説明

半導体装置の製造方法

【課題】APM洗浄による側壁絶縁膜のエッチングレートを低減させることができる。
【解決手段】半導体装置の製造方法では、エッチング抑制層107を形成した後に、シリコン基板(半導体基板)104内にn型エクステンション領域(拡散層)112およびp型エクステンション領域(拡散層)115を形成した後、エッチング抑制層107を形成した状態でシリコン基板104の上面を洗浄する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、詳しくはゲート電極および側壁用絶縁膜の形成時に特徴を有する製造方法である。
【背景技術】
【0002】
MIS(Metal Insulator Semiconductor)型半導体装置の高集積化に対する要求を実現するため、MISトランジスタのゲート長が微細化されている。このような微細化されたMISトランジスタでは、ゲート電極の端部下に形成され且つソース・ドレイン領域の一部となるエクステンション領域は、低エネルギーのイオン注入を用いて、シリコン基板の表面領域に浅い接合が形成される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図22 (a)〜(d)及び図23(a)〜(c)は、特許文献1に記載の半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【0004】
まず図22(a)に示す工程において、シリコン基板901上に、nMISトランジスタ形成領域R_TNとpMISトランジスタ形成領域R_TPとを区画するトレンチ型の素子分離絶縁膜904を形成する。その後、シリコン基板901上の全面に、例えばシリコン酸化膜よりなるゲート絶縁膜902とポリシリコン膜とを順次形成した後、ポリシリコン膜をドライエッチング方法等によりパターニングすることによって、nMISトランジスタ及びpMISトランジスタの各ゲート電極903を形成する。
【0005】
次に図22(b)に示す工程において、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により、基板上の全面にシリコン酸化膜からなる側壁用絶縁膜905を堆積する。これにより、各ゲート電極903を含むnMISトランジスタ形成領域R_TN とpMISトランジスタ形成領域R_TPとの全体が側壁用絶縁膜905によって覆われる。
【0006】
次に図22(c)に示す工程において、CF4/O2/Arガスを用いて側壁用絶縁膜905の異方性ドライエッチングを行い、選択的にゲート電極903の側面上に側壁絶縁膜906を形成する。このとき、CF4/O2/Arガスを用いたドライエッチングでは、ドライエッチにより発生するデポ膜に対するエッチングレートが速いために、ソース・ドレイン形成領域のシリコン基板901の表面にはデポ膜がほとんど形成されず、シリコン表面が露出する。
【0007】
次に図22 (d) に示す工程において、nMIS トランジスタ形成領域R_TN上に、開口を有し且つpMIS トランジスタ形成領域R_TP 上を覆うレジストマスク907を形成する。
【0008】
その後、ゲート電極903、側壁絶縁膜906及びレジストマスク907をマスクとして、注入エネルギーが約5keV,ドーズ量が5×1014〜5×1015/cmの条件でn型不純物である砒素(As+) イオン908をイオン注入することによって、nMISトランジスタ形成領域R_TNにn型エクステンション領域909を形成する。
【0009】
次に図23(a)に示す工程において、レジストマスク907を除去した後、約10分間のAPM(アンモニア過酸化水素水溶液;ammonia and hydrogen peroxide mixtureの略)洗浄を行うことによって、基板表面に付着している異物を除去する。
【0010】
次に図23(b)に示す工程において、pMISトランジスタ形成領域R_TP上に、開口を有し且つnMISトランジスタ形成領域R_TN上を覆うレジストマスク910を形成する。
【0011】
その後、ゲート電極903、側壁絶縁膜906 及びレジストマスク910 をマスクとして、注入エネルギーが約1keV,ドーズ量が8×1013〜6×1014/cmの条件でp型不純物であるボロン(B)イオン911をイオン注入することによって、pMISトランジスタ形成領域R_TPにp型エクステンション領域912を形成する。
【0012】
次に図23(c)に示す工程において、レジストマスク910を除去した後、約10分間のAPM(アンモニア過酸化水素水溶液)洗浄を行うことによって、基板表面に付着している異物を除去する。
【特許文献1】特開2000−91290号公報 (第6項、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上記のような半導体装置の製造方法では、以下のような不具合がある。
【0014】
図23(a)の工程で、n型エクステンション領域909を形成する際にマスクとして用いたレジストマスク907を除去した後に、シリコン基板901の表面に付着している異物を除去するためにAPM洗浄を行うと、露出しているシリコン基板901の表面および側壁用絶縁膜905の表面がAPM洗浄によってエッチングされる。
【0015】
同様に図23(c)の工程でも、p型エクステンション領域912を形成する際にマスクとして用いたレジストマスク910を除去した後に、シリコン基板901の表面に付着している異物を除去するためにAPM洗浄を行うと、露出しているシリコン基板901および側壁用絶縁膜905の表面がAPM洗浄によってエッチングされる。
【0016】
つまり、このようにAPMによりシリコン基板901および側壁用絶縁膜905がエッチングされるので、n型エクステンション領域909及びp型エクステンション領域912におけるイオン注入のプロファイルが変わり、その結果、n型MISおよびp型MISのトランジスタ特性が変動してしまう。
【0017】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、APM洗浄による側壁用絶縁膜のエッチングレートを低減し、APM洗浄時のエッチングレートの面内ばらつきによるトランジスタ特性の面内ばらつきを低減することができる半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の半導体装置の製造方法では、半導体基板の上にエッチング抑制層を形成した後、半導体基板内に拡散層を形成し、その後、エッチング抑制層を形成した状態で半導体基板の上面を洗浄する。このように半導体基板の上面を洗浄する際には半導体基板の上にエッチング抑制層が形成されているので、洗浄時に半導体基板などがエッチングされることを抑制することができる。
【0019】
具体的には、本発明の半導体装置の製造方法では、まず半導体基板の上にゲート電極を形成し、次にゲート電極の側面上または側面よりも上に絶縁膜を形成し、その後エッチング抑制層を形成し、その後半導体基板内に拡散層を形成して半導体基板の上面を洗浄する。エッチング抑制層としては、窒素原子を含む層を用いてもよく、側壁用絶縁膜または側壁絶縁膜を緻密化させたものを用いてもよい。これにより、エッチング抑制層によってウェット洗浄時における絶縁膜のエッチングレートを低減させることができる。よって、ウェット洗浄時のエッチングレートの面内ばらつきによる絶縁膜の実エッチング量を低減させ、ウェット洗浄時における絶縁膜の細り量差を抑制することで、面内のトランジスタ特性差を削減することができる。
【0020】
本発明は、次に示す技術的思想に基づいている。
【0021】
例えば、図1に示すようなエッチング量に対し±5%の面内ばらつき率を持つ半導体装置を仮定すると、エッチング量の平均が1nmである場合には面内ばらつき量は±0.05nmであるが、エッチング量の平均が5nmになった場合には面内ばらつき量は±0.25nmとなる。つまり、面内ばらつき率が同一の半導体装置であっても、エッチングされる量に比例して面内ばらつき量が増加する。その結果、側壁用絶縁膜(ゲート電極の側面に設けられた絶縁膜)の幅が面内において相異なり、面内においてトランジスタ特性(特に、Vt)に差が生じる。また、半導体装置が枚葉装置である場合には、1枚毎に面内ばらつき差も発生する。
よって、面内におけるトランジスタ特性に差が生じることを抑制するためには、APMを用いてウェット洗浄を行う際に側壁用絶縁膜に対するエッチングを抑制できることが好ましい。
【0022】
種々の絶縁膜に対してAPMを用いてウェット洗浄を行ったところ、図2に示すように、絶縁膜の材質が相異なるとAPMを用いたウェット洗浄におけるエッチング選択比が相異なることがわかる。具体的には、LP-CVDで形成されたSiNと減圧CVD(図2には「LP-CVD」と記載)で形成されたSiO2とを比較すると、SiNの方がSiO2よりもエッチング選択比が低くエッチングされにくい。
【0023】
