説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】プラグの上面の形状を工夫することにより、半導体装置の電気的特性において、信頼性の向上を図ることができる技術を提供する。
【解決手段】本願発明におけるプラグPLGは、上面がコンタクト層間絶縁膜CILの表面(上面)よりも突出した上に凸のドーム形状をしている。つまり、プラグPLGは、上面が上に凸のドーム形状となっており、コンタクト層間絶縁膜CILの上面の高さよりもバリア導体膜BF1の上端部の高さが高く、かつ、タングステン膜WFの上端部の高さはバリア導体膜BF1の上端部の高さよりも高くなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造技術に関し、特に、プラグを有する半導体装置およびその製造技術に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許第3494275号(特許文献1)には、半導体基板上に形成されるプラグを層間絶縁膜よりも高くして、層間絶縁膜上に形成される配線とプラグとの電気的接続の信頼性を向上する技術が記載されている。このようなプラグの製造方法としては、まず、層間絶縁膜の研磨速度よりもタングステン膜の研磨速度が速い条件で第1研磨を実施し、その後、層間絶縁膜の研磨速度よりもタングステン膜の研磨速度が遅い条件で第2研磨を実施するとしている。このとき、第1研磨では、アルミナ(Al)からなる砥粒、過酸化水素(H)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化アンモニウム(NHOH)などの酸や塩基性物質を使用し、第2研磨では、コロイド性シリカからなる砥粒、過酸化水素(H)、水酸化カリウム(KOH)などの塩基性物質を使用している。第2研磨におけるタングステン膜の研磨速度は50Å/分、層間絶縁膜の研磨速度は2500Å/分となっている。
【0003】
米国特許第7291557号(特許文献2)には、銅配線の端部にボイドが発生することによるストレスマイグレーション(SM)特性やエレクトロマイグレーション(EM)特性の劣化を抑制する技術が記載されている。具体的には、銅膜の第1研磨をバリア導体膜で止めるようにして実施した後、銅膜がドーム状になるようにバリア導体膜の第2研磨を実施する。このとき、第1研磨は、層間絶縁膜の研磨速度よりも銅膜の研磨速度が速い条件で実施し、第2研磨は、バリア導体膜の研磨速度が銅膜の研磨速度や層間絶縁膜の研磨速度よりも速く、かつ、層間絶縁膜の研磨速度が銅膜の研磨速度よりも速い条件で実施するとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3494275号
【特許文献2】米国特許第7291557号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体装置では、半導体基板上にMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)などの半導体素子を形成し、この半導体素子を覆うように層間絶縁膜を形成している。そして、層間絶縁膜を貫通するプラグを形成し、このプラグの底面をMISFETのソース領域あるいはドレイン領域と電気的に接続する。さらに、プラグ上に配線を形成する。これにより、MISFETと配線はプラグを介して電気的に接続されることになる。このとき、配線と接続されるプラグの上面の形状によって、配線とプラグとの接触抵抗のばらつきや、プラグとは絶縁されている配線とプラグとの間のショートマージンが影響を受けることを本発明者は見出した。つまり、プラグの上面の形状によって、半導体装置の電気的特性が影響を受けることを本発明者は見出した。
【0006】
本発明の目的は、プラグの上面の形状を工夫することにより、半導体装置の電気的特性において、信頼性の向上を図ることができる技術を提供することにある。
【0007】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0009】
代表的な実施の形態による半導体装置は、(a)半導体基板上に形成された半導体素子と、(b)前記半導体素子を覆うように前記半導体基板上に形成された層間絶縁膜と、(c)前記層間絶縁膜を貫通して前記半導体素子と電気的に接続されたプラグと、(d)前記層間絶縁膜上に形成され、かつ、前記プラグと電気的に接続された配線とを備える。そして、前記プラグは、(c1)前記層間絶縁膜に形成されたコンタクトホールと、(c2)前記コンタクトホールの内壁に形成されたバリア導体膜と、(c3)前記バリア導体膜上に形成され、かつ、前記コンタクトホールを埋め込むように形成された第1導体膜とを有する。ここで、前記プラグの上面は前記層間絶縁膜の上面から突き出た上に凸のドーム形状をしており、前記バリア導体膜の上端部の高さは、前記層間絶縁膜の上面よりも高く、かつ、前記第1導体膜の上端部の高さは、前記バリア導体膜の上端部の高さよりも高いことを特徴とするものである。
【0010】
また、代表的な実施の形態による半導体装置の製造方法は、(a)半導体基板上に半導体素子を形成する工程と、(b)前記半導体素子を覆うように前記半導体基板上に層間絶縁膜を形成する工程と、(c)前記層間絶縁膜を貫通するコンタクトホールを形成する工程とを備える。そして、(d)前記コンタクトホール内を含む前記層間絶縁膜上にバリア導体膜を形成する工程と、(e)前記コンタクトホール内を埋め込むように前記バリア導体膜上に第1導体膜を形成する工程と、(f)化学的機械的研磨法により、前記第1導体膜の膜厚を薄くする工程とを備える。さらに、(g)前記(f)工程後、化学的機械的研磨法により、前記層間絶縁膜の研磨速度よりも前記第1導体膜の研磨速度を遅くする条件で、薄膜化された前記第1導体膜、前記バリア導体膜および前記層間絶縁膜の一部を除去し、かつ、前記コンタクトホールに前記バリア導体膜と前記タングステン膜を残存させることによりプラグを形成する工程とを備える。このとき、前記(g)工程で形成される前記プラグの上面は前記層間絶縁膜の上面から突き出た上に凸のドーム形状をしており、前記バリア導体膜の上端部の高さは、前記層間絶縁膜の上面よりも高く、かつ、前記第1導体膜の上端部の高さは、前記バリア導体膜の上端部の高さよりも高いことを特徴とするものである。
【0011】
また、代表的な実施の形態による半導体装置の製造方法は、(a)半導体基板上に半導体素子を形成する工程と、(b)前記半導体素子を覆うように前記半導体基板上に層間絶縁膜を形成する工程と、(c)前記層間絶縁膜を貫通するコンタクトホールを形成する工程とを備える。そして、(d)前記コンタクトホール内を含む前記層間絶縁膜上にバリア導体膜を形成する工程と、(e)前記コンタクトホール内を埋め込むように前記バリア導体膜上に第1導体膜を形成する工程とを備える。さらに、(f)化学的機械的研磨法により、前記コンタクトホール内に前記バリア導体膜と前記第1導体膜を残しつつ、前記層間絶縁膜上に形成されている前記第1導体膜と前記バリア導体膜を除去して前記層間絶縁膜の上面を露出する工程とを備える。次に、(g)前記(f)工程後、化学的機械的研磨法により、前記層間絶縁膜の研磨速度よりも前記第1導体膜の研磨速度を遅くする条件で、前記層間絶縁膜の一部を除去し、かつ、前記コンタクトホールに前記バリア導体膜と前記タングステン膜を残存させることによりプラグを形成する工程とを備える。このとき、前記(g)工程で形成される前記プラグの上面は前記層間絶縁膜の上面から突き出た上に凸のドーム形状をしており、前記バリア導体膜の上端部の高さは、前記層間絶縁膜の上面よりも高く、かつ、前記第1導体膜の上端部の高さは、前記バリア導体膜の上端部の高さよりも高いことを特徴とするものである。
【0012】
また、代表的な実施の形態による半導体装置の製造方法は、(a)半導体基板上に半導体素子を形成する工程と、(b)前記半導体素子を覆うように前記半導体基板上に層間絶縁膜を形成する工程と、(c)前記層間絶縁膜を貫通するコンタクトホールを形成する工程とを備える。そして、(d)前記コンタクトホール内を含む前記層間絶縁膜上にバリア導体膜を形成する工程と、(e)前記コンタクトホール内を埋め込むように前記バリア導体膜上に第1導体膜を形成する工程とを備える。さらに、(f)前記層間絶縁膜の研磨速度よりも前記第1導体膜の研磨速度を遅くする条件での化学的機械的研磨法により、前記コンタクトホール内に前記バリア導体膜と前記第1導体膜を残しつつ、前記層間絶縁膜上に形成されている前記第1導体膜と前記バリア導体膜と前記層間絶縁膜の一部を除去してプラグを形成する工程とを備える。このとき、前記(f)工程で形成される前記プラグの上面は前記層間絶縁膜の上面から突き出た上に凸のドーム形状をしており、前記バリア導体膜の上端部の高さは、前記層間絶縁膜の上面よりも高く、かつ、前記第1導体膜の上端部の高さは、前記バリア導体膜の上端部の高さよりも高いことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0014】
プラグの上面の形状を工夫することにより、半導体装置の電気的特性において、信頼性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態1における半導体装置の構成を示す断面図である。
【図2】第1比較例におけるプラグの形状を示す断面図である。
【図3】第2比較例におけるプラグの形状を示す断面図である。
【図4】実施の形態1におけるプラグの形状を示す断面図である。
【図5】本来接続されない配線とプラグとの位置関係を示す断面図であり、プラグとして、リセス型プラグを使用した場合、王冠型プラグを使用した場合、ドーム型プラグを使用した場合を比較して示す図である。
【図6】プラグ突出し量と、規格化した配線ずれ量との関係を示す図であり、プラグとして、リセス型プラグを使用した場合、王冠型プラグを使用した場合、ドーム型プラグを使用した場合を比較して示す図である。
【図7】規格化した配線リーク電流値と、累積率との関係を示す図であり、プラグとして、リセス型プラグを使用した場合、王冠型プラグを使用した場合、ドーム型プラグを使用した場合を比較して示す図である。
【図8】配線とプラグとの位置関係を示す断面図であり、プラグとして、リセス型プラグを使用した場合、王冠型プラグを使用した場合、ドーム型プラグを使用した場合を比較して示す図である。
【図9】プラグ突出し量と、規格化した配線ずれ量との関係を示す図であり、プラグとして、リセス型プラグを使用した場合、王冠型プラグを使用した場合、ドーム型プラグを使用した場合を比較して示す図である。
【図10】規格化した配線抵抗値と、累積率との関係を示す図であり、プラグとして、リセス型プラグを使用した場合、王冠型プラグを使用した場合、ドーム型プラグを使用した場合を比較して示す図である。
【図11】リセス型プラグを形成したコンタクト層間絶縁膜上に層間絶縁膜を形成し、この層間絶縁膜に位置ずれのある配線溝を形成する工程を説明する断面図である。
【図12】ドーム型プラグを形成したコンタクト層間絶縁膜上に層間絶縁膜を形成し、この層間絶縁膜に位置ずれのある配線溝を形成する工程を説明する断面図である。
【図13】ドーム型プラグの寸法を示す断面図である。
【図14】実施の形態1における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図15】図14に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図16】図15に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図17】図16に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図18】図17に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図19】図18に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図20】図19に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図21】図20に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図22】図21に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図23】図22に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図24】実施の形態2における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図25】図24に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図26】半導体基板に形成される位置合わせマークの一例を示す断面図である。
