説明

半導体装置、表示装置及びその製造方法

【課題】閾値電圧などのばらつきを低減させることができ、信頼性の高い高性能なTFT特性を持つ半導体装置を提供すること。
【解決手段】本発明の一態様に係る半導体装置は、基板上に形成され、ソース領域4c、ドレイン領域4d及びチャネル領域4bを有する多結晶半導体層4aと、多結晶半導体層4aのソース領域4c及びドレイン領域4d上に形成された金属性導電層6と、多結晶半導体層4aと金属性導電層6との間に形成された合金層5とを有し、多結晶半導体層4aは、チャネル領域4bの膜厚が、金属性導電層6が形成された領域の膜厚より薄くなるように形成された凹部4eを有し、凹部4eの深さXと、合金層5の膜厚Yと、金属性導電層6の膜厚tとが、次の関係を満たしている。
0.1t≦Y≦0.3t
0.3Y≦X≦2Y

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、表示装置及びその製造方法に関し、特に非晶質半導体層であるアモルファスシリコンをレーザアニールにより結晶化した多結晶半導体層であるポリシリコンを用いた半導体装置、表示装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、低温ポリシリコンTFT(Thin Film Transistor)構造の半導体装置を用いた液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの表示装置は、高精細、高移動度、高信頼性が得られることから注目されている。
【0003】
以下、図10を参照して低温ポリシリコンTFT構造の半導体装置の製造方法について述べる。図10は、従来の半導体装置の構造を示す図である。まず、ガラス基板1上にプラズマCVD法により、下地窒化膜2、下地酸化膜3、非晶質半導体層としてアモルファスシリコンを順次形成する。次に、アニール処理を行い、アモルファスシリコン中の水素濃度を低下させる。そして、レーザアニール法により、アモルファスシリコンを結晶化させ、多結晶半導体層であるポリシリコンにする。次に、スパッタ法により金属性導電層6を形成する。このとき、金属性導電層と多結晶半導体層との界面に多結晶半導体層と金属性導電層6の合金層5が形成される。
【0004】
その後、金属性導電層6を写真製版により所望のパターンにパターニングする。次に、多結晶半導体層を写真製版により所望のパターンにパターニングする。そして、多結晶半導体層のチャネル領域4bにあたる部分の金属性導電層6をエッチングして除去する。次に、多結晶半導体層と金属性導電層6の合金層5をエッチングして除去する。金属性導電層6は、多結晶半導体層のチャネル領域4bを除いたソース領域4c・ドレイン領域4d及び保持容量部のみに形成される。
【0005】
次に、CVD法によりゲート絶縁膜7を形成する。そして、スパッタ法によりゲート配線8を形成する。ゲート配線8は、Al、Cr、Mo、Ti、W等の金属材料又は合金材料である。次に、写真製版によりレジストパターンを形成して、エッチング液でゲート配線8を所望の形状にパターニングした後、レジストを除去する。
【0006】
次に、形成したゲート配線8をマスクとして、多結晶半導体層のソース領域4c・ドレイン領域4dに不純物を導入する。ここで、導入する不純物元素として、P、Bを用いることができる。Pを導入すればn型のTFTを形成することができ、Bを導入すればp型のTFTを形成することができる。片チャネルの低温ポリシリコンTFTは、用いられる表示デバイスの仕様により、n型かp型かを作り分けることができる。さらに、CMOS構造のようにn型、p型の両チャネルの低温ポリシリコンTFTを形成することもできる。
【0007】
次に、プラズマCVD法により、層間絶縁層9を形成する。層間絶縁層9は、SiHとNO、又はTEOS(tetra ethoxy silane、Si(OC)とOを反応させた酸化シリコン膜、SiHとNHを反応させた窒化シリコン膜や、SiHとNO、NHを反応させた酸窒化シリコン膜の単層膜や積層膜を用いることができる。
【0008】
次に、イオンドーピング法により、ドーピングしたP(リン)や、B(ボロン)を拡散させるため、熱処理を行う。次に、スパッタ法により、信号線10を形成する。信号線10となる導電膜は、Cr、Mo、W、Ta、Alやこれらを主成分とする合金膜である。次に、写真製版によりレジストパターンを形成して、エッチング液で信号線10を所望の形状にパターニングした後、レジストを除去する。
【0009】
次に、プラズマCVD法により、保護膜11を形成する。その後、写真製版によりレジストパターンを形成して、ドライエッチング法でゲート絶縁膜7、層間絶縁層9及び保護膜11にコンタクトホールを形成した後、レジストを除去する。
【0010】
次に、スパッタ法により、画素電極13を形成する。画素電極13は、ITOやIZOなどの透明性を有する導電膜であればよい。次に、写真製版により、レジストパターンを形成して、エッチング液で画素電極13を所望の形状にパターニングし、レジストを除去する。上記製造方法により、低温ポリシリコンTFT構造の半導体装置が完成する。このようなチャネル領域の厚さがソース領域4c、ドレイン領域4dよりも薄くなっている半導体装置は、例えば、特許文献1に記載されている。
【0011】
