説明

半導体装置の製造方法

【課題】MOSトランジスタの新規な閾値電圧制御技術を提供する。
【解決手段】半導体装置の製造方法は、半導体基板のp型領域上に、ゲート絶縁膜を形成する工程と、ゲート絶縁膜上に、化学量論組成よりも酸素量の少ない酸化アルミニウム膜を形成する工程と、酸化アルミニウム膜上に、タンタルと窒素とを含むタンタル窒素含有膜を形成する工程と、タンタル窒素含有膜上に、導電膜を形成する工程と、導電膜をパターニングして、ゲート電極を形成する工程と、ゲート電極をマスクとして、p型領域にn型不純物を注入する工程と、タンタル窒素含有膜の形成後に、熱処理を行う工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高誘電率絶縁膜とメタルゲート電極とを用いるMOSトランジスタにおいて、閾値電圧の制御が難しい。高誘電率絶縁膜とメタルゲート電極との間に、異種材料のキャップ膜を介在させることにより、閾値電圧制御を行う技術が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−243009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一目的は、MOSトランジスタの新規な閾値電圧制御技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一観点によれば、半導体基板のp型領域上に、ゲート絶縁膜を形成する工程と、前記ゲート絶縁膜上に、化学量論組成よりも酸素量の少ない第1酸化アルミニウム膜を形成する工程と、前記第1酸化アルミニウム膜上に、タンタルと窒素とを含むタンタル窒素含有膜を形成する工程と、前記タンタル窒素含有膜上に、導電膜を形成する工程と、前記導電膜をパターニングして、ゲート電極を形成する工程と、前記ゲート電極をマスクとして、前記p型領域にn型不純物を注入する工程と、前記タンタル窒素含有膜の形成後に、熱処理を行う工程とを有する半導体装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0006】
化学量論組成よりも酸素量の少ない第1酸化アルミニウム膜上に、タンタル窒素含有膜を形成し、タンタル窒素含有膜の形成後に熱処理を行うことにより、MOSトランジスタの閾値電圧をマイナスシフトできる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1−1】図1A〜図1Cは、第1実施例のn型MOSトランジスタの製造方法の主要工程を示す概略断面図である。
【図1−2】図1D〜図1Fは、第1実施例のn型MOSトランジスタの製造方法の主要工程を示す概略断面図である。
【図1−3】図1G及び図1Hは、第1実施例のn型MOSトランジスタの製造方法の主要工程を示す概略断面図である。
【図1−4】図1I及び図1Jは、第1実施例のn型MOSトランジスタの製造方法の主要工程を示す概略断面図である。
【図2】図2Aは、絶縁ゲート電極の概略断面図であり、図2Bは、キャップ膜の働きについて調べた実験の実験条件をまとめた表である。
【図3】図3は、キャップ膜による閾値電圧シフト量を示すグラフである。
【図4】図4は、窒化タンタルキャップ膜による閾値電圧シフト量と、絶縁ゲート電極のEOTの増減量を示すグラフである。
【図5】図5は、絶縁ゲート電極のEOTを示すグラフである。
【図6】図6は、絶縁ゲート電極におけるリーク電流とゲート長との関係を示すグラフである。
【図7−1】図7A〜図7Cは、第2実施例のCMOSトランジスタの製造方法の主要工程を示す概略断面図である。
【図7−2】図7D〜図7Fは、第2実施例のCMOSトランジスタの製造方法の主要工程を示す概略断面図である。
【図7−3】図7G〜図7Iは、第2実施例のCMOSトランジスタの製造方法の主要工程を示す概略断面図である。
【図7−4】図7J〜図7Lは、第2実施例のCMOSトランジスタの製造方法の主要工程を示す概略断面図である。
【図7−5】図7M〜図7Oは、第2実施例のCMOSトランジスタの製造方法の主要工程を示す概略断面図である。
【図7−6】図7P〜図7Rは、第2実施例のCMOSトランジスタの製造方法の主要工程を示す概略断面図である。
【図7−7】図7S及び図7Tは、第2実施例のCMOSトランジスタの製造方法の主要工程を示す概略断面図である。
【図7−8】図7Uは、第2実施例のCMOSトランジスタの製造方法の主要工程を示す概略断面図である。
【図8】図8A〜図8Cは、第3実施例のCMOSトランジスタの製造方法の主要工程を示す概略断面図である。
【図9−1】図9A〜図9Cは、第4実施例のCMOSトランジスタの製造方法の主要工程を示す概略断面図である。
【図9−2】図9D〜図9Fは、第4実施例のCMOSトランジスタの製造方法の主要工程を示す概略断面図である。
【図10】図10A及び図10Bは、第5実施例のCMOSトランジスタの製造方法の主要工程を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
まず、本発明の第1実施例による半導体装置の製造方法について説明する。第1実施例では、n型MOSトランジスタを作製する。図1A〜図1Jは、第1実施例のn型MOSトランジスタの製造方法の主要工程を示す概略断面図である。
【0009】
図1Aを参照する。p型のシリコン基板1に、例えばシャロートレンチアイソレーション(STI)で素子分離絶縁膜2を形成し、n型MOSトランジスタが形成される活性領域を画定する。
【0010】
図1Bを参照する。シリコン基板1上に、例えば、NOガスを用いた熱酸化窒化により酸化窒化シリコン膜を厚さ0.3nm〜1nm(例えば0.7nm)成長させて、下地絶縁膜と高誘電率絶縁膜の積層構造を持つ積層ゲート絶縁膜の下地絶縁膜3を形成する。なお、下地絶縁膜3として、酸化シリコン膜を用いることもできる。なお、酸化シリコン膜の成膜後に、Nガスを含む雰囲気でプラズマ処理し、続いて750℃〜1100℃でアニール処理して酸化窒化シリコン膜としてもよい。
【0011】
図1Cを参照する。下地絶縁膜3の上に、例えば、原子層堆積(ALD)により酸化ハフニウム膜を厚さ0.5nm〜3nm(例えば2nm)堆積して、積層ゲート絶縁膜の高誘電率絶縁膜4を形成する。ここで、高誘電率絶縁膜とは、比誘電率がSiOに比べて高い値を示し、Hf、または、Zr、または、Taと、酸素とを含む誘電体材料の絶縁膜のことを指している。酸化ハフニウム膜の成膜方法として、ALDの他に、化学気相堆積(CVD)、物理気相堆積(PVD)を用いることもできる。
【0012】
酸化ハフニウム膜の成膜後に、500℃〜1050℃(例えば850℃)で熱処理(例えば5秒)を行うことにより、酸化ハフニウム膜の膜質の調整を行うことができる。なお、酸化ハフニウム膜にZr、Ti、Al、Si、Ta、La、Y、Mgのうちの1つ以上の元素を、閾値電圧の制御可能範囲で添加してもよい。また、窒素プラズマ処理し750℃〜1100℃でアニールして窒化してもよい。
【0013】
図1Dを参照する。高誘電率絶縁膜4の上に、例えば、ALDにより酸化アルミニウム膜を厚さ0.3nm〜1.0nm(例えば0.5nm)堆積して、酸化アルミニウムキャップ膜5を形成する。化学量論組成の酸化アルミニウムAlは、Al:Oが1:1.5である。第1実施例の酸化アルミニウムキャップ膜5に用いる酸化アルミニウムは、Al:Oを化学量論組成より低酸素組成の、例えば1:1とする。なお、酸化アルミニウム膜の成膜方法として、ALDの他に、熱CVD、PVDを用いてもよい。なお、ALDは、組成の調整がしやすい。
【0014】