【図27】位置合わせマークにエロージョンが発生した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
【0017】
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0018】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0019】
同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0020】
また、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、図面をわかりやすくするために平面図であってもハッチングを付す場合がある。
【0021】
(実施の形態1)
本実施の形態1における半導体装置の構成について説明する。図1は、本実施の形態1における半導体装置の構成を示す断面図である。本実施の形態1における半導体装置は、nチャネル型MISFETQ1とpチャネル型MISFETQ2を有しており、それぞれの構成について説明する。
【0022】
半導体基板1Sには素子を分離する素子分離領域STIが形成されており、素子分離領域STIで分割された活性領域のうち、nチャネル型MISFETQ1を形成する領域(半導体基板1S内)には、p型ウェルPWLが形成されており、pチャネル型MISFETQ2を形成する領域(半導体基板1S内)には、n型ウェルNWLが形成されている。
【0023】
nチャネル型MISFETQ1は、半導体基板1S内に形成されたp型ウェルPWL上にゲート絶縁膜GOXを有しており、このゲート絶縁膜GOX上にゲート電極G1が形成されている。ゲート絶縁膜GOXは、例えば、酸化シリコン膜から形成され、ゲート電極G1は、低抵抗化のため、例えば、ポリシリコン膜PFとコバルトシリサイド膜CSの積層膜から形成されている。
【0024】
ゲート電極G1の両側の側壁には、サイドウォールSWが形成されており、このサイドウォールSW下の半導体基板1S内には、半導体領域として、浅いn型不純物拡散領域EX1が形成されている。サイドウォールSWは、例えば、酸化シリコン膜などの絶縁膜から形成されている。そして、浅いn型不純物拡散領域EX1の外側に深いn型不純物拡散領域NRが形成され、この深いn型不純物拡散領域NRの表面にコバルトシリサイド膜CSが形成されている。
【0025】
サイドウォールSWは、nチャネル型MISFETQ1の半導体領域であるソース領域およびドレイン領域をLDD構造とするために形成されたものである。すなわち、nチャネル型MISFETQ1のソース領域およびドレイン領域は、浅いn型不純物拡散領域EX1と深いn型不純物拡散領域NRより形成されている。このとき、浅いn型不純物拡散領域EX1の不純物濃度は、深いn型不純物拡散領域NRの不純物濃度よりも低くなっている。したがって、サイドウォールSW下のソース領域およびドレイン領域を低濃度の浅いn型不純物拡散領域EX1とすることにより、ゲート電極G1の端部下における電界集中を抑制できる。
【0026】
次に、pチャネル型MISFETQ2は、半導体基板1S内に形成されたn型ウェルNWL上にゲート絶縁膜GOXを有しており、このゲート絶縁膜GOX上にゲート電極G2が形成されている。ゲート絶縁膜GOXは、例えば、酸化シリコン膜から形成され、ゲート電極G2は、低抵抗化のため、例えば、ポリシリコン膜PFとコバルトシリサイド膜CSの積層膜から形成されている。
【0027】
ゲート電極G2の両側の側壁には、サイドウォールSWが形成されており、このサイドウォールSW下の半導体基板1S内には、半導体領域として、浅いp型不純物拡散領域EX2が形成されている。サイドウォールSWは、例えば、酸化シリコン膜などの絶縁膜から形成されている。そして、浅いp型不純物拡散領域EX2の外側に深いp型不純物拡散領域PRが形成され、この深いp型不純物拡散領域PRの表面にコバルトシリサイド膜CSが形成されている。
【0028】
サイドウォールSWは、pチャネル型MISFETQ2の半導体領域であるソース領域およびドレイン領域をLDD構造とするために形成されたものである。すなわち、pチャネル型MISFETQ2のソース領域およびドレイン領域は、浅いp型不純物拡散領域EX2と深いp型不純物拡散領域PRより形成されている。このとき、浅いp型不純物拡散領域EX2の不純物濃度は、深いp型不純物拡散領域PRの不純物濃度よりも低くなっている。したがって、サイドウォールSW下のソース領域およびドレイン領域を低濃度の浅いp型不純物拡散領域EX2とすることにより、ゲート電極G2の端部下における電界集中を抑制できる。
【0029】
以上のようにして、半導体基板1S上にnチャネル型MISFETQ1およびpチャネル型MISFETQ2が形成されている。このnチャネル型MISFETQ1とpチャネル型MISFETQ2を覆うように、例えば、酸化シリコン膜からなるコンタクト層間絶縁膜CILが形成されており、このコンタクト層間絶縁膜CILを貫通するようにコンタクトホールCNTが形成されている。コンタクトホールCNTは、nチャネル型MISFETQ1のソース領域やドレイン領域や、pチャネル型MISFETQ2のソース領域やドレイン領域に達するように形成されており、このコンタクトホールCNT内にプラグPLGが形成されている。プラグPLGは、コンタクトホールCNT内に、例えば、チタン/窒化チタン膜(チタン膜とチタン膜上に形成された窒化チタン膜)よりなるバリア導体膜BF1と、タングステン膜WFとを埋め込むことにより形成されている。
【0030】
そして、プラグPLGを形成したコンタクト層間絶縁膜CIL上に層間絶縁膜IL1が形成されている。この層間絶縁膜IL1も、例えば、酸化シリコン膜から形成されている。層間絶縁膜IL1には配線溝が形成されており、この配線溝を埋め込むように配線L1が形成されている。配線L1は、例えば、タンタル/窒化タンタル膜(窒化タンタル膜と、窒化タンタル膜上のタンタル膜)よりなるバリア導体膜BF2と銅膜CFとを配線溝に埋め込むことにより形成されている。このようにして、nチャネル型MISFETQ1のソース領域およびドレイン領域や、pチャネル型MISFETQ2のソース領域およびドレイン領域は、プラグPLGを介して配線L1と電気的に接続されていることになる。
【0031】
ここで、本実施の形態1の特徴は、プラグPLGの形状に工夫を施した点にある。具体的に、プラグPLGの上面形状を上に凸のドーム形状にする点が本実施の形態1の特徴点である。このようにプラグPLGを形成することにより、半導体装置における電気的特性の信頼性を向上することができる。以下では、比較例と対比しながら、本実施の形態1におけるプラグPLGによれば、半導体装置における電気的特性の信頼性を向上できることについて説明する。
【0032】
まず、第1比較例におけるプラグPLG1の構造について説明する。図2は、第1比較例におけるプラグPLG1の構造を示す断面図である。図2において、コンタクト層間絶縁膜CILにはコンタクトホールCNTが形成されている。そして、このコンタクトホールCNTの内壁にバリア導体膜BF1が形成され、さらに、コンタクトホールCNTを埋め込むようにバリア導体膜BF1上にタングステン膜WFが形成されている。このように、コンタクトホールCNTにバリア導体膜BF1を介してタングステン膜WFを埋め込むことにより、プラグPLG1が形成されている。このとき、第1比較例におけるプラグPLG1は、上面がコンタクト層間絶縁膜CILの表面(上面)よりも凹んだ形状をしている。
【0033】
プラグPLG1の上面とコンタクト層間絶縁膜CILの表面(上面)が一直線状になるように形成されることが望ましいが、プラグPLG1を形成する際に、化学的機械的研磨法(CMP:Chemical Mechanical Polishing)を使用するため、プラグPLG1の上面をコンタクト層間絶縁膜CILの表面(上面)に合わせるようにしても、実際には、図2に示すように、プラグPLG1の上面は、コンタクト層間絶縁膜CILの表面から凹んだ形状となる。つまり、通常のプラグ形成工程では、プラグPLG1の上面をコンタクト層間絶縁膜CILの上面と合わせるようにしても、プラグPLGの上面がコンタクト層間絶縁膜CILの上面から凹んだ形状となってしまう。
【0034】
このメカニズムは以下に示すようなものである。例えば、コンタクト層間絶縁膜CIL上にコンタクトホールCNTを形成した後、このコンタクトホールCNT内を含むコンタクト層間絶縁膜CIL上にバリア導体膜BF1とタングステン膜WFを形成する。そして、コンタクト層間絶縁膜CIL上に形成されている不要なタングステン膜WFとバリア導体膜BF1とをCMP法によって除去する。これにより、コンタクトホールCNT内にだけバリア導体膜BF1とタングステン膜WFを埋め込んだプラグPLG1を形成することができる。このとき、コンタクトホールCNTの表面では、CMPによる機械的研磨圧力がかかるため、コンタクトホールCNTの表面に形成されているタングステン膜WFが過剰に削られてしまう。この現象はディッシングと呼ばれ、このディッシングにより、プラグPLG1の上面がコンタクト層間絶縁膜CILの上面よりも凹んでしまうのである。以上のようにして、通常の工程で形成されるプラグPLG1は、上面が凹んだ形状となる。この上面が凹んだ形状のプラグPLG1を第1比較例のプラグとする。以下では、上面が凹んだ形状のプラグPLG1をリセス型プラグと呼ぶことにする。
【0035】
次に、第2比較例におけるプラグPLG2の構造について説明する。図3は、第2比較例におけるプラグPLG2の構造を示す断面図である。図3において、コンタクト層間絶縁膜CILにはコンタクトホールCNTが形成されている。そして、このコンタクトホールCNTの内壁にバリア導体膜BF1が形成され、さらに、コンタクトホールCNTを埋め込むようにバリア導体膜BF1上にタングステン膜WFが形成されている。このように、コンタクトホールCNTにバリア導体膜BF1を介してタングステン膜WFを埋め込むことにより、プラグPLG2が形成されている。このとき、第2比較例におけるプラグPLG2は、上面がコンタクト層間絶縁膜CILの表面(上面)よりも突出した形状をしている。
【0036】
この第2比較例におけるプラグPLG2は、第1比較例におけるプラグPLG1を改善する目的でなされたものである。すなわち、第1比較例におけるプラグPLG1では、上面がコンタクト層間絶縁膜CILの表面よりも凹んだ形状となる。そこで、第2比較例におけるプラグPLG2では、プラグPLG2の上面がコンタクト層間絶縁膜CILの上面から低くならないように加工している。以下に、この加工方法について説明する。
【0037】