【特許文献1】特開2006−313776号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
以上説明したように、従来の半導体装置では、多結晶半導体層のチャネル領域4b上の金属性導電層6と合金層5とを除去している。しかしながら、多結晶半導体層のチャネル領域4b上の金属性導電層6と合金層5を除去しただけでは、清浄な多結晶半導体層のチャネル領域が形成されていないことがわかった。このため、閾値電圧などの特性がばらついて、半導体装置のTFT特性を低下させてしまうという問題があった。
【0013】
本発明は、このような事情を背景としてなされたものであり、本発明の目的は、閾値電圧などのばらつきを低減させることができ、信頼性の高い高性能なTFT特性を持つ半導体装置、これを用いた表示装置及びこれらの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一態様に係る半導体装置は、基板上に形成され、ソース領域、ドレイン領域及びチャネル領域を有する半導体層と、前記半導体層のソース領域及びドレイン領域上に形成された金属性導電層と、前記半導体層と前記金属性導電層との間に形成された、前記半導体層と前記金属性導電層との合金層とを有し、前記半導体層は、前記チャネル領域の膜厚が、前記金属性導電層が形成された領域の膜厚より薄くなるように形成された凹部を有し、前記凹部の深さXと、前記合金層の膜厚Yと、前記金属性導電層の膜厚tとが、次の2式の関係を満たしていることを特徴とするものである。
0.1t≦Y≦0.3t
0.3Y≦X≦2Y
【0015】
本発明の一態様に係る半導体装置の製造方法は、基板上に半導体層を形成する工程と、前記半導体層上に金属性導電層を形成し、前記半導体層と前記金属性導電層との間に前記半導体層と前記金属性導電層との合金層が形成される工程と、前記半導体層のチャネル領域上の前記金属性導電層を除去する工程と、前記半導体層のチャネル領域上の前記合金層を除去するとともに、前記半導体層のチャネル領域を除去して、前記半導体層のチャネル領域に凹部を形成する工程とを含み、前記凹部の深さXと、前記合金層の膜厚Yと、前記金属性導電層の膜厚tとが、次の2式の関係を満たすように前記凹部を形成することを特徴とする。
0.1t≦Y≦0.3t
0.3Y≦X≦2Y
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、閾値電圧などのばらつきを低減させることができ、信頼性の高い高性能なTFT特性を持つ半導体装置、これを用いた表示装置及びこれらの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を適用可能な実施の形態について説明する。以下の説明は、本発明の実施形態を説明するものであり、本発明が以下の実施形態に限定されるものではない。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略及び簡略化がなされている。
【0018】
実施の形態1.
本発明の実施の形態1に係る表示装置について、図1及び図2を参照して説明する。本実施の形態に係る表示装置は、半導体装置の一例である薄膜トランジスタ(TFT)を有するアクティブマトリクス表示装置である。ここでは、表示装置の一例として透過型液晶表示装置について説明する。図1は、本実施の形態に係る液晶表示装置100の構成を示す平面図である。また、図2は本実施の形態に係る液晶表示装置100の構成を示す断面図である。なお、説明のため、図1においては対向基板等の図示を省略している。
【0019】
図1及び図2に示すように、液晶表示装置100は、液晶パネル101とバックライト102とを備えている。液晶パネル101は、薄膜トランジスタ基板(TFT基板)1、対向基板20、シール材21、液晶22、スペーサ23、ゲート線(走査線)24、ソース線(信号線)25、配向膜26、対向電極27、偏光板28、ゲートドライバ29、ソースドライバ30を備えている。本発明において注目すべき点はTFT基板1に形成されたTFTであり、後に詳述する。
【0020】
TFT基板1の表示領域には、複数のゲート線24と複数のソース線25とが形成されている。複数のゲート線24は平行に設けられている。同様に、複数のソース線25は平行に設けられている。ゲート線24とソース線25とは、絶縁層を介して互いに交差するように形成されている。
【0021】
また、ゲート線24とソース線25の交差点付近には薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)31が設けられている。そして、隣接するゲート線24とソース線25とで囲まれた領域には、画素電極(不図示)が形成されている。隣接するゲート線24とソース線25とで囲まれた領域が画素となる。従って、TFT基板1上には、画素がマトリクス状に配列される。TFT31のゲートがゲート線24に、ソースがソース線25に、ドレインが画素電極に、それぞれ接続される。画素電極は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電性薄膜から形成されている。
【0022】
図2に示すように、液晶パネル101は、TFT基板1と、TFT基板1に対向配置される対向基板20と、両基板を接着するシール材21との間の空間に液晶22を封入した構成を有している。両基板の間は、スペーサ23によって、所定の間隔となるように維持されている。TFT基板1及び対向基板20としては、光透過性のあるガラス基板、石英基板等の絶縁性基板が用いられる。