図1Eを参照する。低酸素組成の酸化アルミニウムキャップ膜5の上に、例えば、ALDにより窒化タンタル膜を厚さ0.1nm〜1.0nm(例えば0.5nm)堆積して、窒化タンタルキャップ膜6を形成する。なお、窒化タンタル膜の成膜方法として、ALDの他に、熱CVD、PVDを用いてもよい。
【0015】
図1Fを参照する。窒化タンタルキャップ膜6の上に、例えば、PVDにより窒化チタン膜を厚さ2nm〜20nm(例えば10nm)堆積して、第1ゲート導電膜7を形成する。PVDの具体的条件としては、例えば、基板温度を−30℃〜400℃、RFパワーを2000W以下、DCパワーを50000W以下とし、Nのみの雰囲気、またはAr及びNガスの雰囲気で成膜する。なお、窒化チタン膜の成膜方法として、PVDの他に、ALD、CVDを用いてもよい。
【0016】
第1ゲート導電膜7として、窒化チタン(TiN)膜に限らず、様々な金属膜を用いることができる。例えば、Ti、Hf、Al、TiTa、RuTa、TiSi、WN、TiAlN、TiSiN、TaSiN、TaN、NiSi、NiSi、W、WSi、TiN、CoSi、MoSi、ZrN、WSi、HfN、PtRa、Ir、TaCN、Mo、MoN、Ru、Pt、NiSi、Niのうちいずれかもしくはその組み合わせによる積層が一般的であり、これらのどの材料を用いても構わない。
【0017】
図1Gを参照する。第1ゲート導電膜7の上に、例えば、熱CVDによりポリシリコン膜を厚さ10nm〜100nm(例えば50nm)堆積して、第2ゲート導電膜8を形成する。なお、第2ゲート導電膜8として、アモルファスシリコンを用いることもでき、また、ポリシリコン膜やアモルファスシリコン膜に代えて、例えばタングステン膜を用いることもできる。
【0018】
さらに、第2ゲート導電膜8の上に、例えば、CVDにより窒化シリコン膜を厚さ5nm〜20nm堆積して、絶縁ゲート電極を形成するパターニングに用いるハードマスク膜9を形成する。なお、ハードマスク膜9を形成せず、ハードマスクを用いずに、絶縁ゲート電極のパターニングを行ってもよい。
【0019】
図1Hを参照する。ハードマスク膜9、第2ゲート導電膜8、第1ゲート導電膜7、窒化タンタルキャップ膜6、低酸素組成の酸化アルミニウムキャップ膜5、高誘電率絶縁膜4、及び下地絶縁膜3をエッチングして、絶縁ゲート電極IGEを形成する。
【0020】
エッチングガスとして、例えば、窒化シリコンのハードマスク膜9にはCF、CHF、Ar、及びOが用いられ、ポリシリコンの第2ゲート導電膜8にはCF、Cl、及びNが用いられ、窒化チタンの第1ゲート導電膜7にはCl、CF、及びNが用いられ、窒化タンタルのキャップ膜6、酸化アルミニウムのキャップ膜5、酸化ハフニウムの高誘電率絶縁膜4、及び酸化窒化シリコンの下地絶縁膜3には、BCl及びArが用いられる。
【0021】
図1Iを参照する。絶縁ゲート電極IGEをマスクとしてn型不純物の注入を行ない、低濃度領域10を形成する。そして、絶縁ゲート電極IGEを覆って、シリコン基板1上に、例えば、CVDにより窒化シリコン膜を厚さ50nm堆積し、この窒化シリコン膜を異方性エッチングして、絶縁ゲート電極IGEの側壁上に、サイドウォールスペーサ11を残す。なお、サイドウォールスペーサ11形成のエッチング時に、第2ゲート導電膜8上のハードマスク膜9が除去される。絶縁ゲート電極IGE及びサイドウォールスペーサ11をマスクとして、n型不純物の注入を行ない、高濃度ソース/ドレイン領域12を形成する。
【0022】
低濃度領域10や高濃度ソース/ドレイン領域12等に注入された不純物を活性化するために、熱処理が行われる。例えば、約1000℃を越える温度、例えば1050℃で、瞬時熱アニール(RTA)が行われる。高濃度ソース/ドレイン領域12の表面にシリサイド膜13を形成する。
【0023】
図1Jを参照する。絶縁ゲート電極IGEを覆って、シリコン基板1上に、例えば、熱CVD、高密度プラズマCVD等により酸化シリコン膜を堆積して、層間絶縁膜14を形成する。層間絶縁膜14は、公知の各種低誘電率材料で形成してもよい。
【0024】
層間絶縁膜14に、MOSトランジスタのソース/ドレイン領域12を露出するコンタクトホールを形成し、コンタクトホールに、Ti、TiN等のバリアメタル膜を介してタングステンを埋め込み、コンタクトプラグ15を形成する。
【0025】
さらに、層間絶縁膜14上に、例えば、公知の各種低誘電率材料で、層間絶縁膜16を形成する。層間絶縁膜16に、ダマシン法により、Ta、TaN、Ti、TiN等のバリアメタル膜を介して銅を埋め込み、配線17を形成する。
【0026】
この後、さらに、公知の各種技術により、より上層の配線構造を形成して、多層配線構造を形成することができる。このようにして、第1実施例の半導体装置が作製される。
【0027】
なお、第1実施例は、p型基板にn型不純物を注入してn型MOSトランジスタを形成する例を挙げたが、任意の導電型の半導体基板にp型ウェルを形成しn型不純物を注入してn型MOSトランジスタを形成するようにしてもよい。
【0028】
次に、酸化アルミニウムキャップ膜及び窒化タンタルキャップ膜の働きについて調べた実験について説明する。
【0029】
図2Aに、絶縁ゲート電極IGEの概略断面図を示し、図2Bに、実験条件をまとめる。この実験では、第1実施例と概ね同様な工程でMOSトランジスタを作製し、絶縁ゲート電極IGEの高誘電率絶縁膜HKと第1ゲート導電膜MGとの間に介在するキャップ膜CAP1及びCAP2を変えて、5種のサンプルを作製した。
【0030】
下地絶縁膜ILには、酸化窒化シリコン(SiON)を用い、高誘電率絶縁膜HKには、酸化ハフニウム(HfO)を用いた。酸化ハフニウム膜の成膜後に、850℃で5秒のアニールを行った。
【0031】
その後、酸化アルミニウムキャップ膜CAP1を成膜した。酸化アルミニウムキャップ膜CAP1として、サンプル1及びサンプル2では、化学量論組成の酸化アルミニウムAlを用い、サンプル3及びサンプル4では、Al:Oを1:1とした低酸素組成の酸化アルミニウムAlOを用いた。Al膜及びAlO膜は、どちらも、ALDで成膜し、膜厚は0.5nmとした。サンプル5では、酸化アルミニウムキャップ膜CAP1を省略した。
【0032】
酸化アルミニウムキャップ膜CAP1の成膜後に、N雰囲気中、1050℃で5秒、ミキシングアニールを行った。ミキシングアニールにより、酸化アルミニウムキャップ膜CAP1中の元素を、高誘電率絶縁膜HK中に拡散させる。なお、酸化アルミニウムキャップ膜CAP1を成膜しなかったサンプル5に対しても、酸化アルミニウムキャップ膜CAP1を成膜したサンプル1〜4と同様な条件で、ミキシングアニールに対応する熱処理(この熱処理もミキシングアニールと呼ぶこととする)を行った。
【0033】
ミキシングアニールの後、サンプル2、サンプル4、及びサンプル5では、窒化タンタルキャップ膜CAP2を成膜した。窒化タンタル(TaN)膜は、ALDで成膜し、膜厚は0.5nmとした。サンプル1及びサンプル3では、窒化タンタルキャップ膜CAP2を省略した。
【0034】
第1ゲート導電膜MGには、窒化チタン(TiN)を用い、第2ゲート導電膜ELには、ポリシリコン(Poly−Si)を用いた。第2ゲート導電膜ELの形成後、絶縁ゲート電極IGEを形成するパターニング、サイドウォールスペーサ形成、不純物注入、不純物の活性化アニール等を行って、MOSトランジスタを作製した。活性化アニールは、1050℃で行った。
【0035】
キャップ膜を変えたサンプル1〜5のそれぞれについて、n型MOSトランジスタとp型MOSトランジスタとを作製した。第1実施例は、酸化アルミニウムキャップ膜CAP1に低酸素組成のAlOを用い、窒化タンタルキャップ膜CAP2を形成して、n型MOSトランジスタを作製したサンプル4に対応する。なお、第1実施例は、ミキシングアニールを行わない工程としている。
