説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】ボディコンタクト構造を採らなくても、パスゲートリークの発生を防止できるようにした半導体装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】複数のメモリセル50からなるSRAMを有する半導体装置であって、メモリセル50を構成するパスゲートトランジスタQ5,Q6は(シリコン基板に直接形成された)バルクトランジスタであり、それ以外のトランジスタQ1〜Q4は(シリコン基板に部分的に形成されたSOI構造のSi層に形成された)SOIトランジスタである。このような構成であれば、パスゲートトランジスタQ5,Q6の基板電位を例えばGNDに固定することができ、パスゲートトランジスタQ5,Q6のチャネル領域下部における電荷の蓄積を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関し、特に、ボディコンタクト構造を採らなくても、パスゲートリークの発生を防止できるようにした技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年半導体分野において、シリコン・オン・インシュレータなど、絶縁膜基板上の半導体膜にデバイスを形成する技術の開発が盛んとなってきている。特に、SOI(silicon on insulator)基板に形成されるデバイス(即ち、SOIデバイス)は、低消費電力・高速で、尚且つ低電圧駆動を実現できる可能性を備えている。
【0003】
SOI基板の製造方法としては、例えば、SIMOX(Separation by Implanted Oxygen)法や、2枚のシリコン基板をその間に酸化膜を介在させて貼り合わせる貼り合せ法等が知られているが、いずれもその方法は特殊なプロセスや特殊な装置を用いたものであり、通常のCMOSプロセスでは作ることができない。このため、最近では、SOI基板の製造方法として、通常のCMOSプロセスのみでSOI構造を形成可能なSBSI(Separation by Bonding Silicon Island)法が注目されてきている(例えば、非特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平8−70103号公報
【非特許文献1】T.Sakai et al.,Second International SiGe Technology and Device Meeting,Meeting Abstract,pp.230−231,May(2004)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このようなSOI基板にSRAM(static random access memory)を形成した場合、パスゲートトランジスタにおけるリーク電流(即ち、パスゲートリーク)の問題がある。これはSOI基板に形成されたパスゲートトランジスタのボディが浮遊であることに起因している。
即ち、n型のパスゲートトランジスタのゲートが閉じており、そのソースとドレインとに高電界がかかっている状態を考える。この状態では、ゲートからボディ方向への電界がほぼゼロ(Vss)であるため、ゲート電極直下のボディには深いポテンシャル井戸が形成され、そこにホールが蓄積されている。このようにホールが蓄積されている状態でゲート電位をLowに維持したまま、そのソースが接続しているビット線の電位をHighからLowに切り替えると、ボディに蓄積されていたホールがパスゲートトランジスタのソースに流出すると共に電子がドレインに流れ込み、メモリセルの記憶保持状態が書き換えられてしまうおそれがある。
【0005】
このような問題を回避する技術として、例えば特許文献1がある。即ち、この特許文献1には、SOI基板に形成されたトランジスタのボディを所定電極に接続してその電位を固定する技術(即ち、ボディコンタクト)が開示されている。しかし、ボディコンタクトでは、ボディに蓄積された電荷をコンタクト領域まで誘導するウェル層の抵抗が大きく、電荷を十分に逃がすことができない可能性がある。また、ボディコンタクトでは、素子面積が増加しやすいという問題もあった。
【0006】
本発明は、このような解決すべき問題に着目してなされたものであって、ボディコンタクト構造を採らなくても、パスゲートリークの発生を防止できるようにした半導体装置及びその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