【0023】
TFT基板1において、上述した各電極及び配線等の上には配向膜26が形成されている。一方、対向基板20のTFT基板1に対向する面には、カラーフィルタ(不図示)、BM(Black Matrix)(不図示)、対向電極27、配向膜26等が形成されている。また、TFT基板1及び対向基板20の外側の面にはそれぞれ、偏光板28が貼着されている。
【0024】
さらに、図1に示すように、TFT基板1の周辺領域には、ゲートドライバ29及びソースドライバ30が設けられている。ゲート線24は、表示領域から周辺領域まで延設されている。そして、ゲート線24は、TFT基板1の端部で、ゲートドライバ29に接続される。ソース線25も同様に表示領域から周辺領域まで延設されている。そして、ソース線25は、TFT基板1の端部で、ソースドライバ30と接続される。
【0025】
液晶パネル101の背面には、バックライト102が備えられている。バックライト102は、液晶パネル101の反視認側から当該液晶パネル101に対して光を照射する。バックライト102としては、例えば、光源、導光板、反射シート、拡散シート、プリズムシート、反射偏光シートなどを備えた一般的な構成のものを用いることができる。
【0026】
ここで図3を参照して、TFT基板1について詳細に説明する。図3は、本実施の形態に係る半導体装置を用いたTFT基板1の構成を示す図である。上述したように、TFT基板1は、ガラス基板や石英基板等の透過性を有する絶縁性基板である。図3に示すように、TFT基板1上には、半導体層の下地膜として第1の下地膜2、第2の下地膜3が順次積層して形成されている。第1の下地膜2、第2の下地膜3としては、透過性絶縁膜であるSiN膜やSiO膜を用いることができる。これらの下地膜は、主にガラス基板からのNaなどの可動イオンが半導体層へ拡散することを防止する目的で設けられる。
【0027】
第2の下地膜3の上には、多結晶半導体層4aが形成されている。多結晶半導体層4aは、ソース領域4c、チャネル領域4b、ドレイン領域4dを有している。具体的には、多結晶半導体層4aには不純物を含む導電性領域があり、この部分がソース領域4c、ドレイン領域4dを形成する。そして、ソース・ドレイン領域に挟まれる領域がチャネル領域となる。また、多結晶半導体層4aは、保持容量部となる領域まで延在して形成されている。この多結晶半導体層4aを用いてTFT及び保持容量が形成される。
【0028】
多結晶半導体層4a上には、ソース領域4c及びドレイン領域4dに対応するように、金属性導電層6が形成されている。金属性導電層6としては、Cr、Mo、W、Taなどの金属膜や、これらを主成分とし、金属あるいは非金属元素を含む導電性を有する合金膜が用いられる。金属性導電層6は、ソース領域4c・ドレイン領域4dと電気的に接続される。また、金属性導電層6は、TFT31に直列に接続される保持容量を形成する多結晶半導体層4a上にも形成される。このように低抵抗な金属性導電層6を保持容量の下部電極となる多結晶半導体層4aに積層することにより、下部電極には所望の電圧を確実に印加することが可能となり、安定した容量が形成される。また、多結晶半導体層4a上に金属性導電層6を形成しているために、後述する画素電極である透明導電性酸化膜をコンタクトホールを介して接続した場合でも、多結晶半導体層が酸化されることはなく、良好なコンタクト抵抗を得ることができるという効果を奏する。
【0029】
ここで、金属性導電層6の膜厚tは、30nm以下、好ましくは25nm以下である。金属性導電層6の膜厚が30nmを超える場合には、下層の多結晶半導体層4aに不純物イオンが十分に到達できず、金属性導電層6と多結晶半導体層4aとのオーミック性コンタクトが得られなくなるからである。
【0030】
また、多結晶半導体層4a上に金属性導電層6を形成したとき、多結晶半導体層4aと金属性導電層6との界面に、多結晶半導体層4aと金属性導電層6との合金層5が形成される。この合金層5は、その膜厚をYとすると、0.1t≦Y≦0.3tの範囲で形成される。形成する金属性導電層6の膜厚tが厚くなるほど基板温度が上昇するので、合金層5の膜厚も厚くなる。
【0031】
多結晶半導体層4aには、チャネル領域4bの膜厚が金属性導電層6が形成された領域の膜厚より薄くなるように、凹部4eが形成されている。ここで、図4を参照して、多結晶半導体層4aに形成された凹部4eについて詳細に説明する。図4は、本発明に係るTFTの構成の一部を示す図である。図4に示すように、多結晶半導体層4aのチャネル領域4bには凹部4eが形成されている。
【0032】
凹部4eの深さX(多結晶半導体層4aのチャネル領域4bの削り量)と、合金層5の膜厚Yとは、0.3Y≦X≦2Yの関係を満たすようにする。また、凹部4eの深さX及び合金層5の膜厚Yを足し合わせた深さZ(合金層5とチャネル領域4bのトータルの削り量)は、1.3Y≦Z≦3Yを満たすこととなる。
【0033】
このような多結晶半導体層4aのチャネル領域4bに凹部4eを形成した半導体装置における、凹部4eの深さXと合金層5の膜厚Yを足し合わせた深さZ(トータルの削り量Z=X+Y)とCV特性の関係について説明する。一般にCV曲線は図5に示すCV曲線Aとなる。しかし、チャネル領域4b表面が清浄でなく、金属汚染などがあれば、CV曲線はCV曲線Bとなる。