【0036】
次に、キャップ膜によるMOSトランジスタの閾値電圧シフトについて説明する。p型MOSトランジスタは、負電圧のゲート電圧を印加するので、プラスシフトが閾値電圧の大きさを低減させる。反対に、n型MOSトランジスタは、正電圧のゲート電圧を印加するので、マイナスシフトが閾値電圧の大きさを低減させる。閾値電圧の大きさを低減させるという観点からは、p型MOSトランジスタに適用するにはプラスシフトが好ましく、n型MOSトランジスタに適用するにはマイナスシフトが好ましいといえる。
【0037】
図3は、各サンプルのキャップ膜による閾値電圧(Vth)のシフト量を示すグラフである。サンプル1をAlと表し、サンプル2をTaN/Alと表し、サンプル3をAlOと表し、サンプル4をTaN/AlOと表し、サンプル5をTaNと表す。キャップ膜を省略した構造、つまり、高誘電率絶縁膜HK上に直接第1ゲート導電膜MGが形成された構造での閾値電圧を基準としてシフト量を表す。p型MOSトランジスタの結果を示す。なお、ゲート長は1000nmである。
【0038】
サンプル1(Al)は、50mV程度のプラスシフトを示した。サンプル3(AlO)では、閾値電圧がほぼシフトしなかった。酸化アルミニウムキャップ膜CAP1のみを形成した場合、化学量論組成の酸化アルミニウムを用いると、プラスシフトを示し、低酸素組成の酸化アルミニウムを用いると、ほぼシフトを示さないことがわかった。
【0039】
サンプル1では、ミキシングアニールが、閾値電圧シフトに寄与していると考えられる。一方、サンプル3では、ミキシングアニールを行っても、閾値電圧がほぼシフトしないことがわかった。
【0040】
サンプル2(TaN/Al)は、200mV程度のプラスシフトを示した。化学量論組成の酸化アルミニウムを用いたキャップ膜CAP1では、窒化タンタルキャップ膜CAP2を積層することにより、さらに大きなプラスシフトが得られることがわかった。
【0041】
サンプル4(TaN/AlO)は、110mV程度のマイナスシフトを示した。低酸素組成の酸化アルミニウムを用いたキャップ膜CAP1では、窒化タンタルキャップ膜CAP2を積層することにより、マイナスシフトが得られることがわかった。
【0042】
サンプル2及びサンプル4の両方とも、窒化タンタルキャップ膜CAP2の形成後に、不純物の活性化アニールが行われており、この熱処理が、後にさらに考察するように、窒化タンタルキャップ膜CAP2による閾値電圧シフトに寄与しているものと思われる。
【0043】
サンプル5(TaN)は、閾値電圧がほぼシフトしなかった。酸化アルミニウムキャップ膜CAP1がなく、窒化タンタルキャップ膜CAP2のみでは、閾値電圧のシフトがほぼ得られないことがわかった。
【0044】
以上より、閾値電圧のマイナスシフトを得るには、サンプル4のような、低酸素組成の酸化アルミニウムを用いたキャップ膜に窒化タンタルキャップ膜を積層したキャップ膜構造が好ましいことがわかった。
【0045】
第1実施例のn型MOSトランジスタの製造方法では、このようなキャップ膜構造を採用した。なお、低酸素組成の酸化アルミニウムを用いたキャップ膜は、ミキシングアニールが閾値電圧シフトにはほぼ影響しないこともわかった。この結果に基づき、第1実施例では、ミキシングアニールを省略した工程とした。
【0046】
サンプル4(TaN/AlO)とサンプル2(TaN/Al)との比較から、酸化アルミニウムキャップ膜の酸素組成を低く設定したことが、閾値電圧のマイナスシフトに寄与したものと思われる。酸素組成の多寡の目安として、まずは、化学量論組成が挙げられよう。つまり、マイナスシフトを得るには、少なくとも、Alに対するOの比を1.5未満とすることが好ましいといえよう。さらに好ましくは、上述の実験の近傍の条件として、例えば、Alに対するOの比を0.7〜1.2とするのがよいであろう。
【0047】
一方、閾値電圧のプラスシフトを得るには、サンプル1あるいはサンプル2のような、化学量論組成の酸化アルミニウムを用いたキャップ膜、あるいは、このキャップ膜にさらに窒化タンタルキャップ膜を積層したキャップ膜構造が好ましいことがわかった。なお、酸化アルミニウムの酸素組成は、厳密に化学量論組成でなくとも、化学量論組成の近傍の条件として、例えばAlに対するOの比を1.4〜1.6とするのがよいであろう。
【0048】
本願発明者は、さらに、窒化タンタルキャップ膜による閾値電圧シフトに伴って生じる他の物理量の変化についても調べ、窒化タンタルキャップ膜による閾値電圧シフトの理由について考察した。
【0049】
図4は、サンプル2(TaN/Al)及びサンプル4(TaN/AlO)の、窒化タンタルキャップ膜による閾値電圧シフト量と、絶縁ゲート電極の等価酸化膜厚(EOT)の増減量を示すグラフである。図4における閾値電圧シフト量とEOT増減量は、酸化アルミニウムキャップ膜のみの場合との差、つまり、サンプル1及びサンプル3との差である。「Al上」と示された囲み中に、サンプル2の結果を示し、「AlO上」と示された囲み中に、サンプル4の結果を示す。n型MOSトランジスタ及びp型MOSトランジスタの結果を示す。
【0050】
n型及びp型MOSトランジスタの両方とも、サンプル2では、プラスの閾値電圧シフトが得られ、サンプル4では、マイナスの閾値電圧シフトが得られている。閾値電圧シフトの方向は、MOSトランジスタの導電型に依らないといえる。
【0051】
また、サンプル2では、閾値電圧がプラスシフトするとともに、EOTが増加する傾向が見られる。一方、サンプル4では、閾値電圧がマイナスシフトするとともに、EOTが減少する傾向が見られる。
【0052】
図5は、サンプル1〜サンプル4の、絶縁ゲート電極のEOTを示すグラフである。n型MOSトランジスタ及びp型MOSトランジスタの結果を示す。図4を参照して説明したように、化学量論組成の酸化アルミニウムを含むキャップ膜を用いた場合(サンプル1とサンプル2)は、窒化タンタルキャップ膜によりEOTが増加し、低酸素組成の酸化アルミニウムを含むキャップ膜を用いた場合(サンプル3とサンプル4)は、窒化タンタルキャップ膜によりEOTが減少する傾向が見られる。
【0053】
EOTの増加は、例えば、ゲート絶縁膜の膜厚増加や比誘電率低下等によるものと思われ、一方、EOTの減少は、例えば、ゲート絶縁膜の膜厚減少や比誘電率上昇等によるものと思われる。
【0054】
図6は、絶縁ゲート電極におけるリーク電流(Ig)とゲート長(Lsem)との関係を、サンプル1〜サンプル4について示すグラフである。サンプル1とサンプル2とを比較してわかるように、化学量論組成の酸化アルミニウムを含むキャップ膜を用いた場合は、窒化タンタルキャップ膜により、リーク電流が減少する傾向が見られる。
【0055】
一方、サンプル3とサンプル4とを比較してわかるように、低酸素組成の酸化アルミニウムを含むキャップ膜を用いた場合は、窒化タンタルキャップ膜を形成しても、リーク電流がほぼ変わらない傾向が見られる。
【0056】
以上の結果をまとめると、化学量論組成の酸化アルミニウムを含むキャップ膜を用いた場合は、窒化タンタルキャップ膜により、閾値電圧がさらにプラスにシフトするとともに、EOTが増加し、リーク電流が減少する傾向が見られる。
【0057】
一方、低酸素組成の酸化アルミニウムを含むキャップ膜を用いた場合は、窒化タンタルキャップ膜により、閾値電圧がマイナスにシフトするとともに、EOTが減少し、リーク電流はほぼ変わらないという傾向が見られる。