また、膜の材質が同じであってもその形成方法が相異なると、APMを用いたウェット洗浄におけるエッチング選択比が相異なることがわかる。具体的には、SiO2を形成する際に、LP-CVDで形成した場合と、高密度CVD(図2には「HDP-CVD」と記載)で形成した場合と、熱酸化により形成した場合とでは、APMを用いたウェット洗浄におけるエッチング選択比が相異なり、熱酸化により形成した場合が最もエッチング量が少なかった。この理由としては、熱酸化によりSiO2を形成するとSiO2の結晶構造が最も緻密になるからであると考えられる。これにより、エッチング抑制層として窒素原子を含む層を用いれば、または、エッチング抑制層として緻密化された側壁用絶縁膜または側壁絶縁膜を用いれば、側壁用絶縁膜または側壁絶縁膜がエッチングされることを抑制することができることがわかる。本発明では、以下に示す方法を用いてエッチング抑制層を形成している。
【0024】
本発明の半導体装置の製造方法では、プラズマ処理により側壁用絶縁膜または側壁絶縁膜の表面を窒化させてもよい。このとき、形成された窒化膜は、ウェット洗浄液に対するシリコン酸化膜との選択比を高くすることができ、エッチング抑制層として働くので、絶縁膜のウェットエッチング量を抑制することができる。この窒化膜は、例えば図2に示すような窒素濃度のプロファイルを有していることが好ましく、0.5nm以上2nm以下の範囲内にN濃度ピークを持っており、濃度ピークにおけるN濃度は1atom %以上20 atom%以下であることが好ましい。
【0025】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、Nを含む絶縁層(例えば、シリコン窒化膜)を、側壁用絶縁膜または側壁絶縁膜の上面に堆積させてもよい。このとき、Nを含む絶縁層にはNが均一に含まれていることが好ましく、その層厚は断面TEM(transmission electron microscope)評価上で0.5nm以上5.0nm以下であることが好ましい。
【0026】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、側壁用絶縁膜または側壁絶縁膜を緻密化させることが好ましい。このように、絶縁膜の結晶構造をより完全な結晶構造に近づけることができれば、側壁用絶縁膜または側壁絶縁膜をエッチング抑制層とすることができる。
【0027】
一般に、側壁用絶縁膜または側壁絶縁膜としては、低温処理による脆弱なCVD法を用いて形成された膜を用いることが多い。その理由としては、緻密な側壁用絶縁膜または側壁絶縁膜を形成する際には高温処理を行う必要があるが、高温処理を行うと不純物の拡散が進行してしまい、トランジスタ特性を劣化させるためである。しかし、側壁用絶縁膜または側壁絶縁膜にレーザー光または急速ランプ加熱などのmsecアニールを行えば、不純物拡散を抑制しつつ脆弱な膜をより完全な構造とすることができる。
【0028】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、アニール処理の代わりに側壁用絶縁膜または側壁絶縁膜に対してUV光を放射してもよい。
【0029】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、側壁用絶縁膜または側壁絶縁膜としてSiO2膜を用いた場合には、SiO2膜に対してO2を照射すれば、他の原子と結合していないSi原子にOを結合させることができ、また、Si−H結合となっている不完全な結合をSi−O結合とすることができる。同様に考えると、側壁用絶縁膜または側壁絶縁膜としてSiN膜を用いた場合には、SiN膜に対してN2を照射すれば、他の原子と結合していないSi原子にNを結合させることができ、また、Si−H結合またはSi−O結合となっている不完全な結合をSi−N結合とすることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、APM洗浄による側壁用絶縁膜のエッチングレートを低減することができるので、面内におけるトランジスタ特性のばらつきを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下では、本発明にかかる実施形態を示す。以下に示す実施形態では、いずれも、側壁用絶縁膜または側壁絶縁膜のウェット洗浄に対する選択比を低くすることにより、ウェット洗浄時のエッチング量を抑制することができ、その結果、エッチング量の面内ばらつきを低減することができる。これにより、側壁用絶縁膜または側壁絶縁膜の幅の面内ばらつきを低減することができ、半導体基板内での濃度プロファイルの面内ばらつきを低減することができ、よって、面内のトランジスタ特性差を抑制することができる。
【0032】
以下に示す実施形態ではそれぞれ、半導体装置の製造方法を示す図面(図4〜図21)では、左側にnMISトランジスタの製造方法を示しており、右側にpMISトランジスタの製造方法を示している。nMISトランジスタおよびpMISトランジスタともに同様の効果を示すので、以下では、nMISトランジスタを中心に説明を行う。なお、本発明は、以下に示す記載に限定されない。
【0033】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について図3〜図5を用いて説明する。
【0034】
まず図4(a)に示す工程において、シリコン基板(半導体基板)104上に、nMISトランジスタ形成領域Tr._NとpMISトランジスタ形成領域Tr._Pとを区画するトレンチ型の素子分離絶縁膜103を形成する。その後、シリコン基板104上の全面に、例えばシリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜102とポリシリコン膜とを順次形成した後、ポリシリコン膜をドライエッチング方法等によりパターニングすることによって、nMISトランジスタのゲート電極100及びpMISトランジスタのゲート電極105をそれぞれ形成する(工程(d))。
【0035】
次に図4(b)に示す工程において、CVD法により、基板上の全面に、シリコン酸化膜からなる側壁用絶縁膜(絶縁膜)101を堆積する。具体的には、シリコン基板104の上面のうちゲート絶縁膜102が設けられていない部分とnMISトランジスタのゲート電極100の表面とpMISトランジスタのゲート電極105の表面とに、側壁用絶縁膜101を堆積する。これにより、nMISトランジスタのゲート電極100を含むnMISトランジスタ形成領域Tr._Nの全体とpMISトランジスタのゲート電極105を含むpMISトランジスタ形成領域Tr._Pの全体とが、側壁用絶縁膜101によって覆われる。
【0036】
次に図4(c)に示す工程において、CF4/Arガスのフルオロカーボンガスを用いて側壁用絶縁膜101の異方性ドライエッチングをおこない、選択的にゲート電極100,105の側面上に側壁絶縁膜(絶縁膜)106を形成する(工程(e))。このとき、CF4/Arガスを用いてドライエッチングした場合、側壁用絶縁膜101に対するエッチングレートが遅いため、エッチング制御性を向上させることができる。
【0037】
次に図4(d)に示す工程において、N2を含むプラズマ109により、シリコン基板104の上面、nMISトランジスタのゲート電極100の上面、pMISトランジスタのゲート電極105の上面および側壁絶縁膜106の表面をそれぞれ窒化する。これにより、これらの表層にエッチング抑制層107が形成され(工程(a))、後述のようにAPMを用いてシリコン基板104の上面を洗浄しても、シリコン基板104の上面、nMISトランジスタのゲート電極100の上面、pMISトランジスタのゲート電極105の上面および側壁絶縁膜106の表面がエッチングされることを抑制することができる。この窒化されたエッチング抑制層107は、図3に示すように、表面から0.5nm以上2nm以下の範囲内にN濃度ピークをもつようなプロファイルを持つことが好ましく、また、濃度ピークにおけるN濃度は1atom%以上20atom%以下であることが好ましい。なお、プラズマを用いた窒化であるため、高温の熱処理を必要としないので、シリコン基板104等に既に注入されている不純物の拡散が起こることを抑制できる。
【0038】
次に図5(a)に示す工程において、nMISトランジスタ形成領域Tr._N上に開口を有するとともにpMISトランジスタ形成領域Tr._P上を覆うレジストマスク110を形成する。その後、ゲート電極100、側壁絶縁膜106およびレジストマスク110をマスクとして、n型不純物である砒素(As)イオン111をイオン注入する。注入条件としては、注入エネルギーが約1keV〜5keVであり、ドーズ量が5×1013〜5×1015/cm2であることが好ましい。これにより、nMISトランジスタ形成領域Tr._Nに、n型エクステンション領域(拡散層)112が形成される(工程(b))。
【0039】
次に図5(b)に示す工程において、レジストマスク110をアッシングまたは硫酸過酸化水素水溶液(SPM; sulfuric acid and hydrogen peroxide mixture)などのウェット洗浄により除去した後、約10分間のAPM(アンモニア過酸化水素水溶液)洗浄を行うことによって、基板表面に付着している異物を除去する。