例えば、層間絶縁膜CIL上にコンタクトホールCNTを形成した後、このコンタクトホールCNT内を含むコンタクト層間絶縁膜CIL上にバリア導体膜BF1とタングステン膜WFを形成する。そして、コンタクト層間絶縁膜CIL上に形成されている不要なタングステン膜WFとバリア導体膜BF1とをCMP法によって除去する。これにより、コンタクトホールCNT内にだけバリア導体膜BF1とタングステン膜WFを埋め込んだプラグPLG2を形成することができる。このとき、コンタクトホールCNTの表面では、CMPによる機械的研磨圧力がかかるため、コンタクトホールCNTの表面に形成されているタングステン膜WFが過剰に削られてしまう。つまり、ディッシングにより、プラグPLG2の上面がコンタクト層間絶縁膜CILの上面よりも凹んでしまうのである。そこで、第2比較例では、プラグPLG2の上面がコンタクト層間絶縁膜CILの上面よりも凹まないようにするため、プラグPLG2を形成した後、コンタクト層間絶縁膜CILをエッチングする。これにより、図3に示すように、プラグPLG2の上面がコンタクト層間絶縁膜CILの上面よりも高くなる。つまり、第2比較例では、コンタクト層間絶縁膜CILの上面からプラグPLG2の一部が突出した構造となる。このように第2比較例では、プラグPLG2の上面がコンタクト層間絶縁膜CILの上面よりも突出した構造となるが、コンタクト層間絶縁膜CILだけをエッチングするため、プラグPLG2の上面形状はディッシングによる凹み形状が維持される。したがって、第2比較例におけるプラグPLG2の構造は、コンタクト層間絶縁膜CILからプラグPLG2の上端部が突出した構造となる一方、突出したプラグPLG2の上面がディッシングによる凹みを反映して王冠形状となる。この王冠形状のプラグPLG2では、コンタクト層間絶縁膜CILの上面の高さよりもバリア導体膜BF1の上端部の高さが高く、かつ、タングステン膜WFの上端部の高さはバリア導体膜BF1の上端部の高さよりも低くなっている。この王冠形状のプラグPLG2を第2比較例のプラグとする。以下では、王冠形状のプラグPLG2を王冠型プラグと呼ぶことにする。
【0038】
続いて、本実施の形態におけるプラグPLGの構造について説明する。図4は、本実施の形態におけるプラグPLGの構造を示す断面図である。図4において、コンタクト層間絶縁膜CILにはコンタクトホールCNTが形成されている。そして、このコンタクトホールCNTの内壁にバリア導体膜BF1が形成され、さらに、コンタクトホールCNTを埋め込むようにバリア導体膜BF1上にタングステン膜WFが形成されている。このように、コンタクトホールCNTにバリア導体膜BF1を介してタングステン膜WFを埋め込むことにより、プラグPLG2が形成されている。このとき、本実施の形態1におけるプラグPLGは、上面がコンタクト層間絶縁膜CILの表面(上面)よりも突出した上に凸のドーム形状をしている。つまり、本実施の形態1におけるプラグPLGは、上面が上に凸の曲線で形成されており、コンタクト層間絶縁膜CILの上面の高さよりもバリア導体膜BF1の上端部の高さが高く、かつ、タングステン膜WFの上端部の高さはバリア導体膜BF1の上端部の高さよりも高くなっている。
【0039】
このように本実施の形態1におけるプラグPLGは、第2比較例におけるプラグPLG2と同様に、コンタクト層間絶縁膜CILの上面からプラグ(プラグPLG、プラグPLG2)の上端部が突出している。ただし、本実施の形態1におけるプラグPLGと、第2比較例におけるプラグPLG2との相違点は、コンタクト層間絶縁膜CILから突出しているプラグの上端部の形状である。つまり、第2比較例におけるプラグPLG2では、コンタクト層間絶縁膜CILから突出している上端部の形状が王冠形状をしているのに対し、本実施の形態1におけるプラグPLGでは、コンタクト層間絶縁膜CILから突出している上端部の形状が上に凸のドーム形状をしている。言い換えれば、第2比較例におけるプラグPLG2では、コンタクト層間絶縁膜CILの上面の高さよりバリア導体膜BF1の上端部の高さが高く、かつ、タングステン膜WFの上端部の高さがバリア導体膜BF1の上端部の高さよりも低くなっている。これに対し、本実施の形態1におけるプラグPLGでは、コンタクト層間絶縁膜CILの上面の高さよりバリア導体膜BF1の上端部の高さが高く、かつ、タングステン膜WFの上端部の高さがバリア導体膜BF1の上端部の高さよりも高くなっている。以下では、ドーム形状のプラグPLGをドーム型プラグと呼ぶことにする。
【0040】
以上のように、第1比較例はリセス型プラグ(プラグPLG1)となっており、第2比較例は王冠型プラグ(PLG2)となっている。そして、本実施の形態1はドーム型プラグ(プラグPLG)となっている。ここで、リセス型プラグ(プラグPLG1)と、王冠型プラグ(プラグPLG2)と、ドーム型プラグ(プラグPLG)では、半導体装置の電気的特性に与える影響が異なる。具体的には、ドーム型プラグ(プラグPLG)がリセス型プラグ(プラグPLG1)や王冠型プラグ(プラグPLG2)よりも半導体装置の電気的特性を向上することができる。このことについて図面を参照しながら説明する。
【0041】
プラグの上層には配線層が形成されて、配線とプラグが電気的に接続されるが、このプラグ上に形成される配線は複数形成される。つまり、プラグ上に形成される配線は、プラグと接続される配線と、プラグとは接続されない配線が存在する。例えば、隣接して複数の配線が形成されている場合、この複数の配線のうち特定の配線とプラグが電気的に接続される。そして、特定の配線と隣接する配線がプラグと接続されない場合がある。このとき、半導体装置の微細化に伴って、隣接する配線間の距離が小さくなると、プラグと接続しない配線とプラグとの間の距離が小さくなる。さらに、配線はフォトリソグラフィ技術によるパターニングで形成されるが、フォトリソグラフィ技術ではパターンずれが生じる。したがって、フォトリソグラフィ技術のパターンずれによって、プラグと、本来プラグと接続されない配線が接触することが起こりえる。この場合、本来プラグと接続されない配線とプラグとの間にリーク電流が流れることになり、半導体装置の電気的特性を劣化させることになる。このことから、フォトリソグラフィ技術のパターンずれが生じても、本来プラグと接続されない配線とプラグが接触しにくい構造をプラグが有していることが望ましい。
【0042】
図5は、本来接続されない配線L1とプラグとの位置関係を示す断面図であり、プラグとして、リセス型プラグ(プラグPLG1)を使用した場合、王冠型プラグ(プラグPLG2)を使用した場合、ドーム型プラグ(プラグPLG)を使用した場合を比較して示す図である。図5において、左側にリセス型プラグ(プラグPLG1)を使用した場合を示し、中央に王冠型プラグ(プラグPLG2)を使用した場合を示している。そして、右側にドーム型プラグ(プラグPLG)を使用した場合を示している。なお、図5では、プラグと、本来プラグと接続されない配線L1との位置関係をわかりやすくするために、プラグと接続される配線の図示は省略している。
【0043】
図5から定性的に王冠型プラグ(プラグPLG2)よりもドーム型プラグ(プラグPLG)のほうが、本来接続されない配線L1と接触しにくくなっていることがわかる。まず、図5の中央に示されている王冠型プラグ(プラグPLG2)と、本来接続されない配線L1との位置関係について説明する。図5の中央に示すように、コンタクト層間絶縁膜CILに王冠型プラグ(プラグPLG2)が形成されており、この王冠型プラグ(プラグPLG2)の上端部がコンタクト層間絶縁膜CILから突出している。この突出した上端部を有する王冠型プラグ(プラグPLG2)上には、層間絶縁膜IL1が形成されており、この層間絶縁膜IL1に埋め込まれるように配線L1が形成されている。このとき、王冠型プラグ(プラグPLG2)の突出している上端部は、上部に進むにつれて外側に向って広がる王冠形状をしている。一方、本来プラグと接続されない配線L1も上側に向って広がる形状をしている。このことから、コンタクト層間絶縁膜CILの上面における王冠型プラグ(プラグPLG2)と配線L1との距離l1が大きくても接触することがわかる。つまり、王冠型プラグ(プラグPLG2)では、本来接続されない配線L1の位置がわずかにずれただけでも、王冠型プラグ(プラグPLG2)と配線L1が接触してしまうことがわかる。すなわち、王冠型プラグ(プラグPLG2)では、本来接続されない配線L1の位置ずれが小さくても接触する可能性が高く、ショート不良に対する配線L1の位置ずれマージンが小さくなることがわかる。
【0044】
次に、図5の右側に示されているドーム型プラグ(プラグPLG)と、本来接続されない配線L1との位置関係について説明する。図5の右側に示すように、コンタクト層間絶縁膜CILにドーム型プラグ(プラグPLG)が形成されており、このドーム型プラグ(プラグPLG)の上端部がコンタクト層間絶縁膜CILから突出している。この突出した上端部を有するドーム型プラグ(プラグPLG)上には、層間絶縁膜IL1が形成されており、この層間絶縁膜IL1に埋め込まれるように配線L1が形成されている。このとき、ドーム型プラグ(プラグPLG)の突出している上端部は上に凸のドーム形状をしており、王冠型プラグ(プラグPLG2)の突出している上端部のように、上部に進むにつれて外側に向って広がる形状をしていない。したがって、コンタクト層間絶縁膜CILの上面におけるドーム型プラグ(プラグPLG)と配線L1との距離l2が小さくても接触しにくいことがわかる。つまり、ドーム型プラグ(プラグPLG)では、本来接続されない配線L1の位置が大きくずれたとしても、ドーム型プラグ(プラグPLG)と配線L1が接触しにくくなっていることがわかる。つまり、ドーム型プラグ(プラグPLG)では、本来接続されない配線L1の位置ずれが大きくなっても接触する可能性が低く、ショート不良に対する配線L1の位置ずれマージンを大きくとれることがわかる。
【0045】
以上のことから、ドーム型プラグ(プラグPLG)は、王冠型プラグ(プラグPLG2)に比べて、本来接続されない配線L1とのショート不良が起きにくい構造であることがわかる。言い換えれば、ドーム型プラグ(プラグPLG)は、王冠型プラグ(プラグPLG2)に比べて、本来接続されない配線L1の位置ずれに対するマージンを大きくとることができる。このことは、フォトリソグラフィ技術による配線L1の位置ずれが起こっても、プラグと、本来接続されない配線L1とのショート不良を充分抑制することができ、半導体装置における電気的特性の信頼性向上を図ることができることを意味している。すなわち、本実施の形態1のようなドーム型プラグ(プラグPLG)によれば、フォトリソグラフィ技術により、本来接続されない配線L1の形成位置に多少のばらつきが生じても、このばらつきに起因した電気的特性の変動を抑制することができる。
【0046】
以下では、リセス型プラグ(プラグPLG1)と、王冠型プラグ(プラグPLG2)と、ドーム型プラグ(プラグPLG)の中で、ドーム型プラグ(プラグPLG)が最も配線ずれのマージンを大きくとれることを検証した結果を示す。図6は、リセス型プラグ(プラグPLG1)と、王冠型プラグ(プラグPLG2)と、ドーム型プラグ(プラグPLG)において、プラグ突出し量(nm)と規格化した配線ずれ量との関係を示すグラフである。図6において、横軸は、プラグのコンタクト層間絶縁膜CILからの突出し量を示しており、縦軸は、本来プラグと接続されない配線の形成位置が設計値からずれた場合であっても、プラグと配線が接触しない配線ずれ量を規格化して示している。したがって、配線ずれ量が大きいということは、本来プラグと接続されない配線とプラグが接触するまでの配線ずれ量が大きいことを意味しており、本来プラグと接続されない配線とプラグが接触しにくいことを示している。つまり、縦軸に示す配線ずれ量が大きくなれば、本来プラグと接続されない配線とプラグが接触しにくくなり、ショート不良、言い換えれば、リーク電流の増大を抑制できることを意味している。なお、図6において、菱形のプロットはリセス型プラグ(プラグPLG1)を示しており、四角のプロットは王冠型プラグ(プラグPLG2)を示している。さらに、三角のプロットはドーム型プラグ(プラグPLG)を示している。
【0047】
以上のことを考慮して図6を見ると、ドーム型プラグ(プラグPLG)の配線ずれ量がリセス型プラグ(プラグPLG1)の配線ずれ量や王冠型プラグ(PLG2)の配線ずれ量よりも大きくなっていることがわかる。これにより、ドーム型プラグ(プラグPLG)は、リセス型プラグ(プラグPLG1)や王冠型プラグ(プラグPLG2)に比べて、本来プラグと接続されない配線とプラグが接触するまでの配線ずれ量が大きく、本来プラグと接続されない配線とプラグが接触しにくいことがわかる。このことから、ドーム型プラグ(プラグPLG)によれば、フォトリソグラフィ技術による配線の位置ずれが起こっても、プラグと、本来接続されない配線とのショート不良を充分抑制することができ、半導体装置における電気的特性の信頼性向上を図ることができることがわかる。