〔発明1〕 上記目的を達成するために、発明1の半導体装置は、ソース又はドレインの一方が第1信号線に接続されると共にゲートが第2信号線に接続されたパスゲートトランジスタと、前記パスゲートトランジスタのソース又はドレインの他方に接続されたメモリセルトランジスタと、を1つのメモリセル内に有する半導体装置であって、前記パスゲートトランジスタはバルクトランジスタであり、前記メモリセルトランジスタはSOIトランジスタであることを特徴とするものである。
【0008】
ここで、「第1信号線」とは、複数個のメモリセルに接続されて信号送受をする共通配線のことであり、例えばビット線である。また、「第2信号線」とは、第1信号線と交差する方向に走る信号線のことであり、例えばワード線である。さらに、「バルクトランジスタ」とは、バルクの基板(例えば、単結晶シリコン基板)に直接形成されたトランジスタのことである。「SOIトランジスタ」とは、SOI構造のSi層に形成されたトランジスタのことである。
【0009】
発明1の半導体装置によれば、パスゲートトランジスタの基板電位を所定電位(例えば、接地電位)に固定することができるので、パスゲートトランジスタのチャネル領域下部における電荷の蓄積を防止することができる。従って、パスゲートリークの発生を防止することができる。
【0010】
〔発明2〕 発明2の半導体装置は、パスゲートトランジスタと、メモリセルトランジスタとを1つのメモリセル内に有する半導体装置であって、前記パスゲートトランジスタは、第1トランジスタと第2トランジスタとを有し、前記第1トランジスタのソース又はドレインの一方は第1信号線に接続されると共にその他方は前記第2トランジスタのソース又はドレインの一方に接続され、前記第2トランジスタのソース又はドレインの他方は前記メモリセルトランジスタに接続され、前記第1トランジスタのゲート及び前記第2トランジスタのゲートは第2信号線に接続され、前記第1トランジスタ及び前記メモリセルトランジスタはSOIトランジスタであり、前記第2トランジスタはバルクトランジスタである、ことを特徴とするものである。
【0011】
このような構成であれば、第2トランジスタの基板電位を所定電位(例えば、接地電位)に固定することができるので、第2トランジスタのチャネル領域下部における電荷の蓄積を防止することができ、パスゲートリークの発生を防止することができる。
また、第1信号線にはSOIトランジスタである第1トランジスタのソース又はドレインの一方が接続されているので、発明1と比べて、第1信号線の寄生容量を低減することができる。
【0012】
〔発明3〕 発明3の半導体装置は、発明1又は発明2の半導体装置において、前記メモリセルはSRAMのメモリセルであることを特徴とするものである。
このような構成であれば、パスゲートリークの発生を防止したSRAMを提供することができる。
【0013】
〔発明4〕 発明4の半導体装置の製造方法は、発明1の半導体装置の製造方法であって、半導体基材上に第1半導体層を形成する工程と、前記第1半導体層よりもウエットエッチングの選択比が小さな第2半導体層を前記第1半導体層上に形成する工程と、SOI形成領域に隣接する所定領域の前記第2半導体層及び前記第1半導体層をエッチングして除去することによって、当該所定領域に前記半導体基材を底面とする穴を形成する工程と、前記半導体基材上に支持体膜を形成して前記穴を埋め込み且つ前記第2半導体層を覆う工程と、前記穴の少なくとも一部と前記SOI形成領域とを連続して覆い、それ以外の領域を露出するマスクパターンを前記支持体膜上に形成する工程と、前記マスクパターンをマスクに前記支持体膜、前記第2半導体層及び前記第1半導体層を順次ドライエッチングすることによって、前記支持体膜下に前記第1半導体層の側面を露出する開口面を形成する工程と、前記開口面を介して前記第1半導体層をウエットエッチングすることにより、前記第2半導体層と前記半導体基材との間に空洞部を形成する工程と、前記空洞部内に絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜を形成した後で前記第2半導体層上の前記支持体をエッチングして除去する工程と、前記支持体を除去した後で前記第2半導体層に前記メモリセルトランジスタを形成する工程と、を含むことを特徴とするものである。
【0014】