【0040】
次に図5(c)に示す工程において、pMISトランジスタ形成領域Tr._P上に開口を有するとともにnMISトランジスタ形成領域Tr._N上を覆うレジストマスク113を形成する。その後、ゲート電極105、側壁絶縁膜106およびレジストマスク113をマスクとして、p型不純物であるボロン(B+)イオン114をイオン注入する。注入条件としては、注入エネルギーが約0.3keV〜2keVであり、ドーズ量が5×1013〜5×1015/cm2であることが好ましい。これにより、pMISトランジスタ形成領域Tr._Pに、p型エクステンション領域(拡散層)115が形成される(工程(b))。
【0041】
次に図5(d)に示す工程において、レジストマスク113をアッシングまたは硫酸過酸化水素水溶液(SPM)などのウェット洗浄により除去した後、約10分間のAPM(アンモニア過酸化水素水溶液)洗浄を行うことによって、基板表面に付着している異物を除去する(工程(c))。
【0042】
このように、本実施形態にかかる半導体装置の製造方法では、シリコン基板104の上面、nMISトランジスタのゲート電極100の上面、pMISトランジスタのゲート電極105の上面および側壁絶縁膜106の表面にエッチング抑制層を設け、その後、レジストマスク110,113を用いてイオン注入によりシリコン基板にn型エクステンション領域112およびp型エクステンション領域115を形成している。これにより、n型エクステンション領域112およびp型エクステンション領域115を形成した後にレジストマスク110,113を除去してシリコン基板の上面をウェット洗浄しても、シリコン基板104の上面、nMISトランジスタのゲート電極100の上面、pMISトランジスタのゲート電極105の上面および側壁絶縁膜106の表面がエッチングされることを抑制できる。よって、本実施形態にかかる半導体装置の製造方法を用いて半導体装置を製造すると、面内におけるトランジスタ特性のばらつきが抑制された半導体装置を提供することができるので、半導体装置の性能を向上させることができる。
【0043】
(第1の実施形態におけるその他の実施形態)
上記第1の実施形態では、エッチング抑制層107を形成する工程では、N2を含むプラズマ109により、シリコン基板104の上面、nMISトランジスタのゲート電極100の上面、pMISトランジスタのゲート電極105上面および側壁絶縁膜106表面を窒化している。しかしながら、エッチング抑制層107を形成する際に用いるプラズマガスとしては、N2を含むプラズマ109に限定されず、窒素原子を含み、且つ、nMISトランジスタのゲート電極100の上面、pMISトランジスタのゲート電極105の上面、側壁絶縁膜106の表面に窒素(N)が導入できるプラズマガスであればよい。
【0044】
例えば、エッチング抑制層107を形成する際に用いるプラズマガスとしては、アンモニア(NH3)ガスを用いてもよい。プラズマガスとしてアンモニアガスを用いた場合には、プラズマガスとしてN2を用いた場合に比べて、より多くの窒素を含んだエッチング抑制層を形成することができるので、後工程のAPM洗浄による側壁絶縁膜106のエッチング量を低減することができる。
【0045】
また、本実施形態における窒化はプラズマを用いた窒化であるので、高温の熱処理を必要とせず、シリコン基板などに既に注入されている不純物の拡散が起こらない。
【0046】
なお、レジスト除去にアッシングを用いた場合には、アッシングによりシリコン基板の表面に形成されたSiO2膜を窒化することで、上記SiO2膜のエッチング量を抑制することができるため、後工程での追加アッシングにおける追酸化量が低減でき、シリコン基板のエッチング量をも抑制することが可能となる。
【0047】
(第2の実施形態)
上記第1の実施形態では、側壁絶縁膜の表面を窒化してエッチング抑制層を形成したが、本発明の第2の実施形態では、側壁絶縁膜の上面上にNを含む層を堆積させる。以下、本発明の第2の実施形態について図6および図7を用いて説明する。
【0048】
まず図6(a)に示す工程において、シリコン基板(半導体基板)204上に、nMISトランジスタ形成領域Tr._NとpMISトランジスタ形成領域Tr._Pとを区画するトレンチ型の素子分離絶縁膜203を形成する。その後、シリコン基板204上の全面に、例えばシリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜202とポリシリコン膜とを順次形成した後、ポリシリコン膜をドライエッチング方法等によりパターニングすることによって、nMISトランジスタのゲート電極200及びpMISトランジスタのゲート電極205を形成する(工程(d))。
【0049】
次に、図6(b)に示す工程において、CVD法により、基板上の全面に、シリコン酸化膜からなる側壁用絶縁膜201を堆積する。これにより、nMISトランジスタのゲート電極200を含むnMISトランジスタ形成領域Tr._Nの全体とpMISトランジスタのゲート電極205を含むpMISトランジスタ形成領域Tr._Pの全体とが、側壁用絶縁膜201によって覆われる。
【0050】
次に図6(c)に示す工程において、CF4/Arガスのフルオロカーボンガスを用いて側壁用絶縁膜201の異方性ドライエッチングをおこない、選択的にゲート電極200,205の側面上に側壁絶縁膜(絶縁膜)206をそれぞれ形成する(工程(e))。このとき、CF4/Arガスを用いてドライエッチングした場合、側壁用絶縁膜201に対するエッチングレートが遅いため、エッチング制御性を向上させることができる。
【0051】
次に図6(d)に示す工程において、CVD法を用いて、シリコン基板204の上面、nMISトランジスタのゲート電極200の上面、pMISトランジスタのゲート電極205の上面および側壁絶縁膜206の表面に、SiNからなるエッチング抑制層207を堆積する(工程(a))。このSiの窒化物からなるエッチング抑制層207の層厚みは、1nm〜5nm程度であることが好ましい。
【0052】
ここで、図2に示すように、エッチング抑制層としてSiO2膜を用いた場合とSiN膜を用いた場合とでは、SiN膜を用いた場合の方がエッチング選択比を低くすることができ、その結果、シリコン基板などのエッチング量を低減することができる。エッチング抑制層を形成する際に、上記第1の実施形態のようにプラズマによりシリコン基板104の表面などを窒化するとエッチング抑制層107にOが残存する場合があるが、本実施形態のようにシリコン基板104の表面などにSiN膜を積層するとエッチング抑制層207にOが混入されることを抑制することができる。よって、本実施形態では、上記第1の実施形態に比べて、エッチング抑制層のエッチング選択比を低くすることができるので、シリコン基板204などのエッチング量の低減を図ることができる。
【0053】
次に図7(a)に示す工程において、nMISトランジスタ形成領域Tr._N上に開口を有するとともにpMISトランジスタ形成領域Tr._P上を覆うレジストマスク210を形成する。その後、ゲート電極200、側壁絶縁膜206およびレジストマスク210をマスクとして、n型不純物である砒素(As)イオン211をイオン注入する。注入条件としては、注入エネルギーが約1keV〜5keVであり、ドーズ量が5×1013〜5×1015/cm2であることが好ましい。これにより、nMISトランジスタ形成領域Tr._Nに、n型エクステンション領域(拡散層)212が形成される(工程(b))。
【0054】
次に図7(b)に示す工程において、レジストマスク210をアッシングまたは硫酸過酸化水素水溶液(SPM)などのウェット洗浄により除去した後、約10分間のAPM(アンモニア過酸化水素水溶液)洗浄を行うことによって、基板表面に付着している異物を除去する。
【0055】
次に図7(c)に示す工程において、pMISトランジスタ形成領域Tr._P上に開口を有するとともにnMISトランジスタ形成領域Tr._N上を覆うレジストマスク213を形成する。その後、ゲート電極205、側壁絶縁膜206およびレジストマスク213をマスクとして、p型不純物であるボロン(B+)イオン214をイオン注入する。注入条件としては、注入エネルギーが約0.3keV〜2keV、ドーズ量が5×1013〜5×1015/cm2であることが好ましい。これにより、pMISトランジスタ形成領域Tr._Pに、p型エクステンション領域(拡散層)215が形成される(工程(b))。
【0056】
次に図7(d)に示す工程において、レジストマスク213をアッシングまたは硫酸過酸化水素水溶液(SPM)などのウェット洗浄により除去した後、約10分間のAPM(アンモニア過酸化水素水溶液)洗浄を行うことによって、基板表面に付着している異物を除去する(工程(c))。
【0057】
このように、本実施形態にかかる半導体装置の製造方法では、上記第1の実施形態にかかる半導体装置の製造方法と同じくシリコン基板204の上面を洗浄する際にはエッチング抑制層207が形成されているので、上記第1の実施形態に記載の効果を奏する。