【0048】
次に、リセス型プラグ(プラグPLG1)と、王冠型プラグ(プラグPLG2)と、ドーム型プラグ(プラグPLG)の中で、ドーム型プラグ(プラグPLG)が最も配線リーク電流値のばらつきを小さくできることを検証した結果を示す。図7は、リセス型プラグ(プラグPLG1)と、王冠型プラグ(プラグPLG2)と、ドーム型プラグ(プラグPLG)において、規格化した配線リーク電流値と累積率との関係を示すグラフである。図7において、横軸は、規格化した配線リーク電流値を示しており、縦軸は、検査対象の累積率を示している。累積率とは、例えば、1000個の半導体チップを検査対象としたときに、累積率50%とは、500個の半導体チップにおける配線リーク電流値のばらつきを示しており、累積率100%とは、1000個の半導体チップにおける配線リーク電流値のばらつきを示している。この図7に示すグラフでは、グラフのプロットが垂直に立っているほどばらつきが少ないことを意味し、かつ、左側にシフトするほど配線リーク電流値が少なくなることを意味している。なお、図7において、菱形のプロットはリセス型プラグ(プラグPLG1)を示しており、四角のプロットは王冠型プラグ(プラグPLG2)を示している。さらに、三角のプロットはドーム型プラグ(プラグPLG)を示している。
【0049】
以上のことを考慮して図7を見ると、まず、リセス型プラグ(プラグPLG1)と、王冠型プラグ(プラグPLG2)と、ドーム型プラグ(プラグPLG)の中で、ドーム型プラグ(プラグPLG)が最も垂直に立っていることがわかる。これは、ドーム型プラグ(プラグPLG)を使用すると、配線リーク電流値のばらつきを小さくできることを意味している。つまり、本実施の形態1におけるドーム型プラグ(プラグPLG)によれば、フォトリソグラフィ技術により、本来接続されない配線の形成位置に多少のばらつきが生じても、このばらつきに起因した電気的特性の変動(例えば、配線リーク電流値)を抑制することができることがわかる。
【0050】
さらに、図7からドーム型プラグ(プラグPLG)の配線リーク電流値の絶対値が最も少なくなっている。このことから、ドーム型プラグ(プラグPLG)によれば、フォトリソグラフィ技術による配線の位置ずれが起こっても、プラグと、本来接続されない配線とのショート不良を充分抑制することができ、半導体装置における電気的特性の信頼性向上を図ることができることがわかる。
【0051】
このように、フォトリソグラフィ技術による配線の形成位置ずれが生じても、本来プラグと接続されない配線とプラグとの間のリーク電流を低減することと配線リーク電流値のばらつきを低減する観点から、リセス型プラグ(プラグPLG1)と、王冠型プラグ(プラグPLG2)と、ドーム型プラグ(プラグPLG)の中で、ドーム型プラグ(プラグPLG)が最も優れていることがわかる。
【0052】
次に、ドーム型プラグ(プラグPLG)がリセス型プラグ(プラグPLG1)や王冠型プラグ(プラグPLG2)よりも半導体装置の電気的特性を向上することができる一例として、プラグと、このプラグと電気的に接続される配線との間の配線抵抗を例に挙げて説明する。
【0053】
通常、プラグ上には配線が形成されており、プラグと配線が電気的に接続されている。配線はフォトリソグラフィ技術によるパターニングで形成されるが、フォトリソグラフィ技術ではパターンずれが生じる。したがって、フォトリソグラフィ技術のパターンずれによって、プラグと配線との接触面積が変化することが生じる。この場合、配線とプラグとの間の配線抵抗が変化することになり、半導体装置の電気的特性を劣化させることになる。このことから、フォトリソグラフィ技術のパターンずれが生じても、プラグと配線との間の配線抵抗が変化しにくい構造をプラグが有していることが望ましい。
【0054】
図8は、配線L1とプラグとの位置関係を示す断面図であり、プラグとして、リセス型プラグ(プラグPLG1)を使用した場合、王冠型プラグ(プラグPLG2)を使用した場合、ドーム型プラグ(プラグPLG)を使用した場合を比較して示す図である。図8において、左側にリセス型プラグ(プラグPLG1)を使用した場合を示し、中央に王冠型プラグ(プラグPLG2)を使用した場合を示している。そして、右側にドーム型プラグ(プラグPLG)を使用した場合を示している。
【0055】
まず、図8の中央に示されている王冠型プラグ(プラグPLG2)と、接続する配線L1との位置関係について説明する。図8の中央に示すように、コンタクト層間絶縁膜CILに王冠型プラグ(プラグPLG2)が形成されており、この王冠型プラグ(プラグPLG2)の上端部がコンタクト層間絶縁膜CILから突出している。この突出した上端部を有する王冠型プラグ(プラグPLG2)上には、層間絶縁膜IL1が形成されており、この層間絶縁膜IL1に埋め込まれるように配線L1が形成されている。このとき、王冠型プラグ(プラグPLG2)の突出している上端部は、上部に進むにつれて外側に向って広がる王冠形状をしている。したがって、例えば、図8の中央に示すように、王冠型プラグ(プラグPLG2)の位置から配線L1の位置が左側にずれる場合を考える。この場合、配線L1を形成するための配線溝の内部に王冠型プラグ(プラグPLG2)の鋭角状に突出している上端部が食い込むようになる。この結果、配線溝に充分に銅膜を埋め込むことができずにボイドVODが発生するおそれが高くなる。このようなボイドVODが発生すると、配線抵抗が大きく変化してしまう。つまり、王冠型プラグ(プラグPLG2)では、王冠型プラグ(プラグPLG2)と接続される配線L1の位置がわずかにずれただけでも、配線抵抗が大きくなってしまう可能性があることがわかる。つまり、王冠型プラグ(プラグPLG2)では、配線L1の位置ずれが小さくても配線抵抗が大きく変化する可能性が高く、配線抵抗の変化に対する配線L1の位置ずれマージンが小さくなることがわかる。
【0056】
次に、図8の右側に示されているドーム型プラグ(プラグPLG)と、配線L1との位置関係について説明する。図8の右側に示すように、コンタクト層間絶縁膜CILにドーム型プラグ(プラグPLG)が形成されており、このドーム型プラグ(プラグPLG)の上端部がコンタクト層間絶縁膜CILから突出している。この突出した上端部を有するドーム型プラグ(プラグPLG)上には、層間絶縁膜IL1が形成されており、この層間絶縁膜IL1に埋め込まれるように配線L1が形成されている。このとき、ドーム型プラグ(プラグPLG)の突出している上端部は上に凸のドーム形状をしており、王冠型プラグ(プラグPLG2)の突出している上端部のように、上部に進むにつれて外側に向って広がる形状をしていない。言い換えれば、ドーム型プラグ(プラグPLG)では、鋭角状に突出している部分が存在しない。このことから、配線L1の位置ずれが生じても、配線溝に充分に銅膜を埋め込むことができ、ボイドVODの発生するおそれが低くなる。したがって、配線抵抗の変化も王冠型プラグ(プラグPLG2)ほど大きくならない。つまり、ドーム型プラグ(プラグPLG)では、ドーム型プラグ(プラグPLG)と接続される配線L1の位置が多少ずれたとしても、王冠型プラグ(プラグPLG2)ほど配線抵抗の変化が大きくなることはない。つまり、ドーム型プラグ(プラグPLG)では、配線L1の位置ずれが生じても配線抵抗の変化は小さく、配線抵抗の変化に対する配線L1の位置ずれマージンを大きくとることができる。
【0057】
以上のことから、ドーム型プラグ(プラグPLG)は、王冠型プラグ(プラグPLG2)に比べて、配線L1とプラグとの間の配線抵抗の変化が生じにくい構造であることがわかる。言い換えれば、ドーム型プラグ(プラグPLG)は、王冠型プラグ(プラグPLG2)に比べて、配線L1の位置ずれに対するマージンを大きくとることができる。このことは、フォトリソグラフィ技術による配線L1の位置ずれが起こっても、プラグと配線L1との配線抵抗の増加を充分抑制することができ、半導体装置における電気的特性の信頼性向上を図ることができることを意味している。すなわち、本実施の形態1のようなドーム型プラグ(プラグPLG)によれば、フォトリソグラフィ技術により、配線L1の形成位置に多少のばらつきが生じても、このばらつきに起因した電気的特性の変動を抑制することができる。
【0058】
以下では、リセス型プラグ(プラグPLG1)と、王冠型プラグ(プラグPLG2)と、ドーム型プラグ(プラグPLG)の中で、ドーム型プラグ(プラグPLG)が最も配線ずれのマージンを大きくとれることを検証した結果を示す。図9は、リセス型プラグ(プラグPLG1)と、王冠型プラグ(プラグPLG2)と、ドーム型プラグ(プラグPLG)において、プラグ突出し量(nm)と規格化した配線ずれ量との関係を示すグラフである。図9において、横軸は、プラグのコンタクト層間絶縁膜CILからの突出し量を示しており、縦軸は、プラグと接続される配線の形成位置が設計値からずれた場合であっても、プラグと配線との間の配線抵抗を所定範囲にすることができる配線ずれ量を規格化して示している。したがって、配線ずれ量が大きいということは、配線とプラグとの間の配線抵抗が所定範囲を超える配線ずれ量が大きいことを意味しており、配線とプラグとの間の配線抵抗の変化が少ないことを示している。なお、図6において、菱形のプロットはリセス型プラグ(プラグPLG1)を示しており、四角のプロットは王冠型プラグ(プラグPLG2)を示している。さらに、三角のプロットはドーム型プラグ(プラグPLG)を示している。
【0059】
以上のことを考慮して図9を見ると、ドーム型プラグ(プラグPLG)の配線ずれ量は、リセス型プラグ(プラグPLG1)の配線ずれ量とほぼ同等であるが、王冠型プラグ(PLG2)の配線ずれ量よりも大きくなっていることがわかる。これにより、ドーム型プラグ(プラグPLG)は、王冠型プラグ(プラグPLG2)に比べて、配線とプラグとの間の配線抵抗が所定範囲を超えるまでの配線ずれ量が大きく、配線とプラグとの間の配線抵抗が変化しにくいことがわかる。このことから、ドーム型プラグ(プラグPLG)によれば、フォトリソグラフィ技術による配線の位置ずれが起こっても、プラグと配線との間の配線抵抗の変化を小さくすることができ、半導体装置における電気的特性の信頼性向上を図ることができることがわかる。
【0060】
次に、王冠型プラグ(プラグPLG2)よりも、ドーム型プラグ(プラグPLG)が配線リーク電流値のばらつきを小さくできることを検証した結果を示す。図10は、リセス型プラグ(プラグPLG1)と、王冠型プラグ(プラグPLG2)と、ドーム型プラグ(プラグPLG)において、規格化した配線抵抗値と累積率との関係を示すグラフである。図10において、横軸は、規格化した配線抵抗値を示しており、縦軸は、検査対象の累積率を示している。累積率とは、例えば、1000個の半導体チップを検査対象としたときに、累積率50%とは、500個の半導体チップにおける配線抵抗値のばらつきを示しており、累積率100%とは、1000個の半導体チップにおける配線抵抗値のばらつきを示している。この図10に示すグラフでは、グラフのプロットが垂直に立っているほど、ばらつきが少ないことを意味し、かつ、左側にシフトするほど配線抵抗値が少なくなることを意味している。なお、図10において、菱形のプロットはリセス型プラグ(プラグPLG1)を示しており、四角のプロットは王冠型プラグ(プラグPLG2)を示している。さらに、三角のプロットはドーム型プラグ(プラグPLG)を示している。
【0061】
以上のことを考慮して図10を見ると、まず、リセス型プラグ(プラグPLG1)と、王冠型プラグ(プラグPLG2)と、ドーム型プラグ(プラグPLG)の間で、傾きに差異がないことから、配線抵抗のばらつきについては同等であると考えられる。
【0062】