ここで、「半導体基材」は例えばバルクのシリコン(Si)基板である。また、「第1半導体層」は例えばエピタキシャル成長によって得られるシリコンゲルマニウム(SiGe)層であり、「第2半導体層」は例えばエピタキシャル成長によって得られるSi層である。さらに、「支持体膜」、「絶縁膜」は例えばシリコン酸化膜(SiO)である。また、「SOI形成領域」とは、上側から、第2半導体層/絶縁膜/半導体基材からなるSOI構造を形成する領域のことである。
発明4の半導体装置の製造方法によれば、パスゲートトランジスタとメモリセルトランジスタとを同一の半導体基材に混載した半導体装置を提供することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(1)第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の構成例を示す回路図である。この半導体装置は例えばSRAMであり、図1に示すように、2つのCMOSインバータ10,20と、2つのパスゲートトランジスタQ5,Q6とで構成されるメモリセル50を多数備えたものである。
【0016】
図1に示すように、CMOSインバータ10は、nチャネルMOSトランジスタ(以下、「nMOSトランジスタ」という。)Q1と、pチャネルMOSトランジスタ(以下、「pMOSトランジスタ」という。)Q3とで構成されている。pMOSトランジスタQ3のソースはVdd端子に接続され、そのドレインはnMOSトランジスタQ1のドレインに接続されている。また、nMOSトランジスタQ1のソースは例えばGND端子に接続されている。nMOSトランジスタQ1とpMOSトランジスタQ3の各々のゲートには、Vdd端子から同じタイミングで入力電圧が印加されるようになっている。
【0017】
図1に示すように、CMOSインバータ20は、nMOSトランジスタQ2と、pMOSトランジスタQ4とで構成されている。pMOSランジスタQ4はそのソースがVdd端子に接続され、そのドレインがnMOSトランジスタQ2のドレインに接続されている。また、nMOSトランジスタQ2のソースは例えばGND端子に接続されている。nMOSトランジスタQ2とpMOSトランジスタQ4の各々のゲートには、Vdd端子から同じタイミングで入力電圧が印加されるようになっている。
【0018】
図1に示すように、これらのCMOSインバータ10,20は互いに「たすき掛け」されている。つまり、インバータ10の入力側(即ち、nMOSトランジスタQ1とpMOSトランジスタQ3の各ゲート)はインバータ20の出力側(即ち、nMOSトランジスタQ2とpMOSトランジスタQ4の各ドレイン)に接続されており、インバータ20の入力側(即ち、nMOSトランジスタQ2とpMOSトランジスタQ4の各ゲート)はインバータ10の出力側(即ち、nMOSトランジスタQ1とpMOSトランジスタQ3の各ドレイン)に接続されている。
【0019】
また、パスゲートトランジスタQ5,Q6は、メモリセル50に対するデータの「書き込み」と「読み出し」とを行うための選択トランジスタである。図1に示すように、パスゲートトランジスタQ5はnMOSトランジスタであり、そのソースはビット線B1に接続され、そのドレインはインバータ10の出力側に接続され、そのゲートはワード線Wに接続されている。また、パスゲートトランジスタQ6もnMOSトランジスタであり、そのソースはビット線B2に接続され、そのドレインはインバータ20の出力側に接続され、そのゲートはワード線Wに接続されている。
【0020】
ところで、この半導体装置では、トランジスタQ1〜Q4は単結晶のシリコン基板に部分的に形成されたSOI構造のSi層に形成されているのに対して、パスゲートトランジスタQ5,Q6はシリコン基板に直接形成されている。即ち、パスゲートトランジスタQ5,Q6はバルクトランジスタのみで構成されており、トランジスタQ1〜Q4はSOIトランジスタのみで構成されている。
【0021】
このような構成であれば、パスゲートトランジスタQ5,Q6のチャネル領域下の基板電位を所定電位(例えば、GND)に固定することができる。従って、パスゲートトランジスタQ5,Q6のゲートが閉じた状態で、そのソースとドレインとに高電界がかかっているときでも、チャネル領域下でのホールの蓄積を防止することができるので、メモリセル50におけるデータの意図しない書き換え(即ち、パスゲートリーク)を防止することができる。
【0022】
次に、上述の半導体装置の製造方法について説明する。