【0058】
また、本実施形態では、シリコン基板204の上面にエッチング抑制層207を堆積しているので、上記第1の実施形態に比べてシリコン基板204のエッチング量を低減させることができ、その結果、面内におけるトランジスタ特性のばらつきをさらに抑制することができる。
【0059】
(第2の実施形態におけるその他の実施形態)
上記第2の実施形態では、CVD法を用いてエッチング抑制層207を堆積させたが、エッチング抑制層207の形成方法はCVD法に限定されない。例えば、Nラジカルとヘキサメチルジシラザン[(CHSiNHSi(CH、略称HMDS(hexamethyldisilazane)]とを化学反応させることにより、SiNからなるエッチング抑制層207をnMISトランジスタのゲート電極200の上面、pMISトランジスタのゲート電極205の上面および側壁絶縁膜206の表面に堆積させてもよい。このように化学反応によりエッチング抑制層207を形成する手法では、プラズマを用いたSiN堆積であるため、400度程度での成膜が可能であり、高温の熱処理を必要とせず、シリコン基板204などに既に注入されている不純物の拡散を抑制することができる。
【0060】
(第3の実施形態)
上記第1および第2の実施形態では、エッチング抑制層としてNを含む層を用いたが、本発明の第3の実施形態では、側壁絶縁膜の結晶構造を緻密化させてエッチング抑制層としている。以下、本発明の第3の実施形態について図8および図9を参照しながら説明する。
【0061】
まず図8(a)に示す工程において、シリコン基板(半導体基板)304上に、nMISトランジスタ形成領域Tr._NとpMISトランジスタ形成領域Tr._Pとを区画するトレンチ型の素子分離絶縁膜303を形成する。その後、シリコン基板304上の全面に、例えばシリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜302とポリシリコン膜とを順次形成した後、ポリシリコン膜をドライエッチング方法等によりパターニングすることによって、nMISトランジスタのゲート電極300及びpMISトランジスタのゲート電極305を形成する(工程(d))。
【0062】
次に図8(b)に示す工程において、CVD法により、基板上の全面に、シリコン酸化膜からなる側壁用絶縁膜301を堆積する。これにより、nMISトランジスタのゲート電極300を含むnMISトランジスタ形成領域Tr._Nの全体とpMISトランジスタのゲート電極305を含むpMISトランジスタ形成領域Tr._Pの全体とが、側壁用絶縁膜301によって覆われる。
【0063】
次に図8(c)に示す工程において、CF4/Arガスのフルオロカーボンガスを用いて側壁用絶縁膜301の異方性ドライエッチングをおこない、選択的にゲート電極300,305の側面上に側壁絶縁膜(絶縁膜)306を形成する(工程(e))。このとき、CF4/Arガスを用いてドライエッチングした場合、側壁用絶縁膜301に対するエッチングレートが遅いため、エッチング制御性を向上することができる。
【0064】
次に図8(d)に示す工程において、側壁絶縁膜306に対して750度〜950度の温度で30秒〜120秒程度の急速加熱処理(RTA;Rapid Thermal Annealing)によるアニールを行う。これにより、側壁絶縁膜306が緻密化されてエッチング抑制層308となり(工程(a))、その結果、APM洗浄に対する選択比を低下させることができる。
【0065】
次に図9(a)に示す工程において、nMISトランジスタ形成領域Tr._N上に開口を有するとともにpMISトランジスタ形成領域Tr._P上を覆うレジストマスク310を形成する。その後、ゲート電極300、エッチング抑制層308およびレジストマスク310をマスクとして、n型不純物である砒素(As)イオン311をイオン注入する。注入条件としては、注入エネルギーが約1keV〜5keVであり、ドーズ量が5×1013〜5×1015/cm2であることが好ましい。これにより、nMISトランジスタ形成領域Tr._Nに、n型エクステンション領域(拡散層)312が形成される(工程(b))。
【0066】
次に図9(b)に示す工程において、レジストマスク310をアッシングまたは硫酸過酸化水素水溶液(SPM)などのウェット洗浄により除去した後、約10分間のAPM(アンモニア過酸化水素水溶液)洗浄を行うことによって、基板表面に付着している異物を除去する。
【0067】
次に図9(c)に示す工程において、pMISトランジスタ形成領域Tr._P上に開口を有するとともにnMISトランジスタ形成領域Tr._N上を覆うレジストマスク313を形成する。その後、ゲート電極305、エッチング抑制層308およびレジストマスク313をマスクとして、p型不純物であるボロン(B+)イオン314をイオン注入する。注入条件としては、注入エネルギーが約0.3keV〜2keVであり、ドーズ量が5×1013〜5×1015/cm2のであることが好ましい。これにより、pMISトランジスタ形成領域Tr._Pに、p型エクステンション領域(拡散層)315が形成される(工程(b))。
【0068】
次に図9(d)に示す工程において、レジストマスク313をアッシングまたは硫酸過酸化水素水溶液(SPM)などのウェット洗浄により除去した後、約10分間のAPM(アンモニア過酸化水素水溶液)洗浄を行うことによって、基板表面に付着している異物を除去する(工程(c))。
【0069】
このように、本実施形態にかかる半導体装置の製造方法では、上記第1の実施形態と同じようにシリコン基板304の上面を洗浄する際にはエッチング抑制層308が形成されているので、上記第1の実施形態に記載の効果を奏することができる。
【0070】
(第3の実施形態におけるその他の実施形態)
上記第3の実施形態では、側壁絶縁膜306の焼き締めアニール工程では、750度〜950度のRTAによる焼き締めアニールを行って、エッチング抑制層308を形成している。しかし、側壁絶縁膜306を緻密化させる方法としては、この方法に限定されることはなく、既に注入されている不純物が拡散されない条件において焼き締めアニールを行えばよい。
【0071】
例えば、レーザーまたは高周波を用いたmsecアニールを行ってもよい。アニールの方法としてmsecアニールを用いた場合には、アニール温度を1000度以上としても不純物の拡散が抑制できるため好ましい。
【0072】
また、アニール工程を行うタイミングについても、上記第3の実施形態の記載に限定されない。具体的には、側壁用絶縁膜301を堆積した後にアニール工程を行えば、側壁絶縁膜306の緻密化を図ることができる。
【0073】
(第4の実施形態)
上記第1の実施形態では、側壁用絶縁膜の一部分を除去して側壁絶縁膜とした後に、側壁絶縁膜にエッチング抑制層を形成している。しかし、本発明の第4の実施形態では、側壁用絶縁膜にエッチング抑制層を形成した後に、側壁用絶縁膜およびエッチング抑制層を除去している。以下、本発明の第4の実施形態について図10および図11を参照しながら説明する。
【0074】
まず図10(a)に示す工程において、シリコン基板(半導体基板)404上に、nMISトランジスタ形成領域Tr._NとpMISトランジスタ形成領域Tr._Pとを区画するトレンチ型の素子分離絶縁膜403を形成する。その後、シリコン基板404上の全面に、例えばシリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜402とポリシリコン膜とを順次形成した後、ポリシリコン膜をドライエッチング方法等によりパターニングすることによって、nMISトランジスタのゲート電極400及びpMISトランジスタのゲート電極405を形成する(工程(d))。
【0075】
次に図10(b)に示す工程において、CVD法により、基板上の全面にシリコン酸化膜からなる側壁用絶縁膜401を堆積する。これにより、nMISトランジスタのゲート電極400を含むnMISトランジスタ形成領域Tr._Nの全体とpMISトランジスタのゲート電極405を含むpMISトランジスタ形成領域Tr._Pの全体とが、側壁用絶縁膜401によって覆われる。
【0076】
次に図10(c)に示す工程において、Nを含むプラズマ409により側壁用絶縁膜401表面を窒化する(工程(a))。この窒化により形成されたエッチング抑制層407は、表面から0.5nm〜3nm程度にN濃度ピークをもつようなプロファイルを持つことが好ましい。なお、プラズマを用いた窒化であるため、高温の熱処理を必要とせず、既に注入されている不純物の拡散が起こらない。
【0077】
次に図10(d)に示す工程において、CF4/Arガスのフルオロカーボンガスを用いて側壁用絶縁膜401およびエッチング抑制層407に対して異方性ドライエッチングをおこない、選択的にゲート電極400,405の側面上に側壁絶縁膜(絶縁膜)406を形成する(工程(e))。このときCF4/Arガスを用いてドライエッチングした場合、側壁用絶縁膜401およびエッチング抑制層407の側壁に対するエッチングレートが遅いため、エッチング制御性を向上することができる。