一方、図10からドーム型プラグ(プラグPLG)の配線抵抗値の絶対値が王冠型プラグ(プラグPLG2)の配線抵抗値よりも少なくなっている。このことから、ドーム型プラグ(プラグPLG)によれば、フォトリソグラフィ技術による配線の位置ずれが起こっても、プラグと配線との間の配線抵抗の変化を王冠型プラグ(プラグPLG2)よりも充分抑制することができ、半導体装置における電気的特性の信頼性向上を図ることができる。
【0063】
このように、フォトリソグラフィ技術による配線の形成位置ずれが生じても、プラグと接続される配線とプラグとの間の配線抵抗の変化を小さくする観点から、王冠型プラグ(プラグPLG2)よりも、ドーム型プラグ(プラグPLG)の方が優れていることがわかる。
【0064】
次に、リセス型プラグ(プラグPLG1)に比べて、ドーム型プラグ(プラグPLG)のほうが優れている利点について説明する。図11は、リセス型プラグ(プラグPLG1)を形成したコンタクト層間絶縁膜CIL上に層間絶縁膜IL1を形成し、この層間絶縁膜IL1に位置ずれのある配線溝WD1を形成する工程を説明する断面図である。図11に示すように、リセス型プラグ(プラグPLG1)では、プラグPLG1の表面がコンタクト層間絶縁膜CILよりも凹んでいるので、配線溝WD1の深さもプラグPLG1の上面が凹んでいない場合よりも深い深さd1まで形成する必要がある。すなわち、層間絶縁膜IL1に形成する配線溝WD1の深さd1を深くするために、層間絶縁膜IL1のエッチング時間を長くする必要がある。例えば、酸化シリコン膜から形成される層間絶縁膜IL1のエッチングはプラズマを使用したドライエッチングが用いられる。このため、層間絶縁膜IL1に配線溝WD1を形成するドライエッチングで、配線溝WD1の内壁に露出する層間絶縁膜IL1の表面はプラズマによるダメージを余計に受けることになる。すると、配線溝WD1を形成した層間絶縁膜IL1の信頼性低下を招くことになる。
【0065】
これに対し、図12は、本実施の形態1におけるドーム型プラグ(プラグPLG)を形成したコンタクト層間絶縁膜CIL上に層間絶縁膜IL1を形成し、この層間絶縁膜IL1に位置ずれのある配線溝WD1を形成する工程を説明する断面図である。図12に示すように、ドーム型プラグ(プラグPLG)では、プラグPLGの表面がコンタクト層間絶縁膜CILよりも上に凸状に膨らんでいるので、配線溝WD1の深さは、プラグPLG1の上面が上に凸状に膨らんでいない場合よりも浅い深さd2まで形成すればよい。すなわち、層間絶縁膜IL1に形成する配線溝WD1の深さd2は、リセス型プラグ(プラグPLG1)を形成する場合の深さd1に比べて浅くなるため、層間絶縁膜IL1のエッチング時間を短くすることができる。この結果、層間絶縁膜IL1に配線溝WD1を形成する際、配線溝WD1の内壁に露出する層間絶縁膜IL1の表面でのプラズマダメージを低減することができる。したがって、本実施の形態1によれば、配線溝WD1の形成位置がずれた場合であっても、層間絶縁膜IL1の表面に与えるプラズマダメージを低減することができ、半導体装置の信頼性を向上することができる。
【0066】
本実施の形態1では、ドーム型プラグ(プラグPLG)を形成する点に特徴があるが、このドーム型プラグ(プラグPLG)において、コンタクト層間絶縁膜CILから上に凸状に膨らんでドーム形状となっている上端部の具体的な寸法について説明する。図13は、本実施の形態1におけるドーム型プラグ(プラグPLG)の構造を示す断面図である。図13において、ドーム型プラグ(プラグPLG)に形成されている上に凸状に膨らんでいるドーム形状の上端部(頂上部)と、コンタクト層間絶縁膜CILの表面(上面)との間の距離は、例えば、1nm〜100nmである。このドーム型プラグ(プラグPLG)の突出部は主にコンタクト層間絶縁膜CILを研磨することにより形成されるものであり、コンタクト層間絶縁膜CILの研磨量の領域によるばらつきを考慮すると、例えば、1nm〜100nm程度となる。例えば、コンタクト層間絶縁膜CILの研磨量のばらつきを例えば、研磨量の10%とすると、100nmのコンタクト層間絶縁膜CILを研磨する場合、ばらつきは10nmとなる。この10nm程度であれば、形成される突出部のばらつきも問題ない程度に抑えることができる。
【0067】
さらに、ドーム形状の上端部(頂上部)と、コンタクト層間絶縁膜CILの表面(上面)との間の距離を、100nm以下とするのは別の理由もある。例えば、コンタクト層間絶縁膜CILの研磨量を増加させるということは、予め堆積させるコンタクト層間絶縁膜CILの膜厚も厚くすることを意味している。この場合、厚いコンタクト層間絶縁膜CILにコンタクトホールを形成して、このコンタクトホールにタングステン膜を埋め込むことによりプラグPLGを形成するが、コンタクトホールのアスペクト比(高さ/底面の長さ)が大きくなって、タングステン膜を充分に埋め込むことが難しくなる。つまり、コンタクト層間絶縁膜CILの厚さを研磨する量を見込んで厚く形成すると、プラグPLGの形成が困難となるのである。このようなことから、コンタクト層間絶縁膜CILの研磨量を100nm以下にしている。この結果、ドーム形状の上端部(頂上部)と、コンタクト層間絶縁膜CILの表面(上面)との間の距離は、例えば、1nm〜100nmとなる。
【0068】
このドーム型プラグ(プラグPLG)の特徴は、コンタクト層間絶縁膜CILの表面よりもバリア導体膜BF1の上端部の高さが高く、このバリア導体膜BF1の上端部の高さよりもタングステン膜WFの上端部(頂上部)の高さが高くなるように、上に凸のドーム形状が形成されている点にある。したがって、コンタクト層間絶縁膜CILとバリア導体膜BF1の上端部との間の高さや、バリア導体膜BF1の上端部とタングステン膜WFの上端部との間の高さも規定する必要がある。具体的に、コンタクト層間絶縁膜CILとバリア導体膜BF1の上端部との間の高さは、例えば、0.1nm〜50nmであり、バリア導体膜BF1の上端部とタングステン膜WFの上端部との間の高さも、例えば、0.1nm〜50nmである。
【0069】
本実施の形態1における半導体装置は上記のように構成されており、以下に、その製造方法について図面を参照しながら説明する。
【0070】
まず、通常の半導体製造技術を使用することにより、図14に示すように、半導体基板1S上に複数のMISFETを形成する。この複数のMISFETには、nチャネル型MISFETQ1とpチャネル型MISFETQ2が含まれる。続いて、図15に示すように、nチャネル型MISFETQ1とpチャネル型MISFETQ2を形成した半導体基板1S上にコンタクト層間絶縁膜CILを形成する。このコンタクト層間絶縁膜CILは、nチャネル型MISFETQ1とpチャネル型MISFETQ2とを覆うように形成される。具体的に、コンタクト層間絶縁膜CILは、例えば、オゾンとTEOSとを原料に使用した熱CVD法により形成されるオゾンTEOS膜と、TEOSを原料に使用したプラズマCVD法により形成されるプラズマTEOS膜との積層膜から形成されている。なお、オゾンTEOS膜の下層に、例えば、窒化シリコン膜よりなるエッチングストッパ膜を形成してもよい。
【0071】
コンタクト層間絶縁膜CILをTEOS膜から形成する理由は、TEOS膜が下地段差に対する被覆性のよい膜であるからである。コンタクト層間絶縁膜CILを形成する下地は、半導体基板1SにMISFETが形成された凹凸のある状態である。つまり、半導体基板1SにMISFETが形成されているので、半導体基板1Sの表面にはゲート電極が形成されて凹凸のある下地となっている。したがって、凹凸のある段差に対して被覆性のよい膜でないと、微細な凹凸を埋め込むことができず、ボイドなどの発生原因となる。そこで、コンタクト層間絶縁膜CILには、TEOS膜が使用される。なぜなら、TEOSを原料とするTEOS膜では、原料であるTEOSが酸化シリコン膜となる前に中間体を作り、成膜表面で移動しやすくなるため、下地段差に対する被覆性が向上するからである。
【0072】
次に、図16に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、コンタクト層間絶縁膜CILにコンタクトホールCNTを形成する。このコンタクトホールCNTは、コンタクト層間絶縁膜CILを貫通して、半導体基板1Sに形成されているnチャネル型MISFETQ1やpチャネル型MISFETQ2のソース領域あるいはドレイン領域に達するように加工される。
【0073】
続いて、図17に示すように、コンタクト層間絶縁膜CILに形成したコンタクトホールCNTに金属膜を埋め込むことによりプラグPLGを形成する。具体的には、コンタクトホールCNTを形成したコンタクト層間絶縁膜CIL上に、例えば、スパッタリングを使用してバリア導体膜BF1となるチタン/窒化チタン膜(チタン膜とチタン膜上に形成された窒化チタン膜)を形成する。このチタン/窒化チタン膜は、タングステン膜を構成するタングステンがシリコン中へ拡散することを防止するために設けられている膜で、このタングステン膜が構成される際のWF(フッ化タングステン)を還元処理するCVD法において、フッ素アタックがコンタクト層間絶縁膜CILや半導体基板1Sになされてダメージを与えることを防ぐためのものである。なお、バリア導体膜BF1として、チタン/窒化チタン膜のほか、チタン、窒化チタン、あるいは、窒化タンタルのいずれかを含む単層膜や積層膜から構成してもよい。
【0074】
そして、バリア導体膜BF1上にタングステン膜WFを形成する。これにより、コンタクトホールCNTの内壁(側壁および底面)にバリア導体膜BF1が形成され、このバリア導体膜BF1上でコンタクトホールCNTを埋め込むようにタングステン膜WFが形成される。
【0075】
次に、図18に示すように、化学的機械的研磨法(CMP法)による第1研磨工程により、コンタクト層間絶縁膜CIL上に形成されている不要なタングステン膜WFの膜厚を薄くする。このとき、第1研磨工程は、コンタクト層間絶縁膜CILの研磨速度よりもタングステン膜WFの研磨速度を速くする条件で、タングステン膜WFの膜厚を薄くする。このようにコンタクト層間絶縁膜CILの研磨速度よりもタングステン膜WFの研磨速度を速くすることにより、短時間でタングステン膜WFの膜厚を薄くすることができる。具体的に、第1研磨工程では、砥粒としてフュームドシリカを使用し、過酸化水素と、鉄または鉄の化合物を含み、砥粒の濃度が5%以下の第1スラリを使用して化学的機械的研磨を実施する。この結果、第1スラリによる化学的機械的研磨は、コンタクト層間絶縁膜CILの研磨速度を1とした場合、タングステン膜WFの研磨速度が10以上1000以下である研磨を実現することができる。
【0076】
続いて、図19に示すように、化学的機械的研磨法による第2研磨工程により、コンタクト層間絶縁膜CIL上に形成されている不要なタングステン膜WFおよびバリア導体膜BF1を完全に除去するとともに、コンタクトホールCNT内にバリア導体膜BF1とタングステン膜WFを残存させることによりプラグPLGを形成する。つまり、第1研磨工程を実施した後、さらに、化学的機械的研磨法により、コンタクト層間絶縁膜CILの研磨速度よりもタングステン膜WFの研磨速度を遅くする条件で、薄膜化されたタングステン膜、バリア導体膜BF1およびコンタクト層間絶縁膜CILの一部を除去し、かつ、コンタクトホールCNTにバリア導体膜BF1とタングステン膜WFを残存させることによりプラグを形成する。このとき形成されるプラグPLGは、上面がコンタクト層間絶縁膜CILの上面から突き出た上に凸のドーム形状のドーム型プラグとなり、バリア導体膜BF1の上端部の高さは、コンタクト層間絶縁膜CILの上面よりも高く、かつ、タングステン膜WFの上端部の高さは、バリア導体膜BF1の上端部の高さよりも高くなる。
【0077】
具体的に、ドーム型プラグ(プラグPLG2)を形成するには、第2研磨工程の条件を以下のようにする必要がある。つまり、第2研磨工程では、砥粒としてフュームドシリカとコロイダルシリカとを使用し、過酸化水素と、鉄または鉄の化合物を含み、砥粒の濃度が5%以上の第2スラリを使用して化学的機械的研磨を実施する。この結果、第2スラリによる化学的機械的研磨は、コンタクト層間絶縁膜CILの研磨速度を1とした場合、タングステン膜WFの研磨速度が0.1以上1未満である研磨を実現できる。このような条件の第2研磨工程を実施することで、ドーム型プラグを形成することができる。