【0034】
本実施の形態では、トータルの削り量Z(Z=X+Y)を変更して、そのときのCV曲線を求めた。ここでは、合金層5の膜厚YはY=2nmで固定とするため、凹部4eの深さ(多結晶半導体層4aの削り量)Xを変更した。そして、そのCV曲線の傾斜部の接線の傾きを求めた。CV曲線の傾斜部の接線の傾きは、図5の接線A、接線Bの傾きに相当する。
【0035】
図6にトータルの削り量Zと接線の傾きの関係を示す。接線の傾き(単位は任意)が大きいほど、チャネル領域の表面が清浄であり、CV特性が良好であることを示している。図6を見ると、CV特性が良好なのは、トータルの削り量Zが2.3nm≦Z≦6.2nmの範囲である。なお、本実施の形態では合金層5の膜厚YはY=2nmで固定なので、図6においてトータルの削り量Zが2nmより小さい場合、チャネル領域4b上に合金層5が残ったままの状態となる。
【0036】
従って、関係式0.3Y≦X≦2Y、1.3Y≦Z≦3Yを満足するように、多結晶半導体層4aのチャネル領域4bをエッチングすると、TFT特性の良好な半導体装置を得ることができる。すなわち、Y=2nmのとき、凹部4eの深さXは0.6nm≦X≦4nm、トータルの削り量Zは2.6nm≦Z≦6nmとなる。これにより、半導体装置のCV特性を良好な範囲とすることができる。
【0037】
また、半導体装置を製造する際に、半導体装置を作成した後にTFT特性を測定すると、結果が最後にしかわからないため時間がかかってしまう。しかしながら本発明によれば、多結晶半導体層4aのチャネル領域4bの膜厚を測定し管理すれば、製造途中でTFT特性を把握することができる。このとき、問題があれば、すぐに対策を講じることができ、歩留低下を抑制することができる。
【0038】
多結晶半導体層4a、金属性導電層6の上には、ゲート絶縁層7が形成されている。ゲート絶縁層7としては、SiN膜、SiO膜等が用いられる。ゲート絶縁層7の上には、保持容量部の上部電極、ゲート電極、ゲート配線を形成するための導電膜8が形成されている。導電膜8としては、Cr、Mo、W、Taやこれらを主成分とする合金膜を用いることができる。導電膜8上には、基板表面の略全体を覆うように、層間絶縁層9が形成されている。層間絶縁層9上には、信号線10が形成されている。信号線10としては、Cr、Mo、W、Ta、Alやこれらを主成分とする合金膜を用いることができる。
【0039】
信号線上には、保護膜11が基板表面の略全体を覆うように形成されている。保護膜11としては、SiN膜が用いられる。保護膜11、層間絶縁層9、ゲート絶縁膜5には、コンタクトホール12が形成されている。コンタクトホール12には、多結晶半導体層4aのソース領域4cに到達するコンタクトホール12a、ドレイン領域4dに到達するコンタクトホール12b、信号線10に到達するコンタクトホール12cが含まれる。多結晶半導体層4aのソース領域4cに到達するコンタクトホール12a、ドレイン領域4dに到達するコンタクトホール12bでは、保護膜11、層間絶縁層9、ゲート絶縁膜5が除去され、多結晶半導体層4aのソース領域4c、ドレイン領域4d上の金属性導電層6が露出されている。すなわち、金属性導電層6は、コンタクトホール12a、12bの底部である。また、信号線10に到達するコンタクトホール12cでは、信号線10が露出している。
【0040】
保護層11の上には、画素電極13が形成されている。画素電極13は、コンタクトホール12を介して、信号線10、ソース領域4c及びドレイン領域4d上の金属性導電層6に接続される。画素電極13としては、ITOやIZO等の透明性を有する導電膜が用いられる。
【0041】
ここで、図7〜図9を参照して本実施の形態に係る表示装置の製造方法について説明する。図7〜図9は、本実施の形態に係る表示装置の製造工程断面図である。図7(a)に示すように、TFT基板1の上に、CVD法を用いて、第1の下地層2、第2の下地層3を積層して形成する。本実施の形態では、ガラス基板上にSiN膜を40〜60nmの膜厚に成膜し、さらにSiO膜を180〜220nmの膜厚で成膜する積層構造とした。なお、上記の膜構成、膜厚に限るものではない。
【0042】
次に、第2の下地層3の上に非晶質半導体層4をCVD法により形成する。本実施の形態では、非晶質半導体層4としてアモルファスシリコン膜を用いた。また、アモルファスシリコン膜は、30〜100nm、好ましくは、60〜80nmの膜厚に成膜する。これらの下地膜2、3及び非晶質半導体層4は、同一装置あるいは同一チャンバ内にて連続的に成膜することが好ましい。これにより、大気雰囲気中に存在するボロンなどの汚染物質が各膜の界面に取り込まれることを防止することができる。
【0043】
なお、非晶質半導体層4の成膜後に、高温中でアニールを行うことが好ましい。これは、CVD法によって成膜した非晶質半導体層4の膜中に、多量に含有された水素を低減するために行う。本実施の形態では、窒素雰囲気の低真空状態で保持したチャンバ内を480℃程度に過熱し、非晶質半導体層4を成膜した基板を45分間保持した。このような処理を行っておくことにより、非晶質半導体層4を結晶化する際に、温度が上昇しても水素の急激な脱離は起こらない。そして、非晶質半導体層4の表面荒れを抑制することができる。そして、非晶質半導体層4の表面に形成された自然酸化膜をフッ酸などでエッチング除去する。