【0078】
次に図11(a)に示す工程において、nMISトランジスタ形成領域Tr._N上に開口を有するとともにpMISトランジスタ形成領域Tr._P上を覆うレジストマスク410を形成する。その後、ゲート電極400、側壁絶縁膜406、エッチング抑制層407およびレジストマスク410をマスクとして、n型不純物である砒素(As)イオン411をイオン注入する。注入条件としては、注入エネルギーが約1keV〜5keVであり、ドーズ量が5×1013〜5×1015/cm2であることが好ましい。これにより、nMISトランジスタ形成領域Tr._Nにn型エクステンション領域(拡散層)412を形成する(工程(b))。
【0079】
次に図11(b)に示す工程において、レジストマスク410をアッシングまたは硫酸過酸化水素水溶液(SPM)などのウェット洗浄により除去した後、約10分間のAPM(アンモニア過酸化水素水溶液)洗浄を行うことによって、基板表面に付着している異物を除去する。
【0080】
次に図11(c)に示す工程において、pMISトランジスタ形成領域Tr._P上に開口を有するとともにnMISトランジスタ形成領域Tr._N上を覆うレジストマスク413を形成する
その後、ゲート電極405、側壁絶縁膜406およびレジストマスク413をマスクとして、p型不純物であるボロン(B+)イオン414をイオン注入する。注入条件としては、注入エネルギーが約0.3keV〜2keVであり、ドーズ量が5×1013〜5×1015/cm2であることが好ましい。これにより、pMISトランジスタ形成領域Tr._Pにp型エクステンション領域(拡散層)415を形成する(工程(b))。
【0081】
次に図11(d)に示す工程において、レジストマスク413をアッシングまたは硫酸過酸化水素水溶液(SPM)などのウェット洗浄により除去した後、約10分間のAPM(アンモニア過酸化水素水溶液)洗浄を行うことによって、基板表面に付着している異物を除去する(工程(c))。
【0082】
このように、本実施形態では、上記実施形態1とはエッチング抑制層407を形成するタイミングが相異なるが、シリコン基板404の上面を洗浄する際にはエッチング抑制層407が形成されているので、上記実施形態1と同一の効果を得ることができる。
【0083】
(第4の実施形態におけるその他の実施形態)
上記第1の実施形態においても説明したように、エッチング抑制層407を形成する際に用いるプラズマガスとしては、窒素原子を含んでおり、且つ、側壁用絶縁膜401の表面に窒素を導入可能なガスであればよい。
【0084】
例えば、プラズマガスとしてアンモニアガスを用いても良い。プラズマガスとしてアンモニアガスを用いた場合には、プラズマガスとしてN2を用いた場合に比べて、より多くの窒素を含んだエッチング抑制層を形成することができるので、後工程のAPM洗浄による側壁絶縁膜106のエッチング量を低減することができる。
【0085】
また、本実施形態における窒化はプラズマを用いた窒化であるので、高温の熱処理を必要とせず、シリコン基板などに既に注入されている不純物の拡散が起こらない。
【0086】
(第5の実施形態)
上記第4の実施形態では、側壁用絶縁膜の表面を窒化させてエッチング抑制層を形成しているが、本発明の第5の実施形態では、側壁用絶縁膜を緻密化させて側壁用絶縁膜をエッチング抑制層としている。以下、本発明の第5の実施形態について図12および図13を用いて説明する。
【0087】
まず図12(a)に示す工程において、シリコン基板(半導体基板)504上に、nMISトランジスタ形成領域Tr._NとpMISトランジスタ形成領域Tr._Pとを区画するトレンチ型の素子分離絶縁膜503を形成する。その後、シリコン基板504上の全面に、例えばシリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜502とポリシリコン膜とを順次形成した後、ポリシリコン膜をドライエッチング方法等によりパターニングすることによって、nMISトランジスタのゲート電極500及びpMISトランジスタのゲート電極505を形成する(工程(d))。
【0088】
次に図12(b)に示す工程において、CVD法により、基板上の全面にシリコン酸化膜からなる側壁用絶縁膜501を堆積する。これにより、nMISトランジスタのゲート電極500を含むnMISトランジスタ形成領域Tr._Nの全体とpMISトランジスタのゲート電極505を含むpMISトランジスタ形成領域Tr._Pの全体とが、側壁用絶縁膜501によって覆われる。その後、窒素ガス(N2)を含むプラズマガスを用いて、側壁用絶縁膜501において窒素を偏析させる。
【0089】
次に図12(c)に示す工程において、酸素ガス(O2)を含むプラズマガス509を用いて側壁用絶縁膜501の表面を酸化する。この酸化により、CVD法により、シリコン酸化膜からなる側壁用絶縁膜701の表面から0.5nm〜3nm程度に、Oが供給される。その結果、シリコン酸化膜におけるSi−H結合をSi−O結合とすることができ、また、他の原子に結合していないSi原子にOを結合させることができる。これにより、側壁用絶縁膜を緻密化させることができるので、エッチングを抑制することができる。言い換えると、この工程により、側壁用絶縁膜501の表面にエッチング抑制層507が形成される(工程(a))。なお、プラズマを用いた酸化であるため、高温の熱処理を必要とせず、既に注入されている不純物の拡散が起こらない。
【0090】
次に図12(d)に示す工程においてCF4/Arガスのフルオロカーボンガスを用いて側壁用絶縁膜501およびエッチング抑制層507に対して異方性ドライエッチングをおこない、選択的にゲート電極500,505の側面上に側壁絶縁膜(絶縁膜)506を形成する(工程(e))。このとき、CF4/Arガスを用いてドライエッチングした場合、側壁用絶縁膜501およびエッチング抑制層507の側壁に対するエッチングレートが遅いため、エッチング制御性を向上することができる。
【0091】
次に図13(a)に示す工程において、nMISトランジスタ形成領域Tr._N上に開口を有するとともにpMISトランジスタ形成領域Tr._P上を覆うレジストマスク510を形成する。その後、ゲート電極500、側壁絶縁膜506、エッチング抑制層507およびレジストマスク510をマスクとして、n型不純物である砒素(As)イオン511をイオン注入する。注入条件としては、注入エネルギーが約1keV〜5keVであり、ドーズ量が5×1013〜5×1015/cm2であることが好ましい。これにより、nMISトランジスタ形成領域Tr._Nに、n型エクステンション領域(拡散層)512が形成される(工程(b))。
【0092】
次に図13(b)に示す工程において、レジストマスク510をアッシングまたは硫酸過酸化水素水溶液(SPM)などのウェット洗浄により除去した後、約10分間のAPM(アンモニア過酸化水素水溶液)洗浄を行うことによって、基板表面に付着している異物を除去する。
【0093】
次に図13(c)に示す工程において、pMISトランジスタ形成領域Tr._P上に開口を有するとともにnMISトランジスタ形成領域Tr._N上を覆うレジストマスク513を形成する。その後、ゲート電極505、側壁絶縁膜506およびレジストマスク513をマスクとして、p型不純物であるボロン(B+)イオン514をイオン注入する。注入条件としては、注入エネルギーが約0.3keV〜2keVであり、ドーズ量が5×1013〜5×1015/cm2であることが好ましい。これにより、pMISトランジスタ形成領域Tr._Pに、p型エクステンション領域(拡散層)515が形成される(工程(b))。
【0094】
次に図13(d)に示す工程において、レジストマスク513をアッシングまたは硫酸過酸化水素水溶液(SPM)などのウェット洗浄により除去した後、約10分間のAPM(アンモニア過酸化水素水溶液)洗浄を行うことによって、基板表面に付着している異物を除去する(工程(c))。
【0095】
このように、本実施形態にかかる半導体装置の製造方法では、上記第1の実施形態と同じようにシリコン基板504の上面を洗浄する際にはエッチング抑制層507が形成されているので、上記第1の実施形態に記載の効果を奏することができる。
【0096】
(第5の実施形態におけるその他の実施形態)
側壁用絶縁膜506として、SiO2膜を用いたが、SiN膜を用いてもよい。側壁用絶縁膜506としてSiN膜を用いた場合には、プラズマガスとして窒素ガスを用いると、SiN膜の緻密化を図ることができる。詳細には、SiN膜において他の原子と結合していないSi原子にN原子を結合させることができ、さらには、SiN膜におけるSi−H結合およびSi−O結合をSi−N結合にすることができ、よって、SiN膜を緻密化させることができる。
【0097】
(第6の実施形態)
上記第1の実施形態では、ゲート電極の側面上に側壁絶縁膜を形成し側壁絶縁膜の表面にエッチング抑制層を形成しているが、本発明の第6の実施形態では、ゲート電極の側面上に第2の側壁絶縁膜を形成した後、第2の側壁絶縁膜の上面に側壁絶縁膜を形成し、側壁絶縁膜の表面にエッチング抑制層を形成している。以下、本発明の第6の実施形態について、図14〜図17を参照しながら説明する。