【0078】
第2研磨工程では、コンタクト層間絶縁膜CILの研磨速度を1とした場合、タングステン膜WFの研磨速度が0.1以上1未満である研磨を実現している。このことは、タングステン膜の研磨速度よりもコンタクト層間絶縁膜CILの研磨速度が速いことを意味している。したがって、コンタクト層間絶縁膜CIL上に形成されている不要なバリア導体膜BF1とタングステン膜WFが除去された後、コンタクトホールCNT内に埋め込まれているタングステン膜WFの研磨量よりも、コンタクトホールCNTを囲むコンタクト層間絶縁膜CILの研磨量の方が大きくなり、この結果、コンタクト層間絶縁膜CILの表面よりもコンタクトホールCNT内に埋め込まれたバリア導体膜BF1とタングステン膜WFの上端部の高さが高くなる。さらに、第2研磨工程では、タングステン膜WFも削れる条件で研磨しているので、タングステン膜WFおよびバリア導体膜BF1の角部もラウンドするように研磨されて、上面がコンタクト層間絶縁膜CILの上面から突き出た上に凸のドーム形状のドーム型プラグとなり、バリア導体膜BF1の上端部の高さは、コンタクト層間絶縁膜CILの上面よりも高く、かつ、タングステン膜WFの上端部の高さは、バリア導体膜BF1の上端部の高さよりも高くなる。
【0079】
このとき、バリア導体膜BF1の上端部の高さがコンタクト層間絶縁膜CILよりも高くなるのは、第2研磨工程で使用する第2スラリに含まれる過酸化水素はバリア導体膜BF1であるチタン/窒化チタン膜を溶かさないからである。すなわち、第2研磨工程は、砥粒による機械的研磨と、溶液(過酸化水素)による化学反応による化学的研磨の両方が使用されるが、バリア導体膜BF1は過酸化水素に溶解しないので、第2研磨工程におけるバリア導体膜BF1の研磨は、砥粒による機械的研磨が主体となる。機械的研磨では、コンタクト層間絶縁膜CILの上面よりも下側までバリア導体膜BF1を研磨することは困難となることから、バリア導体膜BF1の上端部の高さは、コンタクト層間絶縁膜CILの上面の高さよりも高くなるのである。
【0080】
また、第2研磨工程で、コンタクト層間絶縁膜CILの研磨速度を1とした場合、タングステン膜WFの研磨速度が0.1以上1未満である条件としているのは以下に示す理由による。すなわち、1未満としているのは、タングステン膜WFの研磨速度よりもコンタクト層間絶縁膜CILの研磨速度を速くすることにより、上に凸のドーム形状を形成する必要があるためである。このとき、タングステン膜WFの研磨速度は初期段階で1未満になるように設定されるが、タングステン膜WFの研磨時間が長くなるにつれて、研磨表面の温度が上昇して研磨速度が速くなる性質がある。したがって、初期段階で1未満の研磨速度になるように設定しても、研磨時間が長くなると、1以上になることがある。しかし、初期段階での研磨速度を1未満にすることで、タングステン膜WFの研磨速度がコンタクト層間絶縁膜CILの研磨速度よりも小さな条件となり、ドーム型プラグを形成することができる。すなわち、第2研磨工程の初期段階から最終段階のうち初期段階に近い段階で、タングステン膜WFの研磨速度がコンタクト層間絶縁膜CILの研磨速度を1とした場合に1未満となるのであれば、ドーム型プラグを形成することができる。
【0081】
一方、第2研磨工程で、コンタクト層間絶縁膜CILの研磨速度を1とした場合、タングステン膜WFの研磨速度が0.1以上としているのは、コンタクト層間絶縁膜CIL上に不要なタングステン膜WFが残存しないようにするためである。例えば、タングステン膜WFの研磨速度が0.1未満になると、コンタクト層間絶縁膜CIL上にタングステン膜WFが残存しやすくなる。この場合、隣接するプラグがコンタクト層間絶縁膜CIL上に残存するタングステン膜WFを介して導通してしまう不具合が発生する。また、コンタクト層間絶縁膜CIL上に残存しているタングステン膜WFが剥がれて異物となり、半導体装置の製造工程における歩留まりを低下させることにもつながる。このため、第2研磨工程では、コンタクト層間絶縁膜CILの研磨速度を1とした場合、タングステン膜WFの研磨速度を0.1以上にしているのである。
【0082】
以上のように第2研磨工程を実施することにより、ドーム型プラグであるプラグPLG2を形成することができる。次に、シングルダマシン法を使用して銅配線を形成する工程について説明する。図20に示すように、プラグPLGを形成したコンタクト層間絶縁膜CIL上に層間絶縁膜IL1を形成する。この層間絶縁膜IL1は、例えば、酸化シリコン膜から形成されており、この酸化シリコン膜は、例えば、CVD法を使用することにより形成することができる。
【0083】
そして、図21に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、層間絶縁膜IL1にトレンチ(配線溝)WD1を形成する。このトレンチWD1は、酸化シリコン膜からなる層間絶縁膜IL1を貫通して底面がプラグPLGの上面に達するように形成される。これにより、トレンチWD1の底部でプラグPLG1の表面が露出することになる。
【0084】
その後、図22に示すように、トレンチWD1を形成した層間絶縁膜IL1上にバリア導体膜BF2を形成する。具体的に、バリア導体膜BF2は、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、ルテニウム(Ru)、タングステン(W)、マンガン(Mn)およびこれらの窒化物や窒化珪化物、または、これらの積層膜から構成され、例えば、スパッタリング法を使用することにより形成することができる。言い換えれば、バリア導体膜BF2は、タンタル、チタン、ルテニウム、マンガンのいずれかの金属材料からなる金属材料膜、この金属材料とSi、N、O、Cのいずれかの元素との化合物膜のいずれかの膜から形成することができる。
【0085】
続いて、トレンチWD1の内部および層間絶縁膜IL1上に形成されたバリア導体膜BF2上に、例えば、薄い銅膜からなるシード膜をスパッタリング法により形成する。そして、このシード膜を電極とした電解めっき法により銅膜CFを形成する。この銅膜CFは、トレンチWD1に埋め込まれるように形成される。この銅膜CFは、例えば、銅を主体とする膜から形成される。具体的には、銅(Cu)または銅合金(銅(Cu)とアルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、In(インジウム)、ランタノイド系金属、アクチノイド系金属などの合金)から形成される。
【0086】
次に、図23に示すように、層間絶縁膜IL1上に形成された不要なバリア導体膜BF2および銅膜CFをCMP法で除去する。これにより、トレンチWD1にバリア導体膜BF2と銅膜CFを埋め込んだ配線L1を形成することができる。なお、配線L1の上層に、さらに、多層配線を形成するが、本明細書での説明は省略する。以上のようにして、実施の形態1における半導体装置を製造することができる。
【0087】
本実施の形態1によれば、ドーム型プラグを形成することにより、フォトリソグラフィ技術によるパターンずれによってドーム型プラグの上層に形成される配線の位置ずれが生じた場合であっても、配線の位置ずれを反映して半導体装置の電気的特性が変動することを抑制することができる。例えば、フォトリソグラフィ技術による配線の位置ずれが起こっても、プラグと、本来接続されない配線とのショート不良および配線リーク電流のばらつきを充分抑制することができ、半導体装置における電気的特性の信頼性向上を図ることができる。さらに、フォトリソグラフィ技術による配線の位置ずれが起こっても、プラグと配線との間の配線抵抗の変化を王冠型プラグよりも充分抑制することができ、この点からも半導体装置における電気的特性の信頼性向上を図ることができる。
【0088】
(実施の形態2)
前記実施の形態1では、図18に示すように、第1研磨工程により、タングステン膜WFの膜厚を薄くした後、図19に示すように、第2研磨工程を実施して、ドーム型プラグ(プラグPLG)を形成する例について説明している。本実施の形態2では、第1研磨工程により、コンタクト層間絶縁膜CIL上に形成されている不要なバリア導体膜BF1とタングステン膜WFを除去して、コンタクト層間絶縁膜CILの表面を露出する。そして、第1研磨工程を実施した後、第2研磨工程を実施して、ドーム型プラグ(プラグPLG)を形成する例について説明する。
【0089】
図14〜図17に示す工程までは、前記実施の形態1と同様である。続いて、図24に示すように、化学的機械的研磨法(CMP法)による第1研磨工程により、コンタクト層間絶縁膜CIL上に形成されている不要なタングステン膜WFおよびバリア導体膜BF1を除去して、コンタクト層間絶縁膜CILの表面を露出させる。このとき、第1研磨工程は、コンタクト層間絶縁膜CILの研磨速度よりもタングステン膜WFの研磨速度を速くする条件で、タングステン膜WFの膜厚を薄くする。このようにコンタクト層間絶縁膜CILの研磨速度よりもタングステン膜WFの研磨速度を速くすることにより、短時間でタングステン膜WFの膜厚を薄くすることができる。具体的に、第1研磨工程では、砥粒としてフュームドシリカを使用し、過酸化水素と、鉄または鉄の化合物を含み、砥粒の濃度が5%以下の第1スラリを使用して化学的機械的研磨を実施する。この結果、第1スラリによる化学的機械的研磨は、コンタクト層間絶縁膜CILの研磨速度を1とした場合、タングステン膜WFの研磨速度が10以上1000以下である研磨を実現することができる。
【0090】
次に、図25に示すように、化学的機械的研磨法による第2研磨工程により、第1研磨工程を実施することにより露出しているコンタクト層間絶縁膜CIL上と、プラグPLG内に埋め込まれているタングステン膜WFおよびバリア導体膜BF1の一部を研磨する。つまり、第1研磨工程を実施した後、さらに、化学的機械的研磨法により、コンタクト層間絶縁膜CILの研磨速度よりもタングステン膜WFの研磨速度を遅くする条件で、露出しているコンタクト層間絶縁膜CIL上と、プラグPLG内に埋め込まれているタングステン膜WFおよびバリア導体膜BF1の一部を研磨する。このとき形成されるプラグPLGは、上面がコンタクト層間絶縁膜CILの上面から突き出た上に凸のドーム形状のドーム型プラグとなり、バリア導体膜BF1の上端部の高さは、コンタクト層間絶縁膜CILの上面よりも高く、かつ、タングステン膜WFの上端部の高さは、バリア導体膜BF1の上端部の高さよりも高くなる。
【0091】
具体的に、ドーム型プラグ(プラグPLG)を形成するには、第2研磨工程の条件を以下のようにする必要がある。つまり、第2研磨工程では、砥粒としてフュームドシリカとコロイダルシリカとを使用し、過酸化水素と、鉄または鉄の化合物を含み、砥粒の濃度が5%以上の第2スラリを使用して化学的機械的研磨を実施する。この結果、第2スラリによる化学的機械的研磨は、コンタクト層間絶縁膜CILの研磨速度を1とした場合、タングステン膜WFの研磨速度が0.1以上1未満である研磨を実現できる。このような条件の第2研磨工程を実施することで、ドーム型プラグを形成することができる。
【0092】
その後の工程は、図20〜図23に示す前記実施の形態1と同様である。このようにして、本実施の形態2における半導体装置を製造することができる。
【0093】
本実施の形態2によれば、ドーム型プラグを形成することにより、フォトリソグラフィ技術によるパターンずれによってドーム型プラグの上層に形成される配線の位置ずれが生じた場合であっても、配線の位置ずれを反映して半導体装置の電気的特性が変動することを抑制することができる。例えば、フォトリソグラフィ技術による配線の位置ずれが起こっても、プラグと、本来接続されない配線とのショート不良および配線リーク電流のばらつきを充分抑制することができ、半導体装置における電気的特性の信頼性向上を図ることができる。さらに、フォトリソグラフィ技術による配線の位置ずれが起こっても、プラグと配線との間の配線抵抗の変化を王冠型プラグよりも充分抑制することができ、この点からも半導体装置における電気的特性の信頼性向上を図ることができる。
【0094】
(実施の形態3)