【0058】
次に、上述のような実験結果が得られた理由について考察する。なお、上述のような実験結果をすべて説明する理由は現在のところ明確でなく、以下の考察は、本願発明者の考える1つの仮説である。
【0059】
化学量論組成の酸化アルミニウムを含むキャップ膜を用いた場合は、窒化タンタルキャップ膜により、EOTが増加し、リーク電流が減少する傾向が見られた。これは、ゲート絶縁膜が厚くなっていることを示唆すると思われる。
【0060】
しかし、窒化タンタルキャップ膜は金属膜であるので、単に窒化タンタルキャップ膜を積層しても、ゲート絶縁膜は厚くならない。なお、ここで、酸化アルミニウムキャップ膜も、ゲート絶縁膜として扱っている。
【0061】
考えられる仮説としては、窒化タンタルキャップ膜の形成後の熱処理(本実験では不純物の活性化アニール)によって、酸化アルミニウムキャップ膜に含まれる酸素が窒化タンタルを酸化し、絶縁物である酸化窒化タンタルが生成するのではないかと思われる。これにより、ゲート絶縁膜が厚くなるものと思われる。
【0062】
酸化窒化タンタルは、酸素空孔タイプであり、酸化窒化タンタル膜中の酸素空孔が、酸化アルミニウムキャップ膜に拡散し、酸化アルミニウムキャップ膜から酸素が、酸化窒化タンタル膜に移動するのではないかと思われる。
【0063】
酸化アルミニウムキャップ膜には、酸素が抜けることにより、正電荷が生成するであろう。そして、Alはショットキー欠陥タイプであるので、正電荷と対になる負電荷が生成されるのではないかと思われる。このようにして、酸化アルミニウムキャップ膜中に負電荷が生じることにより、閾値電圧がプラスにシフトしている可能性がある。
【0064】
一方、低酸素組成の酸化アルミニウムを含むキャップ膜を用いた場合は、窒化タンタルキャップ膜により、EOTが減少したものの、リーク電流はほぼ変わらず増加はしない傾向が見られた。これは、ゲート絶縁膜が薄くなっているというよりは、ゲート絶縁膜の比誘電率が上昇していることを示唆すると思われる。
【0065】
この場合には、酸化アルミニウムキャップ膜が低酸素組成であることにより、窒化タンタルが酸化されず、ゲート絶縁膜の膜厚増加は起こっていないと思われる。また、この場合には、窒化タンタル中の窒素が、下方のゲート絶縁膜中に放出されて、ゲート絶縁膜の窒化を促し、ゲート絶縁膜の比誘電率を上昇させているのではないかと思われる。さらに、窒化タンタルが、酸化物とはならないものの酸素を取り込んで、低酸素組成の酸化アルミニウムを還元しているのではないかと思われる。これにより、酸化アルミニウム膜厚が減少して、ゲート絶縁膜がやや薄くなっているとも思われる。
【0066】
窒化タンタルからの窒素の放出や、低酸素組成の酸化アルミニウムの還元等は、窒化タンタルキャップ膜の形成後の熱処理(本実験では不純物の活性化アニール)によって促されているものと思われる。
【0067】
低酸素組成の酸化アルミニウムが還元されて、酸素が抜けることにより、正電荷が生成するであろう。このようにして、酸化アルミニウムキャップ膜中に正電荷が生じることにより、閾値電圧がマイナスにシフトしている可能性がある。
【0068】
なお、これらのメカニズムは、上述のような実験結果をすべて説明しようとして、現時点で推測された1つの仮説であり、他のメカニズムを否定するものではない。
【0069】
本願発明者は、上述の実験結果に基づき、閾値電圧のマイナスシフトを得るために、酸化アルミニウムキャップ膜に用いる酸化アルミニウムを、少なくとも、化学量論組成よりも少ない酸素量の組成とするとともに、窒化タンタルキャップ膜の形成後に熱処理を行うことが、好ましいと考える。
【0070】
なお、窒化タンタルキャップ膜には、TaN以外に、例えば、結合状態の異なるTa−N合金等を用いることもできるであろう。タンタル及び窒素を含む金属膜であれば、低酸素組成の酸化アルミニウムキャップ膜上に形成するキャップ膜として用いることができるであろう。
【0071】
なお、タンタル及び窒素を含む金属膜のキャップ膜に対する熱処理は、例えば、850℃〜1100℃の範囲が好適であろう。この熱処理は、他の熱処理、例えば、上述のように、不純物の活性化アニールで代用することもできる。
【0072】
次に、第2実施例による半導体装置の製造方法について説明する。第2実施例では、n型MOSトランジスタとp型MOSトランジスタとを作り分けて、CMOSトランジスタを作製する。図7A〜図7Uは、第2実施例のCMOSトランジスタの製造方法の主要工程を示す概略断面図である。
【0073】
図7Aを参照する。シリコン基板51に、例えばSTIで素子分離絶縁膜52を形成し、n型MOSトランジスタとp型MOSトランジスタがそれぞれ形成される活性領域を画定する。n型MOSトランジスタが形成される活性領域にp型不純物を注入してp型ウェルpwを形成し、p型MOSトランジスタが形成される活性領域にn型不純物を注入してn型ウェルnwを形成する。
【0074】
図7Bを参照する。シリコン基板51上に、第1実施例の下地絶縁膜3と同様にして、下地絶縁膜53を形成する。
【0075】
図7Cを参照する。下地絶縁膜53の上に、第1実施例の高誘電率絶縁膜4と同様にして、高誘電率絶縁膜54を形成する。
【0076】
図7Dを参照する。高誘電率絶縁膜54の上に、第1実施例の低酸素組成の酸化アルミニウムキャップ膜5と同様にして、例えばAl:Oを1:1として、低酸素組成の酸化アルミニウムキャップ膜55aを形成する。
【0077】
図7Eを参照する。低酸素組成の酸化アルミニウムキャップ膜55aの上に、例えばPVDで厚さ30nmの窒化チタン膜を堆積して、ハードマスク膜71を形成する。
【0078】
図7Fを参照する。ハードマスク膜71の上に、例えばCVDで厚さ20nmの窒化シリコン膜を堆積して、ハードマスク膜72を形成する。
【0079】
図7Gを参照する。ハードマスク膜72の上に、n型MOSトランジスタの形成領域を覆い、p型MOSトランジスタの形成領域を露出するレジストマスク73を形成する。
【0080】
図7Hを参照する。レジストマスク73をマスクとして、例えばCF、CHF、Ar、及びOを用いて、窒化シリコンのハードマスク膜72をエッチングする。
【0081】
図7Iを参照する。さらに、ハードマスク膜72もマスクとして、例えば、過酸化水素水での処理及び水洗により、窒化チタンのハードマスク膜71をエッチングする。レジストマスク73が除去される。
【0082】
図7Jを参照する。ハードマスク膜72及び71をマスクとして、例えば、硫酸と過酸化水素水の混合液(SPM)での処理と水洗により、p型MOSトランジスタ側の低酸素組成の酸化アルミニウムキャップ膜55aをエッチングする。
【0083】
図7Kを参照する。例えば、希フッ酸処理及び水洗により、ハードマスク膜72を除去する。
【0084】
図7Lを参照する。p型MOSトランジスタ側で露出した高誘電率絶縁膜54上に、例えば、ALDにより、厚さ0.3nm〜1.0nm(例えば0.5nm)で、化学量論組成の酸化アルミニウムキャップ膜55bを形成する。化学量論組成の酸化アルミニウムキャップ膜55bは、n型MOSトランジスタ側で、ハードマスク膜71上に延在する。
【0085】
図7Mを参照する。例えばN雰囲気中、750℃〜1100℃で、ミキシングアニールを行う。
【0086】
図7Nを参照する。n型MOSトランジスタ側の化学量論組成の酸化アルミニウムキャップ膜55b及びハードマスク膜71を、SPMでの処理と水洗により除去する。このようにして、n型MOSトランジスタ側には低酸素組成の酸化アルミニウムキャップ膜55aを形成し、p型MOSトランジスタ側には化学量論組成の酸化アルミニウムキャップ膜55bを形成する作り分けを行うことができる。