【0044】
次に、図7(b)に示すように、非晶質半導体層4に対して窒素などのガスを吹き付けながら、非晶質半導体層4の上からレーザ光を照射する。レーザ光は、所定の光学系を通して線状のビームに変換され、非晶質半導体層4に照射される。本実施の形態では、レーザ光として、YAGレーザの第2高調波(発振波長:532nm)を用いた。YAGレーザの第2高調の代わりにエキシマレーザを用いることも可能である。ここで、窒素を噴きつけながら非晶質半導体層4にレーザ光を照射することにより、結晶粒界部分に発生する隆起高さを抑制することができる。本実施の形態では、結晶表面の平均粗さを3nm以下にまで小さくしている。これにより、非晶質半導体層4を結晶化して多結晶半導体層4aが得られる。このように形成した多結晶半導体層4aであるポリシリコン膜を用いて、TFT及び保持容量が形成される。
【0045】
上述の通り、多結晶半導体層4aには不純物を含む導電性領域があり、この部分がソース領域4c、ドレイン領域4dを形成する。そして、ソース・ドレイン領域に挟まれる領域がチャネル領域4bとなる。
【0046】
さらに、図7(c)に示すように、TFT31に直列に接続される保持容量を形成する多結晶半導体層4a上と、ソース領域4c、ドレイン領域4d上に金属性導電層6を形成する。多結晶半導体層4a上の金属性導電層6は、スパッタリング法で形成する。金属性導電層6としては、Cr、Mo、W、Taなどの金属膜や、これらを主成分とし、金属あるいは非金属元素を含む導電性を有する合金膜を用いることができる。本実施の形態では、Mo膜をおよそ20nmの膜厚として、DCマグネトロンを用いたスパッタリング法により形成した。
【0047】
このように、金属性導電層6は、多結晶半導体層4aのソース領域4c及びドレイン電極4dとコンタクトする。このため、後述する画素電極である透明導電性酸化膜を、コンタクトホールを介して接続した場合でも、多結晶半導体層4aが酸化されることはなく、良好なコンタクト抵抗を得ることができるという効果を奏する。
【0048】
また、低抵抗な金属性導電層6を保持容量の下部電極となる多結晶半導体層4aに積層することにより、下部電極には所望の電圧を確実に印加することが可能となり、安定した容量を形成することができる。さらに、保持容量の下部電極用の多結晶半導体層4aの上に金属性導電層6を形成しているために、多結晶半導体層4aを低抵抗化するためのドーピング工程を削減することができる。このため、写真製版工程を削減することが可能となり、生産性が向上するという効果を奏する。
【0049】
ここで、金属性導電層6の膜厚tを20nmとしたが、30nm以下、好ましくは25nm以下であればよい。30nmを超える膜厚の場合には、この後に行う不純物イオンドーピングのマスクとなり、下層の多結晶半導体層に不純物イオンが十分に到達できず、金属性導電層6と多結晶半導体層4aとのオーミック性コンタクトが得られなくなるからである。
【0050】
また、金属性導電層6を多結晶半導体層4a上に形成したとき、金属性導電層6と多結晶半導体層4aの界面に金属性導電層6と多結晶半導体層4aの合金層5が形成されている。本実施の形態では、合金層5としてMoSi層が形成される。この合金層5は、膜厚をYとすると、0.1t≦Y≦0.3tの範囲で形成される。形成する金属性導電層6の膜厚が厚くなるほど、基板温度が上昇するので、合金層5の膜厚も厚くなる。ここでは、スパッタリング時の温度を180℃とし、形成する金属性導電層6の膜厚tを20nmとすると、形成される合金層5の膜厚Yは2nmとなった。
【0051】
次に、多結晶半導体層4aとその上に接するように形成された金属性導電層6の上に、公知のハーフトーンマスクを用いることにより、1回の写真製版工程で段差のあるフォトレジストパターンを形成する。すなわち、所望の多結晶半導体層形状部分のフォトレジストの膜厚を薄く形成し、所望の金属性導電層形状部分のフォトレジストの膜厚を厚く形成する。このようなレジストパターンを用いて、金属性導電層6及び多結晶半導体層4aをパターニングする。このような膜厚の異なるフォトレジストパターンは、ハーフトーン露光技術若しくはグレートーン露光技術を用いて形成することが可能である。すなわち、露光光の透過率を減じるフィルター膜もしくはフィルター層をフォトマスクに設ける方法、あるいは、パターンを細かいスリット状に分割して光の回折現象を利用する方法等を用いることが可能である。
【0052】
そして、燐酸及び硝酸を混合した薬液を用いたウエットエッチング法により、金属性導電層6を所望の形状に加工する。その後、CFとOを混合したガスを用いたドライエッチング法により、多結晶半導体層4aを島状に加工する。また、エッチングガスにOを混合しているため、写真製版法により形成したレジストを後退させながら、エッチングすることが可能となる。これにより、図8(d)に示すように、多結晶シリコン層4aは端部にテーパー形状を有する構造とすることができる。
【0053】
次に、アッシング処理によって、フォトレジストパターンの膜厚を全体的に減じて、フォトレジスト膜厚をあらかじめ薄く形成した部分のレジストを除去し、所望の金属性導電層形状部分のレジストパターンのみを残存させる。これにより、当該領域において、第3のメタル導電膜からなる反射金属膜21bを露出させる。