前記実施の形態1では、第1研磨工程と第2研磨工程を実施することにより、ドーム型プラグを形成する例について説明したが、本実施の形態3では、第1研磨工程を実施せず、最初の段階から第2研磨工程を実施することにより、ドーム型プラグを形成する例について説明する。
【0095】
図14〜図17に示す工程までは、前記実施の形態1と同様である。続いて、図17に示すように、コンタクト層間絶縁膜CIL上に形成されているバリア導体膜BF1とタングステン膜WFに対して、第2研磨工程を実施する。この第2研磨工程では、コンタクト層間絶縁膜CIL上に形成されている不要なタングステン膜WFおよびバリア導体膜BF1を除去して、コンタクト層間絶縁膜CILの表面を露出させ、さらに、露出しているコンタクト層間絶縁膜CILの一部を除去することにより、ドーム型プラグ(プラグPLG)を形成する。
【0096】
具体的に、ドーム型プラグ(プラグPLG2)を形成するには、第2研磨工程の条件を以下のようにする必要がある。つまり、第2研磨工程では、砥粒としてフュームドシリカとコロイダルシリカとを使用し、過酸化水素と、鉄または鉄の化合物を含み、砥粒の濃度が5%以上の第2スラリを使用して化学的機械的研磨を実施する。この結果、第2スラリによる化学的機械的研磨は、コンタクト層間絶縁膜CILの研磨速度を1とした場合、タングステン膜WFの研磨速度が0.1以上1未満である研磨を実現できる。このような条件の第2研磨工程を実施することで、ドーム型プラグを形成することができる。
【0097】
その後の工程は、図20〜図23に示す前記実施の形態1と同様である。このようにして、本実施の形態3における半導体装置を製造することができる。
【0098】
本実施の形態3においても、ドーム型プラグを形成することにより、フォトリソグラフィ技術によるパターンずれによってドーム型プラグの上層に形成される配線の位置ずれが生じた場合であっても、配線の位置ずれを反映して半導体装置の電気的特性が変動することを抑制することができる。例えば、フォトリソグラフィ技術による配線の位置ずれが起こっても、プラグと、本来接続されない配線とのショート不良および配線リーク電流のばらつきを充分抑制することができ、半導体装置における電気的特性の信頼性向上を図ることができる。さらに、フォトリソグラフィ技術による配線の位置ずれが起こっても、プラグと配線との間の配線抵抗の変化を王冠型プラグよりも充分抑制することができ、この点からも半導体装置における電気的特性の信頼性向上を図ることができる。
【0099】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【0100】
ここで、前記実施の形態1と前記実施の形態2で説明した半導体装置の製造方法の利点について説明する。例えば、半導体基板上には、フォトリソグラフィ技術によりパターニングによりプラグや配線を形成するが、このとき、プラグと配線との位置合わせを行なう必要がある。このようにプラグと配線の位置合わせを行なうためには、半導体基板に形成した位置合わせマークを使用して、フォトリソグラフィ技術によるパターニングを実施する。したがって、半導体基板に形成される位置合わせマークを正常に形成する必要がある。
【0101】
図26は、半導体基板に形成される位置合わせマークMKの一例を示す断面図である。図26に示すように、この位置合わせマークMKは、コンタクト層間絶縁膜CILに形成された開口部OPの内壁にバリア導体膜BF1とタングステン膜WFを形成することにより構成される。つまり、位置合わせマークMKは、プラグの形成工程を使用して形成されている。ここで、位置合わせマークMKとプラグとの相違点は、位置合わせマークMKを形成する開口部OPの径が、プラグを形成するコンタクトホールの径よりも充分に大きいという点である。このため、位置合わせマークMKの開口部OPは、タングステン膜WFで充填されずに、開口部OPの内壁にだけタングステン膜WFが形成される。この位置合わせマークMKを形成する場合も、プラグの形成工程と同様に、コンタクト層膜絶縁膜CIL上に形成されている不要なバリア導体膜BF1とタングステン膜WFとを化学的機械的研磨により除去する。
【0102】
ここで、コンタクト層間絶縁膜CIL上に形成されている不要なバリア導体膜BF1と不要なタングステン膜WFを除去する場合、タングステン膜WFとバリア導体膜BF1の研磨に時間がかかるとエロージョンと呼ばれる現象が生じる。このエロージョンと呼ばれる現象は、開口部OPの角部に機械的圧力が加わる結果、タングステン膜WFとともにコンタクト層間絶縁膜CILの角部を削られてしまう現象である。図27は、位置合わせマークMKにエロージョンが発生した状態を示す断面図である。図27に示すように、コンタクト層間絶縁膜CILが除去されて、位置合わせマークMKの形状が劣化していることがわかる。このエロージョンは、位置合わせマークMKを構成する開口部OPの径が大きいことで、開口部OPの内部にタングステン膜WFが充填されていないことに起因している。つまり、開口部OPの内壁にだけタングステン膜WFが形成されている状態で、タングステン膜WFを研磨すると、開口部OPの角部に形成されているタングステン膜WFが除去されてコンタクト層間絶縁膜CILが露出する。この開口部OPの角部は、研磨圧力が高くなることから、タングステン膜WFの研磨だけでなく、コンタクト層間絶縁膜CILの研磨も進んでしまうのである。この結果、コンタクト層間絶縁膜CILが削られるエロージョンが発生する。このエロージョンは、タングステン膜WFを研磨する時間が長くなれば長くなるほど大きくなる。
【0103】
ここで、前記実施の形態1や前記実施の形態2では、タングステン膜WFの研磨を第1研磨工程と第2研磨工程で実施している。この第1研磨工程は、コンタクト層間絶縁膜CILの研磨速度を1とした場合、タングステン膜WFの研磨速度が10以上1000以下である条件で実施している。すなわち、タングステン膜WFの研磨速度が速くなっている。つまり、不要なタングステン膜WFの除去に要する時間を短縮することができるので、位置合わせマークMKが形成されている領域でのエロージョンを小さくすることができるのである。したがって、前記実施の形態1や前記実施の形態2における半導体装置の製造方法によれば、エロージョンによる位置合わせマークMKの劣化を抑制することができるので、プラグや配線との位置合わせ精度を向上することができ、プラグに形成位置に対する配線の形成位置のずれを防止できる。この結果、ドーム型プラグを形成することとの相乗効果で、半導体装置における電気的特性の信頼性を向上できる。
【0104】
最後に、本願発明と特許文献1との差異について説明する。特許文献1には、半導体基板上に形成されるプラグを層間絶縁膜よりも高くして、層間絶縁膜上に形成される配線とプラグとの電気的接続の信頼性を向上する技術が記載されている。このようなプラグの製造方法としては、まず、層間絶縁膜の研磨速度よりもタングステン膜の研磨速度が速い条件で第1研磨を実施し、その後、層間絶縁膜の研磨速度よりもタングステン膜の研磨速度が遅い条件で第2研磨を実施するとしている。このとき、第1研磨では、アルミナ(Al)からなる砥粒、過酸化水素(H)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化アンモニウム(NHOH)などの酸や塩基性物質を使用し、第2研磨では、コロイド性シリカからなる砥粒、過酸化水素(H)、水酸化カリウム(KOH)などの塩基性物質を使用している。第2研磨におけるタングステン膜の研磨速度は50Å/分、層間絶縁膜の研磨速度は2500Å/分となっている。
【0105】
このように特許文献1には、プラグを層間絶縁膜よりも高くする技術が記載されている。しかし、プラグはタングステン膜を埋め込んでいるが、バリア導体膜に対する記載はされていない。したがって、本願発明のように、上面がコンタクト層間絶縁膜CILの上面から突き出た上に凸のドーム形状のドーム型プラグとなり、バリア導体膜BF1の上端部の高さは、コンタクト層間絶縁膜CILの上面よりも高く、かつ、タングステン膜WFの上端部の高さは、バリア導体膜BF1の上端部の高さよりも高くなるという構成は記載されていない。つまり、特許文献1には、バリア導体膜の上端部の高さがコンタクト層間絶縁膜の表面の高さよりも高くなっている記載および示唆はない。
【0106】
さらに、特許文献1では、第2研磨の際、コロイド性シリカからなる砥粒、過酸化水素(H)、水酸化カリウム(KOH)などの塩基性物質を使用しているが、水酸化カリウム(KOH)などの塩基性物質は、バリア導体膜を構成するチタン膜を溶かす性質がある。したがって、特許文献1には、そもそもバリア導体膜についての記載がないが、仮に、バリア導体膜を形成する場合を考えると、第2研磨によって、バリア導体膜は、砥粒による機械的研磨だけでなく、塩基性物質による化学的研磨も作用する。したがって、機械的研磨だけ作用する場合は、バリア導体膜の高さがコンタクト層間絶縁膜の表面よりも低くなることはないが、溶液による化学的研磨も作用する場合は、コンタクト層間絶縁膜の表面よりも低い位置に形成されているバリア導体膜にもプラグの表面から溶液がしみこんで除去されると考えられる。したがって、特許文献1による第2研磨では、バリア導体膜の上端部の高さがコンタクト層間絶縁膜の表面よりも低くなる可能性が高い。このことからも、特許文献1に記載された技術を使用しても、本願発明の特徴的構成を実現することは困難である。
【0107】
さらに、特許文献1には、第2研磨におけるタングステン膜の研磨速度は50Å/分、層間絶縁膜の研磨速度は2500Å/分となっていると記載されている。つまり、層間絶縁膜の研磨速度を1とした場合、タングステン膜の研磨速度は0.02となる。一方、本願発明では、コンタクト層間絶縁膜の研磨速度を1とした場合、タングステン膜の研磨速度が0.1以上1未満である。したがって、特許文献1に記載されているタングステン膜の研磨速度は、本願発明よりもかなり低くなっている。このことは、タングステン膜の除去に要する時間が長くなることを意味している。したがって、特許文献1では、エロージョンが大きくなり、位置合わせマークの形状劣化が起こりやすいといえる。この結果、位置合わせ精度が劣化すると考えられる。
【0108】
さらに、タングステン膜の研磨速度が必要以上に遅く、例えば、タングステン膜の研磨速度が0.1未満になると、コンタクト層間絶縁膜上にタングステン膜が残存しやすくなる。この場合、隣接するプラグがコンタクト層間絶縁膜上に残存するタングステン膜を介して導通してしまう不具合が発生する。また、コンタクト層間絶縁膜上に残存しているタングステン膜が剥がれて異物となり、半導体装置の製造工程における歩留まりを低下させることにもつながる。
【0109】
これに対し、本願発明では、コンタクト層間絶縁膜の研磨速度を1とした場合、タングステン膜の研磨速度が0.1以上1未満であることから、上述したエロージョンによる位置合わせマークの形状劣化や、コンタクト層間絶縁膜上にタングステン膜が残存することを抑制できるというと特許文献1では実現できない顕著な効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明は、半導体装置を製造する製造業に幅広く利用されるものである。
【符号の説明】
【0111】
1S 半導体基板
BF1 バリア導体膜
BF2 バリア導体膜
CF 銅膜
CIL コンタクト層間絶縁膜
CNT コンタクトホール
CS コバルトシリサイド膜
EX1 浅いn型不純物拡散領域
EX2 浅いp型不純物拡散領域
GOX ゲート絶縁膜
G1 ゲート電極
G2 ゲート電極
IL1 層間絶縁膜
L1 配線
MK 位置合わせマーク
NR 深いn型不純物拡散領域
NWL n型ウェル
PF ポリシリコン膜
PLG プラグ
PLG1 プラグ
PLG2 プラグ
PR 深いp型不純物拡散領域
PWL p型ウェル
Q1 MISFET
Q2 MISFET
STI 素子分離領域
SW サイドウォール
VOD ボイド
WD1 トレンチ(配線溝)
WF タングステン膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)半導体基板上に形成された半導体素子と、