【0087】
なお、p型MOSトランジスタ側で高誘電率絶縁膜54上に形成された部分の酸化アルミニウムキャップ膜55bも、ややエッチングされる。しかし、この部分の酸化アルミニウムキャップ膜55bは、ミキシングアニールで高誘電率絶縁膜54中に拡散し、またミキシングアニールの高温で焼き固められているので、完全には除去されない。
【0088】
図7Oを参照する。酸化アルミニウムキャップ膜55a及び55bの上に、第1実施例の窒化タンタルキャップ膜6と同様にして、窒化タンタルキャップ膜56を形成する。
【0089】
図7Pを参照する。窒化タンタルキャップ膜56の上に、第1実施例の第1ゲート導電膜7と同様にして、第1ゲート導電膜57を形成する。
【0090】
図7Qを参照する。第1ゲート導電膜57の上に、第1実施例の第2ゲート導電膜8と同様にして、第2ゲート導電膜58を形成する。
【0091】
図7Rを参照する。第2ゲート導電膜58の上に、第1実施例のハードマスク膜9と同様にして、ハードマスク膜59を形成する。
【0092】
図7Sを参照する。第1実施例の絶縁ゲート電極IGEの形成工程と同様にして、ハードマスク膜59、第2ゲート導電膜58、第1ゲート導電膜57、窒化タンタルキャップ膜56、酸化アルミニウムキャップ膜55a及び55b、高誘電率絶縁膜54、及び下地絶縁膜53をエッチングして、p型ウェルpw上にn型MOSトランジスタの絶縁ゲート電極IGEnを形成するとともに、n型ウェルnw上にp型MOSトランジスタの絶縁ゲート電極IGEpを形成する。
【0093】
図7Tを参照する。絶縁ゲート電極IGEnをマスクとして、p型ウェルpwにn型不純物の注入を行ない、低濃度領域60nを形成する。絶縁ゲート電極IGEpをマスクとして、n型ウェルnwにp型不純物の注入を行ない、低濃度領域60pを形成する。
【0094】
そして、第1実施例のサイドウォールスペーサ11の形成工程と同様にして、絶縁ゲート電極IGEn及びIGEpのそれぞれの側壁上に、サイドウォールスペーサ61を形成する。絶縁ゲート電極IGEn及びその側壁上のサイドウォールスペーサ61をマスクとして、p型ウェルpwにn型不純物の注入を行ない、高濃度ソース/ドレイン領域62nを形成する。絶縁ゲート電極IGEp及びその側壁上のサイドウォールスペーサ61をマスクとして、n型ウェルnwにp型不純物の注入を行ない、高濃度ソース/ドレイン領域62pを形成する。
【0095】
低濃度領域60n及び60pや、高濃度ソース/ドレイン領域62n及び62p等に注入された不純物を活性化するために、熱処理が行われる。例えば、約1000℃を越える温度、例えば1050℃で、RTAが行われる。高濃度ソース/ドレイン領域62n及び62pの表面にシリサイド膜63を形成する。
【0096】
図7Uを参照する。第1実施例の層間絶縁膜14、コンタクトプラグ15、層間絶縁膜16、及び配線17と同様にして、層間絶縁膜64、コンタクトプラグ65、層間絶縁膜66、及び配線67を形成する。さらに、公知の各種技術により、より上層の配線構造を形成して、多層配線構造を形成することができる。このようにして、第2実施例の半導体装置が作製される。
【0097】
第2実施例によれば、n型MOSトランジスタ側では低酸素組成の酸化アルミニウムキャップ膜を形成し、p型MOSトランジスタ側では化学量論組成の酸化アルミニウムキャップ膜を形成する作り分けができる。
【0098】
第2実施例でも、第1実施例と同様に、不純物活性化アニールを、窒化タンタルキャップ膜の形成後の熱処理と兼ねさせている。なお、窒化タンタルキャップ膜に対する熱処理を、独立に設けることもできる。
【0099】
なお、n型MOSトランジスタとp型MOSトランジスタとで、酸化アルミニウムキャップ膜を作り分ける方法は、第2実施例の方法に限らない。以下、第3実施例〜第5実施例として、さらに、酸化アルミニウムキャップ膜の他の作り分け方法について説明する。
【0100】
第3実施例について説明する。図8A〜図8Cは、第3実施例のCMOSトランジスタの製造方法の主要工程を示す概略断面図である。図8A〜図8Cに示す以外の工程については、第2実施例に係る図を流用して、説明を進める。なお、第3実施例の説明において、第2実施例との対応が明確な部材に対しては、第2実施例の説明での参照符号を流用する(これは、第4及び第5実施例についても同様である)。まず、第2実施例の図7Cで示した工程までと同様にして、高誘電率絶縁膜54までを形成する。
【0101】
図8Aを参照する。第2実施例では、高誘電率絶縁膜54の全面上に、低酸素組成の酸化アルミニウムキャップ膜55aを形成したが(図7D参照)、第3実施例では、高誘電率絶縁膜54の全面上に、化学量論組成の酸化アルミニウムキャップ膜55bを形成する。
【0102】
図8Bを参照する。第2実施例の図7E〜図7Kを参照して説明した工程と同様にして、ハードマスク膜71等によるマスクを形成して、化学量論組成の酸化アルミニウムキャップ膜55bをエッチングする。第3実施例では、ハードマスク膜71等によるマスクがp型MOSトランジスタ形成領域を覆い、n型MOSトランジスタ形成領域を露出して、n型MOSトランジスタ側の化学量論組成の酸化アルミニウムキャップ膜55bが除去される。
【0103】
図8Cを参照する。n型MOSトランジスタ側で露出した高誘電率絶縁膜54上に、低酸素組成の酸化アルミニウムキャップ膜55aを形成する。低酸素組成の酸化アルミニウムキャップ膜55aは、p型MOSトランジスタ側で、ハードマスク膜71上に延在する。さらに、ミキシングアニールを行う。
【0104】
そして、第2実施例の図7Nを参照して説明した工程と同様にして、p型MOSトランジスタ側の低酸素組成の酸化アルミニウムキャップ膜55a及びハードマスク膜71を除去する。その後は、第2実施例の図7O〜図7Uを参照して説明した工程と同様にして、窒化タンタルキャップ膜56の形成以後の工程を行い、CMOSトランジスタを形成する。
【0105】
第3実施例でも、n型MOSトランジスタとp型MOSトランジスタとで、酸化アルミニウムキャップ膜の作り分けを行うことができる。
【0106】
なお、図8Cに示すように、第3実施例では、n型MOSトランジスタ側の低酸素組成の酸化アルミニウムキャップ膜55aが露出した状態で、ミキシングアニールが行われる。低酸素組成の酸化アルミニウムキャップ膜55aの成膜装置と、ミキシングアニールを行う熱処理装置とが、真空搬送で結ばれていない場合は、低酸素組成の酸化アルミニウムキャップ膜55aが、大気に曝露されてやや酸化する可能性がある。
【0107】
低酸素組成の酸化アルミニウムキャップ膜55aの酸化を防止するという観点からは、第2実施例のように、低酸素組成の酸化アルミニウムキャップ膜55aが先付けされ、(ハードマスク膜71で)カバーされた状態でミキシングアニール工程に進む方が望ましいといえる。
【0108】
次に、第4実施例について説明する。図9A〜図9Fは、第4実施例のCMOSトランジスタの製造方法の主要工程を示す概略断面図である。図9A〜図9Fに示す以外の工程については、第2実施例に係る図を流用して、説明を進める。まず、第2実施例の図7Dで示した工程までと同様にして、低酸素組成の酸化アルミニウムキャップ膜55aまでを形成する。
【0109】
図9Aを参照する。低酸素組成の酸化アルミニウムキャップ膜55a上に、窒化タンタルキャップ膜56を形成する。
【0110】
図9Bを参照する。第2実施例の図7E〜図7Iを参照して説明した工程と同様にして、窒化タンタルキャップ膜56上に、ハードマスク膜72及び71によるマスクを形成する。ハードマスク膜72及び71によるマスクが、n型MOSトランジスタ形成領域を覆い、p型MOSトランジスタ形成領域の窒化タンタルキャップ膜56が露出している。