【0054】
次に、残したフォトレジストパターンを用いて、燐酸及び硝酸を混合した薬液を用いてウエットエッチング法により、再度金属性導電層6をパターニングする。このとき、図8(e)に示すように、多結晶半導体層4aのチャネル領域上の金属性導電層5が除去される。その後、CFとArを混合したガス又はCFとOを混合したガスを用いたドライエッチング法により、多結晶半導体層のチャネル領域上の合金層5を除去するとともに、多結晶半導体層のチャネル領域4bを削って凹部4eを形成する(図8(f))。
【0055】
多結晶半導体層4aのチャネル領域4b上の金属性導電層6を除去した後に、多結晶半導体層4aのチャネル領域4b上の合金層5と、多結晶半導体層4aのチャネル領域4bを一括してエッチングして清浄なチャネル領域表面を出す。上述したように、関係式0.3Y≦X≦2Y、1.3Y≦Z≦3Yを満足するように、多結晶半導体層4aのチャネル領域4bをエッチングする。ここでは、Y=2nmのとき、凹部4eの深さXは0.6nm≦X≦4nm、トータルの削り量Zは2.6nm≦Z≦6nmとなる。これにより、半導体装置のCV特性を良好な範囲とすることができる。また、閾値電圧のばらつきを低減させることができ、信頼性の高い高性能な半導体装置を実現することができる。
【0056】
次に、フォトレジストを剥離液で除去する。そした、洗浄処理を行った後、ゲート絶縁膜7を基板表面全体を覆うように成膜する(図9(g))。本実施の形態では、洗浄処理は、バッファードフッ酸(BHF)処理を行った。また、ゲート絶縁膜7としては、SiN膜、SiO膜等が用いられる。本実施の形態では、ゲート絶縁膜7としてSiO膜を用い、CVD法にて、70〜100nmの膜厚に成膜した。
【0057】
次に、図9(g)に示すように、保持容量部の上部電極8b、ゲート電極8a、ゲート配線(不図示)を形成するための導電膜8を成膜する。導電膜8としては、Cr、Mo、W、Taやこれらを主成分とする合金膜を用いることができる。本実施の形態では、導電膜8としてMo膜を、DCマグネトロンを用いたスパッタリング法により、膜厚200〜400nmとなるように形成した。
【0058】
次に、形成した導電膜8を公知の写真製版法を用いて、所望の形状にパターニングし、保持容量の上部電極8b、ゲート電極8a、ゲート配線を形成する。本実施の形態では、導電膜8のエッチングは、燐酸と硝酸を混合した薬液を用いたウエットエッチング法により行った。
【0059】
そして、形成したゲート電極8aをマスクとして、多結晶半導体層4aのソース領域4c・ドレイン領域4dに不純物を導入する。ここで、導入する不純物元素としてP、Bを用いることができる。Pを導入すればn型のTFTを形成することができ、Bを導入すれば、p型のTFTを形成することができる。又、ゲート電極4aの加工をn型TFT用ゲート電極とp型TFT用ゲート電極の2回に分けて行えば、n型とp型のTFTを同一基板上に作り分けることができる。ここで、PやBの不純物元素の導入には、イオンドーピング法を用いて行った。以上の工程により、ソース領域4c・ドレイン領域4dが形成される。
【0060】
次に、図9(h)に示すように、層間絶縁層9を基板表面全体を覆うように成膜する。つまり、ゲート電極8a上に層間絶縁層9を成膜する。本実施の形態では、層間絶縁層9としてSiO膜を膜厚500〜1000nmの厚さでCVD法により成膜した。そして、窒素雰囲気中で450℃に加熱したアニール炉に2時間程度保持した。これは、多結晶半導体層のソース・ドレイン領域に導入した不純物元素を活性化させるために行う。
【0061】
次に、信号線10を形成するための導電膜を成膜する。この導電膜としては、Cr、Mo、W、Ta、Alやこれらを主成分とする合金膜を用いることができる。本実施の形態では、Mo(上層)/Al(下層)の積層膜とし、Mo膜を膜厚100〜200nm、Al膜を200〜400nmとして、DCマグネトロンを用いたスパッタリング法により導電膜を形成した。
【0062】
次に、形成した導電膜を公知の写真製版法を用いて所望の形状にパターニングして、信号線10を形成する(図9(h))。本実施の形態では、信号線10を形成するためのエッチングは、SFとOの混合ガス及びClとArの混合ガスを用いたドライエッチング法により行った。そして、保護膜11を基板表面全体を覆うように成膜する。本実施の形態では、保護膜としてSiN膜を膜厚300〜600nmとなるように、CVD法により成膜した。
【0063】
次に、形成したゲート絶縁膜5、層間絶縁層9及び保護膜11を公知の写真製版法を用いて所望の形状にパターニングする。ここでは、多結晶半導体層4aのソース領域4cに到達するコンタクトホール12a、ドレイン領域4dに到達するコンタクトホール12b、信号線10に到達するコンタクトホール12cの形成を行う。多結晶半導体層4aのソース領域4c及びドレイン領域4dに到達するコンタクトホール12a、12bでは、ゲート絶縁膜5、層間絶縁層9及び保護膜11が除去され、多結晶半導体層4aのソース領域4c、ドレイン領域4d上の金属性導電層6が露出される。また、信号線10に到達するコンタクトホール12cでは、保護層11が除去され、信号線10が露出している。本実施の形態では、コンタクトホール12のエッチングは、CHF、O、Arの混合したガスを用いたドライエッチング法により行った。