図2及び図3は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程図である。また、図4は、トランジスタQ1〜Q4と、パスゲートトランジスタQ5,Q6の配置例を示す平面図である。ここでは、SBSI法を用いてバルクのシリコンウエーハに部分的にSOI構造を形成し、形成したSOI構造のSi層にトランジスタQ1〜Q4を形成摺ると共に、SOI構造が形成されていないシリコン基板にパスゲートトランジスタQ5,Q6を形成する。
【0023】
即ち、図2(A)に示すように、まず始めに、LOCOS法によって、バルクのシリコンウエーハであるシリコン基板1の表面に素子分離層5を形成する。この素子分離層5は、SBSI法を施す領域(以下、「SBSI領域」という。)と、バルクトランジスタを形成する領域(以下、「バルク領域」という。)とを分離するものであり、例えばシリコン酸化膜(SiO膜)からなる。
【0024】
次に、図2(B)に示すように、シリコン基板1上にSiGe層8を形成し、その上にSi層9を形成する。SiGe層8及びSi層9は、それぞれエピタキシャル成長によって形成する。SiGe層8の膜厚は例えば10〜200[nm]程度であり、Si層9の膜厚は例えば10〜200[nm]程度である。
【0025】
次に、フォトリソグラフィによって、例えば、SBSI領域内の所定領域を露出し、それ以外の領域を覆うレジストパターン21をシリコン基板1上に形成する。そして、このレジストパターン21をマスクに所定領域のSi層9とSiGe層8とを順次エッチングして、シリコン基板1表面を底面とする穴を形成する。穴を形成した後で、レジストパターン21を除去する。
【0026】
次に、図2(C)に示すように、シリコン基板1の上方全体に支持体膜23を形成する。この支持体膜23は例えばSiO膜であり、CVDなどの方法により形成する。支持体膜23の膜厚は、例えば4000[Å]程度である。支持体膜23を形成した後、図2(C)に示すように、穴hの一部と、穴hに平面視で挟まれた領域(以下、「SOI形成領域」という。)とを連続して覆い、それ以外の領域を露出するレジストパターン25を支持体膜23上に形成する。そして、このレジストパターン25をマスクに支持体膜23をエッチングして、図2(D)に示すように支持体31を形成する。
【0027】
次に、図3(A)において、支持体31下から露出しているSi層9とSiGe層8とを順次ドライエッチングして除去する。このドライエッチングではレジストパターン25(図2(D)参照。)をマスクとして使用しても良いし、支持体膜23を(ハード)マスクとして使用しても良い。支持体膜23のエッチングには例えばCFを含むガスをエッチングガスとして使用し、Si層9/SiGe層8のエッチングには例えばClとOとを含むガスをエッチングガスとして使用する。これにより、支持体31下にSi層9の側面とSiGe層8の側面とを露出した開口面を形成する。
【0028】
次に、レジストパターン25(図2(D)参照。)をシリコン基板1上から除去する。そして、支持体31に形成された開口面を介して、フッ硝酸等のエッチング液をSiGe層8及びSi層9に接触させることにより、SiGe層8だけをエッチングして除去する。これにより、図3(B)に示すように、シリコン基板1とSi層9との間に空洞部33を形成する。次に、シリコン基板1を熱酸化する。このとき、O等の酸化種は、支持体31下から露出したシリコン基板1の表面だけでなく、開口面を通って空洞部33内にも到達する。従って、図3(C)に示すように、空洞部33内にSiO膜35が形成される。この空洞部内に形成されたSiO膜35がSOI構造のBOX層となる。
【0029】
次に、CVDなどの方法によりシリコン基板1の上方全面にSiO膜を形成して、穴h等を埋め込む。そして、図3(D)に示すように、例えばCMPによってSiO膜37を研削して、シリコン基板1の上方全面を平坦化する。さらに、シリコン基板1に希フッ酸を用いたウエットエッチングを施して、Si層9の表面を露出させる。これにより、Si層9の上面が露出し、且つSi層9の下方及び側方がSiO膜35や支持体31で素子分離された構造(即ち、SOI構造)が、SOI形成領域のシリコン基板1上に完成する。
【0030】
その後、図4に示すように、SBSI領域内に完成したSOI構造のSi層9にトランジスタQ1〜Q4(図1参照。)を形成すると共に、バルク領域のシリコン基板1にパスゲートトランジスタQ5,Q6(図1参照。)を形成する。トランジスタQ1〜Q4(図1参照。)と、パスゲートトランジスタQ5,Q6(図1参照。)とを完成させた後は、シリコン基板1上に層間絶縁膜(図示せず)を形成し、層間絶縁膜にコンタクトホール(図示せず)を形成する。そして、コンタクトホールが形成された層間絶縁膜上に配線を形成して、図1に示したように、トランジスタQ1〜Q4(図1参照。)と、パスゲートトランジスタQ5,Q6との接続を行う。