【0111】
図9Cを参照する。p型MOSトランジスタ側で露出した窒化タンタルキャップ膜56、及びその下の低酸素組成の酸化アルミニウムキャップ膜55aを、酸化する。この酸化処理は、例えば、ArベースでOを0.1%〜1%含むガスを用いて、0.1Pa〜10Pa、400℃〜700℃の条件で行う。なお、p型MOSトランジスタ側の下地絶縁膜53を、酸化により増膜させないように、例えばO濃度0.1%、1Pa、400℃での処理が望ましいであろう。
【0112】
この酸化処理で、p型MOSトランジスタ側の窒化タンタルキャップ膜56を、酸化窒化タンタルキャップ膜56bにするとともに、p型MOSトランジスタ側の低酸素組成の酸化アルミニウムキャップ膜55aを、化学量論組成の酸化アルミニウムキャップ膜55bとする。
【0113】
図9Dを参照する。ミキシングアニールを行う。
【0114】
図9Eを参照する。例えば窒化シリコンのハードマスク膜72を、例えば希フッ酸処理及び水洗により除去し、例えば窒化チタンのハードマスク膜71を、例えば過酸化水素水での処理及び水洗により除去する。
【0115】
図9Fを参照する。窒化タンタルキャップ膜56及び酸化窒化タンタルキャップ膜56bの上に、第1ゲート導電膜57、第2ゲート導電膜58を積層する。さらに、第2ゲート導電膜58上にハードマスク膜59を形成する。
【0116】
その後は、第2実施例の図7S〜図7Uを参照して説明した工程と同様にして、絶縁ゲート電極のパターニング以後の工程を行い、CMOSトランジスタを形成する。
【0117】
第4実施例でも、n型MOSトランジスタとp型MOSトランジスタとで、酸化アルミニウムキャップ膜の作り分けを行うことができる。
【0118】
第4実施例では、p型MOSトランジスタ側で、窒化タンタルキャップ膜56を酸化させた。閾値電圧のプラスシフトの一要因として、酸化窒化タンタルキャップ膜から化学量論組成の酸化アルミニウムキャップ膜への酸素空孔の移動が考えられるので、第4実施例のような方法でも、p型MOSトランジスタにおける閾値電圧のプラスシフトが得られるのではないかと思われる。
【0119】
なお、第4実施例では、窒化タンタルキャップ膜56及び酸化窒化タンタルキャップ膜56bの形成後に、ミキシングアニールを行っている。このミキシングアニールを、窒化タンタルキャップ膜による閾値電圧シフトを促す熱処理と兼ねるようにすることもできるであろう。
【0120】
次に、第5実施例について説明する。図10A及び図10Bは、第5実施例のCMOSトランジスタの製造方法の主要工程を示す概略断面図である。図10A及び図10Bに示す以外の工程については、第2実施例に係る図を流用して、説明を進める。まず、第2実施例の図7Dで示した工程までと同様にして、低酸素組成の酸化アルミニウムキャップ膜55aまでを形成する。
【0121】
さらに、第2実施例の図7E〜図7Iを参照して説明した工程と同様にして、低酸素組成の酸化アルミニウムキャップ膜55a上に、ハードマスク膜72及び71によるマスクを形成する。
【0122】
図10Aを参照する。ハードマスク膜72及び71によるマスクが、n型MOSトランジスタ形成領域を覆い、p型MOSトランジスタ側の低酸素組成の酸化アルミニウムキャップ膜55aが露出している。
【0123】
そして、p型MOSトランジスタ側の低酸素組成の酸化アルミニウムキャップ膜55aを酸化して、化学量論組成の酸化アルミニウムキャップ膜55bとする。この酸化処理は、例えば、ArベースでOを0.1%〜1%含むガスを用いて、0.1Pa〜10Pa、400℃〜700℃の条件で行う。なお、p型MOSトランジスタ側の下地絶縁膜53を、酸化により増膜させないように、例えばO濃度0.1%、1Pa、400℃での処理が望ましいであろう。
【0124】
図10Bを参照する。ミキシングアニールを行う。
【0125】
その後は、第3実施例の図9Eを参照して説明した工程と同様にして、ハードマスク膜72及びハードマスク膜71除去し、さらに、第2実施例の図7O〜図7Uを参照して説明した工程と同様にして、窒化タンタルキャップ膜56の形成以後の工程を行い、CMOSトランジスタを形成する。
【0126】
第5実施例でも、n型MOSトランジスタとp型MOSトランジスタとで、酸化アルミニウムキャップ膜の作り分けを行うことができる。
【0127】
第2実施例〜第5実施例のように、CMOSトランジスタを形成する場合は、n型MOSトランジスタ側では、化学量論組成よりも酸素量の少ない酸化アルミニウムを含む酸化アルミニウムキャップ膜が形成され、p型MOSトランジスタ側では、n型MOSトランジスタ側の酸化アルミニウムキャップ膜の含む酸化アルミニウムよりも、酸素量の多い組成の酸化アルミニウムを含む酸化アルミニウムキャップ膜が形成される。
【0128】
なお、CMOSトランジスタを形成する場合、p型MOSトランジスタ側の化学量論組成の酸化アルミニウムキャップ膜が形成された後に、ミキシングアニールが行われる。ミキシングアニールとして充分な熱量が与えられるのであれば、不純物活性化アニールを、ミキシングアニールと兼ねさせることもできよう。また、窒化タンタルキャップ膜による閾値電圧シフトを促すための熱処理と、ミキシングアニールとを兼ねさせることもできよう。
【0129】
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
【0130】
以上説明した第1実施例〜第5実施例を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
半導体基板のp型領域上に、ゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜上に、化学量論組成よりも酸素量の少ない第1酸化アルミニウム膜を形成する工程と、
前記第1酸化アルミニウム膜上に、タンタルと窒素とを含むタンタル窒素含有膜を形成する工程と、
前記タンタル窒素含有膜上に、導電膜を形成する工程と、
前記導電膜をパターニングして、ゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート電極をマスクとして、前記p型領域にn型不純物を注入する工程と、
前記タンタル窒素含有膜の形成後に、熱処理を行う工程と
を有する半導体装置の製造方法。
(付記2)
半導体基板のp型領域上及びn型領域上に、ゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記p型領域上の前記ゲート絶縁膜上に、化学量論組成よりも酸素量の少ない第1酸化アルミニウム膜を形成する工程と、
前記n型領域上の前記ゲート絶縁膜上に、前記第1酸化アルミニウム膜の酸素量よりも多い酸素量を有する第2酸化アルミニウム膜を形成する工程と、
前記第1酸化アルミニウム膜上及び前記第2酸化アルミニウム膜上に、タンタルと窒素とを含むタンタル窒素含有膜を形成する工程と、
前記タンタル窒素含有膜上に、導電膜を形成する工程と、
前記導電膜をパターニングして、前記p型領域上に第1ゲート電極を形成し、前記n型領域上に第2ゲート電極を形成する工程と、
前記第1ゲート電極をマスクとして、前記p型領域にn型不純物を注入する工程と、
前記第2ゲート電極をマスクとして、前記n型領域にp型不純物を注入する工程と、
前記タンタル窒素含有膜の形成後に、熱処理を行う工程と
を有する半導体装置の製造方法。
(付記3)
前記第1酸化アルミニウム膜を形成する工程は、前記p型領域上及び前記n型領域上の前記ゲート絶縁膜上に、前記第1酸化アルミニウム膜を形成し、