【0064】
次に、画素電極13を形成するための導電膜を成膜する。導電膜は、ITOやIZOなどの透明性を有する導電膜であればよい。本実施の形態では、透明性導電膜としてITOを膜厚80〜120nmとなるように、DCマグネトロンを用いたスパッタリング法により形成した。また、スパッタリングには、Arガス、Oガス、HOガスを混合したガスを用いて行った。これにより、加工性が容易で非晶質の透明性導電膜が形成される。
【0065】
そして、形成した透明性導電膜を公知の写真製版法を用いて、所望の形状にパターニングし、画素電極13を形成する(図9(i))。本実施の形態では、透明性導電膜のエッチングはシュウ酸を主成分とする薬液を用いたウエットエッチング法により行った。次に、非晶質性透明導電膜を結晶化するためのアニールを実施する。以上の製造方法により、低温ポリシリコンTFT構造の半導体装置が完成する。このTFTが形成されたTFT基板を用いて、液晶表示装置100を製造することができる。
【0066】
このように、多結晶半導体層4aのチャネル領域4b上の金属性導電層6を除去した後に、多結晶半導体層4aのチャネル領域4b上の合金層5と、多結晶半導体層4aのチャネル領域4bを一括してエッチングして清浄なチャネル領域表面を出す。上述したように、関係式0.3Y≦X≦2Y、1.3Y≦Z≦3Yを満足するように、多結晶半導体層4aのチャネル領域4bをエッチングする。これにより、半導体装置のCV特性を良好な範囲とすることができる。また、閾値電圧のばらつきを低減させることができ、信頼性の高い高性能な半導体装置を実現することができる。
【0067】
実施の形態2.
本発明の実施の形態2に係る半導体装置の製造方法について説明する。本実施の形態では、基本的には実施の形態1において説明したTFTの製造方法と同様である。本実施の形態において、実施の形態1と異なる点は、多結晶半導体層4aのチャネル領域上の金属性導電層6のエッチング方法である。以下、この点について説明する。
【0068】
実施の形態1で説明したように、図8(d)に示すように、第1の下地層2、第2の下地層3上に、所定の形状の多結晶シリコン層4a、金属性導電層6を形成する。また、金属性導電層6の形成により、多結晶シリコン層4aと金属性導電層6との界面には、多結晶シリコン層4aと金属性導電層6の合金層5が形成されている。
【0069】
その後、上述のとおり、アッシング処理によって、フォトレジストパターンの膜厚を全体的に減じて、フォトレジスト膜厚をあらかじめ薄く形成した部分のレジストを除去し、所望の金属性導電層形状部分のレジストパターンのみを残存させる。これにより、当該領域において、第3のメタル導電膜からなる反射金属膜21bを露出させる。
【0070】
次に、残したフォトレジストパターンを用いて、Clガスを用いたドライエッチング法により、再度金属性導電層6をパターニングする。このとき、多結晶半導体層4aのチャネル領域4b上の金属性導電層6が除去される。その後、CFとArを混合したガス又はCF4を混合したガスを用いたドライエッチング法により、多結晶半導体層のチャネル領域上の合金層5を除去するとともに、多結晶半導体層のチャネル領域4bを削って凹部4eを形成する(図8(f))。
【0071】
多結晶半導体層4aのチャネル領域4b上の金属性導電層6を除去した後に、多結晶半導体層4aのチャネル領域4b上の合金層5と、多結晶半導体層4aのチャネル領域4bを一括してエッチングして清浄なチャネル領域表面を出す。実施の形態1で説明したように、関係式0.3Y≦X≦2Y、1.3Y≦Z≦3Yを満足するように、多結晶半導体層4aのチャネル領域4bをエッチングする。以降、実施の形態1と同様な工程により、低温ポリシリコンTFT構造の半導体装置が完成する。
【0072】
本実施の形態に係る製造方法で作成された半導体装置においても、トータルの削り量Z(Z=X+Y)とCV特性の関係は、図6に示すとおりとなる。従って、実施の形態1と同様に、半導体装置のCV特性を良好な範囲とすることができる。また、閾値電圧のばらつきを低減させることができ、信頼性の高い高性能な半導体装置を実現することができる。
【0073】
なお、上述の実施の形態においては、レーザアニーリングにより形成するポリシリコンからなる従来のLTPS TFTの場合について説明したが、これに限定されず、他の様々な方法で形成される結晶性シリコンTFT等においても同様の効果を奏する。さらに、本発明による構造は、LCDだけでなく、有機EL表示装置等の他の表示装置にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】実施の形態に係る表示装置の構成を示す平面図である。
【図2】実施の形態に係る表示装置の構成を示す断面図である。
【図3】実施の形態に係る半導体装置の構成を示す図である。
【図4】実施の形態に係る半導体装置の一部の構成を示す図である。
【図5】本実施の形態に係るTFTのCV特性を示す図である。
【図6】トータルの削り量とCV曲線の傾きの関係を示すグラフである。
【図7】実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明する製造工程断面図である。
【図8】実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明する製造工程断面図である。