【0098】
まず図14(a)に示す工程において、シリコン基板(半導体基板)604上に、nMISトランジスタ形成領域Tr._NとpMISトランジスタ形成領域Tr._Pとを区画するトレンチ型の素子分離絶縁膜603を形成する。その後、シリコン基板604上の全面に、例えばシリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜602とポリシリコン膜とを順次形成した後、ポリシリコン膜をドライエッチング方法等によりパターニングすることによって、nMISトランジスタのゲート電極600及びpMISトランジスタのゲート電極605を形成する(工程(d))。
【0099】
次に図14(b)に示す工程において、CVD法により、基板上の全面にシリコン酸化膜からなる第2の側壁用絶縁膜601を堆積する。これにより、nMISトランジスタのゲート電極600を含むnMISトランジスタ形成領域Tr._Nの全体とpMISトランジスタのゲート電極605を含むpMISトランジスタ形成領域Tr._Pの全体とが、第2の側壁用絶縁膜601によって覆われる。
【0100】
次に図14(c)に示す工程において、CF4/Arガスのフルオロカーボンガスを用いて第2の側壁用絶縁膜601の異方性ドライエッチングをおこない、選択的にゲート電極600,605の側面上に第2の側壁絶縁膜606を形成する。このときCF4/Arガスを用いてドライエッチングした場合、第2の側壁用絶縁膜601に対するエッチングレートが遅いため、エッチング制御性を向上することができる。
【0101】
次に図14(d)に示す工程において、nMISトランジスタ形成領域Tr._N上に開口を有するとともにpMISトランジスタ形成領域Tr._P上を覆うレジストマスク610を形成する。その後、ゲート電極600、第2の側壁絶縁膜606およびレジストマスク610をマスクとして、n型不純物である砒素(As)イオン611をイオン注入する。イオン注入の条件として、注入エネルギーが約1keV〜5keVであり、ドーズ量が5×1013〜5×1015/cm2であることが好ましい。これにより、nMISトランジスタ形成領域Tr._Nに、n型エクステンション領域612が形成される。
【0102】
次に図15(a)に示す工程において、レジストマスク610をアッシングまたは硫酸過酸化水素水溶液(SPM)などのウェット洗浄により除去した後、約10分間のAPM(アンモニア過酸化水素水溶液)洗浄を行うことによって、基板表面に付着している異物を除去する。
【0103】
次に図15(b)に示す工程において、pMISトランジスタ形成領域Tr._P上に開口を有するとともにnMISトランジスタ形成領域Tr._N上を覆うレジストマスク613を形成する。その後、ゲート電極605、第2の側壁絶縁膜606およびレジストマスク613をマスクとして、p型不純物であるボロン(B+)イオン614をイオン注入する。イオン注入の条件として、注入エネルギーが約0.3keV〜2keVであり、ドーズ量が5×1013〜5×1015/cm2であることが好ましい。これにより、pMISトランジスタ形成領域Tr._Pに、p型エクステンション領域615が形成される。
【0104】
次に図15(c)に示す工程において、レジストマスク613をアッシングまたは硫酸過酸化水素水溶液(SPM)などのウェット洗浄により除去した後、約10分間のAPM(アンモニア過酸化水素水溶液)洗浄を行うことによって、基板表面に付着している異物を除去する。
【0105】
次に図15(d)に示す工程において、CVD法により、基板上の全面にシリコン窒化膜からなる側壁用絶縁膜616を堆積する。これにより、nMISトランジスタのゲート電極600および第2の側壁絶縁膜606を含むnMISトランジスタ形成領域Tr._Nの全体とpMISトランジスタのゲート電極605および第2の側壁絶縁膜606を含むpMISトランジスタ形成領域Tr._Pの全体とが、側壁用絶縁膜616によって覆われる。
【0106】
次に図16(a)に示す工程において側壁用絶縁膜616の異方性ドライエッチングをおこない、選択的にゲート電極600,605および第2の側壁絶縁膜606の側面上に側壁絶縁膜(絶縁膜)617を形成する(工程(e))。
【0107】
次に図16(b)に示す工程において、Nを含むプラズマ618によりシリコン基板604の表面、nMISトランジスタのゲート電極600の表面、pMISトランジスタのゲート電極605の表面、第2の側壁絶縁膜606の表面および側壁絶縁膜617の表面を窒化する(工程(a))。この窒化により形成されたエッチング抑制層619は、表面から0.5nm〜3nm程度にN濃度ピークをもつようなプロファイルを持つことが好ましい。なお、プラズマを用いた窒化であるため、高温の熱処理を必要としないので、既に注入されている不純物の拡散が起こらない。
【0108】
次に図16(c)に示す工程において、nMISトランジスタ形成領域Tr._N上に開口を有するとともにpMISトランジスタ形成領域Tr._P上を覆うレジストマスク620を形成する。その後、ゲート電極600、第2の側壁絶縁膜606、側壁絶縁膜617およびレジストマスク620をマスクとして、n型不純物である砒素(As)イオン621をイオン注入する。注入条件としては、注入エネルギーが約5keV〜30keVであり、ドーズ量が1×1014〜1×1016/cm2であることが好ましい。これにより、nMISトランジスタ形成領域Tr._Nに、n型ソース・ドレイン領域(拡散層)622が形成される(工程(b))。
【0109】
次に図16(d)に示す工程において、レジストマスク620をアッシングまたは硫酸過酸化水素水溶液(SPM)などのウェット洗浄により除去した後、約10分間のAPM(アンモニア過酸化水素水溶液)洗浄を行うことによって、基板表面に付着している異物を除去する。
【0110】
次に図17(a)に示す工程において、pMISトランジスタ形成領域Tr._P上に開口を有するとともにnMISトランジスタ形成領域Tr._N上を覆うレジストマスク623を形成する。その後、ゲート電極605、第2の側壁絶縁膜606、側壁絶縁膜617およびレジストマスク623をマスクとして、p型不純物であるボロン(B+)イオン624をイオン注入する。注入条件としては、注入エネルギーが約5keV〜20keVであり、ドーズ量が1×1014〜1×1016/cm2であることが好ましい。これにより、pMISトランジスタ形成領域Tr._Pのp型ソース・ドレイン領域(拡散層)625が形成される(工程(b))。
【0111】
次に図17(b)に示す工程において、レジストマスク623をアッシングまたは硫酸過酸化水素水溶液(SPM)などのウェット洗浄により除去した後、約10分間のAPM(アンモニア過酸化水素水溶液)洗浄を行うことによって、基板表面に付着している異物を除去する(工程(c))。
【0112】
このように、シリコン基板604内にn型エクステンション領域612およびp型エクステンション領域615だけでなくn型ソース・ドレイン領域622およびp型ソース・ドレイン領域625を形成する場合であっても、ウェット洗浄時にはエッチング抑制層619が形成されているので、ウェット洗浄時における側壁絶縁膜617のエッチングを抑制することができる。
【0113】
(第6の実施形態におけるその他の実施形態)
上記第6の実施形態では、エッチング抑制層619を形成する工程では、側壁用絶縁膜616の異方性ドライエッチングを行ってシリコン基板604の表面を露出させた後、Nを含むプラズマ618によりシリコン基板604の表面、nMISトランジスタのゲート電極600の表面、pMISトランジスタのゲート電極605の表面、第2の側壁絶縁膜606および側壁絶縁膜617の表面を窒化する。しかしながら、エッチング抑制層619を形成する際に用いるプラズマガスとしては、Nを含むプラズマガスに限定されず、窒素原子を含んでおり、且つ、nMISトランジスタのゲート電極600、pMISトランジスタのゲート電極605、第2の側壁絶縁膜606および側壁絶縁膜617に窒素(N)が導入できるプラズマガスであればよい。
【0114】
例えば、エッチング抑制層619を形成する際に用いるプラズマガスとしては、アンモニア(NH3)ガスを用いてもよい。プラズマガスとしてアンモニアガスを用いた場合には、プラズマガスとしてN2を用いた場合に比べて、より多くの窒素を含んだエッチング抑制層を形成することができるので、後工程のAPM洗浄における側壁絶縁膜617のエッチング量を低減することができる。
【0115】
また、本実施形態における窒化はプラズマを用いた窒化であるため、高温の熱処理を必要とせず、シリコン基板などに既に注入されている不純物の拡散が起こらない。
【0116】
また、上記タイミングで、側壁絶縁膜617などを窒化しなくてもよい。すなわち、第4の実施形態で記載したように、図15(d)に示すように側壁用絶縁膜616を堆積した後に、窒素ガスまたはアンモニアガスを含むプラズマガスを用いて側壁用絶縁膜616を窒化し、その後、側壁用絶縁膜616の一部分を除去しても良い。