前記p型領域上を覆い前記n型領域上を露出するマスクを用い、前記n型領域上の前記第1酸化アルミニウム膜をエッチングする工程、を含み、
前記第2酸化アルミニウム膜を形成する工程は、前記n型領域上の前記第1酸化アルミニウム膜をエッチングする工程で露出した、前記n型領域上の前記ゲート絶縁膜上に、前記第2酸化アルミニウム膜を形成する付記2に記載の半導体装置の製造方法。
(付記4)
前記第2酸化アルミニウム膜の形成後に、前記マスクが前記第1酸化アルミニウム膜を覆った状態のまま、ミキシングアニールを行う工程をさらに有する付記3に記載の半導体装置の製造方法。
(付記5)
前記第2酸化アルミニウム膜を形成する工程は、前記n型領域上及び前記p型領域上の前記ゲート絶縁膜上に、前記第2酸化アルミニウム膜を形成し、
前記n型領域上を覆い前記p型領域上を露出するマスクを用い、前記p型領域上の前記第2アルミニウム膜をエッチングする工程、を含み、
前記第1酸化アルミニウム膜を形成する工程は、前記p型領域上の前記第2酸化アルミニウム膜をエッチングする工程で露出した、前記p型領域上の前記ゲート絶縁膜上に、前記第1酸化アルミニウム膜を形成する付記2に記載の半導体装置の製造方法。
(付記6)
前記第1酸化アルミニウム膜を形成する工程は、前記p型領域上及び前記n型領域上の前記ゲート絶縁膜上に、前記第1酸化アルミニウム膜を形成し、
前記第2酸化アルミニウム膜を形成する工程は、前記p型領域上を覆い前記n型領域上を露出するマスクを用い、前記n型領域上の前記第1酸化アルミニウム膜を酸化して、前記第2酸化アルミニウム膜を形成する付記2に記載の半導体装置の製造方法。
(付記7)
半導体基板のp型領域上及びn型領域上に、ゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記p型領域上及び前記n型領域上の前記ゲート絶縁膜上に、化学量論組成よりも酸素量の少ない第1酸化アルミニウム膜を形成する工程と、
前記第1酸化アルミニウム膜上に、タンタルと窒素とを含むタンタル窒素含有膜を形成する工程と、
前記p型領域上を覆い前記n型領域上を露出するマスクを用い、前記n型領域上の前記タンタル窒素含有膜及び前記第1酸化アルミニウム膜を酸化して、前記n型領域上の前記ゲート絶縁膜上に、前記第1酸化アルミニウム膜の酸素量よりも多い酸素量を有する第2酸化アルミニウム膜を形成するとともに、前記第2酸化アルミニウム膜上に、酸化されたタンタル窒素含有膜を形成する工程と、
前記タンタル窒素含有膜上及び前記酸化されたタンタル窒素含有膜上に、導電膜を形成する工程と、
前記導電膜をパターニングして、前記p型領域上に第1ゲート電極を形成し、前記n型領域上に第2ゲート電極を形成する工程と、
前記第1ゲート電極をマスクとして、前記p型領域にn型不純物を注入する工程と、
前記第2ゲート電極をマスクとして、前記n型領域にp型不純物を注入する工程と、
前記タンタル窒素含有膜及び前記酸化されたタンタル窒素含有膜の形成後に、熱処理を行う工程と
を有する半導体装置の製造方法。
(付記8)
前記熱処理が、ミキシングアニールを兼ねる付記7に記載の半導体装置の製造方法。
(付記9)
前記第1酸化アルミニウム膜を形成する工程は、Al:Oが1:0.7〜1.2の範囲の前記第1酸化アルミニウム膜を形成する付記1〜8のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
(付記10)
前記第2酸化アルミニウム膜を形成する工程は、Al:Oが1:1.4〜1.6の範囲の前記第2酸化アルミニウム膜を形成する付記2〜8のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
(付記11)
前記第1酸化アルミニウム膜を形成する工程は、原子層堆積で前記第1酸化アルミニウム膜を形成する付記1〜10のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
(付記12)
前記第2酸化アルミニウム膜を形成する工程は、原子層堆積で前記第2酸化アルミニウム含有膜を形成する付記2〜5のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
(付記13)
前記第1酸化アルミニウム膜を形成する工程は、厚さ0.3nm〜1.0nmの範囲の前記第1酸化アルミニウム膜を形成する付記1〜12のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
(付記14)
前記第2酸化アルミニウム膜を形成する工程は、厚さ0.3nm〜1.0nmの範囲の前記第2酸化アルミニウム膜を形成する付記2〜8のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
(付記15)
前記タンタル窒素含有膜を形成する工程は、前記タンタル窒素含有膜としてTaN膜を形成する付記1〜14のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
(付記16)
前記タンタル窒素含有膜を形成する工程は、厚さ0.1nm〜1.0nmの範囲の前記タンタル窒素含有膜を形成する付記1〜15のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
(付記17)
前記熱処理を行う工程は、850℃〜1100℃の範囲で前記熱処理を行う付記1〜16のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
(付記18)
前記熱処理を行う工程は、前記n型不純物を注入する工程の後に行なわれて、不純物活性化アニールを兼ねる付記1〜17のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
(付記19)
前記第2酸化アルミニウム膜の形成後、前記熱処理を行う工程の前に、ミキシングアニールを行なう工程をさらに有する付記2〜7のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
(付記20)
前記ゲート絶縁膜は、比誘電率がSiOに比べて高い値を示し、Hf、または、Zr、または、Taと、酸素とを含む誘電体材料の絶縁膜を含む付記1〜19のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0131】
1、51 シリコン基板
2、52 素子分離絶縁膜
3、53 下地絶縁膜
4、54 高誘電率絶縁膜
5、55a 低酸素組成の酸化アルミニウムキャップ膜
55b 化学量論組成の酸化アルミニウムキャップ膜
6、56 窒化タンタルキャップ膜
56b 酸化窒化タンタルキャップ膜
7、57 第1ゲート導電膜
8、58 第2ゲート導電膜
9、59 ハードマスク膜
10、60n、60p 低濃度領域
11、61 サイドウォールスペーサ
12、62n、62p 高濃度ソース/ドレイン領域
13、63 シリサイド膜
71、72 ハードマスク膜
73 レジストマスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板のp型領域上に、ゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜上に、化学量論組成よりも酸素量の少ない第1酸化アルミニウム膜を形成する工程と、
前記第1酸化アルミニウム膜上に、タンタルと窒素とを含むタンタル窒素含有膜を形成する工程と、
前記タンタル窒素含有膜上に、導電膜を形成する工程と、