【図9】実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明する製造工程断面図である。
【図10】従来の半導体装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0075】
1 TFT基板
2 第1の下地層
3 第2の下地層
4 非結晶半導体層
4a 多結晶半導体層
4b チャネル領域
4c ソース領域
4d ドレイン領域
4e 凹部
5 合金層
6 金属性導電層
7 ゲート絶縁層
8 導電層
9 層間絶縁層
10 信号線
11 保護膜
12a、12b、12c コンタクトホール
13 画素電極
20 対向基板
21 シール材
22 液晶
23 スペーサ
24 ゲート線
25 ソース線
26 配向膜
27 対向電極
28 偏光板
29 ゲートドライバ
30 ソースドライバ
100 液晶表示装置
101 液晶パネル
102 バックライト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成され、ソース領域、ドレイン領域及びチャネル領域を有する半導体層と、
前記半導体層のソース領域及びドレイン領域上に形成された金属性導電層と、
前記半導体層と前記金属性導電層との間に形成された、前記半導体層と前記金属性導電層との合金層とを有し、
前記半導体層は、前記チャネル領域の膜厚が、前記金属性導電層が形成された領域の膜厚より薄くなるように形成された凹部を有し、
前記凹部の深さXと、前記合金層の膜厚Yと、前記金属性導電層の膜厚tとが、次の2式の関係を満たしていることを特徴とする半導体装置。
0.1t≦Y≦0.3t
0.3Y≦X≦2Y
【請求項2】
前記半導体層は、非結晶半導体層を結晶化することによって形成された多結晶半導体層であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記金属性導電層の膜厚は、30nm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記金属性導電層は、Cr、Mo、W、Taあるいはこれらを主成分とした合金からなることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の半導体装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体装置を備える表示装置。
【請求項6】
基板上に半導体層を形成する工程と、
前記半導体層上に金属性導電層を形成し、前記半導体層と前記金属性導電層との間に前記半導体層と前記金属性導電層との合金層が形成される工程と、
前記半導体層のチャネル領域上の前記金属性導電層を除去する工程と、
前記半導体層のチャネル領域上の前記合金層を除去するとともに、前記半導体層のチャネル領域を除去して、前記半導体層のチャネル領域に凹部を形成する工程とを含み、
前記凹部の深さXと、前記合金層の膜厚Yと、前記金属性導電層の膜厚tとが、次の2式の関係を満たすように前記凹部を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
0.1t≦Y≦0.3t
0.3Y≦X≦2Y
【請求項7】
前記半導体層のチャネル領域上の前記合金層と前記半導体層のチャネル領域とを、ガスをラジカル化して一括で除去することを特徴とする請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記半導体層のチャネル領域上の前記合金層と前記半導体層のチャネル領域とを、CFとArの混合ガス又はCFとOの混合ガスを用いて除去することを特徴とする請求項7に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記半導体層のチャネル領域上の前記金属性導電層を、薬液により除去することを特徴とする請求項7又は8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記半導体層のチャネル領域上の前記金属性導電層を、ガスをラジカル化して除去することを特徴とする請求項7又は8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記半導体層は、非結晶半導体層を結晶化することによって形成された多結晶半導体層であることを特徴とする請求項6〜10のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記基板と前記半導体層との間に絶縁層を形成する工程を含む請求項6〜11のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項6〜12のいずれかに記載の方法により半導体装置を製造する工程を含む表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−76736(P2009−76736A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−245090(P2007−245090)
【出願日】平成19年9月21日(2007.9.21)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】