【0117】
さらには、エッチング抑制層619を形成する際には、上記第2の実施形態のように側壁絶縁膜の上面にNを含む層を堆積させてもよく、側壁絶縁膜617が窒化膜であればN2を含むプラズマを用いたプラズマ処理を行って窒素を偏析させて側壁絶縁膜617の表面を緻密化させてもよく、上記第5の実施形態のように側壁絶縁膜617が酸化膜であればO2を含むプラズマを用いて側壁絶縁膜の表面を緻密化させても良く、または、アニール処理を行って側壁絶縁膜の表面を緻密化させてもよい。なお、アニール処理は、側壁絶縁膜617の材質によらず側壁絶縁膜617の表面を緻密化させることができる。
【0118】
(第7の実施形態)
上記第6の実施形態では、側壁絶縁膜を窒化してエッチング抑制層を形成しているが、本発明の第7の実施形態では、側壁絶縁膜を緻密化してエッチング抑制層としている。以下、本発明の第7の実施形態について図18〜図21を参照しながら説明する。
【0119】
まず図18(a)に示す工程において、シリコン基板(半導体基板)704上に、nMISトランジスタ形成領域Tr._NとpMISトランジスタ形成領域Tr._Pとを区画するトレンチ型の素子分離絶縁膜703を形成する。その後、シリコン基板704上の全面に、例えばシリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜702とポリシリコン膜とを順次形成した後、ポリシリコン膜をドライエッチング方法等によりパターニングすることによって、nMISトランジスタのゲート電極700及びpMISトランジスタのゲート電極705を形成する(工程(d))。
【0120】
次に図18(b)に示す工程において、CVD法により、基板上の全面にシリコン酸化膜からなる第2の側壁用絶縁膜701を堆積する。これにより、nMISトランジスタのゲート電極700を含むnMISトランジスタ形成領域Tr._Nの全体とpMISトランジスタのゲート電極705を含むpMISトランジスタ形成領域Tr._Pの全体とが、第2の側壁用絶縁膜701によって覆われる。
【0121】
次に図18(c)に示す工程においてCF4/Arガスのフルオロカーボンガスを用いて第2の側壁用絶縁膜701の異方性ドライエッチングをおこない、選択的にゲート電極700,705の側面上に第2の側壁絶縁膜706を形成する。このときCF4/Arガスを用いてドライエッチングした場合、第2の側壁用絶縁膜701に対するエッチングレートが遅いため、エッチング制御性を向上することができる。
【0122】
次に図18(d)に示す工程において、nMISトランジスタ形成領域Tr._N上に開口を有するとともにpMISトランジスタ形成領域Tr._P上を覆うレジストマスク710を形成する。その後、ゲート電極700、第2の側壁絶縁膜706およびレジストマスク710をマスクとして、n型不純物である砒素(As)イオン711をイオン注入する。イオン注入の条件としては、注入エネルギーが約1keV〜5keVであり、ドーズ量が5×1013〜5×1015/cm2であることが好ましい。これにより、nMISトランジスタ形成領域Tr._Nに、n型エクステンション領域712が形成される。
【0123】
次に図19(a)に示す工程において、レジストマスク710をアッシングまたは硫酸過酸化水素水溶液(SPM)などのウェット洗浄により除去した後、約10分間のAPM(アンモニア過酸化水素水溶液)洗浄を行うことによって、基板表面に付着している異物を除去する。
【0124】
次に図19(b)に示す工程において、pMISトランジスタ形成領域Tr._P上に開口を有するとともにnMISトランジスタ形成領域Tr._N上を覆うレジストマスク713を形成する。その後、ゲート電極705、第2の側壁絶縁膜706およびレジストマスク713をマスクとして、p型不純物であるボロン(B+)イオン714をイオン注入する。注入条件としては、注入エネルギーが約0.3keV〜2keVであり、ドーズ量が5×1013〜5×1015/cm2であることが好ましい。これにより、pMISトランジスタ形成領域Tr._Pに、p型エクステンション領域715が形成される。
【0125】
次に図19(c)に示す工程において、レジストマスク713をアッシングまたは硫酸過酸化水素水溶液(SPM)などのウェット洗浄により除去した後、約10分間のAPM(アンモニア過酸化水素水溶液)洗浄を行うことによって、基板表面に付着している異物を除去する。
【0126】
次に図19(d)に示す工程において、CVD法により、基板上の全面にシリコン窒化膜からなる側壁用絶縁膜716を堆積する。これにより、nMISトランジスタのゲート電極700および第2の側壁絶縁膜706を含むnMISトランジスタ形成領域Tr._Nの全体とpMISトランジスタのゲート電極705および第2の側壁絶縁膜706を含むpMISトランジスタ形成領域Tr._Pの全体とが、側壁用絶縁膜716によって覆われる。
【0127】
次に図20(a)に示す工程において側壁用絶縁膜716の異方性ドライエッチングをおこない、選択的にゲート電極700,705および第2の側壁絶縁膜706の側面上に側壁絶縁膜(絶縁膜)717を形成する(工程(e))。
【0128】
次に図20(b)に示す工程において、側壁絶縁膜717を750度〜950度の温度でで30秒〜120秒程度の急速加熱処理(RTA)によるアニールを行う。これにより、側壁絶縁膜717が緻密化されてエッチング抑制層718となり(工程(a))、その結果、APM洗浄に対する選択比を低下させることができる。
【0129】
次に図20(c)に示す工程において、nMISトランジスタ形成領域Tr._N上に開口を有するとともにpMISトランジスタ形成領域Tr._P上を覆うレジストマスク720を形成する。その後、ゲート電極700、第2の側壁絶縁膜706、側壁絶縁膜717およびレジストマスク720をマスクとして、n型不純物である砒素(As)イオン721をイオン注入する。注入条件としては、注入エネルギーが約5keV〜30keVであり、ドーズ量が1×1014〜1×1016/cm2であることが好ましい。これにより、nMISトランジスタ形成領域Tr._Nに、n型ソース・ドレイン領域(拡散層)722が形成される(工程(b))。
【0130】
次に図20(d)に示す工程において、レジストマスク720をアッシングまたは硫酸過酸化水素水溶液(SPM)などのウェット洗浄により除去した後、約10分間のAPM(アンモニア過酸化水素水溶液)洗浄を行うことによって、基板表面に付着している異物を除去する。
【0131】
次に図21(a)に示す工程において、pMISトランジスタ形成領域Tr._P上に開口を有するとともにnMISトランジスタ形成領域Tr._N上を覆うレジストマスク723を形成する。その後、ゲート電極705、第2の側壁絶縁膜706、側壁絶縁膜717およびレジストマスク723をマスクとして、p型不純物であるボロン(B+)イオン724をイオン注入する。イオン注入の条件としては、注入エネルギーが約5keV〜20keVであり、ドーズ量が1×1014〜1×1016/cm2であることが好ましい。これにより、pMISトランジスタ形成領域Tr._Pに、p型ソース・ドレイン領域(拡散層)725が形成される(工程(b))。
【0132】
次に図21(b)に示す工程において、レジストマスク723をアッシングまたは硫酸過酸化水素水溶液(SPM)などのウェット洗浄により除去した後、約10分間のAPM(アンモニア過酸化水素水溶液)洗浄を行うことによって、基板表面に付着している異物を除去する(工程(c))。
【0133】
このように、シリコン基板704内にn型エクステンション領域712およびp型エクステンション領域715だけでなくn型ソース・ドレイン領域722およびp型ソース・ドレイン領域725を形成する場合であっても、ウェット洗浄を行う際にはエッチング抑制層718が形成されているので、ウェット洗浄時における側壁絶縁膜717のエッチングを抑制することができる。
【0134】
(第7の実施形態におけるその他の実施形態)
上記第7の実施形態では、側壁絶縁膜717のアニール工程では、750度〜950度の温度でRTAによるアニールを行うことにより側壁絶縁膜717を緻密化している。しかしながら、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。すなわち、緻密な側壁絶縁膜を形成するためのアニール工程では、シリコン基板などに既に注入されている不純物が拡散されない条件での焼き締めアニールであればよい。
【0135】
例えば、アニール方法としては、レーザーまたは高周波を用いたmsecアニールを用いてもよい。上記msecアニールを用いた場合には、アニール温度を1000度以上としても不純物の拡散が抑制できるため好ましい。
【0136】
また、アニールするタイミングについても、上記実施形態に限定されるものではない。すなわち緻密な側壁絶縁膜を形成するためには、側壁用絶縁膜716を堆積した後であれば、いつでも上記焼き締めアニールにより側壁絶縁膜717をより緻密にすることができる。
