す側面図である。
この実施の形態11による光路変換デバイス10Cは、コア45の光路断面がミラー面13から第1コア端面45aに向かって漸次拡大するように形成されている。
なお、他の構成は上記実施の形態1と同様に構成されている。
【0065】
この実施の形態11によれば、コア45の光路断面がミラー面13から第1コア端面45aに向かって漸次拡大するように形成されているので、第1コア端面45aの断面積が大きくなり、第1コア端面45aが入射端面として使用される場合、光電変換素子21やコア26と光路変換デバイス10Cとの位置決め精度が緩和される。
【0066】
なお、コア45の光路断面を変化させるには、反応性イオンエッチングにおけるマスク形状、レーザの集光方法等を変えることにより容易に達成できる。
また、上記実施の形態11では、コア45の光路断面がミラー面13から第1コア端面45aに至る全領域において漸次拡大するように形成されているものとしているが、コア45の光路断面は第1コア端面45aの断面積を最大とし、少なくとも第1コア端面45a近傍で第1コア端面45aに向かって漸次拡大するように形成されていればよい。
また、上記実施の形態11では、コア45の光路断面がミラー面13から第1コア端面45aに向かって漸次拡大するように形成されているものとしているが、コア45の光路断面がミラー面13から第2コア端面45bに向かって漸次拡大するように形成されてもよい。
【0067】
実施の形態12.
図15はこの発明の実施の形態12に係る光路変換デバイスを示す側面図である。
この実施の形態12による光路変換デバイス10Dは、コア46の光路断面がミラー面13から第1コア端面46aに向かって漸次縮小するように形成されている。
なお、他の構成は上記実施の形態11と同様に構成されている。
【0068】
この実施の形態12によれば、コア46の光路断面がミラー面13から第1コア端面46aに向かって漸次縮小するように形成されているので、第1コア端面46aの断面積が小さくなり、第1コア端面46aが出射端面として使用される場合、光電変換素子21やコア26と光路変換デバイス10Dとの位置決め精度が緩和される。
【0069】
なお、上記実施の形態12では、コア46の光路断面がミラー面13から第1コア端面46aに至る全領域において漸次縮小するように形成されているものとしているが、コア46の光路断面は、第1コア端面46aの断面積を最小とし、少なくとも第1コア端面46a近傍で第1コア端面46aに向かって漸次縮小するように形成されていればよい。
また、上記実施の形態12では、コア46の光路断面がミラー面13から第1コア端面46aに向かって漸次縮小するように形成されているものとしているが、コア46の光路断面がミラー面13から第2コア端面46bに向かって漸次縮小するように形成されてもよい。
【0070】
実施の形態13.
図16はこの発明の実施の形態13に係る光路変換デバイスを示す側面図である。
この実施の形態13による光路変換デバイス10Eは、分岐コア48a、48bが第2端面12bとミラー面13とのコア47の途中部分から分岐して第2端面12bに露出するように形成されている。
なお、他の構成は上記実施の形態1と同様に構成されている。
この実施の形態13によれば、コア47が2本の分岐コア48a、48bに分岐しているので、2つの光を1つの光に集合させて出射したり、1つの光を2つの光に分岐して出射したりすることができ、用途を拡大することができる。
なお、この場合、光路変換デバイス10Eの第1端面12aに2次元的に配列された第1コア端面47aの個数と第2端面12bに2次元的に配列された第2コア端面47bの個数とが異なることになる。
また、分岐するコア47の個数は、光結合の仕様に合わせて適宜設定されるものである。また、第1端面12aとミラー面13とのコア47の途中部分から分岐して第1端面12aに露出するようにしてもよい。
また、分岐コア48a、48bの途中にフィルタを形成すれば、分岐コア48a、48bに選択的に光を通すことができる。さらに、分岐コア48a、48bの途中にサーモオプティック(Thermo Optic)スイッチを設ければ、光路を選択的に切り換えることができる。
【符号の説明】
【0071】
10、10A、10B、10C、10D、10E 光路変換デバイス、11、45、46、47 コア、11a、45a、46a、47a 第1コア端面、11b、45b、46b、47b 第2コア端面、12 クラッド、12a 第1端面、12b 第2端面、13 ミラー面、32、32A 導波路体、33 導波路ユニット、40、40A 基板(導波路体)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端面、第2端面およびミラー面が形成されたクラッドと、上記クラッドに埋設され、それぞれ第1コア端面が上記第1端面に露出し、第2コア端面が上記第2端面に露出し、該第1コア端面から上記ミラー面に至り、該ミラー面で方向を変えられて該第2コア端面に至る連続した光路を構成する複数のコアとを備え、上記第1コア端面および第2コア端面がそれぞれ上記第1端面および第2端面に2次元的に配列され、上記複数のコアは行方向コアと列方向コアとがマトリックス状に配列され、行方向コアと列方向コアの少なくとも一つは交差している光路変換デバイスと、
上記第1端面あるいは第2端面の上記複数のコアが複数の導波路コアと相対するように設けられたアレイ型光導波路ユニットと、
上記複数の導波路コアを光デバイスに接続するための光コネクタと
を備えたことを特徴とする光結合構造体。
【請求項2】
第1端面、第2端面およびミラー面が形成されたクラッドと、上記クラッドに埋設され、それぞれ第1コア端面が上記第1端面に露出し、第2コア端面が上記第2端面に露出し、該第1コア端面から上記ミラー面に至り、該ミラー面で方向を変えられて該第2コア端面に至る連続した光路を構成する複数のコアとを備え、上記第1コア端面および第2コア端面がそれぞれ上記第1端面および第2端面に2次元的に配列され、上記複数のコアは行方向コアと列方向コアとがマトリックス状に配列され、行方向コアと列方向コアの少なくとも一つは交差している光路変換デバイスと、
上記第1端面あるいは第2端面の上記複数のコアが複数の導波路コアと相対するように設けられたアレイ型光導波路ユニットと
が実装されたことを特徴とする電気配線基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−237596(P2009−237596A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−171281(P2009−171281)
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【分割の表示】特願2006−280400(P2006−280400)の分割
【原出願日】平成14年4月23日(2002.4.23)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成12年度、新エネルギー・産業技術総合開発機構、「超高密度電子SI技術の研究開発(超高密度電子SI技術の研究開発)」委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】