(b)前記半導体素子を覆うように前記半導体基板上に形成された層間絶縁膜と、
(c)前記層間絶縁膜を貫通して前記半導体素子と電気的に接続されたプラグと、
(d)前記層間絶縁膜上に形成され、かつ、前記プラグと電気的に接続された配線とを備え、
前記プラグは、
(c1)前記層間絶縁膜に形成されたコンタクトホールと、
(c2)前記コンタクトホールの内壁に形成されたバリア導体膜と、
(c3)前記バリア導体膜上に形成され、かつ、前記コンタクトホールを埋め込むように形成された第1導体膜とを有する半導体装置であって、
前記プラグの上面は前記層間絶縁膜の上面から突き出た上に凸のドーム形状をしており、前記バリア導体膜の上端部の高さは、前記層間絶縁膜の上面よりも高く、かつ、前記第1導体膜の上端部の高さは、前記バリア導体膜の上端部の高さよりも高いことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置であって、
前記第1導体膜の上端部の高さは、前記層間絶縁膜の上面の高さよりも1nm〜100nmだけ高くなっていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項2記載の半導体装置であって、
前記第1導体膜の上端部の高さは、前記バリア導体膜の上端部の高さよりも0.1nm〜50nmだけ高く、かつ、前記バリア導体膜の上端部の高さは、前記層間絶縁膜の上面の高さよりも0.1nm〜50nmだけ高くなっていることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1記載の半導体装置であって、
前記バリア導体膜は、チタン、窒化チタン、あるいは、窒化タンタルのいずれかを含む膜であることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1記載の半導体装置であって、
前記第1導体膜は、タングステン膜であることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
(a)半導体基板上に半導体素子を形成する工程と、
(b)前記半導体素子を覆うように前記半導体基板上に層間絶縁膜を形成する工程と、
(c)前記層間絶縁膜を貫通するコンタクトホールを形成する工程と、
(d)前記コンタクトホール内を含む前記層間絶縁膜上にバリア導体膜を形成する工程と、
(e)前記コンタクトホール内を埋め込むように前記バリア導体膜上に第1導体膜を形成する工程と、
(f)化学的機械的研磨法により、前記第1導体膜の膜厚を薄くする工程と、
(g)前記(f)工程後、化学的機械的研磨法により、前記層間絶縁膜の研磨速度よりも前記第1導体膜の研磨速度を遅くする条件で、薄膜化された前記第1導体膜、前記バリア導体膜および前記層間絶縁膜の一部を除去し、かつ、前記コンタクトホールに前記バリア導体膜と前記タングステン膜を残存させることによりプラグを形成する工程とを備え、
前記(g)工程で形成される前記プラグの上面は前記層間絶縁膜の上面から突き出た上に凸のドーム形状をしており、前記バリア導体膜の上端部の高さは、前記層間絶縁膜の上面よりも高く、かつ、前記第1導体膜の上端部の高さは、前記バリア導体膜の上端部の高さよりも高いことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項6記載の半導体装置の製造方法であって、
前記(f)工程は、前記層間絶縁膜の研磨速度よりも前記第1導体膜の研磨速度を速くする条件で、前記第1導体膜の膜厚を薄くすることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項6記載の半導体装置の製造方法であって、
前記(f)工程は、第1スラリを使用して化学的機械的研磨法を実施し、
前記(g)工程は、第2スラリを使用して化学的機械的研磨法を実施し、
前記第1スラリは、砥粒としてフュームドシリカを使用し、過酸化水素と、鉄または鉄の化合物を含み、砥粒の濃度が5%以下のスラリであり、
前記第2スラリは、砥粒としてフュームドシリカとコロイダルシリカとを使用し、過酸化水素と、鉄または鉄の化合物を含み、砥粒の濃度が5%以上のスラリであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項6記載の半導体装置の製造方法であって、
前記(f)工程は、第1スラリを使用して化学的機械的研磨法を実施し、
前記(g)工程は、第2スラリを使用して化学的機械的研磨法を実施し、
前記第1スラリによる化学的機械的研磨は、前記層間絶縁膜の研磨速度を1とした場合、前記第1導体膜の研磨速度が10以上1000以下であり、
前記第2スラリによる化学的機械的研磨は、前記層間絶縁膜の研磨速度を1とした場合、前記第1導体膜の研磨速度が0.1以上1未満であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項6記載の半導体装置の製造方法であって、
前記(g)工程で形成される前記プラグにおいて、
前記第1導体膜の上端部の高さを、前記層間絶縁膜の上面の高さよりも1nm〜100nmだけ高く形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項11】
請求項6記載の半導体装置の製造方法であって、
前記(g)工程で形成される前記プラグにおいて、
前記第1導体膜の上端部の高さを、前記バリア導体膜の上端部の高さよりも0.1nm〜50nmだけ高くし、かつ、前記バリア導体膜の上端部の高さを、前記層間絶縁膜の上面の高さよりも0.1nm〜50nmだけ高く形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項12】
請求項6記載の半導体装置の製造方法であって、
前記(d)工程は、前記バリア導体膜を、チタン、窒化チタン、あるいは、窒化タンタルのいずれかを含む膜から形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項6記載の半導体装置の製造方法であって、
前記(e)工程は、前記第1導体膜を、タングステン膜から形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項14】
(a)半導体基板上に半導体素子を形成する工程と、
(b)前記半導体素子を覆うように前記半導体基板上に層間絶縁膜を形成する工程と、
(c)前記層間絶縁膜を貫通するコンタクトホールを形成する工程と、
(d)前記コンタクトホール内を含む前記層間絶縁膜上にバリア導体膜を形成する工程と、
(e)前記コンタクトホール内を埋め込むように前記バリア導体膜上に第1導体膜を形成する工程と、
(f)化学的機械的研磨法により、前記コンタクトホール内に前記バリア導体膜と前記第1導体膜を残しつつ、前記層間絶縁膜上に形成されている前記第1導体膜と前記バリア導体膜を除去して前記層間絶縁膜の上面を露出する工程と、
(g)前記(f)工程後、化学的機械的研磨法により、前記層間絶縁膜の研磨速度よりも前記第1導体膜の研磨速度を遅くする条件で、前記層間絶縁膜の一部を除去し、かつ、前記コンタクトホールに前記バリア導体膜と前記タングステン膜を残存させることによりプラグを形成する工程とを備え、
前記(g)工程で形成される前記プラグの上面は前記層間絶縁膜の上面から突き出た上に凸のドーム形状をしており、前記バリア導体膜の上端部の高さは、前記層間絶縁膜の上面よりも高く、かつ、前記第1導体膜の上端部の高さは、前記バリア導体膜の上端部の高さよりも高いことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項15】
請求項14記載の半導体装置の製造方法であって、
前記(f)工程は、前記層間絶縁膜の研磨速度よりも前記第1導体膜の研磨速度を速くする条件で実施することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項16】
請求項14記載の半導体装置の製造方法であって、
前記(f)工程は、第1スラリを使用して化学的機械的研磨法を実施し、
前記(g)工程は、第2スラリを使用して化学的機械的研磨法を実施し、
前記第1スラリは、砥粒としてフュームドシリカを使用し、過酸化水素と、鉄または鉄の化合物を含み、砥粒の濃度が5%以下のスラリであり、
前記第2スラリは、砥粒としてフュームドシリカとコロイダルシリカとを使用し、過酸化水素と、鉄または鉄の化合物を含み、砥粒の濃度が5%以上のスラリであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項17】
請求項14記載の半導体装置の製造方法であって、
前記(f)工程は、第1スラリを使用して化学的機械的研磨法を実施し、
前記(g)工程は、第2スラリを使用して化学的機械的研磨法を実施し、
前記第1スラリによる化学的機械的研磨は、前記層間絶縁膜の研磨速度を1とした場合、前記第1導体膜の研磨速度が10以上1000以下であり、
前記第2スラリによる化学的機械的研磨は、前記層間絶縁膜の研磨速度を1とした場合、
前記第1導体膜の研磨速度が0.1以上1未満であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項18】
請求項14記載の半導体装置の製造方法であって、
前記(g)工程で形成される前記プラグにおいて、
前記第1導体膜の上端部の高さを、前記層間絶縁膜の上面の高さよりも1nm〜100nmだけ高く形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項19】
請求項14記載の半導体装置の製造方法であって、
前記(g)工程で形成される前記プラグにおいて、
前記第1導体膜の上端部の高さを、前記バリア導体膜の上端部の高さよりも0.1nm〜50nmだけ高くし、かつ、前記バリア導体膜の上端部の高さを、前記層間絶縁膜の上面の高さよりも0.1nm〜50nmだけ高く形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項20】
請求項14記載の半導体装置の製造方法であって、
前記(d)工程は、前記バリア導体膜を、チタン、窒化チタン、あるいは、窒化タンタルのいずれかを含む膜から形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項21】
請求項14記載の半導体装置の製造方法であって、
前記(e)工程は、前記第1導体膜を、タングステン膜から形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項22】
(a)半導体基板上に半導体素子を形成する工程と、
(b)前記半導体素子を覆うように前記半導体基板上に層間絶縁膜を形成する工程と、
(c)前記層間絶縁膜を貫通するコンタクトホールを形成する工程と、
(d)前記コンタクトホール内を含む前記層間絶縁膜上にバリア導体膜を形成する工程と、
(e)前記コンタクトホール内を埋め込むように前記バリア導体膜上に第1導体膜を形成する工程と、
(f)前記層間絶縁膜の研磨速度よりも前記第1導体膜の研磨速度を遅くする条件での化学的機械的研磨法により、前記コンタクトホール内に前記バリア導体膜と前記第1導体膜を残しつつ、前記層間絶縁膜上に形成されている前記第1導体膜と前記バリア導体膜と前記層間絶縁膜の一部を除去してプラグを形成する工程と、
前記(f)工程で形成される前記プラグの上面は前記層間絶縁膜の上面から突き出た上に凸のドーム形状をしており、前記バリア導体膜の上端部の高さは、前記層間絶縁膜の上面よりも高く、かつ、前記第1導体膜の上端部の高さは、前記バリア導体膜の上端部の高さよりも高いことを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2011−29552(P2011−29552A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−176458(P2009−176458)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】