【0137】
さらには、側壁絶縁膜を緻密にする方法としては、上記第5の実施形態のように側壁絶縁膜の表面に酸素ガスを含むプラズマガスを照射してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0138】
以上説明したように、本発明では、APM洗浄による側壁絶縁膜のエッチングレートを低減させることができるので、トランジスタ特性の面内ばらつきを抑制させたい場合に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】従来の問題点を説明するためのエッチング量ばらつきと処理時間の関係を示すグラフ
【図2】従来の問題点を説明するためのエッチング選択比と膜質の関係を示すグラフ
【図3】本願発明の特徴を説明するためのN2プラズマによるNの深さプロファイル
【図4】(a)〜(d) は、第1の実施形態の半導体装置の製造過程を示す第1の断面図
【図5】(a)〜(d) は、第1の実施形態の半導体装置の製造過程を示す第2の断面図
【図6】(a)〜(d) は、第2の実施形態の半導体装置の製造過程を示す第1の断面図
【図7】(a)〜(d) は、第2の実施形態の半導体装置の製造過程を示す第2の断面図
【図8】(a)〜(d) は、第3の実施形態の半導体装置の製造過程を示す第1の断面図
【図9】(a)〜(d) は、第3の実施形態の半導体装置の製造過程を示す第2の断面図
【図10】(a)〜(d) は、第4の実施形態の半導体装置の製造過程を示す第1の断面図
【図11】(a)〜(d) は、第4の実施形態の半導体装置の製造過程を示す第2の断面図
【図12】(a)〜(d) は、第5の実施形態の半導体装置の製造過程を示す第1の断面図
【図13】(a)〜(d) は、第5の実施形態の半導体装置の製造過程を示す第2の断面図
【図14】(a)〜(d) は、第6の実施形態の半導体装置の製造過程を示す第1の断面図
【図15】(a)〜(d) は、第6の実施形態の半導体装置の製造過程を示す第2の断面図
【図16】(a)〜(d) は、第6の実施形態の半導体装置の製造過程を示す第3の断面図
【図17】(a)〜(b) は、第6の実施形態の半導体装置の製造過程を示す第4の断面図
【図18】(a)〜(d) は、第7の実施形態の半導体装置の製造過程を示す第1の断面図
【図19】(a)〜(d) は、第7の実施形態の半導体装置の製造過程を示す第2の断面図
【図20】(a)〜(d) は、第7の実施形態の半導体装置の製造過程を示す第3の断面図
【図21】(a)〜(b) は、第7の実施形態の半導体装置の製造過程を示す第4の断面図
【図22】(a)〜(d) は、従来の半導体装置の製造工程を示す第1の断面図
【図23】(a)〜(d) は、従来の半導体装置の製造工程を示す第2の断面図
【符号の説明】
【0140】
100,200,300,400,500,600,700 ゲート電極
104,204,304,404,504,604,704 シリコン基板
105,205,305,405,505,605,705 ゲート電極
106,206,306,406,506,617,717 側壁絶縁膜
107,207,308,407,507,619,718 エッチング抑制層
112,212,312,412,512 n型エクステンション領域
115,215,315,415,515 p型エクステンション領域
606,706 第2の側壁絶縁膜
622 n型ソース・ドレイン領域
625 p型ソース・ドレイン領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の上面よりも上に、エッチング抑制層を形成する工程(a)と、
前記工程(a)の後に、前記半導体基板内に、拡散層を形成する工程(b)と、
前記工程(b)の後に、前記エッチング抑制層が形成された状態で、前記半導体基板の前記上面を洗浄する工程(c)とを備えた、半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(a)より前に、前記半導体基板の上にゲート電極を設ける工程(d)と、
前記工程(d)と前記工程(a)との間に、前記ゲート電極の側面上もしくは前記ゲート電極の前記側面よりも上に絶縁膜を設ける工程(e)とを備え、
前記工程(b)では、前記ゲート電極および前記絶縁膜をマスクとして、イオン注入により前記半導体基板内に前記拡散層を形成する、半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(e)では、前記ゲート電極の前記側面上に前記絶縁膜を設ける、半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項2または3に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(e)では、前記半導体基板の前記上面のうち前記ゲート電極が設けられていない部分の上および前記ゲート電極の上面上にも、前記絶縁膜を設ける、半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項2に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(e)では、前記ゲート電極の前記側面上に第2の絶縁膜を形成した後に、前記半導体基板内にエクステンション領域を形成し、その後、前記第2の絶縁膜上に前記絶縁膜を設け、
前記工程(b)では、前記拡散層としてソース・ドレイン領域を形成する、半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項2から5のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法において、
前記エッチング抑制層として、窒素原子を含む層を用い、
前記工程(a)では、前記窒素原子を含む層を、前記絶縁膜の表層または前記絶縁膜の表面上に形成する、半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(a)では、窒素ガスを含むプラズマガスを用いたプラズマ処理を行うことにより、前記絶縁膜の前記表面を窒化させる、半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項6に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(a)では、アンモニアガスを含むプラズマガスを用いたプラズマ処理を行うことにより、前記絶縁膜の前記表面を窒化させる、半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項6に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(a)では、前記窒素原子を含む層を前記絶縁膜の上面に堆積させる、半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(a)では、前記エッチング抑制層の層厚を0.5nm以上5nm以下とする、半導体装置の製造方法。
【請求項11】
請求項2から5のいずれか一つに記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(a)では、前記絶縁膜を緻密化させることにより、前記絶縁膜が前記エッチング抑制層となる、半導体装置の製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(a)では、アニール処理を行う、半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載の半導体装置の製造方法において、
前記アニール処理としては、RTAアニール、または、msec アニールを行う、半導体装置の製造方法。
【請求項14】
請求項11に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(e)では、シリコン酸化膜を前記絶縁膜として用い、
前記工程(a)では、酸素ガスを含むプラズマガスを用いたプラズマ処理を行う、半導体装置の製造方法。
【請求項15】
請求項1から14の何れか1つに記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(c)では、アンモニア過酸化水素水溶液を用いて前記半導体基板の前記上面を洗浄する、半導体装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate


【公開番号】特開2009−140967(P2009−140967A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−312706(P2007−312706)
【出願日】平成19年12月3日(2007.12.3)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】