前記導電膜をパターニングして、ゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート電極をマスクとして、前記p型領域にn型不純物を注入する工程と、
前記タンタル窒素含有膜の形成後に、熱処理を行う工程と
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項2】
半導体基板のp型領域上及びn型領域上に、ゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記p型領域上の前記ゲート絶縁膜上に、化学量論組成よりも酸素量の少ない第1酸化アルミニウム膜を形成する工程と、
前記n型領域上の前記ゲート絶縁膜上に、前記第1酸化アルミニウム膜の酸素量よりも多い酸素量を有する第2酸化アルミニウム膜を形成する工程と、
前記第1酸化アルミニウム膜上及び前記第2酸化アルミニウム膜上に、タンタルと窒素とを含むタンタル窒素含有膜を形成する工程と、
前記タンタル窒素含有膜上に、導電膜を形成する工程と、
前記導電膜をパターニングして、前記p型領域上に第1ゲート電極を形成し、前記n型領域上に第2ゲート電極を形成する工程と、
前記第1ゲート電極をマスクとして、前記p型領域にn型不純物を注入する工程と、
前記第2ゲート電極をマスクとして、前記n型領域にp型不純物を注入する工程と、
前記タンタル窒素含有膜の形成後に、熱処理を行う工程と
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1酸化アルミニウム膜を形成する工程は、前記p型領域上及び前記n型領域上の前記ゲート絶縁膜上に、前記第1酸化アルミニウム膜を形成し、
前記p型領域上を覆い前記n型領域上を露出するマスクを用い、前記n型領域上の前記第1酸化アルミニウム膜をエッチングする工程、を含み、
前記第2酸化アルミニウム膜を形成する工程は、前記n型領域上の前記第1酸化アルミニウム膜をエッチングする工程で露出した、前記n型領域上の前記ゲート絶縁膜上に、前記第2酸化アルミニウム膜を形成する請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第2酸化アルミニウム膜の形成後に、前記マスクが前記第1酸化アルミニウム膜を覆った状態のまま、ミキシングアニールを行う工程をさらに有する請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第2酸化アルミニウム膜を形成する工程は、前記n型領域上及び前記p型領域上の前記ゲート絶縁膜上に、前記第2酸化アルミニウム膜を形成し、
前記n型領域上を覆い前記p型領域上を露出するマスクを用い、前記p型領域上の前記第2アルミニウム膜をエッチングする工程、を含み、
前記第1酸化アルミニウム膜を形成する工程は、前記p型領域上の前記第2酸化アルミニウム膜をエッチングする工程で露出した、前記p型領域上の前記ゲート絶縁膜上に、前記第1酸化アルミニウム膜を形成する請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記第1酸化アルミニウム膜を形成する工程は、前記p型領域上及び前記n型領域上の前記ゲート絶縁膜上に、前記第1酸化アルミニウム膜を形成し、
前記第2酸化アルミニウム膜を形成する工程は、前記p型領域上を覆い前記n型領域上を露出するマスクを用い、前記n型領域上の前記第1酸化アルミニウム膜を酸化して、前記第2酸化アルミニウム膜を形成する請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
半導体基板のp型領域上及びn型領域上に、ゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記p型領域上及び前記n型領域上の前記ゲート絶縁膜上に、化学量論組成よりも酸素量の少ない第1酸化アルミニウム膜を形成する工程と、
前記第1酸化アルミニウム膜上に、タンタルと窒素とを含むタンタル窒素含有膜を形成する工程と、
前記p型領域上を覆い前記n型領域上を露出するマスクを用い、前記n型領域上の前記タンタル窒素含有膜及び前記第1酸化アルミニウム膜を酸化して、前記n型領域上の前記ゲート絶縁膜上に、前記第1酸化アルミニウム膜の酸素量よりも多い酸素量を有する第2酸化アルミニウム膜を形成するとともに、前記第2酸化アルミニウム膜上に、酸化されたタンタル窒素含有膜を形成する工程と、
前記タンタル窒素含有膜上及び前記酸化されたタンタル窒素含有膜上に、導電膜を形成する工程と、
前記導電膜をパターニングして、前記p型領域上に第1ゲート電極を形成し、前記n型領域上に第2ゲート電極を形成する工程と、
前記第1ゲート電極をマスクとして、前記p型領域にn型不純物を注入する工程と、
前記第2ゲート電極をマスクとして、前記n型領域にp型不純物を注入する工程と、
前記タンタル窒素含有膜及び前記酸化されたタンタル窒素含有膜の形成後に、熱処理を行う工程と
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1酸化アルミニウム膜を形成する工程は、Al:Oが1:0.7〜1.2の範囲の前記第1酸化アルミニウム膜を形成する請求項1〜7のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記第1酸化アルミニウム膜を形成する工程は、原子層堆積で前記第1酸化アルミニウム膜を形成する請求項1〜8のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記タンタル窒素含有膜を形成する工程は、前記タンタル窒素含有膜としてTaN膜を形成する請求項1〜9のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記熱処理を行う工程は、850℃〜1100℃の範囲で前記熱処理を行う請求項1〜10のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記熱処理を行う工程は、前記n型不純物を注入する工程の後に行なわれて、不純物活性化アニールを兼ねる請求項1〜11のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。

【図1−1】
image rotate

【図1−2】
image rotate

【図1−3】
image rotate

【図1−4】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図5】
image rotate

【図7−1】
image rotate

【図7−2】
image rotate

【図7−3】
image rotate

【図7−4】
image rotate

【図7−5】
image rotate

【図7−6】
image rotate

【図7−7】
image rotate

【図7−8】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9−1】
image rotate

【図9−2】
image rotate

【図10】
image rotate

【図4】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−49181(P2012−49181A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−187244(P2010−187244)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】