【0031】
このように、本発明の第1実施形態によれば、パスゲートトランジスタQ5,Q6はバルクトランジスタのみで構成されており、トランジスタQ1〜Q4はSOIトランジスタのみで構成されている。このような構成であれば、パスゲートトランジスタQ5,Q6の基板電位を例えばGNDに固定することができ、パスゲートトランジスタQ5,Q6のチャネル領域下部における電荷の蓄積を防止することができるので、パスゲートリークの発生を防止することができる。
【0032】
この第1実施形態では、ビット線B1,B2が本発明の「第1信号線」に対応し、ワード線Wが本発明の「第2信号線」に対応している。また、トランジスタQ1〜Q4が本発明の「メモリセルトランジスタ」に対応し、パスゲートトランジスタQ5,Q6が本発明の「パスゲートトランジスタ」に対応している。さらに、SRAMのメモリセル50が本発明の「メモリセル」に対応している。
【0033】
また、シリコン基板1が本発明の「半導体基材」に対応し、SiGe層8が本発明の「第1半導体層」に対応し、Si層が本発明の「第2半導体層」に対応している。さらに、レジストパターン25が本発明の「マスクパターン」に対応し、SiO膜35が本発明の「絶縁膜」に対応している。
【0034】
(2)第2実施形態
図5は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の構成例を示す回路図である。図5において、図1と同一の構成を有する部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。この第2実施形態では、SRAMのメモリセル50´のパスゲートトランジスタが、SOIトランジスタであるnMOSトランジスタと、バルクトランジスタであるnMOSトランジスタとで構成されている。
【0035】
即ち、図5に示すように、パスゲートトランジスタ30は、バルクトランジスタであるnMOSトランジスタQ5と、SOIトランジスタであるnMOSトランジスタQ7とで構成されている。nMOSトランジスタQ7のソースはビット線B1に接続され、そのドレインはnMOSトランジスタQ5のソースに接続されている。また、nMOSトランジスタQ5のドレインはインバータ10の出力側に接続されており、nMOSトランジスタQ5,Q7の各ゲートはワード線Wに接続されている。
【0036】
つまり、nMOSトランジスタQ5とnMOSトランジスタQ7とが直列に接続されており、ビット線B1にはSOIトランジスタであるnMOSトランジスタQ7が接続され、インバータ10にはバルクトランジスタであるnMOSトランジスタQ5が接続されている。そして、nMOSトランジスタQ5とnMOSトランジスタQ7の各々のゲートにはワード線Wから同じタイミングで信号が入力されるようになっている。
【0037】
同様に、パスゲートトランジスタ40は、バルクトランジスタであるnMOSトランジスタQ6と、SOIトランジスタであるnMOSトランジスタQ8とで構成されている。nMOSトランジスタQ8のソースはビット線B2に接続され、そのドレインはnMOSトランジスタQ6のソースに接続されている。また、nMOSトランジスタQ6のドレインはインバータ20の出力側に接続されており、nMOSトランジスタQ6,Q8の各ゲートはワード線Wに接続されている。
【0038】
このような構成であれば、nMOSトランジスタQ5、Q6の基板電位を例えばGNDに固定することができるので、nMOSトランジスタQ5、Q6のチャネル領域下部における電荷の蓄積を防止することができ、パスゲートリークの発生を防止することができる。
また、ビット線B1にはSOIトランジスタであるnMOSトランジスタQ7のソースが接続されているので、第1実施形態と比べてビット線B1の寄生容量を低減することができる。同様に、ビット線B2にはSOIトランジスタであるnMOSトランジスタQ8のソースが接続されているので、第1実施形態と比べてビット線B2の寄生容量を低減することができる。
【0039】
この第2実施形態では、パスゲートトランジスタ10、20が本発明の「パスゲートトランジスタ」に対応し、nMOSトランジスタQ7,Q8が本発明の「第1トランジスタ」に対応している。また、nMOSトランジスタQ5,Q6が本発明の「第2トランジスタ」に対応し、SRAMのメモリセル50´が本発明の「メモリセル」に対応している。それ以外の対応関係は、第1実施形態と同じである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】第1実施形態に係る半導体装置の構成例を示す回路図。
【図2】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程図(その1)。
【図3】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程図(その2)。
【図4】メモリセル50を構成するトランジスタの配置例を示す平面図。
【図5】第2実施形態に係る半導体装置の構成例を示す回路図。
【符号の説明】
【0041】
1 シリコン基板、5 素子分離層、8 SiGe層、9 Si層、10,20 インバータ、21,25 レジストパターン、23 支持体膜、30,40 パスゲートトランジスタ、31 支持体、33 空洞部、35,37 SiO膜、Q1,Q2,Q7,Q8 nMOSトランジスタ、Q3,Q4 pMOSトランジスタ、Q5、Q6 パスゲートトランジスタ(nMOSトランジスタ)、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソース又はドレインの一方が第1信号線に接続されると共にゲートが第2信号線に接続されたパスゲートトランジスタと、前記パスゲートトランジスタのソース又はドレインの他方に接続されたメモリセルトランジスタと、を1つのメモリセル内に有する半導体装置であって、
前記パスゲートトランジスタはバルクトランジスタであり、前記メモリセルトランジスタはSOIトランジスタであることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
パスゲートトランジスタと、メモリセルトランジスタとを1つのメモリセル内に有する半導体装置であって、
前記パスゲートトランジスタは、第1トランジスタと第2トランジスタとを有し、
前記第1トランジスタのソース又はドレインの一方は第1信号線に接続されると共にその他方は前記第2トランジスタのソース又はドレインの一方に接続され、
前記第2トランジスタのソース又はドレインの他方は前記メモリセルトランジスタに接続され、
前記第1トランジスタのゲート及び前記第2トランジスタのゲートは第2信号線に接続され、
前記第1トランジスタ及び前記メモリセルトランジスタはSOIトランジスタであり、前記第2トランジスタはバルクトランジスタである、ことを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
前記メモリセルはSRAMのメモリセルであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法であって、
半導体基材上に第1半導体層を形成する工程と、
前記第1半導体層よりもウエットエッチングの選択比が小さな第2半導体層を前記第1半導体層上に形成する工程と、
SOI形成領域に隣接する所定領域の前記第2半導体層及び前記第1半導体層をエッチングして除去することによって、当該所定領域に前記半導体基材を底面とする穴を形成する工程と、
前記半導体基材上に支持体膜を形成して前記穴を埋め込み且つ前記第2半導体層を覆う工程と、
前記穴の少なくとも一部と前記SOI形成領域とを連続して覆い、それ以外の領域を露出するマスクパターンを前記支持体膜上に形成する工程と、
前記マスクパターンをマスクに前記支持体膜、前記第2半導体層及び前記第1半導体層を順次ドライエッチングすることによって、前記支持体膜下に前記第1半導体層の側面を露出する開口面を形成する工程と、

前記開口面を介して前記第1半導体層をウエットエッチングすることにより、前記第2半導体層と前記半導体基材との間に空洞部を形成する工程と、
前記空洞部内に絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜を形成した後で前記第2半導体層上の前記支持体をエッチングして除去する工程と、
前記支持体を除去した後で前記第2半導体層に前記メモリセルトランジスタを形成する工程と、を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−234793(P2007−234793A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−53387(P2006−53387)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】